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がん薬物療法の副作用とその対応

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がん薬物療法の副作用とその対応
がん薬物療法の副作用とその対応
はじめに
安心して治療を受けられるよう、病気のこ
とや、治療のこと、治療によって出現する副
作用のことを正しく理解することは大切。
使用するお薬で、出現する副作用や、どの
くらい出現するかなど違いがあり、症状に
よっては、出現したときにご自分やご家族で
対応できる事もあるため、対処法を知っても
らい上手に付き合ってもらえると良い。
本日のお話
薬物療法の種類について
がん治療薬の副作用が多い理由
副作用の発現時期と種類
それぞれの副作用について
症状、出現時期、対策、
生活上の注意点
「がん」とは・・
正常な細胞には増殖をコントロールする遺伝子があり、無
制限に増殖しないようにブレーキをかけてくれるが、何らか
の原因で、遺伝子に傷がつくと、細胞の増殖をコントロール
することが出来なくなり、細胞は無秩序に増え続ける。
速い速度で無制限に増殖し、周囲にしみ出るようにひろが
ったり、からだの他の場所(部位)に飛び火したりして(転
移)、次から次へとがん組織をつくってしまうのが特徴。
傷
.✔.
>
>
.✔.
正常細胞
.
がん細胞
(突然変異など)
転移
増殖
.✔.
.✔.
>
異遺
常伝
子
の
.✔.
>
>
.✔.
>
. .
4
がんの治療法について
治療は、がんが発生した部位、進行の程度
(転移の有無を含む)、患者さんの年齢や体
力、他の病気の有無など、様々な角度から検
討して適切な治療法を選択していく。
切り除く手術療法
放射線を照射する放射線療法
薬を使った治療法
全身へ薬をいき渡せる
ことにより、全身へ広
がる可能性のあるがん
細胞を治療するもの
薬を使った治療法
種類
抗がん剤
分子標的薬
ホルモン療法
機序
これらをまとめて化学療法と
がん細胞の増殖を妨げたり、細胞が
呼ぶ場合がある。
成長するのに必要な物質を作らせな
い
多くの治療法は、薬を投与す
特異的に発現しているがん細胞を攻
る日と休む日を計画的に組み
撃してがん細胞の増殖をおさえる
合わせ、スケジュールに沿っ
て繰り返し行う。
体内のホルモンの影響を受けて増殖
するがんに対し、ホルモンを調節す
種類によって副作用が異
ることによりがん細胞の増殖をおさ
なる。
える
本日のお話
薬物療法の種類について
抗がん剤の副作用が多い理由
副作用の発現時期と種類
それぞれの副作用について
症状、出現時期、対策、
生活上の注意点
抗がん剤の副作用が多い理由
抗がん剤は,効果が出る量と副作用を誘発する量の幅が極めて狭い。
一般薬
作
用
抗がん剤
作
用
効
果
効
果
副作用
投与量
副作用
投与量
8
抗がん剤の副作用が多い理由
抗がん剤
>
.✔.
がん細胞
細胞を攻撃して
やっつける効果
正常細胞
副作用
治療域の幅が狭い
ため強く出る
>
.✔.
細胞選択性に
乏しい
副作用には自覚症状のある
もの、ないものがある。
..
..
本日のお話
薬物療法の種類について
抗がん剤の副作用が多い理由
副作用の種類と発現時期
それぞれの副作用について
症状、出現時期、対策、
生活上の注意点
どんな副作用が起こるの?
正常な細胞の中でも特に分裂が盛んな血液
細胞や消化管細胞(口、胃、腸の粘膜)、
毛根の細胞に影響を及ぼしやすく、副作用
として症状が現れる。
☆一般的に出現する副作用☆
感染症、出血、貧血、下痢、吐き気、味覚変化、脱毛、
皮膚炎、爪の変化など
心臓や腎臓、膀胱、肺、神経組織の細胞が影響を受け
ることや生殖機能に影響を及ぼす事もある。
11
副作用出現時期と種類
自分で分かる副作用
アレルギー反応
血圧低下
呼吸困難
血管痛
吐き気、嘔吐
吐き気・嘔吐
食欲低下
便秘・下痢
けん怠感
筋肉痛・関節痛
経過(週)
脱毛
口内炎
下痢
けん怠感
1
2
手足のしびれ、耳鳴り
色素沈着
3
4
肝障害
腎障害
骨髄抑制
・白血球減少
・貧血
・血小板減少
検査で分かる副作用
12
予想される副作用を知ることで・・
対策を立てら
れる。
心の準備が
できる。
少し不安を取
り除ける。
副作用に対する
予防ができる。
起こったときに、
早く対処できる。
症状が重くなる
のを防げる。
生活する上で工夫したり、注意したりすることで、
症状を軽くできることも!
