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岡山県集落機能再編・強化事業
モデル地域取組事例集
~集落が変わる!~
平成22年2月
岡
山
県
は
じ
め
に
本県においては、「岡山県中山間地域の振興に関する基本条例」(平成15年制定)
及び「岡山県中山間地域活性化基本方針」(平成16年策定)に基づき、県、市町村、
地域住民等が連携し、中山間地域対策を総合的に推進しているところです。
しかし、中山間地域では、過疎化・高齢化が進行し、小規模高齢化集落が増加して
おり、そうした集落では、耕作放棄地の増加や森林の荒廃、公共交通手段の喪失、災
害への対応力の低下など様々な問題が発生しています。
こうした中で、農林水産物の供給や水資源のかん養等の公益的な機能を有する中山
間地域において、持続可能な地域づくりを進めるためには、地域住民と行政が協働し、
集落の範囲を超えた広域の地域運営について話し合い、地域で支え合う取組や地域活
性化の取組を進めることが求められています。
本県では、平成20年度に、中山間地域の活性化を図るため、単独での集落機能の
維持が困難な集落などが存在する県内9箇所をモデル地域に選定し、大字単位などで
の広域的な地域運営に取り組む「集落機能再編・強化モデル事業」をスタートさせ、
各地域では地域運営組織が設立されて様々な取組が始まりました。
また、これと並行して岡山県中山間地域県・市町村連携協議会において中山間地域
における地域運営などに役立ててもらおうと、『晴れ晴れ地域づくり羅針盤
~新た
な地域運営組織の取組の手引き~』が取りまとめられました。
「集落機能再編・強化モデル事業」の最終年となる本年度は、中山間地域における
集落機能の維持の取組や、集落の範囲を超えた新たな地域運営組織による活動などに
役立ててもらおうと、各モデル地域で実施された様々な取組と他地域での事例を盛り
込んだ事例集を取りまとめました。
本事例集を市町村や地域での話合いなどに御利用いただければ幸いです。
終わりに、本事例集作成にあたり、御支援、御協力を賜りました皆様に心からお礼
申しあげます。
平成22年2月
岡山県企画振興部長
平
松
卓
雄
目
次
頁
Ⅰ
岡山県集落機能再編・強化事業
~集落が変わる!~
Ⅱ
岡山県集落機能再編・強化モデル地域の位置図
7
Ⅲ
岡山県集落機能再編・強化モデル地域の取組事業一覧
8
Ⅳ
岡山県集落機能再編・強化モデル地域の取組
9
1
まなべしま
1
笠 岡市 真鍋島
9
ち せ い
2
井 原市 池井
14
たまがわちようましはら・したぎり
3
高 梁市 玉川町増原・下切
19
お お さ お お い の
4
新 見市 大佐大井野
22
ふたかわ
5
真 庭市 二川
27
かじなみしょうがっこうく
6
美 作市 梶並小学校区
32
まるやま・みなみやまがた
7
和 気町 丸山・南山方
36
しとりにし
8
美 咲町 倭文西
40
きゅうたかとみしょうがっこう く
9
吉 備中央町 旧 高 富 小 学 校 区
45
Ⅴ
その他地域の活性化事例
50
*
参考図書の一例
65
Ⅰ
1
集落機能再編・強化事業
~集落が変わる!~
事業の概要
(1)事業実施の背景
中山間地域(P4参照)は、農林水産物の安定供給と水資源のかん養という公
益的機能、あるいは憩いと安らぎの交流空間や定住の場として、県民生活にとっ
て重要な役割を果たしている。
しかし、過疎化、高齢化の急速な進行により、耕作放棄地の増加や森林の荒廃、
さらには生活の基礎単位である集落の機能が低下し、地域社会の活力が低下して
おり、これを放置すれば、集落の住民の生活に支障を来すとともに、国土保全上
の問題も生じてくる。
このため、県では、単独での集落機能の維持が困難な小規模高齢化集落などが
存在する9地域をモデルに選定し、小学校区、大字等の単位での地域運営への移
行を進める集落機能再編・強化事業(P5参照)を平成20年度から開始した。
(2)事業の進め方
ア
地元推進体制の構築
・集落の代表、市町村、学識経験者、NPO等による地元推進体制の構築
イ
集落機能の現状と課題の把握
・集落活動全般の実態把握
・住民アンケート等による意向調査
ウ
集落機能再編・強化計画の策定
・住民アンケート等の結果を踏まえ、地元推進組織での話合いにより、地域の
課題やそれを解決するための事業を盛り込んだ集落機能再編・強化計画を策
定
エ
試行的事業の実施
・地域の課題に対応する事業を、地元推進組織が主体となって試行的に実施
2
地域の課題と試行的事業
(1)分野別の整理
地元推進組織での話合いによって明らかになった各地域ごとの課題(P6参照)
は、概ね「暮らし」、「産業」、「交流」の各分野に整理できる。
ア
暮らし
・道路、下水道など生活基盤の整備
・移動手段の確保
・高齢者世帯等の見守り体制の整備
・道路の草刈りや農地の保全などの担い手確保
イ
産業
・就労の場の確保
- 1 -
など
・特産品の開発
・農業での所得確保
ウ
など
交流
・地域住民の交流
・地域資源を活かした都市住民との交流
・地域外からの移住の促進
など
(2)試行的事業
計画の策定と並行し、地域の課題のうち地域で解決できるものについて、各地
域が試行的に事業を実施した。この取組事例集は、平成20、21年度に実施さ
れた試行的事業の主なものをとりまとめたものである。
3
成果と課題
(1)成果~変わり始めた集落
ア
意識の変化
集落機能再編・強化事業(モデル事業)開始当初は、9つのモデル地域の多
くで、住民の中には「あきらめ」の気持ちや行政依存の体質が散見された。し
かし、新たな地元推進組織を設立して話合いを重ね、地域の課題や将来像を住
民が共有したことで、「自分たちでやってみよう」という意識が高まりを見せ
ている。このような住民意識の変化を促したことは、モデル事業の大きな成果
と考えられる。
イ
住民主体の取組
もう一つの成果は、試行的にではあるが、地域住民の目線に立った住民主体
の事業が数多く実施されたことである。防災マップの作成、買い物ツアーの実
施など、地域で安全に安心して暮らすための課題に住民が向き合い、自らの手
でその解決に取り組み始めたことも、地域の変化の現れといえる。
試行的事業で数多く実施された交流事業においても変化が見られる。いくつ
かの地域では、賑わいの創出だけでなく、都市住民等の目を通して地域の価値
を見つめ直すことで地域の自信や誇りの回復に結びつけようとしている。また、
交流事業を通じて、地域住民の一体感や結束力が高まったとの声も数多く聞か
れたところである。
(2)課題~持続可能性と活性化の両立を目指して
ア
課題等の絞り込み
地域の課題には、地域で解決できるものとそうでないもの、すぐに取り組め
るものと長期的な視点が必要なものがある。とりわけ過疎化・高齢化が進行し
ている地域のマンパワーには限りがあるため、個々の事業の企画・実施に当た
っては、地域で取り組むべき課題や着手する時期を絞り込むことが必要である。
イ
実施単位の検討
地域で解決できる課題であっても、例えば「高齢者世帯等の見守り体制」や
- 2 -
「自主防災体制」は、旧村や小学校区規模で仕組みを構築した上で見守りの実
践や防災マップの作成は集落単位で行い、「顔の見える体験交流事業」は大字
程度の規模で実施するなど、個々の事業の内容に応じて実施単位を十分に検討
する必要がある。
ウ
経営的な視点
地域で企画・実施する事業は、地域住民の無償での労役提供に依存しがちで
あり、時として住民の疲弊を招くこともある。モデル地域での試行的事業では、
参加費を徴収する事例も増えてはいるが、せっかく始まった事業を長続きさせ
るためには、これまで以上に経営的視点を持ち、スタッフの人件費も賄えるよ
うな収支計画とするなど、住民の負担に依存しない形への転換を図っていくこ
とが必要である。
エ
推進体制の強化
いくつかの地元推進組織では、若い世代、女性、移住者などが参加すること
で、世帯主中心の「寄り合い」などでは埋没しがちだった意見やパワーを、事
業の企画・実施に生かすことに成功している。また、複数のリーダー的人材が、
それぞれの得意分野や性格を生かして事業の企画、意見の調整、実施の段取り
などの役割を分担している地域では、事業がより円滑に行われている。
これまでの行政区による地域運営と相互に補完する形で、これらの新たな地
域運営の手法を積極的に取り入れることで、より一層活力ある事業展開が期待
できる。
4
今後の展望~「おかやま元気!集落」の拡大を図る
こうした成果と課題を踏まえ、県では、集落機能の再編・強化に取り組む地域(お
かやま元気!集落)を拡大することが、地域社会の活力を向上させ、中山間地域の
活性化に結びつくと考えている。
このため、今後、市町村、NPO等とも連携し、これらの地域の取組を支援する
とともに、行政とのパイプ役や、先進事例の紹介など事業へのアドバイスを通じて
こうした取組をサポートする人材の育成を進めていきたい。
- 3 -
【中山間地域について】
○定
義
山間地及びその周辺の地域等地理的及び経済的条件に恵まれない地域で、次の
いずれかに該当するもの(岡山県中山間地域の振興に関する基本条例第2条)
ア 山村振興法に規定する山村
イ 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する
法律に規定する特定農山村地域
ウ 過疎地域自立促進特別措置法に規定する過疎地域
H21.4.1 現在
○面積・人口等
区
分
市町村数
面 積(k㎡)
人 口(人)
全
県
域
27
7,112.13
1,957,264
中 山 間 地 域
22
5,253.28
610,110
中山間地域の割合
81.5%
73.9%
31.2%
(注)人口及び高齢化率は、H17年国勢調査による。
- 4 -
高齢化率(%)
22.4
28.5
-
【岡山県集落機能再編・強化事業の内容】
1 地域運営広域化のイメージ
集落を主体とした地域運営
広域的な地域運営
集落
地域(小学校区
等)
集落
地域(小学校区
等)
集会、葬儀、草
刈、祭り 等
祭り、老人会、
運動会 等
葬儀、(集会、
草刈は必要に応
じ)
総会、部会、
祭り、老人会
等
2 事業の構成
モデル地域を有する市町村
小規模高齢化集落
推
進
体
制
周辺の集落
市町村
モデル地域
(小学校区、大字等)
学識経験者
NPO等
《集落機能の現状と課題の把握》
・集落活動全般の実態把握
・住民の意向調査
《集落機能再編・強化計画の策定》
・広域的な地域運営のあり方
・地域の農林地管理のあり方
・医療・福祉の地域での対応
・地域交通の確保 など
県
部局横断支援
- 5 -
【岡山県集落機能再編・強化モデル地域の課題】
市町村名
地 域 名
笠岡市
まなべしま
真鍋島
(小学校区)
井原市
ちせい
池井
(自治会)
高梁市
たまがわちょうましはら・したぎり
玉川町増原・下切
(大字)
新見市
おおさおおいの
大佐大井野
(大字)
真庭市
ふたかわ
二川
(小学校区)
美作市
かじなみしょうがっこうく
梶並小学校区
(小学校区)
和気町
まるやま・みなみやまがた
丸山・南山方
(自治会)
美咲町
しとりにし
倭文西
(旧村)
吉備中央町
きゅうたかとみしょうがっこうく
旧高富小学校区
(旧小学校区)
主 な 課 題
○学校統廃合の危機感
○子供を持った家庭の移住促進
○住居の確保と働く場の創出
○地域住民や観光客が集える場の確保
○交通手段の確保
○生活の維持のサービスの充実(草刈り、道路の危険箇所、
独居老人)
○地域間交流の推進
○高齢者福祉の充実
○移動手段の確保
○道路網の整備
○道路維持管理の強化
○上下水道等の生活基盤整備
○地域住民が気軽に集まる場の充実
○地域資源を活かした交流事業の推進
○車の運転ができない高齢者の移動手段の確保
○農用地の有効活用による産業振興
○安全安心の確保のための自主防災組織づくり
○移住定住の促進に向けた受入体制の検討
○日常生活への支援の確保(移動手段の確保、見守り強化、
除雪作業など)
○地域資源を行かしたイベントの開催や特産品のPRを通じ
た地区外の住民に対する梶並地区の魅力の情報発信
○農作業従事者の高齢化
○有害鳥獣による被害
○買い物に行く店が遠い
○日常生活道の整備
○家や墓地の草刈りができない
○病院が遠い
○高齢者(特に独居)の生活支援
○子供達が一緒に遊ぶ機会や場がない
○農業での所得確保が困難
○イノシシ対策の推進
○医療機関や買い物などの交通手段の確保
○一人暮らしや高齢者世帯の安全安心の確保(安否確認等)
○集落間の道路、農業用水路の清掃、草刈りなどの維持管理
- 6 -
Ⅱ 岡山県集落機能再編・強化モデル地域の位置図
5 【真 庭 市】
ふたかわ
地域:二川
8 【美 咲 町】
しとりにし
地域:倭文西
6 【美 作 市】
かじなみしょうがっこうく
地域:梶並小学校区
4 【新 見 市】
おおさおおいの
地域:大佐大井野
7 【和 気 町】
まるやま・みなみやまがた
地域:丸山・南山方
3 【高 梁 市】
たまがわちょうましはら・したぎり
地域:玉川町増原・下切
9 【吉備中央町】
きゅうたかとみしょうがっこうく
2 【井 原 市】
ちせい
地域:池井
1 【笠 岡 市】
まなべしま
地域:真鍋島
- 7 -
地域:旧高富小学校区
Ⅲ 岡山県集落機能再編・強化モデル地域の取組事業一覧
市町村名
取 組 事 業
地 域 名
笠岡市
まなべしま
真鍋島
(小学校区)
井原市
ちせい
池井
(自治会)
高梁市
たまがわちょうましはら・したぎり
親子移住体験ツアー
団塊留学ツアー
餅つき大会
島民・観光客の交流拠点づくり
見守り体制の整備(危険箇所調査)
交流体験事業(イモ植え)
交流体験事業(イモ掘り)
交流体験事業(しめ飾りづくり)
見守り体制の整備(地域福祉サロンの拡充)
農地保全管理(耕作放棄地でのウシの放牧)
分 野
暮
そ
産 交
ら
の
業 流
し
他
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
記
載
頁
10
11
12
13
15
16
17
18
20
21
玉川町増原・下切
(大字)
新見市
おおさおおいの
大佐大井野
(大字)
真庭市
ふたかわ
二川
(小学校区)
美作市
かじなみしょうがっこうく
梶並小学校区
(小学校区)
和気町
まるやま・みなみやまがた
丸山・南山方
(自治会)
美咲町
しとりにし
倭文西
(旧村)
吉備中央町
きゅうたかとみしょうがっこうく
旧高富小学校区
(旧小学校区)
雄山・雌山交流トレッキング
彩づく大井野体験ツアー
大井野地域づくりフォーラム
大井野土地資源棚卸し調査
防災マップ作成と自主防災組織の設立
福祉のむらづくり事業
ふるさと宅配便の充実
三世代交流事業
○
○
23
24
○ 25
○ 26
○
○
28
29
○
30
○
安否確認ネットワークづくり(居住形態マップ作成) ○
31
33
ふれあい祭り
かまくらファンタジー
○
○
34
ウォーキングイベント
やまびこ市場
○
○
37
38
○ 39
やまびこ農園での特産品の試行栽培(耕作放棄地対策)
防災マップの作成
