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古懸
特集
八幡崎
町居
獅子で繋がる地域の絆
「伝統芸能」
と聞くと、どのようなイメージをもちますか?
人それぞれ異なると思いますが、
「堅苦しく、厳かな雰囲気で観るもの」
と想像する人もいるはずです。
平川市にも各地域、町会、学校などを通じて伝統芸能に触れ、地元の文化を残していこうとする方々がおり、
特に“獅子踊り”は市内にも保存団体が多くあります。
最近は少子高齢化の問題で各地域で後継者不足に悩まされているのが実情です。そのような中、地域の宝であ
る子どもたち、若者が地元の“獅子踊り”に興味を持ち、保存団体で活躍を見せています。
実際の活動に密着すると、
「堅苦しさ」
という言葉はなくなりました。
なぜ?…それは、みんな踊ることを非常に楽しみ、和気あいあいとしていて、とても温かみを感じたからです。
今回は保存会で獅子踊りを楽しみつつ、伝統を継承しようとする方々に着目し、日々どのように感じながら踊っ
ているかを知ることで、伝統芸能をより身近に感じてほしく特集しました。
獅子踊りとは?
か し こ
て び ら が ね
うたい
獅子踊りは、3匹の獅子
(雄獅子2匹、雌獅子1匹)
とお可笑と呼ばれる誘導役、それに笛、太鼓、手平鉦、謡で構成されるの
が一般的です。踊りの演目はいくつかありますが、
「山踊り」
と
「橋踊り」
が最も多く踊られており、五穀豊穣、豊作祈願、
悪疫退散、祖霊崇拝を願う意味が込められています。
獅子踊り
(山踊り)
は物語となっており、若い獅子達が新天地を求め、雌獅子とともに山に入り、険しい谷を越え、密
林を通り、獣の怒りをおさえ、数々の苦難と闘いながらついに安住の地を発見するに至るという内容になっています。
古懸の獅子
4
ひらかわ 2014.2
広報 八幡崎の獅子
町居の獅子
特集 獅子で繋がる地域の絆
八幡崎郷土芸能保存会獅子部
~年代や距離を超えて繋がる獅子の力~
か し こ
れん
り
き
み
お
か ず ま
前列左からお可笑担当の一戸蓮さん、獅子担当の一戸利基さん、小林海生さん、今井一磨さん
昨年の猿賀神社で行われた県下獅子踊大会など大舞台
を経験して成長し続ける子どもたち。
保存会に入りたての頃は先輩の踊る後ろで練習を重ね
てきたが、3~4年経った今、保存会を象徴する立派な
『顔』
となりつつある。
練習が行われた1月27日、子どもたちに獅子の魅力を
尋ねた。
「やっているうちに獅子にどんどん思い入れがでてき
子のほうが大人よりも獅子に関しては先輩というのも珍
しくない。お互いに話している時は本当にみんな楽しそ
うに話す。子どもたちを暖かい目で見守る大人たちは、
こう語ってくれた。
「大会で子どもたちが堂々と踊る姿を見ていて本当に
泣きそうでした。一人一人が輝いているなって。厳しい
だけじゃ子どもたちはついてこない。練習に来て楽し
いって思えるようにしないと。大事にしているのはメン
て。これからも続けていきたいし、ずっと続いてほしい。
今まで自分でこれはできる!という自慢できるものがな
かったけど、獅子に出会えて今は特技といえます。時々
みんなで自分たちの演技をビデオで撮って、それを見る
バーでよく話す機会を設けることですね。笑う時は笑っ
て、練習する時はしっかり練習して。みんなで楽しく伝
統を守っていきたいと思っています」
会員は約30名おり、女性の会員も半分近くいる。
んですが、
細かい所とかがまだまだだなって。もっともっ
とうまく踊れるようになりたいんです」
また、仕事で地元を離れている会員も、大会などの時
期になると戻ってきて、獅子踊りに参加している。
今の八幡崎獅子踊りに、世代の垣根はなく、中学生の
獅子の力が年齢や距離を超えて人々を繋げている。
八幡崎の獅子
は や し
か し こ
お可笑と獅子2体が連なって踊る場面は珍しい
八幡崎の獅子踊りは踊りと囃 子のきめ細かさとリズ
ミカルさが特徴。
幕と呼ばれる獅子の衣装にも特徴があり、津軽獅子
の幕の紋様は、その大部分が牡丹、唐獅子、波、千鳥
だが、八幡崎のものは白地に藍で鶴と三つどもえを染
めたものである。また、雌獅子の幕の鶴はくちばしを
開いているので、雄獅子と見分けがつく。
(P4の写真下部を参照)
ひらかわ 2014.2
広報 5
町居獅子踊保存会
~後世に伝える獅子は、子どもたちが主役~
か し こ
ひ ろ と
ひめか
しおん
き
ら
前列左からお可笑担当の今井大登さん、獅子担当の葛西姫佳さん、大川珠苑さん、大川稀楽さん
1月22日、町居の飛鳥会館からにぎやかな子どもたち
の笑い声が聞こえてきた。「さぁ、やるよ~」との声掛け
