...

地域における産業集積の変化 - 横浜国立大学教育人間科学部紀要

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

地域における産業集積の変化 - 横浜国立大学教育人間科学部紀要
地域における産業集積の変化
──佐賀県鳥栖市の事例をもとに──
五 十 嵐 恒 夫
1.はじめに
する議論であるが,本稿で考察する観点ではな
い.筆者が着目したい点は,集積がすでに存在
地域の主要なアクターであるひとと企業は,
していることを前提にして,一度確立された集
地域のなかでさまざまな社会活動や産業活動を
積が,さらに規模を増大させるのか,あるいは
担っている.地域のなかの活動の担い手である
縮小させるのか,または平衡を保つのかという,
ひとと企業は,本来定住性をもっているにもか
集積の変化である.そして,そのような変化を
かわらず,
時としてさまざまな理由で移動する.
引き起こす要因はなにかを,ひとやの企業の振
こうした地域のアクターの流出や流入によっ
舞いに立ち入って問題にしたい3).また,集積
て,地域の産業と人口の分布は長期的に変化し
の変化を,ひとや企業が増減する現象的な変化
ていく1).
だけではなく,集積の中で起こっている地域固
本稿では,ひとと企業の動きを通じた地域の
有の構造的な変化について,地域のなかのアク
長期的な変化について考察する.ここでいう地
ターの活動やつながりの状態を通じて解釈する
域とは,わが国の市町村レベルの自治単位を想
ことを試みる.
定する.地域の変化を記述するには,さまざま
後述する集積論のなかには,イノベーション
な側面がある.本稿では,ある程度の産業基盤
の創出やベンチャー企業の誕生,集積のなかの
をもった地域を対象とし,地域をひとつの産業
学習など,集積の変化をダイナミックに記述す
集積地とみなし,
集積の変化を記述することで,
る概念がいくつか提示されている.しかしこれ
地域の長期的な変化をとらえることにする.
らの議論は,集積全体をマクロ的にとらえた,
経済地理学では,経済空間のなかで,偶然が
「集積のダイナミクス」である.そこには,集
作用し時間とともに不均一な状態が現れるモデ
積地域の個々の企業がどのように振舞い,どの
ルを用いて,都市化のような現象を説明してい
ように集積のメリットを享受し,また外部の企
2)
る .これは,都市の創造や集積の発生を解明
業がどのように集積の優位性を評価しているの
1)「地域発展 と 成長 の 理論 に お い て,資本
お よ び 労働 の 移動 が 決定的 な 役割 を 果 た す…」
Armstrong, H., Taylor, J. Regional Economics and
Policy: Third Edition, Blackwell Publishing, 2000(邦
訳:『改訂版 地域経済学 と 地域政策』流通経済大
学出版会,2005 年,p. 181).
2)た と え ば Krugman は,ラ ン ダ ム に 住民 や
企業が分布する経済空間を想定し,ゆらぎによっ
て不均一な分布が成長するモデルを用いて,「エッ
ジ・シティ」の出現を説明している.Krugman,
P., R. The Self-Organizing Economy, Blackwell
Publishing, 1996(邦 訳:
『自 己 組 織 化 の 経 済 学:
経済秩序 は い か に 創発 す る か』東洋経済新報社,
1997 年,pp. 120─136).
3)伊丹敬之 は,中小企業 の 集積 に つ い て 同様
の視点を提示している.
「産業集積の論理を考える
ポイントは,集積の継続の論理である…なぜ『中
小企業の集積』になると継続性が生まれるのか,
あるいは拡大しやすくなるのか,を考えなければ
な ら な い.
」
(伊丹敬之他『産業集積 の 本質:柔軟
な分業・集積の条件』有斐閣,1998 年,p. 7)
.
48
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
(570)
かについては語られていない.
有の状態を決定する.長期的にとらえると,地
本稿では,地域における産業集積の変化につ
域では絶えずひとも企業も流動している.そう
いて実証分析を試みるものである.分析のアプ
したひとと企業の動きに合わせて,地域の状態
ローチとしては,集積地域に立地する企業に対
も絶えず変化している.地域のなかの主要なア
するインタビュー調査をベースとしたミクロ分
クターであるひとと企業の動きに着目して,地
析法を用いる.個々の企業の地域のなかでの活
域の変化の状態をとらえるには,図 1 に示すよ
動の様子から,とりわけ企業がもっている横の
うなフレームワークが考えられる5).
つながりの状態を調べることによって,企業が
このフレームワークは,横軸にひとの移動(人
属している集積地域の動態論的な特徴を明らか
口の増減)をとり,縦軸に企業の移動(事業所
にしたい.
の増減)をとって,地域の変化の状態を表わす
2.人と企業の動態
ものである.もし,ひとも企業も増加するよう
な地域があるならば(図 1 では右上の繁栄の領
我が国の製造業では,この 20 年の間に事業
域),それはなにかの要因がひとを引きつけ,
所数が大幅に減少している.これはグローバル
企業を引き寄せていることになる.このフレー
な工業再編成という変化による影響が大きい.
ムワークを用いて,付加的な指標の値でフィル
このようなグローバルな変化によって我が国の
タをかけると,図 2 のような特徴的な地域を抽
製造業が直面している衰退圧力は,産業構造の
出することができる6).
違いはあっても,すべての地域に何らかの形で
図 2 にプロットされた地域のなかで,沖縄県
影響を及ぼしている.地域にはこのような外部
糸満市についてはすでに報告済みである7).本
要因のほかに,地域がもっている固有の内部要
稿では,次の調査対象地域として,工業事業所
因が働いている.これらの外部要因と内部要因
と人口の伸びがともに相対的に高いレベルにあ
が複雑に関わりあって,地域にさまざまな変化
る,佐賀県鳥栖市に着目する. 後述するよう
4)
を引き起こしている .
に鳥栖市は,九州のなかでも交通の要衝に位置
しかし,多くの外部要因や内部要因は,あく
し,物流産業が高い伸びを示している.鳥栖市
までも変化を引き起こす「要因」であって,変
は典型的な工業団地型の集積地域である.
化そのものを規定するわけではない.地域には
さまざまなアクターが活動している.そしてそ
のアクターの活動が生み出す成果が,地域の固
4)たとえば鎌倉健は,我が国の代表的な工業
集積 で あ る 東京都墨田区,東京都大田区,東大阪
市 の 特性 に つ い て,そ れ ぞ れ が 地場産業型構造,
大企業 の 下請分業型構造,そ し て 混合型構造 と い
う地域固有性を有している,と述べている.さら
に 3 地域 と も,大都市工業 に お け る 「 ネット ワー
クの経済性 」 という最大の地域的メリット享受し,
それが集積としての競争優位の源泉になっている
にもかかわらず,3 地域とも,技術の空洞化に歯止
めがかからずに衰退している状況を分析している.
(鎌倉健「大都市圏における工業集積の構造変化と
自治体産業政策の課題:東京都墨田区 , 大田区と東
大阪市 の 地域間比較」『京都大学経済論叢別冊:調
査と研究』第 18 号,1999 年 10 月,pp. 49─75).
5)詳しくは拙稿「非公式なつながりを通じた
地域における経営資源の形成と蓄積」
『横浜国際社
会科学研究』第 15 巻,第 1・2 号,2010 年 8 月 を
参照のこと.
6)抽出 に あ たって,人口 と 工業事業所 の 増加
率が高い地域に着目し,以下の条件を加味した.
①大都市(政令指定都市 や 人口 20 万人 を 超 え
る都市)は除外した.
②ある程度のひとの活動と企業活動の基盤が必
要であるため,人口が 4 万人未満と製造業の事業
所が 80 ヶ所未満の地域を除外した.
③農林漁業以外 の 民営事業所数増加率 と 開業率
の高さを考慮した.
7)拙稿「非公式なつながりを通じた地域にお
ける経営資源の形成と蓄積」
『横浜国際社会科学研
究』第 15 巻,第 1・2 号,2010 年 8 月,pp. 13─36.
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(571)
49
˖ಅί‫ف‬ьὸ
ḩᵋᾱ
ጛ௿
఍
ࠀ
ḫὼᾱ
ᨼᆢ҄
ʴӝ
ί‫ف‬ьὸ
Ḭὼᾱ
ᢅ݅҄
ỉ
Ḭὼᾰ
ᢅျ҄
‫ע‬
؏
ʴӝ
ίถ‫ݲ‬ὸ
Ḫὼᶀ
˰ỚЎẬ
ḩὼᾰ
ḫὼᵿ
Ḫὼᵿ
ᘛᡚ
ᆰ඼҄
˰ỚЎẬ
˖ಅίถ‫ݲ‬ὸ
(筆者作成)
図 1 地域のダイナミクス
� ��
ነ฼ࠊ
ᯓఁࠊ
� ��
ɤ‫ڤ‬ထ
ჽ‫ࠊ׽‬
ʙಅ৑‫ྙف‬ьਦૠ
� ��
ʮဋᡀࠊ
҅ɥࠊ
� ��
൶Кࠊ
‫ٻ‬ᑔบࠊ
� ��
ဃᬡࠊ
� ��
� � � � � � � � � � �� � � � � � � � � � ��
� � ��
ଐᡶࠊ
���
���
� ��
ọẺẼễẦࠊ
���
���
ි‫ࠊܤ‬
� � ��
ᬐᑮࠊ
� � ��
� � ��
� � ��
ʴӝ‫ف‬ьྙਦૠ
2000
2005
(注)人口増加率指数は総務省国勢調査データ
(2000 年,
2005 年)
を,工業事業所増加率指数 は 経済産業省工業統計調査 デー
タ(1999 年,2006 年)を用いて正規化した.
(筆者作成)
図 2 我が国の特徴的な地域
3.産業集積とクラスター
3. 1 産業集積の古典理論
1900 年代のはじめに,Weber, A.(1922)は,
最小費用立地原則にもとづいた工業立地論の体
系化を試みた8).Weber はさまざまな立地要因
8)Weber, A. Über den Standort der Industrien:
Reine Theorie des Standorts, Tübingen, Verlag von
J. C. B. Mohr, 1922(邦訳:
『工業立地論』大明堂,
1986 年)
.
50
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
(572)
を検討し,特定の場所に集積を生じさせる要因
②補助産業の形成
として,輸送費要因と労働費要因を抽出した.
③特殊技能に対する労働力市場の形成
これに対して,集積を変化させる要因を,集積
などの外部経済性をあげている.こうした集
(agglomerieren)要因と分散(deglomerieren)
積のメリットによって,企業はひとたび選択
要因として定義した.前者は集積することに
した集積地に長く定着する傾向をもつように
よって生産費用を低減させるものであり,後者
なる14).なお,Weber が示した集積要因と分
は集積要因の反作用として現れるもので,地価
散要因は,それぞれ Marshall が定義した外部
9)
の高騰などである .Weber の集積は,費用最
経済性と外部不経済性に相当する.
小化の原則を適用して議論するために,同業種
Marshall の「産業地区」と い う 概念 は,同
集積を想定している.
一産業の集積として一般的には解釈されている
Weber の集積論は,前提として労働力の移動
が,Marshall は,大都市をいくつかの異なる
性を考慮していない
10)
.しかし,Weber は,集
産業が発達した大規模な産業地区としてとらえ
積という空間的な不均一がなぜ起きるかという
ている.単一の産業に依存する地区は景気変動
問題を,
「移動」がなぜ起きるかという問題に
に弱いが,大規模な産業地区は景気変動に対す
帰着させている11).それは,企業の経営拡大に
る抵抗力をもっている,と述べている15).
よって規模の経済が得られる低次の集積から,
多数の企業が近接して立地することによって費
3. 2 産業集積論の発展
用の低減が見られる高次の集積(社会的集積)
Weber,Marshall 以降,多 く の 研究者 が 産
12)
へ発展するという段階があるからである .
業集積の概念について論じている.そこには,
「産業集積」の基本概念については,Marshall,
集積の古典論では議論されなかった概念が新た
A.(1920)の『経済学原理』にさかのぼること
に提示されている.Markusen, A.(1996)は,
ができる13).Marshall は,同一産業の企業があ
産業集積のパターンについて,以下の 5 つの類
る特定の地域になぜ集積するのかという問題
型を示している.
と,集積がどのように発展するのかという問
題について述べている.後者の問題について,
Marshall は,産業が集積することのメリットと
して,
①情報の自由な流通
① M a r s h a l l i a n I n d u s t r i a l D i s t r i c t
(Marshall が提示した古典的な集積)
② Italianate Variant(①の発展形として,
第 3 のイタリアに見られる集積)
③ Hub-and-spoke District(大企業 と 中小
企業で構成される集積)
9)Weber の 工業立地論 の 経済学的 な 解釈 に つ
い て は,中島清「ヴェーバー工業立地論 に た い す
る 経済学的検討(上),(下)」に 拠った.『横浜市
立大学論叢』社会学系列第 32 巻 お よ び 第 33 巻,
1982 年.
10)Weber(1922),Ibid., 邦訳 p. 36.
11)この解釈は,山崎朗『産業集積と立地分析』
大明堂,1999 年,p. 29 に拠った.
12)Weber(1922),Ibid., 邦訳 p. 152.
13)Marshall, A. Principles of Economics, Macmillan,
1920.(邦訳:
『経済学原理Ⅱ』 東 洋 経 済 新 報 社,
1966 年,第 4 編第 10 章「産業上の組織続論:特定
地域への特定産業の集積」).
④ Satellite Industrial Platforms(分 工 場
が進出して形成される集積)
⑤ State-anchored Industrial District(政
府機関が中心となっている集積)
①のタイプは,わが国の東京都大田区や東大
14)Marshall(1920)
, Ibid., 邦 訳 p. 271.「産 業 が
その立地を選択してしまうと,ながくその地にと
どまる…同じ技能を要する業種に従事する人々が
たがいにその近隣のものからうる利便にはたいへ
ん大きなものがある」
.
15)Marshall(1920)
, Ibid., 邦訳第Ⅱ巻 p. 255.
地域における産業集積の変化(五十嵐)
阪市に相当する集積である.また,③のタイプ
は,企業城下町に類似する集積である.そして
④のタイプは,テクノポリス型集積に近い概念
であるといえる.
(573)
51
成果が地域内で共有されている.
ⅳ.地域としての集団的なアイデンティ
ティが確立されている.
ⅴ.企業の壁を超えた個人ネットワークが
1980 年代から 1990 年代にかけて,産業集積
に関する新しいモデルがいくつか提示された.
形成されており,人材の移動が活発であ
る.
以下は,その代表的なものである.
シリコンバレーにおいても,地域のなかに存
①第三のイタリア・モデル
在する「コミュニティ」や風土・文化が大きな
Piore, M. J., Sabel, C. F.( 1984)は,大 量 生
役割を果たしている.シリコンバレーは,個人
産時代の終焉とともに,新たなパラダイムとし
が独立性を保ちつつ,緩やかなネットワークで
て「柔軟な専門性」を提唱し,イタリアの中小
つながれた多様で多層なコミュニティを形成し
企業集積を事例として取りあげている.イタリ
ているのが特徴である.
