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Oracle Application Server 10g - グリッド・コンピューティング

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Oracle Application Server 10g - グリッド・コンピューティング
Oracle Application Server 10g - グリッド・
コンピューティング
Oracle ホワイト・ペーパー
2005 年 7 月
Oracle Application Server 10g グリッド・コンピューティング
はじめに .............................................................................................................. 3
Oracle Application Server 10g のグリッド・コンピューティング機能 ......... 4
Oracle Application Server 10g ........................................................................ 4
グリッド・コンピューティングの特性 ..................................................... 5
Oracle Application Server 10g: グリッド・コンピューティング機能... 5
図: Oracle Application Server 10g – グリッド・コンピューティング機能 .. 6
ソフトウェアのプロビジョニング................................................................... 6
図: Oracle Application Server 10g - ソフトウェアのプロビジョニング.... 8
セキュリティ、ID 管理、およびユーザーのプロビジョニング.................. 8
図: Oracle Application Server 10g - セキュリティと ID 管理 .............. 10
アプリケーションの管理と監視..................................................................... 10
ワークロード管理 - スケーラビリティと高可用性.................................... 12
スケーラビリティとリソース管理 ........................................................... 12
図: Oracle Application Server 10g - スケーラビリティとワークロード
の管理........................................................................................................... 13
高可用性....................................................................................................... 13
図: Oracle Application Server 10g - 高可用性 ........................................ 14
システムの管理と監視 .................................................................................... 15
図: Oracle Application Server 10g - システム管理 ................................ 17
結論 .................................................................................................................... 18
Oracle Application Server 10g - グリッド・コンピューティング
2
Oracle Corporation 発行「Oracle Application Server 10g – Grid Computing」の翻訳版です。
Oracle Application Server 10g グリッド・コンピューティング
はじめに
世界中の組織では、情報テクノロジのインフラストラクチャにかかる非常に高い
コストが問題になっています。この原因として、主に以下の 3 つがあげられます。
•
過剰なコンピューティング能力: 処理能力をピーク時に合わせて構築したこと
で、十分に活用しきれておらず、予備の処理能力を効率的に使用できていない。
•
高価な処理能力の増強: 必要なときに、低コストおよびモジュール単位での
迅速な処理能力を追加できない。
•
高い管理コスト: システム、特殊な管理ツール、手続き、および必要なスキ
ルは複雑であり、システム管理には膨大なユーザー介入が必要である。
グリッド・コンピューティングは新たなソフトウェア・アーキテクチャであり、
モジュール化した低コストのストレージやサーバーをまとめて効果的にプールす
ることで、処理を透過的に分散する 1 つの仮想コンピューティング・リソースを
作成します。グリッド・コンピューティングを利用すると、高可用性を維持した
まま、コンピューティング能力を低コストで効率的に使用できます。グリッド内
のリソースには、ストレージ、サーバー、データベース・サーバー、アプリケー
ション・サーバー、およびアプリケーションが含まれます。リソースをまとめて
プールすることによって、グリッド・コンピューティングは、これらのリソース
の場所や必要とされるタイミングには関係なく、信頼性の高い一貫性のある普遍
的で安価なアクセスを提供します。したがって、グリッド・コンピューティング
は、コンピューティング能力とソフトウェア能力のオンデマンド要求に対する最
適なソリューションとなります。
グリッド・コンピューティングは、これまで主に科学的なコミュニティによって、
非常に特殊な問題を解決するために使用されてきました。しかし、費用効率の高
いネットワーク化されたストレージ、高速かつ高密度のブレード・サーバー、高
速ネットワークの相互接続、および低コストのオペレーティング システムがそれ
ぞれ急速な進化を遂げ、これらの進化を利用するシステム・ソフトウェア(デー
タベース・サーバーやアプリケーション・サーバー)も進歩したことから、現在
は企業によるグリッド・コンピューティングの活用が可能になりました。エンター
プライズ・グリッド・コンピューティングを可能にした 4 つの主要な革新技術は
