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プログラム・抄録集 - 明倫短期大学学会

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プログラム・抄録集 - 明倫短期大学学会
明倫短期大学学会
第 11 回 学 術 大 会
プログラム・抄録集
会 期:2012 年 12 月 15 日(土)
会 場:明倫短期大学大講堂
大会長:花田晃治(明倫短期大学学長)
明倫短期大学学会 第 11 回学術大会
会
期 : 平成24年12月15日(土)
会
場 : 明倫短期大学大講堂
1.
2.
3.
4.
5.
6.
総会
一般発表Ⅰ
一般発表Ⅱ
特別講演
一般発表Ⅲ
一般発表Ⅳ
9:30~10:00
10:10~11:00
11:15~11:55
13:00~14:30
14:45~15:35
15:50~16:30
学術大会プログラム
● 特別講演
―――――――――――
13:00~14:30
座長 花田晃治(明倫短期大学学長)
『わたしが輝く、人が伸びる魔法のコミュニケーション術』
一般財団法人プラスビューカレッジ
講師 ドクターフキコ 先生
● 一般発表
――――――
午前の部 10:10~11:55、午後の部 14:45~16:30
Session Ⅰ ( 座長:山田隆文 ) ―――――――――〔 10:10~11:00〕
1.
介護保険施設で提供されている咀嚼・嚥下機能に対応した食事形態
1
○江川広子,別府 茂
1
(明倫短期大学 歯科衛生士学科, ホリカフーズ株式会社)
2.
療養型病棟における口腔ケアの実態と医科歯科連携事業への取り組みについて
-要介護高齢者の介助磨きにおける音波歯ブラシ導入の効果-
1
○木暮ミカ ,工藤百恵,深井裕子
1
(明倫短期大学 附属歯科診療所, 歯科技工士学科)
3.
平成 23 年度生における「早期臨床体験実習」の有効性の変化
○天池千嘉子,平澤明美 ,本間和代,江川広子,渡邉美幸,計良倫子,小林 梢
(明倫短期大学 歯科衛生士学科)
4.
歯科保健教育による小学生の歯面清掃行動の変化
―新潟市立 K 小学校におけるデンタルフロスの使用実態―
○本間和代,小野真奈美,天池千嘉子,計良倫子
(明倫短期大学 歯科衛生士学科)
5.
歯肉炎予防の取り組みによる 3 カ月間の効果
―新潟市立 M 小学校 3 年生の総合学習への支援 ―
1
○計良倫子,木暮ミカ ,本間和代
1
(明倫短期大学 歯科衛生士学科, 歯科技工士学科)
1
Session Ⅱ ( 座長:野村章子 ) ―――――――― 〔11:15~11:55〕
6.
歯科技工士学科における中間試験実施効果の検討
○植木一範
(明倫短期大学 歯科技工士学科)
7.
歯冠修復技工学実習における評価基準策定の試み
○飛田 滋,五十嵐雅子,相馬泰栄,河野正司
(明倫短期大学 歯科技工士学科)
8.
有床義歯技工学実習における評価基準策定の試み
○丸山 満,中澤孝敏,佐々木聡,野村章子,河野正司
(明倫短期大学 歯科技工士学科)
9.
ヒューリスティック評価項目を用いた実習成果物自動評価システムの開発
-歯列および歯牙形態の輪郭抽出方法と SVM による識別法について-
○木暮ミカ,飛田 滋,伊藤圭一,五十嵐雅子,相馬泰栄,大沼誉英,河野正司
(明倫短期大学 歯科技工士学科)
Session Ⅲ ( 座長:金子
潤 ) ――――――――〔14:45~15:35〕
10. ワックスパターンに対する界面活性剤塗布の効果について
○五十嵐雅子,植木一範,河野正司
(明倫短期大学 歯科技工士学科)
11. 滑らかな臨床処置を考慮したピンレッジによるブリッジ補綴法
1
2
○大沼誉英,水橋庸子 ,小林 梢 ,河野正司
1
2
(歯科技工士学科, 附属歯科診療所, 歯科衛生士学科)
12. 歯根分割症例に装着したテレスコープ外冠と歯頸部歯肉の形態表示法の開発
1
2
2
○小林 梢, 水橋庸子 ,大沼誉英 , 河野正司
1
2
(明倫短期大学 歯科衛生士学科, 附属歯科診療所, 歯科技工士学科)
13. テレスコープ冠を装着した歯根分割歯の歯周組織の管理経過について
1
2
2
○水橋庸子,小林 梢 ,大沼誉英 ,河野正司
1
2
(明倫短期大学 附録歯科診療所, 歯科衛生士学科, 歯科技工士学科)
14. 歯科ホワイトニングの診査・診断に関する検討
― SHADE UP Navi Whitening Chart について ―
1
1
1,2
○中山 恵 ,瀬賀紗都子 ,金子 潤
1
2
(明倫短期大学 附属歯科診療所, 歯科衛生士学科)
Session Ⅳ ( 座長:飛田
滋 ) ――――――――〔15:50~16:30〕
15. かなひろいテストの内容把握におけるキーワード別難易度
1
1
○阿志賀大和,本間和代 ,小野真奈美 ,大平芳則
1
(明倫短期大学 専攻科保健言語聴覚学専攻, 歯科衛生士学科)
16. 側音化構音の音響学的特徴
○大平芳則,阿志賀大和
(明倫短期大学 専攻科保健言語聴覚学専攻)
17. 歯科技工士学科第 8 回卒業生の就業状況調査 -在学時の成績と継続就業率について-
○中澤孝敏,相馬泰栄,植木一範
(明倫短期大学 歯科技工士学科)
18. 本科卒業生の離職について
―他業種選択者の現状及び卒後1年未満での離職者と実技成績との関係―
○相馬泰栄,中澤孝敏
(明倫短期大学 歯科技工士学科)
2
特別講演
わたしが輝く、人が伸びる
魔法のコミュニケーション術
ドクターフキコ
一般財団法人プラスビューカレッジ
私たちは7歳までに自分のシナリオを書くと言われています。
自分をどのように認識しているか、それがどこから来た認識なのでしょうか。あなたはある事
象をどのように捉えるのでしょうか。同じ事象であってもひとり一人ちがった解釈や異なった
認識をもつのです。
それが「個性」であり、「困りごと」にもなりうるのです。
<自分発見ワークで隠れていた自分、新しい自分に出会ってみましょう。>
正しい目標設定は正しい結果を導きだします。
まちがった目標設定はまちがった結果をもたらします。
正しい目標設定の方法を学んで、スピードを上げて輝く自分になりましょう。
重要ポイント
1.
自分の内側なる声の中から選ぶこと。
2.
主語はわたしであること。
<あなたの中長期目標を作成しましょう>
あなたが頭の中でイメージしたことは現実になる確立がとても高いのです。
通常、自分に対するイメージや未来のイメージはどんなイメージをもっていますか。イメージ
とパフォーマンスには密接な関係があります。
イメージのパワーを体感してみましょう。
<イメージとパフォーマンスの関係を体感しましょう>
目標達成する際に重要な鍵となるのはイメージの力です。未来のイメージが「できる方向」に
向いていないと達成は難しくなります。なぜなら、「できる」と思えなければ何事も達成でき
ないからです。
3
イメージ力をアップするためのパワフルな方法をお伝えします。
あなたが日常使っている言葉にはパワーがあります。また、あなたが受け取る言葉にもパワー
が宿っています。あなたは日頃、自分自身にどんな言葉をかけていますか。そして、あなたは
相手にどのような言葉を使っているでしょう。
<言葉の持つパワーを体感してみましょう>
この講演の中には、簡単に実践できる自分磨きツールと能力を伸ばすためのツールがちりばめ
られています。あなたにピッタリの方法を手に入れてください。
さて、魔法のコミュニケーション術を手に入れたあなたはどんな変化を感じているでしょうか。
ドクターフキコ(小林グロンザコバ富貴子)先生 ご略歴
昭和57年歯科医師国家試験合格。新潟大学歯学部放射線学講座入局
骨の三次元画像解析の研究で博士号取得。
新潟大学医歯学総合病院にて頭頸部、顎関節、インプラントなどの画像診断、頭頸部
腫瘍の放射線治療などの臨床経験から術後のフォローアップにおいて、心理的なサポ
ートが大切であると実感してカウンセリング、心理学、東洋医学を学ぶ。
2003 年退職。
2004 年、世界有数のビジネスコーチであるマイケル ボルダック氏に師事。
プロコーチとして東京を中心に活動。
2009 年、一般財団法人プラスビューカレッジを設立し、理事長に就任。
プロコーチ養成、企業研修、教育講演に力を注ぐ。
ユニークな子育て経験を活かした「おやこ関係修復コーチング」や潜在意識にアクセ
スする「自立促進コーチング」によって、迷う時間を圧倒的に短縮して最速で問題解
決を促すことで定評がある。
ボランティア活動は、2001 年チャイルドラインにいがたを設立して代表を努め、20
00人以上の子どもの声を聴き、心のケアに情熱をかけている。
4
一般発表 SⅠ- 1
介護保険施設で提供されている咀嚼・嚥下機能に対応した食事形態
江川広子 1,別府 茂 2
明倫短期大学
1 歯科衛生士学科,2 ホリカフーズ株式会社
keywords : 介護保険施設,咀嚼・嚥下機能,食事形態
はじめに
高齢化の進展により,ADL に支障をきたした要介護
者や心身に何らかの障害をもった高齢者が増えている.
