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議事録(PDF:524KB)
第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
第 1 回 横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議会会議録
日
時 平成 25 年 6 月 18 日(火)14 時~16 時
開催場所 市庁舎2階応接室
出席委員 村上 周三、柏木 孝夫、河口 真理子、佐土原 聡、末吉 竹二郎、善養寺 幸子、
中尾 明、仲條 亮子、望月 淳、望月 洋介、山崎 洋子、渡辺 真理
(12 名)※敬称略
欠席委員 岸 惠子、小林 重敬、千葉 太
(3名)※敬称略
開催形態 公開(傍聴者3名)
議
資
題 1
会長選出
2
諮問
3
みなとみらい21地区の新たな都市像について
4
その他
料 1
2
第1回横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議会 次第
資料1 横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議会
委員名簿
3
資料2
横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議会
座席表
4
資料3
横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議会につ
いて(諮問)
5
資料4
第1回横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議
会資料
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会条例
6
参考1
7
参考2 横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会運営要
綱
8
参考3 みなとみらい 21 Information vol.84
9
参考4
横浜市温暖化対策プロジェクト
vol.2
議
事
1 開催の挨拶
(信時環境未来都市推進担当理事)
本日は委員の皆様にはご多忙のところをお集まりいただき、感謝を申し上げます。た
だいまから横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議会を開催します。私
は本日の進行を務めさせていただきます温暖化対策統括本部環境未来都市推進担当理
事の信時です。審議に先立ち、林市長からご挨拶を申し上げます。
(林市長)
本日はお忙しい中、第1回横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議会
にご出席いただき、ありがとうございます。また、このたび委員就任を快くお引き受け
いただき、改めてお礼を申し上げます。
みなとみらい21地区は 1960 年代に始まりました横浜市のまちづくりの6大事業の
-1-
第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
ひとつでございます。埋め立てによって一から始まったこの地区のまちづくりは今年で
30 年になります。おかげさまで現在、このエリアにはビジネス、観光、そして居住に至
るまであらゆる都市機能が集積しており、横浜市を代表するまちとなっております。平
日はビジネス、休日は観光で大いに賑わいます。このまちを訪れる人は年間あたり 800
万人増加し、2012 年には 6,700 万人になりました。就業者は9万人にのぼりました。ま
た、国際会議場であるパシフィコ横浜では今月初めに第5回アフリカ開発会議が開催さ
れ大変な注目を浴び、市民の大きなご尽力によりまして無事に終了したところでござい
ます。まさに国際都市・横浜の顔とも言えるこの地区を舞台に、このたび未来に向けた
まちづくりを始動させることになりました。この軸となるのが、横浜市が国の選定を受
けて進めている環境未来都市計画です。低炭素・省エネ社会実現を目指して未来へ持続
可能な都市像の発信を目指す取組みです。このたび、みなとみらいで始まる新たなまち
づくりは、計画全体を牽引するモデルプロジェクトとなります。これまで横浜市が進め
てきたスマートシティなどの最先端の実験成果を活かし、エネルギーや環境の視点から
新たなまちづくりを進めて参ります。さらに、横浜の特長であるクリエイティビティと
いう視点を加え、世界を魅了する最もスマートな環境未来都市にしていきたいと私ども
は強く願っているところでございます。この新たなまちづくりを進めることで、一昨年
の東日本大震災以降、企業の皆様にとって大きな関心事となっているエネルギーの安定
供給や都市防災力の向上も実現して参ります。
この審議会にはさまざまな分野の専門家の皆様にお集まりいただいておりますので、
ぜひ幅広い視点からご意見、アイデアをお寄せいただき、心おどる希望あふれるまちの
姿を描いていただきたいと思います。そして、この審議会での議論を元にこれまでにな
い都市のモデルを発信し、そこから生まれる新たな価値や活力を横浜全体の発展につな
げ、あらゆる都市に波及させていきたいと願っております。本日はどうぞ宜しくお願い
致します。
2 委員並びに出席者の紹介
(信時環境未来都市推進担当理事)
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会条例第1条に基づき、審議
会を設置することとして審議会委員 15 名を本日に先立ち選定しております。委員の皆
様のお手元に委嘱状を置かせていただきましたので、よろしくお願いします。
当審議会は、横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会条例第7条第
3項の規定により、委員の半数以上の出席が会議の成立要件となっております。本日は
委員定数 15 名のところ 12 名のご出席をいただいておりますので、会議は成立している
ことをご報告いたします。また、本日の審議会は横浜市みなとみらい 21 地区スマート
なまちづくり審議会運営要綱第4条により公開となっております。会議室内に傍聴席と
記者席を設けており、さらにCATVが冒頭に入ることになっておりますので、ご承知
おき下さい。本日の会議録は、各委員に事前にご確認いただいた上、発言者名を記載し
て公開することとなっておりますので、ご了承いただきたいと思います。
それでは、委員のご紹介をいたします。資料1の委員名簿をご覧下さい。時間の都合
により、私からお名前のみ五十音順で読み上げさせていただきます。
(出席、欠席委員の読み上げ)
