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1 平成22年度 第3回千代田区景観まちづくり審議会 会議録 日 時 平成

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1 平成22年度 第3回千代田区景観まちづくり審議会 会議録 日 時 平成
平成22年度 第3回千代田区景観まちづくり審議会 会議録
日
時
場
所
出席委員
(順不同)
平成22年12月14日(火)午前10時02分~午後0時01分
千代田区役所8階 第2委員会室
西村幸夫、大江新、北村喜宣、鈴木伸治、藤本麻紀子、森反章夫、中嶋利隆、
橋本樹宜、戸田光栄、松谷優子、山本担、飯島和子、石渡伸幸、小林たかや、
戸張孝次郎
出席委員数 15名
傍 聴 者
9名
配付資料
・平成22年度第3回景観まちづくり審議会次第
・千代田区景観まちづくり審議会委員第7期名簿
・座席表
・(仮称)読売新聞東京本社新社屋プロジェクト 千代田区景観まちづくり
審議会資料
・小石川橋設計概要書 千代田区景観計画書
濱本景観・地区計画担当課長 それではお時間がまいりましたので、ただいまより平成 22
年第3回千代田区景観まちづくり審議会を開催させていただきます。
では、本日の出欠状況を報告させていただきます。
定数17名中13名の委員の皆様が出席いただいております。千代田区景観
まちづくり条例施行規則第19条第2項の規定により、定数の過半数に達して
おりますので、審議会は成立いたします。
なお、本日は傍聴者の方が9名お見えになる予定でございます。
なお、戸張委員からは若干公務の関係でおくれるとのご連絡をいただいてお
ります。
引き続きまして、配付資料の確認をさせていただきたいと存じます。まず、
審議会次第、座席表、審議会委員名簿がございます。また、資料が2種類ござ
いまして、資料1、読売新聞東京本社新社屋プロジェクトについて、資料2、
小石川橋架け替え工事の報告をお手元にご用意させていただきました。過不足
等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それから、傍聴者の皆様へのお願いですが、配付資料の景観協議資料につき
ましては、持ち出しはお断りしております。終了後、お席に置いてお帰りいた
だきますようご協力のほどをお願いいたします。
それでは、ここからの進行につきまして、西村会長、よろしくお願いいたし
ます。
西村会長
皆さんおはようございます。本年度第3回の千代田区景観まちづくり審議会
を始めたいと思います。
それでは議事次第に従いまして審議に入らせていただきます。
ご承知のとおり、この景観まちづくり審議会は、傍聴者の方にも意見表明の
機会を持つという、非常にユニークな仕組みをつくっておりまして、傍聴者の
方はお席に用意してある用紙へ、各審議案件の終了時までに意見の要旨をまと
めていただき、事務局に提出いただければ、内容によりまして私のほうで要旨
を読み上げたりしますので、よろしくお願いしたいと思います。こういう形で
1
外に開かれて、傍聴の方にも意見陳述の機会があるという審議会は少ないんで
すけれども、今までのところ問題なく議事進行してきておりますので、この参
加の仕組みを続けていきたいというのが我々の意向であります。
それからきょうの審議会ですけれど、12時をめどに進めたいと思いますの
で、ご協力をお願いしたいと思います。
それでは、審議事項、読売新聞東京本社新社屋プロジェクトについて、事業
担当者の方から説明をお願いしたいと思います。説明は20分程度でお願いし
ます。よろしくお願いします。
〔 説 明 事 項 〕
事業者(読売新聞) おはようございます。読売新聞でございます。本日は大手町一丁目の
読売新聞東京本社の建てかえ計画につきまして、ご審議のほど、よろしくお願
いいたします。
現在、解体中の旧社屋は、築40年ほどたちまして、大変老朽化が目立って
おります。そこで今回、情報技術の進化等々も踏まえまして、総合メディア集
団の拠点として再構築が急務となっております。
委員の皆さんご案内のとおり、新聞社というものは、世の中のさまざまな事
象や事件、事故、災害等々のことを速やかに報道していくという公共的な使命
を担っているものだと我々は自覚しております。建てかえに当たりましても、
そうした社会的な責務を果たすための本社機能を確保するということが、私た
ちにとっては死活的な重要なことであります。
ただ、しかし同時に、日本を代表する大手町エリアというところに本社を構
える新聞社としましては、
やはり文化交流や情報発信の拠点となり、
地域の人々
に憩いの場を提供し、まちのにぎわいを確保していくと、そういう役割も皆様
方から期待されているのだろうということもよく認識をしております。
これまで新聞社としてのそういう本社機能の確保と、まちづくりへの貢献と
いうことを可能な限り両立すべく地区計画や大丸有地区のガイドライン等々の
上位計画を踏まえまして、景観アドバイザーの先生方、あるいは千代田区のご
担当の皆様のいろいろなアドバイスをいただきながら慎重に検討を進めてきた
ところでございます。
それでは、設計を担当しております日建設計のほうから説明をさせていただ
きます。
事業者(日建設計) それではお手元の資料、説明を始めさせていただきます。
緑のラインの入ったまちづくり審議会資料、1ページめくっていただければ
と思います。計画概要ということで、まず左上の敷地の概要等と示させていた
だいております。こちらのほうで計画地、大手町一丁目7、それから敷地面積
がおおむね6,000平米、用途地域としては商業で、地区計画で定められた
基準建ぺい率が60%というふうになってございます。容積率は1,300%
で、
周辺三面が道路に接しておりまして、
それぞれ日比谷通りが36メートル、
南側の区道104号が22メートル、北側の103号が16メートルとなって
ございます。位置につきましては、左下の位置図に示させていただいておりま
す。
それから、従前建物につきましては、ご承知おきの方もいらっしゃるかと思
2
いますけれども、地下5階、地上10階、塔屋2階、高さ約56メートルとい
うことを右上に示させていただいております。現建物につきましては、建ぺい
率92%、それから建築面積約5,600平米の中で建物の基準階を確保して
おります。容積対象床面積としては、おおむね6万1,000平米、延床面積
としては約7万平米弱ということになっております。
それから1枚めくっていただきまして、計画建物の概要でございます。同じ
く左上になりますが、開発手法といたしましては、一般法規に基づきます建て
かえになります。その中で地区計画の内容に沿った建てかえを行っていくとい
うことでございます。階数といたしましては地下3階、地上33階、塔屋1階、
建物の高さ、それから建築物としての最高高さともに約200メートル、容積
率は1300%、容積対象床面積がおおむね8万平米、延床面積がおおむね9
万平米弱ということで、用途といたしましては事務所、ホール、店舗、駐車場
ほかということでございます。
断面構成が下に図として記載させていただいておりますけれども、地下部分
は機械室、それから駐車場など、低層部、ピンク色に塗っている部分が文化・
交流情報発信等ということで、この中に店舗等も含まれてございます。その上
の70メートル部分までが編集局という新聞を主につくっている部分、部署で
ございます。その上が事務所機能ということになってございます。
配置と概念図であらわしたものが右上でございまして、この高さ200メー
トル部分のところが高層部ということで薄いグレー。それから70メートル部
分の編集局までのところが中低層部という濃いグレーのところまででございま
す。
12月、本日景観審議会を開催させていただいておりますけれども、今後、
年明けに景観の事前協議を東京都さんとさせていただきまして届け出を行い、
年度が明けたころから建築基準法等に基づきます許認可の手続を経て、来年8
月ぐらいに着工を目標としております。
次のページ、3ページになりますけれども、こちらで周辺の概要を示させて
いただいております。まず真ん中の大きな図にございますのが、大手町・丸の
内・有楽町まちづくりガイドラインの中で記載されてある文言を抽出したもの
を図中の文章に表現させていただいております。それから周辺の写真をその図
の回りに配置させていただいております。
まず日比谷通り沿いですけれども、こちらにつきましては、まだ地区年数3
0年をたった建物が残っておりますけれども、大手町の合同庁舎の跡地、ある
いはKDDIビルさん、大手町センタービルさん、大手町ファーストスクエア
さんといった形で、建てかえが終了した築浅のビルにつきましては壁面後退、
それから敷地内に街路樹とあわせた2列植栽化が図られている状況にございま
す。
それから、北側の区道103号沿い、こちら紙面左の真ん中ほどでございま
すけれども、短い区道でございまして、これはNTT大手町ビル側から見た写
真が載っておりますけれども、行きどまり感が感じられると。それから左下で
補足的に入れておりますけれども、当地区の歴史的な経緯ということで、江戸
時代から道路の軸性が残っている部分を赤い点線を表現しておりまして、計画
地に隣接する部分では区道103号がこの道路に当たります。
それから右上につきましては、現在工事中なので実際はまだできてないので
3
すけれども、上のイメージパースが大手町1-6計画と呼ばれておりますみず
ほ銀行さんの跡地の工事の開発予想図ということで、大手町の森というものが
できると。その下のパースにつきましては、計画地の北東側になります大手町
の2次開発と言われている部分の仲通り延伸部でございます。
それから、区道104号につきましては、港区のマスタープランの中で緑の
ネットワークに位置づけられております。それから現況といたしましては、大
手町のサンケイビル、それからアーバンネット大手町ビル、あわせまして街路
樹の内側に敷地内でもう1本植栽いたしまして、2列植栽化が図られておりま
す。
それから右下に当地区計画地と隣接するサンケイビルとの間の境界部分の写
真が出ております。サンケイビルさんは2002年に2期の工事を完了させ現
在に至っておりますけれども、現在のところサンケイビルさんの敷地に、主に
3メートルぐらいのフェンスが建っているという状況にございます。
それから真ん中の図の中で、当地区の中に仲通りの延伸部分というものがず
っと日本橋側、それから神田のほうまでということを少し構想されているとい
うこと。それから大手町の拠点エリアという大丸有のガイドラインに位置づけ
られている中に、交通結節点広場というものが本計画地にかかわっております。
4ページをご覧ください。左側に上位計画に関するキーワードを抽出したも
のを記載しております。それを踏まえ、本計画の中で取り組むべき景観のコン
セプトを大きく三つに集約しております。キーワードとしては、東京の新しい
都市づくりビジョン、それから東京都の景観計画、千代田区の都市計画マスタ
ープラン、景観形成マスタープラン、美観地区ガイドプラン、それから大丸有
の地区計画、それから大丸有のまちづくりガイドラインと、これらからキーワ
ードを抽出しております。景観の大きな考え方といたしましては、まず1点、
周辺との調和に配慮した大手町拠点のシルエット形成ということで、皇居から
の見え方、周辺ビルとの調和、圧迫感の軽減などに配慮して大手町拠点にふさ
わしい景観づくりを図る。それから文化・交流拠点にふさわしい景観づくりを
図っていこうというふうに考えております。これは、これまで大手町地区は本
社ビルが多くて、なかなか華やいだ雰囲気が大手町のほうになかったわけです
けれども、丸の内エリアが今のようにかなり華やいだ雰囲気を持つように変わ
ってきたということを踏まえまして、本計画がこれに貢献できればということ
で、文化・交流拠点にふさわしい風格、それから親しみや華やかさを持った景
観形成に努めていきたいということでございます。