咀嚼・嚥下機能障害をもつ高齢者は食べる楽しみを喪
失するほか,栄養状態が悪化し低栄養状態や脱水に陥
る危険性が考えられ,OQL を低下させている.このよ
うな状況下,咀嚼・嚥下機能障害の程度に適切に対応
した食事を提供するには,障害の程度を正しく判断し
その障害に対応した食事の調理・調整を行うことが必
要となる.
そこで本研究では咀嚼・嚥下機能障害の内容に応じ
た食事形態・調理法の実態について調査した.
対象および方法
対象は全国 2000 の介護保険施設の食事提供に関わ
っている担当者を対象にアンケートを求めた.調査内
容は以前調査 1-2)を実施した結果をもとに,障害区分を
咀嚼に関しては 9 項目(区分 1~9)「普通食を食べ残
す」から「丸飲みで食べる」
,嚥下に関しては 7 項目(区
分 10~16)「飲み込むとき“苦しそうな場面”がある」
から「肺炎になったことがある」に加えて,
「医師・歯
科医師の指示について」の合計 17 区分に対して,主食
5 形態と副食 6 形態を示し,該当する形態の選択とし
た.また,とろみ調整については障害の 17 区分ごとに
使用状況を記載することとした.
く,滑らかな状態にする」との回答が多かった.
介護保険施設において主食・副食形態は,障害の程
度に対応して調理に工夫がされていることが確認でき
た。また,
“医師・歯科医師の指示がある場合だけに”
選択される主食形態があることから、その場合には専
門的な指導が尊重されていると考えられた.
とろみ調整については,
障害区分の 10~16 において
回答が最も多く,嚥下に関する区分に使用しているこ
とが分かった.とろみ調整の目的は理解されていると
伺えるが,
“水でむせる”を選択した施設数に比較して
“誤嚥を疑う”では,回答が半数となり嚥下機能障害
の疑いに対するとろみ調整の対応は,施設による違い
が生じていた.このことは,職種や経験の違いが障害
区分の判断に影響しているものと考えられるため,咀
嚼・嚥下機能と障害に関しての共通の教育が介護保険
施設で従事するすべての職種に必要であると示唆され
た.
まとめ
介護の現場では障害の内容を観察し,施設で調整し
ている主食・副食形態の中から障害の内容に対応して
いる形態を選択していると考えられた.また,障害の
内容に対する主食・副食では異なる対応については,
その適切性に関する正確な評価は,医学的な検証が必
要であると思われた.
結果および考察
参考文献
主食形態においては,咀嚼機能障害の区分では「ご
飯」
「お粥」との回答が多く,嚥下機能障害の区分では
「お粥」
「ミキサー粥」が多かった.また,
「経管流動
食」は“医師・歯科医師の指示がある場合だけに”食
事の調整を行うとの回答が最も多かった.
副食形態においては,咀嚼機能障害の区分は,
「素材
の形を残しながら軟らかく調理」
,
「粒が残る状態にき
ざむ」との回答が,嚥下機能障害の区分では「粒がな
1)江川広子ほか:介護食の提供実態調査-新潟市介護保
険施設入所者の場合-,日咀嚼誌 17,16-26,2007
2) 江川広子ほか:咀嚼・嚥下機能障害評価基準の指針
策定に向けた介護保険施設実態調査,日咀嚼誌 18,
37-48,2008
5
一般発表 SⅠ- 2
療養型病棟における口腔ケアの実態と医科歯科連携事業への取り組みについて
-要介護高齢者の介助磨きにおける音波歯ブラシ導入の効果-
木暮ミカ 1,工藤百恵,深井裕子
明倫短期大学
1 歯科技工士学科,
附属歯科診療所
keywords : 要介護高齢者, 介助磨き,音波歯ブラシ,療養型病棟
2.
はじめに
3.
障害者の歯科治療は実施が困難であることより,器
質的口腔ケアによる歯科疾患の予防は特に重要である.
しかし,口腔ケアの基本的手段であるブラッシングに
ついて,手用歯ブラシによる障害者の介助磨きは,実施
に困難を伴うことが多く,時間を要する割に十分なプ
ラークコントロールが難しい.そこで音波歯ブラシの
効果的な臨床適用を検討する目的で,療養型病棟に長
期入院中の患者を対象に,口腔ケアに音波歯ブラシを
導入する前後における口腔内状況の変化を調査した.
考察
音波歯ブラシが要介護高齢者の口腔状況改善に効果
があることは,日本歯周病学会や日本障害者歯科学会
等において過去多数の報告があるが,今回の対象者に
は有用性が認められなかった.これは介助者のブラッ
シング方法が適切ではなかったことや,音波歯ブラシ
を導入する頻度,そして患者の口腔ケアに対する強い
抵抗が原因であったと考えられる.
対象および方法
対象は,療養型病棟である聖園病院に長期入院中の
患者で,介助磨きを全面的に必要とする障害者 6 名と
した.
導入した音波歯ブラシは「GC プリニア スリム
PRINIA Slim 音波振動歯ブラシ」である.
実施期間は 2009 年~2012 年とし,毎年一回口腔内
診査および口腔ケア内容調査を行った.診査及び調査
項目は以下の通りである.
【口腔内診査項目】現在歯数,齲歯数,処置歯数,健
全歯数,喪失歯数,歯肉の状況,歯周病の有無,歯石の
有無,口腔乾燥症の有無,舌苔の有無,口腔清掃状況
【口腔ケア内容調査項目】
義歯の使用状況,
摂食状況,
嚥下機能,含嗽の可否
まとめ
療養型病棟入院患者の介助磨きに音波歯ブラシを導
入し,口腔状況の経年的変化と今後の課題について検
討を行った.対象者は要介護度 5 であり,ADL の改
善や多様な障害に対する対応を主としているので、歯
科治療に至ることのないように予防を重視した口腔ケ
アマネジメントが必須であると考え,音波歯ブラシの
導入を実施した.しかし導入前後の口腔状況に有意差
は見られなかったことより,今後は介助者へ使用法を
再指導するとともに,介助者の音波歯ブラシの使用感
について調査し,患者の身体的および口腔内の状況に
合わせた効果的な導入方法等を検討していく必要があ
る.
結果
1.
DMFT 値に経年的な変化は認められなかった.
歯肉・歯周病・歯石の状況も変化はなかった.
口腔清掃状況についても改善は認められなかっ
た.
対象者 6 名の平均年齢は 80 歳で,全員が脳血管
疾患により要介護度「5」であった.また,摂食
状況は胃瘻による経管栄養が 4 名, 経鼻による
経管栄養が 2 名であった.
6
一般発表 SⅠ- 3
平成 23 年度生における「早期臨床体験実習」の有効性の変化
天池千嘉子,平澤明美 ,本間和代,江川広子,渡邉美幸,計良倫子,小林
梢
明倫短期大学 歯科衛生士学科
Keywords:歯科衛生士学科学生,早期臨床体験実習,有効性
の必要性を認識し,
「積極性」の大切さを上げるなど勉
学意欲の向上がみられた.
