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新潟大学 - 三重大学病院

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新潟大学 - 三重大学病院
新潟大学・新潟医療福祉大学・新潟薬科大学
「オール新潟による『次世代医療人』の養成」
平成28年度までの成果と今後の展望
新潟大学医歯学総合病院 次世代医療人育成センター
井口清太郎、鈴木翼、黒川亮、
藤澤純一、小泉健、長谷川隆志、鈴木榮一
2016.11.18 未来医療研究人材養成拠点形成事業テーマB 第4回公開フォーラム
三重大学 三翠ホール
オール新潟による『次世代医療人』の養成
新潟県の地域的メリット
超高齢社会の課題
多様な地勢
・高齢者疾患の増加 とくに誤嚥性肺炎や生活不活発病など
・変容する高齢化社会の状況把握や分析の不足
・厚労省「健康日本21」でも取り上げられているソーシャルキャピタルなどの
社会指標と地域の健康水準との関連は未知数
・「治す医療」から、「生活に寄り添い支える医療」へのニーズの拡がり
人的資源
オール新潟:人だけでなく多様な地域、組織、職種も含めた連携
・新潟大学地域枠医学生(12名/年)等
・疾病予防、健康増進および介護予防活
動に関心を持つ医療系学生
・総合診療医を目指す初期/後期研修医
次世代医療人
養成コース
明日の日本を
映す鏡
豪雪地・離島・平野部・山間地から都
市部まで広がる多様なフィールド
・高齢化率40%!!
超高齢化を20年先取りする中山間地
・これから高齢化する都市部など多様性
ある人口分布
新潟大学医歯学連携
新潟医療福祉大学
新潟薬科大学
次世代医療人育成センター
・医歯学連携、歯科衛生士、言語聴覚士等の連携による
口腔ケア対策を学ぶ(プライマリ、アドバンスドコース)
・口腔ケアチームへの帯同実習(プライマリコース)
・リハビリ科、理学療法士との連携による生活不活発病予防
への対処(プライマリ、アドバンスドコース)
H26年度以降5名/年
H28年度以降10名/年
医学科
プライマリコース(3年間)
初期・後期研修医・大学院生
アドバンスドコース(5年間)
・訪問服薬指導、訪問リハビリなど在宅
医療に関わる分野も経験し、地域に
寄り添い支える医療を学ぶ(プライマ
リコース)
予防的視点・機能回復そしてリサーチマインドを
兼ね備え、地域医療に資する総合診療専門医
『次世代医療人』の養成
・医学教育
新潟県
・医師確保
地域医師会 等の面で緊密に連携
・「健康ファイル」「連携ノート」などを通し
「生活に寄り添い支える医療」の実践教
育(アドバンスドコース)
・「疾病・介護予防」「機能回復」をテーマとしたナイトスクー
ルなど展開(プライマリ・アドバンスドコース)
・ICT(GIS等)を駆使したソーシャルキャピタルに関する健康
調査(プライマリコース)
新潟県医療人育成センター
(シミュレーションセンター)
魚沼基幹病院
魚沼地域医療教育センター
・学生時代からコホートスタディに関与することでリサーチマ
インドを醸成する(プライマリコース)
・疫学リサーチを卒後も継続し、大学院の社会人入学も可能
とする(アドバンスドコース)
佐渡プロジェクト
魚沼コホートスタディ
・シミュレーター実習(プライマリ
コース)
・高齢者疾患、特に心血管呼吸
器疾患に対応したシミュレータ
教育(アドバンスドコース)
・二次医療圏内の病院群を形成して総合診
療専門医の養成プログラムを開発(アドバ
ンスドコース)
・超高齢地域における診療従事(アドバンスド
コース)
地元自治体
住民
次世代の医療人に求められる能力
• 高齢者に対応できる総合診療能力
– パーツとして治療するのでなく全人的な対応
– 医科歯科連携の元で口腔ケアの充実により誤嚥性肺炎の
予防に寄与する能力
– 認知症、生活不活発病へ対応する能力
– 健康体になれずとも、地域で暮らしていくために介護や
福祉をコーディネートしていく能力
• 社会の変化、健康・幸福感へ寄与する種々の要因を
リサーチする能力
具体的には…
• ソーシャルキャピタルなど社会的な背景に着目
し、高齢化社会をリサーチできる能力
• 医科歯科連携・歯科衛生士・言語聴覚士などの
連携の元で口腔ケアチームによる誤嚥性肺炎の
予防を教育すること
• 理学療法士、作業療法士等との連携による生活
不活発病などの予防を教育すること
• 医療モデルだけでなく、生活モデルへの対応
新潟医療福祉大学との連携
• 理学療法学科、作業療法学科などとの連携による生活
不活発病予防の啓発活動
• 言語聴覚士との連携による喋下訓練や口腔ケアの充実
• 医療系学生のWS・FWへの参加