本日のお話
薬物療法の種類について
抗がん剤の副作用が多い理由
副作用の発現時期と種類
それぞれの副作用について
症状、出現時期、対策、
生活上の注意点
1、過敏症
①アレルギー症状 免疫のはたらきから起こる
②インフュージョンリアクション
免疫とは無関係で点滴注射の反応で起こる
症状
汗が出る
発疹
息苦しい
かゆい
胸が苦しい
血圧が下がる
出現時期
①アレルギー症状:点滴開始直後~投与中、数回後の点滴時
飲み薬:飲み始めて数日後
②インフュージョンリアクション:投与直後~24時間の間
⇒ 起こりやすいお薬:分子標的薬
1、過敏症
対策
治療薬を点滴を行う前に、あらかじめアレルギー
をおさえるお薬を点滴したり、服用したりする。
注意
アレルギーをおさえるお薬は、眠気が強く現れることがあるため、
運転等には注意!
他のお薬でアレルギー症状の経験があ
る場合は事前に申し出ることが重要。
2、血管痛
症状
点滴中に針をさしている所、腕が痛い。
出現時期
点滴中、点滴終了後、数日後
対策
点滴中・・温めて点滴、時間をかけて点滴
点滴終了後、数日後・・痛いところを冷やす、軟膏を塗る
3、吐き気、嘔吐
症状
最も何とかして
欲しい副作用
分子標的薬はほ
とんどない。
気持ち悪くて食事がとれない、水分がとれない
吐く、気持ち悪いのが続く
薬が飲めない
出現時期
点滴治療中、点滴治療が終わって数日間
飲み薬を飲んでいる間
お薬が開発され、以前
より軽くなっている。
症状の出やすさは、使用する薬の違いや、個人差がある。
3、吐き気、嘔吐
対策
治療薬の点滴を行う前に、吐き気止めのお薬を点
滴したり、吐き気止めのお薬を服用したりする。
吐き気止めのお薬にも様々な種類が
あるため、組み合わせて使うことで
軽くできることもある。
お薬は我慢せずに使用した方が良い。
吐き気が強い場合には、坐薬を用いる事もある。
3、吐き気、嘔吐
日常生活での対処法
☆予防
・治療の数時間前はたくさん食べないようにする
(特に、チーズなどの乳製品は消化されるまで時間
がかかるため控えた方が良い)。
・食事の量を少なめにする。
3、吐き気、嘔吐
日常生活での対処法
☆症状が現れたとき
・無理して食べない。
・横向きに寝て体を内側に曲げると良い。
・レモン水、炭酸水、氷水などでうがいをしたり、
氷やアメなどを口に含むと効果的。
・においに敏感な場合、花や香水などのにおいが強
いものは避け、換気を良くする。
・音楽を聴いたり、ゆっくり腹式呼吸をしたり、ヨ
ガをすることで楽になる事がある。
3、吐き気、嘔吐
日常生活での対処法
☆食事の工夫
・食べやすい物、食べたい物を少量ずつ、回数を分
けてゆっくり食べる。
・温かいとにおいを強く感じるため、冷まして食べ
る。
・揚げ物、煮物、煮魚や焼き魚などを避ける。
・少量でもカロリーや栄養素を補うことができる栄
養補助食品などを試すのもひとつ。
3、吐き気、嘔吐
日常生活での対処法
☆食べやすい食品の例
・冷たくて口当たりがよく飲みやすいもの
たまご豆腐、茶わん蒸し、豆腐、
ゼリー、プリン、シャーベット、アイス
・消化のよいもの
おかゆ、煮込みうどん、雑炊、野菜スープ
4、便秘
抗がん剤や吐き気止めのお薬によって、腸の動きが弱く
なり、普段よりも便がでにくくなったり、おなかがはっ
たり、硬くなったりする。
食欲がおちて栄養のバランスが崩れるのも原因。
出現時期
点滴治療が終わって数日間
吐き気止めのお薬を飲んでいる間
数週間、数ヶ月間
吐き気の原因にもなる!
4、便秘
①と②を一緒に飲むことで、
調節できる場合もある。
対策:下剤を調節して使用する
①腸の動きを活発にする下剤
②便が硬くなるのを防ぐ(便を軟らかくする)下剤
下剤は調節が必要となるため、調節方法を理
解することも重要。
点滴後に便秘なる場合は、治療開始前日から
下剤を飲む!