それから通りの街並み、それから人々のアクティビティを考慮した景観づく
りということで、主に足もとの空間形成になりますけれども、上位計画の位置
づけ、それからほぼ4辺を通りに囲われるという立地特性になりますので、そ
の通りの特性、人々の行動を考慮した景観づくりに配慮していこうということ
でございます。
それでは05ページ目で、周辺との調和に配慮した大手町の拠点のシルエッ
ト形成ということを説明させていただきたいと思います。
引き続きまして、外観デザインにつきましてご説明をさせていただきます。
今回の読売さんの外装デザインでございますが、まず左上、大手町周辺の街
並みと調和をすると。そして文化・交流、情報発信機能などのにぎわいが外部
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に表出されるような外装デザインとしたいというふうに考えます。また、同時
に、外装の日射の熱負荷を低減するような、環境に配慮した外装デザインとし
たいというふうに考えてございます。
大きく三つポイントがございまして、一つ目は、建物の顔づくりに配慮した
ボリューム構成としてデザインを考えたい。二つ目は、周辺の街並みと調和を
するような遠景、中景、近景に配慮した外装のデザインとすると。三つ目が、
環境に配慮した外装のデザインというものでございます。真ん中に模型を置か
せていただいておりますように、今回200メートルの建物ということで、非
常にシンボリックな形になります。
そこで我々が一番配慮をしたのは、建物の顔づくりに配慮したボリュームの
構成をどうつくるかということでございます。今回、機能と形状をどういうふ
うに考えるのかということで、ボリュームを考えていった際に行き着いたのは、
低層部は大きく平面を持つということ。そして高層部についてはできるだけボ
リューム感を減らしたいということでございまして、その大きな二つのボリュ
ームをどういうふうに組み合わせるのかということを考えました。
右上の顔づくりに配慮したボリュームの構成という簡単なボリュームの構成
図がございますが、水色の高い建物、こちらが高層部になります。少し濃い青
の部分、こちらが低層部のボリュームと。これらを上下に分断してデザインを
するということが建物の構成上、デザイン上、余りよろしくないのではないか
というふうなことを考えまして、あえて高層部のデザインと低層部のデザイン
というのは、二つのボリュームとしてきちんと組み合わさっている、貫合して
いるといったようなデザインの仕方のほうが、この建物をデザイン的に外部に
表出するのにふさわしいのではないかというふうに考えました。
したがいまして、丸の内側ではかなり低層部が全面的に表出される。神田側
には高層部が足もとから、ピロティはございますが、足もとからすっと立ち上
がっていくという、きれいなプロポーションになっていくのではないかなとい
うふうに考えております。
左に書いておりますように、日比谷通り側と区道104号側にはきちんと活
性化用途を表出して顔をつくると。神田側ではのびやかなボリュームによる建
物の顔をつくる。そして足もとには西側と南側にはきちんとピロティを設けて
仲通り側を店舗、店として近景の顔をつくるというようなことを考えておりま
す。
その下です。周辺のまちなみの調和を遠景・中景・近景で配慮した外装デザ
インとするということで、まず遠景でございますが、真ん中の四角の左側の下
の皇居から、これは汐見坂から見た遠景のCGシミュレーションでございます。
こちらを見ていただくとわかるとおり、日比谷通り沿いに面する建物でござい
ますので、高層部については比較的横基調の周辺のデザインが多いように見受
けられます。したがいまして、遠景から見た高層部については横基調のデザイ
ンとするべきではないかということを考えました。また、威圧感を低減するた
めに、できるだけ透明感の高い外装のデザイン、つまりガラスのデザインにす
るということを考えております。夜間においても、昼間の横基調のデザインと
いうものをきちんと出すということをするために、左下のちょっと小さいです
が夜間イメージというところにございますように、頂部で建物を演出しながら
横の窓の連続感が出るということで、昼間と夜のイメージを変えないというふ
5
うに考えてございます。
それから、中景でございますが、中景というのは少し離れた通りから見える
というようなことでございまして、低層部については、大手町の周辺の風格あ
るまちなみに調和するために、比較的重厚感がある石張りの縦基調のデザイン
としてはどうかなというふうに考えました。とはいうものの、やはり圧迫感を
軽減する必要がある。特に仲通りについてはボリューム感として非常にあると
いうご指摘もいただいておりましたので、何らかの方法、例えば壁面緑化等で
圧迫感を和らげるというようなことを考えたいと考えております。また、石の
色については落ちつきのある色のグレーを考えたいと。
それから、近景につきましては、特に区道104号沿いについては、透明感
のある外装としたいということでございます。これは活性化用途である情報を
発信する部分が、外部にきちんと表出されるというふうなことを考えたいとい
うことです。足もとには歩行者が雨に濡れずに歩けるピロティとして、仲通り
にはオープンな店舗を配置したいと考えております。
それからサインにつきましては、皇居や周辺の建物、環境に配慮いたしまし
て、高層部に設置は行わないという方針でございます。中層部、先ほどの左側
のCGの中に、石張り部分の肩のところにサインと書いておりますけれども、
そちらに、あるいはそちらのような位置に設置をするようなことを検討してご
ざいます。
それから下の四角でございますが、環境に配慮した外装デザインということ
で、今回は熱負荷を減らすために、いわゆる二重ガラスを使ったエアフローウ
インドウというものを考えてございます。いわゆる透明の部分の上下にさらに
セラミックガラスといいまして、磁気のプリントを施すことで日射の負荷を減
らすというようなことも考えてございます。これは高層部です。
低層部については石張りの基調でございますので、できるだけこちらは余り
窓を大きく取らずに日射の影響を減らすという意味で、最も環境的に有利だと
言われています3分の1の窓面積というものを確保していきたいというふうに
考えています。
外観デザインは私のほうから以上です。
引き続きまして6ページをお願いいたします。
この建物の外装、あるいは形状にかかわり、上位計画との整合性の確認とい
うことで、まず1点目がスカイラインということでございます。右上といいま
すか、一つ目の四角の上になりますけれども、大丸有ガイドラインで示されて
おります大手町のスカイラインと、これが本計画でどう当てはまるかというこ
とを概念図で示しております。既存の建物群、計画も含まれますけれども、そ
の中で本計画が、大手町の拠点としてスカイラインを形成しているということ
で、周辺の建物と調和しているのではないかと考えております。それからもう
1点、すり鉢状のスカイラインにつきましても、皇居外苑からのすり鉢状のス
カイラインということで、同じく神田側から見たときの大手町のスカイライン
を示しております。この中でも、青いところで拠点のシルエットを形成しなが
ら、すり鉢状のスカイラインということで徐々に皇居側から高くなってきてい
るというすり鉢状のラインに合っているのだろうというふうに考えてございま
す。
6
それから下、低層部につきましては、文化・交流施設、この丸で赤く囲って
あるところですが、こちらに37メートルぐらいまで建物を入れて、大手町に
華やいだ雰囲気、それからにぎわい感を形成していこうと。それからおおむね
70メートルのところまでに新聞を発行する編集局を配置していこうというこ
とでございます。この新聞の編集局につきましては、中層部というところに細
かく記載させていただきましたけれども、公共的役割を担う部門であるという
こと。それから毎日の新聞発行、それから号外といったような事件・事故が起
こったときに、瞬時に各部署が連携して新聞の編集を行うということが必要に
なりますので、極力各部門が同一フロア、もしくは直近の階にいることが望ま
しいと。もともと現在の読売さんは建ぺい率90%のところに建っていたわけ
ですけれども、地区計画の中で建ぺい率60%に抑えないといけないというこ
とで、現計画では編集局をやむを得ず立体化する中で、極力連携が図れるよう
に吹き抜けを設けて編集局の一体性を確保していこうということで、中・低層
部が70メートルの高さになってございます。
その中で、周辺とどのように調和を図っていくかという配慮といたしまして、
隣接するサンケイビルさん、少し建築図の専門的な話になりますけれども、お
隣のサンケイビルさんは低層部の上にガラスの建物が載っているわけですけれ
ども、この一番下の低層部がおおむね35メートル内外のところにございます。
その上にちょっと斜めに張り出して、特殊な構造を用いておりまして、その構
造階が切りかわるところがおおむね65メートルになってございます。そうい
ったところに配慮して、街区としてこのサンケイビルさんとの見え方といった
ものも少し考えて、低層部のガラス、それから石張りの高さといったようなも
のに配慮してございます。
それから右上のほうでは仲通りへの圧迫感の軽減ということで、仲通り延伸
部ができたときに、この建物がどう見えるかということをシミュレーションし
てございます。①は神田側から見たとき、小川町の交差点から見たときの計画
地の建物でございます。点線は大手町3次の地区計画のラインを入れておりま
す。それが日比谷通り側に高層棟を配置した場合と仲通り側に配置した場合に、
仲通り側から見たときにどうなるかということを横のCGでシミュレーション
しております。それから、同じく丸の内側から見たときにも大手町ビル越しに
なりますけれども、計画建物がどう見えるかということでシミュレーションを
しております。
それから建物の配棟の考え方、右下に記載しておりますけれども、もともと
江戸時代から続く道路の軸性が赤い点線で載っかっておりますけれども、現在
建物はピンク色、青色、緑色ということで、ピンクが江戸時代からの道路に軸
性が合っているもの。それから緑色が永代通りに建物の軸性が合っているもの。
それから青色が大名小路に軸性が合っているものと。本敷地につきましては、
街区としてサンケイビルさんが既に2002年に竣工してできているというこ
とがありまして、もともと江戸時代から続く103号に合わせるという考え方
もあろうかとは思いますけれども、街区としての統一性というものに配慮して、
サンケイビルと軸性を合わせるということで建物の配棟を考えてございます。
07ページは建物の外観を立面図の中に落とし込んだものでございます。上
部が先ほど説明のありましたセラミックガラスを用いたガラスの建物、それか
ら37メートルから70メートルまでの中層部が石張りの中にガラスの窓があ
7
ると。それから低層部の文化・交流施設が入るフロア、約37メートル部分ま
ではガラスの建物。足もとにピロティ空間等を含めます外装が出てくるという
ことでございます。
それから08ページ、
文化・交流拠点にふさわしい景観づくりということで、
大手町の文化・交流拠点を形成していくために、これまで読売新聞社さんが主
催、もしくは協賛と、いろんなイベントを行っておりますけれども、これまで
大手町の外で行っておりましたイベントをこの大手町で開催するようにしよう
と。その中で土日を含め、大手町から情報、あるいは文化を発信するんだとい
うことで、平土間のホール、それから段床式のホールを建物の中層部、主に4
階、5階が中心になりますけれども、そちらに創出いたします。もう一つは、
真ん中の図面のアトリウム空間の白抜きの部分に情報発信、それから滞留空間
という部分がございますが、こちらを展示スペースということで、読売新聞社
さんがこれまで培ってきたさまざまなコンテンツを発信するスペースを設置し
ております。それから内部のにぎわいと、あるいは文化・交流といったような