アの地域産業集積には,
「インパナトーレ」や
③産業クラスター
「コンバータ」と呼ばれるオーガナイザー企業
Porter, M. E.(1998)によって提唱された「ク
が重要な役割を果たしている.自ら生産設備を
ラスター」とは,「 特定の分野の相互に関連し
もたないオーガナイザー企業は,市場情報をも
た企業や機関から構成される,地理的に近接
とに地域の企業を結びつけ,競争力の源泉であ
した集団」 である18).Porter は,クラスターの
る「柔軟な専門化」を実現している.イタリア
物理的なスケールについては明確にしていな
の中小企業集積では,
地域のなかに存在する
「コ
い.単一の地方都市(たとえば米国テネシー州
ミュニティ」が大きな支援的役割を果たしてい
のチャタヌーガ市)や都市をまたがる広域な領
16)
る .
域(たとえばカリフォルニア地域のワイン関連
②シリコンバレー・モデル
産業)などをクラスターとしてとらえている.
米国カリフォルニア州のシリコンバレーに代
Porter は,世界各国 の 国際競争力 の あ る 産業
表されるハイテク産業集積は,ネットワーク型
を分析して,①需要条件,②要素条件,③企業
地域コミュニティという特徴をもっており,水
戦略および競争環境,④関連・支援産業という
平分業や競争関係をともなう新しいタイプの集
4 つの成功要因を抽出している. 積として紹介されている.Saxenian, A.(1994)
Porter は,これらの 4 つの要因が単なる必
は,シリコンバレー・モデルの特徴として,次
要条件ではなく,競争優位を持続するためには,
17)
それらが相互に関連しあってひとつのシステム
ⅰ.地域内で社会的分業が進み,専門企業
になっていることを強調している.4 つの要因
のような点をあげている .
がネットワークを形成している.
の相互作用は,クラスター内の企業およびクラ
ⅱ.ベンチャー企業やベンチャー企業から
スターそのものにインパクトを与えるような
成長した中堅・大企業の集積である.
「システム効果」をもっている19).このような
ⅲ.イノベーションが絶えず進展し,その
16)Piore, M. J., Sabel, C. F. The Second Industrial
Divide, Basic Books Inc., 1984(邦訳:『第二の産業
分水嶺』筑摩書房,1993 年).
17)Saxenian, A. Regional Advantage, Harvard
University Press, 1994(邦訳:『現代 の 二都物語』
講談社,1995 年).
18) Porter, M. E. “Clusters and the New
Economics of Competition”, Harvard Business
Review, November─December, 1998, pp. 77─90.
19)Ketels, C. H. M. “The Development of
the Cluster Concept: Present Experiences and
Further Developments”, Paper for NRW Conference
on Clusters, Duisburg, Germany, 5 Dec 2003, p. 6.
52
(574)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
ダイナミクスによってクラスターは進化し20),
をクラスターとしてとらえる Porter の視点と,
イノベーションが創出される.これが 「 ダイ
社会文化的 な 側面 を 重視 す る Piore&Sabel や
ヤモンド・モデル」と呼ばれる枠組みである.
Saxenian の視点を対比させている.
産業クラスターは,広義の集積論に含まれる
ⅲ.学習地域・創造的地域
概念であるといってよいが,従来の集積論との
Florida, R.(1995, 2002, 2005)は,地域 が 知
大きな違いは,ダイヤモンド・モデルにあると
識の創造と学習の拠点になっていることを示し
おり,
クラスターがイノベーションを生み出し,
た.そして,「クリエイティブ・クラス」とい
ダイナミックに成長を遂げるという点であり,
う階層が新しい経済活動の中で影響力を発揮す
その原動力となっているのが 4 つの要因の相互
るようになり,地域の再生には企業の誘致では
作用である.これらの 4 つの要因の相互作用と
なく創造的な人材の誘致が必要である,と述べ
は,同業どうしの厳しい競争,レベルの高い取
ている.
引先とのやりとりなどであり,インフラストラ
ⅳ.ローカル・ミリュウ
クチャなどの環境要素を除けば,クラスター内
Camagni, R.(2002)らは,ローカル・ミリュ
でのアクターどうしの相互作用に着目したもの
ウ(局地環境)という概念を提示し,集団的学
である.
習がイノベーションの不確実性を減少させる,
④その他の集積に関わる研究
と述べている.地域を集団学習と知識蓄積の場
その他に,集積に関する研究の主要な議論を
であるとして,地域の企業,人的ネットワーク,
あげると,以下のようなものがある.
労働市場に埋め込まれた知識がイノベーション
ⅰ.集積と分業
の源泉になることを示した.
Scott, A. J.(1988)は,空間的取引費用 の 概
以上,新しい集積論に位置づけられる代表的
念を取り入れて,社会的分業と空間的集積の累
な研究のポイントを掲げたが,これらの研究の
積的プロセスを説明した.産業間のリンケージ
多くは,シリコンバレー・モデルや第三のイタ
が広がるとリンケージに費用が発生する.リン
リア・モデルのように特徴的な地域を題材とし
ケージが小規模で不安定な場合は,リンケージ
て,どのようにその特徴が表出しているかを分
相手の近くに立地する傾向があり,リンケージ
析的に説明している.これは,成功事例から多
が大規模で安定するとリンケージの相手から遠
くの発見事実を引き出すという点で,大きな貢
くに立地する自由度が増す.
献をしている.しかし,柔軟な専門性やネット
ⅱ.文化・風土
ワーク型の文化が,あらゆる地域に有効である
Saxenian, A.(1994)は,シ リ コ ン バ レーの
かどうかという議論ではない.むしろ,第 2 の
ルーツであるフェアチャイルドから引き継がれ
シリコンバレーやイタリア・モデルを創り出そ
た家族主義的文化やコミュニティを支援する文
うとして失敗に終わった多くの事例が物語って
化に着目し,地域がもっている文化や風土が
いるように,地域の固有性こそが集積の問題を
経済的な要因よりも重要な役割を果たしてい
議論する重要なキー概念となる.
ると主張している.Sako, M.(2003)は,地域
3. 3 産業集積の実証研究
上で述べたいくつかの集積モデルの研究と
20)たとえば,米国ペンシルベニア州のピッツ
バーグのクラスターは,石炭の産出という天然資
源の存在がそのルーツであったが,現在では鉄鋼
と生産テクノロジーの企業が多数立地する巨大な
ク ラ ス ターに 進化 し て い る.Ketels(2003),Ibid.,
p. 6.
並行 し て,産業集積 が 実際 に ど れ だ け の パ
フォーマンスを発揮しているのかという,実
証側に立った研究も行われている.Glaeser, et
al.(1992)は,同業種の間で知識がスピルオー
バーす る 外部経済性 の タ イ プ を MAR 型21)と
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(575)
53
呼び,異業種間のスピルオーバーがメリットと
(1998)が 提唱 す る「ク ラ ス ター」の 概念 は,
なっている集積のタイプを Jacobs 型22)と呼ん
地域における特定の産業を前提としている点
で類型化している.MAR 型モデルは,同業種
で MAR 型モデルに属するが,競争を強調し
の産業が地域内に集積する地域特化の強みを主
ている点は Jacobs 型モデルと類似している.
張するものであり,これに対して Jacobs 型モ
Glaeser らは,MAR 型モデルと Porter モデル
デルは,地域内に異なる業種が集積する,都市
を同業種指向の集積論として位置づけ,Jacobs
の多様性の強みを主張するものである.これ
型モデルを多様性指向の集積論として位置付け
ら 2 つの考え方についてはその後さまざまな実
ている.
証研究がなされ,それぞれを支持する結果が報
Glaeser ら の 実証研究 で は,知識 の ス ピ ル
告 さ れ て い る.Henderson, V.(1997)は,米
オーバーは,同一産業間よりはむしろ,異なっ
国の 1977~1990 年にかけての 5 つの異なる資
た産業間で認められるという結果を示した.し
本財産業 の データ に つ い て 調査 し,Jacobs 外
た がって,Jacobs 型 の 外部経済性 が 都市 の 成
部経済性 に 比較 し て,MAR 外部経済性 が 極
長 に 強 く 働 い て い る こ と を 支持 し て い る25).
めて強く現れていることを示した23).一方で,
Marshall の同業種集積における「情報の自由な
Feldman, M. P., Florida, R.(1994)は,米国 に
流通」が異業種間にも見られることを,Glaeser
おけるイノベーションのデータから,多様性の
らは示したのである.
高い地域とイノベーションの発生率の相関を報
告している24).
3. 4 本研究における分析の枠組み
MAR 型モデルは,同業種の集積を前提とし
本研究は地域における産業集積の変化につい
ているので,
「独占」が競争優位を生み出す源
て実証分析を試みるものである.集積の変化と
泉と考えられるが,Jacobs モデルでは,多様
は,過去に何らかの理由で集積が発生した後
性のなかの「競争」が技術革新をもたらすと
に,長期的な時間の経過とともに集積の内部構
考えられている.これに対して Porter, M. E.
造がどのように変化をしているか,そしてその
21)Glaeser, E. L., Kallal, H. D., Scheinkman,
J. A., Scheleifer, A. “Growth in Cities”, Journal of
Political Economy, Vol. 100, pp. 1126─1152. “MAR”
は,同一産業の集積効果を主張するそれぞれの研
究者 の 名前(Marshall, Arrow, Romer)に ち な ん
だ呼び方である.Glaeser らは,米国の 170 地域の
産業データの分析から,産業内よりは産業間で知
識のスピルオーバーが認められる,と報告してい
る.
22)Jacobs は,多様な業種や多様な人的資源が,
地域の発展にとって好ましいと考える立場をとっ
て い る.Jacobs, J. The Economy of Cities, 1969(邦
訳:『都市の原理』鹿島出版会,1971 年).
23)Henderson, V. “Externalities and Industrial
Development”, Journal of Urban Economics, Vol. 42,
1997, pp. 449─470.
24)Feldman, M. P., Florida, R. “The Geographic
Sources of Innovation: Technological Infrastructure
and Product Innovation in the United States”, Annals
of the Association of American Geographers, Vol. 84 ⑵ ,
1994, pp. 210─229.
変化が集積自体の競争力にどのようなかたちで
伝わっているのか,さらに集積地域に立地する
企業にどのような影響を与えているのか,を意
味する.そのため,先に述べた古典的集積論や,
その後発展した新たな集積論を,どのように本
稿の分析に援用するのかについて述べておかな
ければならない.
古典的集積論では,集積を発展させる要因と
して,いくつかの集積の利益が存在することが
示されている.近接性による物流コストや通信
コストの削減,原材料の仕入れに関する規模の
経済などである.情報の自由な流通を除くこれ
25)ニューヨーク の 綿花産業 と 穀物産業 は,と
もに国内取引や国際取引に関して,ファイナンス
のニーズをもっていた.これが金融サービスを新
たに誕生させた契機であり,銀行業による事業で
はない.Glaeser, et al.(1992)
, Ibid., pp. 1131─1132.
54
(576)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
らの集積の利益は,いずれも集積することで直
企業が集まる.このような「物理的アドバンテー
接経済的な利益に結びつく概念である.仮にこ
ジ」は,集積初期段階では大きなインパクトを
れらの利益を「集積のアドバンテージ」と呼ん
もつが,それがその後も優位なアドバンテージ
でおく.
であり続けるかどうかは不明である.天然資源
次に,産業集積地域は,本来物理的な環境と
は,枯渇してしまえば優位性を失うし,港湾設
しての優位性をもっているはずである.それら
備などの優位性は,他の地域の資本ストックの
は,自然資源の存在や,気候,地形,整備され
整備状況によって相対的に変わるであろう.
た道路,工業用水,低価格で確保できる広い工
一般的に集積地域は,地域に流入するひとや
場スペース,
などである.これらを一括して
「物
企業によって,多くの知識や財が流れ込み,時
理的アドバンテージ」と呼んでおく.
間をかけてその地域固有の特性を作り上げてい
さらに,古典的集積論に続いて現れた新しい
く.時間の経過とともに,その地域には技術や
集積論では,さまざまな概念(コミュニティ,
ノウハウが蓄積されていくであろうし,ひとび
イノベーション,ベンチャー,学習,など)が
とが安心して暮らせる規範や制度26)ができる
提示された.これらはすべて,地域のアクター
かも知れない.これらは,地域のなかで時間を
間のつながりのなかから生み出されるという共
かけて蓄積されていく性質をもっており,いわ
通の特徴がある.集積地域に立地した企業は,
ば新しい「地域の優位性」が創り出される可能
他のさまざまなアクターとのつながりのなかか
性を意味する.この後天的な地域の優位性の源
ら,有用な情報を得たり,新しいビジネスチャ
泉となるものが「つながりのアドバンテージ」
ンスを獲得したりする.このような未来に発生
である.
し得る可能性は,そのままでは現在の価値とし
集積が生ずる初期の段階では,地理的な優位
ては認識されないが,潜在的に価値を生む資源
性などの「物理的アドバンテージ」が大きく機
であると考えることができる.つながりにもと
能するであろうことは容易に想像できる.外部
づくこのような潜在的な資源は,単に集積地域
から進出を考えている企業にとっては,その地
に立地しただけでは獲得できない.それは地域
域の魅力として唯一目に見えるファクターが
のなかでのアクターとしての活動のあり方に依
「物理的アドバンテージ」であるからである.
存しており,時間をかけて獲得していくもので
「集積のアドバンテージ」は,どの程度のメリッ
ある.これらの潜在資源に相当するものを一括
トが得られるかは集積の規模にもより,実際に
して「つながりのアドバンテージ」と呼んでお
立地をしてからでないとわからない27).さらに,
くことにする.Glaeser らが提示した MAR 型
「つながりのアドバンテージ」については,外
集積と Jacobs 型集積では,それぞれ同業指向
部から判断できる情報はきわめてわずかで,実
のつながりと多様性指向のつながりが外部経
際に立地した後に長い時間をかけて獲得しなけ
済性をもたらす.これらの外部経済性もまた,
「つながりのアドバンテージ」 に含まれる.
上述した 3 つのアドバンテージ概念は,単に
集積のメリットを整理してグループ化しただけ
の産物ではない.これら 3 つのアドバンテージ
を用いて,集積のダイナミックな変化を記述す
ることができる.たとえば,良好な港湾や天然
資源を有している地域は,他の地域に比べて地
理的な優位性をもっているために,
ひとや工場,
26)
「技術進歩 は 単 に R&D 投資 に よ り 自動的
に得られる成果ではなく,生産システムに新しい
アイデアを採用して組み込むことを誘導する制度
的環境 を 必要 と す る…制度環境 が 地域 に よって
異 な る た め に,技術進歩 に は 地域格差 が 生 じ る」
Armstrong, et al.(2000)
, Ibid., 邦訳 p. 109.
27)
「もともと兵庫県にあった会社が福岡に移っ
てきた.取引先はかなり苦労して福岡で新しく探
した.
」
(後述の実証調査における K 社工場責任者
へのインタビュー内容より)
.
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(577)
55
ればならないものである.
