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294号 - 結核予防会

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294号 - 結核予防会
北海道
9月24日から30日までの結核予防週間を中心に,「全国一
斉複十字シール運動キャンペーン」が実施され,全国各地で
工夫をこらした活動が繰り広げられました。各地の活動の一
部を紹介します。
岩 手
昨年度に続き,夜間無料健診を9月24日・
26日の両日,すすきの交番前で実施。受診
者は2日間で215名
見た見た!
細長いんだよ。
2問目は・・
いわて環境★健康
まつり( 9月1 9日∼
20日)において,「ク
イズ・これが結核菌
だ!」を実 施 。電 子
顕 微 鏡で結 核 菌を
観察後,簡単なク
イズに挑戦してもら
い「よぼういがく協
会オリジナルお弁当
袋」をプレゼント
さっき顕 微 鏡で
ご覧になりまし
たよね、結核菌
秋 田
お兄ちゃん分かる?
お母さん、
さっぱり。
全問正解してね
「クイズ・これが結核菌だ!」
茨 城
土浦駅前で通勤ラッシュ時に行われた
キャンペーン。県のホームページでも紹
介されました
山 形
群 馬
群馬県庁にて実施された「元気県ぐ
んま21」推進大会の一角を利用して
行われたキャンペーン
9
どン模 でペス月
も ー ー 23
取ンパ日
ー ,
り。
県
上 内 の 28
げテ前日
で
らレ の
2
れビ行 まニわ日
し ュ れ 間,
たーた
スキ大
なャ規
東 京
神奈川
埼 玉
さいたま新都心駅内の電光掲示板に結核予
防のメッセージ
千 葉
横浜みなとみらい21地区の
入口,桜木町駅前広場にて
街頭募金。「ご協力,あり
がとうございます!」
福 井
千葉駅前で行われたキャンペーンでは,
市民吹奏楽団ボランティア約40名により
「小さなシールに大きな愛を」が生演奏さ
れました
中キ秋
高ャ田
生ン駅
にペ前
大ーア
人ンゴ
気。ラ
着広
ぐ場
るで
み行
がわ
女れ
子た
西武百貨店だるまや西武前,
福井駅
前でキャンペーン。参加者の結束も強
まりました
浅草で行われたキャンペーンでは竹下景子さんが応
援にかけつけ,シール募金の説明をして下さいました。
静 岡
婦人会中心に235名の参加を得て県結核予防大会を開催。
功労者の表彰や特別講演が行われました
最終ページに続く
Message
山形県の健康増進の拠点として
國井 一彦
くにい かずひこ
結核予防会山形県支部長
山形県結核成人病予防協会長
今年4月,新しく当協会山形検診センター(延べ床面
積2870.68㎡・二階建て)をオープンいたしました。
昭和52年,車での検診に加え施設でも検診が受け
られるようにと山形検診センターを建設し,その後
人間ドックや定期健康診断などの総合的な健診が可
能な施設として変遷して参りましたが,急速な高齢
化や疾病構造の変化等によって検診項目が増加し,
また施設の老朽化,狭隘等に伴って,新たな検診セ
ンターを建設したものです。
この新しい検診センターは,受診者の皆さまが快
適な環境で受診していただけるよう,検査の流れ,
待ち時間やプライバシーの保護などにも配慮した人
間ドック専用フロアとしております。明るく開放的
な待合ホールや個室型更衣室,そして女性専用フロ
アの「レディースホール」を設けております。
また,超高精細I・I搭載の胃部X線撮影装置や胸部
X線撮影装置,腹部超音波診断装置など最新の医療機器
を導入するとともに,夜間蓄熱式空調システムや床暖房
設備を整備するなど,設備面でも受診者の皆さまが安全
で快適に受診いただけるよう努めております。
一方,本県は,胃がんや大腸がんなど消化器系の
がんの死亡率が高く,常に全国上位となっているの
で,早期治療に努め死亡率の減少に寄与したいと考
えております。また,結核は罹患率,死亡率ともに
全国の低位にあるので,今後も受診勧奨,知識の啓
発に努めていきたいと考えております。
これからの健診事業についてみれば,結核予防法の改
正,乳がん検診や子宮がん検診への見直しが検討されて
いると聞いております。さらに,市町村合併,高齢化の
進展,長引く不況等々,私どもを取り巻く環境は,厳し
く刻々と変化しております。山形県の健康増進の拠点と
して,それらに的確に対応し,精度の高い健診を提供で
きるよう努めて参りたいと考えております。
新たにオープンした山形検診センター
目 次
■メッセージ 山形県の健康増進の拠点と
して
1
國井 一彦
2
石川 信克
■結核の統計2003を読む 6
阿彦 忠之
■感染症対策見直しのポイント
8
再流行が懸念される
今冬のSARS対策 多田 有希
9
厚労省が東京・千葉でSARS合同訓練
■島尾忠男先生,青木正和先生の出版記念講演会並びにパー
10
ティーに出席して
齋藤みどり
11
■ずいひつ 県立富士見病院
平澤亥佐吉
■結核院内感染防止を目的とした複十字病院改修の有効性
12
とその問題点
中島 由槻
■特対事業(愛知) 愛知県における結核治療成功促進事業の展開
15
佐藤 幸子
18
■特対事業(全国)平成15年度地区別講習会実施報告
■ネパール・ルンビニ・プロジェクト終了を迎えて
22
柴土 真季
■結核予防会と結核予防婦人会との協力関係について
24
山口 峯生
■2003結核予防週間レポート
本部・東京都支部 26
にぎやかな休日の浅草・浅草寺でキャンペーン
複十字シール運動キャンペーンに参加して 27
∼きっかけはインドネシア∼
秋尾沙戸子
青森県支部 着ぐるみ使用で盛り上がった街頭募金
寺島 剛正
28
高知県支部 地道に活動を続けて行くことが大切!
伊東 洋子
▽マスコミ資料(たばこ,肺がん)
マスコミ資料(結核,健診関係)
▽予防会だより
29
9
17
30
〔表紙〕「福岡タワーの夕景」
撮影者:結核予防会福岡県支部運行管理課 田中 慶治
2003年度プロ野球日本一「福岡ダイエーホークス」の本拠地であ
る福岡ドームとホテル,そして福岡のシンボルである福岡タワーが
あるここ百地浜は,九州経済や情報,文化の発信地,またアジアの
窓口として飛躍的に発展を続ける福岡の顔として世に知られるよう
になりました。都市高速が走り高層ビルが建ち並ぶ,でもその足元
では,子供たちが海水浴や潮干狩りに興じている。そんな自然が身
近にある「ふくおか」が私は好きです。
〔カット〕佐藤奈津江
11/2003 複十字 No.294
1
結核の統計2003を読む
結核新登録患者は3年連続して減少したが,
減少速度はやや鈍化か
表1 平成14年結核発生動向調査年報の主要ポイント
①平成9年より3年連続で増加していた新登録患者は3年
続けて減少した。減少率はやや鈍化か
結核研究所副所長
新登録患者数:32,828人,罹患率:25.8
結核予防会国際部長
②新登録患者における高齢者の割合は増加傾向で,初め
て4割を超えた
石川 信克
70歳以上の患者の占める割合は41.5% ③20歳を境に罹患率が高くなっており,青年層の新患者
を無視できない
20歳代で2,883人,30歳代で2,843人も発生
「結核の統計2003年版」(厚生労働省監修,結核予
防会発行)が出版された。これは平成14年(2002年)
中(1月1日∼12月31日)に全国の都道府県・政令都市
より保健所を通じて報告される結核患者と対策の状況に
関する諸統計を,結核発生動向調査としてまとめたもの
である。概況は厚生労働省から既に発表され,そのポイ
ントが表1にまとめられている。主なトピックスについ
ては,本書のグラビアで分かりやすく示されている。本
稿では主な内容に対しいくつかのコメントを述べる。
結核新登録患者は3年続けて減少した
結核基本統計値の3年間の動きを表2に示す。平成
14年に全国で32,82 8人の結核患者が新たに登録された
(前年比2,661人減)
。人口10万人対の新登録患者数(結
④国内の地域間格差はやや縮小したものの,依然大きい
大阪市の罹患率(74.4)は,長野県(12.5)の6.0倍
⑤世界的に見て,日本は依然として結核中進国である
日本の罹患率は,スウェーデン(4.5)の 5.7倍,
米国(5.6)の4.6倍
核罹患率)は25.8(前年比2.1減)であった。減少率は
実数,罹患率ともにほぼ 7.5%であった。前年に引き
続き今回3年連続で減少したが,前2年がともに10%
であった減少率は7%台とやや減少した。新登録患者
は平成9年(1997年)に逆転上昇し3年連続して増加,
平成12年(2000年)に4年ぶりに減少に転じたが,減
少は継続している。
年齢階級で罹患率を見ると,前年同様ほぼすべての
年齢層で減少している(0∼4歳のみで0.1微増)。
表2 結核基本統計値の3年間の動き
新登録患者数
(罹患率:10万対率)
0∼19歳(%)
20∼39歳(%) 2001年(平成13年)
2002年(平成14年)
39,384人 (100%)
(31.0)
35,489人 (100%)
(27.9)
32,828人(100%)
(25.8)
649人 (1.6%)
616人 (1.7%)
490人 (1.5%)
6,852人(17.4%)
6,198人(17.5%)
5,726人(17.4%)
40∼59歳(%) 9,675人(24.6%)
8,395人(23.7%)
7,450人(22.7%)
60歳以上 (%) 22,208人(56.4%)
20,280人(57.1%)
19,162人(58.4%)
70歳以上(再掲)
15,255人(38.7%)
14,062人(39.6%)
13,622人(41.5%)
80歳以上(再掲)
6,410人(16.3%)
6,161人(17.4%)
肺結核/全結核 (%)
82.1%
81.3%
5,992人(18.3%)
80.6%
喀痰塗抹陽性患者数
13,220人
12,656人
11,933人
(同上罹患率:10万対率)
(10.4)
(9.9)
(9.4)
肺結核患者中の割合
40.9%
43.8%
45.1%
菌陽性肺結核患者数
19,347人
18,284人
肺結核患者中の割合
59.8%
2,656人
(2.1, 24位)
63.3%
2,491人
(2.0, 25位)
66.2%
2,316人
(1.8, 25位)
36,288人
(28.5)
32,396人
(25.4)
結核死亡数 (死亡率,順位)
年末活動性患者数
(有病率:10万対率) 2
2000年(平成12年)
11/2003 複十字 No.294
41,971人
(33.1)
17,534人
図1 結核罹患率の推移
減少傾向は鈍化するか?
1000
前2年に続いた10%の減少率が7%台になったが,
減少の鈍化の始まりか,あるいは引き続き高い減少率
が続くのか。図1ではその傾向は未だ不明と言え,今
後の推移には興味が持たれる。
人口の高齢化(高齢者・超高齢者数の増加),高齢
者中の高い既感染率,若年者での低い既感染率,糖尿
病等の発病危険因子の増加,都市部での増加傾向,外
国人人口の増加などが複雑に絡むため,将来予測は容
易ではない。しかし,新登録塗抹陽性肺結核患者数を
各高年齢層別に見ると(図2),80歳以上が増加して
いるが,各年齢層とも罹患率の減少傾向が見られるこ
とから,80歳以上の超高齢者人口の増加を反映した患
者数の増加はあるものの,全体として着実な罹患率の
減少が予測される。減少を促進する対策の効果とそれ
を鈍化させる諸因子の絡み合いで,急速な高齢化が始
まったアジア諸国のそれに先立ち,日本の結核疫学像
は世界的に興味ある様相を示すことになろう。
年間減少率約10%
100
結核羅患率(旧分類)
人
口
10
万
対
率 10
︵
平結
成核
緊
11
年急
︶事
態
宣
言
年間減少率約3%
結核罹患率
(新分類)
喀痰塗抹陽性罹患率(旧分類)
喀痰塗抹陽性罹患率
(新分類)
1
1960
1970
1980
1990
2000 年
(昭和35)(昭和45)(昭和55) (平成2)(平成12)
実数では,20歳代で800人余,30歳代,40歳代で1000人
程度,70歳以上の高齢者が5,000人以上も発生している。
さらに進む高齢化と無視できない青年層のピーク
新登録患者で高齢者,超高齢者の割合は年々増加し
ているが,70歳以上の占める割合は,41.5%と初めて40
%を超えた。一方39歳以下の割合はあまり変わっていな
いが,20歳代で急に罹患率が高くなることは注目に値す
る。10歳代新登録患者数は376人(罹患率2.8)に対し,
20歳代は2,883人(罹患率16.5)で,感染性の高い喀痰塗
抹陽性者が805人(罹患率4.6)となり,社会生活が始ま
るこの世代に新たな感染が起こっていることが示される。
塗抹陽性患者の減少は5%台
喀痰塗抹陽性肺結核患者数は11,933人(前年比723
人減),罹患率は10万対9.4(前年比0.5減)と共に減
少しているが,減少率はそれぞれ5.7%,5.0%と前年
よりわずか高い。従来横ばいであった塗抹陽性罹患率
の推移は減少傾向へ転じつつあると言えよう。しかし
図2 増加を続ける超高齢の排菌患者
新登録塗抹陽性肺結核患者数の推移
塗抹陽性肺結核罹患率の推移
人
2,600
60.0
2,400
55.0
75∼79
50.0
2,200
70∼74
45.0
2,000
人
口
10
万
対
率
1,800
1,600
1,400
65∼69
40.0
35.0
30.0
25.0
1,200
20.0
1,000
15.0
800
1987 90 80歳∼
95 2000 02年
10,0
1987 90 95 2000 02年
11/2003 複十字 No.294
3
患者の36%は感染性の高い喀痰塗抹陽性肺結核
図3 新登録結核患者(32,828人)の内訳(2002年)
喀痰塗抹陽性肺結核
36%
新登録結核患者32,828人の内訳を見てみると(図3),
ほぼ前年と同様で肺結核が81%を占め,そのうち結核
菌喀痰塗抹陽性が36%,培養その他の検査で陽性が17
%で,合計53%が菌陽性結核である。肺外結核は19%
である。肺外結核には,胸膜,気管支,縦隔洞リンパ
節結核などの呼吸器結核も含まれる。
肺外結核
19%
6,356人
11,933人
含・胸膜,気管支,
縦隔洞リンパ節
の結核
8,938人
5,601人
都市部に問題が大きくなっている
結核新登録患者数の多い順に全国患者総数の半数ま
でをどの地域が占めるか見ると(表3),全体に減少し
ているが傾向は前年とほぼ同様である。47都道府県(指
定都市を除く)と12指定都市の合計59自治体の中で,11
が約半数の患者を占めている。特に東京と大阪が4分の
1を占めている。日本の結核患者の12.7%が大阪(府+
市)で,12%が東京都(特別区+都下)で発生している。
またこれらの2大都市周辺の県・市も多くなっている。
罹患率では,大阪市(74.4)が前年よりさらに改善を示
したが,未だ全体として著しく高く,地区による差も大
きい(西成地区363,浪速地区125等)。大阪市は2位
の名古屋市(39.2)の約2倍で,これに神戸市(37.2),
東京都特別区(36.6)が続く。特別区では,さらに高い
菌陰性肺結核
27%
培養他陽性肺結核
17%
肺結核 81%
26,472人
区もある(台東区114,新宿区64等)。また埼玉県,千
葉県,愛知県,神奈川県等は罹患率が低くても,患者
の絶対数が多く,対策上の課題が大きい。
これら以外で,罹患率が全国の25.8より大きい地域
は表の右側に並べた。患者数及び罹患率,そして対策
への取り組みの面から,量的,質的に地域の結核問題
を分析する必要がある。これらの地域の高齢者や若年
層の割合,外国人の割合,その他のリスク要因等でみ
た分析も必要であろう。
表3 新登録患者数及び結核罹患率の大きい県・市(2002年)
全国新登録患者数の半数までを占める自治体
県・市名
新登録患者数
(人)
罹患率
(10万対)
東 京
3,926
32.1
左記以外で罹患率が全国25.8以上の自治体
新登録患者累積
(%)
県・市名
12.0%
神戸市
562
罹患率
(10万対)
37.2
東京都特別区(再)
3,032
36.6
(9.2%)
北九州市
322
32.0
大阪府
2,207
35.6
18.7%
京都市
467
31.8
大阪市
1,949
74.4
24.6%
川崎市
398
31.1
埼 玉
1,528
21.8
29.3%
岐 阜
637
30.2
兵 庫
1,306
32.1
33.3%
和歌山
318
30.0
愛 知
1,161
23.5
36.8%
徳 島
237
28.9
千 葉
1,152
22.6
40.3%
宮 崎
335
28.7
横浜市
875
25.0
43.0%
長 崎
431
28.6
名古屋市
856
39.2
45.6%
高 知
219
27.0
静 岡
808
21.3
48.0%
香 川
271
26.6
福 岡
769
28.8
50.4%
千葉市
239
26.4
山 口
401
26.4
377
26.2
奈 良
全 国
4
新登録患者数
(人)
11/2003 複十字 No.294
32,828
25.8
100.0%
(小計)
5,214
結核の統計2003を読む
日本は国際的には結核中まん延国
わが国の結核罹患率は,西欧諸国のほとんどが10万
