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確率問題集

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確率問題集
確率演習
学習院大学 澤野嘉宏
Contents
注意
Part 1.
3
問題
4
1. 場合の数,確率の基本
4
2. 確率の用語
10
3. 確率の記号,条件付き確率
14
4. 二項分布,確率分布
18
5. 独立,従属
20
6. 期待値, 分散, 標準偏差
21
7. 相関係数
26
8. 確率密度関数
28
9. 正規分布
32
10. 検定
35
11. 推定
44
12. 計算技術
52
Part 2.
解答
53
13. 1 節
53
14. 2 節
63
15. 3 節
65
16. 4 節
72
17. 5 節
75
18. 6 節
76
19. 7 節
79
1
学習院大学 澤野嘉宏
2
20. 8 節
80
21. 9 節
85
22. 10 節
87
23. 11 節
91
24. 12 節
93
確率演習
3
注意
(1) A := B は A は B でもって定義するということを表す.A ≥ B は A ≧ B と同じである.
(2)
学習院大学 澤野嘉宏
4
Part 1. 問題
1. 場合の数,確率の基本
問題 1.1. 埼玉県,群馬県,栃木県,茨城県の 4 県の白地図を各県ごとに異なる色で塗り分ける
方法を考える.塗る際に隣接する県は異なる赤,青,黄色,緑の 4 色で塗ることにする.使わな
い色があってもよいとする.以下,色をそれぞれ R,B,Y,G と略す.次の条件にかなう塗り方は何
通りあるか?
(1) 埼玉県と栃木県の県境はわずかなので,この 2 県に限り同じ色で塗ってよいとした場合.
(a) 4 色使う場合.
(b) 3 色使う場合.
(c) 2 色使う場合.
(d) 使う色の数を限定しない場合.
(2) 埼玉県と栃木県も違う色で塗らなければいけないとき.
問題 1.2. 次の問いに答えよ.
(1) 2人でじゃんけんを 2 回して連勝する確率を求めよ.ただし,あいこになったとしても
一回と数える.
(2) さいころを 2 回投げて,出た目の積が 10 以上になる確率を求めよ.
(3) 1, 2, 3, 4 のなかから重複を許して 10 個の数をとる方法は何通りあるか?
(配列は問題にし
ないで,1 は 2 個,2 は 0 個,3 は 7 個,4 は 1 個という風に個数だけを問題にする.
)
(4) (2x + 7)6 の x4 の係数はいくらか?
(5) 6 巻からなる図鑑 A, B, C, D, E, F を 3 巻づつわける方法は何通りあるか?
(6) 京都市のように東西南北の道路からなる町を考える.道路は南北に 8 本,東西に 6 本あ
る.町の北西部から町の東南部に抜ける道で最短距離のものは何通りあるか?
問題 1.3. 次の問いに答えよ.
(1) 10 人のなかから 3 人を役員として選出する方法は何通りあるか?
(2) 10 人のなかから 3 人を委員長,副委員長,書記として選出する方法は何通りあるか?た
だし,兼任は認めない.
(3) 10 人を半分にしてドッジボールをするとき,チーム編成は何通りあるか?
(4) 10 巻からなる図鑑を本棚に5冊ずつ2段にわけて入れる.入れ方は何通りあるか?ただ
し,上の段と下の段に分けたときに各段の配列は問題にしない.
(5) 座標平面直線群 x = m および直線群 y = n(ただし,m, n は整数)に線を引く.(0, 0)
から (3, 5) へこの線に沿っていくとき,最短で行く方法は何通りあるか?
(6) X + Y + Z = 18 を満たす X, Y, Z のうち 0 以上の整数の組はいくつあるか?
(7) 10 個の梨を 5 人の子供にあげる.梨の配り方は子供によってまちまちで一個も受け取れ
ない子供がいてもよいとする.このとき,与え方は何通りあるか?
(8) 10 個の梨を 5 人の子供にあげる.梨の配り方は子供によってまちまちだが,必ずひとつ
はみんな受け取れるとする.このとき,与え方は何通りあるか?
問題 1.4. 次の問いに答えよ.
(1) さいころを2回振って出た目を X, Y とする.X + 2Y ≥ 10 となる確率を求めよ.
(2) 袋の中に白玉と黒玉がそれぞれ3個と7個入っている.玉を元に戻すことなく3個取る
とき,2個が白である確率を求めよ.
(3) 袋の中に白玉と黒玉がそれぞれ3個と7個入っている.玉を取る度に色を記録して3回
繰り返すとき,2回白である確率を求めよ.
a
(4) 整数 a を用いて,さいころを6回振って 1 が 3 回出る確率を 6 と表すとき a の値を求
6
めよ.
確率演習
5
問題 1.5. 次の場合の数を求めよ.
(1) 6 巻からなる図鑑を二つに分割する.3 ずつに分ける方法は何通りあるか?
(2) 9 巻からなる図鑑を二つに分割する.3 ずつに分ける方法は何通りあるか?
(3) 15 個の梨を 5 人の子供にあげる.梨の配り方は子供によってまちまちだが,必ず2つ以
上はみんな受け取れるとする.このとき,与え方は何通りあるか?
問題 1.6. 次の確率を求めよ.
(1) さいころを2回振って出た目を X, Y とする.X · Y 2 ≥ 48 となる確率を求めよ.
(2) 袋の中に白玉と黒玉がそれぞれ3個と7個入っている.玉を元に戻すことなく3個取る
とき,2個が白である確率を求めよ.
(3) 袋の中に白玉と黒玉がそれぞれ3個と7個入っている.玉を取る度に色を記録して戻す
ことを3回繰り返すとき,2回白である確率を求めよ.
a
(4) 整数 a を用いて,さいころを6回振って 4 が 3 回出る確率を 6 と表すとき a の値を求
6
めよ.
問題 1.7. 次の場合の数を求めよ.
(1) 8 個のアメ(アメ一つ一つは同じとする)を 3 人の子供に与える.必ず,みんなにひとつ
与えるとして全部で何通りの与え方があるか?
(2) 10 冊の異なる本を 5 冊ずつ 2 つに分ける方法は何通りあるか?
(3) 6 巻からなる図鑑を二つに分割する.3 ずつに分ける方法は何通りあるか?
問題 1.8. 次の文章の空白を埋めて,ライプニッツの公式(積の微分の n 回導関数)
n
∑
(k)
(f (t) · g(t))(n) =
(t) · g (n−k) (t)
n Ck f
k=0
の証明を完成させよ.
(1) n = 0 のとき,
右辺 = 左辺 = (1)
だから,ライプニッツの公式は明らかである.
N
∑
(k)
(2) n = N のとき,(f (t) · g(t))(N ) =
(t) · g (N −k) (t) を仮定する.両辺を微分
N Ck f
k=0
して
(f (t) · g(t))(N +1) =
N
∑
N
Ck (f (k) (t) · g (N −k) (t))′
k=0
=
N
∑
(
(k+1)
C
(t) · g (N −k) (t) + (2)
N k f
k=0
∑
ここで, を用いずに書いてみると
N
∑
N
Ck f (k+1) (t) · g (N −k) (t)
k=0
= (3)
であるから,
N
∑
k=0
(4)
(k+1)
(t) · g (N −k) (t) =
N Ck f
∑
N
k=1
Ck−1 f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
)
学習院大学 澤野嘉宏
6
が成り立つ.したがって,
N
∑
N
Ck f (k+1) (t) · g (N −k) (t) +
k=0
=
N
∑
N
Ck f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
k=0
N
+1 (
∑
)
(5)
f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
k=0
がなりたつ.ここで,
N CN +1
= N C−1 = 0
としている.
N Ck−1
+ N Ck = (6)
だから,n = N + 1 のときの式
(7)
が得られた.
問題 1.9. 次の場合の数を求めよ.
(1) 9 巻からなる図鑑を3つに分割する.3 ずつに分ける方法は何通りあるか?
(2) 15 個の梨を 5 人の子供にあげる.梨の配り方は子供によってまちまちだが,必ず2つ以
上はみんな受け取れるとする.このとき,与え方は何通りあるか?
(3) 方程式 x + y + z = 12 をみたす自然数の組 (x, y, z) は合計でいくつあるか?ただし,自
然数には 0 を含めない.ヒント,X = x − 1, Y = y − 1, Z = z − 1 と変換して重複組み
合わせの公式を用いる.
(4) 8 冊の本を 4 冊ずつ 2 つに分ける方法は何通りあるか?
問題 1.10. 1 ≤ k ≤ n のとき n Ck + n Ck−1 =
(3),(4),(5),(6),(7) には n, k の多項式が入るが,
n+1 Ck
を証明する.証明文の空白を埋めよ.
n, k, n(n − 1), k(n − k), n + 1, k + 1, n − k, n − k + 1, n − k − 1, k − n, k 2 + n2
のなかから該当するものを選べ.重複して使って構わない.
はじめに k! = k(k − 1)(k − 2) · · · 3 · 2 · 1 を用いて n Ck を書き下すと
n Ck
= (1)
である.
(· · · を用いずに,! を用いること)同様に考えて
n Ck−1
= (2)
が成り立つ.
(· · · を用いずに,! を用いること)
ところで,k! = k(k − 1)(k − 2) · · · 3 · 2 · 1 = (3) · (k − 1)! であるから n Ck−1 =
が成り立つ.これらを代入すると,
n Ck
+ n Ck−1
n!
=
(n − k)!k!
(4) · n!
(5) · k!(n − k)!
(
)
(6)
1+
= (8)
(7)
が成り立つ.
(· · · を用いずに,! を用いること)n+1 Ck = (9) であるから,
(· · · を用いずに,! を
用いること)結果的に n Ck + n Ck−1 = n+1 Ck が証明された.
問題 1.11. 1, 2, 3, 4, 5 をでたらめに並び替えてすべての数字が最初の位置と違う確率を求めよ.
たとえば,
4, 5, 3, 1, 2
は 3 が同じなので,考えている状況には該当しないが,
2, 3, 4, 5, 1
確率演習
7
はすべて入れ替わっていることになる.
問題 1.12. 次の条件を満たしている {1, 2, 3, 4, 5} から {1, 2, 3, 4, 5} への全射かつ単射の σ(全単
射という)はいくつあるか?
σ(i) ̸= i
がすべての i = 1, 2, 3, 4, 5 に対して成り立つ.
問題 1.13. {1, 2, 3, 4, 5} から {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10} への写像で次の条件にかなうものはいく
つ存在するか?ただし,σ が {1, 2, 3, 4, 5} から {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10} への写像であるとは,
σ(1), σ(2), σ(3), σ(4), σ(5)
という 5 つの数が 1 から 10 の整数のどれかであることをいう.
(1) σ(1), · · · , σ(5) にいかなる条件もつけない場合.
(2) σ(1), · · · , σ(5) がすべて異なる場合.この場合は,σ は単射(たんしゃ)という.
(3) σ(1) < σ(2) < σ(3) < σ(4) < σ(5) となる場合.この場合は,σ は単調増加もしくは狭義
単調増加という.
(4) σ(1) + σ(2) + σ(3) + σ(4) + σ(5) = 10 となる場合.
問題 1.14. 次の問に答えよ.
(1) 8 人が円卓を囲む場合の数はいくつあるか?ただし,円卓のいすにはそれぞれ番号がつい
ていてそのいすに座っていくものとする.
(2) 8 人が円卓を囲む場合の数はいくつあるか?ただし,円卓のいすには番号はなく誰が右隣
か左隣かのみを問題とする.
(3) 8 人が円卓を囲む場合の数はいくつあるか?ただし,円卓のいすには番号はなく誰が右隣
か左隣かのみをも問題とはせず,両隣にいる人は誰かだけを問題にするとする.
問題 1.15. 宮城県,岩手県,山形県,秋田県を考えると,岩手県が北東,宮城県が南東,山形県
が南西,秋田県が北西に位置する.また,宮城県は残り3県とすべて接している.さらに,福島
県は宮城県と山形県に接していてこれらの県の南側にあり,青森県は,岩手県と秋田県に接して
いてこれらの県の北側にある.
(1) まず,赤,青,黄色,緑のうち使わない色があってもよいので,宮城県,岩手県,山形
県,秋田県の白地図を塗り分ける方法を考える.
(a) 宮城県,岩手県,山形県,秋田県の白地図を 4 色で塗り分ける方法は何通りあるか?
(b) 宮城県,岩手県,山形県,秋田県の白地図を 3 色で塗り分ける方法は何通りあるか?
(c) 宮城県,岩手県,山形県,秋田県の白地図を塗り分ける方法は何通りあるか?
(2) 次に,赤,青,黄色,緑のうち使わない色があってもよいので,宮城県,岩手県,山形
県,秋田県,青森県,福島県の白地図を塗り分ける方法を考える.
(a) 宮城県,岩手県,山形県,秋田県,青森県,福島県の白地図を 4 色で塗り分ける方
法は何通りあるか?
(ヒント:岩手県と秋田県の色を決めると使える青森県の色は 2
色に決まる.福島県に関しても同様に考える)
(b) 宮城県,岩手県,山形県,秋田県,青森県,福島県の白地図を 3 色で塗り分ける方
法は何通りあるか?
(3) 次に,赤,青,黄色,緑,紫,橙のうち使わない色があってもよいので,宮城県,岩手
県,山形県,秋田県,青森県,福島県の白地図を塗り分ける方法を考える.
(a) 宮城県,岩手県,山形県,秋田県,青森県,福島県の白地図を 6 色で塗り分ける方
法は何通りあるか?
(b) 宮城県,岩手県,山形県,秋田県,青森県,福島県の白地図を塗り分ける方法は何
通りあるか?
ヒント
(1) 3色で塗る場合,宮城,岩手,山形の3県を塗れば必然的に残りが決まる.
学習院大学 澤野嘉宏
8
(2) 4色で塗る場合,
(a) 秋田,宮城,岩手,山形の4県を塗れば,そのおのおのの塗り方に対して4通り塗
り方がある.
(b) 宮城,岩手,山形を別の色で塗って秋田と宮城を同じ色で塗ったとするとそのおの
おのに対して3通りの塗り方がある.
(3) 5色で塗る場合:同じ色を一度使わないといけないが,どの県とどの県で使うかに関し
て次の6通りの組み合わせがある.
(a) 福島,岩手
(b) 福島,秋田
(c) 福島,青森
(d) 山形,岩手
(e) 山形,青森
(f) 宮城,青森
(4) 6色で塗る場合,すべての県を塗る方法は720通り.これは紛れがない.
問題 1.16. x, y, z, w の方程式 x + y + z + w = 10 の自然数解の個数を求めよ.
問題 1.17. 頂点が正八角形の頂点からなる三角形のうち,辺が正八角形の辺以外の辺からなるも
のの個数を求めよ.
問題 1.18. 次の問に答えよ.ただし n = 3 とする.
(1) n 個の異なる品物を二つの箱に入れる入れ方は何通りあるか?ただし,箱の中にはひと
つは品物が入っているとする.
(2) n 個の異なる品物を三つの箱に入れる入れ方は何通りあるか?ただし,箱の中にはひと
つは品物が入っているとする.
(3) n 個の同種な品物を三つの箱に入れる入れ方は何通りあるか?ただし,箱の中にはひと
つは品物が入っているとする.
問題 1.19. 次の等式を証明せよ.
(1)
(2)
n
∑
m=1
n
∑
m=0
m2 n Cm = n(n + 1)2n−2
n Cm
m+1
=
2n+1 − 1
n+1
問題 1.20. リンゴが 3 個,柿が 5 個ある.その全部または一部を 6 人に分ける.
(1)
(2)
(3)
(4)
1 人に 1 つずつ与え,計 6 個を分配する方法は何通りあるか?
1 人に 1 個または 2 個与え,計 8 個を分配する方法は何通りあるか?
何も与えられない人がいてもいいので,計 8 個を分配する方法は何通りあるか?
全員何も与えられない,何も与えられない人がいてもいいので,そのうちのいくつかも
しくは全部を分配する方法は何通りあるか?
問題 1.21. A = {1, 2, 3, 4, 5},B = {1, 2, . . . , n} とする.A から B への写像のうち次の条件に
適うものはいくつあるか?
(1) n ≥ 5 とする.a ̸= b のとき,f (a) ̸= f (b) を満たす写像.
(2) n ≥ 5 とする.a < b ならば,f (a) < f (b) を満たす写像.
(3) a < b ならば,f (a) ≤ f (b) を満たす写像.
問題 1.22. A, B, C, D, E の五文字のうちの一部もしくは全部を用いて 10 文字からなる記号を作
る.次の条件に適うものはいくつあるか?
(1) A, B を両方含む.
(2) A, B を合計 4 個含む.
確率演習
9
(3) A, B を両方含むが,A のほうが多い.
問題 1.23. 10 個の同じ形をした玉があり,そのうち 5 個は赤,3 個は白,2 個は黒である.
(1) 10 個の玉で作られる順列はいくつあるか?
(2) 10 個の玉で作られる円順列はいくつあるか?
(3) 10 個の玉で作られる数珠順列はいくつあるか?
問題 1.24 (カタラン数). 次の場合の数 an を求めよ.すべてが一致することを確かめて an を求
めよ.
(1) (x, y) 平面の直線群 x = m, y = n を考える.m, n は整数全体を動く.(0, 0) から (n, n)
まで直線に沿って動くとき,最短距離でさらに,y > x の部分を通らない場合の数 an を
求めよ.
(2) トーナメント戦をするとき,将棋の名人戦のように他の人より圧倒的に多く戦わなくて
はいけないような場合があるかもしれないが,そのような不公平な試合表を認めること
にして全部で何通りあるか?
(3) n + 2 角形の対角線の本数はいくらか?
(4) 群 G が与えられて n 個の元 a1 , a2 , · · · , an ∈ G がある.この順番に並べられているとす
ると,結合法則により何個のものが
a1 a2 · · · an
等しいとわかるか?
((a1 a2 ) a3 ) · · · an )
などはその一例である.
ヒント
(1) 甲子園の試合で52チームが一列に並んだとしましょう。どこかのチームに不利になる
かもしれませんが、51試合をとにかく適当にやるのです。はじめの試合はチームk−
1、チームkが戦います。そうすると必ず一方が敗れるので、それをはずして勝者とチー
ムk−2、チームk+1のどちらかが戦います。長くてややこしいですが、はじめに5
2チームの順番だけを決めてつぶしあいをさせるのです。さて、要領が飲み込めたとこ
ろでチーム1はいつ戦うのでしょうか?チーム1が戦うのはチーム2∼チームkまでの
戦いの勝者ということになりますね?
(2) 2.多角形 これはわかりやすい。頂点に番号をつけてはじめに頂点 k と頂点 l (l =
1, 2, · · · , k − 2)のどれと結ぶかを考えればよい。
(3) 単項式を括弧でくくる これも同じである。つまり、最初の文字に括弧をあてがうとき
そのペアーはどの文字を含んでいるかを考える。すべての場合に同じ漸化式が登場する。
これですべての状況が一致することがわかる。
学習院大学 澤野嘉宏
10
2. 確率の用語
記号.
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
⊂:A ⊂ B で事象 A がおきるなら,事象 B がおきるを意味する.
⊃:A ⊃ B と A ⊂ B は同義.
∪:A ∪ B は A, B のどちらかが起きるという意味.
∩:A ∩ B は A, B の両方が起きるという意味
A:A が起きないという事象.Ac とも書く.
≤:小なりイコールの意味
≥:大なりイコールの意味
(1) A ⊂ B :意味 A がおきれば B は必ずおきているということ.
(2) A と B は独立:意味 P (A)P (B) = P (A ∩ B) ということ.
(3)
用語.
(1) 根元事象:事象の基本となり,これ以上分割できないもの.
(2) 標本空間:考えられる根元事象をすべて集めてきたもの.
例題 2.1. 例:サイコロを一回振ったときの目
(1) {1, 2, 3, 4, 5, 6} は標本空間
(2) 1 は根元事象.2 は根元事象.以下同様に,6 は根元事象.
例題 2.2. 標本空間が {a1 , a2 , · · · , ak } のときの根元事象の求め方.
樹形図を考える.
(1)
(2)
(3)
(4)
a1 は考えている事象に属するか?
a2 は考えている事象に属するか?
a3 は考えている事象に属するか?
以下,同様.
例題 2.3. {a, b, c} の場合







 b



a
が
A
に属する →







 b






 b



a
が
A
に属さない
→







 b
{
c
{ c
c
が A に属さない →
{ c
c
が A に属する →
{ c
c
が A に属さない →
c
が A に属する →
が A に属する
が A に属さない
が A に属する
が A に属さない
が A に属する
が A に属さない
が A に属する
が A に属さない
2 × 2 × 2 で 8 とおりある.
問題 2.4. 次の文章の空白を語群の中から選び埋める.この際に,使わなかった 7 つを答えよ.た
だし,重複している単語はその回数分だけ使うことが出来る.
語群 試行,試行,相対度数,相対度数,正しいさいころ,根元事象,排反事象,かつ,また
は,積事象,和事象,有限集合,無限集合,空事象,確率,分配法則,交換法則,ド・モルガン
の法則,余事象,標本空間
(1) ランダムに誰かを選んできてその人の誕生日を当てる.このとき,
( )は 366
通りある.
確率演習
11
(2) さいころを二回投げる.一回目に出た目を A として二回目に出た目を B とする.一回の
( )で出た目を (A, B) と表すとき( )は
{(a, b) : a, b は 1, 2, 3, 4, 5, 6 のどれか }
と表せる.
16
8
(3) さいころを 90 回投げたときに 6 の目が 16 回出た.このときの( )は
=
90
45
1
である.さいころを投げる回数が多いとこの( )は に近づく.
6
(4) 標本空間が( )である例として,18 歳の男子を任意に選んだときの体重などが
あげられる.
(ただし,重さはどこまでも精密に測っているとする.
)
(5) さいころを 150 回投げたときに,4 の目が 43 回出た.このことから,さいころが( )であるとはいえないと思われる.
(6) さいころを 2 回投げて出た目の積を考える.積が 5 の倍数であることと,積が 8 の倍数
であることは( )である.
(7) さいころを 4 回投げて出た目の積を考える.積が 2 の倍数であることと積が 3 の倍数で
あることの( )は積が 6 の倍数であることである.
(8) さいころを投げて出た目を考える.このとき,一回投げるその行為を確率論の言葉で( )という.
(9) 事象 A, B があって A( )B の( )は A または B である.このことを
( )という.
問題 2.5. 次の記号,用語の意味を説明できるか?それぞれの記号に関する問題に答えよ.
U = {1, 2, 3, 4, 5, 6}
とする.
(1) A ∩ B :
A = {1, 2, 3}, B = {1, 4, 5}
のとき,A ∩ B は何か?
(2) A ∪ B :
A = {1, 2, 3}, B = {1, 4, 5}
のとき,A ∪ B は何か?