4. 1 九州経済の特徴28)
「地域の優位性」を構成する要因は単一では
九州の工業化の特徴は,明治維新後の石炭産
なく,
「物理的アドバンテージ」
,
「集積のアド
業や化学工業に見られるように,重化学工業に
バンテージ」そして「つながりのアドバンテー
偏重し,素材生産に特化していたことである.
ジ」の組み合わせによって構成されていると考
こうした工業化は,中央の資本によってトップ
えられる.これら 3 つのアドバンテージは,時
ダウン的に展開されたため,部品や関連設備な
間の経過とともに変化をしていく.それぞれの
どは地元調達されず,機械工業や軽工業が発展
アドバンテージが,あるときは優位性を高め,
する機会を失ってしまった.
あるときは優位性を失い,絶えずさまざまな変
1970 年代に入ると,三菱重工業,日立造船,
化を遂げながら,地域全体の優位性を創り出し
大島造船所,名村造船など大型工場の九州立地
ている.したがって,3 つのアドバンテージの
が相次いだ.豊富な工業用水と相対的に安価な
組み合わせや時間による変化を考えることに
労働力が吸引力を高め,1970 年代後半からは
よって,地域のもつ固有性をより鮮明に説明す
IC 工場や自動車産業といった,特定の産業に
ることが可能となるであろう.
特化した立地が見られるようになった.
以上,古典的な集積論やその後の新しい集積
特に IC 工場の生産は急成長し,DRAM の生
論のなかで提示されたさまざまな概念をもと
産では一時世界市場のシェア 4 割を占めるまで
に,これらを「物理的アドバンテージ」
,
「集積
になった.「シリコンアイランド」と呼ばれる
のアドバンテージ」
,そして「つながりのアド
ほどに成長した九州の IC 集積であるが,プラ
バンテージ」という 3 つの概念に再分類した.
ザ合意後の円高や,韓国,中国,台湾の激しい
これらのアドバンテージは,集積の特徴をマク
追い上げにあい,現在では高機能化への戦略転
ロ的にとらえるための概念ではない.個々の企
換を迫られている.
業がそれぞれのアドバンテージからどのような
GDP でみた九州の産業構造は,表 1 に示す
利便性を得ているのか,あるいは個々の企業が
ように第 2 次産業の構成比が全国に比べて低
それぞれのアドバンテージにどのように寄与し
い.これに対して,鳥栖市は,第 1 次産業の比
ているのかという,ミクロ的な分析手段を与え
率が 0.4% と,極端に低い.また,製造業の比
る概念である.本稿では,特に「つながりのア
率は 48.1% で,全国および九州の構成比の 2 倍
ドバンテージ」に着目して,後述する実証調査
近い値となっており,鳥栖市は九州のなかでも,
をもとに考察を加える.
製造業が集中していることがわかる.
4.実証調査:鳥栖市に立地する企業の
つながりについて 4. 2 鳥栖市の産業
①概 要
鳥栖市は,我が国の地方型産業集積のなかで
鳥栖市 は 佐賀県 の 東端,福岡市 か ら 南方 30
は成功している地域のひとつである.ここで
km に位置している.1954 年 4 月に,鳥栖町,
は,鳥栖市に立地する企業がどのような活動を
田代町,基里村,麓村,旭村 の 2 町 3 村 が 合
しているのか,とりわけ企業がもっているさま
ざまなつながりに着目して,筆者が独自に行っ
た現地調査のデータをもとにその実態をみてみ
たい.調査結果の詳細に触れる前に,まず九州
全体の経済や産業の特徴を概観しておく.
28)九州の経済状況や産業の歴史展開について
は,小島恒久編『九州 に お け る 近代産業 の 発展』
九州大学出版会,1988 年,松原悦夫編『地域 と ビ
ジネス』九州大学出版会,1997 年,山﨑朗編著『半
導体クラスターのイノベーション:日中韓台の競
争と連携』中央経済社,2008 年を参照した.
56
(578)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
表 1 九州の産業構造
μ‫׎‬
ʋ߸
ᯓఁࠊ
ᾖᾓᾟ
ನ঺ൔ
ᾖᾓᾟ
ನ঺ൔ
ᾖᾓᾟ
ᵏᵌᵏᵃ
ᵏᵊᵏᵑᵏᵊᵕᵕᵓ
ᵐᵌᵑᵃ
ᵏᵊᵐᵏᵕ
ᵎᵌᵒᵃ
ᇹᾁഏငಅ
ᵓᵊᵖᵎᵎᵊᵐᵕᵖ
ᵏᵑᵔᵊᵕᵖᵓᵊᵒᵎᵒ
ᵐᵓᵌᵑᵃ
ᵏᵎᵊᵔᵎᵖᵊᵗᵑᵖ
ᵐᵏᵌᵐᵃ
ᵏᵔᵕᵊᵏᵗᵖ
ᵒᵖᵌᵏᵃ
ᇹᾂഏငಅ
ᵑᵗᵕᵊᵔᵎᵖᵊᵔᵎᵑ
ᵕᵑᵌᵔᵃ
ᵑᵖᵊᵒᵎᵓᵊᵏᵓᵒ
ᵕᵔᵌᵔᵃ
ᵏᵕᵗᵊᵐᵑᵒ
ᵓᵏᵌᵔᵃ
ᵑᵓᵊᵎᵓᵎᵊᵏᵖᵏ
ᵔᵌᵑᵃ
ᵑᵊᵔᵐᵎᵊᵕᵗᵎ
ᵔᵌᵗᵃ
ᵐᵕᵊᵎᵑᵕ
ᵕᵌᵑᵃ
ᵓᵐᵎᵊᵐᵒᵗᵊᵑᵒᵑ
Ḙ
ᵒᵖᵊᵔᵖᵐᵊᵓᵎᵎ
Ḙ
ᵑᵒᵓᵊᵓᵒᵒ
Ḙ
ᇹᾀഏငಅ
ạẼᢃ᠞Ὁᡫ̮
ዮဃင
ನ঺ൔ
(注)国内総生産(名目),単位:百万円
出典:内閣府「国民経済計算 2007 年度,佐賀県民経済計算 2007 年度」
表 2 鳥栖市の概要
ỽἘἆἼ
ಒᙲ
ࠊС
ᯓఁࠊỊύ˱᝶ჄỉிᇢỆˮፗẲύ҅ểிểҤửẸủẹủᅦ‫ޢ‬Ⴤỉሇከ᣼ࠊύ‫ݱ‬ᢼࠊύʁ
သ቟ࠊỆᨩ੗ẲềẟỦώᵏᵗᵓᵒ࠰ỉࠊС଀ᘍỆợụύᯓఁထύဋˊထύؕ᣺஭ύᰭ஭ύଖ஭
ỉᵐထᵑ஭ầӳ́ẲềᯓఁࠊểễẾẺώ
᩿ᆢ
ʴӝ
ίᵐᵎᵏᵎ࠰ᵑஉ஛ὸ
ൟփʙಅ৑ૠ
ίᵐᵎᵎᵔ࠰ὸ
ൟփࢼಅᎍૠ
ίᵐᵎᵎᵔ࠰ὸ
ᙌᡯಅʙಅ৑ૠ
ίᵐᵎᵎᵔ࠰ὸ
ᙌᡯಅЈᒵ᫇
ίᵐᵎᵎᵔ࠰ὸ
ɟᑍ˟ᚘബλ᫇
ίᵐᵎᵎᵖ࠰ࡇൿምὸ
ᵕᵏᵌᵕᵑᾺὮ
ᵔᵕᵊᵕᵗᵒʴ
ᵑᵊᵎᵏᵖὈ৑
ᵑᵔᵊᵗᵖᵔʴ
ᵏᵒᵏὈ৑
ᵑᵔᵖᵎΕό
ᵐᵐᵊᵎᵗᵐႊɢό
ᵐᵎᵎᵒ࠰῍ᵐᵎᵎᵗ࠰
‫ف‬ьྙᵕᵌᵎή
ᵏᵗᵗᵗ࠰῍ᵐᵎᵎᵔ࠰
‫ف‬ьྙᵒᵌᵗή
ᵏᵗᵗᵗ῍ᵐᵎᵎᵔ
‫ف‬ьྙᵐᵔᵌᵏή
ᵏᵗᵗᵗ῍ᵐᵎᵎᵔ
‫ف‬ьྙᵎᵌᵕή
ᵏᵗᵗᵗ῍ᵐᵎᵎᵔ
‫ف‬ьྙᵑᵌᵑή
ᐯɼᝠเྙᾉᵕᵕᵌᵑή
ίᵏᵕᵊᵎᵕᵗႊɢόὸ
出典:経済産業省事業所統計データ(1999 年,2006 年),経済産業省工業統計データ(1999 年,2006 年),
鳥栖市役所ホームページ(www.city.tosu.lg.jp)
併 し て 発足 し た.面積 は 71.73 km2,人口 は
29)
培されるようになり,江戸時代に入って配置売
67,794 人(2010 年 3 月末現在)である (表 2)
.
薬産業31)が 発展 し た.そ の 後,医薬品生産 が
鳥栖市は,古くから三国境(みくにざかい)
始まり,久光製薬など地元製薬産業の基礎がで
といわれ,筑前,筑後,備前に通じる街道の接
きあがった.
点になっており,長崎街道,日田街道,薩摩街
戦後 に なって 鉄道 が 発達 し,九州 で も 鹿児
道の分岐点であった.また鳥栖市では,朝鮮と
島本線,長崎本線 が 整備 さ れ た.鳥栖 は 両線
の交易によって古くから漢方薬を扱っていた
の 分岐点 に あ た り,汐留,大阪 と 並 ぶ 日本 3
が,や が て 対馬藩 の 田代領30)で 朝鮮人参 が 栽
大操車場 の ひ と つ と なった.ま た,幹線道路
網においても,鳥栖は国道 3 号線と 34 号線の
29)鳥栖市役所ホームページより.2010 年 6 月
23 日参照(http://www.city.tosu.lg.jp/).
30)現在の鳥栖市東部一帯のこと.鹿児島本線
鳥栖駅から博多方面のとなり駅が田代駅である.
31)富山の薬売りで有名な配置売薬は,江戸時
代に栄えた産業である.わが国では,富山,越中,
近江,津島が 4 大配置売薬として知られている.
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(579)
57
分岐点の位置にある.1973 年には長崎自動車
道と 九州自動車道の分岐点となる鳥栖ジャン
クション32)が完成し(図 3),鳥栖は九州にお
ける交通の要衝として,重要な位置を占める
に至った.
②産業誘致政策
1954 年 の 市制施行後,鳥栖市 は 直 ち に 工場
誘致条例を制定し,他の市町村に先駆けて企業
誘致に取り組んできた.累計の誘致企業数は,
2008 年 6 月現在 で 159 件となり33),鳥栖市 の
製造品出荷額 も 県内 1 位 で,佐賀県全体 の 約
22% を占める.鳥栖市では企業誘致を進める
ために,早くから工業団地の造成が行われた.
鳥栖市の工業団地は以下の 5 ヶ所であり,さら
(鳥栖市役所提供資料)
��� ���������
図 3 鳥栖ジャンクション
に鳥栖西部第二工業用地の分譲が 2011 年春か
ら開始される.
した.主な企業は,関西酵素,アイリスオーヤマ,
ⅰ.驫木工業団地(1963 年分譲開始)
東京エレクトロン九州,パナソニックファクト
市内で最も早く開発された工業団地である.
リーソリューションズであるが,東京エレクト
国道 34 号線の整備により,製造業の大型工場
ロン九州とパナソニックファクトリーソリュー
が進出した.主な立地企業は,西日本セキスイ
ションズは,2010 年 4 月に撤退した.
工業,コカ・コーラウェストプロダクツ,ブリ
ⅳ.鳥栖北部丘陵新都市(1997 年分譲開始)
ヂストン,レンゴー,フランスベッド,山下医
テクノポリスケ計画の一環で,職住近接を
科機械,などである.
目指す.計画時期とバブル経済の崩壊が重な
ⅱ.鳥栖商工団地(1973 年分譲開始)
り,分譲 が 難航 し た.主 な 企業 は,九電工,
九州縦貫道の開通に合わせ,鳥栖駅に近接し
TOWA,ア ス テ ム,東 洋 新 薬,SUS,菱 食,
て造成された工業団地である.製造業,卸業,
鴻池運輸,ユニファ,理工協産,日立物流,日
流通業の各企業が立地している.企業数が最も
本生協連,チェルシージャパン,ピップフジモ
多い団地である.主な立地企業は,昭栄化学工
ト,瑞穂,サンセールミキ,などである.
業,森永 デ ザート,キーコーヒー,トーホー,
ⅴ.グ リーン・ロ ジ ス ティク ス・パーク 鳥栖
伊藤ハム,鳥栖倉庫,ミズホメディー,神明,
(2006 年分譲開始)
赤ちゃん本舗,ポオトデリカトオカツ,データ
物流に特化した集積地で,博多港まで 1 時間
プラス,ティ・アイ・エス,などである.
の立地点である.現在,8 割強が分譲済みであ
ⅲ.鳥栖西部工業団地(1985 年分譲開始)
る.主な企業は,プロロジス,福岡ソノリク,
久留米・鳥栖テクノポリス地域のなかで,半
マルハニチロ物流,横浜冷凍,藤本物産,興和
導体など先端企業集積の受け皿としてスタート
新薬,西原商会九州,東京高速陸運,村里運輸,
などである.
32)日本で初のクローバー型ジャンクションで
ある .
33)「佐賀学」創成 プ ロ ジェク ト 第 1 回公開研
究会報告より(佐賀大学,2008 年 7 月 11 日).
③鳥栖市の産業
鳥栖市の産業の特徴は表 3 のとおりである.