対10かそれ以下であるのに比べまだかなり高く(図4),
それらの国の状態に達するにはさらに20∼30年はかか
るであろう。これは,主に結核の流行が遅れて始まっ
た日本の歴史的背景によるためで,国際的には結核中
まん延国と言われ,西欧先進国より大きな課題を持っ
ているが,逆にこの分野での経験を生かした世界貢献
もできると言える。
さらに改善したい対策指標の動き
対策に関するいくつかの指標を取り上げ,最近の改
善の動きを見ると(表4),症状出現後1カ月以内の
発見(診断)は前年まで増加していたが,今回は停滞
している(『結核の統計2003年版』p57, 表7)。新登
録肺結核患者中の菌陽性率は向上しており,より的確
な診断がなされるようになっている。治療コホート情
報あり(不明以外)の割合も顕著に向上,治癒と治療
完了を加えた治療成功率も79%と前年より改善してい
る(『結核の統計2003年版』p99∼106, 表26)。ただ
し前年同様,厳しく見ればこれらの指標は満足する値
とは言えない。65%もが1カ月以上の発見の遅れがあ
ること,32%もの自治体がコホート情報の入力がない
こと,治療成功率79%は国際的な目標の85%にもう一
歩不足しており,治療失敗6.2%も改善の余地がある。
日本版DOTSの進展や対策の動き
新しい結核対策DOTSの内容や動きについて,グラ
ビア10∼11,20に整理されている。患者や地域の状況
に応じた様々なDOTSの取り組みやその動きが示され
ている。
本年上半期にSARS(重症急性呼吸器症候群)に揺
れた世界の動きに関してもグラビア18に整理されてい
る。SARSは結核対策とも様々な関連があることが示
された。
大の感染症として依然「結核緊急事態宣言」発令中に
変わりはない。各自治体,保健所にとってもそれぞれ
の地域の予防計画策定のために,疫学的推移や問題の
分析が必要である。結核に関する担当者はそれぞれの
地域の情報に加え,長期間の疫学的推移,対策指標を
用いた評価,他地区との比較など様々な分析・検討を
行うことができよう。それにより発生動向調査の内容
がさらに充実したものになろう。
図4 先進諸国の結核罹患率(2002年)
128
ルーマニア
ロシア
92
29
25.8
ハンガリー
日本
イギリス
フランス
デンマーク
フィンランド
オランダ
ドイツ
アメリカ合衆国
スウェーデン
10.1
9.8
9.3
9
8.8
8.5
5.6
4.5
0
20
40
60
80
人口10万対率
100
120
140
(WHO,2003)
表4 対策指標でみた改善の動き
指標
1999年 2000年 2001年 2002年
症状後1カ月以内の発見
31.1%
33.0%
34.5%
34.4%
新肺結核中菌陽性率
57.0%
59.8%
63.3%
66.2%
治療コホート情報あり
40.1%
47.1%
57.2%
68.1%
喀痰塗抹陽性治療成功率
71.2%
72.3%
74.7%
78.7%
各自治体・保健所の課題
結核罹患率が3年連続して減少したとはいえ,3万
3千人もの新しい患者が発生していることは,国内最
*『結核の統計2003年版』内容紹介及び購入に関する問い合わせ先はp21に掲載しています。
11/2003 複十字 No.294
5
感染症対策見直しのポイント
山形県村山保健所長
阿彦 忠之
今秋の第157回国会で「感染症の予防及び感染症の
患者に対する医療に関する法律(以下,感染症法)及
び検疫法の一部を改正する法律案」が審議され,10月
10日に可決成立した。今回の改正は,厚生科学審議会
感染症分科会の検討結果として本年8月に公表された
「感染症対策の見直しについて(提言)」を踏まえた
内容となっている。本稿掲載号の発行は改正法の一部
施行後と思われるが,保健所長の一人として同分科会
の検討に加えていただいた立場から,法改正に影響を
与えた提言の注目点を解説する。
国と地方自治体の役割分担の見直し
感染症法に基づく患者等の調査やまん延防止対策は,
基本的に都道府県知事(保健所設置の政令市・特別区
では市長・区長。以下,県知事)がその実施権限を有
している。例えば,同法第15条による疫学調査も県知
事の事務であり,厚生労働大臣は県知事からの協力要
請がなければ,国の専門機関等の職員を現地に派遣し
て疫学調査に協力する必要はなく,国自らが調査を主
導する権限もなかった。しかし,本年5月にSARS可
能性例の外国人が国内旅行後に出国した事例では,国
と自治体間の役割分担が不明確であるなどの課題が明
らかになり,緊急時における国の事務の追加が提案さ
れた。具体的には,①県知事からの協力要請がなくて
も,緊急の必要がある場合は,国も自ら疫学調査等を
実施できるようにすること。②重篤な新感染症等の発
生に備え,事前対応型危機管理の観点から国の基本指
針(法第9条)を改正し,これに則して地方自治体の
予防計画(法第10条)の見直しを進めること。③緊急
かつ広域的な対応が必要な事例では,国が関係自治体
に対して,対策の指示や自治体間の連絡調整等を実施
できるようにすることなどである。
生活習慣病のように,原因が多因子性で,食習慣や
生活環境等の地域特性の違いを背景に死亡率等の地域
格差が大きい健康課題に対しては,地方分権政策が極
6
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めて有効である。しかし,感染症の原因は単因子性
(SARSはSARSコロナウイルスが原因)であり,地
域格差に乏しい。また,1つの地方自治体の感染症対
策が甘かったために,そこから重篤な感染症が全国へま
ん延する可能性もあるので,治療法が確立していない
SARSのような新しい感染症に対しては社会防衛的な視
点が重要であり,「地方分権とは一線を画した対応も必
要」という趣旨の提案だったと筆者は理解している。
予防目的の疫学調査も重要
感染症法第15条による調査(いわゆる積極的疫学調
査)は,感染症患者とその関係者(接触者等)が対象
であり,保健所で患者発生届を受理後に調査が開始さ
れる。しかし,国外で重篤な感染症が流行した時など
にも,国内における当該感染症の発生予防のために必
要な場合は(患者の届出がない段階でも)積極的に疫
学調査ができるようにすべきであるとの提言を受け,
第15条の改正案には「予防」を目的とした疫学調査が
追加された。
また,疫学調査の対象は,同法6条で定義された感
染症(1類∼4類,指定及び新感染症)の患者等に限
定されている。つまり,同法の定義の枠外にある感染
症の事例(セラチア感染症,原因不明の感染性疾患の
集団発生等)に対しては,感染症法を根拠とした調査
は実施できない。これについては,感染症分科会でも
見直し(第6条等の改正)を求める意見があった。し
かし,感染症法は,疫学調査に協力しない者に対する
罰則規定があるなど,社会防衛上の観点から県知事等
に強権力の行使を認める性格の法律なので,調査対象
疾患の範囲は厳密に限定すべきと判断された。セラチ
アの院内感染など,感染症法で定義されない感染症の
疫学調査が必要な場合でも,保健所は「地域保健法」
を根拠に,
(強制力はないものの)患者や関係者の同意
を得たうえで疫学調査を実施できると解釈すれば,こ
れに関連した感染症法の見直しは不要と言えよう。
潜伏期間も視野に入れた検疫の強化
検疫法に基づき入国者に対する医師の診察が可能な
のは,検疫感染症(一類感染症,コレラ,黄熱)及び
同法政令指定後のSARSに関する検査時に限定されて
いた。しかし,国外でSARSのような重篤な感染症が
新たに発生した場合は,その病原体が明らかでない段
階でも,その国内進入を防ぐための措置として,検疫
所長の判断で医師による診察ができるようにすべきと
いう提案があった。
また,感染症には通常,発症までの潜伏期間がある
ので,入国時の検疫で感染症に罹患した可能性のある
者をすべて把握するのは困難である。そこで,今年の
SARS流行地域からの入国者に対しては,発熱等の症
状がなくとも潜伏期間を考慮して10日間,体温を含め
た健康状態の報告を求める措置がとられた。ただし,
この措置には法的根拠がなく,入国者の同意がないと
実施できなかったので,これを検疫所長の判断で実施
できるようにするための検疫法の見直しが提案された。
動物輸入に関する届出制度の創設
最近のペットブームに便乗して,わが国には世界で
類を見ないほど多種・膨大な野生動物等が輸入されてい
る。それも生きた動物ばかりではない。フクロウやヘビ
等の餌として小動物の死体(冷凍マウス等)が大量に輸
入されている。ところが,その一方で最近の新興感染症
の多くは人獣共通感染症であり,輸入動物やその死体を
介して海外から重篤な感染症の病原体が国内に侵入する
危険性は極めて高くなっているのが実情である。
そこで,国際獣疫事務局(OIE)が定める国際動物
衛生規約にのっとり,動物輸入に係る届出制度の創設
が提案された。これは,感染症を発生させるおそれの
ある動物及びその死体を輸入する者に対して,当該動
物等の輸出国における検査結果(感染症にかかってい
ない旨の衛生証明書)の添付や輸入数量等の届出を義
務付ける制度である。
感染症法の対象疾患の追加と新分類
今回の改正では,SARSと天然痘が1類感染症に追
加された。ただし,SARSについては,患者が入院す
る場合の医療機関が必ずしも第一種指定医療機関でな
くてもよいなど,1類感染症でとりうる措置をすべて
行使する必要はないとして,患者発生時の冷静な対応
を求めている。SARSの感染経路や診断・治療に関す
る研究等が進展し,数年以内に1類感染症から削除さ
れることを期待したいところである。
また,動物由来感染症の増加,及び公衆浴場におけ
るレジオネラ症や動物園におけるオーム病の集団発生
等の経験を踏まえて,従来の4類感染症が「新4類」
と「新5類」の2つに再編された。つまり,感染の拡
大防止を目的として媒介動物の輸入規制や施設の消毒
等の措置を講ずることができる対象疾患を「新4類」
と定義し,従来どおりサーベイランス(発生動向調査)
のみを行う疾患群を「新5類」とした。
感染症法の対象疾患の詳細は省略するが,疾患の追加
や分類変更については,専門家の間でも意見の分かれる
場面があった。たとえば,急性A型及びE型ウイルス肝
炎については,特定業務従事者への就業制限の必要性を
考慮し,これらを3類感染症に分類する案が一度浮上し
た。しかし,例えばA型肝炎は,その診断がついた頃に
は患者便からウイルスが検出されない例が多いなど,就
業制限の意義を疑問視する意見が多く,結局は新4類に
分類された。また,急性脳炎(従来は4類の定点観測疾
患)については,新5類の全数把握疾患へ変更すること
が提案された。急性脳炎は,いわゆる「症候群サーベイ
ランス」としての意義が大きいこと,及び定点観測では
インフルエンザ脳炎等の的確な把握ができなかった等
の評価結果から,全数把握への変更が支持されたもの
である。しかし,全数把握疾患は,医師の届出義務規
定(怠った場合の罰則付き)があるため,報告基準を
明確に示すという条件付きの提案となった。
保健所網の維持・強化と人材育成
最後に,感染症対策の第一線で働く保健所等の職員
や感染症指定医療機関の医療スタッフ等の人材育成,
及び保健所間ネットワークの重要性が強調された。特
に保健所は,地域保健法施行後に統廃合が進み,福祉
に関する事務所等との統合により,住民向けの表看板
に「保健所」の名称を使わない自治体も出てきた。し
かし,感染症法のほか結核予防法や食品衛生法等に基
づく健康危機管理では,広域連携が重要で,地方分権
とは一線を画した対策が必要な事例も多い。したがっ
て,地域の健康危機管理対策の中核機関たる保健所の
機能強化(名称の維持も含む)と全国ネットワークの
維持向上が,今後も強く望まれるところである。
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再流行が懸念される
今冬のSARS
今冬の
今冬のSARS対策
SARS対策
対策
国 立 感 染 症 研 究 所 感 染 症 情 報センター
主 任 研 究 官 多田 有希
重症急性呼吸器症候群(SARS : Severe Acute
Respiratory Syndrome)の突然の出現は,世界規模
の感染症対策上に大きな試練を与え,わが国において
も,現代の医療体制,感染症対策,公衆衛生,保健行
政等のあり方に多くの問題を投げかけた。今後はどの
国においても,いつ,どのような形で発生するか分か
らず,常に適切な対応が図れるように,体制を整備し
ておくことが必要である。
インフルエンザとSARS
従来のコロナウイルスが冬季のかぜの主要な原因ウ
イルスのひとつであり,またSARSコロナウイルスが
低温に強いウイルスであることから,SARSが冬季に
再び流行することが懸念されている。SARSの主要症
状は発熱と咳などの呼吸器症状であり,インフルエン
ザ等の呼吸器感染症と,症状では区別ができない。現
在のところ信頼できる迅速診断法も,確実な治療法も
無いこと等を考えると,SARSと鑑別すべき他の呼吸
器感染症について可能な対応を行うことが重要となる。
すなわち,予防接種によりインフルエンザの罹患・重
症化を防ぐ,各種診断キットを用いて他疾患を迅速に
診断する,診断や症状に応じて適切な治療を行うこと
等が考えられる。また,インフルエンザサーベイラン
スの強化や,SARSが疑われる呼吸器疾患患者(原因
不明の重症例,院内集団発生,救急搬送患者の集積等)
を積極的に把握するサーベイランスの実施なども望ま
れる対応である。
感染拡大防止対策
現在SARSについては,SARSコロナウイルスの由来・
宿主,感染経路,感染期間,免疫保持期間,小児患者
の少ない理由等,未だ明らかでない点も多く,迅速診
断法や有効な治療法の確立,ワクチンの開発などは今
後の課題である。このような現状において,我々が行
うべき,かつ可能な対策としては,感染拡大防止対策
が重要であり,「院内感染対策」と「接触者調査」が
その基本と考える。
院内感染対策・
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この春にSARSが流行した地域では,その発生初期に,
感染性を知らずに通常の肺炎として取り扱った為に院
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内感染を中心に拡大した。しかし,その後の院内感染
対策の徹底によって,SARSを封じ込めることができた。
院内感染対策としては,飛沫感染が主要と考えられ,
濃厚接触者での感染が多く,空気感染の可能性も否定
できない状況を踏まえて対策を行う。具体的には,以
下のとおりである。
1. 受診時のトリアージ:疑いのある患者からの受診前連
絡,受診場所の確保もできるとよく,受診場所での患
者の動線にも配慮が必要である。 2. 患者隔離:入院は原則として陰圧個室か,それに準
じた個室とする。症例数によっては病棟閉鎖や病院閉
鎖が必要になることもあらかじめ考えておきたい。
3. バリアナーシングの徹底(マスク,ガウン等の適当な
バリアを使って患者への看護・介護を提供すること):
マスク(N95規格以上),手袋(二重),眼の防御用
具(ゴーグル等),ヘッドカバー,使い捨てガウン,
エプロン,汚染除去可能な履物を着用する。なお,適
切な着用と着脱時の汚染に十分注意する。
接触者調査・
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接触者調査は周囲へ感染させる可能性のある人を特
定し,その人の状態を監視することにより,早期発見・
早期隔離することを目的として行われる。これにより,
新たな接触者数を減少できる。具体的には,以下のと
おりである。 1. 接触者の把握:患者の聞き取り等により行う。患者
の行動に合わせて経時的に接触者と接触状況を確認し,
リストアップする。リストアップした接触者を,接触
の程度により危険度(優先順位)のランク分けする。
(例:対面接触者>閉鎖空間共有者>開放空間共有者)。
1人も漏らさず,しかも迅速に行う。 2. 必要な期間中の健康状態の確認:接触者の人数や状
況にもよるが,危険度の高い接触者には,毎日電話を
かける等により熱や症状の有無を確認し(能動的調査),
危険度の低い接触者には,症状出現時の連絡の依頼を
する(受動的調査)。緊急連絡先や医療機関を示して
おく。絶対にドロップアウトしないよう丁寧に支援す
る。 3. 必要な期間中の行動制限,
自宅隔離の推奨:潜伏期
間中の行動制限や,発病後でも入院とならない場合は
自宅隔離を推奨する。
厚労省が東京・千葉でSARS
厚労省が東京・千葉で
厚労省が東京・千葉でSARS合同訓練
SARS合同訓練
合同訓練
8月25日,今冬のSARS再流行に備えて,患者(可
能性例)の発生を想定した合同訓練が行われた。実施
主体は,厚生労働省健康局(関東信越厚生局,成田空
港検疫所,国立感染症研究所),東京都及び新宿区,
千葉県で,100名以上の関係者が参加。「医療機器メ
ーカーに勤務する新宿区と千葉県市川市在住の社員2
名が,SARS伝播確認地域への海外出張から帰国後,
