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日本における株式公開買付けの有用性

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日本における株式公開買付けの有用性
日本における株式公開買い付け(TOB)の有用性
広田ゼミ・TOB チーム
石川 芳樹
木本 真理
長谷川 ひとみ
山田 壮介
1
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1. はじめに
アメリカでは一般的である株式公開買い付け(以下、TOB という)が、日本においても増
加している。TOB は今後さらに拡大し、敵対的買収も増加が予想される。アメリカの TOB が
ステークホルダーに及ぼす影響については数多くの研究が行われてきた。しかし日本とア
メリカでは、コーポレート・ガバナンスに相違がある。アングロサクソン・モデルでは株
主価値の重視と従業員のリストラは表裏一体である。一方、日本では労働市場を相対的に
重視する傾向にある。このような企業風土の違いは TOB に影響するのだろうか。本稿では、
TOB の前後における株価と従業員の変動を調査し、各々の利害を分析した。
また株式持合いの慣行が崩れている今、TOB は新しい「経営の規律付け」メカニズムとし
て注目に値する。株主持合いが一般的であった時代では、企業内部におけるコントロール
が一般的であった。しかし TOB の利点の一つには、資本市場を通じた経営者のコントロー
ルがある。これは経営者に対して TOB を意識させることにより、ガバナンスが改善される
という仕組みである。それによって経営が効率化し株価が上昇すれば、それは株主や従業
員を含めた企業全体にとって望ましい。しかし TOB の結果、従業員のリストラや退職金の
削減が伴うケースも少なくない。その場合は従業員から株主の単なる富の移転に過ぎない。
現在、日本の TOB について様々な実証研究が行われ、その有用性に対する結論はまだ出
ていない。ましてや TOB がようやく注目されてきた日本において、その見極めには十分な
時間が必要だろう。しかし日本では、早い段階から防衛策の議論が盛んである。それは経
営者の保身にとっては都合が良いが、経営の規律が損なわれるならば残念なことである。
普段から株主重視の経営を心がけ、企業価値を高め株価を上げることこそが本来の防衛策
である。本稿ではこれまで日本で行われた TOB を分析することで、現時点における TOB の
有用性を考察したい。
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2.TOB とは?
では、まずテクニカルな面から TOB を見てみることにする。
【TOB の定義】
ある会社の支配権の取得・強化を目的とし、新聞広告などを使って一定の価格で一
定の期間に一定の株数を買い取ることを表明した後、一挙に株式を買い取ることで
ある。
日本においては市場外で株を取得する場合は、ある特定の例外を除いて TOB の手続きを
取らなければならない。公開会社の株式を三分の一以上取得するに至る場合、相対取引で
あっても強制的にこの手続きを踏む必要がある。取得数が目標に達しない場合には、買い
付けをすべて取り消すことができるため使い勝手が良いとされている反面、買付価格を市
場で買入れする場合に比べ、高く設定しなければならないため、買収企業にとって比較的
コスト高とされている。しかし、TOB では会社の株主に直接その持ち株売却を働きかけるた
め、経営陣に承諾を得ずとも株式を取得することができるので、敵対的買収の手法として
も利用される。このように外部による介入を可能とするため、TOB は企業支配権市場1にお
いて「経営者に対する規律付け」の効果があるとされている。また TOB を敵対的に仕掛け
られる企業の共通事項には、①潤沢なフリーキャッシュフローを保有している②企業の適
正価格より市場の評価が低い③PBR(株価純資産倍率)が1以下である、の 3 点が考えられ
る。
3.アメリカにおける TOB
では、次にTOBが浸透している米国における状況を考察してみたい。ブラッドレー、デサ
イ、キム2による調査研究によると、
「被買収企業の平均アブノーマル・リターン3は約35%、
買収企業の平均アブノーマル・リターンは約-0.3%であった。」ことを指摘している。
また、実際の調査研究では、被買収企業の平均株価上昇は1960年代で19%、197
1
企業支配権市場とは、価値ある資産として会社の支配権を取得しようと複数の経営者が潜在的に争っている市場をい
う。
(文堂、2001、45 ページ)
2 ブッラドレー、デサイ、キム(Bradley,Desai&Kim)は 1963 年~1984 年の 22 年間について買収企業・被買収企業
のアブノーマル・リターンを分析した。
3 アブノーマル・リターンとは、買収企業と被買収企業の資本市場での実際の収益率から市場モデルの予想収益率を差
し引いた残差である。
3
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0年代で35%、1980年代で30%である。4つまり、被買収企業の株価は上昇し、買
収企業の株価は微減しており、アメリカにおけるTOBでは、買収企業の株主より被買収企業