表 3 は,経済産業省の産業中分類にもとづいて,
鳥栖市の産業構成と九州全体の産業構成の差異
58
(580)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
表 3 鳥栖市の主要な産業の従業者数
ငಅɶЎ᫏ίᵐᵎᵎᵔ࠰Ў᫏ὸ
ዮӳ߻ʙಅᴾ
ᎰК߻ʙಅᵆᚨͳ߻ʙಅửᨊẪᵇ
ᚨͳ߻ʙಅ
᫢૰Լᙌᡯಅᴾ
҄‫߻ܖ‬ಅᴾ
ἆἲᙌԼᙌᡯಅᴾ
ɟᑍೞ఺֥φᙌᡯಅᴾ
ᩓ‫܇‬ᢿԼὉἙἢỶἋᙌᡯಅᴾᴾ
᠞ᡛဇೞ఺֥φᙌᡯಅᴾ
ऴ‫إ‬ἇὊἥἋಅᴾ
ᢊែᝣཋᢃᡛಅᴾ
̽ࡉಅᴾ
᫩᫢૰Լҵ٥ಅẅᴾ
ೞ఺֥φҵ٥ಅᴾ
Ẹỉ˂ỉҵ٥ಅᴾ
Ҕၲಅ
ᅈ˟̬ᨖὉᅈ˟ᅦᅍὉʼᜱʙಅ
‫ܖ‬ఄ૙Ꮛ
ᯓఁࠊίᵐᵎᵎᵔ࠰ὸ
ࢼಅᎍૠ
ನ঺ൔ
ᵏᵊᵎᵎᵔ
ᵐᵌᵕᵃ
ᵑᵔᵐ
ᵏᵌᵎᵃ
ᵒᵖᵑ
ᵏᵌᵑᵃ
ᵐᵊᵒᵔᵒ
ᵔᵌᵕᵃ
ᵗᵎᵗ
ᵐᵌᵓᵃ
ᵗᵓᵕ
ᵐᵌᵔᵃ
ᵏᵊᵒᵐᵑ
ᵑᵌᵖᵃ
ᵐᵖᵔ
ᵎᵌᵖᵃ
ᵐᵐᵒ
ᵎᵌᵔᵃ
ᵕᵒ
ᵎᵌᵐᵃ
ᵑᵊᵔᵗᵔ
ᵏᵎᵌᵎᵃ
ᵔᵔᵑ
ᵏᵌᵖᵃ
ᵕᵓᵓ
ᵐᵌᵎᵃ
ᵕᵒᵏ
ᵐᵌᵎᵃ
ᵔᵎᵐ
ᵏᵌᵔᵃ
ᵐᵊᵎᵕᵏ
ᵓᵌᵔᵃ
ᵏᵊᵕᵖᵐ
ᵒᵌᵖᵃ
ᵗᵕᵐ
ᵐᵌᵔᵃ
ʋ߸ίᵐᵎᵎᵔ࠰ὸ
ࢼಅᎍૠ
ನ঺ൔ
ᵐᵎᵗᵊᵖᵐᵓ
ᵔᵌᵏᵃ
ᵕᵑᵊᵕᵕᵔ
ᵐᵌᵏᵃ
ᵏᵏᵏᵊᵖᵒᵗ
ᵑᵌᵐᵃ
ᵏᵑᵐᵊᵏᵏᵕ
ᵑᵌᵖᵃ
ᵏᵗᵊᵓᵔᵒ
ᵎᵌᵔᵃ
ᵏᵐᵊᵐᵒᵔ
ᵎᵌᵒᵃ
ᵓᵔᵊᵕᵗᵓ
ᵏᵌᵔᵃ
ᵕᵎᵊᵕᵒᵔ
ᵐᵌᵏᵃ
ᵓᵐᵊᵎᵗᵒ
ᵏᵌᵓᵃ
ᵒᵔᵊᵕᵕᵗ
ᵏᵌᵒᵃ
ᵏᵑᵕᵊᵐᵕᵏ
ᵒᵌᵎᵃ
ᵗᵊᵖᵒᵔ
ᵎᵌᵑᵃ
ᵖᵓᵊᵏᵖᵗ
ᵐᵌᵓᵃ
ᵖᵔᵊᵏᵏᵗ
ᵐᵌᵓᵃ
ᵕᵒᵊᵏᵓᵏ
ᵐᵌᵐᵃ
ᵏᵎᵊᵗᵖᵕ
ᵎᵌᵑᵃ
ᵑᵖᵊᵎᵖᵗ
ᵏᵌᵏᵃ
ᵐᵊᵎᵔᵑ
ᵎᵌᵏᵃ
ἯỶὅἚࠀ
ᵋᵑᵌᵒᵃ
ᵋᵏᵌᵐᵃ
ᵋᵏᵌᵗᵃ
ᵐᵌᵖᵃ
ᵏᵌᵗᵃ
ᵐᵌᵐᵃ
ᵐᵌᵐᵃ
ᵋᵏᵌᵑᵃ
ᵋᵎᵌᵗᵃ
ᵋᵏᵌᵐᵃ
ᵔᵌᵎᵃ
ᵏᵌᵓᵃ
ᵋᵎᵌᵒᵃ
ᵋᵎᵌᵓᵃ
ᵋᵎᵌᵓᵃ
ᵓᵌᵑᵃ
ᵑᵌᵕᵃ
ᵐᵌᵔᵃ
ࢼಅᎍ
‫ف‬ьྙ
ᵋᵓᵌᵐᵃ
ᵓᵌᵓᵃ
ᵏᵌᵓᵃ
ᵔᵏᵌᵕᵃ
ᵋᵏᵑᵌᵔᵃ
ᵎᵌᵔᵃ
ᵓᵎᵌᵔᵃ
ὼ
ᵏᵏᵌᵒᵃ
ᵓᵒᵌᵐᵃ
ᵒᵔᵌᵖᵃ
ᵐᵔᵌᵎᵃ
ᵋᵏᵐᵌᵒᵃ
ᵓᵕᵌᵕᵃ
ᵎᵌᵎᵃ
ᵒᵏᵌᵕᵃ
ᵑᵎᵗᵌᵕᵃ
ᵏᵕᵐᵌᵑᵃ
(注)九州,鳥栖 で 2006 年従業員構成比 が 2%以上 の 産業 を 抽出.従業者数単位:人,従業者増加率 は 1999 年~
2006 年(電子部品・デバイス製造業は 2006 年データで始めて分類されたため増加率は不明). 出典:経済産業省事業所統計産業中分類別データ(1999 年,2006 年)
を示したものである.地域における雇用という
また,道路貨物運送の比率が際立って高いこ
側面からみるために,従業者数によって産業の
とも特徴である.九州の比率を 6 ポイント上ま
規模を表わした.
わっている従業者構成は,いかに鳥栖市が交通
九州の各地では IC 集積や自動車産業の立地が
の要衝としての優位性を発揮してきたかを如実
進み,電子部品や輸送用機械ではある程度の従
に物語っている.道路貨物運送のほかに,水運,
業者規模となっているが,鳥栖市はこれとは異
航空運輸,倉庫業などの物流業全体の従業員構
なったパターンを示している.製造業でみると,
成比は,全国が 5.1%,九州が 5.2% であるのに
食品製造,化学工業,ゴ ム 製品,一般機械 な ど
対して,鳥栖は 12.0% となっている35).
の分野で九州を上まわり,電子デバイス,輸送
なお,佐賀県全体でみたときに,工業従業者
用機械で九州を下まわっている.表 3 は主要な
数の 47.4%,製造品出荷額の 64.4% を誘致企業
産業を抽出しているが,製造業全体で比較する
が占めている.誘致企業は雇用面においても重
と,九州 の 2006 年 の 製造業 に お け る 合計従業
要な役割を果たしており,今後も企業誘致は重
者構成比が 18.9% であるのに対して,鳥栖市の
要な政策として位置づけられている36).
それは 24.6% であり,大幅に上まわっている34).
九州各地が IC や自動車の集積を作りつつあるな
かで,鳥栖は独自の製造業集積を形成している.
34)経済産業省事業所統計産業中分類別 データ
(1999 年,2006 年)より.
35)経済産業省事業所統計産業中分類別 データ
(1999 年,2006 年)より.
36)佐賀県鳥栖地域雇用開発計画,2008 年 3 月,
p. 17.
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(581)
表 4 調査企業の業種別事業所形態
④鳥栖市の産業組織
鳥栖市に立地する企業の 45% が鳥栖市商工
ஜᅈ
会議所 に 加入 し て い る.会員 597 企業(2008
ಅᆔ
年 3 月末現在)のうち,1/4 は鳥栖市外部から
の進出企業で,全般的に誘致企業の加入率は低
い.特に新しく進出した企業の加入率が低い傾
向にある37).
鳥栖商工団地組合(商工センター)は,当初
59
ஜᅈ
ˌ‫ٳ‬
ӳᚘ
ɟᑍᙌᡯಅ
ᵐ
ᵓ
ᵕ
᫢Լᙌᡯಅ
ᵑ
ᵐ
ᵓ
ҵὉཋ්ಅ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
Ẹỉ˂
ᵐ
ᵏ
ᵑ
(注)単位:社
(筆者作成)
の 30 社が集まって 1984 年に発足した団地組合
である.鳥栖市の工業団地で組合が存在するの
は鳥栖商工団地だけである.現在組合員は 114
社 で,加入率 は 99% で あ る.団地組合 は 異業
種の集まりであるために,同業組合に比べて横
のつながりが希薄である.情報発信だけでは組
合員を引きつけることが難しくなっており,組
合の存在意義が大きな課題になっている38).
組合組織 の な か の 青年部会(45 歳以下 の 経
営者の集まり)として「若桜会」がある.地域
活動を中心に,夏祭り,3 ヶ月に 1 回の
「クリー
ン作戦」
,ボーリング大会,バスハイクなどを
企画している.発足後 30 年を経過しているが,
活発に活動している.このような活動があるた
めに,進出企業はじめは地元企業との間に文化
の違いがあっても,時間の経過とともに地域に
なじんでいる.
4. 3 調査の概要
本調査では,企業が鳥栖市に進出した理由の
他に,企業,住民・市民,行政機関などから構
成される地域の各種組織や団体との間のつなが
りや,あるいは非公式なつながりの実態とその
時間的な変化について聞き取りを行う.
調査は,
企業の経営者または事業責任者に対するインタ
ビュー方式をとった.調査は,鳥栖市役所商工
37)鳥栖市商工会議所,徳渕事務局長 へ の イ ン
タ ビューよ り(2009 年 2 月 4 日,鳥栖市商工会議
所内にて面談).
38)鳥栖商工団地組合,原専務理事へのインタ
ビューよ り(2009 年 2 月 4 日,鳥栖商工団地組合
事務所内にて面談).
振興課,鳥栖市商工会議所,鳥栖商工センター
を通じて紹介をいただいた企業のなかから,イ
ンタビューの承諾を得た 17 社とアンケート回
答のみによる 1 社,あわせて 18 社に対して行
われた39).
立地事業所の形態は,表 4 のとおりである.
本社と本社以外に大別すると,今回の調査対象
企業は本社立地が 8 社,分工場など本社以外の
立地が 10 社であった.調査を実施した 18 社の
企業一覧を,表 5 に示す.
本社立地と本社以外の立地について,基本的
な違いがあるかどうかを,事業所設立後の継続
年数と資本金額で比較してみる(図 4,5).
図 4 より,立地年数は,本社の方がやや長い
ように見受けられる.また図 5 からは,鳥栖市
に本社を置いている企業に比べて,地域外から
進出している企業の方が資本金額の規模が大き
いことがわかる.本社以外の立地 10 社の平均
資本金額 は 1 億 5595 万円 で あ り,本社立地企
業 8 社の平均資本金額は 6188 万円である.鳥
栖に分工場や支店・営業所を置いている企業の
資本金規模は,本社立地企業の 2 倍以上となっ
ている.
4. 4 基礎集計結果
インタビューデータの集計結果は,表 6 のと
おりである.調査対象の 18 社中,もともと鳥
39)調査 に あ たって は,佐賀県東京事務所,鳥
栖市役所商工振興課,鳥栖商工会議所,鳥栖商工
センターの協力を得ることができた.