次のとおりです。
•
Tanninプロセッサ、ブレード・サーバー、Linuxなどのテクノロジに基づいた、
低コストかつ高密度のモジュラー・サーバーおよびストレージの標準化
•
1 つ以上のデータ・センター間で共有される、ストレージとサーバーの統合お
よび仮想化
Oracle Application Server 10g - グリッド・コンピューティング
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Oracle Corporation 発行「Oracle Application Server 10g – Grid Computing」の翻訳版です。
•
1 人の管理者によるクラスタ内数百台のサーバーの同時処理を実現する、日常
的な管理タスクの自動化
•
Webサービスなどの分散コンピューティング・テクノロジを使用したアプリ
ケーション・サービス層を介するアプリケーションのID管理など、インフラ
ストラクチャ・サービスの抽象化
グリッド・コンピューティングが企業にもたらす基本的な利点をふまえて、オラ
クルはグリッド上で情報を管理し、エンタープライズ・アプリケーションを実行す
るための包括的なソリューションを提供します。Oracle Database 10g は、データ
ベース・グリッドと呼ばれるコンピューティング・グリッド上で情報を管理する
ように設計されています。
Oracle Fusion Middleware のコンポーネントである Oracle
Application Server 10g(OracleAS 10g)は、アプリケーション・サーバー・グリッ
ドと呼ばれるコンピューティング・グリッド上でエンタープライズ・アプリケー
ションを実行するように設計されています。Oracle Database 10g および Oracle
Application Server 10g は、ともに Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control を使用
して、グリッド・コンピューティング環境できわめて効率的に管理できます。こ
れらの製品を合わせて使用することで、組織が直面する以下の情報テクノロジの
課題に対処できます。
•
過剰なコンピューティング能力の排除: ワークロード管理の自動化による
ワークロードの分散および予備のコンピューティング能力の効率的な使用
•
モジュール式の安価な処理能力の増強: 迅速かつ効率的なソフトウェアのプ
ロビジョニングによる、オンデマンドかつ低コストのモジュール単位でのコ
ンピューティング能力の追加
•
管理コストの大幅な削減: 自己管理システムによる、高コストおよびエラー
の起こりやすいユーザー介入の必要性の緩和と、多くのシステムに至るソフ
トウェアのプロビジョニングと管理の自動化
Oracle Application Server 10g のグリッド・コンピューティング
機能
Oracle Application Server 10g
Oracle Fusion Middleware のコンポーネントである Oracle Application Server 10g は、
コンピューティング・グリッドでのエンタープライズ・アプリケーションの実行
を目的としています。この製品は、低コストのサーバーとストレージのプールを
利用して、システムとアプリケーションの監視と管理にかかるコストを大幅に削
減しながら、きわめて高いパフォーマンス、スケーラビリティ、および可用性を
発揮して、エンタープライズ・アプリケーションを実行するように設計されてい
ます。さらに、顧客は既存のすべての Oracle9i AS アプリケーションを変更するこ
となく、Oracle Application Server 10g 上に配置し、新しいグリッド機能を活用でき
ます。
OracleAS 10g の管理に使用する Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control は、Web
ベースの管理コンソールです。Grid Control を使用すると、管理者は多数のアプリ
ケーション・サーバーを 1 つのサーバーであるかのように管理できるため、管理
Oracle Application Server 10g - グリッド・コンピューティング
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Oracle Corporation 発行「Oracle Application Server 10g – Grid Computing」の翻訳版です。
タスクを自動化して管理コストを削減できます。また、Grid Control は、多くの管
理者によるアプリケーション・サーバー・グリッドの共同管理を可能にします。そ
して、OracleAS 10g は、Oracle Database 10g と多種多様な方法で統合されており、
統合されたグリッド・コンピューティング・インフラストラクチャ全体でデータ
管理とエンタープライズ・アプリケーションのサービス品質を最適化します。
OracleAS 10g が提供する具体的なグリッド・コンピューティング機能について説
明する前に、これらの機能の必要性を高めたグリッド・コンピューティングの特
性について理解することが重要です。
グリッド・コンピューティングの特性
エンタープライズ・コンピューティング・グリッドには、多様性、分散化、ダイ
ナミズムという 3 つの主要な特徴があります。
多様性: 一般的なコンピューティング・グリッドは、サーバー、ストレージ、デー
タベース・サーバー、アプリケーション・サーバー、エンタープライズ・アプリ
ケーション、ディレクトリ・サービスやセキュリティとID管理サービスなどのシ
ステム・サービスを含む、種類の異なった何百もの管理リソースから構成されます。
これらのリソースとそのライフ・サイクルの管理は複雑な課題です。
分散化: 従来の分散システムは、中央の管理ポイントから管理することが一般的
でした。コンピューティング・グリッドでは、リソースの分散化がさらに進んで
おり、企業内のさまざまなデータ・センターにわたってリソースが地理的に分散
している場合もあるため、この課題はさらに深刻になります。
ダイナミズム: 急速に変化する要求に応じる必要がない従来のアプリケーション・
コンポーネントは、静的な環境で実行されていました。しかし、コンピューティン
グ・グリッドでは、システムとアプリケーションは変化する要求に対して柔軟に適
応する必要があります。たとえば、最近のWebサービスのバインディング特性とク
ロス・プラットフォーム特性によって、グリッドに配置されるアプリケーションを
構成するコンポーネントは、常に変わり続ける可能性があります。これらのコンポー
ネントは、その時々によってネットワーク内の異なるノードにホストされます。こ
のような動的な環境でアプリケーションを管理するのは困難です。
これらは、グリッド・コンピューティング環境でエンタープライズ・アプリケー
