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港区国際化推進プラン2015年度~2020年度-概要版

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港区国際化推進プラン2015年度~2020年度-概要版
港区国際化推進プラン
2015 年度∼2020 年度
(平成 27 年度∼平成 32 年度)
Minato Internationalization Master Plan FY2015-FY2020
미나토구 국제화 추진 계획 2015 -2020
港区国际化推进计划 2015 年度 -2020 年度
概要版
港 区
1 はじめに
港区国際化推進プラン(以下「本プラン」といいます。)は、港区内の国際化に関す
る状況を包括的かつ詳細に把握したうえで、これらに基づき、区の国際化推進施策を体
系的にまとめたものです。
港区は、区の総人口の 7.7%に当たる 18,420 人、124 か国の国籍をもつ外国人が
住み、国内の駐日大使館の半分以上に当たる 81 の大使館や、多くの外国系企業が立地
するなど、国内随一の豊富な国際化に関する資源を有しており、成熟した「国際都市」
を実現できるポテンシャルを有する我が国屈指の都市です。
区は、こうした状況を踏まえ、行政情報の多言語化など、これまで様々な国際化推進
施策に取り組んできました。この結果、区内の国際化は進展し、外国人の行政サービス
への満足度は非常に高くなっています。一方で、区の施策は、外国人の防災・災害対策
や行政情報多言語化の一層の推進、効果的な多言語情報の発信など、未だ多くの課題が
あり、また区民の国際交流は十分とは言えない状況にあるのも事実です。
本プランでは、これらの課題を克服し、港区に住み、働き、学び、訪れる全ての日本
人と外国人の安全・安心が確保され、快適な日常生活が実現するとともに、言語・文化・
生活習慣など、多様性をお互いに認め合い、交流する成熟した「国際都市」の実現を目
指します。
これにより、全ての日本人と外国人が、ともに考え、行動し、支え合いながら、防災
対策など地域の課題を協働して解決し、港区ならではの豊かな地域社会を作り上げてい
きます。
平成 25 年9月8日、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が
決定しました。これを契機に、区民の間で国際化に関する機運が非常に高まっています。
今こそ、成熟した「国際都市・港区」を実現する千載一遇の好機です。
区は本プランにおいて、外国人の安全・安心の確保(外国人の防災・災害対策の強化
等)、外国人の快適な日常生活の実現(行政情報の多言語化と効果的な配信の一層の推
進等)、日本人と外国人の相互理解の促進、国際都市としての魅力の向上と発信を施策
の柱とし、多様な文化と人が共生する活力と魅力あふれる成熟した「国際都市・港区」
の実現を目標に、これまでの取組を加速するとともに、更に成熟させ、区内の国際化を
一層推進することにより、区民福祉の一層の向上を図ってまいります。
-1-
本プランの基本となる考え方
港区は国内随一の豊富な国際化に関する資源を有している。
(多くの多様な外国人、大使館、外国系企業など)
成熟した「国際都市」を実現できるポテンシャルを有する我が国屈指の都市
区の国際化は進展したが、未だ多くの
課題が残る。
本プランでは課題を克服し
全ての日本人と外国人の安全・安心が確保され、快適な日常生活が実現し、
多様性をお互いに認め合い、交流する成熟した「国際都市」の実現を目指す。
成熟した「国際都市」の実現により
日本人と外国人が、ともに考え、行動し、支え合いながら、
地域の課題を協働して解決する豊かな地域社会を作り上げていく。
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定
を契機に区民の間で国際化に対する機運が高まってきている。
今こそ、成熟した「国際都市」実現の千載一遇の好機
本プランの施策の柱
①外国人の安全・安心の確保
③日本人と外国人の相互理解の促進
②外国人の快適な日常生活の実現
④国際都市としての魅力の向上と発信
本プランの目標
