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北海道立上川農業試験場年報

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北海道立上川農業試験場年報
平成21年度
北海道立上川農業試験場年報
平成22年8月
地方独立行政法人
北海道立総合研究機構
農業研究本部
上
川
農
業
試
験
場
上 川 農 業 試 験 場 天 北 支 場
目
Ⅰ.概
次
要
1.沿
1
革
1
2.施設及び試験圃場
1
3.機
2
構
4.職員の配置
3
5.職
員
3
1)現在員
3
2)転入者
3
3)転出者
4
6.歳出決算額
4
7.歳入決算額
4
8.新たに設置した主要施設および備品
5
Ⅱ.作
況
6
1.気象概況
2.作
6
況
10
1)各作物の耕種概要
10
2)各作物の作況
10
(1)水
10
稲
(2)秋まき小麦
13
(3)春まき小麦
14
(4)大
豆
15
(5)小
豆
16
(6)ばれいしょ
Ⅲ.試験研究の概要
17
18
1.各科の研究成果の概要
18
2.各科の試験成績の内容
19
1)水
稲
科
19
2)畑作園芸科
27
3)栽培環境科
34
4)病
43
虫
科
Ⅳ.試験成績の成果と普及
50
1.技術普及部
50
2.普及奨励、普及推進ならびに指導参考事項等
56
3.論文ならびに資料
57
1)研究論文、試験成績
57
2)口頭発表
57
3)専門雑誌、著書・資料
58
4)新聞等記事
59
4.印刷刊行物
Ⅴ.その他
60
61
1.職員研修
61
2.技術研修生の受け入れ
61
3.海外技術協力
61
4.参観、交流
61
1)一般参観来場者
61
2)上川農試公開デー 第 13 回「農と食の祭典」
62
3)新技術発表会
62
5.マスコミ等への対応
63
6.委員会活動
65
1)委員会及び構成委員一覧
65
2)図書委員会
66
3)研修委員会
66
4)業務委員会
66
5)安全衛生委員会
66
6)企画情報および農業情報技術システム運営委員会
66
7.表
彰
67
8.学位授与
67
天 北 支 場
Ⅰ 概
要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
1.沿
革
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
2.位
置
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
3.土
壌
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
4.面積及び利用区分
5.機
構
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
6.職員の配置
7.職
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
員
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
8.歳出決算
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71
9.歳入決算額
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71
10.建 物(公有財産) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
11.新たに購入した備品
Ⅱ 気象と作 況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
1.気象概況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
2.作
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
況
Ⅲ 試験研究の概要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
1.研究成果の概要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
2.試験成績の内容
・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80
Ⅳ 普及活動
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
1.普及活動の概要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
2.地域農業技術支援会議
3.普及指導員の研修
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
4.普及センターからの要請に基づく支援
5.普及指導員調査研究
Ⅴ 普及事項論文並びに資料
1.普及事項等
・・・・・・・・・・・・・・・・88
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
2.研究報告および論文
3.口頭発表
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91
4.資料、著書および刊行印刷物
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
5.技術指導および普及・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
Ⅵ そ の 他
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93
1.職員研修、職場研修、表彰および海外出張等
2.共催行事
・・・・・・・・・・・・・93
4.施設配置図
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
Ⅰ
1.沿
概
要
革
当場は、明治19年に旧神居村忠別(現在の旭川市神
北海道立農業試験場原々種の生産事業を開始し、昭
居1条1丁目155番地)に忠別農作試験所として発足し
和31年1月女満別分場の廃止と同時に北海道立農業
農作物栽培の適否を試みたのを始めとする。この試験
試験場原々種農場士別分場として発足した。
所は、翌年上川仮道路開削に従事する樺戸集治監忠別
さらに、昭和33年4月より北海道立農業試験場上
出張所に引き継がれた。明治22年道庁は屯田兵及び移
川支場畑作科が併置され、畑作試験に着手した。昭
住民に蚕桑の業を授け、かたわら農作物を試作する忠
和34年4月に北海道原々種農場士別分場を廃止し、
別農作試験場(現旭川市1条2、3丁目)を復活した。 北海道立上川農業試験場畑作科と改称された。昭和
明治30年に旭川村6条11丁目(現旭川市東高敷地)に、 62年4月には、農業試験研究機関の機構改正により
さらに明治37年には旭川の市街拡張のため永山村(旭
園芸部門を強化し畑作園芸科と改称したが、平成4
川市永山6条18丁目302番地)に移転し、平成5年度
年度からは畑作科と園芸科に分離し一層の強化を図
末までの90年間にわたって各種の試験を行った。
った。同時に、病害虫防除所の設置にともなって病
平成6年度からは現在地(上川郡比布町南1線5
虫予察科は病虫科に改称された。平成5年度末の移
号)の新庁舎、新圃場での試験を開始した。
転に伴い士別市の畑作科、園芸科も現在地に統合さ
その間に名称や機構も変遷し、昭和25年には農業
れた。
試験研究機関の整備統合で、従来の試験研究が国立
移転整備経過は、平成元年9月に現在地への移転
と道立に二分されたのに伴い、当場は道費支弁の北
が決定され、平成3年度に圃場整備、平成4年度に
海道農業試験場上川支場となり、さらに昭和39年11
庁舎及び付属施設建設工事に着手し、平成6年8月
月、本道の農畜一体とした試験研究を行うため機構
末に外構工事を含め完成した。
改革が実施され、当場は北海道立上川農業試験場と
平成12年の「新研究基本計画」に基づく道立農業
改称された。
試験場機構改正により、専門技術員室が技術普及部
なお、昭和2年より昭和21年まで地方債事業とし
として、試験場の組織に位置付けられたほか、研究
て、農林省指定による水稲新品種育成試験を実施し、 部も水稲育種科が稲作科と改名になり、また、畑作
その後、昭和22年より昭和25年まで札幌農事改良実
科と園芸科が統合されて畑作園芸科になった。さら
験所上川試験地が併置されていた。
に、土壌肥料科と水稲栽培科が統合されて栽培環境
一方、試験業務も明治27年から従来の蚕桑中心の
科と名称を新たにし、病虫科、管理科を含め、従来
試験から一般畑作の試験に移り、さらに明治33年か
の7科から5科体制となって、それぞれ再出発した。
らは、水稲もとりあげられるようになった。明治37
平成 18 年度の機構改正により天北農業試験場は
年永山村に移転してからは水稲に関する試験が多く
廃止され上川農業試験場天北支場とされた。また、
なり、それらの成果は広く普及された。大正4年か
これまでの稲作科は水稲科に改称された。
らは水稲の本格的品種改良試験が開始された。その
結果、大正時代には「坊主」系統が広く栽培され、
2.施設及び試験圃場
昭和10年に有名な「富国」ができるまで「坊主」の
1)圃場の土壌条件
時代が続いた。
当場は、上川郡比布町の基線(国道40号線)と町道
その後、戦前戦後を通じ数多くの優良品種を育成
南1線、町道5号と6号に囲まれた面積約28.5haの方形
し、名実ともに当場は本道稲作に関する中心的試験
の用地で、その標高は160m前後である。中央には用地
機関となった。
を東西に二分する形でウッペツ工場川が流れている。
なお、昭和41年農林省の全額助成による水稲指定
東方約700mに石狩川がある。分布する土壌は褐色低地
試験が再度設置された。また、昭和44年には普及事
土で、一部は礫層が地表下30~60㎝に現れる礫質褐
業の強化にともない専門技術員が配置された。
色低地土である。試験圃場造成前の土地利用は水田、
また、畑作科(士別市東山村)は昭和29年3月から
宅地、農道等であった。
-1-
3)土地利用及び施設・圃場の配置
試験圃場造成に当たり、農道は殆どそのままの位
置で新しい農道を造成した。試験圃場は、表土部分を
(土地利用・施設・圃場の配置図)
取り除き、水田は心土均平を、畑圃場は心土部分の厚
さ30㎝の石礫除去を行った後、表土戻しをした。
⑥
造成された試験圃場の代表的な土壌条件は、水田で
輪作畑
は細粒褐色低地土・造成相、また畑圃場は礫質褐色低
地土・造成相である。
⑤
水
2)施設、圃場の利用区分と面積
⑥
施設(㎡)
・庁
舎
2,804
・吹抜小屋
214
・車
庫
179
・バイオテクノロジー研究棟
2,147
・人工気象棟・ガラス網室
459
・給 油 所
3
・昆虫飼育実験棟
282
・参観者便所
27
・共同作業棟
916
・共同調査棟
907
・冷水田ポンプ舎
63
・水田ポンプ舎
20
・畑かんポンプ舎
11
・農機具庫
907
・外便所(2)
72
・研究資材棟
907
・乾 燥 庫
214
・そ の 他
279
計10,411㎡
水稲育苗圃
⑥
建物敷地
③
冷水田
②
①
⑥
④
①
庁舎
④
昆虫飼育実験棟
②
温室・人工気象室
⑤
精密枠試験圃
③
調査・作業棟
⑥
圃場内施設
3.機
構
技術普及部:農業試験研究で得られた各専門別技術
成果を普及員等に助言指導を行う。
また、
技術体系化チームとして、研究部と現地実証
試験等を実施する。
総
試験圃場(ha)
水田関係
・水
田
(内冷水田)
・農道・畦畔
・用排水路
・施設・用地など
畑 関 係
・畑
・農
道
・枠試験地
・堆 肥 場
・施設・用地など
・排水路
⑥
田
務
課:総務係、主査(会計)において、人事・
予算・支出・財産管理を行う。
14.05
9.99
(1.05)
2.85
0.29
0.92
9.52
7.81
1.13
0.19
0.20
0.15
0.04
研
究
部:
管 理 科;作業計画・労務及び業務用施設の管理
を行う。
水 稲 科;水稲の品種の育成に関する試験研究・
調査を行う。
畑作園芸科;畑作物の品種改良と栽培法、水田転
換畑での畑作物導入及び園芸作物の品種改良
と栽培法の試験研究・調査を行う。
栽培環境科;施肥法改善・土壌改良・良質米生産
のための施肥法改善・食味改善、水稲の直播
栽培・移植栽培法の改善、冷害安定技術、除
4.83
草剤の試験研究・調査を行う。
用地合計
病 虫 科;水稲・その他主要作物の病害及び害虫
28.40 ha
の生理・生態、新農薬の効果査定などの試験
研究・調査及び病害虫発生予察事業を行う。
天 北 支 場:別
-2-
掲
4.職員の配置(平成22年3月31日現在)
区
分
技 術 吏 員
事
務
吏
員
合 計
科・課・等
研究職
場
研
主
総
長
究
部
長
任 研 究 員
務
課
総
務
係
主 査 ( 会 計 )
管
理
科
水
稲
科
(水稲育種指定試験地)
畑 作 園 芸 科
栽 培 環 境 科
病
虫
科
行政職
研究職
1
1
2
1
(1)
1
5
摘
要
行政職
4
(2)
(1)
2
2
5
5
4
1
1
2
5
(3)
(1)
5
5
管理科技術吏員4名のうち2名
は、職務換により事務吏員行政
職に変更。残る2名は職務換を
せず行政職に変更。
うち 1 名は再任用職員。
5
5
4
指定試験地主任:水稲科長
技 術 普 及 部
次
主 任 普 及 指 導
主査(地域支援
合
長
長
員
)
1
1
計
5.職
1
1
1
2
1
1
1
25
6
1
6
38
員
1)現在員(平成22年3月31日現在)
職
名
場
長
研 究 部 長
主 任 研 究 員
主 任 研 究 員
総 務 課 長
副主幹兼総務係長
主 査 ( 会 計 )
主
任
主
任
管 理 科 長
業務主任
指導主任
主
任
再 任 用
水 稲 科 長
研究職員
研究職員
研究職員
研究職員
2)転
入
職
身
分
技術吏員
〃
〃
〃
事務吏員
技術吏員
事務吏員
〃
〃
技術吏員
〃
事務吏員
〃
技術吏員
〃
〃
〃
〃
〃
氏
菊
紙
沼
柳
松
坂
松
永
強
小
真
加
石
稲
佐
吉
尾
品
粕
地
谷
尾
原
尾
井
村
井
力
田
坂
藤
崎
場
藤
村
崎
田
谷
治
元
吉
哲
邦
隆
忠
将
義
幸
章
雅
智
洋
博
雅
名
職
名
己
一
則
司
昭
寿
誠
勝
幹
信
男
広
一
弘
毅
徹
人
史
志
畑作園芸科長
研究職員
研究職員
研究職員
研究職員
栽 培 環 境 科 長
研究主査
研究職員
研究職員
研究職員
病 虫 科 長
研究職員
研究職員
研究職員
技 術 普 及 部 長
次
長
主任普及指導員
主査(地域支援)
主査(地域支援)
身
分
技術吏員
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
事務吏員
技術吏員
〃
〃
氏
名
鈴 木
青 山
中 道
木 村
江 原
五十嵐
楠 目
二 門
坂 口
熊 谷
長 濱
小 倉
東 岱
齊 藤
岩 田
西 村
島
高 松
小 松
者
名
場
長
栽培環境科長
研 究 職 員
研 究 職 員
主 査(会 計)
(昇 任 者)
主 任 研 究 員
研 究 主 査
氏
名
発令年月日
菊 地
五十嵐
青 山
熊 谷
松 村
治
俊
己
成
聡
聡
誠
H 21. 4. 1
〃
〃
〃
〃
柳
楠
哲
俊
司
三
〃
〃
原
目
-3-
備
十勝農業試験場から
道南農業試験場から
十勝農業試験場から
中央農業試験場から
十勝支庁から
栽培環境科長から
栽培環境科研究職員から
考
和 織
聡
浩 司
文 彦
清
俊 成
俊 三
世
雅 己
聡
恵
玲 奈
孝 司
美 樹
俊 昭
直 樹
惠 子
聡
勉
3)転
出
職
者
名
氏
名
発 令 年 月 日
備
副 主 幹 兼 主 査
村
上
時
広
H 21. 4. 1
主 任 研 究 員
奥
村
正
敏
〃
道南農業試験場へ
研
木
下
雅
文
〃
中央農業試験場へ
〃
佐
藤
三佳子
〃
北見農業試験場へ
〃
植
野
玲一郎
〃
原子力環境センターへ
〃
佐々木
亮
〃
中央農業試験場へ
究
職
員
考
上川支庁へ
6.歳出決算額
節
別
給
与
職
員
手
当
等
共
済
費
賃
金
報
償
費
旅
費
交
際
費
需
用
費
役
務
費
委
託
料
使 用 料 及 び 賃 借 料
工
事
請
負
費
原
材
料
費
備
品
購
入
費
負担金、補助及び交付金
公
課
費
合
計
(単位:円)
予
算
額
250,000
50,000
5,799,600
40,417,410
0
14,205,500
0
65,674,401
4,132,161
21,734,000
4,135,000
0
0
75,725,002
65,000
94,600
232,282,674
決
算
額
240,997
43,938
5,110,278
37,884,355
0
11,672,310
0
60,443,117
2,035,449
21,471,097
2,995,064
0
0
75,723,452
55,000
94,400
217,769,457
残
7.歳入決算額
節
別
建
物
使
用
料
土 地 貸 付 収 入
土 地 売 払 収 入
公 宅 貸 付 収 入
農 産 物 売 払 収 入
不 用 品 売 払 収 入
前渡資金預金利子収入
委 託 電 話 収 入
電
話
料
収
入
試験研究受託事業収入
共同研究費負担金収入
労 働 保 険 料 収 入
雑
入
合
計
額
9,003
6,062
689,322
2,533,055
0
2,533,190
0
5,231,284
2,096,712
262,903
1,139,936
0
0
1,550
10,000
200
14,513,2171
(単位:円)
予
算
額
決
0
0
0
4,584,960
4,413,000
2,000
0
0
0
2,700,000
3,800,000
0
0
15,499,960
-4-
算
額
48,683
0
0
4,234,840
4,237,078
19,446
0
0
0
2,700,000
3,800,000
21,199
0
15,061,246
差
額
48,683
0
0
▲350,120
▲175,922
17,446
0
0
0
0
0
21,199
0
▲438,714
8.新たに設置した主要施設及び備品
(単位:円)
品
名
自走式オートモア
形
共立 AM61-B-E6
マイクロプレートリーダー
米粒成分精密測定・解析システム
日立ハイテクノロジー MTP-310Lab
バイオテック EDR-384S Ver2.0
日立 SH-100 エプソン PX-H10000
バイオメディカルサイエンスシェイクマスターオート
1
1
712,950
10,374,000
DNA による病害抵抗性の解析装置一式
サーマルサイクラー、微量高速冷却遠心機ほか
FOSS インフラテック 1241
ヤンマー EG437,YUH,37PS,サイドロータリー
1
1
1
2,364,600
9,032,677
3,925,950
近赤外線分析装置
トラクター
式
数量
1
金
額
248,000
備
管理科
考
病虫科
栽培環境科
水稲科
水稲科
管理科
付き、キャビン無し
コンバイン
ツインモアー
ロータリー
動力運搬車
成苗用田植機
湛水直播機
麦専用グレンドリル
土壌養分、作物体分析装置
低温インキュベーター+架台
人工気象器
生物顕微鏡・写真撮影装
置
高速冷却遠心機+ローター
プレゼンテーション用ノートパソコン
パナソニック CF-F8H
多容量土壌 ph 測定器一式
試料室 DIK-3421-11
フィルター DIK-3400-14(2枚)
自動圧力調節器 DIK-9222
フリーザー
小型精米器
上皿電子天秤
上皿電子天秤
超遠心粉砕機レッチェ ZM200
真空ポンプ
堀取機
電子天秤
電子天秤
遠心分離器
日立 CT6EL 一式
サイレントエアーコンプレッサー
日立 SC-820
真空ポンプ
土壌粉砕機 富士平工業
ヤンマー AG467JU,4 条刈,結束機付
1
1
1
1
1
1
1
1
4
2
1
7,035,000 管理科
589,995 管理科
849,450 管理科
888,080 管理科
2,866,500 栽培環境科
4,105,500 栽培環境科
1,178,080 畑作園芸科
16,117,500 栽培環境科
1,858,500 病虫科
2,992,500 病虫科
891,450 病虫科
1
2,096,850
1
259,350
栽培環境科
1
931,350
栽培環境科
サンヨー MDF-U443
Kett パーレスト
メトラー MS6001-S
メトラー XSI661-I
ZM200 本体
ヤマトミニパック PO-103
ニプロ BL-65 RS1
SHIMADZU AUY220
メトラー PL4002
CT6EL 本体
ローター T4SS 50TEC アダプタクミ
SC-820 本体
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
775,950
54,810
117,600
231,000
1,354,500
136,500
309,330
150,150
127,050
774,900
水稲科
水稲科
畑作園芸科
畑作園芸科
栽培環境科
水稲科
管理科
水稲科
畑作園芸科
栽培環境科
1
330,750
栽培環境科
ヤマト ダイアフラム型
SSM-1 本体
1
1
149,100
509,250
水稲科
栽培環境科
三陽,TM-27,トラクター前面装置
小橋ロータリー KRL242H-2L
築水キャニコム J80MDP
みのる RXE-6N
ヤンマー VP60RX,TRR10
田端農機 TDWJ-8GD
ヒーエルテック QuAAtro2-HR
ヤマト科学 IL602+ON61
日本医療機械 LPH-350SP
オリンパス BX-41N-33 美館イメージング
NYP6000-P60M+NY-BH
コクサン H-201FR
ローター(2種類)BN4-6,LN
CF-S8H 本体 メモリ 2GB 増設
windows7 モデル+パワーポイント
ph 測定範囲(ph1.6 ~ 3.2)
内径 305 ×深さ222mm
サンプル処理量:最大 24 個
DA120S
-5-
病虫科
Ⅱ.作
況
く、下旬が 3.8 時間多かった。
1.気象概況
平成 20 年 11 月から平成 21 年 10 月までの気象は
次の通りである。
4 月:平年に比べ最高気温は上、中旬が各々 2.2 ℃、
《平成 20 年》
1.9 ℃高く、下旬が 1.2 ℃低かった。最低気温は上、
11 月:平年に比べ最高気温は上、下旬が各々 2.1 ℃、
中、下旬とも各々 0.7 ℃、0.7 ℃、2.0 ℃低かった。
2.5 ℃低く、中旬が 2.3 ℃高かった。最低気温は上、
平年に比べ降水量は上、中、下旬とも各々 2.9 ㎜、
下旬が各々 3.4 ℃、5.2 ℃低く、中旬が 0.2 ℃高かっ
14.8mm、0.3mm 少なかった。日照時間は上、中、
た。平年に比べ降水量は上旬が 33.6mm 多く、中、
下旬とも各々 34.2 時間、33.6 時間、6.3 時間多かっ
下旬が各々 16.7mm、7.0mm 少なかった。日照時間
た。
は上、下旬が各々 0.1 時間、0.6 時間少なく、中旬
5 月:平年に比べ最高気温は上旬が 5.9 ℃高く、中、
が 11.8 時間多かった。
下旬が各々 0.2 ℃、0.1 ℃低かった。最低気温は上
12 月:平年に比べ最高気温は上、中、下旬とも各
旬が 0.7 ℃高く、中、下旬が各々 1.0 ℃、0.1 ℃低か
々 6.2 ℃、3.1 ℃、1.7 ℃高かった。最低気温は上、
った。平年に比べ降水量は上、下旬が各々 31.3mm、
下旬が各々 1.5 ℃、2.7 ℃高く、中旬は平年と変わ
8.9mm 少なく、中旬が 0.3mm 多かった。日照時間
らなかった。平年に比べ降水量は上、中旬が各々 0.
は上、中、下旬とも各々 34.4 時間、23.9 時間、14.0
7mm、18.3mm 少なく、下旬が 5.7mm 多かった。日
時間多かった。
照時間は上、中旬が各々 8.8 時間、0.6 時間多く、
6 月:平年に比べ最高気温は上、中旬が各々 1.3 ℃、
下旬が 14.0 時間少なかった。
4.2 ℃低く、下旬が 2.9 ℃高かった。最低気温は上、
《平成 21 年》
下旬が各々 1.3 ℃、1.7 ℃高く、中旬が 0.8 ℃低かっ
1 月:平年に比べ最高気温は上、中、下旬とも各々
た。平年に比べ降水量は上旬が 7.3 ㎜少なく、中、
1.2 ℃、4.3 ℃、2.9 ℃高かった。最低気温は上、中、
下旬が各々 10.1 ㎜、32.5mm 多かった。日照時間は
下旬とも各々 0.8 ℃、5.4 ℃、0.2 ℃高かった。平年
上、中旬が各々 20.4 時間、17.9 時間少なく、下旬
に比べ降水量は上、中、下旬とも各々 18.5mm、 0.9
が 13.4 時間多かった。
mm、8.6mm 少なかった。日照時間は上、中、下旬
7 月:平年に比べ最高気温は上、中、下旬とも各々
とも各々 2.8 時間、3.0 時間、5.2 時間少なかった。
0.9 ℃、3.9 ℃、2.3 ℃低かった。最低気温は上旬が
2 月:平年に比べ最高気温は上、中旬が各々 1.0 ℃、
1.1 ℃高く、中、下旬が各々 2.9 ℃、0.3 ℃低かった。
1.3 ℃高く、下旬が平年並であった。最低気温は上、
平年に比べ降水量は上、中、下旬とも各々 35.2mm、
下旬が各々 0.7 ℃、0.4 ℃低く、中旬が 1.7 ℃高かっ
57.5mm、30.7mm 多かった。日照時間は上、中、下
た。平年に比べ降水量は上、下旬が各々 4.8mm、 3.
旬とも各々 1.4 時間、2.4 時間、26.6 時間少なかっ
5mm 少なく、中旬が 12.2mm 多かった。日照時間
た。
は上旬が 2.6 時間多く、中、下旬が各々 15.5 時間、
8 月:平年に比べ最高気温は上旬が 1.1 ℃高く、中、
7.2 時間少なかった。
下旬が各々 1.5 ℃、1.9 ℃低かった。最低気温は上、
3 月:平年に比べ最高気温は上、中旬が各々 2.7 ℃、
下旬が各々 0.5 ℃、1.2 ℃低く、中旬は 0.8 ℃高かっ
2.1 ℃高く、下旬が 1.1 ℃低かった。最低気温は上
た。平年に比べ降水量は上、下旬が各々 37.3mm、
旬が平年と変わらず、中旬が 2.7 ℃高く、下旬が 0.
6.9mm 少なく、中旬が 13.3mm 多かった。日照時間
9 ℃低かった。平年に比べ降水量は上、下旬が各々
は上旬が 32.5 時間多く、中、下旬が各々 21.9 時間、
5.8 ㎜、0.8mm 少なく、中旬が 14.2mm 多かった。
9.8 時間少なかった。
日照時間は上、中旬が各々 7.5 時間、12.6 時間少な
-6-
9 月:平年に比べ最高気温は上、中旬が各々 2.2 ℃、
中、下旬とも各々 1.4 ℃、0.9 ℃、0.3 ℃低かった。
0.1 ℃低く、下旬が 0.9 ℃高かった。最低気温は上、
平年に比べ降水量は上旬が 33.3mm 多く、中、下旬
中旬が各々 2.3 ℃、1.8 ℃低く、下旬が 0.1 ℃低かっ
が各々 4.4mm、 5.2 ㎜少なかった。日照時間は上、
た。平年に比べ降水量は上、下旬が各々 31.4mm、
中、下旬とも各々 4.4 時間、10.5 時間、0.4 時間少
2.1mm 多く、中旬が 33.6mm 少なかった。日照時間
なかった。
は上旬が 2.4 時間少なく、中、下旬が各々 11.8 時間、
11.0 時間多かった。
根雪終は 4 月 6 日で平年より 6 日早く、積雪期間
は平年より 2 日短かった。耕鋤始は 4 月 16 日で平
10 月:平年に比べ最高気温は上旬が 0.5 ℃低く、中、 年より 4 日早かった。晩霜は平年より 4 日遅い 5 月
下旬が各々 0.5 ℃、0.4 ℃高かった。最低気温は上、
表1
初
霜
降雪始
根雪始
16 日である(表1)。
季 節 表
根雪終 積雪期間 降雪終
耕鋤始
晩 霜
初
霜
降雪始
(前年) (前年) (前年) (本年) (日) (本年) (本年) (本年) (本年) (本年)
無霜期間
(日)
本年 10月16日 10月29日 11月19日 4月6日
139
5月14日 4月16日
5月16日 9月21日 10月30日
128
平年 10月12日 10月25日 11月23日 4月12日
141
4月24日 4月20日
5月12日 10月2日 10月25日
143
比較
△ 2
4
4
△ 4
△ 6
20
△ 4
4
△ 11
5
注1)前年は平成20年、本年は平成21年の値。
2)根雪始、根雪終、積雪期間、耕鋤始は比布圃場の観測値。平年は過去10か年の平均値。
3)初霜、降雪始、降雪終、晩霜は旭川地方気象台による旭川市の観測値。
平年は過去10か年の平均値。
4)△印は平年に比べて早いあるいは短いを示す。
表2
農耕期間積算値(5 月~ 9 月)
平均気温(℃)
降水量(mm)
日照時間(hr)
本年
2550
672
797
平年
2626
584
759
比較 △ 76
88
38
注1)比布アメダス観測値。
2)平年は比布アメダス過去10カ年の平均値。
3)△印は平年に比べて低いあるいは少ないを示す。
-7-
△ 15
表3
平成 21 年度気象表(旬別)
年
最高気温(℃)
旬
2008
上
7.0
9.1
▲ 2.1
-1.8
1.6
▲ 3.4
2.6
5.0
▲ 2.4
11
中
6.3
4.0
2.3
-1.7
-1.9
0.2
1.7
1.0
0.7
下
-0.2
2.3
▲ 2.5
-9.2
-4.0
▲ 5.2
-3.9
-1.0
▲ 2.9
上
4.2
-2.0
6.2
-6.7
-8.2
1.5
-0.7
-4.8
4.1
中
0.3
-2.8
3.1
-9.3
-9.3
0.0
-3.4
-5.7
2.3
下
-2.1
-3.8
1.7
-8.7
-11.4
2.7
-4.8
-7.2
2.4
2009
上
-2.9
-4.1
1.2
-11.7
-12.5
0.8
-6.8
-7.8
1.0
1
中
-1.1
-5.4
4.3
-8.8
-14.2
5.4
-4.7
-9.3
4.6
下
-1.7
-4.6
2.9
-13.2
-13.4
0.2
-6.8
-8.5
1.7
上
-3.0
-4.0
1.0
-14.1
-13.4
▲ 0.7
-7.7
-8.2
0.5
中
-2.2
-3.5
1.3
-11.5
-13.2
1.7
-6.3
-7.8
1.5
下
-1.7
-1.7
0.0
-12.5
-12.1
▲ 0.4
-5.7
-6.5
0.8
上
1.9
-0.8
2.7
-10.5
-10.5
0.0
-3.9
-5.1
1.2
中
3.7
1.6
2.1
-4.9
-7.6
2.7
-0.4
-2.6
2.2
下
2.9
4.0
▲ 1.1
-5.3
-4.4
▲ 0.9
-0.8
-0.1
▲ 0.7
上
8.7
6.5
2.2
-3.6
-2.9
▲ 0.7
3.0
1.9
1.1
中
12.5
10.6
1.9
-0.7
0.0
▲ 0.7
5.9
5.2
0.7
下
11.7
12.9
▲ 1.2
-0.7
1.3
▲ 2.0
5.3
7.1
▲ 1.8
上
21.6
15.7
5.9
4.2
3.5
0.7
13.6
9.4
4.2
中
17.6
17.8
▲ 0.2
4.9
5.9
▲ 1.0
11.2
11.8
▲ 0.6
下
20.0
20.1
▲ 0.1
7.9
8.0
▲ 0.1
13.6
13.9
▲ 0.3
上
20.4
21.7
▲ 1.3
11.3
10.0
1.3
15.6
15.6
0.0
中
18.9
23.1
▲ 4.2
10.9
11.7
▲ 0.8
14.3
17.1
▲ 2.8
下
27.0
24.1
2.9
14.7
13.0
1.7
20.4
18.2
2.2
上
23.9
24.8
▲ 0.9
15.2
14.1
1.1
19.3
19.1
0.2
中
21.4
25.3
▲ 3.9
13.1
16.0
▲ 2.9
16.9
20.2
▲ 3.3
下
24.3
26.6
▲ 2.3
16.3
16.6
▲ 0.3
19.7
21.2
▲ 1.5
上
28.4
27.3
1.1
17.6
18.1
▲ 0.5
22.3
22.4
▲ 0.1
中
25.4
26.9
▲ 1.5
17.4
16.6
0.8
20.7
21.3
▲ 0.6
下
22.9
24.8
▲ 1.9
13.8
15.0
▲ 1.2
18.2
19.5
▲ 1.3
上
21.6
23.8
▲ 2.2
11.3
13.6
▲ 2.3
16.3
18.4
▲ 2.1
中
21.6
21.7
▲ 0.1
9.2
11.0
▲ 1.8
14.5
16.1
▲ 1.6
下
19.7
18.8
0.9
7.7
7.6
0.1
13.3
12.9
0.4
上
16.5
17.0
▲ 0.5
5.2
6.6
▲ 1.4
10.6
11.3
▲ 0.7
中
15.1
14.6
0.5
2.9
3.8
▲ 0.9
8.7
8.9
▲ 0.2
下
12.1
11.7
0.4
2.2
2.5
▲ 0.3
7.4
6.8
0.6
2
3
4
5
6
7
8
9
10
平年
比較
本年
注1)比布アメダス観測地
2)平年は比布アメダス前10ヵ年の平均値
3)▲印は平年に比べ減を示す
-8-
平年
平均気温(℃)
月
12
本年
最低気温(℃)
比較
本年
平年
比較
(上川農試)
降 水 量 ( mm)
本年
平年
比較
降水日数(日)
(%)
本年
平年
日 照 時 間 ( hr)
比較
本年
平年
比較
(%)
73.0
39.4
33.6
185
8
6
2
24.5
24.6
▲ 0.1
100
21.0
37.7
▲ 16.7
56
6
7
▲ 1
28.7
16.9
11.8
170
34.0
41.0
▲ 7.0
83
5
7
▲ 2
18.9
19.5
▲ 0.6
97
33.0
33.7
▲ 0.7
98
5
9
▲ 4
25.9
17.1
8.8
151
14.0
32.3
▲ 18.3
43
3
7
▲ 4
13.0
12.4
0.6
105
31.5
25.8
5.7
122
8
7
1
4.0
18.0
▲ 14.0
22
2.0
20.5
▲ 18.5
10
1
7
▲ 6
18.1
20.9
▲ 2.8
87
16.5
17.4
▲ 0.9
95
5
6
▲ 1
20.8
23.8
▲ 3.0
87
13.0
21.6
▲ 8.6
60
5
6
▲ 1
28.1
33.3
▲ 5.2
84
12.0
16.8
▲ 4.8
71
3
6
▲ 3
38.6
36.0
2.6
107
33.0
20.8
12.2
159
7
6
1
18.9
34.4
▲ 15.5
55
15.0
18.5
▲ 3.5
81
4
5
▲ 1
28.9
36.1
▲ 7.2
80
14.0
19.8
▲ 5.8
71
3
6
▲ 3
37.8
45.3
▲ 7.5
83
31.0
16.8
14.2
185
4
6
▲ 2
28.3
40.9
▲ 12.6
69
12.0
12.8
▲ 0.8
94
3
5
▲ 2
54.7
50.9
3.8
107
12.0
14.9
▲ 2.9
81
2
4
▲ 2
81.7
47.5
34.2
172
5.5
20.3
▲ 14.8
27
2
4
▲ 2
83.8
50.2
33.6
167
16.5
16.8
▲ 0.3
98
2
3
▲ 1
56.9
50.6
6.3
112
2.5
33.8
▲ 31.3
7
2
4
▲ 2
88.3
53.9
34.4
164
20.5
20.2
0.3
101
5
4
1
77.8
53.9
23.9
144
23.0
31.9
▲ 8.9
72
2
4
▲ 2
70.7
56.7
14.0
125
14.0
21.3
▲ 7.3
66
2
3
▲ 1
35.6
56.0
▲ 20.4
64
29.0
18.9
10.1
153
3
3
0
33.1
51.0
▲ 17.9
65
55.5
23.0
32.5
241
2
3
▲ 1
66.3
52.9
13.4
125
67.0
31.8
35.2
211
2
3
▲ 1
44.6
46.0
▲ 1.4
97
117.5
60.0
57.5
196
6
5
1
34.9
37.3
▲ 2.4
94
102.5
71.8
30.7
143
9
5
4
23.5
50.1
▲ 26.6
47
7.5
44.8
▲ 37.3
17
1
4
▲ 3
81.4
48.9
32.5
166
52.0
38.7
13.3
134
5
3
2
35.2
57.1
▲ 21.9
62
43.0
49.9
▲ 6.9
86
4
5
▲ 1
39.5
49.3
▲ 9.8
80
86.0
54.6
31.4
158
7
5
2
45.4
47.8
▲ 2.4
95
13.5
47.1
▲ 33.6
29
4
4
0
60.2
48.4
11.8
124
38.5
36.4
2.1
106
5
5
0
60.4
49.4
11.0
122
71.5
38.2
33.3
187
8
6
2
39.0
43.4
▲ 4.4
90
25.5
29.9
▲ 4.4
85
5
6
▲ 1
34.0
44.5
▲ 10.5
76
28.5
33.7
▲ 5.2
85
6
6
0
35.4
35.8
▲ 0.4
99
-9-
2.作
況
1)各作物の耕種概要
各作物の耕種概要は表4-1および表4-2
の通りである。
表4-1
苗
苗種類
播種量(乾籾重)
代
苗種類
田
成苗ポット
施
P2O5
K2O
N 追肥(g/箱)
35(-)
3.0(27)
7.2(34)
3.0(18)
-(-)
畦巾
株間
1株本数
株
数
(㎝)
(㎝)
(本)
(株/㎡)
N
P2O5
K2O
堆肥
33.3
12.0
3
25
8.0
9.7
6.9
2000
名
施
前 作 物
株 数
秋まき小麦
緑肥ひまわり
30
春まき小麦
大豆
30
大
豆
秋まき小麦
60
20
2
-
小
豆
二条大麦
60
20
2
緑肥ひまわり
75
30
1
-
-
255
事
稲
:
-
施
肥
量 (Kg / 10 a)
N
P 2 0 5 K 2 O MgO 堆肥
4+6
10.0
6.0
2.5
8.0
14.4
9.6
2.4
8333
1.8
13.2
9.0
4.2
-
-
8333
3.0
12.0
7.0
3.0
-
-
4444
7.2
14.4
10.1
3.6
340
2)各作物の作況
(1)水
量 (Kg / 10 a)
