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技術・家庭科 - 和歌山大学教育学部附属中学校

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技術・家庭科 - 和歌山大学教育学部附属中学校
総
論
国 語 科
技 術・家 庭 科
社 会 科
『多面的な思考力を育む実践的・体験的な学習』
数 学 科
理
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
一 色 秀 之
川 嶋 径 代
徳
総
「多面的な思考力を高める実践的・体験的な学習」
1.テーマ設定の理由
基礎的・基本的な知識及び技術の習得を通して、生活と技術とのかかわりについて理解を深め、進んで生
活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる。」と定められている。また、技術分野の目標は、「もの
づくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して、材料と加工、エネルギー変換、生物育成及び情報に関
深め、技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる。」と改訂され、家庭分野では、「衣食住などに関
する実践的・体験的な学習活動を通して、生活の自立に必要な基礎的・基本的な知識及び技術を習得する
とともに、家庭の機能について理解を深め、これからの生活を展望して、課題をもって生活をよりよくし
すなわち、生活に必要な知識及び技術の習得を通して生徒が自立して生活を営めるようにするとともに、
理
ようとする能力と態度を育てる。」となっている。
数 学 科
する基礎的・基本的な知識及び技術を習得するとともに、技術と社会や環境とのかかわりについて理解を
社 会 科
平成24年度から実施されている中学校学習指導要領 第8節 技術・家庭の目標には、「生活に必要な
国 語 科
テーマ
論
技術・家庭科総論
自分なりの工夫を生かして生活を営むことや学習した事柄を進んで生活の場で活用する能力を育むことが
最終的な目標といえよう。その目標に近づくため、仲間とかかわり、多様なものの見方や考え方に触れ、
科
多面的・多角的な視野に立って自分の考えがより柔軟に豊かになるような実践的・体験的な授業づくりを
音 楽 科
考えたい。
そこで、技術・家庭科の研究テーマを「柔軟な思考力を育む実践的・体験的な学習」とした。
昨年度は「基盤となる論理的思考力を高める授業づくり」に焦点を当てて研究を進めた。論理的思考力
を高めることについては、平成20年8月の中央教育審議会答申で「比較や分類、関連づけといった考える
ための技法」を習得して活用させることが重要であると指摘されている。そこで、授業づくりの基本とな
を身に付けるための大切な思考スキルとして、8つ(「分類する」・「関係づける」・「比較する」・「順序づ
ける」・
「類推する」
・「構想する」
・
「評価する」・「要約する」)を選び出した。
技術・家庭科で考える「思考スキル」には、表のようなものが例として考えられる。活動の具体例に示
(表)技術・家庭科における「思考スキル」活動の具体例
思考スキル
説 明
活動の具体例
技術・家庭科
したように、授業の中で効果的に取り入れ、根拠となる論理的思考力を育むような授業づくりを考えた。
保健体育科
る学習指導要領の文言に着目し、学習指導要領の中で求められている思考スキルを整理し、柔軟な思考力
美 術 科
(1)昨年度の研究について
ものごとを特徴ごとにまとめる
グルーピング、ラベリング、
KJ法
関係づける
ものごとのつながりや関係を見つけ、図や表にまとめる
コンセプトマップ
比較する
ものごとをある基準で比較し検討する
製品の中の工夫
購入商品の選択
道
順序づける
ものごとをある基準で順序づけて表す
ダイヤモンドランキング
フローチャートの作成
徳
類推する
実験・実習の題材を実生活や実社会での具体的な事例に当は
めて考える
各種実験・実習
構想する
構想したものを図で表す
等角図、キャビネット図
問題解決アルゴリズム作成
― 183 ―
英 語 科
分類する
総
論
国 語 科
評価する
授業をふりかえり、質問や発見を記録する
製作したものを自己評価する
自己評価シート
要約する
実習・実験の手順や要点をまとめ説明する
製作
レシピづくり
社 会 科
(2)昨年度の成果と課題
技術科の研究授業では、材料と加工に関する技術の単元でじょうぶな構造についての考えを深めた。牛