の株主がその恩恵を受けているということになる。
次に、アメリカにおいてTOBが従業員に与える影響を述べたい。「コーポレート・ガバナ
ンス入門」(深尾光洋、1999)によると、アメリカでは買収後の被買収企業において
リストラが行われることが多い、としている。というのは、従業員が各々の市場価値に対
応する給与をもらっているため、解雇されても他の企業で働けばよい、とする考え方に基
づいている。ここにアングロサクソン型のコーポレート・ガバナンスが具現化されている。
またTOBの一種であるLBO(Leveraged Buyouts)5における研究では、LBOによって年金制
度が消滅する可能性の高いことを証明している6。LBOは企業の財務構造を負債に偏重させる
ことにつながり、年金制度の消滅・合理的リストラの範囲を超えた過剰解雇などが行われ
る。
4. 日本における TOB
4-1.今なぜ TOB か
では、次になぜ今日本で TOB なのか。これまで日本の経営文化に馴染まないと言われて
きた TOB がなぜ数を伸ばしているのはなぜなのか。一方で、TOB に対する対抗策が盛んに議
論されるのはなぜなのかを考察していく。
表1、日本における TOB の件数と公表金額推移
年度
94
95
96
97
98
99
00
01
02
件数
0
4
7
9
8
11
14
15
17
116,014
32,448
175,401
853,136
552,529
73,995
公表金額
―
18,454
73,645
日本企業の M&A データブック/レコフ編より
Xu Peng(1999 年 9 月)「入門コーポレート・ガバナンス(6)企業買収とコーポレート・ガバナンス」
(536 号「経
済セミナー」日本評論社)より抜粋。
5 買収企業の資産を担保にすることで、多額の借入金を用いて敵対的買収を仕掛けること。
6 RICHARD A .IPPOLITO and WILLIAM H .JAMES“LBOs,Reversions and Implicit Contracts”,THE JOURNAL
OF FINANCE,1992 より。
4
4
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そもそも日本においてこれまで買収がなされてこなかった原因は三点考えられる。それ
は、これまで日本型コーポレート・ガバナンスの長所と言われてきた特徴でもある。
① 「物言わぬ株主」の存在
「物言わぬ株主」の存在によって、現在の株価を大幅に上回る価格を提示しても支配権
を獲得できる持分を取得できる可能性が極めて低かった。支配権を獲得するのに必要な株
式を取得するには、経営者と友好的な関係であることが必須である。しかし、日本の企業
風土として「会社は経営陣と従業員のものである」という意識があった。もし、経営陣が
買収に応じれば「買収に応じるのは従業員に対する思いやりのない身売り行為だ」と後ろ
指を指されることになり、経営陣は決して応じようとはしてこなかった。特に OUT-IN7の場
合、雇用形態の変化、もしくは革新的なリストラに対する抵抗もあり、外資による買収に
対する抵抗は無視できない。
しかし、ここ数年、これらの障壁に変化が見られた。第一に日本企業の最大の株主であ
る日本の機関投資家(主として日本の金融機関)の、投資家としての行動様式が生命保険
会社も損害保険会社も、そして銀行も証券会社も、今や物言わぬ投資家であり続けること
が出来なくなってきた。なぜなら、株式市場において、高度経済成長期のような時価総額
の成長は期待できず、物を言わなければ充分なリターンが得られなくなってきたからであ
る。言い換えれば、キャピタルゲインではなく、配当にリターンとしての比重が移ったと
いうことである。
② 慣習的な株式持ち合い構造
日本における株式持ち合いは敵対的買収に対する有効な防御策であった。だが近年にお
ける持ち合い比率の減少(表2参照)と時価評価の導入によって、取得原価を下回る株式
が売られて解消されようとしている。
また機関投資家が充分なリターンを上げない株式を売却したことは先に述べたが、事業
会社も景気が低迷する中でリスクの高い資産を持ち続けることが出来ず、売却するケース
7 OUT-IN とは国外の企業が国内の企業に買収を仕掛けるケースを指す。IN-IN とは国内企業同士の買収のケースであ
る。
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が増えた。その結果、市場には浮動株が増大し、経済合理性のみに基づいて行動する投資
家層が増大したため、満足できる価格での公開買い付けなどが実施された場合、買収が成
功する確率を上昇させている。
表2、日本の公開企業の株式の持ち合い比率の推移
年
87
88
89
90
91
%
49.6
51.1
52.1
51.0
51.2
92
93
52.0
94
51.3
95
51.0
96
50.4
97
49.0
98
45.0
ゴールドマン・サックス証券
43.0
株式調査部より
③メインバンク機能
日本の場合、銀行が企業に対して必ずしも必要でない資金まで供給し、結果として企業
経営者が不採算事業を整理する必要もインセンティブも感じなかったという背景がある。
また、ある程度以上の規模を持った企業に対しては、財務内容がかなり悪化してきても、
いわゆるメインバンクが支援をして延命、生き残りをさせてきた。そこで、相当な苦境に
