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第1259回 千 葉 医 学 会 例 会 整 形 外 科 例 会

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第1259回 千 葉 医 学 会 例 会 整 形 外 科 例 会
〔千葉医学 89:163 ∼ 177,2013〕
〔 学会 〕 第1259回
整
千
形
葉
外
医
学
科
会
例
例
会
会
日 時:平成24年12月 1 日(土)7:30 ∼ 2 日(日)7:40 ∼ 場 所:千葉大学医学部附属病院 第一講堂
1 .ラット腕神経叢引き抜き損傷モデルにおける抗
4 .絞扼性神経障害に対するトリアムシノロン局所
p75NTR 抗体腹腔内投与の効果
投与の効果 : ラット CCI モデルを用いた検討
小林倫子(千大院)
芝山昌貴(千大院)
ラット腕神経叢引き抜き損傷モデル作成後 7 日目に抗
手根管症候群に対する保存治療においてステロイド
p75抗体を投与量別に1.0,10,50μl 腹腔内投与。疼痛行
局所投与の有用性は臨床的に広く知られている。その
動評価は cat walk,von Frey test を投与後経時的に施行。
効果については屈筋腱滑膜炎もしくは正中神経のどち
組織学的評価に脊髄(C7)の GFAP,Iba1 陽性細胞数,
らに対してのものであるかは議論の分かれるところで
DRG(C7) の ATF3,CGRP,GFAP,p75NTR陽 性 細
あり,作用の対象組織および機序に関する詳細な検討
胞数を投与後経時的に計測した。いずれの評価において
はなされていない。今回はまずラットの坐骨神経絞扼
も疼痛の軽減を示す結果が得られた。
モデルに対するトリアムシノロン局所投与の効果を行
動学的・生化学的・免疫組織学的に評価したので報告
2 .後骨間神経の解剖学的検討
する。
小川泰史(千大院)
後骨間神経は前腕近位部において橈骨神経から分岐
5 .手指屈筋腱 sliding 延長術の力学試験における破
断様式の検討
し,Frohse のアーケードを通過し前腕背側の筋群に分
橋本 健(千大院)
布する。その分岐パターンは複雑であり今までに若干
の報告があるものの一定の見解は得られていない。今
屈筋腱延長術はフォルクマン拘縮や脳性麻痺に伴う
回我々は,新鮮凍結屍体(10体18上肢)を用いて後骨
手関節・手指屈曲拘縮などに対して用いられる手技で
間神経の走行・分布につき解剖学的検討を行った。尺
あるが,術式としては sliding 延長,Z 延長が汎用され,
側手根伸筋・総指伸筋間より展開し各筋への分岐レベ
その力学的強度について前年度に比較検討を行った。
ル・分岐筋までの神経長等につき計測し検討した。
今回,sliding 延長後の力学試験時に破断を起こす脆弱
3 .前骨間神経の解剖学的研究 : 尺骨神経に対する
神経移行術を目的として
部位を検討し,その結果,脆弱部の強度を大きくする
ための縫合法を検討する。
6 .マウス変形性膝関節症モデルに対するヒアルロ
助川浩士(千大院)
ン酸関節内注射の効果 : 歩行解析による検討
尺骨神経の高位損傷に対しては前骨間神経移行術が
村松佑太(千大院)
第一選択になりつつあるが,本法をより確実で効果的
に行うために新鮮凍結屍体を用いて前骨間神経の解剖
変形性膝関節症(膝 OA)に対する介入の評価に動
学的な検討を行った。本神経の分岐パターン,移行可
物モデルは有用である。今回,ヒアルロン酸(HA)
能な神経長と方形回内筋枝を移行した際の神経断端と
関 節 内 注 射 を 行 っ た マ ウ ス 膝 OA モ デ ル に 対 し て
尺骨神経運動枝との位置関係を調査すると同時に両神
CatWalk system を用いた歩行解析を行い,その効果
経断端の標本を作成し神経線維数を計測した。
を行動学的に評価した。その結果 HA 注射の有効性が
行動学的に示された。また,歩行解析の意義に関し組
織学検討を加えた。
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7 .ウサギ同種培養軟骨細胞移植術後の組織学的,
10.ウサギアキレス腱断裂モデルにおける MRI によ
生化学的評価と質的 MRI 評価の比較検討
る腱修復の定量的評価と,多血小板血漿による
修復促進効果の検討
遠藤 純(千大院)
府川泰輔(千大院)
自己修復能に乏しい関節軟骨に対する再生医療とし
て,同種,自家軟骨細胞移植,間葉系幹細胞移植など
アキレス腱断裂は壮年期に好発するスポーツ外傷だ
が有効な治療法として期待されている。しかし再生軟
が,腱修復の定量的評価ができないこと,スポーツ復
骨の組織学的,生化学的評価は,従来軟骨組織を摘出
帰までに長期間を要することが治療上の問題となって
して評価を行う必要があった。近年,関節軟骨の質的
いる。成長因子を豊富に含む血小板を分離濃縮したも
評価が非侵襲的に可能な MRI 撮像法が開発され,臨床
のを多血小板血漿という。本研究の目的は,ウサギア
応用されつつある。本研究目的は,これらの質的 MRI
キレス腱断裂モデルにおける①腱の修復過程を MRI で
評価法が,再生軟骨の評価に有用か検討する事である。
評価し,組織学的修復と比較すること②多血小板血漿
8 .Mmp13に対するshort interfering RNA(siRNA)
の膝関節内注射投与による変形性膝関節症進行
抑制効果の検討
による腱修復促進効果を MRI および組織学的に評価す
ることである。
11.ラット坐骨神経損傷モデルにおける多血小板血
漿 Platelet Rich Plasma(PRP)移植の効果
赤木龍一郎(千大院)
久保田 剛(千大院)
MMP-13は軟骨細胞外基質のⅡ型コラーゲンを分解
し変形性膝関節症(OA)の発症に関与する。マウス
PRP は様々な成長因子を高濃度に含有し,難治性潰
OA モデルの滑膜で Mmp13発現は早期に一度上昇し,
瘍や上腕骨外側上顎炎など多くの分野で臨床応用され
OA の進行とともに再上昇した。OA モデル作成後早
ているが,神経損傷での神経障害性疼痛に対する効果
期に Mmp13に対する short interfering RNA(siRNA)
や機序に関する報告はない。本研究では PRP の神経
を膝関節内注射投与することで,in vivo で滑膜におけ
障害への影響について,神経障害性疼痛モデルである
る Mmp13の発現が低下し,病理組織学的に OA の進行
ラット坐骨神経半周結紮損傷モデル(Selzer モデル)
が抑制された。
を作成し,PRP 移植群と非移植群で行動学的および免
9 .半月板損傷患者における半月板内の分子生物学
的変化についての検討 : 半月板損傷の疼痛機序
解明にむけて
疫組織学的評価の違いを比較検討しその有用性を検証
した。
12.初期変形性膝関節症における骨棘の存在と分布 :
OAI のデータより
小倉誉大,蟹沢 泉,高橋謙二 酒井洋紀,土屋明弘 (船橋整形外科)
鈴木 都,折田純久,佐久間詳浩
高橋和久,大鳥精司 (千大院)
葛城 穣(千大院)
OAI のデータより抽出した,初期変形性膝関節症
のデータを 3 群(KL 分類 grade 0・1・2)に分け,各
群間及び郡内に対し,骨棘を認める症例数と,膝内各
半月板損傷に伴う疼痛の機序は諸説あるが,未だ不
区間における骨棘の分布を,MRI で評価した。grade
明な点が多い。半月板損傷患者における損傷部と非損
