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Vol.17 P3

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Vol.17 P3
木の温もり+職人技で 新たな美が生まれる
プラス
城端蒔絵
井波彫刻
じょうはなまきえ
城端蒔絵は、約440年前に南砺市城端で誕生した漆塗の伝統工芸です。小原治五右
衛門が一子相伝として代々技術を受け継ぎ、城端の人、文化、自然と共にありながら
作品を作り続けてきました。
「 加賀蒔絵」
に代表される豪華絢爛な蒔絵とは異なり、
庶民の工芸には贅沢な金銀の使用が許されなかった時代。創意工夫を重ね、朱・黒・
黄・緑・茶の五彩に限られていた漆の色彩に不可能と言われていた白を表す事に成
功した城端蒔絵は、
「治五右衛門の白漆」
などと大評判を呼びました。さらに鮮明な
中間色、ぼかしの技法も加えて、白を基調とした色鮮やかさが特徴のひとつになっ
ています。
工芸の技術を集結した
城端曳山祭
0763-62-1201
毎年5月5日
(4日宵祭) (南砺市観光協会)
注目の手職人
城端蒔絵16代目の小原好喬氏の作品には、
うつろ
う四季や風景、
動植物など自然を題材としたものが
多くあります。
「自然は同じ景観でもひとつとして
同じ絵にはなりません」
(小原)
。富山や城端の対象
を選んだ際は、
長期間観察する事も珍しくないとか。
「桜を観察しに朝昼ずっと通った場所で見た月が凄
く綺麗で、その作品を先に作ってしまったこともあ
職人
NO.
03
城端蒔絵
塗師屋治五右衛門
16代目
小原 好喬
おはら よしとも
高岡漆器
城端曳山会館
南砺市城端579-3 MAP.A-5
9:00∼17:00
(年末年始休業)
加越能バス停
七福神像
1
井波別院
0763-62-2165
南砺市井波3050 MAP.B-4
0763-82-0004
「これは城端の桜の名所、向野一本桜と山田川、
庄川の紅葉なんです。春と秋、桜と紅葉、
山田川と庄川が合わさって六角
の雲錦文飾なんですよ」
(小原)
4
www.geocities.jp/inamibetuinzuisenji
注目の手職人
天神様の
木像
八日町通りにある工房はすべて
一般見学が可能です。
工房中に入る際は、一声かけてから
静かに作業模様を楽しみましょう。
この彫刻に注目!!
瑞泉寺
明徳元年
(1390)
建立。全国屈指の威容を誇
る本堂をはじめ山門、太子堂など全てに井波
彫刻の粋が施されている威容は圧巻。城のよ
うな石垣、宝物殿の展示も見もの。
◉欄間
(らんま)
井波彫刻を代表する芸術品。繊細
かつ迫力ある花鳥、風景など立体
的に彫刻されます。絵画のような
美しさは、まさに彫師の腕のみせ
どころ。
◉天神様
富山では正月になると子供のた
めに学問の神様、天神様(菅原道
真)を飾る風習があります。その
ひとつが木彫り像、井波で数多く
制作されます。
◉獅子頭
全国屈指の伝承数を誇る富山の
獅子舞。獅子頭の生産も盛んで、
井波彫刻のものは迫力満点!!
◉干支動物
毎年秋頃から翌年の干支の動物
が彫刻されます。手頃な価格の小
物もあり、土産にも最適!!