ションを実行する際のもっとも重要な課題のうちの 3 つに過ぎません。オラクル
はこれらの課題を解決できるように、エンタープライズ・アプリケーションを実
行するソフトウェア・インフラストラクチャの OracleAS 10g を設計しました。
Oracle Application Server 10g: グリッド・コンピューティング機能
ここからは、Oracle Application Server 10g のグリッド・コンピューティング機能に
ついて具体的に確認していきます。Oracle Application Server 10g に含まれる多くの
新機能のうち、特にグリッド・コンピューティングに関連しないものについては、
このホワイト・ペーパーでは取り上げていません。これらのグリッド・コンピュー
ティング機能について説明する方法を体系化するため、このドキュメントは 5 つ
の項に分けられています。それぞれの項では、グリッド・コンピューティングで
Oracle Application Server 10g を使用する際の特定の状況に関連した機能を説明し
ます。
Oracle Application Server 10g - グリッド・コンピューティング
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Oracle Corporation 発行「Oracle Application Server 10g – Grid Computing」の翻訳版です。
ソフトウェアのプロビジョニング: Oracle Application Server 10gは、ソフトウェア
のインストール、設定、およびプロビジョニングのプロセスを自動化することに
よって、作業コストを削減し、オンデマンドでソフトウェアの処理能力を提供す
るプロセスを迅速化します。
ユーザーのプロビジョニング: 一度ソフトウェア・インフラストラクチャのプロ
ビジョニングを行った場合、オラクルが提供する機能を使用して、グリッド内の
複数のリソースやアプリケーション全体で、迅速かつ効率的にユーザーとそのID
およびアクセス制御権限のプロビジョニングが可能です。
アプリケーションの管理と監視: ユーザーがグリッドのエンタープライズ・アプ
リケーションにアクセスするようになったら、OracleAS 10gの統合機能を使用して、
最適なパフォーマンスをエンド・ユーザーに提供するために、アプリケーション
の監視およびチューニングを行います。
ワークロード管理: パフォーマンスやワークロードに対する要件が変化した場合、
OracleAS 10gに統合された自動ワークロード管理機能を使用すると、既存のソフト
ウェア処理能力を効率的に使用することによって、未使用のコンピューティング
能力を最小限に抑えながら最適なスケーラビリティと高可用性を提供できます。
システムの管理と監視: OracleAS 10gとOracle Grid Controlを組み合わせて使用す
ると、グリッド・コンピューティング環境で包括的にシステムの管理および監視
を行うことが可能です。
特に、OracleAS 10g は次のグリッド・コンピューティング機能をサポートします。
アプリケーションの
管理と監視
セキュリティと
ID 管理
ワークロード
管理
システム
管理
インストール、
設定、
プロビジョニング
図: Oracle Application Server 10g –
グリッド・コンピューティング機能
ソフトウェアのプロビジョニング
一般的なグリッド・コンピューティング環境は、ほんの数台のサーバーで開始さ
れ、リソースがまとめてプールされるにつれて数百台のサーバーに拡張されます。
数百ものサーバーに対してソフトウェアのインストールとメンテナンスを手動で
行うのは、時間や手間のかかる大変な作業であり、またエラーを発生させる可能
性がきわめて高くなります。Oracle Application Server 10gでは、ソフトウェアのプ
Oracle Application Server 10g - グリッド・コンピューティング
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Oracle Corporation 発行「Oracle Application Server 10g – Grid Computing」の翻訳版です。
ロビジョニングを迅速に自動化できる機能を数多く提供しています。インストー
ル: ソフトウェアのインストールを効率化するため、オラクルは 100%自動化し
たサイレント・インストール手順を提供しています。この手順では、ユーザー介
入なしでOracle Application Serverのすべてのコンポーネントを多数のマシン上に
インストールできます。インストールは 1 台のサーバーに対しても多数のサー
バー(マルチノード)に対しても実行でき、完全に自動化されたインストール前
後のチェックを行い、ソフトウェアが毎回正しくインストールされているかを確
認できます。設定管理: ソフトウェアの設定を効率化するため、Oracle Application
Serverは複数バージョンの設定を自動的にアーカイブする機能を備えています。こ
れらは、後でシステムのグループ全体に自動的に適用できます。システムを自動
的に構成ベースラインに復元することで、人的な設定ミスが排除されます。シス
テム管理者は、全体の 25%以下の時間で新しいソフトウェアのインストールや設
定を行います。
設定管理機能によって、新規ソフトウェアの配置にかかる時間が最大で 80%短縮
できます。
クローニング: オラクルでは、アプリケーション・サーバーとその設定、および
サーバー上に配置されるアプリケーションをクローンする機能を提供します。ク
ローニングによって、ソフトウェア処理能力のオンデマンドでのプロビジョニン
グを、さらに効率的に実行できます。
パッチの適用: オラクルは、1 台以上のサーバー上で稼動する 1 つ以上のOracle
Application Serverに対して、自動的にソフトウェア・パッチを適用する機能を提供
しています。システムからMetalinkパッチのWebサイトをチェックして、既知のバ
グや潜在的なセキュリティ脆弱性を修正するパッチが正しく適用されているかど
うかを検出できます。セキュリティ侵害が検出された場合、パッチが自動的にダ
ウンロードされ、影響を受けたすべてのシステムに計画的に適用されます。
アップグレード: Oracle Application Serverが提供するグラフィカルなアップグ
レード・アシスタントを使用すると、ユーザー介入を必要とせず、Oracle9iから 10g
へのアプリケーション・サーバーのアップグレードが数時間で自動的に実行でき
ます。アップグレードが必要なアプリケーション・サーバーのコンポーネントを
自動的に検出して、これらをアップグレードするとともに新しいソフトウェアを
インストールします。そして、適切な構成ベースラインを旧バージョンから新バー
ジョンへ適用して、アップグレードされたインスタンス上にアプリケーションを
配置します。
