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資料 1 Making Urban Fabric Fine Grained 都市構造をきめの細かな

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資料 1 Making Urban Fabric Fine Grained 都市構造をきめの細かな
資料 1 Making Urban Fabric Fine Grained 都市構造をきめの細かなものにすること
N.ジョン
ハブラーケン マサチューセッツ工科大学建築学部名誉教授
要約:
ル・ヴェルフと Froyen.1980)
実務家、研究者および教育者の国際的ネットワークとしての
オープンビルディングのアプローチは現在の環境において、
オープンビルディングはかなりの活動実績があります。オー
きめの細かい都市構造の一般的モデルであると考えることが
プンビルディングは、これまでの建築が求めてこなかった技
できます。したがって、建築の一般的な作り方に関する新し
術と知識が必要になる設計アプローチです。このアプローチ
いアプローチを比較検討したり、専門家の職能にどのような
をとることは、環境に関する新しい知識や新しい設計技術・
変化が求められているかを考えることは、価値があるでしょ
設計方法への道を開くことになります。それは建築の設計に
う。
相応しい、新しい研究アジェンダを含んでいます。
キーワード:
建築設計、オープンビルディング、設計方法論、建築研究。
1. はじめに
オープンビルディングの概念は、いわゆる「スケルトン」
のインフィルからの分離を意味します。この分離は、一つの
建物の中で、各住居ユニットが個々に設計され、他のユニッ
トとは独立して模様替えすることを可能にします。結果的に、
大規模な建物がきめの細かい構成を持つことに繋がります。
ケンドル教授とタイシャー氏は、世界各地のオープンビルデ
ィングのプロジェクトを網羅した概説書を出版しています
(ケンドル、タイシャー1999)。その後も、他にプロジェクト
は完成しています。コンセプトを説明するために、2 つのプ
ロジェクトを簡単に取り上げます。1 つは比較的最近のもの
です。もう一方は、実現した初期のプロジェクトの 1 つです。
図 1. Next21、大阪
将来の集合住宅のあり方を提案することを意図した大阪の
Next21 プロジェクト(図 1)は、多くの点で実験的でした。そ
れはオープンビルディングのプロジェクトでもありました。
設計チームのリーダーであった内田教授は、それを3次元の
アーバンデザインと呼びました。スケルトンの内部の、個々
の住居の設計に、13 の建築設計事務所が、参加しています(内
田他 1994.)。
モーレンフリートの・プロジェクト(図 2)は、オランダで
最初のスケルトン方式によるプロジェクトです。建築家フラ
ンス・ヴァン・デル・ヴェルフ氏は都市のスケールに繋がり
うる都市構造の一部として扱いました。スケルトンが構成す
るパブリックとプライベートの中庭は、他の中庭や駐車可能
な幹線道路につながっています。入居者はこのスケルトンに
対して、個々の住戸ユニットを設計し、また模様替えするこ
とができました。このプロセスは施設を所有する住宅会社に
図 2.
よって、今日まで支援されています。(フランス・ヴァン・デ
67
Molenvliet project, Papendrecht
2. きめの細かい都市構造の効果
ています。プロの建築家、エンジニアおよびマネージャーと
オープンビルディングは順応性と柔軟性に対する要求を見
して、私たちは伝統的に、記念碑的な建物、たとえば城、宮
ると、革命的に思えるかもしれないが、歴史的展望に立つと、
殿、寺院、教会、モスク、そして裕福な施主の大邸宅などを
近代において失われた、昔から存在するものへの回帰と見る
扱ってきました。私たちは、時間の経過に伴って内部が変化
こともできます。濃密に集積した都市構造は、よく歴史的な
する、生きた存在として、私たちの成果物を見ることは学ん
事例として見られるように、常にきめの細かいものであった。
できませんでした。時間の変化を考慮せず、静止したものと
そのような都市構造は、個々に独立して変化し、適応し、消
見ることはますます逆効果になってきています。今日、私た
滅し、発生する小さな生命体で構成されていました。例えば、
ちは、日常の環境が、非常に複雑で、変化に富んでおり、社
アムステルダムの街の航空写真を見ると、かの 17 世紀の運河
会的文化的慣習に深く根ざしたものであるので、単なる専門