4、便秘
日常生活でこころがけること
・水分を多めにとるよう心がける。
・野菜など繊維質の多い食べ物やヨーグルトなどの
乳酸菌製品などをとる。
・無理のない程度の運動をする。
繊維質の多い
食べ物の例
いも類
さといも、さつまいも、こんにゃく
豆類
おから、納豆、大豆、煮豆
野菜類
ごぼう、ほうれん草、かぼちゃ、ブロッコリー
果物類
バナナ、りんご、柿
きのこ類
しいたけ、しめじ、えのきたけ、なめこ
海藻類
ひじき、わかめ、こんぶ
5、下痢
腸管の粘膜が薬よって刺激をうけたり、消化管の粘膜がダメ
ージをうけたりして起こる。
出現時期
点滴治療が終わって2日~10日
(薬の種類によっては急に起こるものもある)
飲み薬を飲んでいる間
5、下痢
激しい下痢(水様便が1日に何度も続く)、長引
く下痢は連絡を。
対策
下痢止めのお薬、整腸剤の使用
ひどい場合は、水分や電解質補給の輸液を点滴する
5、下痢
日常生活でこころがけること
・腸にやさしい消化の良いもの(おかゆ、うどん等)
を何回かに分けて食べる。
・刺激の強いもの(冷たいもの、コーヒー、脂肪分の
多いもの、繊維質の多いもの等)、牛乳や乳酸菌製品
は避ける。
・水分補給をする。スポーツドリンクは脱水予防に
効果的。
・肛門周囲を清潔にする。拭くときはこすらない。
・おなかを温めてみる。
×
6、けん怠感
症状
だるい、疲れやすい、体が重い、何もやる気が起こらない、
体に力が入らない、身の置きどころがない
出現時期
点滴治療後
飲み薬を飲んでいる間
6、けん怠感
日常生活でこころがけること
・自分のペースで生活する。無理しない。
・エネルギーの消耗を少なくするようにスケジュー
ル調整をする。
・十分な睡眠をとる。
・協力してもらえる事は頼む。ひとりで頑張らない。
・入浴、音楽、テレビ、ラジオ、趣味などでリラッ
クスする。
7、口内炎
症状
口の中・舌・くちびるが痛い、食事や飲み物がしみる、口の
中の粘膜に白いものがついている、口の粘膜から血が出る
①口の中の粘膜(舌、歯ぐき、くちびる、ほほの内側)
がダメージを受けて起こる。
②口の中の雑菌が増えて起こる。
出現時期
点滴治療後2週間くらい
飲み薬を飲んでいる間
7、口内炎
日常生活でこころがけること
・日頃から口の中のケアを歯科で行ってもらう。治
療前に歯科で歯みがきの指導や入れ歯のチェックを
受けておくと良い。
・食後と寝る前に歯みがきやうがいを行い、口の中
を清潔に保つ。
・口の中を乾燥させないようにする。こまめな水分
補給やマスクをつけて寝るなど。
・歯ブラシは小さめのやわらかいブラシのものを使
うと良い。
7、口内炎
×
日常生活でこころがけること
☆口内炎ができたときの食事の工夫
・熱いものを避け、冷まして食べると刺激が少ない。
塩分や酸味、刺激の強いもの(かんきつ類、辛いも
の)は避ける。
・やわらかい食事(おかゆ、煮込んだうどん等)、ミ
キサーでつぶしたりすると食べやすい。
・牛乳やたまご豆腐などはしみにくくて食べやすい。
対策:うがい薬、塗り薬、痛み止めの使用
8、しゃっくり
抗がん剤や吐き気止めによって、横隔膜がけいれん
して生じることがある。
出現時期
点滴治療後(まれに数日間)
対策:治療に関係なくしゃっくりが出たときの対応と同様。
・大きく深呼吸する。
・水をゆっくり飲んでみる。
9、感染症(骨髄抑制:白血球(好中球)減少)
症状
白血球(好中球)の役割
病原菌が身体の中に入った
とき、増えるのをおさえる
38度以上の発熱、寒気・ふるえ、せき・のどの痛み、歯肉炎
・虫歯・口内炎、排尿時痛、下痢・腹痛・肛門痛、発疹など
薬の影響で白血球(好中球)が減少すると、病原菌に対する
抵抗力が落ちて、いろいろな部位(鼻や口の中、皮膚、肛
門、腸、尿路等)で感染症を起こす可能性がある。
出現時期
点滴治療後7~14日目頃
飲み薬をみ始めてから7~14日目頃
9、感染症(骨髄抑制:白血球(好中球)減少)
受診時は血液検査で確認し、白血球が減っていた