乳パックや木の模型を用いて三角形構造と四角形構造によるじょうぶさの違いを感じ、その理由を理解し
数 学 科
た。また、三角形構造を利用している構造物、建築物についても自然と意見交換しながら、自分たちの生
活に目を向け、身の回りで考えられている工夫について再発見をしていた。この学習を通して、ものづく
りについて、身の回りの製品・建築物に対する興味・関心が高まり、材料の特徴を生かした作品づくりへ
の意欲が向上したといえよう。
理
家庭科の研究授業では、ほうれん草4種類(地場産・有機栽培・水耕栽培・輸入品)を選択するために、
ジグソー法を用いて資料から栽培方法や販売方法の詳しい情報を収集したり、実際に試食して比較し、順
序づけたりする活動を行った。また、その選択が消費者として社会と関わっていることを意識させること
科
ができた。
音 楽 科
研究の成果は、授業において1人で考える場面だけでなくグループで考える場面を設定したことで、自
美 術 科
グソー法により、意欲的に調べ、情報を整理し伝えようとする様子も見られた。このようなグループで伝
保健体育科
どうしの意見交換が不十分となる。今回家庭科で用いたジグソー法の情報は、分量も多く難しい内容だっ
技術・家庭科
ならない。
分の考えを伝えるためによりわかりやすく表現しようと工夫したり、人の意見に耳を傾け自分の意見と照
らし合わせようとしたりする姿が見られた。意見交換しながら自分では考えなかったことに気づき、新た
な発見をする様子も見られた。また、一人ひとりが役割を持ち、4人が集まって様々な情報を交換するジ
え合う、学び合う活動を通して、生徒の柔軟な思考力がより向上したと思われる。
一方課題は、充実した意見交換ができるような題材設定や資料準備が難しいことである。授業で与えた
課題が簡単すぎると時間をもてあまし、興味や関心が引き出せない。逆に、難しすぎると理解不足で生徒
たので、各班においる情報交換にばらつきが見られた。比較し、思考を広げ深めるためには、論理的な根
拠となる比較する項目や内容を精選しておかなければならないと痛感した。これらのことから、題材設定
は多様な考えが引き出せるような生活に沿った題材で、個人でするにはやや難しい課題の設定しなければ
2.本年度の研究について
(1)教科の研究テーマについて
英 語 科
多面的な思考力を高めるには、自分の考えは他者の考えとどう違うのかを吟味し、自分が気づいていな
道
技術・家庭科における多面的な思考力とは、問題解決的能力を育む学習の中で高められると考える。問
かったことに気づくことで自分の考えを見直すこと、すなわち、仲間とかかわることで視点や立場を替え、
本当にそうなのかと自問自答させる批判的思考を促したり、グループでじっくりと話し合わせ、題材につ
いて多面的に考えさせる場面をつくったりすることが効果的であると考えている。
題解決的能力とは、実践的・体験的な学習活動を通して生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技術を身
徳
に付けさせることによって、現在だけでなく将来にわたる実際の生活の場で学習したことが生きてはたら
く力である。その能力は、課題を解決するに至るまでに段階的にかかわる能力であり、課題に対して様々
な角度から考える思考力、その思考力を総合して解決を図る判断力、判断した結果を的確に示す表現力等
があげられ、将来にわたって変化し続ける社会に主体的に対応していくために、生活を営む上で生じる課
題に対して自分なりに判断して課題を解決するために必要である。
この問題解決的能力を育むには、生徒自らが課題を発見し、習得した知識及び技術を活用し、仲間と関
― 184 ―
総
論
わりながら解決するための方策を探るなどの学習を繰り返し行うことが大切である。課題を解決するとき
に、その根拠となる価値判断の基準は、生徒個人の生活の範囲でなく、他者や地域の人々の生活あるいは
そこで、本年度の研究テーマを実践的・体験的な学習となる計画、実践、評価、改善などの一連の学習
過程で課題を発見し、習得した知識及び技術を活用し、仲間と関わりながら解決するために方策を探るこ
(2)具体的な取り組み・手立て
製作や実習において、計画、実践、評価、改善などの一連の学習過程において課題を発見し、習得した
多面的に考える手助けとなるシンキングツールを取り入れた協同学習の場を授業の中で設定することも有
効である。例えば、イメージマップやくま手チャートで自由に考えを広げたり、多様なアイデアをうみだ
す工夫をしたり、マトリックスやコンセプトマップでものごとのつながりや関係性を見つけ、図や表にま
り合い、多様なものの見方や考え方を話し合い、学び合う機会を意図的につくることで、批判的思考にも
理