さくらまつり出店
川遊び
どんとこい収穫祭
35
○
41
○
○
○
42
43
44
自主防災組織と安否確認体制の構築(防災台帳作成) ○
46
外出支援事業(お買い物ツアー)
47
温泉湯元の整備(ボランティアを活用した湯元の復元・清掃と交流の促進)
おかやま希望学園との交流事業
- 8 -
○
○
○
48
49
Ⅳ
岡山県集落機能再編・強化モデル地域の取組
まなべしま
1
笠岡市 真鍋島
①状況(H21.12.1現在)
人
口 304人
高齢化率 60.9%
世 帯 数 167世帯
集 落 数 2集落
②取組の動機
本地域は笠岡諸島の島の中
笠岡諸島
で高齢化率が一番高い島であ
り、集落機能再編・強化が一番急務である。また、離島というハンディを克服す
るために2集落の協力体制の強化が特に求められている。
③推進組織
真鍋島新聞編集会議
(部会:明日の真鍋島を創る会)
④地域の活性化に取り組む思い
笠岡諸島は島というハンディがある一方で、島であるがゆえに少人数でも学校
が残っているという特異性がある。
この小中学校の灯を絶やさないことが一番の活性化への道だと考えている。
そのためには、積極的に子どもを持った世帯の移住を促進する必要がある。しか
し、その移住を進めるうえで、住む場所の問題の他に生活していくために働く場
所の確保といった問題が生じてくる。
本地域には平成17年から毎年移住される方があり、移住者の受け入れには理
解がある。その理由は、ほとんどの移住者が子供を持った若い世代だからだ。
地域には老若男女のバランスが必要で、将来的に考えてこのバランスが保たれ
ていないと、いつかは地域が疲弊すると思っている。地域をまとめる共通の話題
として理解しやすいのが「子供のため」という視点であると考えて、これまで比
較的60代を中心に、時間に余裕があり少し元気な世代に依存していた島づくり
を、当事者である子どもを持った若い世代にも大いに活躍していただく必要があ
ると叱咤激励している。
また、移住して来られた世帯が中学校を存続させるために何か出来ることはな
いかと積極的に動くことで、地元の保護者をいい意味で刺激し、いろいろなアイ
デアが出されている。
さらに、外の世界を知っている移住者の目には本地域の良いところや悪いとこ
ろがよく写っていると思うので彼らの意見を尊重すると共に、彼らには昔からの
真鍋島の良さは今いるお年寄りも含めての歴史が作り上げたものだという「真鍋
島魂」なるものを理解してもらうことも大切だと思っている。
次の作戦は、子や孫をUターンさせ、お年寄りから島の良さを受け継いでいく
ことのできる島づくりである。
- 9 -
⑤取組事業
事業名:親子移住体験ツアー
分野名:交流
事業の内容・実績
平成20・21年度に2組限定の「真鍋で子育て島せんか体験ツアー」を実施
した。このツアーの企画は、平成19年に本地域へ移住した世帯の移住の経過を
再現したもので、その移住された方を中心に地域全体で実施したものである。
内容は、夏祭りが行われる日に合わせて、真剣に島暮らしを考えている世帯に
来てほしいとの思いから限定で2組の対応とした。
本地域の夏祭りは、小中学校の先生とその親が中心になって5年ぐらい前から
実施しており、学校の先生と親や子供たちが協力して屋台やビンゴゲーム大会を
企画して島の方をもてなすものである。明日の真鍋島を創る会としては、この真
鍋島流のイベントこそ本地域の特長と考え、その輪の中に入って体験していただ
こうと企画した。夏祭りの後には祭りの打ち上げも行われ、日が変わるぐらいま
で飲みながら様々な話をした。
翌日は、空家を見ていただく空家巡り
を行い、お昼を食べて終了というもの。
このイベントには同じ世代のお母さんお
父さん方が大勢参加し、島の教育や暮ら
しについていろいろと相談できる場づく
りに特に留意している。
平成20年度は1世帯6名の方がこの
ツアーをきっかけに移住され、平成21
年には5人目の赤ちゃんを出産されると
いうめでたいニュースも飛び出した。
実施に至った背景・経緯
子供を持った世帯に移住していただくために、夏休みの期間を利用して体験ツ
アーを実施し、実際に島暮らしを体験していただくもの。
平成19年に島に移住した家族の移住パターンをメニュー化し、インパクトの
ある行事への参加を通じて短期間で島暮らしを実感してただく。移住希望者の立
場に立ったスケジュールを立てることにより、より充実した内容になる。
工夫している点・苦労した点
とかく受け入れ側の都合でメニュー等を考えやすいが、移住経験者が何を聞き
たかったか?何が一番心に響いたか!という視点で移住経験者がメニューづくり
を行った。人が少ない中で、受け入れ行事を単独で行う余裕もないので、既存の
行事との組合せでより効果的なイベントの実施をめざした。
今後の展望
子どもを持った世帯の移住を進めるためには、やはり親の働く場所の確保が大
きな問題となってくる。教育も重要だが食べていけなければ移住も実現しない。
今後はもっと対象を絞って母子・父子家庭への広報や子どもだけが島に移住す
る離島留学等による子供の誘致作戦も視野に入れ、どんな形でも子どもがいる地
域の存続を目指して取組を続けることが必要と考える。
また、働く場所の確保についても、それぞれが真剣に考え、それを創るぐらい
の気構えで今後いろいろな活動の中で少しづつその体制づくりを行いたい。
- 10 -
事業名:団塊留学ツアー
分野名:交流
事業の内容・実績
島への移住希望の団塊の世代に対して、その訓練の場と、島内の環境整備とい
う2つの目的で平成20年10月20日~22日の2泊3日で開催。県内をはじ
め北海道・神戸から4人の参加があった。
体験メニューとしては、初日は島を知るという目的で島内散策及び空家の見学
を行い、夕方は地元の方々を交えての交流会を実施し、意見交換を行った。2日
目は島の環境整備事業へのボランティア
ということで真鍋島の城山展望台へ上る
遊歩道の整備を地元の有志と共に行い汗
を流した。午後からは島の醍醐味である
底引き漁体験を行い、地元漁師の船に乗
り打瀬網漁を行い新鮮な魚介類を収穫
し、夕食はその魚を使って料理作りも体
験した。
最終日は、先輩移住者の方の指導でベ
ンチづくりを行い、地域住民が休憩でき
るように道沿いに設置した。
実施に至った背景・経緯
高齢化が進むと環境整備の草刈り作業も大変になり、人手も年々少なくなって
いる。移住を希望している人にその作業を体験していただき、住民と一緒に汗を
流すことで島ぐらしの大変さがわかり心も通じあえると考えて試験的に実施し
た。
工夫している点・苦労した点
団塊の世代も仕事を持っている人が多いので、平日のイベント開催は参加者が
集まりにくい。発想が草刈りの助っ人がほしいという動機だったので、参加者の
ほとんどが女性で少しあてが外れた感があった。
今後の展望
イベント告知から実施までの期間が短かかったので、参加者が4名しか集まら
なかった。この手のイベントについては、空家の問い合わせ時に問い合わせ人材
バンクなるものを作り、移住希望予備軍を確保し、その中から体験ツアーで好感
触の人を選ぶくらいの工夫が必要だと感じた。また、移住希望者の特技を生かし
た体験メニューを加えて地元の人とのコミュニケーションを向上させていきた
い。
- 11 -
事業名:餅つき大会
分野名:交流
事業の内容・実績
真鍋島本浦地区の港の近くに今はあまり使われていない旧公会堂の施設と広場
がある。今の真鍋島の島づくりが始まった平成10年には、この公会堂と広場を
使って餅つきを行い、島の全世帯に「年忘れ餅」として配ったことがあった。今
では島の風物詩としての餅つきの風景が見られなくなったことと、その当時島お
こしを始めた60代の男性の気持ちの中にあの当時の元気をもう一度取り戻した
いという思いがあった。
明日の真鍋島を創る会では、島民が一緒に何かをするイベントを行い、若い人
とお年寄りが交流出来る場づくりが必要ということと、公会堂を平成20年度に
交流施設としてリニューアルする計画があるのでこの施設を使ったイベントを催
し、次へのステップにつなげたいとい
う思いがあった。
平成20年12月23日の午前中に
約50名の老若男女が集い、それぞれ
の役割分担で餅をついたり丸めたり、
世代間交流が図られた。
餅つきと並行して豚汁も調理し、参
加者で会食を行った。
また、参加出来なかった人にも「元
気モチ」とラベルを貼って手分けして
全世帯に配布した。
実施に至った背景・経緯
若い世代や移住者を中心に月に数回「明日の真鍋島を創る会」という会合を設
け、いろいろ協議する中で、問題点が多数上げられ、どの問題点も若い世代だけ
では解決できない問題であることに気付かされた。
若い人だけが島をどうにかしたいと、いくら頑張ってみても多数の高齢者の知
恵や経験を借りないと「空家の確保」ひとつについても難しい。
公会堂の利用方法を考えていた時、若い人と高齢者の交流の場づくりが必要と
いう意見が出され、平成10年の餅つき大会の話で盛りあがり、時期的にも丁度
タイムリーと判断し、即座に実施した。
工夫している点・苦労した点
様々なイベントをする時にすべての方が参加するのは難しいので、声かけを広
く行うこと(月刊のまなべしま新聞に掲載)。参加できなかった人にも成果物と
して餅を配布して何かの接点を持つことに工夫をしている。
今後の展望
恒例イベントにすると毎年開催しないといけないという変な使命感に襲われる
ため、平成21年は開催していない。タイムリーに何かしようと企画が上がった
時にその意見を活かして皆で集中できることが大切であり、あえて恒例行事にす
る必要もないと思っている。
今年は保育園で餅つき大会があり、大勢のお年寄りが招待されて子供らと和気
藹々に楽しんでいる姿はほほえましい様子であった。
- 12 -
事業名:島民・観光客の交流拠点づくり
分野名:交流
事業の内容・実績
県の集落機能再編・強化モデル事業で「島で産業支援による働く場の創出」
「地元の資源を活かした島づくり」などのテーマで専門家を招聘していただき勉
強会を重ねる中で、島民が集う場づくりの必要性と自らの力で作り上げる雇用の
創出という観点でこの拠点づくりの事業を進めた。
港から徒歩30秒という場所に大きな集会室と和室を兼ね備えた公会堂の施設
があった。
この施設は、ほとんど維持管理経費が発生しなかったが、数年前に下水道が整
備されたため、下水道を使わなくてもその基本使用料が毎月必要になった。さら
に、それらの経費を支払うための運営管理資金が底をつき、島内の各世帯から寄
付を集めているという状態だった。いわゆるお荷物施設である。
明日の真鍋島を創る会では、島の困りごとの手助けになるという大義名分と島
内向けには高齢者等の憩いの場所
づくり、観光客向けには休憩場所
づくりという複合的な利用目的を
掲げて、公会堂を島民と観光客の
交流の拠点づくりの場所にした。
圧巻は、ほとんどが住民手作り
でそれだけ思い入れもあり、機会
があればこの交流施設に集まり議
論をしている。また、オープン記
念式に併せて移住者の結婚式を行
い、初めての利用をその披露宴と
し、大勢の島民でお祝いをした。
実施に至った背景・経緯
一番の目的は観光客がお金を落としてくれる仕組みが作れないか、そして願わ
くば次に移住してくる家族の職場にならないかという大きな野望があった。
しかし、明日の真鍋島を創る会の本音は隠しつつ、島のお荷物施設を本会で管
理し、島民からの運営寄付をこれ以上集めないことにして、それに代わる経費の
捻出のために施設の運営方法を協議した結果、島民と観光客の交流施設としての
使い方にまとまった。
工夫している点・苦労した点
島内にも飲食店が数件ある中で一部競合する面があり、その役割をさび分け
し、理解していただくことに苦労した。交流施設ではあくまで場所の提供と簡単
なコーヒー・ビール等の飲み物に限定し、島内の店から出前を取れる仕組みにし
ている。
今後の展望
常時オープンするほどの観光客はいないので、視察やイベント開催時に有志が
交替で店番を行ったり、特産品を販売している。今後は島民の憩いの広場として
の使い道をもっと模索していきたい。
- 13 -
ちせい
2
井原市 池井
①状況(H21.12.1現在)
人
口 161人
高齢化率 55.9%
世 帯 数 64世帯
集 落 数 12集落
②取組の動機
本地域は高齢者が多く、行
池井地域の景色
事への参加者が少なくなって
おり、特定の壮年世代に負担がかかりすぎている状況がある。活動エネルギーが
低下している集落が多く、後継者の育成、地域外住民も含めた地域の活性化が課
題となっている。
③推進組織
池井地区地域運営協議会
④地域の活性化に取り組む思い
本地域を構成する「池谷地区」「井山地区」は、古くから夏祭りを合同開催す
るなど密接な協力関係にあったものの、地域の活性化という大きな課題に取り組
む上で、「行政は何をしてくれるのか」「地域住民への負担が増えるだけでメリ
ットがない」などの思いから、なかなか前向きになることができなかった。
しかし、地域内の中学生以上を対象としたアンケート調査により、住民の意識
や課題を把握できたことが足掛かりとなり、課題の解消に向けた検討が進んだ。
このことは、地域の活性化に取り組む意識の醸成を図るうえで大きな効果があった。
また、都市との交流事業をとおして、地域住民が日頃気付かなかった地域の様
々な「恵み」を改めて確認することができたと同時に、共通の目的を持った事業
が実施できたことにより、地域住民相互が一層団結できた。
交流事業実施後、地域住民から「参加者に元気をもらった」「今後も継続し、
再び都市住民と交流していきたい」といった前向きな意見が多数出ている。
本事業により構築された団結力をより強固なものとするため、今後も地域住民
の意見を広く取り入れ、従来から実施している伝統行事、環境の保全に努めると
ともに、今後発生する課題の解決に向け、地域が一体となって取り組んでいきた
い。
- 14 -
⑤取組事業
事業名:見守り体制の整備(危険箇所調査)
分野名:暮らし
事業の内容・実績
地域住民が日常的に使用する生活道において危険箇所を確認し、共通の認識を
持ち、安全な暮らしを維持するため、地区役員と市により現地を確認した。
路肩崩壊等の危険性を把握し、取りまとめた資料を市道路管理担当課に提出
し、修繕の要望を行った。
実績
現地確認箇所 12箇所
・路肩法面の小規模崩壊(7箇所)
・道路舗装面のひび割れ(5カ所)
実施に至った背景・経緯
本地域は、急峻な地形に住居が点在している。地域内の生活道路は、アスファ
ルト舗装、コンクリート舗装がなされているが、老朽化によりひび割れ等が生じ
ている箇所も見られる。高齢化が進む中、住民が安心して生活するため、危険箇
所を住民が相互に確認するとともに、市道路管理担当課に要望を行う上での調査
を行うこととした。
工夫している点・苦労した点
市道路管理担当課には、確認した危険箇所を取りまとめ修繕等を依頼している
ところであるが、予算の関係から全てが対応されることも難しく、今後も継続的
な現地確認と市への要望を行っていく。
今後の展望
地域住民から情報収集を行い、危険箇所を把握し市道路管理担当課に対応を要
