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「セブン・ビルズ・プレミアム」の為のレヴァズ・ベシッゼ大使のインダビュー

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「セブン・ビルズ・プレミアム」の為のレヴァズ・ベシッゼ大使のインダビュー
知られざるコーカサスの輝き
インタビュー
グルジア
レヴァズ・ベシッセ駐日大使
コーカサス地方の黒海に面した、中央アジアとヨーロッパをつなぐ国グルジア。
清らかな水と大自然に恵まれ、紀元前に起源を遡るワイン発祥の地とも言われる深い歴史を持つ。
日本では、まだなじみは少ないが、透明な宝石のように穏やかに輝きを放つ国。
その魅力を駐日グルジア大使レヴァズ・ベシッセ氏に語っていただいた。
取材・文/SEVEN HILLS Premium 人物写真/土井浅香 協力/駐日グルジア大使館、
株式─会社ネイチャープラス
─グルジアを代表するものは何ですか?
また国家としての機能が成立してから
1つめは地理的な条件です。
グルジアは
3500年もの歴史を持っています。
グルジア
ヨーロッパの南東、黒海とカスピ海の間にあ
文字は、
アラビア文字やギリシャ文字など世
り、
アジアとヨーロッパをつなぐシルクロードの
界に存在する14のアルファベットのうちの1
交差地点で昔から重要な役目を果たしてきま
つです。
した。紀元前2~3世紀に作られた中国の絹
─グルジアの観光資源は何でしょうか?
が発見されていますし、
現在でも石油や天然
自然が豊かで変化に富んでいるところで
ガス、
貨物を輸送する中央アジアとヨーロッパ
す。1日で氷河から亜熱帯地域、
標高の高い
を受けました。
同年10月にブリュッセルで開か
れたEU世界銀行ドナー会議では、
グルジア
の経済再生と、
戦争で受けたインフラ損害の
再生が審議されました。
そこで日本は東西の
交通要所の進展のため、2億ドル以上の支
援を申し出てくれました。私たちはこの恩を忘
れることはないでしょう。
現在、
グルジア経済は急速に発展してい
ます。
グルジアは東ヨーロッパにおいて最
グルジアのワインを「自由のワイン」と呼んで
も優れた投資環境であると言っていいで
います。
しょう。
禁輸は非常に大きな痛手ではありました
実際、
世界銀行の「IFC Doing Business
が、
同時に海外市場に目を向けることにつな
2010」という経済レポートでは、最もビジネス
がりました。東西ヨーロッパ、
アメリカなどで新
のしやすい国のランキングで183ヵ国のうち
しい市場を開拓しているところです。
12位と、
非常に高い位置を獲得しています。
─グルジアの食文化について教えてくだ
これは投資家や企業家に友好的規制環境
さい
の国であることを意味しています。特にビジ
グルジアはその長い歴史から独特の食文
ネスを始めやすい国として評価されていて、
化を発展させました。
「客人は神からの贈り
現地職員の採用や、
ライセンス取得などの
物」
と言うほど、
「おもてなし」はグルジア食文
申請に関しても評価されており、
174ヵ国を対
化の象徴と言えます。「スプラ」と呼ばれる夕
象とした同レポートの2011年版では、
積極的
餉ではスピーチや歌、踊りが行われ、芳醇な
改革を推進する国としても記されています。
ワインやおいしい料理が振る舞われます。
こ
カナダに次いで、外国企業が1週間以内で
れは私たちの生活に深く根づいているライフ
子会社を設立できる世界で数少ない国の1
スタイルです。
つでもあります。
食材については、
温暖な気候で1年のうち
こうした政府の継続的財政政策により
9ヵ月間、
作物の収穫が可能で、
豊富な食材
2010年1月から6月のGDPは6.4%の成長率
に恵まれています。ほとんどの食物が有機
を記録しています。特にエネルギーや農業、
栽培です。
山岳地帯で採れる野生のハーブ
不動産関連の分野では、
大きな投資の機会
は、
グルジア料理独特の香りづけになります。
があると考えます。将来的に、
日本にとっても
クルミ、
ザクロ、
ナス、
ホウレンソウのペースト、
投資の重要な国になることでしょう。
肉類、
野生のハーブ、
ニンニクなど、
ワインとよ
日本とは、2007年に大使館が発足して以
く合う食材が多いのも特徴です。
来、
これまでよりいっそう高いレベルでの協
─長寿の国と言われていますが、
その秘
力関係構築につとめています。
貿易面では、
密は?