発症した」という想定で,発生報告から退院までの期
間(11日間)を1日に短縮して実施した。
訓練の流れは,まず患者(可能性例)がそれぞれ新
宿区・市川保健所に電話で相談し,病院を受診,2人
ともSARS疑似症と診断される。病院が両保健所に患
者発生届けを提出し,東京都及び千葉県が厚生労動省
に報告,それを受けて関係機関間の情報伝達や,保健
所による接触者調査が行われ,都県では対策本部が招
集された。連絡の円滑化を図るため,厚生労働省健康
局内には訓練のためのオペレーションセンター,関東
信越厚生局内には連絡室を開設。さらに,最初に受診
した病院から感染症指定医療機関への患者の搬送や,
症状出現時期に宿泊したホテルの消毒なども行われた。
今回の訓練の内容については評価を行い,各都道府
県で行われる訓練のガイドラインとして通知される。
文責 編集部
マスコミ資料(たばこ)
注目記事
たばこ包装に死亡の危険性表示義務づけ
−2005年7月から−
財務省は10月3日,WHO「たばこ対策枠組み条約」を
受け,「たばこの箱や包装の表裏それぞれ3割以上に,『喫
煙すれば肺がんで死亡する危険性が2∼4倍になる』等,
具体的な病名(ほか心筋梗塞,脳卒中,肺気腫等)を挙げ
て死亡の危険性を指摘するなど計8種類の注意文を順次表
示する」新たなたばこ規制を,2005年7月から実施する方
針を発表した。そのほか,①テレビなどでの広告禁止,②
看板掲示を禁じる場所の拡大,③試供品配布の全面的な禁止,
④商品名に「マイルド」などを用いる場合健康への影響は
変わらないことを示す文言を表示させる――などについて
も本格的な検討を始める。
財務省は同日,諮問機関である「財政制度等審議会たば
こ事業分科会」にこの内容を報告した。
(10/3・4 産,毎,読ほか)
・山陰合同銀行(松江市)(6月∼)
・山口銀行(下関市)(6月∼)
・中国銀行(岡山市)(6月∼)
・トマト銀行(岡山市)(6月∼)
・筑邦銀行(福岡県)(9/1∼)
・親和銀行(長崎県)(9/1∼)
・JR西日本広島支社:管内全駅のコンコース(10/1∼)
・広島電鉄:市内線と宮島線の全78停留所(10/1∼)
・広島大・霞キャンパス:10月1日実施を予定していた全面
禁煙化が,医学部教授会の反発でお預けになった。「愛煙家
の入院患者はどうする」などの反論による。
・済生会呉病院(10/1∼)
・タクシー・バス運送会社アシナトランジット:灰皿のない
禁煙観光バス2台の運行を始めた。
・ホテル日航福岡:ロビー(9/1∼)
・日本癌学会:9月27日「禁煙宣言」を採択(会員が所属す
る施設での全館禁煙や,たばこを現行の2∼3倍に値上げす
ることを国に求めることなど) 【全面禁煙を定めた自治体・会社など】
【路上禁煙条例を定めた自治体・関連記事】
(8/22∼10/14の新聞記事より抜粋)
・厚労省:来年4月から庁舎内の1階喫煙室と一部飲食店を
除く全館を全面禁煙にすることを決めた。福利厚生室による
と全職員の3割が喫煙者。
・仙台市:すべての幼稚園,小中高校,養護学校(10/14∼)
・多賀城市:小中学校を含めた市施設内(10/1∼)
・長野県:県庁,県立学校,警察等を含むすべての県の公共
施設(9/9∼)
・広島市:すべての市立学校と幼稚園計234施設(9/1∼)
・呉市:本庁と市内10カ所の支所の庁舎内(12/1)
・札幌市営地下鉄構内(10/1∼)
・北海道内パチンコチェーン大手の太陽グループ:札幌中心
部の店舗1店の地下1階フロアを禁煙とする,完全分煙
(9/24∼)
・広島総合銀行とせとうち銀行(もみじホールディングス)
(9/1∼)
(8/22∼10/14の新聞記事より抜粋)
・品川区:五反田,大井町,武蔵小山,青物横丁の4駅周辺
(10/1∼)
・渋谷区:罰則のない「渋谷区分煙ルール」
・杉並区:高円寺,阿佐ヶ谷,荻窪の3駅周辺(罰則の適用
については実態調査を踏まえて検討)(10/1∼)
・千葉県市川市
・千葉県松戸市(12月議会に上程)
・広島市
・福岡市(10/1∼)
・10/1 毎 千代田区の路上禁煙が,施行1年を迎え,10月か
ら東京駅周辺等が新たに罰則適用地区になった。現在の区内の対
象エリアは区面積の40%,昨年11月からの過料処分件数は9月30
日までに計4,935件で約800万円を徴収。一方,区民からは喫煙場
所の設置を求める声が多く,日本たばこ産業が秋葉原に設置した
喫煙ルームの利用者は平日2,500人,休日4,000人にも上るという。
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9
両先生による鏡開き。両側にお座りになっているのは奥様。
島尾忠男先生,
青木正和先生の出版記念講演会
並びにパーティーに出席して
8月8日/ホテル海洋(東京都新宿区)
平成15年8月8日に,島尾忠男先生(結核予防会顧
問)と青木正和先生(同会長)の出版記念講演会並び
にパーティーが,新宿区の「ホテル海洋」で行われま
した。当日は台風の接近で天候が不安定であったため
心配しておりましたが,幸い大したこともなく,たく
さんの方々が遠方からもお集まりになり,大変な盛会
でした。また両先生の奥様も最初から御出席になり,
なごやかな雰囲気の中で会は始まりました。
講演会は午後6時30分から,島尾先生,青木先生
と30分ずつスライドを使って行われました。島尾先生
は「結核と歩んで50年」という題で,先輩の諸先生の
立派な御業績について述べられ,御自身も学生時代よ
り東大の結核研究会に入られ以後ずうっと結核と共に
歩んでこられた,その歩みについて御講演なさいまし
た。日本国内のみならず,広く海外でも御活躍になら
れ,結核患者の減少に力を注がれてきた御様子,そし
て,今も現役で御活躍なさっておられるのを見て,本
当に御立派だと思いました。最後に結核対策,結核研
究では残された課題も多いため,後輩に対する励まし
と期待を述べて終えられました。
青木先生は「日本における結核の歴史」(結核菌が
日本に侵入してから1800年,人から人に感染してきた
歴史)について御講演なさいました。青木先生もまさ
に結核と共に歩んだ50年で,その間国内は勿論,海外
への御出張も多く,御活躍なさっておられます。今回
の御講演で,野口雨情の童謡「赤い靴はいてた女の子」
のことや,有名な文化人が多く結核で亡くなっている
のを知りました。結核がいかに猛威をふるったかが今
更のように分かりました。そして先生は今後の結核問
題について,結核の制圧にはまだ数十年を要するだろ
うから油断はできないと警告され,また結核以外の感
染症対策にも対応しなければいけないと話されました。
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齋藤 みどり
(元東京都武蔵野保健所長)
私は両先生に大変恩を受けております。昭和36年に
田無保健所が開所した時,結核診査委員として若き島
尾先生が御就任になり,保健係長であった私は,結核
管理等で細かく御指導を受けました。当時の田無保健
所には結核患者が3,500名も登録されており,1回の
診査会に提出される申請書は260∼300件で,ビジブル
カードを整理して診査会に持ち込むのは大変な仕事で
した。島尾先生は診査会の時,家族の健康状況まで質問
なさるので,事務,保健婦と共に必死でビジブルカード
を整備し,質問に答えられるように努力しました。大
変でしたが充実した楽しい診査会でした。私に結核に
ついて勉強したいと意欲を持たせて下さったのは島尾
先生でした。その後,結核研究所の疫学科に研修生と
して籍を置き,結核の勉強は青木先生の御指導を受け,
私が定年退職するまで続きました。楽しく勉強できた
のも,両先生のおかげと深く感謝しております。
御講演が終わって午後7時30分より,結核研究所長の
森亨先生の御挨拶があり,島尾先生,青木先生お2人に
よる鏡開きが行われ,次いで行天良雄先生の乾杯の音頭
でパーティーが始まりました。参加された多くの方々は,
いずれも両先生を尊敬し,愛している方々なので,楽し
いパーティーとなりました。パーティーでは保健所時代
にお世話になった結核研究所のすでに退職した事務の方
や,保健所医師の海外研修で御一緒だった先生に,23年
ぶりでお会いし懐かしい思いをしました。
両先生が,今後も御健康で,御活躍なさいますよう
祈っております。
ずいひつ
( 社 )日本 海 員 掖 済 会 静 岡 県 支 部
江尻掖済会診療所長
県立富士見病院
平澤 亥佐吉 (秩父宮妃記念結核予防功労賞第6回受賞者)
山下英秋先生の第4回に引き続き,第6回秩父宮妃
記念結核予防功労賞を受賞し身に余る光栄と考えてい
る。江陽グランドホテル(仙台市)における記念式典
前日のレセプションでは,8名の事業功労賞表彰者の
席は結核予防会総裁秋篠宮妃紀子殿下の隣に与えられ,
妃殿下と1人1人お話をすることができ,3月27日宮
城県民会館における記念式典では,表彰状を1人ずつ
妃殿下より手渡された。 県立富士見病院は昭和33年5月30日,清水市(現
静岡市)宮加三に結核専門病院として開院された。結
核研究所から山下英秋,岩間定夫と私の3人が赴任し
た。病院の評価は高く,県内各地より患者さんが集ま
りやがて満床となった。
[顧問]隈部英雄先生,岩崎龍郎先生,塩沢正俊先生,
北本治先生,続いて東北大抗酸菌の鈴木千賀司先生,
横浜市大福島幸吉先生。
各先生には本当にお世話になった。
34年10月秩父宮妃殿下が来院された。
[肺がん]結核化学療法の進歩と共に入院患者は漸減
し,かわって肺がんや非結核胸部疾患が増加してきた。
このため42年3月非結核病棟40床を増設し,44年7
月にはリニアックを購入し「がん」治療の充実を図っ
た。
現日本医師会長坪井栄孝先生,鈴木明先生もしばし
ば来院されXPの検討等が行われた。
[医師補充]呼吸器科単科の病院では,結核の減少に
つれて呼吸器をやる医師の激減が深刻となった。医師
補充のため,名大日比野内科,東大医科研,日本医大,
順天堂大学,名古屋市大,東北大抗酸菌研,横浜市大
福島内科,熊本大学等に山下先生と2人でよく出かけ
て行って,医師の補充をお願いした。
おかげ様で10名前後の医師は常に確保され,患者さ
んに迷惑をかける様なことは起こらなかった。
[組合交渉]42∼43年頃は組合活動の盛んな頃であっ
た。労働組合は看護婦の2人夜勤,完全3交代制の要
求をかかげ交渉を迫った。県職員組合の副委員長が病
院地下に寝泊まりし,2人夜勤,3交代の自主ダイヤ
を看護婦たちに押しつけ実行した。病院前には組合の
赤旗が十数本並び,毎夜の様に団体交渉。
当方は院長と私,総婦長,事務長。相手はほとんど
応援にかけつけた連中。ジッと耐えて十数回の団交を
乗り切り,自主ダイヤのパンク寸前,相手の増員数の
大幅切り下げで妥結した。妥結文書に調印し,深夜に
もかかわらず衛生部長に報告のため車に乗った。
[統合]県立中央病院と県立富士見病院を統合して県
立総合病院をつくるという考えが,50年頃より経営至
上主義の山本県知事の下で発案された。清水市民の全
面反対,医局及び病院あげて反対したが,知事の力は
強く,55年に病院建設室がつくられ,看護婦,放射線,
検査等のスタッフが派遣された。医師は私。週1回午
後県庁の建設室に出勤した。
まず入れ物。700床,結核は100床,非結核胸部疾
患100床。結核感染の問題は大問題になり現在も後を
ひいていると思う。医療機器,職員数等について衛生
部長とやり合い,ずいぶん嫌みを言われた。
山下先生は57年3月退職された。
58年2月1日開院をめざして1月25日患者輸送日
とし,救急車6台をピストン輸送。各車に医師,看護
婦を同乗させた。重症者の輸送を終わり次は軽症者,
バス3台に分乗させた。移送も終わり職員もほとんど
いなくなった午後,総婦長と1階より3階まで各病棟
を回ってみた。青春をささげた病室には誰もいない。
一寸涙ぐむ。
今年の8月30日山下先生と私の受賞を祝って,富士
見会が約80名ホテルに集合した。
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11
結核院内感染防止を目的とした複十字病院改修の
有効性とその問題点
病理解剖室のバイオハザード対策に則った改修,平成8∼
10年度の病院全体の改修事業にて結核排菌患者用外来陰圧
結核予防会複十字病院
診察兼待合室,外来採痰ブース,陰圧手術室,呼吸器外科
病棟(2S病棟)陰陽圧兼用個室などの増築や改修,内視
副院長・呼吸器外科
鏡室内へクリーンボックスの導入を行った。また,平成11
中島 由槻
年度厚生省多剤耐性結核専門医療機関整備事業により,4
B結核隔離病棟全体の陰圧化とホール,ナースステーショ
ンの陽圧化,細菌検査室のバイオハザード対策P2レベル(一
般細菌検査室),P3レベル(結核菌検査室)への改修を
はじめに
行い,さらに歯科診療室,理髪店にパネル型空気浄化装置
を設置し,多剤耐性肺結核患者を含めた排菌結核患者を診
結核予防会複十字病院は,平成11年度に国から多剤耐性
療するに際して必要と思われる,施設面での結核感染対策
結核診療の関東甲信越広域拠点施設に指定されたが,平成
を施行した(図1)。
7年から11年にかけて結核院内感染防止を目的に,施設の
現在それらの運用指針に従って結核患者を診療し,外来
改修を行った。その改修の内容,有効性,問題点については,
排菌患者のトリアージ,職員のN95マスク着用励行による
平成14年度厚生労働科学研究「建築物と結核」に詳細に報告
個人的感染防御を徹底し,さらに年2回の職員健康診断,
してあるが,ここではまず改修の概要を示し,さらに有効
ツ反強陽性者以外の職員を対象とした年1回のツ反実施と,
性と問題点の要点を述べる。
陽転と判定された場合の予防投薬の勧告などの対策で,職
員の健康管理に努めている。
複十字病院における改修の概要
改修の有効性の検証
結核予防会複十字病院は平成7年度厚生省HIV合併結核
対策モデル事業にて,HIV合併結核患者用への個室の改修,
上記改修施設における結核感染対策の観点から見た空気
浄化の有効性を,(1)パーティクルカウンターによる室内粒子
図1 複十字病院4B病棟略図(改修後)
密度の測定(Lyon社;主として室内中央部空気1 中に浮遊
する径1μm以上の粒子数を経時的に測定),(2)煙による
気流の確認,(3)気流シミュレーションによる空気浄化度のコ
ナースステーション
エレベーター
ホール
階段
ナースステーション
(4B)
処置室
倉庫
病室
病室
病室
廊
下
病室
病室
100
4B処置室内空気清浄度
%
low
high
90
80
70
残 60
存
塵 50
埃
量 40
30
:陰圧(強)
:陰圧(弱)
:陽圧
処置室
:平圧
病室
(エアーバランスと無関係)
病室
談話室
禁煙
指導室
病室
WC
病室
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病室
WC
病室
病室
ム」使用),にて検証した。それらの検証結果の要点を示す。
図2 4B隔離病棟内処置室空気浄化度の推移
浴室
洗面所
ンピューター解析(気流シミュレーションソフト「ストリー
看護師控室
前室
面会コーナー
12
カンファレンス
ルーム
20
10
0
0
1
2
3
4
5 6 7
時間(分)
8
9 10 11 12 13
(1)パーティクルカウンターによる室内粒子密度の経時的
測定
であまり成功していない。そこで ㈱ダイダンの研究所に依頼
陰圧で,ヘパフィルター付きファンコイルによる室内空
ターシミュレーションを行った。その結果を図3に示す。ガ
気循環システム(天井面装着)が,4B病棟内の全病室,処
フキー3号は痰1ml当たり100∼200万個の結核菌を含むと
置室,談話室と,2S病棟2個室に設置された。それらの室
推定されるが,その4分の1が飛沫核となって空気中に
し,ある換気条件を与えて結核菌の浄化についてコンピュー
内における空気浄化の程度をパーティクルカウンターにて
測定したが,ここでは4B隔離病棟内処置室における測定
図3 気流シミュレーションによる結核菌飛沫核の広がりと浄化
(空気中に50万個の結核菌飛沫核が浮遊したと推定)
結果を示す(図2)。
図2のように室内の径1μm以上の粒子は,室内に棚,ワ
外来結核診察室の換気効率に関する気流シミュレーション
ゴン,処置用ベッド,汚物流しなど種々の物が置かれてい
シミュレーション条件
る状況においても,システム運転開始後7分間でその95%
1. 換気回数
TYPE-A,C:22回
給 気:412m3/h
排気1:272m3/h
排気2:622m3/h
ガラリ:482m3/h
TYPE-B:12回
給 気:240m3/h
排気1:120m3/h
排気 2:360m3/h
ガラリ:240m3/h
2. 室内温度条件(共通)
◇室内温度:26℃
◇給気温度:18℃
3. 結核菌飛沫放出個数
TYPE-A,B:50万個を1回
TYPE-C:500万個を1回
それぞれ患者から放出
が除去されることが確認された。このことは他の同じシス
テムの導入されている室内でも,4床室では浄化時間に数
分の遅れがあったものの,基本的には同じ結果であった。
さらに室内の大きさにほぼ見合う移動可能なクリーンユニ
ットを,内視鏡室,歯科診察室などに設置運転し,同じく