(3) A:
A = {2, 4, 6}
のとき,A は何か?
(4) A ⊂ B :
A = {2, 4, 6}, C = {1, 2, 5}
のとき,
A ⊂ B, C ⊂ B, B ⊂ U
となっている B は何か?ありえる可能性をすべて網羅すること.
(5) A ∩ B = ∅:
A = {2, 4, 6}, B = {m, m + 2}
とする.
A ∩ B = ∅, B ⊂ U
となるためには,m がどのような値をとる必要があるか?ありえる可能性をすべて網羅
すること.
(6) 排反:硬貨を2回投げる.
“ 表が少なくとも1回出る ”という事象と排反な事象は何か?
ありえる可能性をすべて網羅すること.
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12
(7) 独立:
(独立であるか否か正しい結論がでて1点とする.
)
A = {1, 4}, B = {1, 3, 5}
とする.この問いでは C ⊂ U とするとき,
C の元の個数
P (C) =
6
で定める.すると,サイコロを一回振ったときのモデルが出来る.
P (A), P (B), P (A ∩ B)
をすべて計算してその結果 A と B が独立といえるか判定せよ.
(8) 相対度数:4 択問題 400 問にまったくでたらめに答えた結果 96 問正解だった.このとき
の相対度数はいくらか?
問題 2.6. 次の文章の空欄を埋めるのにもっとも適した用語を選択肢のなかから選べ.答えとな
る用語ひとつを○で囲め.
(1) 硬貨を 700 回振って表が 364 回でた.このときの
(確率,相対度数,場合の数,試行)
364
は
= 0, 52 である.
700
(2) さいころを二回振って出た目の積を考える.積が 5 の倍数であるという事象を A,積が
12 の倍数であるという事象を B とするとき,A, B は
(排反,独立,積事象,対立)
である.
(3) トランプのカード(ジョーカーを含む)54枚から5枚カードをとることを考える.フ
ラッシュ(ハートの3、ハートの4、ハートの7、ハートの10、ハートの Q のように
すべての絵札が同じ)である事象を A,ストレートフラッシュ(ハートの3、ハートの
4、ハートの5、ハートの6、ハートの7のようにすべての絵札が同じで続き番号になっ
ている)である事象を B とする.このとき
B (⊂, ⊃, ∪, ∩)A
が成り立っている.
問題 2.7. 次の文章の空欄を埋めるのにもっとも適した用語を選択肢のなかから選べ.答えとな
る用語ひとつを○で囲め.
(1) 正しいさいころを 200 回振って 1 の目が 38 回でた.このときの
(確率,相対度数,場合の数,試行)
38
は
= 0, 19 である.
200
(2) A と B を事象とする.A かつ B の
(排反事象,積事象,和事象,余事象)
は“ A でない ”または“ B でない ”である.この法則を
(交換,ド・モルガンの,ド・モアブルの,結合)
法則という.
問題 2.8. サイコロを一回振ったときの標本空間
U ={1, 2, 3, 4, 5, 6}
を考える.
A = { 1 , 3 , 5 }, B = { 4 , 5 , 6 }
としたとき,次の問いに答えよ.
確率演習
13
(1) 部分集合,すなわち事象は空事象と U 自身を含めて全部でいくつあるか?
(2) A と互いに排反な事象は全部で何通りあるか?空事象を含めるのを忘れずに.
(3) 次のものを求めよ.
A, A ∪ B, A ∩ B, A ∪ B, A ∩ B
問題 2.9. 次の文章を埋めるのに最も適切な言葉を A∼D のうちひとつ選んでその用語に丸をつ
けよ.
(1) サイコロを600回投げて4の目が99回でた.このときの
A:相対度数, B:確率, C:場合の数, D:事象
99
= 0.165 である.
は
600
(2) サイコロを1回振るとき,次の事象
A = {1, 4, 5 の目が出る }, B = {1, 6 の目が出る }
は
A:排反, B:独立, C:従属, D:矛盾
の関係にある.
(3) サイコロを2回振って出た目を X, Y とする.積 X Y を考える.
E = {X Y は 12, 24, 36 のどれか }, F = {X Y は 6, 12, 18, 24, 30, 36 のどれか }
とすると,
E, A :⊂, B :⊃, C : ∩, D : ∪, F
が成り立つ.
問題 2.10. 次の文章の空白を埋めるのに最も適切なもの,意味が正しく通ずるものをひとつ選ん
でその番号に丸をつけよ.ただし,該当するものがない場合は4つの番号すべてに×をつけよ.
(1) サイコロを1200回投げて4の目が201回でた.このときの相対度数は である.
1
67
67
1
, (2)
, (3)
, (4)
6
400
100
300
(2) サイコロを1回振るとき,次の事象
(1)
A = {1, 4, 5 の目が出る }, B = {3, 6 の目が出る }
は の関係にある.
(1) 排反, (2) 独立, (3) 従属, (4) 無相関
(3) 日本人を一人任意に選ぶ.
A = { その人は3月生まれ }, B = { その人は愛知県出身 }
とすると,A B = ∅ が成り立つ.
(1) ⊂, (2) ⊃, (3)∩, (4)∪
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14
3. 確率の記号,条件付き確率
問題 3.1. U を全事象 A, B を事象とする.P (A) =
1
1
, P (B) = とする.
3
4
(1) P (A ∩ B) のとりうる値の範囲を求めよ.
(2) P (A ∪ B) のとりうる値の範囲を求めよ.
1
(3) P (A ∩ B) = とする.PA (B) を求めよ.
5
1
(4) P (A ∩ B) = とする.PB (A) を求めよ.
5
1
(5) P (A ∩ B) = とする.PA (B) を求めよ.
5
(6) A, B が独立のとき,P (A ∪ B) を求めよ.
問題 3.2. 電球 A, B, C, D があり,A は完全な良品であるが,B, C, D は不良品である確率が高
1 1 1
い.B, C, D が良品である確率はそれぞれ , , であり,不良品は両端に電圧をかけても電気を
2 3 4
通さない.今,C, D を並列つなぎにしてひとつの電球としてみなして A, B,“ C と D ”の順番に
直列つなぎにして電圧をかけた.B, C, D の電球が壊れているかそうでないかは独立であるとし
て次の問いに答えよ.
(1)
(2)
(3)
(4)
A の電球がつく確率を求めよ.
A の電球がついていたとき,C の電球が壊れていない確率を求めよ.
A の電球がついていない確率を求めよ.
A の電球がついていないとき,B の電球が壊れている確率を求めよ.
問題 3.3. 次の問いに答えよ.
1
1
1
, P (B) = , P (A ∩ B) =
のとき,PA (B) を求めよ.
8
7
10
1
1
(2) U を全事象 A, B を事象とする.P (A) = , P (B) =
A, B が独立になるためには,
4
5
P (A ∪ B) はいくらでないといけないか?
(3) 機械 A は2%の確率で不良品を作る.機械 B は6%の確率で不良品を作る.機械 C は
1,5%の確率で不良品を作る.A, B, C がそれぞれ4800個,1200個,4000
個製品を作った.10000個のうち1個サンプルを取り出したら不良品であった.そ
れを作ったのは A である確率を求めよ.
(4) A さんは弘前(ひろさき),角館(かくのだて),秋田,男鹿(おが)をこの順で2日で
旅行して男鹿で一泊して帰ってきた.A さんは携帯電話を忘れる癖があり,一箇所回る
1
1
と の確率で忘れてしまう.宴会の席で携帯電話を忘れる確率は である.男鹿で宴会
6
3
があったため男鹿でわすれる確率は角館と弘前より高い.帰ってきて携帯電話を忘れて
いることに気がついた.弘前で忘れている確率(条件付確率)と男鹿で忘れている確率
(条件付確率)を比較せよ.
(1) P (A) =
問題 3.4. 次の問いに答えよ.
(1) 機械 A は2%の確率で不良品を作る.機械 B は6%の確率で不良品を作る.A, B がそ
れぞれ4800個,1200個製品を作った.6000個のうち1個サンプルを取り出
したら不良品であった.それを作ったのは A である確率を求めよ.
(2) A さんは横浜,江ノ島,箱根をこの順で1日で旅行して箱根で一泊して帰ってきた.A
1
さんは携帯電話を忘れる癖があり,一箇所回ると の確率で忘れてしまう.宴会の席で
4
1
携帯電話を忘れる確率は である.箱根で宴会があったため箱根でわすれる確率は横浜
3
と江ノ島より高い.帰ってきて携帯電話を忘れていることに気がついた.どの地点で忘
れている可能性が高いか?条件付確率をそれぞれ計算して答えよ.
確率演習
(3) P (A) =
15
1
1
1
, P (B) = , P (A ∩ B) =
のとき,PA (B) を求めよ.
4
8
18
問題 3.5. 次の問いに答えよ.
1
1
1
, P (B) = , P (A ∩ B) =
のとき,PA (B) を求めよ.
5
9
13
(2) A さんと B さんがボールペンを作っている.A さんは 1 %の確率でミスを犯し,B さん
は 2 %の確率でミスを犯す.A さんと B さんがそれぞれ共同で作業して A さんは900
本,B さんは1100本ボールペンを作成した.2000本のボールペンから一本取り
出したところそのボールペンは不良品であった.それを作ったのは A さんである確率を
求めよ.
(1) P (A) =
問題 3.6. A, B, C, D の4人が伝言ジェスチャーをする.A は表題を見て A から順番に B, C, D
とジェスチャーで伝えて行き,D が解答する.正しいジェスチャーをした人のジェスチャーを見
3
て正しく理解する確率は とし,間違えたジェスチャーをした人からなにかの弾みで正しいジェ
4
1
スチャーに戻る確率は であるとする.たとえば,B さんはジェスチャーを正しく理解する確率
4
3
は である.また,B さんが A さんのジェスチャーをもし間違えて理解してしまったなら C さ
4
1
んが正しく修正する確率は である.
4
(1) D さんが正解する確率はいくらか?
(2) D さんが不正解だとして,B さんが間違えていた確率はいくらか?
問題 3.7. 加法定理など教科書の本文(節末の問題に出てきた公式は除く)にある公式は使って
よいものとする.A, B1 , B2 は事象としてさらに P (A) > 0 を仮定する.
PA (B1 ∩ B2 ) = PA (B2 ) − PA (B1 ∩ B2 )
を証明せよ.ヒント:ベン図を用いて
P (B1 ∩ B2 ) = P (B2 ) − P (B1 ∩ B2 )
を証明せよ.
問題 3.8. 次の問いに答えよ.
1
1
1
, P (B) = , P (A ∩ B) = のとき,PA (B) を求めよ.
3
5
8
(2) A さんと B さんがボールペンを作っている.A さんは 2 %の確率でミスを犯し,B さん
は 3 %の確率でミスを犯す.A さんと B さんがそれぞれ共同で作業して A さんは100
0本,B さんは1200本ボールペンを作成した.2200本のボールペンから一本取
り出したところそのボールペンは不良品であった.それを作ったのは A さんである確率
を求めよ.
(1) P (A) =
問題 3.9. 次の問いに答えよ.電球 A, B, C, D, E があり,A は完全な良品であるが,B, C, D, E
1
は不良品である確率が高い.B, C, D, E が良品である確率はすべて である.不良品は両端に電
2
圧をかけても電気を通さない.今,C, D, E を並列つなぎにしてひとつの電球としてみなして 3
つの電球 A, B,“ C と D と E ”の順番に直列つなぎにして電圧をかけた.B, C, D, E の電球が壊
れているかそうでないかは独立であるとして次の問いに答えよ.
(1) C,D,E の電球は壊れているかいないかで 8 通り可能性があるが,
“ C と D と E ”をひと
つの電球とみなしたときに通電する確率を求めよ.
(A と B は関係なくこのひとつの電球
に電圧をかけたとしています.
)
(2) A の電球がつく確率を求めよ.
(3) A の電球がついていないとき,B の電球が壊れている確率を求めよ.
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16
問題 3.10. 加法定理など教科書の本文(節末の問題に出てきた公式は除く)にある公式は使って
よいものとする.A, B1 , B2 , B3 は事象としてさらに P (A) > 0 を仮定する.
PA (B1 ∪ B2 ∪ B3 ) = PA (B1 ) + PA (B2 ) + PA (B3 ) + PA (B1 ∩ B2 ∩ B3 )
− PA (B1 ∩ B2 ) − PA (B2 ∩ B3 ) − PA (B3 ∩ B1 )
を証明せよ.
ヒント:ベン図を用いて
P (B1 ∪ B2 ∪ B3 ) = P (B1 ) + P (B2 ) + P (B3 ) + P (B1 ∩ B2 ∩ B3 )
− P (B1 ∩ B2 ) − P (B2 ∩ B3 ) − P (B3 ∩ B1 )
を証明せよ.
問題 3.11. 国語の接続詞の穴埋め問題を考える.
しかし,だから,そして,それで,または,それとも
の6個を一度ずつ使って文章を埋める.正解はそれぞれひとつで決して重複して使わないとする.
ランダムに選んだとき,一問も正解しない確率はいくらか?
問題 3.12. P, Q, R, S, T ∈ N とする.
(1) A と B を独立な事象とする.P (A) =
らか?
(2) A と B を事象とする.P (A) =
1
1
, P (B) =
のとき,P (A ∪ B) はいく
P +2
Q+2
1
1
1
, P (B) =
, P (A ∩ B) =
のとき,
P + 10
Q + 10
R + 20
PA (B) はいくらか?
(3) R = 0, 1, 2 とする.12 人を R + 2 のグループに分けてドッヂボールのチームを編成する
方法は何通りあるか?R = 0, 1, 2 のとき計算せよ.
(チームは公平な配分にするとする.
)
(4) 1 ≤ R ≤ 9 とする.x1 + x2 + · · · + x9−R = S + 3 を満たしている 0 以上の整数の組
x1 , x2 , · · · , x9−R はいくつあるか?
【注意】R の値に応じて次の方程式を考えていることになる.
(a) R = 1 のとき,x1 + x2 + · · · + x8 = S + 3
(b) R = 2 のとき,x1 + x2 + · · · + x7 = S + 3
(5) 直交座標 (x, y) を考える.m, n が整数のとき,x = m と y = n には線が引いてある.こ
の線に沿って折れ曲がりながら (0, 0) から (T + 5, 3) へ行くとき最短経路は何通りあるか?
1
(6) A さんは携帯電話を忘れてくる癖がある.どこかに立ち寄ると確率
で忘れてしま
T +2
う.生田,和泉,駿河台の3箇所に順番に立ち寄って携帯電話がなくなっていることに
気がついた.和泉で忘れてきている確率を求めよ.
問題 3.13. A, B, C, D が伝言ジェスチャーをする.正しくジェスチャーを理解している A から
順に B, C, D へ伝えていく.B, C, D は正しく理解している人からジェスチャーを伝えられた場合
1
は の確率で正しくそのジェスチャーを理解する.また,もし間違えている人からジェスチャー
2
1
を伝えられたら, の確率で正しいジェスチャーを復元できるとする.たとえば,A と D だけ正
4
しく理解していて B と C が間違えた正しく理解していないという事象は
{ ○,×,×,○ }
であらわすことにしよう.すると,
1 3 1
3
× × =
2 4 4
32
で求められる.A が正しくて B, C, D が間違えているという事象は
P ({ ○,×,×,○ }) =
{ ○,×,×,× }
確率演習
17
で与えられるが,確率は
P ({ ○,×,×,× }) =
9
1 3 3
× × =
2 4 4
32
(1) 正しく伝えられるすなわち D が最終的に正しく理解している確率を求めよ.
(2) D が最終的に正しく理解していない場合,つまり間違えた場合 B, C のどちらが責任重大
かを考える.この場合は,間違えているという前提の下その人 (B, C) が間違えていると
いう条件付確率を求めて,その値が一番大きい人が責任重大ということがいえるだろう.
B, C 2人に対して条件付確率を求めて,B, C のうち誰の責任が重いかもしくは同じかを
答えよ.
問題 3.14.
(1) A, B, C, D の電球がある.A, B, C, D の電球が壊れていれば絶縁状態になって
いるため電気を通さない.いま,C, D を並列つなぎにしてひとつの電球にして A, B, ”C と D”
を直列つなぎにする.いま,直列つなぎにされた電球の両端に電流を流して電球がつく
1
かどうかを調べる.A は壊れていないが,B, C, D は の確率で壊れているとわかって
2
いる.電球をかけたとき,A がつかなかったとして C が壊れている確率を求めよ.
1
(2) ○×問題を考える.でたらめに答えるとして全問不正解の確率が
以下になる問題
10000
数は何問か?最小のものを求めよ.
(3) A さんと B さんが内職の仕事でボールペンを作っている.A さんは100本のうち2本
不良品を作り,B さんは100本のうち3本不良品を作る.A さんが7000本,B さ
んが3000本作った.いま,二人の作ったボールペンを箱の中にいれて無作為に取り
出したところ不良品であった.それを作ったのは A さんである確率を求めよ.
問題 3.15. 10 枚の札があり,0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 の番号が書かれている.これらの 10 枚の札
を任意に円形に並べるとき次の問に答えよ.
(1) 時計回りに見て 1, 2 の順で札が隣接する確率を求めよ.
(2) 時計回りに見て 0, 1 または 2, 3 の順で札が並ぶ確率を求めよ.
(3) 時計回りに見て 0, 1 または 1, 2 の順で札が並ぶ確率を求めよ.
問題 3.16. 個体数の十分に多い生物の集団があり,その中には正常体の個体と突然変異体の個体
がいる.この生物の 1 個体は一定期間を過ぎると正常体,あるいは突然変異体のいずれかの一匹
の子を産み,その個体は死ぬ.これを世代交代と呼ぶ.ここで,正常体が突然変異体の子を産む
確率を a (0¡a¡1),突然変異体の子供が突然変異体の子を産む確率を b(0¡b¡1) とする.ある世代を
第 0 世代として,突然変異体が捕獲される確率を x0 とする.
(1) xn を n 世代の中から任意に一匹捕獲したときに突然変異体が捕獲される確率としてそれ
を求めよ.
(2) lim xn を求めよ.
n→∞
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18
4. 二項分布,確率分布
問題 4.1. 次の問いに答えよ.
(1) 袋の中に玉が入っている.色の内訳は白が 4 個,黒が 6 個である.玉を 3 回取り出す.取
り出した際に玉は袋には戻さない.白,黒,白の順に玉を取り出す確率 P1 と黒,白,白
の順に玉を取り出す確率 P2 を計算して大小関係を比較せよ.
(2) 正五角形 ABCDE を考える.A, B, C, D, E はこの順番に時計回りに並んでいる.A か
ら出発して,さいころを振って出た目が奇数なら右隣の点へ移り,偶数なら左隣の点へ
移る.
(a) 2 回さいころを振る.このとき,点 X ,X = A, B, C, D, E にいる確率を pX で表
す.pX , X = A, B, C, D, E を求めよ.この際,計算結果をばらばらに記入するので
はなく
X
A
B
C
D
E
pX
(確率)
(実際にここに書き込む.
)
のような表を作ってまとめて比較しやすくせよ.このように,pX を列挙してまとめ
たものを確率分布という.
(b) 8 回さいころを振る.このとき,点 X ,X = A, B, C, D, E にいる確率を qX で表す.
qX , X = A, B, C, D, E を求めよ.これに関しても pX と同じようなことをせよ.
X
A
B
C
D
E
qX
(確率)
(実際にここに書き込む.
)
(3) log10 7 = 0.845 として次の問いに答えよ.
(a) (0.7)n < 0.01 となる最小の自然数 n はいくつか?
(b) ある射手は,銃を撃つと確率 0.3 であたるという.この射手が,的に向かって弾を
撃ち続ける.的に一回でも当たる確率が 99 パーセント以上になるためには何発撃た
ないといけないか?
(4) コインを3回振って表の出た枚数を X で表す.P (X = a) でもって,X = a の確率であ
るということを象徴的に表す.P (X > 1), P (X < 3) を求めよ.
追記:対数の公式
loga xy
x
loga
y
loga 1
loga xy
=
loga x + loga y, (x, y > 0, 0 < a < 1 または a > 1)
=
loga x − loga y, (x, y > 0, 0 < a < 1 または a > 1)
= 0, loga a = 1,
= y loga x,
loga x =
logb x/ logb a,
(0 < a < 1 または a > 1)
(x, y > 0, 0 < a < 1 または a > 1)
(x > 0, 0 < a < 1 または a > 1, 0 < b < 1 または b > 1)
問題 4.2. 正五角形 ABCDE を考える.A, B, C, D, E はこの順番に時計回りに並んでいる.A から
出発して,さいころを振って出た目が奇数なら右隣の点へ移り,偶数なら左隣の点へ移る.7 回さい
ころを振る.このとき,点 X ,X = A, B, C, D, E にいる確率を qX で表す.qX , X = A, B, C, D, E
を求めよ.
問題 4.3. 次の問いに答えよ.
(1) さいころを2回振るとき目の和 X の確率分布を求めよ.
(2) さいころを振り続けて 1 の目が出るまでふりつづける.さいころを振る回数 X の確率分
布を求めよ.
(3) 確率 p で成功する実験を 4 回繰り返した.成功回数 X の確率分布を求めよ.
確率演習
19
問題 4.4. 理想的なさいころ2回を投げて目の積 X を考える.X の確率分布を求めよ.また,
P (X ≤ 12) となる確率を求めよ.
X の確率分布. (表の一部が書いてあるので,残りを適当に補って表を完成させよ)
X
p
(確率)
1
2
3
4
5
6
1
問題 4.5. 数直線上に点 P がある.P は時刻0で原点にいて,時刻が 1 進むと確率 で +2 さ
2
1
れ,確率 で −1 される.時刻 6 での P の座標 X の確率分布を求めよ.
2
1
問題 4.6. ある射手が銃を撃ったとき的をはずす確率は である.n 回撃って一回は的に当たる
2
9999
確率を
以上になるようにしたい.このような n のうち最小のものを求めよ.ただし,各回
10000
であたるかあたらないかは独立として必要ならば log10 2 = 0.3010 を用いよ.
問題 4.7. 1 枚の硬貨を繰り返し投げるとき,k 回目の施行で表が出れば 1,裏が出れば 0 をとる
確率変数を Xk で表し,
n
∑
Xk
Yn =
, n = 1, 2, · · ·
2k
k=1
とする.
(1) P (Y10 < 1/3) を求めよ.
(2) m ∈ N とする.
lim E(Yn m )
n→∞
を求めよ.
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20
5. 独立,従属
問題 5.1. 次の問いに答えよ.
2
1
1
, P (B) = , P (A ∩ B) = のとき,P (A ∪ B) を求めよ.
5
7
9
2
1
(2) A, B が独立で P (A) = , P (B) = のとき,P (A ∪ B) を求めよ.
