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創業支援 - 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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創業支援 - 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
支援ナビ ③
創業支援
創業の初期相談から初年度決算まで
創業支援は、支援機関にとって個別企業に対する経営支援の基本となるテー
マです。マーケティング、調達・生産、資金繰り、業務設計等、広範囲な経営
機能に対して支援が求められます。常に経営者の目線で課題をとらえ、分かり
やすく丁寧なアドバイスや支援制度等の紹介が期待されています。
支援機関にとって、創業手続きや開業準備等の定型的業務は、数多くの支援
実績がありますので効率的なアドバイスが可能ですが、創業支援とは創設する
事業の成功を意味しますので、支援の中核課題はビジネスモデルの企画・精緻
化等にあります。支援機関にとって未経験分野の創業の際には、外部専門家や
企業OBの見識を活用して、相談対応に参画していただくのが適します。その
際は、支援機関指導員は外部人材の支援ノウハウをOJT等により確実に習得
し、フォローアップ支援の中でビジネスモデルの修正・見直し等を繰り返し実
行することが重要です。
発行:中小機構 支援機関サポート課 ※無断転載・複製を禁ず
創業支援とは 、 事業の 成功 を支援する こと
支援機関による創業支援は、事業の成功を支援するものであり、事業成功の目途が立つまで
創業者をサポートします。創業の初期相談から初年度決算まで約1年間の経営支援により、
創業者が企業経営の実践的ノウハウ、経営者の心構えを身に付けるお手伝いをします。
業務の定義:
業務の目的:
成果目標 :
創業の初回相談から、初年度決算・次年度計画作成までの一連の経営支援。
新規創業の成功を目的として、創業者の経営パートナーの役割を担うこと。
創業者との共有目標として初年度決算の黒字化を実現すること。
ビジネスモデルの企画や修正の繰り返し検討
ポイント①
事業成功に最も重要なカギは、【ビジネスモデルが的確】かどうかです。ライバルと比較し
て、優位で差別化されたビジネスモデルの構築を繰り返し検討します。
①ビジネスモデルの企画
初期の段階で、創業者の意向を図示化し、ビジネスモデルの議
論・検討ができる状態を作ります。
②ビジネスモデルの精緻化
事業計画の基になるビジネスモデルを定めます。多くのアイデア
を盛り込み、実践的で優位・差別化されたビジネスモデルに精緻
化します。
③ビジネスモデルの構築
ビジネスモデルの構築のためには、新たな企業連携や販路開拓が
必要なケースが多いです。支援機関の機能や支援制度を最大限活
用して実現します。
④ビジネスモデルのレビュー
事業立ち上げ後も、ビジネスモデルの的確性や優位性について見
直します。評価は、提携事業者、顧客からの意見を基に行います。
ポイント②
支援機関指導員は経営パートナーの意識で事業者に併走
支援機関指導員は、経営パートナーの意識を持ち、創業者に併走することが大切です。創業
者は日々難題に直面し、行動しながらも悩んでいます。創業者から電話一本で有益なアドバ
イスを求められる関係ができれば、支援機関の存在は大きな経営パワーとなります。そのた
めには、以下のような行動が有効です。
① 創業後も、繰り返し支援機関を利用するように提言します。
特に、電話相談や窓口相談を積極的に活用することを要請します。
② 経営状況に関する管理様式を提示し、定期的に経営指標をチェックします。
月次管理の実践につながり、企業の経営力を飛躍的に向上させます。
③ 支援機関が開催するマッチングやイベントには積極的に参加するように要請します。
④ 創業時の事業者の最大の悩みは【資金繰り】。資金繰りは日常的に相談対応し、特に設備投資
等については、慎重なシミュレーションを繰り返し実施し深く関与します。
など
ポイント③
支援目標は【初年度決算黒字化】
【事業の成功】を具体的指標とする場合、「黒字化」が最も分かりやすい上、目標管理への
展開が容易です。また、収益を確保する重要性を経営者が常に意識することにも繋がります。
【初年度決算黒字化】を事業者/支援機関の共有の目標とすることで、双方に経営パート
ナー意識が定着し、創業後の経営改善等にも積極的に取り組むことが期待できます。創業初
年度は赤字決算が多い状況下、【初年度黒字決算】は挑戦的な支援目標となります。
発行:中小機構 支援機関サポート課 ※無断転載・複製を禁ず
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創業支援の 基本手順
創業支援は、初回相談から初年度決算までの比較的長い期間の支援を基本とします。支援機
