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春吉っ子 12号

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春吉っ子 12号
は
る
よ
し
こ
春吉っ子
2015
No.
だより 12
平成 27 年 7 月 10 日発行
福岡市立 春吉小 学校
福岡市中央区春吉 1-17-38
TEL(092)751-6386
文責:校長 大城 友記
8月6日ヒロシマ,8月9日ナガサキ
原爆(げんばく)の日★平和のまなび
今から70年前の8月15日におわった日本の戦争(せんそう)。大きくいえば,第二次世界大戦(だい
にじせかいたいせん)が,日本を中心に考えれば,太平洋戦争(たいへいようせんそう)が,日本の降伏(こ
うふく)で終わりました。
それから,日本は,戦争をしないとちかった日本国憲法(にほんこくけんぽう)を,まもり,戦争をやめ
ました。平和憲法(へいわけんぽう)ともよばれます。
このまえの戦争では,日本はとてもつらい経験(けいけん)をしました。日本人すべてが命(いのち)をか
けて,たとえすべての人が死んでしまっても,適(てき)に降伏(こうふく)するなど,
“恥(はじ)”であると
いう考えが,日本人すべてをおおいつくしました。この戦争で,ただひとつ,日本の国の上で戦ったオ
キナワでは,兵隊(へいたい)も,それ以外の女の人や,こどもたちまで,すべてが降伏(こうふく)を禁(き
ん)じられたともいわれています。死ぬしかない戦争。国をまもろうと,人がいなくなって戦いつづける。
人がいなくなっても,守らなければものがあるんでしょうか?
さて,夏休みがちかまり,夏休みの間に“学ばなければならないたいせつな,たいせつなこと”を,
一月はやく学習しました。8・6ヒロシマ,8・9ナガサキ。原爆(げんばく)のひがいについての学
びです。
1年生
の学び
“おこり
じぞう”
で
学ぶ
1年生は、ヒロシマの「おこり地蔵(じぞう)」というお話のビデオをつかって学びました。
「今日は,
平和の学習をします」のことばに,6/19 の学習を思い出した子が「麻生さん!」とつぶやきました。
子ども達の中で,戦争のつらさを本当に味わわれた方のおもいを受け継いでいました。
「おこり地蔵」のお話は,裏(うら)に要旨をのせています。ご家庭でも,一読いただければ幸いです。
4年生
の学び
“生と死
きょうだい”
写真から
学ぶ
4 年生は,ナガサキの原爆(げんばく)のひがいの写真をつかいながら,原子爆弾(げんしばくだん)が,人々
にあたえた影響(えいきょう)について考えました。
「ナガサキの原爆は,福岡ともふかーいつながりがあるんだよ」という担任のことばに「そう,雲がかか
っていなかったら北九州(小倉)におちていたんだよ」と即座に返事が返ってきました。子ども達の中での,
戦争って,たしかに心の中に焼きついているんですねえ。
」語り継ぎの大切さ。わすれてはいけない!
お こ り じ ぞ う
むかし,日本が世界のたくさんの国々と,戦争をしておったころ。
広島のある横ちょうに,小さなおじぞうさんが立っておられた。
おじぞうさんは「うふゝゝゝゝ!」とわらった顔をしておられたので,
だれいうとなく「わらいじぞう」とよんでおった。
その日もおじぞうさんは「うふゝゝゝゝ!」とわらった顔をしておられた。
ま夏の明るいひざしが,ビルや家々や学校にいっぱいにふりそそいでいて,
おじぞうさんもまぶしいくらいに光っておられた。
その時,まっ青に晴れた空に,敵(てき)の飛行機があられたかと思うと,グーンとおりて広島の町のまん
中あたりに“ばくだん”をなげつけた。いっしゅん,あたりが白っぽい,ぎらぎらした光にぬりつぶされ,
すべてのものが,いきをとめた時に広島は大ばくはつをおこしていた。
それはまるで太陽が落ちてきたとしか言いようのないようすであった。ビルも家々も電しんばしらも火の
かたまりになって地面にたたきつけら
れ,空にふきとばされた。目はつぶれ,耳はやぶれ,からだじゅう焼けただれた人々が,「いたいよう・・
助けてくれ・・助けてくれ・・」とあたりをはいずり回ってさけんでいた。
おじぞうさんも,横なぐりのばく風にふきとばされて,ズデーンと焼けた砂の上に落ちてそのままうまり,
わらった顔だけが地面にのぞいていた。
そのおじぞうさんの顔の前を,かみはちりぢりに焼け,皮ふはめくれて,たれ下がった人々が,次から次
へとにげていった。
よく日,広島の町は,見わたすかぎり焼け野原であった。起き上がろうとして起き上がれなかった人々が,
あちこちに丸太んぼうのように転がっていた。やがて向こうの方からぼろ布のようなものが,風に吹かれて
近づいてきた。よく見ると,それは焼けただれたからだにちぎれた服をわずかにつけたおさない女の子であ
った。
女の子はゆらゆらゆれるように近づいて,やっと,おじぞうさんの所まで来たが,もう一歩も歩けないと
いうふうに,ばったりとうつぶせにたおれた。むき出しになったその背中には一面に焼けただれていて,ま
るでボタンの花をはりつけたように見えた。
女の子はしばらくじっとしたまゝ肩でせわしく息をしていた。
やがてそのうつろな目がおじぞうさんの顔を見つけたらしく「かあちゃん!」と呼んだ。おじぞうさんの
わらった顔がやさしい母の顔に見えたのだろう。「かあちゃん! 水がのみたいよう! 水がのみたいよ
う!」。
乾いた口をけんめいに開けてこうくり返すのだが,真夏のひがてりつける焼け野原に水など,いってきも
あるはずがなかった。
「水・・・! 水・・・!」
女の子の声はしだいに細くよわよわしくなっていく。すると,今までわらてっていたおじぞうさんの顔が,
少しずつ少しずつ変わりはじめた。
口が真一文字(まいちもんじ)にむすばれて,目がしだいに開かれてきた。それでもまだ,グイーッ グイ
ーッと力がこめられてきて,今にもこわれそうになるまではりつめると,それはまるで何ものかをにらみつ
ける仁王(におう)の顔であった。
「みず・・・・
みず・・・・
み・・・」
女の子の声がきえそうになる。その時である。見開いたじぞうの目にいっぱい涙があふれれてきた。
そしてボタ ボタ ボタ, ほほを伝わって流れおちると,かたわらに,たおれている女の子の口に飛び
こんでいった。
“うっくん うっくん うっくん” のどを鳴らしてのみ続ける。
長いことかかって“なみだの水”を,のみ終わった女の子は,おじぞうさんの顔を見て,かすかにわらった。
そして首を上げて,遠くの空をながめていた。口もとがかすかに動いて,歌でもうたっているようであっ
たが,やがてがっくり前にふせると,もう動かなかった。
その時,いっぱいにくいしばったじぞうの顔が,グラッ! と大きくゆれた。
そして,もう“たえきれん”というぐあいに,“グサグサ! グサグサ!”と小さな“つぶ”になって,
くずれ落ちると,あたり一面にちらばってしまった。
完
山口勇子 原作
新日本出版 刊
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