次に、本市の出席者を紹介させていただきます。
(横浜市の出席者の読み上げ)
3 会長の選出
(信時環境未来都市推進担当理事)
-2-
第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
それでは、会長の選出を行いたいと思います。横浜市みなとみらい 21 地区スマート
なまちづくり審議会条例第6条第2項により、会長は委員の互選によって定めることと
なっております。会長の選出についてご意見はありますでしょうか。
(柏木委員)
いま林市長がおっしゃっていたように横浜のスマート化や未来都市ということにな
ると、いま国の環境未来都市構想の評価あるいはその研究をしておられる村上周三先
生が適任ではないかと思います。私から推薦させていただきたいと思います。
(信時環境未来都市推進担当理事)
ご異議はありますか。
(委員)
異議なし。
(信時環境未来都市推進担当理事)
それでは、村上委員に会長をお願いしたいと思います。この先の議事進行は村上会長
にお願いいたします。
(村上会長)
ご指名により座長を務めさせていただきます。よろしくご協力お願いします。一言ご
挨拶を申し上げますと、21世紀は都市の時代と言われております。あらゆる社会や国
の発展は都市を中核にして発展すると言われていますが、日本において横浜はまさに国
際の窓口であり、みなとみらい21地区はその横浜の中の国際の窓口であるということ
で、みなとみらい21地区が環境未来都市・横浜にふさわしいまちとして発展するよう
に、ぜひ皆様からご意見を出していただいて良いレポートを出したいと思います。ご協
力よろしくお願いします。
4 横浜市みなとみらい21地区スマートなまちづくり審議会について(諮問)
(信時環境未来都市推進担当理事)
それでは、林市長から諮問させていただきます。
(林市長)
(林市長、諮問書を朗読後、村上会長に手渡す)
5 目指すべき都市像及びまちづくりの取組の方向性について
(村上会長)
それでは議題3に入りたいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。
(事務局)
(資料4の目指すべき都市像及びまちづくりの取組み方針を中心に説明。
)
(村上会長)
過去から未来までよくまとめられた資料になっていると思います。この資料を作成す
るに当たっては、事前に皆様の意見も何回か承っているかと思います。審議会は全体で
4回程度を予定しておりまして、1回目の今日は言いっ放しで結構ですがなるべく生産
的かつ前向きなご意見をいただきたいと思います。資料の3ページをご覧いただきます
と右下に新たな都市像の提案について赤枠で囲ってありますので、この枠をある程度皆
様で共有しながら、ご意見をいただきたいと思います。
(柏木委員)
今日は午前中に国土強靭化の会議があり、そこで私が申し上げましたのはいろいろな
データを見るとリスクマネジメントと国際競争力は比例しているということです。軍事
とも関係あるかもしれないですが、欧米はリスクマネジメント、国際競争力とも非常に
高い状況です。日本は、国際競争力に関しては欧米と同じ程度ですが、リスクマネジメ
-3-
第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
ントが低く、中国の半分くらい、インドに劣る程度です。災害に対して元の機能を早く
修復でき、回復力のある都市や産業のあり方は、これからの都市として必要条件だと思
ってます。そのように考えながらこの資料を見ると、6ページに横浜と東京圏のリスク
がナンバーワンとなっています。また、3ページの最後のところに「災害に対して強靭
な安全・安心都市」と書いてますが、その点は十二分に検討する必要があります。有事
の際になるべく早く回復しなければならないのはサプライチェーンやエネルギー供給
等のライフラインや物流機能です。この地区では共同溝や地域冷暖房がありますので、
国内でもリスクマネジメントの高い強靭な都市であるということがこれからの数十年
を見越す時に重要になってくるのではないでしょうか。
今週の参議院で電力システム改革の法改正が成立する可能性があり、今まさに電力改
革が進んでます。最初に取り組むべきは、熱を使うところにオンサイトの電源をもつこ
とです。高効率のDHCについては佐土原委員が一番得意な分野だと思いますが、廃熱
をうまく使うことによって分散型のコンバインド・ヒート&パワー・システムを導入し
ていくと分散型のネットワークができ、ロバストな都市になるのではないかと思います。
これまで横浜市は環境未来都市、環境モデル都市、経済産業省のスマートコミュニテ
ィ実証事業等を行っており、資産はあり余るほどあるはずです。税金を使っている以上
はそれらを活用しながら、最も強靭かつスマートな都市のモデルとして、社会実装をい
ち早く進めていくことが非常に重要であると確信しています。
(村上会長)
強靭化の件はレジリアンスというキーワードになるかと思いますので、今後この会で
も重要に扱いたいと思います。
(河口委員)
事前に事務局の方に申し上げましたのは、海洋都市であるというベクトルが弱いので
はないかということです。先月、アメリカのモントレーで海洋資源についてのイベント
に出席し、日本人は海洋国家だと思っているわりに、海洋資源に対する認識が非常に低
いと言われました。今キーワードに出ていることは内陸都市でもできることです。みな
とみらい21地区であるからには、海洋をひとつの大きなキーワードにすべきではない
かと思います。海洋生態系に対しての認識は陸上に比べて非常に遅れていますが、実態
は大変な勢いで劣化しています。一方、これからは海洋生態系に対して、資源の開発も
含めて注目がますます集まってくることが想定されます。30 年後を見据えるのであれば、
海洋に関する情報発信の拠点として、沿岸における親水性、親和性が感じられ、海洋に
特化した情報の蓄積といった特徴が出せると良いと思いました。
この資料を見た時、仕事をする都市としてはこのようなイメージになると思いますが、
暮らしが見えてこないと思いました。4ページに「女性に開かれた社会システム」とあ
るが、これでは現在は閉じているというふうに読めてしまいます。コミュニティや暮ら
しを考える場合は逆に女性が中心になっていなければなりません。老若男女を含めた中
でどういうコミュニティであるべきかというところから、見直していただくと良いので
はないでしょうか。
1983 年当時に 21 世紀というキーワードを掲げた目標が今ではアウト・オブ・デート
になったという話が先ほど出ていましたように、30 年後に低炭素という言葉もなくなっ
てしまう可能性もあるのではないでしょうか。低炭素という言葉は、二酸化炭素さえ減