新潟薬科大学との連携
• 服薬コンプライアンスを高めるための啓蒙活動・学生教
育
• 医療系学生によるトータルヘルスケアワークショップと
フィールドワークへの参加
事業による成果
① 医学研究実習
② トータルヘルスケアワークショッ
プ&フィールドワーク
③ 「健康とくらしの調査」
④ 新潟のソーシャルキャピタルを考
える会
医学研究実習
新潟大学医学部医学科3・4年生
が、新潟県魚沼市の豪雪中山間
地域に赴いて、各戸訪問による
アンケート調査を実施。
回答者数
平成25年度: 92名
平成26年度:168名
平成27年度:105名
平成28年度:140名(予定)
●調査結果と解析
:魚沼市
:新潟市
対象となった地区は、山間部に位置し、独居高齢者が非常に多い。
しかしながらうつや閉じこもり状態の者は少なく、地域への信頼が
厚いことが分かった。また食事の多様性があり、主観的健康感も高
い。
●成果発表と報告
・学内の発表会にて、調査
の成果を報告
調査結果をもとに他の学生や
教員とディスカッションし、
地域を「診る」重要性を学び
リサーチマインドを深めた
・日本プライマリケア連合学会大会にて学生が発表
平成26年度:ポスター2演題
位置情報によるアクセス解析、うつ・閉じこもりの観点から
平成27年度:ポスター2演題
集落間の比較、都市部との比較
平成28年度:口頭発表1演題、ポスター1演題
都市と比較した「人のつながり」、通院と交通手段の現状
●成果発表と報告
学生が主体となり、調査地区
の住民に対して結果報告会を
開催(地区内の集会所)
調査結果を住民・行政関係者に
フィードバックし、市の介護予
防・健康づくり政策に活用
トータルヘルスケア ワークショップ
&フィールドワーク
(平成26年3月~平成28年8月 計6回開催)
・超高齢社会・口腔ケア・多職種連携をテーマ
としたワークショップと体験実習
・県内の医療系(医・歯・薬・看護・言語・理学)の
学生延べ98名が参加
・1グループ3~6名で構成(大学・学部・学年は任意)
【日程】
1日目
プレアンケート
ワークショップ:超高齢社会の問題点について抽出し、
フィールドワークの目標・目的を作成
2日目
フィールドワーク:口腔ケア・多職種連携を実践している、医療現場
を訪問し、体験実習
3日目
ワークショップ:フィールドワークの体験をもとに、超高齢社会
への対応を検討する
ポストアンケート
●アンケート結果
プレアンケート
VAS値
VAS値
1. 口腔ケアについて知っている
38.0
76.0
p<0.0001
2. 口腔ケアは重要である
85.1
95.1
p<0.0001
3. 口腔ケアは歯科医、歯科衛生士の仕事である
59.2
58.4
n.s.
4. 口腔ケアは看護師の仕事である
51.6
58.2
n.s.
5. 口腔ケアは言語聴覚士の仕事である
42.8
57.5
p<0.0001
6. 口腔ケアにはやりがいがある
67.7
90.1
p<0.0001
7. 誤嚥性肺炎を説明できる
43.3
83.7
p<0.0001
8. 超高齢社会において誤嚥性肺炎の対策は必要
である
83.3
95.4
p<0.0001
ポストアンケート
p値
●アンケート結果
プレアンケート
ポストアンケート
VAS値
VAS値
9. ソーシャルキャピタル(社会関係資本)について
説明できる
13.3
67.5
p<0.0001
10. 健康状態には、その人個人の要因だけでなく、
住んでいる地域の要因が影響する
71.2
84.2
p<0.0001
11. 健康状態には、社会的・経済的要因が影響する
75.8
84.2
p<0.0001
12. 多職種との連携は重要である
89.1
95.9
p<0.0001
13. 他職種との連携には自信がある
41.4
68.5
p<0.0001
14. 地域住民と話すことが苦にならない
45.0
48.8
n.s.
15. 患者(患者家族を含む) と話すことが苦にならない
43.4
40.2
n.s.
p値
●アンケート結果
プレアンケート
ポストアンケート
VAS値
VAS値
p値
16. 行政職(福祉課長や保健師など) と話すことが、
苦にならない
44.1
44.4
n.s.
17. 病院外での勤務によって医療人の能力は、
低下すると思う
27.2
23.5
p<0.01
へき地
44.5
54.3
p<0.0001
都市部
49.8
54.0
P<0.05
診療所
43.0
48.2
p<0.01
小規模
53.1
55.4
n.s.
中規模
60.5
62.8
n.s.
大規模
59.7
63.2
n.s.
大学病院
55.3
56.4
n.s.
18. 将来働きたい場所は?
19. 将来働きたい医療機関は?