望していき、安全な地区づくりに取り組んでいきたい。
- 15 -
事業名:交流体験事業(イモ植え)
分野名:交流
事業の内容・実績
本地域の豊かな自然、その自然が作り上げる作物、住民の温かい人柄を参加者
の皆様に体験してもらいたいという気持ちから、“池井の恵み「いただきまー
す」”という事業名を付け、継続的な事業展開を目標に掲げ交流事業を実施し
た。
継続的参加を促すため、作付けと収穫が体験できるサツマイモの栽培を実施し
た。地域の良さを知ってもらうため地域住民で打合せを行い、お茶にいたるまで
地元で採れたものにこだわった昼食を準備し参加者に振る舞った。
また、参加者と地域住民の交流を深めるため、レクリエーション(グラウンドゴル
フ)を実施した。
実績
実
参
施
加
日:平成21年6月20日(土)
者:53人
(大人41人、小人7人、幼児5人)
参加者住所:岡山市、倉敷市、福山市 等
植 付 本 数:約800株
実施に至った背景・経緯
本地域にとって何が課題かを地域全体で確認するため、地域内の中学生以上の
全住民を対象に実施したアンケート調査の結果、地域間交流の推進、地域交通手
段の確保、生活維持のためのサービスの向上という3点の課題が浮き彫りとなっ
た。
その課題の解決を図るため、地区役員、県・市の担当者で会合を開催し、地域
活性化の足掛かりとして交流事業に取り組むという方針を打ち立てた。
工夫している点・苦労した点
何から始めたらよいかわからない状態で、先進的取組の視察、講演会を参考
に、本地域の良さを参加者に感じてもらい、継続的な交流事業とすることを目的
として計画した。
初の取組ということもあり、「交流事業に参加してくれる人がいるだろうか」
と不安な気持ちの中で、県・市の協力のもと行った報道関係者への広報活動に
は、苦労した。
今後の展望
参加された皆さんを中心に本地域の応援団を増やすため、継続的な交流事業を
展開していきたい。また、参加者からの意見を参考に、地域内産物の販売や、参
加者と住民がともに楽しめる事業を計画し、地域の活性化に向けた意識の高揚を
図りたい。
- 16 -
事業名:交流体験事業(イモ掘り)
分野名:交流
事業の内容・実績
平成21年6月20日(土)に参加者自らが植え付けたサツマイモの収穫体験
事業を実施した。
前回の参加者アンケートで「全ての行程を体験したい」との参加者の意見をも
とに、芋つる、マルチシートの除去、芋掘りといったそれぞれの行程を参加者が
体験できる内容とした。
また、レクリエーションでは、ウォーキングを実施し、地域全体の見どころを
知ってもらうと同時に、住民との交流も深めた。最後に、収穫したサツマイモで
焼き芋を作り、“池井の恵み”を味わった。
実績
実
参
施
加
日:平成21年10月24日(土)
者:65人
(大人44人、小人11人、幼児10人)
参加者住所: 岡山市、倉敷市、福山市 等
実施に至った背景・経緯
本地域にとって何が課題かを地域全体で確認するため、地域内の中学生以上の
全住民を対象に実施したアンケート調査の結果、地域間交流の推進、地域交通手
段の確保、生活維持のためのサービスの向上という3点の課題が浮き彫りとなっ
た。
その課題の解決を図るため、地区役員、県・市の担当者で会合を開催し、地域
活性化の足掛かりとして交流事業に取り組むという方針を打ち立てた。
工夫している点・苦労した点
良質なサツマイモの成長を促すため、作付けをした後に生える雑草の除去等を
行う管理体制を検討し、4班の当番制により実施した。
また、イモ植え体験では、農業体験の不慣れな参加者を思い、大半の準備を地
域住民で実施したが、参加者アンケートの結果から「全てを自分でやってみた
い」との意見があったため、鎌・鍬等危険な器具を使うことへの安全確認を地域
住民で徹底して監視する中、参加者に全ての行程を体験してもらった。
今後の展望
参加された皆さんを中心に本地域の応援団を増やすため、継続的な交流事業を
展開していきたい。また、参加者からの意見を参考に、地域内産物の販売や、参
加者と住民がともに楽しめる事業を計画し、地域の活性化に向けた意識の高揚を
図りたい。
- 17 -
事業名:交流体験事業(しめ飾りづくり)
分野名:交流
事業の内容・実績
地域内の遊休農地を借上げ、「田植え」「青刈り」「天日干し」等様々な作業
工程を実施した後にできた藁を使用し、お正月に
使用する「しめ飾り」を作成するという体験事業
を実施した。必要な藁以外は米として収穫し、参
加者の昼食として提供した。
また、地域内で収穫した「もち米」を使用し、
昔ながらの「臼と杵」を使用した餅つき体験を将
来に受け継ぐことを目的として実施したことも参
加者から喜ばれた。
実績
実
参
施
加
日:平成21年12月12日(土)
者:41人
(大人25人、小人9人、幼児7人)
参加者住所:岡山市、倉敷市、福山市 等
実施に至った背景・経緯
本地域にとって何が課題かを地域全体で確認するため、地域内の中学生以上の
全住民を対象に実施したアンケート調査の結果、地域間交流の推進、地域交通手
段の確保、生活維持のためのサービスの向上という3点の課題が浮き彫りとなっ
た。
その課題の解決を図るため、地区役員、県・市の担当者で会合を開催し、地域
活性化の足掛かりとして交流事業に取り組むという方針を打ち立てた。
工夫している点・苦労した点
しめ飾りを作成する上で必要な藁を準備するため、5月に「田植え」、8月に
「青刈り」を実施した。その後も稲藁の管理には多大な労力が必要であり、地域
内行事の合間で長期的な準備を地域住民の団結力で対応した。
今後の展望
本事業の参加者は、他の交流事業に参加した人及びその知人が大部分であっ
た。このように多くのリピーターを確保できたことは、事業を実施するうえで大
きな自信となった。
今後も、参加者との密度の濃い交流が継続できるよう、魅力ある交流事業を企
画・実施していきたい。
- 18 -
たまがわちようましはら・したぎり
3
高梁市 玉川町増原・下切
①状況(H21.12.1現在)
人
口 145人
高齢化率 65.5%
世 帯 数 81世帯
集 落 数 13集落
②取組の動機
旧来は、農業を中心として
増原地区(上野)
農産加工品づくりなど生活交
流グループ活動が活発であったが、高齢化とともに衰退している状況にある。ま
ちづくり活動への参加状況も減少傾向にあり、地域の実情にあったコミュニティ
活動等の再構築が課題となっている。
③推進組織
玉川地域まちづくり推進委員会
④地域の活性化に取り組む思い
集落機能再編・強化モデル事業のモデル地域に指定された本地域では、現在通
学している児童、生徒が増原地区で1世帯1名、下切地区で1世帯5名となって
いる。また、全員が70歳以上の集落や独り暮らしの世帯が75%を占める集落
もある。
地域の活性化への取組としては、従来から「玉川地域まちづくり推進委員会」
という組織を核として、玉川町全体で様々な事業に取り組んでおり、小学校とも
密接な繋がりをもっているが、本地域では小学校へ通っている子どもがいる世帯
は1世帯のみのため、小学校の催しが地域へ反映しないだけでなく、世代構成や
地勢の面からもまちづくり事業が身近となりにくい状況にある。独り暮らし世帯
の方も多く、1日中誰とも話をしない日がある人もいる。
このような状況から、まず、本地域としては地域福祉サロン事業に取り組み、
集落内外の交流をするきっかけづくりをしていきたい。そこでの催し等で体を動
かし、話し合いをすることが、地域の人々が心身とも健康に暮らせる基となる。
そして、地域の繋がりを感じ、深め、元気になっていくことを望んでいる。
- 19 -
⑤取組事業
事業名:見守り体制の整備(地域福祉サロンの拡充)
分 野:暮らし
事業の内容・実績
地域住民のふれあいや生きがいづくり並びに生活の不安を解消することを目的
に、地域福祉サロン未実施の上野集落と中杉集落においてサロンを開催した。
○座談会
・事業計画、経費、運営スタッフについて説明
・地域福祉事業、福祉サービスの利用方法について説明
・マジックショー
○講話
・高血圧、新型インフルエンザの対応について
・健康管理について
・高齢者に合った食事について
・地域住民が安心して暮らすために
○ミニ敬老会
・食事会
○お茶会
・抹茶のいただき方
○地域清掃
・神社周辺の草刈、清掃
○反省会
・反省と今後の活動について
実施に至った背景・経緯
過疎高齢化の進む地域の住民に、住み慣れた環境でいつまでも楽しく生活がで
き、お互いに相談し合える場所づくりが必要であった。
上野集落では50歳代の方が数名おられるが、勤め等もありボランティア活動
に参加できにくい状況にある。しかし、1年前からサロンを実施している下村集
落、中仙戸集落のボランティアの方が町内会長(福祉委員)に状況や経費につい
て説明し、事業計画や運営の手伝いをすることで実施可能となった。
工夫している点・苦労した点
家屋が密集していないため、集会所に集まるのも大変なことである。少しでも
長い時間を一緒に過ごせるよう、他集落のサロンと協力し、ボランティアによる
弁当づくりを行い、食事を提供するとともに、参加できない人には弁当を届け、
近況を尋ねるようにしている。
なお、サロンをお世話する地域スタッフの確保・育成に苦慮している。
今後の展望
多くの住民の方にサロン開催を楽しみにしていただいているが、まだまだ閉じ
こもりがちな人もいるため、より多くの方に参加していただき、地域に合ったサ
ロンにしていきたい。
いつまでも自分の家で暮らしたいという人が多いため、見守り福祉マップを作
成したい。また、大半の家庭が野菜、柿づくりを行っているため、それを継続
し、楽しみながら作った野菜を地域外の方に届けるシステムを作りたい。
- 20 -
事業名:農地保全管理(耕作放棄地でのウシの放牧)
分 野:その他
事業の内容・実績
本地域の増原地区では、原野等も含めた約4haの遊休農地で、東北地方原産の
和牛「短角牛」4頭を周年放牧することにより、牛が雑草を食べ、農地としてよ
みがえりつつある。
当初は、水田の畦や畑の法面が崩壊する恐れや、衛生面も含めた付近を流れる
河川への影響が懸念されていたが、結果的にそうした地域環境に問題はなかっ
た。
それよりも、雑草が少なくなっていく中で、農地の管理をあきらめていた地域
住民の意識に「和牛を放牧することによって農地が管理できる。」という確信が
現れ始めた。
また、マスコミ報道による外部からの
注目もあり、地域づくりへの新たな意欲
を生んでいる。
実施に至った背景・経緯
増原地区では、農家の高齢化等により営農意欲が低下し、農地の荒廃が進み、
地域環境の悪化が心配されていた。
そこに、平成20年9月、この和牛放牧の話が持ち上がり、20人以上の土地
所有者がこの趣旨に賛同したことから実現したもので、今では地域住民の理解と
協力もあって、順調に放牧が行われている。
工夫している点・苦労した点
この放牧を取り組むにあたり、有志による和牛導入資金の確保を行った。
また、できる限り労力をかけないようにするため、遊休農地から雑草のない農
地への転換方法の確立が課題となっている。
今後の展望
今後は、周年放牧のサイクルを確立し、農地を完全に再生して、よりよい地域
環境の改善を図るとともに、この和牛放牧が地域づくりの一助として、他の地域
づくり活動への波及効果をもたらすこと期待したい。
- 21 -
お お さ お お い の
4
新見市 大佐大井野
①状況 (H21.12.1現在)
人
口 256人
高齢化率 49.2%
世 帯 数 91世帯
集 落 数 6集落
②取組の動機
高齢化が進んではいるが、
旧大井野小中学校
大井野地域振興福祉協議会が
地域間を結ぶ枠組みでの活動を行っており、また、人・モノ・自然などの資源が
そろっていることから、モデル事業を通じてより一層の連携強化を図り集落機能
の維持・発展に結びつけたい。
③推進組織
大井野地域モデル事業推進委員会
(部会:総務部会、教育文化部会、健康福祉部会、自治活動部会)
④地域の活性化に取り組む思い
本地域では、このモデル事業に取り組むにあたり、既存の大井野地域振興福祉
協議会の中に、新たにモデル事業推進委員会を設置した。そこを中心として地域
内の生活や活動の考察、効果的な地域運営体制づくりに向けた調査及び検討を推
進している。
平成20年度は、「地域運営への住民参画意識の醸成」を目的に、16歳以上
の全住民にアンケート調査を実施し、その結果から地域運営に関わる世代・性別
間の差異や生活課題を明確にすることができ、今後は、「仕事」「福祉」「暮ら
し」の充実を図るための活動に取り組むこととなった。
平成21年度は、農地の保全管理・都市交流事業・地域資源保護活動・公共交
通の研究・道路改良の促進・集落機能の維持・先進地視察研修・地域人材育成事
業を実施した。それぞれの取組については、モデル事業推進委員会と各部会が中
心となり、それぞれ事業の企画から実施までを行った。
また、県・市の行政機関を始め、本地域が中国地方中山間地域振興協議会のモ
デル地区でもあるため、その共同研究機関である島根県中山間地域研究センター
とも連携した取組を行うことができた。
今後は、課題の検証を行った上で、継続して取組を行うもの、既存の取組を再
考するものなどを判断し、新たな視点から地域資源や人材の活用方策を考えるこ
とで、地域に適した活動を展開し、その取組が継続できる組織体制や人材育成を
めざす必要があると考えている。
- 22 -
⑤取組事業
おんぜん
めんぜん
事業名:雄山・雌山交流トレッキング
分野名:交流
事業の内容・実績
日 時:平成21年11月3日(祝火)9:30~15:30
場 所:雄山・雌山(旧大井野小中学校運動場集合)
申込者:41名(内訳:新見21・岡山13・倉敷2・津山3・総社1・島根1)
内 容: 備中一の秀峰と言われる「雄山(標高1,153m)・雌山(標高1,067m)」
に紅葉の美しいこの時期に
登山を行い、地域住民と参
加者相互の交流を深めるこ
とを目的に企画された。
しかし、当日は平地部で
約20cm、山頂では約30cmの
積雪に見舞われたため、や
むなく中止となった。
実施に至った背景・経緯
平成20年度に実施された「大井野地域まちづくりに関するアンケート」結果
により、地域資源の利活用を推進することが必要との結果が示されたことを受け
て、以前、地元有志が実施していた『雄山・雌山登山』を復活させ、改めて都市
住民との交流を図る機会を設け、大井野の観光資源をPRすることを目的とす
る。
工夫している点・苦労した点
参加者の募集については、以前、登山に参加された方及び団体へ開催案内を送
付し周知を図った。又、実施については、市内の森林インストラクターをお願い
し、植物を中心とした説明を行いながらの登山を予定していた。更に、下山して
からは、地元農産物の販売や大井野特産ヒメノモチの予約販売を実施予定であっ
た。
今回のように不測の事態で中止になった場合の、参加者及び関係者への連絡体
制、準備品(特に食事関係)の後処理等、想定外事項への対応方法に課題が残っ
た。
今後の展望
おどう
本地域は、大佐ダム・御洞渓谷・雄山雌山・宿泊施設(民宿含)等の観光及び
交流体験ができる資源が比較的多く存在している。それを活かすプログラムの開