ものが外ににじみ出るように、建物の外装としては低層部はガラスを使ってい
くということでございます。
まず一番上で、現在外部で行っているさまざまなイベントを本計画地で行う
ということでイメージのCGでございますが、平土間ホール、約500平米に
なります。それから右側の段床ホール、約500席で現在計画しております。
この中で、これまで外で行っていた読売新聞社さん主催、あるいは後援のイベ
ントを開催していこうと。その中には文化、芸術、絵画、あるいは音楽、学術
といったようなものもございますので、これらをここで開催することによって、
大手町にこれまでなかった華やいだ雰囲気というものを醸し出していこうとい
うことでございます。
それからもう1点、真ん中の右横になりますけれども、新聞の製作体験がで
きる専用のスペースをつくろうということで、これまでも大手町で読売新聞社
様、社内の開放ということで、希望者には新聞製作を見学できるプログラムを
お持ちだったわけですけれども、専門的にそういうスペースをつくって新聞教
室を開催していこうと。これまで小中学生、あるいはマスコミ等の就職を希望
するような学生を中心に年間2万人程度訪れていたんですけれども、それをさ
らに拡充していこうということでございます。
それから下は展示スペースで、行われるイベントのイメージということで、
読売新聞社さんがソフトを発信していく、それからその上のフロアのホールで
開催しているイベントの周知、告知をしていこうということでございます。こ
れらの活動が大手町の交差点から見えるように建物の外装をアトリウム形状に
いたしまして、中の活動が透けて見えるような景観形成を図っていこうという
ことでございます。
09ページのほうでは、通りの街並み、人々のアクティビティを考慮した景
観づくりということで、外構の計画を記載させていただいております。まず日
比谷通りでございますけれども、都市スケールの日比谷通りということで、既
存のこれまで建てかえられた建物も街路樹と合わせて2列植栽を図っていると
いうことで、同じように景観が継続するということで、高木により景観の骨格
となる2列植栽を配置すると。そのほかに足もと空間において季節感、あるい
はヒューマンスケール、それから文化交流としての華やぎといったようなもの
8
を表出させるために花壇等を設けていこうということを考えております。
それから左下、大手町の交差点部分ですけれども、こちらについてはシンボ
ル花壇、それから季節の装飾を行う多目的ステージ、図の中で角っこに丸いテ
ーブルみたいなものがございますけれども、高さ50センチぐらいのベンチに
もなるようなものを置いて、ここが銀座のソニースクエアみたいな形でイベン
ト、あるいは季節の花を飾ると、そういったことをして大手町のにぎわいの形
成に貢献していこうということでございます。花壇自体は日比谷通りの動線に
当然かかわってまいりますので、視認性あるいは人々の動線を阻害しないよう、
形態の詳細を今後詰めていきたいと考えてございます。花壇のわきに土どめが
出てくるわけですけれども、その土どめにつきましては、高さを抑えることで
ベンチが兼用できるようにして、大手町の街角の広場で人々が滞留できたり、
あるいは荷物を置いたりといったことができるようにしようと考えてございま
す。
それから区道104号、中ほどになりますけれども、セットバックを図ると
ともに、その空間に街路樹とあわせた2列植栽でまず緑色の木を配置し、その
内側にピンク色の木になりますけれども、花をつける木を入れて文化・交流施
設としての華やいだ雰囲気を演出していこうということでございます。それか
ら建物計画上、給排気筒でありますOAの立ち上がりが出てまいりますので、
その周りを緑化してベンチ等、あわせて人々が滞留できる空間をつくっていこ
うということでございます。
それから右にいきまして、仲通りの部分でございます。こちらにつきまして
は、これまでの協議の中でもいろんな意見がございました。その中で本日は都
市的スケール、それからヒューマンスケールを重視した形で外構の考え方を整
理させていただいております。まず上位計画で求められる滞留空間ということ
に関して、落ちついた雰囲気の中で滞留できる場をつくっていこうということ
で、一番下枝を高いところに設定して目どおりを確保しながら、高木によって
緑の天蓋を形成し、視覚的な圧迫感、あるいは冬の陽だまりといったようなも
のをつくっていこうということでございます。それから沿道には路面店、ある
いはカフェ、飲食といったようなものを配置する計画でございますので、そこ
で買い物をした方々がテイクアウトで座ってお茶を飲むといったようなことが
できるしつらえを通過動線にも配慮しながら配置していこうということでござ
います。
それから、
仲通りのそれぞれの両端につきましては、
将来横断歩道ができて、
隣の街区とつながっていくということが当然考えられますので、その部分には
受けの空間ということで、少し開けた小さな広場空間をつくるということを考
えてございます。それから区道103号につきましては、植栽帯の中に雁行す
る立ち上がりを設けて、これも給排気筒でありますけれども、EAの壁面の圧
迫感を緩和するようなしつらえを図っていこうと。それから、この区道103
号は箱根駅伝のスタートの道路となっておりますので、それをこの街並み形成、
あるいは景観といったものにうまく取り込めないかということで、モニュメン
トを設置するなどして歩行者の目を楽しませていこうということを考えており
ます。
それから10ページ目では、人々のアクティビティをどういうふうに考えて
いるかということを簡単に整理してございます。まず日比谷通りにつきまして
9
は、人々としては通勤、通過の動線。それから位置づけとしては、幹線歩行者
ネットワーク、それからビジネス街大手町の骨格道路ということで、高木で2
列植栽ということで風格ある通りの景観形成をしていくと。その上で足もとに
ピロティや花壇というものを設けて、通過・通勤する人々にとって快適な空間
を創出していこうと。それから。後ほど詳しく説明しますが、地下鉄の出入り
口が日比谷通り側にありますので、バリアフリー動線、あるいは地下への出入
り口といったものを表示していこうということでございます。
それから大手町の交差点につきましては、通勤・通過はもちろんのこと、待
ち合わせあるいは街角広場という大手町のランドマークとなるということがア
クティビティとして想像されます。それから位置づけとしては、結節点広場と
いうことがございますので、交差点に面してシンボルツリーや花壇、それから
ベンチといったようなことでビジネス、あるいは文化・交流施設に来た人々の
待ち合わせ空間というものをつくっていこうということでございます。
それから104号につきましては通過動線、それから車寄せがございますの
で、文化・交流施設へのアプローチといったことがございます。それから位置
づけとしては緑のネットワークに位置づけられているということで、考え方と
しては日比谷通りと同じように、まず高木の常緑樹、これをサンケイビルさん
と同じ樹種を使って、緑のネットワークのベースをつくろうと。その上で文化・
交流施設としての華やいだ雰囲気に味つけをする花木を入れていこうというこ
とでございます。さらにピロティ空間を設けて、雨天時にも人々が歩けるよう
な空間の確保を図っているということでございます。
それから11ページをごらんいただきますと、仲通りの憩いの空間の少し細
かなものが出ております。アクティビティとしては通勤・通過、それから飲食
あるいは土日等、人々の散策も将来は出てこようかなと考えております。位置
づけ、それから特性としては、仲通り延伸空間の確保、それから憩い空間とい
うことでございます。もともとサンケイさんが2002年に完成しております
けれども、サンケイさん側の敷地にはちょっとゆとりがございませんので、建
物側の壁面後退によって仲通り延伸部分をまず確保すると。その中でカフェの
配置、それから店舗の前のファニチャー類の設置によって、憩い空間として求
められている仲通りの滞在のしかけをつくっていこうということでございます。
それから70メートルの中低層部がそこに隣接して、圧迫感が多少懸念されま
すので、この圧迫感を少しでも緩和されるよう、植栽を使って緑の天蓋を形成
し、上が余り見えないような形で樹木を考えているということでございます。
それから、両端部は将来の横断歩道設置を見据えた受けの空間として小広場を
つくる。それから、隣接敷地を含めた一体整備の可能性につきましても、サン
ケイビルさんと協議を現在継続しております。
大手町全体で見たときに、一番左下になりますけれども、仲通りの軸の角度
が多少振れてしまいますので、そこにつきましては今後サンケイビルさんの敷
地を含めた空間の中で、区と協議をさせていただきながら、どのような対応を
図っていくかということを検討していきます。
それから、ちなみになんですけれども、ベースとなります仲通り延伸部の舗
装については、丸の内側の仲通りと同じようにアルゼンチン斑岩と言われてい
る石で、張り方も似せたような張り方にすることによって統一感の形成、ある
いはリレーデザインというものを図っていこうと考えております。
10
それから103号、北側の道路につきましては、歩いて楽しい通過動線の形
成ということで、こちらについてはもともと短い区道ということもありまして、
主として神田側のほうから通勤・通過に使われる動線であるということと、箱
根駅伝のスタート地点ということもありますので、スタートラインあるいは箱
根駅伝でこれまで優勝したチームのネームを入れたレンガを舗装するとか、そ
ういった形で、ここがそういう場所ということを広く知らしめていこうかなと
いうふうに考えております。
それから植栽に関しましては、四季の移ろいを感じられるような自然な植栽
を図っていこうということと、車の出入り口については安全確保ということが
ありますので、視線の抜けの邪魔にならないように植栽を図っていくと。それ
から、こちらのサンケイビルさん側がシダレザクラを区道103号線に入れて
おります。それから大手町の2次で現在コブシの花を入れていこうというふう
に考えられているようなので、開花時期を少しずらした花木を読売さんの計画
の中で取り込んで、103号が四季の移ろいが見える道路になればいいんじゃ
ないかということで現在計画しております。
それから12ページ目はバリアフリーの動線ということで、左上が既存の地
下鉄の出入り口を示しております。もともと敷地の外、それから敷地の中、灰
色に塗っている部分はメトロさんの資産でございまして、なかなか勝手に変え
るということは難しいわけでございますけれども、本計画の中で敷地外につい
ても少し手を加えて、バリアフリー化をするために階段をスロープに変えたり、
敷地の中でエレベーター、エスカレーターを設置したりということで、バリア
フリー化の促進と利便性の向上を図っていこうというふうにして計画を進めて
おります。
それから13ページ、14ページにつきましては千代田区さん、それから東
京都さんのほうで重要な視点場と位置づけられている部分からのフォトモンタ
ージュ、合成写真でございます。
少し長くなりましたけれど、説明を終わらせていただきます。
〔 質 疑 応 答 等 〕
西村会長
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、ご意見、
ご質問ありましたらお願いしたいと思います。
山本委員
質問はいろいろございますけれど、大きなところでまず二つ。何で高さが2
00メートルなんですかというのが一つ目の質問。それから、この設計図を見
ておりますと、上層部と中層部と低層部と分かれて、建築的に、ちょっとアン
バランスのところがあるので、それを調整するために、低層部と上の部分に統
一感を持たせるためにということをおっしゃっていたんですが、そもそもこの
一番上にある南西寄りから見た上のガラスの部分ですけれど、これの使用目的
は何なんでしょうか。それと景観上から言いますと、これが宮内庁のほうから、