運用タスクの自動化: Oracle Application ServerとOracle Enterprise Managerでは、統
合されたジョブ・スケジューラ、クラスタ、およびグループ管理サービスを含む
数多くのサービスを提供することによって、多数のアプリケーション・サーバー
全体で日常的な管理タスクを自動化します。
次の図に、グリッドでのソフトウェアのプロビジョニングを効率化するための
Oracle Application Server 10g および Oracle Enterprise Manager 10g の主な機能をまと
めます。
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Oracle Corporation 発行「Oracle Application Server 10g – Grid Computing」の翻訳版です。
インストールと設定
単一ノード、マルチノード、自動化、サイレント、
インストール前とインストール後のチェック、すべての OS
ソフトウェアの設定管理
アーカイブ、復元、適用、クラスタへの適用
ソフトウェアのライフ・サイクル管理
ソフトウェア在庫、変更追跡、テスト - 本番
ソフトウェアのクローニング
システム・ソフトウェア、アプリケーション、設定
ソフトウェアのパッチ適用とアップグレード
自動化、ローリング・アップグレード、多層間
ソフトウェア・タスクの自動化
ジョブ・システムとスケジューリング、クラスタ管理
図: Oracle Application Server 10g - ソフトウェアのプロビジョニング
Oracle Application Server と Oracle Enterprise Manager を組み合わせて使用すると、
組織は、ソフトウェアのプロビジョニング、変更管理、パッチの適用と管理、お
よびアプリケーションの配置を自動化できます。これらの機能を使用することで、
作業コストを削減して人的エラーを軽減するとともに、オンデマンドでのソフト
ウェアの提供を迅速化できます。
セキュリティ、ID 管理、およびユーザーのプロビジョニング
エンタープライズ・コンピューティング・グリッドを確立するための基本的な要件
として、セキュリティ・ポリシーとセキュリティ手続きの定義および実装を適切
に行う必要があります。グリッド・コンピューティングでは、以下の 2 つの理由
によって、一貫性のあるセキュリティ手続きの実施がより複雑になります。
•
動的リソース: コンピューティング・グリッド内のリソースは、静的にアプ
リケーションに関連付けられるのではなく、オンデマンドで割り当てられる
ため、IDとアクセスの管理手順もオンデマンドで適用する必要があります。
•
複雑なリソース: さらに、コンピューティング・グリッドでは、ユーザーの
ボリューム、ユーザーがアクセスするリソースのボリューム、およびこれら
のリソースにアクセスするために使用するさまざまなデバイスやチャネルの
数を、すべて急速に増加させます。ユーザーはさまざまなリソースにアクセ
スするため、多くのパスワードを記憶する必要があり、管理者は多種多様な
システムでセキュリティを強化しなければなりません。
これらの要因によって、コンピューティング・グリッドにおけるセキュリティの
強化は、困難できわめてコストのかかる作業になります。コンピューティング・
グ リ ッ ド でのセキュリティのプロビジョニングと管理を簡素化するため 、
OracleAS 10g は、Oracle Internet Directory、OracleAS 10g Single Sign-On Server、お
よび OracleAS Certificate Authority に基づいた、標準ベースでエンドツーエンドの
セキュリティおよび ID 管理の単一統合インフラストラクチャを提供しています。
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アプリケーション・サーバーの保護: エンタープライズ・アプリケーションを実
行するセキュアな環境を提供するため、OracleAS 10gは、Java2 セキュリティの包
括的なサポート、すべてのプロトコル(RMI、RMI-over-IIOP、SOAP、JMS、LDAP
など)に対するSSLサポート、管理権限の最小権限モデル、PKIベースの包括的な
セキュリティ・インフラストラクチャを含む、多数のセキュリティ拡張機能を提
供しています。
ユーザーのプロビジョニングと管理: ユーザーのプロビジョニング(ユーザーと
そのID、およびアクセス制御権限の作成と取り消し)を行うには、OracleAS 10g
が提供するセキュリティ管理コンソールを使用して、ユーザーおよびロールの作
成を行い、ユーザーIDとアクセス制御権限を定義します。また、認証局を使用し
てユーザーに証明書を発行します。委任管理サービスを使用すると、ユーザーの
ID、ロール、およびユーザー設定の管理をさまざまな管理者に委譲することや、
セルフサービス用にユーザー自身に委譲することができ、ユーザー・グループを
動的に作成できます。
ディレクトリ・サービス - セキュリティ・リポジトリ: ユーザーとロール、お
よびそのIDとアクセス制御権限の定義を保存するため、OracleAS 10gでは、
LDAPv3 に準拠した標準ベースのディレクトリ・サービスであるOracle Internet
Directoryを提供しています。Oracle Internet Directoryは、高度に最適化されたアル
ゴリズムを備えた、データベースによるユーザー情報のリポジトリであり、多数
のユーザーを格納し、さまざまなファンアウト型のレプリケーション・モデルを
サポートして、この情報を他のディレクトリと同期します。また、外部の認証モ
デルをサポートすることによって、オラクル以外の認証サービスとの共存を可能
にします。
その他のセキュリティ環境との統合: マルチベンダーのコンピューティング・グ
リッドでOracle Application Serverを共存させるため、オラクルは多くのメカニズム
を提供することによって、Windowsのネイティブ認証サービス、Active Directory、
iPlanet、OpenLDAP、およびその他のディレクトリ・サービスを含む異機種セキュ
リティ環境との統合や、従来のセキュリティ環境との統合を実現します。オラク
ルが提供するDirectory Integration Serviceは、Oracle Internet Directoryに含まれる機
能であり、他のエンタープライズ・ユーザー・リポジトリの使用を可能にします。
また、オラクルのディレクトリとパッケージ・アプリケーション全体でのユー
ザー・プロビジョニングを自動化するため、ディレクトリ・プロビジョニング統
合サービスも提供されており、これには標準で Oracle E-Business Suite のサポート
が含まれます。
グリッドでのシングル・サインオン(SSO)
: グリッド内の多数のアプリケーショ
ンやサービスに対してユーザー認証を行うために、オラクルはエンタープライ