多様な文化と人が共生する活力と魅力あふれる
成熟した「国際都市・港区」を実現する。
-2-
2 本プラン策定の背景と位置付け
「港区国際化推進プラン」は、港区基本計画における、分野別計画「にぎわうまち(コ
ミュニティ・産業)」における「港区からブランド性ある産業・文化を発信する」の中の「世
界に発信できる国際性豊かな文化活動を支援する」を推進するに当たり、具体的な道筋を
示す個別計画「港区国際化推進プラン(平成 22 年度~26 年度)」として平成 22 年 3 月
に初めて策定されたものです。
平成 24 年 3 月には、東日本大震災の発生、住民基本台帳法の改正等を踏まえるととも
に、港区基本計画(後期:平成 24 年度~26 年度)の策定に併せ、
「港区国際化推進プラ
ン(改定版:平成 24 年度~26 年度)」(以下「前プラン」という。)を策定しています。
本プランは、国際化に関する状況を包括的かつ詳細に把握したうえで、これらに基づき、
区の国際化推進施策を体系的にまとめたものであり、区内で国際化に関わる全ての人に対
し、区の国際化推進施策の方針をお示しするものです。
区は、本プランに基づき、国際化推進施策に積極的に取り組んでいきます。
<基本計画(分野別計画)の体系と本プランの体系>
分野
基
本
計
画
本
プ
ラ
ン
基本政策
政策
かがやく
まち
はぐくむ
まち
にぎわうまち
4 港区からブランド性ある産業・文化を発
信する
19 世界に発信できる国際性豊かな文化活
動を支援する
施策
施策1
外国人の
安全・安
心の確保
施策2
外国人の
快適な日
常生活の
実現
施策3
外国人と
日本人が
相互に理
解し支え
合う国際
都市の実
現
施策4
多様な主
体との協
働による
国際都市
としての
魅力の向
上と発信
事業
19 の事業
31 の事業
25 の事業
17 の事業
-3-
3 国際化における現状認識
(1)前プランの総括
行政情報の多言語化や、各総合支所における外国人対応の体制整備など、区の国際化
は進展し、平成 25 年度の「港区在住外国人意識調査」では、区政サービスに満足して
いると回答した外国人は9割以上と非常に高くなっています。一方で、以下のとおり未
だ多くの課題が残されています。
ア
行政情報の多言語化と効果的な発信
「区から発信している情報が外国人に十分届いていない」、「情報発信していること
について周知を強化すべき」など、区民からのご意見が示されていることから、外国
人の日常生活の実態に沿った効果的な情報発信について改善が必要です。
また、外国人の日本語習得を促進するとともに、多様化する多言語ニーズへの対応
や、行政手続に関する多言語化の取扱いなどについては、慎重に検討、対応する必要
があります。
イ
外国人対応能力の向上
外国人意識調査の結果、職員の多言語対応が充実していると答えた外国人は 18.8%
であり、職員の対応能力の一層の向上が必要です。
ウ
外国人の安全・安心につながる生活支援
日常生活での困りごとに対するきめ細かな相談対応の強化や、専門相談を気軽に受
けられる環境を整備する必要があります。
エ
防災
外国人意識調査によれば、自然災害について丌安なことはないと答えた外国人は
10.2%に留まっており、防災に関する情報の一層の多言語化の推進、災害時における
インターネット以外の情報提供、災害時に多言語で対応できる人員の確保などについ
て検討する必要があります。特に災害発生時に対応できる語学ボランティアについて
体制の整備が必要です。
オ
コミュニティ活動
外国人が地域社会に参画し、日本人と外国人がともに考え、行動し、支え合いなが
ら、防災対策など地域の課題を協働して解決し、港区ならではの豊かな地域社会を作
り上げていくため、まずは、地域のお祭りなどきめ細かな情報の提供や、大使館・美
術館・博物館など地域資源を活用した文化交流の推進など、外国人が外国人同士のコ
ミュニティから出て日本人と交流する環境を醸成する必要があります。
カ
大使館との連携
大使館との円滑な連携による区内の国際化の一層の推進や、多言語対応などにおけ
る大使館との連携を深める必要があります。
-4-
(2)前プラン策定以降の状況変化
前プラン策定以降、リーマンショックに端を発する長期の景気低迷により、減尐傾向