他のホテルでも問題があったんですけど、宮内庁と了解を得ていらっしゃるの
か。むしろこれを丸の内側の東側に持っていけば、どうしてもこれがつけたい
んであれば、東側に持ってらっしゃれば遠くに海も見えますし、海からのライ
トを入れてもきれいだと思うんですけれど、そのあたりがちょっと、ぎくしゃ
くとした感じの景観を受けます。
11
事業者
まずその2点、最初に質問いたします。
それでは私のほうから概括的にお答えして、足らないところは日建設計から
補足をさせていただきます。
なぜ200メートルかということでございますけれども、冒頭でも先ほど申
し上げましたとおり、新聞社にとっては編集局、瞬時に対応しなければいけな
い編集局というものの面積を確保することが、かなり死活的に重要だと認識し
ております。したがって、低層部の、基壇部という低層部が広がっている部分
なんですけれども、ここに5層にわたって編集関連のフロアを詰め込んでおり
ます。その下に文化・交流拠点であるホール等々を設けておりますために、そ
こが、かなりせり上がってきております。残る事務所棟、いわゆる事務室の関
連を積んでいきますと、どうしても高さが200メートルないと、先ほど申し
上げたように、仲通り側の圧迫感を減らすという意味で、高層等をスリム化し
て日比谷通り側に寄せておりますので、そうしますと、どうしても高さがない
と面積が確保していけないというような事情があって、そのようにしておりま
す。足らないところは補足をさせます。
もう1点、高層部にあるガラスで見える部分ですけれども、ここはいわゆる
新聞社でございますから、内外のとても重要な方が来たときのレセプションを
させていただく部屋として考えております。幾つか具体的に申しますと、読売
新聞社、全国の小中学生や高校生を対象にして学生科学賞、あるいは高松宮様
からずっと続いている英語弁論大会等々の教育関係の催しをやっております。
これの表彰式になりますと、秋篠宮ご夫妻ですとか、高円宮妃殿下ですとか、
そういう皇族方を含めて、かなり政府要人も含めていらっしゃいます。こうい
う方々がいらっしゃったときにお迎えしてレセプションをさせていただくとい
う部屋としてそこを考えております。
もう1点、新聞社、海外に向けての活動をしておりますので、例えばノーベ
ル賞の受賞者を招いたフォーラムですとか、海外の大統領、首相クラスを呼ん
だシンポジウムですとか、そういうものもこの下のホールで当然開催すること
になるんでございますけれども、そういう方々がいらっしゃったときに、やっ
ぱり大丸有エリアを上からきちんと見て、皇居の緑も見ていただいて、きちん
と日本を知っていただくということでおもてなしをしたいということで、この
レセプション、ラウンジというかルームというか、そういうのも設けておりま
す。
宮内庁との協議でございますけれども、既に始めております。宮内庁の管理
課長さん、あるいは管理課の担当者の方にお目にかかりまして、今の概要、ほ
ぼこれと全く同じものですけれども、同じものを見せてご説明を申し上げまし
た。特段今のところ難しい注文、あるいはご意見等はいただいておりませんの
で、
残る宮内庁病院からの視点の見え方ですとか、
その辺のシミュレーション、
特にあちらは恐らく問題ないと思いますけれども、もう一度やっていただきた
いとおっしゃるので、それをやった上で、淡々とお話をしましょうかというの
が今の宮内庁協議の現状でございます。
それでは、高さにつきまして少し補足説明をさせていただきたいと思います
ので、参考資料の10ページをごらんいただければと思います。
まず大きな考え方として、地区計画というものが定まっている中で、通常地
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区計画であればできるものということで、おおむね150メートルの建築高さ、
最高高さとしては162メートルまでというものが敷地の模式図として左側に
書かれております。これが地区計画適合建築物として計画のスタートになるん
だろうなということでございます。その上で、上位計画で仲通り延伸部をつく
りたいと。隣接する建物と低層部では12メートル、それから中高層部ではお
おむね21メートルをとってほしいということが上位計画で求められておりま
す。その中で、サンケイさんがもう2002年に建って、敷地境界にはサンケ
イさんのほうで空地をとることができないということで、ステップ1になりま
すけれども、計画地の側で建物の引きを確保すると。その分若干、地区計画よ
りステップ1として上がっていくと。さらにステップ2として、右上になりま
すけれども、文化・交流拠点をここにつくっていくということで、先ほどの編
集局もありますけれども、この文化・交流部分だけで20メートルぐらい建物
の高さが上がってくる。それからステップ3は、ステップ2の段階でサンケイ
さんのビル、それから本計画のビルということで、150メートル、190メ
ートルというビルになってしまいます。これでは仲通りの視線の抜けも心配で
すし、盤上の建物が190メートルにもなるということで圧迫感の影響も大き
いと。そういう観点に配慮して、隣のKDDIビルの間とのボイド空間という
ものを連続させることで仲通りの圧迫感の軽減を図るために建物をタワー状に
したと。計算上でいきますと、建築基準法上の高さが226メートル、それか
ら頂部の高さが238メートルまでいけば、KDDIビルと東側の壁面位置が
そろった建物になるわけですけれども、さすがに238メートルというのはこ
の大手町、あるいは東京の中でもかなり突出したものになってしまいますので、
少しKDDIビルの東側の壁面とは合いませんけれども、基準階の高さを調整
して、地区計画あるいは大丸有のガイドラインで許容されている上限200メ
ートルにしております。
計画的な考え方は以上ですが、実際、その例でいきますと、中央区のCOR
EDOさんがかなり横に長いビルで、あれは高さがたしか150メートル弱だ
ったと思います。それからもう1点同じように、中央区の建物で約200メー
トルあります三井タワーさんがあると思いますが、周辺への影響を考えたとき
に、横に大きいものよりは細くて高くなったほうが周辺への影響といったとこ
ろでは圧迫感が少ないんじゃないかというところがベースの出発点として、こ
の模型を見てもある程度おわかりになるかと思うんですが、周辺への圧迫感と
いうものを考えたときに、上についてはできるだけ細くしたほうがいいんじゃ
ないかということで、現在、大手町合同庁舎の跡地とか、既存の日比谷通り沿
いの建物といったところの基準階の大きさ、おおむね2,000平米前後なん
ですけれども、それと同じような建物の形状にしてございます。
松谷委員
今の仲通り延伸部のことなんですけど、私はまだこの仲通り延伸部の話が言
われてきたころにはこういう委員をやってなかったので、余りよく知らないん
で、この前仲通り延伸部を大手町のほうにつなげると、どういう形になるんだ
ろうかと思って一回見に行ったんですけども、仲通りそのものは本当にきれい
なケヤキの並木になっていて、丸の内側の非常にいい景観をつくってきている
んだなというのは感じたので、それをそのまま東京駅を挟んで大手町側のほう
に延伸させようという計画なんだろうと思うんですけれども、かなり無理があ
るんじゃないかなと思って見ました。もちろん、今、大手町ビルという大きな
13
長いビルが、多分二つに寸断されなくてはこの計画は立ち行かないことだろう
と思いますし、それからその手前にありますファーストスクエアビルのところ
にあるフィナンシャルセンターが、多分そこが一番丸の内側から来るとドンと
ぶつかるビルなので、そこも多分よけてこちらの大手町開発事業のほうにいく
のではないかなと思って、その時点でかなりちょっとぎくしゃくしているとい
うのは、こちらの計画書のほうにもちょっと書いてありましたけれども、それ
をそのままここへ持ってきたゆえに、このビルがこんな細長い、三角形のちょ
っと不安定なビルになるんじゃないかなというふうに思っていたんですけど
も。
この幅が今12メートルというお話でしたけども、この12メートルという
のは全部読売側で12メートルをとるわけですよね。そしてサンケイ側に対し
ては、あと何メートルぐらい、もうこれは建っているビルですけども、さらに
さらに先の再開発を計画しないと、これは多分立ち行かない話なんではないか
と思うんですが、そこにさらにケヤキのような大きな高木を置き植栽に使う、
何でそこまで無理をするんだろうかというのが私の率直な考えです。二つスク
エアビルが右と左にありますけれども、そこの間のちょっとした細い空間など
は低木を鉢のようにして使って、すごく散歩しやすい道路になっているんです
ね。そのようなつくり方でも、要するに人が通る道をつくっていただければい
いので、かなりな無理をこれからもしていくんじゃないかなという感覚をちょ
っと持ちました。
それからもう1点は、135号線のほうは北側になるので、そこに植えられ
ている植栽は、今はクロガネモチの木だと思うんですが、非常に貧相な形にし
か育ってないんですね。なので、そこにまだ何か花の咲く木を植えるというよ
うなあれだったんですけども、それが本当に育つのかなというのをちょっと心
配しております。
以上の2点です。
戸田委員
今の松谷委員さんのお話を聞いていて、仲通りの機能延伸については、私も
少し同感な意見を感じました。というのは、やはり道路にしていくという考え
方しかパッと思い浮かばないんですけれども、最初にその計画があるというの
を聞いたときは、丸の内エリアから神田の方まで、にぎわいが連続していくん
だというふうなことで、すごく理想的なお話に聞こえたんですけれども、この
ように図面を見せていただきまして、各事業者の違う敷地の連続の仕方を見さ
せていただきますと、無理は多少なりともあるのではないかなという感想を得
ました。
ですが、連続的につなげられなかったとしても、断続してしまっても、敷地
から敷地へとリレーデザインの考え方ですとか、何かちょっと路面やそういう
ものでつながっていなくても、樹種や活性化用途ですか、そういった飲食店な
どのつながりで雰囲気をつなげていくということはできるのではないかなと
思いました。
それから、高さについてなんですけれども、今ちょうど目の前に模型もござ
いますので、やはりほかの方のご意見と同じように、200メートルというの
は、高層部をスリム化させてあっても、大丸有のガイドプランでしたっけ、そ
のスカイラインと絵の上では合って見えますけれども、やはり視界として見さ
せていただきますと、ちょっと高いなという印象は感じます。それで、中低層
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部の文化・交流拠点スペースが、外から見てもガラス張りで広がりが感じられ
て、交流の拠点だというのがすごくシンボルとしてわかるというのはいいんで
すけれども、天上高が高過ぎるというか、広がりのあり過ぎる空間があること
によって、高さも高くなってしまっているのではないかなと思いまして、その
あたりもう少し高さの軽減に努められるのではないかなと思いました。
以上です。
西村会長
ありがとうございました。仲通りの延伸に関しては、仲通りのように道路を
一体開発するというわけにはいかないので、その意味で言うと少しずつ違うも
のが、それぞれの敷地の中の努力でつなげていくということをやることは、や
むを得ない話なんですね。100%の連続性を一事業者に求めることは難しい
わけですけれども、少なくとも具体的に、この空間に高木が植わって楽しい空
間になるのかというご質問だと思いますので、まずその点ですよね。それと北
側に関して。それとまた、今はつながってないにしても、将来つながることを
考えたときに、何か連続性に対する工夫みたいなものがあるのかというご指摘
だと思います。それを事業者側に答えていただきたい。
また、これは区のほうになると思いますけれども、今、サンケイビルはああ
いう形なのでなかなか対処の仕方がないわけですけども、超長期で見たときに