ズ・シングル・サインオン・サービスを提供しています。開発者がシングル・サ
インオン機能を利用するには、以下の 2 つの方法があります。1 つ目の方法は、
ユーザーのパスワード・チェック(認証)をグリッド内のSSOサーバーに任せる
アプリケーションを構築することです。このようなアプリケーションは、SSOサー
バーとの信頼関係を前提とするため、"パートナ・アプリケーション"と呼ばれま
す。もう 1 つのアプリケーションは"外部アプリケーション"と呼ばれ、独自のセ
キュリティ・モデルを保持します。ポータル内のシングル・サインオンに対し
て"パートナ・アプリケーション"を設定すると、ユーザーはポータル自体にロ
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グインするだけで、自動的にその他のアプリケーションに対しても認証されます。
ポータル内の外部アプリケーションの場合、ユーザーは外部アプリケーションに
別々にログインする必要はありません。"外部アプリケーション"へのポータルの
リンクを最初にクリックすると、ユーザー名とパスワードを入力するプロンプト
が表示されます。次にユーザーがポータルにログインするとき、パスワードは記
憶されています。SSOサーバーによって、アプリケーションのパスワードは最高
水準のセキュリティに準拠する"パスワード格納庫"に格納されて管理されます。
次の図では、グリッドにおけるユーザー・プロビジョニング、ID、およびアクセ
ス管理を効率化するための OracleAS 10g の主な機能が要約されています。
セキュアなアプリケーション・サーバー
Java2、すべてのプロトコルでの SSL、GSID、
最小権限モデル、完全な PKI ソリューション
プロビジョニングと委任管理
認証局、DAS、ドメイン、セルフサービス、組織図、動的
ディレクトリ・サービス
部分レプリケーション・ファンアウト、外部認証、
サブスクリプション管理、パフォーマンスの最適化
外部システムとの統合
Windows 認証、Active Directory、iPlanet、DIP
エンタープライズ・シングル・サインオン
マルチレベル認証、ホスティング、地理的
セキュリティの認定とプロセス
FIPS-140、侵入テスト、推奨トポロジ
図: Oracle Application Server 10g - セキュリティと ID 管理
OracleAS 10g のセキュリティおよび ID 管理サービスを使用すると、ユーザーのプ
ロビジョニングを自動化して、ユーザーID とアクセス制御権限の作成および削除
を行うことが可能です。これらの機能によって、セキュリティ管理の作業コスト
を削減し、セキュリティの欠陥を減らし、認可されたアプリケーションとグリッ
ドのリソースに対して、ユーザーが迅速にアクセスできるようにします。
アプリケーションの管理と監視
コンピューティング・グリッドには、多数のエンタープライズ・アプリケーション
とユーザーをサポートする共有システム・インフラストラクチャのラージ・プール
があります。不十分なパフォーマンスやシステム停止など、この環境におけるサー
ビス品質の問題は、同時に多くのユーザーに影響を与えます。したがって、中央か
らアプリケーションの監視と管理を積極的に行うことが、コンピューティング・グ
リッドにとって必要不可欠です。OracleAS 10g では、コンピューティング・グリッ
ドでのアプリケーションの監視と管理を改善し、自動化する機能を数多く提供しま
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す。また、グリッド上で実行されるアプリケーションのライフ・サイクル管理を完
全に自動化します。
設定と配置: OracleAS 10gでは、Oracle Enterprise Managerを使用して、グリッド
内の 1 つ以上のサーバー全体に、J2EEアプリケーション、Webサービス、ポー
タル、フォームとレポート、およびビジネス・インテリジェンス・アプリケー
ションのすべてを設定して"ホット・デプロイ"できます。
パフォーマンスのチューニングとデバッグ: OracleAS 10gのDynamic Monitoring
Service(DMS)は、CPU、メモリー、I/Oなどのリソース消費メトリックや、応答
時間、リクエスト/秒、トランザクション・スループットなどのパフォーマンス・
メトリックを収集します。DMSを使用すると、リクエスト処理の重要なフェーズ
の継続期間と、ある瞬間に処理されているリクエスト数などのステータス情報の
両方を監視できます。DMSではこの機能が標準で提供されており、アプリケーショ
ンを変更する必要はありません。
アプリケーション・パフォーマンスの監視: OracleAS 10gとOracle Enterprise
ManagerのApplication Performance Monitoring(APM)を使用すると、管理者はエ
ンド・ユーザーに対する実際のアプリケーション・パフォーマンス("クリック
して表示"のパフォーマンス)と、インフラストラクチャの各種コンポーネント
(ネットワーク、Webサーバー、アプリケーション・サーバー、データベース・
サーバー)での特定のトランザクションにかかった時間を監視できます。これ
によって、管理者は初めてE-Businessシステムをトップダウンで監視して、エン
ド・ユーザーが実際にグリッド対応アプリケーションにログインしてナビゲー
トする体験を追跡できます。原因分析を利用すると、迅速かつ正確な問題の診断
と解決ができます。詳細なレポートによって、管理者はアプリケーション・パ
フォーマンスに関する完全な理解が得られます。
統合システムとアプリケーションの監視: Oracle Enterprise Manager 10gのGrid
Controlを使用することによって、管理者はアプリケーションの監視と管理をアプ
リケーションが実行されるシステム・インフラストラクチャに関連付けできます。
特定のアプリケーションの可用性メトリックを定義し、これらを別のインフラス
トラクチャ・コンポーネントの監視に結び付けることによって、エンド・ユーザー
に対するアプリケーションのパフォーマンスと可用性の包括的な理解が得られま
す。さらにGrid Controlでは、Webアプリケーションのパフォーマンス・メトリッ
クから下層のインフラストラクチャへのコンテキスト・ドリルダウンが行われる
ため、パフォーマンスのボトルネックの原因分析を行うことが可能です。
結果として、アプリケーション・サーバーと Oracle Grid Control を使用すると、管
理者はシステムとアプリケーションを一箇所に統合して包括的に確認できるため、
アプリケーションの問題を診断する際のスピードと精度を大幅に改善できます。
これによって、作業コストとエラーを削減し、アプリケーションのパフォーマン
スと可用性を向上できます。
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ワークロード管理 - スケーラビリティと高可用性