にあった区内の外国人数は、東日本大震災の影響によりさらに減尐しました。外国系企
業も若干減尐している一方で、大使館の数は殆ど変動がありません。
港区の国際化を取り巻く状況は、景気の低迷と東日本大震災の影響を受けてきました
が、これを好転させうる、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定、国
家戦略特別地域の指定、富士山・和食の世界遺産登録などの状況変化があります。
(3)港区の国際化を取り巻く状況
港区の国際化に関する特徴は、在住外国人の国籍数など「多様性」と、立地する大使
館の数など「豊富な資源」です。
ピーク時の平成 21 年には、22,354 人が区内に在住し、総人口の 10.1%を占めて
いた外国人は、平成 26 年 1 月 1 日時点で 18,104 人、総人口の 7.7%まで減尐しま
した。しかし平成 27 年 1 月 1 日時点で 18,420 人まで回復しており、現在は、この
傾向が下げ止まったと見ています。今後は、景気の緩やかな回復と、東京オリンピック・
パラリンピック競技大会の開催決定、国家戦略特区の指定等により、ビジネスの関連で
外国人居住者が増加するものと考えられ、区内に在住する外国人の数は今後増加し、一
層多様化していくものと予想しています。
○区内在住外国人の状況
外国人数の推移(毎年 1 月 1 日現在)
平成 16 年
平成 17 年
(単位:人)
平成 18 年
平成 19 年
平成 20 年
平成 21 年
平成 22 年
外国人数
17,154
18,182
19,920
20,715
21,806
22,354
21,826
総人口比
9.3%
9.6%
10.1%
10.0%
10.1%
10.1%
9.8%
104.0%
106.0%
109.6%
104.0%
105.3%
102.5%
97.6%
平成 25 年
平成 26 年
平成 27 年
前年比増加率
平成 23 年
平成 24 年
外国人数
21,706
20,620
18,853
18,104
18,420
総人口比
9.5%
9.0%
8.1%
7.7%
7.7%
前年比増加率
99.5%
95.0%
91.4%
96.0%
101.7%
国籍別の状況(上位 10 か国)
(平成 27 年1月 1 日現在 単位:人)
韓国/朝鮮
米国
中国
フィリ
ピン
外国人数
3,501
3,311
3,153
915
807
712
619
576
351
342
構成比
19.0%
18.0%
17.1%
5.0%
4.4%
3.9%
3.4%
3.1%
1.9%
1.9%
総人口に
占める割合
1.46%
1.38%
1.31%
0.38%
0.34%
0.30%
0.26%
0.24%
0.15%
0.14%
-5-
英国
フランス
インド
オースト
ラリア
ドイツ
カナダ
○大使館等の状況
地区別の状況
(平成 27 年 2 月 1 日現在)
芝地区
大使館数
割
合
麻布地区
赤坂地区
高輪地区
10 施設
50 施設
13 施設
8 施設
12.3%
61.7%
16.0%
9.9%
合計
81 施設
地域別の状況
(平成 27 年 2 月 1 日現在)
アジア
中東
アフリカ
欧州
大使館数
9 施設
9 施設
14 施設
26 施設
割
11.1%
11.1%
17.3%
32.1%
合
北米
2 施設
中南米
大洋州
合計
17 施設
4 施設
81 施設
21.0%
4.9%
2.5%
○「平成 25 年度港区在住外国人意識調査」の結果
自然災害等に対して特に丌安はないとの答えが約1割です。
自然災害等について不安なこと
№
項目
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
件数(人)
地震による建物の倒壊 地震による火災の拡大 液状化
津波
ライフライン(電気・水道・ガス)の寸断
崖崩れ
交通網の寸断 情報網の寸断
避難所での避難生活
原発事故による放射能汚染とその影響
ビルからの落下物など身近な場所での危険
安全な場所への避難
大雨による浸水
台風による高潮
どんな災害が起こるのかわからない漠然とした不安
区や都がどういう災害対策・サービスを提供するのかわからない
その他
特に不安はない
無回答