1 − 2 群間において骨棘を認める症例数の有意差を,
傷部の半月板内の炎症性サイトカインを定量し比較検
grade 0・1 群内において大腿骨顆間部と他区間におい
討をすることで,半月板損傷の疼痛機序を考察した。
て骨棘の分布の有意差を認めた。大腿骨顆間部の骨棘
半月板損傷患者より摘出した半月板検体は,損傷部で
は,変形性膝関節症の初期変化であると考えた。
有意な炎症性サイトカイン上昇を認め,損傷半月板内
のサイトカインが疼痛を惹起する一要因となる可能性
を示唆した。
13.3D-2D registration による早期変形性膝関節症
の三次元歩行動態解析
向山俊輔(千大院)
3D-2D registration を 用 い て 変 形 性 膝 関 節 症( 膝
OA)における歩行動作の三次元動態解析を行った。
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Kellgren-Lawrence 分類 grade 1 または 2 の膝 OA を対
外側部の形態異常が診断に有用であった。手術は OsiriX
象とした。
を用いた術前プランニングと,当院で開発した手術台
CT 画像から大腿骨遠位部および脛骨 / 腓骨近位部の
装着型開創器を使用した Wiltze approach による外側開
三次元骨モデルを作成し座標を設定した。一方向 X 線
窓術を行い良好な成績を得た。
透視装置を用い歩行動作の膝関節側面像を記録し,得
られた画像の輪郭に骨モデルの輪郭を重ね合わせ,動
17.腰椎前方固定術後の骨癒合不全由来の腰痛とそ
の評価方法
態解析を行った。
14.3DCT を用いた S1 神経根ブロック手技の検討
木村青児,大鳥精司,鈴木 都 佐久間詳浩,及川泰宏,久保田 剛
佐藤祐介,小谷俊明,北村充広 稲毛一秀,西能 健,山内かづ代 佐久間 毅,赤澤 努,根本哲治
高橋和久 (千大院)
南 昌平 (聖隷佐倉市民)
椎間板性腰痛への前方固定術後,骨癒合不全で腰痛
第一仙髄神経(以下 S1)ブロックは透視装置を用
有の症例に対し,骨癒合不全部にマーカインを用いた
いても PA 像で S1 後仙骨孔が見えづらく手技が難し
ブロックを施行し後方固定術を追加した。腰痛有の骨
い。S1 ブロックを確実に短時間に行うために透視時の
癒合不全部にブロックを施行した結果除痛効果があ
S1 後仙骨孔の位置,S1 仙骨孔の傾斜角を知ることが
り,固定術によって骨癒合と,腰痛に有効であった。
必要である。本研究に於いて,これらの検討を 3DCT
本研究は,偽関節由来の痛みの診断方法にマーカイン
X 線 疑 似 画 像(ray sum image) を 用 い て 男 性20例,
を用いたブロックの有効性を示したものであり,また,
女性20例に対し行ったので結果を考察を踏まえて報告
偽関節それ自体が痛みの原因となり得ることを示唆し
する。
た。
15.脊椎後方固定術を施行後にロッドの折損を来
18.腰椎疾患と診断された変形性股関節症の検討
し,再建術を施行した 1 症例
齊藤淳哉,清水 耕,池田義和
小川裕也 (沼津市立)
中島文毅,橋本光宏,守屋拓朗
折田純久,山内かづ代,鈴木 都 藤本和輝,秋本浩二,山縣正庸
佐久間詳浩,及川泰宏,久保田 剛
(千葉労災)
稲毛一秀,西能 健,大鳥精司 (千大院)
腰椎と股関節は解剖学的に隣接しており,また腰椎
疾患と股関節疾患では臀部痛などの類似した症状を呈
症例は68歳女性。脊椎側弯症に対して,過去に 2 回
することも多いため,鑑別に難渋することも稀ではな
脊椎後方固定術を施行した既往があった。今回,明ら
い。
かな誘因なくロッドが折損し,脊柱管狭窄による腰背
部痛と両下肢の知覚低下が出現したため,当科にて
ロッドの入れ替えと補強,及び脊椎前方固定術を施行
19.腰椎由来の難治性腰下肢痛に対するエタネルセ
プトを用いた椎間板ブロックの効果
した。脊椎の安定性の確保に脊椎インプラントは非常
西能 健(千大院)
に有効な手段であるが,破損の原因や,インプラント
材料の中長期成績とその問題点について,文献的考察
疼痛の一因に炎症性サイトカインの腫瘍壊死因子
(TNFα)が注目されている。腰椎由来の難治性腰下肢
を交えて報告する。
16.当院における far-out syndrome 手術例の検討
輪湖 靖,平山次郎,藤田耕司
橋本将行,土屋 敢,竹内慶雄
岩崎潤一,三浦道明,森川嗣夫
(千葉メディカルセンター)
2008年 3 月から2012年 5 月に当院で far-out syndrome
に 対 し て 手 術 治 療 を 行 っ た 7 例 に つ い て 検 討 し た。
3DMRI における神経根の走行異常と 3DCT での椎間孔
痛を呈する症例に対し,エタネルセプト10㎎を併用し
た椎間板ブロック注射を施行し,マーカイン単独群と
比較検討を行った。腰痛・下肢痛・ADL は早期に改善
し,エタネルセプト群はマーカイン単独投与群と比較
し有意に効果的であった。有害な合併症は認めず,椎
間板への抗サイトカイン療法は有用で安全であると考
えられた。
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20.腰椎変性疾患における障害神経の定量化の試み :
24.人工股関節における新しいステム前捻指標
Diffusion Tensor Imaging を用いた画像診断
付岡 正,常泉吉一,李 泰鉉
及川泰宏(千大院)
鶴岡弘章,染屋政幸,吉永勝訓
(千葉リハビリテーションセンター)
Diffuison Tensor Imaging(DTI) の 変 形 性 脊 椎 症
に対する応用について報告し,障害神経においては
人工股関節において大腿骨ステム前捻は脱臼予防の
fractional anisotorophy(FA)値が低下することを報
点からも重要である。しかし,骨切り面での指標の報
告した。本研究は DTI を用いた障害神経の定量的評価
告は少ない。そこで,骨切り断面での前捻指標につい
について,FA 値や ADC 値と臨床症状,疼痛の変化,
て三次元術前計画ソフトを用いて検討した。前後皮質
各種スコアとの相関を検討した。DTI を用いることで
骨の中線を指標とすると,骨切り角度,骨切り高位に
障害神経の定量評価ができる可能性が示唆された。
21.腰椎におけるテリパラチド使用の短期効果 : 有
限要素法を用いての骨強度評価
よる影響が大きく,後捻となる可能性もある。転子窩
と頚部内側中央を結んだ線は骨切り角度による影響が
少なく臨床的に有用な指標となり得ると考えられた。
25.THA 術前計画における 3D テンプレートの有用
中田幸夫,折田純久,稲毛一秀 性
西能 健,久保田 剛,鈴木 都 佐久間詳浩,及川泰宏,山内かづ代
大鳥精司 (千大院)
近年テリパラチド治療による強力な骨塩増加作用が
高澤 誠(千大院)
当科では初回人工股関節置換術(以下 THA)にお
いて, 3 次元術前計画ソフトウエア Zed Hip(Lexi 社)
報告されている。骨量増加の評価法として DXA 等の
を導入し術前計画を行なっている。今回は,レントゲ
骨密度検査が主流であるが,CT 画像を元にしたモデ
ンフィルムでテンプレートした群(従来群)と 3D テ
ルの有限要素解析による骨強度評価も可能である。今
ンプレートした群(3D 群)で,インプラントの一致率,
回テリパラチド使用による骨量増加の解析を試みた。
設置精度,脚長差の相違について比較検討を行った。
対象はテリパラチドを使用した患者で投与前と投与後
従来群と比較し,3D 群では術前後のインプラント一