経時的粒子測定にて同様の結果が得られた。また採痰ブー
スを独自に立案し,電話ボックス程度の広さの中で1時間
600回のヘパフィルターを通した換気をさせ,15秒間でほぼ
粒子がゼロになるようなブースを㈱大氣社に製作させたが,
今回ブース内空気浄化に関する能力も同様に確認した。
(2)煙による気流の確認
空調換気設備図
排気ファンへ
5500
X断面
HEPA
診察室
患者
給気
Y断面
Y断面
排気1
ドアガラリ
X断面
排気ダクト
前室
Y断面 X断面
室内が陰圧になるように空調が運転されていても,実際
30秒後
凡 例
0
∼1,000
の確認作業が必要である。今回前室のない陰圧室である陰
圧手術室,2S病棟個室における気流の方向を煙にて測定
した。これらの部屋の扉は引き戸で,扉閉鎖時は十分な陰
待合室
空気1m3に含
まれる結核菌
の個数
に気流が外部へ漏出しているか否か,扉の開放時はどうか,
などについては煙やロウソク炎のたなびきによる気流方向
排気2
給気ダクト
1,000
∼2,000
3分後
圧が維持されていることが,扉と床のわずかな隙間の気流
2,000
∼3,000
の速さと方向にて確認された。しかしながら扉を全開した
3,000
∼4,000
場合,2S病棟個室では計算上扉面の気流速度は外部から
室内方向へ20cm/秒であるが,実際の気流は高いところで
4,000
∼5,000
5分後
は室内へ,低いところでは室外へ向かい,扉面を中央にし
5,000∼
て対流していることが判明した。この現象は陰圧手術室の
TYPE-A(1)
扉全開時にも認められた。 Y断面 X断面
ところで気流方向測定にて判明した最大の問題点は,4
B病棟ナースステーションへのホールからの空気の流入で
あった。結核病棟ホールには結核排菌患者や多剤耐性結核
7分後
患者の出入りがあり,主としてナースステーション内に勤
0
∼1,000
務する1名の職員に院内感染と疑われる発病があった。こ
1,000
∼2,000
れについてはその対策も含め後述する。
(3)気流シミュレーションによる空気浄化度のコンピューター
解析
9分後
2,000
∼3,000
90%除去
3,000
∼4,000
結核感染対策における空気浄化の問題は,必ずしも空気
そのものの浄化を必要とするのではなく,空気中の結核菌
のみを浄化すれば解決する。その点ではパーティクルカウ
ンターによる全粒子の測定は実際的でなく,また空気サン
プラーによる結核菌の検出(培養による)は,いくつかの報告
凡 例
空気1m3に含
まれる結核菌
の個数
4,000
∼5,000
11分後
5,000∼
95%除去
TYPE-A(2)
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13
結核院内感染防止を目的とした複十字病院改修の有効性とその問題点
浮遊すると仮定し,1カ所の給気口と2カ所の排気口を持ち
らの問題の解決方法として,陽圧の前室の役割が極めて重
1時間に22回の換気がなされる室内(実際の結核患者外来診
要であることをあらためて認識した。今後排菌結核患者,
察室)での,結核菌の広がりと浄化の推移をコンピューター
特に多剤耐性の患者の入る部屋では,必ず陽圧の前室を設
に計算させた。結核菌浄化度はCDCガイドラインに記載
けるべきであろう。
されている表と大差なかったが,興味深いのは結核菌の広
ヘパフィルター付きの空気浄化装置は飛沫核の除去に有
がりである。今回のシミュレーションでは,結核菌は3分
効である。室内の広さによっては小型の移動式の装置でも
後には室内全体に高密度に広がり,同一室内にいる限りは,
かなり浄化し得る。運転中の音と風向に配慮すれば,浄化
排菌源からの距離は結核菌吸入の危険度にあまり関連がな
装置を天井面等に改修設置できない部所において,移動式
いと推測された。
装置でも使用の意義はあるであろう。しかしフィルターの
維持と交換のためのコストは覚悟しなければならない。
改修後の問題点とその対策
空気中に放出され飛沫核となった結核菌は,同一室内に
いる場合部屋のどこにいても吸入する危険が高いと,今後
上記のように改修後の最大の問題点が,4B病棟におけ
認識を改めるべきである。したがって室内空気の浄化はも
るホールからナースステーションへの気流の流れであるこ
とより,その室内に入るときは必ずN95などの高性能マス
とは前述した。そこで平成14年度に,それを改善するため
クの着用を励行すべきであると考える。
の改良工事を行い,ホールに排気ファンを設置し,ナース
おわりに
ステーション内に給気吹き出し口を設け,ナースステーショ
ン内処置室の排気を止めることで,少なくともホールから
ナースステーションへの直接的な空気の流入は気流測定で
結核院内感染防止対策として,複十字病院で施行した施
は消失した。
設改修の有効性とその問題点の概要について述べた。はじ
ただしその後早稲田大学理工学部建築学科田辺新一教授
めに述べたように,これらの詳細は平成14年度厚生労働科
グループの,PFT法(PFT放散源(C6F6,C7F8)とパッ
学研究「建築物と結核(総括研究者山下武子)」における
シヴサンプラー使用)によるナースステーション内へのホー
分担研究報告書「結核院内感染防止に関する研究(分担研
ルの空気の混入度調査にて,ナースステーション内の空気
究者中島由槻)にまとめてある。拙文が結核感染防止のた
の約28%がホールの空気の混入であることが判明した(図4)。
めの一助になれば幸いである。
この結果はナースステーションへの出入りにより頻回にホー
ルとのドアの開閉(開き戸)があるため,日常の状態では
参考文献
ホールの空気の流入を完全にブロックし得ないことを明ら
・Centers for Disease Control and Prevention: Guidelines for
かにした。現在この点についての対策を検討中であるが,
preventing the transmission of tuberculosis in health-care facilities,
実際にはナースステーション内にはヘパフィルター付きの
1994,MMWR 43(RR-13):1-132,1994
空気浄化システムが作動しており,空気浄化はある程度は
・中島由槻,森亨:結核に対する院内感染の予防と対策.病院58:
得られている。
971-978, 1999
ところで4Bナースステーションへの空気流入,2S個
・中島由槻:結核院内感染防止に関する研究,平成14年度厚生労働
室や陰圧手術室の扉面における対流現象などは,汚染空気
科学研究「建築物と結核(総括研究者山下武子)」分担研究報告書
を完全に封じ込めておくことの困難さを示している。これ
図4 エレベータ−ホール,ナースステーションおよび外部と各室の空気交換量[m3/h]
(早大理工学部田辺新一研究室による)
198m3/h
2760m3/h
213m3/h
外界/
隣接室
3
2775m /h
エレベーターホール
Zone1
14
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535m3/h 外界/
隣接室
550m3/h
ナースステーション
Zone2
愛知
愛知県における結核治療成功促進事業の展開
愛知県健康福祉部
健康対策課主査
佐藤 幸子
経緯
愛知県の保健所は83市町村を管轄する13保健所9支
所と,政令指定都市である名古屋市16保健所,中核市
である豊田市・豊橋市・岡崎市保健所から成り,名古
屋市を除く県所管人口は493万人余である。愛知県の
結核の動向(表1)を見ると,新登録患者数及び全結核
罹患率は減少しているが,喀痰塗抹陽性患者数及び喀
痰塗抹陽性罹患率は平成14年微増している。
表1 愛知県の結核の動向(名古屋市を除く県計)
結核指標
H12年
H13年
H14年
新登録患者数(人)
1,337
1,287
1,161
全結核罹患率(人口10万対)
27.4
26.2
23.5
喀痰塗抹陽性患者数(人)
415
394
407
8.5
8.0
8.2
喀痰塗抹陽性罹患率(人口10万対)
当県では,結核対策特別促進事業として「結核指標
の地域間格差の解消を図ること」を目的に,結核指標
について全国平均または県平均までの改善を目指して,
平成12年度より3年間「地域別重点結核対策事業」を
継続実施した。内容は,行政努力で改善可能と考えら
れる結核指標改善のための事業を,地域の実情に応じ
て実施するという保健所の主体性を尊重し,日頃の地
域の結核の実情に対する問題意識を即事業に反映でき
る魅力的な事業として展開してきた(表2)。この事業
で多くの保健所が医療機関との連携の見直し強化を図
り,平成14年度から開始した「治療成功促進事業」の
強い基盤となった。
表2 地域別重点結核対策事業
年度
12
13
14
保健所
内容
半田
H9・10 年齢調整全結核罹患比算出,新登録患者調査,健康教育,結核医療適正化を診査会で協議
津島
診査会便り発行,結核医療適正化を診査会で協議,ツ反陽性率調査,関係者研修会
西尾
BCG針跡数調査,結核推進会議,医療・学校・市町保健関係者講演会(BCG接種体制の改善)
稲沢
BCG針跡数調査,ツ反分析評価,関係者研修会(BCG接種体制の改善)
新城
ツ反・BCGに関する医師・養護教諭研修会,結核死亡状況調査,医療機関との連携会議,情報紙発行
瀬戸
新登録データベース化と分析,情報紙発行,講演会,医療機関との連携(定期外健診システム化)
豊川
経年的新登録患者の分析,医療関係者研修会・連携強化会議(コホート会議基盤整備)
知多
医療機関結核認識アンケート調査と指導(優先診察,採用時二段階ツ反),医療機関研修会
師勝
学校定期健診分析・精検フローチャート配布,学校保健関係会議,定期外健診体制整備,講演会
足助
ツ反・BCG調査,学校・医療刑務所関係者連絡会議,一般啓発(有症時早期受診),情報紙発行
春日井
医療従事者の結核予防(健康管理調査・健診定着),医療機関との連携会議,講演会,情報紙発行
江南
医療機関との連携強化・連絡会議のシステム化,医療機関向け適正医療講演会
岡崎
高齢者施設の結核予防(発生状況・職員採用時健診分析)医療福祉講演会,関係機関連絡会議
衣浦東部
医療機関との連携会議,適正医療講演会,診査会機能強化,コホート検討会,情報紙発行
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15
結核治療成功促進事業の概要
平成12年度から継続実施してきた「地域別重点結核
対策事業」を基盤として,「結核治療成功促進事業」
を平成14年度より以下のとおり開始した。
目的
現在の結核対策は発見された結核患者を確実に治し,
この患者からの伝播を断ち切ることが重要視されてい
る。そこで,結核患者に対する確実な服薬支援を行う
ことにより治療成功率の向上を図り,治療失敗・中断
を減らすための対策としてコホート検討会を取り入れ
た患者支援管理を行う。
内容
結核患者に対する確実な服薬支援を地域の実情に応
じて行うことを前提に,原則「喀痰塗抹陽性患者を対
象」に,「コホート検討会」を4半期毎に1回の目安
で年4回開催する。
評価
1年間の新登録患者のうち,標準的な治療期間(6∼
9カ月)を過ぎた患者を対象に治療成績を評価する。
治療成績の目標値の設定は以下のとおりである。
① 治療成功率:90%
② 治療脱落・中断率:0%
③ 3∼6カ月前の新登録患者の治療開始時の培養検査
把握率:100%
④ 薬剤感受性検査の把握率:100%
⑤ 最近3カ月の新登録患者の2週間以内の本人初回面
接実施率:100%
経過
平成14年度は二次医療圏を考慮して,一宮,知多,豊川
の3保健所で実施した。事業展開に先立ち,まず結核治療
成功事業に対する医療機関と保健所の共通認識を図るため
の研修会,次に県内で既に治療成功事業に先駆的に取り組
んでいる状況を理解する研修会(表3)を開催した。
表3 治療成功促進事業に関する研修会
研修内容
日程
対象
「結核治療の成功のために」−結核対策千葉方式から
H14/7/6(土)
結核病床を有する病院関係者
講師:国立療養所千葉東病院副院長 山岸文雄先生
PM2時∼4時
保健所職員 参加者:133名
医療機関と保健所の連携―結核患者の治療成功を目指して
H15/2/3(月)
結核病床及び一般医療機関関係者
「院内DOTSの現状と保健所との連携」 PM2時∼4時
保健所職員 講師:大同病院主任部長 吉川公章先生
参加者:122名
「名古屋市のDOTS事業と医療機関との連携」
講師:名古屋市中村保健所保健予防課長 山田敬一先生
医療機関と保健所の連携―結核患者の治療成功を目指して パート2
H15/6/13(金)
結核病床及び一般医療機関関係者
「パネラーからの実践報告と助言」一宮・知多・豊川・中村保健所保健師
PM2時∼5時
保健所職員
助言:県立愛知病院 奥野元保先生,県立尾張病院 細田昌良先生
「院内DOTSの展望―保健所との連携をとおして」
講師:大同病院主任部長 吉川公章先生
「日本版21世紀型DOTS戦略ー地域DOTS実践に向けて」
講師:結核研究所対策支援部保健看護学科長 小林典子先生
16
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参加者:159名
特対事業 愛知県における結核治療成功促進事業の展開
まとめ
平成15年度は実施保健所を,瀬戸・一宮・春日井・
江南・半田・知多・衣浦東部・豊川の8保健所に拡大
した。いずれも結核診査協議会を開催している事務局
保健所であり,合同で診査協議会を開催している保健
所を巻き込んだ広域の事業展開を期待している。今年
度事業展開を図る前段階として,平成14年度治療成功
促進事業実施保健所の事業報告と,臨床現場から助言・
提言を得る研修会(表3)を実施し,「個人レベルの
努力ではない普遍的システムによる連携のあり方」「顔
の見える連携のあり方」の必要性と大切さを再認識した。
そこで普遍的システム構築の一環として,同一医療圏
の保健所と結核拠点病院との結核服薬支援連絡会議の
定例開催(「退院前DOTSカンファレンス(仮称)」)
を模索し,病院の協力・理解を得て順次開催準備して
いるところである。
以上,愛知県においてはトップダウン方式で「治療
成功促進事業」を段階的に地域に下ろし,事業が展開
しやすいよう系統的に研修を開催して,医療機関関係
者との共通認識・連携強化を図ってきた。実際は保健
所が地域の実情に応じてやれるところから治療成功促
進事業を立ち上げ,着実な実施を通して「治療成功」
のボトムアップを図るという双方向の事業展開である。
「結核患者を治す」という共通目標を持つ医療機関の
理解・協力を得て普遍的システムによる連携を確立し,
今後も結核患者の治療成功に向けたきめ細かな事業推
進を図っていきたい。
マスコミ資料(結核・健診関係)
服薬支援の実際
患者が100人いるならば100通りの地域DOTSの展開,
服薬支援があるというのが実情である。患者と服薬支
援者双方の合意の下,実情に応じた工夫で確実な服薬
と確認がなされ,1人でも確実に治療成功に導くこと
ができると良いと考える。
例えば,中断を繰り返している27歳,ホステスの場
合「日本版21世紀型DOTS体系図」によるとA型(原
則毎日服薬確認)に相当するが,本人の希望により主
治医と話し合いの上,週に1回外来通院後保健所で面
接し,服薬後のPTPシート確認で通院・服薬継続を確
認するというB型(週1∼2回以上の服薬確認)の方
法をとっている。また,合併症の多い老人で多種類の
薬を処方されている場合,100円ショップで販売され
ている小袋を利用して薬の1包化を図り,家族の目に触
れる茶の間のボードに貼って確実な服薬を工夫している。
これらの事例等,様々なバリエーションの服薬支援報告
を保健所から受けている。治療成功の鍵は患者と服薬支
援者,医療機関関係者との強い信頼関係の下で展開され
る,地道な日常の支援活動にあると再認識している。
●9/3 毎 「追跡 北朝鮮は今」北朝鮮の結核事情は飢餓
より深刻。国内77カ所の結核病院は機材も薬品も不足し,敷地
内には死亡した患者を埋葬する広大な墓地があった。
●9/10 朝 BCG接種の,スギ花粉とダニのアレルギーに
対する新治療法臨床試験が,「結核菌に感染すると免疫細胞の
1型ヘルパーT細胞が誘導され,アレルギーを抑える」との推
定の下,千葉大付属病院で実施された。
●9/20 経,産,毎,西日本,薬事日報 9/24 北海道 平成14年結核発生動向調査関連。昨年の結核患者は,3年連続
減少するも減少幅は縮小している。
●9/25 朝,経,毎,読 茨城県取手市の西間木病院で,6
月以降の入院患者8人と職員7人の男女15人が結核に感染し発症,
うち男性患者3人が死亡していたことが24日,茨城県の調査で
分かった。死亡した3人は昨年4月から今年3月までに脳梗塞
などで入院し,8月5日から9月4日にかけ死亡。うち2人は
同じ病室だった。また,ほかの患者2人も結核の疑いがあり,
うち1人は死亡している。
●9/26 朝「天声人語」長く日本人の死亡原因の1位を占め
てきた結核だが,99年「緊急事態宣言」が出されている。戦後
松田道雄は結核をして「日本民族の災害」と評したが,いまは「お