粒数
(㎝) (㎝) 数(本) (粒/㎡) 株/10a
ばれいしょ
肥
畑作物の耕種概要
畦巾 株間 1株本 播種
物
量 (g /㎡)
N
表4-2
作
肥
(g /箱、枠)
成苗ポット(置き床)
本
水稲の耕種概要
-
-
低温により生育進度はさらに遅れ、止葉期は「ほし
不
のゆめ」「ななつぼし」で平年より5日、「きらら3
良
由:出芽器使用による出芽の揃いは良好であっ
97」は8日遅かった。
7月20日の主稈葉数はほぼ平年並であった。㎡当た
た。育苗期間中は概ね好天に恵まれ、特に日照時間
が平年より多く、生育は良好であった。移植時の草
り茎数は「ほしのゆめ」が平年対比96%でやや少な
丈は平年に比べ1.5~3.5cm高く、主稈葉数は平年よ
いものの、「きらら397」「ななつぼし」はほぼ平年
り0.2~0.4枚多かった。地上部乾物重は平年を大き
並に回復した。草丈は平年より10~12cm程度低かっ
く上回った。
た。
出穂期は平年より7日遅かった。穂揃い日数は平年
移植時とその後の数日、風が強い日が多く、一部
で葉先が枯れた。苗の活着は若干遅れたものの、分
並であった。最終止葉葉数は「ななつぼし」が平年
げつの発生は平年並であった。6月上旬までは草丈が
より0.2枚少なかったが、他はほぼ平年並であった。
やや低いものの、茎数は平年より多く、主稈葉数は
8 月中旬から続く平年を下回る低温により、成熟
平年並に推移していたが、6月に入ってからの日照不
期は出穂時よりも平年比でさらに遅れ、「ほしのゆ
足と中旬の低温により中旬の生育は遅延した。
め」「ななつぼし」が 12 日、「きらら 397」は 10
6月20日の主稈葉数は平年より0.5枚程度少なく、
日遅れた。登熟日数は、「ほしのゆめ」「ななつぼ
㎡当たり茎数は平年の80~95%に留まった。草丈は
し」が平年より 5 日、「きらら 397」は 3 日多かっ
平年より4~6cm程度低かった。
た。成熟期における稈長は平年より 2 ~ 3cm 程度
幼穂形成期は平年に比べ4日遅かった。7月中旬の
長かった。穂長は16cm前後で平年より0.5~0.7cm短
- 10 -
かった。㎡当たり穂数は「きらら397」が平年よりわ
ずかに多かったものの、他はやや少なかった。
[籾数]:一穂籾数は「きらら 397」が平年より 16
%多く、他はやや多かった。㎡当たり籾数
(㎡当たり穂数×一穂籾数)は「きらら
397」が平年より 18 %多く、「ほしのゆ
め」「ななつぼし」は 2 %少なかった。
[稔実歩合・稔実籾数]:稔実歩合はいずれの品種
も平年に比べ低く、63 ~ 74 %に留まっ
た。㎡当たり稔実籾数(㎡当たり籾数×稔
実歩合)も平年を大きく下回り、平年の
76 ~ 81 %であった。
[登熟歩合・㎡当たり登熟籾数]:登熟歩合は稔実
歩合が低かったため平年の71~86%と低か
った。㎡当たり登熟籾数(㎡当たり籾数×
登熟歩合)はいずれの品種も平年を大きく
下回り、平年の 72 ~ 84 %であった。
[精玄米千粒重]:いずれの品種も平年より1g以上
軽かった。
[精玄米重]:粒厚1.90㎜以上の収量は平年対比で
69 ~ 83 %ときわめて少収であった。
[検査等級]:いずれの品種も 1 等であった。
以上、収量が平年を大幅に下回り、3品種こみにし
た収量は平年対比74%であった。このため、本年の
作況は「不良」である。
- 11 -
生
育
期
節
苗
生
育
本
田
生
育
本
田
生
育
収
量
構
成
要
素
収
量
表5 平成21年度 水稲の生育および収量
品種・苗
ほしのゆめ・成苗
きらら397・成苗
年次
本年
平年
本年
平年
播 種 期
(月・日)
4.14
4.13
4.14
4.13
移 植 期
(月・日)
5.19
5.19
5.19
5.19
幼穂形成期
(月・日)
6.28
6.24
6.30
6.26
止 葉 期
(月・日)
7.16
7.11
7.21
7.13
出 穂 期
(月・日)
7.30
7.23
8.01
7.25
穂揃日数
(日)
7
7
6
6
成 熟 期
(月・日)
9.18
9.06
9.22
9.12
登熟日数
(日)
50
45
52
49
生育日数
(日)
157
146
161
152
草
丈
(㎝)
15.2
11.7
13.0
11.5
葉
数
(枚)
4.3
3.9
4.4
4.2
茎
数
(本)
1.9
1.9
1.9
1.9
第1葉鞘高
(cm)
2.8
2.7
2.5
2.5
地上部乾物重
(g/100本)
5.15
3.74
4.27
3.90
主
6月10日
(枚)
6.5
6.5
7.0
7.0
6月20日
(枚)
7.5
8.0
7.9
8.5
稈
6月30日
(枚)
8.9
9.1
9.4
9.8
7月10日
(枚)
9.9
10.0
10.4
10.9
葉
7月20日
(枚)
10.3
10.2
11.1
11.2
7月30日
(枚)
10.3
10.2
11.2
11.2
数 止 葉 葉 数
(枚)
10.3
10.2
11.2
11.2
㎡
6月10日
(本)
333
255
333
285
当
6月20日
(本)
523
549
490
614
た
6月30日
(本)
749
834
808
875
り
7月10日
(本)
807
874
855
906
茎
7月20日
(本)
785
814
823
821
数
7月30日
(本)
722
768
756
762
6月10日
(㎝)
23.9
26.3
21.7
24.9
草
6月20日
(㎝)
30.0
34.7
26.9
31.8
6月30日
(㎝)
38.7
47.8
36.0
44.4
7月10日
(㎝)
53.3
60.8
50.8
57.3
丈
7月20日
(㎝)
63.1
75.6
58.9
70.9
7月30日
(㎝)
77.2
83.6
73.3
80.2
稈
長
(㎝)
68.6
65.5
65.5
62.8
穂
長
(㎝)
15.6
16.1
16.4
16.9
穂
数
(本/㎡)
711
755
726
714
有効茎歩合
(%)
88.1
86.4
84.9
78.8
一穂籾数
(粒)
44.1
42.4
49.2
42.4
㎡当籾数
(×1000粒)
31.4
32.0
35.7
30.3
稔実歩合
(%)
73.5
92.3
63.3
91.8
㎡当稔実籾数 (×1000粒)
23.1
29.5
22.6
27.8
登熟歩合
(%)
73.2
85.6
60.8
85.2
㎡当登熟籾数 (×1000粒)
23.0
27.4
21.7
25.8
精玄米千粒重
(g)
20.5
21.9
20.9
22.8
籾摺歩合
(%)
74.3
78.0
77.3
79.7
屑米歩合
(%)
9.2
4.5
4.4
2.7
藁
重
(kg/10a)
787
662
860
636
精 籾 重
(kg/10a)
619
710
532
742
籾 藁 比
(%)
79
107
62
117
精玄米重
(kg/10a)
460
554
411
591
収 量 比
(%)
83
-
70
-
検査等級
(等)
1
1下
1
1
注1)平年値:平成14、16、17、18、19年の5か年の平均。
2)千粒重・精玄米重:粒厚1.90mm以上。水分15.0%に換算。
- 12 -
ななつぼし・成苗
本年
平年
4.14
4.13
5.19
5.19
6.28
6.24
7.16
7.11
7.31
7.24
7
7
9.22
9.10
53
48
161
150
14.1
11.9
4.3
4.0
1.8
1.7
2.6
2.6
5.03
4.00
6.7
6.8
7.6
8.2
9.1
9.4
10.1
10.4
10.4
10.5
10.4
10.6
10.4
10.6
303
247
457
506
713
764
783
773
747
758
738
696
23.6
27.3
30.5
36.9
43.1
50.0
58.9
64.3
69.5
80.1
83.9
87.6
70.1
68.4
16.4
17.1
647
678
82.6
87.7
51.8
50.6
33.5
34.3
71.7
91.4
24.0
31.4
64.0
86.4
21.4
29.6
20.6
21.9
78.0
80.6
3.8
2.4
901
694
549
769
61
111
428
620
69
-
1
1下
(2)秋まき小麦
事
:
不
良
後期(7月上中旬)は低温に経過したため登熟がや
由:播種期は平年より2日遅い9月 10 日であ
や緩慢となり、成熟期は平年より1日早い7月 16
った。越冬前の草丈は短く、茎数が少なく、葉数は
日であった。成熟期における稈長、穂数は平年並で
やや少なかった。根雪始は平年より4日早かったが、 あったが、穂長は短かった。千粒重は平年より重か
根雪終は平年より6日早く、積雪期間は 139 日で平
ったが、登熟後期の日照不足により子実の充実が劣
年より2日短かった。融雪が早かったため生育が進
ったことから、リットル重は平年よりやや軽く、こ
み、5月 20 日の調査では平年に比べ草丈が長かっ
の結果、子実重は平年比 78 %と低収であった。子
た。出穂期は平年より5日早い6月3日であったが、 実の充実が劣り検査等級は規格外であった。
6月中旬以降、降水量が多く土壌が湿潤でかつ登熟
表6
品
項
種
目
秋まき小麦の生育および収量
名
年
ホ
次
したがって、本年の作況は不良である。
本
年
ク
シ
平
年
ン
比
較
播種期
(月日)
9.10
9. 8
2
出穂期
(月日)
6. 3
6. 8
△ 5
成熟期
(月日)
7.16
7.17
△ 1
83.2
96.6
△ 13.4
28.1
31.2
△ 3.1
5.5
5.9
▲ 0.4
H20.10.20
20.7
29.4
▲ 8.7
H21. 5.20
48.4
42.8
5.6
H21. 6.20
93.1
92.2
0.9
H20.10.20
1069
1585
▲ 516
H21. 5.20
1153
1170
▲ 17
H21. 6.20
705
725
▲ 20
越冬茎歩合
(%)
雪腐病発病度
葉数 (枚)H20.10.20
草
丈
(cm)
茎
数
(本/
㎡)
成
稈
長
(cm)
85
83
2
熟
穂
長
(cm)
7.6
8.7
▲ 1.1
期
穂
数(本/㎡)
682
681
1
子実重
(kg/10a)
529
679
▲ 150
(%)
78
100
▲ 22
リットル重
(g)
766
785
▲ 19
千粒重
(g)
41.8
38.9
2.9
規格外
2上
-
同上平年比
検査等級
(等)
注1)平年値は、前7か年中、平成 14 年、18 年(収穫年度)を除く5か年の平均値。
2)△は平年より早を、▲は平年より減を示す。
- 13 -
(3)春まき小麦
事
:
不
良
潤に経過したため成熟期は平年より 5 日遅かった。
由:播種期は平年より3日早い4月17日
成熟期における稈長、穂長はほぼ平年並だが、穂数
であったが、播種後はやや低温に経過したため、出
は平年より多かった。なお、6 月 23 日と 7 月 8 日
芽期は平年より1日早い5月2日であった。出芽期
の降雨により倒伏が発生し、さらに7月下旬の降雨
以降の気温は平年並から高温に経過したため、5
により全面的に倒伏した。総重は平年を下回り、倒
月 20 日の調査では草丈、茎数は平年を上回ってい
伏による子実への転流が劣ったことから、千粒重が
た。5月下旬から6月上旬の気温はほぼ平年並みに
平年を下回り、子実重は平年比 74 %と低収となっ
経過し、出穂期は平年並であった。6月 20 日の調
た。リットル重も平年より軽かった。検査等級は規
査では、草丈は平年を上回っていたが、茎数は5月
格外であった。
下旬から6月上旬の降水量がやや少なく無効化が進
したがって、本年の作況は不良である。
んだため、平年並であった。7 月中下旬は低温湿
表7
品
項
目
播種期
出芽期
出穂期
成熟期
春まき小麦の生育および収量
種
名
年
春
次
(月日)
(月日)
(月日)
(月日)
本
年
よ
恋
平
年
比
較
4.17
5. 2
6.18
8. 1
4.20
5. 3
6.18
7.27
△ 3
△ 1
0
5
草 丈
(cm)
5月20日
6月20日
25.2
84.1
19.6
74.4
5.6
9.7
茎 数
(本/㎡)
5月20日
6月20日
899
666
616
672
283
▲6
87
8.8
587
90
8.4
485
▲ 3
0.4
102
1151
410
74
741
35.4
規格外
1309
556
100
807
41.1
2中
▲ 158
▲ 146
▲ 26
▲ 66
▲ 5.7
-
成
熟
期
稈
穂
穂
長
(cm)
長
(cm)
数(本/㎡)
総 重
(kg/10a)
子実重
(kg/10a)
同上平年比 (%)
リットル重
(g)
千粒重
(g)
検査等級
(等)
注1)平年値は、前7か年中、平成 15 年、18 年を除く5か年の平均値。
ただし、草丈及び茎数の平年値は、前6か年の平均値。
2)△は平年より早を、▲は平年より減を示す。
- 14 -
(4)大
事
豆
:
やや不良
候が回復し、着莢は概ね順調であった。8月下旬以
由:播種期は5月20日で平年並、出芽期は
降、低温傾向に推移したことから、成熟期は平年よ
平年より3日早かった。出芽揃は概ね良好であった。
り 1 日遅かった。主茎長は平年より長く、主茎節
6月中旬は気温が低く経過したため生育は停滞した。
数は平年より多いが、分枝数は平年よりやや少なか
気温が6月下旬は平年より高く、7 月上旬は平年
った。着莢数は平年並であったが、百粒重は平年を
並に経過したため生育は回復傾向であったが、7月
下回ったことから、子実重は平年よりやや劣った。
中旬は低温に経過したため、開花期は平年より4日
屑豆率は平年並であり、検査等級はほぼ平年並であ
遅れた。7月下旬も低温に経過したが、生育は徒長
った。
し、7月下旬の降雨で一部倒伏した。8月上旬は天
表8
品
項
目
播種期
出芽期
開花期
成熟期
主茎長
(cm)
主茎
節数
(節)
分枝数
(本/株)
着莢数
(個)
したがって、本年の作況はやや不良である。
大豆の生育および収量
種
名
年
ユ キ ホ マ レ
次
(月日)
(月日)
(月日)
(月日)
本
年
平
年
比
較
5.20
6. 1
7.14
9.22
5.20
6. 4
7.10
9.21
0
△3
4
1
6月 20 日
7月 20 日
8月 20 日
9月 20 日
成熟期
9.2
63.4
77.6
76.7
76.7
14.6
59.2
63.5
63.1
63.2
▲ 5.4
4.2
14.1
13.6
13.5
6月 20 日
7月 20 日
8月 20 日
9月 20 日
成熟期
4.0
10.6
11.2
11.4
11.4
4.6
10.3
10.6
10.5
10.7
▲ 0.6
0.3
0.6
0.9
0.7
7月 20 日
8月 20 日
9月 20 日
成熟期
6.0
6.8
5.1
5.1
5.9
6.6
5.9
6.0
0.1
0.2
▲ 0.8
▲ 0.9
8月 20 日
9月 20 日
成熟期
91
80
80
86
77
78
5
3
2
420
95
35.5
1.3
2上
444
100
38.4
1.1
2中
▲ 24
▲ 5
▲ 2.9
0.2
-
子実重
(kg/10a)
同上平年比 (%)
百粒重
(g)
屑豆率
(%)
検査等級
(等)
注1)平年値は前7か年中、平成 14 年、18 年を除く5か年の平均値。
2)△は平年より早を、▲は平年より減を示す。
- 15 -
(5)小
事
豆
:
平年並
回復し、着莢は順調に進み、土壌水分も十分であっ
由:播種期は5月26日で平年より2日遅か
たことから、生育は徒長した。8月下旬以降、低温
った。播種後の気温はほぼ平年並に推移し、出芽期
傾向に推移したため、成熟期は平年より7~9日遅
も平年より2日遅かった。出芽揃は良好であった。
かった。主茎長は、平年より長く、分枝数は平年並
出芽後、6月中旬は低温に経過したため、主茎長、
からやや少なかった。着莢数は平年並、百粒重は平
本葉数は平年を下回った。気温が6月下旬は平年よ
年並かやや重かった。子実重は品種間で傾向が異な
り高く、7 月上旬は平年並に経過し、生育は回復し
り、「エリモショウズ」では平年比 92 %とやや低
た。しかし、7月中下旬は低温に経過し、生育はや
収、「しゅまり」では同 109 %とやや多収であった。
や緩慢となり、開花期は平年より2~4日遅かった。 屑豆率は平年並であり、検査等級は平年並であった。
7月下旬の降雨で一部倒伏した。8月上旬は天候が
表9
品
項
種
目
したがって、本年の作況は平年並である。
小豆の生育および収量
名
エリモショウズ
年
次
本
年
平
年
しゅまり
比
較
本
年
平
年
比
較
播種期
(月日)
5.26
5.24
2
5.26
5.24
2
出芽期
(月日)
6.10
6. 8
2
6.10
6. 8
2
開花期
(月日)
7.25
7.21
4
7.24
7.22
2
成熟期
(月日)
9.13
9. 6
7
9.15
9. 6
9
6月 20 日
3.3
4.4
▲ 1.1
4.1
5.6
▲ 1.5
7月 20 日
24.1
23.5
0.6
26.0
24.4
1.6
8月 20 日
73.7
56.3
17.4
81.6
61.7
19.9
(cm)
成熟期
81
58
23
85
62
23
本葉数
6月 20 日
0.3
1.2
▲ 0.9
0.3
1.2
▲ 0.9
7月 20 日
7.6
8.0
▲ 0.4
7.3
7.8
▲ 0.5
(枚)
8月 20 日
12.1
12.3
▲ 0.2
11.9
11.9
0.0
分枝数
7月 20 日
4.4
4.2
0.2
5.6
4.5
1.1
(本/株)
8月 20 日
4.2
4.8
▲ 0.6
5.6
5.6
0.0
成熟期
3.7
4.5
▲ 0.8
5.0
4.9
0.1
成熟期
55
54
1
54
51
3
335
363
▲ 28
359
328
31
主茎長
着莢数(個)
子実重
(kg/10a)
同上平年比
(%)
92
100
▲ 8
109
100
9
百粒重
(g)
13.1
12.7
0.4
12.9
12.1
0.8
屑粒率
(%)
1.1
1.1
0.0
1.3
1.6
▲ 0.3
検査等級
(等)
3上
3上
-
3中
3中
-
注1)平年値は、前7か年中、平成 15 年、16 年を除く5か年の平均値。
2)▲は平年より減を示す。
- 16 -
(6)ばれいしょ
事
:
やや良
た。8月上旬には天候が回復したため枯凋が進み、
由:植付期は5月8日で平年より1日遅かっ
枯凋期は平年より1日早い9月1日であった。株当
た。その後の気温は平年よりやや低く経過したが、
たり上いも数は平年よりやや多く、上いも平均一個
萌芽期は平年と同じ5月25日であった。6月上中
重は平年よりやや軽く、上いも収量、中以上いも収
旬は日照が少なかったため、徒長気味の生育となっ
量および規格内収量は、いずれも平年を上回った。
た。開花始は平年より2日遅かった。その後、7月
なお、でん粉価は平年より 0.3 %低かった。
中旬の気温は低かったが生育はおおむね順調であっ
したがって、本年の作況はやや良である。
表10
ばれいしょの生育および収量
男
項
目
年
次
本
年
爵
平
薯
年
比
較
植付期
(月日)
5. 8
5. 7
1
萌芽期
(月日)
5.25
5.25
0
開花始
(月日)
6.24
6.22
2
枯凋期
(月日)
9. 1
9. 2
△ 1
6月20日
44.5
32.3
12.2
(cm)
7月20日
54.7
45.7
9.0
上いも数
7月20日
10.9
9.0
1.9
(個/株)
8月20日
11.8
11.2
0.6
上いも平均
7月20日
85
73
12
一個重(g)
8月20日
111
103
8
上いも収量
7月20日
4125
2918
1207
(kg/10a)
8月20日
5425
5061
364
でんぷん価
7月20日
13.9
13.5
0.4
(%)
8月20日
14.9
14.8
0.1
13.3
11.7
1.6
92
97
穫 上いも収量(kg/10a)
5393
5019
374
期 中以上いも収量(kg/10a)
4626
4330
296
規格内収量(kg/10a)
4247
4052
195
でん粉価(%)
14.7
15.0
▲ 0.3
107
100
7
107
100
7
105
100
5
茎
長
上いも数(個/株)
収 上いも平均一個重(g)
上いも収量
対平年比 中以上いも収量
規格内収量
▲ 5
注1)平年値は、前7か年中、平成 16 年、19 年を除く5か年の平均値。
2)△は平年より早を、▲は平年より減を示す。
3)規格内収量は、生食用規格内(M~2L、60 ~ 260 g/個)の収量である。
- 17 -
3)栽培環境科
Ⅲ.試験研究の概要
おいしく、安全な米づくりを目指した水稲の栽培
1.各科の研究成果の概要
技術開発に関する研究および環境保全・土壌肥料に
1)水稲科
水稲育種試験を担当し、耐冷性、極良食味系統、
関する試験研究を担当している。
本年度は「道北地域における春まき小麦初冬まき
良質糯系統ならびに直播向き系統の選抜を進めてお
栽培技術の実証」をとりまとめ普及推進事項、「道
り、世代促進、葯培養、 DNA マーカーの活用によ
北露地アスパラガス安定生産に向けた株養成管理技
る育種法の改善も進めている。
昨年新配布された早生で移植直播兼用として低温
苗立ち性に優れる良食味系統「上育 460 号」は、苗
術」と「水稲に対する普通肥料「米ベスト」の側条
施用効果」が指導参考事項となった。
また、新資材試験では、中央農試・道南農試と共
立ち性を検討するために、再度農試内で試験するた
めに基本調査2年目として試験を継続した。移植栽
同で供試した水田除草剤剤が指導参考事項となった。
培では「ほしまる」より収量が低かったが、直播栽
培での収量性、成熟期、アミロースが低い等の優点
4)病虫科
病害虫関係に関する試験課題、新資材試験、発生
があるため、次年度現地試験に供試する予定である。
中生、耐冷性が“強”、葉いもち抵抗性が“やや
予察事業を担当した。
試験課題「水稲有機栽培の育苗指針・施肥基準の策
強”でアミロース含有率も適度に低く、タンパク質
含有率も低い極良食味系統である「上育 462 号」は、
基本調査1年目として供試したが新配布系統として
各研究機関で評価が高かったため、次年度現地試験
定」では、有機栽培で可能な防除手段による種子消毒技
術および育苗期における病害の防除対策について検討し
た。「高度クリーン農業技術の開発①水稲」では、化
学肥料・化学合成農薬を5割以上削減した高度クリ
に供試する予定である。
中生、耐冷性が“強”、葉いもち抵抗性が“強”、
穂いもち抵抗性が“中”でアミロース含有率も適度
に低い極良食味系統である粳の「上育 463 号」と早
ーン農業技術を開発・実証するための検討を行った。
「クリーン農業による環境保全効果の指標となる天
敵生物の選定」では、慣行栽培と比較して殺虫剤使
生、耐冷性が“極強”、葉いもち抵抗性が“中”、
用回数を削減した減農薬栽培において害虫と天敵種
つきもちの硬化性が早い糯の「上育糯 464 号」が新
の発生状況を調査し、減農薬栽培の環境保全効果を
検討した。「病害虫抵抗性ランクに対する圃場レベ
配付系統として選抜された。
ルでの実用性評価」では、いもち病と割籾歩合(斑
赤糯系統の「上育糯 454 号」および紫粳系統の
点米)の抵抗性ランクごとの防除対応を含めた実圃
「上育457号」は系統養成のみ実施した。
場レベルでの抵抗性を評価した。「アズキ茎腐細菌
病の防除対策」では、被害実態および発生実態を明
2)畑作園芸科
畑作物および園芸作物に関する奨励品種決定試験
検討、本病原細菌の同定および検出法の開発に取り
や栽培法の試験を担当している。
組んだ。「小豆におけるダイズシストセンチュウ抵
新品種関連では、だいず「十育 247 号」、 あず
き「十育 155 号」、いんげんまめ「十育 B78 号」、
ばれいしょ「北育 13 号」、てんさい「HT30」、て
抗性遺伝資源の探索」では、小豆のダイズシストセ
ンチュウ抵抗性育種への利用を目指し、小豆を対象
とした抵抗性遺伝資源の探索を行った。「きゅうり
んさい「H137」、てんさい「北海 98 号」、とうも
ろこし(サイレージ用)「39T13(X0823F)」が北
海道優良品種となった。
栽培法関連では、「道北アスパラガス安定生産に向
けた株養成管理技術」に関する成績を成績会議に提
出し、指導参考事項と判定された。
らかにし、種子生産圃場における本病の防除対策を
褐斑病の耐性菌発生に対応した防除対策」では、道
内主要産地での各種薬剤に対する耐性菌の発生状況
を調査し、病原菌の越冬を確認した。「茎疫病圃場
抵抗性の効率的選抜・検定手法の確立」では、アズ
キ茎疫病圃場抵抗性選抜に最適な検定条件及び発病
調査時期を検証し、圃場抵抗性評価のための基準品
種を検討した。「小豆特性検定(茎疫病)」では、
- 18 -
十勝農試育成系統について、アズキ茎疫病抵抗性を
2.各科の試験成績の内容
判定した。
1)水
農業資材受託試験では、殺菌剤・殺虫剤の薬剤効果
A
試験を行い、水稲のいもち病、イネドロオイムシ、
水稲品種育成
小麦の眼紋病、大豆の斑点細菌病、小豆の褐斑細菌
(1)高度安定性高品質米品種の早期総合開発
稲
科
水稲品種改良
病、いちごのうどんこ病に対する有効薬剤が指導参
(平成20~25年)
考事項となった。
1)中期世代の耐冷性極強系統の選抜強化
①試験目的
5)技術体系化チーム
中期世代の育成材料を冷水掛け流し水田に供試し
技術体系化チームは開発された技術を組み立て、
選抜することにより、極強レベルの耐冷性を持つ系
現地において実証するための技術普及部と研究各科
統を育成する。
からなる場内プロジェクトチームである。
②試験方法と結果の概要
平成 21 年度に行った試験・事業は次のとおりで
生産力予備試験供試材料306系統を冷水処理し耐冷
ある。
性の選抜を行った。耐冷性「強」が148系統、「極
強」または「極強~強」が59系統あった。
①水稲育苗ハウスを利用した高糖度トマト・ポット
栽培導入の実証
系統選抜供試材料1,139系統を供試し、耐冷性が耐
冷性「強」が481系統、「極強」が146系統あった。
②上川中部地域における直播稲作及び施設型野菜作
の実証
2)中期世代の耐病性・耐虫性強系統の選抜強化
①試験目的
③安定収量を目指した春まき小麦・初冬まき栽培技
中期世代においていもち病耐病性を検定すること
術の定着と普及
により良食味でいもち病耐病性の強い系統を選抜す
④革新的技術導入による地域支援②上川・留萌(上
る。
川・留萌地域における秋まき小麦の新ランク区分に
②試験方法と結果の概要
対応した高品質・多収量栽培法の実証と普及)
生産力予備試験306系統について葉いもち、穂いも
⑤高度クリーン農業技術の開発①-現地実証-
ちの抵抗性を検定した。葉いもち抵抗性の強系統は
このうち、「水稲育苗ハウスを利用した高糖度ト
74系統、穂いもち抵抗性強系統は1系統であった。
マト・ポット栽培導入の実証」と「安定収量を目指
した春まき小麦・初冬まき栽培技術の定着と普及」
3)中期世代を主体とした極良食味系統の選抜強化
①試験目的
については、その成果を北海道農業試験会議(成績
中期世代においてアミロース、蛋白質含有率の測
会議)に提出し、それぞれ指導参考事項および普及
定および食味検定試験を行い、極良食味品種の開発
推進事項と判定され、普及に移された。
を目指す。低アミロース関連の DNA マーカーを利
用して遺伝子型固定を図る。
②試験方法と結果の概要
a.アミロース含有率の測定:生産力予備試験 233
点、系統選抜 828 点、穂別系統選抜 1,156 点。
b.蛋白質含有率の測定:生産力予備試験 233 点、
系統選抜 954 点、穂別系統選抜 1,299 点。
c.食味官能試験:生産力予備試験 122 点、少量
炊飯試験は系統選抜で 142 点。
d.DNA マーカーによる選抜強化:生産力予備
試験で Wx-oz の分離の可能性がある 41 系統の分離
判定を行った。
- 19 -
(2)水稲直播栽培用高度安定性良食味系統の開発
促進
(平成21~25年)
1)直播関連形質の特性検定および効率的な系統選
抜の強化
インフラテックにより蛋白質含有率を調査した
(系統選抜42、生産力検定予備試験7系統、本試
験26系統、個体選抜の332個体)。官能試験は生
産力検定予備試験7系統、本試験20系統で実施し、
①試験目的
北海道に適した直播栽培で安定した収量性をもつ
良食味系統の育成を促進することを目的とする。特
生本供試系統の中に食味官能評価が「ほしのゆめ」
を優るものがあった。
e.ぺーパーポットを利用した効率的な低温苗立
に、低温苗立ち性と収量性の向上を図る。具体的に
ち性検定法の確立
は低温苗立ち性、耐倒伏性はやや強以上、収量は
供試材料は前年度F4世代でペーパーポットによる
「ほしまる」より5%程度多収、食味は「ほしのゆ
め」以上の系統を作出するための特性検定を行う。
さらに、低温苗立ち選抜を効率的に実施するための
低温苗立ち性の選抜を行ったF5の 2 集団計 298 系
統。両集団とも低温苗立ち性が“弱”と“やや強”
の組合せ。20 × 40 穴の水稲用ペーパーポットに 1
選抜法を確立する。
系統 20 粒を播種、覆土後、ガラス温室のベッドに
② 試験方法と結果の概要
静置、水深 5cm で 14 ℃設定の冷水を掛け流した。
a.低温苗立性検定
ガラス温室、中苗用育苗箱を使用し実施。系統選
抜の45系統、生産力検定予備試験の14系統、本試験
の26系統、個体選抜の62708個体を供試。処理水温は
日平均14℃前後で、播種後22日目に調査した。早く
試験開始 30 日目に苗立ち、35 日目に伸長度を調査。
前年度「ほしまる」より優れる低温苗立ち性で選抜
された個体は、次世代においても高い低温苗立ち性、
伸長性を示した。
出芽した系統を中心に苗腐病が多発した。“弱”の
「ほしまる」より強い“強”と判定されたのは系選
指定試験事業
(3)寒地中北部向け早生、高度耐冷性、良食味及
び直播栽培適性の水稲品種の育成
選19系統、“やや弱”は生予1、系選6系統であった。
(昭和41年~継続)
個体選抜では苗立ち後、伸長が良好な3,553個体を選 ①試験目的
1系統、“やや強”は系選3系統、“中”は生予9、系
抜し、圃場へ移植、以後通常の個体選抜を行った。
b.耐冷性検定、いもち病耐病性検定
寒地・北部向早生・高度耐冷性、良食味および直
播栽培適性品種の育成を行う。
系統選抜以降の系統について、冷水掛け流しに
②試験方法、結果の概要
よる耐冷性検定(121系統)、畑晩播による葉いもち
a.交配
耐病性検定(121系統)、多肥圃場における穂いもち
121組合せの交配を切穎法により行った。母本 は
耐病性検定(40系統)を実施した。耐冷性が“強”
温室栽培、短日処理または播種期の移動等によって
以上に判定されたのは生本1、生予8、系選23系統で
出穂期を調整したが、一部交配を実施できなかった。
あった。葉いもち抵抗性が“やや強”以上に判定さ
それ以外は所定の種子を得た。
れたのは生予3系統であった。穂いもち抵抗性が“や
b.F1養成
や強”以上に判定されたのはものはなかった。
本年度夏期に交配したもののうち81組合せを冬季
c.生産力検定
温室にて養成、所定の種子を得た。また、3組合せに
播種時にシーダーテープを利用した落水出芽法に
ついては葯培養に供試した。
よる生産力検定を実施。生産力検定予備試験の14系
c.雑種集団の養成と選抜
統、本試験の7系統を供試。苗立率はほとんどが90%
c-1.道南農試(大野町):4月~11月の間に
を超え高かった。穂ばらみ期の低温により不稔が
F2→F3、62 組合せの集団を養成し世代促進を
多発した系統は少収であった。生予供試系統の中
図った。
に「ほしまる」の収量を 25 %以上上回る系統があ
c-2.名護市:19組合せ供試、全刈り採種を行
った。
った。
d.食味関連形質調査
d.個体選抜試験
オートアナライザーによりアミロース含有率、
- 20 -
粳は36組合せ205,262個体(うち冷水田では、5組合
せ19,651個体、穂いもちは、2組合わせ4,500個体)、
栽植し、早生・良質を重点に3組合せ100個体を選抜
糯は10組合せ58,360個体(普通水田4組合わせ、32,
した。
340個体、冷水田6組合わせ26,020個体)を1株1本植
③結果のまとめ
えで栽植した。早生・良質を重点に粳は28組合せ1,
「上系08181」は中生の早で耐冷性が“強”、収
108個体、糯は10組合せ653個体を選抜した(風連の現
量性が「ななつぼし」並、アミロース含有率「なな
地試験を含む)。
つぼし」より低く、食味は「ななつぼし」に優る“
e.穂別系統選抜試験
上中”。葉いもち耐病性は“強”である。その結果、
前年、集団養成で穂選抜した組合せについて、
有望と認められたので新たに「上育463号」の地方番
1系統12個体を栽植し系統の選抜を行った。粳は6組
号を付し、次年度から「ななつぼし」を対照に地方
合せ3,024系統を供試した。熟期、玄米品質、アミロ
適応性を検討する。
ース含有率、タンパク含有率等で6組合せ101系統を選
抜した。
「上系糯08253」は早生の早で耐冷性が“強”
収量性が「しろくまもち」に優り、つきもちの硬化
f.系統選抜試験
性は「しろくまもち」並からやや優り、食味は「し
粳F5-7 A2-3 の106組合せ(葯培養由来は13組合
ろくまもち」並。葉いもち耐病性は“中”である。
わせ)4,305系統(葯培養由来は2,418系統)、糯F5
その結果、有望と認められたので新たに「上育糯46
-7
4号」の地方番号を付し、次年度から「しろくまも
A3 25組み合わせ(葯培養由来は1組合わせ)、8
59系 統(葯培養由来は9系統)を普通田に供試し、熟
ち」を対照に地方適応性を検討する。
期、稈長、玄米。品質、アミロース、タンパク質含
有率等で粳は61組合せ181系統を選抜し、糯は16組合
受託試験
わせ71系統を選抜したた。
加工適性の優れたもち米品種開発の選抜強化
g.系統育成試験
(4)高品質もち米の開発
生産力検定予備試験以降の全系統87組合せ1,394系
①試験目的
統群を供試し、32組合せ27系統群を選抜した。
(平成 19 ~ 23 年度)
北海道もち米の安定供給、需要拡大を目的とし、
h.育成系統生産力検定予備試験
加工適性、品質、耐冷性および耐病性等を兼ね備え
移植用F5~9
たもち米品種の開発を促進する。
、
A3の54組合せ374系統、直播用F6,
A3,4の8組合せ38系統を標準区法1区制で供試
②試験方法と結果の概要
した。熟期、立毛観察、特性検定試験結果、玄米品質、
a.集団選抜、個体選抜
7,9 、
食味特性等を考慮して移植用28組合せ60系統、直播
上川農試圃場における個体選抜試験(F3,4 )
用2組合せ8系統、を選抜した(うち再生予は移植用7組
に10組合せ、48,700個体を供試、圃場で3,557個
合せ8系統、直播用1組合せ1系統)。
体を選抜した。冷水集団選抜試験に1組合せを
i.育成系統生産力検定本試験
供試したが、耐冷性が劣るため廃棄した。
F6~8、A4-5, 21組合せ43統と比較品種13を施肥
b.系統選抜
2水準、標肥2反復、多肥1反復で栽培した。この結
上川農試圃場における系統選抜試験(F5,67 )
果、2系統が有望と認められ、新たに地方番号を付し
に25組合せ、598系統を供試、圃場で395系統を
た。これらの特性の概要については後述する。
選抜した。
j.育成系統特性検定試験
c.生産力検定試験
生産力検定本試験に供試した全系統について、系
統群として葉いもち、穂いもち病耐病性検定ならび
に冷水掛け流し法による障害型耐冷性検定を実施し
た。いずれの試験も適切な検定がなされた。
14組合せ68系統を生産力検定予備試験に供試、
収量性等により、圃場で13組合せ、54系統を選
抜した。今年度新たに配付する系統は上育糯 464
号である(前述)。
k.水稲現地選抜圃
早熟・耐冷性を目標に名寄市風連町にて個体選抜
試験を行った。3組合せ9,660個体を1株1本植えで
(5)多様なニーズに対応する米品種並びに栽培
技術早期確立
- 21 -
(平成 21 ~ 25 年度)
1.特Aブランド米品種並びに栽培技術の早期開発
に移植し、2,929個の稔実個体を得て、稔実性、草姿、
a.特Aブランド米品種の開発促進
玄米品質、DNA マーカー等により743個体を最終選
①試験目的
抜した。A2養成:A1養成で得られた5組合せ743系統を
初期世代の選抜強化と食味向上・耐冷性に関する
新たな選抜技術の開発と活用により、北海道産米が
供試。現在冬期温室において養成し、105系統選抜
した。
全国シェアを維持し、さらに道内食率を高めるため
b.DNAマーカーの利用:生産力予備試験では供試し
にも特 A ブランド米品種が早期に開発できるよう
た97系統中38系統で分離が認められた。供試材料の
強化する必要がある
ほとんどが分離しているような組合せが認められた
本課題は、特 A 米産地形成のできる府県の「コ
ことから、他の不良形質との連鎖が予想されたため
シヒカリ」並みの低タンパクな極良食味品種の開発
調査を行ったところ玄米品質と低アミロース性の連
を促進する。
鎖が示唆される結果となった。
②試験方法
c.初期世代(個選)のアミロース含有率の分析数は
a.葯培養による特 A 米育種促進
2423点、タンパク質含有率は4160点である。
・供試材料:5組合わせ
d.培養変異M2個体は「上育455号」由来400系統、
・葯培養、A1養成:交配で得られたF1を温室で養成。
「上系06007」由来を移植した。冷温のため不稔が多
幼穂にコルヒチン処理を行い、シャーレに分注した
発した。全体的に出穂が早まりタンパク質含有率は
カルス形成培地上に葯を置床。その後、試験管に分
は高くなった。その中でタンパク質含有率・アミロ
注した再分化培地にカルスを移植した。得られた緑
ース含有率の低いものと高いものおよび小粒、心白
色再分化個体(A1)を春、温室に移植。稔実性、草
のあるものを125系統選抜した。
姿等
b.特Aブランド米品質評価
により選抜後、9月24、30日、10月1日に収穫
し、玄米による選抜を行った。・A2養成:10月26日、
①試験目的
穂の状態で播種。11月26、27日、温室に1系統当たり
5個体を移植した。
オートアナライザーを用いない,簡易・迅速なア
ミロース含量推定法を開発するとともに,育成材料
b.食味関連形質DNAマーカーの利用と選抜強化:国宝
への適用性を検討する。また,新規食味評価手法に
ローズ由来と考えられるアミロース低下因子 qAC9.