とめることで考えを整理するなどさせたい。また、自分本位の偏った考え方にならないように他者と関わ
数 学 科
知識及び技術を活用し、仲間と関わりながら解決しようとする協同的な学習が有効であると考える。また、
社 会 科
とで多面的な思考力を高めると考え、「多面的な思考力を高める実践的・体験的な学習」とした。
国 語 科
地球規模の視点で見つめ、見極めることができるようにならねばならないと考える。
つながるといえよう。
D領域「情報に関する技術」において、情報を伝えるメディアとその特徴について、それぞれのメディ
科
アについて、PMIシートにまとめて、それぞれのメディアの特徴を整理し、伝えたい情報と、伝えたい
音 楽 科
対象に応じて適切に選択肢し、必要に応じて組み合わせることを考えさせた。また、A領域「材料に加工
に関する技術」においても、PMIシートを利用し、木材・金属・プラスチックなどの素材の特徴と作ら
れる製品との関連性を見いだした。
に行った。事前学習として、昨年度の幼稚園訪問の様子を写真やDVDで見せ、関わり方のイメージをふ
くらませた。また、絵本や紙芝居を選びよみきかせを行ったり、簡単なおもちゃ製作を行ったりした。5
歳児に興味をもたせて聞かせるよみきかせは、楽しんでおもちゃ作りをするにはどこまで準備しておくの
みに待っていて出迎えてくれる様子や元気よく挨拶する様子、興味を持った遊びに集中する様子、内気で
なかなか話ができない子どもの様子等に戸惑いながらも、どう言葉かけをすればよいのか、どうよみきか
せをすれば興味を持ってくれるのか、予定していた遊びが早く終わってしまったときにどう関わればよい
する中で、その場その時に5歳児にどう対応するか、グループの一人ひとりが協力して対応しなければな
らないと実感したようであった。また、事後学習として安全な住環境の視点から、指をつめないような扉
開閉の工夫や
をつり下げる金具が内側につけられている工夫など具体的な安全対策を知る機会にもなっ
このように、多面的な思考力を高める実践的・体験的な学習が、学んだことを将来にわたって実際の生
活の場で活用し、その場、その時に応じた適切な知識・技術の柔軟な組み立てを行う応用力、すなわち生
きる力の育成につながると考えている。
英 語 科
た。
技術・家庭科
のかなど、グループで協力しながら対応していた。まさに、子どもの発達段階を考えた遊びを計画し実行
保健体育科
がいいのか等課題を明確にしながら考え、準備を行った。実際に幼稚園を訪問し、中学生が来るのを楽し
美 術 科
A領域「家族・家庭と子どもの成長」において、近隣の幼稚園訪問を行っている。今年度も9月の中旬
道
3.成果と課題
をパケットに分けて送受信する実験(体験)を行い、パケットによる情報通信の利点と目的を考える活動
を行った。情報のパケット通信の様子を可視化した実験を行い、PMIシートを活用して自分の考えをま
とめ、さらに班で考える場面も設定した。1人ではなく複数で考え、意見交換をする中で、生徒たちはそ
れぞれが考え、気づいたことを他者に伝えるとともに、周囲の意見にも耳を傾け、自らの考えと照らし合
わせることで新たな発見をしていた。また、4人のグループ内での意見交換にとどまらず、グループ同士
― 185 ―
徳
技術科の研究授業では、情報通信ネットワークの利用におけるパケット通信のしくみを題材とし、情報
総
論
での情報交換、情報共有の場を設定することにより、グループ内だけでなく、グループ相互の学びあいへ
と発展していった授業となった。
国 語 科
家庭科の研究授業では、ジグソー法により、班員一人ひとりに災害への備えを考えるための内容(4
種)を分担させ、情報収集をさせた。エキスパートグループで資料から情報収集し、実験を行う体験的な
学習は興味津々に取り組んでおり、その場で互いに確認し合う様子が多々伺えたので、非常に効果的で
社 会 科
あったと考える。また、班にもどり、エキスパートグループでの学習を情報交換しながらワークシートに
まとめている様子から、一人ひとりが主役となり意欲的に伝え合う学習の場を設定することができたと実
感した。
このように、協同学習におけるジグソー法で、普段の生活の中では見過ごしがちな科学的根拠やその工
数 学 科
夫、衣生活の知識、保温性と低体温症に関わるニュース等を情報収集し、伝え合うことで、多面的な思考
力を高める授業となった。
一方課題としては、授業の中で実験や実習等の体験を行ううえで、考え深めさせる授業時間が足りない
ことである。その改善策としては、考えを広げ深める手立てとなるPMIシートなどのシンキングツール
理
やエキスパートグループでの指示書ともなるワークシートを効果的に使用するトレーニングであろうと思
われる。