発と、経済効果を生むシステムづくりを今後検討し、地域で自主的かつ継続的な
取組を行っていきたい。
- 23 -
いろ
事業名:彩づく大井野体験ツアー
分野名:交流
事業の内容・実績
日 時:平成21年11月14日(土)13:30~ 15日(日)13:30
場 所:雄山の家、雌山の家及び周辺・大佐山ミニゴルフ場
参加者:6名(岡山2・倉敷2・大阪2名)
内 容: 本地域の独身男性10名と地域外の独身女性が、大井野及び大佐地
内の施設や資源を活用した
交流活動を実施し、出会い
の機会を創出する。
交流メニューは、大井野
特産ヒメノモチの餅つき、
千屋牛&イノシシ肉のバー
ベキュー、大佐山ミニゴル
フ場でのケイマンゴルフ大
会を行い、参加者相互の交
流を図ることができた。
実施に至った背景・経緯
平成20年度に実施された「大井野地域まちづくりに関するアンケート」結果
で、地域内未婚者への対応が必要であるとの意見が多数あり、対象者へ意向を確
認したところ10名の独身者が趣旨に賛同し、実施することができた。
工夫している点・苦労した点
独身女性参加者への周知が不十分で、目標の参加者数を確保することができな
かった。また、事業運営を大井野独身者が行ったため、参加女性をもてなすこと
はできたが、段取りに忙殺され参加者としての関わり方が希薄になった。
交流場所は、大井野及び大佐地内を対象とし、地域の特性を活かした催事であ
り、参加者からも概ね好評であった。
今後の展望
この交流事業については、複数回実施することによって、人と地域を理解でき
ることと考えるため、今後も魅力あるメニューともてなしを考察する必要がある
と思われる。
今回、地域の行事に関わることの少ない世代が「彩づく大井野体験ツアー」の
企画及び運営に携わったことを、この先、若者達を中心とした新たな活動展開や
リーダー育成に繋げていきたい。
- 24 -
事業名:大井野地域づくりフォーラム
分野名:その他
事業の内容・実績
日 時:平成21年10月24日(土)13:30~15:30
場 所:旧大井野小中学校体育館
参加者:43名
内 容: 大井野の地域住民を対象に、集落の活性化を考える機会と新たなリ
ーダー育成を目的に講習会が企画された。
講師には、岡山県地域づくりマイスターの仲田芳人氏、元和歌山県
那智勝浦町集落支援員の山内裕紀子氏を招へいした。
仲田氏は、地域の暮らし
や資源を利活用した観光プ
ログラムの開発方法につい
ての講話を、山内氏からは
集落支援員の役割や取組内
容について説明が実施され
た。(※山内氏は平成16
年度に、地球緑化センター
「緑のふるさと協力隊」事
業で大井野地域へ派遣され
ている)
実施に至った背景・経緯
平成21年度計画を協議する会議の席で、オブザーバーとして参加された岡山
商科大学の多田教授から、地域人材育成の重要性についてアドバイスがあり、そ
れを受けて計画された。
講演内容については、本地域にある資源の利活用、集落機能を維持させるため
の外部人材(集落支援員)の導入について、テーマを絞って人選を行った。
工夫している点・苦労した点
大井野の資源活用については、新見市内で地域づくりに造詣が深く、かつ実践
されている仲田氏を、集落支援員については、経験者である山内氏を招へいして
実施した。両氏とも同地域にゆかりの深い人材で当日参加された方も親しみを持
って接することができた。
今後の展望
本地域は、比較的多くの観光及び交流体験ができる資源があり、それを活かす
交流メニューと、経済効果を生むシステムづくりが必要であると考える。又、地
域が自主的で継続的な取組を行うため、集落支援員等の人材を導入し新たな視点
で地域活動を考察していきたい。
- 25 -
事業名:大井野土地資源棚卸し調査
分野名:その他
事業の内容・実績
調査期間:平成20年10月2日~12月25日
調査対象:大佐大井野地域の全農地
内
容: 農地面積・土地所有者・管理者・農地の利活用状況等36項目に
わたって一筆毎に調査を実施した。調査は各集落から農業事情に詳
しい方を選出し、聞き
取りを中心に行った。
データ収集後は、共
同研究機関である島根
県中山間地域研究セン
ターにおいて処理がな
され、所有者別・管理
者年齢別・作付状況別
等項目毎に地図を作成
した。
実施に至った背景・経緯
本地域は、ほ場整備率も高く、営農組織に恵まれているため、耕作放棄地等が
少ない現状にある。しかし、将来を考えると耕作者の高齢化は避けて通れない問
題である。
このような問題に直面し、島根県中山間地域研究センターと共同で、土地資源
の現状把握を行い、将来の土地状況がシミュレーションできる本調査に取り組む
こととなった。
工夫している点・苦労した点
調査にあたっては、農地状況に精通している、農業委員経験者や集落営農実施
者等が、各戸への聞き取りや中山間地域等直接支払制度の資料を参考に調査を実
施した。
耕作者や所有者が地元に居住している土地については、ほぼ状況を把握できた
が、所有者が不在の土地状況については十分なデータ収集ができなかった。
今後の展望
データ集計後は、現況及び将来の土地状況について地図作成を行った。今後、
この地図やデータを活用した土地利用計画を策定することで、共同管理体制の確
立や鳥獣害防止の体系化、あるいは新規参入者の受入促進に寄与させていきた
い。
- 26 -
ふたかわ
5
真庭市 二川
①状況 (H21.12.1現在)
人
口 626人
高齢化率 46.5%
世 帯 数 238世帯
集 落 数 22集落
②取組の動機
本地域は、昭和の合併前の
ウォークラリー
旧村で、現在の市立二川小学
校区域にあたる。魚のつかみ取り大会・ウォークラリーとグラウンドゴルフ(三
世代交流)・納涼大会などの地域内交流事業や、年3回の特産品小包「ふたかわ
の味」発送事業、ふれあい弁当配食サービスなど、従来より様々な活動を実施し
てきていることから、地域のまとまり・連帯感がある。新たな組織のもと、各団
体の連携を一層強化し、これまでの各種活動について将来に引き継げる取組とな
るよう弱いところは見直し、良いところはさらに伸ばすなど取組の強化を地域ぐ
るみで進める。
③推進組織
二川ふれあい地域づくり委員会
(部会:地域活動検討部会、保健福祉部会、産業振興部会、青少年育成部会、広
報部会)
④地域の活性化に取り組む思い
平成の大合併で9か町村が合併して誕生した真庭市という大きな行政組織とな
り、国の地方分権のかけ声は定着するには時間がかかると思われる。市の行財政
健全化・効率化の渦中にあって、地域の拠点になっていた施設の廃止または縮小
が着々と行われている。地域の活力の足場が一つ、また一つ消えて行くのはやむ
を得ないことかも知れない。
二川小学校も将来は厳しい存在となるのか、過疎に拍車をかける思いがする。
今何とか前向きで力を付けなければならないと考えるこの時期に、モデル事業の
推進主体として「二川ふれあい地域づくり委員会」が誕生したことは、地域の若
者や女性のエネルギーを内蔵した手がかりであり、地道に地域の活力を育んでい
けるように期待したい。
- 27 -
⑤取組事業
事業名:防災マップ作成と自主防災組織の設立
分野名:暮らし
事業の内容・実績
1 防災マップの作成
・NPO法人に委託し、防災マップ作成に向けての考え方、進め方、まち歩きに
おける留意点、マップ原案作成にあたっての注意事項等について、ワークショ
ップ形式で説明会を開催した。
・開催回数 3回(事前説明、まち歩き、マップ原案作成)
・マップの原図は市が所有するデータを活用し、そのデータに危険箇所や消火栓
等の位置を入力(NPO法人委託)。
・完成した地図データに基づき印刷を発注。
・マップは6地区で7種類を作成し
た。これはほぼ公民館単位で、自
主防災組織も公民館単位で設置し
た。
2 自主防災組織の設置
・6つの公民館単位で設置(うち1
公民館はすでに設置済み)。
・規約はモデル事業推進組織の中で
案を検討し、各公民館に提示し
た。
実施に至った背景・経緯
本地域は昭和56年の大災害によって住宅は浸水し、土砂崩れが発生し、道路
も一部寸断されるなど、大きな被害を受けた。こうした体験を持っている住民が
防災の必要性を認識しており、モデル事業を契機に取り組むことにした。
工夫している点・苦労した点
市の地図データをそのまま使用すると、マップが非常に小さく、見えにくいも
のとなるため、必要な部分のみ活用し、地図を組み合わせて使用するなどした。
今後の展望
防災マップ作成を通じて、参加者が防災に対する意識を向上させることができ
た。今後は自主防災組織の活動を通じて、より多くの住民、特に高齢者に対して
防災意識を啓発していく。
- 28 -
事業名:福祉のむらづくり事業
分野名:暮らし
事業の内容・実績
福祉部会では平成6年から取り組んでいる活動をより充実させて実行すること
とし、
○ディサービス ○ふれあい弁当の配達と声かけ ○男性料理教室 ○子供と
高齢者を守るための交通安全街頭指導など、直接暮らしに関わることを重点に行
っている。これらの活動に参加してくださるボランティアを各公民館を通じて募
集したところ、約100名の応募を頂いた。
(1)ディサービスは対象者(75才以上の一人暮らし高齢者)を迎えて小学校児
童、保育園児との交流を行い、湯原温泉の湯を入れた風呂に入り、ボランテ
ィア手作りのお弁当を食べお送りする。
(2)配食サービスは、対象者(75才
以上の一人暮らし、75才以上の
高齢者世帯)に昼食を配り、声か
けをする。
(3)男性料理教室は、独居になっても
簡単な食事作りが出来るようにな
ることを目的に皆さん楽しく勉強
をされている。
(4)交通安全街頭指導は園児、子ども
の登校時間に合わせて地域内5カ
所で約1時間見守りを行う。
実施に至った背景・経緯
「地域ぐるみの高齢者福祉のむらづくり事業」を継続し、より充実させる思い
で取り組んだ。
工夫している点・苦労した点
高齢化によりボランティアが少なくなったこと、不況で若い人が休暇が取りに
くくなったことなどで活動に携わる人が少人数(4人)となり、ディサービス及
び配食サービスの調理が大変となったため、ボランティア活動に参加できる方の
確保に苦労した。(調理・送迎・配達など、現在は公民館単位で選出してい
る。)
新たな展開・改善点としては、高齢者の一人暮らしの安全と子供の通学時の安
全指導の徹底を図った。
今後の展望
持続可能な福祉活動の展開を行うには、次世代育成が必要であり、地域の相互
扶助活動をより推進していきたい。
- 29 -
事業名:ふるさと宅配便の充実
分野名:産業
事業の内容・実績
地域特産品の販売の手法として、二川地域住民の知人・縁故者を紹介していた
だき、ふるさと宅配便「ふたかわの味」(小包)を送付し、都市住民との交流を
図っている。なお、この事業は、「清流とやすらぎの里ふたかわ運営協議会」と
共同して取り組んでいる。
年 度
夏の小包
秋の小包
正月用の小包
合
計
平成11年度
133
142
275
12
116
174
290
13
100
191
291
14
139
217
356
15
154
220
374
16
135
33
221
389
17
102
35
238
375
18
105
33
197
335
19
91
20
172
283
20
133
22
201
356
21
132
33
163
328
計
1,340
176
2,136
3,652
実施に至った背景・経緯
中山間地域における小規模農業経営の実
態から、豊かな生活環境をつくりだす。こ
の視点で考えられる、発想に何があるか。
最も身近な所に潜在している特産品を掘り
起こして、僅少であってもこれを消費者に
届けて収入を得る、地域で人と人との関係
を構築し、活力を創出する。
工夫している点・苦労した点
地域産業の振興に少しでも役立つ魅力ある商品を創り続けることの重要さ、そ
して地味な中にも良さを認めていただくことが勝負である。
新たな展開・改善点としては、新製品の開発、安定した品質の確保、それに伴
う生産者の拡大と確保。地元産で100%対応することが可能となりつつある。
今後の展望
石の上にも3年、既に10年を経過し、県内外のお客様に応援・認知していた
だいていることにメンバーは自信を深めている。
昨年度は野菜づくり研修会を開催し、その後も県農業普及指導センターやJA
から指導を受けている。今年度から真庭市が小規模農家の支援策として始めた
「ふる里あぐり支援事業」の助成を受け、5戸の農家が道の駅「風の家」に共同
で出荷・販売を行っている。こうした動きが地区内に広がり、地区内で良質な特
産品を生産し、ふるさと宅配便の内容をさらに充実させ、この活動を末永く続け
ていきたい。
- 30 -
事業名:三世代交流事業
分野名:交流
事業の内容・実績
1 魚のつかみ取り&グラウンドゴルフ大会
・実施日:平成21年8月22日
・場 所:粟谷川河川公園、二川小学校
・参加者:97人
・内 容:午前中は粟谷川河川公園に、ア
ユ・アマゴ・ウナギ等を放流
し、子どもを中心に素手による
つかみ取りを行い、その場で調
理をして昼食を楽しんだ。
午後には、二川小学校にてグラ
ウンドゴルフで三世代交流を図
った。
2 ウオークラリー&グラウンドゴルフ大会
・実施日:平成21年11月3日
・場 所:二川こうふくむら→二川地内、二川小学校
・参加者:125人
・内 容:午前中は二川こうふくむらをスタート地点に、三世代チームを編成
し、紅葉と地域の史跡等を楽しみながら、ラリー形式のウオーキング
を行った。
午後には、こうふくむらで手作りの昼食を済ませた後、二川小学校に
に移動し、グラウンドゴルフで三世代交流を図った。
実施に至った背景・経緯
「地域ぐるみの高齢者福祉のむらづくり事業」を踏襲し、地域福祉の向上と世
代間(三世代)の交流を目的に、平成6年度から始めて現在に至っている。
工夫している点・苦労した点
当初は毎年違う内容の企画で実施していたが、次第にネタ切れ状態になったた
め、同じ内容を繰り返すことの意義を見だし、「今年も同様に参加できた」「今
年から参加できるようになった」という喜びの声を大切にしている。
子供達にいかに魅力ある事業をするかが、三世代の参加を確保するカギとな
る。内容的には毎年若干のアレンジを加えるように工夫している。
新たな展開・改善点としては、市の広報誌・真庭テレビなどを通じて地域外の
人にも参加を促し、活性化に取り組んでいる。今後規模を拡大するためには、有
料化も検討中である。
今後の展望
急激な少子高齢化の現況から逃れられない宿命なので、参加者数が次第に減少
していくことが予想されるが、本地域に三世代が存在する限り、同様の活動を継
続する意義があると考え、来年度以降も実施していきたい。
- 31 -
かじなみしょうがっこう く
6
美作市 梶並小 学 校区
①状況(H21.12.1現在)
人
口 845人
高齢化率 55.8%
世 帯 数 425世帯
集 落 数 6集落
②取組の動機
地域内の6集落のうち5集
梶並川の清流
落が高齢化率50%を超えて
いる。本地域の南部には診療所や個人商店、郵便局などがあるが、その他の集落
