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山形村における地形からみた 水害危険箇所の抽出

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山形村における地形からみた 水害危険箇所の抽出
山形村における地形からみた
水害危険箇所の抽出
信州大学 工学部
土木工学科
豊田研究室
08T3034D
中村 美香
平成 24 年 2 月
山形村における地形からみた水害危険箇所の抽出
平 成 24 年 2 月
中村
美香
要旨
目的
土木に関する知識を持つ職員があまりいない小さな町や村では,洪水氾濫ハザー
ドマップがまだ作成されていないところが多い.そのような自治体では,洪水氾濫
ハザードマップがなくても,水害危険箇所をあらかじめ知り,それらに対する予防
的 な 対 策 が 望 ま れ る .そ こ で ,本 研 究 で は ,長 野 県 東 筑 摩 郡 山 形 村 全 域 を 対 象 と し ,
明 治 43 年 と 平 成 13 年 の 地 形 図 を 用 い て ,水 害 危 険 箇 所 と な り 得 る 場 所 を 簡 易 的 に
抽出する.
方法
国 土 地 理 院 発 行 の 1/25000 地 形 図 と 山 形 村 役 場 発 行 の 1/10000 地 形 図 を 用 い て ,
大まかな地形・合水線・道路上の水の流れ・土地利用変化・旧河川の 5 つの視点か
ら水害危険箇所を予測し,最後にそれらをまとめて特に注意した方が良い場所を提
案する.
結論
山形村における,地形からみた水害危険箇所が得られた.以下に示す場所におい
て,危険度が高いことがわかった.
[1] 上 竹 田 の 山 麓 か ら 下 大 池 の 三 間 沢 川 と 大 池 川 の 合 流 部 付 近 ま で の 範 囲
[2] 三 間 沢 川 と 唐 沢 川 の 合 流 部 付 近
また,本研究を行ったことにより,洪水氾濫ハザードマップが整備されていない
自治体において,限られたデータを使って,簡易的な作業を行うだけで,水害対策
を考える際の参考となりうる情報が得られることを確認できた.
指導教員
豊田
政史
助教
目次
第 1 章 は じ め に …………………………………………………………………………………..1
1.1 研 究 背 景 と 目 的 …………………………………………………………………………….1
1.2 本 論 文 の 構 成 ……………………………………………………………………………….2
第 2 章 山 形 村 の 概 要 ……………………………………………………………………………..3
2.1 山 形 村 の あ ゆ み …………………………………………………………………………….3
2.2 山 形 村 の 地 形 ……………………………………………………………………………….4
2.3 山 形 村 の 気 象 ……………………………………………………………………………….5
2.4 山 形 村 で の 過 去 の 水 害 ……………………………………………………………………9
2.5 山 形 村 の 水 害 対 策 ………………………………………………………………………..18
第 3 章 水 害 危 険 箇 所 抽 出 の 方 法 ……………………………………………………………...21
3.1 大 ま か な 地 形 か ら 予 測 す る 方 法 ……………………………………………………….21
3.2 合 水 線 か ら 予 測 す る 方 法 ………………………………………………………………..22
3.3 道 路 上 の 水 の 流 れ か ら 予 測 す る 方 法 ………………………………………………….23
3.4 土 地 利 用 変 化 か ら 予 測 す る 方 法 ……………………………………………………….23
3.5 旧 河 川 か ら 予 測 す る 方 法 ………………………………………………………………..24
第 4 章 水 害 危 険 箇 所 抽 出 の 結 果 ………………………………………………………………26
4.1 大 ま か な 地 形 か ら 予 測 さ れ た 結 果 …………………………………………………….26
4.2 合 水 線 か ら 予 測 さ れ た 結 果 …………………………………………………………….29
4.3 道 路 上 の 水 の 流 れ か ら 予 測 さ れ た 結 果 ………………………………………………31
4.4 土 地 利 用 変 化 か ら 予 測 さ れ た 結 果 ……………………………………………………36
4.5 旧 河 川 か ら 予 測 さ れ た 結 果 ……………………………………………………………39
4.6 ま と め ………………………………………………………………………………………42
第 5 章 お わ り に …………………………………………………………………………………45
謝 辞 …………………………………………………………………………………………………47
参 考 文 献 ……………………………………………………………………………………………48
1
第 1 章 はじめに
1.1 研究背景と目的
水害とは,水による災害,すなわち洪水や冠水など,水によりもたらされる被害の
総称である.水害には,気象によって河川の洪水が起こる外水氾濫の他,排水が上手
くできないで起こる内水氾濫がある.水害が発生すると,死者・行方不明者,負傷者
を 出 し , 住 宅 は 全 壊 や 半 壊 , ま た は 浸 水 ( 床 上 浸 水 , 床 下 浸 水 が あ る .) し , そ の 他 ,
資財の流失,農業など産業面の被害,交通網・通信網・ライフラインの寸断など,多
くの被害を受ける可能性がある.
その水害の原因要素は多くあり,大きく気象的要因・地理的要因・社会的要因に分
けることができる.気象的要因とは大雨・暴風雨・台風・ハリケーン,高潮・高潮位
な ど の こ と で あ り , 地 理 的 要 因 と は 扇 状 地 特 有 の 転 流 ( 鈴 木 , 1998) や , 過 去 に 河 川
敷 で あ っ た 土 地 ,河 川 の 後 背 低 地 ,周 囲 よ り 低 く な っ て い る 土 地 の こ と で あ る .ま た ,
社会的要因とは山林の伐採,都市化,冠水しやすい地域の宅地化,ゴミによる道路の
雨水ますの詰まりなどを指している.これらの原因により起こる水害に対して,ダム
や堰,水門,堤防,分水路,遊水地,雨水貯留浸透施設,輪中堤などを造って水害対
策をしている.また,前述の水害対策はハード対策と言い,主に構造物を造って水害
を防止しているが,ソフト対策と言って外水や内水が氾濫した時,どこまでが浸水範
囲になりそうなのかを示しているハザードマップを住民に配り,災害意識を高めるよ
うな水害対策も行われている.
このように,どのような水害があり,その原因は何なのか,その水害をどのように
予防するのか等,おおよそは既に分かっている.そして,現在水害対策されている場
所は、今まで大規模な水害が起きたことがある場所や何らかの重要度が高い所が主で
ある.しかし,氾濫ハザードマップに関してはまだまだ作成されていないところが多
い.作成されていない理由は,金銭的な問題や土木の知識を十分に持つ職員を採用し
ていないなど様々であろう.今回の研究対象である長野県東筑摩郡山形村も氾濫ハザ
2
ー ド マ ッ プ を 作 成 し て い な い . ち な み に , 長 野 県 に は 19 の 市 , 25 の 町 , 37 の 村 が あ
る が , 実 際 に 氾 濫 ハ ザ ー ド マ ッ プ が 作 成 さ れ て い る の は 10 の 市 , 9 の 町 , 3 の 村 だ け
で あ る .( LINK 道 .COM HP)
氾濫ハザードマップには外水氾濫に対してのハザードマップと,内水氾濫に対して
のハザードマップがあり,河川が氾濫しやすい場所では主に外水氾濫のハザードマッ
プを作成し,平らな地形の場所では内水氾濫のハザードマップを作成していることも
ある.これらの氾濫ハザードマップは人がいろいろな条件を決めて計算して作られた
ものである.大自然の災害というのは人には予想し難い.ゆえに,人が計算して予想
してもそれとはまったく違った被災状況になることは大いに考えられる.しかしなが
ら,そうとは言っても少しでも危険そうな場所に人が住んでいるならば,その人達は
そのことを頭に入れておく必要がある.これが所謂災害意識というもので,この災害
意識が弱ければ助かる可能性がある人でも,逃げそびれて助からないということにな
りえる.したがって,たとえ過去に大きな災害が起きたことがないとしても,氾濫ハ
ザードマップは必要なのである.特に近年ではゲリラ豪雨と言われるような短時間に
激しい雨を降らす現象が増えてきている.それらの豪雨により起こる水害に対して,
災害意識を高め自分の命を自分で守る心構えを全国の住民が持つべきである.このよ
うな自助意識の向上をめざして,本研究を行った.この研究の具体的な目的は,自分
の実家がある山形村で水害が発生したとき,どのような場所に水が溜まって危険な場
所となりえるのか,地形図を用いてそれを読み取り抽出することである.
1.2 本論文の構成
本 論 文 は 5 章 で 構 成 さ れ て い る .ま ず ,本 章 で は 本 研 究 の 背 景 と 目 的 を 述 べ る .第 2
章 で は ,山 形 村 が ど の よ う な 所 な の か を 知 っ て も ら う た め 山 形 村 の 概 要 を 述 べ る .第 3
章 で は ,国 土 地 理 院 発 行 の 山 形 村 の 地 形 図( 平 成 13 年 )や 山 形 村 役 場 発 行 の 山 形 村 村
図( 平 成 22 年 )を 用 い て ,水 害 危 険 箇 所 を 抽 出 す る 方 法 を 述 べ ,第 4 章 で そ の 方 法 で
抽出した結果について整理し述べる.そして,第 5 章で本研究のまとめについて述べ
る.
3
第 2 章 山形村の概要
ここでは,長野県東筑摩郡の中にある山形村という所がどのような所なのかを紹介
する.具体的には山形村のあゆみや地形,気象,過去の水害,そして水害対策につい
て 述 べ る . 図 2‐ 1 が 長 野 県 内 に お い て 山 形 村 の 位 置 を 示 す 簡 単 な 地 図 で あ る .