60
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
(582)
表 5 インタビュー対象企業一覧
ᵬᶍᵌ
ᶒᵋᵎᵏ
ᶒᵋᵎᵐ
ᶒᵋᵎᵑ
ᶒᵋᵎᵒ
ᶒᵋᵎᵓ
ᶒᵋᵎᵔ
ᶒᵋᵎᵕ
ᶒᵋᵎᵖ
˖ಅӸ
ᚨᇌ
ఇࡸ˟ᅈẅʋ᫢
ᵏᵗᵕᵔ࠰ᵏᵎஉ
ᯓఁ̽ࡉఇࡸ˟ᅈ
ᵏᵗᵒᵖ࠰ᵒஉ
ఇࡸ˟ᅈ
ἁἻỸὅὉἣἕἃὊἊ
ᵏᵗᵔᵐ࠰ᵔஉ
ʁ݈Ѩẅఇࡸ˟ᅈ
ᵏᵗᵑᵐ࠰ᵏᵎஉ
ఇࡸ˟ᅈẰẦảἧὊἌ
ᵏᵗᵗᵗ࠰ᵓஉ
ଯ௿҄‫߻ܖ‬ಅఇࡸ˟ᅈ
ᵏᵗᵓᵔ࠰ᵒஉ
ఇࡸ˟ᅈ
ἚὊἭὊἧὊἛἇὊἥἋ
ᵏᵗᵖᵓ࠰ᵖஉ
ౕ‫߻ޛ‬ಅẅఇࡸ˟ᅈ
ᵏᵗᵕᵐ࠰ᵑஉ
ˊᘙᎍ
ʙಅϋܾ
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
ᙱ޽ẅɟʂ
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
᭗ဋẅ̮Ձ
᫢ᎹᙌԼỉᙌᡯᝤ٥ύἬἕἚἧὊἛύᙌᡯᝤ٥ύ
྘቟ь߻
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
˱ήẅऔᔺ
̽ࡉಅύཋ්ἉἋἘἲ
ἒὅἮὊἽረỉᙌᡯὉᝤ٥
᝻ஜ᣿
ࢼಅՃ
ᵒᵊᵎᵎᵎ
ᵏᵑᵖ
ᵕᵊᵎᵎᵎ
ᵒᵓᵎ
ᵔᵑᵊᵖᵒᵓ
ᵏᵐᵐᵎ
ˊᘙӕዸࢫ
ʁϠẅπ᝻
ˊᘙӕዸࢫ
ɥ᣼ᴾࣈ
ӕዸࢫᅈᧈ
෌ဋẅಝɟ
˺ಅဇ৖ᘥύ˺ಅဇ᪇ɦấợỎἑỼἽỉᙌᡯᝤ
٥
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
ɥ᣼ẅᘽɟ
‫ٳ‬᫢ငಅồỉಅѦဇ᫢Լҵ٥ಅύಅѦဇ᫢Լ
ྵ᣿ҵ٥ಅύἅὊἤὊỉᙌᡯὉᝤ٥
ˊᘙӕዸࢫ
ౕ‫ޛ‬ẅന
ἅὅἁἼὊἚᙌԼဇ‫׹‬௒ύ්ẲᡂỚ঺࢟‫׹‬௒
ᵓᵊᵓᵎᵎ
ᵑᵐ
ଢ‫܇ٽ‬Ὁ൦ငཋỉь߻ӏỎᝤ٥
ᩓ‫܇‬஬૰ỉᙌᡯύᝤ٥ӏỎ᠞Јλ
ᵏᵊᵎᵎᵎ
ᵐᵎ
ᵏᵊᵎᵎᵎ
ᵓᵎ
ᵒᵖᵊᵎᵎᵎ
ᵑᵕᵐ
ᵏᵎᵊᵎᵎᵎ
ᵐᵖ
ᶒᵋᵎᵗ
ఇࡸ˟ᅈ
ἯỼἚἙἼỽἚỼỽ἖
ᵏᵗᵗᵓ࠰ᵓஉ
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
ᦟẅᨙ‫پ‬
Ṟᛦྸἣὅỉᙌᡯᝤ٥
ṟࡰ࢘ὉấỆẩụὉ‫ݤ‬Ӯỉᙌᡯᝤ٥
Ṡुᓔỉᙌᡯᝤ٥
ṡ᫩᫢ࡃὉտᒧࡃỉኺփ
ᵗᵊᵎᵎᵎ
ᵏᵊᵗᵎᵎ
ᶒᵋᵏᵎ
ఇࡸ˟ᅈἴἚἉἰ
ᵏᵗᵒᵕ࠰ᵏᵐஉ
ˊᘙӕዸࢫ
ஜ޽ẅႺ࠳
ᐯѣ៻Ὁ࡫ᚨೞ఺ὉἧỻὊἁἼἧἚໜ౨ૢͳ
ᵑᵊᵓᵎᵎ
ᵐᵐᵎ
ᶒᵋᵏᵏ
ᯓఁỾἋẅఇࡸ˟ᅈ
ᵏᵗᵔᵖ࠰ᵔஉ
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
௅ᩌẅᅵ૓
ᾀώᣃࠊỾἋỉᙌᡯɳỎỆɟᑍ̓ዅʙಅ
ᾁώ෩҄ჽ඗ỾἋᝤ٥ӏỎᚨͳỉ̬‫ܣ‬
ᾂώỾἋೞφỉᝤ٥
ᾃώʼᜱဇԼύᅦᅍဇԼỉᝤ٥
ᶒᵋᵏᵐ
ఇࡸ˟ᅈẅౕήՠࡃ
ᵏᵗᵓᵏ࠰ᵏᵎஉ
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
ౕήẅ௿ɟ
ᾀώ቟ᰳύᠾငཋỉᨼᒵύểạችύь߻ӏỎᝤ٥
ᾁώᆝཋύ᫫૰ύᏄ૰ӏỎ᫢ኋԼỉᙌᡯύь߻ύ
ᝤ٥ύːʼ
ᵑᵊᵎᵎᵎ
ᵐᵑ
ᶒᵋᵏᵑ
ఇࡸ˟ᅈ
ᯓఁನϋἑἁἉὊ
ᵏᵗᵔᵖ࠰ᵏᵎஉ
૬ᕲẅऑ‫ܨ‬
ṞἑἁἉὊ‫៻׹ݱ‬ᾄ὿Ө
ṟᅦᅍἑἁἉὊίἼἧἚ˄Ὁ៻ỶἋύἫἕἚ‫ࣖݣ‬ὸᾀ
Өᾉग़ᆅẅỤẪỤẪἑἁἉὊἻἁἒ
Ṡᢃ᠃ˊᘍ
ᵐᵊᵎᵎᵎ
ᵖᵎ
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
ᕲဋẅ᭗
൦ᆖဇᨊᒬдύൈᖓдὉൈἒἝдύൈᓏдύᨊ
ᒬдύ᧸၃дὉѣཋဇҔᕤԼὉ᧸ᗷдὉൈᱝдύ
ѣཋဇҔᕤԼ
ᵐᵊᵎᵎᵎ
ᵋ
௷ဋẅҢဏ
ฌ෬᫩૰൦ỉᙌᡯ
ᶒᵋᵏᵒ
ᶒᵋᵏᵓ
ᶒᵋᵏᵔ
ᶒᵋᵏᵕ
ᶒᵋᵏᵖ
‫ܢ‬ᣃܷ҄঺߻ಅ
ఇࡸ˟ᅈ
ᵏᵗᵓᵏ࠰ᵏᵏஉ
ἅỽὉἅὊἻỸỹἋἚ
ἩἿἒἁ἖ఇࡸ˟ᅈ
ఇࡸ˟ᅈẅᕲஜཋင
ᵏᵗᵒᵖ࠰ᵔஉ
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
ᕲஜẅͤʼ
᧙ᙱᣞእఇࡸ˟ᅈ
ᵏᵗᵕᵔ࠰ᵐஉ
ఇࡸ˟ᅈἇὅἍὊἽἱỿ
ᵏᵗᵗᵓ࠰ᵏᵐஉ
ˊᘙӕዸࢫ
ႉჽẅࣙဃ
ˊᘙӕዸࢫᅈᧈ
ிẅܑଯ
Ṟ᩷ௐཋỉࠊ‫ئ‬ợụỉˁλὉᝤ٥ύӏỎႺփᝤ
٥
ṟဃင‫ע‬ợụႺ੗ˁλύἘἜὅἚʙಅ
Ṡ᠞λ᩷ௐཋỉҵ٥
ṡἢἜἜỉბᑥь߻ʙಅ
ṢἛἻỶἧἽὊ἖᫏ỉҵ٥ʙಅ
ṣ᩷ௐཋỉь߻ಅѦ
Ҕᕤᢿ‫ٳ‬ԼỉᙌᡯӏỎᝤ٥
҄ታԼỉᙌᡯӏỎᝤ٥
҄ታԼύჽᰣ᫏ύඹд᫏ỉ˖ဒύ᧏ႆύᙌᡯ
ᵐᵎᵊᵎᵎᵎ
ᵐᵑ
ᵏᵎᵊᵎᵎᵎ
ᵋ
ᵑᵊᵔᵎᵎ
ᵔᵑ
ἣὊἚᨊẪ
ᵕᵊᵎᵎᵎ
ᵏᵎᵎ
ᵓᵊᵎᵎᵎ
ᵗᵑ
(注)資本金:万円,従業員:人(非正規雇用を含む).コカ・コーラウェストプロダクツ株式会社はアンケート回答
のみのため,企業情報が一部欠落している.
(筆者作成)
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(筆者作成)
61
図 4 事業所形態別の立地年数
ஜᅈ
(筆者作成)
(583)
ஜᅈ
ˌ‫ٳ‬
ˌ‫ٳ‬
図 5 事業所形態別の資本金規模
栖市の企業が 5 社,福岡市を含めて近隣地域か
ら移転した企業が 7 社,熊本県からの進出が 1
答の概要を記す(回答のまとめは表 6 を参照).
【A─3, 4】事業所の移転状況とその理由
社,
本州からの進出が 5 社である.
インタビュー
鳥栖市は,九州のなかでも鉄道の分岐点と高
対象者 25 名(うち,経営者 7 名,事業責任者
速道路のジャンクションがあるために交通の便
12 名,代理者 6 名,6 社については複数名で対
がよく,事業所立地理由の第 1 位に地理的な優
応)である.以下に,主な質問項目に対する回
位性があげられている.続いて,経済的な優遇
62
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
(584)
表 6 主な調査項目と集計結果
ឋբ
ᵬᶍᵌ
ᵟᵋᵑ
ᵟᵋᵒ
ᵟᵋᵔ
ᵟᵋᵕ
ᵠᵋᵏ
ᵠᵋᵔ
ᵠᵋᵕ
ឋբϋܾ
ᢠ৸
‫ׅ‬ሉϋܾ
ဪӭ
ᨼᚘૠ
ឋբ
ᵬᶍᵌ
ឋբϋܾ
ᝮᅈίʙಅ৑ὸỊύỄẮẦỤᯓఁ ᯓఁࠊᵘᵓύᅦ‫ࠊޢ‬ᵘᵑύᡈᨩ˂‫ע‬
؏ᵘᵔύஜ‫ם‬ᵘᵒ
ࠊỆᆆẾềẨộẲẺẦᾎ
ẸủỊễặỂẴẦᾎίᙐૠ‫ׅ‬
ሉὸ
ẝễẺỊύỄẮẦỤྵ‫נ‬ỉấ˰
ộẟỆᆆẾềẨộẲẺẦᾎ
ẸủỊễặỂẴẦᾎίᙐૠ‫ׅ‬
ሉὸ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵕ
ᵖ
ᵗ
ኺฎႎễΟᢀਜ਼ፗ
‫ྸע‬ႎễΟˮࣱ
ʴ஬ởҾ૰ễỄ᝻เྒࢽ
ࠊ‫ࢽྒئ‬
ӕࡽέỆᡈẟ
ộỪụỉʴᏦ
‫؏ע‬ỉႆ‫ࣱޒ‬
˰ỚợẟẦỤ
࠼ẟἋἬὊἋ
Ẹỉ˂ί‫ע‬ᩗᘮܹỉẺ
ᵏᵎ
Ờᵘᵏύʙಅਘ‫ٻ‬ỉẺỜᵘᵏὸ
Ẹủẹủỉếễầụỉ᣻ᙲẰỆ
ếẟềύ˴ửؕแỆẲềẟộẴ
Ầᾎ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵕ
ᵖ
ᵗ
ᵏᵎ
ᵏᵏ
ൢͅὉ୎ᚇ
ཋ̖ởဃ෇ἅἋἚ
ܼଈởᚃଈầẟỦ
‫̓܇‬ỉ‫ܖ‬ఄ
Ꮀ‫ئ‬ầẝỦ
‫؏ע‬ỉ᫘‫ם‬ở૨҄
ộỪụỉʴᏦ
ಏẲẟộẼ
‫ܤ‬μὉ‫࣎ܤ‬
ᅈ˟଀ᚨ
ᘍ૎ἇὊἥἋ
Ẹỉ˂ί˰‫ܡ‬ទλᵘᵑύʩᡫ
ᵏᵐ
ỉ̝ᵘᵏὸ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵕ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵕ
ᵖ
ᵗ
ᵠᵋᵖ
ɥˮᾂếỉếễầụỉႻ৖ểύ
Ễỉᆉࡇỉ᫁ࡇỂ੗ᚑẲềẟộ
ẴẦᾎ
ᵠᵋᵗ
ɥˮᾂếỉếễầụỉႻ৖Ầ
ỤύỄỉợạễࢨ᪪ửӖẬộẴ
Ầᾎ
ᵠᵋᵏᵎ
ɥˮᾂếỉếễầụỉႻ৖Ệ‫ݣ‬
ẲềύỄỉợạễࢨ᪪ửɨảềẟ
Ủể࣬ẟộẴẦᾎ
ᵠᵋᵏᵏ
ẮủộỂύɥˮᾂếỉếễầụẦ
ỤύỄỉợạễ঺ௐầࢽỤủộẲ
ẺẦᾎίᙐૠ‫ׅ‬ሉὸ
(筆者作成) ᵡᵋᵏ
ɥˮᾂếỉếễầụầỂẨẺ
ẨẾẦẬỊ˴ỂẴẦᾎίᙐૠ‫ׅ‬
ሉὸ
ᵗ
ᵡᵋᵓ
ᵐ
இờૼẲẪᚐෞẲẺếễầụỊ
ỄủỂẴẦᾎ
ᯓఁࠊᵘᵔύᅦ‫ࠊޢ‬ᵘᵐύᡈᨩ˂‫ע‬
؏ᵘᵒύჄ‫ٳ‬ᵘᵒ
ᝮᅈίʙಅ৑ὸỊύӕࡽέˌ‫ٳ‬
ỂύỄỉợạễኵጢểếễầụử ί‫˳ׇ‬ૠỂᨼᚘὸ
ਤẾềẟộẴẦᾎ
ɥˮᾂếỆếẟềύếễầụỊ
ẟếẦỤዓẟềẟộẴẦᾎ
ᵓ
ᵗ
ᵐ
ᵎ
ᵐ
ᵐ
ᵎ
ᵎ
ᵑ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵕ
῍ᵓ࠰
῍ᵏᵎ࠰
῍ᵏᵓ࠰
῍ᵐᵎ࠰
῍ᵐᵓ࠰
῍ᵑᵎ࠰
ᵑᵎ࠰ˌɥ
ἥἊ἟ἋɥỉἳἼἕἚ
̖͌ỉẝỦऴ‫إ‬
ᙀ‫ܦ‬ႎễࢫл
২ᘐῒἠỸἡỸૅੲ
἟ὊἲἢἼἷὊ
ἻỶἢἽࣱ
ʴႎ᝻เ
ኺփܱѦ
Ẹỉ˂ίấ˄Ẩӳẟᵘᵓύ‫ע‬
؏ỉẺỜᵘᵐύႻᛩᆸӝᵘᵏύ
ἅἱἷἝἃὊἉἹὅᵘᵏύཎỆ
ễẲᵘᵏὸ
ᡵᾀ‫ˌׅ‬ɥ
உỆૠ‫ׅ‬
உᾀ‫ׅ‬
࠰Ệૠ‫ׅ‬
࠰ᾀ‫ׅ‬
ૠ࠰Ệᾀ‫ׅ‬
‫ٻ‬Ẩễࢨ᪪ửӖẬỦ
ẝỦᆉࡇỉࢨ᪪ửӖẬỦ
ཎỆࢨ᪪ỊӖẬễẟ
ἰỶἜἋỉࢨ᪪ửӖẬỦ
‫ٻ‬Ẩễࢨ᪪ửɨảỦ
ẝỦᆉࡇࢨ᪪ửɨảỦ
ཎỆࢨ᪪Ịɨảễẟ
ἰỶἜἋỉࢨ᪪ửɨảỦ
٥ɥậὉМႩầ‫ف‬ь
ૼẲẟჷᜤὉऴ‫إ‬
ἥἊ἟ἋɥỉἤὅἚ
ʴ஬ʩ්ầỂẨẺ
σӷʙಅὉσӷ᧏ႆ
Ẹỉ˂ίኵጢો᪃ᵘᵏὸ
ễẲ
ᵎ
ᵎ
ᵔ
ᵏ
ᵖ
ᵎ
ᵏ
ᵎ
ᵎ
ᵎ
ᵎ
ᵡᵋᵔ
ẸỉếễầụửᚐෞẲẺྸဌỊ
˴ỂẴẦᾎίᙐૠ‫ׅ‬ሉὸ
ᵡᵋᵕ
ờẲૼẲẟếễầụầỂẨỦểẲ
ẺỤύỄỉợạễờỉử൭ỜộẴ
Ầᾎίᙐૠ‫ׅ‬ሉὸ
ᵒ
ᵏᵎᵏ‫˳ׇ‬
࠯‫ר‬ᾉᵓᵌᵔ
ᵕ
ᵕ
ᵏ
ᵓ
ᵒ
ᵑ
ᵏᵒ
ᵏᵐ
ᵐᵔ
ᵐ
ᵓ
ᵑ
ᵎ
ᵐ
ᵏ
ᵢᵋᵏ
ếễầụỉૠỊύˌЭỆൔỔề
‫ف‬ảộẲẺẦύẝỦẟỊถụộẲ
ẺẦᾎ
ᵢᵋᵐ
ɥˮᵑếỉếễầụỊύˌЭể
ൔỔềࢍẪễụộẲẺẦύẝỦẟ
ỊࢊẪễụộẲẺẦᾎ
ᵏᵎ
ᵢᵋᵑ
ᵎ
ᵓ
ᵏᵑ
ᵏᵕ
ᵑ
ᵐ
ᵓ
ᵏᵗ
ᵏᵓ
ᵎ
ᵒ
ᵏᵖ
ᵏᵔ
ᵎ
ᵐ
ᵐᵒ
ᵕ
ᵏᵕ
ᵐ
ᵏ
ᵔ
ᢠ৸
ဪӭ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵕ
ᵖ
ễặẸỉợạễ‫҄٭‬ầྵủẺỉ
ỂẲỢạẦᾎίᙐૠ‫ׅ‬ሉὸ