また、題材を精選することも課題である。科学的根拠に基づいたものであり、かつ生徒の実生活に即し
科
たものを題材とし、既存の知識を深め発展させていくような授業づくりを行っていきたい。生徒が自らの
音 楽 科
生活に目を向け、より豊かな生活を目指すため、問題解決に向けてお互いが活発に意見交換し、学びあい
ができるような授業を提供していきたい。
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 186 ―
総
2年生
論
実践1
授業者 川 嶋 径 代
2.単元観
に住まう人々が長い年月をかけて形づくってきた智恵の結晶といえよう。しかしながら、現代の住生活は、
戦後大きく変化し、生活様式や意識の多様化とともに、資源・エネルギー問題など広域かつ多岐にわたり
複雑化している。
歌山県においても近年、豪雨による大きな被害を受けたことは記憶に新しい。南海トラフ巨大地震が30年
以内に発生する確率は60∼70%と言われており、命を守る防災教育は必要不可欠である。自分の身の安全
は自分で守る「自助」
、地域でお互いに助け合って守る「共助」の意識をもち、行政による取り組み「公
小・中学校での住生活の学習内容をみると、小学校では暑さ・寒さ、通風・換気・採光に重点を置いた
理
助」を理解することは大変重要である。
数 学 科
また、日本は台風、豪雨、洪水、土砂災害、地震、津波などの自然災害が発生しやすい国土であり、和
社 会 科
生活拠点としての住まいは、「生活の器」と言われ、自然や社会、文化の影響を受けながら、その地域
国 語 科
1.単元名 快適に住まう 「災害への備えを考える」
快適な室内環境の整え方について、中学校では安全に重点を置いた室内環境の整え方について取り扱うこ
ととなっている。2011年3月11日に起こった東日本大震災、宮城県のとある小学校体育館の避難所におい
科
て、小・中学生による壁新聞「ファイト新聞」がつくられた。まさに「共助」といえよう。また、見聞し
音 楽 科
たさまざまなニュースを教訓とした「自助」に着目し、非常用持ち出し袋に入れるものを調べてみた。そ
の中身は保存食や飲料水、アルミ蒸着シート、軍手や簡易トイレ等であった。アルミ蒸着シートは代用毛
布になる。放射熱が利用出来て温かい、薄くて軽い、水を含まないので熱伝導率が低下せず体温降下の心
な科学的根拠が見つけられた。
そこで、協同学習におけるジグソー法で、普段の生活の中では見過ごしがちな科学的根拠やその工夫、
衣生活の知識、保温性と低体温症に関わるニュース等を情報収集し、伝え合うことで、多面的な思考力を
災害への備えを考える中で、住生活の主体者となって、安全への視点をもち、多面的に考え、課題を見
つけ改善しようとする態度を養いたい。
英 語 科
①家族の基本的なはたらきや住まいに必要な空間とその役割を理解する。
②家族(高齢者や幼児)によって住まい方が違うことに気付き、住まいの空間とその生活行為の関わり
を理解する。
③家庭内事故の種類とその原因を理解し、家族の安全を考えた住まい方を工夫する。
④安全な住まい方を考えたり、非常時の備えとして必要なものを具体的に考える。
⑤室内の空気調節や生活騒音など、自分の生活で改善できる具体的な方法を考え、実践する。
技術・家庭科
3.単元の目標
保健体育科
高めたいと考えた。
美 術 科
配がない。綿100%の軍手は火に近づけたとき合成繊維の溶解による火傷の心配がない。そこにさまざま
道
4.単元の評価基準
1 住まいのはたらきや非常時の備えを自分の生活に重ねて考えている。
イ 生活を工夫し創
造する能力
1 住まいの空間と家族の生活行為との関わりを具体的に考え、住まい方を工夫
している。
2 家族の安全を考えて住まい方を工夫している。
徳
ア 生活や技術への
関心・意欲・態度
― 187 ―
総
論
ウ 生活の技能
国 語 科
1 安全な住まい方を考えたり、非常時の備えとして必要なものを考えたりして
いる。
エ 生活や技能につ
いての知識・理解
1 住まいの基本的なはたらきを理解し、住まいに必要な空間とその役割がわか
る。
2 家庭内の事故の種類とその原因がわかる。
社 会 科
5.単元の計画(次項の指導案は全6時間中の4時間目)
学習内容
教師のねらい
数 学 科
理
科
評価
①住まいのさまざま ●住まいのはたらきを自分の生活に重
な役割
ねて考えさせ、住まいに必要な空間
(1時間) とその役割を理解させる。
住まいのはたらきをコンセプト
マップにまとめる。
ア−1
エ−1
②共に住まう
●家族(高齢者や幼児)によって住ま
(1時間) い方が違うことに気付かせる。
●住まいの空間と家族の生活行為との
関わりを具体的に理解させる。
