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カラーチャートによるラズベリー「ヒンボートップ」の生果出荷基準

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カラーチャートによるラズベリー「ヒンボートップ」の生果出荷基準
【注意】 発行当時の原稿をそのまま掲載しております。農薬について記載のある場合は、最新の農薬登録内容を確認し、そ
れに基づいて農薬を使用して下さい。また、成果情報によっては、その後変更・廃止されたものがありますのでご注意下さい。
[成果情報名]カラーチャートによるラズベリー「ヒンボートップ」の生果出荷基準
[要
約]ラズベリーは成熟とともに果実の着色が変化し、カラーチャートを利用することで、
出荷時の基準とすることができる。県内の実需者へ生果を出荷する場合の最適な出荷
時の着色指数は3~4である。
[担
[連
当]山形県最上総合支庁産業経済部農業技術普及課・産地研究室
絡
先]TEL 0233-22-2201
[成 果 区 分]普
[キーワード]ラズベリー、ヒンボートップ、カラーチャート、生果、出荷基準
-----------------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい]
ラズベリーは寒冷地での栽培に適し、結果樹齢に達するのが早く、菓子店やホテル、レストラ
ンなどの実需者からの需要が高まっており、新規導入品目として有望である。しかし、国産ラズ
ベリーの流通はほとんどなく、生果の流通における知見は少ない。そこで、収量性・品質に優れ
たラズベリー品種「ヒンボートップ」の特性を活かした出荷基準を作成する。
[成果の内容・特徴]
1.ラズベリーの果実は成熟とともに色や硬さが変化するため、果実の着色程度を目安とすることで、
生果として適した出荷時の基準とすることができる。この基準となる「ヒンボートップ」のカラー
チャートを作成した(図1)。
2.出荷時の着色3~4の果実は、外観(形状、色合い、硬さ)や酸味などの品質が優れ、生果出荷
に適する(表1)。
3.着色1の果実では、果托を抜く調製時に果実が崩れ商品性が著しく低下する(図2)。
4.着色6以上では、果実が柔らかくなり過ぎるため流通には適さない(図1)。
[成果の活用面・留意点]
1. 収穫期に入ると急速に着色が進むので、生果出荷割合を高めるためには毎日収穫が望ましい。
2. 品質低下を抑制するため、収穫後はできるだけ品温を低く保つ。
3. 果実の障害を回避するため、収穫期間中は雨よけが必須であり、夏季の高温時は雨よけビニール
と果実との間に一定の空間を保つ。
[具体的なデータ]
着色指数
着色0
着色1
成熟日数z
特徴
着色2
着色3
0日
着色4
着色5
1~2日
着色6
着色7
3~4日
着色0:・果肉は硬くしまっている
着色1:・果肉は硬くしまっている
・果托が密着し外せない
・果托が密着し外せない
・色が入らず緑色をしている
・色が入り始めたばかりで、まだ青っぽい
着色2:・果肉はやや硬い
着色3:・果肉はやや柔らかいがよくしまっていてる
着色4:・果肉は柔らかいがよくしまっている
・果托がやや密着し、やや外しにくい
・果托がやや密着するが外せる
・果托は密着せず外しやすい
・薄ピンク色になるがまだ白い部分が残っている
・全体的にピンクからオレンジ色
・全体的に赤いがややオレンジ色の部分が残る
着色5:・果肉は柔らかい
着色6:・果肉は柔らかく、果皮が破れやすい
・果托は容易に外せる
・果托は容易に外せる
・鮮やかな赤色になり果肉がやや透き通ってくる
・濃い赤色で果肉が透き通っている
着色7:・果肉は柔らかくやや崩れかけている
・果実と果托の間に隙間ができている
・暗赤色で果肉が透き通っている
z:収穫盛期(9月上旬、開花から収穫までの平均気温約26℃)における目安
図1
ラズベリー‘ヒンボートップ’のカラーチャート(カラー写真はやまがたアグリネット http://agrin.jp/で見ることができます。)
表1 出荷時の果実品質と流通後の県内実需者による果実評価(n=16)
z
着色
果実品質
出荷時 評価時
糖度
酸度
(Brix%) (g/100ml)
3
4
5
3.5
4.5
5.5
9.4
10.2
9.9
食味
y
外観
y
総合評価
甘さ
2.12
2.01
1.48
3.0
3.7
4.3
酸味
4.1
3.8
3.5
香り
色合い
光沢
硬さ
大きさ
3.9
4.2
3.2
3.8
3.9
3.0
4.0
3.7
2.9
3.7
3.6
3.7
3.3
3.7
3.6
82.7
81.3
66.7
評価基準(輸入生果と比べて):5 とても良い 4 良い 3 どちらともいえない 2 やや不良 1 不良
z:出荷時の果実品質(10果調査 調査日9月21日)
y:各項目の値は評価基準の平均値であり、アンケート調査により山形市を中心とする県内の実需者16名から回答を得た結果である(H24.9.12~28)。
x:右記の式により算出した
※1
総合評価
=
Σ(評価基準ごとの回答者数×評価基準)
全回答者数×5
×100
:総合評価で80ポイント以上
※2:一部無回答によりnの値が異なる項目あり
※3:出荷から実需者への納品の所要日数は約1日で、輸送中の平均温度は約11℃であった。
0:崩れなし
1:極わずかな崩れ(商品限界)
2:3割程度の崩れ
3:半分以上崩れ
100%
80%
果
実
崩
壊
程
度
60%
40%
20%
0%
着色1
図2
着色2
着色3
着色4
着色5
着色6
調製時における果実崩壊程度
[その他]
研究課題名:ラズベリーの産地育成のための栽培技術体系の確立
予算区分:県単
研究期間:平成 24 年度(平成 24~26 年度)
研究担当者:髙橋秀昌、多田史人
発表論文等:
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