パフォーマンスやワークロードに対する要件が変化した場合、OracleAS 10g に統
合された自動ワークロード管理機能は、既存のソフトウェア処理能力を効率的に
使用することによって、未使用のコンピューティング能力を最小限に抑えながら、
最適なスケーラビリティと高可用性を提供します。特に、OracleAS 10g は、オン
デマンドのスケーラビリティとエンドツーエンドの高可用性、そしてハードウェ
ア障害、ソフトウェア障害、人的エラー、災害に対するフェイルオーバー機能を
提供するように設計されています。
スケーラビリティとリソース管理
OracleAS 10g は、システムとアプリケーションが使用可能なシステム・リソース
を効率的に使用することによって、低コストのサーバーやストレージで最大のス
ケーラビリティを実現するための機能を数多く提供しています。次のような機能
があります。
アプリケーション・サーバーの最適化: OracleAS 10gは、単一のCPUまたはブレー
ド上でアプリケーションを拡張するために、多くのリソース・プーリング、接続
管理、トランザクション管理、ネットワークI/O、およびスケジューリングの最適
化機能を備えています。
ワークロードの監視: OracleAS 10gに標準装備されているDynamic Monitoring
Service(DMS)を使用すると、複数のOracleAS 10gインスタンスや、1 つのOracleAS
10gインスタンス内の複数コンポーネント、および複数のOracleAS 10gアプリケー
ションによるリソース(CPUやメモリー)使用を監視できます。これらをOracle Grid
Controlから監視できるポリシー・ベースラインと組み合わせると、パフォーマン
スが特定のしきい値を下回った場合にアラートを発生させることができます。
ポリシー・ベースのワークロード管理: OracleAS 10gは高度なワークロード・マ
ネージャを提供しており、自動化されたポリシーまたは管理者が設定したポリ
シーを使用してワークロードを管理できます。複数のロード・バランシング・ア
ルゴリズムを使用して、特定のサーバーやアプリケーション・サーバー・インス
タンス、およびアプリケーションにワークロードを効率的に割り当てることがで
きます。OracleAS 10gは、これらのアルゴリズムを自動的に追跡して、システムの
ワークロードに最適なポリシーを管理者に推奨します。
アプリケーション固有のポリシー: また、OracleAS 10gでは、アプリケーション
自体の特性に基づいて、アプリケーションごとに異なったワークロード管理ポリ
シーをサポートする機能を備えています。たとえば、Webアプリケーションに最
適なワークロード管理ポリシーは、高性能のトランザクション処理アプリケー
ションには最適でない場合もあります。したがって、OracleAS 10gを使用すると、
管理者は実行中のワークロードの種類に応じて、より柔軟にワークロード管理ポ
リシーを最適化できます。
サービス・プロビジョニングと動的なリソースの割当て: OracleAS 10gはシステ
ム・リソースとアプリケーションを動的に再構成する機能を提供しているため、
リソース要件の変化に応じて、特定のコンポーネントの有効化と無効化や、コン
ポーネントの開始と停止を動的に行うことが可能です。リソースは、1 台のサー
バー上にあっても多数のサーバー(マルチノード)上にあっても対象とすること
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ができ、環境全体の依存関係がアプリケーション・サーバーによって自動的に追跡
されます。たとえば、ポータル・ユーザーのボリュームが増加した場合、エンター
プライズ・ポータルの新しいインスタンスを開始する前に、関連するシングル・サ
インオンやディレクトリ・サービスが設定済みであり、開始していることを確認
できます。
次の図に、OracleAS 10g のスケーラビリティとワークロード管理機能を示します。
アプリケーション・サーバーの最適化
メモリー管理、リソース・プール、接続管理
インテリジェント・ワークロード監視
しきい値、自動ベースライン、リアルタイム、履歴
ポリシー・ベースのワークロード管理
複数アルゴリズム、セッション移行、自動リソース割当て、
自動リクエスト・ルーティング
アプリケーション固有のポリシー
ワークロード・タイプ別のスマート・ポリシー、アドバイザ
サービス・プロビジョニング
プロビジョニング、登録、依存関係管理、開始、停止、有効化、
無効化
動的リソース割当て
依存関係管理、単一ノード、マルチノード、100%
図: Oracle Application Server 10g - スケーラビリティとワークロードの管理
OracleAS 10g のワークロード管理機能は、コンピューティング能力をできるか
ぎり効率的に使用して最高のスケーラビリティを提供するとともに、特定のシ
ステムやアプリケーションの負荷が増加した場合に、迅速かつ効率的に処理能
力を追加するように設計されています。これらの機能を利用することで、コン
ピューティング・リソースや処理能力を効率的に使用しながら、優れたサービ
ス品質を維持してアプリケーションを実行できます。
高可用性
OracleAS 10g は、低コストのサーバーやストレージを使用して、システムとアプ
リケーションに最高の可用性をもたらすための機能を数多く提供しています。次
のような機能があります。
計画停止ゼロ: アプリケーション・サーバー上での計画的なメンテナンス処理に
よって発生する停止時間をなくすための機能。これには、次の機能が含まれます。
(1)Oracle9i ASからOracleAS 10gへの、停止時間なしのローリング・アップグレー
ド機能。(2)特定の時点へ自動的に設定をロールバックすることによる、人的な
設定ミスを解決するための設定アーカイブとフラッシュバック機能。
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計画外停止ゼロ: システム障害、人的エラー、災害によって発生する、停止時間を
なくすための機能。これには、次の機能が含まれます。(1)単一サーバーまたは複
数サーバー環境で自動化された障害検知と回復を行うための、依存関係分析を含む
プロセスおよび障害の統合監視機能。(2)ハードウェア障害またはソフトウェア障
害の発生時に自動フェイルオーバーを実現するための、Cold Failover Cluster ソ
リューションとActive Failover Clusterソリューション。OracleAS 10gは、コンポーネ
ント障害を自動的に検知して、障害が発生したコンポーネントを再起動します。コ
ンポーネントに障害が発生している間、アプリケーションのセッション状態は自動
的に有効なインスタンスへ移行され、受信トラフィックはこれらのインスタンスに
透過的に再送されるため、エンド・ユーザーがフェイルオーバーに気づくことはあ
りません。(3)ソフトウェア、設定、およびアプリケーションを含むアプリケーショ