陥っていても日本の企業経営者が「身売り」を考えることは極めて稀であった。気が付い
た時には、
「身売り」さえ出来る状態ではなく、法的な整理に至ることのほうが多かったと
言える。
外資との競争に晒された銀行はもはや、不採算事業を延命させるだけの体力はなくなり、
むしろ、BIS 規制によって自らの生き残りが問題になってきたのである。これで、企業は「不
採算」と判断する基準を厳しくせざるを得なくなった。さらに、先に挙げた会計制度の問
題も 99 年には「実質支配基準による連結」8の原則と「保証類似行為の原則開示」9を導入し
たことで、追加開示を控え、問題のある子会社の整理が促進された。
8
実質支配権基準が導入される以前は、株主の持分が50%以下の関連会社に問題のある資産を移すことで、連結にお
いて表面化されるのを避けることが可能であった。しかし、この基準が導入され、このような連結逃れは事実上不可能
となった。
9 親会社が子会社の借入金に対して明示的な債務保証をした場合には、これまでにも保証債務の総額を開示しなければ
ならなかった。しかし銀行が、明示的でなくとも「事実認識書類」や「経営指導念書」を親会社から銀行に差し入れる
ことを要求してきた。
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4-2.変わりつつある日本の企業風土
ここに面白い調査結果がある。図1~2、表3は、調査会社マクロミルを通じ、今年 10
月上旬にインターネットで調査し、全国の 20 歳代以上の男女 1035 人が回答したものであ
る。経営陣は懸命に買収を阻止するように対抗策に余念がないが、「敵対的買収」とは誰に
とって「敵対的」だと思うかと言う質問に対して 40%の人が経営者だと答えている。さら
に、自分の勤めている会社が外資系企業に買収されることに対しても 83.9%の人が、
「企業
価値を高めてくれるなら構わない」もしくは「どのような外資系企業でも歓迎」と回答し
ている。しかも、そう応えているのは若年層だけでなく、高年層も 75%以上が抵抗感を示
していないのである。この調査結果は、「ここ数年、外資系企業傘下で企業価値を高めた日
本企業が目立つ。
」
「経営の今に限界を見て取り、
『政変』で上がすくのを期待してのことだ
ろうか」と締めくくられている。どのような意図を持った歓迎ムードなのかは分からない
が、従業員の視点からは少なくとも買収に対する抵抗感が薄れてきているのは間違いない。
50
パ
ー
セ
ン
ト
40
30
20
10
0
系列1
経営者
株主
従業員
地域社会
取引先
39.5
11.2
9.2
4.8
3.1
図1、
「敵対的買収」は誰にとって敵対的な買収のことだと思うか
7
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その他・わ
からない
32.2
日本経済新聞 2004/10/18 より
100
パ
ー
セ
ン
ト
80
60
40
20
0
企業価値を高めてく どのような外資系企 どのような外資系企
れるなら結構
業でも嫌
業でも歓迎
78.7
11.8
5.2
系列1
その他
4.3
図2、あなたの勤めている会社が外資系企業に買収されることになったら、どう思いますか?
日本経済新聞 2004/10/18 より
表3、外資系企業に抵抗のない人の割合(年代別)
年代
20 代
30 代
40 代
50 代以上
割合(%)
83
84
92
76
日本経済新聞 2004/10/18 より
4-3.高まる防衛策論議
一方で、経営陣の買収への抵抗感は依然残っている。防衛策の一つとして有名なポイズ
ンピルは米国に続き、日本国内でも導入論が高まっている。一定限度を超えて株を買い集
められると、取締役会の判断で既存株主の持ち株数を一挙に増やし買収者の支配権を弱め
る手法である。適正な買収価格が提示されれば、取締役会は株主のためにポイズンピルの
作動スイッチを切る義務があり、米国でも実際に作動されたことはほとんどない。米国に
おいては「株主利益を最大化するよう交渉するための道具に過ぎない」との見解もある。
これに対して、導入の可否を検討するために、ポイズンピルについて研究する委員会が経
済産業省で発足された。他にも、対抗策としては、買収された場合の従業員の退職金を上
8
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乗せする定款を設ける、裁判に持ち込んだ時に備えてメディアに対して正当性をアピール
し、裁判官の心証を良くしておく等々、色々な手法が提案されている10。それだけ対抗策に
対する需要があるということなのである。先の意識調査結果を鑑みれば、以前は「従業員
のため」と言っていた対抗策であるが、現在では一重に「買収され、自分のポジションを
奪われたくない」と願う経営陣の保身である可能性を孕んでいる。
5. 分析の目的と手法
5-1.分析の目的
では、日本においてTOBを行った時、各ステークホルダーに対して実際にはどのようなイ
ンパクトがあるのだろうか。日本でも防衛策は必要といえるのだろうか。買収企業・被買
収企業の株価、被買収企業の従業員の変動、ROA・ROEの変化、経営者の交代の有無を調査
することでTOBの影響を考察した。そして日本におけるTOBの有用性はあるのかどうかにつ
いて考察を加えることにする。
5-2.分析における仮説