ᵢᵋᵒ
ɥˮᾂếỉếễầụỊύዜਤẴ
ỦẺỜỉἅἋἚầẦẦụộẴẦᾎ
ᵣᵋᵏ
ᯓఁࠊỉẐᑣẰẑỊύỄỮễẮể
ỂẴẦᾎίᙐૠ‫ׅ‬ሉὸ
‫ׅ‬ሉϋܾ
ᢅӊỉࡨᧈ
ӕࡽέỉኰʼ
ஊщᎍỉኰʼ
πσ‫˳ׇ‬ỉːʼ
̾ʴỉʴᏦ
ˁʙɥ࣏ᙲẻẦỤ
Ⴛ৖έẦỤỉѰᛔ
‫؏ע‬ểẲề࢘໱
Ẹỉ˂ί‫؏ע‬ỉऴ‫إ‬ầ࣏
ᙲᵘᵏὸ
ί‫˳ׇ‬ૠỂᨼᚘὸ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵕ
ᵖ
ᵏ
ᵐ
ᵑ
ᵒ
ᵓ
ᵔ
ᵕ
ᵖ
ἅἋἚầẦẦỦ
ἳἼἕἚầễẟ
࢟᭏҄ẲềẟỦ
ἚἻἨἽầẝẾẺ
଺᧓ửểỤủỦ
ျᢒὉᐯ໱ෞ๒
Ẹỉ˂ίਃ࢘ᎍầီѣᵘᵏὸ
ễẲ
‫؏ע‬ϋӷಅᆔ
‫؏ע‬ϋီಅᆔ
‫ٳ؏ע‬ӷಅᆔ
‫ီٳ؏ע‬ಅᆔ
πσ‫˳ׇ‬
‫ܖٻ‬Ὁᄂᆮೞ᧙
ᾝᾟᾞ὾ᾝᾖᾞ
ෙ‫ٳ‬ʙಅᎍ
Ẹỉ˂ίі΁щᄩ̬ᵘᵏύҾ
ᵗ
૰ἳὊỽểᵘᵏὸ
ᵏᵎ ൭Ờễẟ
ᵏ ‫ٻ‬ẨẪ‫ف‬ảẺ
ᵐ ẝỦᆉࡇ‫ف‬ảẺ
ᵑ ởởถẾẺ
ᵒ ‫ٻ‬ẨẪถẾẺ
ᵓ ‫٭‬ỪỤễẟ
ᵏ ࢍộẾẺ
ᵐ ởởࢍộẾẺ
ᵑ ởởࢊộẾẺ
ᵒ ࢊộẾẺ
ᵓ ‫٭‬ỪỤễẟ
ẔࢍộẾẺྸဌẕ
ᵏ ੗ᚑỉೞ˟ầ‫ف‬ảẺ
ᵐ ૼẲẟ᩿ͨửႆᙸẲẺ
ᵑ ἳἼἕἚầ‫ف‬ảẺ
ᵒ ૼẲẟ෇ѣầ‫ڼ‬ộẾẺ
ᵓ ʴႎʩ්ầ࠼ầẾẺ
Ẹỉ˂ίἝὊἌỉ‫ٶ‬ಮ҄Ệ
ᵔ
‫ࣖݣ‬ẲềẪủẺᵘᵏὸ
ẔࢊộẾẺྸဌẕ
ᵕ ੗ᚑỉೞ˟ầถẾẺ
ᵖ ἰὅ἟Ἴ҄
ᵗ ἳἼἕἚầถẾẺ
ᵏᵎ ෇ѣầͣ๛ẲềẟỦ
ᵏᵏ ʴႎʩ්ầ࠼ầỤễẟ
Ẹỉ˂ίኺփफ҄ỉẺỜᾉ
ᵏᵐ ᵏύஜᅈỆೞᏡửᆆሥẲẺ
ᾀᾉᾀὸ
ᵏ ‫ٻٶ‬ễἅἋἚầẦẦỦ
ᵐ ႻࣖỉἅἋἚầẦẦỦ
ᵑ ẝộụἅἋἚỊẦẦỤễẟ
ᵒ μẪἅἋἚỊẦẦỤễẟ
ᵏ ᚇή᝻เ
ᵐ ộẼỉ୎ᚇ
ᵑ ഭӪὉ૨҄
ᵒ ཎငԼ
ᵓ ‫ע‬ӸἨἻὅἛ
ᵔ ỶἫὅἚ
ᵕ ʴ
ᵖ ˰࿢‫ؾ‬
ᵗ
Ẹỉ˂ίʩᡫỉ̝ᵘᵏᵐύᐯ
໱ᵘᵐὸ
ᨼᚘૠ
ᵏᵎ
ᵑ
ᵏ
ᵑ
ᵐ
ᵏᵒ
ᵕ
ᵏᵏ
ᵏ
ᵑˑ
࠯‫ר‬ᵘᵎᵌᵐˑ
ᵎ
ᵏ
ᵏ
ᵎ
ᵎ
ᵎ
ᵏ
ᵏᵓ
ᵐ
ᵓ
ᵐ
ᵔ
ᵏ
ᵑ
ᵏ
ᵎ
ᵐ
ᵏ
ᵎ
ᵒ
ᵎ
ᵎ
ᵏᵐ
ᵓ
ᵏᵓ
ᵏ
ᵓ
ᵏᵖ
ᵏᵏ
ᵒ
ᵑ
ᵑ
ᵕ
ᵏ
ᵎ
ᵎ
ᵏ
ᵏ
ᵎ
ᵐ
ᵎ
ᵏᵑ
ᵐᵑ
ᵎ
ᵏ
ᵏ
ᵐ
ᵎ
ᵐ
ᵎ
ᵎ
ᵏᵎ
ᵏᵒ
地域における産業集積の変化(五十嵐)
措置が理由の第 2 位である.
【A─6, 7】住居移転の理由
(585)
63
ある.この 2 つの回答が際立って高い.
【B─8】接触の頻度
住む場所の決定要因は,職場,家族の関係,
団体や連携活動に,どの程度の頻度で参加し
住宅購入の 3 つに集中している.鳥栖市は相対
ているかについては,年に数回と月に 1 回とい
的に地価が安く,住宅の取得が他の地域に比べ
う回答が圧倒的で,全回答数の 75% を占めて
ると容易であることが起因している.
いる.また,月に数回という活動頻度がやや高
【B─1, 6】団体加入や連携の数と経過年数
い 5 件の回答のうち,4 件はつながりの強さが
企業組織への加入や団体活動への参加,ある
以前に比べて強まっていると回答している.接
い は 取引関係以外 の 連携活動 な ど,事業所 が
触の頻度とつながりの強さはある程度の相関が
もっているつながりの数は,平均すると 1 社あ
たり 5.6 である.なかでもつながりの数 23 が 1
あると解釈することができる.
【B─9, 10】団体活動の影響度
社と 14 が 1 社あり,群を抜いている.23 のつ
団体活動や連携活動のなかで,「大きな影響
ながりをもつ企業は,鳥栖市に本社を置く地元
を受ける」と「ある程度の影響を受ける」を合
の老舗企業で,つながりの内訳は同業団体が 8,
わせると,回答の約 6 割強を占める.「また影
経済団体が 7,ボランティア団体が 4,親睦そ
響を与えている」も 6 割弱の回答を得ている.
の他が 4 である.同社は,団体活動にメリット
このことから,親睦的な関係や形式的な関係で
を求めるよりは,地域の古参企業として組織活
あっても,活動を通じて意味のある情報が交換
動をリードしていくという使命感をもって,多
されていることがうかがえる.
くの団体で理事長や役員などの役割を担ってい
【B─11】団体活動の成果
る.また 14 のつながりをもつ企業も同様に鳥
団体活動や連携活動のなかから得られる成果
栖市の本社を置く企業で,積極的に外部連携を
については,「知識・情報」が第 1 位で,24 件
求めるタイプの企業である.14 のつながりの
の回答を得ている.次いで,人材交流が第 2 位
内訳 は,同業団体が 4,経済団体が 6,そして
で 17 件の回答である.外部との継続的な接触
公共関連や大学連携などその他が 4 となってい
は,やはり企業の中だけでは得られない情報の
る.つながりを通じた組織改革や研究開発,ビ
流通を生み出し,それによって人材の交流も促
ジネス連携など,成果に結びつく活動が顕著で
進されると推測することができる.
ある.
【B─7】つながりの重要さ
【C─1】つながりのきっかけ
つながりのきっかけについては,同業者団体
重要度が高いと認識しているつながりは,同
を中心に「仕事上必要である」という回答がトッ
業種のつながりを第 1 位にあげる回答が 6 件,
プの 14 件であった.また,工業団地内の集ま
異業種のつながりを第 1 位にあげる回答が 7 件
りのようなつながりに対しては,「地域として
と,ほぼ拮抗した結果であった.その他,大学
当然」という回答が 11 件あり,地域のなかで
とのつながりを第 1 位にあげる回答が 1 件と,
社会的な関係を保とうとする認識は広く共有さ
つながりを不要とする回答が 2 件あった.この
れているように見受けられる.さらに,「過去
2 件はともに,地域外本社の分工場として立地
の延長」という回答が 10 件あり,第 3 位である.
している事業所で,本社指向が強いために地域
一度できあがったつながりは尊重され,特別な
のなかでのつながりを求めていない.
理由がない限りは解消されない.
つながりの重要さの基準については,
「情報
【C─5】つながりの解消
を 得 る こ と」が 第一 で,26 件 の 回答 で あ る.
つながりを解消したケースは少数例あった.
次いで,
「ビジネスのヒント」が 12 件の回答で
メリットがなくなったために解消したケースが
64
(586)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
1 件と,組織の変動によってつながりが途切れ
が 12 件,「住環境」が 10 件で,住みやすさを
てしまったケースが 2 件である.
強調する回答が圧倒的に多かった.
【C─7】新たなつながり
今後の新しいつながりに対しては,業種や立
5 分析と考察
場によって回答が分散した.地域外異業種との
5. 1 鳥栖市のつながりの特徴
つながりを求める回答が 6 件,地域内異業種と
インタビュー調査によって得られたデータを
のつながりを求める回答が 5 件であった.いず
もとに,鳥栖市という地域におけるつながりの
れもビジネスに結びつく期待と,斬新な発想や
特徴 を ま と め た(表 7).同業種団体 は,陳情
アイデアに対する期待が混在している.また,
や行政からの情報伝達など,伝統的な行動をと
大学や研究機関との連携を求める回答も 3 件
るパターンが多く,参加メンバー間の活性度は
あった.
高いとはいえない.多くのメンバーは情報収集
【D─1, 2】つながりの数と強さの変化
など限定された活動が中心で,形式的な参加に
つ な が り の 数 が「ある程度増えた」が 4 件
留まっている.
のみで,
「変わらない」が 12 件,
「減った」は
異業種に対する経営者の考えには開きがあ
0 件であった.新しいつながりに対する期待は
る.鳥栖に分工場を開設していても,本社との
あるが,負荷の増大を考えるとなかなか実現で
つながりが強い事業所は,あえて分工場が立地
きないでいると思われる.また,つながりの強
している地域の団体活動に参加するメリットを
さについては,
「強まった」と「やや強まった」
もたない.一方で,異業種の多様性を評価し,
を合わせた回答が 20 件で,
「弱まった」と「や
新しいビジネスの可能性を積極的に考えている
や弱まった」を合わせた 6 件を大幅に超えてい
経営者もいる.また,異業種が顧客となる支援
る.全体的に,つながりはそのまま維持される
産業的な業種の企業は,明らかにビジネスを意
か,あるいは強まる方向に変化していることが
識した異業種交流を行っている.
わかる.
地域に対するスタンスは,各社ともそれなり
【D─3】変化の理由
に重視している.ただし,重視の観点は一様で
つながりが強まった理由は,
「接触の機会が
はない.地域を市場とみている業種では,地域
増えた」と「人的交流の拡大」がそれぞれ 11
のなかにどれだけ浸透できるかを考えて,人材
件と 7 件で,第 1 位と第 2 位である.一般的に
交流や親睦活動に参加し地域との関係強化を進
い わ れ て い る,
「Face-to-face の 接触機会 が 増
めている.また,地域に立地しているからには,
えることで,相手に対する信頼が強化される」
何らかの責務を地域に対して果たすべきである
ことは,今回の調査でも成立していると思われ
という立場で,地域貢献活動を行っている企業
る.
も多い.鳥栖商工会議所内に事務局を置く「廿
【D─4】つながりのコスト
つながりを維持するためのコストについて,
「あまりコストはかかっていない」と感じてい
日会」は,地元と外来の有力企業が参加してい
るが,外部からの進出企業が定着することに貢
献している.
る回答 が 23 件,
「相応のコストがかかってい
一部の企業は,大学と密接な連携をとって,
る」と感じている回答 13 と合わせると,経営
共同事業や製品開発に取り組んでいる.大学と
者は,つながりのコストを大きな負担であると
接点をもとうとする企業は調査企業のなかでは
は感じていない.
少数であるが,大学との連携を深め,有意な成
【E─1】地域の「良さ」
地域の良さを感じる項目として,
「交通の便」
果に結び付けている企業もある.