年寄りを襲う災害」のようでもある。
●9/27 毎 厚労省は市町村が実施している6種類のがん検
診の方法を大幅に見直す方針を決めた。子宮体がん検診と視触
診方式の乳がん検診は,有効性が低いと見て廃止を求める。胃
がん,肺がんなどの検診も精度を高めるよう改善する。今秋専
門家による検討会を発足させ,来春にも検診の指針を改定する。
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17
平成15年度地区別講習会実施報告
今年も結核予防技術者地区別講習会が全国7ブロックで開催されました。本講習会は,各都道府県の特対事業の
実績報告,相互検討及び専門家による講義の場を設けることにより,結核地域格差の解消と一層の結核対策の推
進を図ることを目的としています。
各ブロックの担当県の方に,実施模様の報告をしていただきます。
北海道地区
北海道保健福祉部疾病対策課
感染症グループ主任
佐藤 ふみ子
平成15年度の結核予防技術者北海道地区講習会は,
9月2日,3日の2日間にわたり,札幌市内で開催い
たしました。北海道は毎年単独ブロックで開催してい
ますが,本年度も保健所をはじめ各市町村や健診機関,
医療機関から約180名の参加があり,結核に対する意
識の高さが伺われました。
1日目,合同講義では結核予防会結核研究所の石川
副所長から「結核対策における患者支援強化」をご講
義いただき,DOTSをはじめとする患者支援の重要
性を解説いただきました。受講者の中でも,特に保健
師の方々が熱心にメモを取っている姿が印象的でした。
午後からは職種別分科会を開催しました。【医師】は
東北地区
秋田県健康福祉部健康対策課
疾病対策班主査 工藤 聖子
東北地区の講習会は,7月3日,4日に秋田県で開
催し,延べ423名の参加を得ました。
結核対策の大幅な見直しの方向が示されているこの
時期に,結核研究所から星野斉之先生,永田容子先生,
複十字病院から尾形英雄先生,厚生労働省からは石川
直子先生を講師として,最新の知見や結核予防対策の
展望についてお話を伺うことができました。
今回の講習会では患者支援のあり方,特にDOTS
推進について各講師から説明があり,参加者にとって
治療成功をめざすことの意義が十分認識できた内容で
あったと思います。
また,各自治体からの事業報告では,①結核予防業
務調査・検討会議(青森県),②精神病院における潜
在患者発見事業(宮城県),③高齢者施設の結核等感
染予防対策促進事業(山形県),④ホームレス結核定
期健康診断事業(仙台市),⑤保健・医療・福祉サー
18
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結核研究所和田研究主幹,【診療放射線技師】は同対
策支援部放射線学科星野科長代理,【保健師・看護師】
は同保健看護学科永田科長代理と,それぞれの専門分
野について最新の知識・情報を盛り込んだご講義をい
ただきました。
2日目は石川副所長から「新しい予防接種・学校健
診」について,厚生労働省健康局結核感染症課の神ノ
田補佐から「結核対策の現状と展望」について,それ
ぞれ講義をいただきました。特に今年度から変更にな
っている学校健診については,現場での疑問など受講
者から質問が相次ぎ,大幅に終了時間を超えてしまい
ました。今回,各講義とも,質疑応答により多くの時
間をかけるように取り組んだことで,日頃の疑問など
が解消され,参加者にとって有意義な場となったと思
います。
最後になりましたが,当講習会に参加されました皆
様と講師の諸先生方に,この場をお借りして深く感謝
申し上げます。
ビス従事者結核予防研修事業(秋田県)の取り組みに
ついて発表があり,各自治体の結核対策への意気込み
を感じました。
講習会終了後に開催した担当者会議では,結核研究
所の星野先生,永田先生にも御出席いただき,①結核
対策特別促進事業の財源確保の問題,②DOTS事業
の取り組み,③結核診査協議会,④学校における結核
対策等について意見交換を行いました。特にDOTS
事業については,各県市ともに方策を模索しており,
両先生からDOTS事業の取り組みについて貴重な助
言を得ることができました。
さらに欲を申し上げれば,「酒どころ秋田」にせっ
かくお越しいただきましたので,講師の先生や各自治
体の担当の皆様と交流を深めるべく,一献傾ける場を
御用意できたらよかったと後になり思った次第です。
最後になりますが,講師の諸先生及び細々したこと
の調整を担ってくださいました結核研究所の小松様に,
この場をお借りしてお礼申し上げます。
関東甲信越地区
神奈川県衛生部保健予防課
エイズ・感染症対策班副主幹 松岡 勲
平成15年度の結核予防技術者関東甲信越地区講習会
は,神奈川県が担当県となり,7月24日,25日の2日
間,横浜市内において県内外の医療機関,保健所,市
町村等から約250名の参加を得て開催されました。
今回の講師は,結核予防会から島尾顧問,結核研究
所から伊藤主任研究員,小林保健看護学科長,また厚
生労働省から石川予防接種専門官をお招きし,結核対
策について専門的な立場から御講義いただきました。
特対事業の評価・報告では,川崎市から「川崎市北
部3保健所における結核コホート検討会について」報
告していただき,当県からも「結核業務支援システム」,
「治療中断者早期把握システム」の2つの事例につい
て報告を行いました。それぞれ熱のこもった報告があ
り,講師の先生方からの助言も受け,活発な意見交換
がありました。
講習会終了後に開催した担当者会議では,事前に各
自治体から寄せられた質疑事項及び各自治体の結核対
東海北陸地区
富山県厚生部健康課
保健予防係副係長 米道 暁彦
東海北陸地区の結核予防技術者地区別講習会は,富
山県が担当県となり,6月26日,27日の2日間,富山
市において開催しました。
講師には,結核研究所から森所長,吉山研究部長,
中野放射線学科長,小林保健看護学科長の4名,また,
厚生労働省からは国立感染症研究所の石川国際協力室
長をお迎えし,ご講義をいただきました。
26日午前の合同講義は,保健・看護学科等の学生に
も参加の枠を広げたところ,結核について初めての講義
だったのでとても参考になった,との声が聞かれました。
午後は,医師,保健師・看護師,診療放射線技師の
3会場に分かれて,それぞれ専門の講義がありました。
2日目午前の合同講義は「新しい予防接種・学校検
診」をテーマとしたところ,養護教諭や保健師等,多
数の参加をいただき,関心の高さが伺えました。児童・
生徒や乳幼児の結核対策が大きく変わりつつある中,
策特別促進事業のうち,注目すべき事業を中心に議論
を行い,結核病床,DOTS事業の取り組み(千葉県,
川崎市の事例),結核菌バンク(東京都,茨城県の事
例),退院後の服薬支援(茨城県の事例),外国籍県
民結核健康診断の検診方法(横浜市,川崎市の事例),
結核診査協議会の保留案件の扱い,ポータブル検診等
が議題となりました。
講習会に引き続き参加していただいた島尾先生,小
林先生からも全国的な動き,専門的な視点から数多く
のアドバイスをいただき,特にDOTS事業に関する
各自治体へのアンケート集計結果の報告と分析は参考
になりました。今回は取り上げるテーマを絞ったので
すが,時間不足のため充分な討議に至らなかったのが
残念でした。
最後になりましたが,講師の諸先生,資料提出等ご
協力いただいた各自治体の担当者及び講習会参加者の
皆様に,この場をお借りして深く感謝申し上げます。
会場の参加者は真剣に聴き入っておりました。
特別対策事業の報告・評価については,①結核対策
強化事業,②結核集団感染事例報告,③富山県におけ
る最近の結核の動向,④老人保健施設における入所者
の結核健康診断と題して,4例の報告がありました。
高齢者の結核対策,療養型病院内の結核集団感染及び
学校内の結核集団感染について,いずれも興味深い内
容であり,結核研究所の先生方から貴重な評価・助言
をいただきました。
午後の合同講義は,「結核対策の現状と展望につい
て」と題して,厚生労働省のお話を伺いました。結核
対策が大きく変わりつつある中,参加者にとって,大
変に参考になったと思います。
担当者会議では,定期外検診の進め方,患者管理の
あり方,結核の学校検診についての関わり方等につい
て活発な意見交換がなされ,結核研究所の先生方から
貴重なアドバイスをいただきました。今後の業務に役
立てていきたいと思っております。
最後に,本講習会の開催に当たって,準備段階から
ご協力いただきました結核研究所や各県・市の担当者,
講師の先生方及び参加者の方々にこの誌面をお借りし
まして深くお礼申し上げます。
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近畿地区
奈良県福祉部健康局健康増進課
感染症係主査
酒井 温子
近畿地区講習会は,奈良県が担当し,6月12日,13
日に奈良市内において開催しました。
4月頃よりSARS関連の業務で多忙となり,折し
も各自治体からの参加申し込みや特対事業の報告依頼
の時期に「台湾医師の観光」が重なり,近畿地区は大
騒ぎになりました。その中,時間を工面して特対事業
の報告に来ていただいたり,最終的には多数(実人員
325名)ご参加いただけて,狭い会場は熱気で(蒸し
暑い日でもありましたが)いっぱいになりました。講
師には,結核研究所対策支援部宍戸副部長,複十字病
院中島副院長,結核研究所対策支援部永田保健看護学
科科長代理,同中野放射線学科長,厚生労働省健康局
結核感染症課野原予防接種専門官をお迎えし,ご講義
をいただきました。無事開催できて安堵しています。
今回の開催で,工夫した点をご紹介します。
①県内医療機関への参加の呼びかけ
結核対策には医療機関との連携が不可欠ですが,近
中四国地区
山口県健康福祉部健康増進課
疾病対策班主任主事 河野 千里
平成15年度中国四国地区結核予防技術者地区別講習
会は,山口県が担当県となり,6月5日・6日の2日
間,山口市内において各県(市)の結核担当者や医療
機関関係者等約140名の参加を得て開催しました。
今年度は,結核研究所より星野企画科・医学科長,
御手洗細菌検査科長,永田保健看護学科長代理,厚生
労働省健康局結核感染症課より野原予防接種専門官を
お迎えし,結核対策について,それぞれ専門的な立場
から豊富な経験に基づいた貴重な講義をしていただき
ました。昨年「結核対策の包括的見直しに関する提言」
が示され,本年4月には小中学校でのツベルクリン反
応検査の廃止,新しい学校健診の実施と,まさに転換
期にある結核対策の最新の情報,知識を得られる絶好
の機会とあって,参加された皆さんは,講師の方々の
一言一句聞き逃すまいと真剣に受講されていらっしゃ
いました。各講義とも数多くの質問が出され,終了予
20
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畿地区は毎年行政の参加者が多く,会場の席数にも限
りがあります。そこで,1日目午後の職種別講義では,
参加者が3会場に分散するため席に余裕ができますの
で,この時間帯限定で県内医療機関に参加を呼びかけ
ました。その結果,医師12名,放射線技師13名,看護
師37名の参加がありました。また,講師には,このよ
うな参加者がいることをあらかじめお知らせし,講義
内容を工夫していただきました。
②特対事業の報告・評価
近畿地区では結核担当者会議は毎年3月に開催して
いますので,今回の講習会では,その時間帯も特対事
業の報告・評価にあてました。2日目11:20∼12:30「特
対事業の報告・評価Part.1」では「結核対策事業の強
化・発展」をテーマに近畿府県市所属の4名に,2日
目15:20∼16:30「特対事業の報告・評価Part.2」では「医
療機関と保健所の連携・DOTS事業のひろがり」をテ
ーマに3名にお願いしました。各自治体における実施
方法や工夫等を具体的に教えていただき,大変参考に
なりました。
最後に本講習会開催にあたり,ご講義いただいた先
生方,各自治体の担当者,特対事業報告者及び参加者
の方々,結核研究所対策支援部及び結核予防会出版調
査課の方に,この場をお借りしてお礼申し上げます。
定時間をオーバーする程の熱のこもったものとなりま
した。
2日目の特対事業の報告・評価では,鳥取県より「乳
幼児BCG接種等に関する調査事業」「高齢者等に対
する研修会」,愛媛県より「結核院内感染マニュアル」,
下関市より「結核指定医療機関医師研修事業」,山口
県からも「結核予防対策推進モデル市町村事業」につ
いて報告させていただきました。各県(市)の取り組
み状況を知る貴重な機会となり,また,同席いただい
た講師の先生方より的確な助言をいただき非常に有意
義な場となりました。結核制圧に向けて今後の特対事
業を企画・検討する上で大変参考になったと思います。
最後になりましたが,講義いただきました先生方,
参加されました方々,そして,ご多忙中にもかかわら
ず特対事業の報告をお引き受けいただきました各県(市)
の結核担当者の方々に,この場をお借りしまして深く
感謝申し上げます。
平成15年度地区別講習会実施報告
九州地区
沖縄県福祉保健部健康増進課 結核感染症係主任技師
新垣 さと子
平成15年度の結核予防技術者九州地区講習会は,初
めて海を隔てた沖縄県の担当となり,7月8日,9日
の両日に宜野湾市において開催されました。
今年度は,年度当初から国,各自治体がSARSに
揺れましたが,7月の講習会までには何とか落ち着き
を取り戻し,県内外の関係者約180名の参加を得て無
事開催することができました。
講師には,結核予防会の青木会長はじめ第一健康相
談所の杉田所長,結核研究所対策支援部の永田保健看
護学科科長代理,星野放射線学科科長代理,厚生労働
省より石川厚生労働技官をお招きし,新しい結核対策
について,それぞれの専門の立場から最新の知識,情
報を講義して頂きました。
2日目に行われた特別事業の評価・報告では,沖縄
県中部保健所で,過去6年間の糖尿病合併結核患者の
分析を行った結果について報告がありました。その結
果から得られたことを,患者本人への指導の強化はも
とより医療従事者向け,介護者向けの具体的な対策へ
と活用していることが報告され,データの活用のあり
方等大変興味深いものがありました。
また,大分県から「大分県の結核対策」について報
告を頂きました。報告では,県の結核対策の課題とし
て,①医療体制の整備②結核の治療向上③高齢者対策
を三本柱とし,その解決に向け具体的な取り組みがさ
れた結果,結核の指標の改善だけでなく,有形,無形
の数多くの成果が得られています。中でも拠点病院と
行政の連携は,新しい結核対策を推進するためには不
可欠であり,当県でも大変参考になりました。行政の
取り組みによりこれ程結核対策が改善をみることに,
多くの人が感銘を受けた報告でした。
担当者会議では,各県の「拠点病院と保健所の連携
及びDOTSの取り組み状況」について情報交換を行
いましたが,短い時間ながら今後の対策の強化を図る
ためにも有意義であったと思います。
最後になりましたが,当講習会に参加頂いた皆様,
講師の諸先生方にこの場をお借りして深く感謝申し上
げます。
結核予防会の本
『結核の統計2003』
厚生労働省健康局結核感染症課監修
A4判・124頁
定価 2,940円(本体2,800円)
(〒340円)
結核・呼吸器疾患の 1年分資料の集大成
保健衛生行政関係者はもとより,一般の医師・研究者・学
生の方にもご活用いただけます。病院はじめ看護・保健師
学校・医学系大学にはぜひ備えておきたい一冊です。
内容
■グラビア 22頁 ■資料編 13頁
■平成14年結核発生動向調査年報集計結果89頁 付1 全国保健所別にみた指標値の分析 付2 結核管理図
付3 都道府県別管理図の指標・偏差値
(最新2003年版)
2003年9月発行
問合せ先:財団法人結核予防会 出版調査課 〒204-8533 東京都清瀬市松山 3-1-24 結核研究所1階 TEL 0424-93-6783(直) FAX 0424-93-6832(直)
E-mail [email protected] URL http://www.jatahq.org
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ネパール・ルンビニ・プロジェクト終了を迎えて
∼仏陀への祈り響く地での10
∼仏陀への祈り響く地での
∼仏陀への祈り響く地での10年間∼
10年間∼
年間∼
結核予防会の複十字シール運動収益金により運営してい
るアジア地域の結核対策モデルプロジェクトのうち,ネパー
ルで実施されていた「ルンビニ結核対策プロジェクト(正
式名称Tuberculosis Control Project in Lumbini, Rupandehi,
以下ルンビニ・プロジェクト)」が今年7月16日をもって終
結核予防会国際部計画課
了となりました。これまでの皆様のご支援に感謝し,ここ
柴土 真季
に活動の成果をご報告いたします。
ルンビニの住民によりよい結核プログラムを
の拠点となったのです。
ネパール王国の首都カトマンズから西へ260km,タライ
基盤整備を見計らうかのように,第2期開始後すぐの
