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森林生態保全部 - 山形県ホームページ

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森林生態保全部 - 山形県ホームページ
研究課題一覧
低コスト再造林に向けた初期保育技術の開発
県単
森林生態保全部
①背景
森林資源への期待が高まる一方、木材価格は低迷を続けています。今後、持続的な林業経営を図るには、
生産コストの低減が不可欠ですが、人工林造成コストの約70%が、植栽後10年の初期保育段階に要する
ため、この時期のコスト低減が重要となっています。
②研究内容
初期保育で最も経費を要する作業は、植栽木の成長を阻害する雑草木を除去するための下刈となります。
本研究では、近年開発されたコンテナ苗による積雪地域における植栽木の成長特性と雑草木の繁茂特性を明
らかにし、下刈作業の期間短縮と効率化を図る技術を開発しています。
③期待される効果
初期保育経費が軽減されることにより、積極的な再造林が図れます。再造林の促進により持続的な森林経
営が行われ、森林資源の安定供給と国土保全が期待できます。
研究の概要
植える場所が違えば、
スギの成長が違う、雑草木の種類が違う
効率的な下刈は・・・?
研究の背景
森林資源への期待増
(エネルギー・建築資材など)
環境2の植栽木
雑草木の成長
植栽木の成長
環境1の植栽木
木材価格の低下
雑草木1
雑草木2
伐採の後は植えずにそのまま
(再造林放棄)
植栽年数
植栽年数
検証課題① 植栽木の成長特性の検証
検証課題② 雑草木の繁茂特性の検証
・県内6カ所にコンテナ苗、普通
苗を植栽
・それぞれの成長特性を比較
⇒下刈期間を短縮できないか
人工林造成の低コスト化
(造成コストの70%が初期保育コスト)
植栽木の成長
森林資源の確保が不安
雑草木
植栽木
再造林の促進
植栽年数
検証課題③ 植栽木と雑草木の成長競争関係の検証
コンテナ苗特徴
森林資源の安定確保
地形の違い
4年目以降次のステージ
研究目的 下刈(初期保育)の期間短縮・効率化・低コスト化
研究課題一覧
津波軽減効果の高い海岸防災林造成技術の開発
外部資金
森林生態保全部
①背景
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震では、
想像を絶する大津波により仙台平野から福島県にかけて
のクロマツを主体とした海岸防災林は壊滅的なダメージを受けました。
その再生に向けて盛土工事などが進められ
ていますが、津波に対する技術的な知見が乏しく、多くの課題を残しています。
翻って庄内海岸を含めた全国の海岸線では、飛砂防止や防風機能を発揮するクロマツ林が造成されてきました
が、被災地以外でも松くい虫の被害や過密化、広葉樹の侵入など多くの問題を抱えています。今回の津波を契機と
して、津波に対する多重防御の一翼を担う新たな防災空間としての役割が求められています。
②研究内容
今までの海岸林造成管理技術は、荒廃した海浜部を如何に早期に緑化するかに重きがおかれていました。現在、
飛砂の被害はかつてほど大きな問題ではなくなりましたが、
これからは津波の防御機能と耐性を高めることが必要
とされています。このためにはこれまでの海岸林造成技術では不十分であり、数値シミュレーションに基づいたゾ
ーニングや目標林型を設定して、海岸林造成管理技術全般の見直しが必要となっています。その中で、当センター
ではクロマツの造成管理技術の改良について担当し、根返り被害と地下水条件との関係解明、密度管理及び伐採更
新方法等の技術開発を行っています。
③期待される効果
海岸林がこれまで果たしてきた潮害、飛砂・風害防備及び景観機能等に加え、津波の軽減効果を盛り込んだ造成
計画が策定されることにより、全国の海岸域の防災機能が格段に高まります。
庄内沖地震により津波が発生した場合の被害を最小限に食い止めることが可能となります
H23太平洋岸の被災海岸林
H23.3.11東北地方太平洋沖地震(M 9.0)
10m超の津波により海岸林が破壊
本研究の目的と内容
海岸防災林の復旧
・津波に対する知見が
少ない
→津波に強い海岸林
とは?
・現在の海岸林は疲
弊し機能が低下
松くい虫、過密化etc
→どのような海岸林を
つくればいいのか?