先に述べたアメリカのケースをまとめると以下の通りである。
Ⅰ
被買収企業の株価は大幅に上昇する
Ⅱ
買収企業の株価は低下する
Ⅲ
被買収企業の従業員はリストラなどマイナスの影響を被る
日本においてもアメリカと全く同じ結果が出るならば、日本においても防衛策を検討す
る必要があるだろう。しかしこれまでの日本のコーポレート・ガバナンスは以下の特徴が
あった。
10
日本においては、①第三者割当増資②合併③自社株買い④ストックオプション、が伝統的防衛手段だった。アメリカ
においては、①ポイズンピル②ゴールデンパラシュート③ホワイトナイト④資本構成変更⑤訴訟、などが主な防衛手段
である
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① 企業コミュニティの存続と発展の重視
②
内部昇進型経営者によって担われた
③
物言わぬ安定株主と株式持合い、メインバンクシステムが主流だった
④
ステークホルダー(とりわけ正社員)との長期信頼関係に支えられた
このように考えると、アメリカと同じ結果を想定しにくい。確かに TOB の理論上、「Ⅰ
被買収企業の株価は大幅に上昇する」は日本においても想定される結果である。
しかし、「Ⅱ
買収企業の株価は低下する」は「①企業コミュニティの存続と発展の重
視」と相反するのではないだろうか。というのは、日本の買収企業が①を重視するならば、
経験的にⅡが予想される11TOB 案件に積極的に参加するインセンティブは存在しないからで
ある。①の性質を持つ日本企業があえて買収する時は、リスクが無いか、又はかなりのリ
ターンが確実視される時であろう。そのような場合、買収企業の株価は上昇されることが
予想される。
また、「Ⅲ 被買収企業の従業員はリストラなどのマイナスの影響を被る」は「④ステ
ークホルダー(とりわけ正社員)との長期信頼関係に支えられた」と矛盾する。被買収企
業において④の性質があれば、経営者は簡単にリストラに踏み切れないのではないか。簡
単にリストラすれば、経営者と従業員の信頼関係は崩れ、従業員の労働意欲を損なう。ま
た信頼関係の崩壊は、長期的にも企業の業績を損なうと予想される。そのように考えると、
Ⅲの結果が日本にも当てはまるかどうかは疑問である。
5-3.データと分析方法
本稿では、日本において1991年3月以降2003年12月まで行われた主要な TOB・
34 件について分析した。データベースは M&A データブック(レコフ編)、会社四季報(東
洋経済新報社)、企業年鑑(日本経済新聞社)、ヤフーファイナンスを用いた。また TOB
の効果を見極めるために、今回はイベント・スタディの手法を用いた。以下、その手順で
ある。
11
その理由として、アメリカでは買収企業の株価が下落していること。また諸外国に比べ日本における公開買い付け制
度が、被買収企業に有利で買収企業に不利であるという批判があること。
(菊池正俊[2000]
「TOB・会社分割による M
&A 戦略」
)
10
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(手順1)TOB 案件の収集
株価の調査はヤフーファイナンスで行った。本稿では、特に被買収企業である日本企業
の影響に焦点を当てているため、上記の TOB 案件の内、当時の被買収企業の株価がヤフー
ファイナンスで検索できる案件(東証一部・二部、大証一部・二部、名証一部・二部、及
びジャスダック上場)を取り上げた。よって、現在他企業との吸収、合併、あるいは上場
市場を変更した案件は除外した。上記条件を満たす案件全てを対象とするため、企業規模
や業種は多種多様であり、件数は全部で 34 件12である。また、案件における買収企業の株
価データであるが、被買収企業と同様、他企業との吸収、合併、あるいは上場市場を変更
した案件があるため 14 件となっている。
(手順2)イベントデーの確定
まず TOB が初めて公になった日を調査した。新聞に掲載された「公開買い付け開始広告」
など、各案件におけるイベントデーを確定した。また「公開買い付け開始広告」と TOB 開
始日にタイムラグがあるケースがあれば、TOB が新聞等で公表された次の日をイベントデー
とした。
(手順3)対象期間
イベントデーが確定したら、その前後 30 日間の日ごとの株価推移と前後2年間の月ごと
の株価の推移を調査した。因みに 30 日間の期間は土日を含めて 30 日間とした。
(手順4)CER(累積超過リターン)の算定
CER を算出するために、イベントデー以前の株価を基準値とし、各時期における ER(超
過リターン)を計算した。また TOPIX、ジャスダックにおいても同様の方法で観察した。ジ
ャスダック市場の企業はジャスダック指数を基準に、その他の市場(東証・大証・名証)
の企業は TOPIX を基準にした。そして各時期の ER から TOPIX、ジャスダック指数の ER の値
を差し引くことで、各時期の対象企業における株価動向を特定した。そして、それらを累
積させることによって CER を求めた。
12日本コンピュータグラフィックは上場後直ぐに TOB をかけられているため除外。
11
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(手順5)グラフ作成
手順4で算出した CER を基に折れ線グラフにあらわした。前後 30 日のグラフではイベン