図 2-1. 長 野 県 東 筑 摩 郡 山 形 村 の 地 図 ( MapFan HP よ り 引 用 )
2.1 山形村のあゆみ
長 野 県 東 筑 摩 郡 山 形 村 は ,松 本 市 の 西 隣 に 位 置 し ,8,000 人 ほ ど の 人 口 が 存 在 す る 地
方 都 市 近 郊 農 村 で あ る .山 形 村 に お け る こ れ ま で の 出 来 事 を 簡 単 に 紹 介 す る .
(山形村
4
HP)
山形村は明治 7 年に大池村,小坂村,竹田村の「山方三ヶ村」が合併して現在に至
っ て い る . 明 治 26 年 に 小 坂 で 大 火 事 が 発 生 し 111 戸 が 焼 失 し た こ と が あ る . 明 治 42
年 に 小 学 校 舎 が 完 成 し ,大 正 6 年 に 初 め て 役 場 と 学 校 に 電 灯 が と も っ た .大 正 10 年 に
松 本 ― 山 形 学 校 前 の 間 で 乗 合 自 動 車 運 行 を 開 始 し ,昭 和 12 年 に 山 形 郵 便 局 で 電 話 交 換
業 務 が 開 始 さ れ た . 昭 和 34 年 に 全 村 水 道 工 事 が 完 成 し , 昭 和 46 年 に 清 水 高 原 観 光 開
発 事 業 に 着 手 し 始 め た .昭 和 49 年 に 清 水 砂 防 ダ ム が 完 成 し ,平 成 3 年 に 特 別 養 護 老 人
ホーム「ピアやまがた」をオープンし,平成 5 年に山形消防署を設置した.平成 7 年
にスカイランドきよみずがオープンし,平成 9 年に堂ヶ入砂防ダムが完成した.平成
10 年 4 月 に 一 般 廃 棄 物 最 終 処 分 場「 サ ン ク ス B B 」が 完 成 し ,平 成 12 年 10 月 に は 人
口 が 8,000 人 に 到 達 し た .平 成 15 年 3 月 に ,周 辺 市 町 村 が 合 併 し て い る 中 ,山 形 村 は
周 辺 市 町 村 と 合 併 せ ず 山 形 村 存 続 を 決 定 し ,平 成 19 年 6 月 に は 山 形 な ろ う 原 霊 園・公
園が完成した.
以上のように,山形村の成り立ちは合併から始まったが,その後,周辺市町村と何
らかの繋がりを持ちながら村独自で徐々に発展して今に至っている.
2.2 山形村の地形
合併や境界変更がないまま現在に至っている山形村は,長野県のほぼ中央部,松本
盆 地 の 南 西 12km に 位 置 し , 日 本 ア ル プ ス の 支 脈 で あ る 鉢 盛 山 の 山 麓 に 沿 っ て , 西 部
に は 山 地 と そ の 麓 の 集 落 が ,ま た 東 部 に は 肥 沃 な 扇 状 地 が 緩 や か に 広 が る ,海 抜 685m
の高原地帯にある.東部は松本市,南西部は朝日村,北西部は波田町と隣接し,東西
8.5km, 南 北 4.7km に わ た り 縦 に 長 く 展 開 し て い る . 総 面 積 24.94km 2 の う ち , 山 林
を除いた部分は全体の 4 割ほどであるが,その大半は松本盆地西縁の扇状地斜面上に
あるため,元々は水利条件の悪い緩斜面の土地が多く,村内に大きな川もなく,水田
に適するような完全な平坦地は少ない.こうした地形条件から,山形村には自然状態
のままでは条件のよい農地が少なく,古くから水利条件の整備が農業生産と密接に結
びついていた.
標 高 は 650m か ら 1,745m で ,そ の 間 の 起 伏 は 少 な い .地 質 は ,古 生 層 に 属 す る 山 地
と扇状地の堆積層による平地の二つから成っている.鉢盛山を西側の背景とした広大
な平地は村の畑作地域で,集落は堂ヶ入沢・本沢・三間沢川・唐沢川流域の低地に集
5
中している.行政区は上大池,中大池,下大池,小坂,上竹田,下竹田の 6 地区であ
る . 具 体 的 な 場 所 は 図 2‐ 2 に 示 す .
土 地 利 用 の 状 況( 山 形 村 HP)は ,平 成 18 年 1 月 1 日 現 在 ,田 畑 8.16km 2 ,山 林 9.62km 2 ,
原 野 0.06km 2 , 宅 地 2.41km 2 , そ の 他 4.69km 2 と な っ て お り , 田 畑 と 宅 地 を 合 わ せ た
可 住 地 は 10.57km 2 と な る .
図 2-2. 山 形 村 の 行 政 区 と 河 川
2.3 山形村の気象 ( 気 象 庁 HP)
図 2‐ 3 は 山 形 村 内 に あ る 気 象 観 測 所 の 場 所 を 示 し て お り ,そ れ か ら 得 た デ ー タ に よ
る と , 山 形 村 の 2005 年 か ら 2010 年 ま で の 5 年 間 の 平 均 気 温 は 10.5℃ ( 表 2‐ 1) で
あるが,寒暖の差が大きく内陸性気候の性質を持っている.つまり,気温の上昇・下
降を緩衝する水辺が少ない地域に見られる気候の性質を持っており,比較的湿度が低
く 日 較 差 ・ 年 較 差 が 大 き い . 年 間 降 水 量 ( 2005~ 2010 年 ) は 1,093.7mm( 表 2‐ 2)
と比較的少ないが,気象庁が観測した松本市や長野市のデータと比べると,長野市が
6
966.3mm,松 本 市 が 1,040.8mm( 表 2‐ 3)と 山 形 村 の 方 が 若 干 多 い .日 照 時 間 に つ い
て は 平 均 年 間 日 照 時 間 ( 2005~ 2010 年 ) が 1,944.0 時 間 で 長 野 市 の 1,927.1 時 間 よ り
多 く , 松 本 市 の 2,098.9 時 間 ( 表 2‐ 4) よ り は 少 な い . 一 年 を 通 し て 見 る と , 7 月 の
降 水 量 が 一 番 多 く 1 月 の 降 水 量 が 一 番 少 な い ( 図 2‐ 4). ま た 時 間 雨 量 が 20mm を 超
えるような雨は,年によって1年に1度も降らなかったり5回も降ったりしている.
し か し , 大 抵 は 時 間 雨 量 30mm 以 下 が 多 く そ れ 以 上 の 雨 は 少 な い . 過 去 に 記 録 的 短 時
間 大 雨 が あ り 時 間 雨 量 90mm の 雨 が 降 っ た が , い つ 降 っ た の か 記 録 を 見 つ け る こ と は
出来なかった.場所別にみると,山形村内にある 4 つの観測所のうち,役場観測所で
は 時 間 雨 量 20mm 以 上 の 雨 が 降 る 回 数 が 最 も 多 い が , 降 雨 強 度 で み る と 清 水 観 測 所 で
の 雨 の 方 が 強 い こ と が 多 い( 表 2‐ 5).強 い 短 時 間 降 雨 の 降 り や す い 順 番 は ,清 水 ,上
大 池 ,下 竹 田 ,役 場 の 順 と な っ て い る .ち な み に ,表 2‐ 5 に つ い て は 4 箇 所 全 て の デ
ータを観測することができた日のみを載せている.
図 2-3. 山 形 村 内 に あ る 気 象 観 測 所
7
表 2-1. 山 形 村 の 平 均 気 温 ( ℃ )
年
2005
2006
2007
2008
2009
2010
平均(℃)
平均気温(℃)
役場 清水 上大池 下竹田 平均(℃)
11.1 7.4
10.7
11.1
10.1
11.3 7.7
10.9
11.3
10.3
11.5 8.0
11.1
11.4
10.5
11.3 7.8
10.7
11.2
10.2
11.4 -
11.0
11.3
11.2
11.8 8.2
11.3
11.6
10.7
11.4 7.8
10.9
11.3
10.5
表 2-2. 山 形 村 の 年 間 降 水 量 ( mm)
2005
2006
2007
2008
2009
2010
平均(mm)
役場
633.0
1377.5
938.0
1154.5
1378.0
1551.0
1172.0
年間降水量(mm)
清水 上大池
728.5
721.5
1277.5 1469.0
970.5
827.0
1118.0 1006.5
598.0 1238.5
1573.0 1417.5
1044.3 1113.3
下竹田 平均(mm)
658.0
685.3
1494.0
1404.5
747.0
870.6
886.5
1041.4
1144.5
1089.8
1342.0
1470.9
1045.3
1093.7
表 2-3. 松 本 市 ・ 長 野 市 の 年 間 降 水 量 ( mm)
年間降水量(mm)
松本市 長野市
2005年
653.0
868.0
2006年 1357.5 1155.5
2007年
804.0
887.0
2008年 1034.0
854.5
2009年 1089.5
975.0
2010年 1306.5 1058.0
平均(mm) 1040.8
966.3
表 2-4. 平 均 年 間 日 照 時 間 ( h)
2005
山形村 1984.9
長野市 1915.5
松本市 2140.1
2006
1823.8
1823.3
1977.3
年間日照時間(h)
2007
2008
2018.2 1983.2
1971.6 2029.5
2146.3 2221.2
2009
1934.8
1893.9
2043.3
2010
1919.4
1928.9
2065.0
平均
1944.0
1927.1
2098.9
8
図 2-4. 2005~2010 年 ま で の 月 平 均 降 水 量 ( mm)
表 2-5. 山 形 村 で 時 間 雨 量 20mm 以 上 を 観 測 し た 日
2005/8/16
2005/9/11
2006/3/27
2006/7/17
2006/7/19
2006/8/17
2006/8/22
2008/7/28
2008/8/12
2008/8/13
2008/9/22
2010/8/25
2011/7/31
2011/8/7
最大時間雨量(mm)
役場 上大池 下竹田 清水
2.5
13
0.5
25
20
18.5
9.5 16.5
0
0
19.5
50
18
17.5
25.5
15
20.5
20.5
21.5
14
16
18
24 26.5
23
19.5
4.5
1.5
13
12.5
7.5 22.5
22.5
27.5
1.5 12.5
20
27.5
2
8.5
18.5
12.5
20.5
9.5
21
25
13
1.5
19.5
35
16.5
0
22.5
13
34.5
6
近年,局所的に短時間で激しい雨を降らすゲリラ豪雨と呼ばれる雨が増えていると
言 わ れ て い る が ,山 形 村 で も そ の よ う な ゲ リ ラ 豪 雨 を 確 認 で き る .実 際 に 2006 年 3 月
27 日 に 4 つ の 観 測 所 の う ち ,清 水 観 測 所 で 最 大 時 間 雨 量 50mm の 雨 を 観 測 し た .し か
し , そ の 他 の 下 竹 田 観 測 所 で は 最 大 時 間 雨 量 19.5mm し か 観 測 さ れ ず , 役 場 観 測 所 と
上 大 池 観 測 所 に い た っ て は 最 大 時 間 雨 量 0mm と い う 観 測 結 果 で あ っ た .こ の よ う に 局
所的で急な雨は山形村でも起こり,そして,仮にこれからそのようなゲリラ豪雨がど
んどん増えてくるのならば,今までの継続時間が長い雨に対する策だけでなく,ゲリ
ラ豪雨に対する策も考案し広めるべきである.