5
7
1
1
A, B が独立になるためには,
(3) U を全事象 A, B を事象とする.P (A) = , P (B) =
7
5
P (A ∪ B) はいくらでないといけないか?
(1) P (A) =
問題 5.2. さいころを一回振る.偶数の目が出る事象 A と3の倍数の目が出る事象 B は独立であ
ることを証明せよ.
問題 5.3. さいころを一回振ったときに出る目を考える.{1, 2, 3, 4, 5, 6} の部分集合 A で A に属
している数の目が出ているという事象をあらわすことにする.次の B, C, D, E, F, G, H, I のうち
排反である事象の2つ組と独立である事象の2つ組をそれぞれひとつ挙げよ.
B = {2, 4, 6}, C = {3, 5}, D = {4, 5}, E = {1, 2, 4}, F = {5}
G = {1, 2, 3, 4, 5, 6}, H = {2, 5}, I = {1, 6}
排反な組:_と_ 独立な組:_と_ 確率演習
21
6. 期待値, 分散, 標準偏差
公式,定義
(1) 確率変数 X は a1 , a2 , . . . , aN の値をとるとする.P (X = ak ) = pk とおくとき E[X] :=
N
∑
ak pk と定義する.E[X] は期待値という.
k=1
(2) V [X] := E[(X − E[X])2 ] = E[X 2 ] − E[X]2 と定義する.V [X] は分散という.
(3) 分散 V [X] の平方根を σ[X] と書いて標準偏差という.
E[(X − E[X])(Y − E[Y ])]
(4) r(X, Y ) =
を相関係数という.相関係数が 1 なら k > 0 と b を
σ[X]σ[Y ]
用いて Y = k X + b と表せる.逆に相関係数が −1 なら k > 0 と b を用いて Y = −k X + b
と表せる.
(5) X は 0, 1, 2, . . . , n の値をとっていて P (X = k) = n Ck pk q n−k となるとき X の分布を二
項分布といい,E[X] = n p で V [X] = n p q が成り立つ.
二項分布の期待値の計算. 起こる確率が p である試行を n 回繰り返して k 回実際に起きる確率は
pk (1 − p)n−k n Ck
である.したがって,起きる回数の期待値は
n
∑
E=
k pk (1 − p)n−k n Ck
k=0
である.あとで計算するように,
n
∑
(6.1)
k ak bn−k n Ck = n a (a + b)n−1
k=0
であるから,
E=
n
∑
k pk (1 − p)n−k n Ck = n p(p + 1 − p)n−1 = n p
k=0
が得られる.特に,n = 100, p =
1
のときは,
4
E = 25
となる.
(6.1) は次のようにして証明される.二項定理により,
n
∑
k n−k
(a + b)n =
n Ck a b
k=0
a に関して微分すると,
n (a + b)n−1 =
n
∑
k n Ck ak−1 bn−k
k=0
である.両辺に a をかけると (6.1) が得られる.
例題 6.1. さいころを3回振って出た目を X1 , X2 , X3 とする.次の量を求めよ.
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
E[X1 ]
V [X1 ]
σ[X1 ]
V [7X1 + 58]
σ[2X1 + X2 + X3 ]
学習院大学 澤野嘉宏
22
公式 a, b を定数とするとき,
E[a X + b] = a E[X] + b
V [a X + b] = a2 V [X]
X, Y, Z, · · · が独立のとき,
E[X + Y + Z] = E[X] + E[Y ] + E[Z]
V [X + Y + Z] = V [X] + V [Y ] + V [Z]
例題 6.1 の解答.
7
1
(1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6) =
6
2
( )2
1 2
7
91 49
35
2
2
2
2
2
V [X1 ] = (1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 ) −
=
−
=
6
2
6
4
12
√
105
σ[X1 ] =
6
1715
V [7X1 + 58] = 49V [X1 ] =
12
35
V [2X1 + X2 + X3 ] = V [2X1 ] + V [X2 ] + V [X3 ] = 4V [X1 ] + V [X2 ] + V [X3 ] =
だか
2
√
70
ら,σ[2X1 + X2 + X3 ] =
2
(1) E[X1 ] =
(2)
(3)
(4)
(5)
例題 6.2 (例題). X をサイコロを 180 回投げて 1 が出た回数とする.
E[X], V [X], σ[X]
を求めよ.さらに,
E[−47X + 1060], V [−47X + 1060], σ[−47X + 1060]
を求めよ.もう 180 回投げて 1 が出た回数を Y とする.
E[X + Y + 120], V [X + Y + 120], σ[X + Y + 120]
を求めよ.
(1) 二項分布の公式:確率 p で起きる独立試行を n 回繰り返したとき,起きる回数を X と
して
√
E[X] = n p, V [X] = n p(1 − p) = n p q, σ[X] = n p q.
となる.
(2) 一次変換の公式:
E[a X + b] = a E[X] + b, V [a X + b] = a2 V [X], σ[a X + b] = |a|σ[X].
(3) 独立な変数 X, Y に対する公式:
E[X + Y ] = E[X] + E[Y ], V [X + Y ] = V [X] + V [Y ]
例題 6.1 の解答. 公式を用いて計算すると次の通り
1
= 30
6
1 5
(2) V [X] = n p q = 180 · · = 25
6 6
√
(3) σ[X] = V [X] = 5
(4) E[−47X + 1060] = −47 · 30 + 1060 = −1410 + 1060 = −350
(1) E[X] = n p = 180 ·
確率演習
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
23
V [−47X + 1060] = √
(−47)2 · 25 = 55225
σ[−47X + 1060] = 55225 = 235
E[X + Y + 120] = 30 + 30 + 120 = 180
V [X + Y + 120] = V√[X] + V [Y ] = 50
σ[X + Y + 120] = 5 2
問題 6.3. 確率変数 X につき,次の問いに答えよ.
(1) 確率変数 X の確率分布が次で与えられているとき, X の期待値, 分散, 標準偏差を求めよ.
1
1
1
1
1
P (X = 1) = , P (X = 2) = , P (X = 4) = , P (X = 6) = , P (X = 8) = .
4
8
4
8
4
(2) 硬貨を 3 枚投げて表の出た枚数を X とおく. X の期待値, 分散, 標準偏差を求めよ.
問題 6.4. さいころを一回振って出た目を X とする.また,さいころを 2 回振って,初回に出た
目を Y ,2 回目に出た目を Z とする.次の量を求めよ.
(1) E[X], V [X], σ[X]
(2) E[2X + 3], V [2X + 3], σ[2X + 3]
(3) E[Y + Z], V [Y + Z], σ[Y + Z]
問題 6.5. 確率変数 X に関して α := E[X 3 ], β := E[X 2 ]E[X], γ := E[X]3 とする.
E[(X − E[X])3 ] = a0 α + a1 β + a2 γ
のようにして E[(X − E[X])3 ] を α, β, γ の一次式で表せ.
(:=の意味するところに関しては注意参
照)係数に 1 を入れる必要があるときがあるが,その時は a2 = 1 などと書くこと.
問題 6.6. 8 人で硬貨を二回投げて出た表の枚数を X とする.さらに,5 人で硬貨を一回投げて
出た表の枚数を Y とする.次の量を求めよ.
(1) E[X], V [X], σ[X]
(2) V [4X + 7]
(3) σ[X + Y ]
問題 6.7. 200 点満点のテストを受けて,成績表が
115, 139, 123, 99, 97, 125, 99, 148, 98, 157, 105
96, 118, 96, 97, 105, 193, 140, 138, 103, 113, 109, 110, 99, 128
次の問いに答えよ.
(1) 212 , 222 , 232 , . . . , 302 を計算せよ.順次書け.
(2) X をテストの点数とする.E[X] と σ[X] を求めよ.ただし,σ[X] については整数部分
のみを考え小数部分を切り捨てる.
(3) 最高得点者の生徒に注目する.一般に得点(X の値)が A のときその人(そのデーター)
の偏差値は
A − E[X]
50 + 10
σ[X]
で与えられる.σ[X] については 2 で求めた打ち切った標準偏差を用いることにして生徒
17 の偏差値を求めよ.ここでも,小数点以下は打ち切り整数値で答えよ.
問題 6.8. 次の問いに答えよ.
(1) さいころを 720 回投げて 1 が出た回数を X とする.V [X] を求めよ.
学習院大学 澤野嘉宏
24
(2) コインを 400 回投げて表の出た回数を X とおく.σ[68X + 89] を求めよ.
問題 6.9. コインを 1600 回投げて表の出た回数を X とおく.σ[−157X + 232] を求めよ.
問題 6.10. さいころを一回振って出た目を X とする.期待値 E[X] と分散 V [X] と標準偏差 σ[X]
を求めよ.さらに Z = −8X + 1 とおくとき,分散 V [Z] を求めよ.
問題 6.11. 次の確率分布に従う確率変数 X の期待値,分散,標準偏差を求めよ.さらに,Y =
2X + 9 とおくとき,V [Y ] を求めよ.
X
p
7
10
1/5 1/5
13
1/5
14 21
1/5 1/5
問題 6.12. [0, 2] に値をとる次の確率分布に従う連続的確率変数 X について X の期待値,分散,
平均を求めよ.
∫
3 b
P (a ≤ X ≤ b) =
x(2 − x) dx
4 a
ただし,0 ≤ a ≤ b ≤ 2.
問題 6.13. 確率変数 X の確率分布が次のようになった.期待値 E[X] と分散 V [X] と標準偏差
σ[X] を求めよ.
1
P (X = 1) = P (X = 2) = P (X = 8) = P (X = 9) = P (X = 10) =
5
問題 6.14. 確率変数 X につき,
E[X] = 15, V [X] = 9
とする.E[−2X + 17], V [−2X + 17], σ[−2X + 17] を求めよ.
さいころを36回振って1が出た回数を X とする.さらに,コインを100回振って表が出た回
数を Y とする.このとき,E[X + Y ], V [X + Y ], σ[X + Y ] を求めよ.
問題 6.15. サイコロを180万回振って1が出た目回数を X とする.σ[−72X + 117] を求めよ.
問題 6.16. 確率変数 X が値
a1 < a2 < · · · < aN(大小関係あり)
をとり,その確率が
p1 , p2 , · · · , pN(大小関係なし,ただしすべて 0 より大きい.
)
であるとする.
(1) N ≥ 2 のとき,a1 , E[X] の大小関係と p1 (a1 − E[X])2 , V [X], 0 の大小関係を求めよ.
(2) V [X] = 0 のとき,N の値を求めよ.
問題 6.17. 次の確率分布に従う確率変数 X につき,期待値,分散,標準偏差を求めよ.
P (X = 19) = P (X = 18) = P (X = 12) = P (X = 11) = P (X = 10) =
問題 6.18. 次の問に答えよ.
(1) 正の整数 l, m に対して次の等式が成り立つことを示せ.
m
∑
m(m + 1) · · · (m + l)
i(i + 1)(i + 2) · · · (i + l − 1) =
l+1
i=1
1
5
確率演習
25
(2) n 個の玉に 1 から n 間での番号をつけて箱に入れる.この箱から無作為に k 個の玉を取
り出し,取り出された玉の番号の最大値を X とする.このとき,X の期待値 E(X) を
n, k を用いて表せ.
問題 6.19. n = 0, 1, 2, · · · に対して,Pn (Xn , Yn ) は整数を座標とする点の上を動くとし,Pn か
ら Pn+1 への移動は,毎回 1, 2, 3, 4 の札の入っている箱から 1 枚の札を取り出し,1 ならば上,2
ならば下,3 ならば左,4 ならば右へ 1 の長さを動く.ただし,P0 の座標を (0, 0) とする.
√
(1) S = X3 2 + Y3 2 とするとき,E(S) を求めよ.
(2) n = 0, 1, 2, · · · に対して,T = Xn 2 + Yn 2 とおく.E(Tn ) を求めよ.
問題 6.20. n を 2 以上の自然数とする.xy 平面に 1 辺の長さが 1 の板 4 枚を座標の絶対値がす
べて n 以下の整数であるように配置する.このとき,頂点の一つが原点であるような板の枚数の
期待値を求めよ.
学習院大学 澤野嘉宏
26
7. 相関係数
問題 7.1. 次のデーター 3 つを相関係数の大きい順に並べよ.
データー 1
資料 1
資料 2
資料 3
資料 4
資料 5
資料 6
資料 7
資料 8
資料 9
資料 10
X
3
4
6
4
5
8
1
4
7
1
Y
5
4
8
5
6
10
3
6
9
3
データー 2
資料 1
資料 2
資料 3
資料 4
資料 5
資料 6
資料 7
資料 8
資料 9
資料 10
X
9
4
6
4
4
5
1
5
9
5
Y
5
3
10
1
8
1
4
8
2
8
データー 3
資料 1
資料 2
資料 3
資料 4
資料 5
資料 6
資料 7
資料 8
資料 9
資料 10
X Y
9 1
7 3
2 10
4 5
8 4
5 4
5 4
2 8
9 2
6 3
相関係数が高い順に(≥ の意味するところに関しては注意参照)
データー ≥ データー ≥ データー 問題 7.2. 次のデーターは負の相関があり相関係数は −1 である.データーのいくつかは埋まっ
ているが,一部虫食いである.a に当てはまる数を求めよ.
データー A
資料 1
資料 2
資料 3
資料 4
資料 5
資料 6
資料 7
資料 8
資料 9
資料 10
X
3
4
6
4
3
-3
1
4
7
8
Y
5
4
a
1
a=
問題 7.3. 自宅から最寄り駅までの徒歩での距離と 100 メートル走のタイムは負の相関があると
思われる.どうしてかを説明せよ.
問題 7.4. 次のデーターの相関係数は −1 である.表の一部を除き Y の値が虫食いになっている.
表の中の a の値はいくらか?
データー
資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
資料6
資料7
資料8
資料9
資料10
X
10
1
3
8
5
9
4
2
7
9
Y
91
49
67
85
a
確率演習
27
問題 7.5. 次のもののうち相関関係つまり,強い正の相関もしくは強い負の相関があるものをひ
とつ挙げよ.そして,それが正の相関があるか負の相関があるかにかんして自分の考えを述べよ.
注意!比喩的な相関関係を考えているわけではなく,統計的な相関関係を考えている.そのこと
を踏まえて科学的,医学的な根拠で妥当と思われるものを挙げること.
(1)
(2)
(3)
(4)
自宅から最寄駅までの距離 X と50メートル走のタイム Y との関係
血液型 X と性格 Y の関係
一日にやるテレビゲームの時間 X とテストの得点 Y の関係
入学試験の英語の試験 X の成績と数学の試験の成績 Y の関係
問題 7.6. 次のデーターの相関係数は 1 である.表の一部を除き Y の値が虫食いになっている.
表の中の a の値はいくらか?
データー3
資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
資料6
資料7
資料8
資料9
資料10
X
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
Y
1
5
a
17
問題 7.7. 次のものは正の相関が強いか?負の相関が強いか?相関関係がないか?理由をつけて
答えよ.
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
100メートル走のタイムと垂直とびの記録
英語のテストの成績とフランス語のテストの成績
美術の成績と数学の成績
誕生月と花粉症罹患率
パソコンの使用時間と視力
問題 7.8. X と Y を確率変数とする.X と Y の相関係数が −1 となるような X と Y の例を挙
げよ.ただし,X + Y = 6 となる確率が正であるような例を作ること.
問題 7.9. 次の5個の数字を等確率で取る確率変数の平均,分散,標準偏差を求めよ.
54, 35, 57, 49, 55
これは手計算でやること.
学習院大学 澤野嘉宏
28
8. 確率密度関数
問題 8.1. a > 0 を定数として確率変数 X の確率密度関数 f (x) を
{
a x(4 − x) 0 ≤ x ≤ 4
f (x) =
0
その他
で定義する.
(1) a の値はいくらか?
(2) E[X] を求めよ.
(3) V [X] を求めよ.
問題 8.2. 半径 1 の円周上をぐるぐる回っている点 P を考える.円周を x2 + y 2 = 1 とする.ま
た,A = (1, 0), B = (−1, 0) とする.P = (cos θ, sin θ) とするとき,次の問に答えよ.
∫
(1) y = | sin θ| のグラフを描け.また,
π
2
sin θ dθ を求めよ.
0
(2) P の分布は偏角 θ の [0, 2π] の一様分布と考えられる.三角形 P AB の面積 S の期待値を
求めよ.
問題 8.3. a > 0 を定数として確率変数 X の確率密度関数 f (x) を
{
a x2 (1 − x) (0 ≤ x ≤ 1)
f (x) =
0
(その他)
で定義する.
(1) a の値はいくらか?
(2) E[X] を求めよ.
(3) V [X]
( を求めよ.
)
1
(4) P 0 ≤ X ≤
を求めよ.
2
問題 8.4. 次の確率分布に従う連続的確率変数 X について次の問に答えよ.−1 ≤ X ≤ 1 を仮定
する.
∫
3 b
P (a ≤ X ≤ b) =
1 − x2 dx
4 a
ただし,−1 ≤ a ≤ b ≤ 1.このとき,X の期待値,分散,標準偏差を求めよ.
問題 8.5. 半径 1 の円周 x2 + y 2 = 1 を考える.P はこの円周上を適当に動いており,各点で等
確率にとまる.A = (1, 0) とする.
(1) P = (cos θ, sin θ) とするとき AP の長さを求めよ.0 ≤ θ ≤ 2π としてよい.
(2) θ は [0, 2π] に一様に分布していると考えられるので AP の期待値を考えられる.期待値
を求めよ.
問題 8.6. a > 0 を定数として確率変数 X の確率密度関数 f (x) を
{
a x3 (1 − x) (0 ≤ x ≤ 1)
f (x) =
0
(その他)
で定義する.
(1) a の値はいくらか?
確率演習
29
(2) E[X] を求めよ.
(3) V [X]
( を求めよ.
)
1
を求めよ.
(4) P 0 ≤ X ≤
2
問題 8.7. 半径 1 の円周上をぐるぐる回っている点 P を考える.円周を x2 + y 2 = 1 とする.ま
た,A = (1, 0) とする.P = (cos θ, sin θ) とするとき,次の問に答えよ.
∫
(1) y = | sin θ| のグラフを描け.また,
π
2
sin θ dθ を求めよ.
0
(2) 線分 P A が円周を二つに分けるが二つの弓形のうち小さいほうの図形を D とする.P の
分布は偏角 θ の [0, 2π] の一様分布と考えられる.D の面積 S の期待値を求めよ.
問題 8.8. 底面の半径 r で高さが H の直円柱の内部から任意に点をとる.とった点から底面まで
の距離を h とする.どこの点を取るかは均等とする.すなわち,全体の体積を V として,体積が
v の領域 X から点が選ばれる確率は
v
V
である.
∫
H
u2 (H − u) du を求めよ.
(1)
0
(2) 0 ≤ h0 ≤ H のとき,P (0 ≤ h ≤ h0 ) を求めよ.
∫ h0
(3) P (0 ≤ h ≤ h0 ) =
f (s) ds となる f (h) を h の確率密度関数というが,f (h), 0 ≤ h ≤
0
H はいくらか?
(4) E[h] を求めよ.
問題 8.9. 次の関数を考える
{
f (t) =
a tT +1
0
0 ≤ t ≤ 1 のとき
その他
(1) f (t) がある確率変数 X の確率密度関数になるように a を決定せよ.
(2) a を上の条件を満たすように定めたとき
P (0 ≤ X ≤ 0, 5)
を求めよ.
(3) E[X] を求めよ.
(4) V [X] を求めよ.
(5) σ[X] を求めよ.
問題 8.10. 次の計算をせよ.
∫
∞
(1)
∫0
(2)
0
e−x dx = lim
∫
R→∞
∞
x e−x dx = lim
R
0∫
R→∞
e−x dx
R
x e−x dx
0
(3) [0, ∞) の確率密度関数 f (x) = e−x が与えられたとする.[0, ∞) に値をとる X の確率密
度関数が f (x) のとき,X の期待値を求めよ.
lim x e−x = 0
x→∞
は既知としてよい.
問題 8.11. 次の計算をせよ.
学習院大学 澤野嘉宏
30
(1) |x| < 1 のとき
1 + x + x2 + · · · + xn + · · ·
(2) |x| < 1 のとき
1 + 2x + 3x2 + · · · + n xn−1 + · · ·
(3) 硬貨を表が出るまで何回でも振り続ける.回数の期待値を求めよ.
√
問題 8.12. 一辺が 2 3 の正三角形から任意に点を取って正三角形の三辺(=境界)までの最短
距離 h を考える.どこの点を取るかは均等とする.すなわち,全体の図形の面積を S として,面
積が s の領域 X から点が選ばれる確率は
s
S
である.
(1) h の最大値 h0 を求めよ.
(2) 0 ≤ t ≤ h0 のとき,P (0 ≤ h ≤ t) を求めよ.
∫ t
(3) P (0 ≤ h ≤ t) =
f (s) ds となる f (t) を h の確率密度関数というが,f (t), 0 ≤ h ≤ h0
0
はいくらか?
(4) E[h] を求めよ.
問題 8.13. 底面の半径 r で高さが H の直円柱の内部から任意に点をとる.とった点から底面ま
での距離を h とする.どこの点を取るかは均等とする.すなわち,全体の図形の体積を V とし
て,体積が v の領域 X から点が選ばれる確率は
v
V
である.
∫
H
h dh を求めよ.
(1)
0
(2) 0 ≤ t ≤ h0 のとき,P (0 ≤ h ≤ t) を求めよ.
∫ t
(3) P (0 ≤ h ≤ t) =
f (s) ds となる f (t) を h の確率密度関数というが,f (t), 0 ≤ h ≤ h0
0
はいくらか?
(4) E[h] を求めよ.
問題 8.14.
(1) 長さ 1 メートルの細い棒があり,その上にありが一匹いたとする.ありは時刻 0 から一
方向へ分速 1 メートルの速さで棒の上を歩くものとする.最初にありがいる位置は任意
とし,ありの歩く向きも任意とするとき,棒の上からありがいなくなるのにかかる時間
の期待値を求めよ.
(2) 同じ棒の上にありが二匹いたとする.どちらのありの歩く速さも同じであるとするが,歩
き始めてからありとありが出会った場合,その地点から二匹とも逆向きに歩き始めるも
のとする.振り返る時間やありの大きさは考慮しないものとする.棒の上からありが一
匹もいなくなるまでにかかる時間の期待値を求めよ.
問題 8.15. 人の記憶の強さは指数分布に従うとして考える.すなわち,ある漢字の書き取りなど
記憶していくものを考えたときに,λ 時間経過したら記憶から抜け落ちている確率は
αe−αλ , λ > 0
で与えられるとする.ここで,α は正の数である.
(1) 上の分布の期待値を求めよ.
(2) α が大きいことは記憶がよいことと悪いことどちらを意味するか?(ヒント:X を上のよ
うな分布として E[X] を考える.
)
確率演習
31
(3) 同じ記憶力の持ち主の A,B に薔薇(ばら)という漢字の書き取りを学習させたとする.