よる検定をおこなう。
3 近傍の SSR マーカー RM2855 を利用した。分離
②試験方法
判定については生産力予備試験供試 114 系統、系統
選抜供試 315 系統を供試した。
初期世代における高能率品質選抜システム
の開発
c.特 A 米系統の選抜強化::初期世代の個体選抜さ
a.アミロース含量標準試料:アミロース
れた材料のアミロース含有率をブランルーベ・オー
含 量 既 知 ( 21 % ) の 米 粉 ( 「 ほ し の ゆ
トアナライザーで、タンパク質含有率をインフラテ
め 」 ) と も ち 米 粉 を 混 合 し , 0 〜 21 % の 標
ック 1255 で測定する。
準試料系列を調製した。
d..食味関連形質の変異個体の選抜、系統養成
試 料 の 測 定 前 処 理 : 標 準 試 料 系 列 を 96 穴 デ
供試材料:上育 455 号・上系 06007 由来の変異個体
ィ ー プ ウ エ ル に 採 り , NaOH を 加 え オ ー ト ク
400 個体ずつ。08 予備試験の 59 系統
レーブで加 熱 溶 解 し た 。
耕種概要:4 月 27 日播種、5 月 28 日移植。1 個体
ヨウ素吸収スペクトルの取得:溶液p H を
を 1 系統(7 個体)とした。7 個体は 1 株植え。10
調整後ヨウ素液を加え,マイクロプレートリ
月 14 日収穫、7 個体の両端を除く 5 個体。出穂期
ー ダ ー に よ り 500-700nm の ス ペ ク ト ル を 得
は系統毎に主茎で判断し、アミロース・タンパク質
た。
含有率、玄米品質は個体毎に測定・調査。
b. 育 成 系 統 特 A 米 品 質 検 定
③結果の概要
奨 決 20 品 種 ・ 系 統 、 生 本 47 系 統 ( 比 較 を
a.葯培養、A1養成:5組合せ合計で119,520個の葯
含 む ) 、 生 予 233 系 統 ( そ の 後 廃 棄 76 系 統
を置床した。5組合せ合計で22,380個のカルスを移植、 を 含 む ) に つ い て 炊 飯 米 外 観 自 動 測 定 装 置 で
7,240個の緑色体を得た。そのうち5,203個体を温室
- 22 -
炊飯米の平均輝度、つや面積、つや強度を、
いる系統が散在することが明らかになっており世代
炊 飯 米 老 化 性 評 価 法 ( BAP 法 ) で 老 度 を 測
間のアミロース含有率の変動要因となっている。そ
定(測定は中央農試農産品質科)。
こで qAC9.3 に連鎖する DNA マーカーを用いて分
③結果の概要
離系統の排除および早期固定化を行うとともに、葯
a. グ レ ー テ ィ ン グ 機 能 を 備 え た マ イ ク ロ プ
培養 A2 世代における低アミロース系統の選抜を目
レートリーダーを用いることにより,米粉の
的として試験を進める。
ヨウ素 吸 収 ス ペ ク ト ル を 取 得 す る こ と が
②試験方法と結果の概要
可能であったが,得られたスペクトルの
分離判定:生産力予備試験供試系統 114 系統選抜
吸 光 度 (OD 6 2 0 値 )は バ ラ ツ キ が 大 き く , OD6 2 0 値
供試材料 315 系統。1 系統あたり 3 個体の遺伝子
から検量線を作成することは困難であった。
型を調査し、分離の有無を調査した。低アミロース
b. 500-700nm の 各 OD 値 を 全 OD 積 算 値 で
系統の選抜:葯培養 A2 世代 3 組合せ計 729。生産
割り返し,相対化することにより,アミロー
力予備試験では 38 系統、系統選抜では 42 系統
ス含量に応じた吸光パターンが得られた。こ
で分離が認められた。分離が認められた系統につい
の吸光パターンは,ヨウ素呈色反応における
ては生産力予備試験では 1 系統あたり約 30 個体、
色調の連続的な変化(赤紫→青紫)を反映し
系統選抜では 1 系統約 10 個体の遺伝子型を新たに
ていると考えられる。
調査し、固定個体の探索を行った。葯培養 A2 世代
についてはマーカー判定で低アミと判定された 274
c. ア ミ ロ ー ス 含 量 に 応 じ た 色 調 の 変 化 を 定
量的に数値化するため,アミロース含量によ
系統を選抜し、温室での養成を行った。
る 違 い が 大 き い 500-570nm の 相 対 化 OD 積
算値を色調指数とし,アミロース含量(従来
B
値)との関係を検討したところ,密接な相関
基本調査
関係が認められた。この関係を検量線として
(1)水稲奨励品種決定基本調査
奨励品種決定
利用することにより,未知試料のアミロース
含量(従来値)推定が可能である。
(昭和29年~継続)
①試験目的
d. 色 調 指 数 は OD 依 存 性 が 低 く , 同 一 サ ン
有望な系統ならびに品種の能力を検定し、奨励品
プルであればほぼ同様の値となり,データの
種決定上の参考資料を得る。
バラツキが小さいことから,サンプル秤量作
②供試系統および品種
業や測定反復数が省略できる可能性が高い。
「上育460号」、「上育462号」、「空育172号」、
e. オ ー ト ア ナ ラ イ ザ ー を 用 い な い , 簡 易 ・
「空育173号」、「空育175号」、「空育178号」、
迅速なアミロース含量推定分析法について,
「空育酒177号」、「北海311号」、「北海309号」、
現在のところ想定される分析スキー ム と , 今
「北海312号」「ほ し の ゆ め」他14品種。
後最適化のための検討が必要な項目を明
③試験方法
らかし た 。
中苗移植栽培:施肥量(kg/a)、標肥N=0.80、
f. 新 配 付 の 上 育 463 号 ( K17 ) は 炊 飯 米 の
P2O5=0.97、K2O=0.69、多肥は33%増。
外観はななつぼし並で、老化度はゆめぴりか
栽植密度
に優った。
33.3cm×12cm(25株/㎡)、1株3~
4本植え。
c.特Aブランド米育成のための食味関連形質DNAマー
直 播 栽 培 :播種量8.7g/㎡、条間20cm、
カーの利用と選抜強化
施肥量(kg/a)、N=0.80、P2O5=0.97、k2O=0.69。
①試験目的
④試験結果の概要
アミロース含有率については、国宝ローズ由来
有望系統は次のとおりである。
と考えられる第 9 染色体の遺伝因子 qAC9.3 が適度
「上育460号」、「上育462号」、「空育178号」、
なアミロース低下効果をもつことが分かっているが、 「空育酒177号」、「北海311号」。
育成集団内に、この qAC 9.3 を分離して保持して
- 23 -
現地調査
を行った。
(2)水稲奨励品種決定現地調査
b.受領種子の増殖採種
供試材料:平成 21 年度 IRRI より送付された
(昭和29年~継続)
①試験目的
52 系統。試験方法:一般圃場およびガラス温室
有望な系統および品種の各地帯における適応性を
検討し、新品種決定に関する資科を得る。
において採種を行った。
c.平成 19 年度に受領した系統の中で葉いもち病
②供試系統および品種
耐病性検定、低温発芽性検定で良好な結果が
「空育175号」、「空育酒177号」、「北海309号」。
比較品種「ほしのゆめ」他12品種。
得られた系統を交配に用いた。
③結果の概要
③委託場所と試験方法
a.一般農業特性調査:発芽しない系統が 2 系統
委託場所:上川管内名寄市、士別市、当麻町、旭
あった。移植した全系統とも出穂期が大きく遅
川市、東川町、中富良野町、留萌管内・遠別町、小
れ、出穂期に達しない系統も 15 系統あった。また、
平町、網走管内・北見市、の合計9か所。栽培方法
成熟期に達した系統は出穂期が比較的早く、収量構
は、各地帯の慣行法によった。
成要素の多くない 3 系統のみであった。不稔の発
④試験結果の概要
生は系統間で大きな差があり比較品種並みに良好な
有望系統は次のとおりである。
稔実を示すものから 90 %以上の不稔発生が観察さ
「北海309号」、「空育175号」。
れる系統もあった。
b.増殖採種:出穂、登熟ともに遅れたため圃場に
C
新優良品種普及促進
おける採種は3系統のみであった。その後、ポット
(1)水稲新優良品種普及促進事業
に株上げして温室にて採種を行い、50系統から平均
(昭和42年~継続)
10g程度の種子を得た。
①試験目的
c.2 組合せについてそれぞれ 189、142 粒採種de
新品種の速やかな普及を図るために有望系統の種
きた。
子の増殖を行う。
②供試系統「上育糯450号」(きたゆきもち)
E
③試験方法と結果の概要
(1)高度苗立ち性および高度耐冷性水稲直播栽培
当場の慣行に従って原種栽培を行い、異型の抜き
取りを実施し所定の種子量を得た。
共同研究
用品種の開発
(平成19~21年)
①試験目的
直播栽培を安定させるためには、品種の低温苗立
D
植物遺伝資源開発
性、耐冷性および食味水準の向上が求められている。
(1)「国際イネ連絡試験」参画にによる有用遺伝
ホクレン農業総合研究所のバイオ技術と母本を活用
資源と遺伝子の活用
し、上川農試が持つ直播に関する材料および検定技
(平成17~21年)
術を併せる共同研究の構築により、「緑育PL1」程度
①試験目的
の高度な低温苗立性と開花期耐冷性を含む高度な耐
国際イネ研究所(IRRI)が中心となって組織
冷性を有する、「ほしのゆめ」以上の良食味系統を
する「イネの遺伝的評価に関する国際ネットワーク
早期に作出する。
(INGER:IRCTN)の供試材科について、
②試験方法と結果の概要
耐冷性、直播適性および一般農業特性を調査し、遺
伝資源としての利用上の資料を得る。
a.次年度、葯培養に供試するための3組合せのF1種
子をホクレン農総研へ送付した。
②試験方法
a.一般農業特性調査
供試材料:平成 21 年度 IRRI より送付された
b.葯培養由来DH個体を玄米品質により1,310個体選
抜した。玄米選抜未実施62個体を含めた1,372体を最
終選抜した。
52 系統。試験方法:一般圃場において生育調査
c.8組合わせ1,675系統を系統選抜に供試し、247系
- 24 -
統を圃場選抜した。そのうち低温苗立性検定実施の
播種後、約1.5cm程度の幼芽を0~1℃で2日低温処理
ため246系統をホクレン農総研へ送付した。その結果
後、障害の程度を計測した。
(2)DNA マーカーによる遺伝子型判定:強度の低
を基に再系選を含め7組合わせ57系統を選抜した。
d.直播による生産力検定試験では予備試験3組合わ
温抵抗性をもつ北海道の在来種 A58 と低温感受性
せ24系統を供試氏、14系統を圃場選抜した。いずれ
を示す野生イネ W107 との組換え自殖系統群の QT
も低温苗立ち性は「ほしまる」並であるが、アミロ
L 解析より見いだされた幼芽期低温抵抗性に関与す
ース含有率が低く、食味が良好であった。収量性も
る QTL 領域 qCTP11 近傍の SSR マーカー RM206
「ほしまる」に優る系統があった。最終的に 1 組合
を用いて「上系 04501」×「ほしまる」F3 集団に
わせ 7 系統(再生予を含む)を選抜した。本試験で
ついて遺伝子型と表現型との関係を調査した。
b.穂ばらみ期耐冷性
は1系統供試したが、耐冷性、収量性が劣り廃棄し
(1)供試材料および検定方法:「上系 06214」×
た。
e.彗星/永系 88223//彗星の BC1F3 120 系統を用
「上育 455」ならびに「上系 06214」×「北海 30
いて QTL 解析を行った。開花期耐冷性検定につい
2」F3 33 系統。本供試材料については F2 世代に
ては人工気象室を用いて 17.5 ℃、15 日間の低温処
ついて冷水かけ流し検定による耐冷性選抜を行って
理を行い、1 系統あたり 5 穂以上 100 ~ 200 頴花
いる。「上育 455」ならびに「北海 302」について
の稔実率を調査した。連鎖地図の構築には両親間で
はアミロース低下遺伝子 qAC9 を保持する。
多型を示す 80 個の SSR マーカーを用い、QTL 解
(2)形質評価:冷水かけ流し検定による耐冷性評価、
析については解析ソフト QTL Cartographer2.5 を
通常栽培における玄米品質ならびに食味関連の理化
利用した。彗星/永系 88223//彗星 BC1F3 の系統群
学特性を評価した。
の耐冷性検定を行ったところ各系統の稔実率は両親
③結果の概要
a.幼芽期低温抵抗性検定
間の連続的な変異であった。続いて得られた稔実率
のデータをもとに QTL 解析を行ったところ第 7、8、
危険期となる穂ばらみ期と直播栽培での苗立ち性に
供試した 15 品種・系統の幼芽期低温抵抗性検定
結果を表 1 に示す。道内の品種・系統内では「上
系 04501」が、また、苗立ち性に優れる「Arroz D
a Terra」などが、他の品種・系統より有意に抵抗
性が優れるという結果が得られた。「上系 0450
1」については A58 並の抵抗性程度を示し、「上系
04501」×「ほしまる」の交配後代で qCTP11 の
近傍マーカーについて遺伝子型を調査したところ表
現型と遺伝子型に密接な連鎖が認められた。
b.穂ばらみ期耐冷性
供試33系統について穂ばらみ期耐冷性の評価を行
重要な幼芽期の低温抵抗性に着目し、穂ばらみ期耐
ったところ、両親間の連続的な変異を示した。この
冷性については、DNAマーカー選抜により外国稲Sil
うち4系統が、出穂期が「きらら397」並から早く、
ewah由来の第3染色体耐冷性関連領域と低アミロース
耐冷性に優れ、上系06214の第3染色体耐冷性領域と
遺伝子qAC9.3を併せ持つ系統の作出を試みる。それ
qAC9.3を保持している系統であることが判明した。
12 染色体の 3 箇所に QTL が検出された。
(2)北海道在来品種および外国稲から新たに見出
されたイネ低温抵抗性遺伝子の育種的利用
(平成21年)
①試験目的
北海道において低温障害の克服は米の安定生産に
おける最大の課題である。本研究では障害型冷害の
とともに幼芽期の低温抵抗性については北海道在来
品種から新たに見出された抵抗性遺伝子およびそれ
(3)少分げつ突然変異体を用いた新奇な分げつ制
に連鎖するDNAマーカーについて今後の育種的利用価
御遺伝子の同定に関する研究
値を検討する。
①試験目的
(平成21年)
分げつは、高収量性イネの育種における重要な形
②試験方法
a.幼芽期低温抵抗性検定
質の一つで、生産性の向上においては、無効分げつ
(1)供試材料および検定方法:供試材料は道内の 1
を減らし与えられた環境下で最大限の有効分げつ数
3 品種・系統、低温苗立ち性を示す外国稲 2 品種な
を確保することが欠かせない。特に、近年分げつを
らびに「上系 04501」×「ほしまる」F3 48 個体。
やや抑えて穂を大きくした新草型の増収が報告され
- 25 -
ている。一方で、分げつを制御する遺伝子が単離さ
F
れてきつつあるが、分げつ力の分子的な理解のため
(1)低温条件における苗立ち特性の検定と遺伝的
には、分げつに関する新たな突然変異体の特徴付け
解析
とその遺伝子単離が重要となる。そこで、少分げつ
①試験目的
突然変異体の育種的な利用の可能性を検証するため
国費受託
(平成 20 ~ 24 年度)
現在、北海道の直播栽培に利用されている品種は、
に本課題に取り組んだ。本課題では少分げつ遺伝子
低温条件下における苗立ち性が不安定であるため、
を精密マッピングすることで遺伝子を単離し、その
その向上が重要な育種目標となっている。本研究で
遺伝子配列の変異をマーカー化して準同質遺伝子系
は、低温苗立ちに関する育種素材の早期開発を目標
統を作出し、収量性との関わりを検討することを目
に、低温苗立ち性に優れる「Italica Livorno」およ
的とする。本年度は、Rcn3の座乗染色体の同定とラ
び「Arroz Da Terra」を形質導入親に用いて、苗
フマッピングとRcn5のマップの詳細化を目指した。
立ち性に関する QTL 解析を行い DNA マーカーの
②試験方法
開発を試みる。また、表現型のみを指標とした選抜
a.水田での表現型解析
材料は、N-176(rcn3変異体)/KasalathのF3系統64系
統とN-185(rcn5変異体)/KasalathのF3系統111系統で
各系統F312個体から24個体を栽培した。系統内の少分
げつ個体と正常型個体の分離を記録した。
b.マイクロサテライトマーカー解析
Rcn3については、全染色体を30センチモルガン以
内で標識したマーカー、Rcn5については、第6染色体
の候補染色体領域周辺の12種のマーカーを用いて解
析した。
c.染色体部分組換え系統の選抜と表現型解析
Rcn5の座乗する染色体領域周辺について組換え型
染色体をもつF3個体を分子マーカーで選抜し、選抜系
統の表現型を解析した。
③結果の概要
と「ほしまる」による戻し交雑を並行して行い、得
a.Rcn3のマッピング
rcn3変異体/Kasalath間の交雑F2集団6,678個体に由
来するrcn3ホモのF3系統を183系統を同定した。各染
色体上のSSRマーカーとRcn3との連鎖解析の結果、R
cn3を第8染色体上に位置づけることができDNAマーカ
ーR3-8とR3-9間の800kbにマップした。
Rcn5のマッピング
b.rcn5変異体/Kasalathの交雑F2集団7,207個体に由
られた QTL についての効果の確認、さらに異なる
遺伝背景下における効果についても検討を行う。
②試験方法と結果の概要
供試材料は「Italica Livorno」、「Arroz Da Te
rra」に「ほしのゆめ」もしくは「はやまさり」で
1 回戻し交配を行ったバッククロス系統群。圃場で
の検定については催芽有り・無しの 2 処理区につ
いて、湛水条件における各系統の苗立ち率および土
中出芽率(土中出芽率=(苗立ち本数+土中出芽は
したが苗立ちには至らなかった個体数)/播種数)
の 2 形質を調査した。播種量は 1 処理区あたり 50
粒/系統。なお、本試験の検定においては落水出芽
法を用いていない。QTL 解析については解析ソフ
ト QTL Cartographer 2.5 を利用した。QTL 解析
の結果、3 つの交配組合せで遺伝子導入親が効果を
上げる計 4 箇所の QTL 領域が検出された。ほしの
ゆめ/Arroz Da Terra//ほしのゆめで検出された chr.
7 および chr.11 の QTL 領域については複数年で Q
TL が検出される結果となった。表現型選抜につい
ては、各交配組み合わせの BC1F2 系統の苗立ち検
来するrcn5ホモのF3系統を202系統を同定した。第6染
定の結果、苗立ちの良好な各 10 系統を選抜し、そ
色体単腕上の3.23Mb内の12マーカーの各遺伝子型の
の中から出穂期が極端に遅れず、交配が可能であっ
分離は、rcn5と独立の場合に期待される1:2:1の分離
た計 8 系統についてそれぞれ「ほしまる」による
比に適合せず、この染色体領域にRcn5が座乗するこ
交配を行った。また、昨年度の表現型選抜で苗立ち
とが支持された。そのRcn5の候補領域をR5-12とR5-
が良好と判定された系統の後代 BC1F3 について、
5間の250kbに絞り込むことができたが、候補領域に
再度検定を行った結果、複数の系統が「ほしのゆ
推定される45種の推定遺伝子には既報の分げつ関連
め」よりも有意に高い苗立ち率を示す結果となった。
の遺伝子は無かった。
(2)耐冷性遺伝子集積系統の評価
(平成 20 ~ 24 年度)
- 26 -
①試験目的
るようになり、上記育成品種と同様の評価試験が求められ
画期的耐冷性品種を迅速に育成するためには、D
るようになってきたが、民間独自では、客観的な評価試験
NA マーカーを用いて耐冷性遺伝子を導入・集積す
を行うことは困難な場合が多い。
ることが有効であると考えられる。本研究では耐冷
また、これを国や都道府県の育成品種と同様に公的試
性遺伝子Ctb1,2 、qCTB8 およびqFLT6を北海道品種
験研究機関に委託して評価試験を行う場合、各民間企業
に導入・集積した育種素材を用いて、耐冷性遺伝子
が個々に公的機関に依頼することは、受・委託両者にとっ
の集積効果を検証する。これにより、耐冷性品種育
て折衝・契約・委託費の授受等煩雑となるため、一元的な
成に有効な耐冷性遺伝子の組合せが明らかになり、
受・委託業務を行う受け皿的組織が強く望まれている。
その知見をマーカー育種と組み合わせることによっ
社団法人農林水産先端技術産業振興センター(略称
て、耐冷性の選抜が効率化できる。
STAFF)では平成3年度より稲民間育成品種の公的機関
②試験方法と結果の概要
での評価試験の窓口となり、民間の稲品種育成事業に寄
a.圃場の中間部分の水温が19℃になるように設定し
与している。
た水田において比較品種と各系統の出穂期および稔
本課題では拓殖大学北海道短期大学から平成 20
実率を比較することにより「ほしのゆめ」に Ctb1,2、
年に出願された「芽生さくらむらさき」の栽培試験
qFLT6 および qCTB8 を導入したF2の 600 個体の耐
を行う評価することを目的とする。
冷性を評価した。播種日は、4 月 21 日、移植日 5
②試験方法
月 22 日であった。極早生種が穂孕期になった 6 月
a) 耕種梗概:播種日 5 月 1 日、移植日6月1日。
29 日から冷水掛け流しを開始し、8 月 21 日で終了
施肥量
した。水田の水口近くに試験供試個体を 60 列× 10
栽植密度 30 ㎝× 15 ㎝。植本数 1 本/株。
行で配置。試験区の両サイドには比較品種として各
7 品種、系統、各 5 個体を配置した。
10a あたり N=9.0 ㎏、P=10.9 ㎏、K=7.7 ㎏。
b)供試個体:「芽生さくらむらさき」比較品種
「きたのむらさき」および「ほしのゆめ」標肥
b.供試した F2 600 個体は、冷水田において出穂期
2区
(7/31 ~ 8/17)および稔実率(4.7 ~ 64.5%)が広く
分布した。3 遺伝子を全てホモにもつ 57 個体(8
刈り取り 80 株
c)農業形質を圃場で計測し、収量調査等を行った。
③結果の概要
組合わせ、全体の約 10 %)について稔実率との対
a.ペーパーポットで生育させた下記の材料を2反
応を行った結果、平均値で比較すると、最も稔実率
復で標肥慣行栽培を行った。
が高かったのは、qFLT6 および qCTB8 の 2 遺伝子
b.生育調査・および収量調査を行った。「芽生さ
を持つ集団であった。また、出穂日を遺伝子の組合
くらむらさき」は、比較品種に比べ出穂
期および
わせで見ると Ctb1,2 を持つ集団が遅い傾向にあっ
成熟期が遅かった。稈長は長く、穂長は「ほしのゆ
た。以上の結果、北海道の主要品種である「ほしの
め」と同程度であり、穂数は、「きたのむらさき」
ゆめ」は、耐冷性が強ランクであるが、耐冷性遺伝
よりも長かった。収量性は、また、不稔も多発した
子の集積により、原品種よりも冷水田における稔実
ため、標準的な比較はできなかったが、「きたのむ
率が高まり、耐冷性が強化されることが明らかとな
らさき」と同程度であった。千粒重は、「きたのむ
った。
らさき」よりも重かった。
c.変異係数から「芽生さくらむらさき」は、実用
上十分固定していると推定された。
(3)平成20年度出願品種栽培試験事業
d.「芽生さくらむらさき」と同じ有色玄米である
(平成21年)
「きたのむらさき」との区別性は、出穂期、成熟期、
①試験目的
従来、国および指定試験において育成された稲の新品
千粒重、葉色および粳・糯性等で見られた
種候補の評価方法については、特性検定・生産力検定試
験の制度が確立しており、都道府県ではこの結果にも基
2)畑作園芸科
づいて奨励品種決定調査の採否判断を行っている場合
A
が多い。
地域適応性検定試験
一方、民間においても最近では稲品種の育成が行われ
畑作物品種改良試験
(1)小豆育成系統地域適応性検定試験
- 27 -
(昭和34年~継続)
① 試験目的
豆類生産振興対策
(4)複数病害に対して持続的に抵抗性を示す小豆
有望系統について、地域適応性を明らかにして、
品種の開発強化
奨励品種決定の資とする。
(平成19年~22年)
② 試験方法
① 試験目的
3系統と5比較品種を供試、標準耕種法による。
茎疫病圃場抵抗性を育種目標とする雑種後代の初
分割区法3反復。
中期世代集団、系統を中心として、茎疫病抵抗性に
③ 試験結果
ついての選抜、検定を行う。
早生の「十育159号」を中、中生の「十育155号」
② 試験方法
をやや有望、「十育158号」を有望と判定した。
F2~F4世代集団、個体選抜:6組合せ7集団13,8
61個体、F5及びBC1F5世代系統検定:11組合せ401系統、
(2)ばれいしょ育成系統地域適応性検定試験
F6世代系統検定:362系統、F7以降世代系統検定:2
(平成19年~継続)
2系統群110系統を供試、標準耕種法による。
①試験目的
③ 試験結果
奨励品種候補について、地域適応性を検定する。
②試験方法
F2 ~F4世代集団、個体選抜:6組合せ7集団から
1,005個体を選抜した。系統検定:F7以降世代系統では
場内:生食用2系統1標準品種、加工用2系統1
「十系1000号」「十系1008号」「十系1021号」で発
標準品種1対象品種を供試、標準耕種法による。乱
病程度が低かった。F6世代では「0432」「0433」
塊法3反復。
「0434」、F5世代では「0526」由来の系統で発病程
③試験結果
度が比較的低かった。
生食用「北海100号」はやや劣る、「北海101号」
は劣る、加工用「北海102号」「北育15号」をやや劣
特性検定試験
ると判定した。
(5)麦類特性検定試験(耐雪性)
(昭和58年~継続)
地域適応性検定試験(現地委託分)
①試験目的
(3)麦類育成系統地域適応性検定試験
育成系統の長期多雪地帯における越冬性を検定す
(平成15年~継続)
①試験目的
る。
②試験方法
育成された有望系統について、生産力その他諸特
80系統と24比較品種を供試。株間10cm個体植、雪
性を調査し、地域における適応性を検討する。(北
腐褐色小粒菌核接種、3反復。
農研・北見農試育成の秋まき小麦および北見農試育
③試験結果
成の春まき小麦系統を検定)
極強の系統は認められず、4系統を強、34系統をや
②試験方法
や強と判定した。
秋まき小麦:美瑛町および美深町で1系統2品種を
供試。現地慣行法による。乱塊法2反復。
系統適応性検定試験
春まき小麦:美瑛町と名寄市風連町で1系統2品
種を供試。現地慣行法による。乱塊法2反復。
(6)麦類系統適応性検定試験(平成15年~継続)
①試験目的
③ 試験結果
育成された有望系統について、生産力その他諸特
秋まき小麦「北見83号」は、美深町では有望、美
瑛町では打ち切りと判定された。
性を調査し、地域における適応性を検討する。
②試験方法
春まき小麦:名寄市風連町では「北見春70号」を
有望、美瑛町では、「北見春70号」を再検討と判定
秋まき小麦:29系統と5比較品種を供試、標準耕
種法による。乱塊法2反復。
された。
春まき小麦:15系統と3比較品種を供試、標準耕
種法による。乱塊法2反復。
- 28 -
③ 試験結果
② 試験方法
秋まき小麦:2系統を再検討と判定した。
剣淵町で1系統と2比較品種を供試、現地慣行法
春まき小麦:7系統を再検討と判定した。
による。乱塊法2反復。
③ 試験結果
(7)大豆系統適応性検定試験 (昭和35年~継続)
「十育B78号」を「やや劣る」と判定した。
① 試験目的
試験機関で育成された有望系統について、上川地
(11)ばれいしょ奨励品種決定調査
方における適応性を検定する。
(昭和33年~継続)
② 試験方法
①試験目的
12系統と4比較品種を供試、標準耕種法による。
奨励品種候補について、上川地方における地域適
乱塊分割区法2反復。
応性を検定する。
③ 試験結果
②試験方法
「十系 1064 号」、「十系 1065 号」、「十系 107
美深町、富良野市で1系統と1比較品種を供試、
0 号」、「十系 1071 号」、「十系 1080 号」をやや
現地慣行法による。乱塊法2反復。
有望と判定した。
③試験結果
「北海100号」について美深町ではやや良、富良野
(8)とうもろこし系統適応性検定試験
市ではやや劣ると判定した。
(昭和38年~継続)
① 試験目的
奨励品種決定調査(基本調査)
試験機関で育成された有望系統について、上川地
(12)麦類奨励品種決定基本調査(昭和34年~継
方における適応性を検定する。
続)
② 試験方法
① 試験目的
3系統と3比較品種を供試、標準耕種法による。
有望系統について、特性および地域の適応性を検
乱塊法3反復。
討し、優良品種決定の資とする。
③ 試験結果
② 試験方法
「月交637」が有望と考えられた。
秋まき小麦は4系統と6比較品種を供試、春まき
小麦は1系統と3比較品種を供試、標準耕種法によ
奨励品種決定調査
る。乱塊法4反復。
(9)小豆奨励品種決定調査(昭和 46年~継続)
③ 試験結果
① 試験目的
秋まき小麦「北見82号」は打ち切りと判定し、
優良品種候補について、現地における適応性を検
「北見83号」、「北見84号」は再検討と判定した。
定する。
「北海261号」は有望と判定した。春まき小麦は、
② 試験方法
「北見春70号」を再検討と判定した。
名寄市で2系統1品種、苫前町で2系統4品種を
供試、現地慣行法による。乱塊法2反復。
(13)大豆奨励品種決定基本調査(昭和34年~継
③ 試験結果
続)
名寄市では、立枯症状が発生したため、参考成績
① 試験目的
とする。苫前町では、「十育155号」を有望、「十育
158号」を有望と判定した。
有望系統について、特性および地域の適応性を検
討し、優良品種決定の資とする。
② 試験方法
(10)菜豆奨励品種決定調査 (昭和46年~継続)
5系統と4比較品種を供試、標準耕種法による。
① 試験目的
分割区法3反復。
奨励品種候補について、現地における適応性を検
③ 試験結果
定する。
「十育247号」を中、「十育248号」を劣る、「十
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育249号」をやや劣る、「中育61号」をやや劣る、
「HW4号」を有望と判定した。
「中育62号」を劣ると判定した。
(17)二条大麦の品種選定試験(平成20~22年)
奨励品種決定調査(現地調査)
①試験目的
(14)麦類奨励品種決定現地調査(昭和33年~継
育成系統の当地方における適応性を検定し、奨励
続)
品種決定の資料とする(北見農試とサッポロビール
① 試験目的
社共同育成の二条大麦系統を検定)。
奨励品種候補について、現地における適応性を検
② 試験方法
定する(北農研センター・北見農試育成の秋まき小
生産力検定試験(奨決相当)は1系統2品種(乱
麦系統および北見農試・サッポロビール社共同育成
塊法4反復)、地域適応性検定試験(系適相当)は
の二条大麦系統を検定)。
5系統2品種(乱塊法2反復)を供試、標準耕種法
② 試験方法
による。
秋まき小麦は富良野市で1系統と3比較品種を供
③ 試験結果
試、二条大麦は中富良野町で1系統と2比較品種を
供試、現地慣行法による。乱塊法2反復。
生産力検定試験では「北育42号」を有望、地域適
応性検定試験では1系統をやや有望と判定した。
③ 試験結果
秋まき小麦「北見83号」は、打ち切りの判定であ
(18)ニ-ズに対応した道産小麦の開発促進
った。二条大麦は、「北育42号」が有望の判定であ
った。
(平成19年~21年)
① 試験目的
多雪地帯での秋まき小麦栽培安定化のため、育成
(15)大豆奨励品種決定現地調査(昭和33年~継
系統の雪腐褐色小粒菌核病抵抗性を検定する。
続)
② 試験方法
① 試験目的
a.雪腐小粒菌核病抵抗性系統の選抜と検定強化
奨励品種候補について、現地における適応性を検
系統初年目系統1052系統及び比較品種(1区制)。
定する。
b.雪腐褐色小粒菌核病抵抗性検定
② 試験方法
系統2年目系統1049系統及び比較品種(1区制)、
剣淵町と羽幌町で2系統1品種を供試、現地慣行
法による。乱塊法2反復。
生予初年目系統331系統及び比較品種(2反復)生予
2年目系統88系統及び比較品種(3反復)。
③ 試験結果
いずれも菌核病菌接種、無防除。
剣淵町では「十育247号」をやや劣る、「十育248
③ 試験結果
号」をやや有望、羽幌町では「十育247号」を中、
a.雪腐小粒菌核病抵抗性系統の選抜と検定強化
「十育248号」を有望と判定された。
発病度 40 未満の「ホクシン」並から強い抵抗性
を有すると推察される系統は少なかった。
受託試験
b.雪腐褐色小粒菌核病抵抗性検定
(16)春まき小麦の品種選定試験(平成18年~22
生予供試系統では“極強”の系統は認められなか
年)
った。4 割程度の系統が“やや強”であった。系統
① 試験目的
2年目系統については1区制であることから抵抗性
ホクレンで育成された系統について北海道の春ま
の判定を行わなかったが、発病度が 40 未満の「ホ
き小麦栽培地帯での適応性を評価するとともに奨励
クシン」並みから強い抵抗性を有すると推察される
品種決定の資とする。
系統は2割弱であった。
② 試験方法
上川農試でホクレン育成1系統と3比較品種を供
(19)ばれいしょ輸入品種選定試験
試、標準耕種法による。乱塊法4反復
③ 試験結果
(平成18年~22年)
①試験目的
- 30 -
ばれいしょの輸入品種等について、当地方におけ
供試圃場:上川農試、士別市、上富良野町、美瑛
る適応性を検討する。
町、旭川市、鷹栖町、小平町。現地実態調査圃場:
②試験方法
剣淵町 3 点、士別市 10 点、和寒町 1 点、美瑛町 10
農試では1系統1標準品種を供試、標準耕種法に
よる。乱塊法3反復。
点、上富良野町 1 点、中富良野町 2 点、富良野市 4
点、愛別町 2 点、旭川市 1 点、比布町 1 点。
現地は、富良野市と美深町で1系統1標準品種を
播種期:上川農試(9/11、9/19)、士別市(9/9、
供試、現地慣行法による。乱塊法2反復。
9/23)、上富良野町(9/12、9/22)、美瑛町(9/11)、
③試験結果
旭川市(9/12)、鷹栖町(9/6、9/16、9/29)、小平町
「CP05」を農試ではやや良、両現地ではやや劣る
(9/18)、現地実態調査圃場は農家慣行。
と判定した。
窒素追肥処理内容:起生期-幼形期-止葉期(kg/
10a):上川農試、士別市、上富良野町;6-0-4、6-4-
(20)てん菜輸入品種検定試験 (平成9年~継続)
4、6-4-8、10-0-4、10-4-4、美瑛町、旭川市;6-0-4、
①試験目的
6-4-4、6-4-0、6-4-6、10-4-4、鷹栖町;6-4-4、小平
てん菜輸入品種(系統)の特性および地域適応性
町;6-4-0、6-4-4、6-4-6、9-4-4、12-4-4、現地実態
を検定する。
調査圃場は農家慣行
②試験方法
③ 試験結果
美瑛町で4検定品種及び3比較品種を供試。現地
上川管内44圃場では、起生期の土壌無機態窒素量
慣行法による。乱塊法3反復。
ならびに熱水抽出性窒素含量が低く、上川地域の畑
③試験結果
土壌は窒素供給力が低い実態が明らかとなった。子
地域での普及性を考慮した有望度は、「H137」が
実収量600kg/10a、子実蛋白質含量9.7~11.3%をクリ
有望、「HT30」、「KWS8R83」がやや有望と判定され、 アするためには、成熟期の窒素吸収量が12.5kg/10a
「北海98号」はやや劣ると判定された。
程度必要であった。目標がクリアされた試験区の茎
数の平均推移は、越冬前780、起生期960、幼形期14
(21)飼料作物品種比較試験 (昭和55年~継続)
40、止葉期800、穂数580本/㎡であった。目標をクリ
① 試験目的
アするための追肥体系は6-4-4または6-4-6であると
輸入品種の生産力を検定し、奨励品種決定の資と
考えられた。
する。
② 試験方法
C
場内で8系統3標準品種を供試、標準耕種法によ
野菜品種改良に関する試験
受託試験
る。乱塊法3反復。
(1)ほうれんそうの品種特性(平成21~22年)
③ 試験結果
①試験目的
供試系統のうち、「 KE8500」は収量性が優った。
民間育成品種・系統の作期毎の特性を明らかにし、
産地における品種選択の資料を提供する。
B
畑作物栽培法改善に関する試験
②試験方法
(1)ニ-ズに対応した道産小麦の開発促進
供試系統:春夏まき11、夏まき17品種・系統
(平成19年~21年)
耕種概要:雨よけハウス、播種(春夏まき:6月3
① 試験目的
日、夏まき:8月4日)、裁植密度(畦幅15cm×
道北地域で子実収量 600kg/10a(粗子実重)、子実
株間7cm)
タンパク質含有率 9.7 ~ 11.3%を目標とする生育モ
③試験結果
デルの提示、収量水準にかかわらず蛋白含量を基準
値内に収めるための生育状況に応じた窒素施肥法の
春夏まき:抽台性、生育速度、収量性から1品種を
標準品種より優る評価とした。
確立、および道北地域への生育・土壌診断技術の適
応性について検討を行う。
夏まき:栽培のしやすさ、収量性から1品種を標準
品種より優る評価とした。
② 試験方法
- 31 -
野菜の地域適応検定試験
た。以上の事から、収量性、外観では有望であるが、
(2)いちご地域適応性検定 (平成20~24年)
食味では、特に肉質で劣るため、当地区での普及は
①試験目的
難しいと思われる。
花・野菜技術センター育成系統の地域適応性を検
b.えそ斑点病発生圃場における試験
討する。
果実肥大は良好であり、収量性は標準品種を上回
②試験方法
った。標準品種と同程度の成熟期で、二次ネットが
a.供試材料
黄色くなり、外観は収穫適期と判断しても、糖度は
検定系統:「空知31号」、標準品種:「エッチエス-1
高いが果肉は硬い傾向にあり、外見の収穫期判断が
38」、
困難であった。内部品質に関しては、収穫 5 日後の
参考品種:「なつじろう」
b.耕種概要
果肉が標準品種よりも硬く、追熟には十分な時間が
比布町、夏秋どり作型(高設栽培)、発泡スチロー
必要であり、食味は劣った。日持ち性は良好であっ
ル製魚箱方式
たが、10 日頃を境に一気に実がくずれる傾向にあ
③試験結果
った。また、えそ斑点病の発生がなかったことから、
「空知31号」は果房の上がりが早く、収穫始めも早
抵抗性の判断はできなかった。
かった。前期収穫では奇形果が少なく、収量性は最
も優れていた。しかし、需要期であり出荷が期待さ
(4)たまねぎ地域適応性検定 (平成20~24年)
れる後半の収穫は、果房当りの果数は少なく収量性
①試験目的
は最も低い結果となった。日持ち性は「エッチエス-
北見農試育成系統の地域適応性を検討する。
138」より優れ、「なつじろう」と同程度であり、総合
②試験方法
的な果実品質は最も優れていた。
a.供試材料
検定系統:「北見交 54 号」
(3)メロン地域適応性検定(平成20~24年)
標準品種:「スーパー北もみじ」
①試験目的
b.耕種概要
花・野菜技術センター育成系統の地域適応性を検
試験実施場所:富良野市
討する。
播種期-移植期:平成21年3月3日-5月1日
②試験方法
③試験結果
a.供試材料
「北見交54号」:苗質調査時の生育は草丈・葉鞘径
検定系統:「空知交20号」、標準品種:「ルピアレ
とも検定品種が上回っていたが、これは種子の形態
ッド」
が違う(検定品種が裸種子、標準品種がコート種
b.えそ斑点病未発生圃場における試験の耕種概要
子)ためと考えられる。また、生育のばらつきが目
富良野市、無加温半促成作型、這いづくり子づる2本
立つことから、栽培に当たっては病害虫防除や根切
仕立て
りなどの管理作業のタイミングに注意が必要な品種
c.えそ斑点病発生圃場における試験の耕種概要
と考えられる。内部品質が良い品種であれば契約栽
上川管内、無加温半促成作型、這いづくり子づる2本
培など限定した用途が考えられるが、生育のばらつ
仕立て
きが多いこと、収量性が低いこと、規格外の発生が
③試験結果
多いこと、外皮色がやや劣ることなどを考えると大
a.えそ斑点病未発生圃場における試験
規模での栽培は難しい。
着果率は標準並に良好であり、低温着果性は良好
と判断する。果実肥大は、標準品種に比べ良好であ
D
野菜栽培法改善試験
り、収量性は高かった。成熟期は標準品種より 3 日
(1)道北露地アスパラガスの改植技術および高畦
程度遅かった。外見の収穫期判断が困難であった。
灌水栽培技術の開発(平成17~21年)
また、内部品質に関しては、果肉が対象品種に比べ
①試験目的
硬く、食味はやや劣った。肉質は収穫後 5 日目でも
道北地域における土壌条件に適合した露地アスパ
果肉が硬かった。そのため、日持ち性は良好であっ
ラガスの収量向上と安定化のための技術を開発し、
- 32 -
道北地域における農業経営の収益向上、経営安定化
施肥対応-3区(同-3kg/10a)、慣行施肥区
に資する。
③試験結果
②試験方法
a.上川農試ハウスでの窒素施用量試験の結果、窒
高畦灌水栽培技術の開発(畑作園芸科)
素施肥量の増加に伴って総収量及び窒素吸収量は増
現地試験
加し、作型によりやや傾向が異なるが、概ね窒素施
供試品種:ガインリム、実施場所:名
寄市農業振興センター
場内試験
肥量9~12kg/10aで頭打ちとなった。みずなの硝酸濃
供試品種:ガインリム
度は窒素施肥量の増加に伴って増加し、春まきが他
試験処理:平畦、高畦、平畦灌水、高畦灌水
作型に比べて顕著に低かった。収穫時の土壌硝酸態
(灌水量:1.4 L/株・日)
窒素は窒素施肥量の増加に伴って漸増し、特に秋ま
調査項目:収量調査、地上部・地下部生育調査
きでは窒素施肥量15kg/10aで急増した。
③試験結果
b.現地試験において、慣行施肥量から直播・小株
高畝栽培は、平畝栽培に比べ、株の養成期間中に
栽培で設定した施肥量まで窒素施肥量を減らしても、
おける地上部生育量の増加および定植2年目以降に
平均一株重の減少は認められなかった。また、直播
対する増収効果が認められなかった。一方、灌水処
・小株栽培で設定した窒素施肥量から3kg/10a増肥及
理は、定植年秋期の地上部生育量を増加させた。ま
び減肥しても、平均一株重に明らかな変化は認めら
た、灌水処理による露地立茎栽培の夏芽の増収効果
れなかった。一方、みずなの硝酸濃度について、生
は、土壌水分がpF2.0を超えるような乾燥時に認め
産者Dの施肥対応区は施肥対応+3区に比べて有意に低
られた。したがって、灌水開始点は収穫期間を通し
い値を示した。移植・中株栽培においても、窒素肥
土壌水分pF2.0とすることが望ましい。
沃度に応じて少なくとも直播・小株栽培で設定した
地下部調査の結果、平畦区の貯蔵根が地下15~30
窒素施肥量まで減肥することが適当と考えられた。
cmに最も集中していたのに対して、高畝区の貯蔵根
は高畝部に最も集中していた。また、高畝灌水区の
(3)機械収穫に向けた加工用ほうれんそう栽培体
貯蔵根は地下0~15cm部に集中しており、高畝区と
系の確立
異なる分布を示した。
①試験目的
(平成21~22年)
加工用ほうれんそうの機械収穫体系を確立し、収
(2)ハウス窒素肥沃度の総合的評価による道産野
穫作業の作業能率向上を図る。本年度は、現行体系
菜の硝酸塩低減化技術の開発
への収穫機導入時の作業能率を調査、及び収穫機の
2)みずな移植・中
株栽培の適正窒素施肥による硝酸塩低減化
作業能率向上のため密植栽培を試験する。また、機
(平成21~24年)
①試験目的
械収穫はバラ収穫のため加工工場の受け入れについ
て検討する。
従来の土壌硝酸態窒素の評価に土壌熱水抽出性窒
②試験方法
素の評価を合わせた新たな窒素肥沃度の総合的評価
a.機械収穫に適した栽培体系の検討(場内)
を確立し、ほうれんそう及びみずなの硝酸塩低減化
処理:畝間60cm×株間7cm(現行体系)、畝幅140cm
を図る。
・4条植え・株間7cm(密植7cm)、株間10cm(密植1
みずなの移植・中株栽培を対象に、窒素施肥量と
0cm)
みずなの収量、窒素吸収量、硝酸塩濃度および跡地
b.機械収穫体系の現地実証(美瑛町)
土壌に残存する硝酸態窒素との関係から、適正な窒
機械収穫試験
素施肥量を設定する。
畝間60cm×株間7cm
②試験方法
加工工場でバラ原料に対応した冷凍ほうれんそう加
a.実施場所:上川農試ハウス、旭川市生産者ハウ
工ラインを検討及びラインテスト。
ス4ヶ所
③試験結果
b.試験処理:場内
0kg/10a、現地
場所:生産者圃場2ヶ所、栽植様式:
窒素施肥量15、12、9、6、3、
a.場内・機械収穫試験において、密植区では現行
施肥対応区(直播・小株栽培の施肥
体系に比べて、収量は増加したが作業能率が低下し
対応の窒素施肥量)、施肥対応+3区(同+3kg/10a)、 た。収穫量と収穫時間との間には、収穫量増加によ
- 33 -
るコンテナ交換回数の増加が原因と考えられる正の
①試験目的
相関関係が認められ、このことが密植栽培によって
オートアナライザーを用いない,簡易・迅速なアミロー
作業能率が向上しなかった理由と考えられた。
ス含量推定法を開発するとともに,育成材料への適用
b.現地試験において、機械収穫の作業能率は1.63
性を検討する。また,新規食味評価手法による検定を
~1.68a/時間であり、手取り収穫に比べ圃場Aで6.3
おこなう。
倍、圃場Bで3.5倍であった。収穫に根切り機を使用
②試験方法
したことが、圃場Bの手取り収穫の作業能率が圃場A
アミロース含量標準試料:アミロース含量既知(21%)の
に比べて高い理由と考えられた。圃場Bで機械収穫の
米粉(「ほしのゆめ」)ともち米粉を混合し,0~21%の標
製品原料重は手取り収穫に比べて小さい値を示し、
準試料系列を調製した。
損失は16.4%であった。機械収穫では横に広がった下
試料の測定前処理:標準試料系列を96穴ディープウエ
位葉を収穫しきれないことが一因と考えられた。
ルに採り, NaOH を加えオートクレーブで加熱溶解した。
c.機械収穫しバラで入荷した原料に対応するため
ヨウ素吸収スペクトルの取得:溶液pHを調整後ヨウ素液
の工場加工ラインの変更点を整理し、変更した加工
を加え,マイクロプレートリーダーにより 500-700nm のス
ラインで袋詰めまで行った製品は出荷できる品質と
ペクトルを得た。
判断された。ラインテストでは、バラ原料用に変更
③試験結果
した加工ラインは従来の加工ラインに比べて、1パレ
a
ットから生産される製品量は概ね同等であったが、
ーを用いることにより,米粉のヨウ素吸収スペクトルを取
加工に約1.2倍の時間を要した。異物除去の精度を確
得することが可能であったが,得られたスペクトルの吸
保しながら速度を最大化することが重要と考えられ
光度 (OD620 値 ) はバラツキが大きく, OD620 値から検量
た。
線を作成することは困難であった。
グレーティング機能を備えたマイクロプレートリーダ
b 500-700nmの各OD 値を全OD 積算値で割り返し,相対
E
農業資材試験
化することにより,アミロース含量に応じた吸光パターン
(1)畑作除草剤・生育調節剤の実用化試験
が得られた。この吸光パターンは,ヨウ素呈色反応にお
(平成21年)
ける色調の連続的な変化(赤紫→青紫)を反映している
カルタイムに関する試験
と考えられる。
①試験目的
c アミロース含量に応じた色調の変化を定量的に数値
畑作物に対する節間伸長抑制効果を検討する。
化するため,アミロース含量による違いが大きい500-
②試験方法
570nm の相対化OD積算値を色調指数とし,アミロース含
春まき小麦「春よ恋」。処理時期:止葉期、出穂始期の
量(従来値)との関係を検討したところ,密接な相関関
2時期。処理濃度:100ml、150ml/100L(10a)の2処理。標
係が認められた。この関係を検量線として利用すること
準耕種法。乱塊法3反復。
により,未知試料のアミロース含量(従来値)推定が可
③試験結果
能である。
上位第1節における伸長抑制効果が顕著であった。出
d 色調指数はOD依存性が低く,同一サンプルであれば
穂期後、早期に倒伏したこともあり、処理時期及び薬量の
ほぼ同様の値となり,データのバラツキが小さいことから,
効果は判然としなかった。処理による倒伏軽減効果が若
サンプル秤量作業や測定反復数が省略できる可能性
干認められた。
が高い。
e オートアナライザーを用いない,簡易・迅速なアミロー
3)栽培環境科
ス含量推定分析法について,現在のところ想定される
A
分析スキームと,今後最適化のための検討が必要な項
品種開発促進
(1)多様なニーズに対応する米品種並びに栽培技
術早期確立
術の早期開発
目を示した。
1.特 A ブランド米品種並びに栽培技
B
2)特Aブランド米品質評価
(平成 21 ~ 25 年)
水稲栽培法改善試験
(1)特Aブランド米品種並びに栽培技術の早期開
発
- 34 -
3 ) 「ゆめぴりか」のブランド産地育成指針の
策定
(平成21~25年)
①試験目的
アミロース含有率は20.5%、+0.5では17.5%と推定
された。
「ゆめぴりか」の販売戦略と協調した食味・品質
g タンパク質含有率と食味総合予測値の関係から、
管理目標を設定する.また、異なる気象・土壌条件
食味総合予測値が+0となるタンパク質含有率は、
で栽培試験を行い「ゆめぴりか」の高位平準化を図
「ゆめぴりか」で7.8%、「ななつぼし」で6.5%程
る栽培技術指針を策定し、良食味ブランドの産地育
度であった。
成に寄与する.
h 以上のことから、「ゆめぴりか」はアミロース含
②試験方法
有率が低く、現行のタンパク質含有率の基準値
「ゆめぴりか」の品質・食味管理目標の設定
6.8%を7.0%程度に緩和しても食味の低下は少ない
移植日:5月19日 (早植え) 、25日 (慣行)
中苗
と考えられる。
機械移植
品種:ゆめぴりか、ななつぼし
(2)安定多収業務用・加工用米品種並びに栽培技
苗:中苗、栽植密度:21.2、24.2、27.3株/㎡、窒素
術の早期開発
施肥量:6、9、12㎏/10a
米の安定生産技術
③試験結果
①試験目的
a 「ゆめぴりか」の品質・食味管理目標の設定を設
酒造好適米の品質低下要因の解析と産地内における
定するため、品種、窒素施肥量、栽植密度、移植日
品質平準化を図る。
がアミロース含有率、タンパク質含有率、収量に及
②試験方法
ぼす影響を検討した。
1)栽培環境による品質変動要因の解析
4)酒造適性向上のための高品質酒
(平成21~25年)
b 数量化Ⅰ類を用いて解析した結果、アミロース含
現場農家圃場を用いて、気象・土壌および栽培技
有率は品種、栽植密度、移植時期間に差異が認めら
術の解析を行い、産地内における品質変動要因を解
れ、切片19.88に対し「ゆめぴりか」で
析する。
-1.13%、27.3株/㎡で-0.35%、早植えで-0.29%低
対象地域:北空知A市管内の酒米団地
下した。
調査項目:耕種概要(移植日、苗の種類、施肥量・
c タンパク質含有率は窒素施肥量、栽植密度、移植
方法、深水管理の有無など)、土壌調査(簡易な断
時期間に差異が認められ、切片6.58に対し窒素施肥
面調査、作土および心土の分析)、水稲生育調査
量6㎏/10aで-0.34%、21.2株/㎡で-0.11%、慣行
(幼穂形成期、出穂期、成熟期)、収穫調査、産米
で-0.19%低下した。
品質(タンパク質含有率、千粒重、外観品質、格付
d 収量は品種、窒素施肥量、栽植密度、移植日間に
け)
差異が認められ、「ゆめぴりか」で+13.7㎏/10a、
2)現地モデル圃場における品質改善実証試験
窒素施肥量12㎏/10aで+39㎏/10a、24.2株/㎡で
現場モデル圃場において施肥・移植時期など栽培技
+12.9㎏/10a、慣行で+41.7㎏/10a増収した。
術の改善を図り、産米品質の高位平準化を目指した
e 食味総合評価値に及ぼすタンパク質含有率とアミ
実証モデル試験を行う。
ロース含有率の影響を重回帰分析で解析した結果、
対象地域:北空知A市管内の酒米団地
食味総合評価値 = 7.4-0.176×アミロース含有率-0.