会員。公益社団法人 日本工芸会富山支部会員(漆芸部会副部会長)。
全国山・鉾・屋台保存連合会 祭屋台等製作修理技術者。NPO法人
アートセッションとなみ野副会長。富山県民生涯学習カレッジ講師
南砺市民大学講師。城端庵唄保存会会員 道Projectメンバー。
高岡漆器
の技法
井波観光マップ
作業風景
◉勇助塗
中国明代の漆器から影響を受けた技
法。唐風の雰囲気を持つ意匠に花鳥
や山水などの錆絵を描き、青貝、玉石、
二代 石井勇助
箔絵等を施す総合技法。赤を基調と 「福寿文勇助塗飾棚」
(1881頃)
した格式高い作品が多いのが特徴。 高岡市美術館蔵(部分)
体験
高岡御車山
はんぶんこ
高岡漆器のおにぎり型の弁当箱か手鏡に
螺鈿を自由にデザインできます。価格は1
個4,000円プラス送料600円。約1時間の
作業のあとプロが仕上げを担当。
2週間か
ら1ヶ月後に完成品が手元に届きます。
高岡市小馬出町63 拡大MAP.F-2
11:00∼18:00
(火・水曜休業)
2
高岡漆器の技術は高岡御車山
祭で使われる豪華絢爛な曳山
に集結され、その歴史と共に発
展を続けてきました。祭当日に
7基の曳山が列をなす様は見
もの。高岡御車山会館では実
物の曳山が見られるほかカフェ
や売店も用意されています。
高岡御車山祭
毎年5月1日
(4月30日宵祭)
0766-20-1301(高岡
市観光交流課)
www.mikurumayama.jp
アイコンの説明
高岡御車山の車輪
高岡御車山会館
高岡市守山町47-1 拡大MAP.E-2
9:00∼17:00
(火曜休業)
3
mokutyou-ganji.com こんな逸品も富山に!!
制作販売
株式会社タニハタ
漆器くにもと
高岡市中央町13
見学
立寄りスポット
職人
のなか がんじ
1993年 堀友二、澤義博
両氏より井波彫刻を学ぶ。
1997年 第48回富山県
勤労者美術展 富山県町
村会長賞。他
井波彫刻伝統工芸師。
住所
地図ページ
0763-82-5158
www.inamichoukoku.com/kaikan
獅子ガチャラ
ザ・リッツカールトン京都
京都市中京区鴨川二条大橋畔
www.ritzcarlton-kyoto.jp
きときと市場
とやマルシェ
富山市上赤江町1-7-3 MAP.C-3
076-441-2820
(フリーダイヤル0120-41-2872)
お問い合わせ
5
9:00∼17:00
(毎月第2第4水曜休館)
気品と優雅さが漂う、アーティ
スティックな 組 子 の 間 仕 切り。
ザ・リッツ・カールトン東京のス
イートルームにもタニハタの組
子が設置されています。
(表紙Photo参照:
「動」
をイメー
ジし、吉祥文様
「麻の葉柄」
を中
心に8種類の古典文様を起用。
主素材に日本最高の木材
「黒 神
代杉」
を使用しています。)
くみこらんま
営業時間・休業日
南砺市北川733 MAP.B-4
魅せる! 職人魂
6
www.tanihata.co.jp
www.kunimoto-japan.com
04
簡単なネームプレート
(制作約3時間)
か
ら干支の置物、動物パネル、本格的な欄
間まで、豊富な制作体験コースを用意。
施設内では大小様々な井波彫刻の展示
販売やベテラン彫師による制作実演も
催しされています。
野中 願児
組子は飛鳥時代から続く木工技術で、細くひき割っ
た木に溝・穴・ホゾ加工を施し、釘を一切使わずに
「木
を組む」
もの。㈱タニハタでは天然の針葉樹にこだ
わり、数10種類のカンナを駆使して手作業で製品を
仕上げています。さらにITシステム環境を整備して
製作スピードをアップ。組子専用NC機械
(ラジアル
ソー)
の導入によって大判の製品にも対応し、アート
作品のような美しい組子製品を次々と生み出してい
ます。高級ホテルや空港、駅のラウンジなど、さまざ
まな商業施設に設置され、2015年にはイギリス、ス
イス、イタリアなど8か国での販売実績を誇ります。
工場見学・製作体験は10名以上で要予約。
0766-21-0263
mikurumayama-kaikan.jp
クラフト体験
らでん
iPhone 6/6sカバー
さくら
黒・白・朱 6480円(込)
0766-30-2497
お買い物・お土産
南砺市山見1739-25 0763-82-6124
組子欄間
豪華絢爛な
Factory
HANBUNKO
木彫 願児
井波彫刻総合会館
体験
彫刻師
野中氏は動物作品が得意な井波彫刻師。
「縁起物のフクロウ、猫、
犬の順に制作物が多いです。受注生産の場合は、お客様の希望を
元に粘土原型を作ってから完成まで約二か月ほどかかります。八
日町通りにあるウサギの彫刻看板が目印のギャラリー瑞庵に作品
が展示されていますので、ぜひご覧になってみてください」
(野中)
。
◉彫刻塗
木彫りした作品に立体感と独特の艶
を出す技法。立体的な造形が美しい。
◉青貝塗
鮑(あわび)など虹色光沢を持つ薄貝
を刀や針を用いて三角、菱形、波形な
どの細片に切り出し、モザイクタイル
のように組み合わせて山水や花鳥を表
現する。螺鈿技法のひとつ。
職人
NO.