では過疎高齢化の影響により閉塞感が高まっていることから、地域内の連携をよ
り強化することで様々な課題の解決につなげたい。
③推進組織
梶並地区活性化推進委員会
(部会:福祉・生活部会、産業・交通部会、交流イベント部会)
④地域の活性化に取り組む思い
年々過疎高齢化が進む現状を憂慮していたころ、本地域が集落機能再編・強化
モデル事業のモデル地域に指定されたことから、自らの地域は、自らの手で守
り、育て、築き上げることを目標に、地域住民が主体となり、自主的な活動によ
るまちづくりを目指して取組を進めるため、委員20名による梶並地区活性化推
進委員会を設置し、平成20年度は、3部会の取組により「梶並地区活性化プラ
ン」の策定や福祉・生活部会を中心に一人暮らし世帯の把握などを目的に「梶並
地区居住形態マップ」を作成した。平成21年度からは、その計画の実行という
ことでの事業実施を行っている。
平成21年度は、7月に開催した「ふれあいまつり」のほか、「袴ヶ仙登山道
整備」、「かまくらファンタジー」などを実施した。いずれの事業も活性化推進
委員会の取組として、各大字の区長を始め、総代、愛育委員、栄養委員、その他
多数の方々の協力により開催できたものである。
平成22年度以降は、産業・交通部会や交流イベント部会を中心に、特産品の
開発や自然環境の保全、袴ヶ仙登山ウォークなど地域外の方を対象とした交流・
活性化事業の展開や福祉・生活部会を中心に、ふれあいまつりやボランティアの
会等が行う地区ふれあいサロンなど、地域内の方を対象とした福祉・生活事業の
開催を推進していくよう取り組んでいきたい。
- 32 -
⑤取組事業
事業名:安否確認ネットワークづくり(居住形態マップ作成)
分 野:暮らし
事業の内容・実績
一人暮らしや高齢者夫婦世帯の把握を目的に、福祉・生活部会のメンバーによ
り、平成20年9月現在で、住民基本台帳とは関係なく、実際に居住されている
住民について独自に調査を行った。
調査の方法としては、住宅地図を利用し、①独居住宅、②複数居住、③不在ま
たは空き家、④非居住、⑤公的施設の種類ごとに色分けを行うものである。それ
を1冊の冊子にまとめ、各世帯の状況がひと目でわかる地域内の居住形態マップ
を作成した。
岡山県や美作市の担当者からは、素晴らしいものができたと褒めていただいた
が、実際に活用する段階で、個々の世帯の状況がはっきりと分り、悪用されるこ
とにつながる可能性もあり、プライバシーの
面を考慮して、居住形態マップを実際に配布
したのは、①美作市消防署、②地域包括支援
センター、③岡山県中山間地域等空き家流動
化事業の実施に係る地域資源協力隊の3か所
となっている。
実際に調査を行ってわかったことは、本地
域の全世帯(425世帯)中一人暮らし世帯
が121世帯という多さだった。
実施に至った背景・経緯
少子高齢化の進行により、想像以上に速いペースで一人暮らしや高齢者夫婦世
帯が増加してるため、今後の地区内の見守りネットワークを構築し、取組を強化
するために実施した。
工夫している点・苦労した点
安否確認のネットワークづくりについては、本地域全域で足並みを揃えて取り
組むことが望ましいと思うが、所帯が大きくなると小回りが効きにくく、小回り
が効きやすい大字単位で取組を行った。
現時点では、東谷下、東谷上、右手の3大字で民生委員や愛育委員、地区総代
等を中心に取り組んでおり、今後、活性化推進委員会が働きかけを行い、その他
の大字でも順次、取組を推進していく。
今後の展望
若い世代が少ないので、現在の活性化推進委員会のメンバーが様々な役職を兼
務している。このままの状態で年齢を重ねていくことはメンバーに大きな負担が
かかるため、行政の支援なくして地域独自の取組は非常に難しいと思う。
大字別に取り組めば、活動がやりやすいと思うが、少しでも本地域での取組と
するためにも、今後、活性化推進委員会で十分な協議を行いたい。
- 33 -
事業名:ふれあい祭り
分 野:交流
事業の内容・実績
●映画鑑賞
昔は梶並、東谷、右手と3小学校があり、学校区ごとに地域行事が盛んに行
われていたが、現在では、ほとんど実施されなくなったことから、当時の懐か
しい生活状況等昔を偲ぶため、映画鑑賞を行った。
●作品展示即売
木工品、人形、山野草等、地域住民の手づくりによる作品の展示即売会を行
った。
●栄養教室
市の栄養士の指導により、女性ボランティアで地元の食材を使ったチラシ寿
司を作った。
●健康増進
市の保健師の指導により、市で取り組んでいる「らくじゃー体操」を参加者
全員で覚え、体を動かした。
●アトラクション
お楽しみコーナーとして、ビンゴゲーム大会を行い、まつりのフィナーレと
した。
地域を活性化するためには、まず内側からと
の取組により、地元の運転手によるマイクロバ
スでの送迎もあり、多くの高齢者が参加した。
映画上映のコーナーでは、室内に入りきれない
くらいの大盛況だった。また、作品の展示即売
コーナーには、素晴らしい作品が並び、おいし
い昼食や健康体操で元気一杯になることができ
た。
実施に至った背景・経緯
交流イベント部会を中心とする取組の第1弾として、「ふれあいまつり」を計
画し、開催した。旧勝田町では、ふれあいまつりが毎年開催されていたが、本地
域は旧町の中心地までは非常に遠く、参加者も少なかったことから、地域の特色
を生かしたまつりを開催することが、ふれあいまつり開催の背景である。
工夫している点・苦労した点
映画を作成するにあたり、写真や資料集めのため、各家庭に保存してある写真
や卒業アルバム等を借用し、活性化推進委員会内で制作担当を配置し取り組んだ
ことが、非常に骨の折れる作業だった。また、本地域の様々な方々がボランティ
ア精神で一丸となり、取り組んだことが成功につながった。
今後の展望
ふれあいまつりは、住民の交流親睦の場として、大きな成果があった。今後、
まつりを継続していくためにも、活性化推進委員会の3部会で知恵を出し合い、
協力し合っていきたい。
- 34 -
事業名:かまくらファンタジー
分 野:交流
事業の内容・実績
平成17年の合併以後に設立された勝田観光振興会と岡山県集落機能・再編モ
デル事業を実施している梶並地区活性化推進委員会を中心に、かまくらファンタ
ジー実行委員会を設置し、開催経費については、地域活性化・経済危機対策臨時
交付金を受け、名称を『かまくらファンタジー』としてまつりを復活させた。
【かまくらファンタジー実行委員会の構成員】
①梶並地区(右手・真殿・梶並・楮・東谷上・東谷下)
②梶並地区活性化推進委員会
③右手青年部
④みまさか商工会勝田支所
⑤勝田観光振興会
⑥トム・ソーヤー冒険村管理運営協議会
⑦やまんごう倶楽部
実施日:平成22年1月23日(土)
場 所:トム・ソーヤー冒険村
(美作市右手地内)
参加者:約200人
実施に至った背景・経緯
町村合併前の旧勝田町の時代にトム・ソーヤー冒険村のある梶並地区で、地元
有志を中心にかまくらまつりを4年間実施していたが、組織の弱体化、中心人物
の死去によりかまくらまつりが中止されていた。しかし、このままでは、過疎高
齢化に悩む地域の活性化はないとの思いから、右手地区を中心とし、本地域の中
にかまくらまつりを復活したいとの意見が多くあった。
工夫している点・苦労した点
気象条件に左右されるため、雪の確保が最大の課題となる。今年は暖冬の影響
か、正月を明けてもほとんど雪が降らず、開催できるか心配していたが、みまさ
か商工会勝田支所青年部等の多大なる協力により、他所から雪を運び、何とか
『かまくらファンタジー』を開催することができた。
また、雪集めは、人力に頼るところが大きく、過疎高齢化が進行している本地
域にとって、労働力を確保することが大きな課題であったが、数少ない若者たち
の献身的な協力があり、開催できたことを意義深く思う。
今後の展望
今回久々に開催した「かまくらファンタジー」を継続開催することにより、更
に地域外との交流及び地域の活性化を図っていきたい。
また、労働力の確保については、地域外からボランティア等を募り、多くの人
々の力を借りることも検討していきたい。
- 35 -
まるやま・みなみやまがた
7
和気町 丸山・南山方
①状況(H21.12.1現在)
人
口 120人
高齢化率 49.2%
世 帯 数 56世帯
集 落 数 2集落
②取組の動機
本地域は高齢化が進み、農
南山方から望む景色
地の保全、文化伝統行事がま
まならない状況であり、集落機能を取り戻すための地域再生のシステムや実践活
動が急務の課題となっている。
③推進組織
丸山・南山方区集落機能再編強化委員会
(通称「やまびこ会」)
④地域の活性化に取り組む思い
「よし今行動すべき、時期が来た、この期を逃すことはないぞ」
丸山・南山方区集落機能再編強化委員会(通称「やまびこ会」)を結成し、一
つの行政区だけではできなかったことも、隣接している行政区との連携によって
可能となる。先祖から受け継いだ自分たちの地域が荒廃していくのをただ見てい
くだけでなく、近隣の地域と連携し、もっと広いエリアで地域を元気にしていく
ための一手を打っていきたい。
幸い、自分たちの地域には、すばらしい自然という財産がある。この財産を最
大限に活用した地域づくりを展開する。
その先にはみんなで助け合うすばらしい地域があるこ と を 信 じ て 。
やまびこ会の目標
☆住んで癒される地域を目指そう
☆自然が感じられる美しい地域を目指そう
☆あこがれの地域を目指そう
- 36 -
⑤取組事業
事業名:ウォーキングイベント
分 野:交流
事業の内容・実績
実施日:平成21年11月15日(日)
場 所:三保高原やまびこヤッホ~ウォーキングコース
参加者:約180人
内 容:都市部との交流を目的に開催した。自分たちの住んでいる三保高原の
自然を体感していただくことができた。
コース内には、豚汁やふかし芋での接待などを通じて、参加者と地元
の交流のきっかけもたくさん生まれた。
実施に至った背景・経緯
地域の課題解決のための方策を検討している中で、自分たちの住んでいる地域
の魅力を出し合ったところ、美しい自然を売り込むことが1番いいのではない
かという結論に至り、多くの方に美しい自然を体感していただくことができる
ウォーキング大会を計画した。
工夫している点・苦労した点
標高300~400メートルという地理的条件と絶景ポイント、紅葉林などの
地域資源を活用するとともに、地域住民が実際に歩いてコースを設定するなど
「手作り」を重視した。
何事もはじめての取組であるので、参加者のニーズとやまびこ会側の想いが一
致するかどうか不安であった。また、小集落であるためスタッフの確保が大変で
あり、地域を離れて暮らしている家族を呼び、イベントスタッフとして参加させ
た。
今後の展望
このウォーキングイベントを定着させ、より多くの方を三保高原に招き入れた
い。また、その参加者の中から我々の地域との交流が生まれ、さらに広がってい
くことを期待している。
- 37 -
事業名:やまびこ市場
分 野:交流
事業の内容・実績
本地域の連携とやまびこ会の活動を広くPRするために、りんごまつりを活用
して、「やまびこ市場」を出店した。
実施に至った背景・経緯
やまびこ会の活動については、HPや『やまびこ通信』などでPRを行って
きたが、町民に直接伝えていく手段は無かった。しかし、りんごまつりのイベ
ントが復活したことをきっかけに、おこわや農産物の販売を通じて、やまびこ会
の活動を広くPRしていくことになった。
工夫している点・苦労した点
出店決定後、出品物を決めるにあたり打合せを行い、農産物の他に、おこわと
お寿司の販売を決定した。材料の調達、協力者の確保など会員が力を合わせて取
り組んだ。特に当日は朝4時からの作業だったため大変だった。
今後の展望
今後も、りんごまつりへの出店は継続していく。また、イベントだけでなく定
期的に出店できる仕組みを検討していく。
- 38 -
事業名:やまびこ農園での特産品の試行栽培(耕作放棄地対策)
分 野:その他
事業の内容・実績
休耕田を利用して特産品の試行栽培を行った。
品目:豆、山の芋、サツマイモなど
実施に至った背景・経緯
当初、休耕田を他地域の方に貸し出し、農地の荒廃防止を計画していたが、具
体的な農地の利用をわかりやすく説明するためにも、まず自分たちで作物を作る
ことにした。
工夫している点・苦労した点
作物の植付けから、草刈り、収穫まで、すべて自分たちの手で行い、ウォー
キングイベントで販売を試みたが、残念ながらすべての作物が飛ぶように売れた
わけではなかった。
今後の展望
作物の植付けや収穫などの時期を利用して、都市部からの人をできるだけ引き
込むような方策が必要になる。その参加者から、農地を利用したい人を募集する
などの検討をしていく。
- 39 -
しとりにし
8
美咲町 倭文西
①状況(H21.12.1現在)
人
口 1,008人
高齢化率 39.7%
世 帯 数 372世帯
集 落 数 46集落
②取組の動機
道路の草刈り等これまで集
まきばの館
落内で行ってきた様々な活動
を単独の集落で続けていくことが困難になってきており、旧村範囲というこれま
での集落単位よりも広域な区域をモデル地域に設定し、課題の解決策を検討する。
③推進組織
倭文西地区まちづくり協議会
(部会:農林業推進部会、地域づくり推進事業部会、自主防災・防犯・環境部
会、女性部会、青少年ふれあい活動部会、福祉部会、老人クラブ)
④地域の活性化に取り組む思い
本地域の状況は、若者の流出による人口減少の結果、独居老人世帯や高齢者だ
けの世帯が多く、46集落のうち約半分の24集落については65才以上の高齢
者が50%を超えている。このような現状の中、今すぐに地域の活性化をしなけ
れば、集落機能だけでなく集落がなくなる危険な状態となっている。近年の経済
情勢では、行政からの支援等についても期待できない状況となっており、地域活
性化のために地域住民が、地域の現状と今後の課題について自ら考え、地域全体
で協力し行動することにより、本地域の良さを発見し、人づくり・地域づくり・
環境づくり・産業興しを計画的に行い「元気な倭文西」を目指したい。
- 40 -
⑤取組事業
事業名:防災マップの作成
分 野:暮らし
事業の内容・実績
自主防災・防犯・環境部会が中心となって、本地域の防災環境を知り、地域を
守る自主防災組織の設置を目的に、3回にわたりワークショップを開催した。
[第1回目]
実 施 日:平成21年9 月 2 9 日 ( 火)
参 加 者:約60人
内
容:自主防災の必要性、地域の防災マップ作成について
[第2回目]
実 施 日:平成21年11月に自治会ごとに実施
参 加 者:約70人
内
容:地域内の危険箇所等を調査
[第3回目]
実 施 日:平成21年12月8日(火)
参 加 者:約50人
内
容:第2回目の調査内容をマップに
まとめた
実施に至った背景・経緯
自主防災・防犯・環境部会での話合いで、地域の危険箇所等が住民に十分知
られていないことがわかった。また、独居老人や高齢者のみの世帯が多 く 、 困
ったときに頼れる人がいないという問題を抱えていることも明らかにな
った。
このため、まずは危険箇所などを住民自身が調べて防災マップを作成すること
とした。