ン・サーバーの増分バックアップとポイント・イン・タイム・リカバリを自動的に
行うための、バックアップとリカバリ自動化機能。(4)スタンバイ・アプリケーショ
ン・サーバーとスタンバイ・データベースを自動的に作成して災害からシステムを
保護するための、障害時リカバリ機能。
フェイルオーバー通知(FaN): エンドツーエンドの高可用性をさらに強化する
ため、オラクルはApplication Serverの障害監視と通知サービス機能をOracle Real
Application Clusters(RAC)に統合しました。RACノードに障害が発生した場合、
Oracle Application ServerはRACから障害通知(FaN)イベントを受け取り、アプリ
ケーション・サーバーの接続とワークロードを自動的に別のアクティブ・クラス
タ・ノードに切り替えます。これによって、アプリケーションの合計フェイルオー
バー時間は、15 分以上であったのが数秒へと短縮されます。次の図に、OracleAS
10gの高可用性機能を示します。
計画停止
設定アーカイブ、フラッシュバック、ローリング・アップグレード
プロセスと障害監視
インテリジェント障害監視、分散化、障害からの自動リカバリ
計画外停止
Cold & Active Failover、セッション移行、増分レプリケーション、
自動フェイルオーバー
バックアップとリカバリ
完全、増分、ポイント・イン・タイム
障害時リカバリ
スタンバイ・アプリケーション・サーバー、DB 同期
データベースとアプリケーション・サーバー間
障害通知(Fan)、高速フェイルオーバー、高速 MTTR
図: Oracle Application Server 10g - 高可用性
OracleAS 10g のワークロード管理機能は、コンピューティング・グリッドに最高
のスケーラビリティと高可用性をもたらすように設計されています。これらの機
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能を利用することで、コンピューティング・リソースや処理能力をできる限り効
率的に使用しながら、優れたサービス品質を維持してアプリケーションを実行で
きます。
システムの管理と監視
最後に、システム管理のコストを削減し、システム処理能力を効率的に使用する
ために、コンピューティング・グリッドがもたらしたシステムの監視と管理に関
する 2 つのもっとも重要な課題を、システム・ソフトウェアを使用して解決する
必要があります。
•
リソースの監視と再割当て: メモリーやCPUなどのコンピューティング・リ
ソースを積極的かつ正確に監視することによって、余分な処理能力を排除し、
既存リソースの可用性を最適化する必要があります。
•
リソース管理: さらに、重要な自動化機能を使用してコンピューティング・
リソースを効率的に管理することで、増大する作業コストを削減し、エラー
を起こしやすいユーザー介入を最小限に抑える必要があります。
グリッド・コンピューティングでは、管理すべきリソースの規模、多様性、分散
化、およびダイナミズムによって、システム管理がさらに困難になります。しか
し、コンピューティング・グリッドでのシステム管理コストを大幅に削減するた
め、OracleAS 10g を自己管理型にして、以前は管理者が行っていた日常的なシス
テム管理タスクの多くを自動化しました。さらに、OracleAS 10g と Oracle Enterprise
Manager 10g Grid Control を統合することによって、サーバーの中央監視を可能に
し、多数のサーバーで中央管理を実現しました。
ステータスの監視: OracleAS 10gにおいて、すべてのサービスは、Oracle Process
Management and Notification Service(OPMN)から起動、停止、および管理されま
す。OPMNは、グリッド全体でサービスの終了を自動的に検知し、迅速に再起動
します。さらに、OPMNが提供するこれらの統計情報を使用して、Grid Controlは
グリッド全体のシステムの可用性とシステム停止に関する、サマリー・レポート
やリアルタイム・レポート、および履歴レポートを提供します。
パフォーマンスとリソースの監視: OracleAS 10gのすべてのサービスは、Dynamic
Monitoring Service(DMS)を介してパフォーマンスとリソース消費に関する情報
を提供するために、"標準"で設定されています。DMSで生成された統計情報はGrid
Controlに収集され、ホスト・オペレーション・システムのリソース使用統計とあ
わせて解釈されます。Grid Controlは、インスタンスの各コンポーネントの集計パ
フォーマンスを含む、OracleAS 10gインスタンスのリアルタイム・パフォーマンス
と履歴パフォーマンスの要約ビューを表示します。管理者は、診断調査が必要な
コンポーネントを簡単に識別することができ、配置済みアプリケーションなどの
これらのコンポーネントにドリルダウンして、詳細なパフォーマンス情報を確認
することもできます。たとえば、Javaアプリケーション・サーバーのホームペー
ジでは、コンテナとそのアプリケーションに対するステータス・メトリックおよ
びパフォーマンス・メトリックの要約が表示されます。表示される情報には、コ
ンテナが実行されている時間、アクティブなアプリケーション、各種アプリケー
ションによるCPUとメモリー・リソースの消費率などのコンテナ・リソースの使
用状況、およびアプリケーションのリクエストとトランザクションにおけるボ
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リュームおよび平均処理時間が含まれます。管理者は、リクエスト・ボリューム
の最も大きいアプリケーションや、応答時間が最長であるアプリケーションを簡
単に特定できます。さらにアプリケーションをドリルダウンして、サーブレット
やEJBなど、個々のオブジェクトのパフォーマンスを表示することで、アプリケー
ションの詳細な調査を行うことが可能です。これらの機能を使用すると、管理者
は、迅速かつ効率的に問題を解決しながら、リソース使用と可用性に関する包括
的な理解を得られます。
ベースラインとポリシー・ベースの管理: 労力のかかる管理の必要性を軽減し、
問題が発生する前に管理者がシステムを修正できるようにするため、OracleAS 10g
およびGrid Controlは、管理ポリシーを定義してこれらのポリシーのベースライン
を確立する機能を提供しています。たとえば、管理者はパフォーマンスのベース
ラインを確立し、しきい値を設定することによって、パフォーマンスがこの値を
下回った場合にアラートを受け取ることができます。さらに、管理者は、これら
のしきい値を達成するための最適なシステム設定を構築できます。このベースラ
イン設定は、後で新しいシステムを作成する際の基準として使用できます。Grid
Controlを使用すると、ユーザーは簡単にポリシーを定義でき、これらのポリシー