9
2.4 山形村での過去の水害
山 形 村 で 過 去 に 発 生 し た 水 害 を 紹 介 す る . 過 去 に 起 こ っ た 主 な 風 水 害 ( 山 形 村 HP)
は い く つ か あ り , 古 い も の は 昭 和 20 年 台 風 第 20 号 に よ る 災 害 で あ る , こ の 台 風 は 通
称 阿 久 根 台 風( 気 象 庁 HP)と 呼 ば れ ,1945 年 10 月 に 九 州 の 鹿 児 島 県 阿 久 根 市 付 近 に
上 陸 し た 台 風 で ,規 模 や 勢 力 は 大 き な も の で は な か っ た が ,9 月 に 大 被 害 を も た ら し た
枕 崎 台 風 ( 昭 和 20 年 台 風 第 16 号 ) か ら 1 ヶ 月 も た た な い う ち に ほ ぼ 同 じ 経 路 を 取 っ
て 通 過 し た た め 被 害 が 大 き か っ た . 図 2‐ 5 は 阿 久 根 台 風 の 通 過 経 路 を 表 し て い る が ,
そ れ に よ る と 台 風 第 20 号 は サ イ パ ン 島 の 東 海 上 で 発 生 し 北 西 に 真 っ 直 ぐ 進 ん で ,9 日
沖縄本島の東で停滞して次第に発達しながら進路を北寄りに変え,台風はそのまま北
東 に 進 ん で 10 日 14 時 鹿 児 島 県 阿 久 根 市 付 近 に 上 陸 , そ の 後 北 東 に 進 み 周 防 灘 か ら 中
国地方を通って日本海に出て,能登半島付近を通って津軽海峡の西海上で消滅した.
こ の 台 風 に よ り , 枕 崎 ( 鹿 児 島 県 枕 崎 市 ) で 最 大 瞬 間 風 速 51.6m/s を 観 測 す る な ど ,
九 州 や 中 国 地 方 で は 暴 風 が 吹 い た .台 風 接 近 前 か ら 降 り 出 し た 前 線 の 雨 の 影 響 も あ り ,
阿 久 根 台 風 の 期 間 降 水 量 を 表 し て い る 図 2‐ 6 を 見 て も ら う と 分 か る が ,九 州 か ら 中 部
地 方 に か け て の 期 間 降 水 量 は 200~ 300mm と な り ,家 屋 の 流 失 や 浸 水 が 多 く 発 生 し た .
特 に 兵 庫 県 で は 200 人 を 超 え る 死 者 が 出 た . 具 体 的 な 被 害 状 況 は , 死 者 377 名 , 行 方
不 明 者 74 名 で 負 傷 者 が 202 人 ,住 宅 損 壊 が 6,181 戸 ,浸 水 は 174,146 棟 も あ っ た .終
戦 1 ヶ月後で気象観測態勢も充分に回復せず,国外からの気象資料入手も不十分であ
った頃なので,阿久根台風の正確なデータは把握できているとは言い難い.実際に山
形 村 で も 情 報 は 少 な い ら し く , 10 月 9 日 に 集 中 豪 雨 に よ っ て 丸 山 地 籍 が 決 壊 し ,上 大
池が浸水し消防団員が 2 名殉職したという記録しかない.
10
図 2-5. 阿 久 根 台 風 の 通 過 経 路 ( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
図 2-6. 阿 久 根 台 風 の 期 間 降 水 量 ( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
11
次 に 起 こ っ た 大 き な 水 害 は 昭 和 34 年 に 発 生 し た 伊 勢 湾 台 風 ( 気 象 庁 HP) に よ る も
の で あ る . こ の 台 風 は 1959 年 9 月 26 日 に 潮 岬 に 上 陸 し , 紀 伊 半 島 か ら 東 海 地 方 を 中
心 と し , ほ ぼ 全 国 に わ た っ て 甚 大 な 被 害 を 及 ぼ し た 台 風 で あ る . 図 2‐ 7 は 伊 勢 湾 台
風 の 通 過 経 路 を 表 し て い る が ,こ れ に よ る と 9 月 21 日 に マ リ ア ナ 諸 島 の 東 海 上 で 発 生
し た 台 風 第 15 号 が 猛 烈 な 勢 い で 発 達 し 非 常 に 広 い 暴 風 域 を 伴 い ,最 盛 期 を 過 ぎ た 後 も
あ ま り 衰 え る こ と な く 北 上 し , 26 日 18 時 頃 和 歌 山 県 潮 岬 の 西 に 上 陸 し た . 上 陸 後 6
時間余りで本州を縦断,富山市の東から日本海に進み,北陸,東北地方の日本海沿い
を 北 上 し ,東 北 地 方 北 部 を 通 っ て 太 平 洋 側 に 出 た .勢 力 が 強 く 暴 風 域 も 広 か っ た た め ,
広 い 範 囲 で 強 風 が 吹 き , 伊 良 湖 ( 愛 知 県 渥 美 町 ) で 最 大 風 速 45.4m/s( 最 大 瞬 間 風 速
55.3m/s),名 古 屋 で 37.0m/s( 同 45.7m/s)を 観 測 す る な ど ,九 州 か ら 北 海 道 に か け て
の ほ ぼ 全 国 で 20m/s を 超 え る 最 大 風 速 と 30m/s を 超 え る 最 大 瞬 間 風 速 を 観 測 し た .紀
伊半島沿岸一帯と伊勢湾沿岸では高潮,強風,河川の氾濫により甚大な被害を受け,
特に愛知県では,名古屋市や弥富町,知多半島で激しい暴風雨の下,高潮により短時
間 の う ち に 大 規 模 な 浸 水 が 起 こ り , 死 者 ・ 行 方 不 明 者 が 3,300 名 以 上 に 達 す る 大 き な
被害となった.また,三重県では桑名市などで同様に高潮の被害を受け,死者・行方
不 明 者 が 1,200 名 以 上 と な っ た . こ の 他 , 台 風 が 通 過 し た 奈 良 県 や 岐 阜 県 で も , そ れ
ぞ れ 100 名 前 後 の 死 者・行 方 不 明 者 が あ っ た .人 的 被 害 に つ い て ま と め る と ,死 者 4,697
名 , 行 方 不 明 者 401 名 で , 負 傷 者 は 38,921 名 に の ぼ っ た . ま た , 住 家 全 壊 が 40,838
棟 , 半 壊 が 113,052 棟 , 床 上 浸 水 が 157,858 棟 , 床 下 浸 水 が 205,753 棟 と な っ た . こ
の伊勢湾台風を教訓として成立したのが災害対策について定めた災害対策基本法であ
る .実 際 に 山 形 村 で は 9 月 26 日 に 村 内 全 域 に 被 害 が 発 生 し て お り ,家 屋 被 害 額 が 450
万 円 , 農 作 物 被 害 額 3,110 万 円 , 山 林 倒 木 の 容 積 が 500 石 ( 90.195m 3 ) で , そ の 被 害
額 が 約 100 万 円 と な っ て い る .ち な み に ,図 2‐ 8 は 伊 勢 湾 台 風 の 期 間 降 水 量 を 表 し て
いる.