らせばよいということではなく、地球環境トータルとしての調和が崩れている代表例と
してのキーワードであると思っています。今は仮置きで低炭素をキーワードとしても良
いですが、環境と調和するという広域な概念を含んだ言葉を打ち出したほうが良いと思
います。
(村上会長)
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第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
「女性に開かれた」というのは、オフィス街と住宅街を融合させながらより一層「女
性の参加を促す」という意味で書かれたのではないかと思います。低炭素というキーワ
ードについては、ご指摘のとおり炭素だけで済む話ではないですが、現時点では政策と
しても最上位の課題となっていますので、このままでも良いと考えています。
(河口委員)
現状としてはこれで良いと思います。ただし次の時代を考えるのであれば、もう少し
別のバージョンを想定しておくと良いのではないかと思います。
(佐土原委員)
私はエネルギーを中心に考えている中で、柏木委員の言われた「強靭なエネルギー基
盤」はこれからの発展にとっては必要条件になってくるのではないかと思っています。
これまでに蓄積した熱供給の基盤をうまく活用しつつ自立分散型電源を配置し、それら
が連携していくことによって強靭なエネルギー基盤とともに低炭素を実現することが
できると思います。それらが本審議会の取組の必要条件のひとつではないかと思います。
いろいろな取組メニューが提示されていますが、もう少し統合的に捉えて実践するこ
とが必要ではないかと思います。例えばエネルギーについて、発電所からの熱利用とい
う話がありますが、それによって低炭素を実現すると同時に、廃熱の冷却水を減らすこ
とができます。温度の高い冷却水が海の表面に膜を張るような形になると熱環境の面で
影響が出てくる可能性があります。うまく廃熱を利用することでその量を減らせれば、
海風が入ってくる環境づくりにつながっていくと思います。水際の生態系が非常に重要
だということを踏まえた上で、排熱利用や、緑地計画、海の環境の活用、風をどう呼び
込むのかということを総合的に描き、さらには科学的に見えるようにすることが望まれ
ているのではないかと思います。
高度情報、知的な集積を活かすということでは、横浜にはいろいろな研究機関があり、
大学もあり、企業の力もあるので、まずは学術的にしっかりした基盤に基づいた案が政
策に活かされていくという展開を実現できればと思います。さらにそれらを企業と一緒
になって具体化する自治体と、そこに居住してそれらを実感できるまちが実現できれば
と思います。
(村上会長)
エネルギー計画をうまくやると、省エネだけでなくそのほかにもいろいろなベネフィ
ットがあるということと、トータルでそれらを考えるべきであるということは大変に重
要な指摘だと思います。
(末吉委員)
せっかくこのような審議会を設けて4回議論する機会があるならば、何をやるかとい
う議論の前にもう少し本質的な議論をしたほうが良いと思います。例えば、横浜市は人
口 400 万人の広域な都市であるが、みなとみらい21地区だけを対象とするのか、それ
ともそれ以外のところを含めて議論するのかをまず確認したいと思っています。つまり、
誰もが参加でき真似できる地球や世界が必要とするまちづくりの先駆者を目指すのか、
それともいつまで経っても誰も真似できないものをつくって世界を魅了するのか、どち
らを目指すかということで話は大きく異なります。みなとみらい21地区だけならば、
特例をつくったり政策を打てば何でもできると思いますが、私としてはみなとみらい2
1地区が世界の誰もがやらなければいけないことを誰よりも早くやり、実際にできるこ
とを示していくべきだと思います。
2050 年の世界をどう考えるかということは非常に重要ですが、今一番問題になってい
る地球温暖化について考えると、これからの 10 年、15 年くらいの間に非常に危機的な
状況が出て、激しい措置を取らないと対応できない危機感が押し寄せてくることも想定
されます。世界に先駆けて本当に必要なことを実行する地区として、みなとみらい21
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第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
地区がどういうリーダーシップを発揮できるのかを前提として共有したいと思ってお
ります。
(村上会長)
横浜とみなとみらい21地区の関係を整理してから議論しないといけないという指
摘は非常に重要だと思います。その整理は事務局を中心とした整理を宜しくお願い致し
ます。
(浜野温暖化対策統括本部長)
基本的に本審議会はみなとみらい21地区をどうするかというところをターゲット
としていますが、もう少し範囲を広げ、例えばインナーハーバーと言われる京浜臨海部
なども含めたエリアで考えないと解けない問題もあると思います。また、場合によって
は内陸部に住む市民を含めた形で横浜都心部がどうあるべきかという議論が必要とな
ることもあるかと思います。
それから、取組の内容が 2020 年頃までにすぐに取り組むべきことか、もう少し時間
をかけて取り組むべきことかを十分議論する必要があることは我々としても認識して
おります。
(村上会長)
この点は常に議論になるところで、東京でもかつて大丸有地区の再開発なのか、東京
全体の再開発なのかという議論がありました。みなとみらい21地区を対象としても、
関連の深さによっては地区外であっても触れざるを得ないということになるのではな
いでしょうか。
(善養寺委員)
まず考えなければいけないのは、まちを国際化していくという中で提供するサービス
の基準をどこに置くのかということです。建築構造設計をしていた建築士の立場で発言
させて頂きますと、現行の建築基準法は最低基準であって、最高の安全を提供する基準
ではないのが現実です。戦後間もない頃につくられた耐震基準は命を守ることだけが最
大の目的であり、それらは東京の霞ヶ関周辺(首都中心)の被害想定で立法されていま
す。関東大震災における横浜の被害状況を考えると、東京都の基準の2割増しで建築さ
れたとしても、構造的には恐らく建築基準法の最低基準と同程度の被害になると思われ
ます。多くの日本人はマイホームを資産と考えていますので、それらが災害後も資産と
して残るということをまちとして提供できるかどうかが重要となります。
また、30 年前には想定していなかった長周期震動など、直下型ではなく離れた場所で
起きた地震のリスクについて学術的にわかってきています。それらの対策を見直す時期