高齢者や幼児の安全を考える視
点をもつ
清潔な衣服を着ることや食事を
整える等の生活行為に必要なも
のを具体的に意識する。
イ−1
③住まいの安全対策 ●家庭内事故の種類やその原因を理解
(1時間) させ、家族の安全を考えた住まい方
を多面的に考えさせる。
高齢者や幼児の安全を多面的に
考える。
イ−2
美 術 科
④災害への備え
●非常時の備えとして必要なものは何
(2時間 本時1/2)
かを、科学的視点から考えさせる。
●非常時の備えとして、地域の情報を
整理し、家族の備えを具体的に実践
させる。
保健体育科
音 楽 科
多面的に考える活動・協同学習
⑤快適な住まい
●室内の空気調節や生活騒音など、家
(1時間) 族の立場で考え、自分で改善できる
具体的な方法を見つけ実践させる。
ジグソー法を用いて、災害時の ア−1
備えとして適当なもの(防寒具、 ウ−1
軍手等)を多面的に考える。
快適な住まいを家族の立場で考
え、具体的な改善策を考える。
技術・家庭科
6.本時の学習
(1)主題 「災害への備えを考える」
(2)目標 非常用持ち出し袋に何を入れるか、科学的な根拠をもち、多面的に考察する。
英 語 科
(3)展開
生徒の学習活動
教師の指導・支援
備考
道
◆冬の災害時を想定し、非常用持ち出 ◇市販の簡易な非常用持ち出し袋を見 パワーポイント
し袋に何を入れるべきかを考える。
せて、具体的なイメージを持たせる。プロジェクター
(3分)
徳
◆ジグソー法により、A∼Dの役割分 ◇実験や情報収集のスペースを確保し、ワークシート
担をして情報収集をする。 (22分)
エキスパートグループA∼D各10人
が、根拠に基づいた情報を共有でき
るよう、支援する。
― 188 ―
イ−2
総
それぞれのワークシートに情報を
まとめる。
確認し合った情報をワークシー
トに記入させる。
7.結果と考察
をさせた。その内容は、「非常用持ち出し袋に入っているもの」として、某スーパーマーケットにおいて
980円で販売されている簡易非常持ち出し袋(実物)
、13500円で販売されている救急防災セット(広告と
写真)、非常持ち出し品チェックリストを調べるもの、「銀色のシートは暖かいの?」として、レスキュー
「身体を冷やさない工夫(床)
」として、2種類ずつ5組のものを裸足で踏むことで、水を含まないもの
や空気を含むものが冷えないことを体感させ、断熱材として適切なものを考えさせる実験、「なぜ、軍手
は綿100%がいいの?」として、4種類の繊維(綿、毛、アクリル、ポリエステル)の燃焼実験を動画で
エキスパートグループとして各班から集まった10名が、それぞれの内容を資料から情報収集したことや、
実験結果をワークシートにまとめた。このような体験的な学習は非常に効果的で、興味津々に取り組んで
いた。また、その場で互いに確認し合ったり、共感したりしている様子が多々伺えた。
一人ひとりが主役となり、意欲的に伝え合う学習の場を設定することができたと実感した。
このように、協同学習におけるジグソー法で、普段の生活の中では見過ごしがちな科学的根拠やその工
夫、衣生活の知識、保温性と低体温症に関わるニュース等を情報収集し、伝え合うことで、多面的な思考
英 語 科
班にもどり、エキスパートグループでの学習を情報交換しながらワークシートにまとめている様子から、
技術・家庭科
確認し、2種類の軍手(綿100%、ポリエステル80%綿20%)の燃焼実験を行うものであった。
保健体育科
シートや非常用ブランケットというアルミ蒸着シートを装着させ、代用毛布となることを体感させるもの、
美 術 科
ジグソー法により、班員一人ひとりに災害への備えを考えるための内容(4種)を分担させ、情報収集
音 楽 科
(3分) 考えが伝わりやすいように、簡易な
非常用持ち出し袋に入っているもの以
外とする。
科
◆リストを発表する
理
◆季節や家族構成を考え、非常用持ち ◇ホワイトボードに記入させるものは、ホワイトボード
出し袋に入れておくべきものをリス
班で多面的に考えたものでその理由 ボード用マーカー
トにまとめる。
(7分) も記入させる。
数 学 科
◆班にもどり、情報交換し、何が必要 ◇情報より科学的な根拠をもたせ、必
かを考える。
(15分)
要なものを多面的に考えさせる。
社 会 科
⇩
・A 非 常 用 持 ち 出 し 袋
(実物、リスト2種)
・Bアルミ蒸着シート、
温度計、時計
・C 発 砲 ス チ ロ ー ル、
段 ボ ー ル、新 聞 紙、
乾いた布、湿った布
・D 軍 手(2種)
、P C、
ア ル コ ー ル ラ ン プ、
ピンセット
国 語 科
・1人ずつA∼Dの情報収集をし
よう。
見たり、触って確かめたり、体