平野がインド国境と接するルパンディヒ郡。幹線道路を色
1997年1月,ルンビニPHCに世界保健機関(WHO)の結核
鮮やかなトラックが行き来し,国境貿易の活気にあふれる
対策パッケージであるDOTSが導入されました。当プロジェ
商業区バイラワから車で40分の農村部にあるルンビニ・ヘ
クトで既に優秀な検査助手と複数のホームビジターを雇用
ルスポスト(当時)を拠点として,私たちは1993年12月に
していたことは,塗抹陽性新患者を重点に服薬管理を行う
ネパール結核予防会(NATA)と共同で結核対策モデル事
同戦略がスムーズに働くための追い風となったと言えます。
業を立ち上げました。当時,政府の結核対策は地方までは
この結果,1997年10月以降に新たに登録・治療された塗抹陽
行き渡っておらず,保健施設では人材や薬が満足に確保で
性患者の治癒率は,WHOが示す指標値である85%を達成す
きない,処方が施設によって異なるなど多くの問題を抱え
ることができました。そして,NTPが全国にDOTSを拡大
ていました。ルンビニ・ヘルスポストもこの例外ではなく,
している間も,プロジェクトは農村部でのDOTS実施モデ
技術スタッフはおらず,薬は不規則に供給されていました。
ルとして,郡内外の医療関係者やネパール結核対策評価会
多くの患者が治療を脱落し,多額の経費を支払い遠方の病
において高く評価されるまでになったのです。なお,私た
院やインドの民間クリニックで受診するケースも少なくあ
ちがこれだけの成果を上げたことには,1970年代より今日
りませんでした。
までネパール政府の結核対策を支援してきたJICA(旧国際
そこでプロジェクトでは,ヘルスポストに政府の結核対
協力事業団,現独立行政法人国際協力機構)の結核対策関
策プログラム(NTP)の方針に基づく薬の処方や患者管理
連プロジェクトによる多大な貢献を抜きには語れません。
システムなどを導入し,あわせて支援金を用いて以下のプ
ログラムを開始しました(*1)。
地域との連携が高まる
◆政府からの供給で不足する抗結核薬・消耗品・機材の購入
このように,第2期終了時までにルンビニPHC管内で
◆医師,ホームビジター,プロジェクト調整員,検査助手
DOTSが順調に実施され,良い治療成績が得られたことで,モ
など要員の確保・育成
デル事業としてのプロジェクトの目標は一見達成されたように
◆患者や地域住民に対する健康教育の実施,普及啓発資材
思えます。しかし最も重要なのは,事業終了後もこの地域で良
の作成
質のサービスが継続されることです。そこで,第3期を実施し,
◆NATA及び本会専門家の派遣による定期的なモニタリング
この3年間を通して治療成績が維持されるかを確認しながら,
の実施
NATAとNTPの連携の強化を図りました。そして新たな試み
◆政府結核担当者を交えたプロジェクト運営委員会(ルパ
として,ルパンディヒ郡政府の要請により,同郡内の結核対策
ンディヒ及びカトマンズ)の設置
を補完するため基幹病院であるブトワール病院とビム病院にそ
れぞれホームビジターを1名ずつ派遣し,さらにバイラワ市内
22
壁を塗り替え,埃をかぶった薬棚を掃除することから始
に位置するルパンディヒ支部で服薬管理を支援しました(*2)。
めたプロジェクトの活動は,第1期の3年間には,ホーム
そして第3期が1年半を過ぎたところで,対象施設の治
ビジターと検査助手がヘルスポストに雇用され,基礎保健
癒率が 93.1%(1999年7月∼2002年3月に登録した363人中
サービスが向上したことにより地域の受診者が増加するなど,
338人が治癒された)と良好であり,またルパンディヒ郡に
着実に結果を出すことができました。この努力が政府に認
対する政府のコミットメントが確認できたことから,モデ
められ,施設はプライマリー・ヘルスセンター(PHC)に昇格,
ル事業としての役割は達成したと判断し,プロジェクト方
医師が常駐し喀痰塗抹検査が可能な,地域の結核サービス
式の協力を終了することとしました。
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プロジェクト終了時評価
◆今後プロジェクトが自立発展するためには,政府の人材
そこで,6月18∼26日にかけてNATAと合同で終了時評
配置とNATA独自の運営費調達が強く求められる。技術的
価を実施し,プロジェクトの成果と課題を確認するための
側面については,ホームビジターと検査助手が欠員となる
作業を行いました。当会からは大菅克知国際部副部長と筆
ため,政府による早急な調整・対応が必要である。
者が参加し,1週間にわたる現地作業で,プロジェクト関
係者へのインタビュー,意見交換や文献調査を行い,両者
この評価結果にはさらに本会評価団からの提言が加えられ
で成果を共有するための評価ワークショップを実施しました。
ました。プロジェクトはルパンディヒ郡のモデルPHCを設立
集約された評価結果は合同調整委員会で報告され,最後に
し良好な結核プログラムを維持するのに大きく貢献したものの,
評価報告書が取りまとめられました。マオイスト(毛沢東
NATAがプロジェクトを通じて獲得した管理・技術能力はいま
主義を標榜する反政府組織)による抗議活動が活発化した
だ限定されている,そして今後も成果を維持するためには人
ため,ルパンディヒ郡で調査を行えなかったのは大変残念
材配置などで同郡とのよりよい連携が求められる,というも
でしたが,現地関係者が当プロジェクトをどう捉えている
のです。
かを探る作業は実に興味深いものでした。
さて,今回の評価の要は6月23日に実施した,評価ワー
クショップです。参加型の作業はプロジェクト初の試みでし
たが,プラダン会長,ルパンディヒ郡公衆衛生官からホーム
ビジターまで,プロジェクトに直接的・間接的に関わる13名
が「活動がどれだけ実施されたか」「成果の達成状況はどの
くらいか」をパネルに貼りだしていき,議論を展開しました。
討議は予定時間を大幅に過ぎても続けられましたが,成果や
課題をカードで視覚化することで,活動の得手不得手が明確
となるなど,関係者には良いフィードバックになったようです。
以下,ワークショップで得られた評価結果を示します。
◆プロジェクト目標は地域住民のニーズに見合うものであった。
◆NATAと本会双方の努力によりDOTSが正しく実施され,
また活動は政府の体制の弱点を補強するものであった。
プロジェクトはDOTSが正しく実施されていることを示
最終日,合同評価レポートに署名し,握手を交わすプラダン会長と
大菅副部長。
自立のなかで
す治癒率85%を維持した。
NATAは,自立した環境の中で,獲得した技術や知識をも
◆資金的,人材的投入は適切なものであった。しかしながら,
とにNTPと協力して結核対策事業を実施するための新たな門
第3期開始当初にプロジェクト調整員が欠員であったため,
出を迎えました。夕日に赤く染まるルンビニの田園風景は10
医師などの技術者をリクルートできなかったことは活動
年前と変わりませんが,この地域の人々は確実に自信と力を
に影響を与えたと考えられる。
つけています。その一方で,ボランティアの数がNATA他支
◆プロジェクトはルパンディヒ郡の治療成績の改善に大き
部より少ないルパンディヒ支部は独自の活動を強化するとき
く貢献した。地域及び同郡の医療サービスにあたえたイン
であり,またこの地域には援助プロジェクトの乱立やHIV/エ
パクトは高い。一方で,政府側が同地域の結核対策の資
イズ問題など,結核予防の普及啓発を行う上での課題もあり
金や人材をNATAに頼る傾向がある。
ます。
また,今回の訪問中,関係者の口からNATAルパンディヒ
支部長とルンビニPHC所長がそれぞれ退任・異動したこと
が告げられました。彼らは,私がこのプロジェクトに関わ
った当初から,プロジェクトは人と人との信頼関係の上に
成り立つものだということを教えてくれた立役者たちでした。
少しばかりさみしさを感じながらも,現地関係者が自らの
力で動く準備が整ったという喜びを励みに,私はネパール
を後にしました。
*1:プロジェクトを補完する活動は,第3期まで基本的に同じですが,
抗結核薬については第2期以降NTPから支給されプロジェクト経費から
は購入していません。
*2:ルパンディヒ支部でのDOTSは,2002年秋に近隣の医科大学クリニッ
ワークショップにて, グループごとに成果項目別の達成度が発表される。
クでDOTSが開始されたことにより終了しました。
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結核予防会と結核予防婦人会との
協力関係について
―結核制圧に向け一体となって事業推進を―
結核予防会評議員
全国結核予防婦人団体連絡協議会
理事(兼)事務局長
山口 峯生 地域での結核予防婦人会の誕生と
秩父宮妃殿下のお励まし
結核予防を目的として国が設立した専門団体,家族
や地域住民から結核をなくそうと家庭や地域に密着し
て組織された婦人団体,すなわち結核予防会と結核予
防婦人会,その好ましい協力関係はいつ,どのように
して成立したのだろうか,まずそのことを考えてみた
い。
結核予防婦人会は,昭和25年に誕生した長野市結核
予防婦人委員会がさきがけとなって32年に結核予防婦
人会長野県連合会が結成され,静岡県,秋田県がそれ
に続き,全国組織へと発展した。 結核予防会総裁秩父宮妃殿下が長野市連合婦人会幹
部にお会いした際に,婦人の結核予防への取り組みに
ついて励まされたのがきっかけとなり,同市に結核予
防婦人組織が誕生した。さらに妃殿下は,27年に全国
地域婦人団体連絡協議会の結成記念大会が開催された
のを機会に,代表者を招かれて結核予防運動への協力
をご依頼になり,また全国各地で催された結核予防婦
人会の結成大会や研修会に積極的にご出席になって関
係者を励まされ,共に学ばれ,終生,結核予防婦人会
の育成にお力を注がれた。このような熱い思いは,総
裁としてのご責務とともに,総裁に就任された翌15年
に殿下が結核をご発病になり,長いご療養生活を余儀
なくされて薨去されたご体験に基づくものと拝察され
る。
24
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毎年全国から120名余りの参加者が集う結核予防関係婦人団体中央
講習会
予防会による婦人団体幹部講習会の開催
結核予防会は,早くから「結核予防は主婦の手で」
をスローガンに掲げ,婦人組織を支援してきた。37
年の結核予防週間の重点目標に「主婦の自主的活動を
盛り上げ主婦の知恵と努力で結核をしめ出しましょう」
がうたわれ,標語にも「主婦の力で結核をなくしま
しょう」が登場,主婦が結核予防の主役として注目
されるようになった。38年9月には全国の婦人の力
を結集しようと,秩父宮妃殿下ご臨席の下,長野市
で「家族の健康を守る全国主婦のつどい」が開催され,
39年にも岡山市で2回目のつどいが開催されて婦人
の結核予防運動への参加が促進された。
さらに結核予防会は結核予防婦人組織の育成,強
化を目的として,40年から御殿場市で「結核予防関
係婦人団体幹部講習会」を始め,平成9年からは会
場を東京に移し,秩父宮妃殿下のご遺志を継承され
た秋篠宮妃殿下ご臨席の下で毎年開催している。講
習会には全国の結核予防関係婦人団体から100名を越
える受講生が参加し,結核の正しい知識や複十字シー
ル運動について学び,受講生はその知識を全国各地
に広め,実践活動に生かしている。この講習会の影
響は大きく,その後,全国的に同様の研修会が行わ
れるようになった。
全国組織の結成へ
これに呼応して,41年に熊本県で開催の第17回結核
予防全国大会第1分科会のテーマで「婦人の手で結核
予防をすすめるには」を取り上げ,その後の大会でも
婦人会活動が取り上げられるようになり,47年の富山
県大会第2分科会で結核予防婦人会の全国連合組織結
成への提案がなされた。それに並行して御殿場講習会
でも話し合いが重ねられ,49年の鹿児島県大会で結成
が決議された。
50年4月10日,全国の結核予防に関係する婦人団体
の代表者28名が東京に参集して,全国結核予防婦人団
体連絡協議会の結成が正式に決まった。会議の席上で,
結核予防会山口正義理事長が,婦人会活動に大きな期
待を寄せている旨の挨拶をしている。52年5月17日に
社団法人の認可を受けて現在にいたった。
昭和50年,秩父宮妃殿下ご臨席の下行われた結成記念大会
予防会・婦人会の緊密な連携
このように,結核予防婦人会の全国組織結成への過
程をたどると,昭和20年に婦人参政権が認められ,婦
人の地位向上を目指して活発な活動を展開していた婦
人会と,結核予防に果たす婦人の役割を重視して結核
予防婦人会組織の育成,研修などの教育広報活動を力
強く実施,継続してきた結核予防会との緊密な連携,
協力関係があったことは明白だと思う。
結核予防会は創立以来,学問的基盤に立って,研究,
研修,教育広報,出版,助成,資金造成,国際協力,
検診,診療等,各分野にわたり国の結核対策を支えて
きたが,結核事情の改善による結核への関心の低下や
患者減少の影響を受けるなど,40年代後半から経営上
の困難に直面している。結核予防婦人会は,結核対策
上の主要行事である結核予防週間を共催すると共に,
結核予防全国大会及び複十字シール運動の後援団体の
一員として各行事に参画,また結核の研修,健診勧奨,
シール運動など,行政の力が及ばない分野できめ細か
い活動を続けてきたが,会員の高齢化や減少傾向が続
いており,共に事業運営上の環境は厳しい。
結核対策の転換期 これまで以上の協力を
わが国の結核対策は,昭和14年に官民が協力して結
核対策に取り組むために結核予防会が設立され,26年
に健康診断,予防接種と適正医療を柱として結核予防
法を全面改正した。
ところで,日本の結核は,まん延状況はいまだに先
進諸国の中では最下位グループにあり,さらに高齢化,
社会的弱者への偏在,大きな地域間格差,基礎疾患患
者の増加,薬剤耐性結核増加の兆しなどの難しい問題
を抱えており,国はこれらの諸問題を解決するために,
集団的対応から個別的対応へ,予防から治療重視の結
核対策への道を歩み始め,今まさに3度目の結核対策
上の重要な転換期にあると思う。
このような時にあたり,結核予防会並びに結核予防
婦人会は,自らの活動を活性化して新たな結核対策が
国民の理解と協力を得て成果を上げることができるよ
うにするため,新しい視点に立って事業の見直しを図
ると共に,具体的な目標や活動内容を決定し,それを
確実に実行することが期待されている。
そのためにも,結核予防会と結核予防婦人会は,組
織基盤や事業内容の違いを生かしながらこれまで以上
に連携,協力関係を強化し,一体となって結核制圧事
業を推進し,公益法人としての使命を果たして行かね
ばならないと思う。
発展途上国における結核予防会のプロジェクト視察を目的とした,
婦人会の結核対策スタディツアー。婦人会の協力による複十字シー
ル募金が現地での事業に活用されている。本ツアーは平成6年から
12年までネパールで,平成14年(写真)はミャンマーに対象国を移
して実施された。
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25
2003結核予防週間レポート
本部・東京都支部
にぎやかな休日の浅草・浅草寺で
キャンペーン
∼竹下景子さん・秋尾沙戸子さんが応援に!∼
結核予防週間前日の9月23日(祝日),浅草・浅草
寺宝蔵門前にて,東京都,結核予防会東京都支部,健
康を守る婦人会(東京)及び結核予防会本部の共催で,
街頭キャンペーンを実施しました。当日の浅草はさわ
やかな秋晴れ,祝日であったため大勢の観光客が訪れ,
大変なにぎわいを見せていました。
今回は,以前から複十字シール運動ポスターや結核予
防週間ポスター・パンフレットにご協力いただいてい
る女優の竹下景子さんが応援にかけつけてくださり,
ジャーナリストの秋尾沙戸子さんを相手役に15分ほど結
核や複十字シールについてのトークの時間が持たれました。
シールぼうや,外国人のご夫婦と記念撮影。海外からの観光
客が多い浅草ならでは
竹下さんは,複十字
シール募金がアジアで
の結核対策事業等に活
用されていることを紹
介され,「複十字シールを手紙に貼って出すことで『結
核予防のために私たちができることがある』という気
持ちを伝えられる」と集まった方々に訴え,運動への
協力を呼びかけて下さいました。テレビ朝日系の取材
も入り,竹下さんをひと目見ようと周囲は人だかりと
なりました。
また,東京のキャンペーンではおなじみとなったシー
ルぼうや・結核菌(着ぐるみ)と共にスタッフたちが
キャンペーングッズを配布すると,行き交う人たちは
快く受け取ってくれ,中には「家族にも渡すからもっ
とちょうだい」とおっしゃる方も。シールぼうや・結
核菌は大人気で,手持ちのカメラやカメラ付き携帯電
話で一緒に写真を撮られる方がたくさんいらっしゃい
ました。5,000セット準備したグッズはあっという間にな
くなり,今年のキャンペーンは大盛況で幕を閉じました。
なお,キャンペーンの模様はCS衛星放送チャンネル・
朝日ニュースターの「朝日ニュース」で放送されました。
結核予防週間ポスターがJR東日本各線に!