全般的には,鳥栖市に立地している企業は,
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(587)
65
表 7 鳥栖市におけるつながりの特徴
ỽἘἆἼ
ếễầụỉཎࣉ
ӷಅᆔ
Ὁऴ‫إ‬ӓᨼầɶ࣎ỉ࢟ࡸႎễếễầụώ
ὉᆋСો᪃ễỄỂᨑऴᘍѣửẴỦ‫˳ׇ‬ờẝỦώ
ὉӷಅểẲềኽளầࢍẪऴ‫إ‬ʩ੭ầ݅ễ‫˳ׇ‬ờẝỦầύếễầụỊ
࠰ẉᕓủềẟỦώ
ῒӷಅမϋỂờࢽॖɧࢽॖầẝụύऴ‫إ‬ʩ੭ửᡫẳềἥἊ἟ἋỆếễ
ầỦẮểờẝỦώ
ီಅᆔ
ὉஜᅈỊჄ‫ٳ‬ễỉỂύ‫ע‬Ψỉ‫˳ׇ‬ỆλẾềờἳἼἕἚỊẝộụễẟώ
ὉီಅᆔỊႆेầᝅẦỂύૼẲẟἥἊ἟ἋỉӧᏡࣱầẝỦώ
Ὁࢄဃầɯ˖ಅ˟ί᩼πࡸ‫˳ׇ‬ὸỆỊᡈᨩỉ˖ಅầьλẲềẟỦώ‫ע‬
؏ỉἮἻὅἘỵỴ෇ѣửᘍễạấ˄Ẩӳẟ‫˳ׇ‬ώ
ῒՠ߻ἍὅἑὊỊ‫෇؏ע‬ѣểᚃკύʴ஬ʩ්ầɶ࣎ώ
Ὁՠ߻ἍὅἑὊỊ‫ٳ‬ᢿểỉऴ‫إ‬੗ໜởႻᛩᆸӝểẲềỉೞᏡửờếώ
ὉἥἊ἟ἋỉẺỜỆီಅᆔểỉ੗ໜử࠼ậẺẟώ
‫؏ע‬ỉᙻໜ
ὉЎ߻‫ئ‬ẻầփಅἘἼἚἼểẲề‫݅؏ע‬ბểẟạ૾ᤆầẝỦώ
Ὁ࡯ଐ˟Ịஊщ˖ಅầӋьẲề‫ٳ‬ஹᎍể‫ע‬ΨỉᗡԧỆᝡྂẲềẟ
Ủώ
Ὁ‫ٳ‬ẦỤஹẺ˖ಅỊᯓఁỆஹềẝộụ‫؏ע‬Ệ๋ẬᡂờạểẲễẟώ
င‫ܖ‬ᡲઃ
πσỉࢫл
ᾡὶᾓ
Ὁᧈ࠰ύɶ஭‫ܖٻטܖ‬ểσӷᄂᆮửᡶỜềẟỦώ
Ὁʋ߸‫ܖٻ‬ύʋ߸ငಅ‫ܖٻ‬ểɧ‫ܭ‬஖Ệ੗ᚑầẝỦώ
ὉἋἯἕἚỂᙌԼ᧏ႆỉẺỜỆ‫ܖٻ‬ểᄂᆮ˟ửờếώ
ὉჄỉɶ‫˖ݱ‬ಅૅੲᆸӝỂˁʙỉἰἕἓὅἂửẲềẟỦώẸẮỆӋь
ẴỦώ
Ὁ˱᝶Ⴤՠ߻ᢿầμ‫ᙹ׎‬೉ỉ‫ޒ‬ᅆ˟Ệ˱᝶ჄἨὊἋửဇॖẲύ˂ỉ
ᵏᵎᅈểɟደỆЈ‫ޒ‬ẴỦώ
ὉỖểỮỄỉЎ߻‫ئ‬ỂỊύᄂᆮ᧏ႆỊஜᅈỂᘍễẾềẟỦώɟᢿỉ˖
ಅẻẬầᄂᆮ᧏ႆửᐯЭỂᘍễẾềẟỦώɼễऴ‫إ‬เỊҾ஬૰ἳὊ
ỽỂẝỦώ
Ὁ᫢ԼᙌᡯಅỂỊύૼՠԼ᧏ႆỆӕụኵỮỂẟỦầύཋ්ಅở‫ܭܤ‬Ẳ
Ẻ২ᘐửဇẟỦᙌԼỉᙌᡯಅỂỊᾡὶᾓỆ‫ݣ‬ẴỦᛔࡽỊ‫ݲ‬ễẟώ
(筆者作成)
多くが交通の便という物理的なアドバンテージ
る.九州中国クラブは中国とかかわりのある異
を最大限に活用して事業を営んでいる.その反
業種企業の集まりで,H社もメンバーとなって
面,企業間の関係は表層的なものにならざるを
いる.H社自身が製造拠点を中国に移し,中国
得ず,新しいビジネスの展開という面では活動
とのかかわりをもちながらビジネスをしている
が限定されている.
本調査のデータのなかから,
ので,九州という地の利を活かしたビジネスに
共同事業,共同研究,
イノベーションに関して,
発展させたいと考えていた.
具体的な成果に結びついたつながりについて,
中国の煙台はワイン作りで有名で,寒い季節
以下に 4 社 5 件の事例をあげる.
に収穫したブドウで作ったワイン(アイスワイ
①事例 1:H社 に お け る 異業種 ビ ジ ネ ス へ の
ン)は非常に濃厚で,日本への輸出がすでに始
関わり
まっている.九州クラブが主体となって福岡で
作業用手袋,作業用靴下およびタオルの製造
旧正月のイベントを立ち上げ,アイスワインを
と販売を営んでいるH社の社長H氏は,多様性
出展した.H社もこの事業の参画メンバーとし
を重視し,積極的に異業種活動に取り組んでい
て活動している.
66
(588)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
②事例 2:T社による大学との共同研究
能性が見えてきた.成果の権利は大学に帰属
業務用食品卸販売とコーヒーの製造販売を営
し,販売権をM社がとるスキームでビジネス化
むT社は,長期にわたって福岡の中村学園大学
する.
と共同研究を続けている.同大学にはコーヒー
⑤事例 5:競争相手 と の ア ラ イ ア ン ス に よ る
の香りを分析しているところがあり,そこに研
共同事業化
究費などを出して支援した.また系列の中村調
国内青果物と輸入青果物の卸販売を手掛ける
理師学校に新しい食材や新商品を提供し栄養分
F社は,取引先(量販店)のニーズ変化に直面
析や調理方法を試してもらい,情報をもらう.
し,青果の卸として消費者に受け入れられる商
現在は資金支援だけでなく,双方向の共同研究
品(企画・価格)をつくらなければならない時
も行っている.講師を派遣したり,食材を提供
代になってきたことを痛感した.輸入商材の
している.
マーケットは,国産市場に比べると簡素化が進
③事例 3:M社 に よ る 生産者 ネット ワーク の
み,それに対応できない会社は淘汰されてしま
構築
う.そのためには横のつながりや情報が重要で
米麦,農産物の加工販売を手掛けるM社は,
ある.量販店に輸入品を納める業者どうしは競
多角化の一環としてペットフード事業に参入し
争相手であるが,その集まりを通じて,共同事
た.これまでのM社のビジネスは,供給者の論
業化を検討した.有力企業がリーダになり,メ
理であった.ペットフードの卸・小売の発想に
ンバー企業が出資して事業を立ち上げた.地域
接して,ビジネスの考え方を顧客主体に大きく
間の協力による販売や納品の代行,新しく開発
転換した.4 年前の台風で,大豆の生産が 40%
した製品をグループの中で売ってもらう,など
に激減したことがある.栃木の顧客に,不可抗
の共同事業を行っている.輸入業者の集まりは
力の理由で予定数量納められないことを伝えて
異業種でもあり,さまざまな新しい発想を得る
お詫びしたが,顧客は必要量の供給を見込んで
ことができる.貴重なアイデアも隠さずにオー
いたため,激怒した.このときM社は,いかな
プンにできるようになった.
る理由でもビジネスの約束は守るべきで,取引
相手は安定供給をなによりも望んでいることを
5. 2 事例のまとめ
理解した.M社は全国の大豆産地にある企業 5
前項 で は,18 社 の 調査 データ か ら,鳥栖市
社に声をかけ,大豆の私的ネットワークを立ち
におけるつながりの特徴と,成果を生み出した
上げた.どこかで被害を受けても,他の地域で
5 件の事例について述べた.総じて,鳥栖市で
カバーできるような取り決めを結んだ.
は多数の企業が進出しているにもかかわらず,
④事例 4:大学との連携による品種改良研究
地域の中でのつながりやビジネスの連携は決し
M社は古くから佐賀大学農学部と大豆の共同
て活発であるとはいえない.それは,調査デー
研究を行っている.1 クール(ひとつの品種に
タからもわかるように,鳥栖市の地域競争力の
対する試作評価のサイクル)は約 5 年かかる.
源泉が,交通の利便性という物理的なアドバン
時間がかかってもどのような結果が得られるか
テージに強く結びついているからである.その
分からないため,品種改良の試みはリスクが大
ため,交通の利便性を誘因として進出した企業
きい.M社は佐賀大学との共同研究を粘り強く
どうしは,多くの場合そのままではビジネスの
継続した.年間 50 万円の研究支援費で,20 年
関心を共有することは少ない.
で 1000 万円投資している.佐賀大学はアイオ
前項で述べた 5 件の事例は,どれも関連する
ワ大学とも連携して,試作種を米国でも栽培実
地域のアクターの努力や創意工夫が成果に結び
験している.最近になってようやく商品化の可
ついたものであるが,5 件中 4 件は,地域外と
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(589)
67
のつながりによる活動である.さらに,これら
鳥栖市 は 1954 年 に 工場誘致条例 を 制定 し,
事例は,つながりによる活動と生み出された成
誘致活動を始めているので,そこから数えると,
果が関係者の間に埋没しており,地域全体への
集積としては 50 年近い時間が経過したことに
波及効果が乏しい.
なる.鳥栖市は 1950 年代にはすでに鉄道の結
もともと鳥栖市は九州における交通の要衝の
節点となっていたことから,貨物輸送に関する
位置にあり,地理的な優位性を活かして早くか
利便性は高く,「物理的アドバンテージ」はも
ら企業誘致に取り組んできた.鳥栖市がもつ地
ともと高かったといえる.さらに 1973 年に鳥
理的な優位性はその後の継続的な投資努力によ
栖ジャンクションが開通し,道路網が整備され
り,現在でも維持されている.このために,地
たことで「物理的アドバンテージ」はさらに高
理的な優位性は,鳥栖市に立地する企業に便益
まったと思われる.
を与えることで企業が地域に定着する大きな要
鳥栖市は,「物理的アドバンテージ」を強み
因になっている.また鳥栖市は,近隣の地域に
として順調に誘致企業数を増加させていった
比べても地価が安く,物価も相対的に安い.こ
が,立地企業が受ける規模のメリットや近接性
うした安定した住環境のため,全国的に人口の
のメリットはそのまま増加しているとはいえな
増加が停滞しているなかにあって,鳥栖市は人
い.立地する企業が異業種であることと,バ
口の増加が続いている.
リューチェーン の 交差 し な い 企業 の 立地 が 多
鳥栖市の工業団地は,グリーン・ロジスティ
く,取引関係での利点は少なく,規模の経済も
クス・パークが物流業に特化している以外は,
発揮しにくい.支援産業はある程度整備されて
異業種集積を形成している.そのために,同業
いるので,進出企業,および地元企業にとって,
種集積に見られるような横の結束が育ちにく
その点はある程度のメリットが出ていると思わ
い.また,企業誘致を積極的に進めてきたため
れる.
に,外部からの進出企業の比率が高く,廿日会
「つながりのアドバンテージ」については,
のように内外の企業の融和に寄与している組織
事例のまとめで議論したとおり,企業間の横の
活動があるにもかかわらず,異業種交流の機運
つながりは表層的で,イノベーションの創出に
を盛り上げるまでに至っていない.
したがって,
結びついたつながりは少数である.また,団地
横のつながりは「地域のお付き合い」関係に留
内で組合組織を維持しているのは鳥栖商工団地
まっている.異業種の多様性に価値を見出す経
1 ヵ所 の み で,他 は,鳥栖西部工業団地 の「4
営者は,そのようなつながりをむしろ地域外に
社会」,北部丘陵団地の「弥生が丘企業会」など,
求めて,成果を生み出している.
非公式な親睦団体があるのみである.
その他,地域のなかでコミュニティ的な活動
5. 3 集積論による解釈
をしている組織には,行政,市民,有識者によ
集積論で検討した分析の枠組みを用いて,鳥
る「コミュニティバス運営協議」や,人間交流
栖市の実証データを解釈してみたい.本稿の前
都市としての市の発展を考える市民団体,「鳥
半で,多くの集積論の先行研究のなかから,集
栖コンベンション・シティ委員会」などがある.
積の内部構造の変化に関わる概念を抽出した.
これらの組織は,「街づくり」という共通のテー
それらは,
「物理的アドバンテージ」
,
「集積の
マをもっており,こうした組織活動が活発化す
アドバンテージ」
,そして「つながりのアドバ
ることによって,参加するメンバー間の横のつ
ンテージ」の 3 つの概念である.では,これら
ながりが促進され,つながりのアドバンテージ
の 3 つの概念はどのような関係構造をもってい
を強化させていく可能性はある.以上のように,
るのであろうか.
鳥栖市のアドバンテージ構造を,時間的な変化
68
(590)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
を加味して表わすと,図 6 のようになるであろ
た.これは,単なる地理的近接性のみでは上記
う.
2 つのアドバンテージを強化させることが困難
図 6 は,集積の変化を時間軸で 3 つの時期に
であることを物語っている.
わけて表現している.初めに,集積が発生した
鳥栖市にとって,今後大きな環境の変化に直
時点を「創生期」として表わす.次の段階とし
面したときに,物理的アドバンテージに過度に
て,ある程度の集積規模に達した時期を「発展
依存していることがかえって地域の脆弱性を高
期」とする.一般的には規模の経済などの集積
めるリスクとなっている.すでにその兆候が現
効果が現れる段階に相当する.第 3 の段階は,
れている可能性もある.現実に,西部工業団地
ある程度の集積規模に発展した後に維持されて
では,「4 社会」を構成していた東京エレクト
いく時期で,これを「継続期」とする.
ロンとパナソニックが撤退したことである.両
総じて,鳥栖市のアドバンテージ構造は,当
社は,物理的アドバンテージから得られる便益
初から一貫して物理的アドバンテージが強く機
よりも大きな要因によって,撤退の意思決定を
能しており,現在でも競争優位を保っている.
行ったのである.
物理的アドバンテージの主要な構成要素は「交
集積のアドバンテージやつながりのアドバン
通インフラストラクチャ」である.また,安定
テージを高めるためには,地域のアクターとし
した物価や住宅取得の容易さなどの住環境も,
ての主体的な活動とその蓄積が必要である.鳥
ひとを定着させることに貢献している.これら
栖市にとっては,そのための意図的な地域戦略
の物理的アドバンテージは,
集積の創生期以来,
や長期的な投資プランが必要である.鳥栖市に
現在でも優位性を保っており,
強化されている.
集積する企業が「つながりのアドバンテージ」
「発展期」では,支援産業が現れている.集
に価値を見出すためには,アクター間の相互作
積企業の多くが移出型産業で,域内取引関係が
用を活発化させるような触媒機能が地域のなか
十分ではないこともあり,規模の経済は働いて
に根付くことも重要である.
いない,また,少数例としてアライアンスによ
る共同事業や大学との協働研究があり,つなが
6.おわりに
りのアドバンテージが現れている.これらのア
本稿では,佐賀県鳥栖市の調査事例をとりあ
ドバンテージは,その後の「継続期」にもその
げ,産業集積の変化という視点から分析を行っ
まま引き継がれている.近年の新しい動きとし
た.筆者 は,産業集積 の 変化 を 記述 す る た め
て,地域のアクターによるコミュニティ活動的
に,多くの先行研究の成果を踏まえて,「物理
な動きが見られる.このような「街づくり」の
的アドバンテージ」,「集積のアドバンテージ」,
活動は,つながりのアドバンテージ形成に資す
そして「つながりのアドバンテージ」という 3
るものである.しかしこうした活動が効果を発
つの概念を提示した.この 3 つの概念の組み合
揮するには,さらなる時間が必要と思われる.
わせをもとに,事例調査によって鳥栖市の産業
鳥栖市は,物理的アドバンテージが有効に働
集積がもつ地域固有性の一端を明らかにした.