実証内容:移植時期の変更、側条施肥比率
562×タンパク質含有率の重回帰式を得た。
③試験結果
f この重回帰式を用いて、アミロース含有率とタン
a 北空知A市管内の酒米団地における実態調査の結
パク質含有率の関係ならびに食味総合値の等高線図
果、幼穂形成期の茎数は215~738本/m2に分布し平
を作成した。食味総合評価値が+0~+0.5となる範囲
均は374本/m2であった。生育目標である520本/m2を
におけるアミロース含有率とタンパク質含有率の間
下回る事例が多く、初期生育が不足する傾向であっ
には負の相関関係が認められ、アミロース含有率が
た。
低ければタンパク質含有率が6.8%以上でも食味総
b 穂数も生育目標である500本/m2を下回る事例が多
合評価値は維持できることが示唆された。なお、タ
かった反面、総籾数は生育目標30000粒/m2を上回る
ンパク質含有率が6.8%で食味総合評価値+0となる
事例が多かった。
- 35 -
c 精玄米重は吟風が平均473kg/10aであり、彗星が5
30%がLP40)の全層施肥で0、6、9、12kgN/10a施用区お
29kg/10aであった。吟風は総籾数が多い傾向であっ
よび9+追肥2kgN(硫安)を設置。緩効性肥料試験では
たものの、不稔歩合が多かったことが反映していた。 慣行区としてBB472LPの9.5kgN/10a施用量を基本と
d 彗星は千粒重が25gを越える事例が約4割であった。 して、窒素成分の半量もしくは全量を被覆尿素肥料
吟風は千粒重が24gを超える事例がなかった。吟風
(LP30:30日タイプ、LP40:40日タイプ)に代替し、
の出穂期は7月31日から8月3日の範囲で分布した。
全量全層施肥を行った。その他の成分は硫安、過石、
この範囲では出穂前24日後30日間日最高最低平均気
硫加を用いて慣行区と同量を施用した。
温は19.2~19.4℃であり20.5℃を下回った。
調査項目:苗立ち調査、生育・収量調査、窒素吸
e 北空知A市管内の酒米団地では、2009年産の彗星
収量
における胴割れ粒の多発を問題視していた。やや早
試験C:除草剤試験(C4-2圃場)
めに収穫し“はさかけ”乾燥した農試収穫サンプル
供試品種:「ゆきまる」過酸化石灰粉粒剤(1:1)粉
に比べ、各生産者が機械収穫を行ったサンプルは胴
衣種子(乾籾10kg/10a)、播種日5月11日
割れが多い事例が多かった(表1)。機械収穫サン
供試薬剤:P-F剤(ピラクロニルフロアブル剤)、P
プルの胴割れ粒は吟風に比べ彗星が多く、品種間差
-粒剤(ピラクロニル粒剤)
が認められた。
処理方法:播種後とイネ出芽初めに、粒剤は原物の
まま、液剤は希釈液(散布液量100L/10a)を作成
(3)北海道における良食味米直播栽培を導入した米・野
し落水状態で均一散布した。調査項目:残草調査、
菜複合による高収益水田営農システムの確立
イネへの薬害調査(達観)。
(平成19~22年)
③試験結果
A. 新品種に対応した低タンパク良食味米生産のた
a 播種後の気象は、5月15日の早朝に強い霜にあっ
めの栽培管理技術の開発
たがその影響は受けなかった。また、出芽初め頃の
新品種「ほしまる」の収量の確保と高品質生産の
気温が高めであったことから苗立ちは順調であった。
ために、適正な播種量や苗立ち数を示すとともに、
5月22日に走水を行い、土壌水分を高めた。
乾田直播と湛水直播それぞれについて収量目標と適
b 品種比較試験の結果、ほぼ200本/㎡程度の苗立
正なタンパク質含有率を得るための施肥量や追肥量
ち本数を得ることが出来たが、生育初期から圃場の
を提示し、気象および土壌条件による変動性も考慮
生育むらが激しく、生育および収量等の比較が困難
して栽培指針をとりまとめる。
となった。
②試験方法
c 緩効性肥料試験は、気象の影響により生育量及び
試験A:品種比較試験(C2-1圃場)、試験B:緩効性
収量の低い年であったが、BB472LP区と比較して緩
窒素肥料試験(B4圃場)耕種概要は共通する。
効性肥料の割合の高い肥料区で収量が高まる傾向が
調査圃場:上川農試内圃場(褐色低地土)。供試品
あった。しかし白米タンパク質含有率はLP40-100%
種「ほしまる」、「ゆきまる」
区で6.6%と一番高い値となった。
耕種概要:播種日
2009年5月10日、播種方法
Y社
製密条播播種機(平均畝間22cm)、落水出芽法
る」の幼穂形成期における目標窒素吸収量4.5kgに
(走水5月22日、入水開始5月27日、5月31
日から湛水状態)
雑草防除:5/29
は達しなかったが、LP30-100%は慣行区に比べて窒
素吸収量は多かった。また、施肥窒素の利用効率も
シハロホップブチル剤、6/6
ピリミノバックメ
チル・ペントキサゾン・ブロモブチド・ベンスルフロンメチル剤、
7/6
d生育時期別の窒素吸収量の推移から、「ゆきま
高くなった。しかし、溶出速度の遅いLP40-100%区
ではイネの生育と溶出速度が合わず、他の供試肥料
シハロホップブチル・ベンタゾン剤を散布
とは異なる窒素吸収パターンを示した。
播種量:「ほしまる」は乾籾で11kg/10a(375粒/
e 新規成分を用いた雑草防除法を行った。その結果、
㎡相当)、「ゆきまる」は乾籾10kg/10aを播種し、
播種後処理では供試した2剤とも高い防除効果が認
品種比較試験には「ほしまる」の過酸化
められ、出芽抑制は認められなかった。イネ出芽初
石灰粉粒剤(1:1)粉衣種子も供試した。
め処理では前年と同様に、イネに対して部分的な褐
施肥設計:品種比較試験ではBB472LP(窒素成分の
変症状を示し、軽い生育抑制が認められた。また、
- 36 -
ノビエに対する殺草効果としては速やかな褐変枯死
た。登熟歩合はいずれの圃場でも80%以下であり、
作用を示した。抑草期間はいずれの処理時期でも3
全ての圃場で未熟粒が多く良質粒率は低かった。タ
週間程度が期待でき、体系処理の前処理剤としての
ンパク質含有率は6.8~7.3%であり、前年とは異な
有効性が認められた。
り低収圃場の方が高い傾向にあった。
B. 北空知地域における直播稲作及び露地野菜作の
e 低収については、窒素不足により生育不良と登熟
実証と産地化方策の提示
期の低温による登熟不良が大きく影響したことがあ
①試験目的
げられる。特に幼穂形成期の窒素吸収量は収量との
深川市内の現地圃場において、現行の湛水直播の
関係が強く、土壌中のアンモニア態窒素濃度とも正
作業体系による新品種「ほしまる」を用いた湛水直
の相関関係が認められた。
播栽培の実証を行う。
f 本年度の移植栽培では不稔が多発したが、直播で
②試験方法
はその影響は認められなかった。湛水直播栽培にお
調査圃場:深川市内6圃場(褐色低地土4箇所、灰色
ける収量が移植栽培の5%減を確保した例は1圃場の
低地土1箇所、グライ低地土1箇所)
みであった。
耕種概要:播種日
g 以上のことから、本年は冷害による低収年の事例
2009年5月15日から17日
播種方法:Y社製密条播播種機(平均畝間22cm)
であるが、播種時の圃場条件や落水管理など作業技
播種量:乾籾で10kg/10a(催芽籾、過酸化石灰粉粒
術の向上により、苗立ちは安定してきたと考えられ
剤無し)。
る。しかし一部の圃場では初期生育不良による低収
その他施肥量および栽培管理方法は農家慣行で行っ
が認められたことから、施肥方法や落水出芽時の水
た。基肥は全て被覆尿素入り肥料(BB552LP:窒素
管理について、さらに検討が必要である。
成分の30%がLP40)を施肥した。圃場Fは化成肥料
(023:N、P、K-20,12,3%)を側条施肥した。
C
調査項目:土壌中のアンモニア態窒素濃度、苗立ち
(1)高品質低コスト安定生産のための栽培技術開
調査、生育調査、収量調査、玄米品質調査
発
直播栽培における苗立ち及び生育調査は2畦×2
m(22cm×2m×2畦)を5箇所調査。
畑作物栽培法改善
(3)道北地域における土壌・生育診断による
窒素施肥法の高度化
①試験目的
③試験結果
道北地域で子実収量600kg/10a(粗子実重)、子実
a 播種後の気象は気温が平年値よりやや高めに推
蛋白質含有率9.7~11.3%を目標とする生育モデルの
移したことから出芽は順調に進み、地域全体として
提示、収量水準にかかわらず蛋白質含有率を基準値
も苗立ちは前年より良好であった。現地圃場調査の
内に収めるための生育状況に応じた窒素施肥法の確
苗立ち本数は圃場平均で117~241本/㎡の範囲であ
立および道北地域への生育・土壌診断技術の適応性
った。圃場Cは圃場の均平不足による落水不良によ
について検討を行う。
り苗立ち本数が少なかった。
②試験方法
b 幼穂形成期の茎数は360~872本/㎡と圃場による
供試圃場:直轄試験圃場;上川農試、士別市、上富
差が大きかった。圃場DとEでは分げつ初期より葉の
良野町
退色が認められたことから、窒素追肥を実施した。
普及センター圃場;美瑛町(厚生)、旭川市(就
c 穂数は521~839本/㎡であった。追肥を行った圃
実)、鷹栖町、小平町
場DとEでは600本以上の穂数を確保したが、一穂籾
現地実態調査圃場(箇所数);剣淵町(3)、士別市
数が30粒以下と少なかった。圃場Fではシハロホッ
(10)、和寒町(1)、美瑛町(10)、
プブチル剤(6月2日散布)のみの散布となったため、 上富良野町(1)、中富良野町(2)、富良野市(4)、愛
後発生したノビエによる雑草害によりイネの生育が
別町(2)、旭川市(1)、比布町(1)
劣った。
熱抽N(0~40cm合計値、単位mg/100g):上川農試
d 本年度は出穂期が遅く、開花期以降の登熟期間が
(5.3)、士別市(8.0)、上富良野町(5.4)
低温で推移したことから登熟は遅れた。収量は
美瑛町(厚生)(6.1:バーク堆肥混入)、旭川市
307~536kg/10aと過年度と比べ明らかに低収であっ
(就実)(7.8)、鷹栖町(11.2)、
- 37 -
小平町(5.5)、現地実態調査の分布は図1参照。
を達成できる追肥体系は、6-4-4または6-4-6である
播種期:上川農試(9/11、19)、士別市(9/9、
と考えられた。
23)、上富良野町(9/12、22)、
美瑛町(厚生)(9/11)、旭川市(就実)(9/12)、 D
野菜栽培法改善試験
鷹栖町(9/6、16、29)、小平町(9/18)、現地実
(1)道北露地アスパラガスの改植技術および高畦
態調査圃場は農家慣行
灌水栽培技術の開発
(平成17~21年)
追肥処理(窒素追肥量(kg/10a):
①試験目的
起生期~幼形期~止葉期:上川農試、士別市、上
アスパラガスの主要産地である道北地域では、近年、
富良野町6-0-4、6-4-4、6-4-8、10-0-4、10-4-4
収穫量が低下傾向にあり、大きな問題となっている。
美瑛町、旭川市 6-0-4、6-4-4、6-4-0、6-4-6、10-
その要因として、道北地域の土壌、栽培環境があげ
4-4、鷹栖町 6-4-4、小平町 6-4-0、6-4-4、6-4-6、 られ、その対策が強く求められている。そのため、
9-4-4、12-4-4、現地実態調査圃場は農家慣行
生産性向上に重要な根域の確保を目的とした高畝栽
③試験結果
培、露地栽培における収量安定化のための灌水処理、
a 上川管内44圃場では、起生期の土壌無機態窒素量
また、土壌環境がアスパラガスの生育および生産性
ならびに熱水抽出性窒素含量 (熱抽窒素) が低く、
に及ぼす影響を現地実態調査も取り入れて検討した。
上川地域の畑土壌は土壌からの窒素供給力が低い実
②試験方法
態が明らかとなった。
1)高畝、灌水処理がアスパラガスの生育および収
b 子実収量600kg/10a(粗子実重)、子実蛋白質含有
量に及ぼす影響
率9.7~11.3%をクリアするためには、成熟期窒素吸
調査年次:2005 ~ 2009 年、試験場所:上川農試、
収量は12.5kg程度必要である。
名寄現地圃場、試験処理:畝形状(平畝、高畝[幅 60
c 上記目標がクリアされた試験区の茎数の推移を図
× 高さ 25cm])、灌水(点滴灌水チューブ[灌水穴;上川
3に示した。生育モデルとして、越冬前780、起生期
農試 20cm、名寄現地 30cm ピッチ]、約 1.4L/株・
960、幼穂形成期1440、止葉期800、穂数580本/㎡が
日 )、調査項目:生育、収量、調査対象:「ガイン
示された。
リム」、2004 ~ 2008 年定植株、作型:露地立茎栽
d 全調査圃場の熱抽窒素(土壌深度0~40cm)は、
培(上川農試)、露地普通栽培(名寄現地)
最大値43.4、最小値2.9mg/100gで分布した。これを
2)土壌環境の改善がアスパラガスの生育および収
4分位点8.3、5.1を基準として地力を高、中、低の
量に及ぼす影響
3つに区分した。成熟期窒素吸収量に及ぼす熱抽窒
(1)現地実態調査
現地土壌分析(計 43 か所、深
素区分と追肥体系の影響を検討した結果、追肥体系
さ 0 ~ 20cm の pH、交換酸度(y1))
の影響が大きかった。同様に子実重と蛋白含量につ
(2)土壌環境改善試験
いて検討し、推定モデルから熱抽窒素区分別に追肥
試験場所:上川農試、名寄市現地圃場、試験処理:
体系に対応する値を推定した。
土壌 pH 水準(pH4.4 ~ 6.8)、活性炭資材(木炭、
e 熱抽窒素区分の低と中では、6-4-4で目標の成熟
ヤシ殻、オガクズ、石炭、 120 ~ 480kg/10a)、調
期窒素吸収量12.5㎏N/10aにわずかに達せず、6-4-
査項目:生育、収量、調査対象:「ガインリム」、
4~6-4-6が望ましいと判断した。高地力では6-4-4
2007 ~ 2008 年定植株、作型:露地普通栽培
でも目標に達した。子実重は、いずれの熱抽窒素区
③試験結果
分においても6-4-0よりも6-0-4の方が収量が高く、
a 高畝栽培は、平畝栽培に比べ、株の養成期間中に
6-4-4は安定して収量が高かった。蛋白含量は合計
おける地上部生育量の増加および定植 2 年目以降に
施肥窒素量が多いほど高く、いずれの熱抽窒素区分
対する増収効果が認められなかった。
においても6-4-0、6-4-4で9.7~11.3%の基準内であ
b 上川農試圃場において、灌水処理は定植年秋期の
った。なお、6-4-6では基準値を超えると推定され
地上部生育量を増加させた。
た。
c しかし、現地試験圃場では灌水処理の効果は判然
f 以上から、上川管内の「きたほなみ」において、
としなかった。
子実収量600kg/10a、子実蛋白質含有率9.7~11.3%
d 露地普通および露地立茎栽培において、灌水処理
- 38 -
調査年次:2005 ~ 2009 年、
による春芽の増収効果は認められなかった。一方、
下旬のみ、ハクサイ圃場では7月上旬のみであった。
灌水処理による露地立茎栽培の夏芽の増収効果は、
a.カボチャの果実収量および1果重は窒素施肥量が
土壌水分が pF2.0 を超えるような乾燥時に認められ
8+4 kg/10a(乾燥時灌漑)または8+8kg/10a(無灌漑、
た。本成績においては、灌水処理は収穫時期により
常時灌漑)で最大となった。また、果実収量および 1 果
その効果は異なったが、灌水開始点は春芽、夏芽の
重について灌漑による処理間差は認められなかった。
収穫期間を通し土壌水分 pF2.0 とすることが望まし
c.カボチャの窒素吸収量は各灌漑処理とも施肥量の増
い。
加に伴い多くなった。窒素吸収量および施肥窒素利用
e 現地の実態調査から土壌 pH が土壌診断基準値(p
率について灌漑による処理間差は認められなかった。
H6.0 ~ 6.5)を下回る圃場が多かった(データ略)。 d.カボチャの内部品質の指標である果実赤道部の乾物
土壌 pH の影響を検討した結果、土壌 pH が極めて
率について無灌漑では各施肥処理とも25% 未満であっ
低い条件では明らかにアスパラガスの生育が劣った
たが、常時灌漑および乾燥時灌漑では窒素0kg/10a区
ため、定植時の土壌 pH は 6.0 ~ 6.5 に矯正するこ
を除きおおむね25%を上回った。灌漑処理により果実赤
とが重要である。
道部乾物率および果実乾物生産効率は有意に高まっ
f 改植時の土壌改良資材として活性炭資材の施用効
たことから、 8 月中下旬(果実の成熟期)の灌漑が果実
果を検討した結果、いずれの資材、施用量において
の乾物生産を向上させたと考えられた。
も定植年秋期の茎数、茎径および定植 2 年目春芽の
e.ハクサイについて灌漑処理による初期生育の差は認
収量に無施用区との差は認められなかった。
められず、各処理区とも収穫時の結球重は規格内に達
した。また、結球重、窒素吸収量および利用率、窒素の
(2)地下水位制御圃場における野菜作の実証研究
(平成21~23年)
乾物生産効率について灌漑による処理間差は認められ
なかった。
①試験目的
地下灌漑システムによる給水方法が野菜の生育に及
(3)石灰入り肥料と地下かんがいが野菜の石灰吸
ぼす影響を明らかにし、地下灌漑指針を確立する。加
収に与える効果
えて現地生産者圃場において地下灌漑の効果を実証
①試験目的
する。
(平成19~21年)
石灰入り肥料または石灰質資材による石灰供給と地
②試験方法
下かんがいによる水分供給が野菜の石灰吸収や生理
a.試験地:上川農試水田転換畑(褐色低地土)
障害軽減に与える効果を検討する。
b.供試作物:(1)カボチャ(品種:TC2A)、
②試験方法
(2)ハクサイ(品種:CR清雅65)
a.試験地:上川農試水田転換圃場(礫質褐色低地土)
c.灌漑処理: ①対照区(無灌漑)、②乾燥時灌漑区
(定植時と干ばつ時期のみ灌漑を行う)、③常時灌
b.試験処理:1)資材処理と2)灌漑処理の掛け合わせ
1)資材処理:
漑区(吸水口および排水口の水位を常時地下20cm~
(1)対照(基肥N16、追肥N6、計N22(施肥標準)
30cmに設定)
(2)ロングショウカル60%(基肥N22、追肥N0、ロングショウ
d.窒素施肥量:(1)カボチャ:0, 8, 8+4,
カル40日と硝酸カルシウムの窒素割合6:4)
8+8 kg/10aの4処理
(2)ハクサイ
(3)硫酸カルシウム(窒素施肥量は対照と同じ、硫酸カ
16+6 = 22 kg/10a
ルシウムをCaO 100kg/10a相当を施用)
e.生育期節:(1)カボチャ:播種5/28、定植6/9、追
肥7/7、開花始(雌花)7/13、収穫8/31
(4)無窒素
2)かんがい処理:
(2)ハクサイ:播種5/12、定植6/9、追肥・結球始
(1)対照(無かんがい)
7/7、収穫8/5~6
(2)常時かんがい(常時、地下かんがいを行う。地下
③試験結果
30 cmの土壌水分はpF1.5程度)
a.2009年における6月上旬~8月下旬の降水量は
(3)間断かんがい(乾燥時期に地下かんがいを行う)
488mmであり多雨であった。無灌漑区で地下30cmの
c. 供試作物:ハクサイ(品種:CR清雅65)
pFが2.5 を超える乾燥時期は、カボチャ圃場では8月中
d. 栽培経過:播種5月12日、定植6月9日、収穫8月5,
- 39 -
6日
N12.8,追肥 N4.8,合計 N17.6)、作条施用)
e. 栽植密度:株間50cm、条間60cm(3,333株/10a)
(5)無窒素
f. 試験規模:1区9.6㎡(36株)、2反復
2)かんがい処理:
③試験結果
(1)対照(無かんがい)
A.2009年における5月下旬~8月中旬の降水量は
(2)常時かんがい(常時、地下かんがいを行う。地下30
416mmであり、多雨年であった。無灌漑区で地下
cmの土壌水分はpF1.5程度)
30cmのpFが2.5を超える乾燥時期は7月上旬のみであ
(3)間断かんがい(乾燥時期に地下かんがいを行う)
った。
c. 供試作物:ハクサイ(品種:CR清雅65)
b.灌漑処理による違いはなく、いずれの区も溶出率
d. 栽培経過:播種5月12日、定植6月9日、収穫8月5,
は埋設15日で60%前後、埋設22日で80%前後、
6日
埋設41日で90%強であった
e. 栽植密度:株間50cm、条間60cm(3,333株/10a)
c.ロングショウカル区の結球重は施肥標準区比93~
f. 試験規模:1区9.6㎡(36株)、2反復
112%であった。また、ロングショウカル区の乾物生
③試験結果
産量および窒素吸収量は施肥標準区を上回った。要
a.2009年における5月下旬~8月中旬の降水量は
因としてロングショウカルの溶出速度が早めであり、 416mmであり、多雨年であった。無灌漑区で地下
対照(基肥+追肥)と比べてハクサイの生育に応じた
30cmのpFが2.5を超える乾燥時期は7月上旬のみであ
養分供給が行われたためと考えられた。
った。
d.硫酸カルシウム区の結球重は施肥標準区比94~
b.エコロング40日タイプの溶出速度は2カ年とも同
109%であった。生産量および窒素吸収量は施肥標
様の傾向であり、灌漑処理による差はないと考えら
準区とほぼ同等と考えられた。
れた。いずれの灌漑区も溶出率は埋設後20日で40%
e.2009年は灌漑処理によりハクサイのCaO吸収量は
前後、40日で60%前後、60日で80%弱であった。
有意に増加した。しかしながら、灌漑によって
c.エコロング全層区の結球重は施肥標準区比90~
CaO含有率が上昇する部位は外葉であり、結球の
99%であった。エコロング全層区では結球始前の新
CaO含有率は灌漑により低下した。
鮮重および窒素吸収量は施肥標準区より低い傾向に
f.本試験条件(土壌pH6.5前後、石灰飽和度70%前
あることから、作物の生育に対しエコロングの窒素
後)では結球の生理障害(あんこ症)と結球のCaO含有
溶出速度が遅かったと考えられた。
率との関係は判然としなかった。
d.エコロング作条減肥区の結球重は施肥標準区比
84~98%であった。一方、化成作条減肥区の結球重
(4)転換畑野菜に対する地下かんがいと緩効性肥
は施肥標準区比93~109%であり、作条施用による窒
料が施肥効率に与える効果
素減肥の可能性が示された。
(平成20~21年)
①試験目的
e.エコロング40日タイプは窒素吸収量や窒素利用率
転換野菜畑における緩効性肥料施用と地下かんが
は施肥標準区と比べ低めであったことや、エコロン
いによる水分供給が緩効性肥料の溶出・拡散や野菜
グの溶出率が80%前後に達するまで約60日かかって
の養分吸収に与える効果を検討する。
いることから、ハクサイに対するエコロング40日タ
②試験方法
イプの基肥窒素率は60%より下げた方が良いと考え
a.試験地:上川農試水田転換圃場(礫質褐色低地土)
られた。
b.試験処理:1)資材処理と2)灌漑処理の掛け合わせ
1)資材処理:
E
(1)対照(基肥N16、追肥N6、計N22(施肥標準)
(1)水稲有機栽培の育苗指針・施肥基準の策定
(2)エコロング全層(基肥 N22、エコロングと硝安
の窒素混合割合を6:4として全層施用)
クリーン・有機農業
(病虫科、中央農試予察科と共同、平成19~22年)
①試験目的
(3)エコロング作条減肥(窒素 20 %減肥(基肥
水稲の有機栽培において、初期生育不良が収量の
N17.6)、窒素は(2)区と同じ混合割合で作条施用)
不安定要因となっている。初期生育を向上させるた
(4)化成作条減肥(硝安を用い窒素 2 割減肥(基肥
めの育苗指針や施肥基準を策定することで、水稲有
- 40 -
機栽培の収量安定化を図る。
重が全層区を上回った。側条施肥区の不稔歩合が高
本試験では、初期生育を向上させるための育苗時
かった生産者Aと幼穂形成期の窒素吸収量が全層区
および本田の施肥法を開発する。
と同等であった生産者Bでは全層区の粗玄米重が側
②試験方法
条施肥区よりも多かった。
1.中苗育苗施肥試験
1)使用培土:無肥料培土
3)有機基肥:N 1g/箱
2)品種:きらら397
(2)高度クリーン農業技術の開発①水稲
4)追肥処理:①1葉期,
(平成19~22年)
②2葉期,③3葉期,④移植1週前にそれぞれ
①試験目的
N 0, 1g/箱の有機液肥追肥
道産水稲の国際競争力を高め、高度化する消費者ニ
2.場内側条施肥試験
1)育苗様式:成苗
ーズにも対応するため、化学肥料・化学合成農薬を
2)品種:きらら397
5割以上削減した高度クリーン農業技術を開発・実
3)供試資材:ぼかし肥,魚粉ペレット,発酵鶏糞
証する。
4)堆肥施用量:1t/10a
②試験方法
5)基肥窒素処理:無窒素, 化成9kg/10a,
a
ぼかし肥 7,9,11 kg/10a
化学肥料の5割削減の影響評価と改善技術の開
発
6)側条施肥処理:無施用,魚粉ペレット
供試品種:上川農試場内「ななつぼし」(成苗)、
N1.9 kg/10a, 発酵鶏糞N1.5 kg/10a
富良野市現地「ほしまる」(成苗)、旭川市現地
3.現地側条施肥試験
「ほしのゆめ」(成苗)
1)試験地:北竜町2戸(A氏,B氏)
施肥処理区:上川農試場内;北海道慣行区(化成肥
当麻町2戸(C氏,D氏)
料N10kg)、減肥区(化成肥料N5kg)、高度クリー
2)育苗様式:いずれも成苗ポット
ン区(化成肥料N5kg+有機質N4.5kg)、高度クリー
3)栽培品種:A ゆきひかり, B きらら397,
ン側条1区(有機質に有機885を施用、高度クリー
C ななつぼし, D おぼろづき
ン区の化成肥料N5kgのうち3kgを側条施用)、高度
4)各試験地の総窒素施肥量:A 12kg/10a,
クリーン側条2区(有機質に発酵鶏糞を施用、その
B, C, D 10kg/10a
5)施肥処理:A
B,C,D
他は改善1区と同じ)、富良野市現地;農家慣行区
①全層12, ②全層9 + 側条3
(YES!clean)、高度クリーン側条1区、高度
①全層10, ②全層8 + 側条2
クリーン側条2区、旭川市現地;農家慣行区(YE
③試験結果
S!clean)、高度クリーン区、高度クリーン改善
a.育苗時の有機施肥について、追肥を3回行った区
1区、高度クリーン改善2区
では、苗の窒素含有率は化成2回追肥区とほぼ同等
b
となった。有機液肥による追肥の時期が苗の窒素含
水面施用粒剤1回散布(対照:茎葉散布)による穂
有率向上に与える効果は、3葉期、2葉期、1葉期、
いもち防除効果(上川農試・中央農試)
移植1週間前の順に大きかった。
品種「ほしのゆめ」、中苗、移植:上川5/21、中央
b.場内試験において、有機質肥料の総窒素施肥量は
5/28
9kg/10aより多くしても粗玄米重は増加しないと考
③試験結果
えられた。全7+側魚1.9区では全9区とくらべ幼穂形
化学肥料の5割削減の影響評価と改善技術の開発
成期の茎数および窒素吸収量が多くなる傾向にあっ
a
た。しかし、不稔歩合が高くなり、粗玄米重は全9
の収量は、慣行区より6%少なかった。この要因と
区比で94となった。全7+側鶏1.5区における幼穂形
して窒素吸収量と総籾数の低下があげられる。なお、
水稲の化学合成農薬5割削減技術の確立
場内試験では化学肥料窒素5割削減(減肥)区
成期の茎数および窒素吸収量は全9区と同等であり、 本年は冷害で慣行区の不稔歩合が高かった。有機ペ
初期生育の促進は認められなかった。
レットを用いた全層区の収量は慣行区より14%多か
c.現地試験において、生産者A,C,Dの側条施肥区で
った。
は全層区と比べ幼穂形成期の窒素吸収量が多くなる
b
傾向にあった。生産者C,Dでは側条施肥区の粗玄米
条1区の収量は全層区より7%少なかった。タンパク
- 41 -
場内試験では、全層に有機ペレットを用いた側
質含有率は0.3%低かった。また、全層に発酵鶏糞
(1)モニタリング調査
を用いた側条2区の収量は、全層区より2%少なかっ
①試験目的
た。タンパク質含有率は0.5%低かった。
c
農業の基盤である土壌環境の経年的変化を総合的
旭川市現地における全層区の収量は、慣行区の
YES!clean栽培と同等であった。タンパク質含有率
に把握し、適切な土壌管理のための基礎資料を得る。
②調査方法
は0.4%高かった。
d
(平成 10 年~継続)
全道32ゾーン640地点のうち、当農試は4ゾ
上川農試と現地実証試験の結果、側条施肥によ
ーン80地点について4カ年1サイクルで現地調査、
り初期生育が促進され、側条1区と2区の幼穂形成期
圃場調査、植生調査、土壌断面調査、土壌物理性・
茎数は全層区と同等以上であった。また、タンパク
化学性分析を行う。今年度より必須定点,
質含有率は0.4~0.8%低下した。一方、側条1区と2
任意定点の区分は廃止され、全地点で同一調査とな
区の収量は全層区より2~23%低下した。この要因
った。平成21年度は3サイクル目の2年目に当た
は幼穂形成期より後の窒素吸収量が全層区より少な
り、平成17年度に調査した地点を再度調査した。
く、一穂籾数および総籾数が低下したためと考えら
③調査結果
れた。
本年は上川地区農業改良普及センター本所管内6
化学合成農薬5割削減技術の確立
地点(旭川市5、鷹栖町1)で調査を実施し、中央
e
農試を経由して分析集計結果を農水省に報告した。
上川農試の穂いもちは甚発生、中央農試は多発
生であった。穂いもちに対する粒剤の効果は、上川
農試ではいずれの粒剤も茎葉散布に比べ低く、中央
(2)土壌炭素調査(土壌由来温室効果ガス計測・
農試ではピロキロン、メトミノストロビンの初発後散布でやや低
抑制技術実証普及事業の定点調査及び基準点調査に
かった。
おける土壌炭素調査)
f
①試験目的
旭川市現地では、いもち病は極少発生で処理間
(平成20~24年)
差は不明であった。6/25のドロオイ卵塊数は各区と
本事業では、一般農家ほ場を対象とし土壌炭素蓄
も平均2卵塊/株未満で防除不要であった。すくい取
積量及び有機物施用、作物残渣の鋤込み等土壌炭素
りによるカメムシ密度の差は判然としなかったが、
の維持蓄積に寄与すると考えられる農地管理の実態
高度クリーン側条1区で斑点米率が高かった。この
(活動量)の調査を行う定点調査、また化学肥料単
区はほ場の中央に位置し水分条件等により殺虫剤の
用区、有機物施用区、土壌炭素貯留区を設けて土壌
拡散が均一でなかった可能性がある。富良野市現地
炭素の変動・蓄積状況を調査する基準点調査を行う。
では、本田でのすくい取りによるカメムシ密度の差
②試験方法
は判然とせず斑点米率にも大きな差は認められなか
a
った
麻町 1、東神楽町 1)、5年間同じ地点である。
調査地点は、5カ所(愛別町 1、比布町 2、当
(H20−H24)。
G
農作物障害診断および土壌診断
b
調査内容
(1)突発生理障害診断
1)土壌採取(作土層とそれ以下の 30 cmまでの
①試験目的
層(下層土)を採取する)、コア試料仮比重測定、
現地から調査を依頼された突発的な生育障害に対
して、土壌・作物の分析などから、その原因を検討
土壌試料中央農試送付
2)アンケート調査
し、対策を明らかにする。
②調査方法
(3)道営土地改良事業計画地区土壌調査
農作物および土壌分析
(昭和40年~継続)
③試験結果
4件の診断依頼に対応した。
下記の地区について土壌調査を実施するとともに、
土壌区を設定し、土地改良上の留意点を明らかにし、
土壌改良資材の算定に必要な土壌分析を実施した。
H
土壌改良試験
土壌保全対策事業
(事業名)
- 42 -
(市町村名) ( 地区名
試抗数
)
経営体
中富良野町
寿
4
経営体
中富良野町
西山
5
SW-062 フロアブル、DEH-112 乳(EW)、NC-612-1kg 粒
(2)新肥料および土壌改良材の実用化試験
(4)畑地かんがい推進モデルほ場設置事業に係る
調査
(平成 19 ~ 23 年、平成 20 ~ 24 年)
(昭和45年~)
①水稲に対する普通肥料「米ベスト」の側条施用効
剣淵町温根別地区および旭川市神居地区における
果
畑地かんがい推進モデルほ場 3 地点について、土壌
a
生育期節に処理間差は認められなかった。
断面および理化学性、土壌水分特性解析などを調査
b
本田における生育は、幼穂形成期の乾物重で試
した。調査結果は各地区におけるモデルほ場設置事
験区が対照区を上回る傾向であったが、その他の項
業推進会議で報告した。
目では両区の差は判然としなかった。
c
(5)経済効果検討現地調査
精玄米収量は試験区と対照区で処理間差が認め
(平成14〜20年)
られず、千粒重は両区とも同等であった。籾数、一
土地改良事業の効果を把握するため、富良野市、和
穂籾数、不稔歩合は処理間差が判然としなかった。
寒町において、暗きょ排水、客土および除礫について
d
良質粒歩合および白米タンパク質含有率は両区
整備済み圃場と未整備圃場の土壌調査(合計22地点、
とも同等であった。
過年度調査含む)を行い、整備による土壌改良効果と
e
作物収量との関連を検討した。調査結果は、道庁での
りやや高く、茎葉では処理間差は判然としなかった。
経済効果検討調査結果報告会で報告した。
ケイ酸吸収量に処理間差は認められなかった。窒素
成熟期ケイ酸含有率は、穂で試験区が対照区よ
吸収量は 2008 年の上川農試の試験区で対照区を下
H
農業資材試験
回ったが、全体では処理間差は判然としなかった。
(1)水稲除草剤及び水稲生育調節剤の実用化試験
(昭和45年~)
F
以上のことから、本資材「米ベスト」が水稲の
生育、収量および品質に及ぼす側条施用効果は、対
以下の薬剤(53剤)を供試し、実用化試験を行った。
水稲除草剤
照資材と同等程度と判断された。
②水稲に対するアミノ酸入り普通肥料「スーパーユ
①一発処理剤:BAH-041-1kg 粒、HOK-0801 ジャンボ、 ーキ931」の施用効果
HOK-0801 フロアブル、HOK-0801-1kg 粒、KPP-398-1kg
a
ポット試験において、移植 13 日目のイネ形態
粒、KPP-501-1kg 粒、KUH-041 ジャンボ、KUH-041-0.