12
図 2-7. 伊 勢 湾 台 風 の 通 過 経 路 ( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
図 2-8. 伊 勢 湾 台 風 の 期 間 降 水 量 ( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
13
昭 和 57 年 9 月 11 日 ~ 12 日 に も 大 き な 被 害 が 出 て い る . こ の と き は 台 風 18 号 に よ
る 水 害 で あ る .7 月 に 台 風 10 号 に よ る 災 害 も あ っ た が ,被 害 状 況 等 は 役 場 ホ ー ム ペ ー
ジ に 掲 載 さ れ て い な か っ た . 台 風 10 号 よ り も 台 風 18 号 の 方 が , 被 害 が 大 き か っ た の
か も し れ な い .こ の 台 風 18 号 は ,図 2‐ 9 に よ る と ,9 月 5 日 21 時 グ ア ム 島 南 西 海 上
に発生した弱い熱帯低気圧が西に進みながら発達し,9 月 6 日 9 時に台風となったも
の で あ る . そ の 後 , 台 風 は 北 西 に 進 み な が ら 次 第 に 勢 力 を 強 め , 9 月 11 日 18 時 に は
八 丈 島 の 南 西 約 640km に 達 し ,さ ら に 北 へ 進 路 を 変 え ,9 月 12 日 18 時 頃 静 岡 県 御 前
崎 町 付 近 に 上 陸 し た .上 陸 後 は 次 第 に 勢 力 が 弱 ま り ,9 月 12 日 20 時 か ら 22 時 に か け
て 山 梨 県 東 部 を 縦 断 し , 13 日 8 時 に は 北 海 道 苫 小 牧 市 の 南 100km 付 近 で 温 帯 低 気 圧
に変わった.この台風では,山梨県東部を縦断する際の影響で山梨県内各所の河川が
増 水 し , 崖 崩 れ が 続 出 し た ( 富 士 川 砂 防 事 務 所 HP). 長 野 県 で は 県 内 全 域 , 主 に 北 信
地 域 で 被 害 が 発 生 し , 死 者 2 名 ・ 負 傷 者 37 名 , 全 壊 3 棟 , 半 壊 13 棟 , 一 部 損 壊 13
棟 , 床 上 浸 水 2,022 棟 , 床 下 浸 水 3,214 棟 と な っ た ( 長 野 県 公 式 HP). そ の 中 で 山 形
村 の 被 害 は 村 内 全 域 に お よ び ,171mm の 雨 量( 旧 村 役 場 で 観 測 )に よ る 中 小 河 川 の 氾
濫 が 起 こ り , 河 川 関 係 被 害 額 は 1 億 100 万 円 , 林 道 関 係 被 害 額 は 1 億 4,600 万 円 , 治
山 関 係 被 害 額 は 2 億 6,700 万 円 , 水 道 関 係 被 害 額 は 850 万 円 , 耕 地 関 係 被 害 額 は 600
万円とかなりの被害となっている.
14
図 2-9. 昭 和 57 年 台 風 18 号 の 通 過 経 路 ( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
昭 和 58 年 9 月 27 日 ~ 28 日 に も ,台 風 10 号 に よ っ て 被 害 が 出 て い る .こ の 台 風 10
号 は ,図 2‐ 10 の よ う に 9 月 13 日 9 時 に ト ラ ッ ク 島 付 近 に 発 生 し た 弱 い 熱 帯 低 気 圧 が ,
西 北 西 に 進 み な が ら 次 第 に 発 達 し ,20 日 21 時 に グ ア ム 島 の 南 南 西 約 280km に 達 し て
台 風 と な っ た も の で あ る .23 日 9 時 に 非 常 に 強 い 台 風 と な り ,そ の 後 進 路 を 北 西 ,北 ,
北 東 ,東 へ と 変 え て 進 み ,28 日 10 時 20 分 頃 長 崎 市 付 近 に 上 陸 .更 に ス ピ ー ド を 上 げ
て 東 に 進 み ,九 州 を 横 切 り ,15 時 に は 温 帯 低 気 圧 と な り ,四 国 ,紀 伊 半 島 を か す め 19
時 に 太 平 洋 に 抜 け て い っ た( 新 丸 山 ダ ム 工 事 事 務 所 HP).長 野 県 災 害 体 験 集 に よ る と ,
台 風 10 号 に よ っ て 長 野 県 で は 県 内 全 域 が 被 災 し , 死 者 9 名 , 負 傷 者 44 名 , 全 壊 53
棟 , 半 壊 92 棟 , 一 部 損 壊 92 棟 , 床 上 浸 水 3,906 棟 , 床 下 浸 水 6,975 棟 ( 長 野 県 公 式
HP) と な っ た . 山 形 村 で は , 台 風 10 号 の 豪 雨 に よ っ て 村 内 全 域 が 被 災 し , 山 林 で は
土 石 流 が 発 生 し た .こ の と き の 総 雨 量 は 215mm( 旧 村 役 場 で 観 測 )で あ っ た .幸 い 人
的被害は軽傷者 1 名のみだったが,住家等の被害は大きかった.床上浸水 8 棟,床下
浸 水 17 棟 ,河 川 関 係( 大 河 川 )被 害 額 5 億 6,900 万 円 ,道 路 橋 梁 関 係 被 害 額 1,800 万
円 ,林 道 関 係 被 害 額 1 億 2,700 万 円 ,耕 地 関 係 被 害 額 4,500 万 円 ,水 道 関 係 被 害 額 250
万 円 , 治 山 関 係 被 害 額 1 億 9,500 万 円 , そ し て 中 小 河 川 や 道 路 の 被 害 額 が 600 万 円 と
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多 々 の 被 害 を 受 け , ま た こ の 時 に 緊 急 対 策 と し て 750 万 円 を 使 っ て い る . こ れ は 昭 和
57 年 台 風 18 号 に よ る 水 害 の 時 よ り も か な り 大 き な 被 害 と な っ て い る .
図 2-10. 昭 和 58 年 台 風 10 号 の 通 過 経 路 ( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
平 成 に 入 っ て か ら も 大 き な 水 害 は 起 き て い る . ま ず , 平 成 16 年 に お よ そ 13 日 間 の
間 に 台 風 22 号 と 台 風 23 号 が 本 土 に 上 陸 し , 日 本 列 島 に 大 き な 災 害 を も た ら し た ( 長
野 県 松 本 建 設 事 務 所 , 2005). 具 体 的 な 状 況 は 次 の 通 り で あ る . 平 成 16 年 10 月 4 日
12 時 に フ ィ リ ピ ン の 東 海 上 で 発 生 し た 台 風 22 号 が , 日 本 の 南 海 上 を 発 達 し な が ら 北
上 し ,秋 雨 前 線 の 活 動 が 活 発 に な っ た . 9 日 16 時 頃 に は 強 い 勢 力 を 保 ち 静 岡 県 伊 豆 半
島 に 上 陸 し ,関 東 地 方 を 通 過 後 ,同 日 夜 に は 鹿 島 灘 を 抜 け 10 日 9 時 に は 日 本 の 東 海 上
で 温 帯 低 気 圧 と な っ た .図 2‐ 11 が そ の 時 の 台 風 22 号 の 通 過 経 路 で あ る .こ の 時 ,静
岡 県 御 前 崎 市 御 前 崎 で 総 降 水 量 413mm を 観 測 し た ( 防 災 情 報 の ペ ー ジ ). 気 象 庁 ホ ー
ム ペ ー ジ に よ る と , 人 的 被 害 は 死 者 7 名 , 行 方 不 明 者 2 名 , 負 傷 者 170 名 で あ る が ,
山形村はこの時それほど被害を受けなかったようである.しかし,あまり間を置かず
に 次 の 台 風 23 号 が 上 陸 し た . こ の 台 風 23 号 は , 平 成 16 年 10 月 13 日 9 時 に マ リ ア
ナ 諸 島 近 海 で 発 生 し た 台 風 で ,18 日 9 時 に は 超 大 型 で 強 い 勢 力 と な っ て 沖 縄 の 南 海 上
を 北 上 し , 20 日 13 時 頃 に は 大 型 の 強 い 勢 力 で 高 知 県 に 上 陸 し た . そ の 後 , 本 州 に 再
16
上 陸 し 20 日 夜 遅 く 長 野 県 を 通 過 , 21 日 9 時 関 東 の 東 海 上 で 温 帯 低 気 圧 と な っ た ( 長
野 県 松 本 建 設 事 務 所 ,2005).こ の 影 響 で 東 日 本 の 広 範 囲 に か け て 大 雨・暴 風 と な っ た .
図 2‐ 12 は こ の 台 風 23 号 の 通 過 経 路 を 表 し て い る .こ の 台 風 で は ,長 野 県・京 都 府 ・
兵 庫 県 ・ 徳 島 県 ・ 香 川 県 ・ 愛 媛 県 ・ 大 分 県 の 7 箇 所 で , 10 月 20 日 の 日 降 水 量 が こ れ
までの記録を更新した.各県で避難勧告が出されていたが,このとき自主避難したの
は長野県の 2 市町村,合計 7 人(避難勧告によるものを含む)のみだった(防災情報
の ペ ー ジ ). 人 的 被 害 は 気 象 庁 ホ ー ム ペ ー ジ に よ る と , 死 者 95 名 , 行 方 不 明 者 3 名 ,
負 傷 者 721 名 と な り ,住 家 被 害 も か な り の 数 と な っ て い る .こ の う ち ,長 野 県 で 死 者 ・
行 方 不 明 者 は 出 な か っ た が ,兵 庫 県 で は 死 者 26 名 と 一 番 の 人 的 被 害 が 出 て い る .こ の
台 風 で 山 形 村 は「 台 風 23 号 災 害 対 策 本 部 」を 設 置 し ,水 路 か ら の 水 の 流 出 を 土 の う で
対応したり,各区内を巡回したりして手際よく対処していた.この時,上大池で総雨
量 ( 19 日 ~ 21 日 ) 174.5mm, 最 大 時 間 雨 量 20.0mm を 観 測 し , 水 路 か ら 水 が 流 出 し
た所が何箇所もあり,池から水があふれた場所もあった.また,新田原上林道大池線
が 崩 壊 し た と い う . こ の 台 風 22 号 と 台 風 23 号 が 上 陸 し た と き , 前 線 に よ る 影 響 も 結
構大きかった.