はじめに
本学では歯科医療現場や歯科衛生士の役割を早期に
理解し,その後の学習意欲を高める事を目的に,平成
10 年度より早期臨床体験実習を実施してきた.
また,平成 24 年 3 月に全国歯科衛生士協議会の作
成した「歯科衛生学教育コア・カリキュラム—教育内容
ガイドライン—」のなかの臨地・臨床実習プログラムに
おいても「早期に臨地・臨床現場の見学実習を組むこ
とが望ましい」と提唱されていることから,本学取組
みの有効性について検証した.
講義の重要性
コミュニケーショ ン
身だしなみ
あいさつ
きびきびした行動
ことば使い
気遣い
明るい態度
実習の重要性
清潔・不潔
姿勢
整理整頓
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50人
図 1 1 年次第Ⅰ期の早期臨床体験実習の効果
対象および方法
講義の重要性
実習の重要性
平成 23 年度歯科衛生士学科入学生 66 名を対象に,
本学附属歯科診療所において,1 年次1期(平成 23
年 6 月〜7 月)
,Ⅱ期(平成 23 年 12 月〜24 年 3 月)
,
2 年次(平成 24 年 5 月〜7 月)の 3 回,早期臨床体験
実習を実施した.実習内容は,1 年次は診療所の構造
の把握および歯科治療の見学等を,臨地・臨床実習開
始前の 2 年次は,患者誘導,歯科ユニット操作,後始
末などの歯科診療補助および歯科治療の見学である.
実習終了後,提出させる実習記録に,1 年次は「今後
の勉強や生活にどのように活用をしたいか」
,2 年次は
「臨床実習に向けての目標・抱負」の自由記載項目を
設け,それより,本実習の有効性を分析した.
積極性
コミュニケーショ ン
きびきびした行動
清潔・不潔
明るい態度
あいさつ
ことば使い
気遣い
身だしなみ
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
人
図 2 2 年次早期臨床体験実習の効果
まとめ
1 年次は歯科衛生士と患者とのやり取りを見学する
ことでコミュニケーション能力の必要性や挨拶の大切
さ,歯科衛生士の働く姿勢を感じ取っている.また,
結果および考察
1 年Ⅱ期では,授業と早期臨床体験実習とが結びつき
見学実習のみの 1 年次Ⅰ期においては,コミュニケ
理解や知識が深まった.2 年次は臨床実習を控えてい
ーション能力,身だしなみ,あいさつなどの歯科衛生
るため,不安もあるが講義や実習に前向きに取り組も
士と患者との関わりについて意識した内容が多かった. うとする焦りの姿勢も伺えた.しかし,総体的には 1・
1 年次Ⅱ期は,授業で診療補助実習も始まり,患者誘
2 年次の 3 回の早期臨床体験実習より,学習意欲を失
導等も体験したことから,患者に対する気遣いや実習
う感想はなく,むしろ講義や実習の大切さを実感し,
の重要性が多かった.臨床実習直前の 2 年次では学習
学習意欲を向上させる機会となった.
7
一般発表 SⅠ- 4
歯科保健教育による小学生の歯面清掃行動の変化
―新潟市立 K 小学校におけるデンタルフロスの使用実態―
本間和代,小野真奈美,天池千嘉子,計良倫子
明倫短期大学 歯科衛生士学科
keywords : 歯科保健教育,小学生,歯面清掃,デンタルフロス
42%と予想以上に多い結果で,小学生にはフロスの使
用は難しく,指導を受けたとしても家庭で定着するの
は期待できないのではとの我々の考えは当らなかった.
はじめに
わが国が平成元年より展開してきた 8020 運動は着
実に成果を上げ,平成 23 年歯科疾患実態調査におい
て 38,3%の推定値に達した.現在の若者が将来 8020
を達成するためには,生涯を通じて 8020 を目指した
歯科保健行動を実践していくことが重要であり,成人
期・老人期に入ってからの意識付けでは遅すぎる.永
久歯に生え替わる学童期から 8020 を意識したう蝕や
歯周病予防のための生活習慣の定着が望まれる.その
手段の一つとして,近年,デンタルフロス(以下,フ
ロス)の使用指導が注目されるようになり,我々も学
校歯科保健において早くから取組んできた.今回,新
潟市立 K 小学校におけるデンタルフロスの使用実態
を調査し,今後の指導の在り方について検討した.
使用中
未使用
使用中止
図 1 家庭におけるフロスの使用状況
使用を開始した時期は 3 年・4 年が多く,1 週間の
使用頻度は図 2 に示すとおり,毎日使用している者は
少ないものの,定期的に使用していることが伺える.
対象および方法
対象:新潟市立 K 小学校(江南区)に在籍する 5・6
年生 131 人(男:68 人,女:63 人)である.
方法:平成 24 年 9 月 26 日に K 小学校全校児童を対
象に実施した学年別歯科保健教育において,
5・6 年生の「デンタルフロスを上手に使おう」
をテーマとした講話・実技指導後に,指導の理
解度および家庭におけるフロスの使用状況につ
いてアンケートを実施した.
図 2 一週間のフロス使用頻度
まとめ
フロス未使用者の 94%が,今後使ってみたいと回答
した反面,使用中止者の理由は,
「面倒くさくなった」
「時間がない」が多かったことから,上級学校に進む
につれ,中止する者が増えることが予想される.その
防止のためには,子どもだけでなく家族全員が使用す
る環境づくりと,8020 を目指す意識付けのための定期
的歯科受診の啓発が課題であると考える.
結果および考察
1.フロスの操作困難部位(複数回答)および使用意義
の理解
児童の操作困難部位は,上顎臼歯部が 89 人(68%),
下顎臼歯部が 40 人(30%)と多く,
フロス使用の意義に
ついては全員が「良く分かった」
「分かった」との回答
で,概ね理解したことが伺える.
2.家庭におけるフロスの使用状況
使用状況は図 1 に示すとおり,現在使用中の者が
8
一般発表 SⅠ- 5
歯肉炎予防の取り組みによる 3 カ月間の効果
―新潟市立 M 小学校 3 年生の総合学習への支援 ―
計良倫子 1,木暮ミカ 2,本間和代 1
明倫短期大学
1 歯科衛生士学科, 2 歯科技工士学科
keywords : 小学校 3 年生,総合学習,歯肉炎予防
学習前のプラーク付着が認められた者は上顎が 36
人(63%)
,下顎が 30 人(52%)で,学習後は上顎が 39
人(68%),下顎が 23 人(40%)であった.下顎のみ学習
後の減少が見られたのは,下顎に歯肉有所見が多かっ
たことから,特にブラッシングを丁寧に行うよう注意
を促したためと思われる.また,歯の萌出途中は細か
い部分への歯ブラシの到達が難しいため,交換期にあ
るこの年代は,プラーク除去のテクニックを個別に指
導していくことも必要であると考える.
2.歯肉有所見の現状
学習前の上顎歯肉炎症部位数は,最大が 5 部位で 3
人(5%)であったが,学習後は 1 人(2%),下顎炎症部位
数は,最大が 5 部位で 19 人(33%)であったが,学習後
は 7 人(12%)であった.上下顎共に,学習前よりも学
習後の方が減少したことから,総合学習の取り組みに
より,歯や歯肉への意識が高まり,口腔内清掃につな
がったものと思われる.
3.歯周ポケットの現状
学習前,上顎のプロービング値は最大 3mm の者が
30 人(58%)で,学習後は 15 人(26%),下顎は,学習前
が 33 人(58%)であったが,
学習後は 21 人(37%)で上下
顎とも減少した.口腔内の清掃状態が改善したことに
加え,学習前は,萌出途中であった永久歯が,学習後
にはほぼ萌出したことで,歯肉の腫脹が軽減したこと
も影響していると考えられる.