はイノシン施用区と対照区とで差は認められなかっ
25kg、KUH-072K-0.25kg 粒、KUH-074-0.25kg 粒、K
た。乾物重はイノシン施用区で対照区より有意に少
UH-074L-1kg 粒、NC-606 フロアブル、NC-617SB-1kg 粒、 なかった。
S-9058 フロアブル、S-9058-1kg 粒、S-9421(旧SB-573)
フロアブル、S-9421(旧SB-573)-1kg 粒、SB-564 フロアブ
b
圃場試験において、試験区(全層施肥)の生育
初期草丈、茎数は対照区(全層+側条施肥)より少
ル、SB-564-1kg 粒、SL-4903-1kg 粒、
なかった。乾物重は生育期間を通じ対照区より少な
SL-954-0.5kg 粒、SYJ-219-1kg 粒
い傾向であった。
②特殊雑草(エゾノサヤヌカグサ):BCH-051 ジャン
c
ボ、BCH-051 フロアブル、BCH-062 ジャンボ、BCH-063 ジ
比 97 の 357kg/10a とほぼ同等であった。試験区の
ャンボ、HOK-0301 フロアブル、HOK-0605 ジャンボ、HOK-06
一穂籾数は対照区より多く、登熟歩合は低かった。
05 フロアブル、HOK-0605-1kg 粒、HSW-051-1kg 粒、HS
d
W-052 フロアブル、KUH-021-1kg 粒、NH-061-1kg 粒、S
照区と同等であった。
収量調査の結果、試験区の精玄米重は対照区対
試験区の玄米外観品質および食味関連形質は対
L-4902 フロアブル、SL-4902-1kg 粒、SL-954-0.5kg 粒、
TH-501 フロアブル、TH-501-1kg 粒、TH-547(Z) ジャンボ、 4)病虫科
TH-547(Z) フロアブル、TH-547(Z)-1kg 粒
A
病害虫試験
③直播水稲:HOK-0605-1kg 粒、NC-385SB 顆粒水和、 農作物病害虫診断試験
NC-385SB-1kg 粒、NH-061-1kg 粒、SB-556 フロアブル、 (1)突発および新発生病害虫の診断試験
SST-404 フロアブル、SST-404-1kg 粒、SW-043-1kg 粒、
- 43 -
(昭和 50 年~継続)
①試験目的
害虫:イネハモグリバエ(無)、イネドロオイムシ
(多)、ヒメトビウンカ(多)、セジロウンカ(少)、ア
突発および新発生病害虫の診断を行い、被害を最
カヒゲホソミドリカスミカメ(少)、フタオビコヤガ
小限にとどめるための資料とする。
(少)
②試験方法
b.上川・留萌地方で多発した病害虫
普及センター、農協などから依頼された試料につ
水稲のいもち病、秋まき小麦の眼紋病、ばれいし
いて、常法によって病害または害虫の種名を明らか
ょの疫病、たまねぎのべと病、すいかの炭疽病、施
にし、必要に応じて発生地を調査し、発生実態、被
設栽培果菜類の灰色かび病・菌核病、大豆のマメシ
害状況を明らかにする。
ンクイガ
③結果
a.平成 21 年度の診断依頼件数は 140 件であった。
B
クリ-ン・有機農業
b.病害虫別では、病害が 80 件、虫害が 14 件、生
(1)水稲有機栽培の育苗指針・施肥基準の策定
理障害や原因不明なものが 46 件であった。
(栽培環境科と共同、平成 19 ~ 22 年)
c.作物別では、水稲 1 件、畑作 17 件、野菜 107 件、
①試験目的
花卉 7 件、果樹 7 件、その他 1 件であった。
水稲の有機栽培における収量への不安定要因である種
d.新たに発生を認めた病害虫:上川支庁管内で新
子伝染性病害や育苗期の病害防除対策を確立する。
たに発生を確認した病害虫は、宿根かすみそうのア
②試験方法
シグロハモグリバエである。また、留萌支庁管内で
a.有機栽培で可能な防除手段による種子消毒技術の確
ミニトマトの葉かび病抵抗性品種「キャロル 10」
立
に葉かび病の発生が確認された。
a-1.温湯消毒および生物農薬と催芽時食酢処理の組合せ
e.ヒメトビウンカの稲縞葉枯病ウイルス保毒虫率
による防除効果
検定結果
a-2.温湯消毒と生物農薬の組合せによる防除効果
春季調査:上川支庁管内5市町6地点について、す
くい取り法により越冬幼虫密度を調査し、イネ縞葉枯
対象病害:いもち病、ばか苗病、苗立枯細菌病、褐条
病、
病ウイルス保毒虫率を ELISA 法で検定した。保毒虫
率は 0 ~ 4.2 %であった。
供試種籾:自然感染または開花期接種籾
b.育苗期における病害の防除対策
ハウス置床および培土の pH 調整(硫黄粉末混和)
病害虫発生予察事業
による苗立枯病に対する防除効果
(2)病害虫発生予察調査(昭和 16 年~継続)
b-1.<中苗>培土への硫黄粉末混和による pH 調整(品
①試験目的
種:「きらら397」)
植物防疫法にもとづいて、病害虫の発生予察法の
有機質肥料:市販発酵鶏糞 N1.0g/ 箱、追肥:N1g/箱×3
確立を図るとともに、発生予察情報を関係機関に提
回
供して病害虫防除の適正を図る。
培土:市販無肥料培土、自家製培土(pH高い、pHやや高
②試験方法
い、pH適正の3水準)
具体的調査方法は、農作物有害動植物発生予察事
硫黄粉末の混和時期:前年秋、当年春、無施用の3水準
業実施要綱ならびに同要領、北海道病害虫発生予察
b-2.<成苗>置床への硫黄粉末混和による pH 調整(品
事業実施要領による。
種:「きらら397」)
a.病害虫発生状況調査
有機質肥料:市販有機質肥料 A、市販発酵鶏糞 N25g/㎡、
b.情報提供と報告
置床:pH適正、pH高いの2水準
c.発生予察法確立のための調査研究
硫黄粉末混和量:0g、78g、150g/㎡の3水準、当年春混和
③結果
③結果
a.定点における主要病害虫の発生状況
a-1.催芽時食酢 50 倍の単独処理は、褐条病に対して
病害:いもち病<葉いもち>(やや多)、いもち病
<穂いもち>(やや多)、葉鞘褐変病(少)
化学農薬と比較して優る防除効果であったが、いも
ち病、ばか苗病および苗立枯細菌病に対する防除効
- 44 -
果は化学農薬と比較して低いか、認められなかった。
a-2.催芽時食酢 50 倍処理とエコホープおよびエコホープ DJ
道産水稲の国際競争力を高め、高度化する消費者ニー
ズにも対応するため、化学肥料・化学合成農薬を5割以
との組み合わせでは、4 病害に対して、それぞれの
上削減した高度クリーン農業技術を開発・実証する。
単独処理と比較すると優る防除効果であり、化学農
②試験方法
薬と比較してもばか苗病を除くとほぼ同等~優る防
a.水稲の化学合成農薬削減技術の確立
除効果が認められた。なお、エコホープ DJ の重曹成分
a-1.水面施用粒剤1回散布(対照:茎葉散布)によ
と食酢との中和反応を考慮するとエコホープ DJ は、浸
る穂いもち防除効果
上川農試「ほしのゆめ」中苗5/21移植
本田初発 出穂期 穂いもち防除薬剤(散布時期)
1 7月30日
ピロキロン1kg(7/3:出穂30日前)
2 7月30日
ピロキロン1kg(7/17:出穂16日前)
3 7月29日
オリサストロビン(7/17:出穂16日前)
8月2日
4 7月29日
メトミノストロビン(7/17:出穂16日前)
5 7月27日
トリシクラゾールF(7/30,8/7)
6 7月27日
無処理
注)120㎡/区反復なし,散布量:1・2区:1kg/10a,
3・4区:3kg/10a,5区:1000倍・100リットル/10a
種前に処理する。
a-3.温湯消毒の単独処理は、褐条病に対して防除効
果が不安定であり、苗立枯細菌病に対しても効果が
劣る事例が認められたが、催芽時食酢 50 倍処理と
組み合わせることで 4 病害に対して温湯消毒単独処
理および化学農薬と比較するとほぼ同等~優る防除
効果が認められた。
a-4.タラロマイセス フラバス水和剤催芽時 200 倍の単独処理
a-2.現地試験の使用農薬・処理月日
の 4 病害に対する防除効果は、化学農薬と比較する
YC 区(YES!clean:北海道慣行の 50%以下)、KC 区
と十分な防除効果ではなかったが、温湯消毒と組み
(高度クリーン:25%以下)
合わせることで化学農薬とほぼ同等~優る防除効果
旭川市A農家
が認められた。
b-1.<中苗>
硫黄無施用区では供試培土の pH の違いにかかわらず
上昇し、苗立枯病の発病苗率が高く、供試培土のpH が高い
ほどその傾向が顕著であった。前年秋混和が春混和に
比較して健全苗率が高い傾向にあったことから、硫黄粉
の混和時期としては前年秋が適していた。
培土の pH が適正
富良野市B農家
値であっても有機質肥料の施用により、pH の上昇が認められた
③結果
ことから、有機栽培用培土のpH 基準は、慣行栽培より
a-1.穂いもちは甚発生であった。出穂期が平年より
も低く設定する必要があると考えられた。
遅れたため、出穂 10,20 日前散布が実際にはそれぞ
れ出穂 16,30 日前となった。穂いもちに対する粒剤
b-2.<成苗>
の効果は、いずれも茎葉散布に比べ低かった。
置床のpHが適正値(4.5~5.0)である育苗ハウスでは、 a-2.現地実証試験の旭川市では、いもち病は極少発
硫黄無施用区で発生量が多かったが、硫黄施用区で
生で処理間差は不明であった。6/25 のドロオイ卵
は発生量が少なかった。一方、硫黄施用前のpHが高
塊数は各区とも平均 2 卵塊/株未満で防除不要であ
い育苗ハウスでは、硫黄施用区では重症苗が硫黄無
った。すくい取りによるカメムシ密度の差は判然と
施用区と比較して明らかに少なかった。pH5.0より
しなかったが、KC 側条1で斑点米率が高かった。
高い場合は、発病苗率も高い傾向にあった。有機栽培
この区はほ場の中央に位置し水分条件等により殺虫
であっても成苗置床のpH基準値は、慣行栽培と同様の4.5~
剤の拡散が均一でなかった可能性がある。富良野市
5.0とするのが適切であると判断した。
では、本田でのすくい取りによるカメムシ密度の差
は判然とせず斑点米率にも大きな差は認められなか
(2)高度クリーン農業技術の確立
った。
①水稲
(栽培環境科・技術普及部・中央農試と共同、
平成 19 ~ 22 年)
①試験目的
(3)病害虫抵抗性ランクに対する圃場レベルでの
実用性評価
(中央農試と共同、平成 21 年~ 25 年)
- 45 -
①試験目的
示唆された。
いもち病と斑点米の抵抗性ランクに対して圃場レ
b-1.水田網枠における成虫放虫試験:第 1 回目、第
ベルでの抵抗性を確認評価することにより病害虫抵
2 回目ともに放虫終了時の割籾率と産卵数には明瞭
抗性選抜の効率化を図る。
な関係が認められなかった。割籾率と斑点米率(成
②試験方法
虫)においても明瞭な関係が認められなかったため、
a.いもち病
何らかの理由で供試虫が玄米を吸汁しなかったと推
項目
移植日
区制・反復
供試品種・系統
(穂いもち圃場
抵抗性)
供試薬剤
(茎葉散布)
中央農試
5/28
2
2
1区20m 、2反復
トリシクラゾール水和剤F(1000倍、100L/10a)
トリシクラゾール水和剤F(1000倍、100L/10a)
供試薬剤
(水面施用)
察された。
上川農試
5/19
1区58m 、3反復(無防除区は2反復)
「彩」(弱)、「ほしのゆめ」(やや弱)、
「きらら397」(中)、「吟風」(やや強)、
「空育172号」(強)
b-2.温室ポットイネ幼虫放虫試験:割籾数と幼虫発
「ほしのゆめ」(やや弱)、「きらら397」(中)、
「上育452号」(中)、「空育172号」(強)
育度(生存虫数×齢期)には高い相関関係が認めら
れた。割籾数が多くなると斑点米数も多くなること
エチプロール・オリサストロビン粒剤(3kg/10a)
ピロキロン粒剤(1kg/10a)
発病調査
葉いもち
8/20(50株/区)
穂いもち
9/1~9/2「彩」「ほしのゆめ」「きらら397」
9/6「吟風」「空育172号」(40株/区)
葉いもち
8/17(10株×5ヶ所/区)
穂いもち
8/31~9/1(5株×5ヶ所/区)
接種方法
6/12にブロック苗(「ほしのゆめ」)に
罹病わらを接種
6/25にブロック苗(「ほしのゆめ」)に
罹病わらを接種
本田初発
7/17
「ほしのゆめ」7/21、「きらら397」7/23、
「上育452号」7/23、「空育172号」7/27
から、籾割部から玄米を吸汁することが幼虫の発育
にとって重要なポイントになると考えられた。
(4)クリーン農業による環境保全効果の指標とな
る天敵生物の選定
b.斑点米
(中央農試、十勝農試、北見農試、花野菜セと共同、
供試品種(割籾ランク多→少の順):「ほしのゆ
平成 21 年~ 23 年)
め」「ななつぼし」「ゆめぴりか」「ゆきまる」
①試験目的
「上育 445 号」
慣行栽培と比較して殺虫剤使用回数を削減した減
b-1 水田網枠(10 株)に羽化後 1 ~ 2 日齢成虫を放
農薬栽培において害虫と天敵種の発生状況を調査し、
虫し割籾と産卵数の関係を調査。放虫開始時期およ
減農薬栽培の環境保全効果を確認する。
び期間は、第 1 回目:出穂約 20 日後に約 10 日間、
②試験方法
第 2 回目:出穂約 30 日後に約 15 日間。網枠あたり
a-1.移植時灌注処理が天敵昆虫(ヤゴ)に与える影
放虫数は第 1 回目:♀ 9 ♂ 5、第 2 回目:♀ 7 ♂ 5、
響:1区15a(50m*30m)、反復なし。無処理区、処
各時期 2 反復。
理区Ⅰ(移植時イミダクロプリド水和剤DF 500倍灌
b-2.温室ポットイネ 1 穂にふ化後 1 ~ 2 日齢幼虫を
注)、処理区Ⅱ(移植時イミダクロプリド水和剤
放虫し、割籾と幼虫発育の関係を調査。放虫開始時
DF 500倍灌注、7月上旬エトフェンプロックス乳剤
期および期間は、第 1 回目:出穂約 23 日後に約 16
2000倍茎葉散布)において、7月上旬から150株*3反
日間、第 2 回目:出穂約 31 日後に約 16 日間。穂あ
復のヤゴ羽化殻見取り調査を行った。なお、無処理
たり放虫数は第 1 回目:10 ~ 12 頭、第 2 回目:10
区は予察田、処理区Ⅰ・Ⅱは予察田とコンクリート
~ 25 頭、各時期 5 反復。
畦畔を挟んで隣接する水田である。
③結果
a-2.減農薬栽培における害虫と天敵種の発生状 況
a-1.葉いもち、穂いもちともに中発生条件(「ほし
: 1区1a( 10m*10m)、反復なし。水田を波板で区
のゆめ」)での試験であった。
切って表に示したように試験区を設定し、 6月下旬
a-2.各品種・系統の無防除区の穂いもち発生穂率は
から1区12畦( 4畦 *3反復、約900株)についてヤサ
穂いもち圃場抵抗性の序列と一致した。
ガタアシナガグモ営巣状況の見 取 り 調 査 を 行 っ
a-3.穂いもち圃場抵抗性が“強”である「空育172
た 。 ま た 、 各 区 20回振りすくい取りを行い、室内
号」は、薬剤防除の有無にかかわらず穂いもちの発
で害虫と天敵種の発生状況を調査した。
生は明らかに少なかった。
a-4.「空育172号」の無防除区および「上育452号」
の茎葉散布1回区は、「ほしのゆめ」茎葉散布2回区
とほぼ同等の防除効果であった。
a-5.「空育172号」は無防除でも栽培できる可能性、
「上育452号」は茎葉散布を1回削減できる可能性が
- 46 -
処理時期
無防除
(0 回 )
A
移植時
初期防除
出 穂 -7 日
出穂期
出穂+ 7 日
出 穂 + 14 日
5/20
6/25
7/24
8/3
8/12
8/20
B
● EF
● MP
栽培方法(殺虫剤成分回数)
追加削減
YES!
慣行防除
(2 回)
clean
(7 回)
(4 回)
C
D
E
F
□ IM
□ IM
□ IM
● EF
● MP
○ ET
○ ET
● ME
● ● ME+EF
● CR
● CR
● EF
● ● ME+EF
注 1 )□ は 灌 注 剤 、 ○ は 水 面 施 用 剤 、 ● は 茎 葉 散 布 剤 を 示 す 。
注 2 ) IM : イミダクロプリド水 和 剤 DF*500 、 EF : エトフェンプロックス乳 剤 *2000 、 MP : MPP 乳 剤 * 1000 、
ET : エチプロール粒 剤 3kg/10a 、 ME : MEP 乳 剤 *1000 、 da : クロチアニジン水 溶 剤 *4000 、 ME + EF : スミチオ
ントレボン乳 剤 *1000 を 示 す 。
③結果
形成した。本葉では初め 2 ~ 3mm 大の病斑が形成
a-1.ヤゴ羽化殻は、無処理区では7月上旬から確認さ
され、上位葉に形成される病斑は下位葉よりも大型
れた。優占種はノシメトンボSympetrum inーfuscatu
になる傾向であった。生育後期には葉先から V 字
mであった。これに対し、移植時に灌注剤を施用した
に枯死する特徴的な病徴が観察された。葉身が枯れ
処理区ⅠおよびⅡではヤゴ羽化殻が調査期間中全く
あがると、葉柄、茎の順に発病し、立ち枯れあるい
確認できなかった。
は折損をもたらした。莢がある程度肥大してくると
a-2.初期防除を茎葉散布剤で行った区では無防除に
水浸状の円形病斑を形成した。
比較してヤサガタアシナガグモTetragnatha maxill
a-2.6 月下旬~ 7 月中旬に急速に伝搬し、7 月下旬
osaの個体数が少なかった。移植時に灌注剤を施用し
には無処理区の発病株率が 100 %に達した。以降、
た区では、茎葉散布剤の回数が増えるに従って個体
茎葉および莢の発病が進展した。前年収穫時の発病
数が少なくなった。以上のことから、茎葉散布剤は
度は本年の発生状況に影響しなかった。
ヤサガタアシナガグモに影響があり、処理時期が早
b.茎葉の発病度と子実重には、有意な負の相関(P<
いほど影響は大きいと考えられた。
0.01)が認められ、主茎に病斑が確認される時期が
早いほど収量に与える影響が大きい傾向であった。
(5)アズキ茎腐細菌病の防除対策
莢の発病度と子実重との相関は認められなかった。
(平成 21 年~ 23 年)
①試験目的
c-1.種子粉衣剤(本病に未登録)を処理した種子は
およそ播種 1 ヶ月後の発病個体を低く抑え、一次伝
本病の被害実態および発生実態を明らかにし、種
染由来の発病抑制に有効と考えられた。
子生産圃場における防除対策を検討する。また、本
c-2.カスガマイシン・銅水和剤および銅水和剤、ジ
病原細菌の同定および検出法の開発に取り組む。
メトモルフ・銅水和剤の茎葉散布は無処理と比較し
②試験方法
て防除効果が認められたが、本年は試験圃場内の発
a.病徴観察および発生消長
生が激しく、栽培期間を通じて薬剤散布を行っても
b.茎葉発病指数の検討および被害解析
発病の進展をを抑えることができなかった。
c.種子粉衣剤および茎葉散布剤の効果
d.ポリクローナル抗体の検出能の検討
d.作製した抗アズキ茎腐細菌病抗体の検出限界は、
104 ~ 105cfu/ml と考えられた。また、ダイズ斑点
③結果
細菌病の病原細菌にも同程度の感度で反応した。
a-1.初発は初生葉に認められた。葉表の病徴が不明
瞭な場合があっても、葉裏に明瞭な水浸状の病斑を
- 47 -
(6)きゅうり褐斑病の耐性菌発生に対応した防除
対策
(平成 20 年~ 23 年)
(畑作園芸科と共同、平成 19 年~ 22 年)
①試験目的
①試験目的
アズキ茎疫病圃場抵抗性選抜に最適な検定条件及
道内での発生状況、各種耐性菌の分布を調査、有
び発病調査時期を検証、圃場抵抗性評価のための基
効な薬剤を明らかにし、耕種的防除も含めた総合防
準品種を選定し、圃場での効率的な選抜・検定手法
除対策を確立する。
を確立する。
②試験方法
②試験方法
a.病原菌の越冬の確認、資材の消毒効果
a.最適な湛水処理条件および発病調査時期の検討
b.ハウス資材(ノービエース、カットエースキリナイン)の違いによ
湛水処理時期:「エリモショウズ」の開花期の6~9
るハウス内環境・発病の差
日後(8月初旬)、湛水処理時間:8時間、16時間
c.耐性菌検定(カルベンダジム,プロシミドン,ジカルボキシイミド,
発病調査:湛水処理前~湛水処理約3週間後、
アゾキシストロビン,ボスカリド)
調査項目:発病度(発病程度)
d.有効薬剤の探索、薬剤の散布間隔の検討
b.圃場抵抗性遺伝資源の探索および基準品種の選定
②結果
供試材料:遺伝資源630点、
a-1.病原菌は北海道の積雪下で罹病残渣および資材
で越冬し、次年度の発生源になっていることが判明
した。資材を中性次亜塩素酸カルシウムで消毒する
と発病は見られなかった。上記の発病葉から病原菌
を分離し薬剤耐性検定を行った結果、カルベンダジ
ム、ジエトフェンカルブ、アゾキシストロビンに対
する耐性が確認され、越冬により薬剤耐性は低下し
調査:圃場での抵抗性評価、真性抵抗性検定(レース
3,4,5)
c.圃場抵抗性遺伝資源「Acc1398」の特性:小豆の生
育ステージおよびレースと発病との関係を調査。
d.圃場抵抗性遺伝資源を用いた交配後代における抵
抗性系統の育成
供試材料:「エリモショウズ」を母親、「Acc1398」
ないと考えられた。
a-2.次年度のハウス栽培でこれらの資材を使用した
ところ、無消毒区では消毒した区より早く褐斑病の
初発生が認められ、その周辺では発病前から分生子
を父親とした「十交0432」の雑種後代
③結果
a.湛水処理時間については、8時間では短く、16時
間にすると検定条件として最適であった。また、8月
の飛散が見られた。
b.ハウス資材と本病の発生との関係を検討したとこ
ろ、初発時期はカットエースの方がノービエースよ
り早くその後の発生も多めだった。UVカットフィル
ムの発病抑制効果は認められなかった。資材の違い
初旬の湛水処理後、急激に発病が進展し、8月中旬~
下旬には明瞭な品種間差が認められたことから、8月
下旬すなわち湛水処理3週間後が適切な調査時期であ
ると考えられた。真性抵抗性の影響が最小限に抑え
られた圃場抵抗性の評価の可否を確認するために、
によるハウス内の温度・湿度の差はなかった。
b.カルベンダジム、プロシミドン、ジエトフェンカ
「エリモショウズ」(すべてのレースに感受性)、
ルブ、アゾキシストロビン、ボスカリドに対する耐
「しゅまり」(レース 1,3 に抵抗性)、「十育 150
性検定を行った結果、カルベンダジム、アゾキシス
号」(レース 1,3,4 に抵抗性)の 3 品種・系統を指標
トロビンの耐性菌率が高く、ボスカリドの耐性菌も
わずかながら確認された。プロシミドンの耐性菌は
品種として設定した。
b.圃場抵抗性評価のための基準品種として、「エリ
モショウズ」を“弱”、「十育149号」を“やや弱”、
確認されなかった。
「能登小豆」を“中”、「Acc832」を“やや強”、
d.マンゼブF(500倍)は15日間隔、ボスカリドWDF
「Acc1398」を“強”の基準品種に選定した。
(1500倍)は20日間隔で防除が可能であった。
c.圃場抵抗性遺伝資源「Acc1398」は、本葉1枚展開
C
期頃より圃場抵抗性が発現している可能性が示唆さ
品種開発促進
(1)複数病害に対して持続的に抵抗性を示す小豆
品種の開発強化
2)茎疫病圃場抵抗性の効率的選
抜・検定手法の確立
れた。また、単独レース接種による検定結果は、複
数レースが存在する圃場検定の結果とほぼ一致して
おり、レースの違いによる圃場抵抗性の評価に差は
- 48 -
認められなかった
培養温度、接種強度、接種時期、培地 pH、培養
d.F6世代系統の圃場抵抗性を評価すると“強”にラン
日数
クされ、「Acc1398」の圃場抵抗性の有効性が確認さ
a-2.十勝農試で選定された遺伝資源のダイズシスト
れた。また、これらの系統は、成熟期などの一般農
センチュウ抵抗性評価
業形質が改善されており、中間母本として小豆育種
に利用できる。
レース 3(「下田不知」打破個体群優占)卵・幼
虫接種による雌成虫着生数の調査
b.新たな寄生性を有するダイズシストセンチュウ個
(2)小豆特性検定(茎疫病)
体群の実体解明
(平成 6 年--継続、病虫科)
①試験目的
ダイズシストセンチュウの土壌サンプルを採集し、
抵抗性極強大豆品種「スズヒメ」に対する寄生性を
十勝農試育成系統について、中期世代からアズキ
調査。
茎疫病抵抗性を判定し、耐病性品種の育成を効率的
③結果
に行う。
a-1.人工気象室内でセルトレイを用いた抵抗性評価
②試験方法
条件として、培養温度 24 ℃、接種強度は 1 セルあ
a. 供試材料:十勝農試育成 24 系統および比較品
たり 2,000 卵・幼虫以上で、初生葉展開以降に接種
種「エリモショウズ」(レース抵抗性なし)、「し
し、培地の pH は 6.0 程度で、調査は接種後 40 日前
ゅまり」(レース 3 抵抗性)、「十育 150 号」(レ
後に行うことが適当と考えられた。
ース 3 、 4 抵抗性)
a-2.10 点の遺伝資源のうち 5 点で、ダイズシストセ
b.供試レース:レース 3、レース 4
ンチュウ
c.検定方法:浸根接種法により幼苗(初生葉展
占)の卵・幼虫接種による雌成虫の着生数が「しゅ
開)における各レースに対する抵抗性を判定
まり」と比較して明らかに少なかった。
③結果
b.上川支庁管内で採集したダイズシストセンチュウ
レース 3 については、21 系統を抵抗性、1 系統を
罹病性と判定した。ただし、「十系 1028 号」、
レース 3(「下田不知」打破個体群優
13 点のうち、4 点に「スズヒメ」に対する寄生性が
認められた。
「十系 1051 号」については、レース 3 に対する反
応性が反復試験でふれが大きかったため、判定を保
D
留とした。レース 4 については、13 系統を抵抗性、
(1)新農業資材の実用化試験
10 系統を罹病性と判定した。ただし、「十系 1051
①試験目的
号」については、レース 4 に対する反応性が反復試
験でふれが大きかったため、判定を保留とした。
農業資材試験
各種病害虫に対する新規農薬の防除効果を検討し、
その実用化を図る。
②試験方法
(3)小豆におけるダイズシストセンチュウ抵抗性
対象とする病害虫の防除適期に農薬を処理し、そ
遺伝資源の探索
の防除効果を対照薬剤と比較して判定する。
(十勝農試と共同、平成 21 年~ 23 年)
③結果
①試験目的
殺菌剤 17 点、殺虫剤 4 点について薬剤効果試験
小豆のダイズシストセンチュウ抵抗性育種への利
を行った。薬剤効果試験成績については、平成 21
用を目指し、小豆を対象とした抵抗性遺伝資源の探
年度新農薬実用化試験成績(日本植物防疫協会・北
索を行う。また同センチュウの複数レースおよび個
海道植物防疫協会)に掲載。
体群を供試して大豆への寄生性差異と小豆の関係に
ついて検討する。
②試験方法
a.シスト着生が少ない遺伝資源の抵抗性評価
a-1.人工気象室内におけるセルトレイを用いた抵抗
性評価のための試験条件の検討
- 49 -
Ⅳ
1
試験研究の成果と普及
供を行った。
加工・流通では普及センターで開催する女性農業
技術普及部
者対象の研修会や、専門部会活動での起業グループ
技術支援
平成21年は夏期間において低温と降雨による冷湿
害が発生し、多くの作物に被害が生じた。その対応
のため、道や支庁が設置した対策本部へ構成員とし
の会計処理の整理、技術普及課・農業経営課の主催
による女性農業者を対象とした各種行事、及び女性・
高齢者表彰事業等について助言支援を行った。地域
における高付加価値型農業を推進するため、農畜産
て参画、技術対策の提示や現地調査等を行った。
普及職員に対しては要請に基づき、部員の技術担
当項目を中心に普及センターに対し支援を行った。
また、突発的に生じた気象災害や病害虫の発生につ
いて、随時指導・助言、資料の提供を行った。当部に
は園芸、畜産、土壌肥料担当者が配置されていない
加工技術体系-第2版-の作成において、加工体系
の整理した。加工原理の理解を深め一層の品質向上
が図られるよう支援を行った。また、適正な食品表
示について北海道農政事務所表示担当と連携し、課
題の整理と要約について取りまとめた。
ため、これらの分野には場内研究部関係科の協力や
天北支場、花・野菜技術センター等の他場技術普及
普及指導員を対象とする研修
普及指導員の普及指導能力向上のために以下の研
部からの補完活動で対応した。
水稲では7月の低温による不稔防止を始めとする
被害軽減対策、「ゆめぴりか」の栽培法の検討と普
修を研究部と協力して実施、または支援した。
①新技術伝達研修(上川、留萌支庁)
2月4日(留萌支庁)、5日(上川支庁)に普及セン
及、食味向上を目指した低タンパク米生産のための
施肥改善などを行った。また、技術体系化試験を実
施し、地域の課題である直播栽培の実証を行った。
ター職員を対象にして開催。農業試験会議の主な成
果について現地への迅速な普及を図る目的で実施し
た。
畑作では春まき小麦初冬まき栽培や秋まき小麦
「きたほなみ」の増収技術として播種量の適正化や
②地域課題解決研修
普及センターが行っている研修メンバー及び助言
茎数に応じた追肥技術を指導した。特に近年上川北
部を中心に定着した春まき小麦の初冬まき栽培に対
しては、支援会議の課題に対応し地域と連携を強化、
者として研修計画に基づき対応した。
③専門技術研修・高度専門技術研修
道技術普及課主催による全道の普及職員を対象と
体系化課題の推進と合わせ普及を図った。また、大
した研修について、水稲(1名:7月)、畑作(2名:
豆間作小麦の普及を推進した。
植物保護では、ダイズマメシンクイガの被害解析
6月)の2部門の講師として対応した。
と防除適期、ホウレンソウケナガコナダニの防除法
などについて技術的な支援を行った。また、土壌消
道北地域農業研究センター連絡会議
上川、留萌、空知(幌加内町)、宗谷支庁管内に
毒の効果確認のための糸状菌密度測定方法(希釈平
板法)の培地供給により普及センターにおける調査
研究を支援した。下川町における青ネギ先枯症状の
対策について、土壌消毒の効果確認と発病の推移に
ついて調査した。富良野地区のメロン黒点根腐病に
おける自治体や民間企業などが設置した調査研究・
研修機関の情報交換の場として、7 月に小麦作を中
心として士別市、名寄市で現地研修会、2 月に成績
検討会並びに定期総会を開催した。
対しては、発生実態調査と耕種的防除対策について
上川農業改良普及センター富良野支所を支援した。
行政各種事業の推進支援
道農政部や支庁等の行政が進める関連事業につい
その他、各普及センターから多数の診断依頼に対応
て、その目的が果たされるようYES!clean表示制度事
した。
経営関連では、農家戸数の減少に伴い経営規模の
業他、助言、援助を行った。
大型化や法人化が進んでいることに対応し、農業簿
記を活用した経営管理手法や試算計画法を用いた経
普及指導員の調査研究
当部に所属する普及職員3名は普及指導活動に必
営計画手法について、普及センターへ助言や情報提
要な知見を得るため、あるいは普及現場で発生する
- 50 -
重要な課題の解決を目的に、以下の調査研究を行っ
雅己(栽培環境科研究職員)、島惠子(技術普及部
た。
主任普及指導員)、小松
勉(技術普及部主査)
協力分担:上川農業改良普及センター本所
①水稲新品種「ほしまる」の直播栽培特性の解明
③上川中部地域における直播稲作及び施設型野菜作
出芽苗立数は播種粒数に対応して 124 ~ 217 本/
の実証
㎡となり、播種量は 400 粒/㎡が必要であった。収
チーム長:西村直樹(技術普及部次長)
量は 387 ~ 4690kg/10a となった。収量は目標に達
担 当 者:沼尾吉則(研究部主任研究員)、粕谷
せず登熟不良による品質低下や雑草の発生が多く、
雅志(水稲科研究職員)、楠目俊三(栽培環境科研
冷害年における安定栽培技術の検討が課題となった。 究職員)、岩田俊昭(技術普及部長)
②農産加工品の品質向上
協力分担:北海道農業研究センター、上川農業改
農業者が製造している農畜産加工品の中には、表
示の誤りや品質のバラツキが見られる。このことか
良普及センター本所
④安定収量を目指した春まき小麦・初冬まき栽培技
ら、農畜産物の品質向上と食品表示の適正化のため、 術の定着と普及
上川普及センタープロジェクトチームと共に、16
チーム長:西村直樹(技術普及部次長)
品目の加工体系とこれに基づく加工原理や加工上の
担 当 者:柳原哲司(研究部主任研究員)、楠目俊
留意点について検討し、Q&A方式で整理した。ま
三(栽培環境科)、青山聡(畑作園芸科研究職員)、
た、品質表示については一括表示、原料原産地表示、 高松聡(技術普及部主査)
アレルギー表示等について調査し、整理した。
協力分担:JA道北なよろ、JA苫前町、ホクレ
③秋まき小麦「きたほなみ」栽培法の確立
ン農業総合研究所、北海道大学、横山製粉株式会社、
越冬前の目標茎数を 1,000 本/㎡と設定した場合
上川農業改良普及センター本所、同名寄支所、留萌
の必要播種粒数は、100 ~ 170 粒/㎡であった。
農業改良普及センター本所
施肥量の点では地力が中程度の圃場で、起生期 N6
⑤革新的技術導入による地域支援②上川・留萌(上
-幼形期 N4 -止葉期 N4 ㎏/10a 区、地力が低い圃
川・留萌地域における秋まき小麦の新ランク区分に
場では、起生期 N6 ㎏/10a -幼形期 N4 -止葉期 N6
対応した高品質・多収量栽培法の実証と普及)
㎏/10a の収量が高く、子実の蛋白含有率も適正であ
チーム長:西村直樹(技術普及部次長)
った。
担 当 者:柳原哲司(研究部主任研究員)、中道浩
司(畑作園芸科研究職員)、熊谷聡(栽培環境科研
技術体系化チーム
究職員)、高松聡(技術普及部主査)
本年度、技術体系化チームは5課題に取り組んだ。
協力分担:上川農業改良普及センター本所、同富
各課題の担当者及び現地試験の遂行に協力いただい
良野支所、同大雪支所、留萌農業改良普及センター
た農業改良普及センター・JAは以下のとおりであ
南留萌支所
る。
①高度クリーン農業技術の開発①水稲-現地実証-
1)高度クリーン農業技術の開発①
チーム長:西村直樹(技術普及部次長)
水稲-現地実証-
担 当 者:柳原哲司(研究部主任研究員)、長浜恵
(平成21年~22年)
①試験目的
(病虫科長)、熊谷聡(栽培環境科研究員)、岩田
道産水稲の国際競争力を高め、高度化する消費者
俊昭(技術普及部長)、島惠子(技術普及部主任普
ニーズにも対応するため、化学肥料・化学合成農薬
及指導員)
を5割以上削減した高度クリーン農業技術を開発・実
協力分担:上川農業改良普及センター本所、富良
証する。
野支所
②.試験方法
②水稲育苗ハウスを利用した高糖度トマト・ポット
a.化学肥料5割削減の影響評価と改善技術の開発
栽培導入の実証
調査・試験実施地区:上川農試、旭川市A農家、
チーム長:西村直樹(技術普及部次長)
富良野市B農家
担 当 者:木村文彦(畑作園芸科研究職員)、坂口
b.水稲の化学合成農薬削減技術の確立
- 51 -
・水面施用粒剤1回散布による穂いもち防除効果
2)水稲育苗ハウスを利用した高糖度トマト・ポッ
上川農試、中央農試
・現地実証試験
旭川市A農家
ト栽培導入の実証
富良野市B農家
(平成19年~21年)
①試験目的
YC区(YES!clean:北海道慣行の50%以下)
上川中部の水田複合経営に適合する高糖度トマト
KC区(高度クリーン区:25%以下)
のポット栽培法を明らかにする。
③試験結果
②試験方法
a.化学肥料窒素 5 割削減(減肥)区の収量は、慣
a.高糖度トマト栽培の実態調査
行区より 6 %少なかった。この要因として窒素吸収
b.高糖度化に適した栽培法の検討
量と総籾数の低下があげられる。なお、本年は冷害
・試験場所:比布町農家ハウス
で慣行区の不稔歩合が高かった。
・供試品種:「桃太郎ファイト」、支柱 1 本立て
b . 有機ペレットを用いた全層区の収量は慣行区
・供試ポット:黒ポリポット(φ 21cm)
より 14 %多かった。
・培土:いちご用無肥料培土
c. 全層に有機ペレットを用いた側条 1 区の収量
・栽植密度:株間 20cm × 40cm 幅 2 列で 2 条
は全層区より 7 %少なかった。タンパク質含有率は
(450 株/a)
0.3 %低かった。また、全層に発酵鶏糞を用いた側
・潅水:点滴潅水(ストリームライン、10cm ピ
条 2 区の収量は、全層区より 2 %少なかった。タン
ッチ)
パク質含有率は 0.5 %低かった(表1)。
・試験区:裂果率の抑制:処理①通常灌水と後半
d. A農家における全層区の収量は、慣行区の Y
灌水抑制、処理②直立誘引と斜め誘引、処理③第
ES!clean 栽培と同等であった。タンパク質含有率は
3 花房収穫と第 5 果房収穫
0.4 %高かった。
・調査内容:生育量、収量、内部品質、作物体及
e . 上川農試と現地実証試験の結果、側条施肥に
び土壌分析ほか
より初期生育が促進され、側条 1 区と 2 区の幼穂形
③試験結果
成期茎数は全層区と同等以上であった。また、タン
a.土耕により高糖度トマトを栽培している生産者
パク質含有率は 0.4 ~ 0.8 %低下した。一方、側条
への聞き取りでは、全果実についてフルーツセレク
1 区と 2 区の収量は全層区より 2 ~ 23 %低下した。 ターにより糖度を測定しており、糖度 8%のトマト
この要因は幼穂形成期より後の窒素吸収量が全層区
は 1,680 円/kg で出荷していた。
より少なく、一穂籾数および総籾数が低下したため
b.後半灌水抑制処理により通常灌水区に比べ裂果
と考えられた。
率がやや減少した。しかし一果重が低下するなど商
f. 水面施用粒剤1回散布による穂いもち防除効
品果数の増加には処理効果が反映しなかった。
果は、上川は穂いもちは甚発生、中央は多発生であ
c.果実への日射量抑制効果を目的とした斜め誘引
った。穂いもちに対する粒剤の効果は、上川ではい
処理は、裂果率は直立誘引に比べ減少したものの糖
ずれの粒剤も茎葉散布に比べ低く、中央ではピロキロン、 度が低下するなど内部品質に悪影響がみられた。
メトミノストロビンの初発後散布でやや低かった。
d.5 段目収穫により収穫期間は 10 月中旬まで延
g.旭川市では、いもち病は極少発生で処理間差は
長した。また、5 段目まで着果させることにより裂
不明であった。6 月 25 日のドロオイ卵塊数は各区
果率が大幅に減少し商品果数が増加した。また、果
とも平均 2 卵塊/株未満で防除不要であった。すく
実品質についても 3 段目収穫との差異はなく、糖度
い取りによるカメムシ密度の差は判然としなかった
が維持されていた。
が、KC 側条1で斑点米率が高かった。この区はほ
e.直立誘引・5 段目収穫・全期間 200 ~ 300ml/日
場の中央に位置し水分条件等により殺虫剤の拡散が
・株灌水を行った場合、商品果数は 13.1 個/株とな
均一でなかった可能性がある。富良野市では、本田
った。これを水稲育苗後の空きハウス 50 坪(6.0 m
でのすくい取りによるカメムシ密度の差は判然とせ
× 27.5 m)において行うとして試算すると、666 株
ず斑点米率にも大きな差は認められなかった
導入可能で、ハウス 1 棟当たりの粗収益は 759,360
円、家族労働費を除く生産費用は 201,435 円、農業
所得は 557,925 円と試算された。
- 52 -
f.収穫時に酸味が強く感じられる場合には、25 ℃
く、2回の除草剤処理に加え7月に手取りを行った。
で 3 日間置くことにより外観品質を維持しつつ酸度
g.農家実態調査における坪刈収量は散播で 336 ~
が低下し食味の改善が見込まれた。
508kg/10a、条播では 392 ~ 503kg/10a であった。散
播における収量の低下は、乗用管理機のブームタブ
3)上川中部地域における直播稲作及び施設型野菜
ラー播種機による圃場で苗立数の不足によるもので
作の実証
あり、無人ヘリコプタでは均一な苗立数が得られた。
(平成19年~23年)
①試験目的
h.農家における玄米品質は全て規格外であった。
上川中部の当麻町を対象に、担い手確保や農地集
i.高タンパク種子の生産を上川農試場内ほ場にお
積に対応した水稲直播を導入するとともに、施設型
いて行い、追肥によって玄米蛋白含有率は顕著に高
野菜を組み合わせ、収益性の高い水稲・野菜作によ
まり目標とする 9 %以上の種子が生産できた。
る営農システムを確立する。ここでは、「ほしま
j.本年度で種子予措、高タンパク種子効果確認は
る」の湛水直播栽培における出芽・苗立性を調査し、 終了する。
無カルパーによる適正播種量を検討する。
②試験方法
4)安定収量を目指した春まき小麦・初冬まき栽培
a.「ほしまる」の現地栽培実証では、カルパー紛
技術の定着と普及
依処理と無処理の籾について、播種量 300、400、
①試験目的
500 粒/㎡の 3 段階で湛水播種し落水出芽。
(平成19年~21年)
春まき小麦の生産安定化に取り組む地域と連携し、
b.施肥は全層(BB472LP: N5.6,P6.8,K4.8kg/10a)、
特に施肥体系の確立を主とした初冬まき栽培法と赤
側条(BB472LP: N4.2,P5.1,K3.6kg/10a)とした。また、
かび病対策を組み入れた栽培技術の体系化と定着を
追肥は 2 回、N 成分で計 7.6kg/10a とした。
図る。
c.種子予措(比重選)効果実証では、水選または
②試験方法
塩水選を行い 1.00、1.08、1.10 沈下籾に分けた後、
a.播種床造成法の実証
浸種処理を行い、無カルパー籾による湛水直播栽培
・対象地域:名寄市風連(低地土)、苫前町(低地
を場内と現地ほ場でシードテープは種で実施。
土)
d.高タンパク種子の生産においては、場内ほ場に
・名寄市風連:プラウ耕起日 10 月 17 日、ロータリ
て、タンパク含有率9%以上の「ほしまる」の採種
(パワーハロー)・チゼル施工日 10 月 31 日、播種日
を行うため、多窒素栽培(硫安追肥 N10kg/10a)を行
11 月 1 日、播種量 20 ㎏/10a、施肥 4 月 12 日 N12-K6
なった。
㎏/10a、6 月 2 日 N8.4 ㎏/10a
③試験結果
苫前町:プラウ耕起日 11 月 10 日、ロータリ(パワ
a.現地ほ場における苗立率は 41 ~ 43 %であり、
ーハロー)・チゼル施工日 11 月 11 日、播種日 11 月
苗立本数は播種量に対応して 124 ~ 217 本/㎡とな
16 日、播種量 20 ㎏/10a、施肥 4 月 11 日 N12.6 ㎏/10
った。播種粒数は 400 粒/㎡が望ましく、無カルパ
a、6 月 13 日 N4.2 ㎏/10a
ーでも十分な苗立ち本数が得られた。
・ボトムプラウ+ロータリ(パワーハロー 1 回)区
b.出穂期は 8 月 10 ~ 11 日であったが、8月中旬
(耕起+砕土)、ボトムプラウ+チゼルプラウ区(耕起
以降の低温の影響により全ての区で成熟期に達しな
+砕土)、チゼルプラウ+ロータリ(パワーハロー
かった。
1 回)区(耕起+砕土)、チゼルプラウ+チゼルプラ
c.収量は 387 ~ 469kg/10a となった。㎡籾数は 21
ウ区(耕起+砕土)
~ 28 千粒となり収量構成要素が不足した結果、目
b.適正窒素施肥量の検討(窒素施肥量試験)
標に達しなかった。
・対象地域:名寄市風連(低地土)、苫前町(低地
d.玄米品質は成熟期が未達になったことにより、
土)
青未熟粒が非常に多くなり規格外となった。
・名寄市風連 A:融雪後+出穂揃の窒素施肥量
e.米粒蛋白含有率は 7.0 ~ 7.5 %となり、必ずし
処理(0+0、6+3、10+0、10+3、10+6、15+3、15+6、
も低蛋白米ではなかった。
窒素は硫安施用、 P-12,K-7)
f.雑草発生(ノビエ、エゾノサヤヌカグサ)が多
・名寄市風連 B:同
- 53 -
7
6 処理(0+0 、 10+3 、 10+6、 15+
0、15+3、15+6、窒素は硫安施用、 P-12,K-7)
の範囲内と考えられ、H19 年産のデータでは N12kg
・苫前町:同
/10a と N15kg/10a で収量差がないことから、適正な
7 処理(0+0、10+0、10+3、10+6、
15+0、15+3、15+6、窒素は硫安施用、 P-12,K-7)
融雪期 N 施肥量を N12kg/10a と設定した。穂揃期
・追肥日:名寄市風連 A(4/14、6/8)、名寄市風
追肥は、N6kg/10a になると基準値を超える可能性
連 B(4/14、6/8)、苫前町(4/8、6/12)
が高いことから、N3kg/10a を上限とし、蛋白含有
c.DON 低減技術の実証
率の過年度実績により追肥量を適宜減肥することが
・対象地域:名寄市風連、苫前町
妥当と判断した。
・散布回数:慣行(4 回)、削減(3 回)、無防除
c.H21 年は、6 月 3 半旬と 5 半旬にまとまった降
③試験結果
雨があり、秋まきおよび初冬まき小麦の開花期にか
a.名寄試験地は、播種床造成法の違いによって子
けて特に発病に好適な条件が重なったと考えられる。
実収量は、プラウ+ロータリ区>チゼル+ロータリ
本試験における品種は「春よ恋」であるが、発病穂
区>プラウ+チゼル区>チゼル+チゼル区の順とな
率、発病小穂率、赤かび粒率とも無散布に比較し散
った。苫前試験地では、11 月上旬に降雨が多く、
布区が低くなっており、防除効果が認められた。一
比較的多湿な土壌条件で播種床の造成・播種を行っ
方、DON 濃度に関しては、名寄試験地、苫前試験
たため土壌の泥濘があり、透排水性が悪化し越冬個
地とも散布区と無散布区との間に差異が認めらず、
体数が処理区全般に低下した。畦に近いプラウ+ロ
苫前試験地では基準値 1.1ppm を超える高濃度で検
ータリ区では初期から生育が悪く収量が低下した。
出され、防除効果が十分得られない結果だった。こ
チゼル+ロータリの収量が最も安定しており、以下
のことから、赤かび病が多発生した場合、初冬まき
チゼル+チゼル、プラウ+チゼルの順であった。
栽培において慣行の防除を行っても十分に DON 濃
これらのことから、播種床造成法としては耕起作業
度が下げられないことが示唆された。しかし、H21
はプラウまたはチゼルで行い、砕土・整地作業をロ
年は出穂期前後も低温多雨傾向であり、防除は実施
ータリで行うことが望ましい。ただし、湿潤な土壌
されたものの適期に行われていない可能性が高く、
条件で耕起作業を行う場合には、透排水性の悪化を
適切な防除回数の解析は難しいと考えられる。
防ぐためにチゼルを用いるのが適切であると考えら
れた。また、ロータリで土壌の練り返しが懸念され
5)革新的農業技術導入による地域支援②上川・留
るような湿潤な土壌条件では、砕土・整地もチゼル
萌(上川・留萌地域における秋まき小麦の新ランク
で行う。
区分に対応した高品質・多収量栽培法の実証と普
b.名寄A圃場では、融雪期の N 施肥を増加する
及)
ほど子実重が高くなった。穂揃期追肥は、N6 ㎏/10
①試験目的
a 区で子実蛋白の基準値を越えた。融雪期 N15-穂揃
上川・留萌地域では、新品種「きたほなみ」への転
期 N3 ㎏/10a 区の子実重が高く、子実蛋白も許容値
換期に当たり、収量と品質を同時に向上する栽培技
内に入った。名寄B圃場では、7 月の風雨により倒
術を確立することが急務となっている。このため、
伏が発生し、N 施肥量が増加するに従い倒伏程度が
農業試験場と普及組織の密接な連携のもと、技術検
大きくなった。倒伏程度を考慮すると、融雪期 N10
証の段階から現地実証活動を行い、短期間に「きた
-穂揃期 N3 ㎏/10a 区がほぼ目標収量(480 ㎏/10a)
ほなみ」の普及拡大を図る。
を達成し、子実蛋白も許容値内に入った。苫前町圃
②試験方法
場では、名寄A圃場と同様に融雪期の N 施肥を増
a.現地実態に対応した越冬前生育量の把握による
加するほど子実重が高くなったが、融雪期 N15 ㎏/1
適正播種期・播種量の実証
0a 区では倒伏により FN が大きく低下した。登熟期
a-1. 試験場所:南富良野町、富良野市、中富良野町、
の寡照・降雨により子実の充実度が悪化し、容積重
上富良野町、美瑛町、旭川市、比布町、愛別町、鷹
・千粒重が低下し全て規格外となった。目標収量を
栖町、士別市、剣淵町、和寒町(N=47)
達成するためには融雪期 N10kg/10a ではやや不足し、
a-2. 調査項目:越冬前の草丈・葉数・茎数・窒素吸収
N15kg/10a でほぼ目標に達する結果となった。この
量・乾物重・播種期から根雪(11 月 15 日)までの積
ことから、適正な融雪期 N 施肥量は 10 〜 15kg/10a
算気温(マメダス・MICOS 気象メッシュデータ)
- 54 -
(平成 20 ~ 22 年)
b.新ランク区分への対応と高収量を両立する施肥
%)から外れる地点が多数認められ、基準内に入
法の実証展示
ったのは 33 %であった。このため、基準値内へ
b-1. 試験場所:A圃場(美瑛町、褐色森林土、熱抽 N
制御する施肥技術を確立し、圃場・年次の変動
7.8mg/100g)・B圃場(旭川市就実、褐色森林土、熱抽
性を縮小させていく必要があった。
N3.6mg/100g)・C圃場(旭川市日の出、グライ地土、
蛋白の許容値上限を超えた原因は窒素施肥過多
熱抽 N4.5mg/100g)
(総窒素施肥量 27.1 ~ 36.4 ㎏/10a)が主要因で
b-2. 試験方法:(起生期 N6 -幼形期 N4 ㎏/10a)
あった。蛋白の許容値下限を下回った原因は、
-止葉期(N0・4・6 ㎏/10a)
①窒素施肥量不足、②止葉期追肥が行われてい
b-3.