3 ヶ月の画像を元にモデルを作成し荷重増分法により
致率は高くインプラントの選択に有用であった。
解析を行い椎体骨強度の投与前と投与後をそれぞれ計
算し比較検討した。
22.化膿性脊椎炎に対する手術治療の検討
26.人工股関節術中の軟部組織圧計測 : 第 2 報
三橋 繁,萩原雅司,杉岡佳織 貞升 彩,中村伸一郎,木下知明 井上雅俊,鳥飼英久,村上宏宇
鎌田尊人,北原 宏,大木健資 宮坂 健,永嶋良太,木村青児
村山憲太,三橋 稔(習志野第一)
原田義忠 (済生会習志野)
39股の人工股関節手術試行中に骨頭中心とステム
化膿性脊椎炎に対する手術治療成績を報告する。症
ネック基部の距離(以下 Gap)と軟部組織圧(以下
例は13例(男性 9 例,女性 4 例),手術時年齢は平均
Tension)を計測した。Gap は10から20㎏の Tension 下
65.3歳であった。罹患高位は頸椎 2 例,胸椎 4 例,胸
に,0.45±0.09㎜ / ㎏増大した。片側り患23例では,脚
腰椎 1 例,腰椎 6 例で,術前神経麻痺は Frankel B が
長を等しくする Tension は,14.6±1.9㎏であった。こ
3 例,C が 1 例,D が 4 例,E が 4 例であった。
のことから,術中15㎏の Tension を目安にコンポーネ
23.当院における透析患者の腰椎手術の解析
花岡英二(千葉社会保険)
手術方法は椎弓部分切除 2 例,前方固定 4 例,後方
instrumentation 6 例, 後 方 instrumentation+ 前 方 固
定 1 例であった。後方 instrumentation 6 例は前方の病
巣掻爬を実施しなかった。術後全例で炎症反応の陰性
化と病巣縮小を認めた。
ントを設置する新しい術式の可能性が示された。
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27.AMIS Ⓡ(Anterior Minimally Invasive Surgery)
による人工股関節全置換術 : 本邦における第 1 報
30.腰椎変性後側弯に対する前後合併矯正固定術の
成績
山本晋士,荻野修平,村田 亮
大鳥精司,折田純久,山内かづ代 安宅洋美,石毛徳之,丹野隆明
鈴木 都,佐久間詳浩,久保田 剛
黒田重史,住吉徹是 及川泰宏,稲毛一秀,西能 健 (松戸整形外科)
中田幸夫 (千大院)
中村順一 (千大院)
高齢者腰椎後側弯の問題点として,腰痛,逆流性
前方進入法による人工股関節置換術(THA)は手術
食道炎がある。手術療法としては後方矯正固定術,
侵襲が少なく脱臼率が低い有効な Minimally invasive
PSO,VCR 等の骨切り術が報告されている。本研究で
surgery-THA とされるが,仰臥位で手術を行うため大
は,10名の高度な腰椎後側弯による強度の腰痛を呈し
腿骨の挙上に工夫を要し,ステムの正しい設置に熟練
た患者を対象とし前後合併矯正固定術の成績を検討し
を要する。今回我々は特製の牽引架台を用いる AMIS Ⓡ
た。術前 SVA126㎜,CA23°
,LL5.7°
,PT49°から術後
による THA を本邦で初めて施行し,前方進入法導入
SVA27㎜,CA8 °
,LL30 °
,PT30 °と 有 意 差 を も っ て,
初期の段階から,比較的容易かつ安全にステムの設置
良好に改善した。
を行えたので報告する。
31.Cortical Bone Trajectory を用いた腰椎後方固
28.大腿骨頭すべり症に対する in-situ pinning にお
定術の検討
ける後方すべり角の進行に関与する因子の検討
北村充広,佐久間 毅,佐藤祐介
萩原茂生(千大院)
赤澤 努,小谷俊明,根本哲治 南 昌平 (聖隷佐倉市民)
SCFE に対する ISP 後のすべりの進行について検討
を行った。対象は ISP 施行した55例60股で男性45例女
Cortical bone trajectory(CBT)は2009年に Santoni
性10例。骨端線閉鎖時までに17股ですべりが進行し,
らによって報告された新しい椎弓根スクリューの刺入
関与する因子として手術時年齢,BMI,発症様式,安
軌道であり,皮質骨スクリューを用いて皮質骨との接
定性,手術時 PTA,スクリュー数,スクリュー先端の
触面積を最大限に得ることで従来の椎弓根スクリュー
位置,骨端線を通過したスレッド数,スクリュー刺入
と比してより強固な固定を目指すものである。本年 4
部について多変量解析を行った結果,スクリュー刺入
月より当院でも導入しているが,今回,術後 3 カ月以
部が大腿骨頚部であることが最も関与していた。
29.若年者新鮮腰椎分離症に対する経皮スクリュー
固定法(Buck 変法)の検討
上経過観察しえた13例に対して,その成績を検討し報
告する。
32.腰椎椎間板性腰痛,すべり症に対する mini open
DLIF 法の成績
佐藤 淳,清水純人,岡本壮太
折田純久,及川泰宏,鈴木 都 染谷幸男 (小見川総合)
佐久間詳浩,久保田 剛,稲毛一秀
2006年当学会にて,若年者新鮮腰椎分離症に対する
西能 健,中田幸男,山内かづ代 経皮スクリュー固定法(Buck 変法)を報告した。今
大鳥精司 (千大院)
回,本術式の中期成績を検討した。対象は2005年 4 月
から2012年 3 月までに行った22症例である。男性21例
近年開発された腰椎前方固定法である Direct lateral
女性 1 例,手術時平均年齢は14.1歳であった。スポー
interbody fusion 法(DLIF 法)は側臥位にて体幹側方
ツ復帰への日数は平均13.6日,骨癒合率は54%であっ
から脊柱および椎間板に最短距離でアプローチする方
た。術後疼痛はほぼ全例で速やかに軽快しており,早
法であり,椎間関節などの後方要素を温存しつつ前方
期スポーツ復帰が可能であった。
の確実な椎体間固定が得られる方法として注目を浴び
ている。今回,小皮切を用いた mini open DLIF 法を椎
間板性腰痛,すべり症に対して行った手術成績につい
て検討する。
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33.腰椎変性すべり症に対する顕微鏡視下片側進入
36.当院における軟骨芽細胞腫症例の検討
両側除圧術の手術成績
鴨田博人,米本 司,岩田慎太郎
畠山健次,大内純太郎,齊藤康文 舘崎慎一郎,石井 猛 粟飯原孝人,白土英明(船橋整形外科)
(千葉県がんセンター)
腰椎変性すべり症に対する顕微鏡視下片側進入両側
当院で治療を行った軟骨芽細胞腫症例について検討
除圧術の成績を検討した。
を行った。
対象10例の術前・術後 6 か月のすべり率,JOABPEQ
初診時の症状として画像所見に一致した部位に疼痛
を検討した。
が見られた。罹患部位は主に大腿骨・上腕骨等の長菅
すべり率は術前18.7°から術後20°
,JOABPEQ は心理
骨骨端部であったが,距骨・踵骨や腸骨等にも発生し
以外の 4 因子は20点以上の改善がみられた。VAS スコ
ていた。全例手術を受けており,初回手術時平均年齢
アは,腰痛の改善は11/100,下肢痛・しびれはそれぞ
は16歳であった。 1 例は術前検査にて骨巨細胞腫と診
れ50/100以上の改善がみられた。本法は,やや時間を
断されていた。 4 例に再発を認めたため再手術を行っ
要すが安全で成績良好な術式と考えた。
た。術後経過は良好であり,患肢機能は温存されてい
