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身近な運動

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身近な運動
高校受験コース
中学 3 年
理 科
トップレベル
「要点」見本
*「要点」は『Z Study サポート』に 1 年分をまとめて掲載。実際の教材ではサイズは B5 です。
VP0320181A-01
身近な運動
1
身近な運動
物体の運動のようすは,運動する速さや向きで表さ
れます。私達の身近には,運動のようすが変化する例
が多くあります。
①物体の運動の向きと違っ
た角度で力がはたらくと
運動の向きが変わる。
②物体の運動の向きと同じ
向きに力がはたらくと
物体の速さは速くなる。
①向きが変わる運動
②速さが増していく運動
③速さが減っていく運動
④速さも向きも変わらない運動
したがって,物体の運動のようすの変化は,運動す
④抗力と重力はつり合っている
ので速さも向きも変わらない。
③物体の運動の向きと反対
の向きに力がはたらくと
物体の速さは遅くなる。
る速さや向きの変化を観察すればわかります。
①は運動の向きと違った角度で力を受ける運動で
斜面
す。
炭二
素酸
の化
層
摩擦のある面
②は運動と同じ向きに力を受ける運動です。
抗力
ドライアイス
重力
ガラス板
③は運動と反対向きに力を受ける運動です。
④は力を受けていないか,はたらいている力がつり合っている運動です。
POINT
・物体の運動のようすは,運動する速さや向きで表される。
・物体に力がはたらくと,物体の運動の速さや向きが変化する。
さらにくわしく
物体の運動のようすは
・記録タイマー
・ストロボスコープ
などを使用して調べるこ
とができる。
練習問題(基本)Û
2
作用・反作用
[作用と反作用]
力は常に 2 つの物体間で,たがいに力をおよ
図1
ぼし合うようにはたらきます。
物体A
図 1 のように A,B の 2 つの物体間でおよぼ
し合う力を考える場合,物体 A から物体 B に
はたらく力を作用とすると,反対に物体 B か
※力の作用点は
それぞれ力を
受ける相手の
物体にある。
物体B
ら物体 A にはたらく力を反作用といいます。
〔例〕
・ばねの両端を持って引きのばす場合(次ページ図 2 )
作用…手がばねを引く力 反作用…ばねが(もとにもどろうとして)手を
引く力
・手でりんごを支える場合(図 3 )
作用…りんごが手をおす力 反作用…手がりんごをおし返す力
・ローラースケートをはいて,壁をおす場合(図 4 )
作用…手が壁をおす力 反作用…壁が手をおし返す力
・ローラースケートをはいたものどうしでおし合う場合(図 5 )
作用… A 君が B 君をおす力
反作用… B 君が A 君をおし返す力
さらにくわしく
はたらいている力を言葉
で表す場合,「○○が△
△を××する力」を「△
△が○○を××し返す
力」と言いかえられる場
合には作用・反作用の関
係にあると考えてよい。
VP0320181A-02
図2
図4
壁をおすと
自分が動く。
図5 B君をおすと,同時に
A君自身も動く。
A君
B君
図3
作用と反作用には,次の関係があります。
チェック問題
練習問題(応用)Û
①作用と反作用は一直線上にある。
②作用の力の向きと反作用の力の向きは反対である。
③作用の力の大きさと反作用の力の大きさは等しい。
POINT
・力は常に 2 つの物体間ではたらき合う。
・およぼし合う力の片方を作用,もう一方を反作用という。
_作用と反作用は一直線上にある。
`作用の力の向きと反作用の力の向きは反対である。
a作用の力の大きさと反作用の力の大きさは等しい。
[作用・反作用と力のつり合いの違い]
右の図のように,床に置いてある物体について,作用・反作用と力のつり合いを考
えてみます。
作用・反作用
①作用・反作用 2 つの物体に着目する。
! 2 つの物体の間でおよぼし合う力
床が物体を
おす力
(反作用)
作用…物体が床をおす力 反作用…床が物体をおし返す力
"力の作用点はそれぞれ力を受ける物体にある。
作用の作用点…床