トータルヘルスケア ワークショップ
&フィールドワーク
【アンケート結果より】
・ワークショップとフィールドワークを通じて、口腔ケア、多職
種連携、地域医療についての理解が深まっている。
・「地域住民」「患者・患者家族」「行政職」との連携に対する
学習までには至っていない。
・「へき地」「診療所」での勤務も将来の選択肢となりえる。
※次回日程:2017年3月15日~17日を予定
JAGES「健康とくらしの調査」
(平成26年12月~平成27年3月)
• 地域に住む高齢者のソーシャルキャピタルを測定
するために、JAGES(日本老年学的評価研究)と
連携し、郵送によるアンケート調査を新潟県阿賀
町と十日町市の高齢者約20,000名に対して実施
• 16,000名から調査票を回収し、回収率は約80%
であった。
阿賀町
十日町市
合計
調査時期
2014年12月
2015年2月
ー
対象者数
4,192名
15,730名
19,922名
回収数
3,106名
12,620名
15,726名
回収率
74.2%
80.3%
78.9%
日本老年学的評価研究
JAGES
2010-13調査フィールド
Japan Gerontological Evaluation Study
JAGES 2013
参加自治体数 30
送付数 約19.5万人
回収数 約13.8万人
回答率 約 70.8%
JAGES 2010
参加自治体数 31
送付数 約17万人
回収数 約11万人
回答率 約 66.3%
名古屋市、東海市、大府市
、知多市、東浦市、阿久比
町、半田市、常滑市、武豊
町、美浜町、南知多町、碧
南市、西尾市、一色町、吉
良町、幡豆町
阿賀町
★
★
田原市
十日町市
2014参加研究者所属研究機関(○:事務局担当大学)
• 北大
• 岩手大
• ○東北大
• ○千葉大
• ○東大
• 国立社・人研
• 立教大
• 神奈川歯科大
• 山梨大
• 新潟大
• 東海学園大
• ○浜松医大
• ○日本福祉大 • 産業医科大
• 琉球大
• 星城大
• 国立長寿医療研究センター
• 愛知学院大
本研究は平成22年度厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)の「H22-長寿-指定-008」および「H25-長寿-一般-003」ならびに科学研
究費補助金 基盤研究A (23243070)等の研究成果の一部である
基本集計の一部
JAGES「健康とくらしの調査」
これまでの研究テーマ(学会発表分)
平成27年日本疫学会
・農作業の頻度と健康状態・生活環境の関係
2016年アメリカ疫学会
・近所づきあいと低栄養の関係
平成28年地理情報システム学会
・かかりつけ医への距離とアクセスの地域性
平成28年日本公衆衛生学会
・冬季移住意向と健康状態の関連
現在進行中の研究テーマ(主にアドバンスドコース生による)
・特定保健指導受診率とソーシャルキャピタルの関連
・睡眠とソーシャルキャピタルの関連
・低体重高齢者の地域差と社会参加との関連
・高齢者の食品摂取状況と低体重の関連
・インフルエンザ、肺炎による罹患および
ワクチン接種と社会参加との関連
・喘息の罹患状況とソーシャルキャピタルの関連 など
新潟のソーシャルキャピタルを考える会
(平成27年1月24日、平成28年2月6日)
県内の医療機関の医療関係者・学生、
自治体で医療福祉行政に関わっている関係者など延べ124名が参加
医学研究実習に参加した学生の
プレゼンテーション
千葉大学予防医学センター・
近藤克則教授による基調講演
ソーシャルキャピタルをテーマとした取り組みに
ついてその成果を広く発信
今後の展開
• 「医学研究実習」の成果を行政・住民へどう還元させるか
– 「魚沼コホートスタディ」との連携体制を整備
• 住民へのアンケート調査により、新潟県の豪雪中山間地
域における大規模な情報が蓄積され、地域特有な健康増
進に関わる因子等についての詳細な検討が可能になる。
• 「健康とくらしの調査」は、2017~18年にかけて追跡調
査を実施し、縦断研究が可能となる。
⇒アドバンスドコースの社会人大学院生が関わり、総合診療を志向する
初期・後期研修医のリサーチマインド醸成に寄与
• 「トータルヘルスケアワークショップ&フィールドワー
ク」「ソーシャルキャピタルを考える会」は、さらに内
容を充実させて今後も開催
事業終了後の計画
• 新潟大学において総合診療専門医の専門
研修プログラムを作成し運用する
⇒専門医制度の整備手順が進展していく中でより効果
的な宣伝もできるようになるものと期待される
• 新専門医制度へ向けて、新潟大学が基幹
型研修病院となって新潟県全体で総合診
療専門医を育成
⇒実習体制の構築、周辺医療機関との連携を
進めながら総合診療医養成のためのプログラ
ム構築を目指していく
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