に、さっきまで遊んでいた子どもたちの表情が変わり、
一斉に集まった。
か し こ
練習後、お可笑と獅子に入る子どもたちに話をきいた。
「獅子をやっていてとにかく面白いんです。今日の練
習も新しい所をやったので全然わからない部分もあった
けど、みんなと一緒に踊れて楽しい。熱心に教えてくれ
る人のおかげだと思うし、ぜひその人たちのためにも、
うまくなって自分たちが応えていきたいんです」
「学校の道徳の授業で地域の伝統芸能について考える
「いつも親が送り迎えなど協力してくれるし、感謝し
ています。11月に行われるさなぶり会での発表は地区の
皆さんが集まり、さまざまな人たちへの日々の感謝の気
持ちを表すことができる場なので、大切に感じています」
た け と
保存会会長である奈良武人さん(後列左)はこう話す。
「8年前、とうとうメンバー不足になり、活動ができ
なくなった時はどうしようかと思いました。転機となっ
たのが2年前、子どもたちが獅子に興味を持ってくれて、
きっかけがあったんです。その時、改めて私たちには獅
子があるし、
守っていかなきゃいけないな~って。獅子っ
練習をし始めた時は本当にうれしかった。そこから兄弟、
友達へと次々やりたいと手が上がり、今では月2回練習
をできています。子どもの『やってみたい!』という純
粋な気持ちに助けられました。これからは夏に行われる
競演大会に向けてまたみんなで練習していこうと。未来
て年中練習があるし、踊りをもっといっぱい練習してう
まく踊れるようになりたいんです」
を担う子どもたちが主役となって、後世に伝えていきた
いですね」
町居の獅子
亡くなった人への供養と鎮魂を込めて行われる墓踊り
6
ひらかわ 2014.2
広報 軽快さと鈍重さが二分している町居の獅子踊りは、後
継者に恵まれず、長年休止状態だった。再結成したのが
今から約40年前である。由来や縁起的資料が全く残され
ていないのが残念なところである。
厳粛な獅子踊りに対し、数十年前までは少しでも見に
来てくれた観衆をなごませようと「恵比須舞(じゃっこ
つりと呼ばれていた)」と「根っこ切り」が行われており、
豊作豊漁を予祝するものであった。
古懸獅子舞保存会
特集 獅子で繋がる地域の絆
~獅子の伝承は
地 域 の 支 え と「 和 」~
ひろし
たかひろ
父の成田浩さん(写真左)
と息子の貴大さん
「獅子は自然と地区を繋げているんですよ。孫とかが
でていたら見にいくでしょ」と笑顔で話すのは古懸獅子
ひろし
舞保存会で庶務を務める成田浩さん。
1月11日、碇ヶ関にある介護老人保健施設で「初踊り」
が行われた。ここで踊るのは今回で連続3回目となる。
手をたたいてリズムを取る人、じっと見ている人など
見方はさまざまだが、踊りが終わると大きな拍手に包ま
れた。
「最後によかったねと拍手をもらえるのがやって
いて一番うれしい。地域に支えられて保存会は成り立っ
ているので、地域の皆さんに少しでも恩返しをしたいん
です」とみんな声を揃えて話す。
また、息子の貴大さんも自然と獅子舞に興味を持った
一人。
「物心ついた時から獅子のお話は家族の中でも自
か し こ
然とでていました。獅子頭をかぶりながら、お可笑と3
匹の獅子が囃子に合わせきれいに踊れているのを実感で
きる時があって、『獅子舞』っていいな!と。若い人が獅
子に少しでも興味を持ってくれたら、いくらでも教えた
い。必ず面白さを分かってくれるはず。新しい人がどん
どん入ることで、世代間交流が始まって、地域も活性化
していくと思います」と自信を持って話す。
ひろあき
また、保存会の会長である柴田博明さんは笑顔で語っ
わ ご う
てくれた。
「会員同士の『和合』が大事なんです。時には
お酒を飲みながら話すこともありますが、活発に意見交
換をしています。
また、今まで続けてこれたのは、この地区の人たちが
昔からみんな『結束力が強い』から。地元の人たちの協力
なしには続けていけない。これからも『和』を大切にして、
伝統芸能を伝承し続けていきたいと思っています」
古懸の獅子
安住の地を得た場面である「しめ縄踊」
約700年前の鎌倉時代から続く古懸獅子舞。
“安住の地”を求める情景を描いたものを「山か
け踊」というが、その時の象徴となる「山」
(樹皮か
竹の枝で象徴される)は通例1本か3本だが、古懸
では5本を用いる。
また「山かけ踊」の締めくくりには、さまざまな
苦難を乗り越え、安住の地を得た獅子がしめ縄を張
り、神々を招き土地をはらい清める見せ場がある。
この時の踊りを「しめ縄踊」という。
ひらかわ 2014.2
広報 7
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