A,B は薔薇という漢字を見ることもまた A,B 同士で確認するなどということは一切ない
とする.A,B 二人が薔薇という漢字を記憶できる時間の平均値は A 単独で記憶できる時
間の平均値とどのような関係にあるか?次のようにして考えよ.
(a) A, B のうちどちらかが薔薇という漢字を忘れる時間を Y とするとき,Y の確率分
布を求めよ.
(b) Y の期待値を求めよ.
(c) X, Y の期待値の関係を比較せよ.
学習院大学 澤野嘉宏
32
9. 正規分布
正規分布の問はすべて教科書の正規分布の表を参考にせよ.
問題 9.1. 正規分布に関する次の問に答えよ.
(1) X が N (0, 1) に従うつまり平均 0,分散 1 の正規分布に従うとき
P (−0.5 ≤ X ≤ −0.1), P (0 ≤ X ≤ 0.4), P (0.4 ≤ X ≤ 0.9), P (−0.1 ≤ X ≤ 0.1)
を求めよ.
(2) X が N (10, 4) に従うつまり平均 10,分散 4 の正規分布に従うとき
P (8 ≤ X ≤ 12), P (12 ≤ X ≤ 14), P (6 ≤ X ≤ 10)
を求めよ.
(3) 100 点満点の試験をやったところ平均が 51 点,標準偏差が 17 点の正規分布に(近似的
に)従った.受験者が 40000 人だとして 85 点以上の人は何人いると思われるか?
(4) さいころを 180 万回(180 万≒札幌市の人口)振ったとする.1 の出る回数 X を総計す
るとき次の問に答えよ.
(a) E[X] と V [X] を求めよ.
(b) X を平均 E[X],分散 V [X] の正規分布に従うとして
P (299000 ≤ X ≤ 301500)
を求めよ.
問題 9.2. 一般に確率変数 X に対して X = m に相当するデーターの偏差値は
m − E[X]
50 + 10 ×
σ[X]
で与えられる.
(1) ある200点満点のテストをしたとき,分散が1089点 2 ,平均点が90点であった.
点数が180点の人の偏差値はいくらか?小数を切り捨てて整数値で答えよ.
(2) 40000人が受けたとして上位1000番の人の点数は何点くらいか?理由をつけて
答えよ.
問題 9.3. 確率変数 X が N (0, 1) に従うとき,
P (0 ≤ X ≤ 1.53), P (1.5 ≤ X ≤ 1.7), P (|X| ≤ 1.6), P (X ≤ 2.1)
を求めよ.
問題 9.4. 一般に試験の得点を正規分布に従うと仮定することに対する自分の意見を述べよ.
問題 9.5. 300点満点のテストで平均点が175点で分散が1225点 2 とする.10000
0人が受けたとして280点取った人は上位何位くらいか?
問題 9.6. 300点満点の入学試験で平均点が105点で分散が2025点 2 とする.1000
人が受けたとして300人が合格とする.合格点はどの程度かを推定せよ.
問題 9.7. X, Y, Z をそれぞれ平均が 0, 10, 15,分散が 1, 4, 196 となる正規分布に従うとする.
P (0 ≤ X ≤ a) = φ(a)
とするとき,次の確率を φ(a), a > 0 で表せ.
(1)
(2)
(3)
(4)
P (0 ≤ X ≤ 5)
P (−4 ≤ X ≤ 3)
P (2 ≤ X ≤ 5)
P (X ≤ 7)
確率演習
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
33
P (X ≥ 3)
P (X ≤ −4)
P (X ≥ −5)
P (−2 ≤ Y ≤ 22)
P (1 ≤ Z ≤ 43)
P (Z ≥ 7)
問題 9.8. X, Y をそれぞれ平均が 0, 10,分散が 1, 4 となる正規分布に従うとする.
P (0 ≤ X ≤ a) = φ(a)
とするとき,次の確率を φ(a), a > 0 で表せ.
(1) P (X ≤ 6)
(2) P (6 ≤ Y ≤ 12)
問題 9.9. X, Y をそれぞれ平均が 0, 100,分散が 1, 400 となる正規分布に従うとする.
P (0 ≤ X ≤ a) = φ(a)
とするとき,次の確率を φ(a), a > 0 で表せ.
(1) P (X ≥ −5)
(2) P (65 ≤ Y ≤ 95)
問題 9.10. 1000人がX大学の入学試験に挑んだ.300点満点で平均点は147点で分散は
2025点 2 であった.得点分布は正規分布に従うとして次の問に答えよ.
(1) 192点を取ると偏差値はいくらか?ただし,
偏差値 = 50 + 10
得点 − 平均点
標準偏差
(2) 300人が合格するとして,次の4人の合否を判定せよ.
A:124点,B:147点,C:169点,D:194点
参考:次の事実を用いて構わない.平均 0,分散 1 の正規分布に従う確率変数 X に関して
P (0 ≤ X ≤ 0.5) = 0.1915
が知られている.
問題 9.11. 1000人がZ大学の入学試験に挑んだ.300点満点で平均点は133点で分散は
1225点 2 であった.得点分布は正規分布に従うとして次の問に答えよ.
(1) 203点を取ると偏差値はいくらか?ただし,
偏差値 = 50 + 10
得点 − 平均点
標準偏差
(2) 700人が合格するとして,次の4人の合否を判定せよ.
A:94点,B:118点,C:129点,D:144点
(3) 一般に大学入試の点数分布を正規分布と仮定するのは合理的かそうでないか?自分の考
えを述べよ.
(絶対的な答えがあるものではないので,あくまで自分の考えを述べること)
学習院大学 澤野嘉宏
34
参考:次の事実を用いて構わない.平均 0,分散 1 の正規分布に従う確率変数 X に関して
P (0 ≤ X ≤ 0.5) = 0.1915
が知られている.
(1) 偏差値=
(2) 合格者に丸をつけよ.丸がついていないときは全員不合格と解答したとみなす.
A B C D
(3)
確率演習
35
10. 検定
問題 10.1.
設定:箱の中に不良品が入っている確率を p とする.
一級品と仮定したとき
仮説:商品が一級品であるつまり p =
1
である.
10
⇓ 具体的には
1
確率
で起こる独立試行を 100 回繰り返したとき
10
おきた回数を X として.P (X ≥ 15) を求める.
⇓ 計算方法は
, V [X] = (イ)
E[X] = (ア)
だから,
X − (ウ)
Y =
とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
(エ)
⇓ 実際に計算すると
P (X ≥ 15) = P (Y ≥ (オ)
) = (カ)
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 5 %)
P (X ≥ 15) ≤ 0.05 であるか否か?(キ) Yes/No
結論:一級品で (ク) ある./ない.
二級品と仮定したとき
仮説:商品が二級品であるつまり p =
1
である.
5
⇓ 具体的には
1
確率 で起こる独立試行を 100 回繰り返したとき
5
おきた回数を X として.P (X ≤ 15) を求める.
⇓ 計算方法は
E[X] = (ア)
, V [X] = (イ)
だから,
X − (ウ)
Y =
とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
(エ)
⇓ 実際に計算すると
P (X ≤ 15) = P (Y ≤ (オ)
) = (カ)
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 5 %)
P (X ≤ 15) ≤ 0.05 であるか否か?(キ) Yes/No
結論:一級品で (ク) ある./ない.
36
学習院大学 澤野嘉宏
問題 10.2. ある自動車メーカーはある車種のガソリン 1 リットル当たりの走行距離を 18.5 キロ
にしている.ある期間に製造された 8 台の車の実験走行の平均走行距離は 17.95 キロであった.
この期間の車の走行距離は規格からずれているか?危険率 5 パーセントで検定せよ.ただし,走
行距離は正規分布に従うことが知られていて,標準偏差は 1.5 であることが知られている.
設定:10 台車を走らせて車のリットルあたりの走行距離をそれぞれ X1 , X2 , . . . , X8 とする.
X1 + X2 + . . . + X8
X=
8
とする.
仮説:E[X] = 18.5 である.
⇓ 具体的には
X1 , X2 , . . . , X10 が N (18.5, 1.5) に従うとして.
P (X ≤ 17.95) を求める.
⇓ 計算方法は
E[X] = (ア)
, V [X] = (イ)
だから,
X − (ウ)
Y =
とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
(エ)
⇓ 実際に計算すると (オ) は小数第 1 位まで見ることにして
P (X ≤ 17.95) = P (Y ≤ (オ)
) = (カ)
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 1 %)
P (X ≥ 17.95) ≤ 0.05/2 であるか否か?(キ) Yes/No
結論:車の規格がずれていると (ク) いえる./いえない.
0.05/2 は両側検定をしているからである.かりに問題が
“ 規格から低いほうに外れているかを
√
√
9
3 2
検定せよ ”なら 2 で割る必要はない.○
=
= 0.53 を用いよ.
32
8
確率演習
37
問題 10.3. 共通一次学力試験の全教科の平均点は 620 点、標準偏差は 136.92 点であった。無作
為に選んだ 50 名の成績は 667.6 であった。危険率 5 パーセントで次の検定をせよ。
(1) 50 名の平均点は全受験者の平均点と異なると言えるか?
(2) 50 名の平均点は全受験者の平均点より高いと言えるか?
設定:50 人の成績をそれぞれ X1 , X2 , . . . , X50 とする.
X1 + X2 + . . . + X50
X=
50
とする.
(1) 仮説
:E[X] = 620.00 でない.
⇓ 具体的には
X1 , X2 , . . . , X50 が N (620, 136.922 ) に従うとして.
P (|X − 620| ≥ a) = 0.05 となる a を求める.
⇓ 計算方法は
E[X] = (ア)
X − (ウ)
Y =
√
(エ)
/
, V [X] = (イ)
2
だから,
とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
⇓ 実際に計算すると
P (|X − 620| ≥ a) = P (|Y | ≥ (オ)
a) = 0.05 = 1 − 2p((カ)
)
よって a = (カ) ÷ (オ)=
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 5 %)
|667.6 − 620| < a であるか否か?(キ) Yes/No
結論:平均が異なると (ク) いえる./いえない.
(2) 仮説
:E[X] > 620.00.
⇓ 具体的には
X1 , X2 , . . . , X50 が N (620, 1.36.922 ) に従うとして.
P (X − 620 ≥ a) = 0.05 となる a を求める.
⇓ 実際に計算すると
P (X − 620 ≥ a) = P (Y ≥ (オ)
a) = 0.05 = 0.5 − p((カ)
)
よって a=
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 5 %)
667.6 − 620 < a であるか否か?(キ) Yes/No
結論:平均が高いと (ク) いえる./いえない.
学習院大学 澤野嘉宏
38
問題 10.4. 256 枚の十円硬貨を投げて 140 枚が表向きだった。硬貨が表向きになりやすいという
定説をたててよいか?危険率 5 パーセントで検定せよ。
設定:表面のでる確率を p とする.
仮説:硬貨は正しく作られている,つまり p = 1/2 である.
⇓ 具体的には
確率 1/2 で起こる独立試行を 256 回繰り返したとき
おきた回数を X として.P (X ≥ 140) を求める.
⇓ 計算方法は
, V [X] = (イ)
E[X] = (ア)
だから,
X − (ウ)
Y =
とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
(エ)
⇓ 実際に計算すると
P (X ≥ 140) = P (Y ≥ (オ)
) = (カ)
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 5 %)
P (X ≥ 140) ≤ 0.05 であるか否か?(キ) Yes/No
結論:硬貨は正しく作られていないと決めつけるのは
(ク) 妥当である./早計である.
確率演習
39
問題 10.5. A 種と B 種の米を28種の田んぼに植えた.A 種は B 種の改良版である.28箇所
の田んぼで出来高を比べると20箇所で確かに A 種のほうがよかった.本当に品種改良がされて
いるとしてよいのか考えてみよう.
設定:A 種 v.sB 種で A 種の収穫が高い確率を p とする.
仮説:変化が起こっていない,つまり p = 1/2 である.
⇓ 具体的には
確率 1/2 で起こる独立試行を 28 回繰り返したとき
おきた回数を X として.P (X ≥ 20) を求める.
⇓ 計算方法は
, V [X] = (イ)
E[X] = (ア)
だから,
X − (ウ)
Y =
とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
(エ)
⇓ 実際に計算すると
P (X ≥ 20) = P (Y ≥ (オ)
) = (カ)
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 1 %)
P (X ≥ 20) ≤ 0.01 であるか否か?(キ) Yes/No
結論(このことからわかることとして)
:
品種改良が出来ていると (ク) いえる./いえない.
√
6
7 = 2.64, √ = 2.25 とせよ.
7
【注意】危険率という言葉が出てきているが,これは検証すべき問題(=米の出来高の
改良がされているか否か)をどう検証するかによる.ここでは1パーセントとする.
学習院大学 澤野嘉宏
40
問題 10.6. 毎日八時間操業する工場がある。最後の一時間は事故を起こしやすいかどうか検証し
たい.もしそうなら対策を立てたいからである.今まで起きた 600 件の事故のうち、最後の一時
間に 90 回も事故が起きている。事故は最後の一時間に集中しているか?危険率 1 パーセントで
検定せよ。
設定:事故を起こす神様がいると考えて,神様が 1∼8 までの目のでるさいころを振って 8 の
目が出たら事故がおきると考える.8 の目が出る確率を p とする.
仮説:さいころは正しく作られている,つまり p =
1
である.
8
⇓ 具体的には
1
確率 で起こる独立試行を 600 回繰り返したとき
8
おきた回数を X として.P (X ≥ 90) を求める.
⇓ 計算方法は
E[X] = (ア)
, V [X] = (イ)
だから,
X − (ウ)
Y =
とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
(エ)
⇓ 実際に計算すると
P (X ≥ 90) = P (Y ≥ (オ)
) = (カ)
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 1 %)
P (X ≥ 90) ≤ 0.01 であるか否か?(キ) Yes/ No
結論:閉業 1 時間前には事故が多発すると考えるのは
(ク) 妥当である./早計である.
√
○
√
525 √
= 65.6 = 8 1.025 = 8(1 + 0.0125) = 8.1 を用いよ.
8
確率演習
41
問題 10.7. 山本大学の数学科と物理学科に英語の試験をした。両学科から 50 人サンプルの学生
を抽出した.数学科は平均点が 360 点で標準偏差が 10 点であった。物理学科は平均点が 365 点
で標準偏差が 95 点であった。両学科の英語力は同じとしてよいか?両学科全体の標準偏差はわ
からないからサンプルの学生のそれを使え。危険率は 5 パーセントとせよ。
設定:山本大学数学科での 50 人の成績をそれぞれ X1 , X2 , . . . , X50 とする.
X1 + X2 + . . . + X50
X=
50
とする.山本大学物理学科での 50 人の成績をそれぞれ Y1 , Y2 , . . . , Y50 とする.
Y1 + Y2 + . . . + Y50
Y =
50
とする.
仮説:E[X] = E[Y ] = m.
⇓ 具体的には
X1 , X2 , . . . , X50 が N (m, 102 ) に,
Y1 , Y2 , . . . , Y50 が N (m, 952 ) に従うとして
P (|X − Y | ≥ a) = 0.05 となる a を求める.
⇓ 計算方法は
Z = X − Y とおく.
E[Z] = (ア)
, V [Z] = (イ)
Z − (ウ)
だから,W =
とおけば,
(エ)
W が N (0, 1) にしたがう.
⇓ 実際に計算すると
P (|Z| ≥ a) = P (|W | ≥ (オ)
a) = 0.05 = 1 − 2p((カ)
)
よって a = (カ) ÷ (オ) =.
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(ここでは危険率 5 %)
365 − 360 < a であるか否か?(キ) Yes/No
結論:小平大学の平均が高いと (ク) いえる./いえない.
○
102
952
10025
+
=
は 200 として考える.その平方根は 14 とする.
50
50
50
学習院大学 澤野嘉宏
42
問題 10.8. 90000 人の有権者にある政策に関して全員に是非を聞いたところ 49500 人が賛成をし
た.過半数が賛成していると考えてよいことを説明せよ.次の点を明確にしながら説明せよ.
1
であるとする.このとき,90000 人の集団を任意に選ん
2
だとして賛同者が 49500 人になる確率を計算する.X が二項分布 B(90000; 0.5) に従うとして考
えよ.
はじめに,賛同している人の割合が
(1)
(2)
(3)
(4)
E[X] を求めよ.
V [X] を求めよ.
σ[X] を求めよ.
X の分布は正規分布に従うと仮定して考える.
φ(a) = 期待値 0,分散 1 の正規分布に従う確率変数 Y が 0 ≤ Y ≤ a をとる確率
とするとき,P (X ≥ 49500) を求めよ.
(5) a > 1 とするとき,
( 2)
( 2)
( 2)
∫ ∞
∫ ∞
1
t
1
t
1
a
1 − φ(a) = √
exp −
dt < √
t exp −
dt = √ exp −
2
2
2
2π a
2π a
2π
を用いて,
P (X ≥ 49500)
が1000分の1より小さいかどうかを答えよ.
(実際に,説明がないと答えだけあって
√
いてもダメ)また,e := 2 2 と仮定して構わない.
(6) 賛同者はちょうど半数といえるか?理由:
問題 10.9. コインを 40000 回振って表が出た回数を X とする.E[X], V [X], σ[X] を求めよ.ま
た,40000 回振った結果が表が 23000 回でた.このことから,コインが変形されているという主
張は正しいと思われるか?1%の危険率のもと数値を用いて検定せよ.
問題 10.10. 従来のある大学1年生の 50 メートル走の記録の平均値および標準偏差は 7, 30 秒,
0, 38 秒であると知られている.今年 80 人選んで走力を測定したところ平均で 7, 35 秒であった.
また,今も昔も標準偏差には変化がない.
(1) 現在の学生の走力は従来の学生の走力に比べて遅くなっているか?危険率 5 %で検定せ
よ.検定の結果特別なことが起こっていないことを確認せよ.
(ヒント:走力が遅くなっ
ているということ= 20 人の走力がもとと変わらないと仮定してその正規分布を考えたと
きに,7, 40 という数字が下位 5 %に入っていること)
(2) さらに,学生を 240 人選んで走力を測定したところ平均で 7, 35 秒であった.合計 320 人
の学生のデーターからして現在の学生の走力は従来の学生の走力に比べて遅くなってい
るか?危険率 5 %で検定せよ.
問題 10.11. さいころを 18000 回振って 1 の目が出た回数を X とする.E[X], V [X], σ[X] を求
めよ.また,18000 回振った結果 1 が 4000 回でた.このことから,さいころは正しいさいころで
あるという主張はおかしいと思われるか?1%の危険率のもと数値を用いて検定せよ.
問題 10.12. 一般に確率変数 X に対して X = m に相当するデーターの偏差値は
m − E[X]
50 + 10
σ[X]
で与えられる.400000人が受けたテストの平均点は100点,分散は625点 2 であった.
(1) 点数が175点の人は偏差値がいくらか? (2) このテストで上位10000番の人は何点くらい取っていると推測されるか?
問題 10.13. さいころを4500回振る.3の目が出た回数を X とおく.
(1) E[X] を求めよ.
確率演習
43
(2) V [X] を求めよ.
(3) σ[X] を求めよ.
(4) 仮に,3の目が770回出たとする.このさいころは正しく作られているか?危険率5
%で検定せよ.
(5) さいころを450000回振って3の目が出た回数が77000回だったとすると,こ
のさいころは正しく作られているか?危険率5%で検定せよ.
問題 10.14. サイコロを18000回振って,1の目が3600回出たとする.このサイコロは
正しく作られているか?理由を述べよ.5番以外はすべて空白 A,B,C,D,F を埋める形で答
えよ.
(途中の計算式は書き込んで構わない.
)正しいサイコロだと仮定して,X を 1 が出た回数
とするとき
(1)
(2)
(3)
(4)
E[X] = A V [X] = B
σ[X] = C
X の分布は正規分布に従うと仮定して考える.
φ(a) = 期待値 0,分散 1 の正規分布に従う確率変数 Y が 0 ≤ Y ≤ a をとる確率
とするとき,
P (X ≥ 3600) = D
(5) a > 1 とするとき,
( 2)
( 2)
( 2)
∫ ∞
∫ ∞
1
1
1
a
t
t
1 − φ(a) = √
dt < √
dt = √ exp −
exp −
t exp −
2
2
2
2π a
2π a
2π
を用いて,
P (X ≥ 3600)
が1000分の1より小さいかどうかを答えよ.
(実際に,説明がないと答えだけあって
√
いてもダメ)また,e := 2 2 と仮定して構わない.
(6) サイコロは正しく作られているか否か答えよ.
F 正しく作られて 理由:
問題 10.15. D 君は世界史の4択問題(正解は1つ)を100題中50題正解した.このことか
ら,D 君は世界史の勉強をしたといえるが,どうしてそういえるか理由を答えよ.
問題 10.16.
(1) X が正規分布 N (0, 1) に従うとする.
P (0 ≤ X ≤ 0.7), P (1.3 ≤ X ≤ 2.0), P (−0.5 ≤ X ≤ 1.4)
を求めよ.
(2) X が正規分布 N (400, 100) に従うとする.
P (380 ≤ X ≤ 430), P (405 ≤ X ≤ 425)
を求めよ.を求めよ.
(3) 100 点満点のテストを 100 人が受けた.平均点が 85 点標準偏差が 10 点であったとする.
60 点以下の人が落第するとして,何人の人が落第するか?
(4) さいころを 72000 回振って5の目が出る回数を X とする.P (X ≤ 12300) を求めよ.
44
学習院大学 澤野嘉宏
11. 推定
常に次の関係を用いることにする.
( 2)
( 2)
∫ 1.96
∫ 2.58
1
x
1
x
√
exp −
dx = 0.475, √
exp −
dx = 0.495
2
2
2π 0
2π 0
(1) X と Y が独立で X が N (m1 , σ1 2 ) に従い,Y が N (m2 , σ2 2 ) に従うならば,X + Y は
N (m1 + m2 , σ1 2 + σ2 2 ) に従う.
(2) X が N (m, σ 2 ) に従うなら,aX + b は N (am + b, a2 σ 2 ) に従う.
X −m
X − E[X]
(3) 特に,
=
は N (0, 1) に従う.
σ
σ[X]
(4) X が N (m, σ 2 ) に従うとき,P (X ≤ m) = 0.05 である.
(5) X が N (0, 1) に従うとき,P (X ≤ 2) = 0.9772 である.
(1) 危険率,有意水準:検定をする際にどの水準で棄却,採択するかを判定する数字.1%,
3%,5%が使われる.
(2) 棄却:仮説が間違いであると断定すること.
(3) 採択:仮説を正しいと認めること.