感したことをエキスパートグルー
プで確認し合わせる。
論
ジグソー法を用いて、A非常用持
ち出し袋に入っているものリスト
(2種類)、Bアルミ蒸着シート
C保温性実験(6種)新聞記事、
D軍手(2種類)について情報収
集をする。
道
力を高める授業になったといえよう。
一方課題としては、エキスパートグループで何をどのように学習させるか、そのための適切な資料を準
ものの、それ以外の内容については非常に難しかった。すなわち、アルミ蒸着シートの保温性測定結果
(和歌山大学教育学部今村律子教授提供)データの図から、放射熱の利用を視覚的に理解し、体験的に
知っていた熱伝導率をワークシート内で説明したが、理解しにくかったかもしれない。
しかしながら、今村律子教授と共同作成した燃焼実験の動画を用いたことで、実際に軍手の一欠片に火
を付ける燃焼実験を、予備知識を持って安全に行うことができた。
― 189 ―
徳
備することは難しく、大層時間がかかることであった。非常用持ち出し袋は日常生活の中にヒントがある
総
論
これからも、題材が科学的根拠に基づいたものであり、かつ生徒の実生活に即したものを選択し、既存
の知識を深め発展させていくような授業づくりを行っていきたい。
国 語 科
参考
資料1 和歌山県 防災教育指導の手引き
社 会 科
資料2 和歌山市 みんなでとりくむ災害対策基本条例概要版
資料3 和歌山市防災情報提供プラットホーム http://www.bosai.city.wakayama.wakayama.jp/
資料4 和歌山 県民の友 No.901 平成25年9月号 大規模災害から命を守る
資料5 市報わかやま No.822 平成25年9月号 特集 備えるのは、今。
数 学 科
資料6 宮城県気仙沼発!ファイト新聞
理
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 190 ―
総
論
〔授業の様子〕
国 語 科
社 会 科
C 保温性実験(6種)
D軍手(2種類)の燃焼実験
理
B アルミ蒸着シートを装着
数 学 科
A 非常用持ち出し袋に入っているものリスト(2種類)
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 191 ―
総
論
〔生徒のワークシート〕
国 語 科
社 会 科
数 学 科
理
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 192 ―
総
論
〔生徒のワークシート〕
国 語 科
社 会 科
数 学 科
理
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 193 ―
総
論
実践2
2年生
授業者 一 色 秀 之
国 語 科
1.単元名 情報通信ネットワークの利用
2.単元観
社 会 科
本教科における授業内容は、生徒たちの家庭生活に直結する内容のものが多く、授業で学んだことが実
生活の場で役立たなければならない。そのため、授業の中で「なるほど」という感動と、「やればできる」
という達成感を生徒たちに持たせることが大切であり、そのことが「興味・関心」から「創意・工夫」へ
とつながると思われる。本教科の学習内容を活用する場は実生活にある。そのため、授業では基礎的・基
数 学 科
本的な知識および技術を習得することにより、生徒たちが自らの実生活で考え、工夫し、習得した内容を
自ら活用できる能力を育てることにつながると思われる。そして最終目標として、自らの生活の問題につ
いて、その問題解決にむけて探究していく力をつけさせたい。
単元として、今回情報通信ネットワークの利用を扱う。今や私たちの生活において、コンピュータはな
理
くてはならない存在となっている。また、インターネットサービスや携帯電話サービスなどが広く普及し、
情報通信ネットワークの技術が、私たちの生活や社会の中でどのような役割を果たしているのか、またど
のように私たちの生活を豊かにしてきたかを知らせるとともに、情報化が私たちの生活や社会に及ぼす影
科
響を知らせ、情報化社会に向きあうために必要な意識・態度をはぐくみたい。
音 楽 科
本時において、実際の情報通信でも用いられている、情報をパケットという小さなかたまりに分けて
美 術 科
生徒たちはそれぞれが考え、気づいたことを他者に伝えるとともに、周囲の意見にも耳を傾け、自らの
データをやる取りすることを体験し、説明させる活動をさせた。体験実験を通して気づいたことや思った
ことを整理し、情報を伝えるにはどのようなしくみが利用されているかを班活動の中で気づいてもらいた
い。
考えと照らし合わせることで新たな発見ができるものと思われる。班での作業の際シンキングツールを用
