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さらなる運用改善のために

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さらなる運用改善のために
第
3章
GCP ガイダンスのポイント
1 副作用の考え方(図 3 - 1 )
GCP 省令第 2 条には,もともと「副作用」とは,投与量にかかわらず,投与
された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含
む。
)
,すなわち,当該治験薬と有害事象との間の因果関係について,少なくと
も合理的な可能性があり,因果関係を否定できない反応を指すと記載があった
ところである。しかしながら,国際共同治験が増加する中で,欧米等と比較す
ると,日本の治験責任医師において,因果関係の判定が慎重であるためなの
か,因果関係の判定を十分に考える余裕がないほど忙しいのか,あるいは,因
果関係の判定をどのように行ってよいのか教育が不十分であるのか,特に日本
は「因果関係不明」と治験依頼者に報告される割合が高く,製薬業界の日本担
当者は,なぜ日本だけ因果関係不明が多いのかとグローバルから指摘される声
が多かったという。そこで,国際的なガイドラインである CIOMS(シオムスと
□ GCP 省令第 2 条
「副作用」の考え方
▲
「副作用」とは,治験薬(対照薬として用いられる市販薬を除く。
)についての考え方を示した。
投与量にかかわらず,投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の
異常を含む。)。すなわち,当該治験薬と有害事象との間の因果関係について,少なくとも合理的
な可能性があり,因果関係を否定できない反応を指す。
因果関係の判定を行う際には,投与中止後の消失,投与再開後の再発,既に当該被験薬又は類
薬において因果関係が確立,交絡するリスク因子がない,曝露量・曝露期間との整合性がある,
正確な既往歴の裏付けにより被験薬の関与がほぼ間違いなく説明可能,併用治療が原因である
合理的な可能性がみられない等を参考にすることができる。
図 3 -1 「副作用」の考え方
13
第
5
章
さらなる運用改善のために
(統一書式の徹底,IT 化の促進)
1 進化した統一書式の普及,徹底
治験責任医師は医療機関の長に治験分担医師や治験協力者のリストを提出す
るのであるが,旧 GCP 運用通知においては,治験責任医師が治験の業務を治
験分担医師または治験協力者に分担させる場合には,治験分担医師および治験
協力者のリストについて,実施医療機関の長は,「指名すること」とあったが,
「指名」
平成23年10月の改正で「了承すること」に変更した(図 5 - 1 )。これは,
との記載があったことから独自の指名書を発行する医療機関もあったためであ
り,そのような手続きは不要であることを明確化したものである。しかし,そ
(実施医療機関の長)
第 36 条 実施医療機関の長は,治験に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
2 実施医療機関の長は,当該実施医療機関における治験がこの省令,治験実施計画書,治
験依頼者が治験を依頼する場合にあっては治験の契約書,自ら治験を実施する者が治験を実
施する場合にあっては第 15 条の 7 第 1 項第 5 号から第 11 号までに規定する文書及び前項の
手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じなければならない。
3 実施医療機関の長は,被験者の秘密の保全が担保されるよう必要な措置を講じなければ
ならない。
(治験分担医師等)
第 43 条 治験責任医師は,当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存する場合には,
分担する業務の一覧表を作成しなければならない。
実施医療機関の長は,治験責任医師が治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験
協力者に分担させる場合には,治験責任医師が作成した治験分担医師及び治験協力者のリスト
を了承すること(第 43 条 第 1 項参照)。
*
「指名」ではなく,
「了承」に変更
これまで「指名」との記載があったことから指名書を発行する医療機関もあったと聞いているが,
そのような手続きは不要であることを明確化した。
図 5 -1 治験分担医師及び治験協力者のリストについて
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