34.当院における腰部脊柱管狭窄症に対する片側侵
入両側除圧術の治療成績 : 左右別の VAS に着目
た。
37.中高齢者骨肉腫における予後因子に関する多施
設共同後方視的研究
して
高橋 宏,青木保親,中島 新
岩田慎太郎,石井 猛,米本 司 園部正人,柴田孝史,谷口慎治
鴨田博人 (千葉県がんセンター)
古府照男,中川晃一 川井 章(国立がん研究センター中央)
(東邦大医療センター佐倉)
比留間 徹(神奈川県立がんセンター)
腰部脊柱管狭窄症に対し片側侵入両側除圧術を行っ
近年増加傾向にある中高齢者発生骨肉腫の予後因子
た20例につき,左右別に腰痛,下肢痛,下肢痺れの
を明らかにするため, 3 施設による後方視的研究を40
VAS を測定し治療成績を評価した。術後 3 ヵ月におい
歳以上の骨肉腫患者93例を対象に行った。匿名化され
て侵入側,対側の双方で下肢症状のみならず腰痛にお
た診療情報を収集し因子解析を行ったところ,多変量
いても術前に比し有意な改善を認め,侵入側,対側に
解析で根治的手術未施行が有意な予後不良因子となっ
よる差はなかった。片側侵入両側除圧術では稀に対側
たが,化学療法の有無は有意な因子とはならなかった。
除圧不足が懸念されるが,本研究では対側の成績も良
即ち中高齢者骨肉腫における根治的手術の施行は予後
好であり必要十分な除圧が可能であると示唆された。
35.肺癌の転移性脊椎腫瘍に対して姑息的に後方固
を改善しうるが,現行の化学療法の有用性は認められ
なかった。
38.医薬品医療機器総合機構(PMDA)における承
定術を施行した 1 例
認審査業務
秋本浩二,山縣正庸,清水 耕
村上賢一(医薬品医療機器総合機構)
池田義和,中島文毅,橋本光宏
守屋拓朗,藤本和輝,齊藤淳哉
(千葉労災)
症例は48歳男性。激しい腰痛で発症し Th11の骨溶解
医薬品や医療機器は我々の健康や生命を守るために
欠かせないものであるが,これらが用いられるために
はその有効性と安全性が確保されていなければならな
像を示し体動困難であった。精査で肺腺癌の転移性脊
い。PMDA は,新規の医薬品や医療機器が我が国にお
椎腫瘍と診断された。放射線療法と化学療法を行った
いて市場に出る前に,有効性,安全性の観点から承認
が疼痛コントロールされなかったため,除痛目的に経
審査を行う唯一の機関である。より優れた医薬品・医
皮的に後方固定術を施行し早期離床が可能となった。
療機器をより早く医療現場に提供するために,迅速か
その後化学療法が奏功し高い QOL で長期生存を得た。
つ公正な承認審査が求められ,その社会的責任は非常
今回のように長期的予後が見込めない場合でも全身状
に大きい。
態が許せば最少侵襲で姑息的手術を施行することは有
用と考える。
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39.クリニカルアナトミーラボの活動報告
42.ばね指に対するストレッチの治療効果の検討
岩倉菜穂子,村田泰章,加藤義治
鈴木崇根(千大院・環境生命医学)
(東京女子医大)
演者は2010年 8 月夏期卒後教育研修会で,ご遺体を
徳永 進 (佐倉整形外科)
用いた手術手技教育・医学研究を目的とするクリニカ
ルアナトミーラボの立ち上げを目指していることを報
ばね指は日常診療で多く遭遇する疾患であるが,治
告した。その後無事規定が定まり,2011年 5 月から運
療としてのストレッチに関する報告は少ない。我々は
用を開始している。本年 5 月には現行の法律内で手術
他動伸展・自動屈曲のストレッチが弾撥現象のある屈
手技教育を可能とするためのガイドラインが発行さ
筋腱腱鞘炎にも有効と考えている。2011年 4 月から
れ,条件が整えば各大学が施行することが可能となっ
2012年 9 月までに当院を受診したばね指患者のうち,
た。このクリニカルアナトミーラボの近況を報告する。
40.手指屈伸に伴う正中神経の変位と変形に関する
検討
ストレッチを指導して 1 ヶ月以上経過を追うことの出
来た症例について,重症度を示す Wolfe の Grade 分類,
再発の有無について検討したので報告する。
43.デュプイトラン拘縮に対する needle fasciotomy
岡本聖司(千大院)
手 根 管 内 に お い て 屈 筋 腱, 正 中 神 経 周 囲 に は
subsynovial connective tissue(以下 SSCT)が存在し,
加齢とともに増殖することが知られている。手根管症
候群(以下 CTS)では,SSCT の非炎症性線維増殖に
伴い手根管内圧が上昇すると考えられている。今回,
超音波エコーを用いて,健常群,CTS 群,CTS 術後で
の短期成績
山崎厚郎,國吉一樹,松浦佑介
村上賢一,橋本 健,芝山昌貴
岡本聖司,小林倫子,助川浩士
小川泰司 (千大院)
鈴木崇根(同・環境生命医学)
の手指の屈曲,伸展に伴う正中神経の変位と変形に関
対象は25G 針で経皮腱膜切開を施行し, 6 ヵ月以上
し,検討し考察する。
経過観察したデュプイトラン拘縮患者10例。全例男性,
41.遠位橈尺関節 CPPD 結晶沈着による小指屈筋腱
皮下断裂の 1 例
平 均 年 齢65歳,Tubiana の stage 分 類 は stage 1: 4 例,
2: 3,3: 2,4: 1。結果,全例で術直後から他動的に完
全伸展が得られた。Total Flexion Deformity は平均で
貞升 彩,芝山昌貴,助川浩士
小川泰史,小林倫子,岡本聖司
橋本 健,松浦佑介,村上賢一
國吉一樹 (千大院)
術前71°
,術直後 4 °
,最終診察時 7 °であり,短期的に
は患者満足度は極めて高かった。
44.変形性遠位橈尺関節症に対する尺骨遠位部周辺
組織を温存した Sauve-Kapanji 法
鈴木崇根(同・環境生命医学)
85歳女性。右小指屈曲障害が誘因なく出現し当科紹
堂後隆彦,山田 均(西能病院)
介受診。初診時小指 PIP/DIP 関節の自動屈曲は不能で
DRUJ の OA に対して,尺骨遠位部周辺組織を温存
あった。単純 X 線,CT では遠位橈尺関節(DRUJ)に
した S-K 法を試みた。本法では骨切り前に尺骨頭を脱
石灰化像を認めた。エコー /3DCT 像では屈筋腱の途
臼させ,橈骨と対する関節面を背側に露出して,ボー
絶を認め,小指屈筋腱皮下断裂と診断した。術中,腱
ンソーで関節軟骨を飛ばし掻爬する。従来の術式にお
断端に結晶成分が付着し,DRUJ 掌側関節包は破綻,
いて橈尺骨双方の関節面を露出して掻爬する際に尺骨
内部に多量の結晶を認めた。結晶の病理結果は CPPD
遠位部周辺組織を損傷しやすいが,本法では容易にそ
であり,これにより屈筋腱が断裂したと考えられた。
れらを温存できる。12例12手に施行したところ,偽関
節や尺骨頭の吸収はなく,臨床成績も良好であった。
170
第1259回千葉医学会例会・整形外科例会
45.前腕骨骨幹部骨折術後患者の骨強度予測
松浦佑介 (千大院)
大塚 誠(君津中央)
よび肩甲上神経切離のどちらも腱板脂肪変性を招く原
因の一つである可能性が示唆された。
49.骨折のない骨粗鬆症由来疼痛(骨粗鬆性疼痛)
の機序 : in vivo,in vitro による研究
前腕骨骨幹部骨折に対して Locking Plate による固定
鈴木 都(千大院)
後,長期経過した際の骨萎縮の程度を調査し,CT 有
限要素法にて骨強度予測を施行した。術後 5 年以上経
in vivo 研究では,ヒト椎体への圧迫ストレスを再現
過例 5 例に両側前腕骨を CT 撮影。皮質骨厚・断面積,