サンプル数
359
247
87
154
327
2
140
209
55
228
110
62
8
13
107
94
16
96
10
940
構成比(%) 0
38.2
26.3
9.3
16.4
34.8
0.2
14.9
22.2
5.9
24.3
11.7
6.6
0.9
1.4
11.4
10.0
1.7
10.2
1.1
100
地域のコミュニティ活動に参加していないとの答えが約6割です。
参加している地域のコミュニティ活動やグループ
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
項目
件数(人)
港区内の同国人のコミュニティ、グループ
港区内に限らず同国人のコミュニティ、グループ
ボランティア団体の活動
地域の日本人町会・自治会活動
地域の日本人のコミュニティ、グループ
各種スポーツのチーム、クラブや文化活動などのグループ
子どもの学校のPTA活動やそのメンバーが関係するグループ
商店会活動
その他
いずれにも参加していない
無回答
サンプル数
45
113
79
61
32
96
72
41
30
565
47
940
-6-
構成比(%)
4.8
12.0
8.4
6.5
3.4
10.2
7.7
4.4
3.2
60.1
5.0
100.0
0
4 国際化推進施策における方向性
港区は、多くの多様な外国人が住み、国内随一の豊富な国際化に関する資源を有してい
ることから、成熟した「国際都市」を実現できるポテンシャルを有する我が国屈指の都市
であるといえます。成熟した国際都市の実現により、日本人と外国人が協働して地域の課
題を解決するとともに、社会経済情勢の変化や自然災害が生じても外国人が長期に亘って
安心して居住し続けることが可能となります。この結果、地域社会が安定し、地域の活力
と魅力が醸成されます。
行政情報の多言語化など、区の国際化は進展し、外国人の区政サービスへの満足度は非
常に高くなっています。一方で、恵まれた環境にも関わらず、区の国際化への対応には未
だ多くの課題が残り、区民の国際交流は十分とは言えない状況にあるのも事実であり、成
熟した国際都市の実現を目指すうえで大きな課題となっています。こうした状況により、
日本人と外国人の間で安全・安心の確保や快適な生活の実現に格差が生じるとともに、外
国人の社会参加が進んでいません。
一方、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定を契機に、区職
員・区民の間で国際化に対する機運が高まってきています。今こそ、成熟した「国際都市・
港区」を実現する千載一遇の好機といえます。こうした状況をしっかりと捉え、本プラン
では、成熟した「国際都市・港区」の実現を目標に掲げ、2つの大きな課題の解決に向け
て重点的に取り組んでいくこととします。
今後、外国人の増加と、一層の多様化に対しては、施策の強化とともに、一層きめ細か
な対応が求められます。
また、前プランで課題として認識され、取組を進めてきた、防災対策など外国人の安全・
安心の確保策や、行政情報の多言語化をはじめとした外国人の快適な日常生活を実現する
ための施策など、重要な施策の中には、
「未だ丌十分」との区民の声があることから、これ
に応え、一層の強化・充実を図る必要があります。日本人と外国人がともに安全・安心を
確保し、快適な生活を実現させることは、国際都市を実現するための大前提でもあります。
国際化推進施策は、日本人、外国人の区別なく施策対象とするものです。しかしながら、
両者の間に格差が生じていることは明確な事実であり、これを踏まえ、日本人と外国人の
間にある格差の解消に向けて、今後は外国人への対応を特に深めるため、これまでの施策
の取組を加速、成熟していきます。
こうした取組により、社会経済情勢の変化や自然災害の発生などによる外国人数の影響
を出来る限り小さいものとすることも可能となります。
同時に、国際化への機運が高まっている状況を捉え、区職員・区民の意識を変革し、確
固たるものとするため、区職員と区民の間に芽生えた国際化への関心が、大きなムーブメ
ントとなるよう、区役所内外に環境を醸成するしくみを構築します。
これら、日本人と外国人がともに安全・安心を確保し、快適な生活を実現すること(外