工夫している点・苦労した点
本地域の面積は約37K㎡と広いため、調査やマップの活用がしやすいよう
に、5つの自治会ごとでマップを作成することとした。
マップ作成にあたっては、住民全員が携わり防災を身近なものに感じられるよ
う、地域内を歩いて危険箇所等の調査をする「まち歩き」ワークショップを実施
した。
面積が広く、地形的にも山間部が多いため、調査には苦労した。
今後の展望
完成した防災マップを各戸に配布し、集会所には大きなマップを掲示する。
また、平成22年度には、マップをもとに日頃の危険箇所や消火栓等の状況確
認等、地域の実情に応じた防災マニュアル作成、災害時を想定した実働訓練等を
計画している。
- 41 -
事業名:さくらまつり出店
分 野:交流
事業の内容・実績
三休公園で開催された「さくらまつり」に、本地域として参加し、青空市を出
店した。
例年よりも開催時期が遅く、葉桜となっていたため、入場者は例年の半数以下
だったが、しし肉の焼肉など完売した商品もあり、地域内外の方との交流も図れ
た。
実 施 日:平成21年4月19日(日)
場
所:三休公園(美咲町西川上)
出店品目:ワラビやフキなど20種類の野菜、手作りこんにゃく、しし肉の
焼肉など
実施に至った背景・経緯
農林業推進部会が、地域の農産物を販売するためにはどうしたら良いかを検討
し、11月に開催を計画している収穫祭の試行も兼ねて、毎年、町のイベントと
して開催されている「さくらまつり」に倭文西として初めて出店した。
工夫している点・苦労した点
来店者が安心して購入できるよう、野菜の栽培管理方法などを値札に付けて販
売した。
各自治会が産品を持ち寄ったため、価格の統一などに苦労した。また、なかな
か売れない商品について、最後は現場の判断で値引きをするなど、あらかじめ販
売のルールを決めていないことが反省点となった。
今後の展望
今回の出店における反省点などを活かし、今後も毎年「さくらまつり」に参加
することで、地元農産物の販売と地域内外の交流を深めていく。
- 42 -
事業名:川遊び
分 野:交流
事業の内容・実績
地域内の自然に触れ親しむことで、子どもたちに地域の良さや自然の大切さを
感じてもらうために、川遊びのイベント「子供たちと川で遊ぼう!さかなのつか
み取りに挑戦」の開催を計画した。
前日の大雨で川が増水し、急遽仮設プールでの実施となったが、多数の親子が
参加し、元気に魚を追い回す子どもたちの姿が見られただけでなく、親にとって
も地域内の交流の場となった。
実 施 日:平成21年8月2日(日)
場
所:アーツ&クラフツビレッジ周 辺 ( 美咲町中)
内
容:マスのつかみ取りなど
実施に至った背景・経緯
地域内に、今の子どもたちが喜ぶような遊び場がなく、子どもの数の減少によ
って近所の子どもたちが一緒に遊ぶ機会も少ないことから、青少年ふれあい活動
部会が、地域内の子どもを集めて、川の素晴らしさと危険について学ぶイベント
を企画した。
工夫している点・苦労した点
前日の雨により川が増水したため、川での実施を断念し、ブルーシートを利用
した仮設プールを作り消防車から注水するなど対応に苦労した。
今後の展望
平成22年度以降も川遊びのイベントを実施する。
また、青少年ふれあい活動としては、定期的な三世代交流イベントや子どもた
ちが地域の歴史や良さについて学習できるような取組も実施していきたい。
- 43 -
事業名:どんとこい収穫祭
分 野:交流
事業の内容・実績
地域外に向けて本地域をPRするとともに、都市住民との交流を図るため「ど
んとこい収穫祭」を開催した。
今まで、地域内のみでの収穫祭は実施していたが、地域外の方にも来ていただ
けるように規模を拡大して、場所も「まきばの館」に隣接する「岡山県総合畜産
センター」に移して開催した。
当日は、曇りから雨に変わる悪天候だったが、1,000人を越える方に参加
していただき、盛況のうちに地域内外の交流ができた。
また、実行委員会形式により、半年かけて地域全体で何度も協議を重ねたこと
で、地域の結束が深まった。
実 施 日:平成21年11月1日(日)
場
所:岡山県総合畜産センター
内
容:倭文西コーナー(しし肉や牛肉の焼肉と焼き芋の販売)
各自治会コーナー(地元
農産物などの販売)
倭文西紹介コーナー(地
域内の地図・写真の展示
など) など
実施に至った背景・経緯
地域づくり推進事業部会が、本地域の魅力を地域外の方に知ってもらうために
どうしたら良いかを話し合う中で、今まで地域内のみで行っていた収穫祭の規模
を拡大したイベントを実施することにした。
工夫している点・苦労した点
より多くの方に楽しんでいただけるように、歌謡ショーや餅つきなどを盛り込
むとともに、住民自身が再確認した地域の魅力を写真パネルで発表する「倭文西
紹介コーナー」を設けた。
地域外からの集客を図るため、ポスター等を作成し、地域内外に幅広く掲示・
配布するなど積極的な広報活動を行った。また、「元気倭文西」の文字を入れた
スタッフジャンパーを作成し、一体感の醸成を図った。
大規模なイベントを地域住民の力で企画・運営したため、夜遅くまで何度も会
議を重ねた。
今後の展望
今後も収穫祭を開催し、地域外へのPRと地域内の結束の強化を図る。
また、イベント時以外にも本地域を訪れていただけるよう、積極的なPRを行
っていく。
- 44 -
きゅうたかとみしょうがっこうく
9
吉備中央町 旧 高 富 小 学 校 区
①状況 (H21.12.1現在)
人
口 240人
高齢化率 57.5%
世 帯 数 94世帯
集 落 数 3集落
②取組の動機
これまで、地域づくり団体
小森温泉
を設けての活性化活動や自主
防災活動などに積極的に取り組んできた地域であるが、高齢化が進み、活動の維
持が課題となっている。また、高齢者世帯や一人暮らし老人世帯が多く、行政、
医療機関、教育施設や店舗などから離れていることから、生活交通手段の確保も
課題の一つである。
③推進組織
旧高富小学校区みんなで支え合う地域づくり協議会
(部会:総務部会、地域活動支援部会、生きがい・交流活動部会)
④地域の活性化に取り組む思い
岡山県集落機能再編・強化モデル事業の指定を受け、地域住民が基本方針とし
て、1)自分たちの地域は自分たちの手で 2)最善の策より次善の策で 3)GEN
KAI(限界)集落からGENKI(元気)集落へ という合言葉のもと、組織
を立ち上げ、各種事業計画を策定し、活動に取り組んでいる。
活性化に取り組むポイントとして、
ア)常に住民の目線に立った活動を実施する。
イ)行政からの提案や押し付けではなく、あくまでも地域の中で生きていくために
必要な事業としての認識のもと、地域本意の事業を展開する。
ウ)この取組が一過性に終わることなく継続していくことが重要であり、無理をせ
ず住民全体の意識高揚を図りながら、少しずつ事業を展開していく。さらに、
モデル事業終了後も地域の力で取組の継続ができるように、特に地域運営にお
ける財政基盤の確立についての研究調査を積極的に行う。
エ)高齢者に対しては支援を行うだけではなく、その経験や知識を各種事業に積極
的に活用することにより、地域から必要とされているという意識を植えつけ、
交流や生きがいづくりにつなげる。
オ)本事業終了後も他地域から参考とされるような活動を展開する。他地域の人た
ちに自信をもって自慢できる地域となることを目指す。
以上のことから、住み慣れた地域で「幸せ」に暮らせる地域づくりのためには、
皆で一緒に考え、支え合いながら「知恵を出し合い」「汗を出し合う」地域づく
りに加え、地域からの提案による行政との協働のまちづくりを行うことが必要で
あると考える。
- 45 -
⑤取組事業
事業名:自主防災組織と安否確認体制の構築(防災台帳作成)
分野名:暮らし
事業の内容・実績
この地域における自主防災組織は自然災害に対するものだけでなく、悪徳訪問
販売、不法投棄、火災時の後方支援など人的な災害にも対応できる防災組織の構
築を目的に、地域内の全戸、全住民の了解と協力を得て防災台帳を作成した。
今後、これを活用することにより、各種災害の被害を最小限に食い止めるな
ど、安心して住める地域づくりに役立てると同時に、一人暮らし世帯へ声掛けを
行うことにより、様子の変化にいち早く対応でき住民の安心安全につなげる。
また、地域内にある旧小森温泉診療所の施設を、高齢者や地域住民の交流施設
として利用するとともに、災害時の一時避難場所として多目的な活用を図る目的
で整備している。
実施に至った背景・経緯
モデル地域の指定を受けて、地域課題等のアンケート調査を実施したところ、
住民の安心安全に対する不安が多く寄せられた。モデル事業に取り組む以前か
ら、一つの集落では既に防災組織はあったが、地域全体として住民の安心安全へ
の不安を解決するため自主防災組織を立ち上げた。
工夫している点・苦労した点
防災台帳作成にあたり、各地区の役員に取りまとめをお願いし進めてきたが、
高齢で記入が困難、町外に出ている関係者の連絡先等が把握できないなどの苦労
があった。
また、自主防災組織の必要性が高齢者にはなかなか理解をしてもらえなかっ
た。さらに、過去に災害を受けたことのある地域と、そうでない地域との間に意
識の温度差があった。
今後の展望
自主防災組織の体制が整ったので、今後もこのネットワークを生かしながら、
いつまでも地域内に安心して暮らせるよう、皆で協力していきたい。
- 46 -
事業名:外出支援事業
分野名:暮らし
事業の内容・実績
平成20年度から「お買い物ツアー」という事業名で実施している、高齢者の
外出支援事業で、自家用車など交通手段を持たない高齢者世帯や一人暮らし世帯
の住民を対象に、協議会(推進組織である旧高富小学校区みんなで支え合う地域
づくり協議会)役員のボランティアが岡山市内の商業施設へ同行し、ゆっくりの
んびりと買物を楽しんでもらう事業である。
内容としては、参加費として一人500円をいただき、普段なかなか行くこと
のできない金融機関や行政機関等に立ち寄り、用事を済ませながら街の様子にふ
れ、買物を楽しむと同時に、普段閉じこもりがちで外出機会の少ない住民も、多
くの人と接することで、精神的にも明
るくなり気分転換が図られ、最終的に
は認知症防止などにも寄与するものと
考えられる。また、近辺での買物と違
い、相対的に商品の種類も多く、生鮮
食料品や衣料品等、地域内では手に入
りにくい商品も数多くあり高齢者が直
接商品に触れ、その良し悪しを自分で
判断し、さらに持っているお金で購入
できるか考えることにより、脳の活性
化につながる。
実施に至った背景・経緯
この地域は典型的な中山間地域で、買物や医療・金融機関等へ行きたくても公
共交通機関は無く、日々の生活に困っているのが現状である。以前は個人商店や
JAの移動販売車も地域内に来ていたが、時代の流れのなかで中止となった。今
回モデル地域に指定されたことを機会に、問題点の一つである、買物等の生活に
必要な交通手段の確保を何とかしなければという思いから始まったものである。
工夫している点・苦労した点
この地域内には急傾斜で道路幅員が狭い箇所が少なからずあり、マイクロバス
の周回ができないので、ワゴン車に分乗し実施している。参加希望は多く、車の
手配やボランティア要員の確保等に苦慮している。できれば地域内の一定の場所
を発着点としたいが、高齢者が長距離を歩いて往復することは現実的ではなく、
特に買物をした後は荷物があるため、どうしても個々の家まで送迎する必要があ
るので、参集等に要する時間が長くなる。
今後の展望
地形条件等、地域を取り巻く環境は厳しいが、今後も事業を継続させていくた
め、事業の主体となるNPO法人を立ち上げ、車両の確保や定期的な運行を行え
るよう検討する。
- 47 -
事業名:温泉湯元の整備(ボランティアを活用した湯元の復元・清掃と交流の促進)
分野名:交流
事業の内容・実績
当町の重要文化財に指定されている小森温泉の湯元は、旧池田藩の湯治場とし
て開発された。その後は庶民の交流の場として使われるようになり、多いに栄え
たが、時代の流れの中で衰退し現状に至っている。
そこで、当時から言い伝えられている湯殿の姿を復元しようと、協議会が主催
でボランティアを募集し作業を実施した。
当日、多くのボランティア参加者によって作業が進むにつれ泥の下から杉の板
が現れ、長い歴史の一部を垣間見ることができた。
時間の関係で、当日予定していたすべ
ての作業はできなかったが、今後また機
会があれば、次の段階で歴史解明をした
いという思いが残った。参加したボラン
ティアは町外からの参加者も多く、文化
財としての歴史説明や作業を通して地元
住民との交流で大いに盛り上がり、手作
りの昼食も喜んでもらった。
また、300円の参加費で地域のお土
産まで付いていたので、それも感激した
ようである。
実施に至った背景・経緯
長年言い伝えられてきたものの確証を得るために、『この作業をやろう。』と
の思いが以前からあり、今回モデル地域に指定されたことを機会に、地域住民の
意見がまとまり実行に移すことになった。協議会員だけで作業を実施するのでは
なく、広く呼びかけを行い、地域内はもちろん、地域外さらには町外からも参加
してもらうことにより、町のPRにもなり、また、地域の歴史的財産としての価
値観を地域住民が再確認することができた。
工夫している点・苦労した点
町の重要文化財でもあることから、教育委員会や関係者との事前協議で少々手
間取った感もあった。また、昼食やお土産の準備・手配、それに携わる人の確保
と配置等が難しかった。参加費を抑える努力もかなりのウェイトがかかった。
今後の展望
周辺にも貴重な文化財等がたくさんあるので、今後もこのようなボランティア
作業に併せ、地域や町を深く理解をしてもらえるようツアー的なものも計画しな
がら、住民との交流を図っていきたい。
- 48 -
事業名:おかやま希望学園との交流事業
分野名:交流
事業の内容・実績
当町内にある、学校法人おかやま希望学園が運営する吉備高原希望中学校の生
徒が、平成20年度からこの地域で宿泊体験事業を実施している。
この学校は、全寮制で親元を離れた子どもが先生と寝食を共にし、自然の中で
のびのびと、相互に思いやりをもって勉強するという学校である。
この事業は、中学2年生が対象で、生徒たちは各々の農家にホームステイし、
牛の世話をしたり、野菜の収穫作業やわら細工などを体験し、地域住民と交流を
深めるものである。
昨年度参加した子どもたちの感想文では、「ホームステイ先のご飯がとてもお
いしかった。」「初めての体験ばっかりでとても楽しく、新鮮で地域の皆さんが
すごく親切だった。」等良い想い出となるととも
に、ふたたび地域を訪れたいという期待感がうか
がわれた。
学校側としても、地域の繋がりや、第二のふる
さととして、卒業後も子どもたちとの交流が続い
ていくことを希望している。
受入側としては、普段子どもたちの声を聞くこ
とが少ない地域内に、一時的ではあるが、賑やか
に子どもたちの声が響き、明るい話題に花が咲き
住民も元気になり、相互の交流が図られるので皆
楽しみにしている。この事業がきっかけとなり、
学校開放行事や運動会、文化祭等の案内があり、