さいころを 1800000 回振って1の目が 320000 回出たとする.さいころを 1800000 回振って1の
目が 298500 回以上 301500 回以下の回数である確率は 0.99 以上(p(3) = 0.49865)だから,320000
回以上1が出る確率は 1 パーセント以下である.実際に,1800000 回振って1の目が 320000 回出
たという状況を突きつけられると,事実かもしれないがさいころが変形していたと疑いたくなる.
このように,ある事実から仮説を立ててその仮説が正しいかどうかを考えることを検定という.
確率演習
45
例題 11.1. 東京都民にある政策の是非を問うたところ,400 人中 220 人が賛成した.5 パーセン
ト,1 パーセントの危険率で過半数が賛成しているかどうかを検定せよ.
例題 11.1. 設定:東京都民を任意に選んで問題に関する是非を聞いてその人が賛成する確率を p
とする.
1
以上である.
2
⇓ 検定する基準
仮説:p =
p=
1
と仮定しておかしいことを立証する.
2
⇓ 具体的には
1
で起こる独立試行を 400 回繰り返したとき
2
おきた回数を X として.P (X ≥ 220) を求める.
確率
⇓ 計算方法は
E[X] = 200, V [X] = 100 だから,
X − 200
とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
Y =
10
⇓ 実際に計算すると
P (X ≥ 220) = P (Y ≥ 2) = 0.5 − 0.4772 = 0.0228
⇓ 何を以ってしておかしいと決めるか?(←危険率)
P (X ≥ 220) ≤ 0.05
P (X ≥ 220) ≤ 0.03
P (X ≥ 220) ≤ 0.01
ここの基準は状況や個人の好みの問題!
ここではそれぞれのケースに関して考えてみることにして
⇓ , の場合
0.0228 ≤ 0.05 だから,おかしい!
1
何がおかしいかというと p = という仮説がおかしい!
2
このことから賛成者が過半数であるということになる.
⇓ の場合
0.0228 ≥ 0.1 だから,おかしくない!
1
何がおかしくないかというと p = という仮説がおかしくない!
2
このことから賛成者が過半数とはいえない.
46
学習院大学 澤野嘉宏
例題 11.2. 18 才の 50 メートル走の平均は 20 年前は 7.30 秒だったが,現在は 7.45 秒だという.
7.45 という数字はこれは 20 人のタイムを用いて得られた.とりあえず,20 年前も今も標準偏差
は 0.38 だったとして,走力が変化したかどうかを 5 パーセントの危険率で検定せよ.
例題 11.2. 設定:20人のタイムを X1 , X2 , . . . , X20 とする.さらに,
X1 + X2 + . . . + X20
X=
20
と定める.
仮説:E[X] は 7.30 でない.
⇓ 検定する基準
E[X] = 7.30 と仮定する.
⇓ 具体的には
X1 , X2 , . . . , X20 が独立かつ
確率分布 N (7.30, 0.38) に従うとして
独立試行を 20 回繰り返したとき
おきた回数を X として.P (|X − 7.30| ≥ a) = 0.05
となる a を求めて,|7.45 − 7.30| < a か否かを判定する.
⇓ 計算方法は
0.382
E[X] = 7.30, V [X] =
だから,
20
X − 7.30
√ とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
Y =
0.38/ 20
⇓ 実際に計算すると
√
P (|X − 7.30| ≥ a) = P (|Y | ≥ a 20/0.38)
√
= 2P (Y ≥ a 20/0.38) = 0.05 = 0.5 − p(1.96)
√
よって a = 1.96 × 0.38/ 20 ≈ 0.166
⇓ したがって,
0.15 ≥ 0.166 だから,おかしくない!
何がおかしくないかというと
E[X] = 7.30 という仮説がおかしくない!
このことから走力に変化がないとはいえない.
確率演習
注意 11.3. 設定:20 人のタイムを X1 , X2 , . . . , X20 とする.さらに,
X1 + X2 + . . . + X20
X=
20
と定める.
仮説:E[X] は 7.30 以上.
⇓ 検定する基準
E[X] = 7.30 と仮定する.
⇓ 具体的には
X1 , X2 , . . . , X20 が独立かつ
確率分布 N (7.30, 0.38) に従うとして
独立試行を 20 回繰り返したとき
おきた回数を X として.P (X − 7.30 ≥ a) = 0.05
となる a を求めて,7.45 − 7.30 < a か否かを判定する.
⇓ 計算方法は
0.382
だから,
E[X] = 7.30, V [X] =
20
X − 7.30
√ とおけば,Y が N (0, 1) にしたがう.
Y =
0.38/ 20
⇓ 実際に計算すると
P (X − 7.30 ≥ a) = P (Y ≥ a/0.38) = 0.05 = 0.5 − p(1.645)
√
よって a = 1.645 × 0.38/ 20 ≈ 0.14
⇓ したがって,
0.15 ≥ 0.14 だから,おかしい!
何がおかしいかというと
E[X] = 7.30 という仮説がおかしい!
このことから走力が衰えたといえる.
47
48
学習院大学 澤野嘉宏
例題 11.4. 麻生大学と小平大学で 10 人ずつ男子学生を選び身長を測ったところ,平均が 0.79 セ
ンチだけ差が開いた.身長の標準偏差は 1 であるとして,両大学の学生の身長は平均して同じで
あるかどうかを検定せよ.
設定:身長はそれぞれ麻生大学では N (mA , 0.1) に小平大学では N (mB , 0.1) に従うとする.麻
生大学10人の身長を X1 , X2 , . . . , X10 とする.小平大学10人の身長を Y1 , Y2 , . . . , Y10 とする.
さらに,
Y1 + Y2 + . . . + Y10
X1 + X2 + . . . + X10
X=
,Y =
10
10
と定める.
仮説:mA = mB .
⇓ 検定する基準
m = mA = mB と仮定する.
⇓ 具体的には
P (|X − Y | ≥ 0.79) ≤ 0.05 か否かを判定する.
⇓ 計算方法は
X1 + X2 + . . . + X10 は初めにまとめたこと1を多用して
N (m, 10) にしたがうとわかる.
X1 + X2 + . . . + X10
は
さらに,X =
10
初めにまとめたこと2を使って
X は N (m, 1/10) に従うとわかる.
同じく Y は N (m, 1/10) に従うから
X − Y は N (0, 1/5) に従う.
√
Z = 5(X − Y ) とおくと,Z は N (0, 1) に従う.
⇓ 実際に計算すると
P (|X − Y | ≥ 0.79) = P (|Z| ≥ 1.76) = 0.4608 × 2 = 0.9216
⇓ したがって,
許容範囲内だから身長が同じと仮定しても問題ない.
確率演習
49
注意 11.5. そこで,この結果が出たとして本当に両校の身長は同じであると信じていいのかを考
える.仮に,10人ではなく1000人であるとする.同じようにして次のフローチャートが出
来るであろう.
設定:身長はそれぞれ麻生大学では N (mA , 0.1) に小平大学では N (mB , 0.1) に従うとする.麻生
大学1000人の身長を X1 , X2 , . . . , X1000 とする.小平大学1000人の身長を Y1 , Y2 , . . . , Y1000
とする.さらに,
X1 + X2 + . . . + X1000
Y1 + Y2 + . . . + Y1000
X=
,Y =
1000
1000
と定める.
仮説:mA = mB .
⇓ 検定する基準
m = mA = mB と仮定する.
⇓ 具体的には
P (|X − Y | ≥ 0.79) ≤ 0.5 か否かを判定する.
⇓ 計算方法は
X は N (m, 1/1000) に Y は N (m, 1/1000) に従うから
X − Y は N (0, 1/5) に従う.
√
Z = 5(X − Y ) とおくと,Z は N (0, 1) に従う.
⇓ 実際に計算すると
P (|X − Y | ≥ 0.79) = P (|Z| ≥ 17.6) ≃ 0.999
⇓ したがって,
許容範囲内ではないから身長が同じではない.
このことから,先ほどの容認つまり仮説を採択することを消極的容認という.
学習院大学 澤野嘉宏
50
問題 11.6. ある県の 18 才男子の体重の平均値は 63 キロで,標準偏差は 9 キロである.100 人の
体重の平均の期待値と標準偏差を求めよ.
問題 11.7. 全国の有権者の内閣支持率が 20 パーセントであるとする.無作為に 1600 人を抽出
してその 1600 人の支持率を R とする.
P (0.18 ≤ R ≤ 0.22)
を求めよ.
問題 11.8. 母平均 m がわからないとき,それを標本平均を用いて推定する方法を考える.母標
準偏差 σ はわかっているものとする.X1 , · · · , Xn をデーターとする.また,平均を
X̄ =
X 1 + X 2 + · · · + Xn
n
で定める.
(
)
( 2)
∫ α
ασ
1
x
(1) 確率 P |X̄ − m| ≤ √
を関数 φ(α) = √
exp −
dx で近似的に表せ.
2
n
2π 0
(2) X̄ は正規分布に従うとして
(
)
σ
95
σ
=
P X̄ − α √ ≤ m ≤ X̄ + α √
100
n
n
となる α = α0 を求めよ.
(3) 実験をした結果得られる X̄ を x̄ と表すことにする.区間
[
]
σ
σ
x̄ − α0 √ , x̄ + α0 √
n
n
を 95 パーセントの信頼区間という.このことを踏まえて,400 個の同じ規格の商品の重
さをはかったとして平均値は 98 グラムだったとする.σ = 3.2 として 95 パーセントの信
頼度で推定せよ.
問題 11.9. 母標準偏差がわかっていなくても,標本の大きさ n が大きいときは母標準偏差 σ の
代わりに,標本標準偏差を用いてかまわない.全国から無作為に抽出した 10000 世帯に関して年
間の米購入量を調査したところ平均値 118 キログラム,標準偏差 38 キログラムであった.
(1) 平均 m キログラムとして,
P (|X − m| < a) = 0.99
となる a を求めよ.
(2) 平均購入量を信頼度 99 パーセントで推定せよ.
問題 11.10. ある地域で有権者 5000 人を無作為に抽出して A 政党の支持者を調べたところ 2400
人であった.この地域の A 政党支持者を信頼度 95 パーセントで推定せよ.
問題 11.11. 母比率 p の標本比率 R を用いて推定したい.
√
√
R(1 − R)
R(1 − R)
R − 1.96
≤ p ≤ R + 1.96
n
n
が信頼度 95 パーセントのときに成り立つが,n をどの程度大きくとれば,信頼区間の幅を 4 パー
セント以下にできるか?
問題 11.12. ある試験を受けた高校生の中から,100 人を任意に選んだところ,平均点は 58.3 点
であった.母標準偏差を 13.0 点として母平均の信頼区間を 95 パーセントで推定せよ.
(ヒント:
母平均をとりあえず平均と置き換える.
)
問題 11.13. 大きさ 100 の標本の標本平均は 56.3 で,標本標準偏差は 10.2 である.このとき,母
平均の信頼区間をつぎの信頼度で求めよ.
確率演習
51
(1) 95 パーセント
(2) 99 パーセント
問題 11.14. 1 分間の脈拍数を 10 回測ったところ,次のようになった.
91, 92, 91, 92, 93, 93, 91, 92, 93, 92
脈拍の度数の分布は正規分布であると仮定する.次の問に答えよ.
(1) 標本平均を求めよ.
(2) 標本標準偏差を求めよ.
(3) 標本平均,標本標準偏差はそれぞれ母平均,母標準偏差と近似していよいので,母平均
の信頼区間を次の信頼区間に対して求めよ.
(a) 95 パーセント
(b) 99 パーセント
問題 11.15. 日本のある首相の支持率を調べるべく,調査を行った.回収した調査票は 2500 で,
625 票が支持を表明するもので,残りは不支持であった.この首相の支持率を次の信頼度で推定
せよ.
(1) 95 パーセント
(2) 99 パーセント
問題 11.16. ある市で市長の支持率を聞くために,400 人に聞き取りを行った.支持者は 216 人
であった.信頼度 95 パーセントで考える.
(1) 母比率はどの程度か?
(2) 10000 人の中には何人支持者がいると考えられるか?
問題 11.17. さいころを投げて 1 の目が出る確率を信頼度 95 パーセントで推定したい.信頼区
間の幅を 0.1 以下にするためには,さいころを何回投げればよいか?次の中から,該当する回数
のうちでもっとも少ない数のものを選べ.
100, 150, 200, 250, 300, 350
問題 11.18. ある工場で生産される不良品の割合を信頼度 95 パーセントで推定したい.不良品
をつくるのは約 5 パーセントだと経験的に分かっているとして,信頼区間の幅を 0.02 以下にする
にはどのくらいまでサンプルをとればよいか?
問題 11.19. 模試で数千枚の答案を採点した.信頼度 95 パーセント,誤差 2 点以内でその平均点
を類推したい.何枚の答案を抜き出せばよいか?経験的に母標準偏差は 15 点であるとわかって
いるとする.
問題 11.20. 正規分布をなす母集団から,大きさ n の標本を取り出して,その標準偏差を s とす
る.95 パーセントだと精度は h であった.99 パーセントだと精度はいくらか?
問題 11.21. 登戸駅のでの乗客が本当に乗り換えをするために下車をするかどうかを考える.仮
に,400 人を無作為に抽出したとして 196 人がこの駅で下りず,乗り換えをしたとする.登戸駅
を下車する際に,乗り換えているのは 100 人中何人であるか?信頼度 95 パーセントで推定せよ.
問題 11.22. ある工場の製品から無作為抽出で大きさ 800 の標本を選んだところ,32 個の不良品
が見つかった.製品全体の不良品の率を信頼度 95 パーセントで推定せよ.
学習院大学 澤野嘉宏
52
12. 計算技術
問題 12.1. 次の量を計算せよ.
(1) n C0 + 3n C1 + . . . + 3k n Ck + . . . + 3n n Cn
(2) 1 · 30 n C1 + . . . + k · 3k−1 n Ck + . . . + n · 3n−1 n Cn
(3) −1 < x < 1 のとき 1 + x + x2 + . . . + xn + . . .
(4) −1 < x < 1 のとき 1 + 2x + 3x2 + . . . + (n + 1)xn + . . .
問題 12.2. 次の問いに答えよ.


(m
)
n
m
n
∑
∑
∑
∑
j 2
j
2

(1)
2 k
と
2 k  を求めて比較せよ.
j=1
k=1
k=1
j=1
(2) 数列 {am,n }m,n=1,2,... を考える.次の等式が成り立つように ∗1, ∗2 に記号を入れるとす
るとどれが適切か?下に与えられた選択肢から選べ.
( N
)
( ∗2
)
N
N
∑
∑
∑
∑
am,n =
am,n
m=1
n=m
n=1
m=∗1
選択肢:
( Nm, n,)N, 1, 2
N
∑
∑ m
を求めよ.
(3)
n
n=m
m=1
問題 12.3. 次の量を計算せよ.
(1)
(2)
(3)
(4)
|x| < 1 とする.1 + x + x2 + . . . + xn−1 + . . .
|x| < 1 とする.1 + 2x + 3x2 + . . . + (n − 1)xn−2 + . . .
|x| < 1 とする.2 + 6x + 12x2 + . . . + (n − 1)(n − 2)(1 − x)xn−3 + . . .
さいころを 4 の目が出るまで振り続ける.4 の目が出たら終了ということにしてさいこ
ろを振る回数 X の期待値を求めよ.
問題 12.4. 次の計算をせよ.
∫
b
(1)
∫ab
(2)
∫a
(x − a)(b − x) dx
(x − a)3 (b − x)2 dx
2π
(3)
0
√
1 − cos x dx
(4) 1 + x + x2 + · · · + xn + · · ·
n
∑
(5)
k n Ck ak bn−k
k=0
確率演習
53
Part 2. 解答
13. 1 節
問題 1.1.
(1)
(a) 4! = 24 通り
(b) 何の色を使わないかで 4 通り,4 県のうちどの県とどの県を同じ色で塗るかで 2 通
り,色と同一の色で塗る二県が決まったところで塗り方は 3! = 6 通り,従って,計
4 × 2 × 6 = 48 通り.
(c) 群馬県と栃木県の色を決めればよいので 4 × 3 = 12 通り.
(d) 上の 3 つのケースを総和して 84 通り.
(2) 1. の (a) のケースと (b) のケースのうち埼玉県と栃木県の色が一致していない場合つま
1
り (b) のケースの半分を足して 24 + 48 × = 48 通り.
2
問題 1.2.
1
1 1
1
だから, 連勝する確率は × = .
3
3 3
9
(2) 一回目の目を a,二回目の目を b と表すと
(1) じゃんけんで勝つ確率は
(2, 5), (2, 6), (3, 4), (3, 5), (3, 6), (4, 3), (4, 4), (4, 5), (4, 6)
(5, 2), (5, 3), (5, 4), (5, 5), (5, 6), (6, 2), (6, 3), (6, 4), (6, 5), (6, 6)
19
の計 19 通りある.全事象は 36 通りあるので, .
36
(3) 4 H10 = 13 C3 = 13 · 12 · 11 ÷ 6 = 286 通り.1 を a 個,2 を b 個,3 を c 個,4 を d 個とる
とする.次の方程式の解の個数が問題になる.
a ≥ 0, b ≥ 0, c ≥ 0, d ≥ 0, a + b + c + d = 10.
(a) 0 ≤ A ≤ 10 という数を固定する.a + b = A となるように選ぶ方法は
a + b = A, c + d = 10 − A
を満たすように a, b, c, d を選べばよいから (A + 1)(11 − A) 通りとなる.従って,
10
∑
A=0
(A + 1)(11 − A) = 11 +
10
∑
(11 + 10A − A2 ) = 11 + 110 + 550 −
A=1
1
· 10 · 11 · 21 = 286.
6
(b) 選び方を記号化する.
○,○,○,○,×,×,○,○,○,○,×,○,○
これは a = 4, b = 0, c = 4, d = 2 を表す.
×,○,○,○,○,×,○,○,○,○,○,×,○
これは a = 0, b = 4, c = 5, d = 1 を表す.
この記号に従うと○10個と×3個ですべての配列を表すことが出来る.
従って,10 C3 = 286 が答え.
n
∑
k n−k
(4) 二項展開の公式 (a + b)n =
より,6 C2 · 72 · 24 = 240 · 49 = 11760.
n Ck a b
k=0
(5) A と同じグループに入る本の選び方は 5 C2 = 10 通りだから,10 通り.誤答例:A, B, C
にはじめのグループに入っていると考えて 6 C3 を計算した場合.D, E, F がはじめのグ
ループに入っていると考えても同じ分割が得られてしまうので結果が 2 倍されてしまう.
学習院大学 澤野嘉宏
54
(6) 南に7区画,東に5区画いかないといけないことに注意.12 C5 = 12·11·10·9·8÷120 = 792
通り.
問題 1.3.
(1) 120 通り
(2) 720 通り
(3) 10人からチームA,チームBと分けるときのチームAの場合の数が答えと思われそう
だが,実際にはチームにAもBもないので,10 C5 ÷ 2 = 126 通り
(4) 上の段の入れ方を考えて 10 C5 = 252 通り
(5) 南4本東6本だから,8 C3 = 56 通り
(6) 20 C18 = 190 通り
(7) 4 C10 = 1001 通り
(8) X + Y + Z + W + V = 10 を X ≥ 1, Y ≥ 1, Z ≥ 1, W ≥ 1, V ≥ 1 となるようにとれば
よいが,それには x + y + z + w + v = 5 の零以上の整数解を求めればよい.9 C4 = 126
通り.
問題 1.4.
(1) (a, b) で一回目 a,二回目 b の事象を表すことにして
(6, 2), (6, 3), (5, 3), (4, 3), (6, 4), (5, 4), (4, 4), (3, 4), (2, 4), (1, 5), · · · , (2, 5), (1, 6), · · · , (6, 6)
の 15 通りの場合があるから,
7
· 7 C1
=
C
40
10 3
189
(3)
1000
(4) a = 2500
(2)
3 C2
5
12
問題 1.5.
(1) A, B, C, D, E, F の図鑑のうちはじめに3つ A, B, C ととることと,D, E, F ととること
6 C3
は同じ組を作ることに注意して
= 10 通り
2!
(2) 280 通り
(3) 126 通り
問題 1.6.
(1)
15
5
=
該当する目の出方は次の通り.
36
12
(X, Y ) = (2, 5), (2, 6), (3, 4), (3, 5), (3, 6), (4, 4), (4, 5), (4, 6),
(5, 4), (5, 5), (5, 6), (6, 3), (6, 4), (6, 5), (6, 6)
3·7
7
3 C2 · 7 C1
(2)
=
=
C
120
40
10 3
確率演習
55
(3) 事象列で答えを表してみよう.
(白,白,黒),(白,黒,白),(黒,白,白)
の三つが該当する.一つ一つの確率は
(4) 事象列で答えを表してみよう.
3 3 7
3 3 7
189
· ·
なので,3 倍して
· · ×3 =
10 10 10
10 10 10
1000
(4,他,他,4,4,他)
のように,6 つのうち 3 つが 4 になるようなものが計 20 個出てくる.一つ一つの確率は
1 53
·
63 63
なので,a = 2500 が答え.
問題 1.7.
(1) はじめに問題を定式化する.
X + Y + Z = 8, X ≥ 1, Y ≥ 1, Z ≥ 1
の整数解を探せばよい.
x1 + x2 + · · · + xn = k, x1 , x2 , · · · , xn ≥ 0
の整数解の個数は k Hn = n+k−1 Ck であることを知っているので,これを活用したい.
X = x + 1, Y = y + 1, Z = z + 1
とおくと,
x + y + z = 5, x, y, z ≥ 0
となるので,7 C2 = 21 とおり.
(2) A, B, C, D, E, F, G, H, I, J と本に名前をつけて A と同じグループに属する本の選び方は
9 C4 = 126 とおりでこれが答え.
(3) A, B, C, D, E, F と図鑑に名前をつけて A と同じグループに属する本の選び方は 5 C2 = 10
とおり.
問題 1.8.
(1) 0 回微分は何もしてないことに相当するので,f (t)g(t) が正解.右辺は k = 0 のとき,
N C0 = 1 より確かに,f (t)g(t) になっている.
(2) ライプニッツの公式
(F (t)G(t))′ = F ′ (t)G(t) + F (t)G′ (t)
を復習せよ.これを用いると f (k) (t)g (N +1−k) (t) とわかる.
(3)
f (1) (t)g (N ) (t) + N C1 f (2) (t)g (N −1) (t) + · · ·
+N Ck f (k+1) (t)g (N −k) (t) + · · · + f (N +1) (t)g (0) (t)
ただし,
N C0 f
(1)
(t)g (N ) (t) + · · · + N Ck f (k+1) (t)g (N −k) (t) + · · · + N CN f (N +1) (t)g (0) (t)
でも正解.