どういうことがあり得るのかとか、またあそこに塀みたいなものがあるわけで
すよね。こういうものが前回から議論になっているわけですけれど、大きな敷
地が足もとあいて真ん中に塀が立っていくというのが、幾つかの敷地である。
これをどういうふうに考えていったらいいのかというあたりに関しては、これ
は区の側のお考えだと思いますので、それは区の側に考え方を答えていただき
たいと思います。
それでは、足もと回りに関しての何かお答えがあればお願いしたいと思いま
す。
事業者
会長がおっしゃるとおりで、仲通りの連続性のことに関しては、もう少し広
い固まりで考えられていることだと思いますので、我々はその中で与えられた
役割を果たそうということで、いろいろ工夫をしようと思います。その工夫に
ついては、細かいことは補足させます。
1点、サンケイビルとの関係ですけれども、我々もあそこに塀が残ったまま
でいいとは全く思っておりませんので、今回、我が方だけで、先ほど説明しま
したみたいに、最も狭いところで12メートルセットバックさせていただいて、
スペースは確保いたしました。その上で、サンケイビルさんとのお話し合いも
直接始めておりまして、
先週、
サンケイビルさんからご連絡をいただきまして、
敷地境界のところに設置している壁、いわゆるフェンスについては、サンケイ
ビルとしても仲通りが延伸してくるということであれば撤去しますということ
を社内的にも了承をとりましたというご連絡を先週いただきました。したがっ
て、フェンスをとるということが了承されたので、お互い、もう少し12メー
トルからさらにサンケイさん側に数メートル広がってくるスペースを使って、
どういうふうに一体的に整備をしましょうかということを区にも仲立ちをして
いただいて、まさにこれから相談を詰めようと思っております。
細かいデザインについては補足をさせます。
参考資料の12ページをご覧いただくと、仲通りの延伸部分、まず上位計画
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でありますまちづくりガイドラインで、大手町のほうはどういうふうに考えら
れているかということで、上のほうに位置づけ、それから目指すべき空間像み
たいなものが書かれております。
参考資料がない方いらっしゃいますか。こちらのオレンジ色のクリップどめ
になっております2冊目、オレンジ色の帯がついているものでございます。
この上部のほうで、大手町エリアの仲通り延伸部というものは空地を連続さ
せてつくっていくものだということが、丸の内のまちづくりガイドラインの中
で述べられております。それから丸の内側はもともと道路が入って車も通って
おりますので、こちらはおっしゃるように通りを連続させていった街並みがで
きるんだというふうに計画の中では位置づけられております。
現在、延伸部がどうなっているかというのは右側に出ておりますけれども、
今フィナンシャルセンターが建っているところ、こちらはフィナンシャルセン
ターが解体されて、大手町の森という形で、右下に少しパースが書いておりま
すけれども、緑豊かな空間として、大手町のほうの考え方でいけば新しい仲通
りのゲート的な空間が、永代通りのすぐわきにまとまった緑として、たしか記
憶では4,000平米ぐらいあったかと思いますけれども、そのぐらいのまと
まった緑ができると。それから、上の神田側のほうでは大手町の2次、それか
ら大手町の3次という区画整理と再開発事業を重ね合わせました連続する開発
が今後行われる予定で、その間にはたしか24メートルぐらいはできる歩行者
の空間が、空地として確保されるというふうに伺っております。
その中で、もうこれだけでもタイプの違う植栽の形になっておりますので、
丸の内側のように同じような景観が続くような仲通り延伸部になることは難し
いのではないかなと思いますが、歩行者の動線として緑の中を歩けるという意
味では、
快適な都市空間が創出されるのかなと。
その中で本計画地においても、
将来的にサンケイさんが次に建てかえるときにはさらに協力をいただいて、よ
り良好な空間ができればというふうに考えておりますが、現在、上位計画で求
められている足もとで12メートル、上でおおむね21メートルというものを
本計画の中でとっていこうということで考えてございます。
具体的には、現在計画しているサンケイさんとの間がどうなっているかとい
うことが参考資料の13ページの右側に、各離れの距離を記載させていただい
ております。計画で今12メートルと言っておりますのは、右側の②の敷地境
界の一番狭いところで12メートル。建物自体は道路の軸と少し敷地境界が斜
めになっていることもありまして、両側の建物の外壁の距離でいきますと、一
番足もとで20.4メートル、それから中層部で15メートル、1階で16メ
ートルということになっております。
西村会長
松谷委員の質問は、一つは樹種がここの仲通りの延伸側で、高木でいいのか
というのと、それから北側にクロガネモチが植わっているけど、余り育ってい
ないのでいいのかという質問だと思いますけど。
事業者
樹種につきましては、当初、大手町の2次計画、この上のパーツと同じよう
にケヤキを考えていたんですけれども、アドバイザーさんとの協議の中で、滞
留空間としてそこまで統一しなくてもいいのではないかということで、本日の
ところは別の樹種を想定させていただき、アキニレという樹種を入れさせてい
ただいております。それから敷地の北側のクロガネモチにつきましては、街路
樹でございますけれども、恐らく道路の土壌が悪いのではなかろうかなという
16
ふうに考えておりまして、サンケイさん側のほうまでいくともう少し立派な木
になっているんですが、読売さんのところはとても小さな街路樹のまま……。
松谷委員
サンケイさんのほうは開けているじゃないですか、土地が。だから多分太陽
が当たっているんだと思うんですけれども。こういうふうな建物なので、敷地
が非常に広がっていますよね。だけど西のほうに行くと、KDDIの建物が迫
って建っているんで、あれはそんなに日が当たらないんじゃないかなと思いま
したけど。
事業者
日当たりという意味では、これは例えがあれなんですけど、区道104号の
大手町ビルの北側のイチョウなんかもちゃんと育っていますので、ある意味、
日当たりという要素は余り、木にとっては日が当たったほうがいいには違いな
いんですけれども、余り影響度合いは低いのかなと思うと、やっぱり樹種なの
か、木が弱っているのか、土が悪いか。聞いた話では、土を踏み固められると
根が呼吸できないとか、そういう話もあるみたいなので、そこについてはちょ
っと敷地の外なので何ともあれなんですが、敷地側ではきちんと木を育てるた
めの土を入れかえて、そのための根鉢もちゃんとするというふうに考えます。
西村会長
区のほうで少し長期的な、先ほどのような既存の建物のフェンスなどの考え
方とかということありますか。
都市計画課長 都市計画課長の山口でございます。仲通りの延伸につきましては、これは
大丸有のガイドライン、それからここにかけております地区計画の中でもそれ
をおり込んでおります。先ほど会長がおっしゃっていただいたように、それぞ
れの敷地、それぞれの地権者さんたちが違う中でも、こういった理念のもと、
実現していこうよということで、各地権者さんたちが知恵を出しながらこの空
間を確保しているということだろうと思っております。とりわけ永代通りから
北側の大手町につきましては、丸の内側は車も通るんですけれども、永代通り
から北側の大手町エリアというのは、完全に車が通るところではございません
ので、歩行者の空間として創出していこうという流れになっております。これ
は将来的には神田のほうにもつなげていこうということで、現在そういった取
り組みを進めているという状況になっております。
先ほど会長から言われた、今回はサンケイビルが既にここのエリアでは一番
早く建物が建ったという関係で、これを何十年後かに建てかえということもあ
り得るかもしれませんけれども、現実的な話として、今回読売さんが建てかえ
るときに、こちらのほうで12メートルを確保したという形になっております。
したがいまして、将来的にサンケイビルが建てかわるというようなところに、
そのころ、いつぐらいになるかの話はなるんですけれども、当然、それ以上の
空間を確保していただけるように協議していくという姿勢が区の姿勢というふ
うにご理解いただければと思います。
鈴木委員
今の仲通りの延伸部分の件については、アドバイザーの協議の中でも話題に
なりました。特にサンケイビル側のしつらえについては、塀があって、それを
撤去すべきという話もあったんですが、それ以上に塀を撤去しても、その後、
出てくる部分がどうも裏側になって、裏側を見てもしようがないということで、
何とかならないかと。以前の協議の関係からの情報で、サンケイビル側にも活
性化に資するような、にぎわいをつくるような用途を入れるスペースは若干あ
ると。ただし、サンケイビルについては、総合設計制度を使って、容積目いっ
ぱいで当時建てたということもあって、そういったスペースを活用することが
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できない。ただ、サンケイビルが建った直後に容積率が1000%から130
0%に上がったという経緯があって、実はその1300%をサンケイビルは使
い切ってないということになるんです。ですから、サンケイビルの増築をせず
とも、増築というのはボリュームがふえるという意味での増築ですけれども、
それをしなくても、にぎわいに資するような用途を入れることは可能なはずな
んですが、これについては東京都が許可権者でして、東京都がサンケイビルの
容積をどう考えるのかということによって、柔軟な対応が可能であれば、裏側
のサービス部分だけを日常的に眺めるということにはならず、カフェであると
か、そういった用途が入る可能性があるんです。これは千代田区だけではでき
ない限界の部分でもありますので、何とか東京都で検討していただきたいとい
うのがアドバイザーとの協議の中で出てきた内容です。
もう1点ございまして、アドバイザー会議ではまず高さを抑えられないかと
いう指摘と、一方で、仲通り側の延伸部分の立ち上がりが70メートルありま
す。70メートルの立ち上がりで、幅員が広いところで15メートル、狭いと
ころでは12メートルと、非常に谷底のような感じになってしまう。これにつ
いて70メートルの高さをもう少し低減できないものかというお話もさせてい
ただきましたが、高さ、それと70メートルという中段部の高さについては変
更できないというお話がございました。その中で、最大限仲通り側の圧迫感を
軽減するような努力をしていただけないかというようなお話もありまして、そ
ういった中でいろいろなランドスケープのデザインによる圧迫感を軽減するよ
うな努力というのが出てきたと思うんですけれども、そういった点については
広くこの景観審議会のほうでもご意見をいただいたほうがよいかというふうに
思います。
橋本委員
私のまず区民としての感想から言わせていただきたいなと思っているんです
けれども、私も冒頭のなぜ200メートルなのかというところに対する疑問は
全くぬぐえないんですね。そもそも日本を代表するような新聞社である読売さ
んの横にサンケイビルがあって、そのサンケイビルは大きな広場をつくって、
それがゆえにあの高さが認められたというのもあるんでしょうけれども、ただ、
そちらに今模型にもある今度挙がってくる大手町の再開発についても200
メートルあるから、だから同じ高さだからいいんだろうという理屈もあるのか
もしれませんが、ただ、あちらも大きな足もとに公開空地を設けていると。な
ぜ同じ新聞社でありながら、同じ程度の、天下の読売さんが足もとにそのよう
な、皆さんがあそこを憩いの場として使えるような空地が設けられないのかな
というのが最初の疑問でした。ただ、ここの計画の中で、どうしても新聞社の
魂がこのフロアを設けないとできないんだというような話が一つ理屈として