被災海岸林の復旧と全国の海岸林のあり方の検討
津波減衰効果のシミュレーション
:森林総研
広葉樹の導入技術の開発
:秋田県森林技術センター
クロマツ林造成管理技術の改良
:山形県森林研究研修センター
海岸林造成計画作成
:国土防災技術株式会社
津波を想定した海岸林造成の新しい指針の策定
庄内海岸林
庄内沖では1833年(天保4年)以降大きな地震
は発生していないが、
将来発生する可能性が
ある。また、秋田・新潟
沖地震も脅威である。
左図は、今後30年の間に震
度5強以上の地震が起こる
確率を示したもの。
山形県の担当課題
課題
・根返りしないための地下水深度
と盛土条件
1.5m以上の地下水深度
が必要(H24)
仙台平野の海岸林で地下水調査を実施
・津波に強いクロマツ林の造成
庄内クロマツ林で管理履歴の異なるマツ
の樹幹解析を実施
海岸防災空間としてのゾーニング
機能が低下した海岸林の更新計画に活用
目標とする成果
・機能が低下したクロマツ林の更
新方法
庄内クロマツ林において更新が必要な基
準、伐採幅を実態調査
がっしりした樹形のクロマ
ツの育成条件(実施中)
防風機能を維持した伐採
更新幅の基準
研究課題一覧
震災後の海岸林造成方法の提案(根系の発達を促す育苗技術の開発)
応募課題
森林生態保全部
①背景
津波によって被災した海岸林の再生には、広葉樹を導入した多様な海岸林の造成が求められています。
日本海側の地域では、クロマツと落葉広葉樹による海岸林の造成が試みられており、初期成長は遅れるもの
の条件によっては広葉樹の定着が可能であることが分かっています。これまでの調査では、クロマツや広葉
樹のコンテナ苗とポット苗の根系の成長を比較し、直根性が高い樹種はポット苗よりもコンテナ苗の方が健
全な根系を形成する傾向があることが判明しています。
②研究内容
これまでの調査でコンテナ育苗の技術的な課題が抽出されたため、本課題ではより充実した苗木を育成
できるように育苗方法等を改善し、コンテナ育苗の有効性を確認します。次に苗木を植栽して地上部と根の
成長量を調査することで、それぞれの樹種について望ましい苗木の育成方法を提案します。また、小苗と大
苗でも比較し、海岸環境において初期成長が改善するような苗木の条件と植栽条件を明らかにします。
③期待される効果
多様性に富み、防災機能が高い安定した海岸林造成が可能になります。
被災地以外の海岸地域においても広葉樹の導入が促進されます。
3.11 津波によって海
岸林が被災
海岸林の復旧の検討
本研究の体系と内容(総括:山形大学農学部)
◎自然再生力を活かした海岸林の造成方法
広葉樹植栽
防災効果のためにはクロマツが
大事
しかし、クロマツだけでよいの
か?
広葉樹ポット苗
前回課題:海岸林再生に有効な広葉樹の特性解明
成
果
活
用
天然更新による海岸林再生方法
:森林総研、石川県林業試験場
根系の発達を促す育苗技術
:山形県森林研究研修センター
混交林の造成方法の確立
:秋田県森林技術センター
◎自然再生力を活かした海岸林の造成方法
住民参加の海岸林管理システム提案
:専修大学
と海岸林造成方法の提案【H23~25】
①被災海岸林のクロマツと広葉樹の回復状況の比較
②海岸域の広葉樹植栽・育苗方法の検討
③広葉樹海岸林の津波による撹乱の影響
④被災地復興の海岸林造成方法の提案
海岸林のパターンモデルと管理システムの構築
日本海岸林学会と連携・協力のもと提案・公表する。
山形県における担当課題(根系の発達を促す育苗技術の開発)
これまでの研究成果
◎津波浸水後の樹種別生存割合
(ケヤキ・カエデの生存率高い)
◎耐塩水性の樹種の把握
(ケヤキ・エノキが耐塩水性高い)
◎根系と倒木の関係
(根系が浅い場合は倒木)
◎成林が見込める樹種の把握
(ケヤキ・エゾイタヤ、シナノキが成林)
◎広葉樹コンテナ苗の有効性
これまで明らかとなった成果
(コンテナ苗を活用した育苗初期試験の結果)
研究成果の項目と成果指標
・苗タイプの違いで直根の生育状況に差
⇒植栽目的別の苗タイプの選定に有効
① コンテナ苗(クロマツ・広葉樹)の育苗
方法の検討
・根系の発達率が初期定着率を左右
⇒根系発達で枯死率減少に有効
② コンテナ苗の成長特性の解明
・根系発達に有効なコンテナ育苗手法の検討
・苗の生育特性や、成長阻害要因の把握
↓
・植栽密度を逓減する手法の検討にリンク
(直根系の樹種では有効)
結果:防災機能の高い海岸林を造成するには、クロマツ主体で
広葉樹を活した多機能な森林を造成することが有効で、地下
水位が高い地域では盛土が必要
多様性に富み防災機能の高い海岸林造成と
植栽コストや保育などの育林コストの削減
コンテナ苗
研究課題一覧
高齢広葉樹林・病害虫被害林の早期再生に向けた管理技術の開発
県単
森林生態保全部
①背景
近年の里山林は管理放棄による高齢化を主因として、病害虫の蔓延と枯損による多様性の低下等の問題を引
き起こしています。これを受けて、県内各地では森林の若返りと木材の利用を目的に高齢な広葉樹林の伐採が