調査項目:熱水抽出性窒素、施肥効率、期節毎
ない、③穂数過多であった。
の草丈・茎数・SPAD 値、成熟期の稈長・穂数・穂長、全
重・子実重・千粒重・窒素吸収量・蛋白・容積重
c.一般農家栽培における大型実証圃展示
c-1
試験場所:南富良野町、富良野市、中富良
野町、上富良野町、美瑛町、旭川市、比布町、
愛別町、士別市、剣淵町、和寒町(N=37)
c-2
試験方法:播種期9月6日~10月6日、播種
量128~366粒/㎡、基肥量N0~8㎏/10a、施肥量
起生期-幼形期-止葉期(㎏/10a)=6~10-4-6
c-3
調査項目:各生育期節の草丈・茎数・SPAD
・窒素吸収量、成熟期の稈長・穂数・穂長、土壌分
析(熱抽N、無機態N等)、全重・子実重・千粒
重・窒素吸収量・蛋白・容積重
③試験結果
a.主茎葉数 5.5 葉(積算気温 490 ℃)~ 6.5 葉(積算
気温 610 ℃)で越冬前茎数 1,000 本/㎡確保するため
の播種粒数は、100 ~ 170 粒であった。150 粒/㎡以
下の播種粒数では播種できない機種があること、主
茎葉数 5 葉を確保していれば目標の子実重・蛋白を
達成できていることから、播種粒数は 150 ~ 255 粒
/㎡で 9 月中・下旬に播種することが適切であると
考えられた。
b.施肥試験の結果、子実収量はいずれの区でも目
標収量の 600 ㎏/10a を上回った。子実蛋白は、止葉
期の施肥により品質評価基準の下限値 9.7 %に達し
たが、年次や圃場により止葉期 N4 ㎏/10a では、下
限値に達しない圃場があり、N2 ㎏/10a の増肥が必
要な場面もみられた(H20 年収穫南富良野、H21 年
収穫旭川)。このことから、上川地域の施肥体系と
しては 6-4-4 もしくは 6-4-6 ㎏/10a(起生期-幼形
期-止葉期)が適切であると考えられた。
c.大型実証圃の結果、子実収量は 78 %が目標の
600 ㎏/10a を越えたが、子実蛋白は 8.1 ~ 13.7 %と
変動が大きく、品質評価基準値(9.7%〜11.3
- 55 -
2.普及奨励、普及推進ならびに指導参考
物価が低い。普及見込み地帯は全道一円。
事項
(6)とうもろこし(サイレージ用)「39T13(X0823
1)普及奨励事項
F)」:道立農試、北農研センター
ホクレンが導入した系統で、熟期は「早生の晩」
-優良品種候補-
に属する。すす紋病耐病性が強く、乾物総重および
(1)あずき「十育155号」:十勝農試、中央農試
道央以南向けの普通小豆である。「エリモショウ
ズ」に比べて多収で、粒大が大きく、流通上の普通
推定 TDN 収量が多く、初期生育が優れる。普及対
象地域は道央北部、十勝中部および網走内陸地域。
小豆規格内歩留まりが高く、粒色はやや淡い。落葉
病(レース1)、茎疫病(レース1,3)、萎凋病
2)普及推進事項
-優良品種候補-
に対して抵抗性を持つ。普及見込み地帯は、道央以
南における早・中生種栽培地帯、中生種栽培地帯、
(1)だいず「十育247号」:十勝農試
「ユキホマレ」にダイズシストセンチュウレース
中・晩生種栽培地帯およびこれに準ずる地帯。
(2)いんげんまめ「十育B78号」:十勝農試、中
1抵抗性を導入した戻し交配系統である。「ユキホ
央農試
マレ」と比較して百粒重はやや小さいが、同じ粒大
インゲンマメ黄化病抵抗性が“極強”であり、本
区分に属し、センチュウ抵抗性以外の農業特性およ
病に対する薬剤防除は不要である。成熟期および収
び加工適性は「ユキホマレ」と実質的に同等である。
量性は「福勝」とほぼ同等である。粒色は「福勝」
普及見込み地帯は、北海道の大豆栽培地帯区分Ⅰ、
よりやや淡いが同系色で、粒形および粒大は「福
Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの地域及びこれに準ずる地帯のうち、
勝」に類似する。甘納豆および煮豆の加工適性は、
「ユキホマレ」のダイズシストセンチュウレース3
「福勝」と同程度である。
抵抗性品種にセンチュウ被害が発生している地域。
(3)ばれいしょ「北育13号」:北見農試
(2)てんさい「北海98号」:北農研センター
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ中晩生
北海道農業研究センター寒地バイオマス研究チー
のでん粉原料用系統である。でん粉特性は、リン含
ムにおいて育成した単胚三倍体三系交配一代雑種系
量、離水率が「コナフブキ」より低く、でん粉品質
統である。そう根病抵抗性は有していないが、褐斑
は「紅丸」並で「コナフブキ」より優れる。でん粉
病抵抗性は“中”で根中糖分が高い。普及見込み地
の白度は「コナフブキ」並である。上いもの平均重
帯は全道一円。
は軽いが、上いも数が多い。普及見込み地域は、で
ん粉重は「コナフブキ」並である。北海道のでん粉
-推進技術-
原料用ばれいしょ栽培地帯。
(1)化学農薬によらない水稲の種子消毒法:上川
(4)てんさい「H137」:道立農試、北農研センター、 農試病虫科・中央農試予察科
農薬の使用回数にカウントされない温湯消毒、生
(社)北海道てん菜協会
ベルギーのセスバンデルハーベ社が育成した二倍
物農薬、食酢を活用し、化学農薬と比較してほぼ同
体単胚一代雑種である。ホクレン農業協同組合連合
等以上の防除効果が期待できる種子消毒法を開発し
会が導入した品種で、褐斑病・根腐病抵抗性が“や
た。本技術は有機栽培など化学合成農薬が使用でき
や弱”であるが、糖量が多く、そう根病抵抗性であ
ない場面で特に有効活用できる。
(2)道北地域における春まき小麦初冬まき栽培技
術の実証:上川農試技術体系化チーム、北海道大学、
(5)てんさい「HT30」:道立農試、北農研センター、
横山製粉
(社)北海道てん菜協会
実態調査と施肥用量試験から、道北地域における
スウェーデンのシンジェンタ種子会社が育成した
初冬まき栽培の目標収量と蛋白含有率( 480Kg/10a、
13.0%)設定し、地力に応じた新たな施肥基準を策
二倍体単胚一代雑種である。北海道糖業株式会社が
定した。
導入した品種で、抽苔耐性が“やや強”で、糖量は
る。普及見込み地帯は全道一円。
「リッカ」より劣るが、褐斑病、根腐病、黒根病に
対する抵抗性が優れ、そう根病抵抗性である。不純
3)指導参考事項
(1)「道北露地アスパラガス安定生産に向けた株
- 56 -
養成管理技術」:上川農試畑作園芸科・栽培環境科
灌水処理により定植初年目生育と土壌乾燥時の露
e fed different cultivars of rice , British Journal of N
utrition (2009), page 1 of 9
地立茎栽培における夏芽収量が向上する。定植時の
○五十嵐俊成:北海道米の食味に関与するアミ
目標土壌pHは6.0~6.5とする。高畝栽培の効果は認
ロペクチン分子の構造解析に関する研究, J. Appl.
められない。改植時の活性炭資材施用は生育および
収量に無施用区との差は認められない。
Glycosci., 57, 25-32 ( 2010)
○東岱孝司:ダイズシストセンチュウレース1発生
(2)「ポリポットを利用した高糖度トマト栽培技
圃場における感受性ダイス品種および「下田不知」
術とその経済性評価」:上川農試技術体系化チーム、 由来抵抗性ダイズ品種のオキサミル粒剤の防除効果、
上川農業改良普及センター
北日本病害虫研究会報第 60 号 p199-203(2009)
水稲育苗ハウスの跡地利用として、径 21cm ポリ
○小松
勉・西脇由恵:北海道におけるメロン黒点
ポットを用い、生育全期間 0.1%塩水と液肥を 200
根腐病の発生について.北日本病虫研報 60.P289
~ 300ml/日・株灌水し、直立仕立て、5 段目まで収
○稲野一郎、西村直樹:自走式てん菜4畦用収穫機
穫を行うと 13.1 果/株の高糖度トマトが得られる。
の性能と損傷軽減法、北農、第 76 巻、第 4 号、p7-
これを 50 坪ハウスで行うと仮定すると 557,925 円
11(2009.10).
(1,237 円/時間)の農業所得が得られる。
2)口頭・ポスター発表
4)研究参考事項
(1)アズキ茎疫病の圃場抵抗性検定法:上川農試
病虫科・畑作園芸科・十勝農試小豆菜豆科
検定に最適な湛水処理方法、発病調査時期、圃場
抵抗性評価のための基準品種等を検討し、アズキ茎
疫病の圃場抵抗性検定法を開発した。本検定法はア
ズキ茎疫病圃場抵抗性の選抜・評価に利用できる。
(2009)。
○木下雅文、柳原哲司、佐藤毅、沼尾吉則:食味
官能評価と理化学特性からみた北海道米品種の
食味
向上、育種学研究第 11 巻別冊 2 号、139
(2009)。
「きらら
397」から「ゆめぴりか」への展開 、育種学研究
1)研究論文、試験成績
○青山聡・島田尚典・長谷川尚輝・村田吉平・藤田
正平・松川勲:アズキ新品種「きたろまん」の育成
第 11 巻別冊 2 号、21(2009)。
○沼尾吉則、木下雅文、佐藤毅 、柳原哲司:水
稲不稔がアミロース含有率に及ぼす影響につい
94: 1-16(2009).
○竹中秀行・加藤淳・佐藤仁・関口健二・桃野寛・
村田吉平・島田尚典・青山聡・富田謙一・南忠:北
海道におけるアズキの機械収穫体系
遺伝解析、育種学研究第 11 巻別冊 2 号、134
○佐藤毅:北海道における水稲品種開発
3.論文ならびに資料
北海道立農試集報
○品田博史、佐藤毅:水稲の開花期耐冷性に関する
北海道立農試
集報 94:65-79(2009).
○ Tamon Fumoto, Tetsuji Yanagihara, Takashi Saito
and Kazuyuki Yagi : Assessment of the methane mi
tigation potentials of alternative water regimes in rice
fields using a process- based biogeochemistry mode
て、平成21年度 日本育種学会・日本作物学会
北海道談話会(2009)。
○清水裕嗣、佐藤毅、得字圭彦、高牟礼逸郎、
加藤清明:イネの少分げつ伸長を抑制するRcn3
とRcn5
のマッピング 、平成21年度 日本育種
学会・日本作物学会 北海道談話会(2009)。
○ 木村文彦・安岡眞二・小松勉:ポリポットを利用
した高糖度トマト栽培の果実品質.北海道園芸研究
談話会報.43(2010)
l , Global Change Biology ( 2009)
○ Kei Sonoyama1, Toru Ogasawara, Haruka Goto, T
○青山聡、串田篤彦、友岡憲彦、江川宜伸、鈴木千
賀:アズキ近縁野生種に見出されたダイズシストセ
omoyo Yoshida, Naoki Takemura, Reiko Fujiwara, J
ンチュウ抵抗性、育種学研究第 11 巻(別 2):pp18
un Watanabe, Hiroyuki Ito, Tatsuya Morita, Yoshinar
6(2009).
i Tokunaga and Tetsuji Yanagihara : Comparison of
○藤田正平・小倉玲奈・鈴木和織・田澤暁子・青山
gut microbiota and allergic reactions in BALB/c mic
聡・島田尚典:アズキ茎疫病圃場抵抗性と熟性の遺
- 57 -
伝的関連、育種学研究第 11 巻(別 2):pp281(200
○橋本庸三、齊藤美樹:イネの割籾がアカヒゲホソ
9)
ミドリカスミカメの生育に及ぼす影響、北日本病害
○田澤暁子・小倉玲奈・藤田正平・佐藤仁・島田尚
虫研究発表会(2010,2)
典・青山聡・佐藤三佳子:アズキ茎疫病圃場抵抗性
○齊藤美樹、ホウレンソウケナガコナダニを捕食す
系統の作出、日本育種・作物学会北海道談話会会報
る土着天敵トゲダニの探索、日本応用動物昆虫学会
第 50 巻、7-8(2009)
(2010,3)
○島田尚典・青山聡・佐藤仁:低温処理による小豆
○小松
の開花・着莢耐冷性系統の選抜、日本育種・作物学
重彦・林
会北海道談話会会報第 50 巻、9-10(2009)
プロジニル水和剤に対する感受性低下について.第
○田澤暁子・青山聡・佐藤仁・島田尚典:アズキ
勉・田中文夫・美濃健一・清水基滋・立川
敬介・杉山
稔:コムギ眼紋病菌のシ
63 回北日本病害虫研究会(2010.2)
(Vigna angularis)で認められたダイズシストセンチ
ュウ寄生性の品種間差、育種学研究第 12 巻(別 1):
3)専門雑誌、著書・資料
(2010)印刷中.
○佐藤
毅:耐冷性が強く玄米白度が高い良食味糯
○ Satoshi Aoyama and Atsuhiko Kushida: The Use
品種「きたゆきもち」、現代農業 272 (2010)。
of Genetic Resources for Breeding of Soybean Cyst N
○佐藤
毅、沼尾吉則、木下雅文、吉村徹、佐々木
ematode Resistant in Azuki Bean. The 14th NIAS Inter
忠雄、粕谷雅志、品田博史、尾崎洋人、、木内均、
national Workshop on Genetic Resources - Genetic R
前川利彦、相川宗嚴、平山裕治、菊地治己、田中一
esources and Comparative Genomics of Legumes
(Gl
生、丹野久:耐冷性が強く、玄米白度
が高い
水
ycine and Vigna)- 17th September 2009 Satellite Wor
稲新品種候補「上育糯 450 号」、平成 20 年度「新
kshop at Tokachi, Hokkaido.
しい研究成果-北海道地域-」4-7
○来嶋正朋、足利奈奈、中道浩司、吉村康弘:穂発
○品田博史:寒さに強く、白度が高く良食味な水稲
芽性極難春まきコムギの農業特性、日本育種・作物
もち品種「上育糯 450 号」、ニューカントリー4月
学会北海道談話会会報第50巻(2009)印刷中.
号、56-57(2009)。
○足利奈奈、鈴木孝子、来嶋正朋、中道浩司、吉村
○品田博史:水稲新品種「上育糯 450 号」北農第 7
康弘、DNA マーカーを利用した反復戻し交配によ
6巻
って育成した赤かび病抵抗性春まきコムギ系統、日
○佐藤毅:極良食味の水稲新品種「ゆめぴりか」の
本育種学会第 117 回講演会(2010)要旨集印刷中.
育成、米麦改良 12 月号、9-13(2009)。
○ 鈴木和織:まめのはなし-旭川・上川の豆、品種
○沼尾吉則:技術開発の成果と展望(1)北海道米の
とその改良、健康保養フォーラム(旭川市等主催)
良食味品種の育成について、北農第 76 巻
H21.10.3 参加 52 名。
336-342( 2009)。
○柳原哲司:良質米生産を目指した水田の土作り技
○佐藤毅:技術開発の成果と展望(2)新品種「ゆめ
術(2009.8.12,ロワジールホテル旭川)
ぴりか」の育成と今後の北海道育種、北農第 76 巻
○ 五十嵐俊成:北海道米の食味に関与するアミ
第 3 号 343-357(2009)。
ロペクチン分子の構造解析に関する研究 .日本応
○佐藤毅:「ゆめぴりか」の育成と水稲育種の今後
用糖質科学会
の展開、平成 21 年度第1回土地改良研修会講演
○長浜恵:北海道におけるキュウリ褐斑病のアゾキ
1-81(2009)。
シストロビン耐性、平成 21 年度日本植物病理学会
○沼尾吉則、尾崎洋人、粕谷雅志:平成 21 年度水
北海道部会(2009,10)
稲生産流通調査報告書、米麦改良 10 月号(58 号)
○齊藤美樹:北海道のホウレンソウ圃場における土
p9-11(2009)。
着天敵トゲダニ相の解明、日本応用動物昆虫学会(2
○木村文彦:ミズナ直播・小株栽培の栽培体系.農
010,1)
家の友第 61 巻第 6 号:40-42(2009)
○長浜恵:北海道におけるキュウリ褐斑病菌のボス
○木村文彦:北海道における加工用ほうれんそうの
カリド耐性、北日本病害虫研究発表会(2010,2)
栽培技術.グリーンレポート第 25 巻第 6 号:6-7
- 58 -
第2号
(2009)。
173(2009)。
第3号
(2009)
○西村直樹:新規参入者への研修支援-十勝ふるさ
○木村文彦:なるほど新技術
みずな直播・小株の
と農学校(帯広市)-、ニューカントリー 9 月号、
栽培体系.ニューカントリー第 56 巻第 7 号:72-73
p74-76(2009.9).
(2009)
○西村直樹:経営所得安定対策 畑作経営における影
○木村文彦:みずな直播・小株栽培の栽培体系.あ
響と今後の経営対応、ニューカントリー 11 月号、p
ぐりぽーと 80 号:11(2009)
48-49(2009.11).
○木村文彦:北海道におけるみずな直播・小株栽培
○西村直樹:上川地域農業技術支援会議の活動につ
の栽培体系.農業および園芸第 84 巻第 11 号:1100
いて、農家の友 2 月号、p98-99(2010.2).
-1105(2009)
○高松
○木村文彦・鈴木和織・植野玲一郎・柳原哲司・野
(春まき小麦編)、ニューカントリー 5 月号、p23-
田智昭・平井剛・長尾明宣・林哲央:雪中貯蔵キャ
25(2009.5)
ベツの結球内部黒変症状対策と雪中貯蔵による品質
○岩田俊昭:2010 年作物展望-水稲、ニューカン
保持.平成 20 年度「新しい研究成果-北海道地域
トリー第 57 巻 1 号、p50-51(2010.1.1)
-」:26-29(2009)
○岩田俊昭:平成 21 年産米の全道総括、北海道米
○木村文彦:全国野菜技術情報
ミズナ直播・小株
聡:「1 等 A ランク」に向けた麦づくり
麦改良第 60 号、p.1-6(2009.12)
栽培の栽培体系.農耕と園芸第 65 巻 2 号:54-56
○岩田俊昭:平成 22 年産に向けての米づくり、北
(2010)
海道米麦改良協会平成 21 年度資料第 2 号、p.145-1
○柳原哲司:高品位米生産を目指した成苗・密植栽
59(2010.2)
培技術、あぐりぽーとNo80(2009)
○岩田俊昭:平成 21 年技術総括・水稲、農家の友、
○楠目俊三:効率的な水田除草
農家の友
5月号p. p.36-37( 2009.12)
82-83(2009)
○高松
○楠目俊三:北海道での雑草防除の実態と問題にな
イント、北海道米麦改良第 56 号、p.5-9(2009.9)
っている雑草について
○高松
植調
p.18-21 Vol.43,No.
聡:道央・道北における秋播小麦栽培のポ
聡:平成 21 年産小麦の総括、北海道米麦
5(2009)
改良第 61 号、p3(2010.1)
○楠目俊三:北海道の耕地雑草-見分けた方と防除
○小松
法-
除対策およびダイコン品種の軟腐病抵抗性検定法、
ニューカントリー2009年秋季臨時増刊号
p.
17他(2009)
勉:ダイコン軟腐病の夏期栽培における防
植物防疫第 64 巻第 3 号 p.5-10( 2010.3)
○坂口雅己:作物栄養診断による施肥管理、ニュー
カントリー増刊号「環境保全型農業のための土壌・
4)新聞等記事
施肥管理」、p.28-31 (2009)
○岩田俊昭:「水稲水管理のポイント」、農業共済
○坂口雅己:ハウストマトの栄養診断技術、NOSA
新聞(2009.6.12)
I 12 月号 p.1-2 (2009)
○岩田俊昭:「水稲収穫期までの管理」、農業共済
○東岱孝司:ダイズシストセンチュウ
道北部にお
新聞(2009.8.12)
ける発生実態と小豆への減収被害、ニューカントリ
○岩田俊昭:検証道農業’09(水稲)、日本農業新
ー第 671 号 p68-69(2010)
聞(2009.1.5)
○東岱孝司:北海道北部におけるダイズシストセン
○岩田俊昭:「水稲・今年の課題」、農業共済新聞
チュウの発生実態および小豆への減収被害、豆類時
(2010.1.20)
報第 58 号 p19-23(2010)
- 59 -
4.印刷刊行物
(1) 場印刷物、年次刊行物
①水稲新配付系統に関する参考成績書「上育463号、上育糯464号」
②平成21年度
畑作・園芸に関する試験成績書
③北海道立農業試験場報告
第127号
(水稲科、H22.2、 5頁、120部)
(畑作園芸科、H22.3、 133頁、 30部)
北海道米の澱粉分子構造に及ぼす
登熟温度の影響と新食味評価法に関する研究
(上川農業試験場
500部)
④春まき小麦の初冬まき栽培及び緑肥作物導入による転作麦高品質・高収量
栽培技術の定着・普及報告書
⑤水稲直播に注目(パンフレット)
(技術普及部、H22.3
64 頁、100 部)
(技術普及部、H22.3
2 頁、2,500 部)
(2)成績会議資料
①「道北アスパラガス安定生産に向けた株養成管理技術」に関する成績書
②「水稲に対する普通肥料「米ベスト」の側条施用効果」
(栽培環境科
③「化学農薬によらない水稲の種子消毒法」
④「アズキ茎疫病の圃場抵抗性検定法」
(畑作園芸科、H22.2)
260 部)
(病虫科・中央農試予察科、H22.2)
(病虫科・畑作園芸科・十勝農試小豆菜豆科、H22.2)
⑤道北地域における春まき小麦初冬まき栽培技術の実証(技術体系化チーム、H22.1
64 頁、200 部)
⑥ポリポットを利用した高糖度トマト栽培技術とその経済性評価
(技術体系化チーム、H22.1
60 頁、150 部)
(3)その他試験、調査報告
①平成21年度普及活動実績書
(技術普及部、H22.3.31、31頁、35部)
- 60 -
Ⅴ
そ
の
他
1.職員研修
受
講
者
研
修
項
目
期
間
場
所
松村
誠
平成 21 年度財務会計事務担当職員研修会
H21.5.28
道庁赤れんが1号
松村
誠
平成 21 年度「施設・基盤整備研修」
H21.6.18 ~ H21.6.19
農政部第1中会議室
永井
忠勝
平成 21 年度文書管理・システム操作研修
H21.7.13
道庁別館地下会議室
強力
将幹
〃
柳原
哲司
平成 21 年度新任主幹級職員研修
H21.7.29 ~ H21.7.31
道庁別館
楠目
俊三
平成 21 年度新任主査級職員研修
H21.8.20 ~ H21.8.21
上川支庁
木村
文彦
(独)農業・食品技術総合研究機構
H21.11.9 ~ H21.11.13
(独)農業・食品
〃
〃
「短期集合研修(数理統計)」
総合研究所
2.技術研修生の受入
受
講
者
川 西 善 文
所
属
(財)北海道農業近代化技術
期
間
H20.10.5~
研究センター
研
修
内
容
等
土壌分析技術の向上
H22.2.25
3.海外技術協力
(独)国際協力機構筑波国際センターによる国際交流事業計画に基づき、道内の主な農業施設を
研修視察していたチリ、ミャンマー、スリランカの研修生4名が上川農試を視察することとなり、
水稲科長より、「水稲育種研究並びに畑作育種研究の概要」及び「道の遺伝資源事業の重要性」
などについて講義を実施した。
4.参観、交流
1)一般参観来場者
月
別
4 月
5 月
6 月
7 月
8 月
9 月
10月
11月
人
数
-
48
206
239
267
293
28
33
- 61 -
12月
33
1 月
2 月
3 月
計
-
-
-
1,147
2)上川農試公開デー
○受付した参加者
第14回「農と食の祭典」(平成21年8月12日開催、於:場内)
950
名
○催し、イベント内容
◇場内スタンプラリー:①上川農試の歴史と仕事、④家庭菜園・営農相談、③土壌診断・精米体験、
④水田見学コーナー、⑤苗あてクイズコーナー
◇お米の新品種紹介します
◇ムシムシ・わくわくコーナー
◇この苗なーんだ?
クイズ
◇営農・野菜栽培技術相談
◇やさしい圃場参観(58名)
◇試験場探検隊・徒歩ツアー(40名)
◇旭川農業高校ブラスバンド演奏
◇近隣4町・旭川農業高校特産品フェア、など
○協賛:愛別・上川・当麻・比布の4町およびJA、上川中部地区農業改良普及センター、北海道旭川農
業高等学校
3)新技術発表会
(1)留萌支庁(平成22年2月19日 13:00~15:30 羽幌町中央公民館小ホール 65名参加)
発表テーマ
(発表者)
①
安心で安定した水稲種子消毒
(病
科
小倉
玲奈)
②
夏のフルーツトマトはポットと塩水でつくります
(技術普及部
小松
勉
③
上川北部・留萌版
(主任研究員
柳原
哲司)
④
露地アスパラガスの株養成はp H 矯正と潅水で!
(畑作園芸科
江原
清
)
⑤
道央・道南に適した、多収で病害に強いあずき「十育 155 号」
(畑作園芸科
青山
聡
)
⑥
環境に配慮した施肥指針の改訂版「北海道施肥ガイド 2010」
(中央農試
渡邉
祐志)
⑦
普及センター活動報告~新品種「きたほなみ」で12俵どりへチャレンジ
初冬まき小麦のつくりかた
虫
)
15:10
(留萌農業改良普及センター
外山
直樹)
(2)上川支庁(平成22年2月23日 10:30~16:00 上川合同庁舎3階講堂 96名参加)
発表テーマ
(発表者)
①
安心で安定した水稲種子消毒
(病
科
小倉
玲奈)
②
夏のフルーツトマトはポットと塩水でつくります
(技術普及部
小松
勉
③
上川北部・留萌版
(主任研究員
柳原
哲司)
④
露地アスパラガスの株養成はp H 矯正と潅水で!