図 2-11. 平 成 16 年 台 風 22 号 の 通 過 経 路 ( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
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図 2-12. 平 成 16 年 台 風 23 号 の 通 過 経 路 ( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
そ し て , 平 成 18 年 7 月 に も 前 線 に よ る 豪 雨 で 被 害 を 受 け た . 平 成 18 年 7 月 15 日
か ら 24 日 に か け て ,九 州 か ら 本 州 に の び た 梅 雨 前 線 の 活 動 が 活 発 と な っ た .こ の た め ,
長 野 県 ,富 山 県 で は ,15 日 か ら 24 日 ま で の 総 降 水 量 が 多 い 所 で 600mm を 超 え ,長 野
県 王 滝 村 御 嶽 山 で 817mm, 富 山 県 立 山 町 で 816mm の 雨 が 降 っ た ( 北 陸 地 方 整 備 局 ,
2006).鹿 児 島 県 ,熊 本 県 ,島 根 県 ,長 野 県 な ど で は ,総 降 水 量 が 7 月 の 月 間 平 均 降 水
量の 2 倍を超えるなど,記録的な大雨となった.この大雨により,長野県,鹿児島県
を中心に九州,山陰,近畿,および北陸地方などで土砂災害や水害が発生し,死者が
長 野 県 で 12 名 , 鹿 児 島 県 で 5 名 な ど , 合 計 28 名 , 行 方 不 明 者 は 2 名 , 負 傷 者 は 46
名 と な っ た ( 気 象 庁 HP). 図 2‐ 13 が こ の 豪 雨 の 期 間 に 降 っ た 降 水 量 の 合 計 を 表 し て
お り , 図 2‐ 14 が そ の 合 計 と 平 年 の 7 月 の 月 間 降 水 量 の 比 較 を 表 し て い る .
こ の 豪 雨 に よ り ,山 形 村 で は 長 芋 畑 の 芋 の 根 元 の 土 が 陥 没 す る な ど ,9.4ha で 約 663
万 円 の 被 害 が 出 た . 7 月 15 日 午 前 1 時 か ら 25 日 午 後 5 時 ま で の 降 水 量 ( 役 場 前 観 測
局 ) は 362mm と な っ て お り , 非 住 宅 3 軒 が 床 下 浸 水 し た . 被 害 金 額 は , 農 作 物 ( 長
芋 ・ ご ぼ う 等 , 水 稲 ) が 6,883 千 円 , 耕 地 が 6,070 千 円 , 林 道 ( 堂 ヶ 入 線 ・ 大 池 線 ・
そ の 他 林 道 )が 996 千 円 ,土 木 関 係( 道 路 5 箇 所・河 川 水 路 11 箇 所・橋 梁 1 箇 所 )が
18
18,000 千 円 , 水 道 関 係 が 2,000 千 円 と な っ た ( 山 形 村 役 場 , 2006).
図 2-13. 降 水 量 の 合 計 ( mm)( 平 成 18 年 7 月 15 日 ~ 7 月 24 日 )
( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
図 2-14. 降 水 量 の 合 計 と 平 年 の 7 月 の 月 間 降 水 量 と の 比 較 ( % )
( 気 象 庁 HP よ り 引 用 )
2.5 山形村の水害対策
前述のように山形村で過去に幾度か水害が発生しているが,その後どのような水害
対策を行っているのかをみてみると,山形村地域防災計画というものがある.その中
に 風 水 害 対 策 編 が あ り ,そ の 内 容 は 第 3 章 ま で あ る .ま ず ,第 1 章 が 災 害 予 防 計 画 で ,
主に災害で被害が発生するのを出来るだけ防げるよう,住民への情報伝達が上手くい
くように体制を整えること,その他災害が発生してもスムーズに対処できるように常
19
日頃から必要な物を整備し蓄えることなどを計画している.第 2 章は災害応急対策計
画で,主にどういう状況が起きたらどの組織がどう動くかなど,あらゆる活動に対し
ての計画を立てている.第 3 章は災害復旧・復興計画というもので,災害後復旧・復
興しなければならないが,どういう方針でやっていくのか,資金をどうするのか,復
興をどう進めていくのかを計画している.このように山形村は水害に備えていろいろ
と計画しており,水防組織,水防団,消防団等,整備しなければいけないものは整備
されている.平常時に水防対象箇所を巡視し,河川ごとの水防工法を検討しているよ
う で あ る . ま た , 下 水 道 の 普 及 率 が と て も 高 く 99.9% で あ る が , 全 て 分 流 式 下 水 道 と
なっているため豪雨が降っても汚水と雨水が混じることはない.この他にも今まで水
害が発生した箇所では河川を整備したり,土砂ダムを造ったりといろいろ水害対策は
している.しかし,山が多いためなのか土砂災害が重視されがちで,土砂災害ハザー
ドマップは作られているが,河川については一級河川の唐沢川と三間沢川の一部分を
重要水防区域と指定しているだけで氾濫ハザードマップは作られていない.ちなみに
上述した重要水防区域とは,1 つ目が唐沢川の唐沢地区唐沢橋より上流までの部分で,
護岸等の決壊が予想され,洪水時には木流し・蛇籠布せという水防工法を行うことに
な っ て い る .2 つ 目 は 三 間 沢 川 の 小 学 校 東 ~ 本 郷 橋 ま で の 部 分 で ,堤 防 高 不 足 で 越 水 す
る 恐 れ が あ り ,洪 水 時 に は 積 土 俵・蛇 籠 布 せ と い う 水 防 工 法 を 行 う こ と に な っ て い る .
こ こ で , 木 流 し 工 法 と は , 図 2‐ 15 の よ う に 急 な 流 れ に よ っ て 堤 防 が 削 ら れ る の を
防ぐために,できるだけ葉っぱの多い木に土のうの重しをつけて川の中に投げ込む工
法である.
図 2-15. 木 流 し 工 法 ( 山 形 河 川 国 道 事 務 所 HP よ り 引 用 )
ま た 積 土 俵 工 法 と は , 図 2‐ 16 の よ う に 一 般 河 川 で 堤 防 か ら 越 水 し て し ま わ な い よ
20
う,堤防天端に土俵を何段か積み重ねる工法である.
図 2-16. 積 土 俵 工 法 ( 山 形 河 川 国 道 事 務 所 HP よ り 引 用 )
さらに,蛇籠布せ工法というのは,洪水時に堤防を浸食などから守るため,表面に
金網で石を包んだ蛇籠を敷き詰めるというものである.
21
第 3 章 水害危険箇所抽出の方法
こ こ で は ,山 形 村 の 水 害 危 険 箇 所 を 抽 出 す る 際 の 方 法 に つ い て 述 べ る .具 体 的 に は 5
つの方法がある.その概略を以下に示す.
① 地 形 図 ( 縮 尺 1/25000) を 用 い て 大 ま か な 地 形 を 把 握 し , そ の 地 形 か ら 予 測 す る .
② 山林に合水線を引き,水の動きを予測する.
③ 等高線を見て道路上の水の流れを予測し,水が集まりやすい箇所を判断する.
④ 平 成 13 年 と 平 成 22 年 の 地 形 図 上 で 建 物 分 布 を 求 め ,土 地 利 用 の 変 化 に よ っ て 判 断
する.
⑤ 明 治 43 年 の 古 地 図 と 平 成 13 年 の 地 形 図 を 照 ら し 合 わ せ て ,旧 河 川 と 後 背 低 地 の 範
囲を仮定する.
3.1 大まかな地形から予測する方法
この論文の目的として,地形図から水害危険箇所を見つけ出すという部分があるの
で,まずは国土地理院発行の山形村の 2 万 5 千分の 1 の地形図をもとに,等高線を見
て地形を把握し,どの場所に水が溜まっていきそうなのかを判断する.
水が溜まりそうな場所の 1 つとして,急勾配から急に緩勾配に変わる場所がある.
水は,基本的に高い位置から低い位置へ流れる.したがって,雨が降れば標高が高い
ところから低いところまで伝う水の流れができる.その途中の勾配が変わらなければ
水はそのまま下へ流れていくが,途中に勾配が急に小さくなる場所があったら速度は
小 さ く な り , そ し て 水 が 溜 ま っ て い っ て し ま う ( 村 林 ら , 2010).
その他に窪地やそれに近い地形で水はよく溜まる.窪地の底に向かって四方八方か
ら 水 が 流 れ て き て ,底 よ り 周 り の 方 が 高 い ゆ え に 水 は 流 れ 出 る こ と が で き ず に 溜 ま る .
これ以外に,河川が交わる場所では水が一気に多くなる.これは別々の河川で流れ
ている水が 1 つとなって流れていくのだから,その分流量が増えて,川幅を広げなけ
れば水嵩が増すのは自然なことである.ゆえに,豪雨などの時は必ず気を付けなけれ
ばならない場所である.
22
3.2 合水線から予測する方法
前節の全体的な地形から水害危険箇所を判断する以外に,山林部分に合水線を引い
てどこに水が集まりやすいかを判断することもできる.合水線というのは字の通り,
山林において水が集まり流れていく経路を表した線である.つまり,合水線は実際に
は小さな沢や小川のことを表している.一般的な地図には,ある程度河川と認識でき
るほどの大きさのものは描かれている.しかし,山の中にはとても細い沢のような水
の流れが数え切れないほどあり,それらが集まって大きな河川となる.そのような小
さな沢などは一般的に地図に載せられていないけれど,確かに存在するものである.
それを表すのが合水線である.