い、生徒の多面的に思考する力を高める手助けとしたい。
保健体育科
3.単元の目標
技術・家庭科
英 語 科
①コンピュータを利用した情報に関する技術について関心を持つ。
②コンピュータを構成する要素の種類や役割を理解する。
③コンピュータが情報を処理するしくみを理解する。
④コンピュータで情報を利用するために必要なディジタル化の方法と特徴を知る。
⑤ディジタル化した情報の量の表し方と、保存する方法を知る。
⑥ネットワークの種類と構成を知る。
⑦ネットワークを利用して、できることを知る。
⑧インターネットなどのネットワークで情報を伝えるしくみを知る。
4.単元の評価規準
道
ア 生活や技術への
関心・意欲・態度
徳
1 身の回りにある情報に関する技術に関心を持ち、進んで学習しようとして
いる。
2 情報通信ネットワークの利用に関する知識について身につけようとしてい
る。
イ 生活を工夫し創造
する力
ウ 生活の技能
1 ファイルを目的の場所に保存することができる。
― 194 ―
総
教師のねらい
多面的に考える活動・協同学習
評価
数 学 科
学習内容
社 会 科
5.単元の計画 5時間 (全5時間中5時間目)
国 語 科
1 コンピュータ本体、入力装置、出力装置についての役割や、相互の関係を
説明できる。
2 ハードウェアとソフトウェア、基本ソフトウェアと応用ソフトウェアの関
係を説明できる。
3 画像のディジタル化の方法について説明できる。
4 ファイルとフォルダについて説明できる。
5 ネットワークの基本構成を説明できる。
6 データや周辺機器を共有する利点について説明できる。
7 URLの構成を説明できる。
8 パケットによるデータのやりとりの利点としくみを説明できる。
論
エ 生活や技術につい
ての知識・理解
ア−1
②コンピュータの
構成
情報を処理する
しくみ
●コンピュータを構成する要素の種
類や役割を理解させる。
●コンピュータが情報を処理するし
くみを理解させる。
エー1
エー2
③ディジタル化の
方法
ディジタル化し
た情報の量と保
存
●コンピュータで情報を利用するた ディジタル化した情報を、伝えたい
めに必要なディジタル化の方法と 内容や伝えたい相手に合わせて利用
特徴を理解させる。
できるように、各メディアの特徴を
●ディジタル化した情報の量の表し とらえる。
方と、保存する方法を理解させる。
ウー1
エー3
エー4
美 術 科
④ネットワークの
構成
ネットワークで
できること
●ネットワークの種類と構成を理解
させる。
●ネットワークを利用して、できる
ことを理解させる。
アー2
エー5
エー6
エー7
⑤情報を伝えるし
くみ
●インターネットなどのネットワー
クで情報を伝えるしくみを理解さ
せる。
データを伝えたい相手に届けるには エー8
どのようなしくみが必要かを考える。
◆データをパケットに分割して送信
することについて判断する。その
際、PMIシートを活用する。
科
●コンピュータを利用した情報に関
する技術について関心を持たせる。
音 楽 科
理
①情報社会の技術
を見てみよう
情報の技術とそ
の役割
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 195 ―
総
論
6.本時の学習
(1)主題 「情報を伝えるしくみ」
国 語 科
(2)目標 パケットによるデータのやりとりの利点としくみについて説明することができる。
(3)展開
生徒の学習活動
教師の指導・支援
備考
社 会 科
数 学 科
◇前時の学習内容について、復習をさ
せる。
・PC
◆本時の目標を知る。
◇本時の目標を知らせ、関心・意欲を
持たせる。
・実物投影機
・プロジェクタ
◆手紙を出す際の約束事を答える。
◇手紙を出す際の約束事を整理させる。・ストップウォッチ
◆教科書「調べてみよう」を読み、電
子メールが届くしくみを例にしなが
ら、通信プロトコルの役割について
知る。
◇電子メールが送受信できるしくみを
整理しまとめさせる。
◆通信回線を効率よく使うことができ
るように、パケットを使ってデータ
のやりとりをしていることを知る。
◆通信回線を効率よく使うことができ
るように、パケットを使ってデータ
のやりとりをしていることを示す。
◆実験を通じて、パケットによるデー
タの流れを確かめる。
◇実験をもとに、データは送信元でパ
ケットに分割され、受信側で順序番
号を使用して元通りに組み合わされ
ることを体験させる。
理
◆前時の学習内容を確認する。
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
データを届けたい相手と正しくや