がその幾何学的配置に置いて、いかに巨大なものか、しかし、
家の創造や静的なプログラミングによって決定することが困
この大規模な都市構造が、都市空間を形成する多くの個々の
難であると考え始めています。実際、大きな建物は、もはや
住戸とバランスが取れており、都市構造をきめの細かい生き
従来の意味での建物ではなく、成長する都市構造の一部分で
た構造体にしているかが分かります。一歩一歩、都市が 19 世
す。私たちの創作活動や設計活動は、その都市の成長にかみ
紀後半から今日まで成長するのにあわせて、都市構造のきめ
合ったものでなければななりません。新しい専門家の姿勢が
が粗くなってきていることが分かります。結局、最も小さな
生み出されなければなりません。ここに、オープンビルディ
交換可能な単位は、生きているセルと呼べるかも知れません
ングが提起している挑戦が存在します。
が、一軒の家ではなく大きなアパートです。この傾向は普遍
的でした。結果として、現代の都市はきめの粗い、柔軟性を
3. 3つの対立
欠いたものです。ビジネス、政治および教育上の努力が独立
この主張を裏付けるため、従来の私たちイデオロギーが、
した個人に所在し、自己のために行動し、選択することが期
生きている日常環境の現実と、矛盾している 3 つの場面を説
待されている文化において、居住環境は、変化が多く、活発
明します。
で小さなスケールの、居住者の生活に対応することができな
い、例外的存在となっています。
3.1 変化および恒久性
オープンビルディングのネットワークは、大きな建物や大
第 1 に、日常の環境は、恒久的であると同じぐらい、変化
規模なプロジェクトに、個々の住民のニーズに対応する木目
し、変形するものです。内部のインフィルが変わることがで
の細かい特質を与えることを推奨しています。歴史的に高密
きるので、スケルトンは比較的、もとのままです。同様に、
度な構造体は、自律的な生命体が水平に配置されたものでし
道路で構成された都市構造においては、建物が変わりやすい
たが、現代の高密度な都市構造は、さらにそれらを垂直方向
部分となり、道路システムはより恒久的なものになります。
にも配置する必要があります。
したがって環境は、階層的構造を持った変化として存在しま
明らかに、これを達成するためには、技術的課題を、解決
す。時間は環境のサステテイナビリティに必須の第4の次元
しなければなりません。現代の住居および職場は複雑な機械
です。しかし、時間は伝統的に建築の敵でした。建築は持続
のようで、エネルギー、暖房、換気、冷房、各種の通信を提
を目的としています。それは流水に置かれた石です。私たち
供する配管配線であふれかえっています。しかし、私たちの
が、環境の構造を話す時、その流れのことを話します。
時代には、これは障害ではありません。実際、この点につい
ては、現実の生活の必要性によって、既に進歩が見られます。
3.2
集権化された設計のコントロール
今日の大規模な賃貸用高層オフィスは、柔軟性に富んだ構造
第 2 に、私たちは、集権化された設計のコントロールを目
体になっています。所有者は全床を賃貸し、入居者はインテ
指すことを教育されて来ました。ル・コルビュジエ、ミース・
リア設計者にインフィルの設計を依頼し、それを施工する請
ファンデル・ローエ、ウォルター・グロピウスやフランク・
負会社を独自に使います。それと同じ様に、売場スペースが
ロイド・ライトのような偉大な建築家は、建物だけでなく、
それぞれに設えられているショッピング・モールはヴァーチ
椅子やすべてのインテリアを設計するように努めました。彼
ュアルなオープンビルディングのプロジェクトであることが
らは、よい建築とは、そのような全体的なコントロールを求
分かります。オープンビルディングの運動の大部分は、いく
めるものだと信じることができた、革新的時期に生きていま
つかその例を示したように、居住系の建物を対象としていま
した。彼らの作品が非常に美しく魅力的なので、私たちは、
す。
その方法で仕事をすることが自分達の特権であるべきだと今
オープンビルディングの手法を導入するのに、実際に障壁
でも思いがちです。私たちは、設計のコントロールが分散す
となるのは、実務の慣例であって、技術的なものではありま
ることに抵抗します。しかし、実際には、環境デザインの専
せん。それは、私たちが専門家として、高密度できめの細か
門的知識は分散しています。家具設計者、インテリア設計者、
い都市環境の特性についての知識を欠いていることと関係し
建築家、都市設計者、ランドスケープデザイナー、また今日
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では、都市計画家や工業デザイナーがいます。このような専