あるならば、これは余り私権の制限をしてもしようがないのかなというふうに
も思ってしまうので、だとするならば、もう少しすっきりした建物ができない
のかなというふうに思いました。
よくわからないのは、要は200メートルまで上げるという感覚がよくわか
らなくて、もう少し読み込んでみると、丸の内というところは、確かに東京駅
の真ん前にあると。ターミナルの拠点という意味もあって、そういう意味での
いわゆるランドマーク的な意味合いというのはあると思うんですよ。ただ、大
手町はどうなんだという話の中で、一つのターミナル性というのがメトロとい
う意味合いではあると思います。ただ、今後、メトロという意味合いの中で言
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うと、それが上に上がってくる意味合いは余りないような気もします。それと
あと何のターミナルなんだろうと、何の拠点なんだろうというふうに、この計
画を見ていると非常に考えてしまって、文化・交流の拠点というふうにうたっ
ているんです。文化・交流の拠点であるならば、そこのもう少しメニューを提
示していただけると大変ありがたいなと。
私、最初に感想というのを言わせていただくと、丸の内というのはすごく、
ゴーストタウンから人々が集まるアクティビティのあるまちに生まれ変わった
と思うんですが、大手町はまだなんです。唯一あるのがサンケイビルの前の広
場ではあるんです。その隣に無味乾燥としたような感じの今の読売新聞社の本
社があるというのを建てかえる、これはすばらしいことだと思うんです。ぜひ
いい形に建てかえてほしいなというのが本当の要望なんですよ。そのためには
もう少しアクティビティが本当に見えてくるようなプランがもう少し見えてこ
ないと、例えばガラス張りにして劇場を設けたからといってアクティビティが
本当に見えるのかといったら、劇場の開園前と開園後しか何かアクティビティ
は見えないんじゃないかなというふうにも思いますし、
あと、
あの形状の中で、
例えば何かあそこに大きなルーフバルコニーができますけれども、あそこはど
のような形で使われるのかと。余り使われる必要がないのだったら、やっぱり
すっきりしたほうがいいんじゃないかと、形状のほうも考えますし。
あとメトロとの結節点が非常に今、無味乾燥としております。これはメトロ
さんとの協議が必要になってくると思うんですけれども、やはりターミナルと
して情報が集約していくというような話の中で、人も集まってくるんだという
話になると、ここをより一層、人が集まれるような工夫をしていただけるとい
いなと。今は本当に結節点自体の上がりが、こういうふうに動線だけでしか表
現されていないので、そこら辺のところをもう少し表現していただけるとあり
がたいなというふうに思います。
そして、最後にやはり、もう一度サンケイさんとの手の組み方。情報の拠点
とするならば、ソフトの部分で手を組んでいただいたらどうなんだろうかと。
あそこを本当に情報の拠点とするなら、あるいは文化・芸術の拠点とするなら
ば、サンケイさんと、目では見えなくても、本当に手組んでやっているよとい
うようなまちづくりにしていただくと、大変、大手町が活性化してくるんじゃ
ないかなと、そういうふうに思います。そんなお願いです。
中嶋委員
ご指摘の点、私も感じるところもございまして、同感のところもあるんです
が、やや大丸有協議会という立場からも意見を言いたいと思います。
この大丸有協議会、いわば大丸有の懇談会のガイドラインに沿った計画に沿
ってこの建物計画は、先ほどご説明いただきまして、大変尊重いただいている
ということがわかります。この点についてまず感謝申し上げます。
そういう中で、このビルの敷地が先ほど来議論になっているように、大変い
ろんな制約があると。例えば仲通りの延伸については、委員の先生からもあっ
たように、無理をしてとるというところまで、ぎりぎりのところまで努力され
たということは、懇談会の立場からは言えるんじゃないかなというふうに思っ
ております。それから今のご指摘のとおり、拠点を大丸有の懇談会の中ではこ
こに定めております。それはご指摘のとおり、大手町のメトロの結節点という
ところでございまして、ここには非常に大手町の中でも駅が四周を囲んである
場所でございまして、ここの利便性を活用した用途構成があるべきであると。
19
すなわち、
ここでは、
後でもう少し加えて質問の中でもしたいんですけれども、
おっしゃるとおり、情報にぎわい機能、その中でも特にこれまで外部で行って
きたさまざまなイベントを平日もこのホールで行っていくということが書かれ
ていて、後ほど、もしこの辺について具体的な計画とか、あるいはまちに対す
る寄与をご説明いただきたいと思いますが、ここがメトロの拠点における機能
構成として最も重要なポイントじゃないかなと思います。この点についてもう
少しご説明を、私もしていただきたいというふうに思っております。
こういう中で、こういうビルの形状が生まれてきたということなんですが、
高さについての議論、これはもちろんこの中で議論していただければと思うん
ですけれども、私個人的にはこのビルがニューヨークのスタイリッシュなビル
のように思えて、
好きではあります。
それをちょっと加えさせていただきます。
西村会長
ほかに何かご意見あれば、そこまで伺ってまとめて答えていただきます。
小林委員
2点あります。1点はやっぱり高さの話ですが、200メートルということ
を言っておりますけれども、なだらかなスカイラインに100メートル、15
0メートル、200メートルというなだらかなスカイライン、丸の内に決めて
きていると思うんですけど、ここが先ほどのマトリックスのような10ページ
の説明で、どんどん高くなっていっているという、このマトリックスがなぜで
きているのかというのが一つです。
あと、13ページのフォトモンタージュで見ても、この200メートルが今
後ほかを引っ張ってしまうような感があります。どこで見てもこの200メー
トルが引っ張っていく。先ほどちょっと読売新聞さんの説明で、皇居の緑の見
おろす形でゲストへ説明をしたいといった説明がありましたけれど、それがた
めに200メートルにする必要は全くない話で、低層、中層部をもう1層でも
2層でもふやすことによって、重圧感はそれほど感じられないと思うんです。
それで上層部を下げないという決定をしていたようですけれども、なぜそうい
う考慮がなされなかったのかと。ただ単に皇居の緑を見おろして説明するとい
う理由だけでラウンジをつくるような考えであるなら、景観に対しては、ここ
の200メートルがすべてを引っ張ってしまうような、今後、建てかえにあっ
て役割を果たしてしまうのは景観上、非常によろしくないという考えるので説
明をいただきたい。
もう一つです。模型、日建設計さんは、たくさんの模型をお持ちいただけま
すけれども、基本的に私どもの会派もそうですけれども、500分の1が出て
こないと、一体感とかその部分の存在感を理解できない大きさなんです。多分
これは1,000分の1じゃないですか。500分の1ですか。500分の1
ですと、多分500分の1を前のところをもう1個持ってきていただくと。こ
の辺全部つくっているので、ここだけではなくて、もっとどんどん持ってきて
もらうと、全体のまちなみとかが理解できるんで、日建設計が、多分この辺ほ
とんどやっているんで、持ってきていただくと、ここの部分、何メートルです
か、これ。何メートル範囲のものを見るよりも、大変だと思うんですけれども、
模型を、多分こっち側もやっていたんでつながるはずなんですよね。区もでき
ればそういう指導をしていただきたいと思っております。模型については日建
設計さんにお願いです。お答えいただきたいと思います。
飯島委員
今、一番大きな問題になっている高さの問題では、私も非常にそのように思
います。お仕事の性格上、それだけの容量が必要なんだ、あるいは許容範囲で
20
はないか、そういうようなお答えがあったわけなんですけれども、それは、や
はり周りとの関係といいますか、これから今後のことを引っ張っていってしま
う、スカイラインの一つの基準になってしまうという恐れがあるという点では、
非常に考慮しなきゃいけない面かなというふうに思います。この景観のコンセ
プトのキーワードとしても、水と緑のネットワークというようなことが示され
ていたり、あるいはヒューマンスケールの憩いの空間ということを出されてい
るんですけれども、そのキーワードというぐらいに値する中身かなというのが、
緑のことについても、空間についても、私は非常に疑問を持つわけなんです。
その点について、補足して回答の中に入れていただければありがたいと思いま
す。
以上です。
戸張委員
今、高さのこと、いろいろ議論になっておりますけれども、私としては高さ
に関して、なぜ高さがこうなったかという説明をいただきました。首都の都市
機能を有していくためには、ある程度やっぱり都心区というのはやむを得ない
んじゃないかなと私は思っています。
それから仲通りのことが先ほど出ていましたけれども、以前のこの大手町の
開発のときに、いわゆる神田地区との連携ということで、仲通りに関してはぜ
ひともつなげていただきたいということを言って、それぞれの民地の企業さん
が努力してやっていっていると思うんです。大手町というのは、ご承知のよう
に人が住んでない。ところが、すぐ北側には神田地区という人が住んでいる地
域があるんです。ですから大丸有だけがよくなっても、全体のまちづくりには
ならない。その辺のまちづくりという観点はどういうふうにお考えになってい
るのか、それもあわせてお聞きしたい。
以上です。
西村会長
よろしいでしょうか。高さの200メートルの根拠をもう一度説明していた
だきたいということと、文化拠点の文化の中身ですね。それから周辺との、特
に神田との関係ということで補足あれば説明していただきたいと思います。
事業者
では概略、事業者読売新聞社からご説明して、技術的なことは必要なら補足
をさせたいと思います。
なぜ200メートルかという問題ですけれども、それは先ほどから申し上げ
ていますとおり、新聞社としての機能、文化交流として大事な機能、それを詰
め込んでいって、かつ高層棟の圧迫感を減らすということをした場合に、どう
してもやっぱり床面積上、あの高さがないとなかなか維持できないという、先
ほど日建設計から説明した理屈になります。それで小林先生ご指摘になりまし
たとおり、中層の部分、基壇部の部分を積んでいって、その分の高さを減らす
という選択も、それはないわけではなくて、我々もそれは検討しないわけでは
ありませんでした。ただ、どうしても仲通りへの圧迫感等々を考えますと、あ
れ以上、70メートルの基壇部を積んでいくということは、それは逆にマイナ
スではないかという判断をしまして、今のような形状になっております。決し
て上のレセプションラウンジからの眺望だけを重視して、高さを無理やり積ん
でいるというわけでは、それはございませんので、そこのところはご理解を願
いたいと思っております。
それと緑の関係ですけれども、緑の関係では我がほうとしては敷地がそれほ
ど、限られた敷地の中で建ぺい率を守ってつくっておりますので、サンケイの
21
ような広大な空地はつくれませんけれども、全体的にセットバックした中で何
とか今まで日比谷通り等にないようなものを導入できないかということで、一
応工夫はしております。その一つがご提案申し上げている花壇であり、シンボ
ルとして目印になるような広場空間の花壇をつくって、そこに銀座のソニービ
ル前とイコールではありませんけれども、何かそういう今まで日比谷通り側沿
いになかったようなにぎわいを創出できないかというところで、そこには花壇、
あるいは先ほどくぼんでいるところにステージがあったと思いますが、そこに
は例えばこの時期でしたらクリスマスツリーのイルミネーションを飾るとか、
その辺でちょっと今までにないようなものをできないだろうかというところは
我々が工夫をしている部分でございます。
それと、最初に橋本委員ご指摘になった、あるいは最後の先生もご指摘にな