(畑作園芸科
江原
清
⑤
シストセンチュウレース 1・3 抵抗性をもつだいず「十育 247 号」(研究部長
紙谷
元一)
⑥
道央・道南に適した、多収で病害に強いあずき「十育 155 号」
(畑作園芸科
青山
聡
⑦
露地野菜でゆっくり効いてくる肥料の使い方
(栽培環境科
坂口
雅己)
⑧
環境に配慮した施肥指針の改訂版「北海道施肥ガイド 2010」
(栽培環境科長
⑨
普及センター活動報告ーホウレンソウケナガコナダニに関する調査研究
初冬まき小麦のつくりかた
虫
(上川農業改良普及センター
- 62 -
)
)
)
五十嵐俊成)
若宮
貞人)
5.マスコミ等への対応
年 月 日
H21. 3.17
H21. 4.23
取材機関
朝日新聞
取材内容
放映、掲載
北海道稲育種の経過について
月刊ソトコト編集 「ゆめぴりか」の育成および北海
対応者
H21.4.19 朝日新聞に掲
沼尾吉則
載
佐藤
毅
NOSAI 会報9月号
佐藤
毅
家庭画報
国際版
佐藤
毅
9月からCM放映
佐藤
毅
佐藤
毅
佐藤
毅
佐藤
毅
佐藤
毅
佐藤
毅
佐藤
毅
ホクレン広報誌『GReen』1 佐藤
毅
月刊ソトコト
7月号
道農業について
H21. 7.22
北海道 NOSAI
ゆめぴりか」の育成および北海道
の水稲育種について
H21. 7.30
家庭画報
Autumn Journey through Japanese
Cuisine and Arts
H21. 8.12
電通北海道
新しい北海道米のエースとして期
待の「ゆめぴりか」の発売に向け広
告を展開する
H20. 8.17
(株)グリーンプ
「きらら397」「ほしのゆめ」
情報誌「ぴあっと」11月
ラネット
「ゆめぴりか」の品種特性と開発
号
の歴史
H21. 8.25
KITE
「北海道じゃらん 10 月号(9/1 北海道じゃらん 10
9 発売号)」にて『ゆめぴり
月号
か』特集について
H21. 8.31
H21. 9.1
H21. 9.4
本村アロテア事
「ゆめぴりか」の開発話や今後 (株)宝島社「田舎暮らし
務所
の展望について総論的な話題
の本11月号」
(株)コスモメディ
「ゆめぴりか」の開発の経緯、苦労し
「北海道生活」11月号
ア
た点について
AIR-Gエフエム
AIR-Gエフエム北海道特番の取材に 9.11放送「agriculture
ついて
H21. 9.4
island」
NHK札幌放送局 米チェン(ゆめぴりか)について 9月放映
「ゆめぴりか」の開発経緯と今後
の方向について
H21. 9.4
ホクレン役員室
「ゆめぴりか」の開発経緯
広報宣伝課
1月号
- 63 -
年 月 日
H21. 9.7
取材機関
FMアップル
取材内容
放映、掲載
「ゆめぴりか」の開発話とその特徴に
対応者
9/13放送
佐藤
毅
10/9 読売新聞
佐藤
毅
10/26 HBC 放映
佐藤
毅
佐藤
毅
ついて
H21. 9.28
読売新聞北海道 「ゆめぴりか」育成について
支社報道課
H21.10.5
旭川市市民生活 「ゆめぴりか」育成について
課広報係
H21.10.5
(株)
nice
BS朝日
「食と出会う旅」の撮影につ
11 月放映
いて
H21.10.26
週刊ポスト
H21.11.17
きらら 397 の育成について
週刊ポスト 11/20 号
沼尾吉則
NHK,UHB,HTB、北 雑種第一代世代の温室での田植え
NHK 11/17 放映
品田 博史
海道新聞、読売
UHB 11/17 放映
について
新聞、朝日新聞
HBC 11/17 放映
北海道新聞
日本農業新聞
読売新聞
H22. 2.17
(株)電通パブリッ 北海道米の育種について
朝日新聞夕刊「凄腕つと
クリレーションズ
めにん」3/8
佐藤
毅
朝日新聞
H21. 3.13
NHK,UHB,HTB、北 雑種第一代世代の温室での稲刈り
NHK,UHB,HTB
3/19
海道新聞、読売
北海道新聞
3/19
新聞、朝日新聞
日本農業新聞
3/19
日本農業新聞
読売新聞
3/20
朝日新聞
3/19
日本農業新聞
3/23
について
- 64 -
品田 博史
6.委員会活動
1)委員会および構成委員一覧
委
員
会
名
委 員 長
「農と食の祭典」実行委員会
紙谷
「キッズサイエンスパーク」実行委
員会
研 修・図 書 委 員 会
紙谷 元一
業
派
務
委
員
遣 職 員 委
会
員
会
運
営
委
員
効
率
化
会
元一
柳原 哲司
(研修)
小田 義信
紙谷 元一
菊地
治己
企画情報および農業情報技術シ ス テ ム
運営委員会(*システム管理者)
作況報告作成(担当)委員会
気 象 委 員 会
防 火 対 策 委 員 会
公
宅
委
員
会
安 全 衛 生 委 員 会
入札参加指名選考委員会
*岩田俊昭
新技術発表実行委員会
紙谷
分 担 事 項
「地域農業技術センタ-連絡協議
会」活動の対応
農業試験場の地方独立行政法人化に
向けた検討委員会
道北産業研究会議幹事、委員
「遺伝資源連絡委員会」の対応
「北農会」協力委員
沼尾 吉則
五十嵐俊成
松尾 邦昭
松尾 邦昭
菊地 治己
菊地 治己
副委員長
柳原
小田
沼尾
哲司
義信
吉則
長濱 恵
(図書)
総 務 課
永井 忠勝
永井
忠勝
強力
将幹
管 理 科
石崎 雅一
委
水 稲 科
吉村 徹
加藤 章広
佐藤 毅
粕谷 雅志
佐藤 毅
江原 清
全 員
小田 義信
粕谷 雅志
佐藤 毅
小田 義信
畑作園芸科
鈴木 和織
病 虫 科
小倉 玲奈
技術普及部
島 恵子
五十嵐俊成
長浜 恵
小松 勉
木村 文彦
鈴木 和織
坂口雅己
五十嵐俊成
東岱 孝司
長浜 恵
沼尾 吉則
佐藤 毅
鈴木 和織
柳原 哲司
五十嵐俊成
長浜 恵
二門
松尾
邦昭
紙谷
松尾
元一
邦昭
坂井 隆寿
強力 将幹
坂井 隆寿
松村
誠
世
永井 忠勝
吉村 徹
中道 浩司
松村 誠
松村 誠
坂井 隆寿
坂井 隆寿
松尾 邦昭
石崎 雅一
稲葉 智弘
真坂 幸男
吉村 徹
吉村 徹
尾崎 洋人
佐藤 毅
品田 博史
沼尾 吉則
鈴木和織
江原 清
鈴木 和織
青山 聡
鈴木 和織
坂井 隆寿
加藤 章広
尾崎 洋人
青山 聡
二門
鈴木
和織
小田
義信
元一
松尾
紙谷
岩田
小田
邦昭
元一
俊昭
義信
主
西村
査
直樹
副
沼尾
査
吉則
西村
直樹
紙谷
佐藤
柳原
元一
毅
哲司
- 65 -
員
栽培環境科
熊谷聡
二門
世
世
東岱 孝司
五十嵐俊成
二門 世
五十嵐俊成
五十嵐俊成
柳原 哲司
小倉 玲奈
東岱 孝司
長浜 恵
齊藤 美樹
熊谷聡
長浜 恵
西村
直樹
岩田 俊昭
西村 直樹
島 恵子
小松 勉
高松 聡
高松 聡
西村 直樹
岩田 俊昭
島 恵子
西村 直樹
島 恵子
小松 勉
2)図書委員会
寄贈図書の受け入れ簿への記載と整理
論文購入希望の取りまとめ
3)研修委員会(学会報告予演会、職員研修の開催)
(1)学会予演会など
農業生物資源研究所遺伝資源研究会発表予演会
育種学会(北大)発表予演会
日本植物病理学会北海道部会発表予演会
日本作物学会北海道支部談話会発表予演会
日本育種学会講演会発表予演会
新技術発表会予演会
(2)職員研修(場内講演会等)
上川支庁長
坂口
収氏
「求められる組織とは」(7.8)
JA きたそらち北竜支所考査役
北海道未来総合研究所理事長
北農会理事(前上川農試場長)
拓殖短期大学名誉教授
石村
日銀旭川事務所長
尾家啓之氏
北大大学院准教授
園山
元北見農試畑作園芸科長
北大大学院准教授
原
勲氏
「北海道米への提言」(8.25)
土屋武彦氏
桜氏
「キューバの農業」(7.24)
「南米の大豆育種」(9.11)
「マダガスカルの稲作」(9.11)
「最近の金融経済情勢など」(10.6)
慶氏「食品による消化管内微生物叢の修飾を介した疾患制御」(11.18)
西田忠志氏
川村周三氏
開拓記念館館長
國廣泰史氏
「新規就農奮戦記」(11.27)
「北海道米食味向上の軌跡ーゆめぴりかの食味評価」(1.26)
丹保憲仁氏による講話(於北方建築総合研究所:2.28)
公務員としての農業試験場職員の心構え(公務員としてのルールとモラル)
勤務実績評価制度に関する職場研修
場の効率的運営及び予算の適正執行について
4)業務委員会
圃場管理業務、環境整備業務等を効率的にかつ円滑に遂行するため、毎週木曜日に業務委員会を
開催した。
5)安全衛生委員会
特別健康診断を実施
特別健康診断該当項目:有機溶剤取扱者、農薬取扱者、農業技能員
受診者数と結果:有機溶剤取扱者6名、農薬取扱者15名、農業技能員4名
6)企画情報および農業情報技術システム運営委員会
場内LANの検討
ホームページの作成・更新
独法移行にあたっての環境整備(個人アドレス検討等)
- 66 -
全て異常なし
7.表
受
彰
賞
者
表
彰
事
項
受賞年月日
五十嵐俊成
日本応用糖質科学会平成 21 年度奨励賞 H21.9.17
千葉一美、白井滋久、島田尚典、藤田正
平成 21 年度北農賞
平、原正紀、村田吉平、足立大山、青山
「きたのおとめ」、「しゅまり」、
聡、松川勲、三浦豊雄、越智弘明、近藤
「きたろまん」の育成
品種育成:あずき H21.12.16
則夫、長谷川尚輝
8.学 位 授 与
五十嵐
俊成
平成 21 年 12 月
博士(農学)
北海道大学
北海道米の澱粉分子構造に及ぼす登熟温度の影響と新食味評価法に関する研究
- 67 -
天
北
支
場
Ⅰ
1.沿
概
要
革
当場は、大正5年に本道北部開拓の前進基地と
か、研究部についても、牧草科、草地飼料科、土
して天塩郡天塩村に天塩農事試作場として発足し
壌肥料科の3科が牧草飼料科と草地環境科の2科
た。その後数次にわたる組織の改称があったが、
に統合、改称された。
昭和25年農業試験研究機関の整備統合により国立
平成18年3月、改訂された道立農業試験場研究
と道立に二分され、当場は道費支弁の北海道立
基本計画に基づき、天北農業試験場は廃止となり、
農業試験場天北支場となった。日本海沿岸北部を
新たに上川農業試験場天北支場が設置された。こ
対象とした天北支場に対し、オホーツク沿岸北部
れに伴い、総務課、研究部、技術普及部が廃止と
を対象とする試験研究機関として、昭和27年枝幸
なり、技術普及部の1部体制となった。また、技
郡浜頓別町字戸出に宗谷支場が発足した。昭和39
術普及部と地域とを繋ぐ主査(地域支援)が新設
年11月試験研究機関の機構改革により宗谷支場を
された。
天北農業試験場に改称し、天北支場は合併されて
2.位
天塩支場となった。
置
この間、道北地域の開発及び農業発展をめざし
当場は枝幸郡浜頓別町緑ヶ丘8丁目2番地にあ
て研究を遂行してきたが、昭和57年12月道立農業
り、北緯45°07′東経142°22′海抜13mに位置
試験場整備計画に基づき天塩支場は本場に吸収統
し、浜頓別町市街中心部から南東1.5㎞の距離で
合され、67年間の幕を閉じた。吸収統合と同時に
国道275号線沿いにある。
泥炭草地科が新設され、浜頓別町頓別原野に泥炭
試験ほ場を設置して試験研究業務を継承した。
3.土
壌
北海道行政組織規則の一部改正により、昭和59
台地は海岸段丘に発達した酸性褐色森林土およ
年4月から草地科が草地飼料科に、平成4年4月
び重粘土と称される疑似グライ土からなり、低地
から研究部長、専門技術員室が新設され,作物科
は頓別川沿いに発展した泥炭土である。台地土壌
が牧草科に改称された。平成11年4月、泥炭草地
の化学性は微酸性で養肥分の保持力に優れている
科は土壌肥料科に統合された。
が、土壌の物理性は重粘堅密で保水性が小さい。
平成12年4月には、時代に即した効果的・効率
4.面積及び利用区分
的な組織再編が行われ、専門技術員室が技術普及
建物敷地75,563.33㎡、試験ほ場492,707.44㎡、
部として新たに試験場の組織に位置付けられたほ
その他1,143,593.87㎡、合計1,711,866.64㎡。
◆土地面積及び利用区分の内訳
建
物
敷
地
(単位
試
験
ほ
場
山 林
沢 地
道 路
合
庁舎等
公
宅
58,392.27
17,171.06
計
75,563.33
畑
採草
放牧地
沼 地
明渠排水
67,328.37 305,807.84 105,051.43 478,187.64 674,468.64 424,787.05
55,017.68
- 69 -
計
原 野
㎡)
計
1,708,024.34
5.機
構
主
場
長
幹
主査(総務)
主査(草地)
支場長
技術普及部次長
主査(家畜)
技術普及部長
主査(環境)
主任普及指導員
6. 職員の配置
(平成22年3月31日現在)
区
支
分
場
研究職
長
行政職
非常勤職員
計
1
1
技術普及部長
1
1
主
幹
1
1
主 査 ( 総 務 )
2
2
6
4
10
7
8
15
技 術 普 及 部
合
7.職
主査(地域支援)
計
員
1)平成22年3月31日現在
職
名
職
種
氏
支場長
研究職
木曽
誠二
主査(家畜)
研究職
井内
浩幸
主幹
行政職
吉田
幸司
主査(環境)
〃
古館
明洋
主査(総務)
〃
奈良
匡巳
主査(地域支援)
行政職
齊藤
博昭
主任
〃
久保田
勝
研究職員
研究職
新宮
裕子
宮崎
元
〃
〃
岡元
英樹
主任
行政職
笹木
正志
〃
〃
松原
哲也
技術普及部長
名
技術普及部次長
研究職
吉澤
晃
主任普及指導員
行政職
山下
一夫
主査(草地)
研究職
佐藤
公一
氏
名
職
名
職
種
氏
名
2)転入及び採用者
職
名
年
月
日
摘
要
主幹
吉田
幸司
21. 4. 1
農政部食品政策課から
主査(地域支援)
齊藤
博昭
21. 4. 1
網走農業改良普及センターから
- 70 -
3)転出及び退職者
職
名
氏
名
年
月
日
摘
要
主幹
高橋
信勝
21. 4. 1
石狩支庁へ
主査(地域支援)
宮崎
隆章
21. 4. 1
十勝農業改良普及センターへ
農業技能員(再任用)
伊藤
勉
21. 3. 31
退職
8.歳出決算
(単位:円)
科
目
予算額(A)
報
酬
共 済 費
賃
金
報 償 費
旅
費
交 際 費
需 用 費
役 務 費
委 託 料
使用料及び賃借料
工事請負費
備品購入費
負担金補助及び交付金
公 課 費
補償、補填及び賠償金
合
計
残額(A-B)
0
1,088,246
7,920,040
0
5,441,819
0
16,015,687
1,720,000
5,720,000
827,000
2,100,000
36,496,065
68,000
104,000
0
0
937,763
7,798,409
0
5,418,904
0
15,434,293
1,666,674
5,195,542
732,115
2,100,000
36,495,359
61,000
94,400
0
0
150,483
121,631
0
22,915
0
581,394
53,326
524,458
94,885
0
706
7,000
9,600
0
77,500,857
75,934,459
1,566,398
9.歳入決算額
科
決算額(B)
(単位:円)
目
予算額(A)
決算額(B)
増減(A-B)
建物使用料
土地使用料
土地貸付収入
農産物売払収入
動物売払収入
不要品売払収入
受託事業収入
労働保険料収入
雑
入
0
65,000
15,000
28,000
399,000
2,000
0
0
0
20,572
63,600
15,000
29,688
346,500
96,950
0
27,829
0
△
合
509,000
600,139
△
計
- 71 -
△
△
△
20,572
1,400
0
1,688
52,500
94,950
0
27,829
0
91,139
10.建
施
物(公有財産)
設
名
庁
舎
庁舎付属棟
調査兼試料調査室
油
庫
研 修 館
肥料・農薬庫
土壌前処理調整室
硝 子 室
牛舎兼牧草収穫庫
第1農機具庫
牧草調査室
試料乾燥庫兼育苗ハウス
管理科作業室兼休憩室
車
庫
農機具及び乾草収納庫
農機具格納庫
牧草温室
作物調査室
作業室
種子乾燥舎
牧草収納庫
ストレス耐性検定舎
堆肥舎
計
棟数
面
積 ㎡
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
483.76/963.48
71.40
120.48
14.06
330.68
99.00
78.92
108.28
435.54
173.58
248.19
88.02
221.00
84.00
241.92
265.35
100.44
233.28/311.04
9.00
116.64
291.60
198.72
317.25
23
4,397.53/4,888.59
備
考
鉄筋コンクリート
ブロック
木造・鉄骨
ブロック
ブロック
鉄
骨
ブロック
鉄
骨
木造・鉄筋コンクリート
鉄
骨
ブロック
鉄
骨
鉄
骨
鉄
骨
鉄
骨
鉄
骨
鉄
骨
鉄
骨
木
造
鉄
骨
鉄
骨
鉄
骨
鉄骨・鉄筋コンクリート
注) 面積の表示は 、「建築面積/延床面積」
11.新たに購入した備品 (購入価格20万円以上のもの)
品
名
規
格
数量
純水製造装置
ヤマトWA710
マニュアスプレッダー
スターTMB4501
純水製造装置
ヤマトWG510
カッティングミル
レッチェSM-100C
分光光度計
日立U-2900
原子吸光光度計
日立Z-2310
土壌用高速遠心機
コクサンH-1400pF
ケルダール自動蒸留滴定装置
ケルテックオート8400/8460
ホイールローダー
LX70
モバイルGNSSレシーバー
トプコンGMS-2
ロータリーモア
バロネスGM100B
熱抽出装置
ファイバーテック1020型
液体クロマトグラフ
LCワークステーションPCセット
合
- 72 -
(単位:円)
計
1台
1台
1台
1式
1式
1式
1式
1式
1台
1式
1台
1台
1台
金
額
1,176,000
1,732,500
1,039,500
1,239,000
1,480,500
5,460,000
3,538,500
8,232,000
7,738,500
976,500
959,700
1,995,000
2,362,500
37,930,200
Ⅱ
気象と作況
1.気象概況
根雪始は平成20年11月19日で平年より2日早
降水量は6、7月が平年より多いかやや多く、5、8、
く、根雪終は平成21年4月14日で平年より1日早か
9月は少ないかやや少なかった。日照時間は5、9
った。積雪期間は148日と平年より2日長かった。
月は平年より長く、6、7月が平年より短く、その
冬期間の気温はいずれの月も平年より高いかやや
他の月はほぼ平年並であった。
高めに推移した。また、降水量は多くの月で平年
農耕期間(5~9月)の積算気温は2148℃で平年よ
よりやや少なめか少なめに推移した。
り109℃低かった。積算降水量は477mmで平年より
融雪後の牧草生育期間は、気温は6、7、8、9月
77mm少なかった。日照時間は754時間で平年より2
が平年より低いかやや低く、5月は高く経過した。
表1
年次
1時間長かった。
季節表(その1)
根雪始
根雪終
降雪終
積雪期間
鍬鋤始
晩霜
(月日)
(月日)
(月日)
(日)
(月日)
(月日)
本年
H20.11.19
H21.4.14
H21.5.14
148
平年
11.21
4.15
5. 1
146
4.25
5.10
比較
△2
△1
13
2
△1
5
表2
H20.5.15
季節表(その2)
初 霜
無霜期間
降雪始
本年
H21.10.16
152
H21.10.31
平年
10.30
171
10.24
比較
△14
△19
表3
H21.4.24
7
季節表(その3)
農耕期間積算値(5~9月)
気温
(℃)
降水量
日照時間
(mm) (hrs)
牧草生育期間の主要気象要素積算値
平均気温
降水量
日照時間
畑地温
(℃)
(mm)
(hrs)
(℃)
本年
2148
477
754
2550
655
1003
2328
平年
2257
553
733
2677
764
954
2536
比較
△109
△77
21
△127
△109
48
△208
注)牧草生育期間は4月21日~11月20日
- 73 -
気象図
- 74 -
気象表
平均気温(℃) 平均最高気温(℃) 平均最低気温(℃)
降水量(mm)
降水日数(日)
本年 平年 比較 本年 平年 比較 本年 平年 比較 本年 平年 比較 本年 平年 比較
上
-3.1 -5.9
2.8 -0.9 -2.9
2.0 -5.4 -9.6
4.2 10.0 32.2 △22.2
3
7 △4
1月 中
-3.3 -7.3
4.0 -1.0 -4.4
3.4 -6.3 -10.8
4.5 14.0 19.5 △5.5
4
7 △3
下
-5.1 -7.3
2.2 -1.8 -4.2
2.4 -8.7 -11.3
2.6 15.5 22.5 △7.0
6
7 △1
上
-6.7 -7.4
0.7 -3.4 -3.7
0.3 -11.0 -11.7
0.7 9.0 16.8 △7.8
6
7 △1
2月 中
-5.6 -7.6
2.0 -2.4 -4.0
1.6 -10.1 -12.7
2.6 44.0 23.0
21.0
8
7
2
下
-6.0 -5.7 △0.3 -2.3 -1.8 △0.5 -10.7 -10.8
0.1 12.0 23.2 △11.2
7
6
1
上
-3.0 -4.8
1.8
1.2 -1.6
2.8 -8.2 -8.9
0.7 18.5 21.3 △2.8
6
6 △0
3月 中
0.4 -2.3
2.7
3.5
1.2
2.3 -2.8 -6.3
3.5 16.0 17.2 △1.2
6
5
1
下
-1.0 -0.4 △0.6
1.1
2.5 △1.4 -3.4 -3.5
0.1 17.5 18.8 △1.3
7
5
2
上
3.0
1.3
1.7
6.9
4.8
2.1 -1.6 -2.3
0.7 6.5 9.9 △3.4
2
4 △2
4月 中
5.3
4.2
1.1 10.0
8.3
1.7
1.5
0.2
1.3 1.5 21.0 △19.5
2
4 △2
下
4.3
5.6 △1.3
7.5 10.2 △2.7
0.8
1.4 △0.6 16.0 22.9 △6.9
4
4
0
上
12.3
7.0
5.3 17.9 11.3
6.6
5.3
2.9
2.4 4.5 26.0 △21.5
2
4 △2
5月 中
10.1
9.2
0.9 14.9 13.6
1.3
5.5
4.8
0.7 20.5 21.5 △1.0
4
3
1
下
9.7 10.3 △0.6 13.8 14.4 △0.6
6.1
6.1
0.0 38.5 31.9
7.0
4
4
0
上
10.1 12.3 △2.2 13.2 16.7 △3.5
7.8
7.9 △0.1 5.5 25.6 △20.0
2
3 △1
6月 中
9.7 13.8 △4.1 12.2 18.0 △5.8
7.7
9.8 △2.1 71.5 15.6
56.0
8
3
5
下
16.2 13.9
2.3 20.6 17.6
3.0 12.7 10.4
2.3 23.5 28.1 △4.0
6
4
2
上
15.3 15.0
0.3 18.3 18.7 △0.4 12.6 11.7
0.9 41.5 30.9
11.0
5
3
2
7月 中
13.4 16.3 △2.9 16.7 19.4 △2.7 10.9 13.4 △2.5 78.5 40.0
39.0
8
4
4
下
13.9 18.0 △4.1 16.5 21.5 △5.0 11.9 14.8 △2.9 70.5 71.2
0.0
7
5
2
上
17.7 20.3 △2.6 21.7 23.6 △1.9 14.8 17.4 △2.6 10.5 38.3 △27.0
3
4 △1
8月 中
17.6 19.6 △2.0 20.5 23.5 △3.0 14.5 15.7 △1.2 14.5 34.9 △20.0
4
3
1
下
18.6 18.3
0.3 22.9 22.0
0.9 15.0 14.8
0.2 31.0 66.6 △36.0
5
6 △1
上
16.3 17.8 △1.5 20.4 21.9 △1.5 12.6 13.8 △1.2 26.0 47.2 △21.0
6
4
2
9月 中
15.8 16.2 △0.4 20.5 20.8 △0.3 11.7 12.0 △0.3 15.5 43.3 △27.0
4
5 △1
下
13.9 13.1
0.8 18.8 17.8
1.0
9.0
8.7
0.3 24.5 32.6 △8.0
6
4
2
上
11.7 12.2 △0.5 16.5 16.0
0.5
7.2
7.5 △0.3 33.5 45.3 △11.0
8
5
3
10月 中
9.5
8.9
0.6 14.5 13.9
0.6
5.0
4.9
0.1 40.0 30.0
10.0
8
5
3
下
8.1
7.5
0.6 12.5 11.8
0.7
4.0
3.2
0.8 11.5 42.6 △31.0
4
6 △2
上
5.6
5.4
0.2
9.4
8.9
0.5
1.8
1.8
0.0 16.5 34.6 △18.0
4
6 △2
11月 中
0.2
1.6 △1.4
2.6
4.5 △1.9 -2.2 -1.3 △0.9 60.5 34.6
26.0
9
7
2
下
-0.3 -0.3
0.0
2.6
2.5
0.1 -2.9 -3.6
0.7 19.5 42.3 △22.0
5
7 △2
上
-1.9 -3.2
1.3
0.8 -0.5
1.3 -4.7 -6.3
1.6 21.5 32.4 △10.0
7
8 △1
12月 中
-5.8 -4.3 △1.5 -2.8 -1.6 △1.2 -9.0 -8.0 △1.0 16.0 30.9 △15.0
6
7 △1
下
-4.2 -5.4
1.2 -1.5 -2.6
1.1 -7.8 -9.0
1.2 13.5 32.9 △19.0
10
8
2
注1)平年値は前10か年の平均値より上川農試天北支場において作成。
2)△印は対平年値比減を示す。
3) 平均畑地温は天北支場のデータ、その他の観測値は浜頓別アメダスのデータ。
項目
月旬
- 75 -
日照時間(hrs)
畑地温(10cm、℃)
本年 平年 比較 本年 平年 比較
18.2 15.3
2.9
10.6 15.6 △5.0
19.6 23.6 △4.0
32.8 28.5
4.3
27.8 31.2 △3.4
26.3 28.6 △2.3
47.7 37.8
9.9
32.6 45.4 △12.8
32.0 45.6 △13.6
84.7 51.8 32.9
74.0 50.4 23.6
65.5 53.4 12.1
3.6
4.7 △1.1
93.2 51.2 42.0
8.2
5.6
2.6
70.8 54.4 16.4
7.6
7.0
0.6
48.2 52.3 △4.1
9.3
8.8
0.5
26.6 52.5 △25.9
8.6 10.1 △1.5
17.7 46.8 △29.1
9.4 12.2 △2.8
59.6 46.8 12.8 11.1 12.8 △1.7
29.1 47.2 △18.1 11.6 14.0 △2.4
25.0 33.9 △8.9 11.6 15.0 △3.4
22.0 40.1 △18.1 12.9 16.3 △3.4
71.4 41.8 29.6 15.6 17.8 △2.2
25.5 52.3 △26.8 16.4 18.3 △1.9
67.0 48.7 18.3 16.3 17.5 △1.2
56.7 55.7
1.0 15.7 16.8 △1.1
69.4 53.9 15.5 15.6 16.0 △0.4
71.8 55.8 16.0 14.6 13.9
0.7
51.5 45.4
6.1 11.3 12.7 △1.4
46.0 41.6
4.4
9.4 11.0 △1.6
39.0 33.6
5.5
8.8
7.6
1.2
27.4 26.0
1.4
6.3
6.1
0.2
19.2 20.1 △0.9
4.2
4.4 △0.2
19.7 20.7 △1.0
23.8 17.7
6.0
27.3 17.1 10.0
35.4 17.3 18.0
最多 平均風速
風向 (m/s)
E
3.4
NE
3.8
ESE
2.7
NW
2.6
E
3.9
N
3.0
WSW
3.6
WSW
3.2
WSW
3.8
SW
3.3
WSW
3.9
SW
5.1
SSW
4.3
SW
4.2
ESE
2.8
E
3.0
ESE
3.6
E
3.3
ESE
3.3
E
2.8
E
3.2
E
2.2
E
2.8
WSW
3.0
NW
2.5
WSW
2.4
WNW
2.4
WSW
3.4
SW
2.9
WNW
3.2
SW
3.3
ENE
3.1
SSW
2.7
SSW
3.4
SSW
2.8
SSW
3.0
2.作
況
1)チモシー採草型
低く推移したために生育が遅れ、草丈は平年より
10cm短く、乾物収量の平年比は75%であった。3
作況:やや不良
(1番草:平年並,2番草:不良,3番草:不良)
番草は2番草刈取り後の降水量が少なく、かつ9月
由:4月上旬の気温が平年より高かったた
上旬の平均気温が平年より低かったため、収穫時
め、萌芽期は平年より11日早い4月16日となった。
の草丈は平年より6cm低く、乾物収量の平年比は8
冬損はほとんど認められなかった。1番草の出穂
2%であった。年間合計乾物収量の平年比は91%
始は平年より3日遅く、収穫時草丈は平年より11c
とやや低かったため、本年の作況はやや不良と判
m高く、乾物収量の平年比は100%であった。2番
断された。
事
草は7月中旬から8月上旬にかけて気温が平年より
越冬後の生育状況・1番草出穂始・収穫期及び草丈
萌芽期
冬損程度
1番草出穂始
(月日) (1無微-9甚)
本 年
平 年
比 較
4.16
4.27
△11
1.0
1.0
0.0
(月日)
6.20
6.17
3
収 穫 期(月.日)
1番草 2番草 3番草
6.24
6.23
1
8.14
8.16
△ 2
草
丈 (cm)
5月20日 1番草 2番草 3番草
10. 7
10. 8
△ 1
35
28
7
112
101
11
61
71
△10
39
45
△ 6
注)供試品種:「ノサップ」。平年値は前7か年のうち、平成14年(最凶)及び平成20年を除いた5か年平均
値(以下同様)。
生草収量・乾物率・乾物収量
生 草 収 量
(kg/10a)
1番草 2番草 3番草 年合計
本 年
平 年
比 較
3,814
3,753
61
1,062
1,243
△181
530
839
△309
5,406
5,835
△429
乾 物 率
(%)
1番草 2番草 3番草
19.2
19.6
△0.4
19.1
21.5
△2.4
平年比(%)
- 76 -
27.5
20.7
6.8
乾 物 収 量
(kg/10a)
1番草 2番草 3番草 年合計
732
735
△ 3
203
271
△68
146
177
△31
1,081
1,183
△102
100
75
82
91
2)ペレニアルライグラス放牧型
回復し、2番草乾物収量の平年比は100%であった。
3番草は生育期間中の降水量が平年より多かった
作況:良
ため、生育が順調で、乾物収量の平年比は165%
(1番草:やや不良,2番草:平年並,
3番草:
やや良,4番草:平年並,
であった。4~5番草の生育期間中は平均気温が平
5番草:
やや良,6番草:やや良)
年より低く推移したが、生育に影響はなく、乾物
収量の平年比は4番草が101%、5番草が107%であ
由:4月上旬の気温が平年より高かったた
った。6番草生育期間の気象条件は3旬平均で平年
め、萌芽期は平年より7日早い4月21日となった。
並であったが、生育は順調で、乾物収量の平年比
冬損程度は平年よりやや高かった。1番草乾物収
は136%と多収であった。年間合計乾物収量の平
量の平年比は91%とやや低収であり、冬損により
年比は112%と平年を上回ったことから、本年の作
茎数が減少したためと考えられた。その後生育は
況は良と判断された。
事
越冬後の生育状況及び草丈
本 年
平 年
比 較
萌芽期
冬損程度
草
丈
(cm)
(月日)
(1無微-9甚)
1番草
2番草
3番草
4番草
4.21
4.28
△ 7
3.0
2.2
0.8
26
24
2
62
55
7
47
32
15
42
36
6
5番草
6番草
34
38
△ 4
28
31
△ 3
注)供試品種:「ポコロ」。平年値は前7か年のうち、平成18年(最豊)及び平成19年(最凶)
を除いた5か年平均値(以下同様)。
生草収量及び乾物率
生 草 収 量
(kg/10a)
乾 物 率
1番草 2番草 3番草 4番草 5番草 6番草 年合計
本 年
平 年
比 較
308 2,113 1,026 1,013
425 1,760
591
914
△117
353
435
99
928
996
△68
656
477
179
1番草 2番草 3番草 4番草 5番草 6番草
6,044
5,163
881
23.5 16.2 17.7 17.6
22.1 19.7 19.1 19.3
1.4 △3.5 △1.4 △1.7
乾物収量(kg/10a)
本年
平年
比較
平年比(%)
1番草
2番草
3番草
4番草
5番草
6番草
年合計
72
79
△ 7
342
342
0
182
110
72
178
176
2
164
153
11
117
86
31
1,055
946
109
91
100
165
101
107
136
112
- 77 -
(%)
17.7 17.8
17.0 18.4
0.7 △0.6
《付》作況調査供試作物及び耕種概要
1)供試草種・品種および播種量
利用形態
草
種
品
種
播 種 量
採 草 型
チモシー
ノサップ
1.5 kg/10a
放 牧 型
ペレニアルライグラス
ポ コ ロ
2.0 kg/10a
2)調査方法
① 施肥量(㎏/10a)
1年目 採草型チモシー
放牧型ペレニアルライグラス
2年目 採草型チモシー
放牧型ペレニアルライグラス
造成時・早春
各 刈 取 後
年 間 合 計
N
N
P2O5
K2 O
N
P2O5
K2 O
4.0 20.0
6.0
4.0
1.5
3.8
(刈取回数による)
4.0 20.0
6.0
3.0
1.0
2.5
(刈取回数による)
8.0
3.0
7.5
4.0
1.5
3.8
16.0
6.0 15.1
3.0
1.0
2.5
3.0
1.0
2.5
18.0
6.0 15.0
注)1年目は造成時に炭カル200kg/10a、堆肥2t/10aを施用。
② 播種期:平成20年6月19日
① 播種法・試験区面積
(採草型と放牧型に共通)
条播(畦幅30cm×畦長4.0m×12畦)、
試験区面積14.4㎡
④ 調査対象:2年目草地
⑤ 刈取回数:
採草型3回(1番草出穂始から5日後以内、
2、3番草は前番草の刈取りから50日後)
放牧型6回(5月~10月まで毎月20日)
- 78 -
P2 O5
K2 O
Ⅲ
試験研究成果の概要
1.試験研究成果の概要
新規課題は「道北におけるイタリアンライグラ
スによる無除草剤草地更新技術の導入と簡易化」
1)草地グループ
牧草・飼料作物の優良品種選定に関する試験お
と「天北地域における干ばつ被害予測を考慮し
よび牧草の安定栽培技術や放牧利用に関する試験
た適正草種導入区分図による良質粗飼料生産」
を実施している。
の試験が開始された。前者はリードカナリーグラ
本年度とりまとめた試験は次のとおりである。
スなどを抑制するためにイタリアンライグラスを
牧草系統適応性検定試験ではチモシー「北見25
利用した無除草剤草地更新法において、更新草種
号」(北見農試育成)、アカクローバ「北海13号」(北
としてペレニアルライグラスを用いイタリアンラ
農研センター育成)が北海道優良品種となった。
イグラス栽培年数の短縮を検討する。後者は気象
飼料作物品種比較試験では、チモシー「SBT0308」
と土壌に関する既往の成果と合わせて各草種の地
及び「SBT0310」(いずれも雪印種苗育成)が北海道
域に対応した栽培適正を評価して地図化する。
各種事業は「モデルほ場の土壌環境調査及び地
優良品種となった。
その他実施した試験成果は次のとおりである。
域版かん水マニュアル策定支援」では雄武地区(雄
ペレニアルライグラス新品種育成試験では、育
武町)で実施し、調査結果を関係各機関に報告し
成系統の増殖と保存ならびに育種材料の保存とし
た。地域ニ-ズに対応した調査は、畜産環境保全
て、「ポコロ」、「チニタ」の親系統の保存を継続す
特別指導事業では家畜排せつ物の利用促進等に関
るとともに、「チニタ」の合成1代及び合成2代種子
する調査・実習を興部町と天塩町で実施した。網
の採種を行った。
走支庁の公社営草地整備事業調査では、遠軽町と
牧草系統適応性検定試験は、アカクローバ3系
雄武町の施工予定地において、鎮圧ローラ付砕土
統(北農研センター)の5年目、チモシー早生2系統
機および施肥播種機を用いた草地整備に係る現地
(北見農試)の4年目、及びアカクローバ2系統(北
圃場調査を実施した。
農研センター)の1年目の調査を行った。
とうもろこし奨励品種決定調査では、北農研セ
3)技術体系化チーム
ンター育成の「北交68号」の2年目、及び「北交73号」
「道北・草地酪農における放牧期とうもろこしサイ
の1年目の調査を行った。
レージ給与技術の実証」では、細断型ロールベーラ
飼料作物品種比較試験のうち、牧草ではアカク
で調製したとうもろこしサイレージの乳牛への給与
ローバ2系統、チモシー極早生2系統、同中生3系
効果を検討した。その結果、 夏 と 秋 の 放 牧 期 に
統について3年目の調査を行い、イタリアンライ
おけるとうもろこしサイレージ給与は栄養バ
グラス7品種系統について2年目の調査を行った。
ランスを改善する効果があり、乳生産の向上
とうもろこし(サイレージ用)では3年目検定1品
も期待できた。3年間の成果を取りまとめ、
種、2年目及び1年目検定各3品種の調査を行った。
「乳牛の放牧期とうもろこしサイレージ給与
の 効 果 と 栄 養 バ ラ ン ス 適 正 化 の た め の 給 与モ
デル」として平成22年指導参考事項となった。
2)環境グループ
草地環境の保全と家畜ふん尿の有効利用、飼料
「 天北地域における干ばつ被害予測を考慮した
自給率の向上に向けた牧草生産の安定維持管理、
適正草種導入区分図による良質粗飼料生産」 で
草地基盤の整備改良等に関する技術開発・調査、
は 初 年 目 の 調 査 を 行 い 、 草 地 の 永続性に関連
ならびに地域ニ-ズに対応した環境保全研究を実
する土壌の要因調査と牧草の耐干性の草種間差異
施している。
解明のためのかん水処理を開始した。
- 79 -
2.試験研究の内容
ある。斑点病抵抗性は、各番草の罹病程度から、
1)草地
強いと考えられる。年合計及び2年目~4年目乾物
(1)草
収量比はいずれも108%とやや多収である。本系
地
統は北海道優良品種に認定された 。「北見26号」
ア.品種改良試験
は出穂始が同日で、「ノサップ」と同熟期の早生で
(ア)ペレニアルライグラス新品種育成試験
(114110)
ある。斑点病抵抗性は、各番草の罹病程度から、
(平成4~19年)
試験目的
強いと考えられる。年合計乾物収量は並、2年目
道内の土壌凍結のない地域を対象とし、多収で
~4年目乾物収量比は105%とやや多収である。
越冬性、永続性、耐病性を備えた品種を育成する。
本課題は平成19年度で中止となったため、「a.育
b.アカクローバ(平成17~21年)
材料:北農研センター育成系統「北海13号」「北
成品種の増殖と保存」のみ継続した。
海14号」「北海15号」及び「ナツユウ(標準)」
a.育成品種の増殖と保存(昭和61年~)
方法:散播(チモシー「ノサップ」と混播)、播種
(a)育成品種の増殖(昭和61年~)
材料:「チニタ」
量RC30g/a+TY150g/a、1区面積6.0㎡、年間3回刈
方法:合成1代種子は昨年度2-A圃場に造成した
り、乱塊法4反復。
採種圃場で採種し、合成2代種子(育種家種子)は2
結果(標準品種「ナツユウ」と比較):「北海13号」
一昨年度造成したK-10、K-11圃場で採種した。2-
は1番草刈取時のステージがやや遅く、秋のRC
A圃場では次年度も採種を行うため、根雪前に雪
株数がやや多い。年合計乾物収量は、TYがやや
腐病の防除(フロンサイド散布)を行った。
少なく、RCが多く、両草種合計が並である。
マメ科率は2番草でやや高い。本系統は北海道優
結果:種子は現在精選中である。
良品種に認定された。「北海14号」は1番草刈取時
(b)育成品種の保存(昭和61年~)
材料:「ポコロ」、「チニタ」の親栄養系
のステージが進む。年合計乾物収量は、TYがや
方法:両親栄養系は1/2000ワグネルポット及び
や少なく、RCが多く、両草種合計が並である。
マメ科率は2番草でやや高い。「北海15号」は1番草
圃場に移植し、保存中である。
刈取時のステージがやや進む。年合計乾物収量は、
TYがやや少なく、RCが多く、両草種合計が並
(イ)牧草系統適応性検定試験
(124080)
である。マメ科率は2番草でやや高い。
(昭和38年~)
試験目的
育種場所で育成された系統について、その特性
c.アカクローバ(平成21~24年)
材料:北農研センター育成系統「北海16号」「北
および生産力を検討し、道北地域における適応性
海17号」及び「アレス(標準)」「クラノ(比較)」
を明らかにする。
方法:散播(チモシー「キリタップ」と混播)、播
a.チモシー(平成18年~21年)
材料:北見農試育成系統「北見25号」「北見26号」
種量RC30g/a+TY150g/a、1区面積6.0㎡、本年度
は掃除刈り3回、4番草収量調査、乱塊法4反復。
及び「ノサップ(標準)」「オーロラ(比較)」
方法:条播(畦幅30cm)、播種量200g/a 1区面
結果(標準品種「アレス」と比較):「北海16号」は
積6.0㎡、乱塊法4反復。播種期は平成18年5月18
調査特性がいずれも並であった。「北海17号」は生
日。刈取回数は3回/年。
育調査特性がいずれも並で、乾物収量はTYがや
結果(標準品種「ノサップ」と比較):「北見25号」
や多く、RCがやや少なかった。
は出穂始が同日で、「ノサップ」と同熟期の早生で
- 80 -
(ウ)とうもろこし奨励品種決定調査
(522140)
b.第6次チモシー(平成19~21年)
(昭和59年~)
① 極早生群
試験目的
材料:「SBT0001」「SBT0301」「クンプウ(標準)」
北海道農業研究センターの育成系統について、
方法:単播・条播(畦幅30cm)。播種量200g/a、
当地域における適応性を検定する。
1区面積6.0㎡、乱塊法4反復。
a.基本調査
結果(標準品種「クンプウ」と比較):「 SBT0001」
材料:「北交68号」(2年目)、「北交73号」(1年目)、
は萌芽期が1日早く、早春草勢がやや劣る。出穂
「デュカス(標準)」、「たちぴりか(比較)」、「チベ
始は1日遅く、各番草とも出穂程度が低い。2番草
リウス(比較)」
と3番草の斑点病罹病程度が低い。年合計乾物収
方法:栽植密度7576本/10a(畦間60cm×株間22c
量は並である。「SBT0301」は出穂始が1日遅く、各
m)、1区面積11.1㎡、乱塊法3反復、播種期;5月
番草とも出穂程度が低い。2番草と3番草の斑点病
14日、収穫期;10月6日。
罹病程度が低い。年合計乾物収量は並である。
結果(「デュカス」と比較):「北交68号」は発芽、
② 中生群
初期生育が優れ、雄穂開花期は6日、絹糸抽出期
は5日早い。収穫時熟度は糊熟後期で、進む。乾
材料:「SBT0308」「SBT0309」「SBT0310」「キリタッ
プ(標準)」
物収量は「デュカス」比で85%と低い。「北交73号」
方法:a.単播試験;条播(畦幅30cm)。播種量20
は発芽、初期生育が優れ、雄穂開花期は4日、絹
0g/a、1区面積6.0㎡、乱塊法4反復。b.混播試験
糸抽出期は3日早い。収穫時熟度は糊熟後期で、
;散播(アカクローバ「アレス」を混播)。播種量20
進む。乾物収量は「デュカス」比で89%と低い。
0g/a、1区面積6.0㎡、乱塊法4反復。
結果(標準品種「キリタップ」と比較):a.単播試
イ.飼料作物品種比較試験
(224110)
験;「SBT0308」は萌芽期が1日、出穂始が2日早く、
試験目的
各番草の出穂程度が高い。倒伏の発生が認められ、
海外導入品種および国内(民間等)育成品種系統
その程度は並である。すじ葉枯病罹病程度がやや
について、その特性および生産力を検討し、道北
高く、斑点病罹病程度が低い。年合計乾物収量は
地域における適応性を検討する。
多い。本系統は北海道優良品種に認定された。「S
(ア)牧草類品種比較試験
BT0309」は萌芽期が1日遅く、早春草勢がやや劣る。
(昭和56年~)
a.第6次アカクローバ(平成19~21年)
出穂始は2日早く、各番草の出穂程度が高い。倒
材料:「SBR9502」「SBR9901」「ナツユウ(標準)」
伏は発生せず、斑点病罹病程度が低い。年合計乾
方法:散播・混播(チモシー「ノサップ」と混
物収量はやや少ない。「SBT0310」は萌芽期が1日遅
播)、播種量RC30g/a+TY150g/a、1区面積6.0㎡、
い。出穂始は1日早く、各番草の出穂程度が高い。
乱塊法4反復。
倒伏は発生せず、斑点病罹病程度が低い。年合計
結果(標準品種「ナツユウ」と比較):「 SBR9502」
乾物収量は並である。本系統は北海道優良品種に
は2番草のTY草丈とRC着花茎出現程度がやや
認定された。b.混播試験;「SBT0308」はTYの出
低い。秋のTY被度がやや高く、裸地割合がやや
穂始が2日早く、TYの倒伏程度がやや高い。秋
低い。年合計乾物収量はTYが並で、RC及び両
の被度はTYがやや高くRCがやや低い。年合計
草種合計がやや少ない。「SBR9901」は2番草のRC
乾物収量はTYが多く、RCがやや少なく、両草
草丈がやや高い。春の裸地割合がやや高く、秋の
種合計がやや多い。「SBT0309」はTYの出穂始が2
TY被度がやや低い。年合計乾物収量はTY及び
日早く、TYの倒伏程度がやや低い。年合計乾物
両草種合計が並で、RCがやや多い。2番草のマ
収量は、TYが並、RCが少なく、両草種合計が
メ科率がやや高い。
やや少ない。「SBT0310」はTYの出穂始が1日早く、
- 81 -
TYの倒伏程度がやや高い。年合計乾物収量はT
総体乾物率は並である。乾雌穂重割合はやや高く、
Yがやや多く、他は並である。
乾物中推定TDNは並である。推定TDN量は多い。「H
K6709」は「デュカス」に比べて絹糸抽出期は2日遅く、
c.第2次イタリアンライグラス(平成20~22年)
登熟は並である。総体乾物率、乾雌穂重割合及び
材料:「Primora」「Splendor」「Sabroso」「タチサ
乾物中推定TDNはいずれも並である。推定TDN収量
カエ」「KA201」「KA401」「ヒタチヒカリ」「ビリオン
は多い。「KD301」は「チベリウス」に比べて絹糸抽出期
(標準)」「マンモスB(参考)」
は同日で、登熟は並である。乾雌穂重割合はやや
方法:単播・条播(畦幅30cm)。播種量350g/a、
1区面積5.4㎡、乱塊法4反復。播種期5月20日。
高く、総体乾物率、乾物中推定TDN及び推定TDN収
量は、いずれも並である。「X7V806」は「チベリウス」に
結果(標準品種「ビリオン」と比較):「Primora」
比べて初期生育がやや劣り、絹糸抽出期は3日早
は1番草の出穂始が1日早く、2~3番草の出穂始は
い。登熟はやや進む。総体乾物率は並である。乾
0~1日の差である。年合計乾物収量は並である。
雌穂重割合は高く、乾物中推定TDNはやや高い。
「Splendor」は1番草の出穂始が3日、2~3番草の出
推定TDN収量は並である。「HE0758」は「チベリウス」に
穂始が2日早い。秋の草勢が劣る。年合計乾物収
比べて絹糸抽出期は同日で、登熟は遅い。総体乾
量は並である。「Sabroso」は1番草の出穂始が2日、
物率は並である。乾雌穂重割合は低く、乾物中推
2~3番草の出穂始が1日早い。年合計及び2カ年平
定TDNは並である。推定TDN収量はやや多い。「KE8
均乾物収量がやや多い。「タチサカエ」は出穂始が各番
310」は「チベリウス」に比べて絹糸抽出期は1日早く、
草とも同日で、秋の草勢が優れ、前年播種区の越
登熟は並である。総体乾物率、乾雌穂重割合及び
冬個体割合が高い。乾物収量は年合計が多く、2
乾物中推定TDNは並である。推定TDN収量はやや多
カ年平均がやや多い。「KA201」は1番草の出穂始が
い。
4日、2~3番草の出穂始が1日早い。年合計乾物収
(2)牧草利用試験
量がやや多い。「KA401」は1番草の出穂始が3日、2
ア.傾斜放牧地における泌乳牛のエネルギー要求
~3番草の出穂始が2日早い。秋の草勢が劣る。年
量の査定
合計乾物収量は多い。「ヒタチヒカリ」は1番草の出穂始
が8日遅い。秋の草勢が優れ、前年播種区の越冬
(平成19~21年)
試験目的
個体割合が高い。乾物収量は年合計が並で、2カ
年平均がやや多い。
傾斜放牧地における泌乳牛のエネルギー要求量
を査定するため、傾斜や草量など異なる放牧条件
下で牛の移動角度および速度からエネルギー消費
(イ)とうもろこし(サイレージ用)品種比較
試験
量を推定する。本年度は、傾斜放牧地での泌乳牛
(昭和55年~)
の採食時における移動速度および移動傾斜角度別
材料:「HE05102(3年目)」、「HK7701(2年目)」、「H
に心拍数を測定した。さらに、これまで調査した
K6709(2年目)」、「KD301(2年目)」、「X7V806(1年
各農家の行動調査の結果から採食時のエネルギー
目)」、「HE0758(1年目)」、「KE8310(1年目)」、「デ
消費量(EE)を推定し、地形(斜面長、傾斜地面
ュカス(標準)」、「チベリウス(標準)」
積)、植生(草量)条件との関連を検討した。
方法:ア-(ウ)試験と同じ。
試験方法
結果:「HE05102」は「チベリウス」に比べて絹糸抽出期
(a)各行動形と心拍数との関係
が3日遅く、登熟は遅い。総体乾物率はやや低い。
供試農家
乾雌穂重割合は低く、乾物中推定TDNはやや低い。
宗谷管内のC農家内の輪換放牧地
(7.4ha)
推定TDN収量はやや少ない。「HK7701」は「デュカス」に
測定月
6、7、9、10月
比べて絹糸抽出期は1日遅く、登熟は並である。
供試牛
搾乳牛3~5頭
- 82 -
測定項目
心拍数、採食時間、採食時の移動速度、
移動傾斜角度
(b)採食時のEEの推定
a)で得られた結果を基に、これまで調査した農
及ぼす影響
供試放牧地
浜頓別町内のRCG優占放牧地
放牧期間
5~9月
供試牛
ホルスタイン種育成および乾乳牛
家の採食時のEEを推定した。
Y(kJ/BW
0.75
3頭×2群
/時間)=
試験処理
0.4325×心拍数(回/分)-2.59
(安藤・大槻、1998)
試験結果
処理1
放牧強度(300・400・500・600CD/ha)
処理2
休牧日数(400CD×30・40日)
測定項目
(a)放牧草の採食時における相対心拍数は、立位
放牧前後の草量、RCG草丈、冠部被度、根の重量
休息時よりも高かった。上りにおける採食時の相
およびNSC含量
対心拍数は移動傾斜角度8度以上が、0 ~2度未満
試験結果
(a)これまで調査した結果を含めてパドック内で
の値より高く、移動速度15m/分以上が 0 ~2m/分
粗飼料の併給のない放牧地の放牧強度は284~584
未満の値よりも高かった。
CD/haと牧区により異なっていたがRCG優占割合と
(b)傾斜面、傾斜地面積及び草量との関係は
斜面長:斜面長の短いまたは長い放牧地ともに平
の関係は明確でなかった。
坦放牧地と仮定して算出した採食時のEEと比較し
(b)試験処理では
処 理 1: 試 験 2 年 目 の 放 牧 4 回 目 に お け る
て、その増加割合は小さかった。
300CD 区、試験 1 年目の放牧 4 回目における
傾斜地面積:傾斜地面積割合の高いまたは低い放
牧地ともに、平坦放牧地と仮定して算出した採食
500CD 区、600CD 区の放牧前草量に占める RCG
の乾物重量割合は、試験開始時とほぼ同程度であ
った。一方、400CD 区は試験 2 年目の放牧 4 回
時のEEと比較して、その増加割合は小さかった。
目で増加する傾向があった。各処理区ともに RCG
草量:各草量における採食時の移動速度が15m/分
が減少する傾向はなかった。
以上を占める割合は小さく、草量と採食時間あた
処理 2:最終放牧回次における放牧前の草量に占
りのEEとの間に明確な関係はなかった。
める RCG の乾物重量割合は、30 日区では試験
開始時とほぼ同程度であり、 40 日区では低下す
イ.放牧強度を用いたリードカナリーグラス主体
放牧地の植生管理
(平成20~21年)
試験目的
リードカナリーグラス(RCG)主体放牧地の植生
管理法を確立するため、RCGを抑制するために必要
な放牧強度を明らかにする。
及ぼす影響は明確でなかった。
ウ.とうもろこし栽培試験
(ア)天北地域におけるとうもろこしの低コスト安
定栽培法の開発と安定栽培区分の策定
(平成20~21年)
試験目的
(a)放牧強度とRCGの優占割合との関係
冷涼な天北地域におけるとうもろこし栽培面積
宗谷管内の酪農家3農家の更新後
の拡大を目的とし、新品種等を活用した安定栽培
10年以上が経過した放牧専用地
調査項目
年間の放牧では休牧日数の違いが RCG の割合に
(214101)
試験方法
調査放牧地
る傾向にあったが、減少の程度は小さかった。 1
法、播種床造成法の簡略化について検討する。ま
RCG冠部被度、土壌の含水率
(b)放牧強度および休牧日数の違いがRCG割合に
た、当地域を対象とした安定栽培適地マップを作
- 83 -
成するための基礎データを収集する。
(2番草刈取後、リードカナリーグラス)
試験方法
薬量:500、750、1000ml/水量50㍑/10a
・新品種・系統の導入と狭畦露地栽培の適用性評
結果
価
本年度は薬剤の処理のみを行った。次年度に草
供試品種
「デュカス」「
・ たちぴりか」
地の更新を行う。
栽植様式
畦間50cm×株間20cm(狭畦-全層、
10,000本/10a)
(イ)飼料用とうもろこし関係除草剤
畦間72cm×株間18cm(慣行-側条、
供試薬剤名および処理
7,576本/10a)
試験場所
BAH-0805乳剤(1年生全般、土壌処理)
現地(猿払村)
薬量:200、300、400ml/水量100㍑/10a
・播種床造成法の簡略化の確立
処理時期:出芽直前~出芽揃
経年草地にグリホサート系除草剤散布後、播種
対照薬剤:ゲザノンフロアブル
床造成に関する処理区を設置。完全不耕起、ロー
タリーハローのみ、プラウ耕後ロータリハロー、
300ml/水量100㍑/10a
結果
プラウ耕後ディスクハローで砕土を行った4処理
除草効果は高く、薬害は認められなかった。
区とした。
効果および薬害の再確認のため、継続する。
播種はジョンディア社製の不耕起播種機を用
2)環境
い、品種としては「デュカス」を用いた。
試験場所
場内
(1)土壌機能増進対策事業
・栽培限界地域の気象解析
ア.環境保全型有機質資源施用基準の設定調査
試験場所
猿払村、浜頓別町の2市町村3地点
栽植様式
畦間50cm×株間20cm(狭畦、
(131110)
10,000本/10a)
気温データの収集
(ア)土壌機能モニタリング調査
(平成10年~)
調査目的
アメダスデータおよび温度
データロガー
農業基盤である土壌環境について、動的変化を
総合的に把握して、適切な管理対策の資料とする。
試験結果
調査方法
①全層施肥による狭畦栽培では、側条施肥の慣行
地域、地目、土壌統群を考慮して定点を設け、
畦間栽培より収量が劣っていた。
土壌管理実態、土壌断面形態の変化ならびに土壌
②対照としたプラウ耕後ロータリハローの処理に
理化学性の変化を追跡調査する。
比べ、プラウ耕後ディスクハローの処理はやや個
調査地区
体数は少なかったが、乾物収量は同程度であった。
猿払村の灰色台地土4定点・褐色森林土4定点、
③単純積算気温は概ね平年並みであったが、夏季
浜頓別町の褐色森林土4定点・灰色台地土4定点・
間に低温があり、絹糸の抽出や雄穂の開花は遅れ
泥炭土4定点の草地について土壌調査を実施し、
た。生草収量は場所による違いが顕著であった。
理化学性分析用の土壌を採取した。調査・土壌分
子実熟度はいずれも遅れていた。
析結果は中央農試の担当科に報告した。
エ.新農業資材実用化試験(229020)
イ.地力増進地域に対する対策
(ア)草地関係除草剤
(ア)地力増進対策指針の策定
供試薬剤名および処理
(131410)
NC-622液剤およびZK-122液剤
本年度の調査担当地区なし。
- 84 -
(昭和60年~)
(2)土壌調査
ついて調査を実施した。調査結果は中央農試の担
ア.