れているかを考えなければなりません。私たちの設計は、多
門知識の区別は、環境の形態に対応した設計コントロールの
くのより低いレベルの設計が共有するものを含み、代表する
分布に反映されます。オープンビルディングが主張するスケ
ものでなければなりません。
ルトンの設計のインフィルの設計からの分離は、大規模にな
りつつある現代の建物においては、ヒエラルキー構造に新し
4. 研究計画
い階層を追加するものです。
環境の現実と専門家のイデオロギーの間に所在する 3 つの
設計上のコントロールを分担する問題は、建築理論では扱
対立は、私たちの設計方法に直接、影響を及ぼします。3 つ
われていません。それは、専門家の間で議論されていないし、
には共通点があり、どの項目とも、他者との協同において、
大学院の専門課程でも教えられていません。しかし、それは
設計者が調整することが必要なものです。
避けがたい現実です。設計の分担の問題は、専門知識相互の
価値を共有するには、私たちの設計が何を共有すべきか明確
区別より、大きな課題です。一つの専門領域においても、現
にしておく必要があります。それが全ての調整の基礎になり
在、設計業務は、大きな仕事を分業する何人もの人が必要と
ます。
なります。私たちの大学を卒業した優秀で才能のある学生の
設計責任の分担には、設計者が設計業務を定義できる方法
ほとんどは、一生の間に建物全体を設計する機会は、まずな
や、インターフェースを扱うことができる方法、即ち自分の
いでしょう。彼らは私たちが今でも「部分的な設計」だと思
責任を果たすことができる明確な境界を決めうることが必要
う仕事を行います。大きな設計チームの一員、そのようなチ
になります。
ームを管理する立場、あるいは設計のある専門分野のコンサ
変化と恒久性は、価値の共有と業務の分離の両方に関係が
ルタントになります。構造エンジニア、暖房、換気、空調、
あります。価値は、長短の寿命を持つ特定の形に備わってい
様々設備システムの専門コンサルタント、音響、照明の専門
るに違いありません。これらの形態は、それと互換性を有す
家もまた、設計の意志決定に関わってきます。さらに建築は
る設計のコントロールの分担を想定することにつながります。
益々、工業製品(システム)の組み合わせになってきており、
その工業システムは工業デザイナーの作品になってきていま
4.1 調整(コーディネーション)および方法論
す。工業製品は、環境形態の姿や状況に与える影響を増大し
すべての場合、私たちは、設計の調整の問題を取り扱うこ
ています。要するに、日常の環境は、設計コントロールのダ
とになります。設計の調整はつまり、設計方法論に帰結しま
イナミックな分担が育むものです。確かに「建物」の概念は
す。設計が自己表現の個人的問題としてのみ理解され、自己
もはや、そして益々、時代遅れなものになって来ています。
流で形態を扱う文化においては、設計は調整の問題として議
設計者として、連続する環境形態の中で仕事をします。
論されることはほとんど無く、設計方法は個人の創造の自由
を制約する不要のものと思われがちです。従って、設計方法
3.3
共有される価値
論は私たちの現在の文化において未知のものです。しかし、
最後に、よい環境とは、私たちが今でも歴史的な事例に認
これは誤解に基づくものです。不可思議なことに、よい方法
めるように、首尾一貫しています。建物は同じタイポロジー
は創造的行為を尊重します。私たちが設計する場合、自分自
(類型学)に従います。同じパターンが繰り返し適用されま
身のコントロールの領域を持っていなければなりません。し
す。すべての例で、ある種のシステムが働いていることが分
かし、自分の仕事が他人のものと接続する部分においては、
かります。つまり、全体としてよい環境を作るために、私た
その交換が有効かつ効率的であることを求めます。そこで方
ちが何を共有しているのか、またどのような価値を共有して
法が必要となります。
いるのかを知ることは重要です。価値の共有は、建築家が学
校で教育を受けたものではありません。私たちは、よい建築
4.2 キャパシティ
とは、常にオリジナルで個性があるべきとの皮相な考え方に
スケルトンのインフィルからの分離が、初めて SAR(オラン
つながる、自己表現の観念の世界で仕事をしています。
ダにおける建築家の研究所)によって提案された時、私たちの
もちろん、個性的であるためには、普通のものが存在して
方法論に関する研究が焦点を当ててきた、設計者間の新しい
いなければなりません。したがって、共有されるものは、個々
インターフェースが必要となりました。例えば、スケルトン