結核予防会本部は結核予防週間中,東北・関東
地方のほぼ全域にまたがるJR東日本52路線の全車
両に各1枚,結核予防週間ポスターを中吊り広告
として掲示しました。今回のポスターは竹下景子
さんを起用させていただいたものですので,通勤・
通学などに利用される方々の目を引き,結核予防
週間をアピールするよい機会になったと思います。
また,昨年に引き続きCS衛星放送チャンネル・
朝日ニュースターのパブリシティー番組「マリオンプ
ラスワン」の中で,9月22日∼28日の期間中,合計39
回(9月22日∼26日:1日7回,27日∼28日:1日2
回),約1分間の結核予防週間PRを放映しました。
本部事業部
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複十字シール運動キャンペーン
に参加して ∼きっかけはインドネシア∼
竹下景子さんと秋尾沙戸子さんのトーク
秋尾 沙戸子
プロフィール:サントリー宣伝部勤務後,
ジャーナリズムの世界へ。
「CNNデイウォッチ」
「ナイ
トジャーナル(NHK総合)」のメインキャスターを経て「スーパーモーニング(テレビ朝日系)」な
どニュース情報番組のコメンテーターとして活躍。現在,
慶應義塾大学で東南アジアの政治文
化を教えている。文部科学省「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」委員。
東京には台風が直撃すると言われた9月23日,
午後になって少し曇ったとはいえ,さわやかな秋
晴れの下,大勢の人々でにぎわう浅草で,同じ名
古屋出身で東京女子大の先輩でもある竹下景子さ
んと一緒に,私はキャンペーンのお手伝いをさせ
ていただきました。
この会の趣旨に賛同した最大の理由は,インド
ネシアとの関わりが深いことに起因します。私は
スハルト政権時代に「民主化のシンボル」であっ
たメガワティ現大統領とのインタビューを重ね,『運
命の長女:スカルノの娘メガワティの半生』とい
う本を出版しています。本の中では,人々が独裁
政権下でいかに苦しんできたかを描きました。
WHOによれば,インドネシアは世界の結核高まん
延国の第3位に位置づけられています。しかし独
裁政権下では,ODAのような丸投げの援助は政府
高官や軍人が私服を肥やすだけで,庶民の下には
届かないのが現状です。そんな中で「複十字シー
ル募金」の益金によって医療機器がそろい,庶民
が無料で治療が受けられることがいかに尊いこと
か――。そのことが理解できる私は,アジアの他
の国々にも貢献している「複十字シール募金」の
ことを知り,矢も立てもたまらず浅草にかけつけ
たというわけです。
もうひとつの理由は,日本国内でも結核の新登
録患者数が3万2千人に及ぶということを広く知
ってもらいたいと考えるからです。
私が「結核」を意識したのは89年のこと。微熱
が続いたので日赤の耳鼻咽喉科に通い,「結核か
もしれないからツベルクリン反応をみましょう」
と言われたのです。結果的には陰性でしたが,結
核は過去のものと思っていた私は医師の診断に驚
いたものです。それから6年後,高校時代の友人
から突然電話があり,結核にかかって隔離病棟に
入っていたと告げられました。その瞬間,私の脳
裏を掠めたのは彼女の幼い子供たちのことでした。
4カ月もお母さんと会えないことが,いかに心細
いか。以来,私たちは日常的に結核にかかりうる
ということを真摯に受け止め,それを声高に訴え
るべきだと思っています。
概して日本人はアピールするのが下手です。でも,
すばらしいことや大切なことは胸をはって伝える
べきです。たった100円の「複十字シール募金」が
どれほど多くの人々を救えるか。私なりにこの活
動について,機会をみつけて積極的に訴えていき
たいと考えています。
人の流れが絶えることのない浅草寺宝蔵門前
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2003結核予防週間レポート
青森県支部
着ぐるみ使用で盛り上がった
街頭募金
募金に来てくれた女子高生に結核について啓発!
記念にプリクラ1枚!!(当支部保健師 田口課長)
広報研修課
主 任 寺島 剛正
青森県支部では9月1日に市内の繁華街において,
青森県結核予防婦人会,青森県よろこびの会,青森県
職員及び青森県警察音楽隊の参加協力をいただき,結
核予防週間とがん征圧月間の一環として街頭パレード
を実施し,複十字シール運動のパンフレットやポケッ
トティッシュなどを配り結核撲滅とがん征圧を呼びか
けました。
出発式の前に,このパレードを盛り上げてもらうた
め青森県警察音楽隊の皆さんに演奏していただいたと
ころ,一般の人たちも集まり賑やかな出発式となりま
した。
また,今回のパレードではシールぼうやの着ぐるみ
も登場したため,街頭からの注目が集まりました。当日
は新聞社の取材があり翌日の朝刊(新聞3社)へ掲載さ
れたことから,県民に結核予防とがん征圧をPRするこ
とができました。好天のなか1時間30分も着ぐるみの中
に入っていた職員は,「暑くて大変だが,途中でやめら
れないから」と言って最後までがんばりました。
さらに,結核予防週間の前日の9月23日(祝日)と
24日に,「全国一斉複十字シール運動キャンペーン」
として,青森市内3会場において街頭募金と無料結核
検診を実施しました。
当日は,支部職員と青森県結核予防婦人会の会員が
協力し合い,会場であるデパートやショッピングセン
ターの入口で,道行く人や買い物をする人たちに募金
協力のお願いを呼びかけました。
当支部での街頭募金は今年で8回目となりますが,
今回初めて着ぐるみを使用したところ子供たちにはた
いへん好評で,例年以上に多くの方が募金会場の周り
に集まり盛り上がりを見せたと思います。小さな手に
お金を握りしめて「パンダさん,はいどうぞ」と募金
してくれた子供の姿がとても印象的でした。風船も大
変人気があり,風船をあげるとほとんどの方が募金に
協力してくれました。23日は祝日のせいか特に人出が
多く,用意したパンフレットや今年新たに作った結核
予防のポケットティッシュなどはまたたく間に無くな
ってしまい,複十字シール運動や結核予防を少しでも
多くの方に理解していただけたと思います。
今年度の着ぐるみ使用をきっかけに,来年度は新た
に工夫を凝らし普及啓発に努めて行きたいと思います。
お父さんと一緒に募金に
来てくれました
「トラさんとあくしゅ!」募金にご
協力ありがとう
シールぼうやも一緒にパレード
青森県警察音楽隊の皆さん
の演奏は最高でした! 28
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高知県支部
地道に活動を続けて
行くことが大切!
募金を下さる子供たちに“くろしおくん”からもありがとう
総務企画課
企 画 広 報 係 長 伊東 洋子
当支部では「全国一斉複十字シール運動キャンペー
ン」を,結核予防週間を先取りし9月21日(日)に実
施する運びとなり準備万端整っておりましたが,不運に
も台風15号の襲来でその日の中止を余儀なくされ,会場
の都合もあって改めて10月5日(日)に実施しました。
当日は秋晴れの良いお天気で,県健康づくり婦人会
連合会の役員の方々が全県下より21名,県担当者,支
部職員の総勢37名がお揃いのブルーのTシャツにタス
キをかけ,3カ所に分かれキャンペーンを実施しました。
市街地中央公園を基点にのぼりを立てパネルを展示,
今年からシールぼうやの立て看板も仲間入りしました。
冊子・リーフレット・ポケットティッシュやカットバ
ン等8種類を小袋にセットしたもの1,500組,風船
1,000個,シールぼうやのボールペン800本など用意し
た啓発資材を1人1人に声かけしながら,すべて配布
と募金のお願いをしました。
日頃「シール募金は健康募金」として熱心に取り組
んで下さっている婦人会の方々の呼びかけは,大きな
力となってこの運動の輪が広がりつつあることを実感
しました。
県のマスコット人形“くろしおくん”の着ぐるみも,
タスキをかけて愛嬌たっぷり大活躍です。色とりどり
の風船は子どもたちや学生さんたちに大人気。たくさ
んの子ども,学生さんたちがお小遣いを募金して下さ
高知のまつり「よさこい鳴子踊り」も
にぎやかに
血圧測定風景
る姿に,シール募金のことずっと忘れないでネ!と祈り
ます。「結核ってまだ無くならないのですね」と足を止め
募金をして下さる方。「この募金をすることによって,
結核撲滅へささやかに参加していると自負しているか
ら」とのお言葉に感動しました。中には無視して足早
に去って行く人。様々な人間模様を垣間見ながら,「こ
の運動は大変だけど,地道に活動を続けて行くことが
大切」と参加者の中からも声がありました。
同時に,今年も本部会場にテントを設置して医師に
よる「無料健康相談」,保健師・看護師による「血圧
測定」を実施しましたところ,たくさんの方々が相談
や測定に訪れ,健康への関心の深さも感じられました。
帰りに「ありがとう」と募金をして下さると嬉しくな
ります。
折しもこの日,私たちのテント前のぼりが翻る中で,こ
の周辺の商店街連踊り子隊による「よさこい鳴子踊り」
の披露があり,私たちの活動に華を添えて頂いたような
感がしました。
ちょっと出遅れましたが,4時間を皆で精一杯頑張っ
て,いっぱい,いい汗をかきました。
小さなかわいい手で
募金箱へ
募金終了後に婦人会の皆様と
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予防会だより
●第55回結核予防全国大会第1回運営委員会開催
平成16年3月15日(月)・16日(火)の2日間にわたり,福井
県福井市において開催される標記大会の第1回運営委員会が,9
月1日(月)午後3時30分よりKKRホテル東京(千代田区)にて
開催された。
まず本会仲村英一理事長,梅田幸重運営副委員長(福井県福祉
環境部長),厚生労働省健康局牛尾光宏結核感染症課長の挨拶が
あり,座長を委任された梅田副委員長の下,議事に入った。
議事事項は次のとおりであり,運営委員会事務局長を務める福
井県福祉環境部得津馨健康増進課長より説明がなされた。
議題:1.第55回結核予防全国大会運営委員会設置要綱等について
2.第55回結核予防全国大会開催要領(案)について
3.結核予防会総裁御日程(案)について
4.第55回結核予防全国大会収支予算(案)について
5.その他
この後,質疑応答に入り,諸事項につき検討がなされ閉会した。
【運営委員】
委 員 長 西川 一誠 福井県知事
副委員長 梅田 幸重 福井県福祉環境部長
〃 西浦 幸男 財団法人結核予防会福井県支部長
委 員 市橋 和廣 福井県福祉環境部企画幹
〃 中西 雅夫 福井県福祉環境部地域福祉課長
〃 得津 馨 福井県福祉環境部健康増進課長 〃 竹内 誠司 福井県健康福祉センター所長・医幹会会長
〃 中山 孝雄 福井県警察本部警備部警備課長
〃 麋山 昭然 福井市福祉保健部長
〃 伊与 暁洋 福井県医師会副会長
〃 細野 秀子 福井県健康を守る女性の会会長
〃 波田野基一 財団法人結核予防会福井県支部副支部長
〃 仲村 英一 財団法人結核予防会理事長
〃 羽入 直方 財団法人結核予防会専務理事
〃 森 亨 財団法人結核予防会結核研究所長
〃 星野 正義 財団法人結核予防会総務部長
〃 山下 武子 財団法人結核予防会事業部長
オブザーバー 牛尾 光宏 厚生労働省健康局結核感染症課長
〃 塚本 明弘 厚生労働省健康局結核感染症課 課長補佐
●結核予防会胸部検診対策委員会精度管理部会開催
9月16日(火)午後5時より,本部会議室において標記会議が
開催された。増山副部会長(渋谷診療所長)の挨拶に続き,中園
委員(第一健康相談所診療部長)から新任の挨拶があった。さらに,
結核研究所加藤対策支援部長が新委員に推薦され,増山渋谷診療
所長に代わり副部会長に就任することが承認された(部会委員名
簿は以下のとおり)。
その後,12月4日(木)∼5日(金)に開催されるフィルム評
価会について,下記のとおり討議が行われた。
議題: 1.評価成績の活用と改善について
2.開催日程・プログラムについて
3.目合わせについて
4.提出フィルムについて
5.評価について
6.調査票・評価表・評価基準について
7.モニター診断によるモニターの精度管理(提案)
8.その他
【部会委員】(平成15年9月16日∼)
部 会 長 尾形 英雄 複十字病院第一診療部長 副部会長 加藤 誠也 結核研究所対策支援部長 委 員 菅野 通 宮城県支部医療技術部長 〃 矢部 勤 千葉県支部総務部長 〃 小林 健司 静岡県支部静岡診療所長
〃 伊藤 一夫 兵庫県支部保健健診センター所長
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委 員 増山 英則 渋谷診療所長
〃 中野 静男 結核研究所対策支援部放射線学科長 〃 雨宮 謙太 新山手病院診療部放射線科長 〃 中園 智昭 第一健康相談所診療部長 顧 問 高瀬 昭 渋谷診療所名誉所長 *増山渋谷診療所長は,9月16日付で副部会長を退任
●平成15年度結核予防会ブロック会議各地で開催
本年度も,全都道府県支部が6ブロックに分かれ,各地で会議が
開催された。北海道・東北地区,関東甲信越地区,近畿地区の内容
は次のとおり(その他3ブロックは次号掲載予定)。
北海道・東北地区
日 程 10月9日(木)
・10(金)
場 所 秋田県仙北郡角館町 角館温泉花葉館
出席者 33名(7道県,本部)
開会に当たり,開催県を代表して秋田県支部安田幸男専務理事並
びに本部橋本企画情報部長からの挨拶後,安田専務理事が議長とな
り協議に入った。
討議事項 レントゲン車の排気ガス規制について 北海道
けいりん号補助金について 北海道
結核・肺がん検診の読影について 青森県
情報の伝達・周知について 岩手県
医療事故に対するリスク管理等の設置について 宮城県
競争入札について 宮城県