はじめに
本学は平成 16 年より,新潟市立 M 小学校の全校児
童を対象に,毎年歯科保健指導を実施してきた.この
度,小学校側が 3 年生の総合学習として「歯の健康に
ついての調べ学習」をテーマに,歯や口の中の関心を
高め,児童自身が歯や歯肉の健康の大切さを知る取り
組みを企画した.我々は,まず,児童が本学を見学し,
歯科医療従事者の職業を理解する取り組みを支援し,
次に,学習前(5 月)・学習後(9 月)の児童の口腔内写真
撮影およびプロービングを実施して,歯肉およびプラ
ーク付着状況の変化をまとめ,総合学習の資料として
提供した.また,その健診データをもとに保護者には
講演を,児童全体へは歯みがき指導を行い,家庭にお
ける親子共通のテーマとして,歯や歯肉の健康維持を
目指した.これらの支援から,今回は,学習前後の歯
肉およびプラーク付着状況の健診結果について分析を
試みたので報告する.
対象および方法
対象:新潟市立 M 小学校 3 年生 57 名(男子 28 名,女
子 29 名)を対象とした.
方法:平成 24 年 5 月および 9 月の 2 回,上下顎前歯
部唇面の口腔内写真撮影およびプロービングを実施し
た.口腔内写真からは,歯肉炎症が認められた部位お
よびプラーク付着状況の判定を行った.歯肉炎症の判
定は,上下顎各々の炎症部位数の合計を固定値とし,
プラークは,付着なし(0)~歯面全体に付着(3)の 4 段階
で判定を行い,上下顎各々の対象歯中の最大値を固定
値とした.プロービングは各歯牙の近心を測定し,上
下顎各々の対象歯中の最大値を固定値とした.
まとめ
プロービング値が 3mm だった者,歯肉有所見部位
数が最大 5 部位だった者は,上下顎共に学習前よりも
学習後の方が減少した.
プラーク付着状況については,
下顎のみ,学習前より学習後の方が改善した.今回は
僅か 3 ヶ月間の変化から効果を判定したが,総合学習
終了後においても何らかの方法で支援を継続し,歯磨
き習慣を定着させていくことが望ましいと考える.
結果および考察
1.プラーク付着状況
9
一般発表 SⅡ- 6
歯科技工士学科における中間試験実施効果の検討
植木一範
明倫短期大学 歯科技工士学科
keywords : 歯科技工教育,成績評価,中間試験
はじめに
科目Aの平均値
【 3年度比較 】
得点
近年,本学入学生の履修歴の多様化は顕著であり,
高校までの学習方法や学習時間などにも差が認められ
ている.国家試験合格を目指す歯科技工士の学科目教
育においても,学習方法がわからずに不合格点を採る
学生もいることから,シラバスや成績評価方法の見直
しも教育改善の重要な項目としてあげられている.
歯科技工士学科では,平成 24 年度より一部科目に
おいて定期試験のほかに中間試験を実施した.その効
果について,成績およびアンケートにより検討したの
で報告する.
対象および方法
中間試験を実施した H24 年度歯科技工士学科 1 年
次学生の前期成績を,
中間試験のなかった H22 および
H23 年度の 1 年次前期成績と比較した.なお,中間試
験は,
国家試験科目 2 科目を含む 5 科目で実施された.
いずれも,各年度の最終成績に対して ANOVA および
Sheffe 法による多重比較検定を行い比較した.また,
H24年度2年次学生に学習方法や中間試験実施につい
てのアンケートを実施し,学習の実態を調査した.
結果および考察
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
*
平均+SD
平均+SE
平 均
平均-SE
平均-SD
* : p<0.05
H22
H23
H24
また,アンケートの結果より,高校時代に定期試験の
ほかに中間試験のあった学生は 92.1%であり,ほとん
どの学生が2ヶ月以内の講義内容に対する短期間,小
範囲における試験形態に慣れているといえる.一方,
明倫の定期試験に関わる学習は,高校より難しいとす
る学生は,55.3%と約半数に止まり,高校よりも楽と
いう学生も 45%にのぼる結果となった.明倫で中間試
験を実施した方が良いか否かはほぼ半数に割れる結果
となった.中間試験の実施は,高校までの短期間,小
範囲における試験勉強の方法を引き継ぐことができて
いる反面,勉強や試験から逃れたい学生には,定期試
験の一回で良いという意見も多数見受けられた.中間
試験の実施は,少なくとも,普段勉強しない学生にと
っては,試験勉強の回数や期間が増えることとなり,
成績の向上につながる面もあると考えられる.
H22~H24 年度における1年次前期総合成績の平均
値を比較したところ,有意差は認めらなかった.従っ
て,年度間の学力差や教授方法,試験問題等について
は大差ないといえる.次いで,H24 年度における中間
試験実施の 5 科目について年度間比較を行ったところ,
まとめ
5 科目すべてにおいて,H23 年度成績に比較して H24
年度成績の向上がみられた.
国家試験科目 A と B にお
中間試験実施により,前年度に比較して成績の向上
いては,その間の成績に有意な向上が認められ,中間
がみられた.中間試験の実施は,歯科技工士学科学生
試験実施効果が顕著に現れていると考えられる.
にとって成績向上へ有効な手段であると考えられる.
10
一般発表 SⅡ- 7
歯冠修復技工学実習における評価基準策定の試み
飛田 滋,五十嵐雅子,相馬泰栄,河野正司
明倫短期大学 歯科技工士学科
keywords : 評価基準,指導要点,歯冠修復技工学実習
トの一部を図 1 に示す.
平成 24 年度本学科 1 年生の全部鋳造冠製作実習終
了後に評価を実施した.その結果,各教員間において
ばらつきが大きかった評価項目は,①切歯指導釘が切
歯指導板に正しく接触している.②模型と咬合器を汚
していない.③咬合接触点は ABC コンタクトが再現
されている④偏心運動時に早期接触がない.⑤マージ
ンの研磨が良好である.の 5 項目であった.ばらつき
が小さかった評価項目は①咬頭頂・中心溝の位置が隣
在歯咬頭頂・中心溝の延長線上にほぼ一致している.
②歯型のマージンとクラウンマージンが適合している.
③軸面の研磨が良好である.の 3 項目であった.
はじめに
明倫短期大学歯科技工士学科(以下本学科とする)
は,開学以来歯科技工に関する実習の評価基準が設定
されていなかった.これは教員間の学生指導方法に対
して何らかの差異を生じさせ,学生間に混乱を招く可
能性がある.本来は,評価基準が指導要点であり,教
員は評価基準に則り的確に指導しなければならない.
評価基準とは、学生自身が目標を正確に認識し,自
らその到達目標に向かって歯科技工技術を修得するた
めの羅針盤であると考える.
本発表は,歯冠修復技工学実習における全部鋳造冠
完成までの評価基準を試作し,その評価基準をもとに
学生の成果を評価した試みについて報告する.
全部鋳造冠
3
方法
1.評価基準の試作
(1)評価基準策定の要点
①理解しやすい表現であること.
②客観的に書いてあること.
(数値,図式の活用)
③明確なチェック方法を提示すること.
(2)評価項目数:16 個
2.評価の試み
(1)対象者:平成 24 年度本学科1年生 29 名
(2)対象製作装置:全部鋳造冠(下顎左側第一大臼歯)
(2)評価者:本学科歯冠修復技工学実習担当教員 3 名
(3)評価方法:1 項目 4 段階で採点
(3 点,2 点,1 点,0 点)
結果
本学科会議において平成23 年12 月から評価基準内
容について検討を重ねた結果,平成 24 年 7 月に一定
の評価基準(試案)が策定された.その評価基準シー
11
形態
⑧
クラウンの辺縁隆線が隣在歯の
辺縁隆線の高さに一致している
⑨
頰側面観:臼歯は頬側咬頭頂~頬側マージン
最深部内において咬合面寄り1/3にある
学生
教員
A・B・C・D
3・2・1・0
A・B・C・D
3・2・1・0
A・B・C・D
3・2・1・0
1
2
1
咬合面観:臼歯は固有咬合面内
頬側寄り1/3にある
4
2
接触点
⑩
隣接面接触点は隣在歯が
浮き上がるほど強くない
(鋳造後における調整時)
・隣在歯型が二次石膏面と
隙間がなく、咬合紙を介在
させて引き抜いたとき、抵
抗がありかつちぎれる程度
に調整する。
×
図1 評価基準シート(一部抜粋)
まとめと展望
評価に大きなばらつきが認められた項目は教員間で
共有し,今後の実習指導に活かしていきたい.すなわ
ち不断のコミュニケーションが重要であると考える.
また,よりよい評価基準を構築するために今後も検
討を継続していきたい.