ときは治療が延期されることもある。
成人の正常な白血球の数・・約2,000~8,000/mm3
好中球の数・・白血球数の40~70%くらい
リスクが高まる
白血球の数:2,000/mm3以下
好中球の数:1,000/mm3以下
使用するお薬
・白血球を増やす注射薬
・抗生物質の飲み薬や注射薬
9、感染症(骨髄抑制:白血球(好中球)減少)
日常生活でこころがけること
・食事やトイレ、外出後の手洗い(指の間も)。
・朝起きたとき、外出後、食事前のうがい。
・体を清潔に保つ。トイレの後の洗浄、皮膚を乾燥さ
せない。
・口の中を清潔に保つ。
・人ごみに行くときはマスクをつけて外出。
・風邪、インフルエンザなどにかかっている人には近
づかない。予防接種をする際は相談を。
・庭いじりは手袋を使用、爪は短め、ひげそりは電気
カミソリを使うと良い。
10、貧血(骨髄抑制:赤血球(ヘモグロビン)減少)
赤血球(ヘモグロビン)の役割
酸素を全身に運ぶ
症状
息切れ、めまい、立ちくらみ、ふらつく、
疲れやすい、脈拍が増える、動悸、結膜が白い、爪の色が
白い、手足が冷たいなど
※貧血症状のあらわれ方には、個人差がある。
出現時期
点滴治療後7~14日目頃から徐々に
飲み薬を飲み始めてから7~14日目頃から徐々に
10、貧血(骨髄抑制:赤血球(ヘモグロビン)減少)
受診時は血液検査で確認し、赤血球が減っていた
ときは治療が延期されることもある。
成人の正常なヘモグロビンの数・・男性13g/dL
女性12g/dL
日常生活への支障
ヘモグロビンの数:7g/dL以下
対応策
輸血をすることがある。
10、貧血(骨髄抑制:赤血球(ヘモグロビン)減少)
日常生活でこころがけること
・バランスの取れた食事、特に、鉄分(レバー、豆類、
ほうれん草、貝類等)、血液の成分であるたんぱく質(魚、
肉、牛乳等)の多い食品をとると良い。
・ゆっくりと立つ、起き上がる。
・息切れや動悸がしない程度でゆっくり歩く。
・疲れやすい場合は、十分な休養をとる。
・症状があるときは、激しい運動は避けて無理しない。
・協力をしてもらって頑張り過ぎない。
11、出血(骨髄抑制:血小板減少)
血小板の役割
出血を止める
症状
血が止まりにくい、内出血、かゆくてかいた後の点状出血、
歯みがきすると歯ぐきから出血、鼻血、血便・血尿など
出現時期
点滴治療後7日目~始まり14~21日目頃最低値
飲み薬を飲み始めてから7~14日目頃から徐々に
11、出血(骨髄抑制:血小板減少)
受診時は血液検査で確認し、血小板が減っていた
ときは治療が延期されることもある。
成人の正常な血小板の数・・13万~37万/mm3
症状が現れる
血小板の数:10万/mm3以下
対応策
輸血をすることがある。
11、出血(骨髄抑制:血小板減少)
日常生活でこころがけること
・やわらかい歯ブラシを使用する。
・ぶつけない、傷を作らない、転ばないようにする。
・鼻をかむ時はやさしくかむ。
・ひげそりは電気カミソリの方が良い。
・ハサミや包丁を使う際は注意する。
服用中のお薬以外にも、市販薬、サプリメントの中
にも出血しやすくなるお薬があるため注意。
12、手足のしびれ(末梢神経障害)
出現頻度の高い薬剤
症状
例:パクリタキセル、ドセタキ
セル、オキサリプラチン、シス
プラチン、ビンクリスチンなど
手先・足先・足の裏がビリビリする、刺すような痛み、
感覚がにぶい、紙をめくりにくい、ボタンを留めにくい
など
出現時期
点滴治療後14日~21日目以降
⇒治療終了後も年単位で残る場合がある
治療期間が長くなると起こりやすい
対応策
・治療薬の量を減らす、休む、治療薬を変更する
・しびれを和らげるお薬の使用
12、手足のしびれ(末梢神経障害)
日常生活でこころがけること
・熱い感覚もにぶくなるため、やけどに注意する。
・傷をつくらないよう注意する。
・転ばないように注意する。
・お風呂などで温めると循環が良くなり、症状が和ら
ぐことがある。
症状が強くなる前に、我慢せずに相談!