ったように、文化系のことでございますけれども、資料の08ページに紹介い
たしましたのはごく一部でございます。ホールを二つ設けまして、ここで例え
ばご想像になるような単なるパネルディスカッションとか講演会とかだけをや
るということではございません。ここでできれば、ここに写真もありますけれ
ども、ちょっと古典芸能のようなもの、お能ですとか、日本舞踊ですとか、そ
ういうようなものもやれないだろうか。あるいは、これはすぐできることです
けれども、大手町の地区で落語ですとか、そういう寄席のようなものができな
いか。あるいは、うちは読売日本交響楽団という楽団も持っておりますので、
ミニコンサートなどができないだろうかとか、その辺のことも考えております。
こういうところに例えば千代田区さん、例えば親子体験で何か観劇をしていた
だくような催し物を区と協力してできないだろうかとか、そういうことも考え
ております。
また、下の段の新聞教室、ちょっと古臭い名前ですので、もしかしたら名前
は変えるかもしれませんけれども、ここはいわゆる子どもたちが活字文化に親
しむことができて、新聞製作を自分で体験したり、あるいは模擬記者会見なん
かを体験して、質問をして自分で新聞の記事を書いて、それをコンピューター
画面でつくって持ち帰ることができるようにしたいと。そういうような体験型
の学習施設を考えております。今年度は教育指導要領で活字文化、あるいは新
聞の教育への使用ということもうたわれておりますので、できれば千代田区さ
ん、あるいは周辺の教育委員会さんなんかともお話をして、こういうところで
何か課外授業のようなものができないだろうかというようなことも考えており
ます。
あるいは千代田区は、神田駿河台の大学街と神保町の古書店街をお持ちです
し、活字文化には脈々とした歴史のあるところでございます。千代田文学賞と
いうものもおやりになっておりますので、そことタイアップして活字文化の活
性化のキャンペーンみたいなものをこのホールを使ってできないだろうか、あ
るいは新聞教室を使ってできないだろうかと。その際に、橋本先生ご指摘にあ
ったように、
周辺にせっかく産経新聞、
あるいは日本経済新聞ございますので、
そこと連動した形でそういう活字文化を盛り上げていくような、あるいは教育
効果があるようなイベントを打てないだろうかと。そういうようなことも既に
内々には検討を始めております。そういうプログラムに関しては、今後とも千
代田区さん、あるいは教育委員会さんともご相談をして、できるだけ大手町、
丸の内、要するに平たい言い方をすると、東京駅の方ばかりを見ているんじゃ
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なくて、神田駿河台の側も見て、何となくここが結節点になる形で地域の文化
の拠点になれないかということを考えています。
1点補足すると、このギャラリーというか、踊り場のような展示空間ですけ
れども、そういう流れですので、例えば地域の方々の絵画ですとか、書道です
とか、文学作品の表彰、あるいは展示というようなものにもお使いいただける
ように連携をしていくつもりでございます。
それとあと、にぎわいの創出という観点なんですけれども、これは実はうち
の新聞社、事業局というもろもろのイベントをするセクションを持っておりま
す。そこも実は今、入り切らないので分散してあるんですけれども、そこも今
回は集約して、ここを拠点とするつもりでございます。あるいは、読売巨人軍
も今は別のビルに間借りしておりますけれども、そこもここに集約していくつ
もりでございます。したがって、箱根駅伝はもちろんですけれども、そういう
スポーツ、文化イベント、あるいは巨人軍の関係というものも、ここがコント
ロールタワーになってイベントを打てるという形になります。
ただ、やらせていただけるなら、外の外構周りでもガラス面を使ってでも、
かなりにぎわいは創出できるんですけれども、そこは逆にこの地区の旧美観地
区としての落ちつきですとか、そういうものもございますので、そこは重々千
代田区の景観担当の方とご相談をして、できる範囲でにぎわいの創出に貢献を
していきたいというふうにうちは考えております。
西村会長
ほかに何かご質問。ほかはいいですか、そろそろ時間があれですが。委員の
方、よろしいですか。
山本委員
今までのご説明を承りましたというか、そもそも4ページにあるコンセプト
が、歴史と風格ある首都のランドマークというシンボリックなことを言ってい
らっしゃるんですが、とにかく新しいものをこの地区で、千代田区の皇居周辺
でお建ていただくときは、まずその歴史とか、それから景観に溶け込む、一人
だけ目だってほしくないわけです。溶け込んでいただきたい。これはパタン・
ランゲージ、アレキサンダーの書を読んでいただくと、それがこちらのマニュ
アルに集約してございますので、ちょっとこれは入れ方が少ないなと思ってお
ります。これをもう一度熟読していただいて、ご計画を見直す点は見直してい
ただきたいと思っております。
それからもう一つ、5ページにサインのことが出ているんですが、皇居や周
辺に配慮して高層部の設置は避け、中層部にサインを設置するという文句があ
るんですが、このサインについて今までご説明がないので、これはニュースを
テロップで流すタイプなのか、縦なのか、どんなふうなものでしょうというこ
と。
また、11ページなんですけれど、木漏れ日の庭とか、そういうのはいいん
ですけど、勇者の庭って、今は勇者と言われても争う勇者というのか、一体ど
ういう意味でその名前をおつけになって、これが将来ここに勇者の庭なんて立
て看板が立てると、私は年をとっておりますが、今の若い者は非常に違和感を
感じるので、こういう演出を無理になさるんだったらば、もうちょっと現代に
合って未来へ向けた名前をつけていただきたいと思っております。ちょっと簡
単にご説明ください。
事業者
山本委員ご指摘のとおり、我々も新聞社ですから、言葉には非常に敏感なも
のですから、勇者の庭というのは、こういうときにわかりやすいようにという
23
ことで、ここが箱根駅伝のスタート地点でして……。
山本委員
そういう意味。
事業者
ええ、そうなんです。箱根駅伝のスタート地点でここからぐるっと回って走
っていって、ゴールは逆側なんですけれども、そこに戻ってくるので、たまた
まその言葉を使っているので、何もこれを今後残して柱を立てるとか、そうい
う意味で使っているわけではございません。
山本委員
アスリートということですか。
事業者
そうなんです。アスリートという意味です。ということで、これはプレゼン
テーション用の資料として、とりあえずわかりやすいものということでつけた
ので、今後もし問題があるようであれば、この言葉を外していくということも
あり得ますので、というのが一つです。
それともう一つ、サインのことですけれども、ここで言っているサインとい
うのは大変恐縮なんですけれども、読売新聞だと、要するに会社の看板でござ
います、このサインというのは。ここで言っているサインというのは、読売新
聞という表示をどこかにはつけたいんだけれども、それはやっぱりいろいろセ
ンスの問題とか、余り高いところにあっても皆さんの目につかないでしょうし、
それでしたら下のほうにつけたほうがよろしいでしょうという意味のサインの
ことでございます。ニュースのテロップもできればうちの会社としては流した
いんですけれども、恐らくこの地域では流せない地域なのではないかと思いま
すので、そこはまたご指導などを賜りながら検討したいと思います。
それと一番最初に概括的にご指摘になりましたこの地域の独特の歴史とか、
文化ですとか、千代田区にお住まいの方にとっては特別な思い入れもある景観
の地域だと思いますので、そこはうちもセンスのない派手な商業ビルみたいな
ことをするつもりもありませんので、それで設計会社とも話して、できるだけ
すっきりした感じということで、あんなようなデザインと色合いというものの
ビルにしたいなというふうに思っている次第でございます。だからほかの外構
回りのことですとか、そういうことについても、このまちの雰囲気を壊さない
ように、
今後とも区の先生方とか、
アドバイザーの先生方とご相談をしながら、
その範囲内で工夫をしてやっていきたいと思いますので。
山本委員
そうすると、やっぱりレセプションルームというのは、海を見て日の出を見
るような気分でやっていただいたほうが、そうするとにぎわいが反対側から見
えるわけですよ、今度。それで背後の皇居を借景として使ったほうがよろしい
のではないでしょうか。
西村会長
そういうご意見もあるということですね。
最後になりますけど、建築の立場から副会長大江先生お願いします。もう一
人、あと2人だけ。
大江副会長 注文とか質問じゃありませんで、この件だけじゃない今後のこの辺の地区の
ことで感想というか、印象を申し上げたいと思うんですけれども。
多分5ページの図が一番わかりやすいのかと思うんですが、さっきから出て
いて、なかなか皆さん納得がいかない200メートルの高さという問題につい
て、私もずっと考えていました。例えばその左側のパースを見ますと、多分、
低層部と合わせてフルに床を立ち上げていくと、これだけの容積をおさめるの
に150メートルか160メートルぐらいでおさまるだろうな。要するに隣の
サンケイビルよりちょっと高いぐらいのところでスポッと頭の切られた四角
24
い建物でつくることはできるんだろうなと思いつつ、いや、でも、もしそうい
うふうになったとしたら、サンケイビルとこのビルとか並んで壁のようにふさ
いでしまう、空をふさいでしまう。その圧迫感を考えると、やはり多少細めに
して、そこに大きなすき間をあけ、かつあの仲通り側に光を当てた開放感とい
うのは、大変いい解決じゃないかと思いました。
それで、その右側に全体のもうちょっと広い、何棟か立っているシミュレー
ションCGがありますけれども、先ほどどなたかが、このビルが200メート
ルになると、それが呼び水になって、ほかもどんどんそうなるんではなかろう
かということをおっしゃったかと思うんですけども、もちろん私も基本的には
この地区は1000%ぐらいが相応しかったんだろうなと思いつつも、既に1
300%になった現在、これからもこの中で建てかわってない建物が1,30
0%にどんどんなっていって、どんどんってあとの半分ぐらいかもしれません
けど、建てかわるのは。それが本当にしゃくし定規にすり鉢状というのを守り
過ぎたときには、同じ高さで並んだ壁のような、城壁のようなものができるこ
とがむしろ脅威です。1300%の枠を削るならともかく、それを許容するの
であれば、すり鉢状にとらわれ過ぎずに、大きくはすり鉢状というか、皇居近
くで低くするという意識はあっていいと思うんですが、多少スリムに高くすき
間をあけながら建てていったほうが、全体としての印象はよくなるだろうなと
いうふうに考えておりました。これには賛否両論あるかと思いますけども、そ
ういう見方もできるなというふうに思ったのが私の印象です。
鈴木委員
この立面図がデザイン協議の場でも出てきたのが本当に直近で、十分に吟味
できてないという状況なんですけれども、やはり上のレセプションルームのと
ころのガラスと、下の低層のところのアトリウムの部分のガラス、これについ
ては若干デザインのアクセントとして、これでいいんだろうかというようなご
意見も、建築家の先生方もいらっしゃいますし、ご意見いただきたいなという
のが正直なところで、隣の夜間イメージを見ていただくとわかるんですけれど
も、05ページです。レセプションルームを南西側に持ってくるために機械室
を東側に持ってきているということもあって、夜になるとビルの半分側だけ光
って、反対側が光らない。中間階に機械室をとっているので、そこも光らない
と。トップの部分には少し高輝度の照明を入れるというような計画で、ビルの
照明デザインとしてはもう少し検討する余地があるのではないかと。レセプシ
ョンルームの部分についても、レセプションルームがあることは否定しません