トデーを、前後2年間のグラフではイベント月を 0 とした。その際日ごとのデータにおい
て土日は空欄とし、その日(何日目)に取引のあったデータのみを平均するという手法を
とった。また、傾きはβ値を用いて調整した。
次に TOB が従業員に与える影響を知るために、「従業員数・一人当たりの賃金額」の推
移を調査した。最初に各案件の前年の従業員数と賃金額を調べ、そして同様に二年間の推
移を調べた。その際に、TOB の影響を特定するために、二年間で大きな経営変化(たとえば
合併や吸収)が観察されたサンプルは、誤解を招きかねない結果が導かれるおそれがある
ため、その期間の分析対象から除外した。
また実際の経営効率の変化を把握するために、ROA(return on assets:総資産利益率)・
ROE(return on equity:株主資本利益率)の調査、経営者の交代有無を調べた。調査方法は
上に倣った。
6. 分析結果
6-1.買収企業・被買収企業における株価の変動
アメリカでは被買収企業の株価が上昇する一方で買収企業の株価は変化しない。では日本
の TOB は株式市場にどのような変動をもたらすのであろうか。その変動は株式市場の TOB
に対する評価ともいえる。
まず TOB がアナウンスされたことに対する市場の反応を観察する。またその反応が長期で
どのような変化をみせるのだろうか。そこで買収企業・被買収企業を分析する際に、短期
(30 日間)と長期(2 年間)に分類した。また被買収企業の IN-IN と OUT-IN のケースを
比較し、分析を行った。
12
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(図3)買収企業 IN-IN・短期
短期 買収 IN IN
短期 買収 IN IN
0.02
0.01
0
30日前
-0.01
-0.02
イ ベ ン トデ ー
3 0 日前
-0.03
30日後
-0.04
-0.05
-0.06
(図4)買収企業 IN-IN・長期
長期 買収 IN-IN
長期 買収 IN-IN
0.3
0.2
0.1
0
二年前
-0.1
-0.2
-0.3
13
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まず(図3)をみると、短期において買収企業の CER は低下している。イベントデーの
直後に正の CER がみられるが、その後は低調に推移している。これは買収企業が TOB を仕
掛けたというニュースに対し、市場は好意的な反応を示さなかったということである。そ
れは日本において TOB が一般的でないことも一因だろう。市場は TOB を成長要因と判断し
なかった可能性がある。しかしイベントデー以前の株価の動向と大きな変化がないことを
考慮すると、市場はマイナス要因とは捉えていないようである。
一方(図4)では、長期において買収企業の CER は上昇している。これはアメリカの買
収企業が示す推移とは異なる。長期において CER が上昇している事実は、買収企業にとっ
て TOB が成功したと推察できる。つまり友好的買収が多い日本において、買収によるシナ
ジー効果が表れたと推測できる。もしくはシナジー効果が表れると市場関係者が評価した
のかもしれない。
また TOB 以前からもともと買収企業の経営体力があったとも考えられる。
いずれにせよ、より長期的に CER の変動を観察する必要がある。
(図5)被買収企業 IN-IN・短期
短期 被買収 IN-IN
0.15
0.1
0.05
0
-0.0530日前
-0.1
-0.15
-0.2
-0.25
-0.3
-0.35
短期 IN-IN
イベントデー
30日後
14
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(図6)被買収企業 IN-IN・長期
長期 被買収 IN-IN
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
-0.05
-0.1
-0.15
-0.2
-0.25
長期 IN-IN
二年前
次に(図5)をみると、被買収企業(IN-IN)の場合、右上がりの曲線を描いている。イ
ベントデーからの七日間は CER が急上昇している。この七日間で公開買い付け価格に到達
していると考えられる。これは効率的市場仮説を信じる人にとってみれば予想通りの結果
といえる。また、イベントデー以前の CER の推移を考慮すると、被買収企業の株主に対す
る効果は絶大である。
また(図6)をみると、長期において被買収企業の CER は大幅に上昇している。過小評
価されていた被買収企業の株価が、正当値へと近づいているのだろう。そう考えるならば、
IN-IN の TOB がより積極的に実施されることを願うばかりである。短期や長期にかかわらず、
被買収企業の CER は TOB を境にして大幅に上昇する。
15
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(図7)被買収企業 OUT-IN・短期
短期 被買収 OUT-IN
短期 被買収 OUT-IN
0.15
0.1
0.05
0
30日前
-0.05
-0.1
-0.15
-0.2
-0.25
-0.3
-0.35
(図8)被買収企業 OUT-IN・長期13
長期 被買収 OUT-IN
長期 被買収 OUT-IN
