...

国際連盟と国際連合

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

国際連盟と国際連合
第5章
国際政治のあゆみ
国際連盟と国際連合
国際連盟
集団安全保障を基本とする 集団安全保障
(1) 問題点 1 大国の不参加と脱退・除名 アメリカ:上院の同意が得られず、加盟を見送る
(脱退)日本・ドイツは 1933 年に脱退、 イタリアは 1937 年に脱退
(除名)ソ連 1934 年に加盟するも、除名(1939) (2) 問題点 2 全会一致制の採用
総会の実質事項や理事会の表決が全会一致の原則を採っていたため、意志決定が困難
であった。 (3) 問題点 3 制裁手段の不備 経済封鎖に限られており、集団安全保障体制なのに軍事制裁はできなかった。また、
経済封鎖の決定に拘束力はなかった。
7
第 57 講
国際連盟と国際連合
国際連合
1.
総会
全加盟国で構成、国連に関するすべての問題を討議。
「主権平等の原則」に基づき、1
国 1 票制を採用
〔権限〕 国際平和と安全の維持に関する問題の討議と加盟国・安保理への勧告、国連予算の審
議・承認、新加盟国の承認などを行う
(1) 安保理が係争中の紛争・事態に関しては安保理の要請がない限り、総会は勧告す
ることができない
(2) 国際連合加盟国となることの承認は、安全保障理事会の勧告に基づいて、総会の
決定によって行わ
れる
①
特別総会
安全保障理事会(9 理事国以上の賛成)、または加盟国の過半数の要請で事務総長が招
集する
②
緊急特別総会
安保理が機能不全に陥った場合、特別総会と同じ手続きで、24 時間以内に緊急特別
総会を招集することができる (1) 「平和のための結集」決議(1950)に基づく
8
第5章
国際政治のあゆみ
(2) 緊急特別総会はスエズ危機(1956)に時に初めて招集された父」 2.
安全保障理事会
国際平和と安全保障問題を検討 (1) 常任理事国 米・英・仏・露・中の 5 カ国。実質(重要)事項に拒否権(大国一致の原則)をもつ (2) 非常任理事国
総会で 10 カ国が選ばれる。任期は 2 年 3.
経済社会理事会
総会によって選挙される 54 の国際連合加盟国で構成
(1) 経済的、社会的、文化的、教育的及び保健的国際事項並びに関係国際事項に関す
る研究及び報告を行い、又は発議し、並びにこれらの事項に関して総会、国際連合加
盟国及び関係専門機関に勧告をする
(2) 関係事項について、民間団体と協議することが可能 ※INGO 民間の非政府組織
(NGO)のうち、経済社会理事会がその取扱事項について協議するために取極めを結ん
だ団体のことで、国際赤十字、アムネスティ・インターナショナル、世界労連、国際
自由労連、パグウォッシュ会議などがある。
4.
その他
信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局(07 年からは韓国の潘基文が事務総長)が主
要機関
9
第 57 講
国際連盟と国際連合
国際連合の抱える問題
①
財政問題
分担金の未払い、平和維持活動費の増大(PKO 特別会計予算で組まれる)
国連の通常予算は分担金で賄われており、分担金は加盟各国の国民所得や人口などで決
定される
②
安全保障理事会の改革問題
(1) 加盟国の主権平等に反する拒否権の廃止 (2) 地域バランスに配慮した構成国の拡大
日本・ドイツ・ブラジル・インドの常任理事国入りの問題 ③
旧敵国条項の削除
1995 年に国連総会は、敵国条項(53 条・107 条)の早期削除を求める決議を採択し、
国連憲章の改正を伴う安保理改革と同時に実施される予定
(cf) 国際連合憲章を改正するためには、加盟国の 3 分の 2 以上が改正決議に賛成し、
3 分の 2 以上の批准が必要である。また、常任理事国のうち 1 ヵ国でも批准を拒否すれ
ば改正されない
10
第5章
国際政治のあゆみ
20 世紀に設立された国際機構として、国際連盟と国際連合がある。これらについての記
述として正しいものを、次の①∼④のうちから一つ選べ。 〔センター試験〕
① 侵略国に対する制裁として、国際連盟では武力制裁が規定されたが、国際連合では
経済制裁に限定された。
② 国際連盟でも国際連合でも、集団安全保障体制が十分に機能するように、総会では
全会一致制が採用された。
③ 国際連盟の理事会では全会一致制が原則とされていたが、国際連合の安全保障理事
会では、五大国に拒否権を認めつつも多数決制を採用した。
④ 国際連盟の時代には常設の国際裁判所はなかったが、国際連合には国際紛争を解決
するための常設の裁判所として国際司法裁判所が設立された。
安全保障理事会に関する記述として最も適当なものを、次の①∼④のうちから一つ選べ。
〔センター試験〕
① 安全保障理事会において常任理事国が欠席・棄権した場合は、拒否権を行使したも
のとみなされている。
② 安全保障理事会が、手続事項以外の事項について決定を下すためには、常任理事国
の同意投票を含めて 9 理事国の賛成投票が必要である。
③ 安全保障理事会が決定したことは、兵力提供の命令のような軍事的措置への協力を
含めて、すべての加盟国を拘束する。
④ 安全保障理事会は、国連のなかで、世界の平和と安全に関する問題を討議できる唯
一の主要機関である。
11
第 57 講
国際連盟と国際連合
国際連合に関する記述として最も適当なものを、次の①∼④のうちから一つ選べ。
〔センター試験〕
① 国連は、国際の平和及び安全を維持するための強力な機構として作られているので、
国連憲章は各国の自衛権に基づく武力行使を許容していない。
② 国連の安全保障理事会は、侵略行為を行った国に対して経済制裁などの非軍事的措
置をとることを、加盟国に命じることができる。
③ 国連は、全加盟国が出席する総会に国際の平和及び安全に関する主要な責任を負わ
せ、集団安全保障体制を構築することを目指している。
④ 国連は、スエズ動乱の際、停戦の監視を目的とする平和維持軍の派遣が成功したの
で、現在では常設的平和維持軍を設立している。
12
Fly UP