国人対策)と、区職員・区民の国際化ムーブメントの醸成のための環境の醸成(しくみの
構築)の2つを本プラン上の大きなミッションとして、取組を進めていきます。
-7-
5 国際化推進施策の重点課題
重点課題1-1 自然災害、健康被害など様々な危機に対する外国人の安全・安心の
確保に向けた取組を強化します。
区は、防災情報の多言語化などに取り組んでいますが、情報が十分外国人に届いてお
らず、重要な課題となっています。また、災害時に多言語で対応できるボランティアの
確保が進んでおらず、早急な人員の確保が課題となっています。
重点課題1-2 ハラルフードをはじめとした言語・習俗・生活習慣の違いなどから
生じる生活上の課題に対し、安全・安心の確保に向けた取組を強化します。
近年、言語、習俗、生活習慣などの違いから生命、財産を脅かす課題が浮かび上がっ
ています。特に「ハラルフード」への配慮など、宗教食については配慮が必要であり、
今後は、ハラルフードの取扱い店舗の情報提供などの配慮が課題となっています。
重点課題2
多言語化の一層の推進や質の向上など、外国人の快適な日常生活を実現
するきめ細かなサービスを実施します。
一層の多言語化を進めるとともに、翻訳の質を一層向上させる必要があります。一方、
情報が外国人に届いていないとのご意見に対しては、情報提供の方法の改善が必要とな
っています。また、職員の多言語対応力を向上も今後の重要な課題となっています。
重点課題3 外国人が行政サービスの担い手として活動することや、地域コミュニテ
ィにおける国際交流などを促進し、外国人と日本人とが相互に理解し支え合う国際都
市・港区を実現します。
活動に参加したいとの希望を持つ約 6 割の外国人が外国人同士のコミュニティから
出て日本人と交流しながら、地域活動への参加や、語学ボランティアなど区の事業に参
加する、そうした環境の醸成が重要な課題となっています。
重点課題4 大使館等、国際交流に関する民間団体など地域の多様な主体と区の協働
による様々な取組を展開し、国際都市としての魅力の向上と発信を推し進めます。
「区民協働ガイドライン」の考え方・手法に沿って、港区ならではの効果的な協働に
より、国際化に対する区内全体のムーブメントを醸成するとともに、様々な課題を解決
していくことが課題です。また、多様な主体の中でも、大使館との円滑な協働を推進す
ることが特に重要な課題となっています。
-8-
6 港区の目指す姿
(1)目標
多様な文化と人が共生する活力と魅力あふれる
成熟した「国際都市・港区」を実現する。
(2)目標の具体像
本プランの実行により実現する成熟した「国際都市・港区」とは・・・
○
港区に住み、働き、学ぶ日本人と外国人における安全・安心の確保と、快適な
日常生活が実現している。
○ 港区に住み、働き、学ぶ日本人と外国人が言語・文化・生活習慣の多様性を認
め合い、交流している。
○ 港区に多くの観光客が来訪し、安心して港区の魅力を満喫し、区民との交流を
楽しんでいる。
○ これらにより、地域社会全体が安定し、活力と魅力が醸成される。
7 計画期間
本プランの計画期間は、平成 27 年度から平成 32 年度までの 6 年間とします。ただし、
平成 29 年度に、本プランに計上した事業の進行状況、区を取り巻く環境の変化などを踏
まえつつ、国際化推進アドバイザー会議等における検討を経て、港区基本計画の改定に併
せて見直しを行います。平成 32 年度には、目標に到達するよう、前期(平成 27 年度~
29 年度)は、新規事業の立ち上げと体制の整備に重点的に取り組みます。後期(平成 30
年度~32 年度)は、各施策及び体制を定着させ、円滑・安定的に運営する期間と位置づ
けるとともに、平成 32 年度以降の次期計画に、継承できるレガシーを育てていきます。
年度(平成)
27
28
29
30
港区基本計画(前期)
31
32
港区基本計画(後期)
港区国際化推進プラン(平成 27 年度~32 年度)
前期(平成 27 年度~29 年度)
後期(平成 30 年度~32 年度)
新規事業の立ち上げと体制整備
施策・体制の定着と円滑・安定運営
見直し
-9-
8 施策ごとの課題と取組の方針
(1)施策1 外国人の安全・安心の確保
ア 現状と課題