に来ているのではないかと思います。日本の地震による大きな被害想定はその 98%が建
築由来です。金融を動かす国際都市を目指すのであれば、この地区だけでも、「最低限
の安全」ではなく「最高の安全」を提供するまちの基準づくりをするべきではないでし
ょうか。それをもし実践できれば、首都圏のリスクが高くてもこの地区だけは違うと言
えると思います。
(村上会長)
国土強靭化につながる話だったと思います。一方で耐震化のために個人がどれだけ負
担すべきかという問題につながってくるように思います。
(善養寺委員)
耐震基準を2割5分増しにすると災害後補修できる程度の被害となり、5割増しする
と確実に被害がない建築物が実現できます。仮に耐震基準を強化しても、建築費は従来
の1割程度しか上がりません。構造のバランスを配慮して計画すれば、高くならない可
能性だってあります。コストをかけずに強度を上げる技術が進んでいる現在、そういっ
た観点から消費者と議論するべきではないかと考えています。
-6-
第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
(中尾委員)
私は 1975 年に市の職員と一緒にみなとみらいのプロジェクトを立ち上げて様々な検
討をしました。30 年が経過する中で、それなりに達成した部分もあり、一方では当時は
思いも寄らなかったこともいろいろ出ています。例えば当時は、夜間人口に対する昼間
人口の割合を高めるということをひとつの指標として、事業所や施設の誘致を進めてき
ました。しかしそれ以上に夜間人口が増えてしまったため、昼夜間人口比は当時とあま
り変わらないままです。横浜の自立性を高めるといった視点からもそれらの目標は 2050
年に向けてもまだ残っているのではないかと思います。
港に関しては、当時、都心部の港の再開発が全世界的な潮流となっていまして、横浜
もそれに乗って都心構造を大きく変えてきました。その点はひとつの大きな成果だと思
います。しかし、港は京浜臨海部まで含まれるので、それらを含めてどうしていくかと
いう議論は相変わらず残っています。今後も横浜にとって港は、文化都市として活動し
ていくフロンティアとして重要な資産ですので、港の質的転換は、今後の継続課題だと
思います。
首都圏の業務機能の分担という点については、必ずしも業務だけでなく、横浜なりの
個性をもった都市としての活動が広がりを持って展開していくことが、今後も掲げてい
くべき課題だと思います。
先ほど議論になりました 2050 年という遠い将来と、そこに至る過程についてですが、
今回テーマにしているスマートシティについてはいろいろな都市で議論しているもの
の、なかなか実現されていません。もう少し近い将来、手の届く技術の組み合わせによ
って実体としてつくりあげていくことがまずは必要だと思います。
都市像として掲げられている情報都市について、当時インターネットがまだなかった
ように、情報技術については5年後もどうなるか読めない部分があり、2050 年の都市像
として描くことは難しいのではないかと思います。それらはむしろ、今後ある都市像を
実現していく上での基盤として捉えられていくべきではないかと思います。
5つの都市像が掲げられていますが、3つくらいにまとまるとよいと思い、少し考え
てみました。まず人間環境都市についてですが、当時は視野に入っていなかった環境の
問題を組み込んだ都市像として新たに定義できると思います。国際文化都市については、
ここでの議論と並行して進んでいる市の政策、創造都市での考え方を取り入れることが
考えられます。つまり、芸術・文化を含めたあらゆる意味でのクリエイティビティと文
化をひとつのくくりとして、文化創造都市としての都市像が考えられるのではないでし
ょうか。もうひとつは、現在の喫緊の課題である環境問題、あるいは防災、安全・安心
といった側面からの都市像についてです。以上の3つの都市像を掲げ、そしてそれを実
現する戦略として、例えば都市空間、都市環境、都市文化、都市インフラとしてどうい
う取組みをするか具体的な施策を整理していくという構造にしてはどうでしょうか。
(村上会長)
都市というものは数十年から 100 年以上も継続するものですが、情報技術などは短い
スパンで変わっていくものなので、50 年後を見通すというのは大変に難しいと思います。
今ご提案のあったように、人間環境都市やクリエイティビティ、安全・安心都市という
ような広い概念の中に位置づけておくことがひとつの方法かもしれません。
柏木委員 退席
(望月淳委員)
まちというのは”人が集まる”ということが重要だと思います。先ほどビジネスからの
切り口は十分だが、暮らしからの切り口は不十分ではないかというご意見が出ましたが、
-7-
第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
今後の議論では、少子高齢化という視点から老人と子供についてもっと話し合いたいと
思っています。私は横浜銀行の本店に勤めていますが、みなとみらい21地区では朝7
時半になると小学生がたくさん歩いています。老人に子供を見守ってもらう機能をもた
せることで、待機児童の解消が「見守り」という切り口で果たせるのではないでしょう
か。それによって、女性が安心して暮らせ、仕事もできる環境ができ、モデルとなるま
ちづくりができるのではないでしょうか。
人という切り口では外国人についても考える必要があります。例えば外資系の金融機
関では、3・11 以降、アメリカ人もイギリス人も香港に移ってしまったという話を聞き
ました。それは家族が地震で揺れるのを恐がったという理由が多かったからです。外国
人がどういう居住性を求めているかということも含めて議論する必要があると思いま
す。
世の中が変化していくのと同様、私たちも考え方を変えていくべきだと思います。
2050 年を見据えた長期の目標があるとすれば、その目標を実現するために5年後、10
年後にはどうなっているべきなのかという議論が必要だと思います。目標は途中で軌道
修正してもかまわないと思います。
(村上会長)
老人や子供がたくさんいる地区であるというお話を伺い、嬉しく思いました。2050
年のリジッドな目標をつくることは非常に難しいので、変化を前提とした目標になると
思います。そこで先ほど中尾委員の発言のようなクリエイティビティや人間、文化とい
った非常に汎用性の高い目標を掲げることがロバストな目標になると思います。
(仲條委員)
企業や商品のライフサイクルが非常に短くなっているので、どういうビジネスをこの
エリアにもってくるかということを長期ではなく短期で考える必要があると思います。
例えば、ウェアラブル端末は 2016 年には出荷台数が 1,000 万台になると言われていま