山の頂上からみて等高線が標高の高い方に窪んでいる場所に点を付けていき,その
点を繋げていくと合水線となる.しかし,等高線がすべてきれいに窪んでいる箇所は
少なく,判断できない場所は数えきれないほどある.そのような場所は予想で描くし
かないのだが,実際に現地に赴いて確認するのが一番望ましい.
合水線を引くと,ある河川や沢に流れてくる水の範囲,つまり流域をある程度知る
ことができ,集まった水が最終的にどこに集まっていくのかも知ることができる.ま
た,大きな河川が氾濫等をして危険となる場所ではなく,小さな沢や小川において危
険となり得る場所を見つけることもできる.
合水線とは反対に分水線というのもある.分水線とは県や市町村などの境界線とな
っている部分が多く,名前の通り水を分ける線のこと,つまり流域の境界線となるも
の で あ る .あ る 河 川 の 流 域 は こ の 分 水 線 に 囲 ま れ て い る と い え る .図 3‐ 1 の 中 の 凹 線
が合水線であり,凸線が分水線である.
図 3-1. 合 水 線 と 分 水 線 ( 琉 球 大 学 講 義 資 料 よ り 引 用 )
23
3.3 道路上の水の流れから予測する方法
内水災害は主に平坦地で起こりやすいが,傾斜がある扇状地でも凹凸があるところ
で内水災害が発生することもある.内水災害発生時の水は,降雨がもちろん含まれて
いるが,多くは道路などを伝って流れてきた水が溜まったものである.そこで,山形
村内の道路を伝う水はどの方向に流れていき,どこに集まりやすいかをみるため,等
高線をみて水の流れの方向を判断した.この判断をする際のルールを以下のように決
めた.
1. 等 高 線 と 交 わ り の あ る 道 路 で は 標 高 の 高 い と こ ろ か ら 低 い と こ ろ へ 流 れ る .
2. 等 高 線 と 平 行 に な っ て い る 道 路 で は 以 下 の こ と を 考 慮 し 方 向 を 決 め る .
ア.水の流れの勢い
イ.最も近い等高線による地形形状
基本的には以上のルールに従って水の流れの向きを判断したが,等高線はとても細
かいものではなく,判断するのにかなり困るような道路もある.ゆえに,この作業で
は行う人によって結果が全然違ってくるということがあり得る.したがって,道路は
主 に 平 坦 地 に 多 い の で , 10m 間 隔 よ り も 細 か い 等 高 線 が 描 か れ て い る 地 形 図 で こ の 作
業 を 行 う の が 最 善 だ と 思 う .し か し ,精 度 は 落 ち る が 本 研 究 で は 10m 間 隔 の 等 高 線 で
この作業を行った.
3.4 土地利用変化から予測する方法
自然しかなかった場所に人々が住み始め,そして徐々に人が増えていくので,家を
建てたり畑を作ったりとその土地は様々な利用方法で活用される.実はその土地利用
が変われば雨水流出条件も変わるのである.雨水流出条件というのは,降った雨がど
れほど地表を伝って流れるかを左右する条件のことであり,この条件が変われば,降
った雨が河川に達するまでの時間が変動し,河川が増水して外水氾濫を起こす恐れが
ある. また,外水氾濫だけでなく内水氾濫が起こる可能性も高い.
詳しく説明すると,一般的に豪雨や大雨が降った際,田んぼや畑は雨水を一時的に
留めてくれる遊水地的な役割をしてくれる.それが,都市化が進み,屋根が増え,道
路の舗装も増えると,降雨の流出率(降った雨の量に対する流れ出た水の量の割合)
が増加し,地表を伝う水の流れが速くなって,周りから低い土地に短時間で降雨が集
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まってくるようになる.そして,河川や用水路等の処理能力を超えると内水氾濫とな
っ て し ま う( 防 災 基 礎 講 座 ポ ー タ ル サ イ ト ).し た が っ て ,山 形 村 で 土 地 利 用 が ど の よ
うに変わり,どの川が増水しそうなのか,どこで内水氾濫が起こりそうなのかを判断
するという方法もある.
本 研 究 で 土 地 利 用 の 変 化 を み る た め に 選 ん だ 方 法 は , 平 成 13 年 と 平 成 22 年 の 地 形
図 を も と に ,土 地 利 用 を 建 物 と そ れ 以 外 と に 分 け て ,そ れ ら の 面 積 を Adobe Photoshop
Elements 7.0 と pixel counter を 用 い て 求 め る と い う 方 法 で あ る .こ の 方 法 だ と ,作 業
時間もそれなりに長いし,どうしても実際の面積と差が出てしまうが,自分で建物面
積を一つ一つ塗り潰していくので,おおよそ建物がどのように増えているのかを感じ
ることができる.
3.5 旧河川から予測する方法
河川は大昔から人々が利用してきたものであるが,その河道は常に同じところに存
在するものではない.土砂災害や河川氾濫などにより地形は変化し,河道が変化する
こともあるし,河川氾濫を防ぐため人工的に河道を別の場所に移すこともある.これ
らのことにより,水が流れなくなる旧河川跡が出来るのだが,ここも危険な場所の一
つなのである.河川というのは水が一番流れやすい場所を通って出来上がるもの,つ
まり旧河川跡という場所は水が好んで通りやすいということである.ゆえに,その場
所や周辺に家屋を建てたならば,大雨が降った際にその場所に水が集まり浸水してし
まうことが考えられる.
また,河川の周りには後背低地が存在することが多い.後背低地とは,昔から河川
が幾度も氾濫し,上流から流されてきた土砂によって河川の両側に自然堤防ができ,
その低内地側にできた排水能力がとても悪い場所のことを指す(防災基礎講座ポータ
ル サ イ ト ).排 水 能 力 が 悪 い た め ,一 度 そ こ に 溜 ま っ た 水 は な か な か 引 か な い .し た が
って,ここも危険な場所のため,後背低地の範囲を知ることも大事なのである.
そ こ で ,本 研 究 で は 明 治 43 年 の 古 地 図 と 新 し い 平 成 13 年 の 地 形 図 を 重 ね 合 わ せ て ,
旧河川の場所を特定し後背低地の範囲も仮定する.後背低地の範囲は,本来実際に地
質を調べてみないと分からないことなのだが,本研究では旧河川が氾濫しそうな場所
を中心におおよそで範囲を仮定している.旧河川が氾濫しそうな場所とは,河川が合
流している所,自然堤防があり河川が蛇行している所とした.河川が合流している所
25
に つ い て の 理 由 は 3.1 で 述 べ た 通 り で あ る . 自 然 堤 防 が あ り 河 川 が 蛇 行 し て い る 所 に
ついての理由は,次のようになる.河川の蛇行部では直線部より勾配が緩いため,水
の 速 さ が 小 さ く 水 位 が 高 い .ゆ え に ,河 川 の 直 線 部 よ り 蛇 行 部 で 氾 濫 が 起 こ り や す い .
また,自然堤防は河川が幾度も氾濫することにより形成されるので,自然堤防があり
河川が蛇行している所は氾濫しそうな場所と言える.
26
第 4 章 水害危険箇所抽出の結果
本章では,前章で述べた 5 つの水害危険箇所抽出の方法を用いて抽出した結果,水
害危険箇所はどこになるのかについて図に表し考察を述べている.
4.1 大まかな地形から予測された結果
山 形 村 の 地 形 図 を 見 て ,地 形 的 に 水 害 に 遭 い そ う な 場 所 を 大 ま か に 判 断 す る と ,図 4
‐ 1 の よ う に な る . 図 4‐ 1 は , 国 土 地 理 院 が 発 行 し た 平 成 13 年 の 地 形 図 を 繋 ぎ 合 わ
せ て 作 成 し た 山 形 村 の 地 形 図 で あ る .図 4‐ 1 の 中 で の 水 害 危 険 箇 所 は 10 箇 所 で あ る .
まず 1 箇所は,下大池と上竹田の中間に位置する山の麓についてだが,ここでは他
の 場 所 と 比 べ て 山 の 傾 斜 が 特 に 急 と な っ て い る .そ の 後 ,緩 傾 斜 と な っ て い る の だ が ,
一般的に急傾斜から緩傾斜に変化する場所では,速度の速い水の流れが遅くなり水が
溜 ま っ て し ま う( 村 林 ら ,2010).ま た ,北 側 か ら も 南 側 か ら も 水 が 流 れ て く る よ う な
地形となっているのでさらに水が集まりやすいと考えられる.したがって,この場所
では注意が必要である.しかし,この場所は水田が多く住宅が少ない.これからもこ
の場所は住宅を建てないよう気を付けるべきである.
もう 1 箇所は,山形村の南側に位置する上大池で大池川が大きく蛇行している部分
である.大池川は市町村が管理する準用河川で唐沢川や三間沢川より小さい河川であ
る.そして,上流から蛇行部までそれほど距離が無く流量も少ないと思われる.さら
に,周辺に自然堤防と思われるようなものが無かったので,恐らく蛇行していてもこ
こではそれほど氾濫しないのだろう.しかし,短時間で激しい雨が降れば小さい河川
に雨が一気に流れ込むということも考えられる.その場合,蛇行部で水が溢れること
が考えられる.今までここで幾度氾濫したことがあるのかは資料収集不足で分からな
いが,雨の降り方が変わったら今度は氾濫するようになるかもしれない.蛇行部の左
岸には住宅が多いので注意した方が良いだろう.また,この場所では土砂災害が起こ
る可能性も考えられ,山形村の土砂災害ハザードマップに土砂災害警戒区域として指
定されている.土砂災害は多くの場合,水害と複合して起こっているので,ここでは
豪雨などの際,河川氾濫と共に土砂災害も警戒してほしい.