少しずつではあるが地域との関わりが深まってい
る。
実施に至った背景・経緯
学校が進めている「第2のふるさとづくりをめざして」という理念と、本地域
が考えている観点の一つ「地域から必要とされている意識を再確認し高齢者の交
流や生きがいづくりにつなげる」がうまく合致したので、この事業が行われるこ
とになった。
工夫している点・苦労した点
他の学校行事との兼合いで、実施時期の調整がしにくい部分もある。
また、実施日決定から実施日までの期間が短かったため、子どもたちを受入れ
る家庭が偏ってしまう傾向がある。
今後の展望
町外・県外から親元を離れ寮生活している子どもたちが、第2のふるさととし
て吉備中央町に縁があったので、この関係を将来的にも大切にし、本地域だけに
限らず、他地域にも裾野を広げ、学校の指導方針や子どもたちのことをもっと理
解してもらえるよう、交流を推進していきたい。
- 49 -
Ⅴ
その他地域の活性化事例
⑧
⑦
③
④
⑫
②
⑤
⑬
⑨
⑪
①
⑥
⑭
⑩
県内・・・集落機能再編・強化の取組
記載頁
ひらかわ
①
岡山県高梁市備中町 平川
あ
②
51
ば
岡山県津山市 阿波
52
県内・・・あぐりトライアングル推進プロジェクト(農商工連携)
ま に わ し
③
岡山県 真庭市
53
しんじようそん
④
岡山県真庭郡 新 庄 村
54
に い み し
⑤
岡山県 新見市
55
かさおかし
⑥
岡山県 笠岡市
56
中国地方での主な事例(『やまぐち
中山間地域振興ライブラリー』を参考)
たかしろ
(分野:暮らし)
⑦
鳥取県倉吉市 高城
57
よこお
(分野:暮らし)
⑧
鳥取県岩美郡岩美町 横尾
58
かわね
(分野:暮らし)
⑨
広島県安芸高田市高宮町 川根
59
とよひがし
(分野:暮らし)
⑩
山口県下関市菊川町 豊 東
か
(分野:暮らし)
⑪
60
ね
山口県山口市阿東 嘉年
61
さだちょう
(分野:産
業)
⑫
島根県出雲市 佐田町
62
さくぎちょう
(分野:産
業)
⑬
広島県三次市 作木町
63
かきのき
(分野:交
流)
⑭
島根県鹿足郡吉賀町 柿木
- 50 -
64
ひらかわ
①
岡山県高梁市備中町 平川
(平川村定住推進協議会)
状況(H21.12.1現在)
人
口 599人
高齢化率 58.4%
世 帯 数 274世帯
集 落 数 24集落
事業名:新規就農希望者を地域で受け入れる取組
【団体の概要】
○トマト、ピオーネの産地ではあるが、高齢化と後継者不足で産地の消滅が危
惧されている中、地域として新規就農者を受け入れるシステムづくりを構築
するため、平成20年4月にトマト・ピオーネ生産組合役員、農業委員、コ
ミュニティ会長、行政関係者など20名余りで組織した。
【活動内容】
○平成20年5月から「体感・田舎暮らし事業」として参加者を市外、県外に
募集したところ3名(ピオーネ2、トマト1)の応募が大阪、兵庫、岡山市
内からあり、7月から農業体験などを開始した。また、農業だけでなく地域
行事への参加も必須となっており、土曜夜市や秋祭りなどにも参加し、地域
住民との交流を図った。
○平成21年度も新たに大阪から1組を受け入れた。
○平成22年度にはトマトで就農を目指したいと1組が決定している。また、
ピオーネ栽培を希望する方も農地等条件が整い次第移住することを意思表明
している。
○住宅については、元教員住宅を県の支援を受けながら市が改修し、農業研修
宿泊施設として利用することとした。農地も関係者で交渉を行い、順次確保
できるなど地域が主体となった新たなシステムづくりができつつある。
- 51 -
あ
②
ば
岡山県津山市 阿波
(阿波まちづくり協議会)
状況(H21.12.1現在)
人
口 641人
高齢化率 38.7%
世 帯 数 228世帯
集 落 数 8集落
事業名:地域の力を集結して課題の解決と活性化の取組を
【団体の概要】
○平成20年2月、過疎・高齢化が進む地域の課題解決と活性化に取り組むた
め、地域活動に積極的にかかわっていた若者が中心となって「阿波まちづく
り協議会」が結成された。
○平成20年7月、本地域が市の取り組む「住民自治協議会モデル事業」のモ
デル地域指定を受け、市との協働事業として、つやまNPO支援センターや
美作大学の支援も受けながら活動している。
【活動内容】
○「地域の課題解決と活性化」を目的に発足した阿波まちづくり協議会だが、
何から取り組めばいいのか、最終的にどのような地域を目指すのか、地域が
一体となって取り組むにはどのように進めればよいのかなどを模索する中、
「まず、出来ることを進めながら考えて行こう」という結論に達し、取り組
んでいる。
○成果としては、委員の夢、やってみたいこと、特技などについて話し合う中
から出てきた「阿波のリンゴで作るアップルパイ」と「米粉で作るお菓子」
は、委員2人を含む4人のお母さんが中心となって販売を始めている。ま
た、地域のみなさんの特技や地域の魅力を調査してまとめた「あばお宝マッ
プ」を作成し、阿波を訪れた方々の散策マップや魅力を発信する情報源とし
て配布している。
○地域が一体となった取組の推進では、今後の本地域の活動に参考となる講演
やパネルディスカッションなどを盛り込んだ「阿波地域づくりフォーラム:
未来(あした)を創るのはあなたです!」を開催した。
- 52 -
ま に わ し
③
岡山県 真庭市
事 業 名:蒜山高原産ヤマブドウ果汁を使用した炭酸飲料の開発及び販路開拓
農 業 者:ひるぜんワイン有限会社(農業生産法人)
商工業者:三幸食品工業株式会社、株式会社グリーンピア蒜山
事業の内容
真庭市蒜山では、農業生産法人ひるぜんワイン有限会社が、地域資源であるヤ
マブドウを原料にしたワイン、ジュース、ジャム等の加工・販売に取り組んでき
た。
原料の供給体制は、ヤマブドウ生産組合が生産した果実を、ひるぜんワイン有
限会社が規格に応じて買い上げる仕組であるが、近年、生産農家の高齢化や担い
手不足により、生産量の伸び悩みとともに農家所得の減少が問題化している。
これらの問題解決に向け、注目度の高い、これまでにない新しい加工品の開発
が有効手段であると考え、飲料メーカーの三幸食品工業株式会社、特産品の加工
販売を行う株式会社グリーンピア蒜山と連携し、ヤマブドウ果汁のノンアルコー
ル炭酸飲料を開発し、大人向けの食事に合うジュースとして、地元飲食店、観光
施設等を中心に販売する。
本事業の実施により、ヤマブドウの需要増加が見込まれ、ヤマブドウ生産組合
全体の生産規模拡大につながるとともに、ワイン加工に利用できない比較的糖度
の低い原料を活用できるため、農家の所得増加も期待できる。
さらに、蒜山の特産品として地元を中心に幅広く販売することで、観光地蒜山
へのさらなる集客及びリピーターの確保が図られるなど、地域活性化への波及効
果が期待できる。
- 53 -
しんじようそん
④
岡山県真庭郡 新 庄 村
事 業 名:新庄村の主要農産物であるモチ米(ヒメノモチ)を使用した新商品の開発
農 業 者:新庄村ヒメノモチ生産組合
商工業者:株式会社メルヘン・プラザ
事業の内容
新庄村では、昭和58年から水稲ヒメノモチを村の奨励作物とし、村の水稲作
付面積の7割を占めるに至っている。当初、米での販売を主に行っていたが、農
家への経済波及が少ないことから、餅や饅頭等に加工して販売している。現在で
は餅の人気は年々高まり、地域ブランドに成長しつつあるが、餅の需要は年末に
集中しており、特に夏場の需要に苦慮している。
この問題を解決するには、地域内で安定的に加工消費できる仕組づくりととも
に、夏場を含め、年間を通じて売れる長期保存商品の開発が不可欠である。
現在、株式会社メルヘン・プラザが運営する道の駅で、餅をワッフル状に焼い
た「モッフル」を販売しているが、時間が経過すると固くなるなど持ち帰りに適
さないものとなっているので、子どもからお年寄りまで買い求めやすい商品とす
るため、モッフルと粉末スープをカップに入れた、お湯を注げばいつでも簡単に
食べられるインスタント系食品「カップモッフル」を新たに開発し、広域販売に
取り組むものである。
本事業の実施により、年間を通じた広域販売により、単なる餅加工販売に頼っ
ていた地域産業の形態を変えるとともに、遊休農地を利用した生産拡大、転作田
を活用した地域流通用加工米の生産拡大などの波及効果が期待できる。
- 54 -
に い み し
⑤
岡山県 新見市
事 業 名:新見市特産物を使用したレトルトパスタソース及び生パスタの開発
農 業 者:阿新農業協同組合
商工業者:株式会社哲多すずらん食品加工(レトルト食品等の開発・販売)
事業の内容
新見市は、県下有数のモモ、トマトの産地であるほか、平成19年に商標登録
した「千屋牛」は岡山県を代表する優良肉質銘柄として広く知られており、さら
に、全国に先駆けて製粉施設を整備した米粉、産地化を進めているニンニク、S
PF豚肉など豊富な農畜産物が存在している。
こうした農畜産物を取り扱うJA阿新と、レトルト食品製造技術や多様な販売
チャンネルを持つ株式会社哲多すずらん食品加工とが連携し、3種類のレトルト
パスタソース(ミート、ペペロンチーノ、フルーツ)及び米粉入り生パスタを新
たに開発し、市内の飲食店へのメニューの提案のほか、県内の量販店、JA直営
店、道の駅等での販売、県外の百貨店、高級スーパー等への販売促進を行うもの
である。
新見市を代表する農畜産物を使用し、明確な原産地表示を行うことで、大手企
業の商品との差別化を図り、食の安全・安心を強く意識する消費者が、安心して
買い求めることができる商品とする。
本事業の実施により、ご当地パスタソース市場の創出、選果落ち果実の有効活
用による生産農家への所得還元、千屋牛ブランドのPR、新見市産SPF豚肉の
認知度向上、米粉用水稲の作付拡大による水田の有効活用などの波及効果が期待
できる。
- 55 -
かさおかし
⑥
岡山県 笠岡市
事 業 名:北木島の灰干しプロジェクト
漁 業 者:北木島水産物開発協議会(漁業者で組織する任意団体)
商工業者:株式会社島のこし(水産物の加工・販売)
事業の内容
北木島では、漁獲量が減る中で、市場に出荷するために必要な最低数量が確保
できず端数となる鮮魚が発生し、端数となった鮮魚は市場に出ることなく漁業者
が自家消費せざるを得ない状況となっている。また、石材産業の斜陽化のあおり
を受けて、住民の雇用の場の確保が課題となっている。
こうした課題を解決するため、漁業者で組織する北木島水産物開発協議会と水
産物の加工販売を行う株式会社島のこしが連携し、東京都三宅島の火山礫を北木
島の石材加工技術で灰にし、この灰を使って鮮魚の水分を吸収させる「灰干し」
による熟成干物の商品開発及び販路開拓を行うものである。
商品開発に当たっては、瀬戸内海の四季折々の旬の魚に注目するとともに、瀬
戸内海の特色である多品種への対応を積極的に取り組む。
灰干しの特徴として、天日乾燥にはない独特の柔らかさと風味を醸し出すとと
もに、魚独特の臭みを取り除くことができ、旨みも凝縮されるので、魚嫌いの人
にも十分消費してもらえるものと期待される。
本事業の実施により、市場に出荷できなかった鮮魚を付加価値を付けて販売で
きるようになり、漁業者の所得の向上につながる。また、漁業者等が、灰干し加
工に携わることにより、新たな雇用の場の確保につながることが期待できる。
- 56 -
たかしろ
⑦
鳥取県倉吉市 高城
(NPO法人たかしろ)
状況(H21.11.30現在)
人
口 2,378人
高齢化率 31.2%
世 帯 数 787世帯
集 落 数 24集落
事業名:地域住民で構成されたNPO法人による有償運行の実施
【団体の概要】
地域内に最寄りのバス停まで2~3kmの枝谷集落が9集落あり、さらにバ
ス路線の減便が予定されたことから、高齢化に伴う生活交通の在り方に危機
感を持った地区住民がバス対策についての検討を開始。
高齢者を支援するための運行を具体化するため、地域住民が構成員となった
「NPO法人たかしろ」を平成16年に設立。
同年7月には、自家用自動車による有償運行に向け、運輸支局に申請を行
い、8月から運行が開始された。
【活動内容】
利用者は、NPO法人たかしろに会員登録した人を対象としており、平成2
0年7月末時点で153名が会員となっている。
運転手は、登録されたボランティア25名で、使用車両は、福祉系財団から
の助成を受けて購入した車と、販売店から購入した中古車の2台となってい
る。
法人の収入は、助成金と事業外収入の割合が多く、特に事業外収入の「芝刈
り作業寄付金」は、法人が委託管理している自転車競技場の芝刈り作業を実
施した会員からその日当を寄付してもらったもので、地域の高齢者の交通手
段を地域住民が支える仕組みとして展開されている。
運行区間は、地域のタクシー会社との競合を避けるため、バス停から自宅ま
で(高城地区限定)とし、利用金額は、バス停の場所に応じて、100円ま
たは200円となっている。
○
○
○
○
○
○
○
- 57 -
よこお
⑧
鳥取県岩美郡岩美町 横尾
(いがみ田を守る会)
状況(H21.12.1現在)
人
口 13人
高齢化率 69.2%
世 帯 数 7世帯
集 落 数 1集落
事業名:住民とボランティアの協働による景観保全の取り組み
【団体の概要】
農家数の減少や高齢化の進行により、地域の農家だけでは、美しい棚田風景
や保全機能を守ることが難しくなったことから、横尾地域の棚田を後世に残
すことを目的として、地元農家の有志により平成10年に結成。
行政の協力を得て、棚田ボランティアや棚田オーナーを募集し、ともに農作
業や周辺管理等を行いながら、棚田の維持管理と集落の景観保全に努めてい
る。
岩美町横尾地域の田園風景は、日本の棚田百選に選定されている。
【活動内容】
鳥取県が運営委託している農山村ボランティア事務局が募集した学生が中心
となって、横尾の棚田を守るボランティアとして活躍している。
水路の管理や稲刈り、いのしし柵の設置など、棚田保全の取組には、ボラン
ティアだけでなく、オーナー制度で地域に呼び込んだ人材にも担ってもらう
ことで、耕作放棄問題など中山間地域が抱える課題に対応している。
棚田オーナーは、年間3万円/aの会費を払い、水路掃除や田植え、稲刈り
等の農作業と収穫祭で茸の植付・餅つきの体験ができ、秋にはお米や横尾地
域でできた特産品等を受け取る仕組みとなっている。
横尾集落の農家戸数は数戸となり、高齢化も進んでいることから、こうした
取組の重要性が高まっている。
○
○
○
○
○
○
○
- 58 -
かわね
⑨
広島県安芸高田市高宮町
(川根振興協議会)
川根
状況(H21. 4.1現在)
人
口 570人
高齢化率 46.1%
世 帯 数 247世帯
集 落 数 19集落
事業名:安心して暮らせる地域づくり
【団体の概要】
広島県安芸高田市高宮町川根地区において地域課題解決を目的として昭和4
7年に設立された住民自治組織(川根振興協議会)。
川根で安心・安全に住み続けるため、自ら提案し、責任を持って行動する。
誇りと自信の持てるふるさとを目指して、生活の中からの取り組みを続けて
いる。
【活動内容】
「ふれあい部」が中心となり、ひとり暮らしのお年寄りを対象とした高齢者