のものと同じくらい重要です。既に 1970 年代に、MIT の建築
の設計者が、自分の提案を説得するためには、平面図を 2,3
学部長ローレンス・アンダーソンは、ため息混じりに「誰一
枚作成するだけでは不十分です。彼は、与えられたある要求
人として、背景となる建物を設計したがらないことは良くな
条件や価値感のもとで、可能性をもつプランが、どれぐらい
い。
」と言っています。私たちが何を共有しているかを話す方
の範囲で実現可能かを検討しなければなりません。これは今
法は、もはやまったく分かっていません。ここもまた、オー
日、キャパシティの問題として知られています。仕上げされ
プンビルディングは正しい方向を示しています。より高いレ
ていない部屋に入っていき、
「ここは寝室でもよいし、書斎あ
ベルの構造物を作るためには、何がより低いレベルで共有さ
るいは子供のプレールームでもよいかもしれません。
」と言う
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かもしれません。これは、部屋のキャパシティが、より低い
キャパシティを把握することができるようになりました。2
レベル設計を保持していることを意味します。同様に、宅地
つのインターベンションのレベルを調整するゾーンによって、
や道路幅員を決定する都市デザイナーは、敷地の寸法に対応
平面計画の価値とスケルトンのキャパシティの関係を効率的
してどのような家を建てることができるかを自問自答するで
に評価し、価値とスケルトンのいずれかを望ましい解決策に
しょう。あるいは、所与の道路幅員の中でどのように駐車す
導くことが可能になりました。後の段階では、私たちは、ア
るか、植樹するかを考えるでしょう。それらのすべての場合
ーバンデザインの領域でゾーンの概念を使用しました。ここ
において、設計者はより低いレベルの設計上の意志決定を行
では、ゾーンは、建物が建てられるかあるいはオープンのま
う訳ではありませんが、自分が提案するものにおいて、実現
まにされる部分やアーバンデザインのキャパシティを示して
可能な選択肢の幅について、十分に理解していなければなり
おり、アーバンデザインか建物類型のいずれかを変化させる
ません。
ことにより、建築上の解決策を見いだすことを可能にしてい
ます。
4.3 位置決め
スケルトンとインフィルシステムとの物理的なインターフ
4.5 知識データベース
ェースもまた組織化する必要があります。グリッドのモジュ
方法論はただ単に研究の一領域ではなく、現在の環境の現
ールは一般に、柱、壁、床および建物の他の部位の部品の位
実に対処することの手助けになるでしょう。歴史的な事例か
置を決めるために使用されます。そのような位置は合意とル
ら、変化と恒久性のバランスが、環境構造が健全でサステイ
ールに従っています。SAR は、部品配置のため位置決めのル
ナブルであるためには肝要であることを知っています。すべ
ールを確立することを提案しました。そのため、私たちは、
ての科学において、生き物を含む、物理的な現象を理解する
狭いバンド(帯)と広いバンド(帯)が交互に並んだグリッ
ための鍵は、変化のパターンに所在しています。私たちはそ
ドを提案しました。そのようなバンド・グリッドの利点は、
のような変形を見ることにより法則を発見します。歴史的に
単線グリッドと比較して、より簡単に、より変化に富んだ位
様々な表現を示してきた環境形態は、注意深く観察すること
置決めルールとしやすいということです。私たちが提案した
によって発見することが可能なある一定の原理、法則に基づ
位置決めルールは、インフィルシステムの部品は必ず狭いバ
いています。私は、この手法を、最近出版した「The Structure
ンドの中でスケルトンに接合するということでした。これは、
of the Ordinary(通常のものの構造)
」の中で用いています。
それぞれの部品寸法に自由度を与えながら、技術的に可能な
それぞれ違った方法で環境を形成する、形態、領域、文化の
範囲にインターフェースの領域(マージン)を制限したもの
3 つのコントロールの秩序(オーダー)の存在を説明しまし
です。
た。本は初歩的な試みにすぎませんが、これまでほとんど研
究されたことのない、大きな重要な研究領域が存在すること
4.4 ゾーン
を実証したと言えるかもしれません。従来の環境の形態と建
空間にオブジェクトを配置することは、環境設計に置いて
築家との関係は、人間の体と医者との関係に等しいものです。
最重要なことですが、実務ではほとんど議論されたことはな
私たちは、私たちの仕事を有益なものとし、環境を健全なも