りとりするしくみを考える
・リーダーが司会をする。
英 語 科
データをパケットに分割して送信
することについて判断する。
PMIシートを活用する。
・レポーターは、メンバーで話し
合ったことを別の班に報告に行
く。
◆スポンジとカプセルを使って、デー
タ圧縮についてのしくみを知る。
◇モデル提示を通じて、データ圧縮処
理のイメージを示す。
◆本時の学習を振り返り、次時の学習
内容を確認する。
◇本時のまとめを行い、次時の学習内
容を説明する。
道
⇩
・ラ イ タ ー は、メ ン バ ー で 話 し
合った内容を書く。
徳
― 196 ―
・ワークシート
・カプセル
・提示資料
総
論
7.結果と考察
今回技術科では、情報通信ネットワークの利用におけるパケット通信のしくみについて学んだ。情報を
情報通信ネットワーク技術については、私たちの生活でよく利用されているものである。しかし身近で
はあるが、そのしくみを理解しているとは言い難く、なぜネットワーク上で、情報がパケットというデー
ネットワークにおける、情報のパケット通信についての様子は、実際には見る事ができないが、写真と
カプセルを用いた実験(体験)を行うことにより、可視化することができた。また、体験したことを自分
の考えとしてまとめる際に、多面的に考える思考を手助けするシンキングツールとして、今回はPMI
数で考え、意見交換をする中で、生徒たちはそれぞれが考え、気づいたことを他者に伝えるとともに、周
囲の意見にも耳を傾け、自らの考えと照らし合わせることで新たな発見をしていた。また、4人のグルー
プ内での意見交換にとどまらず、グループ同士での情報交換、情報共有の場を設定することにより、グ
生徒の感想の中に、実験がとてもわかりやすく、実際に自分でやってみることにより、理解することが
理
ループ内だけでなく、グループ相互の学びあいへと発展していった。
数 学 科
シートを活用した。そして、1人で考える場面だけでなく、班で考える場面も設定した。1人ではなく複
社 会 科
タのかたまりで扱われるのか、その利点と目的について考えてもらいたかった。
国 語 科
パケットに分けて送受信する実験(体験)を行い、パケットによる情報通信について考える活動をさせた。
できたというものが多かった。また他の班との意見交換をすることで、自分の班では気づかなかったとこ
ろもわかったのでよかったという声もあった。個の学びが班の学びとなり、また班同士の学びへと、学び
科
を共有することができていると実感することができた。
音 楽 科
一方課題としては、今回は、時間が足りなくて、本時の中で計画していたデータ圧縮のしくみを扱うこ
とができなかったことがあげられる。ネットワークの利用において、データの圧縮・展開も重要な技術の
1つであるので、正しい知識を身につけさせたい。
シートであったので、PMIシートのIの部分(Interesting)の部分を考えるのが、難しかったという生
徒の声もあった。P(Plus)の部分とI(Interesting)の部分が重なってしまうという生徒の意見もあった
ので、せっかく生徒の思考を助けるツールなので、ワークシートを効果的に使用するトレーニングの必要
聞かせてくれているので、今後も生徒が、自らの生活に目を向け、より豊かな生活を目指すため、問題解
決に向けてお互いが活発に意見交換し、学びあいができるような授業を提供していきたい。
保健体育科
性も感じた。しかし、多くの生徒が今回の学びについては、楽しかった、またやってみたいという感想を
美 術 科
また技術科では、今回PMIシートを初めて使用をしたが、生徒も授業で使用するのは初めてのワーク
技術・家庭科
授業の様子
英 語 科
道
徳
― 197 ―
総
論
国 語 科
社 会 科
数 学 科
理
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
生徒のワークシート
インターネットなどのネットワークについて、情報を小さなかたまり(パケット)に分割してデータを
やりとりすることについて考えてみよう。
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 198 ―
総
論
国 語 科
社 会 科
数 学 科
理
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 199 ―
総
論
国 語 科
社 会 科
数 学 科
理
科
音 楽 科
美 術 科
保健体育科
技術・家庭科
英 語 科
道
徳
― 200 ―
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