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56
(4) (4) の正解が m だと仮定して
m
∑
Ck−1 f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
N
k=1
を書き下してみる.すると,
N
C0 f (0) (t) · g (N +1) (t) + N C0 f (1) (t) · g (N ) (t) + · · · + N C0 f (m) (t) · g (N +1−m) (t)
が得られる.この量が
N C0 f
(5)
(1)
(t)g (N ) (t) + · · · + N Ck f (k+1) (t)g (N −k) (t) + · · · + N CN f (N +1) (t)g (0) (t)
に合致するためには m = N + 1 でないといけない.したがって,N + 1 が正解.
+ N Ck が正解だが,これはかなり難しい.次のようにして正解を得る.(3) の正
解がわかると
N Ck−1
N
∑
N
Ck f
(k+1)
(t) · g
(N −k)
(t) +
k=0
=
N
∑
N
Ck f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
k=0
N
+1
∑
(k)
(t) · g (N −k+1) (t) +
N Ck−1 f
k=1
N
∑
N
Ck f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
k=0
がわかる.これだと第二項に
N
+1
∑
N
∑
k=1
k=0
,
が現れるので,計算がとまってしまう.次のようにして計算を進めていく.N C−1 = 0 だ
から
N
+1
∑
N
Ck−1 f (k) (t) · g (N −k+1) (t)
k=1
= N C0−1 f (0) (t) · g (N −0+1) (t) +
N
+1
∑
N
Ck−1 f (k) (t) · g (N −k+1) (t)
N
Ck f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
N
Ck f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
k=1
=
N
+1
∑
N
Ck−1 f (k) (t) · g (N −k+1) (t)
k=0
である.同じく,N CN +1 = 0 だから,
N
∑
N
Ck f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
k=0
= N CN +1 f (N +1) (t) · g (0) (t) +
N
∑
k=0
N
+1
∑
=
N
Ck f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
k=0
である.以上より,
N
∑
N
k=0
=
N
+1
∑
k=0
Ck f
(k+1)
(t) · g
(N −k)
(t) +
N
∑
k=0
(k)
(t) · g (N −k+1) (t) +
N Ck−1 f
N
+1
∑
N
k=0
Ck f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
確率演習
57
最後に分配法則を用いると,この式が
N
+1
∑
(N Ck + N Ck−1 )f (k) (t) · g (N +1−k) (t)
k=0
に等しいことが得られる.
(6) 公式 N Ck−1 + N Ck = N +1 Ck より,N +1 Ck が正解.
N
+1
∑
(k)
(7) (f (t) · g(t))(N +1) =
(t) · g (N +1−k) (t).
N +1 Ck f
k=0
問題 1.9.
(1) はじめに,本を3つずつ本棚に納める方法を考えましょう.上段,中段,下段の順番に
入れていくと
上段: 9 C6 通り
中段: 6 C3 通り
下段: 3 C3 通り
の場合があるので,これらをかけるとよい.9 C6 · 6 C3 · 3 C3 通りということになる.これ
が本棚に納めた場合の数で,実際には本棚ではなくただ3つに分けただけだから,上段,
中段,下段の区別を取らないといけない.したがって,
9 C6
· 6 C3 ÷ 3 P3 =
9·8·7 6·5·4 1
1
·
· = 84 · 20 · = 280
6
6
6
6
通り.
(2) x + y + z + w + u = 5 の 0 以上の整数解を求めればよい.したがって,
9 C4
=
9·8·7·6
= 126
4·3·2·1
通り.
(3) x + y + z = 9 の 0 以上の整数解を求めればよい.11 C2 = 55 通り.
(4) 8 C4 /2 = 7 C3 = 35 通り.
問題 1.10.
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
n!
k!(n − k)!
n!
(k − 1)!(n − k + 1)!
k
k
n−k+1
k
n−k+1
(n + 1)!
k!(n − k + 1)!
(n + 1)!
k!(n − k + 1)!
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58
問題 1.11.
A = {(x1 , · · · , x5 ) は (1, 2, 3, 4, 5) の並び替えで x1 ̸= 1, x2 ̸= 2, x3 ̸= 3, x4 ̸= 4, x5 ̸= 5}
とすると,
A に属する元の数
120
が答えである.A はいくつの元からなる集合かを考えよう.
B = {(x1 , · · · , x5 ) は (1, 2, 3, 4, 5) の並び替えで x1 = 2, x3 ̸= 3, x4 ̸= 4, x5 ̸= 5}
とすると,
A の元の数 = B の元の数 × 4
が成り立つ.
Bは
(2, 1, 5, 3, 4), (2, 1, 4, 5, 3), (2, 3, 4, 5, 1), (2, 3, 5, 1, 4), (2, 3, 1, 4, 5)
(2, 4, 1, 5, 3), (2, 4, 5, 3, 1), (2, 4, 5, 1, 3), (2, 5, 1, 3, 4), (2, 5, 4, 3, 1), (2, 5, 3, 1, 4)
から構成されるので 11 個の元がある.したがって,A は 44 個の元からなる.
44
11
=
120
30
が答え.
問題 1.12. 44通り
問題 1.13. 問題の文章は難しいが,次のように問題が書いてあったら解けたかもしれない.見方
を変えることがポイント.
(1) 1 ≤ x1 , x2 , x3 , x4 , x5 ≤ 10 を満たしている自然数
(x1 , x2 , x3 , x4 , x5 )
は何通りあるか?
(2) 1 ≤ x1 , x2 , x3 , x4 , x5 ≤ 10 を満たしている自然数のうち,成分が互いに異なる
(x1 , x2 , x3 , x4 , x5 )
は何通りあるか?
(3) 1 ≤ x1 , x2 , x3 , x4 , x5 ≤ 10 を満たしている自然数のうち,
x1 < x2 < x3 < x4 < x5
を満たしている
(x1 , x2 , x3 , x4 , x5 )
は何通りあるか?
(4) 1 ≤ x1 , x2 , x3 , x4 , x5 ≤ 10 を満たしている自然数のうち,
x1 + x2 + x3 + x4 + x5 = 10
を満たしている
(x1 , x2 , x3 , x4 , x5 )
は何通りあるか?
このことを踏まえて答えを書くと次のようになる.
(1) 105 = 100000 個
(2) 10 P5 = 30240 個
(3) 10 C5 = 252 個
確率演習
59
(4) 一次方程式
A + B + C + D + E = 10
の自然数解の個数 A, B, C, D, E は
α+β+γ+δ+ε=5
の 0 以上の解の個数に等しい.よって,9 C5 = 126 個
問題 1.14.
(1) 40320 通り
(2) 5040 通り
(3) 2520 通り
問題 1.15.
(1) (a)
(b)
(c)
(2) (a)
(b)
(3) (a)
(b)
24 通り
24 通り
48 通り
168 通り
24 通り
720 通り
7680 通り
問題 1.16. ○を 6 個,縦棒を 3 本用意して並べ替える問題と同数.9 C3 = 84 通り.
問題 1.17. 頂点を 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8 とする.三角形の 3 辺のうち 2 辺が正八角形のものとなるの
は 8 個である.三角形の 3 辺のうち 1 辺が正八角形のものとなるのは 32 個である.また,三角
形は全体で 8 C3 個ある.したがって,56 − 8 − 32 = 16 個が条件に該当する.
問題 1.18.
(1) 2n − 2
(2) 3n − 3 · 2n + 3
(n − 2)(n − 1)
(3) n−1 C2 =
2
問題 1.19.
(1)
(2)
n
∑
m n Cm = n · 2n−1 と
m=0
n ∫ 1
∑
m=0
問題 1.19.
0
n
∑
m(m − 1)n Cm = n(n − 1) · 2n−2 を足す.
m=0
xm n Cm dx を計算する.
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60
(1)
(a) リンゴを 3 個,柿を 3 個与える場合.6 C3 = 20 通り.
(b) リンゴを 2 個,柿を 4 個与える場合.6 C2 = 15 通り.
(c) リンゴを 1 個,柿を 5 個与える場合.6 C1 = 6 通り.
したがって,計 41 通り.
(2) 柿を与える与え方を考える.
(a) 柿は5人に分配されている場合.リンゴを最後の1人に配って,残り2個を他の人
にひとつずつ渡す.この場合の場合の数は 6 · 5 C2 = 60 通りである.
(b) 柿は4人に分配されている場合.
(i) リンゴを2個持つ人がいる場合.6 · 5 · 4 = 120 通りである.
(ii) リンゴを2個持つ人がいない場合.6 · 5 · 4 C3 = 180 通りである.
(c) 柿を3人に分配した場合.6 C3 · 3 = 60 通りである.
以上より 60 + 120 + 180 + 60 = 420 通りとなる.
(3) リンゴの与え方は 8 C3 = 56 通り.柿の与え方は 10 C5 = 252 通り.したがって,全体では
56 · 252 = 12600 + 1512 = 14112
通りある.
(4) 7 人目の人が誰ももらわなかったものを与えると考える.
9 C3
· 11 C5 = 38808
通りある.
問題 1.21.
(1) n P5 個.
(2) n C5 個.
(3) とりうる値が 5 個の写像は n C5 個ある.とりうる値が 4 個の写像は n C4 × 4 個ある.と
りうる値が 3 個の写像は n C3 × 6 個ある.とりうる値が 2 個の写像は n C2 × 2 個ある.と
りうる値が 1 個の写像は n C1 個ある.すべてを足して
n C5
+ n C4 × 4 + n C3 × 6 + n C2 × 4 + n C1
通りある.
問題 1.22.
(1) 全体で記号は 510 通りある.A を含まない記号は 410 通りある.B を含まない記号は 410
通りある.A, B を含まない記号は 310 通りある.したがって,510 − 2 · 410 + 310 通りが
ある.
(2)
(a) A を 4 個,B を 0 個含む記号は 10 C4 · 36 通りある.
(b) A を 3 個,B を 1 個含む記号は 10 C4 4 · ·36 通りある.
(c) A, B を 2 個ずつ含む記号は 10 C4 · 6 · 36 通りある.
(d) A を 1 個,B を 3 個含む記号は 10 C4 4 · ·36 通りある.
(e) A を 0 個,B を 4 個含む記号は 10 C4 · 36 通りある.
したがって,記号は
10 C4
通りある.
· 24 · 36
確率演習
61
(3) A, B を k 個ずつ含む記号は 10 Ck · 10−k Ck · 3k 個ある.したがって,A, B を含んでいて
その個数が同数でないものは
510 − 2 · 410 + 310 −
5
∑
10 Ck
· 10−k Ck · 3k
k=1
個で A のほうが多いのはその半分の
)
(
5
∑
1
10
10
10
k
5 −2·4 +3 −
10 Ck · 10−k Ck · 3
2
k=1
個ある.
問題 1.23.
(1) たまに番号をつけると 10! 通りあるが,その番号をはずすと
10!
10 · 9 · 8 · 7 · 6
=
= 10 · 6 · 7 · 6 = 2520
5·4·3·2·1·3·2·1·2·1
12
通りとなる.
(2) 玉に番号をつけると,10!/10 通りあるが,その番号をはずすと 252 通りある.
(3) (2) のもののうち線対称なものはいくつあるか調べる.2 つの黒玉の間に1つ玉があるも
のは 6 個ある.2 つの黒玉の間に 3 つ玉があるものは 6 個ある.したがって,240 個は線
対称でないから,対称な対があってそれを同じとみなすので 120 個である.対称な 12 個
のものとあわせて 132 通りの数珠がある.
問題 1.24. 対角線 y = x にはじめてぶち当たるまでどのような経路をとっているかを考える.
x = k, 1 ≤ k ≤ n でぶち当たっていると考えると,
(0, 0) → (1, 0) → · · · → (k, k − 1) → (k, k) → · · · → (n, n)
のような動き方をしている.この動き方は,ak−1 an−k 通りある.そこで,an =
n
∑
ak−1 an−k
k=1
という関係がわかる.帰納法を用いてこれより an =
(2n)!
を導く方法があるが,そのこと
n!(n + 1)!
を知らないと仮定して実際に計算で求めてみよう.
f (x) =
∞
∑
an xn
n=0
と定めると,a0 = 1 より
( n
)
( n
)
∞
∞
∑
∑
∑
∑
f (x) =
ak−1 an−k xn = 1 + x
ak−1 xk−1 an−k xn−k
n=0
n=0
k=1
k=1
N = n − k, K = k − 1 なる変換をすると,K, N = 0, 1, 2, · · · となるので
( ∞
[
( ∞
)
)]
∞
∞
∑
∑
∑
∑
N
K
N
K
aN x
f (x) = 1 + x
aK x aN x
=1+x
aK x
= 1 + x f (x)2 .
N =0
K=0
N =0
これを f (x) の二次方程式とみなして解くと
√
1 + ± 1 − 4x
f (x) =
2x
K=0
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62
x → 0 で f (x) → f (0) = 1 となるので,± において + は不適格で
√
1 − 1 − 4x
f (x) =
2x
が得られる.二項展開
(1 + α)k
=
k
∑
n Cj α
j
j=0
k · (k − 1) l
k · (k − 1) · · · · · (k − l + 1) l
k · (k − 1) · · · · · 2 · 1 k
α + ··· +
α + ··· +
α
2·1
l!
k!
の公式において k を 21 に置き換えて
= 1+kα+
1
(1 + α) 2 = 1 +
を得るので,
f (x) =
1−
√
1
α+
2
1
2
· (− 12 ) l
α + ··· +
2·1
1
2
· (− 12 ) · · · · · ( 23 − l) l
α + ···
l!
∞
1 − 4x ∑ 1
1 ( 12 ) · · · · · (l − 32 )
=
(4x)l
(分子は l − 1 個の積からなる)
2x
2
2x
l!
l=1
これを
f (x) =
∞
∑
l=1
(4x)l
1 ( 12 ) · · · · · (l − 32 ) · (l − 12 )
(分子は l 個の積からなる)
2x
l!(2l − 1)
と書き改めて,l − 1 = L とおきなおすと,
∞
∑
( 1 ) · · · · · (L − 12 ) · (L + 12 )
f (x) =
2(4x)L 2
(分子は L + 1 個の積からなる)
(L + 1)!(2L + 1)
L=0
が得られる.少し整理して
∞
∞
∑
∑
1 · 3 · 5 · · · · · (2L + 1)
1 · 3 · 5 · · · · · (2L − 1)
f (x) =
=
2L xL
2L xL
(L + 1)!(2L + 1)
(L + 1)!
L=0
分母分子に L! をかけて f (x) =
L=0
∞
∑
L=0
xL
(2L)!
(2L)!
. したがって,aL =
が得られる.
L!(L + 1)!
L!(L + 1)!
確率演習
63
14. 2 節
問題 2.4. 使わなかった単語は,
“ 有限集合,分配法則,交換法則,または,確率,和事象,空事
象 ”の 7 つである.
(1) ランダムに誰かを選んできてその人の誕生日を当てる.このとき,
(根元事象)は 366 通
りある.
(2) さいころを二回投げる.一回目に出た目を A として二回目に出た目を B とする.一回の
(試行)で出た目を (A, B) と表すとき(標本空間)は
{(a, b) : a, b は 1, 2, 3, 4, 5, 6 のどれか }
と表せる.
16
8
(3) さいころを 90 回投げたときに 6 の目が 16 回出た.このときの(相対度数)は
=
90
45
1
である.さいころを投げる回数が多いとこの(相対度数)は に近づく.
6
(4) 標本空間が(無限集合)である例として,18 歳の男子を任意に選んだときの体重などが
あげられる.
(ただし,重さはどこまでも精密に測っているとする.
)
(5) さいころを 150 回投げたときに,4 の目が 43 回出た.このことから,さいころが(正し
いさいころ)であるとはいえないと思われる.
(6) さいころを 2 回投げて出た目の積を考える.積が 5 の倍数であることと,積が 8 の倍数
であることは(排反事象)である.
(7) さいころを 4 回投げて出た目の積を考える.積が 2 の倍数であることと積が 3 の倍数で
あることの(積事象)は積が 6 の倍数であることである.
(8) さいころを投げて出た目を考える.このとき,一回投げるその行為を確率論の言葉で(試
行)という.
(9) 事象 A, B があって A(かつ)B の(余事象)は A または B である.このことを(ド・
モルガンの法則)という.
問題 2.5.
(1)
(2)
(3)
(4)
A ∩ B = {1} ただし,必ず {1} と括弧をつけること.1 は不可.
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5}
A = {1, 3, 5}
条件を整理すると
{1, 2, 4, 5, 6} ⊂ B ⊂ U = {1, 2, 3, 4, 5, 6}
が成り立つことに等しい.よって,該当するのは B = U, {1, 2, 4, 5, 6} の2通り.
(5) m = 1, 3
(6) 今,裏が出ることを T : tail で,表が出てくることを H : head であらわす.問題は,
A ⊂ {(T, T )}
を満たす
{(H, T ), (T, H), (H, H), (T, T )}
の部分集合は何個あるかという問いと読み取れる.このことより,答えは“ 裏しか出な
い ”および,
“ 空事象 ”.空事象を忘れずに.
1
1
1
(7) 定義に基づき計算すると,P (A) = , P (B) = , P (A ∩ B) = . ゆえに,A と B は
3
2
6
独立.
96
(8)
= 0.24
400
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64
問題 2.6.
(1) 相対度数:確率と区別すること.
(2) 排反:二つの事象は相容れない.2つのサイコロを振って,積を考えるとき,12 の倍数
になることと 5 の倍数になることが両立すると,最小公倍数で 60 の倍数にならないとい
けないが,サイコロを振って積最大値は 36 だから,ありえない.
(3) ⊂
問題 2.7.
(1) 相対度数
(2) 排反
(3) ド・モルガンの
問題 2.8.
(1) 26 = 64 個
(2) 8 個
(3) リストすると,次の通り.
A={2, 4, 6}
A∪B ={ 1 , 3 , 4 , 5 , 6 }
A∩B ={ 5 }
A∪B ={ 2 , 4 , 5 , 6 }
, A ∩ B = { 4 , 6 }.
問題 2.9.
(1) A
(2) B
(3) A
問題 2.10.
(1) 2
(2) 1,3 のどちらか(独立でないことを従属というから3番も間違いではない.
)
(3) すべて間違い.
確率演習
65
15. 3 節
問題 3.1.
(1) ベン図を描くとわかるとおり,A と B が交わらないときが最小で B が A に含まれると
1
きが最大.よって,0 ≤ P (A ∩ B) ≤ 4
(2) ベン図を描くとわかるとおり,A と B が交わらないときが最大で B が A に含まれると
7
1
きが最小.よって, ≤ P (A ∪ B) ≤
4
12
P (A ∩ B)
3
(3) PA (B) =
=
P (A)
5
3
P (A ∩ B)
(4) PB (A) =
=
P (B)
4
1 1
2
(5) P (A ∩ B) = P (A) − P (A ∩ B) = − =
より,
3 5
15
P (A ∩ B)
2
(6) PA (B) =
=
P (A)
5
1
1
(7) P (A ∩ B) = P (A)P (B) =
だから,P (A ∪ B) = P (A) + P (B) − P (A ∩ B) =
12
2
問題 3.2. 次のように事象 B, C, D を定義する.
B = B が電気を通す
C = C が電気を通す
D = D が電気を通す
(1) A の電球がつくという事象は B ∩ (C ∪ D) で表される.従って,A の電球がつく確率は
P (B ∩ (C ∪ D)) = P (B)P (C ∪ D) = P (B)(1 − P (C ∩ D)) = P (B)(1 − P (C)P (D)) =
1
4
となる.
(2) 条件付確率を求めていることに注意(最後に割ることを忘れないように)
:A の電球がつ
1
いたとして C の電球が壊れていないという事象は B ∩ C で表されて,その確率は で
6
P (B ∩ C)
2
ある.従って,求める確率は PB∩(C∪D) (B ∩ C) =
= である.
P (B ∩ (C ∪ D))
3
3
(3) A の余事象だから,確率は である.
4
(4) 条件付確率を求めていることに注意(最後に割ることを忘れないように)
:A の電球がつ
いていなくて,B の電球がついていない確率は B の電球がついていない確率そのものだ
1
2
P (B)
から である.従って,求める確率は
=
2
3
P (B ∩ (C ∪ D))
学習院大学 澤野嘉宏
66
注意;次のように事象列を用いてすべてのケースを求めてしまい,該当するものを活用する方
法もあります.
(○,○,○)などは B, C, D の順につくかつかないかを表すことにして,
1 1 1
1
P(
( ○,○,○)) = · · =
2 3 4
24
1 1 1
1
P(
( ×,○,○)) = · · =
2 3 4
24
1 2 1
2
P(
( ○,×,○)) = · · =
2 3 4
24
1 2 1
2
P(
( ×,×,○)) = · · =
2 3 4
24
3
1 1 3
P(
( ○,○,×)) = · · =
2 3 4
24
1 1 3
3
P(
( ×,○,×)) = · · =
2 3 4
24
1 2 3
6
P(
( ○,×,×)) = · · =
2 3 4
24
1 2 3
6
P(
( ×,×,×)) = · · =
2 3 4
24
これを踏まえて
(1) 電球がつく確率
= P(
( ○,○,○)) + P (
( ○,×,○)) + P (
( ○,○,×)) =
1
2
3
1
+
+
= .
24 24 24
4
(2) 電球がついていてかつ C が壊れていない確率
= P(
( ○,○,○)) + P (
( ○,○,×)) =
1
3
1
+
= .
24 24
6
したがって,
P“
( C が壊れていない ”かつ A の電球がつく)
P (A の電球がつく)
1 1
2
= ÷ = .
6 4
3
1
2
3
6
6
3
(3) 電球がつかない確率 =
+
+
+
+
= .
24 24 24 24 24
4
(4) 電球がついていないで,B が壊れている確率
1
= P(
( ×,○,○)) + P (
( ×,×,○)) + P (
( ×,○,×)) + P (
( ×,×,×)) = .
2
したがって,
PA の電球がつく (C が壊れていない) =
PA の電球がつかない (C が壊れていない)
P“
( B が壊れている ”かつ A の電球がつかない)
=
P (A の電球がつかない)
1 3
2
= ÷ = .
2 4
3
問題 3.3.
(1) 正解を導き出すのに関係がない量が含まれているが,正しく計算すると
PA (B) =
P (A ∩ B)
4
= .
P (A)
5
確率演習
(2) A, B は独立ゆえ,独立の定義式から P (A ∩ B) = P (A)P (B) =
公式 P (A ∪ B) = P (A) + P (B) − P (A ∩ B) に代入して
P (A ∪ B) =
67
1
である.これを加法
20
1 1
1
2
+ −
= .
4 5 20
5
(3) A は 96 個,B は 72 個,C は 60 個不良品を作っている.したがって,求める条件付確率
96
8
8
は
=
=
.
96 + 72 + 60
8+6+5
19
(4) それぞれの確率をリストすると次のようになる.
108
1
(a) 携帯電話を弘前で忘れる確率 = =
6
648
5 1
5
90
(b) 携帯電話を男鹿で忘れる確率 = · =
=
6 6
36
648
25
75
5 5 1
=
(c) 携帯電話を秋田で忘れる確率 = · · =
6 6 6
216
648
5 5 5 1
125
(d) 携帯電話を角館で忘れる確率 = · · · =
6 6 6 3
648
(a) 定義にのっとって計算すると次の通り.