す。また、現在インターネットにアクセスできない世界人口の3分の1に、気球を上げ
てつながるようにすると言う話も出てきています。そういう中で非常に尖ったことをす
るならば、既に発表されていることはコモディタイズされたものだという認識をもち、
民間のナレッジをどんどん使っていかなければいけないと思います。
都市の戦略を考える上では、お金、人材のリソースをどうするかということが非常に
重要です。横浜だからできることをどのようにレバレッジをかけて使っていくかが、戦
略を立てる上で重要になると思います。その中でも戦略を活かすも殺すも人材次第です
ので、どういう人材を育てていくかが重要になってきます。日本の大学だけでなく国外
の大学をかなり手厚い措置を講じて誘致する必要があると思います。ハーバードやスタ
ンフォードをはじめ海外の大学がアジアパシフィックに進出してきていますが、シンガ
ポール、香港、最近では上海が進出先になっており、日本にはまったくありません。M
BAやバイオメディスン、テーラーメード医療といった非常にスペシフィックなところ
に注力して人材を育てていくようにするのがよいと思います。
私も子供が2人いるので保育園の話には興味がありますが、例えばみなとみらい地区
にスーパー保育園と称して、ものすごく良い教育をしてくれるとか、強い子になるとい
うような特色のある保育園をつくってはどうでしょうか。ビルをリートで建てて、その
1階にそういう保育園をつくり、子育て世代だけでなく老人にも居住してもらい、小児
科や弁当づくりを手伝ってくれる会社を含めた大きなプランをつくっていくのが良い
のではないかと思います。
女性についての言及は資料のように8番目ではなく、1番目にもってきてもよいので
はないでしょうか。
-8-
第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
(村上会長)
女性についての言及に関しては十分に認識したいと思います。ビジネスに関する提案
を主になされましたが、横浜市は国際戦略総合特区に指定されており、それらを活用す
ることが重要だと思います。
(望月洋委員)
私からは、世界のスマートシティを見てきて感じていることを申し上げたいと思いま
す。今の仲條委員のお話にもあったように、世界では人も金も流動性が高まっていてフ
ラット化しています。その中で横浜市のライバルはどこかというと、隣の市でも県内で
もなく、グローバルな都市だと思います。そういう中で企業誘致をし、人材を集めるこ
とを考えると、みなとみらい21地区が抱えている大きな問題として情報発信力の不足
が挙げられると思います。韓国の済州島や仁川、中国の広州、オランダのアムステルダ
ム、シンガポールでも、都市の情報発信力を高めるためのいろいろな施策を打っていま
す。横浜市はスマートシティEXPOのアワードを取ったり、小学生による環境未来絵
日記のコンテストなどの地道な活動も行っており、それらを情報発信していかないとも
ったいないと感じています。その意味で、情報発信の重要性を指摘しておきたいと思い
ます。
2番目に、新たな都市像の中に「水と緑と歴史に囲まれた人間環境都市」とあります
が、先月、中国のいろいろな都市を回ったところ、まったく同じことを中国の都市関係
の人々が言っていました。海外のマスタープランを見るときれいな絵が描かれているが、
実際にそこが3年、5年、10 年経つととても汚くなってしまうそうです。海外から人が
横浜に来ると、「なぜこのまちは綺麗なのか」と必ず尋ねます。それは横浜のごみをな
くす活動などにもつながってくると思います。綺麗さということを当たり前のように感
じていますが、実はグローバルで見ると綺麗さがみなとみらいの大きな特長のひとつに
なると思います。
先ほどITの話が出ましたが、これから日本自体のオープンデータ化が進み、自治体
と民間をつなぐサービスが次々と生まれてくると予想されます。そういうサービスを生
みだしていく仕組みや環境を整えていくと、知的産業を活用した未来を体験できる高度
情報化都市につながってくるのではないかと思います。アメリカでは今、ウェブ 2.0 を
発表したティム・オライリー氏がガバメント 2.0 を発表し、いろいろな自治体の中でデ
ータを使った新しい動きが出てきています。それらをいち早く取り入れて変化に対応し
ていく都市になれればよいのではないかと思います。
(村上会長)
情報発信が不足しているというご指摘はまったくそのとおりで、日本の都市すべてに
共通する課題だと思います。私もいろいろ調べてみて、横浜市が発展途上国の人材育成
などを非常に積極的にやっていることを初めて知りました。そういう情報発信は日本国
として力を入れるべきで、このみなとみらい21地区にとっても情報発信はひとつの重
要なテーマになると思います。
(山崎委員)
私は何かの専門家ではないので、横浜に住んでいる一市民として発言します。また、
作家という職業柄、非常に情緒的にまちを捉えてしまう傾向があることをご理解下さい。
私は関西の生まれ育ちですが、ずっと横浜に憧れをもっていて横浜市民になりました。
私が子供の頃は、日本で一番ハイカラなのが横浜で、外国に近いまちというイメージ
がありました。
自分が市民になり、横浜についてもっと知るようになってくると、マイナスをプラス
に変えるパワーのあるまちだというふうに考えるようになりました。砂州上の村だった
ところが、いきなり開港場になり、大都市になったという経緯があります。おそらく元
-9-
第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
から住んでいた人たちは強制移住させられ、外国人が入ってきて、とても恐かったと思
います。関東大震災、太平洋戦争時の大空襲、そして終戦後、アメリカに占領されたこ
とも大きなマイナスだったと思います。でも横浜はそこでめげず、そのつど、マイナス
をプラスに変えて甦りました。アメリカ文化も積極的に取り入れました。そして 60 年
代、70 年代には独特の文化を持ったまちとして魅力を発揮してきました。
ですが、みなとみらい21地区のプロジェクトが始まった頃から、もうマイナス面は
なくなり、日本で最先端のまちになるべく次々と巨大な建造物ができていきました。私
はその頃から横浜になじみ始めましたが、発展に伴い、だんだんと元気な若者を主なタ
ーゲットにした、疲れるまちになってきたなあという気がします。みなとみらい21地
区自体はすばらしいと思っていますが、最先端のスマートシティーということであれば、
防災や環境、そして弱者にもやさしいという意味でナンバーワンの都市であるべきだと
思います。
環境に関してですが、この間、小柴の漁港に行って漁業者に話を伺ったところ、海の