0.6
0.4
0.2
1年後
0
2年前
一年後
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
13 イベントデー後の一年目以降はサンプル数が減少するので、イベントデー以後の期間は一年間のみとした。
16
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次に(図7)をみると、OUT-IN のケースも IN-IN のケースと同様に上昇している。短期
において、最初に CER が低下する理由ははっきりしないが、次第に上昇する。OUT-IN のケ
ースにおいてもイベント前後の差が鮮明である。また長期も同様である。
日本企業は買収企業の国籍に関係なく、CER を上昇させていることがわかる。OUT-IN の
ケースは相対的に敵対的買収の案件が多くなるため、負の CER になるのではないかと予想
したが実際は異なった。今後 OUT-IN の案件の増加が予想される日本企業にとっては心強い
データである。
以上の点を踏まえて、買収企業・被買収企業の CER の変動を結論付けたい。
日本において TOB は買収企業・被買収企業にとって正の影響がある。それはアメリカにお
ける買収企業の株価推移とは対照的である。株主の観点からすると、日本における TOB の
有用性が確認される。
6-2.従業員数と一人当たりの賃金額
では次に従業員の視点から TOB の影響について考察したい。一般的に TOB は従業員に不
利といわれている。なぜなら TOB は従業員から株主への富の移転が行われると想定されて
いるからである。TOB によって被買収企業は株主価値の最大化を余儀なくされるために、リ
ストラや従業員の給与が削減される可能性が高い。その点を踏まえて、まずはマクロ的に
分析の結果を考察したい。
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(図6)従業員数と一人当たりの賃金額
日本におけるTOB
指数
110
100
従業員数
一人当たりの賃金額
90
80
従業員数
一人当たり
の賃金額
TOB実施
年
100
100
1年目
2年目
99.8221 98.5762
105.7782 107.8882
(図6)を見れば分かるとおり、従業員数は微減しているが、ほぼ変化せず、一人当た
りの賃金額は増加している。また二年目において従業員数が減少し、一人当たりの賃金額
が増加している。これまでの日本的経営において、リストラと賃金額の増加を平行してお
こなうことには社会的親和性を得られなかった。賃金額を増加させる余裕があるならば、
リストラは避けるべきとされてきた。つまり、従業員数と賃金額は比例の関係にあったの
である。一方、この結果は、反比例の関係を示しており、TOB によって緩やかに成果主義が
導入されたと推察される。成果主義に関しては賛否両論あるが、少なくともこの結果から
労働市場にとって不利な結果とは言えない。
また今回のケースで企業における総人件費の変化率も計算した。計算式として、
総人件費=従業員数×一人当たりの賃金額
を採用した。その結果、一年目で約 5.6 パーセント、二年目で約 6.4 パーセントの上昇率
が確認された。この総人件費の上昇は業績の上向きを示唆するものと推測できる。
次にミクロ的に分析してみたい。というのは、(図6)のデータは全企業の平均であっ
て、個々の企業の把握が十分ではない。(図6)で全体平均値が高くても、大半の企業が
リストラにあっていたり賃金カットが行われていたりすれば、従業員にとって TOB は害で
ある。そこで従業員数と一人当たりの賃金額について、各企業の分布を紹介したい。
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(図7)従業員数の分布図
従業員数の分布
2.5
2
1.5
1
0.5
0
(図8)一人当たりの賃金額の分布
賃金額の分布
2
1.5
1
0.5
0
この分布図はイベント時の基準値を1とした時の各企業の変化率を示した。
まず(図7)従業員数の分布について考察したい。この図から、「約8割の企業におい
て従業員数は増加、又は微減に留まっている」という事実が確認できる。つまり大半の企
業において、従業員数は大きな負の影響が及んでないことが分かる。
また(図8)一人当たりの賃金額について考察してみると、この図から、「約7割の企
業において一人当たりの賃金額は増加している」という事実が確認できる。つまり大半の
企業において、一人当たりの賃金額には正の影響が及んだ。
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以上を総合して、TOB が従業員に与える影響を結論付けたい。
TOB はマクロ的に見ると、人件費の上昇など従業員に正の影響がある。ミクロ的に見れば、
従業員数・賃金額が大幅に増える企業がある一方で、ある程度のリストラは避けられない。
つまり TOB が全ての従業員に正の影響を及ぼすわけではないが、経済全体で見ればプラス
であり従業員における TOB の有用性は確認できた。
6-3.ROA・ROE の変動
次に ROA14と ROE15の変動を調査した。ここで ROA・ROE に注目した根拠は、経営実績の改
善度合いを計るには株価からでは判断できないためである。6-2.では、企業の人件費