反作用の作用点…物体
物体が床を
おす力
(作用)
# 作用と反作用の力関係は上の POINT の_∼aをみたす。
②力のつり合い 1 つの物体に着目する。
力のつり合い
!1 つの物体にはたらく力
地球が物体を引く力(重力)も床が物体をおす力(抗力)もともに
物体にはたらいている。
床が物体を
おす力
(抗力)
"力の作用点が 1 つの物体の中にある。
重力の作用点…物体の中心 抗力の作用点…物体
# 次の力のつり合いの 3 条件をみたす場合に限り,2 力がつり合う。
_ 2 力は一直線上にある。
` 2 力の向きが反対である。
a 2 力の大きさが等しい。
地球が物体を
引く力
(重力)
VP0320181A-03
POINT
作用・反作用と力のつり合いの違い
力のはたらきかた
作用点
作用・反作用
2 つの物体の間でおよぼし合う力
それぞれ力を受ける物体の中にある
力のつり合い
1 つの物体にはたらく力
1 つの物体の中にある
作業
次に示された力の反作用の力を作図しなさい。なお,反作用の力の作用点は図中の・で示し
てあります。
¸ スケートボードにのって壁をおす。
¹ ボート上の A がロープを引く。
A
3
B
記録タイマー
物体の運動をくわしく調べるためには,物体がいつ,どこにあるかを正確に記録す
る必要があります。そのために,次のような装置があります。
[物体の運動の記録]
①記録タイマー しくみ,使いかたについてはあとでくわしく述べます。
②ストロボスコープ
一定の短い時間間かくで発光を繰り返す装置で,これを用い
ることにより,物体の一定時間ごとの位置の変化を 1 枚の
写真(ストロボ写真)に記録することができます。
POINT
物体の運動を正確に記録する装置 記録タイマー,ストロボスコープ
[記録タイマーのしくみ]
振動板
記録タイマーは直線的な運動をする物体の位
置を短い時間間かくで記録することのできる装
テープ
振動板
置で,右の図のようなしくみになっています。ス
イッチを入れると,振動板が振動し,カーボン紙
記録テープ
打点
を通して記録テープ上に点を打っていきます。振
動板の 1 秒間の振動数は東日本で 50 回,西日本
1
カーボン紙
で 60 回,打点間の時間は東日本では
秒,西
50
1
日本では
秒となります。したがって,東日本では 5 打点の時間が
60
1
[秒/打]× 5[打]= 0.1[秒]
50
1 打点ごとにテープの動いた距離
VP0320181A-04
となります。
記録テープを取りつけて物体を運動させることにより,一定時間ごとの物体の移動
距離がわかります。
[記録タイマーの使いかた]
①記録テープの一端を物体に取りつけ,テープを記録タイマーにセットする。
注意しよう
記録テープのはじめのほ
うは打点が重なってしま
い正確ではないので,打
点がはっきりと区別でき
るところから打点の間か
くを調べる。
②記録タイマーを作動させ,物体を運動させてテープを引かせる。
③テープに記録された打点から,物体の運動を調べる。
0
10
5
0.1 秒間
0.1 秒間
15[cm]
0.1 秒間
打点がはっきり区別できるところから,0.1 秒ごとの打点を調べる。
たとえば,右の図の場合, 5 打点打つのに,0.1 秒かかり,
5 打点分の間かくが 3.5cm あるので,この区間での速さは
3.5[cm]
= 35[cm/秒]
0.1[秒]
0.1 秒間
3.5 cm
と計算することができます。
作業
解説
反作用の力は作用の力と一直線上にあり,向きが反対で大きさが等しい力です。したがって,反
作用の矢印は作用の矢印と向きが反対で,長さが等しく,一直線上になるように作図します。
¸
¹
A
B
チェック問題
くうらん
力の性質について述べた次の文章の空欄にあてはまる語句を答えなさい。
物体 A から物体 B に力がはたらくとき,同時に物体 B から物体 A にも力がはたらきます。この 2 つの力
の片方を作用というとき,もう一方を( ① )といいます。このように力は常に 2 つの物体の間でたが
いに力をおよぼし合うようにはたらきます。そして,作用の力と( ① )の力は( ② )上にあり,向