東日本大震災の発生以降、区は、防災情報の提供に積極的に取り組んできましたが、
区が情報発信していることや、情報を入手する手段が外国人に認知されていません。こ
のため、外国人に防災情報が広く行き渡る方法を検討し、対応する必要があります。
東日本大震災の経験から、外国人にとって災害時、会話で意思疎通できることが心理
面も含め重要とされており、災害時の語学ボランティアの存在が重要となります。
外国人が一層多様化する中で、
「ハラルフード」への配慮など、これまでの区の施策で
は視野に含まれていなかった、言語・習俗・生活習慣などの違いにより外国人の生命、
財産等が脅かされるという課題への対応が求められるようになっています。
言語や生活習慣、社会制度が異なる日本で生活する外国人は、時に重大な問題に直面
することがあります。このため、相談体制の強化は重要な課題です。
イ
取組の方針
日常生活における安全・安心の確保は、日本人、外国人の区別なく施策対象とするも
のです。しかし両者に格差が生じていることは明確な事実であり、これを踏まえ、日本
人と外国人の間にある格差の解消に向けて、今後は外国人への対応を特に深めるため、
これまでの施策の取組を加速、成熟していきます。
防災情報が外国人に届くよう、外国人の生活実態に沿った効果的な手法で提供し、区
が情報提供していることが広く認知されるよう努めます。また、防災に関する区と大使
館との連携について引き続き協議を進めていきます。
災害時の言語ボランティアは、大幅な増員を図ります。
ハラルフードについては、取扱い店舗・飲食店など信頼性の高い情報をきめ細かく発
信するため、国際交流協会のホームページ等を活用した情報提供などの取組を進めます。
また、国際化推進担当の外国人相談体制を強化します。専門相談は、各課、国際交流
協会いずれの相談からも専門家へ繋いでいけるよう、しくみについて検討します。
ウ
成果目標・活動指標
成果目標
(3年後の到達目標)
自然災害、健康被害、言語・文化・
価値観の違いなどから生じる課題が
解決され、外国人の安全・安心が確
保されている
活動指標
自然災害等について特に丌安を
感じていない外国人の割合
平成 26 年度
(現状)
平成 29 年度
(目標)
10.2% ※
15%
※平成 25 年度港区在住外国人意識調査結果
- 10 -
(2)施策2 外国人の快適な日常生活の実現
ア 現状と課題
日本人と外国人がともに快適な日常生活を実現するためには、まず、外国人が日常生
活で必要とする行政情報の多言語化を進めるとともに、翻訳の質を一層向上させること
が課題です。多様化する対応言語のニーズへの対応や、やさしい日本語・英語などにつ
いても考え方を整理する必要があります。
区は、様々な方法で情報を提供していますが、区が発信する情報が外国人に届かない
ことは長年の課題であり、方法の改善が必要となっています。
区役所の多言語対応能力の一層の向上も重要です。このため、国際化推進担当の外国
人相談員や、各総合支所区民課の「フロア・マネージャー」を配置しました。このよう
な専門の通訳と合わせ、職員の対応力の向上が今後の大きな課題となっています。
日常生活での困りごとに対するきめ細かな相談対応や、区役所・各総合支所での行政
に関する問合せへのきめ細かな対応なども課題です。
イ
取組の方針
快適な日常生活は、日本人、外国人の区別なく実現すべきものですが、両者の間に格
差が生じていることは明確な事実であり、これを踏まえ、日本人と外国人の間にある格
差の解消に向けて、今後は外国人への対応を特に深めるため、これまでの施策の取組を
加速、成熟していきます。
防災などの情報や緊急情報などは、外国人の安全・安心の確保に関わる最重要な情報
であり、即時、漏れなく対応できるようしくみを構築する必要があります。
また、それ以外の行政情報を含め、対応する言語、媒体、タイミング、翻訳チェック
の体制など、考え方を整理し、
「行政情報多言語化ガイドライン」で基準や方針を定め、
効率的かつ効果的に多言語化を進めていきます。やさしい日本語・英語をはじめ、外国
人に伝わりやすい表現、わかりやすい表現など、質の向上にも積極的に取り組みます。
区が発信する情報が外国人に届かないことは長年に亘る課題であり、専門家の知見や