環境が非常に悪くなっているとのことでした。私たち日本人は横浜に限らず、海に囲ま
れて暮らしています。海の変化に敏感でなければ取り返しのつかないことになります。
みなとみらいには水際公園にビオトープができ、そこに棲息する生物などを観察して
いれば、素人にも海の変化が如実にわかるのですが、残念ながら柵がつくられて入れな
いようになっています。つくっておいて入れないというのはもったいないですね。子供
達が水に触れることができるよう、自分の目で海の変化を確かめられるよう、何か方策
を考えていただきたいと思っています。
歴史を活かすという点では、赤レンガ倉庫などの建物を活用しているものの、その前
の、横浜が開港した頃の歴史についてはあまり興味を持たない人、知らない人が多いよ
うに思います。歴史ということであれば、せめて開港からの歴史を知ってほしいし、活
用しないともったいないです。みなとみらいを代表するランドマークタワーは鳥居の形
を模したと聞いていますが、あの近くはかつて砂浜で、横浜村の鎮守がありました。横
浜の中心地である関内やみなとみらいが、元はどういう場所であったかを子供の頃から
学ぶことは、もちろん防災の面でも役立つと思います。開港以来、あるいはそれ以前か
らの横浜の歴史を、市民は生活に、よそから来る方達のためには観光に、もっと活かす
べきではないでしょうか。
(村上会長)
歴史の観点から掘り起こすべき長所のお話、ありがとうございました。また、高齢者
や弱者への対応も重要なご指摘だと思います。
(渡辺委員)
私は仕事はアナウンサーをしておりますが、同時に祖父の代から横浜に住む市民とし
ての目線で話をさせていただきたいと思います。みなとみらいは私も好きな地区で、大
学生だった 1988 年か 89 年にNHKの番組でみなとみらいの上を飛行船で飛びながら下
に見えるみなとみらいをレポートしたときは「おもちゃ箱をひっくり返したようなカラ
フルな」という言葉を使ったことを覚えています。まだ、みなとみらいが整い始めたば
かりの時期でした。
30 年経った今、何がどうなったらもっと便利になるか、もっと楽しいかという利用者、
消費者の視点で考えますと、まず「導線」が重要なのではないかと思います。臨港パー
クはとても良い公園ですが、パシフィコ横浜を越えて歩いて行く人はなかなかない現状
です。元町から山下公園を歩いて象の鼻公園を通って汽車道を通るルートは、長い距離
ですが楽しい散歩道です。ところが、みなとみらいの中ではうまく「導線」がつながっ
ていないように感じます。商業・イベント施設、美術館、マリノスタウンのようなスポ
ーツ施設がポツポツと点在するのではなく、全てをつなぐ道の途中に公園があったり、
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第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
美しい並木があったりと、歩く距離を感じさせない「導線」が果たす役割は、平淡で歩
きやすく且つ広いみなとみらいを活かす上では大きいのではないかというのが私の実
感です。
具体的なまちとしての例を挙げますと、事務局のヒアリングを意図的に代官山の蔦屋
でさせていただきました。同潤会アパート跡地の企画、つまり創ったまちとして代官山
は最も成功例ではないかと思えるくらい連日、賑わっています。ベビーカーに乗った子
供を連れたお母さんたちや犬を連れた家族連れやカップルが、近所からだけではなく、
遠くから車で来ているようです。図書館のように図書が充実していながら、隣接のスタ
ーバックスの飲み物を持って入ることもできる空間を提供している TSUTAYA の工夫も相
まって、若い世代が中心ですが、高齢者カップルも長く時間を過ごすことが出来るまち、
そんな印象を受けます。例えばマリノスタウンとランドマークの間にそういった空間が
あると、もう少し人の動きや流れが変わるだけでなく、ゆっくり時間を費やせるまちに
なるのではないかと感じます。
以前、全国商店街連合会の会長の方にインタビューしたことがあるのですが、その方
は商店街の成功例として元町を挙げていました。元町のチャーミングセールは商店街が
行った初のセールと言われるほど歴史あるセールで、今は年に4回まで回数を増やすと
ともに、犬の散歩ができるまちづくりを推進しているそうです。みんなで犬を連れて集
まる日を設定したところ、あまりにも集まり過ぎて中止になったという話もあるとか。
つまり、元町も地元の方々が散歩に来るだけでなく、遠方からペット愛好者が観光を兼
ねて散歩にいらっしゃるまちとして人気を博しているわけですから、その元町で中止に
なってしまうなら、広いみなとみらいこそ受け皿になれないかなと考えます。元町から
も山下町からも歩いて行ける、そしてより家族や犬を連れてきたい、高齢者の方がゆっ
くり散歩したいと思うまちを目指してはいかがでしょうか。
もうひとつ東京でのまちづくりの成功例として丸の内の話をうかがったことがありま
す。三菱グループの社長が丸の内の計画を立てているときにたまたま日経新聞で「丸の
内たそがれ」という見出しで、丸の内と大手町の違いがないという記事を読み、悔しさ
とともにそれらを改善すべくこだわりをもったまちづくりを貫き、今に至ったそうです。
まだ計画の途中だそうですが、美しい並木道とハイセンスな店やまち並はご存じの通り
で
す。そういった知恵を取材し、まちづくりへの強い意志を学ぶなど、横浜駅と山下町や
元町中華街をつなぐ横浜らしいまち、みなとみらいとしてどこよりも魅力的なまちに育
ってほしいと強く願っています。
長くなって恐縮ですが、もうひとつご提案したいことがあります。熊本県が保護動物
の殺処分ゼロを達成しましたが、訪れる人、住む人すべてにとって真に心地よいまちで
あるには、飼っている動物にもやさしいまちであってほしいと願います。海外の例と比
べての民度、成熟度から見ても必要不可欠とも感じます。そして待機児童ゼロを達成し
た横浜だからこそ、別の横浜モデルとして達成可能であると実感しています。例えば、
みなとみらいの空いている土地にガラス張りの綺麗な動物保護施設をつくり、みなとみ
らいに来た人たちも見られる形にして殺処分ゼロを目指せたら、ひとつのモデルになる
のではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(村上会長)
非常に具体的なお話をいただきました。犬を連れて遊びに行きたくなるまちというの
は、いろいろなイマジネーションがわく良いお話だったと思います。
委員の皆様から非常に具体的な話と包括的な話の両方について、これから都市像をま
とめる上で貴重なご意見をたくさんいただきました。引き続き、手短にご意見をいただ
きたいと思います。