一般発表 SⅡ- 8
有床義歯技工学実習における評価基準策定の試み
丸山 満,中澤孝敏,佐々木聡,野村章子,河野正司
明倫短期大学 歯科技工士学科
keywords :有床義歯,歯科技工実習,評価基準
はじめに
評価は 0 点,1 点,2 点,3 点,4 点の 5 段階とした.
以上の評価基準に従い 3 名の教員で歯科技工士学科
1 年生(30 名)の実習課題を評価した.
歯科技工実習における技術指導は,実習課題から何を
学ばせるか,教員が指導内容について共通の認識を持
つことが肝要である.また,教員がその課題を評価する
際にも,指導内容と共通性があることが望ましい.その共
通している項目を評価基準として教育に導入すれば,学
生が実習課題に対してどの程度理解しているか分かり,
実習指導に生かすことができる.
そこで,有床義歯技工学実習における評価基準を策
定し,その評価基準に従い教員が課題の評価を試みた
のでここに報告する.
方法および対象
実習課題は,国家試験の実技科目である全部床義歯
の排列から歯肉形成までとした.
原案は,有床義歯技工学の実習指導を担当する教員
が作成し,全部床義歯における義歯床の安定に重要な
項目を挙げ,学科会議で検討を重ねた.
各分類の評価基準は,
1.到達度:課題が最後のステップまで終了している
2.排列: 1 ) 唇側面観/正中,唇頬側の豊隆,前歯
部人工歯の近遠心および唇
舌の歯軸,前歯部の被蓋,
側方調節彎曲
2 )
側方面観/上顎前歯部の唇側面の位置,
前後的調節彎曲
3 )咬合面観/歯列弓の左右対称性
3.咬合:上下顎臼歯部人工歯の咬合接触状態
4.歯肉形成:歯頸線の形成,舌側の歯頸部形成,唇側
の歯根形成,S 字状隆起の形成,歯肉形成の左右対
称性,切歯乳頭の形成,口蓋ヒダの形成
以上 18 項目に細分化した.
12
※ 策定した評価基準の一部抜粋
結果および考察
18 項目ごとの評価点を教員間で比較した結果,排列,
歯肉形成の 2 項目において差が見られたが,それ以外
の 16 項目に大きな差は見られなかった.
差が見られた 2 項目は,より具体的な評価基準が必
要と考えられた.また,評価した 3 名の教員は今迄よ
りも評価に時間がかかるが,明確に評価できるという
意見であった.
まとめ
評価基準の策定を試みた中で,教員 3 名の評価結果
に差が見られた項目は,評価基準の説明文や図の改善
または追加を行う予定である.
一般発表 SⅡ- 9
ヒューリスティック評価項目を用いた実習成果物自動評価システムの開発
-歯列および歯牙形態の輪郭抽出方法と SVM による識別法について木暮ミカ,飛田 滋, 伊藤圭一, 五十嵐雅子, 相馬泰栄, 大沼誉英, 河野正司
明倫短期大学 歯科技工士学科
keywords : ヒューリスティック評価,自動評価,輪郭抽出,SVM
を計測して B.C.L と Curve of Spee の曲率を求めた.
同様に F.L は近心小窩と遠心小窩の座標で求め
た.F.C.A は咬頭の面積(ピクセル数)から算出した.
3. SVM による決定木作成
SVM 実行ソフトとして,データマイニングツール
「weka」を用い,シミュレーション画像で得られた識
別境界値と外観評価結果を学習データとし,決定木を
作成した.これを識別器として,学生の製作した実習成
果物のデータを入力し,合否判定を行った.
はじめに
従来の歯型彫刻実習における実習成果物の評価は,
教員の目視のみで行われているため結果が漠然として
おり,学生が次回の実習に結果を反映しづらいという
欠点がある.そこで本報では、歯型彫刻の評価方法につ
いて,量的・解析的評価と感性評価に分割し,各評価結
果 を 入 力 ベ ク ト ル と す る SVM(Support vector
machine)を用いて 2 クラス分類を試みた結果を報告
する.
結果および考察
対象および方法
1.
【評価項目の策定】評価項目は B.C.L(Buccal cusp
line),F.L(Fossa line) ,Curve of Spee の曲率および
F.C.A(Functional Cusp area)の歯冠占有面積比と外
観の 5 項目とした.見本模型の CAD データを Adobe
社の「Photoshop CS5 Extended」を使って定量変化
させたシミュレーション画像を作成し,本学の本科 1
年生 29 名,2 年生 20 名,歯科技工士学科教員 7 名,臨床
歯科技工士2名,歯科医師2名による判定結果より識別
境界値を決定した.
【対象】対象は平成 24 年度本科 1 年生 28 名の口腔解
剖学基礎実習本試験における実習成果物「上顎右側第
一大臼歯」とした.
【評価方法】
1. 外観に対するヒューリスティック評価
バランスや造形美的表現に対する目視評価につい
て,A,B,C,D の 4 段階に分類し,2×2 表からカッパ係数
を求めて合致度を評価した.
2. 画像処理システムによる特徴点の計測
キーエンス社の超高速フレキシブル画像処理システ
ム「XG-7000」を用いて,歯牙を咬合面方向と頬側面方
向から撮像し,フィルタをかけて画像の 2 値化と輪郭
のエッジ検出を自動処理し,頬側の咬頭頂の座標6点
2.
教員 3 名の外観評価の結果について,各組のカッ
パ係数は 0.8625,0.8333,0.9054 であり,全ての組
み合わせで帰無仮説は棄却されたので(p<0.01),
各教員間の評価はある程度一致していると考え
られる.そこで外観に対するヒューリスティック
評価として SVM に入力する外観評価データは
教員の平均値とした.
SVM による識別器を用いた合否判定の結果,平
均識別率は 93.1034%であったことより,識別に
SVM を用いることの有用性が確認できた.しか
し,最適値を求める絶対的な基準が無いため,カ
ーネルのパラメータ設定が困難であったことよ
り,特徴データを再検討し,有効な組み合わせの
上で識別精度を向上させていく必要がある.
今後は評価結果に対する学生の理解度や,各評価項
目の結果に対する指導方法についても細かく設定し,
教育効果の高いロバストな個別指導システムの構築を
進めていく.
13
一般発表 SⅢ- 10
ワックスパターンに対する
界面活性剤塗布の効果について
五十嵐雅子,植木一範,河野正司
明倫短期大学 歯科技工士学科
keywords :ワックス,界面活性剤,鋳肌荒れ
はじめに
鋳造法によって製作されるクラウンの表面性状は、
可及的にワックスパターン表面を荒らさないことが要
件となる.このためにワックスパターン表面への界面
活性剤塗布の効果を検討した.
①
②
③
④
実験方法
1.界面活性剤の塗布方法
次の3法でワックスパターン上に界面活性剤を塗布
した.
1)最小均等塗布法
界面活性剤スプレーを 30cm
離し約3秒間噴霧し,その後微風エアーで乾燥
2)最小均等塗布後・無乾燥法 界面活性剤スプレー
を 30cm 離し約3秒間噴霧
3)
過剰塗布法
界面活性剤スプレーを 10cm 離し
約3秒間噴霧,無乾燥
通法により埋没,Kメタルにより鋳造後,鋳造体で
ある全部鋳造冠の表面性状を観察した.観察法は肉眼
と双眼実体顕微鏡(倍率 20 倍)による目視で行った.
図 1 各条件における鋳肌状態
まとめ
結果および考察
鋳造体の面荒れは次の順で変化した.
・最小均等塗布法=最小均等塗布後・無乾燥法⇒
界面活性剤無塗布⇒過剰塗布法
・鋳造体面の良好状態維持には,界面活性剤の必要最
小限塗布が要件となる.
・具体的塗布法は,スプレーを 30cm 離し約3秒間噴
霧である
1.界面活性剤無塗布について
鋳肌に気泡と異形な突起が観察された(図 1①).
2.最小均等塗布法(図 1②)
無塗布の鋳肌より良好な状態が観察された.
3.最小均等塗布後・無乾燥法 (図 1③)
鋳肌は良好であった.少量の塗布であれば濡れた状
態でも鋳肌荒れが発現しないことがわかった.