関指導員は創業者の経営パートナーの姿勢を持ち、電話相談、窓口相談の利用を促し、創業
者に併走することが大切です。従って、初回相談の際には支援の全体像を説明することも有
効です。
既に創業支援のために多くのチェックリストや管理様式が公開されていますので、これらを
上手に活用し、分かりやすく丁寧な創業支援を心がけましょう。
モデルとなる支援プロセス
活用する仕事道具(支援ツール)
STEP1 創業準備状況の確認
・創業準備チェックリスト
STEP2 ビジネスモデルの企画及び精緻化
・ビジネスモデル診断シート
STEP3 初年度事業計画の作成と精緻化
・事業計画書様式
必要に応じて外部専門家を活用する、重点支援分野
STEP4 資金繰り診断
~資金繰り計画の作成~精緻化
・資金繰り診断シート
・創業融資に関わる制度説明書
STEP5 定款の作成支援
・定款雛形
STEP6 法人登記手続き~各種届出支援
・各種届出記載例
STEP7 業務基準の作成支援
・IT活用提案書、事例集
STEP8 開業~顧客開拓活動の実行支援
・業務別活動支援プログラム
STEP9 ビジネスモデルの構築支援
・業務提携に係わる覚書雛形等
STEP10 ビジネスモデルのレビュー
・ビジネスモデル診断シート(再)
必要に応じて外部専門家を活用する、重点支援分野
STEP11 社内諸制度の整備
・業務分掌、人事労務規定等の
雛形
STEP12 初年度決算準備支援
・試算書診断
STEP13 次年度事業計画の作成支援
・PL診断、BS診断
・事業計画書様式(再)
以降、電話・窓口相談等によるフォローアップ
発行:中小機構 支援機関サポート課 ※無断転載・複製を禁ず
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創業支援の ノウハウ( Q&A )
Q1:創業支援に専門家を派遣するケース
はありますか?
A1:専門性の高い課題(例えば、店舗デ
ザイン、システム構築等)では、専門家派
遣の例が多数あります。HPの開設や通信
販売の手続き等にも専門家を活用するケー
スはあります。
Q2:ベンチャー企業と呼ばれる技術オリエ
ンテッドの創業や、当初よりIPO狙いの創
業には、どのように対応したら良いですか?
A2:ベンチャー企業でも高度なビジネスモ
デルを志向する企業でも、経営者の悩みは変
わりません。懇切丁寧に聞き取り、課題対応
を一緒に考えましょう。
但し、長期の支援を必要とする場合は企業
OB、民間コンサルタント、専門業者の紹
介等も視野に入れると良いです。
IPO等の専門課題には、中小機構(専門家
派遣、IPO会議等)を活用するのが良いで
すが、支援機関の併走は必要です。
Q3:経営パートナーの姿勢と言われても、
具体的にどういうことですか?
Q4:創業支援の際のビジネスモデル診断と
は、どのように取り組んだら良いですか?
A3:経営を指導するのではなく、経営者
と一緒に悩み、考える姿勢が最も大切です。
生業から企業へと進化する際に必要となる
経営機能を、丁寧に整備していく役割が経
営パートナーです。
A4:ビジネスモデル診断とは、事業の競合
優位性、差別性、新規性等の観点から、診
断・評価します。具体的な診断手法としては
以下があります。
・サプライチェーンの図示化
・ビジネスフローチャートの作成
・WBS(ワークブレークダウン・ストラク
チャー)による事業構成要素の洗い出し
・仮想ライバルとのベンチマーキング
・戦略・課題体系図の作成
等
創業者からは突然の問合せや依頼がありま
すが、根本的な部分で課題を共有している
意識が、信頼関係の構築を通し、迅速な課
題対応につながります。
創業融資に ついて
創業時の資金繰りに際し、公的助成金及び公的融資を活用することができます。申請には緻
密な事業計画書等が必要ですから、支援機関による支援や紹介等が期待されます。以下は代
表的な制度です。 (2012年9月時点)
No.
機関名
1
日本政策金融公庫
新創業融資制度
貸付限度額 1,000万円 無担保・無保証人
新規開業資金、女性・シニア起業家資金等
同
新企業育成貸付
融資限度額 7,200万円
(うち運転資金4,800万円以内)
地域創業助成金
助成金額上限 500万円
雇用条件により変動
助成率 1/3
受給資格者創業支援助成金
助成金額上限 200万円
助成率 1/3
創業融資
東京都の場合:
融資限度額 1,000万円~2,500万円
保証協会の信用保証が必要
2
3
上
制度名称
厚生労働省
自治体の制度融資
概
要
制作著作 独立行政法人中小企業基盤整備機構 経営支援部 支援機関サポート課
作成担当 青木 弘一 (平成23~27年度 全国支援ネット統括マネージャー)
地域支援機関等サポート事業 ホームページ
http://www.smrj.go.jp/keiei/chiikiryoku/index.html
発行:中小機構 支援機関サポート課 ※無断転載・複製を禁ず
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