進んでいます。
②研究内容
里山林の円滑な更新技術を検討するため、近年伐採が進んでいるナラ林に着目し、ナラ枯れ被害地あるいは
ナラ林の伐採跡地において、更新実態を明らかにします。また、更新補助作業も考慮した里山林の早期再生に
向けた管理技術の開発を行っています。
③期待される効果
里山林が健全に維持管理されることで、森林病害虫に強い森林、生物多様性に配慮した森林、きのこ原木用
材、バイオマス利用に最適な森林の造成が期待されます。また、里山的原風景が保たれることで、森林レクリ
エーションや観光振興等にも寄与します。
背景・問題
●里山林の未整備
●里山林の高齢化
●病害虫被害の蔓延 ・ 生物多様性の低下
ナラ枯れ被害林
ナラ林伐採地
高齢ナラの萠芽能力の検証
萠芽幹の成長調査
目 的
●高齢化した里山林の更新技術の開発
研究内容
●更新メカニズムの解明
(1)更新適地 (2)高齢ナラの萌芽能力 (3)萌芽幹の成長過程
(3)伐採跡地における更新実態 (4)被害林の回復技術
植生調査によって稚樹の更新状況を把握する。また、特にナラ類では切株の年
輪数や萌芽幹の状況を調査して、伐採後の萌芽更新が可能かを検討する。
効 果
実生更新調査
●森林病害虫に強い森林の造成 ●生物多様性に配慮した森林の造成
●バイオマス利用に最適な森林の造成 ●里山的原風景の保全
更新補助作業(新潟大との共同研究)
研究課題一覧
広葉樹資源の有効利用を目指した
ナラ枯れ低コスト防除技術の開発
外部資金
森林生態保全部
①背景
本県を始めとして,全国各地でナラ類集団枯損が発生し終息のめどはたっていません。さらに近年は,暖
地の常緑シイ・カシ類の集団枯損も頻発しています。これらナラ・シイ・カシ類はきのこ原木や備長炭等の
生産をはじめ里山の源風景としても欠く事ができません。これまで開発したフェロモン剤利用の防除方法を
高度化・ナラ枯れ予防剤注入法の低コスト化と現場直結型の被害予測システムが求められています。
②研究内容
ナラ・シイ・カシ類の集団枯損に対して,これまで山形県森林研究研修センターが中心に開発したフェ
ロモン剤を利用した大量集積型おとり丸太トラップで広葉樹資源の利用と防除を一体化させるとともに
少量の薬剤注入で予防効果がある薬剤注入法により低コストの防除技術を全国に普及させます。また,併
せてインターネットの Java 上でナラ枯れ被害地域が予測できるシステムを開発しています。
③期待される効果
ナラ枯れ被害で減少する広葉樹資源を被害にあう前に防除とチップ等で利用する事で被害軽減すると
ともに,低コストのナラ枯れ予防法の普及により被害の軽減が可能になります。また,こうした防除法の
利活用は被害予測システムにより効率的な事業化が可能となります。
広
葉
樹
資
源
利
用
チップ化
→殺虫と利用
集合フェ
ロモン剤
H24~25実証
大量集積型おとり丸太法 20m3でカシナガを30万頭誘引 丸太採取で伐採
→森林再生
平成 ①おとり丸太法事業マニュアルの作成
26年 ②おとり丸太法・殺菌剤少量注入法の研修(県内5,県外3箇所)
終息しない
ナラ枯れ被害
少量注入法
広葉樹資源の喪失
(60年生のミズナラ)
低殺
コ菌
ス剤
トの
少
な量
防注
除入
△安い・軽い・
簡単
ボトル注入法
▼高い・重い・
めんどう
25年7月10日農薬登録
インターネット上
で被害予測
図作成
研究課題一覧
ナラ枯れによる基盤種喪失が森林生物相
および生態系サービスに与える影響
外部資金
森林生態保全部
①背景
現在,本県をはじめとして,全国各地でナラ類集団枯損が発生し終息のめどはたっていません。ナラ類は県内に広く
分布し,森林性の動物に直接・間接的に餌資源や住み家を供給しており(生態系サービス)、食物網の観点からも重要で
あります。これらが枯死することは森林生物相に対して大きな影響があるものと予想されます。
②研究内容
ナラ枯れ被害が発生した林分において,時間経過に伴い森林植生が変化し森林生物の餌資源が変化していく過程を時
系列的に調査して,これに依存するほ乳類・鳥類・昆虫の個体群変動との関連を明らかにします。これにより,ナラ枯
れに対して脆弱な生物群集を特定し,生物相から見た生態系の安定度合いを評価するとともに,生物多様性を考慮した
被害林の再生に必要な条件を検討しています。
③期待される効果
ナラ枯れ被害による森林生物群集への影響が評価され県民に報告されるとともに,生態系の安定に配慮した森林再生
に必要な条件により,森林再生の指針となります。
病原菌:ナラ菌
媒介者:カシノナガキクイムシ
枯死したミズナラ
被害を受けたばかりのナラ林(2010)
被害が終息しミズナラが完全に枯れた被害林
(旧朝日村)
被害から20年経過したホオノキが多く
ユキツバキに覆われた被害林(旧朝日村)
時間の経過とともに変化する森林構成 → 餌資源の変化 → 生息する森林生物群集も変化
研 究 の 全 体 構 想
ナラ枯れ被害林の実態調査 森林は?ほ乳類・昆虫・鳥は?