4.過剰塗布法(図 1④)
全部鋳造冠の内面に広範囲にわたる鋳肌荒れが観察
された.鋳肌荒れは界面活性剤の液体が溜まった状況
下で発現しやすくなることがわかった.
参考文献
五十嵐雅子、植木一範、河野正司:重付加型シリコー
ンラバー印象材の撥水性について,
明倫紀要:15-20,
2012.
14
一般発表 SⅢ-11
滑らかな臨床処置を考慮したピンレッジによるブリッジ補綴法
大沼誉英,水橋庸子 1,小林 梢 2,河野正司
明倫短期大学 歯科技工士学科,1 附属歯科診療所,2 歯科衛生士学科
keywords : ピンレッジ,仮封法,診療計画
ただく協力体制が必要となる.
本例では,火曜日に支台形成,印象採得,暫間処置
を行い,木曜日に補綴装置を装着することを原則とし
て(図2)
,良好な結果を得ている.
はじめに
部分床義歯はブリッジに比べて口腔内の安定性に
劣り,ブリッジは安定性が優れているものの,欠損部
の隣在歯を支台歯形成する必要がある.
有髄歯にも適用できる歯質の削除量を最小限にお
さえることが可能な支台装置としてピンレッジがあ
る。ピンレッジの支台形成法では,舌面や咬合面をわ
ずかに切削して,審美性に関わる唇頬側は全く切削す
る必要がない(図1)
.また,この方法は,接着性ブ
リッジのように接着だけに維持を求めないため,長期
的の良好な予後が期待できる.しかし,ピンの形成に
は歯科医師の厳密な形成と繊細な技工操作が必要と
なる.
1.仮封法の問題
ピンレッジ形成後の暫間的な補綴装置は固定が困
難で扱いが難しいが,我々はピンの形成に用いられた
フィッシャーバーを短く先端を切断し,それぞれの歯
に掘られた3 ヶ所のピンのうちの1 ヶ所にその切断し
たバーを挿入する固定法を採っている.これにより,
脱離の可能性は格段に低く抑えられる.
図1 上図左:欠損状況
上図右:模型上補綴
下図:ピンレッジ支台部位(左下2および右下1)
診断・スケジュールの確認
テンポラリークラウンの製作
1~3週間
2.治療スケジュール
歯 面 削 除 ・ 印 象 採 得
歯 科 補 綴 装 置 の 製 作
ピンレッジ支台形成の仮封が容易ではなく,補綴装
置製作期間中に脱離してしまう可能性があるため,形
成→技工→装着のステップを短期間で行うことが望
ましい.
そのため,治療スケジュールを滑らかに進めるため
には,歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士が相談を十
分に行い,治療進捗をシステム化する必要がある.ま
た,患者さんにもスケジュールに合わせて来院してい
2日後
歯 科 補 綴 装 置 の セ ッ ト
図2 治療スケジュール
15
一般発表 SⅢ-12
歯根分割症例に装着したテレスコープ外冠と
歯頸部歯肉の形態表示法の開発
小林 梢,水橋庸子1 ,大沼誉英2,河野正司2
明倫短期大学歯科衛生士学科,1 附属歯科診療所, 2 歯科技工士学科
keywords : 歯根分岐部歯肉, テレスコープ外冠, P メンテ
(2)撤去した印象の内面(内冠、分岐部顎堤粘膜
面、歯肉などに相当)に、異なる色のシリコ
ーン印象材を注入.
(3)さらに第3色シリコーン印象材で全体を覆う.
(4)根分岐部を同定して切断面を作成する.
②切断面の定位法
1)内冠石膏模型に適合する個歯トレーを製作.
(トレー辺縁部が内冠辺縁から十分に離れるように)
・トレーの上面は咬合平面と平行に製作.
・トレーの根分岐側面は剃刀の刃が入る間隙で、
咬合面に垂直面とする.
2)採得した印象塊は、個歯トレー上面を露出さ
せておく. ⇒ 咬合平面の表示のため印象塊
の底面を咬合平面に平行に整形.
3)トレー上面に現れている根分岐部の間隙に
カミソリを当てて,咬合面に垂直に切断.
⇒ これによって咬合平面に垂直な根分岐部
中央の切断面が得られる.
はじめに
大臼歯の歯根分岐部歯肉に重篤な炎症があり,口腔
内へと瘻孔が存在している症例にしばしば遭遇する.
この様な症例では,分岐部歯肉の P メンテ を容易に
行えるように,歯根分割して分岐部の罹患歯肉を掻爬
除去した後,テレスコープ冠を装着して機能回復を図
ることがある.
この場合,P メンテを有効に行うためには,外冠と
分岐部歯肉との形態的な関係を知っておくことが望ま
しい.そこで今回,装着したテレスコープ外冠と歯頸
部歯肉の形態表示術式を新たに開発したので,ここに
報告する.
1.目標
歯根分岐部歯肉の形状およびテレスコープ外冠歯根
分岐部形状の頬舌断面を明示できる方法を考案する.
2.開発する術式の要求仕様
・ 歯根分岐部の形態をシリコーン印象材で印象採得
する.
・採得する印象にテレスコープ外冠の形状も再現でき
るようにしたい.
・ 歯根分岐部の前頭面断面形状を,咬合平面を基準
として表示したい.
・ 通常の歯科治療に用いる器材,
器具で可能な術式と
する.
3.開発した術式の要点
①手順(1)根分岐部顎堤をシリコーン印象材で印象
採得.
図1 上図:石膏模型断面
下図:印象断面(赤:外冠 黄:歯肉 青:空隙)
16
一般発表 SⅢ-13
テレスコープ冠を装着した歯根分割歯の歯周組織の管理経過について
水橋庸子,小林 梢 1,大沼誉英 2,河野正司 2
明倫短期大学 附録歯科診療所,1 歯科衛生士学科,2 歯科技工士学科
keywords : 歯根分割歯,テレスコープ冠,Pメンテ
3)根分岐部のテレスコープ外冠の形態
罹患歯周組織掻爬後の根分岐部の歯肉の形状は,2
例とも頬舌側の中央部に直径 2~3 mm の陥凹部が
存在した.
第一症例の陥凹部は深いため,根分岐部のテレスコ
ープ外冠は歯肉に接触せず,1~2 mm の間隙を作る
形態とした.
第二症例は陥凹部が顕著でないことから,根分岐部
のテレスコープ外冠は歯肉に接触させる形態とした.
はじめに
下顎大臼歯の歯根分岐部歯肉に重篤な炎症があり,
口腔内へと瘻孔が通じている症例について,歯根分割
して分岐部の罹患歯肉を掻爬除去した後,テレスコー
プ冠を装着して機能回復を図った術式について,明倫
歯誌 13 巻に報告した.
その後,同様の症例を経験することができたので,
合わせてここに術後の経過を報告すると共に,歯根分
岐部歯肉の術後管理について考察してみたので報告す
る.
2.経過
1,症例
1)第一症例
左側下顎第一大臼歯の根分岐部を含む頬側歯周組織
に慢性歯周炎をもつ,年齢63歳の男性.
根分岐部の歯周治療を十分に行うために,近心根と
遠心根の歯根分割を行い歯周治療を施行した.その結
果,頬側歯槽骨の破壊が大きく,歯根が大きく露出す
る状態となった.一方,舌側は通常の歯周状態に落ち
着いた.
頬舌側歯肉頂の高さが大きく異なり,歯間ブラシを
挿入すると歯肉に突き刺さり、
患者自身の使用は困難.
また暫間冠の歯根分割部に食渣が残留し,通常のトン
ネル Cr では P メンテは困難と判定.
テレスコープ冠を装着して機能回復を図るとともに,
テレスコープ冠の外冠撤去して P メンテを行うこと
とした.このために,近遠心根の内冠の間に器具が入
るように設計した.
2症例とも約4週間ごとに,外冠を撤去しての P メ
ン手を実施しており,自覚症状もなく良好に経過して
いる.
しかし,根分岐部の歯肉陥凹部には2例とも多少の
プラークや食渣の残留が認められた.
図1 食渣が残留している第一症例
まとめ
2)第二症例
テレスコープ冠は外冠の撤去により良好な P メン
右側下顎第一大臼歯の根分岐部を含む頬側歯周組織
テ の実施が可能となることから,
歯根分割症例にとり
に慢性歯周炎をもつ,年齢33歳の男性.