27
残りの 8 箇所は,すべて河川と河川,または河川と用水路の合流部である.一般的
に大雨などの際,河川の合流部では水同士の衝突によって水嵩が増し,堤防から越流
する危険性が高くなる.さらに,水門等を閉じた場合には,小河川や用水路の水が溜
まり,水門等を閉じなかった場合には,本川の水位が高い時に小河川や用水路に逆流
することにより氾濫することも考えられる.ゆえに,河川の合流部はすべて水害危険
箇所と考えられるが,特に唐沢川と三間沢川の合流部が危ないと思われる.山形村は
扇状地の上に位置しており村の中心より北東方向の標高が一番低い.また,三間沢川
を中心に少し凹型の地形となっている.そのため,水はそれらの地形に作用されて三
間沢川に向かって流れてしまい,三間沢川の流量が増える.唐沢川も河川長が長い方
なので流量は多いと考えられる.ゆえに,流量が多いその 2 つの河川が合流すれば合
流部で急に流量が増え氾濫する可能性がある.唐沢川と三間沢川の合流部は川幅を広
げ た よ う で あ る が ,そ れ で も 豪 雨 な ど の 時 は 注 意 が 必 要 で あ る と い え る .図 4‐ 2 が 唐
沢川と三間沢川の合流部の写真である.
28
急傾斜から急に緩傾
斜に変化する場所
唐沢川と三間沢
川の合流部
大池川の蛇行部
図 4-1. 大 ま か な 地 形 か ら 予 測 し た 水 害 危 険 箇 所
29
唐沢川
三間沢川
三間沢川
図 4-2. 唐 沢 川 と 三 間 沢 川 の 合 流 部
4.2 合水線から予測された結果
山形村の山林部分に合水線を引いてみて分かることは,林道と合水線が交わってい
る場所が危ないということである. 他の市町村でも恐らく同じようにしていると思わ
れ る が ,山 形 村 で は 図 4‐ 3 の よ う に 林 道 と 沢( 合 水 線 )が 交 わ る 場 所 に 小 さ な ト ン ネ
ルを造り,水が林道の下を通れるようにしている場所が多い.このような場所でもし
大 雨 が 降 れ ば ,流 さ れ て き た 枝 葉 や 土 砂 で ト ン ネ ル を 塞 い で し ま う こ と が 考 え ら れ る .
そうなれば,上流から流れてきた水の進む道が閉ざされ水が溜まることになる.さら
に,その状態が長時間続けば,林道から水が溢れ路肩が削れる恐れもある.したがっ
て,特に長い合水線と林道が交わっている箇所を主に水害危険箇所と判断した.それ
ら の 場 所 を 図 4‐ 4 に 印 し た . 図 4‐ 4 の ピ ン ク 色 で 印 し た 場 所 が , 合 水 線 と 林 道 が 交
わっている場所である.図中の細い水色の線が合水線であり,赤い線が道路である.
ちなみに合水線が引かれてある部分はすべて山林である.
30
図 4-3. 林 道 の ト ン ネ ル
31
図 4-4 . 合 水 線 と 林 道 が 交 差 す る 場 所
4.3 道路上の水の流れから予測された結果
ここで道路上の水の流れを重視した理由は,降雨があった際,道路上を流れる水の
速 度 が 大 き い か ら で あ る( 防 災 基 礎 講 座 ポ ー タ ル サ イ ト ).な ぜ な ら ,畑 や 田 ん ぼ は 水
をある程度吸収し,家屋がある場所では家に遮られて減速してしまうけれど,道路上
な ら ば 吸 収 も 遮 ら れ る こ と も さ れ ず に 水 は 流 れ る こ と が で き る か ら で あ る .そ の た め ,
道路上を流れる水は窪んだ地形の場所にすぐに集まってしまう.
平 成 13 年 の 地 形 図 で ,等 高 線 を 見 な が ら 道 路 上 の 水 流 の 向 き を 描 き 込 ん で い く と 図
4‐ 5 の よ う に な っ た .図 4‐ 5 は 見 え に く い の で そ れ を 西 部( 山 林 )と 東 部( 平 坦 地 )
の 2 つ に 分 け て 拡 大 し た 図 を 載 せ る . 図 4‐ 6 が 西 部 で , 図 4‐ 7 が 東 部 の 図 で あ る .
描き込んでいく際に気づいたことは,道路上の雨水が集まり溜まる条件は 3 パターン
存在するということである.それを以下に記す.
32
① 一本道路で 2 方向から水が流れてくるパターン
② 3 方向以上から水が流れてきて 1 方向からしか流出しないなど,極端に水の逃げ道
が少ないパターン
③ 一本道路が直角に曲がって流れてきた水を一時的に留めてしまうパターン
以上のように,道路上で水が溜まりそうな場所は 3 パターンに分けられる.いずれ
も水が溜まる範囲の大小はあるが,どれほどの水が集まるのか地図のみでは詳しく知
ることが難しいので,この 3 パターンに該当する場所すべてを水害危険箇所と判断し
た .図 4‐ 5 で は 水 害 危 険 箇 所 を 3 パ タ ー ン に 分 け た .図 中 の 橙 色 の 印 の 場 所 が ① の パ
ターンで,緑色の印の場所が②のパターン,そして紫色の印の場所が③のパターンで
ある.このそれぞれのパターンの中で他と比べて特に水が集まりやすいと判断した場
所を赤色で印した.
図 4‐ 7 を 見 る と ,橋 と な っ て い る 場 所 で だ い た い 印 が つ い て い る .な ぜ こ う な る か
というと,河川というのは周りの水が集まってできたものである.水が集まるという
ことは,この場所が他と比べて低いということである.ゆえにその低い場所にある橋
上にも両側の道路から水が集まってくると考えられる.これは地形図を見て言えるこ
とで,実際には橋に流れ込む前に道路との境目の部分で河川に流れ込んでいるのかも
しれない.それは調査しないと分からないが,道路から流れてきた水が橋付近に集ま
ることはあり得ることである.どちらにしても,河川が増水している時に橋付近に道
路を伝って速くなった水が流れてくるのだから,台風や豪雨の時には橋付近で足元を
取られないよう気を付けるべきである.
33
唐沢川
なろう川
大池川
三間沢川
図 4-5. 道 路 上 で 水 が 溜 ま り や す い 場 所
34
図 4-6. 図 4‐ 5 の 拡 大 図 ( 山 形 村 西 部 )
35
図 4-7. 図 4‐ 5 の 拡 大 図 ( 山 形 村 東 部 )
36
4.4 土地利用変化から予測された結果
平 成 13 年 と 平 成 22 年 の 山 形 村 の 地 形 図 を 住 宅 地 と そ れ 以 外 に 塗 り 分 け て み る と 以
下 の こ と が 分 か っ た . 図 4‐ 8 が 平 成 13 年 の 地 形 図 で ,図 4‐ 9 が 平 成 22 年 の 地 形 図
で あ る が , 平 成 13 年 か ら 平 成 22 年 ま で の 間 に , 住 宅 や そ の 他 の 建 物 が 増 え て い る .
これは,山形村に隣接する松本市が所謂市街地なのだが,勤務先は松本市にあり,住
宅 を 山 形 村 に 構 え る と い う 人 が 増 え た た め , つ ま り 郊 外 化 の 影 響 ( 冨 高 , 2010) と 思
わ れ る . 山 形 村 を 歩 い て み る と 図 4‐ 10 の よ う な 新 住 宅 が あ ち ら こ ち ら で 見 受 け ら れ
る . 実 際 に 平 成 13 年 時 点 で の 山 形 村 の 人 口 ( 山 形 村 HP) は 7,815 人 , 建 物 面 積 は
2,127,254m 2 な の だ が , 平 成 22 年 現 在 で は 人 口 が 8,425 人 , 建 物 面 積 は 2,540,006m 2
と な っ て い る . 9 年 間 の あ い だ に 人 口 が 610 人 , 建 物 面 積 が 412,752m 2 増 加 し た の で
あ る .上 述 の 建 物 面 積 は パ ソ コ ン に 取 り 込 ん だ 地 形 図 上 に 色 を 塗 り pixel_counter と い
うソフトを用いて求めた数値であるので,数値の精度はそれほど高くなく,実際の建
物面積と差があるかもしれない.建物が増えることによって雨水流出条件が変化し,
住宅開発前には,時間をかけて河川まで流れていた水が,短い時間で窪地や河川に到
達 し 氾 濫 を 起 こ さ せ る 恐 れ が 出 て く る( 防 災 基 礎 講 座 ポ ー タ ル サ イ ト ).図 を 見 た 限 り
では,雨水流出条件がどれほど変化したかは分からない.しかし,恐らく三間沢川へ
の流出が速くなっていると思われる.その理由を以下に示す.唐沢川の場合,両岸に
水田や畑を多く残しているため雨水を一時的に貯留する効果が期待できる.一方,三
間沢川の場合,河川の中流部分で元から住宅がある場所の周辺に密度を増すように住
宅が増えているように見受けられるので,雨水を吸収してくれる場所が少なくすぐに
河川へと流れてしまうと考えられる.