(携帯電話を忘れていると気がついて)弘前で忘れている確率
= P携帯電話を忘れている (弘前で忘れている)
P (携帯電話を忘れている ∩ (弘前で忘れている))
P (携帯電話を忘れている)
P ((弘前で忘れている))
=
P (携帯電話を忘れている)
108
54
=
=
398
199
=
(b) 定義にのっとって計算すると次の通り.
(携帯電話を忘れていると気がついて)角館で忘れている確率
= P携帯電話を忘れている (角館で忘れている)
P (携帯電話を忘れている ∩ (角館で忘れている))
P (携帯電話を忘れている)
P ((角館で忘れている))
=
P (携帯電話を忘れている)
125
=
398
=
結論:角館のほうが確率が高い.
問題 3.4.
96
4
= が正解.
168
7
(2) p地名 でその場所で忘れてきている(条件付きでない)確率を表す.
(1) A さんは 96 本,B さんは 72 本不良品を作ったので
3
3
1
, p箱根 =
p横浜 = , p江ノ島 =
4
16
16
学習院大学 澤野嘉宏
68
だから,
p横浜
2
=
p横浜 + p江ノ島 + p箱根
5
p江ノ島
3
江ノ島の可能性 =
=
p横浜 + p江ノ島 + p箱根
10
p箱根
3
箱根の可能性 =
=
p横浜 + p江ノ島 + p箱根
10
横浜の可能性 =
よって,横浜に置き忘れた可能性が一番高い.
2
(3)
9
問題 3.5.
5
13
9
(2) A さんは 9 本,B さんは 22 本不良品を作ったので
が正解.
31
(1) PA (B) = P (B ∩ A) ÷ P (A) =
問題 3.6.
(1) たとえば B は正しく伝えて C が間違えて D が正しく理解するという事象を事象列を用
いて<○,×,○>であらわす.
3 3 3
27
P(<○,○,○>)= · · =
4 4 4
64
3 3 1
9
P(<○,○,×>)= · · =
4 4 4
64
3 1 1
3
P(<○,×,○>)= · · =
4 4 4
64
1 1 3
3
P(<×,○,○>)= · · =
4 4 4
64
3 1 3
9
P(<○,×,×>)= · · =
4 4 4
64
1
1 1 1
P(<×,○,×>)= · · =
4 4 4
64
1 3 1
3
P(<×,×,○>)= · · =
4 4 4
64
1 3 3
9
P(<×,×,×>)= · · =
4 4 4
64
27 + 3 + 3 + 3
36
9
事象列のうち最後が○であるものをすべて足して
=
=
64
64
16
1+9
10
(2) 上の組み合わせの中で始めが×で,最後が×の場合は
=
だから,D さんが間
64
64
10
5
違ってしまったとして,B さんが実は間違っていたという確率は
= 14
である.
28
確率演習
69
問題 3.7. 等号の根拠を順番に記していくことにする.
P (A ∩ (B1 ∩ B2 ))
(←条件付確率の定義)
P (A)
P ((A ∩ B1 ) ∩ (A ∩ B2 ))
=
(←集合の分配法則)
P (A)
PA (B1 ∩ B2 ) =
=
P ((A ∩ B1 ) − P ((A ∩ B2 ) ∩ (A ∩ B2 ))
(←補集合の確率の計算)
P (A)
= PA (B2 ) − PA (B1 ∩ B2 )(←条件付確率の定義)
問題 3.8.
3
8
5
(2) A さんは 20 本,B さんは 36 本不良品を作ったので
が正解.
14
(1)
問題 3.9.
7
8
7
(2)
16
8
(3)
9
(1)
問題 3.10. ベン図による証明は省略.
P (B1 ∪ B2 ∪ B3 )
P (A)
P (B1 ) + P (B2 ) + P (B3 ) + P (B1 ∩ B2 ∩ B3 )
=
P (A)
P (B1 ∩ B2 ) P (B2 ∩ B3 ) P (B3 ∩ B1 )
−
−
−
P (A)
P (A)
P (A)
= PA (B1 ) + PA (B2 ) + PA (B3 ) + PA (B1 ∩ B2 ∩ B3 )
PA (B1 ∪ B2 ∪ B3 ) =
− PA (B1 ∩ B2 ) − PA (B2 ∩ B3 ) − PA (B3 ∩ B1 )
問題 3.11.
53
144
問題 3.12.
(1) P (A)+P (B)−P (A∩B) = P (A)+P (B)−P (A)P (B) =
(2) PA (B) = P (A ∩ B)/P (A) =
P + 10
R + 20
1
1
1
+
−
P + 2 Q + 2 (P + 2)(Q + 2)
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70
(3) R = 0 のとき,
12 C6
2
12 · 11 · 10 · 9 · 8 · 7
11 · 9 · 8 · 7
=
= 11 · 3 · 2 · 7 = 77 · 6 = 452
1·2·3·4·5·6·2
1·3·4
=
通り.
R = 1 のとき,
· 8 C4
12 · 11 · 10 · 9 8 · 7 · 6 · 5 1
=
·
6
4·3·2·1
24
6
1
= 11 · 5 · 9 · 2 · 7 · 5 ·
6
= 11 · 5 · 3 · 7 · 5
12 C4
= 25 · 231
= 4620 + 1155
= 5775
通り.
R = 2 のとき,
12 C3
· 9 C36 C3
2 · 11 · 10 · 12 · 7 · 20
=
24
24
= 140 · 110
= 15400
通り.
(4)
(5)
8−R+S+3 CS+3
= 11−R+S CS+3
T +8 C3
T (T + 1)
(6)
3T 2 + 3T + 1
問題 3.13.
(1) それぞれの確率を計算すると,
P ({ ○,×,×,○ }) =
1 3 1
3
× × =
2 4 4
32
1 3 3
9
× × =
2 4 4
32
1 1 1
4
P ({ ○,○,○,○ }) = × × =
2 2 2
32
1 1 1
4
P ({ ○,○,○,× }) = × × =
2 2 2
32
1 1 1
2
P ({ ○,○,×,○ }) = × × =
2 2 4
32
6
1 1 3
P ({ ○,○,×,× }) = × × =
2 2 4
32
1 1 1
2
P ({ ○,×,○,○ }) = × × =
2 4 2
32
1 1 1
2
P ({ ○,×,○,× }) = × × =
2 4 2
32
11
3+4+2+2
=
.
となる.これより,P (D が正解する) =
32
32
P ({ ○,×,×,× }) =
確率演習
71
(2) それぞれの確率を計算すると,
9+2
11
=
.
32
32
9+6
15
P (D が理解していない ∩ C が理解していない) =
=
32
32
21
P (D が理解していない) =
32
P (D が理解していない ∩ B が理解していない) =
だから
11
PD が理解していない (B が理解していない) =
21
5
15
=
PD が理解していない (C が理解していない) =
21
7
これより C のほうが責任重大である.
問題 3.14.
(1) B, C, D の電球のつくかつかないかで 8 通り場合があるが,電球がつかないのが 5 通り.
3
さらにその中で C が壊れているのが 3 通りあるので. となる.
5
(2) 14
14
(3)
23
問題 3.15.
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72
16. 4 節
問題 4.1.
(1)
4
6 3
1
× × =
10 9 8
10
4 3
1
6
× × =
(b) P2 = 黒→白→白の順ででる確率 =
10 9 8
10
(c) 大小関係:P1 = P2
(2) 表に書き込むべき数値を順番に書いていくと,
1
1
1
(a) pA = , pB = 0, pC = , pD = , pE = 0
2
4
4
9
57
57
9
35
, qB =
, qC =
, qD =
, qE =
(b) qA =
128
64
256
256
64
となるが,特に2番は次のようにして考えるとよい.
(a) P1 = 白→黒→白の順ででる確率 =
B
D
B
D
C
B
C
B
A D
E C
E C A D
A D B E C
E C A D B
A D
E C
B E
A D
C
B
A
E
B
A
E
A D
E C
この三角形の図式に下向き,斜め左下向きに矢印を引く.一番したの段 A に行き着く方
法は下向き矢印,斜め左下向き矢印の配列で決まり,それぞれを4回ずつ経由していく
わけだから 8 C4 = 70 通りある.B に関しては,下6回,左斜め下2回の場合と下1回,
左斜め下7回ケースがあるから
8 C6
+ 8 C1 = 36
通りの到達方法がある.それぞれの到達方法が同じ確率で起きるから今の数を 28 = 256
で割ればよい.
(3)
(a) n log10 0.7 < log10 0.01 = −2, n > −2/(log10 0.7) ここで,
log10 0.7 = 0.845 − 1 = −0.155
より n > 12.9... よって n = 13 である.
(b) 1 − (0.7)n ≥ 0.99 をといて n ≥ 13.従って,13 回撃てばよい.
(4) 重複試行の確率の公式 n Ck pk (1 − p)n−k を用いる.
( )3
( )3
1
1
1
P (X > 1) = P (X = 2) + P (X = 3) =
3 C2 +
3 C1 =
2
2
2
( )3
1
7
P (X < 3) = 1 − P (X = 3) = 1 −
= .
2
8
問題 4.2. pA =
35
11
7
, pB = pE =
, pC = pD =
.
64
128
64
問題 4.3. 表し方に苦慮するかもしれないが,模範解答のようにすべて書きならべてしまえばよい.
確率演習
73
(1) 出た目の和 X は 2 個のさいころを振っているから,2, · · · , 12 をとる.P (X = 2) は(合計
1
で)2 が出る確率であるから,よく使われる記号で (1, 1) のときで
である.P (X = 3)
36
2
は(合計で)3 が出る確率であるから,よく使われる記号で (1, 2), (2, 1) のときで
で
36
ある.以下確率を書いていくと,
P (X = 2) =
P (X = 3) =
P (X = 4) =
P (X = 5) =
P (X = 6) =
P (X = 7) =
P (X = 8) =
P (X = 9) =
P (X = 10) =
P (X = 11) =
P (X = 12) =
1
36
2
36
3
36
4
36
5
36
6
36
5
36
4
36
3
36
2
36
1
36
(2) n 回目で初めて 1 が出る確率は n − 1 回目まで 2, 3, 4, 5, 6 が出て,n 回目で 1 が出る確率
5n−1
だから, n と計算される.確率分布の表し方がわかりにくいが,この場合自然数 n に
6
5n−1
対して X = n となる確率を計算すればよいので,先ほど求めた P (X = n) = n が答
6
えである.
(3) これは,二項分布である.
P (X = 0) = p4
P (X = 1) = 4 C1 p3 (1 − p)1 = 4p3 (1 − p)
P (X = 2) = 6p2 (1 − p)2
P (X = 3) = 4p(1 − p)3
P (X = 4) = (1 − p)4
二項係数 4 C2 などは計算が簡単なので,きちんと計算すること.
問題 4.4. さいころの目を一回目 A,二回目 B と表して出た目を (A, B) と表す.
学習院大学 澤野嘉宏
74
A/B
1
2
3
4
5
6
1
1
2
3
4
5
6
2
2
4
6
8
10
12
3
3
6
9
12
15
18
4
4
8
12
16
20
24
5
5
10
15
20
25
30
6
6
12
18
24
30
36
X の確率分布. 1 ∼ 12 までの表しか作っていないのはダメ.
X
1
2
3
4
5
6
p 1/36 1/18 1/18 1/12 1/18 1/9
X
8
9
10
12
15
16
p 1/18 1/36 1/18 1/9 1/18 1/36
X
18
20
24
25
30
36
p 1/18 1/18 1/18 1/36 1/18 1/36
P (X ≤ 12) の値. P (X ≤ 12) =
1+2+2+3+2+4+2+1+2+4
23
=
36
36
問題 4.5. 取りえる値のみの確率を書くことにする.
X
p
-6
1/64
-3
3/32
0
15/64
3
5/16
6
15/64
9
3/32
12
1/64
確率演習
17. 5 節
問題 5.1. いずれのケースも P (A ∪ B) = P (A) + P (B) − P (A ∩ B) で解決.
2 1 1
2
2
136
+ − = +
=
5 7 9
5 63
315
2 1
2
14 + 5 − 2
17
(2) + −
=
=
5 7 35
35
35
1 1
1
11
(3) + −
=
5 7 35
35
(1)
問題 5.2. それぞれの確率を計算してみると
1
1
1
P (A) = P ({2, 4, 6}) = , P (B) = P ({3, 6}) = , P (A ∩ B) = P ({6}) =
2
3
6
より P (A ∩ B) = P (A)P (B) が成立する.したがって,A, B は独立である.
問題 5.3. それぞれ一つずつ例をあげる.
(1) 排反な組:B と C
(2) 独立な組:B と G
当然他にもある.
75
学習院大学 澤野嘉宏
76
18. 6 節
問題 6.3.
17
115
, V [X] =
, σ[X] =
4
16
√
3
3
3
(2) E[X] = , V [X] = , σ[X] =
2
4
2
(1) E[X] =
√
115
4
問題 6.4.
√
7
35
105
(1) E[X] = , V [X] =
, σ[X] =
2
12
6
√
35
105
, σ[2X + 3] =
(2) E[2X + 3] = 10, V [2X + 3] =
3
3
√
35
210
, σ[Y + Z] =
(3) E[Y + Z] = 7, V [Y + Z] =
6
6
問題 6.5. 一般に,定数 a に対して,
E[(X − a)3 ] = E[X 3 − 3a X 2 + 3a2 X − a3 ] = E[X 3 ] − 3a E[X 2 ] + 3a2 E[X] − a3
が成り立つ.E[定数] = 定数 に注意せよ.a = E[X] としてこの式を書き下すと,
E[(X − E[X])3 ] = E[X 3 ] − 3E[X] E[X 2 ] + 3E[X]2 E[X] − E[X]3
ここで,当然 3E[X]2 E[X] = 3E[X] E[X] E[X] = 3E[X]3 だから,
E[(X − E[X])3 ] = E[X 3 ] − 3E[X] E[X 2 ] + 3E[X]3 − E[X]3 = E[X 3 ] − 3E[X] E[X 2 ] + 2E[X]3
となる.これより,a0 = 1, a1 = −3, a2 = 2 が正解.
問題 6.6.
(1) E[X] = 8, V [X] = 4, σ[X] = 2
(2) V [4X + 7] = 16V [X] = 64
√
√
√
√
5
21
(3) σ[X + Y ] = V [X + Y ] = V [X] + V [Y ] = 4 + =
4
4
問題 6.7.
(1) 441, 484, 529, 576, 625, 676, 729, 784, 841, 900
(2) E[X] = 118, σ[X] = 23
75
× 10 + 50 = 82
(3)
23
問題 6.8.
1 5
· = 100
6 6
√
(2) σ[68X + 89] = 68σ[X] = 68 · 100 = 680
(1) V [X] = 720 ·
確率演習
77
√
問題 6.9. σ[−157X + 232] = 157σ[X] = 157 400 = 3140
7
35
問題 6.10. E[X] = , V [X] =
, σ[X] =
2
12
問題 6.11. E[X] = 13, V [X] = 22, σ[X] =
√
√
35
, V [Z] = 560/3
12
22, V [Y ] = 88
問題 6.12. 具体的に計算すると次の通り.
∫
3 2 2
3 24
E[X] =
x (2 − x) dx =
=1
4 0
4 12
∫
3 2 3
3 25 · 3!
3 32
1
V [X] =
x (2 − x) dx − 1 = ·
−1= ·
−1=
4 0
4
5!
4 20
5
√
1
σ[X] =
5
問題 6.13. E[X] = 6, V [X] = 14, σ[X] =
√
14
問題 6.14.
(1) E[−2X + 17] = −13, V [−2X + 17] = 36, σ[−2X
√ + 17] = 6
(2) E[X + Y ] = 16, V [X + Y ] = 30, σ[X + Y ] = 30
√
問題 6.15. σ[−72X + 117] = 72σ[X] = 72 25000 = 36000
問題 6.16.
(1) E[X] =
N
∑
j=1
pj aj >
N
∑
pj a1 = a1 . 【注意】E[X] =
j=1
立する.N ≥ 2 なので V [X] =
N
∑
pj aj <
j=1
N
∑
N
∑
pj aN = aN も成
j=1
pj (aj − E[X])2 > p1 (a1 − E[X])2 . ここで不等式
j=1
aN > E[X] を用いた.E[X] > a1 なので,p1 (a1 − E[X])2 > 0 が成り立つ.したがって,
a1 < E[X], V [X] > p1 (a1 − E[X])2 > 0
が得られた.
(2) N = 1,実際に N ≥ 2 だと1番に反してしまうから.
問題 6.17. E[X] = 31, V [X] = 14, σ[X] = 14
問題 6.18.
(1) 数学的帰納法による証明がある.
学習院大学 澤野嘉宏
78
(2) P (X = l) =
k(l − 1) · · · (l − k + 1)
だから,
n · · · (n − k + 1)
n
∑
l · · · · (l − k + 1)
E[X] =
k
n · · · · · (n − k + 1)
l−1 Ck−1
n Ck
=
l=k
=
n−k+1
∑
l=1
k
l · · · · (l + k − 1)
n · · · · · (n − k + 1)
(n − k + 1) · · · (n + 1)
n · · · · · (n − k + 1) · (k + 1)
k(n + 1)
=
k+1
=k
問題 6.19.
確率演習
79
19. 7 節
問題 7.1. 相関係数が高い順に(≥ の意味するところに関しては注意参照)
データー 1 ≥ データー 2 ≥ データー 3
解き方:X を科目1の得点,Y を科目2の得点などと考える.資料1,資料2などはたとえば,
三浦さん,辻君,小森君などの成績と考えて (X, Y ) 平面にプロットしていく.プロットしたとき
に出てくるグラフと相関係数のグラフの例を見比べて酷似しているものを探す.対応する相関係
数の例を参照して,それをもって相関係数の大小を見出す.
問題 7.2. 相関係数が −1 のときは直線の関係が見出せるので,a = 7
問題 7.3. 歩く距離が長ければ,自然と脚力がつく.その結果走る測度が早くなりタイムは短く
なると思われる.
問題 7.4. a = 43
問題 7.5. 省略
問題 7.6. a = 13
問題 7.7. 通常考えられている理由を書きます.
(1) 100メートル走タイムを x 軸,垂直跳びの成績を y 軸に取るとする.タイムは s(秒),
とんだ高さは cm(センチメートル)をとることにする.一般に,脚力が大きければ,タ
イムは良く(短く)なり,とんだ高さもよくなるので,相関関係は負の相関であると考
えられる.
(2) 英語と文法構造がだいぶ似ているフランス語はどちらも習得する際に,覚えるべきこと
が似ている.また,フランス語も英語もある程度は暗記要素が強いのでどちらの科目も
一方だけが良いというのは例外的であろう.したがって,相関関係は正の相関であると
考えられる.
(3) 美術は右脳を,数学は左脳を使うと考えられる.数学にはいろいろな分野があり幾何学
などでは右脳を使うと言われているが,大学での数学,特に線形代数,微分積分などは
幾何学とは少し離れているので,数学といったときに特に代数,解析をさすことにして
考えると,美術と数学の成績には因果関係は見出せないといえる.したがって,相関関
係はない.
(4) 花粉症は3月,4月生まれの人がかかりやすいといわれているが,誕生月は軸にとれな
い.よって相関関係はないと考えられる.
(5) パソコンの使用時間が長ければ,視力が下がる.これは,一点を凝視しているからであ
り,日常の経験からも納得ができる.使用時間の長さ x と,視力 y の関係は右下がりに
なると思われるので,負の相関であると考えられる.
問題 7.8. さいころを振った時に出る目を X として,Y = 6 − X とおけばよい.
問題 7.9. E[X] = 50, V [X] = 63.2, σ[X] =
√
63.2
学習院大学 澤野嘉宏
80
20. 8 節
問題 8.1. 自然数 m, n に対して
∫
β
(x − α)m (β − x)n dx =
α
∫
β
(x − α) (β − x) dx =
とくに,
α
m!n!
(β − α)m+n+1
(m + n + 1)!
1
(β − α)3 を用いるとよい.
6
3
32 ∫
∫ 4
4
3
3 1
(2) E[X] =
x f (x) dx =
x2 (4 − x) dx =
·
· 44 = 2.
32
32
12
0
0
∫ 4
∫ 4
3
3
(3)
(x − 2)2 x(4 − x) dx =
4(x − 2)2 − (x − 2)4 dx より,
32 0
32 0
(1) a =
V [X] =
3
32
∫
別解:E[X 2 ] =
∫
4
(x − 2)2 x(4 − x) dx =
0
4
x2 f (x) dx =
0
3
32
∫
√
(
32 32
−
3
5
4
x3 (4 − x) dx =
0
V [X] = E[X 2 ] − E[X]2 =
(4) σ[X] =
3
32
)
×2=
4
5
3 1
24
·
· 45 =
より,
32 20
5
24
4
−4=
5
5
2
V [X] = √ .
5
問題 8.2.
(1) グラフは省略.積分値は 1
∫ 2π
1
2
(2) E[S] =
| sin θ| dθ =
2π 0
π
問題 8.3.
∫
1
a
より,a = 12
a x2 (1 − x) dx =
12
0 ∫
1
12 · 3!
3
(2) E[X] =
a x3 (1 − x) dx =
= .
5!
5
0
∫ 1
12
·
4!
2
2
9
1
(3) E[X 2 ] =
a x4 (1 − x) dx =
= . したがって,V [X] = −
=
.
6!
5
5
25
25
0
(
) ∫ 1
(
)
2
1
1
1
1
3
5
(4) P 0 ≤ X ≤
=
a x2 (1 − x) dx = a
−
= −
=
2
24
64
2
16
16
0
(1) 1 =
確率演習
81
問題 8.4. それぞれ具体的に計算すると次の通り.
∫ 1
1
E[X] =
x(1 − x2 ) dx =
4
0
∫ 1
1
2
1
31
V [X] =
x2 (1 − x2 ) dx −
=
−
=
16
15 16
240
0
√
31
σ[X] =
240
問題 8.5. AP =
√
2 − 2 cos θ = 2 sin
1
θ
E[AP ] =
2
2π
∫
2π
2 sin
0
θ
4
dθ = .
2
π
問題 8.6. それぞれ具体的に計算すると次の通り.
∫
1
a
= 1 より a = 20
20
∫0 1
a
2
(2)
x f (x) dx =
=
30
3
0
∫ 1
a
10
10 4
30 28
2
(3) E[X 2 ] =
x2 f (x) dx =
=
より,V [X] =
− =
−
=
.
42
21
21 9
63 63
63
0
√
14
(4)
21
(1)
f (x) dx =
問題 8.7.
∫
(1) グラフは省略.
π
2
sin θ dθ = 1
0
(2) D の面積を S(θ) とする.