有効な機能回復法であるといえる.
第一症例と同様な症状を示すことから,テレスコー
プ冠による機能回復とPメンテを実施することとした.
17
一般発表 SⅢ-14
歯科ホワイトニングの診査・診断に関する検討
― SHADE UP Navi Whitening Chart について ―
中山 恵 1,瀬賀紗都子 1,金子 潤 1,2
明倫短期大学
1 附属歯科診療所,2 歯科衛生士学科
keywords : 歯科ホワイトニング,診査項目,難易度
りに上顎のみ 1 日 2 時間,計 14 日間行い,終了時に
上顎処置の満足度について 5 段階で評価した.術前・
術後の色彩記録は,上顎右側中切歯に関して,シェー
ドガイドを用いた視感比色法と歯科用色彩計を用いた
歯冠中央部の物理測色法により色彩学的に行った.こ
れらの術後評価について,術前のチャートによる難易
度判定結果と比較した.
はじめに
歯科ホワイトニングを成功に導くためには,術前コ
ンサルテーションにおいて患者と術者側との色彩改善
のエンドポイントを一致させることが重要である.術
前の適切な診査によって症例ごとの難易度を診断でき
れば,エンドポイントをより正確に設定することが可
能となる.近年,ホワイトニングにおける難易度を予
測するための SHADE UP Navi Whitening Chart が
松風より発売された.今回,本チャートによる診査・
診断を 4 名の患者に適用し,その術後評価とともに診
査項目に関する若干の考察を加えた.
結果および考察
表 1 に各患者の本チャートによる診断結果,術前か
らの色彩変化,術後の患者満足度を示す.
表 1 各患者の診断結果と術後評価
対象および方法
SHADE UP Navi Whitening Chart(以下チャー
ト)は,①着色度 ②色の傾向(色調)③バンディン
グ ④ホワイトスポット ⑤顔の色 ⑥修復処置(1 歯)
⑦修復処置(全体)⑧テクスチャーの 8 項目をそれぞ
れ 1 点から 3 点までの 3 段階で評価し,その合計点数
によって難易度を判定す
る(図 1)
.
今回,本学附属歯科診
療所に歯のホワイトニン
グを希望して来院した患
者のうち,本研究の趣旨
を説明し同意の得られた
4 名(すべて女性:平均
年齢 23.0 歳)に対して,
術前に本チャートを用い
た診査・診断を行った.
各患者はティオンホーム
図 1 SHADE UP Navi
によるホームホワイトニ
Whitening Chart
ングを,メーカー指示通
患者
A
B
C
D
難易度(点)
16
15
13
14
難項目
顔の色
修復処置
テクスチャー
ホワイトスポット
⊿E
7.3
7.0
6.4
7.5
⊿W
5.7
3.5
4.0
7.4
⊿sgu
3.0
2.0
3.0
2.5
満足度
満足
やや不満
満足
どちらでもない
術前の診査・診断では難易度が 13 点から 16 点の範
囲に分布し,いずれも中等度と診断された.術前から
の色彩変化は⊿Eが6.4から7.5,
⊿Wが3.5から7.4,
⊿sgu が 2 から 3 であり,どの患者もおおむね良好な
ホワイトニング効果を示した.一方で,患者の満足度
は「満足」2 名,
「どちらでもない」
「やや不満」各 1
名とばらつきがみられた.とくにホワイトニング対象
歯にホワイトスポットや修復処置が認められる場合,
色彩変化が顕著でも患者の満足度は高くなかった.本
チャートの診査項目はおおむね妥当と考えられるが,
今後は診査項目に入っていない「年齢」や「喫煙」な
どの要素も加味した本学附属歯科診療所独自のホワイ
トニング診断チャートを検討していきたい.
18
一般発表 SⅣ-15
かなひろいテストの内容把握におけるキーワード別難易度
― 短期大学女子学生での検討 ―
阿志賀大和,本間和代 1,小野真奈美 1,大平芳則
明倫短期大学 保健言語聴覚学専攻,1 歯科衛生士学科
keywords : かなひろいテスト,内容把握,想起率
はじめに
結果および考察
臨床において,注意機能や前頭葉能を評価する 1 つ
の方法として,かなひろいテストが用いられている.
かなひろいテストは,
無意味綴り課題と物語文課題
(物
語文)があり,いずれも文字群の中から「あ・い・う・
え・お」全てに○をつけ,その作業数,正答数,誤答
数から評価を行うものである.また,物語文では,物
語の内容把握も求められる.しかし,正常者の基準値
や年齢群ごとの平均値,内容把握率は求められている
が,物語文におけるキーワード毎の想起される割合に
ついて調査した先行研究は調べた限り見当たらない.
そこで,注意機能や前頭葉機能を評価する際の,基礎
データ提供を目的に,物語文におけるキーワード毎の
想起される割合を検討した.
結果:全被験者の平均想起語数は,6.2±2.4 語であっ
た.キーワード毎にどの程度想起されたかを図 1 に
示す.
「おばあさん」と「つぼ」については,全ての
全被験者が想起していた.一方で,手引き語におい
ても,想起率の低い語があった.
対象および方法
対象:歯科衛生士学科 2~3 年生,保健言語聴覚学専
攻 1 年生の女子学生 20 名(平均年齢 20.2±1.9
歳)
.
方法:
1.かなひろい課題と同時に物語文を読んでいること
を確認するため,音読にて行った.
2.キーワードごとに想起される割合を検討するため,
物語文については 2 分間で終了せず,全文を音読
してもらった.
3.課題実施後、速やかに内容について口述してもら
った.
4.キーワードは,浜松式高次脳機能スケール実施手
引きに記載されている語(手引き語)と,独自に加
えた,本文中の重要な語句であると考えられる語
(独自語)の合計 16 語とした.
19
図1 キーワード毎の想起された割合
□で囲われた語は手引き語であることを示す.
考察:
図 1 に示すように,キーワード毎に想起される割合
は異なることが確認された.
最も多く想起された語は,
「おばあさん」と「つぼ」であった.次に多く想起さ
れた語は手引き語の「びんぼう」
,
「そのひぐらし」
,お
よび独自語の「はな(をいける)
」であり,これらは物
語文の内容把握において重要な語であると考えられる.
このような難易度の差が生じる理由については,今
回の被験者数および被験者の年齢層だけで十分な検討
を行うことは難しい.しかし,今回得られた結果は,
同年代の脳損傷患者や発達障害者の臨床データを解釈
するうえで重要な情報になると考えられる.
一般発表 SⅣ-16
側音化構音の音響学的特徴
大平芳則
阿志賀大和
明倫短期大学 専攻科 保健言語聴覚学専攻
keywords : 側音化構音,音響分析,子音の持続時間,子音と母音の音圧比,高音域と低音域の音圧比
ため、正常構音とは異なる共鳴を受け、高音域の音圧
が相対的に低下していたと考えられる。LA 化した音声
の音圧が相対的に上昇していたのは、話者が呼気を増
加させることにより高音域エネルギーの相対的低下を
補完しようとしている可能性がある。LA における子音
の相対的持続時間が正常構音と同等であることは、構
音のタイミングには異常がなく、LA の問題が構音の空
間的側面に限定されていることを示している。
はじめに
側音化構音(LA)は、子音調音時に口腔の側方を呼気
が通過する異常構音で、聴取判定だけでなく音響学的
な特徴を抽出することで、調音の異常性の理解と経過
のモニタリングに有用と考えられる。そこで、本研究
は、
聴取印象で LA と判定された音声の音響学的特徴を
明らかにすることを目的とする。
方法
図 1~3 の横軸は症例番号。1~6 が LA 例、7~10 が正常例。
LA を有する患者で、初回の構音評価でデジタル録音
(44.1kHz、16bit)が可能であった 6 例(年齢 6~20 歳、
男女各 3 名)を対象とした。単語検査 50 語のうち、LA
が生じやすいイ段を含む 10 語を選択し、
これについて
構音障害の評価の経験を有する 2 名の言語聴覚士が聴
取評価を行ない、
そのうちほぼ全例で LA と判定された
「小さい」の「ち」および「足」の「し」について、
音響分析ソフト(Multi-Speech 3700)を用いて、以下の
3 項目を計測した:①語の持続時間に対する標的子音
の持続時間の比率、②標的子音に後続する母音の音圧
に対する標的子音の音圧比、
③標的子音の低音域(おお
よそ 1000~4000Hz)の音圧に対する高音域(おおよそ
4000~8000Hz)の音圧比。コントロールとして、正常例
4 例(小児と成人)の音声の音響解析を行ない、比較し
た。
25%
20%
15%
10%
5%
0%
1
3
4
5
6
7
8
9
10
9
10
9
10
図 1 語に対する子音の持続時間比(%)
25
20
15
10
5
0
-5
結果
2
1
2
3
4
5
6
7
8
図 2 後続母音に対する子音の音圧比(dB)
20
①持続時間の比率は、LA 例と正常例とで一貫した違
いはなかった(図 1)
。②後続母音に対する標的子音の
音圧比は、正常例に比べ LA 例では大きかった(図 2)
。
③標的子音の低音域に対する高音域の音圧比は、正常
例に比べ LA 例では小さかった(図 3)
。
15
10
5
0
考察
-5
LA では呼気が口腔の正中でなく側面から流出する
1
2
3
4
5
6
7
8
図 3 子音の低音域に対する高音域の音圧比(dB)
20
一般発表 SⅣ-17
歯科技工士学科第 8 回卒業生の就業状況調査
-在学時の成績と継続就業率について-
中澤孝敏,相馬泰栄,植木一範
明倫短期大学 歯科技工士学科
keywords : 就業状況,追跡調査,成績,継続就業率
において辞めていない状況が明らかになり,成績との
相関も認められた.在学中の実習成績は,継続就業に
大きな影響があると言える(図 2)
.