外国人の生活実態を参考に、外国人の手元に区が発信した情報が届く方法を検討し、こ
れを用いた情報発信を実践していきます。
職員の対応力の向上については、英語対応マニュアルを作成し、職員の基礎的な英語
力の習得を図り、窓口、電話等において英語で最低限の対応が行えるようにします。
日常生活での困りごとは、国際交流協会の相談事業の一層の充実を図っていきます。
ウ
成果目標・活動指標
成果目標
(3年後の到達目標)
活動指標
平成 26 年度
(現状)
平成 29 年度
(目標)
情報提供方法が充実することなどに
より、外国人の快適な日常生活が実
現されている
日常生活で特に丌便を感じてい
ない外国人の割合
37.9% ※
45%
※平成 25 年度港区在住外国人意識調査結果
- 11 -
(3)施策3 外国人と日本人が相互に理解し支え合う国際都市の実現
ア 現状と課題
外国人が地域社会に参画し、日本人と外国人が防災対策など地域の課題を協働して解
決し、港区ならではの豊かな地域社会を作り上げていくため、まずは、外国人が段階的
に地域の活動に参加していく、緩やかな環境の醸成が重要です。一方、日本語が理解で
きる外国人には、コミュニティ活動に参加したり、行政サービスの担い手になって活躍
することが可能であり、そのためのしくみを整える必要があります。
イ
取組の方針
国際交流協会のウェブサイトなどを通じ、地域のお祭りやコミュニティ活動、町会・
自治会活動など様々な情報を多言語できめ細かく提供することにより、外国人が地域に
出て、地域活動に参加していく緩やかな環境を着実に醸成します。
また、日本語が理解できる外国人が語学ボランティアなどで、コミュニティ活動に参
加したり、行政サービスの担い手になって活躍できる環境についても整備を進めます。
ウ
成果目標・活動指標
成果目標
(3年後の到達目標)
外国人と日本人とが相互に理解し支
え合う環境が実現し、外国人の参画
と協働が進んでいる
活動指標
平成 26 年度
(現状)
平成 29 年度
(目標)
地域のコミュニティ活動やグル
ープに参加している外国人の割
合
34.9% ※
40%
※平成 25 年度港区在住外国人意識調査結果
(4)施策4 多様な主体との協働による国際都市としての魅力の向上と発信
ア 現状と課題
港区には、国際交流の促進において連携すべき多くの主体が存在します。国際化にお
ける様々な課題の解決に向け、今後一層の連携強化に取り組んでいく必要があります。
特に大使館との連携は、効果が高いと考えられ、区は、平成25年度に「大使館実務
者連携会議」を設置し、定期的に大使館の実務者と意見交換を行っています。
一方で、全庁的に大使館との連携について関心が高まる中、特定の大使館に連携の申
し出が集中するなど、一部に課題も見られます。このため、今後、大使館との連携が一
層強力で円滑なものとなる仕組みが必要となっています。
その他の国際交流団体等との連携は、国際交流会議を開催し、文化交流をはじめ国際
交流に関する様々な課題について議論を重ねています。
イ
取組の方針
多様な主体と連携し、防災、文化観光など多方面に渡り、
「区民協働ガイドライン」に
基づく協働を進めていく必要があります。
大使館との連携については、連絡網の整備、総合防災訓練への外国人の参加促進など
取組を強化していきます。
- 12 -
特定の大使館に連携の申し出が集中するなどの課題に対しては国際化推進担当の調整
機能を強化するための体制を整備するなどの対応を図っていきます。
大使館以外の各団体との連携については、文化交流を中心に協働で国際交流を推進す
るとともに、団体等のネットワークを活用し区の魅力の発信を進めていきます。
ウ
成果目標・活動指標
成果目標
(3年後の到達目標)
大使館等と区の連携を深め、国際都
市としての魅力が高まり、海外に広
く発信されている
活動指標
平成 26 年度
(現状)
平成 29 年度
(目標)
大使館実務者連携会議の各回に
おける大使館の平均出席率
30.5% ※
35%
※平成 25 年度港区在住外国人意識調査結果
9 実施体制の整備
(1)港区の国際力を強化するための体制整備
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定等を契機に、区職員・