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第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
(河口委員)
2050 年というひとつの目標が示されていますが、昔を振り返ることも重要ではないか
と思います。山崎委員のお話にもあったように過去 100 年間にどういう変遷があったの
か、特に漁村が港になり、どういう発展をしてきたかというラインを引いてみて、その
上で 1983 年を振り返り、今を考え、今後どういう可能性があるかを考えることも重要
だと感じています。
また、女性の委員から指摘が多く出ていましたが、コミュニティという視点が欠けて
いると感じました。犬を連れていけるとか、子供がたくさん遊んでいるとか、まちとい
うのはいろいろな人がいて、その人たちの暮らしが見えることでまちになっていきます。
そういう視点をもっと前面に押し出すことが重要だと思います。
私は横浜生まれではないですが、戸塚で2歳から 10 歳まで育ち、高校は藤沢の湘南
高校に通っていました。高校の同級生が口をそろえて言うのは、「横浜に職場があった
ら」ということです。茅ヶ崎や藤沢のあたりから横浜までなら電車で約 20 分なので、
満員電車も我慢できます。そういう声があることを考えますと、横浜に働く場所をたく
さんつくるというビジネスの目線も重要であると思います。
(村上会長)
まさに歴史の共有こそがまちの力になると私も考えています。
(佐土原委員)
先ほど末吉委員から、みなとみらい21地区を横浜なり首都圏なりという広い視野の
中でどう位置づけていったらよいかという問題提起がありました。インナーハーバーの
エリアは海から入る入口であり、環境としては内陸の入口であり、非常に重要な位置に
あります。また一方では、河川が流れ出る出口でもあるので、水がきれいであるかどう
かは流域全体のバロメーターにもなるという意味で、環境の面から見てもつながりが深
い位置であると捉えていくことが重要だと思います。それから 2050 年という話になる
と、川崎の京浜臨海部もこれからいろいろな形で変わっていく中で、臨海部のあり方の
中でインナーハーバーがどういう特徴を持った場所になるかということも含めて見て
いく必要があります。
2点目として、先ほど質の高い情報化ということを申し上げましたが、ディープ・デ
ータと称する高い知見をもったデータを上手く活用することが重要ではないかと思い
ます。ディープデータと自治体のオープンデータと、今活用が進もうとしているビッグ
データが重層的に活用されることで新しい情報化の展開があるのではないかと期待し
ています。
(末吉委員)
我々がこれから議論する時に、不特定多数の興味を持った人が活躍できるインフラと
しての舞台づくりをするのか、それとも、こういう人に来てほしいと限定して特定のこ
とをやるのかを議論するのが大事だと思います。
自立性を考えたとき、この地域だけで自立性を考えるのか、他地域との連携の中での
自立性を考えるのかという問題がありますが、横浜はおそらく世界とのつながりがあっ
て初めて成り立つのではないでしょうか。世界との関係ということでは、どういうこと
で世界に役に立つのか、世界にとって良いまちになるのかを考える必要があります。例
えば先ほど香港の話が出ましたが、3・11 直後に香港は長期ビザを原則フリーで発行し
たそうです。そのため、東京あるいは横浜の国際的な金融機関に勤めていた外国人の多
くは出ていってしまいました。日本のビザは更新も非常に厳しいので、更新せずに出て
いった人もたくさんいました。何をやるか考えることも重要ですが、その前に横浜が海
外の人とどういうリレーションシップを結び、そのために我々はどういう制度や権利・
義務関係を持たなければいけないのかを考える必要があります。そこに斬新性を打ち出
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第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
す、あるいはグローバル・スタンダードを打ち出せるかが課題です。私はおそらく公益
と私益の線引きが大きく変わらざるを得ないと考えています。今のまま優秀な人に来て
もらって住んで下さいとするのか、私益を制限してまで長期的な公益を最優先するのか
といったことを方針として打ち出すことがまちづくりを続けていく上で大事になって
くるのではないでしょうか。
それから、中国が第2のパナマ運河をパナマ運河のすぐ隣につくるという報道が出て
いました。世界の物流が大きく変わろうとし、日本の物流が落ちていく時に、今までの
ような横浜の港感覚でやっていけるものでしょうか。私は、もう勝負はついているので
はないかと思っています。さきほど河口委員が仰っていたように、私は港より海洋だと
思っています。
敢えて言えば、環境未来都市について、21 世紀の地球環境が要求する環境を先取りし
た未来都市にするということなのか、それとも、何もかも手に入る百貨店のような発想
で物事を考えていくのでしょうか。環境ということであれば、本当に突出して世界がや
らなければいけないことを実行する都市になってほしいと思います。
(善養寺委員)
まちづくりでは、建築や公園などをソフトと一体で考えることができる点がひとつの
メリットだと思っています。今、リセフランスが板橋区に移転したことでフランス人が
一斉に板橋区に移動し、外国人用マンションが足りない状況になっているそうです。外
国人は、学校の近くに住宅がなければいけない感覚を持っています。例えば、インター
ナショナルな学校を1校誘致し、小中高3校の日本人が通う学校と4校をまとめて真ん
中に共有の校庭が置ければ、自然に外国人の友人ができるような環境は簡単につくれる
のではないでしょうか。それによって国際的な親たちも集まる環境ができれば、変わっ
てくるのではないでしょうか。
先ほど犬の話が出ましたが、最近はドッグカフェやキャットカフェ、バードカフェが
人気になっています。公園を計画する際も何か特別な施設をつくるより、普通に動物を
触れるカフェがあるとか、保護された動物のマッチングをするとか、動物に触れること
で子供の情緒を育てるとか、そういった整備の必然性を提案するとよいのではないでし
ょうか。
(中尾委員)
都市の魅力とは何かと考えると、本来の目的ではなく、ついでのことができるところ
にあると思います。ある目的を持って出かけたついでにカフェに寄ったり、公園に寄っ
たりできるというようなことです。それらが実現できる都市は成熟した都市と言えると
思います。みなとみらいは今はその段階に入りつつあって、今後は成熟化に向けてどう
動いていくかということが大きな課題になると思います。