の上昇が確認された。それらと ROA・ROE の関連性はあるのだろうか。
この2つの指数に注目することで、実際に経営実績が改善されているのか、検討してみ
たい。
(図9)買収企業の ROA・ROE
ROA・ROEの推移
1.5
1
ROA
ROE
0.5
0
TOB実施年
1年目
二年目
ROA
1
1.0864022
1.364664
ROE
1
1.0866428
1.4243208
14
ROA とは総資産に対する当期利益の比率である。そのため株主だけではなく、債権者を含む資金提供者の立場から経
営の効率性を計ることが可能である。
15
ROE は株主資本に対する収益率を示した比率である。
20
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(図10)被買収企業の ROA・ROE
ROA・ROEの推移
5
4
3
ROA
ROE
2
1
0
ROA
ROE
TOB実施年
1
1
1年目
2.456742
2.202894
2年目
3.884768
3.561309
(図9)・(図10)より、買収企業・被買収企業ともに経営の改善が行われた。特に
被買収企業は経営実績の改善が顕著である。また ROA・ROE が伸び続けている理由は、TOB
による一時的な効果によるものではない。TOB によってガバナンス自体が改善され、長期的
に企業経営の改善に寄与したと考えるのが自然である。
また TOB 実施以前では ROA がマイナスだったにもかかわらず、その後プラスに転じてい
る企業も見受けられた。
以上から ROA・ROE の変動を結論付けたい。
TOB によって、買収企業・被買収企業ともに経営が改善された。総資産・株主資本からの
経営実績が格段に向上している。またその長期的な推移を見ると、ガバナンスが改善され
たと考えるのが妥当である。
6-4.経営者交代の比率
これまでの分析で、経営の改善を示唆する数値が随所に見受けられた。ではその際に経
営者(社長)は交代したのだろうか。今回のケースでは、イベントデー前の経営者がイベ
ント後に交代したかを調査した。
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経営者交代率
交代なし
内部交代
外部交代
TOB 後 1 年間の平均
79.3
10.3
10.3
1990 年~98 年の平均
84.9
11.6
3.5
その結果、イベントデーから一年間で 20.7%(内部交代 10.3%・外部交代 10.3%)の交
代がみられた。ところが宮島・青木論文16によると、1990 年~98 年における経営者交代率
は 15.1%(内部交代 11.6%・外部交代 3.5%)である。比較すると TOB 案件が全体として
5%高く、また外部交代率が大きく上昇している。
これらのデータを分析したい。経営者交代はガバナンスの変化を期待できる要素の一つ
である。特に外部から経営者を登用した場合、ガバナンスの改善が期待できる。6-3.
における ROA・ROE の上昇と今回の調査結果を併せて検討すると、TOB はガバナンスの改善
効果があると考えられる。
また TOB において、経営者の交代は重要なメッセージが含まれている。なぜなら、TOB に
は「経営者の規律付け」効果という側面もあるからである。もし TOB が原因で経営者が交
代されれば、それは現在の経営者にとって脅威となりうる。その場合、社長交代というア
ナウンスによって経営者は資本市場に規律付けられ、結果的に経営の向上につながる。今
回の調査結果を見る限りにおいて、TOB が「経営者の規律付け」効果があることが推察され
る。
以上からこのように結論付けられる。
今回の結果から、経営者の交代が比較的高い頻度で行われていることが判明した。特に外
部交代率の高さは注目に値する。それらは TOB がガバナンスの改善や「経営者の規律付け」
効果に寄与する可能性があることを示唆している。
16
1990 年~98 年における製造業 330 社の経営者交代比率を推計している。(宮島・青木〔2002〕参照)
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6-5.分析結果のまとめ
分析結果をまとめると、以下の表になる。
日本
アメリカ
被買収・株主
+
+
被買収・従業員
+
-
買収・株主
+
±0
(その他の特徴)
①ROA・ROE の上昇
②経営者交代率の上昇
6-6.分析結果による推論
以上の分析結果を見る限り、TOB によって日本企業のコーポレート・ガバナンスが改善さ
れることが推察される。また従業員に対しても、正の効果が確認され、経営を改善してい
ることから、TOB は会社全体にとって有益であると考えられる。そう考えるならば、現在の
防衛策論議は有害無益といえる。むしろ積極的に TOB を促進させるような方策が求められ
る。
また、TOB が起こる可能性を減らす防衛策は、「経営者の規律付け」機能を低下させるこ
とになる。経済全体において「経営者の規律付け」の手段の一つが無くなるのはマイナス
である。防衛策が適切かつ有効に活用される場合は、買収者が「悪」で経営者が「善」の
時に限られる17。つまり、TOB の発生有無は重要ではない。むしろ TOB の存在が「経営者の
規律付け」に貢献することが重要である。
防衛策は「経営者の規律付け」機能と健全な買収を妨げる可能性がある。また今回の我々