給食サービスやサテライト型デイサービスへの地域住民ボランティア派遣、
民生委員をサポートする「おたがいさま隊」の設置など、支えあう福祉の取
組を実践している。
○また、手作りの竹筒の募金箱を各家庭や事務所に設置し、高齢者給食サービ
スやサテライト型デイサービスの援助資金に充てる「1人1日1円福祉募金
活動」などを展開し、住民参加による生活支援サービスの充実を目指してい
る。
○JAの撤退による店舗等の廃止に伴い、地域・高齢者の生活を守るため、店
舗、燃料スタンドを譲り受け、住民出資により運営している。
平成21年10月から、地域住民の生活実態に合わせた新生活交通便(もや
い便)をスタート。市から運行・予約受付業務の委託を受け、通学・通院を
はじめ、地域内・市中心部への運行など、利用者の利便性の向上と高齢者に
配慮した運行をしている。
○
○
○
○
- 59 -
とよひがし
⑩
山口県下関市菊川町 豊 東
(貴和の里につどう会)
状況(H21.12.1現在)
人
口 145人
高齢化率 47.5%
世 帯 数 55世帯
集 落 数 3集落
事業名:地域出身者の地域活動への参加
【団体の概要】
豊東小学校轡井分校が廃校となり、地域コミュニティの活力低下の危惧を抱
いた轡井分校に通学した地区の住民有志により平成19年6月に設立。
「貴和」は、明治初頭にこの地に設置された貴和小学校にちなんで命名され
た。
「まちからも応援を得て活気と笑いのよみがえる竹源郷づくり」をキャッチ
フレーズに、繁茂している孟宗竹の利用、耕作放棄地の有効活用、まちとの
交流・農業体験、空民家・廃校を活用した田舎暮らし体験等に取り組んでい
る。
【活動内容】
帰省中の地域出身者に対して、Uターンの可能性や地域に求めること等につ
いてアンケート調査を実施。
地域の子どもや他出者を対象に地域の歴史等について学ぶ講演会「地域塾」
を開催し、帰省する機会の増加を図っている。
地域住民の意識醸成や都市農村交流の促進などによる地域の活力を創生して
いく中で、地域リーダーや活動要員の確保を目指すとともに、空き家等を活
用したUJIターンの受け皿づくりにも取り組んでいる。
○
○
○
○
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か
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ね
山口県山口市阿東 嘉年
(嘉年ゆめ倶楽部)
状況(H21.12.1現在)
人
口 568人
高齢化率 54.6%
世 帯 数 256世帯
集 落 数 12集落
事業名:ビオトープを活用した地域ぐるみの農村環境づくり
【団体の概要】
○山口市阿東嘉年地区の有志により平成16年に設立。
○「夢農業振興営農部会」「夢自然環境交流活動部会」「夢福祉文化伝承活動
部会」の3部会を設け活動している。
○嘉年地域の人・地域資源・くらし・文化等の様々な課題を整理し、問題点を
明らかにするとともに、地域の声を反映した住みよい快適な生活環境づくり
や都市との交流活動を通じて、地域の将来を見据えた活力ある地域づくり活
動の実践を目指している。
○将来の嘉年についての話し合い活動の中から出された会員の夢(意見)を夢
マップにまとめ、その実現に向けて活動中。
○平成18年度田園自然再生活動コンクールで農林水産省農村振興局長賞を受
賞している。
【活動内容】
○土地改良区や地元の小学校と連携し、地区内の15か所にビオトープを設
置。
○ビオトープを利用した環境学習を行うとともに、清掃維持管理活動を行い、
地域全体で農村環境の保全活動を展開している。
○ビオトープの散策活動を開催し、生態系維持の重要性の理解促進や、清掃、
看板の設置等の環境維持活動への参加促進を図っている。
○また、地域活動の一環として、ビオトープ周辺に桜を植栽するなど、景観保
全の必要性について地域住民の意識の醸成を図るとともに、農村景観保全等
を通じた都市部の住民との交流による地域の活性化にも取り組んでいる。
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さだちょう
⑫
島根県出雲市 佐田町
(有限会社グリーンワーク)
状況(H21.11.30現在)
人
口 4,082人
高齢化率 35.2%
世 帯 数 1,262世帯
集 落 数 13集落
事業名:コミュニティ機能維持の視点で地域の問題解決に取り組む特定農業法人
【団体の概要】
地区内の5自治会の合併を契機に、平成15年に有限会社(特定農業法人)
として構成員約30名で設立。
「地域存続のため農業の担い手と受け皿になろう」という理念に基づき、農
業振興への取組だけでなく、農外部門においても高齢者等外出サービス事業
の受託や町内の有機野菜の集荷及び配送受託を手がけている。
農業部門では、農地集積を拡大するとともに、トマトの養液栽培や羊の放牧
にも取り組み、多角的な経営を展開して新たな雇用を確保している。
【活動内容】
経営面積12.5ha、作業受託面積11haで水田稲作経営を行うととも
に、JAから育苗センター、ライスセンターなどの業務委託を受け、安定し
た収益確保に向けた経営を展開している。
園芸品目としてトマトの養液栽培に取り組む一方、法人が管理する農地に除
草対策として牛や羊を放牧しながら、女性グループ「メリーさんの会」が羊
毛の加工にも取り組んでいる。
こうした経営の多角化に取り組むことで、周年安定した雇用を生み出すとと
もに、地域外からの新規就農者も確保している。
また、地域貢献事業として、市からの委託で、地区内の高齢者が通院や買い
物に行く際の移送サービスや指定管理者として市立森林公園の管理を行うな
ど、地域経済・産業の発展にもつながっている。
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さくぎちょう
⑬
広島県三次市 作木町
(株式会社わかたの村)
状況(H21.12.1現在)
人
口 1,780人
高齢化率 46.5%
世 帯 数 748世帯
集 落 数 85集落
事業名:都市農村交流をベースとした特産品販売と農山村住民の生活トータルサ
ポート
【団体の概要】
地元の文化を守り、身近な地域資源を活かすなかで、地域住民の生活を総合
的にサポートすることを目指して、作木の農家、自営業者ら5人によって平
成20年2月に設立。
「わかた」とは、作木地方の方言で「自分の」という意味。作木の住民にと
っての町という意味だけにとどまらず、都市住民にも作木を自分たちのふる
さととして感じて欲しいとの願いが込められている。
【活動内容】
特産品の販売や、都市農村交流事業を行う「地域発信事業」と、作木町の地
域住民や地域社会そのものを支えるサービスを提供する「地域支援事業」の
2事業を中心として取組を進めている。
地域発信事業では、地元の酒造米で作られた「わかたの酒」を、酒類販売免
許を得て作木ブランドとして全国に向けて販売する事業や農作業・農産物加
工などを体験できる「わかたの村体験受入事業」などを展開している。
地域支援事業では、耕作放棄地の再生、農地保全活動、農作業の受託事業、
さらには墓や留守宅の見守りなど、高齢化する農山村における農林業だけで
なく、地域での生活の継続をサポートする事業を地域の人材や資源を活かし
たコミュニティビジネスとして実施している。
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かきのき
⑭
島根県鹿足郡吉賀町 柿木
(NPO法人エコビレッジかきのきむら)
状況(H21.12.31現在)
人
口 1,712人
高齢化率 38.9%
世 帯 数 666世帯
集 落 数 7集落
事業名:「エコビレッジ」構想でむらをあげてエコロジーとスローライフを提案
【団体の概要】
平成17年の吉賀町との合併の際に、過去30年にわたって棚田の保存整備
や有機農業などエコロジーの取り組みを進めてきた旧柿木村の実績を活か
し、旧村をまるごとエコロジー活動の拠点とする「エコビレッジ」構想を策
定。
○このプランに基づき、豊かな自然と共生する柿木村の生き方、暮らし方、食
のあり方を都市住民に提案する都市農村交流拠点施設として平成18年に設
置された研修宿泊施設「エコビレッジかきのきむら」の運営主体として地域
住民有志によって設立されたNPO法人。
【活動内容】
「100年後も住み続けられるむらでありたい!」との強い思いの下、行政
と協働しながらエコロジーを意識した様々な取り組みを展開している。
○主な事業内容は、地域の豊かな自然や知恵を学ぶ各種体験講座の企画実施、
地域のものづくり達人から家具や工芸品制作のノウハウを学ぶワークショッ
プ、交流人口や定住人口の増加を意図した「田舎体験ツアー」などで、月7
00人程度の利用がある。
○懐かしさ溢れる旧校舎を活用した拠点施設内レストランで、オーガニック料
理を堪能でき、料理教室を通じて食と健康の啓発も行っており、都市住民が
スローライフのあり方と中山間地域の役割を体験的に理解できるようなしか
けが随所にちりばめられている。
○これらの事業には地域住民も様々な関わりを持ち、むらの生活に対する自信
と生きがいを強めている。
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参考図書の一例
【地域活性化の取組に関するもの】
○やまぐち 中山間地域振興ライブラリー
内容 各地域が自主的・主体的に地域づくりを進めるに当たって、取組の方向性を検討す
る際の参考となるよう、統計データ等に応じて地域を類型化し、地域特性に合わせ
た振興方策を整理するとともに具体的な取組事例を紹介したもの。
発行 平成21年3月
編集 山口県地域振興部中山間地域づくり推進室
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a123003/tiiki-library/top.html
○中国地域の中山間地域 地域産業担い手たちの挑戦『50人の地域ビジネスリーダー事例集』
内容 中山間地域における地域産業を担ってチャレンジする50人のビジネスリーダーの
「熱い地域愛」や創意工夫に満ちた活動を、6つの類型((1)農商工連携型、(2)観
光交流型、(3)異分野進出型、(4)人材活用型、(5)多参画協働型、(6)産業支援型)
により整理し、活動の成長過程毎の行動分析も加えたもの。
発行 平成21年3月
編集 経済産業省中国経済産業局
http://www.chugoku.meti.go.jp/topics/kikaku/h210528contents.html
○地域力創造事例集(優良事例)
内容 「魅力ある地方」の創出を目指し、地域の活性化に取り組む地方自治体に対して、
現場の目線から、施策のノウハウ、ビジネスモデル等を幅広く提供したもの。
発行 平成21年3月
編集 総務省地域力創造グループ地域自立応援課
http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/7_consult/adviser/jirei_sozo.htm
○地域力創造事例集(地域づくりキーワードBOOK ~地域コミュニティ再生~)
内容 『地域コミュニティ再生』をキーワードとし、個性的で魅力ある地域づくりのため
に重要な役割を担っている地域コミュニティに着目して、地域組織や市民団体、N
PO等の行政以外が主体となって実践している活動を取り上げ、これを事例集とし
て整理するとともに、当該地域における地域コミュニティ再生に向けた行政の動向
についても併せて掲載したもの。
発行 平成20年3月
編集 総務省自治行政局地域振興課
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2008/080328_1.html
○立ち上がる農山漁村
内容 今、農山漁村でがんばっている人や、これから起業しようとする人たちの取組のヒ
ントとなるように、地域の元気な取組と、そういう人たちがどうやって成功してき
たか、その工夫や努力を紹介したもの。
発行 平成16年度~
編集 農林水産省農村振興局農村政策部都市農村交流課
http://www.maff.go.jp/j/nousin/soutyo/tatiagaru/index.html
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【地域運営に関するもの】
○晴れ晴れ地域づくり羅針盤 ~新たな地域運営組織の取組の手引き~
内容 中山間地域における集落機能の維持の取組や、集落の範囲を超えた新たな地域運営
組織による活動などに役立ててもらおうと、「集落機能再編・強化モデル事業」の
事例などを盛り込むとともに、本協議会での調査・検討の成果を取りまとめたもの。
発行 平成21年3月
編集 岡山県中山間地域県・市町村連携協議会
(事務局:岡山県企画振興部中山間地域振興室)
http://www.pref.okayama.jp/soshiki/detail.html?lif_id=31749
○集落連合 改訂版 -“強い”農村コミュニティ形成のために-
内容 農村コミュニティづくりに関する最近の調査結果を踏まえ、現在地域に残っている
人々が再び地域づくりに取り組む場合、これまでのように個々の集落がバラバラに
活動するのではなく、一定の地域の集落が連合して新たなコミュニティ(地域のこ
とを考え、活動する基本的な地域単位を、これまでの集落から、たとえば小学校区
単位、旧村単位などの複数の集落を含むより広域に移すという方法です。)を形成
して活動してはどうか、ということを提案するとともに、新たなコミュニティの形
成事例を紹介したもの。
発行 平成19年3月
編集 農林水産省農村振興局企画部農村政策課農村整備総合調整室、(財)農村開発企画委
員会
http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/communit/index.html
○コミュニティ活動ノウハウ集 【自立へ向けた4つのステップと20の項目】
内容 これから話し合いを始めよう、活動を展開しようという地域で「コミュニティ運営
初級編」として使えるよう、できるだけわかりやすく、重要な20項目を挙げて事
例を多く紹介し、具体的なヒントが得られるようにしたもの。
発行 平成17年3月
編集 中国地方中山間地域振興協議会
http://www.pref.shimane.lg.jp/chusankan/chikisinkokyogikai/step1234.html
岡山県集落機能再編・強化事業モデル地域取組事例集 ~集落が変わる!~
http://www.pref.okayama.jp/soshiki/detail.html?lif_id=54174
発行 平成22年(2010年)2月
編集 岡山県企画振興部中山間地域振興室
岡山県岡山市北区内山下二丁目4番6号
TEL(086)226-7267
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