いている間は,集積としての競争力を維持して
鳥栖市は典型的な Jacobs 型の集積で,本来多
いくであろう.鳥栖市の地理的優位性は,わが
様性の外部経済が期待されるのであるが,地理
国の他の地域と比較してもまだ維持されてい
的優位性の陰に隠れて,大きな可能性が未使用
る.そのために,ひとと企業の動きも増加の傾
のまま活性化されていない.有力企業を誘致す
向を示して入る.しかし,50 年という集積過
ることは,雇用の面からも地域にとって大きな
程のなかで,集積のアドバンテージとつながり
プラス要因であるが,地元企業が自立性を高め,
のアドバンテージは十分に大きくはならなかっ
リスクに挑戦することが進出企業とのつながり
地域における産業集積の変化(五十嵐)
(591)
69
(筆者作成)
図 6 集積構造の変化(鳥栖市のアドバンテージ構造)
を深める機会となる40).
1 枚の西陣織ができあがるまでには多数の細分
筆者が提示した 3 つのアドバンテージの概念
化された工程が必要であり,それぞれが高度に
は,その組み合わせの違いによって多様な固有
専門化された技能によって支えられている.こ
性を説明する枠組みの糸口を与えるものである.
のため,生産工程の階層化,零細業者の独立分
この考え方を先に調査を実施した沖縄県糸満市
化,流通(仲買,問屋)の多層化など,業界独
や,他の地域にあてはめることによって,さら
特の分業構造ができあがった41).
に興味ある展開が期待できる.たとえばわが国
西陣では,宮廷という市場があったこと,高
に は 特有 の 産地(地場産業)が 多数存在 す る.
度な技能者を集めたことが創生期のアドバン
こうした産地集積は,一般に長い歴史的経緯を
テージとなっている.やがて西陣織の需要が宮
もっているので,アドバンテージ構造ももっと
廷から全国に広がっていくと,宮廷という市場
複雑な様相を示すのではないかと予想される.
近接性のアドバンテージは消滅するが,高度な
京都の西陣地域は,西陣織産業の集積地であ
技能の結集や製品開発への取り組みから生み出
り,西陣織は国際的にもブランド力をもった商
された「西陣ブランド」が,新たなアドバンテー
品である.西陣織は,平安時代に宮廷工業とし
ジを構成するようになった.また,西陣織独特
て生産されていた絹織物が起源となっている.
の工程分業のしくみは,ノウハウとして確立さ
40)中村圭介 は,釜石市 の 調査事例 を も と に,
地域の構造転換をリードした主体として,①誘致
によって進出した企業,②地域のコア企業(この
事例では新日鐵),③地元企業の自立,④公共の役
割の 4 つをあげている.(玄田有史・中村尚史編『希
望の再生:釜石の歴史と産業が語るもの』東京大
学出版会,2009 年).
れていった.これは,つながりのアドバンテー
41)西陣織産業については,片方信也著『西陣:
織と住のまちづくり考』つむぎ出版,1995 年,住
生活研究所編『蘇る都市:職人のまち西陣から新
しい市民のまちへ』学芸出版社,1995 年,西陣織
工業組合ホームページ(http://www.nishijin.or.jp/
jpn/jpn.htm)を参照した.
70
(592)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
ジが時間の経過とともに他のアドバンテージか
ら形成されていったプロセスを示している.
このように本稿で示した 3 つのアドバンテー
ジは,長い時間軸のなかで相互に関連し,発生・
転化・消滅という変化を遂げていく性質を持っ
ていることがわかる.今後の課題として,他の
地域のアドバンテージ構造を比較検討してみる
こと,そして 3 つのアドバンテージ概念のさら
なる精緻化に取り組んでいきたい.
参考文献
Armstrong, H., Taylor, J. Regional Economics and
Policy: Third Edition, Blackwell Publishing
Ltd., 2000(佐々木公明監訳『改訂版 地域経
済学 と 地域政策』流通経済大学出版会,2005
年)
.
Camagni, R. “On the Concept of Territorial
Competitiveness: Sound or Misleading?”,
Paper Presented at the ERSA Conference,
Dortmund, August, 2002.
Feldman, M. P., Florida, R. “The Geographic
Sources of Innovation: Technological
Infrastructure and Product Innovation in
the United States”, Annals of the Association
of American Geographers, Vol. 84 ⑵ , 1994, pp.
210─229.
Florida, R. “Toward the Learning Region”,
Future, Vol. 27, No. 5, 1995.
Florida, R. The Rise Of The Creative Class: And How
Itʼs Transforming Work, Leisure, Community and
Everyday Life, Basic Books, 2002(井口典夫訳
『クリエイティブ資本論:新たな経済階級(ク
リエイティブ・クラス)の台頭』ダイヤモン
ド社,2008 年).
Florida, R. The Flight of the Creative Class: The New
Global Competition for Talent, HarperCollins
Publishers Inc., 2005(井口典夫訳『ク リ エ
イティブ・クラスの世紀:新時代の国,都市,
人材の条件』ダイヤモンド社,2007 年).
Fukuyama, F. TRUST: The Social Virtues and the
Creation of Prosperity, Free Press, 1995(加
藤 寛 訳『「信」無 く ば 立 た ず』三 笠 書 房,
1996 年.
Glaeser, E. L., Kallal, H. D., Scheinkman, J. A.,
Schleifer, A. “Growth in Cities”, Journal of
Political Economy, Vol. 100, No. 6, 1992, pp.
1126─1152.
Granovetter, M. “The Strength of Weak Ties”,
American Journal of Sociology, Vol. 78, No. 6,
1973, pp. 1360─1380.
Granovetter, M. “Economic Action and Social
Structure: The Problem of Embeddedness”,
American Journal of Sociology, Vol. 91, No. 3,
1985, pp. 481─510.
Gulati, R. “Network Location and Learning: The
Influence of Network Resources and Firm
Capabilities on Alliance Formation”, Strategic
Management Journal, Vol. 20, 1999, pp. 397─420.
Gulati, R., Nohria, N., Zaheer, A. “Strategic
Networks”, Strategic Management Journal, Vol.
21, 2000, pp. 203─215.
Gulati, R. Managing Network Resources: Alliances,
Affiliations, and Other Relational Assets, Oxford
University Press, 2007.
Henderson, V., “Externalities and Industrial
Development”, Journal of Urban Economics,
Vol. 42, No. 3, 1997, pp. 449─470.
Jacobs, J. The Death and Life of Great American
Cities, Random House, 1961(黒川紀章訳『ア
メ リ カ 大都市 の 死 と 生』鹿島研究出版会,
1977 年)
.
Jacods, J. The Economy of Cities, Random House,
1969(中江利忠他訳『都市の原理』鹿島研究
出版会,1971 年)
.
Jacobs, J. Cities and the Wealth of Nations: Principles
of Economic Life, Random House, 1984(中 村
達也他訳『都市の経済学:発展と衰退のダイ
ナミクス』TBS ブリタニカ,1986 年)
.
Ketels, C. H. M., “The Development of the Cluster
Concept: Present Experiences and Further
Developments”, Paper for NRW Conference on
Clusters, Duisburg, Germany, 5, Dec. 2003.
Krugman, P. R. Geography and Trade, The MIT
Press, 1991(北村行伸他訳『脱「国境」の経
済学:産業立地と貿易の新理論』東洋経済新
報社,1994 年).
Krugman, P. R. The Self-Organizing Economy,
Blackwell Publishers, 1996(北 村 行 伸 他 訳
『自己組織化の経済学:経済秩序はいかに創
発するか』東洋経済新報社,1997 年)
.
Markusen, A. R. “Sticky Places in Slippery
Space: A Typology of Industrial Districts”,
Economic Geography, Vol. 72, No. 3, 1996, pp.
293─313.
Markusen, A. R. Profit Cycles, Oligopoly, and
Regional Development, The MIT Press, 1985.
Marshall, A. Principles of Economics, Macmillan,
1920(馬場啓之助訳『マーシャル経済学原理
Ⅱ』東洋経済新報社,1966 年)
.
Piore, M. J., Sabel, C. F. The Second Industrial
Divide, Basic Books Inc., 1984(山之内靖他訳
『第二の産業分水嶺』筑摩書房,1993 年)
.
地域における産業集積の変化(五十嵐)
Porter, M. E. “Clusters and the New Economics
of Competition”, Harvard Business Review,
November-December, 1998, pp. 77─98.
Putnam, R. Making Democracy Work, Princeton
University Press, 1993(河 田 潤 一 訳『哲 学
す る 民主主義:伝統 と 改革 の 市民的構造』
NTT 出版,2001 年).
Putnam, R. “Bowling Alone: America’s Declining
Social Capital”, Journal of Democracy, Vol. 6, No.
1, January, 1995, pp. 65─78.
Sako, M. “Governing Supplier Parks: Implications
for Firm Boundaries and Clusters”, Said
Business School Mimeo, University of Oxford,
2003.
Saxenian, A. Regional Advantage, Harvard
University Press, 1994(大前研一訳『現代の
二都物語』講談社,1995 年).
Scott, A. J. Metropolis: From the Division of Labor
to Urban Form, The University of California
Press, 1988(水岡不二雄監訳『メトロポリス:
分業から都市形態へ』古今書院,1996 年).
Weber, A. Über den Standort der Industrien: Reine
Theorie des Standorts, Tübingen, Verlag von J.
C. B. Mohr, 1922(篠原泰三訳『工業立地論』
大明堂,1986 年).
五十嵐恒夫稿「非公式なつながりを通じた地域に
おける経営資源の形成と蓄積」『横浜国際社
会科学研究』第 15 巻,第 1・2 号,2010 年 8
月,pp. 13─36.
石倉洋子・藤田昌久・前田昇・金井一頼・山崎朗
著『日本の産業クラスター戦略:地域におけ
る競争優位の確立』有斐閣,2003 年.
伊丹敬之・松島茂・橘川武郎編『産業集積の本質:
柔軟な分業・集積の条件』有斐閣,1998 年.
伊丹敬之著『場のマネジメント:経営の新パラダ
イム』NTT 出版,1999 年.
伊丹敬之著『場の論理とマネジメント』東洋経済
新報社,2005 年.
稲垣京輔著『イタリアの起業家ネットワーク:産
業集積プロセスとしてのスピンオフの連鎖』
白桃書房,2003 年.
植田浩史編『産業集積と中小企業:東大阪地域の
構造と課題』創風社,2000 年.
枝川公一著『シリコン・ヴァレー物語:受けつが
れる起業家精神』中央公論新社,1999 年.
遠藤宏一著『現代地域政策論─国際化・地方分権
化と地域経営』大月書店,1999 年.
岡田知弘・川瀬光義・鈴木誠・富樫幸一著『国際
化時代の地域経済学:改訂版』有斐閣,2002
年.
岡本義行著『イタリアの中小企業戦略』三田出版
会,1994 年.
小川秀樹著『イタリアの中小企業:独創と多様性
(593)
71
のネットワーク』日本貿易振興会,1998 年.
片方信也著『西陣:織と住のまちづくり考』つむ
ぎ出版,1995 年.
金井壽宏著『企業者ネットワーキングの世界:M
IT とボストン近辺の企業者コミュニティの
探求』白桃書房,1994 年.
鎌倉健稿「大都市圏における工業集積の構造変化
と 自治体産業政策 の 課題:東京都墨田区 , 大
田区 と 東大阪市 の 地域間比較」
『京都大学経
済論叢別冊:調査 と 研究』第 18 号,1999 年
10 月,pp. 49─75.
鎌倉健著『産業集積の地域経済論:中小企業ネッ
トワークと都市再生』勁草書房,2002 年.
亀山嘉大著『集積の経済と都市の成長・衰退』大
学教育出版,2006 年.
橘川武郎・連合総合生活開発研究所編『地域から
の経済再生:産業集積・イノベーション・雇
用創出』有斐閣,2005 年.
清成忠男・橋本寿朗編著『日本型産業集積の未来
像:
「城下町型」から
「オープン・コミュニティ
型」へ』日本経済新聞社,1997 年.
清成忠男,田中利見,港徹雄著『中小企業論:市
場経済の活力と革新の担い手を考える』有斐
閣,1996 年.
玄田有史・中村尚史編『希望の再生:釜石の歴史
と産業が語るもの』
東京大学出版会,2009 年.
国土交通省産業集積拠点の形成に関する研究会報
告書『地域を牽引する日本型の産業集積拠点
の形成に向けて』2004 年.
小島恒久編『九州における近代産業の発展』九州
大学出版会,1988 年.
佐貫利雄著『成長する都市 衰退する都市』時事
通信社,1983 年.
佐貫利雄著『都市の経済力:成長する都市 衰退
する都市Ⅱ』時事通信社,1989 年.
下平尾勲著『地場産業:地域からみた戦後日本経
済分析』新評論,1996 年.
杉浦章介著『都市経済論』岩波書店,2003 年.
住生活研究所編『蘇る都市:職人のまち西陣から
新しい市民のまちへ』学芸出版社,1995 年.
高原一隆著『地域システムと産業ネットワーク』
法律文化社,1999 年.
中島清稿「ヴェーバー工業立地論にたいする経済
学的検討(上)
,
(下)
」
『横浜私立大学論叢』
社会学系列,第 32 巻Ⅱ・Ⅲおよび第 33 巻Ⅰ・
Ⅱ,1982 年.
中村尚司著『地域自立の経済学:第 2 版』日本評
論社,1998 年.
野原敏雄著『現代の地域産業:地域の経済的基礎』
新評論,1986 年.
松島茂稿「産業構造の多様性と地域経済の『頑健
さ』
:群馬県桐生市,太田市 お よ び 大泉町 の
ケース」
,
橘川武郎他編
『地域からの経済再生:
72
(594)
横浜国際社会科学研究 第 15 巻第 5 号(2011 年 1 月)
産業集積・イノベーション・雇用創出』有斐
閣,2005 年.
松原悦夫編『地域と ビ ジ ネ ス』九州大学出版会,
1997 年.
松原宏稿「集積論 の 系譜 と「新産業集積」」『東
京大学人文地理学研究』,Vol. 13,1999 年,
pp. 83─110.
松原宏稿「産業集積・都市集積の理論と地域の競
争 力」『ESP : Economy, Society, Policy』経
済企画協会,2005 年 4 月,pp. 24─28.
松原宏著『経済地理学:立地・地域・都市の理論』
東京大学出版会,2006 年.
宮本憲一・横田茂・中村剛治郎編『地域経済学』
有斐閣,1990 年.
矢田俊文・松原宏編著『現代経済地理学:その潮
流と地域構造論』ミネルヴァ書房,2000 年.
山倉健嗣著『組織間関係論:企業間ネットワーク
の変革に向けて』有斐閣,1993 年.
山倉健嗣著『新しい戦略マネジメント:戦略・組
織・組織間関係』同文舘出版,2007 年.
山倉健嗣稿「中小企業の成長戦略と組織・組織間
関係」
『横浜国際社会科学研究』第 13 巻第 6
号,2009 年 2 月.
山崎朗著『産業集積と立地分析』大明堂,1999 年.
山崎朗著『クラスター戦略』有斐閣,2002 年.
山﨑朗編著『半導体 ク ラ ス ターの イ ノ ベーショ
ン:日中韓台 の 競争 と 連携』中央経済社,
2008 年.
山本健兒著『産業集積の経済地理学』法政大学出
版局,2005 年.
[い が ら し つ ね お 横浜国立大学大学院国際社
会科学研究科博士課程後期]
Fly UP