し得る動物モデルとして,ラット骨粗鬆症尾椎圧迫モ
骨密度,骨強度を測定し比較した。Plate 直下の皮質骨
デルを用い,圧迫椎体の特性,疼痛伝達感覚神経の動
厚,並びに骨強度は健側に比し著しく低下していた。
態,及び脊髄後角の感覚神経を免疫組織化学的に評価,
尚,本法について新鮮凍結屍体橈骨を用いた力学試験
in vitro 研究では,骨粗鬆症ラットの破骨細胞を後根神
との比較で高い相関を示すことを確認している。
経節と共培養し検討を加えた。
46.ラット腱板断裂急性期モデルに対する肩甲上腕
関節内注射の疼痛評価
圧迫ストレスにより,椎体を支配する感覚神経は微
小な神経傷害が生じ,骨粗鬆性疼痛が増悪,遷延する
可能性が示唆された。
山口 毅(千大院)
ラット腱板断裂急性期モデルを作成し,肩関節内注
射の比較検討を行った。Sham 群,生理食塩水群,ヒ
50.筋損傷が筋組織内の炎症性サイトカインと支配
感覚神経の特性に与える影響の検討 : ラット筋
挫傷疼痛モデルを用いた検討
アルロン酸 Na 群,リン酸デキサメタゾンナトリウム
佐久間詳浩(千大院)
群に分け,肩甲上腕関節及び肩峰下滑液包を支配する
DRG 神経細胞を CGRP 抗体による免疫組織学的検討を
ラット腓腹筋筋挫傷モデルにおける筋組織内の炎症
行った。Sham 群,生理食塩水群に対し,ヒアルロン
性サイトカインと支配感覚神経の特性に与える影響に
酸 Na 群,リン酸デキサメタゾンナトリウム群ともに
ついて検討した。Drop-mass 法を用いて腓腹筋筋挫傷
モデルを作成した。筋挫傷により筋組織内の炎症性サ
CGRP 発現が低下していた。
47.ラット腱板断裂モデルにおける行動・疼痛評価
山﨑博範(千大院)
ラット腱板断裂モデルの断裂群と修復群における行
動,疼痛評価を行った。Cat Walk による歩行解析によ
り腱板断裂縫合モデルの早期機能回復を認めた。腱板
断裂モデルにおける炎症性サイトカイン(TNF-α)の
イトカインは12時間で上昇し,その後はピークアウト
を認めた。また,腓腹筋の支配感覚神経内の疼痛関連
ペプチドは筋挫傷後に増加し,その効果は 3 週にわた
り持続した。
51.ラット変性椎間板疼痛モデルでの TNFα 阻害剤
(エタネルセプト)単回直接注入における至適
濃度の検討
上昇と,腱板修復による TNF-αの減少を認めた。腱
稲毛一秀(千大院)
板修復は機能の向上と除痛をもたらしている可能性が
あると考えられた。ラット腱板断裂モデルは腱板断裂
SD ラットを使用した。L4/5 椎間板に,FluoroGold
における疼痛・機能評価の上で有用であると考えられ
を留置した正常群,23G 針で 5 回穿刺を行った穿刺群,
た。
エタネルセプト0.04㎎ /Kg,0.4㎎ /Kg, 4 ㎎ /Kg それ
48.ラット肩甲上神経切離モデルにおける腱板脂肪
変性の組織学的検討
ぞれを投与した穿刺 + エタネルセプト群とした。術 1
週で L1-L6 後神経節を採取し CGRP による免疫組織化
学染色を施行した。CGRP 陽性細胞数,FG 陽性細胞数
佐々木 裕(千大院)
腱板断裂後に生じる腱板脂肪変性に関して,肩甲上
神経麻痺による影響をを明らかにするためラットを用
いて腱板断裂モデル,肩甲上神経切離モデル,腱板断
裂および肩甲上神経切離モデルを作成し,腱板脂肪変
性の程度を組織学的に検討した。その結果腱板断裂お
のうち CGRP で二重標識される細胞数の割合を算出し
比較検討した。
171
第1259回千葉医学会例会・整形外科例会
52.ラット股関節 NGF 投与モデルにおける滑膜及び
支配感覚神経の特性の変化に関する検討
55.静脈洞の拡張を伴う後頭骨環椎癒合症に対する
手術経験 : 3 次元実体模型を用いた術前手術シ
ミュレーションの有用性
大前隆則,鈴木 都(千大院)
山崎貴弘,山崎正志,大河昭彦 ラットの股関節に NGF(神経伸長因子)を投与し,
古矢丈雄,加藤 啓,神谷光史郎
滑膜の組織学的検討及び支配感覚神経の特性の変化に
稲田大悟 (千大院)
ついて免疫組織学的検討を行った。その結果,ラット
股関節への NGF 投与によって有意に滑膜炎所見が認め
【症例】74歳女性。後頭骨環椎癒合・環軸椎亜脱臼
られ,また炎症性疼痛ペプチドの支配感覚神経での発
にて受診。静脈洞の拡張を認め,後頭骨スクリュー刺
現が有意に上昇しており,疼痛伝達に深く関与するこ
入時に損傷のリスクがあると考えた。 3 次元実体模型
とが示唆された。これは,抗 NGF 抗体が股関節疾患の
を作成して術前手術シミュレーションを行い,合併症
疼痛に対し,新規疼痛治療薬となり得る可能性を示す
なく手術可能であった。
ものである。
【考察】後頭骨スクリューによる静脈洞損傷の報告
53.脊髄損傷後神経障害性疼痛に対する顆粒球コロ
ニー刺激因子(G-CSF)の治療効果
加藤 啓(千大院)
は少ない。しかし外傷などにより静脈洞血栓が形成さ
れ,脳出血が生じたとの報告もある。 3 次元実体模型
は術中静脈洞損傷予防に有用であった。
56.環軸椎の後方転位を伴った歯突起骨折の 1 例
ラット脊髄損傷モデルを用いて G-CSF の神経障害
宮本卓弥,大塚 誠,蓮江文男
性疼痛への有効性を検証するとともに,免疫組織化
中嶋隆行,藤由崇之,山内友規
学 的 に G-CSF の 痛 み に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 検 討 し
竹下宗徳,大田光俊,廣澤直也
た。G-CSF 投与により慢性期脊髄損傷後の Below-level
(君津中央)
Allodynia の有意な改善が得られた。免疫組織学的に
は脊髄腰膨大部での Microglia 活性化抑制が認められ,
症例は80歳男性。消波ブロックより転落受傷し,当
G-CSF による疼痛軽減効果の一因であると考えられ
院へ救急搬送された。来院時,明らかな上下肢症状は
た。
なかったが,強い頚部痛と頭頂部の挫創をみとめた。
54.ラット神経障害性疼痛モデルにおける Noggin
タンパクのくも膜下腔投与による疼痛の軽減
橋本将行(千葉メディカルセンター)
国府田正雄 (千葉市立青葉)
加藤 啓,大河昭彦,村田 淳 山崎正志 (千大院)
画像上,環軸椎の後方転位を伴った歯突起骨折をみと
めたため,同日ハローベスト固定を施行し,後日環軸
椎後方固定術を行った。稀とされる環軸椎の後方転位
を伴った歯突起骨折の 1 例を経験したので文献的考察
を加えて報告する。
57.環軸椎回旋位固定陳旧例に発症した C2/3 脊髄
症の 1 例
神経障害性疼痛のなかには難治性でいかなる薬剤に
菅野真彦,池田 修,南 徳彦 も抵抗性があるものがある。病態把握によりこれらの
池川直志,森永達夫(柏市立柏)
変化を遺伝子レベルでとらえ,候補遺伝子を検索する
ことを目的とした。マイクロアレイにより数種類の遺
症例は82歳男性,両手のしびれ,両上下肢筋力低下,
伝子をピックアップ,RT-PCR にて確定された遺伝子
巧緻運動障害を主訴に受診した。画像検査で C2/3 不
の中で減少遺伝子である Noggin に注目した。組織学的
安定性を伴う脊髄症及び陳旧性環軸椎回旋位固定と診
にも Noggin の局在は低下しており,Noggin のくも膜
断し,後方除圧固定術を施行した。
下腔投与にて神経障害性疼痛が軽減した。
C2/3 は解剖学的特徴から脊髄症を生じにくい部位で
ある。しかし,本症例では環軸椎回旋位固定の長期経
過による隣接椎間障害として,不安定性を生じたと考
察した。