きが反対で,大きさが( ③ )という関係があります。
①(
)
解答
① 反作用 ② 一直線 ③ 等しい
②(
)
③(
)
VP0320181A-05
速さの求めかた
1
記録テープの分析
[記録テープの分析]
①物体の移動距離 打点間の距離をものさしではかる。
②かかった時間
打点数を数える。数えかたは,右の図を参照。たとえば,
AB 間は 5 打点と数える(つまり, 5 打点とは 5 区間の意
A
B
1
2
3 4
5
味)
。
③打点間かくのようす 運動のようすを表している。
打点間かくが等しい→速さが一定。
打点間かくがだんだん広くなる
→だんだん速くなる。
打点間かくが広い→速い。
打点間かくがだんだんせまく なる
→だんだん遅くなる。
打点間かくがせまい→遅い。
POINT
打点間かくのようすから運動のようすがわかる。
[記録テープの処理]
台車が走り始め,打点がはっきりと区別で
きるところから, 5 打点( 1 秒間に 50 回打点
するタイマー)または 6 打点( 1 秒間に 60 回
打点するタイマー)ごとにテープを切り,右の
図のように時間の順番に紙にはりつけます。
1 秒間に 50 回打点する記録タイマーでは,
0.1
秒
間
に
進
ん
だ
距
離
[cm]
10
8
6
注意しよう
記録テープの最初のほうの
打点の重なった部分は使
わない。
4
2
0
5 打点の時間は
1
[秒/打]× 5[打]= 0.1[秒]
50
となります。
右上の図は 5 打点ごとにテープを切り,時間の順番に横に並べたもので,図の
縦軸は 0.1 秒間に進んだ距離(台車の速さ)
横軸は 時間
を表しています。このときテープの幅が 0.1 秒を表していることになります。
POINT
記録テープをはってつくったグラフではグラフの縦軸は一定時間に進んだ距
離(速さ)
,横軸は時間を表す。
練 習 問 題( 基 本 )Ü
¸¹
VP0320181A-06
2
速さの求めかた
[速さ]
時間とともに物体の位置が変わるとき,その物体は運動しているといいます。物体
の運動のようすは,物体の位置が時間の経過につれてどのように変化するかを調べる
ことによって,知ることができます。このとき,時間の基準として用いられる, 1 秒,
1 分, 1 時間などを単位時間といいます。また,物体が単位時間あたりに進む距離は
速さとよばれ,速さの単位として m /秒を用いた場合,次の式で求められます。
速さ[m /秒]=
移動距離[m]
かかった時間[秒]
POINT
注意しよう
速さの単位としては
m /秒のほかに移動距
離に cm や km ,単位時
間に分や時を用いた
cm /秒,km /時,
m /分などが用いられ
ることもある。
また,m /秒はメート
ル毎秒, cm /秒はセン
チメートル毎秒,m /分
はメートル毎分,km /時
はキロメートル毎時と読
む。
速さ 物体が単位時間に移動する距離
速さ=
移動距離
かかった時間
[時間−速さのグラフ]
横軸に時間,縦軸に速さをとったグラ
フでは,横軸とグラフ線で囲まれた部分の
面積が移動距離を表します。
右の図のようなグラフが得られた場合,
移動距離は斜線部分の面積として求める
90
速
80
さ
70
[km/時]
60
50
40
30
20
10
0
さらにくわしく
速さが変化する運動でも移
動距離はグラフの面積で求
めることができる。
①
②
速
さ
0
1
2
3
ことができます。
4
5
この面
積が移
動距離
を表す。
6
時間[時]
① 60[km /時]× 1[時間]+ 50[km /時]× 1[時間]= 110[km]
0
0
時間
② 70[km /時]× 1[時間]+ 80[km /時]× 1.5[時間]= 190[km]
POINT
チェック問題¸¹
時間−速さのグラフでは,移動距離は面積で求めることができる。
3 平均の速さと瞬間の速さ
間の速さ]
[平均の速さと瞬
しゅんかん
移動した全体の距離をかかった時間で割って求めた速さを,平均の速さといいます。
これに対して,自動車や列車のスピードメーターや球速をはかるスピードガンの表示