5)将来の構想について
男子は「独立開業」に 35%.
「その他の構想」は分
散した.女子は「定年まで勤める」が 60%と「特に考
えていない」が 26%でほぼ 2 極化を示した.
はじめに
近年においても日本社会の雇用状況は改善せず,若
者の継続就業率の低さが社会問題化している.今回,
歯科技工士学科第 8 回生の就業状況に対して卒後 1 年
と卒後 6 年間の追跡調査を行ったので報告する.
対象および方法
100%
90.6%
対象:平成 18 年歯科技工士学科卒業生 67 名
方法:電話による個別調査
90%
81.3%
80.0%
男子
女子
80%
結果および考察
1)6 年間の技工就業状況について
卒後 1 年では,男子に比較して女子の就業率が高い
のに対し,3 年後では,女子の離職が男子を超えた.6
年間では,男子が 4 割,女子は 5 割を超えた.
(図 1)
2)卒後 1 年および 6 年間の就業先について
卒後 1 年では男女とも歯科医院勤務が 10%台で,歯
科技工所勤務が 70%を超えていた.卒後 6 年間では女
子の歯科医院勤務は 3 倍強の 46.7%に増えた.また技
工所勤務が 2 割近く減り 60%になった.一方男子は,
歯科医院勤務は微増したものの,技工所勤務が約 1 割
増加し 85%になった.
3)現在の就職先に対する満足度について
女子は,
「充分満足」と「普通」という回答に2極化
した.男子の満足度は「普通」が 40%を占めたものの
満足度の理由は分散していた.その理由では,男女と
も「上司や仲間と楽しく働ける」が一番多かった.
4)在学時成績と継続就業状況の比較
在学時 2 年次の総合成績と継続就業率を比較した結
果,女子では,学科成績と継続就業率に相関関係がみ
られた.男子では,
「良」や「可」においても継続して
いる状況も認められた.実習成績では,男子の「優」
21
就
業 70%
率
60%
68.7%
62.9%
56.3%
57.1%
46.9%
50%
40%
卒業時
卒後1年
卒後3年
卒後6年
図 1 卒後 6 年間の技工就業状況
在学時学科成績
在学時実習成績
38%
優
優
30%
43%
良
良
15%
男子
38%
可
女子
14%
0%
50%
継続就業率
100%
可
100%
0%
38%
24%
男子
35%
女子
18%
0%
50%
100%
継続就業率
図 2 在学中の成績と6年継続就業率の関係
まとめ
在学中の成績は,
歯科技工に継続して就業する上で,
重要な因子になっていることが明らかになった.
一般発表 SⅣ-18
本科卒業生の離職について
―他業種選択者の現状及び卒後1年未満での離職者と実技成績との関係―
相馬 泰栄,中澤 孝敏
明倫短期大学 歯科技工士学科
keywords : 離職,実習成績,キャリア養成支援
はじめに
平成 24 年 10 月 31 日に厚生労働省は入社後,3 年以
内に仕事を辞めた人の業種別割合の調査結果を初めて
公表した.その中で医療・福祉関係は 38.6%で 4 番目
に高い離職率であった.歯科技工から他業種への離職
率も非常に高く,卒後1年未満で 30%,3 年で 50%,
5 年で 75%が離職するとの報告が有る.
そこで今回,歯科技工士学科を平成 19 年・20 年・
21 年の3 月に卒業した学生の離職率について実態調査
を行った結果と卒業時に歯科技工以外の職種を選択し
た学生および卒後 1 年未満で歯科技工から他業種に離
職した卒業生の実技成績との関係について調べた結果
を報告する.
対象および方法
離職理由の中で,本人の技術力に関係するものが 68%
を占めた事から学生の実技成績と離職との関係を比較
すると実技成績下位の学生ほど卒業時に他業種を選択
する傾向が高く,また,離職率も高い.
(図2)
図1 離職理由
対象:本科を平成 19 年・20 年・21 年の 3 月に卒業し
た学生 170 名を対象,卒後 1 年での調査を行った.
調査方法:平成 19 年の卒業生には郵送によるアンケー
ト形式で実施し,84.6%から回答を得た.平成 20・21
年の卒業生には電話による質問形式で実施し,平成 20
年の卒業生からは 72.3%,平成 21 年卒業生からは
88%の回答を得た.
検討内容:卒業時に歯科技工以外の職業を選択した学
生及び卒後 1 年未満で歯科技工から他業種に離職した
卒業生の離職理由と実技成績について比較検討した.
成績は 2 年次の 9 月末に実施するクラス分け実技試験
の結果を基に上位から A・B・C の成績で比較した.
図2 実技成績クラスと離職率の関係
まとめ
結果から技術力の低い学生ほど卒業時に歯科技工以
外の業種を選択する傾向がある.また,1年未満での
離職率も高いことから,学生の技術力を向上させる必
要がある.その為には現在実施されている学生の技術
レベルに応じた実技指導を早い段階から実施する事や
キャリア養成支援を通して,学生の職業意識を高め,
学生のモチベーションを持続させるための指導や支援
が必要ではないかと思われる.今回の調査結果を今後
の進路指導に活用していきたい.
結果
本学科の卒業生 170 名の内,86.5%の学生が歯科技
工士として就職したが,13.5%の学生は歯科技工以外
の職業を選択した.1 年未満での離職率は 16.9%で,
全国平均を下回った.また,男女による離職率に差は
見られなかった.離職理由は技術不足が 48%・歯科技
工が向いていなかったが 20%・労働条件の違いや長時
間労働の為が 20%・その他 12%であった.
(図1)
22
~
ご 案 内 ~
Ⅰ.参加者の方へ
1.受
付: 当日 9 時 10 分より明倫短期大学大講堂前にて受付致します.
2.大会参加費: 聴講は無料です。
3.学会会員年会費: 正会員 3,000 円,準会員 1,000 円,学生会員は免除
4.入
会: 当日,新入会を受付致します.
Ⅱ.演者の方へ
・
次演者の方は講演 10 分前までに「次演者席」に着席下さい.
・
一般発表の時間は8分,質疑応答は2分です.
時間厳守および座長の指示に従い円滑にわかりやすく発表を行って下さい.
・
パソコン用液晶プロジェクターは 1 台です.
Ⅲ.座長の先生方へ
・
次座長席に,担当セッション開始 10 分前までに着席下さい.
・
時間厳守にて円滑な進行をお願い致します.
明倫短期大学学会事務局
〒950-2086 新潟市西区真砂 3-16-10
TEL: 025-232-6351 FAX: 025-232-6335
E-mail: [email protected]
URL: http://society.meirin-c.ac.jp/
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