172
第1259回千葉医学会例会・整形外科例会
58.椎体変形による頚椎高度後弯症に対して前後合
61.圧迫性頚髄症急性増悪例に対する顆粒球コロ
併矯正固定術を施行した 1 例
ニー刺激因子を用いた神経保護療法 : 急性増悪
の程度による効果の差異について
藤井達也,神谷光史郎,山崎正志
大河昭彦,古矢丈雄,加藤 啓 稲田大悟,高橋和久 (千大院)
神谷光史郎(千大院)
G-CSF を用いた神経保護療法に関して今回,頚髄症
55歳女性。頚椎後弯が徐々に進行し当院紹介。前方
の急性増悪の程度による効果の差異を検討した。術前
注視困難,歩行不安定で,両上肢のしびれ認め,JOA
に G-CSF 投与を行った34例を,直近 1 ヶ月間に JOA ス
スコア12.5/17であった。画像上 C4,5,6 椎体変形に
コアが 4 点以上低下した V 群と 4 点未満の低下であっ
よる高度後弯認め,C2-7 角は−56°で,MRI で C3/4,
た A 群に分け,神経症状の推移を投与直前と手術直前
5/6 に脊髄圧迫所見を認めた。後弯矯正のため,前後
で評価した。その結果,V 群では A 群と比し,ASIA
合併矯正固定術(前方除圧 C2-T1,後方固定 Occ-T2)
運動スコアは有意な改善を示した。G-CSF 神経保護療
施行した。術後 C2-7 角は−18.5°に改善し前方注視可
法は重度の急性増悪例に対し,より効果的である。
能,歩行も安定した。
62.急性脊髄損傷に対する G-CSF 神経保護療法の多
59.保存治療にて回復した胸椎特発性硬膜外血腫の
施設前向き比較対照試験 : 投与後 1 年経過例の
1例
解析
小曽根 英,相庭温臣,門田 領
小山忠昭,金元洋人,小川裕也 圓井芳晴,望月眞人(沼津市立)
稲田大悟(千大院)
2009年 8 月以降,頚髄損傷患者に G-CSF を投与した
G-CSF 群17例,G-CSF を 投 与 し な い Control 群24例 を
症例は63歳男性で糖尿病性腎不全にて透析導入中。
解析対象とし,ASIA score,AIS,Motor Score 獲得
入浴後の寝返り時に背部激痛が出現し, 1 時間以内
点数を評価した。G-CSF 群で受傷 1 週から 1 年までの
に対麻痺となる。発症19時間後に当院初診。MRI 上,
期間,運動麻痺の改善が得られ,G-CSF の神経保護作
Th10∼L1 の硬膜外背側に血腫と思われる像を認める
用は投与後 1 年までその効果は維持された。G-CSF は
もわずかに麻痺回復傾向を認めたため保存的に経過
急性脊髄損傷に対する新たな治療薬となる可能性があ
観察し,歩行可能となった。保存治療選択の Critical
る。
Point につき考察を加え報告する。
60.油性造影剤を用いた脊髄造影検査の後に癒着性
63.頚椎症・頚椎椎間板ヘルニアの神経根ブロック
治療65例の治療成績
くも膜炎による硬膜内くも膜嚢腫と脊髄空洞症
を呈した 1 例
長沢謙次(ながさわ整形外科)
向井務晃,大河昭彦,稲田大悟 古矢丈雄,加藤 啓,神谷光史郎
山崎正志 (千大院)
頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアでの頚∼背部痛,上肢
痛等に対して頚椎神経根ブロック(以下 RB と略)を
施行した65例の治療成績を報告する。
服薬や局注で症状の軽減がえられず RB にてほぼ治
症例は74歳男性。約50年前に油性造影剤による脊髄
癒状態となったもの29例,RB 前に服薬で若干の症状
造影を受けていた。 6 か月前より歩行にて増悪する腰
軽減がえられ RB でより明確に症状の軽減がえられた
背部痛が出現した。T9 以下の胸髄症の所見を呈し,
もの20例,RB で一定の症状軽減がえられたものの数
油性造影剤の遺残,硬膜内くも膜嚢腫による脊髄圧迫
日で元に戻ったもの等 8 例,ほとんど効果がなかった
があり,それより頭側に脊髄空洞症を認めた。手術は,
もの 8 例という結果であった。
嚢腫摘出および人工硬膜を用いた硬膜形成を行った。
術後,歩行時の腰背部痛は軽減し,脊髄空洞の縮小を
認めた。
173
第1259回千葉医学会例会・整形外科例会
64.頚椎椎弓形成術の中長期成績の検討
67.上腕骨滑車の広範囲な骨壊死に伴う離断性骨軟
骨炎の 3 例
姫野大輔,今野 慎,伊藤俊紀 国司俊一,斉藤 忍,中馬 敦
太田秀幸,西山秀木(熊谷総合)
萩原義信,仲澤徹郎 同一術者による頚部脊髄症111例(OPLL 29例,CSM
(城東社会保険)
82例)を対象とし,JOA score,改善率(平林法)
,軸
性疼痛,術後 C5 麻痺を比較検討。観察期間は平均 3 年
上腕骨滑車の広範囲な骨壊死に伴う離断性骨軟骨炎
9 ヵ 月。JOA score は,OPLL: 術 前7.7点, 術 後11.4点
を 3 例経験したので報告する。症例はそれぞれ15歳,
(改善率38.9%)
,CSM: 術前7.9点,術後10.8点(改善率
30.2%)
,
C5 麻痺は17例(15%)
,軸性疼痛は41例(37%)
17歳,18歳で全て男性,体操部員であった。 2 例は鏡
視下遊離体摘出術を施行し一時的に症状の改善が得ら
れていたが,再燃を認めた症例であった。 3 例全てに
であった。
65.経皮的頸椎椎弓根スクリュー法の開発
清水純人,岡本壮太,染谷幸男
佐藤 淳 (小見川総合)
対して血管柄付き腸骨移植術を施行した。疼痛・可動
域ともに改善し, 2 例は体操に復帰した。血管柄付き
腸骨移植術は有用であると考えられた。
68.Cine-MRI による投球障害肩の評価
経皮的椎弓根スクリューシステム(PPS)は胸腰椎
見目智紀,東山礼治,井上 玄
では完成しつつあるが,頸椎では存在しない。今回
高相晶士 (北里大)
我々は特注の extender を用いて頸椎椎弓根スクリュー
を完全に経皮的に施行しえたので,その方法と成績を
【目的】Cine-MRI による投球障害肩の評価。
報告する。対象は外傷 2 例,頸髄症 3 例,OPLL 2 例
【方法】 患 者 群13名13肩, 健 常 群18名36肩。 肩 関 節
の計 7 例であり,平均施行時間1.2時間,術後 CT によ
内外旋自動運動20秒一往復の軸位画像を FIESTA 法に
るスクリュー逸脱は 0 %であった。これにより後方固
て撮像。評価項目は求心位,肩関節の内外旋角度。
定法,前後合併固定術も簡便,低侵襲に施行しえた。
【結果】内旋角に有意差なし,外旋角は患者群で有
66.鎖骨近位骨端線離開の 5 例
木島丈博,落合信靖,山崎博範 佐々木 裕,山口 毅(千大院)
西須 孝 (千葉県こども)
鎖骨近位骨端線離開は稀な外傷であるが,徒手整復
は困難で観血的整復を要することが多い。胸鎖関節脱
臼と鑑別を要するが,臨床症状,画像所見のみでの確
定診断は困難である。また転位した骨端は大血管や気
管に近接しており整復自体もリスクを伴うため,保存
加療を考慮することも 1 つの選択肢と考えられた。ま
た若年者での受傷が多く早期に仮骨が形成されること
から,観血的整復を施行する場合は 1 週以内に施行す
ることが望ましい。
意に低下。患者群 2 名に上腕骨頭の上下動確認, 3 名
が内旋角 0 °以下, 3 名が外旋角 0 °以下。
【結論】投球障害肩では動作中の求心位不良や回旋
制限が確認された。
69. 大および広範囲腱板断裂の修復可否と術前の腱
板筋脂肪変性との関連 : MRI による定量的評価
を用いた検討
松木圭介,渡辺淳也,落合俊輔 森川由基,海保 拓,志保井柳太郎