する速さのように時間を非常に短くして求めた速さを瞬間の速さといいます。
POINT
平均の速さ 移動した全体の距離をかかった時間で割って求めた速さ。
瞬間の速さ ごく短い時間の速さ。速度計などに用いられる。
チェック問題º
VP0320181A-07
[平均の速さの求めかた]
平均の速さは,移動した全体の距離をかかった時間で割って求めます。
① 100m を 10 秒で走る陸上選手の速さ
100[m]
= 10[m /秒]
10[秒]
②東京・博多間およそ 1100km を 5 時間で走る「のぞみ号」の速さ
1100[km]
= 220[km /時]
5[時間]
注意しよう
速さを比べるときには単
位を同じにして比べる。
10m /秒は 36km /時と
同じである。陸上選手よ
りのぞみ号のほうが速い。
練習問題(基本)ܺ
練習問題(応用)Ü
①,②の速さは,単位が異なるため,速さの比較が簡単にはできません。速さの比
較のためには,単位を変換して,そろえる必要があります。
[速さの単位の変換]
速さの単位はたがいに変換することができます。たとえば,km /時を m /秒や
かんさん
cm /分などに変換することができます。なお,次のことは単位を換算する際によく
使うので覚えておきましょう。
1[km]= 1000[m]= 100000[cm]
1[時間]= 60[分]= 3600[秒]
① 1[km /時]を[m /秒]に換算 1000[m]
= 0.277 …[m /秒]
3600[秒]
よって,1km /時は,およそ 0.28m /秒です。
1[km /時]=
② 1[km /時]を[cm /分]に換算
1[km /時]=
100000[cm]
= 1666.6 …[cm /分]
60[分]
よって,1km /時は,およそ 1667cm /分です。
km /時と m /秒との変換は次のようにすると簡単に求めることができます。
・ km /時→ m /秒 3.6 で割る
・ m /秒→ km /時 3.6 をかける
次の問に答えなさい。
¸ 家から学校まで,1.5km を 20 分間で進んだときの平均の速さは何 km /時ですか。
¹ 0.1 秒間で,12.8cm 進んだときの平均の速さは何 cm /秒ですか。
º 72km /時を m /秒で表しなさい。
» 30m /秒を km /時で表しなさい。
VP0320181A-08
¸ 20 分は時間の単位で表すと
20
1
= [時間]です。したがって
60
3
1.5[km]
= 4.5[km /時]
1
[時]
3
別解
20 分間で 1.5km 進んでいるので,1 時間(= 60 分)なら,その 3 倍
の 4.5km 進むことになります。したがって,20 分間で 1.5km 進んだと
きの平均の速さを時速で表すと 4.5km /時となります。
¹ 12.8[cm]
= 128[cm /秒]
0.1[秒]
º 72[km /時]=
(72×1000)[m]
= 20[m /秒]
3600[秒]
別解
72[km/時]
= 20[m /秒]
3.6
0.03[km]
= 108[km /時]
» 30[m /秒]=
1
[時]
3600
別解
30[m /秒]× 3.6 = 108[km /時]
チェック問題
くうらん
物体の運動について述べた次の文章の空欄にあてはまる語句を答えなさい。
¸ 時間とともに物体の位置が変わるとき,その物体は( ① )しているという。
①(
)
¹ 1 秒, 1 時間といった( ② )あたりに,物体が移動する距離は( ③ )とよばれ,次の式で表
されます。
( ③ )=
( ④ )
( ⑤ )
②(
④(
º
)
)
③(
⑤(
)
)
運動している物体が,ある地点からごくわずかな時間に移動した距離をその時間で割って求めた
( ③ )を( ⑥ )といい,移動した全体の距離をかかった時間で割って求めた( ⑦ )とは区別
してあつかいます。
⑥(
)
⑦(
解答
¸ ① 運動 ¹ ② 単位時間 ③ 速さ
º ⑥ 瞬間の速さ
⑦ 平均の速さ
④ 移動距離 ⑤ かかった時間 )
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