のベースラインを確立し、システムのポリシー違反を監視できます。また、Oracle
Application Serverでは、多数のポリシーとこれらのポリシーの推奨ベースラインが
標準で提供されています。これによって、管理者がシステムの問題を診断する時
間を短縮できます。システム通知: ターゲットが使用できない場合や、ポリシー・
ベースラインに違反があった場合(例:パフォーマンスのしきい値を超えた場合)、
OracleAS 10gは自動的にGrid Controlにアラートを通知します。次に、Grid Control
は、電子メール(email-to-pageシステムを含む)やSNMPトラップ、またカスタム・
スクリプトの実行によって適切な管理者に通知を送ります。
Grid Control は、これらの各種通知メカニズムをサポートするために通知メソッド
を使用します。通知メソッドは、特定の通知メカニズムに関連する詳細情報を指
定する際に使用します。たとえば、電子メールで使用する SMTP ゲートウェイに
関する情報や、トラブル・チケットを登録するために実行する OS スクリプトな
どを指定します。スーパー管理者は、使用する各種の通知メソッドに対してワン
タイム設定を行います。通知メソッドが定義されたら、その他の管理者は通知ルー
ルを作成して、'いつ'、'どのように'、通知を送信するのかを指定できます。'いつ'
の指定には、ターゲット、ターゲットのメトリック、およびアラートを発生させ
るしきい値の指定が含まれます。'どのように'の指定には、使用する通知メソッド
の指定が含まれます。
変更の追跡と管理: 管理者は、かつて問題なく機能していたシステムのパフォー
マンスが、突然許容レベルを下回ったときの原因を解明しなければならない場合
があります。設定パラメータが変更されたのでしょうか。オペレーティング・シ
ステムにパッチが適用されたのでしょうか。メモリーが削除されたのでしょうか。
可能性のあるそれぞれのシナリオを、管理者が手作業で確認しなければならない
としたら、システム・パフォーマンス低下の原因となった変更を正確に突き止め
るために、何時間もの時間をかけなくてはいけません。グリッド内のノード数が
多ければ、さらに複雑な作業になります。
Grid Control は、ハードウェアおよびソフトウェアのインストールと設定に対する
すべての変更を追跡することによって、この作業を単純化します。これによって、
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管理者は、マシンが最後に正しく機能していたときより後の変更を、素早く簡単
に表示できます。さらに、アプリケーション・サーバーのフラッシュバック機能
によって、管理者は自動的にシステムを前回の設定または適切なベースラインに
戻して、問題を修正できます。
ジョブ・スケジューラ: コンピューティング・グリッドでは、管理者は、いくつ
かの管理タスクを日常的に実行する必要があります。このタスクには、ガベージ・
コレクションの問題を解消するためのJava VMのリサイクルや、Webサーバーや
Webキャッシュの再起動、そしてディスクのデフラグが含まれます。これらのタ
スクを自動化するため、Oracle Grid Controlは統合ジョブ・スケジューラを提供し
ており、1 つ以上のシステムで、特定のジョブを特定の時間帯に自動的に開始で
きます。
次の図に、OracleAS 10g および Oracle Enterprise Manager 10g Grid Control のシステ
ム管理機能を示します。
ステータス監視
リアルタイム、履歴、単一ノード、クラスタ全体
リソース監視
CPU、JVM、メモリー、ユーザー定義、
メトリック・クローニング、サービス・レベル・レポート
パフォーマンス監視
自動、パフォーマンス・エキスパート、
ビジネス・トランザクション監視、ワークロード
障害監視
インテリジェントしきい値、分散化、アラート
トラブルシューティング
ログ表示、障害コンソール、積極的管理
自己管理
ポータル、自己チューニング、グループとクラスタ管理
図: Oracle Application Server 10g - システム管理
OracleAS 10g および Oracle Grid Control のシステム管理機能は、コンピューティン
グ・グリッドで管理コストを最小限に抑えた、最高のサービス品質を提供するよ
うに設計されています。
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結論
世界中の組織では、情報テクノロジのインフラストラクチャにかかる非常に高い
コストが問題になっています。この原因は、過剰なコンピューティング能力、高
価な処理能力の増強、および高い管理コストの 3 つです。グリッド・コンピュー
ティングは新たなソフトウェア・アーキテクチャであり、モジュール化した低コ
ストのストレージやサーバーをまとめて効果的にプールすることで、処理を透過
的に分散する 1 つの仮想コンピューティング・リソースを作成します。
Oracle Fusion Middleware のコンポーネントである Oracle Application Server 10g は、
コンピューティング・グリッド上でのエンタープライズ・アプリケーションの実
行を目的としています。この製品は、低コストのサーバーとストレージのプール
を利用して、システムとアプリケーションの監視および管理にかかるコストを大
幅に削減しながら、きわめて高いパフォーマンス、スケーラビリティ、および可
用性を発揮して、エンタープライズ・アプリケーションを実行するように設計さ
れています。
OracleAS 10g は、ソフトウェアのプロビジョニング、ユーザーおよびセキュリティ
のプロビジョニング、アプリケーションの管理と監視、ワークロード管理、シス
テムの管理と監視を含む、グリッド・コンピューティングの実現を目的とした多
くの機能を備えています。
結果として、OracleAS 10g は以下の 3 つの利点をもたらします。
•
過剰なコンピューティング能力の排除: ワークロード管理の自動化による
ワークロードの分散および予備のコンピューティング能力の効率的な使用
•
モジュール式の安価な処理能力の増強: 迅速かつ効率的なソフトウェアのプ
ロビジョニングによる、オンデマンドかつ低コストのモジュール単位でのコ
ンピューティング能力の追加
•
管理コストの大幅な削減: 自己管理システムによる、高コストおよびエラー
の起こりやすいユーザー介入の必要性の緩和と、多くのシステムに至るソフ
トウェアのプロビジョニングと管理の自動化
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ホワイト・ペーパー・タイトル: Oracle Application Server 10g – グリッド・コンピューティング
2005 年 7 月
Oracle Corporation
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