男澤朝行,神川康也,豊根知明 和田佑一 (帝京大ちば総合医療センター)
腱板断裂の修復可否と MRI での T2 値計測により定
量評価した腱板筋脂肪変性との関連を検討した。鏡視
下腱板修復術を施行した大および広範囲腱板断裂25肩
において,フットプリントに修復した10肩,フットプ
リントより内側で修復した11肩,パッチを用いた 4 肩
で腱板筋の T2 値を比較した。棘上筋の T2 値は有意に
パッチ群で高く,棘下筋では有意差はないがパッチ群
で高い傾向であった。高度な腱板筋の脂肪変性は断裂
の修復困難を示唆する。
174
第1259回千葉医学会例会・整形外科例会
70.超音波検査による膝半月板損傷の診断
73.当院における関節リウマチ患者と B 型肝炎ウイ
ルス感染に関する検討
赤津頼一(千大院)
膝半月板損傷(MI)は頻度の高い疾患の一つである。
MRI が画像診断法として汎用されている。しかし施行
までに日数を要するなどの問題がある。一方,超音波
吉野謙輔,渡辺英一郎,高森尉之
杉原隆之,平山博久(渡辺病院)
関節リウマチ(以下 RA)治療における生物学的製
検査(US)は外来で即時に施行できる。そこで本研究
剤の登場は治療成績の向上とともに,ウイルス潜伏感
の目的は US による MI 診断の有用性を調べることであ
染の再活性化という新たな問題も生み出している。特
る。対象は膝関節疾患に対し関節鏡下手術を施行予定
に B 型肝炎ウイルス(以下 HBV)既感染者の再活性化
の症例とした。US による膝 MI の診断率,検者間信頼
および de novo B 型肝炎の発症が報告されて以降,RA
率について検討し報告する。
患者と HBV 感染との関係は近年注目されている。今回
71.変形性膝関節症の顆間部骨棘の検討
藤本和輝,清水 耕,池田義和
中島文毅,橋本光宏,守屋拓朗
我々は当院における RA 患者と HBV 感染に関していく
つかの検討を行ったので報告する。
74.生物学的製剤治療中に整形外科手術を行った関
節リウマチ患者の検討
齊藤淳哉,秋本浩二,山縣正庸
(千葉労災)
変形性膝関節症における可動域制限の原因の一つと
して,顆間部の骨棘による PCL の緊張も重要な要因と
考えられるが,その詳細についての報告は認められな
い。そこで今回我々は2010年 3 月から2012年 8 月まで
山中 一,玉井 浩,鈴木宗貴 小林達也 (国立病院機構下志津)
末石 眞,杉山隆夫 (同・リウマチ科)
後藤憲一郎(国立病院機構千葉東)
の間に当院で TKA を施行した変形性膝関節症患者139
2005年 3 月から2012年 8 月までに,生物学的製剤治
例170膝について術前の顆間部の骨棘の有無とその大
療中に整形外科手術を行った関節リウマチ88症例94手
きさ,術前の KL grade,術前後の膝関節の可動域を調
術の検討を行った。Infliximab 27例,etanercept 47例,
べ,その関連について検討したので報告する。
adalimumab 12例,tocilizumab 6 例,abatacept 2 例で
72.セメントレス TKA におけるトラネキサム酸投
与の効果
あった。TKA40例,THA10例,足趾形成術 9 例,手
指腱再建術 8 例,骨折手術 6 例などであった。周術期
手術部位感染は認めなかった。
宮城 仁,玉井 浩,板寺英一
75.当科における四肢骨関節結核の治療経験
西口 薫,上野啓介,瓦井裕也
廣瀬 彰 (鹿島労災)
今回,セメントレス TKA におけるトラネキサム酸
田原正道,勝見 明,後藤憲一郎
渡邉光弘(国立病院機構千葉東)
(TA)を用いたドレーンクランプ法および TA の全
平成19年 4 月以降の当科における四肢の骨関節結核
身投与による出血抑制効果につき比較検討した。TA
症例 9 例10関節の治療経験を検討した。平均年齢は
1,000㎎の関節内投群,2,000㎎投与群および1,000㎎の
66.7歳で,罹患部位は膝関節 3 例,手関節 2 例,股関
全身投与群いずれにおいも,非投与群に比べ出血抑制
節 1 例,肘関節 1 例,足部 1 例,肘関節・膝関節同時
効果が有意差をもって認められた。また,TA 1,000㎎
罹患 1 例の計10関節であった。発症から診断を得るま
の関節内投与群で出血量がより少ない傾向にあり TA
でに平均16.6カ月を要していた。最終的に全例で炎症
の用量依存性は認められなかった。
は鎮静化しているが, 5 関節(50%)で著明な関節可
動域制限, 1 関節(10%)で関節不安定性が残存した。
175
第1259回千葉医学会例会・整形外科例会
76.Accessory AnteroLateral Talar Facet(AALTF)
79.重度糖尿病性足病変の治療成績
による腓骨筋痙性扁平足の 1 例
瓦井裕也,上野啓介,宮城 仁
西口 薫,玉井 浩,板寺英一
熱田智範(熱田整形外科)
廣瀬 彰 (鹿島労災)
症例は12歳男性。平成23年 6 月,誘因なく左足関節
痛が出現し足部変形をきたしたため 7 月11日当院紹介
当院にて過去12年間に入院加療を要した重度糖尿病
受診。初診時,足関節外側の疼痛と peroneal spasm に
性足病変の治療成績を報告する。外科的治療について
よる扁平足を呈し,peroneal spastic flatfoot と診断し,
は年齢,性別,病変部位,切断高位,糖尿病のコント
保存療法を行うも改善せず,平成24年 3 月,距骨前外
ロール,生命予後,術後の ADL について検討し考察し
側突起切除術を行った。術後,徐々に腓骨筋痙性と扁
た。また保存的加療では切断が必要と考えられた症例
平足は改善し, 9 月よりスポーツ復帰している。
77.小児の骨髄病変に対する内視鏡手術の試み
西須 孝,瀬川裕子,柿崎 潤
山本陽平 (千葉県こども)
でも外科的介入なしで軽快することもあり,特に若年
者に関しては保存的加療や局所切断等を熟慮したうえ
で治療法を決定することが肝要と考える。
80.当病院における骨粗鬆症性椎体骨折に対する保
存療法の比較検討
亀ヶ谷真琴 (千葉こどもとおとなの整形外科)
乗本将輝,山下正臣,阿部幸喜 落合信靖 (千大院)
山下桂志,山岡昭義(船橋中央)
渡辺淳也 (帝京大ちば総合医療センター)
平成19年から23年に骨粗鬆症性椎体骨折の診断で当
院に入院した患者328名を検討した。診断には単純 X
演者らは小児の骨髄病変に対して2002年以降20例23
線および MRI を用いた。
骨に内視鏡手術を試みてきた。手術部位は脛骨11,大
在院日数・合併症・骨折前後の日常生活自立度・椎
腿骨 6 ,上肢 5 ,中足骨 1 ,診断は感染症16,腫瘍が
体高と骨癒合の有無を検討項目とし,データを十分収
6 ,骨端線早期閉鎖 1 であった。術式は,完全な鏡視
集できた55名を対象とした。結果は,早期離床群で長
下手術が15件,内視鏡補助下手術が 9 件であった。合
期臥床群に比して椎体高の減少が有意に大きかった
併症は全例で認められなかった。手術成績は全例有効
が,日常生活自立度における差は認めず早期社会復帰
で,21骨で完全に手術目的を達成した。骨内視鏡手術
の観点からも有用と考えられた。
は,安全かつ有効な術式と考えられた。
78.先天性内反足と麻痺性内反足に対する前脛骨筋
81.骨粗鬆症性椎体骨折に対する経皮的椎体形成術
の治療成績
腱外側移行術の治療成績
縄田健斗,茂手木博之,高橋 仁
大竹良治,高山篤也(金沢病院)
山本陽平,西須 孝,瀬川裕子
柿崎 潤 (千葉県こども)
亀ヶ谷真琴 (千葉こどもとおとなの整形外科)