37
図 4-8. 建 物 面 積 ( 平 成 13 年 )
38
図 4-9. 建 物 面 積 ( 平 成 22 年 )
39
図 4-10. 増 加 し た 新 住 宅
4.5 旧河川から予測された結果
明 治 43 年 に 測 量 し た 地 形 図 上 の 河 川 を 塗 り , そ れ を 平 成 13 年 に 測 量 し た 地 形 図 上
の 河 川 と 重 ね 合 わ せ る と ,図 4‐ 11 の よ う に な っ た .図 中 の 赤 色 の 線 が 旧 河 川 で あ り ,
青 色 の 線 が 平 成 13 年 時 点 の 河 川 で あ る .河 川 が 多 少 ず れ て い る 場 所 は ,恐 ら く 測 量 精
度の違いから発生したものと思われる.また,旧河川があった場所の河川がなくなっ
ていることについては,何らかの原因で河道が移動したか,故意に移動させたか,あ
るいはその河川を用水路としたかということが考えられる.
明 治 43 年 の 古 地 図 上 で 後 背 低 地 の 範 囲 を 仮 定 し て み る と 図 4‐ 12 の よ う に な っ た .
後背低地というのは主に河川がよく氾濫するような場所に存在するので,旧河川の形
状を見て,河川が蛇行していて,なおかつ自然堤防もある場所や,河川が何本も合流
し て い る よ う な 場 所 な ど を 重 点 的 に ,こ れ ら の 周 辺 を 後 背 低 地 と 仮 定 し た .そ の 結 果 ,
後背低地になっていると思われる場所として,以下の 5 箇所を特定できた.村の北東
に位置する唐沢川と三間沢川の合流部付近(①)と,山麓の少し手前に位置する上竹
40
田 か ら 下 竹 田 ま で の 範 囲( ② )と そ の も う 少 し 東 側 に 位 置 す る 場 所( ③ ),そ の 他 は 下
大池の北側(④)と中大池の東側(⑤)である.
明 治 43 年 の 古 地 図 で 仮 定 し た 後 背 低 地 の 範 囲 を 平 成 13 年 の 地 形 図 に 重 ね 合 わ せ て
み る と , 図 4‐ 13 の よ う に な っ た . 図 を 見 て わ か る よ う に 河 川 の 位 置 が あ ま り 変 わ っ
て い な い の で ,明 治 43 年 か ら 後 背 低 地 だ っ た 場 所 は 恐 ら く 今 で も 後 背 低 地 に な っ て い
ると思われる.唐沢川と三間沢川の合流部では住宅が少ないが,その他の 4 箇所では
それなりに住宅が建てられているので,家屋の浸水に気を付けた方が良いだろう.
図 4-11. 旧 河 川 と 新 河 川
41
①
②
④
③
⑤
図 4-12. 旧 河 川 と 後 背 低 地 の 範 囲
42
図 4-13. 平 成 13 年 に お け る 後 背 低 地
4.6 まとめ
今まで述べてきた方法で水害危険箇所を抽出した結果を全体的にまとめてみると図
4‐ 14 の よ う に な り 以 下 の こ と が 言 え る .
まず,一番に危険と予測される箇所は下大池付近である.ここでは,地形的に見て
も山の麓で山側に窪んでいるし傾斜も急なので,水は集まってきやすいし土砂崩れな
どの土砂災害が発生する恐れもある.ここである程度溜まった水がその傾斜の先の後
背低地に流れれば,水捌けが悪い場所なので水は溜まっていく.そして,道路上で水
が溜まりやすい場所も幾つもあるし,何より雨水流出条件の変化で水が早く流れ込ん
できてしまう三間沢川がその場所に向かって流れている.もし,三間沢川が豪雨によ
って増水し大池川との合流部で氾濫したら,先に述べた山から流れてくる水を含めて
かなりの水がそこに集まるだろう.従ってここに住む人は雨の際,十分注意して住宅
43
の床を高くするなどできる限りの水害対策をした方が良い.
次に危ない場所は,唐沢川と三間沢川の合流部である.山形村の北側を流れている
河川が唐沢川で真ん中を流れている長い河川が三間沢川なのだが,どちらもそれほど
大きい河川とは言えないものの一級河川である.河川長も村内の他の河川と比べれば
長い方なので,その 2 つの川がぶつかり合う場所は必然的に水量が多くなるだろう.
そのため,ここでは幾度も氾濫したことがあると考えられるので周りは後背湿地とも
予 想 で き る .今 は ,氾 濫 す る 可 能 性 を 考 え て 合 流 後 の 川 幅 を 広 げ て あ る よ う で あ る が ,
これからどんな雨が降ってくるのか分からないので,今後も周辺に住宅を建てること
は控えるべきである.
44
図 4-14. 山 形 村 の 水 害 危 険 箇 所
45
第 5 章 おわりに
本論文では,水害対策を考えるに際して必要となる河川や用水路等のデータが不足
している状況で,できる限りの水害危険箇所を把握するにはどのようにするかという
こ と を 重 視 し て ,主 に 地 形 図 を 用 い て 研 究 し て い る .研 究 を 行 う 際 に 着 目 し た 視 点 は 5
つ あ り ,1 つ め は 大 ま か な 地 形 か ら 予 測 さ れ る 水 害 と い う 視 点 ,2 つ め は 合 水 線 か ら 予
測 さ れ る 水 害 と い う 視 点 ,3 つ め は 道 路 上 を 流 れ る 水 に よ る 水 害 と い う 視 点 ,4 つ め は
土 地 利 用 の 変 化 に よ る 水 害 と い う 視 点 ,5 つ 目 は 旧 河 川 や 後 背 低 地 に お い て の 水 害 と い
う 視 点 で あ る .こ の 5 つ の 視 点 か ら 得 た 山 形 村 の 最 も 危 険 と 予 想 さ れ る 水 害 箇 所 を 図 5
‐1 に示す.図中のピンク色に塗られている部分が危険と予想される場所である.
このように,データが不足していても地形図から危険と予想される場所を読み取る
ことができる.氾濫シミュレーションなどと比べれば細かい所までの精度は断然低い
であろうが,大まかな場所が分かるだけでも災害意識を高めることはできると思う.
しかし,十分な水害対策を行うにはさらに精度の良い結果が必要となるだろう.その
ための今後の課題を以下に示す.
まず,合水線を引いて水害危険箇所を予測したが,実際にその合水線の流域におい
てどのくらいの流量が流れるのかを計算してはいない.降雨強度や降雨継続時間がど
のくらいだったら予測した箇所が危険となるのか,それを知ることができたら対策を
立てる際の参考となるかもしれない.あるいは,それを行うことで他に水害危険箇所
を見つけられる可能性もある.
次に,道路上の水の流れについて等高線を見て判断したのだが,細かい標高を知る
ことができなかったため,不確実な場所が多々ある.もしさらに細かい標高のデータ
を知ることができたら,本論文で得た結果よりかなり精度の良い結果を得ることがで
きるだろう.
さらに,土地利用の変化をみて危険な場所を判断したが,住宅地等の細かい所にお
いての危険箇所を見つけることができなかった.したがって,より細かい建物の配置
を知り,場所ごとに分けて極端に建物が増えている場所を特定できたら,それによる
46
影響を考察できるようになる可能性がある.
その他に,山形村の中で道路排水という形で水を河川に流している場所がある.そ
こは山形村の南東に位置している畑地帯なのだが,用水路や側溝がほとんどなく凹凸
もあまりない.また,傾斜もそれなりにあるので道路上を流れていく水は結構速いと
思われる.そしてその水はすべて三間沢川に向かって流れ込むようになっている.こ
の道路排水による水流の影響で危険となることや場所はないか,また,道路排水によ
ってどれほどの水が三間沢川に流れ込むのか,これらを調べてみてもよいだろう.
以上に挙げた課題には,研究できそうなものと恐らく難しいものとがあるので,随
所 で 研 究 方 法 を 工 夫 す る 必 要 が あ る だ ろ う .時 間 の か か る 作 業 が 多 い か も し れ な い が ,
本論文で研究したことも含めて,これからの水害対策を考慮する際の参考になれれば
よいと思う.
図 5‐1. 最 も 危 険 と 予 想 さ れ る 場 所 47
謝辞
まず,本研究では最初から最後まで豊田政史助教に大変な労力を使わせてしまいま
したが,それでも親切に指導していただき,深くお詫びと感謝を申し上げます.お昼
になりますと,いつも研究室に立ち寄って私たちを昼食に誘ってくれました.様々な
おしゃべりをしながら学食で食べる時間はとても楽しいものでした.また,よく私た
ち に お 菓 子 等 も 配 っ て く れ ま し た .疲 れ て い る 時 ,そ の お 菓 子 で 元 気 づ け ら れ ま し た .
そして,大学の外で研究のための調査等をした際には,いつも運転していただき本当
にありがとうございます.災害地やダムの中まで見ることができたことは,自分の貴
重な経験になりました.ここで改めてお礼を申し上げます.
研究テーマを決める初期段階で,地形図の読み方等を教えていただきました吉澤孝
和名誉教授,そして,山形村の降水量等の資料を提供していただき,仕事の合間に研
究に協力してくださった山形村役場の宮澤様に心より感謝を申し上げます.
また,研究室でよくおしゃべりをしてくれた菅沼さん,花粉症が酷くて辛そうな木
村さん,就職活動に追われている朝日君,テストが終わって一段落の古井君,そして
いつも頑張っているハ,同じ一階なのになかなか会わない莉南子,バイトがすごく忙
しかった啓子,みんなのおかげで楽しい一年を過ごせました.本当にありがとうござ
います.
最後に,高校までは学校のことをほぼ全部私に任せていたけれど,一人暮らしをす
るようになってから,度々愛情を感じさせてくれた両親や親戚のみんなに,そして,
大学 4 年間の間にたくさん遊びに連れて行ってくれた菅井さんに,
「 あ り が と う 」と こ
こで言わせていただきます.
平 成 24 年 2 月 13 日 土木工学科棟
豊田研究室にて
中村美香
48
参考文献
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