...

特集2 - 飯野海運株式会社

by user

on
Category: Documents
2

views

Report

Comments

Transcript

特集2 - 飯野海運株式会社
【特 集
2】
飯野海運グループには、時代から時代へと文化を運び、
新たな伝統を次代へと繋ぐ役割もあります。
その役割を担うのが、装いも新たにカンファレンスセンターも備えて
オープンしたイイノホールと、イイノ・メディアプロが運営する
2 つのレンタルフォトスタジオです。
それぞれにミッションは異にするものの、
当社グループの文化的側面を担っています。
13 | 飯野海運
経営報告書 2013
特集
催事後のパーティにもお使いいただける
眺望に優れたルーフギャラリー
へ繋ぐことも大切なテーマでした。なぜならイイノホール
は文化・芸術の発信拠点として古くから広く親しまれ、内
外から高く評価されてきたからです。
また、イイノホールで初めてクラシック音楽の生演奏や
時 の 建 築 技 術 の 粋を結 集し、
「荘 重 なモダン」を理 念とす
落語に接したというお客さまも多く、著名な音楽家の中に
る「飯 野 ビルディング」が 誕 生した の は 1960 年 のこと。以
は、ここで初舞台を踏んだという方々も少なくありません。
来、半世紀にわたって同地区の美しいランドマークとして
歴史あるホールには、日常では得難い感動を提供する場と
親しまれ たこの ビ ル は、賃 貸 オフィス だ けで なく座 席 数
して生き続ける意義と責任があるのです。
694 の 多 目 的 ホ ー ル で あるイイノホ ー ル も併 設し、クラ
そうした思いもふまえ、飯野ビルディングとともに生ま
シックコンサートや落語会などの催しを通じて、文化面で
れ 変 わった 新しいイイノホ ー ル は、座 席 数 500 のプロセ
も多大な社会貢献を果たしてきました。
ニアム型。旧ホールよりやや小ぶりながら、ワンスロープ
そ の 後、飯 野 ビ ル ディング は 環 境 対 応 や 災 害 対 策、セ
で 座 席スペースにゆとりを持 た せ た 快 適 な 空 間 になって
います。飯 野ビルディング 4 階をホールとロビーで 構 成、
5 階 を 控え室フロアとしました。6 階 は 美しく緑 化され た
工 期を経て、地 下 5 階、地 上 27 階、高さ 143m の 新しい 姿
ガ ー デン 越しに日比 谷 公 園 から皇 居 外 苑 まで 見 渡 せる
に生まれ変わりました。
ルーフギャラリーになっており、エグゼクティブの会議や
新しい 飯 野ビルディングの 開 発コンセプトは、
「繋ぐ」。
パーティーにもご利用いただけます。
や、そ れまで 使 わ れてい た 大 理 石 などの 再 利 用、あるい
は 当 社グ ル ープ の 主 力 事 業 で ある海 運 業 を 意 識した 船
Room
E
の デ ザインモ チ ーフといった 歴 史 的 な 繋 がりの ほ か、人
コミュニケーション
そこに は、旧 飯 野 ビ ル ディング の 伝 統 を 継 承 する 意 匠
社会
キュリティ向上、 OA 化といった新たな時代の要請に応え
る べく建 替えられることに なり、 2011 年 10 月、約 3 年 の
安 全・環 境
官 庁 や 大 手 企 業 が 集 積 する霞 が 関・内 幸 町 地 区 に、当
経営管理体制
伝統を守りつつ、新たに船出する
飯野ビルディング
広さ 300m2、天井高 6 mの大会議室
事業概況
講演会からさまざまな文化的催し物に対応できる
500 席の多目的ホール
カンファレンスセンター
Room
Room
D
B
や 街、そして周 辺 の自然 環 境との 繋 がりなど、さまざまな
思 い が 込 められています。
C
イイノホール
企業情報
伝統を未来へ繋ぐイイノホール &
カンファレンスセンター
Room
Room
A
飯野ビルディング建替えにあたっては、多目的ホールと
して親しまれてきたイイノホールの伝統を絶やさず、次代
イイノホールとカンファレンスセンター(RoomA 〜 RoomE)
飯野海運 経営報告書 2013
|14
ホールでは、空調の効率とお客さまの快適性を追求し
た結果、座席ごとに空調システムを組み込んだ、座り心地
の 良 い 形 状 の 座 席を導 入しました。空 調システムが 一 体
となっていることから座席ごとの寒暖差が少なく、人のい
るところだ けを空 調します。しかし何と言っても最 大 の 特
徴は、ホールと同一フロアに講演会やセミナー、展示会な
どに最適なカンファレンスセンターを設けたことです。国
際的なイベントのあと、カンファレンスセンターで分科会
を実 施 するといったスムーズ な 連 動 利 用 が 可 能 になって
います。カンファレンスセンターは 5 室 から構 成され、会
議 室 は 間 仕 切りによって部 屋 の 大きさを変 化させられる
ことから、さまざまな規模のイベントに対応できます。
毎回お客さまにご好評いただいているホール落語の様子
や すく使 い や すい 空 間となることを新 た な目標 に掲 げて
います。
より親しみやすく、使いやすい
文化空間を目指して
いかなるイベントにおいても、イイノホールが大切にし
ているのはホスピタリティであり、お客さまのご要望を先
回りして把握し、常にお客さま本位で行動する、接客のプ
旧イイノホール には、
「 ホール 落 語」という文 化を創 造
ロフェッショナルとしての姿勢です。そのために、スタッフ
し、広めてきた歴史があります。寄席落語では短縮される
間で常に同じレベルの情報を共有できる体制づくりや、ス
ことが多い演目も一話を通して楽しめる場として、落語家