木の温かみを
持つ動物たち
作品の制作模様
ぢぃの覚え書き
3 ロカルちゃ!富山[伝統工芸・クラフト編]
彫刻師の作業模様を
見学しましょう!!
1979年 南砺市城端生まれ。現在、公益社団法人 日本工芸会正
江戸時代初期に加賀前田家2代当主の前田利長
が高岡城に入城、城下町を整備した際に箪笥や膳
など生活用品を作らせたのが高岡漆器の始まり
と言われています。やがて中国の漆器を手本に勇
助塗りなど様々な技法が編み出され、昭和50年
に国の伝統的工芸品に指定されました。盆や茶托
など生活用品から青貝螺鈿が施された芸術作品
まで、卓越した美しさが魅力です。
www.hanbunko.org
どれを掘るか
何度も通うのも
楽しみやねぇ
るか!?
すべて見つけられ
城端蒔絵雲錦文飾箱
りました」
(小原)
。それらをいかに蒔絵で表現する
か、金銀などの制約が無くなった現代、城端蒔絵は
新境地を迎えています。
「塗りの技法は無限の可能
性があるんですよね。それらへ一歩ずつ前進して
いくのが、私に与えられた責務ではないかなと考
えています」
(小原)
。先代達が創意工夫に賭けた情
熱は、
当代にも確かに受け継がれていました。
たかおかしっき
0766-91-8380
1390年に建立された井波別院瑞泉寺の門前町として
発展した井波。江戸時代に寺が焼失した際、再建のため
に京都本願寺の御用彫刻師が招かれその技術を地元の
人々が受け継ぎ、国の伝統的工芸品
「井波彫刻」
が誕生
しました。彫刻技術の粋を集めた瑞泉寺はまさに圧巻。
門前から伸びる石畳の八日町通りには井波彫刻の工房
が軒を連ね、木彫りの木槌の音が心地よく聞こえてきま
す。通りの看板や設置物にも井波彫刻が遊び心いっぱ
いに使われています。
八日町通り 彫刻アレコレ
城端曳山
毎年春に開催される城端曳山祭は、城端に300
年近く伝わる地域最大の祭。その主役たる曳山
の制作、修復にも小原家が代々関わっており、漆
塗りや蒔絵だけではなく、意匠にいたるまでそ
の技と感性、技が施されています。城端曳山会
館では祭の日以外も美しい姿が見られ、小原家
の歴史文献も展示されています。
いなみちょうこく
南砺市井波3110-1 0763-62-1201
(南砺市観光協会)
ぢぃの覚え書き
作業模様/野村清宝木彫刻工房
電話ボックス
木 と伝統工芸 の調和 漆器・彫刻・組子
制作中の模様/小原好喬氏
ホームページ
富山の玄関口を訪れる人に幸
せがあるようにと、吉祥模様で
ある青海波文様の組子が設置
されています。
富山市明輪町1-220 MAP.E-3
7
076-471-8100
ロカルちゃ!富山[伝統工芸・クラフト編]
4
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