その時にはキーワードになるのが都市文化ということだと思います。環境未来都市と
いう政策を横浜市は進めていて、同時に、創造都市という政策も進めています。それぞ
れの政策パッケージはありますが、その両方が集まった時に横浜らしい環境未来都市な
り創造都市ができあがってくるのだろうと思っています。
キーワードの中にはスマート&スリムというのがありますが、環境未来的な思考のキ
ーワードであり、私はそれにスマート&クールを加えたいと考えています。創造性なり
知的活動に対する評価としてスマート&クールをひとつのキーワードとして押さえ、そ
れらが両輪となって今後の横浜の都市政策をつくっていくとよいのではないかと漠然
と思っています。
(望月淳委員)
私は先ほども言いましたように、人にフォーカスしたいと考えています。例えば都
市型コンパクトシティのように衣食住がひとつの地域で完結し、そこで働くこともでき
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第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
るということが重要だと思います。それらを実現するにあたり、インフラだけ強化して
も人は集まらないし、人を集めようと思ってもインフラが十分でなければ外国人は来な
いので、そういった議論が必要になってくるだろうと思います。
ここでの議論がある程度進んできたところで、ひとつの目標を設定するのがよいと思
っています。それはどの都市と対抗するかということでもよいし、アベノミクスにある
国家戦略特区という国を挙げて取り組むようなチャレンジをしてみるということでも
よいと思います。都市型コンパクトシティを指向しながら、国の施策にも合うようなこ
とができればおもしろいと思います。
(仲條委員)
外国人のアドバイザリーボードをつくるべきだと思います。それから、もうひとつは
マーケティング力の強化です。発信力という話は先ほど出ましたが、横浜のブランドは
何なのかということをもう一度考える必要があります。横浜市のホームページを拝見す
ると、ニューヨーク市やシンガポールと比べると文字が多過ぎて、それを見た人に「こ
こに住んでみたい」と思わせるようなものがありません。そのようなフレーバーをもっ
と入れていくことでブランディングとメッセージの発信をしていく必要があると思い
ます。
(望月洋委員)
世界のスマートシティのキーワードのひとつとして、働けるまちという意味で「ワー
カブル・シティ」という言葉が出てきています。世界で雇用の奪い合いが始まっている
状況があるので、世界から雇用が集まるような都市を目指していくことがひとつの方向
性ではないかと思います。そのためには犠牲にするものも出てきて、「あれも欲しい、
これも欲しい」ではうまくいかないと思います。
(村上会長)
よい人材をどれだけ集められるかということが、これからの都市の競争力そのものに
なると思います。
(山崎委員)
私はできることなら、体力がもっとなくなっても、みなとみらいを心地よく味わいた
いと思っています。札幌に行って大変にうらやましいと思ったことはまちのいたるとこ
ろにベンチがあることです。横浜では喫茶店等も減っています。今すぐにできるような
こととして、ベンチのように、ちょっと休むことのできる場をたくさんつくっていただ
きたいと思います。札幌にはモニュメントも数多くありますが、モニュメントにも座る
ことができます。また、札幌の大きな公園では、夏になるといろいろな人が来てバーベ
キューをするそうです。そういうところで人の触れあいが生まれるのではないかと思い
ます。商店街の中にも、座って水やお茶を飲める無料スペースがいくつもありました。
横浜もそういうやさしいまちになってほしいと思います。
この間、オリンピック招致で猪瀬都知事が「東京は世界一安全なまちだ」とおっしゃ
っていましたが、今日いただいた資料を見ると世界一リスクの大きいまちだと記されて
いて、ちょっとショックを受けました。それならば、横浜のみなとみらい21地区が世
界一の防災拠点になればすばらしいと思います。
(渡辺委員)
私は先ほど長く話しましたので、お譲りできればと思います。
村上さんは議長でいらっしゃるので、お話というまとまった形はなさりにくいのかも
しれませんが、村上さんのお話もぜひ伺いたいので、よろしくお願い致します。
(村上会長)
今日は非常に貴重で有益なお話をうかがえました。私は、世界のよい人材が集まらな
ければ横浜のみならず日本の将来はないと思っていますので、外国人にとって子供の教
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第1回
横浜市みなとみらい 21 地区スマートなまちづくり審議会議事録
育を含めて魅力があり、来たくなるようなまちにしたいと考えています。
丸の内のお話が出ましたが、日曜日になると誰もいないようなまちが今はすばらしい
まちに変わっています。ぜひみなとみらい21地区も、平日も休日も人がたくさんいる
ようなまちにする努力をしていただければありがたく思います。
エネルギーの問題は特に重要ですので、事務局とも相談の上、エネルギーの部会を設
置して進めていくのが適切ではないかと考えていますが、いかがでしょうか。審議会条
例第8条第2項によると、部会をつくる場合には会長が指名するということになってい
ますので提案させていただきます。佐土原委員、柏木委員、小林委員、千葉委員、私の
5名で構成させていただきたいと考えていますが、いかがでしょうか。
(委員)
異議なし。
(村上会長)
それでは、何か特にご質問などがあれば最後にお受けしたいと思いますがいかがで
しょうか。
(末吉委員)
まちづくりをするための資金については、我々が考える必要はないのでしょうか。
(村上会長)
それはこの場ではお答えできないと思いますので、2回目以降に資金メカニズムや事
業スキームなどについての見通しも事務局から説明していただきたいと思います。
(浜野温暖化対策統括本部長)
事業を成立させるためにどのような裏付けを持って考えていくか、そこまで踏み込ん
だ議論が必要になるというご指摘と理解してよろしいでしょうか。そうであれば次回以
降に説明させていただきたいと思います。
(村上会長)
基本的には自律的に動けるような健全な事業運営を目指すことになると思いますが、
次回以降にお願いいたします。それでは事務局に進行をお返しします。
(信時環境未来都市推進担当理事)
次回の審議会は9月を予定していますが、改めてご連絡申し上げます。本日の審議は
これにて終了とさせていただきます。
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