タッフが 働きや すい 環 境 の 整 備 など、地 道 な 努 力を続 け
の皆さまからもお客さまからも好評を博してきました。
ています。
リニューアル以降の新ホールでは、このホール落語、あ
るい は 邦 楽 やクラシック音 楽 の 演 奏 会 などで 培わ れてき
た伝統を受け継ぐとともに、旧ホール以来のノウハウを活
かし、国 内 外 の 要 人、著 名 人 の 方々にご 来 場 い た だ いて
の授賞式や試写会など、上質な文化イベントの場としてご
写真を通じて新しいメッセージを
発信するイイノ・メディアプロ
当社グループには、イイノホールと並んでもうひとつ、
利用いただいています。官公庁や公益団体などのご利用
文化の発信拠点があります。それがイイノ・メディアプロ
も多く、カンファレンスセンターとしても構想どおり機能し
で す。1997 年 に 設 立され たクリエイティブ 集 団で、現 在
ていると実感しています。
は 広 尾と南 青 山 にそれぞ れ 5 面、計 10 面 のレンタルフォ
一方、リニューアルを機に、歴史あるホールとしてのス
トスタジオを展開し、スタッフ約 50 名が常駐、スタジオや
テータスや催事のジャンルにこだわることなく、より親しみ
機材のレンタル、印刷物などのデザインやアートディレク
ション、デジタルフォトレタッチなどの業務を通じてクリエ
イターの皆さまの仕事をサポートしています。
レンタルフォトスタジオの 要 件 は、フォトグラファー の
皆さまから「ここで撮影すると思いどおりの結果が出る」、
「撮 影 に 集 中して気 持ちよく仕 事できる」と思ってい た だ
き、繰り返しご利用いただくことにあります。飯野海運が、
単 なる貨 物 の 輸 送 に留まらず、安 全 性 や 信 頼 性といった
付 加 価 値 によって繰り返し選 ば れる海 運 会 社を目指して
いるように、イイノ・メディアプロも、他のスタジオにはな
い 使 い 勝 手 や 快 適 性、充 実した サービス体 制、あるい は
コンサートの開催も可能な音響効果設備を有するホール
15 | 飯野海運
経営報告書 2013
創造性によって選ばれる存在でありたいと願っています。
会へ、そして世界へ文化的メッセージを発信できるプロダ
クションとなることを目指しています。場所や機会の提供
だ けで なく、創 造 する主 体 へと進 化していくこと。それ が
今、イイノ・メディアプロが考えている未来です。
例えば、自ら映画を製作すれば、イイノホールでの上映
特集
などによってグループ内のシナジーを高めることができま
すし、カンファレンスセンターで写真展を開催することも
できるでしょう。実際、海外の著名なフォトグラファーによ
る短編映画の撮影をコーディネートし、製作するなどの計
画をはじめ、創造的なアイデアを形にする取り組みも徐々
に進めています。
一 方、イイノ・メディアプ ロ で は、写 真 関 連 イ ベ ント
へ の 協 力 などの 社 会 貢 献 に も 力 を 入 れ て い ま す。例 え
から生まれていることは、イイノ・メディアプロの 歩 み に
ば、N P O 法 人 K I D S S AV E R が 主 催し、第 一 線 のフォトグ
間違いがなかったことの証しと言えるかもしれません。
ラファーとともに 子 供 たちが 写 真 の 楽しさを 学 ぶ 年 1 回
2006 年、イイノ・メディアプロはロンドンオフィスを開
の イ ベ ント「 キッズ・フォト・チャレ ン ジ」で は、広 尾 の
設しました。現在は、主に日本のお客さまがヨーロッパ各
スタジオを 無 償 提 供し、イベントの お 手 伝 い をしていま
地で 写 真 撮 影 などを計 画される際 のコーディネ ーション
す。また、日本 文 化を海 外 へ 紹 介 するた め の 撮 影 や チャ
リティ写 真 集 の 撮 影 などに も 協 力して い ま す。さらに、
東 日 本 大 震 災 の 際 に 世 界 の サッカ ーファン から寄 せら
フィスの 仲 介 により、海 外フォトグラファーの日本 にお け
れ た メッセ ー ジ へ の お 返しとして、2012 年 に プ ロ サッ
る撮影アシスタント業務も多く受注しています。今後は映
カークラブ の ベガ ルタ仙 台と川 崎フロンターレ の サ ポ ー
画ロケのコーディネーションなどにも業務を拡大し、東京
ターの皆さまのご協力のもと、感謝のメッセージを届ける
安 全・環 境
業 務を中 心としており、広 告 写 真 撮 影 やテレ ビ 番 組 のロ
ケなど数々の実績を積み重ねています。また、ロンドンオ
経営管理体制
今日まで、雑誌の表紙やポスターなど、クオリティーの
高 い日本 の 商 業 写 真を代 表 するような 作 品 が 数 多くここ
本社との連携も強化していく予定です。
事業概況
ハイクオリティーな写真撮影をサポートするレンタルフォトスタジオでの撮影現場
「 ARIGATOU プロジェクト」に参加しました。
イイノ・メディアプロは今後も、フォトスタジオという顔
だけでなく、自らコンテンツ制作を行う総合メディアカン
社会
フォトスタジオを超えてさらに広がる
活動の舞台
パ ニーに成 長し、新 た な 文 化を発 信し続 けていきた いと
考えています。
このロンドンオフィス開設に象徴されるように、イイノ・
コミュニケーション
メディアプロでは、フォトスタジオ機能を基盤として広く社
企業情報
ロンドン市内で自主制作の映像作品を撮影するイイノ・メディアプロ社員
「ARIGATOU プロジェクト」に参加したサポーターとプロジェクトで制作したフラッグ
飯野海運 経営報告書 2013
|16
Fly UP