く、またグリッドの使い方についてもほとんど開発されてい
のとするためには、それをよく研究する必要があります。
ないということには、改めて驚かされます。私たちはキャパ
シティとポジショニング(位置決め)の関係づけについても
5. 結論
研究の対象としました。あるコンテクストにおける平面の多
ドナルド・ショーン教授はエンジニア、弁護士、建築家、
様性は、決してランダムなものではありません。なぜなら文
医者と言った専門家は、ある種の芸術的才能が必要であると
化はランダムではないからです。浴室や厨房が、建物の真中
言っています(ショーン、1987)。建築家は言うまでもないこ
に配置されることはよくありますが、窓のない寝室はめった
とです。しかし、創造性がすべての専門領域の本質的な要件
に選ばないでしょう。これが、ファサード背後にあるゾーン
であっても、それだけでは職業家としての専門知識を定義す
と建物内部のゾーンを区別するゾーンの概念へと発展しまし
るには十分ではありません。職業は、明確に定義づけられた
た。私たちはゾーンを、公私の使われ方、内外の使われ方に
特定の知の領域を持つ必要があります。さらに、その領域で
よって定義しました。ゾーンは、スケルトンにある特定のゾ
仕事をするための、特定の技術を保持している必要がありま
ーンを割り付けることを可能にし、住居のある特定の機能が
す。現代の建築家にとって、その領域とは非常に複雑な日常
配置される可能性がある箇所を示すことを可能にします。各
の環境ということになります。
住居タイプがそれ固有のゾーン配置を持っていることが分か
私は、真の専門職能に直結した要件となる、2 つの大きな
りました。このようなゾーンと機能配置の想定によって、ベ
テーマを取り上げました。一つは、設計方法論に関係するも
ーシック・ヴァリアントの可能性をスピーディに検討するこ
の、もう一つは環境形態に関する知識です。設計方法に関す
とが可能になり、ある価値観にもとづく住宅のスケルトンの
る研究と技術開発は、より大きな領域で設計を行うために必
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要となる設計技術に関係しています。環境をそれ自身の法則
参考文献
に基づき自律する生きた有機体として研究することは、私た
・Kendall. S., and J. Teicher. 1999. Residential Open
ちの設計行為が基づくべき知識のデータベースを供給するに
Building, London and New York: E.&F.N. Spon.
違いありません。2 つはともに、建築設計の職能に固有の、
・Schön, D.A., 1987. Educating the Reflective Practitioner,
知識と技術の領域を示唆しています。
San Francisco: Jossey-Bass
私は、オープンビルディングの手法に沿った研究が、建築
・Utida.Y, and K. Tatsumi, S. Chicazumi, S. Fukao, M.
の職能一般にも、直接関係していることを示そうとしてきま
Takada . 1994. Next21, Special issue of SD (Space
した。適切な技術と知識があれば、私たちの職能は、現実の
Design) No.25. Tokyo: Kajima Institute Publshing.
大規模プロジェクトや、今日の実務で展開する設計のコント
・Van der Werf. F, with H-P Froyen. 1980. Molenvliet
ロールが益々、役割分担になっていっていることに、適切に
Wilgendonk:Experimental Housing Project, Papendrecht,
対応して行くことができるでしょう。より重要なことは、弾
the Netherlands, In: Harvard Architectural Review I,
力的に変化し生活にもっと良く反応することによって、大規
161-169. Cambridge, MA, The MIT press.
模プロジェクと同様、きめの細かい都市構造を創造すること
に寄与することができるということです。もちろん、私たち
は既存のものの表面をただ引っ掻いているにすぎません。し
かし私たちの活躍するフィールドは広くオープンに開いてい
ます。私たちは、本当に新しい、本当に建築的な研究課題を
見つけたのです。
(訳:南一誠)
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