1
(θ − sin θ), 0 ≤ θ ≤ π
2
S(θ) = S(2π − θ), π ≤ θ ≤ 2π
S(θ) =
であたえられる.したがって,
∫ 2π
1
E[S] =
S(θ) dθ
2π 0
∫ π
∫ 2π
1
1
=
S(θ) dθ +
S(2π − θ) dθ
2π 0
2π π
∫ π
∫ π
1
1
=
S(θ) dθ +
S(θ) dθ
2π 0
2π 0
∫ π
1
1
1
θ − sin θ dθ × 2
=
2π 0 2
2
[
]π
1 1 2
π
1
=
θ + cos θ = − .
2π 2
4
π
0
∫ 2π
【注意】円周の長さは 2π であるから,E[S] =
S(θ) dθ ではなく,正しく計算する
0
∫ 2π
1
と,E[S] =
S(θ) dθ である.間違えやすいから気をつけること.これは確率変
2π 0
学習院大学 澤野嘉宏
82
∫
2π
数 X = 1 の期待値は E[S] =
0
1
1 dθ = 2π ではなく,E[S] =
2π
のと同じことである.
問題 8.8.
∫
H
H4
12
0
H 3 − (H − h0 )3
(2) P (0 ≤ h ≤ h0 ) =
H3
(3) f (h) = 3(H − h)2 /H 3 , 0 ≤ h ≤ H
∫ H
H
(4) E[h] =
h0 f (h0 ) dh0 =
4
0
u(H − u)2 du =
(1)
問題 8.9.
(1) a = T + 2
1
(2) a を上の条件を満たすように定めたとき P (0 ≤ X ≤ 0.5) = T +2 .
2
T +2
(3)
T +3
T +2
(4)
2
(T
+
√ 4)(T + 3)
T +2
(T + 4)(T + 3)2
(5)
問題 8.10. 1, 1, 1
問題 8.11.
1
1
,
,2
1 − x (1 − x)2
問題 8.12.
(1)
(2)
(3)
(4)
h0 = 1
0 ≤ t ≤ h0 のとき,P (0 ≤ h ≤ t) = t2
f (t) = 2t, 0 ≤ h ≤ h0
E[h] = 1/3
問題 8.13.
∫
(1)
H
u du =
0
H2
2
(2) P (0 ≤ h ≤ h0 ) =
h0
πr2 h0
=
2
πr H
H
∫
2π
1 dθ = 1 である
0
確率演習
(3) 微積分学の基本定理
∫
d
dh
f (h) =
83
h
f (u) du = f (h) より,
0
d
dh
∫
h
f (u) du =
0
d h
1
= ,0≤h≤H
dh H
H
が得られる.
∫ H
H
(4) E[h] =
h0 f (h0 ) dh0 =
2
0
問題 8.14.
(1) 初期時刻に 0 ≤ x ≤ 1 の点にありがいると考える.もし,ありが正の向きに動くなら消
えるまでの時間は
x だけ時間がかかる.した
∫ 1 − x であり,負の向きなら消えるまでに
∫
1 1
1 1
1
がって,E =
(1 − x) dx +
x dx = が正解である.
2 0
2 0
2
(2) ありに A, B と名前をつけてそれぞれ,0 ≤ x, y ≤ 1 の点にありがいるとする.もし,あり
A, B が正の向きなら消えるまでの時間 = max(1 − x, 1 − y)
A が正の向きで B が負の向きなら消えるまでの時間 = max(1 − x, y)
A が負の向きで B が正の向きなら消えるまでの時間 = max(x, 1 − y)
A, B が負の向きなら消えるまでの時間 = max(x, y)
だから,
(∫ 1 ∫ 1
)
1
max(1 − x, 1 − y) + max(1 − x, y) + max(x, 1 − y) + max(x, y) dx dy
4
0
0
∫ 1∫ 1
=
max(x, y) dx dy
E=
∫
0
1
∫
0
∫
y
=
1
∫
x
max(x, y) dx dy +
∫
0
0
1
(∫
=
)
y
y dx
∫
0
0
1
∫
y 2 dy +
=
0
0
∫
max(x, y) dx dy
0
1
(∫
dy +
0
1
y
1
)
x dx dy
y
2
1
(1 − y 2 ) dy =
2
3
問題 8.15.
(1) α−1
(2) 記憶力が悪い.
(3) (a) 次のように考える.
∫
λ
P (A,B のどちらかが時刻 λ までに薔薇とかけなくなる) =
Y の確率分布関数 (t) dt
0
学習院大学 澤野嘉宏
84
なので,
P (A,B のどちらかが時刻 λ までに薔薇とかけなくなる)
= 1 − P (A,B のどちらも時刻 λ 経過しても薔薇とかける)
= 1 − P (A は時刻 λ 経過しても薔薇とかける) P (B は時刻 λ 経過しても薔薇とかける)
= 1 − e−2αλ
したがって,
d
P (A,B のどちらかが時刻 λ までに薔薇とかけなくなる) = 2αe−2αλ
Y の確率分布関数 =
dλ
(b) (2α)−1
(c) E[X] : E[Y ] = 2 : 1
確率演習
85
21. 9 節
問題 9.1.
(1) それぞれ次の通りである.
P (−0.5 ≤ X ≤ −0.1) = 0.1517
P (0 ≤ X ≤ 0.4) = 0.1554
P (0.4 ≤ X ≤ 0.9) = 0.1605
P (−0.1 ≤ X ≤ 0.1) = 0.0796
(2) P (8 ≤ X ≤ 12) = 0.6826, P (12 ≤ X ≤ 14) = 0.1554, P (6 ≤ X ≤ 10) = 0.4772
(3) 912 人
(4) (a) E[X] = 300000,V [X] = 250000
(b) P (299000 ≤ X ≤ 301500) = 0.97585
【注意】問題 (2) において P (X ≥ 85) を求めればよいが,本来は P (85 ≤ X ≤ 100) を求めると
ころである.しかしながら,上限を付け加えてもほとんど変わらないので,実際に計算するとき
はこの値を無視することが多い.
問題 9.2.
(1) 77
(2) P (X > 1.96) = 0.025 だから 90 + 1.96 × 33 = 155 点
問題 9.3.
問題 9.4. 各自の意見を述べてください.
X − 175
X − 175
問題 9.5. 正規分布に従うと仮定する.Y = √
=
とする.Y は N (0, 1) に従う
35
1225
から,
P (X ≤ 280) = P (Y ≤ 3) = 0.5 + 0.49865 = 0.99865
つまり,280 点を割ったものは全体のパーセントになる.したがって,
100000 × 0.99865 = 99865
人が 280 点以下.したがって,上位 135 番目くらいと推定される.
X − 105
とする.すると,
45
a − 105
P (X ≥ a) = P (Y ≥ b) = 0.3, b =
45
がえられる.これより,P (0 ≤ Y ≤ b) = 0.2 これを数表を用いて解くと 0.52 ≤ b ≤ 0.53 となる.
(b = 0.52, 0.53 のどちらかとして構わない.
)a に関してこの式を焼きなおすと,
問題 9.6. P (X ≥ a) = 0.3 をとく.Y =
0.52 ≤
小数点は四捨五入して 128 点.
a − 105
≤ 0.53
45
学習院大学 澤野嘉宏
86
【注意】b = 0.52, 0.53 とするところを b = 0.525 と平均を取って考えるとより正確になる.も
しくは,(0.52, φ(0.52)), (0, 53, φ(0.53)) を直線で結んで y = 0.2 との交点をみてその値を b とす
る.いずれにせよ,概算できればよいので,細かい計算は省略する.
問題 9.7. 問題文をよく読むこと.決して,問題にある数値を求めよとは書いてない.φ(−4) な
どを用いてはならない.
“ φ(a), a > 0 を ”と問題に書いてあるから.
P (0 ≤ X ≤ 5) = φ(5)
P (−4 ≤ X ≤ 3) = φ(4) + φ(3)
P (2 ≤ X ≤ 5) = φ(5) − φ(2)
P (X ≤ 7) = 0.5 + φ(7)
P (X ≥ 3) = 0.5 − φ(3)
P (X ≤ −4) = 0.5 − φ(4)
P (X ≥ −5) = 0.5 + φ(5)
Y − 10
Y − 10
(8) 変数変換 W = √
=
を施す.すると,W は標準正規分布 N (0, 1) に従うか
2
4
ら.P (−2 ≤ Y ≤ 22) = P (−6 ≤ W ≤ 6) = 2φ(6).
Y − 15
Y − 15
(9) 変数変換 W = √
を施す.すると,W は標準正規分布 N (0, 1) に従うか
=
14
196
ら,P (1 ≤ Z ≤ 43) = P (−1 ≤ W ≤ 2) = φ(1) + φ(2) となる.
(10) P (Z ≥ 7) = 0.5 − φ(4/7)
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
問題 9.9. 0.5 + φ(5), φ(3.5) − φ(0.5)
問題 9.10. 60, D
問題 9.11.
(1) 70
(2) とりあえず,69.15 パーセントのラインで考えると B, C, D が合格しているとわかる.実
際の合格ラインは 70 パーセントだから,この3人は合格している.
(3) 解答例:どちらの意見もあり得ます.
(a) (主張:正規分布に従うとしてよい.
)実際の学力試験,模擬試験の成績分布を見る
と,確かに正規分布に近いので,正規分布に従うとしてよい.
(b) (主張:正規分布に従うとするのは好ましくない.
)昨今の学力低下,学力格差が激
しいので,2極化してしまい,正規分布を使うのはふさわしくない状況が多いと思
われる.
確率演習
22. 10 節
問題 10.1. 前半
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
10
9
10
3
1, 67
0, 0475
YES
ない.
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
20
16
20
4
−1, 25
0, 1056
NO
ない.
後半
問題 10.2.
ア これは次のようにして計算される.
E[X1 ] + E[X2 ] + · · · + E[X8 ]
E[X] =
= 18.5 × 8/8 = 18.5
8
よって答えは 18.5 である.
イ これは間違えやすい.
V [X1 + X2 + · · · + X8 ]
V [X1 ] + V [X2 ] + · · · + V [X8 ]
V [X1 ]
9
V [X] =
=
=
=
64
64
8
32
ウ 18.5
√
エ
イ = 0.53
オ −1.01
カ 0.1492
キ NO
ク いえない.
問題 10.3. 前半
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
620
136, 922 /50
620
√
50
136,
92/
√
50/136, 92
1, 96
NO
87
学習院大学 澤野嘉宏
88
ク いえる.
後半
√
オ 50/136, 92
カ 1, 65
キ NO
ク いえる
問題 10.4.
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
128
64
128
8
1, 5
0, 0668
NO
早計である.
問題 10.5.
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
14(n p の公式)
7(n p q の公式)
14
2, 64
2, 3(近似値を用いています.
)
0, 0107(近似値を用いています.
)
NO
いえない.P (X ≥ 20) = 0.0107 は大きい値だと判断している.すなわち,A, B は同じ
確率で収穫できると考えて1%で起こるのだから,十分に起こりえることであり,決し
て A に品種改良がされているとはいえないと考えるのが妥当である.
問題 10.6.
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
n p = 75
n p q = 525/8
75
問題文の注意に書いてある通り,[イ] の平方根をとるわけだが 8, 1
1, 85
0, 0322
NO
早計である.確率が十分に高いということは,事故が均等に起きるということを否定で
きないことを言っているので.
問題 10.7.
確率演習
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
89
0
200
0
14
1/14
1, 96
YES
いえない.
問題 10.8.
(1) E[X] = 45000
(2) V [X] = 22500
(3) σ[X] = 150
X − 45000
(4) Y =
と変換すればよいので,P (X > 49500) = P (Y > 30) = φ(30)
150
1
1
(5) P (X ≥ 49500) = φ(30) < √ exp(−450) = 8−225 = 2−675 < 2−10 =
1024
2π
(6) いえない.理由:1/1000 より小さいから.
問題 10.9.
(1) E[X] = 20000
(2) V [X] = 10000
(3) σ[X] = 100
コインはきちんと作られていないと思われる.仮にまともなコインだとして Y =
おくと Y は近似的に正規分布に従う.したがって,
X − 20000
と
100
P (X ≥ 23000) = P (Y ≥ 30) < P (Y ≥ 2.58) = 0.005
確率が 200 分の 1 をはるかに下回っているからさいころが正しく作られているという可能性はほ
とんどない.
問題 10.10.
問題 10.11.
(1) E[X] = 3000
(2) V [X] = 2500
(3) σ[X] = 50
X − 3000
とおくと,Y は N (0, 1) に従う.これより,
50
P (X ≥ 4000) = P (Y ≥ 20) < P (Y > 2.58) = 0.005
さいころが正しいと仮定する.Y =
この確率は1/200よりはるかに小さいので,初めの仮定がおかしいことを意味する.さいこ
ろは変形していると考えるのが妥当である.
問題 10.12.
学習院大学 澤野嘉宏
90
(1) 80
X − 100
(2) Z が N (0, 1) に従うとして P (X > a) = 0.025 = P (Z > 1.96) を解く.Y =
が
25
a − 100
正規分布に従うから,
= 1.96 が得られる.これを解いて a = 149 点となる.
25
問題 10.13.
(1)
(2)
(3)
(4)
E[X] = 750
V [X] = 625
σ[X] = 25
正しく作られていると推測される.正確には,正しく作られていないとはいえないと推
X − 750
測される.実際に,P (X > 770) を計算してみる.変換 Y =
を用いて,標準正
25
規分布になおす.
P (X > 770) = P (Y > 0.8) = 0.5 − P (0 ≤ Y ≤ 0.8) = 0.5 − 0.2881 = 0.2119
であるから,この確率は問題に書いてある数字(=危険率)0.05 より大きい.したがっ
て,正しく作られているという結論に達する.
(5) 正しく作られていないと推測される.実際に,P (X > 77000) を計算してみる.変換
X − 75000
Y =
を用いて,標準正規分布になおす.
250
P (X > 770) = P (Y > 8) = 0.5 − P (0 ≤ Y ≤ 8) < 0.5 − P (0 ≤ Y ≤ 3) = 0.00135
であるから,この確率は問題に書いてある数字(=危険率)0.05 より小さい.したがっ
て,正しく作られていないという結論に達する.
問題 10.14. 3000, 2500, 50, 1 − φ(12), 1 − φ(12) <
√1 e−72
2π
< 0.001, いない
問題 10.15. D 君が仮に勉強していなかったと仮定する.すると,X 問正解するとして
75
E[X] = 25, V [X] =
= 18.75, σ[X] = 4.3
4
X − 25
となる.したがって,Y =
とおくと,Y が近似的に標準正規分布 N (0; 1) に従うことから
4.3
P (X ≥ 50) < P (Y > 5.5) < P (Y > 3.09) = 0.001
となる.したがって,これは 0.1 パーセント以下の確率で起こる稀有なことである.だから,D
君が勉強していないと仮定する仮説はおかしいということになる.つまり,D 君は(勉強量が十
分かどうかは別として)勉強をしているとはいえる.
確率演習
91
23. 11 節
問題 11.6.
(1) 100 人の体重の平均の期待値 = 63 キロ.
(2) 100 人の体重の平均の標準偏差 = 0.9 キロ.
問題 11.7. X1 , X2 , · · · , Xn を 0.2 の確率で 1 がでて 0.8 の確率で 0 がでる独立同分布の確率変数
X1 + X2 + · · · + X n
とする.R =
とすると,R の平均値は 0.2 で分散は
1600
V [X1 ]
1
V [R] =
= 0.2 · 0.8/1600 =
1600
100
R
−
E[R]
である.したがって,R′ =
とすると,
σ[R]
P (0.18 ≤ R ≤ 0.22) = P (−2 ≤ R′ ≤ 2) = 0.9544
となる.
問題 11.8.
(
)
ασ
(1) P |X̄ − m| ≤ √
= 2φ(α)
n
(2) α0 = 1.96
(3) [92, 104]
問題 11.9.
(1) σ[X − m] =
(2) [117.0, 119.0]
問題 11.10. R =
1
a
σ(X1 ) = 0.38 であるから,
= 2.56 よって,a = 1
100
0.38
1
5
√
R(1 − R)
= 0.02 を考えればよい.ただし,R がよくわからないので,
n
どのような 0 ≤ R ≤ 1 に対しても成り立つように n を決める.R = 1/2 として n = 492 = 2401
が正解である.
問題 11.11. 不等式 1.96
√
問題 11.12. 58.3 ± 1.96 × 13/ 100 = 58.3 ± 2.548 が答え.
問題 11.13.
√
(1) 56.3 ± 1.96 × 10.2/√100 = 56.3 ± 1.9992 = 56.3 ± 2.
(2) 56.3 ± 2.58 × 10.2/ 100 = 56.3 ± 2.6136.
学習院大学 澤野嘉宏
92
問題 11.14.
(1) 92
√
(2) 0.6
√
√
(3) (a) 92 ± 1.96√0.6/√10 = 92 ± 0.48
(b) 92 ± 2.58 0.6/ 10 = 92 ± 0.63
問題 11.15.
√
1
± 1.96 3/16 · 2500 =
4
√
1
(2) ± 2.58 3/16 · 2500 =
4
(1)
√
1
± 1.96 3/200 = 0.25 ± 0.016
4
√
1
± 2.58 3/200 = 0.25 ± 0.022
4
問題 11.16.
√
216
± 1.96 0.54 · 0.46/400 = 0.54 ± 0.049
400
(2) 5890 人から 4990 人ほど.
(1)
√
問題 11.17. 1.96
1 5 1
5
· · = 0.05, n = 400 × 1.962 ×
= 213.422. したがって,250 回が正
6 6 n
36
解.
√
√
問題 11.18. 方程式 1.96 0.05 × 0.95/ n = 0.01 を解いて n = 1.962 × 5 × 95 = 1825 となる.
15
問題 11.19. 1.96 × √ = 2 より n = 217 枚.
n
問題 11.20.
2.58
h = 1.32h
1.96
196
の確率で 1 をとり,残りは 0 となるような独立同分布
400
√
196
な確率変数 X1 , X2 , · · · , X400 を用意する.p =
, E[X] = 196, σ[X] = 20 X = 10 だから,
400
1
196 ± 1.96 × 10 が X の信頼区間である.したがって,その を考えて 49 ± 4.9.
4
問題 11.21. モデルを作るために,
32
問題 11.22.
± 1.96
800
√
√
√
1
32 768
32
1
96
32
1.96 48
·
·
=
± 1.96
·
=
±
.
800 800 800
800
20000 100
800
1000
確率演習
93
24. 12 節
問題 12.1.
(1 + x)n = n C0 + xn C1 + . . . + xk n Ck + . . . + xn n Cn
1
= 1 + x + x2 + . . . + xn + . . .
1−x
(24.1)
(24.2)
(1) (24.1) で x = 3 として答えは 4n .
(2) (24.1) を x で微分してから x = 3 を代入して答えは n · 4n−1 .
1
(3) (24.2) は無限等比級数の公式で答えは
1−x
1
(4) (24.2) の両辺を微分して (d) の答えは
である.
(1 − x)2
問題 12.2.
m(m + 1)(2m + 1)(2n − 1)
で二者は合致する.実際に計算してみる.
3
)
)
(m
(m
n
n
∑
∑
∑
∑
j 2
2
j
2 k
=
k (理由:2j は k とは無関係の式だから)
2
(1)
j=1
k=1
j=1
n
∑
(
k=1
)
m(m + 1)(2m + 1)
=
2
(理由:公式適用)
6
j=1
(
) n
m(m + 1)(2m + 1) ∑ j
2(理由:(· · · ) は j に無関係な式だから)
=
6
j=1
(
)
m(m + 1)(2m + 1)
=
2 · (2n − 1)(理由:公式適用)
6
m(m + 1)(2m + 1)(2n − 1)
=
3
j
となり,




m
n
m
n
∑
∑
∑
∑

2j (理由:k 2 は j とは無関係の式だから)
2j k 2  =
k2 
k=1
j=1
j=1
k=1
=
m
∑
k 2 · 2 · (2n − 1)(理由:公式適用)
k=1
= 2 · (2n − 1)
m
∑
2
k(理由:
2 · (2n − 1) は k に無関係の式だから)
k=1
m(m + 1)(2m + 1)(2n − 1)
=
3
(2) ∗1 = 1, ∗2 = n が正解.簡単な考え方:m, n に関して和をとるわけだが,左辺の条件は
1 ≤ m ≤ N, m ≤ n ≤ N
と解釈される.右辺は
1 ≤ n ≤ N, ∗1 ≤ m ≤ ∗2
学習院大学 澤野嘉宏
94
を意味しているが,これが一致しないといけない.いきなり考えるとわかりにくいが左
辺の条件をいったん
1≤m≤n≤N
と見てみると,今度は 1 ≤ n ≤ N, 1 ≤ m ≤ n が見えてくる.したがって,∗1 = 1, ∗2 = n
が正解.
( n
)
)
( N
N
N
∑
∑ m
∑
∑ m
1
=
から取り掛かるのが正しい着想で
(3) N (N + 3) が正解.
4
n
n
n=m
m=1
あろう.n を外へ出す.
n
∑
m=1
m=
n=1
N
∑
1
与式 =
n
n=1
(
m=1
n
∑
)
m
m=1
N
∑
1
1
1
n(n + 1) を代入して,与式 =
(n + 1) = N (N + 3) が得られる.
2
2
4
n=1
問題 12.3.
(1) |x| < 1 とする.1 + x + x2 + . . . + xn−1 + . . . =
1
1−x
(2) |x| < 1 とする.1 + 2x + 3x2 + . . . + (n − 1)xn−2 + . . . =
1
(1 − x)2
(3) |x| < 1 とする.2 + 6x + 12x2 + . . . + (n − 1)(n − 2)(1 − x)xn−3 + . . . =
2
(1 − x)3
(4) 6
問題 12.4.
1
(1) これはよく知られている公式. (b − a)3
6
(2) 途中まで計算すると,
]′
∫ b
∫ b[
1
3
2
4
(x − a) (b − x) dx =
(x − a) (b − x)2 dx
4
a
a
[
]b ∫ b
1
1
=
(x − a)4 (b − x)2 +
(x − a)4 · 2(b − x) dx
4
4
a
a
∫
1 b
1
=
(b − a)6
(x − a)4 (b − x) dx =
2 a
60
(3) 半角の公式を用いて,さらに 0 ≤ x ≤ 2π を用いるとうまい具合に平方根が外れる.平方
√
根をはずした後,置換積分に注意.正解は 4 2 である.
1
(4) 収束する場合:|x| < 1 で
に収束する.発散する場合:|x| ≥ 1
1−x
n
∑
k n−k
(5) 二項定理の等式
= (a + b)n を a で微分してみる.微分して a をかける.
n Ck a b
k=0
n
∑
k=0
これが答え.
k n Ck ak bn−k = n a (a + b)n−1
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