ワイン、
ヨーグルト、
ミネラルウォーター、
ナッツ、
ワインではないでしょうか。
グルジアの生活
ハチミツなど輸出の促進につとめています。
は、
ブドウ栽培と深くつながっていますから、
─グルジアワインの特徴について教えてく
やはりワインと長寿は切っても切り離せない
ださい
関係にあると思います。特に「クベルリワイ
グルジアのワイン文化は非常に長い歴史
ン」は密封された土器の中で3~4ヵ月発酵
を持ちます。数年前にある科学者が約8000
させ、
タンニンとビタミンが多く含まれます。他
年前の石器時代の瓶から、
ワインの残滓を
のワインと比べてもタンニンは多く含まれてい
発見しました。古代ギリシャはグルジアのワイ
るほか、
ポリフェノールが多いため、心臓欠
ンを輸入していましたし、言語学的にもグル
陥の対策やコレステロールを低く保つのに
ジア語でワインを示す「gvino(グヴィーノ)」
役立ちます。
もちろん無添加でオーガニック
が、
イタリア語の「vino(ワイン)」や英語の
ワインの独特の味わいがします。
「vine(ブドウの蔓)」などの語の由来である
2
3
4
もう1つはミネラル・ウォーター。
グルジアは
を最短距離でつなぐルートです。特に石油に
山岳地帯を旅することが可能です。
ヨーロッ
ことが証明されています。
自然が豊かで豊富な源泉があります。中で
ついて、
バクー、
トビリシ、
ジェイハンのパイプラ
パ最高峰の山脈と8つの国立公園もありま
世界2000種あるとされているブドウのう
も「ボルジョミ」は特に有名です。
このミネラル
インは世界石油需要の1%以上を輸送して
す。
またそこには2400ものミネラルウォーター
ち、
500種以上がグルジアに由来し、
そのほと
ウォーターは、
消化器官や肝臓の病気、
すい
います。
そして地中海からロシア領土を通ら
源泉や、25のユニークなスパリゾートがあり、
んどがワインに使用されています。
炎、代謝障害に対して自然治癒力を高める
ない唯一のパイプラインです。
近年では中央アジア、東アジア、
アメリカなど
ワイン通の間では「サペラヴィ」「ムクザニ」
効果があり、
日常的に飲み続けることで免疫
2つめは、
考古学的な財産です。昨今、
トビ
からの観光客が訪れています。飛行機から
「テリアニ」は特によく知られた品種です。
ワイ
が高まり、血管や神経系を強化、細胞を浄
リシの南で180万年前のドマニシ原人の化
の景色を楽しむツアーや、ヘリスキーなどの
ン産業は近年、
もっとも繁栄している経済分
化する作用があるとも言われています。
石が発見されました。
これは、
アフリカ人から
ハイエンドなサービスもあります。
野でしょう。
他には、
自然、
それから澄んだ空気、
また
ヨーロッパ人への進化のミッシングリンクをつ
─グルジアと日本の交流の歴史について
2006年ロシアへの輸入は、
政治的な理由
ヨーグルトや有機栽培食品などが挙げられ
なぐもので、
このことによってグルジアがヨー
教えてください
により禁止され、
グルジアワインは90%の輸出
るでしょう。
日本の方にもこうした食品をはじ
ロッパ文明発祥の地ということが明らかに
2008年グルジア・ロシア間で戦争が勃発し
市場を失いました。
これは、
自由に対する政
め、
グルジアの文化、
食文化などもっと知って
なったのです。
た時に、
日本から大きな政治的、
財政的支援
治的圧力と捉えられました。
ヨーロッパ人は
いただき、
是非楽しんでほしいと思います。
068
1
1. 美しい山脈が生み出す澄んだ水はグルジアにとって生命の源
2. 首都トビリシの街並み
3. 黒海に面し、
温暖な気候は豊かな食をもたらす
4. グルジアの典型的な集合住宅
Present 読者プレゼント
長寿の水としても愛飲され「コーカサ
スの真珠」とも呼ばれているグルジア
の微発泡ミネラルウォーター「ボルジョ
ミ」350ml24本入ケースを抽選で1名
様にプレゼントいたします(提供/販
売:株式会社 ネイチャープラス)。詳し
くは122ページをご覧ください。
グルジアのワインカーブ
MAY 2011
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