13、筋肉痛・関節痛
出現頻度の高い薬剤
例:パクリタキセル、ドセタキセルなど
症状
手・足・肩・腰などの関節が痛い・だるい・重い
出現時期
点滴治療後2日~5日目頃
⇒数日で改善
対応策
・痛み止めや漢方薬、シップの使用
日常生活での対策
・お風呂などで温めると循環が良くなり症状が軽くな
ることがある。
14、脱毛
薬の種類によって頻度
に違いがある。
分子標的薬にはない。
髪の毛を作る毛母(もうぼ)細胞は薬の影響を受けやすい
ため、抜ける。
髪の毛以外の部分(まゆ毛、まつ毛などの体毛)でも起
こる。
抜ける時、頭皮のピリピリ感、違和感を感じることがあ
る。
出現時期
点滴治療後14日~21日後から
⇒治療が終われば3~6ヶ月後には戻ってくる
14、脱毛
精神的ダメージが大きい
事前に起こるか確認する
と良い
日常生活でこころがけること
・あらかじめ、医療用かつら(ウィッグ)や帽子など
を用意し心の準備をしておくと良い。直射日光などか
ら頭皮を保護できる。
・髪の毛をあらかじめ短くしておくと処理しやすい。
・髪を洗う際は、指の腹で洗い、刺激の少ないシャン
プーを使うと良い。
・ブラシは、やわらかい物を使う。
・ドライヤーは低温で使用。
・刺激の強いパーマやカラーリングは避けた方が良い。
15、皮膚障害
出現頻度の高い薬剤
①手足症候群
例:カペシタビン、TS-1、
5-FU、レゴラフェニブなど
症状
手足のチクチク・ヒリヒリ、ほてる、赤く腫れる、角質
が厚くなる、ひどいと水ほうなど 出現頻度の高い薬剤
例:セツキシマブ、パニツ
ムマブ、ゲフィチニブ、エ
ルロチニブなど
②ざそう様皮疹、乾皮症、爪囲炎(そういえん)
症状
頭・顔から胸や背中・お腹などにニキビのようなもの
ができる、皮膚の乾燥・ひび割れ、かゆみ、爪のまわ
りの炎症
15、皮膚障害
日常生活でこころがけること
・保湿が一番の予防のため保湿クリームを、手洗い後、
入浴後、寝る前など、こまめに塗る。爪の周りも忘れ
ずに。
・皮膚を清潔に保つ。
・帽子や長袖の衣類、日焼け止めを使用して紫外線か
ら皮膚を保護する。
・綿の手袋や靴下を身につけ、保護する。
・水仕事やお湯に触れる時は手袋をつける。
・爪は短くする(深爪には注意)。
16、味覚障害
出現時期:数週間後~
食べ物の味や食感が変化する
砂をかんでいる感じ、舌に薄皮がはった感じ、
味がわかりにくい、味を強く感じる、苦さを感じる
味を感じる細胞や神経がダメージを受けて生じたり、
口内炎や末梢神経障害を生じると起こしやすくなる。
対策
・うがいをして口内炎にならないようにする。
・濃い味付けや酸味をきかせたりして味にアクセ
ントをつけた食事にしてみる。
・舌も舌ブラシやスポンジブラシできれいにする。
出現頻度の高い薬剤
17、色素沈着
例:カペシタビン、TS-1、
5-FU、レゴラフェニブなど
皮膚の色が黒ずんでくる
出現時期
1か月~数カ月後
⇒治療が終われば戻る
日常生活でこころがけること
・帽子や長袖の衣類、日焼け止めを使用して紫外
線から皮膚を保護する。
18、高血圧
分子標的薬(血管新生阻害剤)
ベバシズマブ、ラムシルマブ、
ソラフェニブなど
血圧が徐々に高くなる(治療が長くなると)
血圧が急に高くなる(まれに)
頭痛、めまいや耳鳴り、動悸など
日常生活でこころがけること
・家での血圧測定。1日のだいたい同じ時間に、
血圧をはかり記録する。
・塩分を取り過ぎないようにする。
対応策:降圧剤の使用
その他の注意点
健康食品、サプリメントについて
数多くのものがあり、情報が飛びかっていて
混乱するのでは?治療に影響する場合がある
ため、使用する前もしくは使用している場合
には、必ず相談を!
免疫力を高める!?
がんに効く!?
最後に・・
全ての副作用が出るわけではありません。
我慢せずに、医療スタッフでご相談ください。
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