当科に報告した。
道営土地改良事業調査地区土壌調査-草地
整備
(547110)
(昭和40年~)
(3)道北におけるIRによる無除草剤草地更新技
本年度の調査担当地区なし。
術の導入と簡易化
(542011)
イ.
モデルほ場の土壌環境調査及び地域版かん
試験目的
水マニュアル策定支援
(547510)
(平成21~23年)
リードカナリーグラス(RCG)などを抑制する
(平成18年~22年)
ために、イタリアンライグラス(IR)を利用した
試験目的
ロータリー4回掛けを伴う無除草剤草地更新法に
国営かんがい排水事業雄武中央地区により畑地
おいて、更新草種としてペレニアルライグラス(P
かんがい施設が整備されたため、地域に適合した
R)を用いIR栽培年数の短縮を検討する。
これらの技術確立、円滑な末端施設整備の推進お
試験方法
よび啓発普及をする。
ア)泥炭草地試験
試験方法
供試圃場:浜頓別町RCG優占客土済泥炭土圃場
ア)調査地区:雄武地区(雄武町)
試験処理:IR2年間栽培後PR播種「IR2区」、IR1年
イ)調査項目:土壌断面調査、土壌理化学性、土
間栽培後PR播種「IR1区」、PR無除草剤更新「PR区」、
壌保水性、土壌水、石灰・リン酸資材所要量
PR春除草剤散布更新「PR+除」
試験結果
耕種概要:IR「マンモスB」4kg/10a及びPR「ポコ
モデルほ場2地点-2断面について土壌調査と土
ロ」3kg/10aを5月下旬に播種し、1番草がIR7/21
壌理化学性分析などを実施した。その結果を財団
・PR8/4、2番草がIR8/26・PR9/29、3番草がIR10/
法人北海道農業近代化技術研究センターに報告し
9に収穫した。規模は1区50m×12m。
た。
イ)現地実証試験
幌延町の供試圃場:シバムギ優占圃場「低地 」、
ウ.
全国農地土壌炭素調査
(131000)
地下茎型イネ科雑草優占圃場「台地」
(平成20~24年)
調査目的
耕種概要:IR「マンモスB」4kg/10aを5月中旬に
播種し、1番草7月下旬、2番草8月下旬、3番草10
農耕地における土壌炭素の貯留量と営農管理に
よる変動を明らかにする。
月上旬に収穫した。
試験結果
調査方法
ア)更新時の土壌物理性は貫入硬度、砕土率及び
ア)土壌炭素調査
耕起深が概ね基準値程度、沈下量(1kg/㎡)が約
現行の土壌機能モニタリング調査1年目地点を
5mmであり、更新に支障のない状態であった。
調査定点とし、同一地点を平成20年から5年間継
続して調査を実施する。
イ)発芽個体数(本/㎡)はIRが約1900、PRが1383
~1500、草丈は両者とも約5~7cmであり、発芽状
イ)アンケート調査
況はIR及びPRとも順調であった。
対象圃場の耕種状況、有機物管理、施肥管理な
ウ)IRの各番草の乾物収量(kg/10a)は258~376
どの聞き取りを行う。
で、年間では811~956であり、IR割合は1番草が8
調査地区
3~89%、2番草が92~93%、3番草が98%と番草が進
稚内市の泥炭土4定点、豊富町の褐色森林土4定
むにつれ増加し、逆にRCG割合は減少した。
点・泥炭土8定点、天塩町の泥炭土4定点の草地に
- 85 -
エ)PRの乾物収量(kg/10a)はPR区が約180、PR+
除区が約360で、RCGの乾物重(1-2番草)はPR区
技術の実証
が139-20と2番草においてRCGが少なく、PR+除区
では9-3あった。
a ) 放牧期におけるCS給与実証試験の3年間
の結果と、それを基に作成した給与モデルについ
オ)現地の乾物収量(1-2-3番草・kg/10a)は低地
て取りまとめた。その結果、実 証 農 家 に お け る
圃場247-247-205、台地圃場222-176-125であり、
MUN濃度の平均値は12~18㎎/dlで、給与前
IR割合は両圃場とも1番草で約90%であったが、2
・中・後と も秋>夏> 春の順で高 い。
番草以降では95%以上であった。
b)放牧期にCSを給与すると、TDN/CP比が
高くなることが一因となり、放牧草の採食量
3)技術体系化チーム
が落ちずにバルク乳のMUN濃度が低下し、特
(1) 道北・草地酪農における放牧期とうもろこ
に M U N 濃 度 が 高 ま る 夏 と 秋 で は 基 準 値 12 ~1 6
しサイレージ給与技術の実証(114291)
㎎/dl におさめる効果が大きい。なお、乳蛋白
(平成19~21年)
質率は3.1~3.4%の範囲で基準値を満たす。
c ) CS を 初 め て 給 与 し た 時 に は 半 数 の 農 場 で
試験目的
高蛋白質の放牧草を有効に利用するためには、
採食不良が 認められた 。
エネルギー不足を補うとうもろこしサイレージの
d)管内のバルク乳におけるMUN濃度と乳蛋
給与が効果的である。本試験では流通とうもろこ
白質率は、放牧依存の割合が高い昼夜放牧農
しロールベールサイレージ(CS)を用い、放牧
家で大きく変動し、特にMUN濃度では基準値
期における併給・利用が、乳牛の栄養バランスの
を上回る場合もある。両成分の変動には時期
保持に及ぼす効果を実証し、給与モデルを作成す
的差があることから、CSなどの併給飼料給与
る。
による栄養改善対策は7月中旬~9月上旬と9
試験方法
月中旬~10月下旬に区分して給与することが
(a)放牧期とうもろこしサイレージの馴致・給与
必要と考え られる。
e ) CS給与 の導 入農 家 では放牧 期 のMUN濃 度
技術の実証
a)給与技術の実証
を低下させ、乳蛋白質率と出荷乳量を高める効果
実証農場・放牧頭数:浜頓別町E農場45頭、天
が認められる。
f )放 牧 期 の 栄 養 バ ラ ン ス を 改 善 し た 飼 料 設
塩町F農場39頭(何れも昼夜放牧)
給与時期:夏・秋の2時期、給与日数:各期14日
計では、CS給与により濃厚飼料と牧草サイレー
ジの給与量を減らすことができるため、飼料費の
間、給与量:2.2~2.5㎏DM/頭/日
調査項目:放牧草採食量、バルク乳MUN濃度、
節減が期待できる。
g)夏 と 秋 の 放 牧 期 に お ける 栄 養 バ ラ ン ス適 正
乳蛋白質率等
b)放牧期とうもろこしサイレージ給与モデルの作成
化のため、1日1頭当たり乳量27㎏、総乾物摂
調査項目:留萌・宗谷管内のCSを給与してい
取量 19㎏ 、CS乾 物給 与量 2.4㎏ 条件 下での飼 料
給与モデルを示した。
る6農場の飼養実態
(b)道北地域における早生とうもろこしの栽培適
(b)道北地域における早生とうもろこしの栽培適
応区分の検証
応区分の検証
早生とうもろこしの栽培適応地区である豊富
調査圃場・供試品種:現地圃場4ヶ所及び天北
町、枝幸町の3年間の結果から、「早生の中」品種
支場、各1~3品種
の生総量は両地とも4t以上であるものの、収穫
調査項目:平均気温、収穫時熟度、収量等
試験結果
期の熟度が豊富町では概ね黄熟初期に達していた
(a)放牧期とうもろこしサイレージの馴致・給与
が、枝幸町では糊熟中~後期に留まり「早生の早」
- 86 -
品種が適した。
た。化学性は、優良牧草割合が低い草地の可給態
栽培適地外の猿払村と浜頓別町では 、「早生の
りん酸含量が低い以外に、植生との間に明確な傾
早」品種で生総重は目標の4tよりやや少ないも
向が見られなかった。
のの、収穫時の熟度は概ね黄熟期に達しており栽
(b)耐干性の草種間差異の解明
培が可能と思われる。
a)pF小と比較した乾物収量指数は2番草のpF大で
以上の結果から、「早生の早」品種の導入は栽
はSBGが36%と最も小さく、ついでTY48%、PRとO
培適地外でも可能なものの、収量性が劣るため品
Gが約80%であった。また、3番草ではSBGとPRのp
種改良や栽培法の改善が必要である。
F大、中はpF小を上回り、特にSBGのpF大は166%と
大きかった。この傾向は窒素吸収量でも同様であっ
(2)天北地域における干ばつ被害予測を考慮し
た。
た適正草種導入区分図による良質粗飼料生産
(114111)
b)pFが大きい区では他のかん水処理区に比べて
(平成21~23年)
試験目的
PR、TY、SBGの茎数が少なく、TY、OG、SBGの一茎
重が低い傾向がみられた。このように、乾燥によ
干ばつ被害が頻発する天北地域において良質粗
る減収要因は草種によって違いがみられた。
飼料の安定的生産に寄与するために、地域による
c)植物体内の水分状態の指標となる相対含水率
干ばつ被害や各草種の耐干性を明確にするととも
は、TYではpF大において他より低かったが、これ
に、気象と土壌に関する既往の成果と併せて各草
以外の草種ではpFと相対含水率の間に明確な傾向
種の地域に対応した栽培適性を評価して地図化する。
が見られなかった。
試験方法
d)乾燥による糖代謝への影響についてみると、
(a)牧草に対する干ばつ被害調査とその予測
pF大は他に比べ、単糖類含量がPRでは増加したが、
宗谷管内において、管理歴が類似した草地15筆
SBGでは逆に単糖類・二糖類が減少した。フラク
を対象に、植生調査(冠部被度、5月下旬に実施)と
タン含量とWSC含量は、各草種ともpFが大きくな
土壌理化学性分析(6月中旬に作土を採取)を行い、
るとともに低下することが多く、この傾向は特に
永続性に関連する土壌の要因を調査した。
SBGにおいて顕著であった。
(b)耐干性の草種間差異の解明
場内の雨よけハウス内に設置した枠圃場におい
て、各草種の2番草生育期間にかん水処理を実施。
草種:ペレニアルライグラス(PR)、チモシー(TY)、オーチ
ャードグラス(OG)、スムーズブロムグラス(SBG)
pF処理:大(pF4.2-:乾燥)、中(pF2.7-3.9:やや乾燥)、
小(pF1.8-2.7:やや湿潤)
調査項目:収量、草丈、茎数、窒素吸収量、相
対含水率、各種糖含量
試験結果
(a)牧草に対する干ばつ被害調査とその予測
草地の経年化に関係なく、優良牧草割合が低い
草地の土壌物理性は高い草地に比べ透水係数、各
有効水分、気相率が低い傾向にあったのに対して、
固相率や仮比重には大きな差は認められなかっ
- 87 -
Ⅳ
普
及
1.普及活動の概要
活
動
解明のためのかん水処理を開始した。
(1)普及センター、地元関係機関への技術支援
平成18年度、天北農試は道北圏の地域対応研究
(3)活動区域
等を担う上川農試天北支場に改組されたのにあわ
当部の活動範囲は、宗谷支庁管内を中心に、留
せて、陣容もこれまでの研究部、技術普及部の2
萌、上川の2支庁管内は上川農試技術普及部と連
部体制から技術普及部の1部体制へと再編され
携を取りながら、改良普及員の活動に対して指導
た。新制技術普及部は、改正された「協同農業普
支援を行った。
及事業実施方針・実施要領」に基づき、これまで
担ってきた普及センターの活動計画・実績報告に
2.地域農業技術支援会議
対する支援を除いて、専門項目に関する普及セン
地域農業技術支援会議には、今年度は2支庁に
ターの支援、調査研究の実施、技術体系化チーム
参画し、活動した。宗谷地域農業技術支援会議で
の運営、地域農業技術の振興支援などを遂行した。
は「宗谷地域におけるとうもろこしの栽培及び普
今年度の支援活動の重点は、地域農業技術支援
及の可能性について」、「ペレニアルライグラスの
会議への参画並びに普及センターとの連携による
細切サイレージ活用のための最適イネ科混播割合
「サイレージ用とうもろこしの栽培」および「良
確認 」、「浜頓別町におけるとうもろこし栽培試
質粗飼料の生産」についてであった。
験」、「宗谷管内の良質粗飼料生産ステップアップ
その他、地元のJA、普及センターなどと連携し
作戦」及び「中頓別町の良質な粗飼料を確保する
た地域酪農の振興を目指す取組にも参加し、技術
ための草地管理」について行った。また、上川で
支援を行った。
は「士別放牧研究会の活動支援」を行った。
(2)技術体系化チームの取組課題
3.普及指導員の研修-地域課題解決研修
技術体系化チームでは、以下の2課題に取組ん
支庁段階の研修は昨年に引き続き地域の重要な
だ。
課題解決のための目的別研修とし、改良普及員及
「道北・草地酪農における放牧期とうもろこしサ
び専門普及員を中心に以下の2課題について実施
イレージ給与技術の実証」では、細断型ロールベ
した。天北支場普及職員はその指導援助を行った。
ーラで調製したとうもろこしサイレージの乳牛へ
1).宗谷管内における草地管理の実態
の給与効果を検討した。その結果、夏 と 秋 の 放
2).宗谷管内における乾乳期管理とその対策
牧期におけるとうもろこしサイレージ給与は
栄養バランスを改善する効果があり、乳生産
4.普及センターからの要請に基づく支援
の向上も期待できた。3年間の成果を取りま
各普及センターからの要請に基づく課題につい
とめ、「乳牛の放牧期とうもろこしサイレー
ても、試験研究機関、他の技術普及部との相互補
ジ給与の効果と栄養バランス適正化のための
完により積極的に対応している。対応した要請課
給 与モデル」として平成22年指導参考事項とな
題は以下の通りである。
った。
(1)宗谷支庁
「 天北地域における干ばつ被害予測を考慮した
1)
適正草種導入区分図による良質粗飼料生産」 で
は 初 年 目 の 調 査 を 行 い 、 草 地 の 永続性に関連
する土壌の要因調査と牧草の耐干性の草種間差異
- 88 -
宗谷農業改良普及センター本所
・天北における牧草栽培と土壌特性に関する試
験成績の紹介
2)
宗谷農業改良普及センター北部支所
ア.
・簡易草地更新とイタリアンによるリード駆除
サイレージ用とうもろこし畑における強害
雑草の侵入状況について
の方法
とうもろこし生産において問題となる難防除雑
・哺育育成や収穫作業など受託組織における課
題と管理技術
草であるイチビ、コンフリー、キクイモ、ガガイ
モ、セイヨウヒルガオ等が全道各地で発生し、拡
・繁殖用黒毛和種の飼養管理
大が問題となっている。特に、留萌管内では廃耕
(一昨年)する畑が発生したり、耕畜連携が中断
(2)上川支庁
1)
する事態に陥っている。
そこで、道内のとうもろこし畑における難防除
上川農業改良普及センター名寄支所
・大型機械を利用した良質牧草サイレージ収穫
雑草の状況を調査し、拡大防止や防除するための
調製技術と牧草サイレージから見た収穫調製
資料として整理した。
技術の検証
ア)
調査方法
調査期間:平成21年5月~11月
・周産期病低減、子牛の疾病対策、乳房炎の予
調査対象:北海道内のサイレージ用とうもろこ
防に関する飼養管理技術
し畑
2)
調査方法:農・畜産試験場技術普及部、農業改
上川農業改良普及センター北部支所
良普及センター、雪印種苗による圃場確認
・放牧地の追播と施肥管理
と農家からの聴き取り確認
対象雑草:イチビ、キクイモ、コンフリー、イ
(3)留萌支庁
1)
ヌホオズキ、ガガイモ、ヒルガオ、ワルナ
留萌地業改良普及センター本所
スビ、その他に地区で問題となっている雑
・イチビ防除対策の確立
2)
草
留萌地業改良普及センター北留萌支所
・トウモロコシサイレージにおける家畜ふん尿
イ)
調査結果
イチビ、キクイモ、コンフリー、イヌホオズキ、
の利用と、放牧農家における利用方法、およ
ガガイモ、ヒルガオは道内に広く分布がみられた。
び利用拡大による経済性の検討
・肉用牛の飼養管理技術と市況等の状況変化に
飼料畑を一元管理しているTMRセンターの畑に
おいて、それまで特定のほ場に限られていた強害
対する対応方法
雑草が、一挙に拡散した事例があったが、作業受
委託などによる農作業の広域化に伴って地域内で
5.普及指導員調査研究
普及活動において課題になっている技術などに
の拡散が急速に進んでいると思われる。調査確認
ついて専門技術員として調査研究を行い、普及セ
がされなかった市町村も多くあり、今後も継続し
ンターの活動支援に活用した。
た調査が必要である。結果は「サイレージ用とう
(1)調査研究課題名
もろこし畑における強害雑草の発生状況」として
サイレージ用とうもろこし畑における強害雑草
まとめ、道内の普及部および普及センターに配布
した。
対策について
(2)調査研究担当者
元
イ.
イチビの駆除対策の検討
技術普及部長
宮
崎
主任普及指導員
山
下
一
夫
留萌技術支援会議の課題に関連させて、イチビ
主査(地域支援)
齋
藤
博
昭
の発芽と生育特性および成果の上がっている駆除
事例について調査研究として取り組んだ。
- 89 -
ア)
イチビの発芽と生育確認
イ)
イチビ対策事例の収集
前年度採取した種子の発芽率は高かった。発生
通常の播種作業に土壌処理と茎葉処理を加え、
した個体の生育は低温により停滞した。抜き取り
シャドー水和剤を散布することにより抑制が可能
による防除ではさく果が13mm以上にならない時期
である事例を整理した。とうもろこしの栽培限界
までに作業する事が必要であった。また、凍結(-
地帯ではだらだら発生が考えられるため、良好な
15℃)種子でも十分な発芽能力を持つことから、
発芽と裁植本数の確保が特に必要と考えられた。
侵入がまだ少ない十勝・釧路での多発が今後予想
される。
Ⅴ
普及事項並びに試験研究発表
1.普及奨励事項等
中生品種で、「キリタップ」に比べて収量性に優
1)普及奨励事項
れ、斑点病抵抗性、耐倒伏性にやや優れる。多回
(1)チモシー「北見25号」
刈適性は「ホクシュウ」並かやや優れる。普及対象
(北見農試、ホクレン、天北支場技術普及部、
地域は北海道全域とし、主として採草で利用する
が、放牧でも利用できる。
根釧農試、道立畜試、北農研センター)
早生品種で、収量性、斑点病抵抗性、混播での
競合力、採種性は、いずれも「ノサップ」・「オーロ
2)指導参考事項
ラ」より優れる。普及対象地域は北海道全域とし、
(1)北海道耕地土壌の理化学性の実態・変化と
年2~3回の採草利用を主体とする。
その対応(1959~2007年)(技術普及部;環境、
(2)アカクローバ「北海13号」
中央農試、上川農試、道南農試、十勝農試、根釧
(北農研センター、根釧農試、天北支場技術普
農試、北見農試)
本道の耕地土壌の作土の化学性は常に変化して
及部、北見農試、道立畜試、)
早生品種で、「ナツユウ」に比べて永続性に優れ、
おり、個々の圃場における3~4年に1度程度の土
競合力が強い。普及対象地域は北海道全域とし、
壌診断の実施とそれに基づく施肥対応が今後も重
オーチャードグラス及びチモシー極早生品種との
要であることを明らかにした。
混播に利用する。チモシー早生品種との混播は根
(2)乳牛の放牧期とうもろこしサイレージ給与
釧地域に限定する。
の効果と栄養バランス適正化のための給与モデル
(天北支場)
(3)チモシー「SBT0308」
夏と秋の放牧期におけるCS給与は栄養バランス
(北見農試、天北支場技術普及部、根釧農試、
を改善する効果があり、乳生産の向上も期待でき
道立畜試、北農研センター)
中生の早の品種で、「キリタップ」に比べて収量
る。試算結果から飼料給与モデルを示した。
性、混播適性に優れ、斑点病抵抗性にやや優れる。
多回刈適性は「ホクシュウ」並である。普及対象地
2.研究報告および論文
域は北海道全域とし、主として採草で利用するが、
○吉田昌幸・藤井弘毅・井内浩幸・飯田憲司・堤
放牧でも利用できる。
光昭・佐藤尚親・中村克己・竹田芳彦・大原益博
(4)チモシー「SBT0310」
・佐藤公一・蒔田秀夫・筒井佐喜雄・吉澤晃・大
(北見農試、天北支場技術普及部、根釧農試、
道立畜試、北農研センター)
槌勝彦:ペレニアルライグラス新品種「チニタ」の
育成.北海道立農業試験場集報.94:17-30 (200
- 90 -
9)
道草地研究会平成21年度講演要旨号:25(2009)
○Hiroyuki Tamaki,Koichi Sato,Kazunori Ashik
○岡元英樹・古館明洋:天北地方の2番草の飼料
aga,Tsuneki Tanaka,Akira Yoshizawa,Hiroki Fu
成分に及ぼす刈取りと窒素施肥の影響.日本草地
jii:High-yield timothy(Phlium Pratense L.)st
学会誌.55(別):82(2009)
rains developed by 'clone and strain synthes
○王 鵬・相馬幸作・矢野達紀・岡元英樹・増子
is',a method for breeding perennial and self
孝義:窒素施肥量の違いが一番草チモシーサイレ
-incompatible crops.Grassland science 55(2),
ージの発酵品質,ヒツジにおける栄養価および養
57-62(2009)
分摂取量に及ぼす影響.日本草地学会誌.55(別)
○Kazunori Ashikaga,Hiroyuki Tamaki,Narichik
:59(2009)
a sato,Tsuneki Tanaka,Kenzaburo Deguchi,Kenj
○Wang P, Souma K, Yano T, Nakano M, Okamoto
i Iida,Koichi Sato:Effects of year and locat
H, Furudate A, Cao B, Sato C and T Masuko.I
ion on the nutritive value in the first crop
nfluences of nitrogen fertilization level on
of timothy(Phlium Pratense L.).Grassland s
timothy silage fermentation quality, nutrit
ci 55(3),149-154(2009)
ive value, and nutrient intake in sheep. Pro
○古館明洋・丸山健次:鎮圧ローラ付砕土機と施
ceeding of the 3rd Korea-China-Japan joint s
肥播種機を用いた省力・低コスト草地更新技術.
ymposium on grassland agriculture and livest
北農.76(3):313-319(2009)
ock production (New paradigm for diversity o
○古館明洋・乙部裕一:牛ふん・水産系廃棄物混
f forage production in the east Asian regio
合堆肥および汚泥コンポストの施用がチモシー(P
n), 190-191(2009)
hleum pratense L.)のカドミウム含有量に及ぼ
○増子孝義・王 鵬・岡元英樹・相馬幸作・青木
す影響.日本土壌肥料科学雑誌.80(5):506-510(2
康治・鈴木善和:北海道の粗飼料の自給と利用促
009)
進の取組み.Proceeding of the 1st internatio
○岡元英樹・奥村正敏・古館明洋.天北地方のペ
nal conference of China-Japan on feed resear
レニアルライグラス(Lolium perenne L.)とシ
ch (Current state and view on feed productio
ロクローバ( Trifolium repens L.)を混播した
n and application technology). 129-134(2009)
兼用草地における窒素施肥適量.日本草地学会誌.
○Wang P・ Souma K・ Sugita A, Okamoto H・ C
55(1):40-47(2009)
ai Y・ Sato C and T Masuko:Influences of po
○増子孝義・岡元英樹・王 鵬・相馬幸作.高品
tassium fertilization level on first crop ti
質牧草サイレージ調製の取組み,特集:北海道に
mothy silage fermentation quality, nutritive
おける粗飼料の自給と利用促進の取組み.日本草
value, and feed intake in sheep. Proceeding
地学会誌.55(1):56-68(2009)
of the 1st international conference of Chin
a-Japan on feed research (Current state and
3.学会及び研究発表(口頭)
view on feed production and application tech
○足利和紀・藤井弘毅・田中常喜・玉置宏之・佐
nology).167-168(2009)
藤公一・出口健三郎・飯田憲司:チモシー1番草
○古館明洋・吉澤晃:道北の泥炭草地更新時にお
における栄養価と越冬性および耐倒伏性との関
けるライグラス類のリードカナリーグラス抑制効
係.北海道草地研究会報.43:52(2009)
果.北海道草地研究会平成21年度講演要旨号:27
○田中常喜・藤井弘毅・足利和紀・佐藤公一・玉
(2009)
置宏之:チモシー栄養系の耐踏圧性の評価.北海
○岡元英樹・古館明洋:天北地方における2番草
の現状と問題点.北海道草地研究会平成21年度講
- 91 -
演要旨号:18(2009)
(興部).北海道酪農畜産協会主催.2009.9.9
◯井内浩幸:リードカナリーグラス優占草地の刈
○古館明洋:草地土壌と施肥.平成21年度JA営農
取条件による植生変化.北海道草地研究会講演要
指導員技術研修基礎コース(浜頓別).2009.9.11
旨号:20(2009)
○古館明洋:施肥管理技術者育成土壌調査実習
○新宮裕子・宮崎
元:異なる放牧強度下でのリ
(天塩).北海道酪農畜産協会主催.2009.10.1-2
ードカナリーグラス主体放牧地の植生変化.北海
○岡元英樹:天北地方における2番草の利用・飼
道草地研究平成21年度講演要旨号:20(2009)
料成分等の実態調査からみた問題点とその改善
○新宮裕子・森
策.天塩町4Hクラブ研修会.2009.11.5
光生・中辻浩喜:傾斜放牧地の
泌乳牛の採食移動時における心拍数とエネルギー
○古館明洋:施肥管理技術者育成家畜糞尿採取実
消費量の推定.日本畜産学会第112回大会講演要旨
習(天塩).北海道酪農畜産協会主催.2009.11.9
: 134 (2010)
○古館明洋:施肥管理技術者育成施肥設計実習
4.資料、著書および刊行印刷物
(天塩).北海道酪農畜産協会主催.2009.12.11
1)資料、著書
○古館明洋:施肥管理技術者育成施肥設計実習
○岡元英樹:天北地方における2番草の問題点と
(興部).北海道酪農畜産協会主催.2010.1.29
その改善策.農家の友.8:46-47(2009)
○古館明洋:施肥管理技術者育成施肥設計実習
○新宮裕子:放牧地での飲水場の整備.酪農ジャ
(天塩).北海道酪農畜産協会主催.2010.2.2
ーナル.10:71(2009)
○古館明洋:酪農専業地帯における家畜ふん尿の
○山下一夫:サイレージの二次発酵はなぜ起こ
有効活用について.家畜排せつ物利活用・適正処
る.デーリィマン.59(5):73-74(2009)
理講習会(浜頓別).2010.2.10
○山下一夫.サイレージ用とうもとこし畑におけ
○岡元英樹:2番草を有効活用するための圃場管
る強害雑草について.農家の友.62(4):92-94(2
理について.家畜排せつ物利活用・適正処理講習
010)
会(浜頓別).2010.2.10
○齊藤博昭:「 エコフィードの活用と留意点につ
2)刊行印刷物
いて」研修会.士別放牧酪農研究会主催.2009.5.
○岡元英樹:天北地方における高栄養牧草ペレニ
27
アルライグラスの採草利用を含めた有効活用法に
○齊藤博昭:「放牧酪農の経営実績事例について」
関する研究.北海道立農業試験場報告.125:1-8
研修会.士別放牧酪農研究会主催.2009.8.11
5(2010)
○齊藤博昭:検定情報活用研修会.北海道酪農検
定検査協会主催.2009.9.1
○齊藤博昭:「エコフィードの活用事例について」
3)新聞
○山下一夫:経営と技術
飼料作物.日本農業新
研修会.士別放牧酪農研究会主催.2009.10.13
○齊藤博昭:畜産関連新技術研修会.天塩町放牧
聞.1.15(2010)
を考える会主催.2010.2.19
5.技術指導および普及
○齊藤博昭:乳質改善講習会.下川町フィードサ
○古館明洋:施肥管理技術者育成草地区分実習
ービス主催.2010.3.12
(興部).北海道酪農畜産協会主催.2009.5.21
○齊藤博昭:「 良質粗飼料生産ステップアップ作
○古館明洋:施肥管理技術者育成草地区分実習
戦取り組み成果報告会 」.宗谷支庁地域農業技術
(天塩 ).北海道酪農畜産協会主催.2009.6.4-5
支援会議主催.2010.3.15
○古館明洋:施肥管理技術者育成土壌調査実習
○齊藤博昭:放牧酪農経営研修会.稚内市放牧を
考える会主催.2010.3.17
- 92 -
○齊藤博昭:良質粗飼料生産ステップアップ作戦
○山下一夫:牧草の栽培と収穫.平成20年度JA営
懇談会.宗谷農業改良普及センター主催.2010.3.
農指導員技術研究基礎コース.2009.9.11
26
Ⅵ
そ
の
他
1.職員研修、職場研修、表彰及び海外出張等
1)職員研修
受
講
者
研
修
項
目
実
施
期
間
研
修
場
所
吉田
幸司
新任主幹級研修
21. 7.29 ~21. 7.31
道庁別館12階第4研修室
齊藤
博昭
新任主査級研修
21. 9.28 ~21. 9.29
宗谷合同庁舎4階大会議室
2)職場研修
○ 「道政課題等研修~情報セキュリティ対策について」
開催日
平成21年 7月 7日(火)
講師
支場長
木曽誠二
○ 「公務員倫理研修~行動のルールとモラルについて」
開催日
平成21年 8月 4日(火)
○ 「宗谷地域学習会
開催日
講師
主
幹
吉田幸司
講師
宗谷支庁産業医
糖尿病について」
平成22年 3月16日(火)
岡田政信
3)参観、交流
平成21年5月25日
浜頓別高校生
35名
4)委員会活動
(1)図書委員会
協議事項:
前年度経過報告および本年度予算、購入希望の取りまとめと選択
(2)研修委員会
学会予演会など(学会発表予演会
4回)
(3)業務委員会
圃場試験・管理業務、環境整備業務等を円滑に実施するため、毎週木曜日に開催。
(4)安全委員会
支庁地域総括衛生委員会に参加するとともに、労働安全等について啓蒙した。
5)海外出張
該当者なし
6)海外派遣
該当者なし
7)表
彰
日本草地学会研究奨励賞
岡元
英樹
ペレニアルライグラス草地の窒素施肥法と採草利用時の生育・飼料特性に関する研究
8)学位授与
岡元英樹
農学博士
鳥取大学
平成21年9月
天北地方における高栄養牧草ペレニアルライグラスの採草利用を含めた有効活用
法に関する研究
- 93 -
2.共催行事
1)宗谷地域農業新技術発表会
(主催)
(平成21年3月9日12:30~15:00、JA北宗谷2階会議室)
宗谷支庁地域農業技術支援会議、(社)北海道酪農畜産協会
目的:牛舎施設に関する特別講演および農業試験場が開発した新たな技術を紹介した。
(1)特別講演
「乳牛の能力を発揮させる畜舎改造例や最新給餌技術について」酪農学園大学
教授
高橋圭二
(2)酪農新技術
○「搾乳関連排水の低コスト浄化施設」
根釧農試
酪農施設科研究職員
大越安吾
○「倒伏に強く混播適正に優れる早生採草用専用チモシー「北見25号」
北見農試
○「新型作業機による省力・低コスト草地更新法」
牧草科長
上川農試天北支場
次長
○「宗谷の牧草サイレージを良品質にするために」 宗谷農業普及センター
○「牛肺虫症の発生と対策について」
2)宗谷放牧酪農セミナー
宗谷家畜保健衛生所
藤井弘毅
吉澤
主査
晃
松本
主査(安全指導)山岸
啓
麻衣子
(平成21年10月14日11:00~15:00、豊富町町民センター)
(主催)宗谷支庁地域農業技術支援会議、(社)北海道酪農畜産協会、(社)中央畜産会
道内で放牧で優秀な成績を収めている酪農経営を紹介し、放牧酪農により飼料自給率の向上による安
定した酪農経営の方向性を考えるためのセミナーを開催した。
(1)話題提供者
八雲町:小栗
隆氏、足寄町:佐藤智好氏、浜中町:菊地光雄氏、
中川町:小林治雄氏、浜頓別町:池田邦雄氏
(2)参加者
約100名
3)宗谷肉牛研修会
(平成21年10月14日13:00~16:00、JA豊富町
2階会議室)
今後の肉用牛経営のあり方や展望について考るとともに、生産性の高い和牛経営を進めるための地域における子
牛の産地形成をテーマに研修会を開催した。
(主催)宗谷支庁地域農業技術支援会議、(社)北海道酪農畜産協会
(1)発表題名及び発表者
○「そお家畜市場における子牛の販売形成と素牛づくり」
そお鹿児島農業協同組合
(2)参加者
4)宗谷和牛セミナー
畜産部長 棈松 斉昭氏
約70名
(平成22年3月26日13:00~16:00、JA豊富町
2階会議室)
黒毛和種の素牛販売価格や枝肉価格は低調に推移するなか、今後の和牛生産性のあり方かたとともに、
ブランド化推進による地域経済活性化の方策をテーマとしてセミナーを開催した。
(主催)宗谷支庁地域農業技術支援会議、(社)北海道酪農畜産協会
(1)発表題名及び発表者
○「和牛の魅力ある産地づくりを考える」
中丸畜産技術士事務所(元岐阜県肉用牛試験場長)中丸 輝彦氏
(2)参加者
約70名
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- 95 -
- 96 -
平成21年度
北海道立上川農業試験場年報
平成22年8月 発行
地方独立行政法人 北海道総合研究機構
農業研究本部 上川農業試験場
〒 078-0397 上川郡比布町南1線5号
℡ 0166-85-2200、ファクシミリ 0166-85-4111
ホームページ http://www.agri.hro.or.jp/kamikawa/kamikawa3.htm
地方独立行政法人 北海道総合研究機構
農業研究本部 上川農業試験場天北支場
〒 098-5738 枝幸郡浜頓別町緑ヶ丘8丁目2番地
℡ 01634-2-2111、ファクシミリ 01634-2-4686
ホームページ http://www.agri.hro.or.jp/tenpoku/
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