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Philips LPC2138のJTAG 機能とSPI機能の活用事例

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Philips LPC2138のJTAG 機能とSPI機能の活用事例
第3章
安価なUSB接続JTAGツールを使ったARM7TDMIのソフト開発
Philips LPC2138のJTAG
機能とSPI機能の活用事例
冨田 寛美
LPC2138は大容量のフラッシュ・メモリを内蔵するARM7マイコンである.SRAMを32Kバイト
も内蔵しているので,たいていの組み込み制御用途においてはメモリを外付けすることなく使える.
ベクタ・テーブルを内蔵SRAM領域に変更する機能も備えており,ベクタ内容をダイナミックに切り
替えられる.ここではより安価なJTAGデバッグ・ツールの活用法と,SPI接続のEthernetコントロ
ーラを接続した事例について解説する.
(編集部)
JTAG ツールを使用することで,マイコン開発において
フラッシュ・メモリのプログラミングやデバッグなどを効率的
に行うことが可能です.
ここでは大容量フラッシュ・メモリ(512K バイト)を内蔵す
る LPC2138 を搭載した安価な CPU ボードを使い,JTAG ツー
グラム開発が行えることを目標に設計されました.
Cypress Semiconductor 社の EZ-USB を使用した「mini EZUSB」
(写真 2,p.88)を JTAG プローブとして使用すれば,
JTAG デバッガや JTAG 経由でフラッシュ・メモリの書き込み
を行うツールも使用できます.
ルの効果的な使用方法を紹介します.Philips Semiconductor 社
さらにフリーのツールであるコンパイラの GCC やデバッガの
の提供する LPC2xxx シリーズは,ARM7TDMI(以下,ARM7
GDB,GUI ツールの Insight を組み合わせることでロー・コス
と呼ぶ)をコアに使用した組み込み用 1 チップ・マイコンです.
トかつ使いやすい開発環境を簡単に構築できます.
また,SPI インターフェースを持つ最新の Ethernet コントロー
● Philips 社の LPC2138
ラ・チップ(ENC28J60)を使用して,オープン・ソースの
TCP/IP プロトコル・スタックを移植します.
Philips 社の提供する LPC シリーズは,ARM7 をコアに豊富
なペリフェラルを内蔵した 1 チップ・マイコンです.LPC シ
リーズは,内蔵フラッシュ・メモリや内蔵 RAM の容量,外部
1.mini EZ-ARM7 とは
データ・バスの有無,USB/CAN インターフェースの有無など
が異なる数十種類のラインナップがあります.特徴的なのは内
● 手軽に開発できる CPU ボード
EZ-ARM7(写真 1)は,Philips 社の LPC2xxx シリーズを搭
載した組み込み用 ARM7 ボードです.本ボードは,手軽にプロ
蔵の大容量フラッシュ・メモリを使用して,最大 60MHz ノー・
ウェイトで 32 ビット ARM コードを実行できる点です.図 1 に
LPC2138 のブロック図を示します.
mini EZ-ARM7 は本誌 2005 年 11 月号と 12 月号で紹介した
EZ-ARM7 の姉妹ボードになります.以前紹介した EZ-ARM7
は,144 ピン TQFP パッケージの LPC2214 を使用しており,ア
ドレス/データ・バスが外部に引き出されていました.
これに対して mini EZ-ARM7 に搭載されている LPC2138 は
64 ピン TQFP パッケージと小型であり,アドレス/データ・バ
スはなくなりました.しかし,内蔵メモリはフラッシュ・メモ
リが 512K バイト,SRAM が 32K バイトと倍増します.リアル
タイム用の水晶発振子(32.768kHz)を搭載しているので,バッ
テリ・バックアップ動作にも対応しています.
図 2(p.87)に LPC シリーズのメモリ・マップを示します.
● 豊富な内蔵周辺機能
内蔵する周辺機能としては,キャプチャやコンペア機能のあ
る高機能タイマ,SPI や I2C などのクロック同期式対応シリア
写真 1 LPC2138 搭載 CPU ボード mini EZ-ARM7
84
ル・コントローラ,調歩同期式対応の UART,PWM コント
KEYWORD ―― LPC2138,ARM7TDMI,USB 接続 JTAG,デバッグ通信チャネル,ENC28J60,EZ-USB,
EZ-ARM
Nov. 2006
第
Philips LPC2138 の JTAG
機能と SPI 機能の活用事例
3
ARM7TDMI-S
AHBブリッジ
システム・
ファンクション
PLL
システム・
クロック
RESET
XTAL1
XTAL2
テスト/デバッグ・
インターフェース
エミュレータ・
トレース・モジュール
TDO
TCK
TDI
TRST
TMS
章
1
ベクタ方式
割り込みコントローラ
2
ARM7ローカル・バス
AMBA AHB
3
4
内蔵SRAM
コントローラ
32Kバイト
SRAM
内蔵フラッシュ・
メモリ・
コントローラ
512Kバイト・
フラッシュ・
メモリ
AHB
デコーダ
AHB TO VPB
ブリッジ
5
VPB
デバイダ
6
7
EINT3:0
外部割り込み
コントローラ
I2Cシリアル・
インターフェース
SCL
SDA
SCK0,1
8×CAP0
8×MAT
キャプチャ/
タイマ0&1
SPIシリアル・
インターフェース 0&1
MOSI0,1
MISO0,1
SSEL0,1
TxD0,1
AD07:0
RxD0,1
AD17:4
AOUT
A-Dコンバータ
UART 0&1
D-Aコンバータ
リアルタイム・
クロック
(RTC)
DSR1, CTS1,
DCD1, RI1
RTXC1
RTXC2
Vbat
P0.31:0
P1.31:16, 1:0
P2.31:0
汎用I/O
ウォッチドッグ・
タイマ
PWM0
システム・
コントロール
P3.31:0
PWM6:1
図 1 ARM7TDMI 内蔵 1 チップ・マイコン LPC2138 のブロック図
Nov. 2006
News Flash ―― アールエスコンポーネンツ,エンジニアのためのコミュニティ・サイトを公開
アールエスコンポーネンツ(株)は,エンジニアのものづくりに関する経験や知識を生かし,問題解決に協力し合えるコミュニ
ティ・サイト「RS テックコミュニティ」を公開した.URL は,http://rs-techcom.jp/
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