区民の間で国際化に対する機運が高まってきています。今こそ、成熟した「国際都市・
港区」を実現する千載一遇の好機といえます。こうした状況をしっかりと捉え、港区の
国際性豊かな活力と魅力である「国際力」を強化するための組織を区役所内外に立ち上
げ、区職員と区民の間に芽生えた国際化への関心を、大きなムーブメントとなるよう環
境を醸成していきます。
港区の国際力を強化するための体制(案)
推進組織
基本コン
セプト
構成員
基本スキ
ーム
起爆剤
事業
港区全体
区役所内
港区国際力強化推進会議(仮称)
港区国際力強化委員会(仮称)
・東京都・港区、区内の国際化に関連する ・庁内の国際化・観光に関連する全ての部署が
団体・企業が英知を結集して、港区の特
単独では解決困難な課題を設定し、庁内で横
性を最大限に生かした、港区ならではの
串を刺し、連携しながら課題を解決すること
内容・規模の取組を推進し、港区の国際
により、港区の国際力を強化する。
力を強化する。
・活動を通じて庁内全体に国際化のムーブメン
・活動を通じて区内全体に国際化のムーブ
トを巻き起こし、職員の国際化に対する意識
メントを巻き起こし、区民の国際化に対
改革を図る。
する意識を飛躍的に高める。
区長を座長とし、国際化・文化芸術担当
副区長を座長とし、国際化・文化芸術担当が
が事務局
事務局
国、東京都
各総合支所協働推進課など、関係する全ての
大使館・国際関係機関・外国系企業代表
課
町会・自治会・NPO 団体代表
商工関係・観光関係・文化関係団体等
総会を年1回程度開催
年4回程度開催
部会は年6回程度開催
オリンピックの文化プログラム、ラグビー・ワールドカップ関連事業
複数の大使館と連携し大規模な国際文化交流事業・国際観光振興事業
- 13 -
等
(2)一般財団法人港区国際交流協会の自立化及び専門性の発揮
外国人と日本人との言葉の壁と文化の壁を取り払い、相互理解と交流を促進するには、
国際交流協会の果たす役割が大きく、また、協会の自立した安定的な経営ときめ細かな
対応は区の国際化を推進する上で重要です。
国際交流協会は、平成25年度に、平成26年度から平成28年度までを計画期間と
する中期経営計画を策定しました。この中期経営計画に基づき、協会は各事業の強化と
協会自体の認知度を向上させながら財政的自立を進め、平成29年度には、状況に応じ
た見直しを行い新たな中期経営計画を策定することとしています。
協会が経営の安定を図りながら、一層の専門性を発揮し、区の国際化施策推進の重要
なパートナーとして、その位置が確固たるものとなるよう、区は継続的な支援と指導を
行います。
(3)庁内体制の強化及び人材の育成・確保
今後、職員の国際化に対する意識を変革し、確固たるものとするための組織を立ち上
げ、区職員に芽生えた国際化への関心が大きなムーブメントとなるよう、環境を醸成す
るとともに、職員の外国人対応能力の向上にも取り組んでいきます。
実施(協働)体制のイメージ
外
国
人
港区国際力強化推進会議(仮称)
国際交流団体
<構成員>
国、東京都
大使館・国際関係機関・外国系
企業代表
町会・自治会・NPO 団体代表
商工関係・観光関係・文化関係
団体等
大使館等
<港区>
国際交流協会
国際化・文化芸術担当
区と協会の役割分担と協働
区 :基本的な生活に必要な
行政サービスを提供
協会:日常生活をより快適に
するサービスを提供
港区国際化推進アドバイザー会議
港区国際力強化委員会(仮称)
国際化推進アドバイザー会議
委員(公募委員)
支援部
各 課
- 14 -
各地区
総合支所
保健所
学校等
区の木
ハナミズキ
区の花
アジサイ
バラ
発行番号 26267-3211
港区国際化推進プラン 2015 年度∼2020 年度 概要版
平成 27 年(2015 年)3 月発行
発行:港区 編集:産業・地域振興支援部 国際化・文化芸術担当
〒105-8511 東京都港区芝公園 1-5-25 電話:03-3578-2111(代表)
港区は、みどりの保全とごみの減量に努めています。
この「港区国際化推進プラン 2015 年度∼2020 年度 概要版」は古紙を利用した
再生紙を使用しています。
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