先天性内反足と二分脊椎による麻痺性内反足に対す
骨粗鬆症性椎体骨折のうち75歳以上高齢者,日常
動作要因で受傷,椎体後壁損傷合併,MRI 上椎体内
T1 低輝度広範かつ T2 低輝度広範または高輝度限局型
の症例で,入院硬性装具による保存加療を行っても離
る前脛骨筋腱外側移行術後成績について比較検討し
床不可能な症例に対し早期離床を目的とし経皮的椎弓
た。対象は先天性 9 例10足,麻痺性10例12足,合計19
根スクリューを併用した HA block による経皮的椎体
例22足で,移行腱の作用評価,Laaveg-Ponseti score
形成術を施行した。術後 1 年以上経過を観察し得た 9
を施行した。作用評価,score において有意に麻痺性
例の治療成績について調査し本術式の有用性について
が不良であった。移行腱の筋力の術前評価が不適切で
検討した。
あった可能性と,感覚障害に起因する術後安静不良に
よる移行腱の定着不良が考えられた。
176
第1259回千葉医学会例会・整形外科例会
82.当院における墜落外傷例の検討
榎本隆宏,新保 純,池之上純男
高瀬 完,鮫田寛明,橋本瑛子 三浦剛史,三村雅也 部骨折に対し髄内釘による内固定を行った症例で,偽
関節などを生じ治療成績不良であったものを検討し
た。
86.ビスフォスフォネート長期服用による大腿骨骨
幹部骨折の検討
(船橋市立医療センター)
野中秀規,土屋惠一,北崎 等
2008年 1 月 1 日 か ら2011年12月31日 ま で の 4 年 間
米田みのり,新井 玄 に, 2 m以上から墜落して当院救急外来を受診した87
(千葉県立佐原)
例について検討した。男性67例,女性20例で,平均
年齢41.95歳,平均墜落高度は5.34m,死亡は11例だっ
近年,ビスフォスフォネート長期服用患者での大腿
た。受傷原因は,飛び降りが26例,事故が61例だっ
骨骨幹部骨折例が報告されている。これらの骨折では
た。Injury Severity Score(以下 ISS)≧16の症例では,
数年以上ビスフォスフォネートを服用し,軽微な外傷
ISS <16の症例と比較して死亡率が高かった。
もしくは明らかな外傷歴のない状態からの受傷であ
83.緊急手術を要した鎖骨骨折 2 例の経験
松山善之,齋藤正仁,板橋 孝
喜多恒次,小泉 渉,林 浩一
り,骨折型は大腿骨骨幹部の横骨折という特徴がある。
当院で経験したビスフォスフォネート長期服用によ
る大腿骨骨幹部骨折数例について若干の文献的考察を
加えて報告する。
川口佳邦,志賀康浩,星 裕子
87.Polish taper cemented stem を用いた大腿骨頚
飯島 靖 (成田赤十字)
部骨折に対する人工骨頭置換術の短期成績
鎖骨骨折では稀に血管損傷や気道圧迫等を伴い緊急
宮本周一,飯田 哲,品田良之
手術を要することがある。
河本泰成,鈴木千穂,佐野 栄
【症例 1 】15歳男性。自転車転倒で右肩強打し受傷。
宮下智大,佐藤進一,江口 和
造影 CT で後方に転位した右鎖骨近位端骨端離開・右
(松戸市立)
腕頭静脈圧排等認め緊急手術を行った。
【症例 2 】66歳女性。右肩打撲し受傷。近医受診 4
大腿骨頚部骨折に対して Polish taper cemented stem
日後に突然右肩の疼痛・腫脹増大を認めた。造影 CT
を用いて人工骨頭置換術を施行し,術後 1 ヶ月以上経
で右鎖骨骨折・右鎖骨下動脈損傷・気管周囲血腫認め
過観察可能であった症例の術後成績を検討した。X 線
緊急気管挿管・手術行った。
84.上腕骨近位部骨折に対する PHILOS の治療成績
安部 玲,小笠原 明,丸田哲郎
松戸隆司,小野 豊(長生病院)
上腕骨近位部骨折に対し当院では内固定材として
Proximal Humeral Internal Locking System(PHILOS)
を用いている。今回その治療成績と問題点を検討した。
対象は2007年 1 月から2012年 8 月までに PHILOS を用
いて治療した61例のうち,骨幹部骨折を合併した 1 例
と追跡不能であった 1 例を除く59例とした。これらに
ついて X 線学的評価,肩関節可動域について検討した。
85.上腕骨骨幹部の治療成績不良例の検討
木内 均(千葉市立青葉)
学的評価でゆるみはなく,術中骨折,重篤な術中血圧
低下は認めなかった。糖尿病を有する 2 例で感染と脱
臼を認めた。Exeter stem を用いた人工骨頭置換術の術
後短期成績は良好であったが,糖尿病合併例の術後感
染予防策は再考を要する。
88.外傷を契機に疼痛が誘発された仙結節靱帯骨化
の1例
井上雅寛,阿部 功,白井周史
古志貴和,永瀬譲史 (国立病院機構千葉医療センター)
【症例】64歳男性。乗馬訓練中に落馬し右臀部を打
撲。歩行困難となったため当院を受診。荷重時に右臀
部痛をみとめたが,股関節運動による疼痛の誘発はな
かった。画像上,明らかな骨傷,軟部組織の炎症はみ
とめられなかったが,両側仙結節靱帯に骨化があり,
上腕骨骨幹部骨折の手術療法として,髄内釘による
圧痛点とも一致したため,仙結節靱帯骨化が疼痛の原
内固定とプレートによる内固定がある。その合併症と
因と考えられた。文献的考察を含め報告する。
しては,偽関節などがあげられる。当科で上腕骨骨幹
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第1259回千葉医学会例会・整形外科例会
89.当院における脛骨開放骨折の治療成績
91.慢性疾患手術における術前検査としての頭部
MRI・MRA の意義
廣澤直也,大塚 誠,蓮江文男
中嶋隆行,藤由崇之,山内友規
中川量介,新籾正明,政木 豊
竹下宗徳,大田光俊,宮本卓弥
松浦 龍,重村知徳,牧 聡 (君津中央)
(さんむ医療センター)
田中 正 (千葉市立青葉)
対象は2008年 1 月以降,当院で治療を行った脛骨開
整形外科周術期において脳卒中発症はまれだが,一
度発症すると重篤な障害を残す合併症である。当科で
放骨折36例のうち 6 ヶ月以上経過観察可能であった31
は術翌日の脳梗塞発症を経験したのを期に,高齢者お
例である。骨折型は AO/OTA 分類を使用し,41; 2 例,
よびハイリスク症例の慢性疾患術前検査として頭部
42; 21例,43; 6 例,44; 2 例であった。これらについて,
MRI 検査を施行してきた。今回,術前頭部 MRI 検査を
治療法,骨癒合率,感染率,再手術数などの合併症に
施行し得た174例について,その検査結果と脳卒中や
関して検討を行った。
その他周術期有害事象の発生との関連性について検討
90.脛骨骨幹部骨折に対するSupra-Patellar Approach
による髄内釘固定法の治療経験
飯島 靖,松山善之,星 裕子
志賀康浩,林 浩一,川口佳邦
小泉 渉,喜多恒次,板橋 孝
齋藤正仁 (成田赤十字)
脛骨骨幹部骨折に対する髄内釘手術において,従来
の膝関節屈曲位による膝蓋腱進入法では膝関節屈曲時
の骨折部整復困難や術後の anterior knee pain などの
問題点が指摘されている。
当院では,膝蓋骨上縁から膝関節伸展位で下腿髄内
釘 を 挿 入 す る Supra-patellar approach に よ る 治 療 を
2011年10月から行った。症例数は少ないが,この手術
手技の利点および問題点について報告する。
したので報告する。
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