の研究では、TOB による買収は企業全体にとって有益であると証明された。この二点から
TOB を反故にするような防衛策は再考の必要があると考えられる。
17
経営者が効率的に経営している時に、リターン目的のみで買収するケースをさす
23
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7. 結論
本稿で得られた結論は以下の通りである。ただし、対象サンプル数が少ないこと、調査
可能な期間が短いことを考慮すると、以下の結論はいずれも暫定的なものである。
(1)今回の研究の限りにおいて、日本における TOB の有用性は確認された。買収企業・
被買収企業の CER をイベントデー以前と比較したところ、一時的に低下する場面は
あったが総じて上昇した。
(2)被買収企業の従業員には正の効果があり、「従業員から株主への富の移転」は確認
されなかった。株主の利益は従業員の犠牲に成立するものではなく、株主と従業員
の共存共栄は可能である。
(3)被買収企業の ROA・ROE が上昇した。これは企業の経営実績が向上した証であり、コ
ーポレート・ガバナンスは TOB 以前と比較して改善されたと考えられる。また経営
者の交代率は平均に比べ高かった。TOB は、実施前には「経営者の規律付け」効果が、
実施後にはガバナンスの改善効果が見られる。
今後の課題としては、回帰分析を用いる、対象期間の長期化、従業員の退職金・年金の
調査、が考えられる。また日本では敵対的買収の案件が少ないこと、OUT-IN の案件が増加
すると予想されることから、今後も TOB を注意深く見守っていきたい。
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分析に使用した案件
イベントデー
被買収企業
買収企業
1991/3/1
国際航業
ニューホームクレジット
1991/3/15
マルエツ
ダイエー
1993/9/18
ジャッパンシステム
EDS
1995/10/28
和弘食品
日清製油
1997/7/30
リース電子
セガ・エンタープライゼス
(現 バーテックスリンク)
亜土電子工業
1998/5/27
元気寿司
グルメ杵屋
1998/10/16
天昇電気工業
三甲
1998/10/31
鳥居薬品
JT
1999/9/21
修学社
四谷アカデミー
2000/1/24
昭栄
エム・エイ・シー(MAC)
2000/2/17
エスエス製薬
ベーリンガーインゲルハイム
2000/6/9
みなと銀行
さくら銀行
2000/9/21
日本コンピュータグラフィック
昭文社
2000/10/10
レオ
チヨダ(親会社)
マックハウス(子会社)
2001/1/29
ピープル
コナミ
2001/6/1
マルキン忠勇
盛田
2001/7/25
エス・イー・ラボ(SEL)
TIS
2002/4/16
栃木富士産業
ジーケーエヌ・オートモーティブ
2002/4/26
エルメ
イビサ
アウトパフォーマー・インベストメント・リミテット
2002/5/22
ナイスクラップ
パル
2002/9/11
なか卯
ニチメン
2002/11/26
ダブルクリック
トランス・コスモス
2002/11/28
新日本紡績
アセット・マネージャーズ
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(現アセット・インベスターズ)
2003/1/21
マックスバリュ北海道
イオン
2003/3/8
積水工機
アーク
2003/4/29
マックスバリュ中部
イオン
2003/5/6
旭テック
リップルウッド
2003/10/22
日商インターライフ
サミー
2003/11/13
三菱ウェルファーマ
三菱化学
2003/11/28
ダイオ化成
日本ウェーブロック
2003/12/19
ユシロ化学工業
スティール・パートナーズ
2003/12/19
ソトー
スティール・パートナーズ
26
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(参考文献)
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奥村宏(1989 年 12 月)「買占め・乗取り・TOB」(社会思想社)
菊池正俊(2000 年 9 月)「TOB・会社分割による M&A 戦略」(東洋経済新報社)
北
真収(2001 年4月)『欧州にみるクロスボーダー敵対的 TOB(Take-over Bid)とリス
ク・マネジメントへの示唆(上)・(下)』(第六号「開発金
融研究所報」国際協力銀行)
服部暢達(1999 年 12 月)「M&A
成長の戦略」(東洋経済新報社)
深尾光洋(1999 年4月)「コーポレート・ガバナンス入門」(ちくま新書)
文堂弘之(2001 年 2 月)「株式公開買付け(TOB)の仕組みと機能」(中央経済社)
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RICHARD A .IPPOLITO and WILLIAM H .JAMES“LBOs,Reversions and Implicit
Contracts”,THE JOURNAL OF FINANCE,1992
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