けれども、それがガラスのキューブとして表側に出てくるようなデザインが、
本当にこれでいいのかというのは、もう一度ご検討いただきたいというふうに
思います。
西村会長
よろしいでしょうか。いろいろな意見が出ました。大きなところは、今ある
タワー状の200メートルという形がいいのかどうかということで、これに関
しては幾つかの立場のご意見がありました。しかし、いずれにしても、きちん
と説明をしていただく必要がもう少しありそうで、どうしてこれが周りに貢献
することになるのかと。スレンダーにしたほうがいいんだというご意見をうま
く説明していくような努力がもう少し必要なんじゃないかと。できればそれを
もう一回明らかにするような機会をつくっていただけるといいんではないか
なと思います。
それからもう一つは、仲通り側の議論がありましたけれども、このビルが難
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しいのは、サンケイビルですと仲通り側に全部物を寄せて、反対側に非常に広
い空間がとれるわけですが、この大丸有のガイドラインで仲通りもとらないと
いけない。そしてまた周辺の通り側にも空間をとらないといけないとすると、
なかなか大きな空間を、それがまた文化のシンボルとしてとることが非常に難
しいような状況に置かれている建物ですよね。ですから何らかの形で中や接点
の部分、それからまた中身のプログラムの部分で文化性、情報拠点性というも
のをうまく出してもらわないといけなくて、それは今お話を追加的に伺ってい
ると、いろんなことが考えられているというのはわかりますけれども、なかな
か見ただけではわかりにくいので、ここでもやっぱりもう少し説明責任がある
のではないかなというふうな感じがしております。
それからもう一つは緑の問題で、これはこれから考えられることかもしれま
せんけれども、やはり周辺との関係の中で、二列植栽が並ぶとほかの二列植栽
とつながるわけなので、全体の中でどういう緑になっていくのかということは
余り説明がなかったですね。また、通りにしてもさまざまなアクティビティが
あって、それぞれの区道、それから日比谷通り側に関して、少しずつ性格が違
う、人通りも違う、だからこそ花壇を置かれているんだと思いますけれども、
花壇を置くということは逆に言うと、一つの拠点にもなるけれども、人の行動
をある意味規定してしまうわけですよね。そのことがいかに正当なのかという
のは、もう少し周りのアクティビティとの中で生まれてくる決断だと思うので、
そういうところの説明がないと判断ができない部分があると思うんです。です
から、それは恐らくさまざまな形で、これまで議論されてこられているんでし
ょうけれども、少し通じにくかった部分があって、それがいろんな形で委員の
方のご質問として出てきたんではないかと思います。
努力をしてこられているのは、皆さんわかりました。ただ、今のような形で
一層工夫をしていただいて、そして配慮事項を具体的な形にした意味がちゃん
と伝わるような形で、これから事務局と調整をしていただきまして、我々とし
ては今後は事務局経由で、その後のさらなる改善がどのような形で進んだのか
ということをお伺いしたいと思いますので、これからも見詰めていきたいと思
いますので、これからも努力を続けていって、また区との協議を続けていって
いただきたいなと思います。
以上です。きょうはお忙しいところ、こういう時間をとってわざわざ説明に
来てくださいまして、ありがとうございました。
〔事業者退室〕
西村会長
時間が少し押しておりますので、ご退席の途中ではありますけれども、次の
議題に入りたいと思います。次は報告ということで、小石川橋架替工事につき
まして、これは事務局から報告をお願いしたいと思います。
〔 報 告 事 項 〕
景観主査
それでは事務局から報告させていただきます。
本件につきまして、実は平成21年度、昨年の9月2日に開かれた第2回景
観審で取り上げたものです。千代田区内の橋梁のほとんどが震災復興橋等とい
うことで、景観まちづくり重要物件に指定されております。小石川橋につきま
しては、実は神田側の河川改修の関係で架替が必要になってくるということで、
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指定の解除を昨年の景観審でお願いし、意見の聞く場を設けたということです。
その際、具体的な新しく架けかえる物のデザインが明示されてなかったんで、
今回こういう方向でやるということを報告させていただきます。
1枚めくっていただきますと、今どういう橋がかかっているかということで
が、小石川は小石川門があって、江戸城の見附があったところです。それが明
治になりまして、反対側の後楽園のほうは、元々は水戸家の屋敷があったとこ
ろですが、そこが砲兵工廠、陸軍のライフル等をつくるような場所に使われて
おりまして、その際、ちょっと橋もいじられて、見附も外されて、その後、神
田川と日本橋川が分離され、日本橋川がまた掘られ、神田川につながって堀が
できたという格好になっております。それから飯田橋の駅ができたり、それが
御茶ノ水のほうへ伸びていくわけですけれども、交通の結節点と同時に、川が
分水路として、分かれる場所にあるため、非常に橋が多い場所です。この小石
川橋は木橋だったんですが、関東大震災でだめになりまして、その後、下の写
真のプレートガーター橋というんですが、この橋が昭和2年に架け替えられて
おります。およそ長さが30メートル弱、幅が13メートルぐらいの橋です。
この橋の特徴が中路橋といいまして、橋の桁の真ん中辺に橋の橋板というんで
すか、渡れる部分があるということです。
今回、神田川の河川改修等工事は、川の増水、洪水に対して対応するための
護岸工事並びに橋の架替ということになります。ここでは、川の断面積を増や
す必要があって、どうしても中路橋だと桁の下の部分が川をふさぐということ
で、橋そのもの高さ全体を上げることが必要だということで、架替の話があり
ました。
当初、これを残す方法をいろいろ検討したんですが、なかなか道路の高さの
問題とか、あと道路の軸線とかの問題等もいろいろありまして、残すことが難
しいという話でした。これについて前の委員でありました伊東委員を中心にし
て、他のアドバイザーの方々も一緒に意見を聞きながらまとめてまいりました。
我々のほうとしては、次のページにありますように江戸の末期の木の橋に戻
すわけじゃないんですが、できるだけプレートガーター橋と比べて軽いイメー
ジで、なおかつスリムにして、川がよく見えるように、また川から逆に人の動
きが見えるような形にしたどうかということで、このようなデザインとして考
えてみました。また、橋詰の広場につきましても、今は何本か大きな高木が植
わっていまして、ほとんど人が近寄れないような構造になっておりますが、こ
こをできるだけ整理して、木を1本の高木にし、柵の所まで人が行けるように
して、また、護岸については緑化をするというような、計画で今考えてござい
ます。
最初のページへ戻りまして、今話したようなことで、高欄や防護柵もできる
だけスリムなものとして採用いたしました。
それから色なんですが、かつての橋の色がどうだったかということでいろい
ろ調べたんですが、結果としてわかったのはかなり厚い塗装がなされていて、
一番下は錆止めの鉛丹の塗装が随分出てきていました。ですから、恐らくオリ
ジナルは錆止めの鉛丹の朱の塗装だったと思います。それそのものもなかなか
難しいので、今は茶で考えております。
それから広場も今言ったような感じで、できるだけ人が入れるような格好に
して、橋の部材を一部残すという話もありましたが、橋そのものが大分傷んで
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おりまして残せないということになり、橋詰には先ほど言った水が分岐する場
所であり、橋がかなり見える、ちょうど分岐点にあることと、JRの鉄橋も見
えれば、首都高の橋も見えるということで、そういう特異な場所なので、そこ
の場所の変遷の経緯がわかるような案内板を設置して、皆さんにわかるように
したいなと思っております。
以上です。
西村会長
ありがとうございました。ではこの件につきましてご質問等ありますでしょ
うか。
(なし)
西村会長
よろしいでしょうか。移り変わりの写真と地図のページがありましたね。こ
ういう地図や写真はなかなかわかりやすいので、こういうものをうまく使った
ような説明板があれば、本当にこの橋の歴史がよくわかると思いますので、ぜ
ひ工夫をしていただいて、ビジュアルにもわかりやすい案内表示をしていただ
きたいなと思います。よろしくお願いします。
〔 そ の 他 〕
西村会長
山本委員
それではその他ということで、何か事務局からありますでしょうか。
いいですか。この次の景観審議会は何か審議するものが出てきたときにやる
でしょうか。その間がもし開いているのであれば、今やっている景観審議会が
ずっと前からそうですけど、建物が出てくるたびに云々かんぬんばかり言って
いて、全体としての景観審議会をどうするかという見方というか、方法という
か、問題点が今まで全然ディスカッションがなかったので、もし時間ができれ
ば、その端境期の1月なり2月なりに、一度この千代田区の景観審議会でまと
めた中間報告の検討など、何かそういう場を持ったらいかがなものでございま
しょうかというのが希望です。
西村会長
それを含めて答えてください、今後の予定。
濱本景観・地区計画担当課長 次回の景観審の日程でございますが、年明けの年度内にも
う一回程度開きたいと考えています。しかし、ちょっとこの期間、年明けが議
会中ということもございますので、その辺については改めて日程調整をした上
でご連絡させていただきたいとも思いますので、どうぞよろしくお願いいたし
ます。
また、景観審は、基本的に大規模建築物が上がってきた段階で開かせていた
だいているというところが最近の状況でございますが、景観審で議論するもの
はそれだけではございませんでして、今後ぜひとも審議をお願いしたいのが、
今後の景観行政をどうしていくかということも含めて、今事務局としてもちょ
っと整理しているところでございますので、どこかの機会でまたその辺、ご審
議いただく機会をぜひとも設けていきたいと考えていますので、どうぞよろし
くお願いいたします。
また、傍聴者の方に重ねてのお願いですが、配付資料の景観協議資料につき
ましては、持ち出しをお断りしていますので、お席に置いてご退室いただきま
すよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
以上でございます。
西村会長
はい、わかりました。先ほど山本委員がおっしゃったように、今までのとこ
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ろ、いろんな大規模な開発が続いたので、それにどう対応するかというところ
に追われていましたけれども、少し余裕ができそうなので、一度具体的な景観
行政のあり方だとか、途中まで議論してきていた景観計画をどういう形で見直
すかとか、都との関係をどうするかとか、景観地区みたいなものを区としてや
るのかとか、さまざまな基本的な問題があるわけです。ここで何を議論したら
いいのか。また、ここでやりますけど、その後のフォローというのが余りなか
なかきちんとした形でやられてないので、具体的にでき上がったものをどうい
う形でもう一回検証するかとか、ここでやったものがどのぐらい効果が上がっ
ているのかとか、いろんな課題があるわけで、それに関しては事務局と詰めま
して、今年度から来年度にかけて何回か議論を進めていくような、そういう段
取りにしたいと思いますので、どうかそういう形でやりたいと思います。よろ
しいでしょうか。
(はい)
西村会長
それでは、これで終わりたいと思います。長時間のご議論ありがとうござい
ました。以上です。
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