ヤママユガ
昆虫捕獲用マレーズトラップ
被害後の植生遷移
どんな樹種が優占?更新阻害要因は?
植生調査 置賜3・庄内3・村山4 計10箇所
食物網を通じた生態系の変化
餌資源と森林生物の量的な関係はどう変化?
昆虫トラップ調査・鳥類調査
置賜1・庄内1・村山2 計4箇所
ナラ 枯れが森林生物群集や生態系サービスの変化にどう 影響するか評価
ナラ枯れ被害林は再生するのか? 脆弱な生物群集は? 生態系は安定するの?
成林阻害要因の特定・消失種の探索・多様性の評価
生物多様性の保全を前提とした広葉樹二次林の価値と持続的利用に配慮した森林管理の提案
ツキノワグマ
ノウサギ
調査する生物群集
アカゲラ
県民への広報 パンフレット作成・シンポジウム開催
研究課題一覧
急激な被害をもたらす森林病虫獣害の調査
交付金
森林生態保全部
①背景
近年,ナラ類集団枯損被害,カツラマルカイガラムシによる広葉樹林の集団的葉枯れ被害などが発生してお
り,環境財として注目されている広葉樹林が被害に直面する事が増えました。ここ 5 年は,ウエツキブナハム
シによるブナの食害の大発生,不定期に発生するコウモリガ,クスサン,アメリカシロヒトリによる広葉樹全
般の食葉害などの単年度での爆発的な発生もあり,突発性の森林被害が増大しています。
②研究内容
これらの病虫獣害の解決にあたっては,発生時における原因の特定と被害の状況把握は,森林被害の拡大の
防止には欠く事はできません。こうした,突発的な森林病害虫に関する初期被害状況の把握と可能な防除法の
検討をする調査を実施しています。
③期待される成果
カツラマルカイガラムシの被害予防では,殺虫剤の樹幹注入法を帯状施用する事で林分の保全に寄与する技
術として開発されました。また,ウエツキブナハムシの被害マップを広報し,被害の発生終息状況を県民に伝
えました。これらの被害情報に加えて,その他,急激に被害が拡大する森林病虫獣害にもこれまでの経験を生
かした対応が可能で,県民の森林被害に対する理解にも役立ちます。
★業務課題 システム情報
1.ナラ林
1)ナラ類集団枯損 → 経常被害へ
2)カツラマルカイガラムシ
1.被害の実態調査
1)被害地域の把握
2)被害原因の探索
2.ブナ林
1)ウエツキブナハムシ
2)ブナアオシャチホコ
3.広葉樹林全般
1)アカアシノミゾウムシ
2)コウモリガ,クスサン,アメシロ
3)サルによる剥皮害
4.海岸マツ林(クロマツ・広葉樹の植栽木)
1)ノウサギによる食害
そ
の
他
突
発
性
森
林
病
虫
獣
・時期と調査地
通報のたび(通報地)
定期調査年4期(県内全域)
・まとめ 被害マップ,発生状況票
2.防除法の検討
①加害生物の生態調査
②資材・薬剤等による
防除法の検討
・方法 具体的な防除が必要になったもの
複雑な被害,枯死する被害
研究課題へ
県
民
に
被
害
状
況
を
伝
え
,
ど
う
な
り
・ど
う
す
る
か
を
考
え
る
Fly UP