住民検診におけるCT車の導入について 宮城県
電算処理の外部委託について 宮城県
結核予防法の改正に伴う具体的対応について 山形県
肺がん検診におけるCTの導入について 山形県
市町村合併による検診機関としての対応について 福島県
早期勧奨退職制度について 秋田県
結核予防法の改正に関する情報及び職域健診への影響について
秋田県
次期開催県 山形県
関東甲信越地区
日 程 9月18日(木)
・19日(金)
場 所 山梨県甲府市 ザ・ホテル紫玉苑
出席者 36名(10都県,本部)
開会に当たり,開催県を代表して山梨県支部志村光章常務理事並
びに本部山下事業部長からの挨拶後,志村常務理事が議長となり協
議に入った。
討議事項
法人税課税に向けての対策について 茨城県
禁煙対策について 茨城県
物品の検収方法について 茨城県
結核予防法改正に伴う今後の結核検診のあり方について 栃木県
女性スタッフ(医師・技師)派遣依頼への対応 埼玉県
NOx規制による車両対策及びレントゲン車等のネットワーク化について
埼玉県
健診結果報告書類のチェック方法について 埼玉県
再検査の基準について 埼玉県
結核対策の見直しに伴う胸部健診における具体的な取り組みについて
千葉県
時間外勤務手当の執行基準について 東京都
胸部・胃部併用車の使用状況等について 神奈川県
多様化する健診データ処理業務への対応状況について 長野県
入札・見積もり合わせにおける対応について 新潟県
「小・中学校における結核健康診断」の実施状況について 新潟県
次期開催県 群馬県
近畿地区
日 程 10月2日(木)
場 所 京都府京都市 芝蘭会館
出席者 26名(6府県,本部)
開会に当たり,開催県を代表して京都府支部佐藤篤彦専務理事並
びに本部山下事業部長からの挨拶後,京都府支部相津常務理事が議
長となり協議に入った。
討議事項
ハイリスク層およびデンジャー層への結核対策事業について 滋賀県
多額のご寄付を下さった方々
<指定寄付等>(敬称略)
本部−下園保二(保生の森),福島淑行(保生
の森)古谷みさを(保生の森),木野智慧光(複
十字病院),外苑クラブ久野雅晃(複十字病院),
山嵜晃(本部),寺田文男(本部)
<複十字シール募金>(敬称略)
大阪府−森中美智子,金岡時子,長井武,長村治,
平井清孝,田中整骨院,佐野内科,浅井秋子,植
田嘉明,米谷百合子,山下晴己,宮本友惠,明石
恵實,長山亨,森本淳祐,中野眞雅,根岸修治,
平原美智子,舛本悦子,吉松修,浅野英雄,太田
敬子,川畑憲明,櫻井正一,村中重明,土肥孝治,
坂本剛,米澤敬二,岡本功,藤井啓爾,伊與田浩
一,森田美栄博,森本敬二,奥田順一,河野邦臣,
藤田健,阪上千代,佐野榮宏,吉田哲郎,露口泉
夫,坂口泰敏,深津利子,忌部卓,小西豊次,下
林正吾,堀端宏,神尾英雄,西岡俊 ,木下渥,
森英子,村尾隆一,北義美,山内一二三,梶本紳
一,北村晋,中村諭,笠井昭道,新井幸恵,鶴岡
保,北條秀樹,榎本倫紀,大桑裕,北居俊夫,田
中勉,亀田哲男,安田光隆,高木慶一,水谷美代
子,京極俊明,音田篤,山本勝,中村盛一,北島
孝昭,大島市郎,中尾和男,惠阪由美,道仁病院,
田中直知,河面孝子,水野正彦,吉川誠一,中嶋
浩,吉田岸雄,天春厚三,山本鐘雄,大島医院,
兵頭厚子,井上政代,松原秀男,丸山信一郎,川
中雅人,町田八千代,豊田広栄,川野辺和男,坂
本宗嗣,糸野鉄也,西川芳明,小林一藏,辻本昭
治,水川泰三,岩破宏行,岩元慶勝,伊藤雄造,
藤原良江,岡本シモ,西保光一,藤田環,楠本功,
正岡徹,松川純康,諸農正和,上田三千夫,一色
玄,岡野幸義,林悦子,松下比登美,光浄寺,岡
本和子,安藤敏郎,漆谷昌子,楠宗一,仁木在久,
安楽寺,井上英代,上沼恵美子,サンヨー薬局,
平出幸雄,中馬知津子,久保義男,小澤昌治,細
田稔,馬場悦子,大道彰,坂井正勝,内海閑一郎,
山西武雄,今井義雄,小川達二,西川昌廣・節子,
橋村俊一,谷淳吉,木村昭,廣岡政明,石山憲雄,
堀井博,小池幸夫,渡邊俶治, 家貫立,志村晴
刑
砌
信,三好徳昭,西川義子,土井勝巳,坂東覺,錦
戸正儀,谷口勝治,小林修爾,森薗玄堂,西尾一
夫,木下明之,嶋崎善光,柿田政夫,園田雅久,
井上恵,間野大雄,中村雅信,伊藤七郎,松本久
克,大本昭子,小西盛昭,谷本晃一,稲田耕之介,
谷島淳郎,松平佳敬,前内禧宏,近藤智範,浅田
照次,宮 英子,竹中ミ祢,東昭和,岡本高司,
下出喜久子,福岡甲子郎,小林光治郎,藤林三雄,
西野正夫,本多隆朗,瀬戸千代子,佐藤昭,藤井
肇,大寺祐憲,奥谷英一,前田茂,鍵本成敏,鈴
複十字シール運動における婦人会への支援について 滋賀県
職員(管理職)の人事評価制度について 大阪府
ヘリカルCT車の導入について 兵庫県
県の検診受託廃止による他府県支部への依頼について 奈良県
市町村合併に伴う検診形態や営業体制の変化への対応について
京都府
システム開発の重点課題と現状の成果について 京都府
次期開催県 和歌山県
木豊栄,前田一美,臨南寺,黒田美子,柴山浩,
高井大次郎,吉村寿美子,岡田武忠,寺川登志江,
内藤道夫,寺尾善雄,近江巳記夫,辻中義光,古
土井光昭,嶌野美智子,寺西辰治,菱谷栄一,金
澤敬之介,久禮三子雄,小田トキ,井村勲,木山
八坂支教会,友国泰治,北本義明,吉村直樹,金
森勉,山野新,岩本千恵,藤原安雄,佐藤存,和
光寺,岡崎巍,出口のぶよ,寺村良隆,赤井マタ
ニテイクリニック,春日井志津子,松本孝子,松
岡隆永,松田秀士,成本勝彦,星野光二,藤田修
一,天光教總本部,宮本照男,新藤茂夫,森繁臣,
松田晉,長井明,清水美代子,橋本純治,小畠陽
一
愛媛県−武井正,越智眞理子,藤田行雄,服部
正一,田中銑一,西蓮寺,片山素美,村上讓,西
原信成,山岡進輝,真鍋博,烏谷博,嘉村信二,
川上郁夫,松崎一三,吉田博,大久保博忠,瀬野
利一
福岡県−陽明会小波瀬病院,京都助産婦会,行
橋三校区婦人会,陽明会御所病院,豊前市職員,
築城町役場職員,椎田町職員,吉富町職員,渋江
有明,友口,榎本幸子,日本海員液済会門司病院,
岡崎薫,大久保雅,加藤和子,小林昭治,北九州
市衛生総連合会,北九州市歯科医師会,安永朋喜,
一本杉芳子,武居亮作,伊崎駿,村松正俊,小
宮公認会計士事務所,高嶋クリニック,正覚寺,
太田良實,深江保子,正和中央病院(阿部和哲),
岩崎保育園,つだこどもクリニック,中村哲郎
税理士事務所,飯塚市婦人会,渕上歯科医院,
社会保険稲築病院,嘉穂郡婦人会,健康保険直
方中央病院,直方鞍手薬剤師会,直方商工会議所,
福岡県鞍手保健福祉環境事務所,西村眼科クリ
ニック,直方鞍手医師会,津田商事,十輪院,
田川郡婦人連絡協議会,添田町役場,福岡県田
川保健福祉環境事務所,川崎町役場,小竹町職
員互助会,若宮町民一同,鞍手郡婦人会連絡協
議会,福岡県遠賀保健福祉環境事務所,遠賀中
間医師会,遠賀郡婦人会,堤病院,中間市婦人会,
成康会堤中間病院,福間町地域婦人会,惠愛会
福間病院,まつなが小児科医院,宗像歯科医師会,
福岡聖恵病院,栄光会栄光病院,正信会水戸病院,
粕屋薬剤師会,箱田病院,大谷化学工業,井上
会篠栗病院,浄土真宗真光寺,西日本産業衛生
会若杉病院,粕屋郡久山町婦人会,粕屋郡新宮
町婦人会,粕屋郡宇美町婦人会,粕屋郡粕屋町
婦人会,東和メディカルサ−ビス,海の中道海
洋生態科学館,箱崎ユ−ティリティ,内科小児
科河手医院,松本組,総本山浄光寺,中尾鹿吉,
北田葉子,阿部末雄,柴田医院,花田勝,秋富
成子,永田良臣,九州地方計画協会,九州建設
技術管理協会,バイエルメデイカル福岡支店,
水三島紙工九州支店,カイゲン福岡営業所,福
岡県信用保証協会,矢住医院,セキュリティハ
ウス福岡,幸山税理士事務所,扶桑薬品工業福
岡第一支店,福岡ゼロックス,新開健司,石橋
清助,福岡市博多区婦人会,西林寺,トヨタカ
ロ−ラ博多,穂積会計事務所,石蔵富士子,福
岡市博多区保健福祉センター,岩永整形外科医院,
金隈病院,石橋内科循環器科医院,山下医科器
械福岡支店,横河建築設計事務所,吉浦秀紀,
高比良昌一,恩賜財団済生会支部福岡県済生会,
塩飽徳行,エスシーシー九州支店,岳南建設福
岡支店,高橋内科医院,吉住正子,永田測量設
計事務所,蒲池徹志,山本駿一,的野歯科医院,
ロッシュ,福岡県歯科医師会,法研九州,入江
内科医院,久保田茂治,春山九州男,柴田弘俊,
山田俊雄,協通配送,福岡市健康を守る婦人会,
中山医院,昭栄電業社,徳永・松崎・斉藤法律
事務所,平田耳鼻咽喉科医院,弘医会福岡鳥飼
病院,村上歯科医院,田中一,中村胃腸科医院,
川口企画センター,中村医院,城島産業,さか
うえ内科循環器科,杉浦博夫,太田俊平,福元
孝三郎,伊藤健二,分山志郎,重松外海,井手
律子,タケシマ整形外科医院,伊藤内科医院,
篠崎良一,福岡豊栄会病院(曽根泰子),はら
金物店,伊東尚美,中村診療所,ハナダデンタ
ルラボラトリー,川合辰雄,福岡市南区保健福
祉センター,黒瀬純子,佐藤安弘,後藤しのぶ,
福岡県糸島保健福祉環境事務所,林法生,生井
脳神経外科病院,諸岡整形外科病院,那珂川町
婦人会,白水清三,樋口病院,春日市婦人会,
渡辺病院,阿比留一恵,福岡徳州会病院,愛和,
乙金病院,つくし会病院,エスアールエル西日本,
秦病院,甲斐電気工事,十全会十全病院,十全
会本部,福岡県筑紫保健福祉環境事務所,文佑
会原病院,日本環境衛生センター西日本支局,
井本内科小児科医院,誠愛リハビリテーション
病院,筑紫南ヶ丘病院,杉病院,二日市共立病院,
二日市中町病院,筑紫野市地域婦人会,太宰府
市婦人会,甘木市連合婦人会,甘木市役所,清
原正淳,小郡市婦人会,朝倉郡地域婦人会,田
主丸中央病院,浮羽郡地域婦人会,宗仁会奥村
病院,浮羽町婦人会,社会保険久留米第一病院,
大脇久和,天神会新古賀病院,堀川会堀川病院,
花畑病院,堀川公平会野添病院,宮ノ陣病院,
かぶとやま会久留米リハビリテーション病院,福
岡県久留米保健福祉環境事務所,三瀦町婦人会,
神代病院,三井郡婦人会連絡協議会,筑後市連合
婦人会,八女市連合婦人会,福岡県八女保健福祉
環境事務所,八女郡連合婦人会,原医院,大川市
連合婦人会,大川三瀦医師会,本地寺,柳川市婦
人会,石橋榮三税理士事務所,山門郡婦人会
11/2003 複十字 No.294
31
予防会だより
宮崎県−今西器械,金丸脳神経外科病院,セグ
チメディカル,石内医院,共立病院,北野クリ
ニック,小池レディースクリニック,佐土原病院,
鈴木病院,野田医院,ブレストピアなんば病院,
都城警察署
鹿児島県−末吉三郎,鶴丸高久,名瀬警察署,
有馬寛雄,黒木克郎,有川貞清,浜田長輝,川
野晃嗣,田代光雄,有村謙七,水間良裕,川元
達徳,生駒達雄,牧角泰治,吉見梓,有馬新哉,
八木幸夫,永山一雄,猪俣紘一郎,春別府稔,
井上景介,桑波田仁,芝田茂文,小吉洋文,西
俣寛人,丸古臣苗,小倉雅,福迫剛,立志公和,
小野美紀子,明楽寺,浄教寺,鹿屋市医師会,丸
八,恵光園,宝来化学薬品,辻産業,サツマ薬品,
三幸建設,明石屋菓子店,さくら医療器械,山形
屋,和田印刷,太陽化学,南生建設,鹿児島県結
核成人病予防婦人会,鹿児島中央看護専門学校
本部−アロエベラエンタープライズ,高橋昭美,
小川和榮,斉藤美恵子,武田久子,成田實,霞
会館,岩崎睦子,カワヅアキトシ,オチアイグ
ンジ,渡辺宏男,吉田福子,田中喜八郎,岸本
文子,望月総子,佐藤光子,若井一郎,鈴木三彌,
半田尚子,橋本安茂,阿部洋子,赤井文彌,大
野俊司,西田貞子,古川宣一,田沢磨里子,村
井温,松本純治,瀧島輝雄,スリーエムヘルス
ケア,日本ビーエックスアイ,スズキマコト,
土信田良市,アサダタケオ,ニッポンインダス
トリーズ,鎌倉順子,東京都遺族連合会,千代
田メディカル,高野口保健所,森村武雄,吉田
千代子,志立託爾,外山大,阿部英雄,伊藤真聰,
石津司郎,喜多末野,飯田多美,竹内みゆき,
岩田達明,岩崎孟司,島林樹,松本晶彦,横内
正利,会田正,三和三郎,中戸川公治,幕内雅敏,
三和直子,寧波旅日同郷会,梅里悦康,関谷宣信,
青嶋雅子,タムラユウコ,菱成機工,岩崎硝子,
世界心道教東京教務庁,阿部忠彦,阿部彰彦,
シダックスシーアンドブイ,濱田博,佐藤博史,
中村中学校・高等学校校友会,勝又民樹,安藤
栄一郎,石川信克,坂井寛,内藤義子,市川早苗,
今井栄,藤井栄子,本多友彦,前田節子,牧野晃,
増山熱子,宮下英夫,宮田耕作,山住美津子,
小松原秩子,田中武文,滝沢嘉信,鳥海はる子,
中里久美,能沢桂子,野田照子,青柳一夫,安
岡孝子,石井栄城,川和美展,岩田造園土木,
木村洋行,中華・高橋,早川一胤,福沢偉行,
古市典雄,山下照江,佐々木美智代,飯田豊子,
温井みさ,浅野 悦,田中雅史,国際協力医学
研究振興財団,叶和貴子,須賀一也,佐藤和美,
平成15年11月15日 発行
複十字 2003年294号
編集兼発行人 山下 武子
発行所 財団法人結核予防会
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-3-12
電話 03(3292)9211(代)
印刷所 勝美印刷株式会社
東京都文京区小石川1-3-7
電話 03(3812)5201
結核予防会ホームページ
URL http://www.jatahq.org
丸善コンピュータシステム,コスゲカズコ,児
島芳則,トーオン,山田興業,ベルモント化粧品,
ギャルドユウ・エス・ピイ,デリカマテリアル
サービス,大栄フードサプライ,若杉工業,津
曲安幸,延命寺,観蔵院,福全院,植村俶,東
文子,浅川教徳,森京子,羽入直方,天野文子,
山口峯生,原あやめ,百瀬富子,日根野妙子,
広野卓蔵,平川秀雄,本橋達朗,松井謙介,松
本元博,宮本克巳,小宮山笑子,三遊亭円楽,
実方康夫,島村元治,鈴木崇二,鈴木明,鈴木
澄江,瀬尾海造,田中和子,田村市兵衛,谷口
全亮,辻本謙市,寺本孝吉,中西眞章,中嶋庄亮,
西野清,野島孝之,鳩山安子,橋本愛子,朝倉
博吉,井出正敏,石井宣代,梅崎都志夫,遠藤
銛
桂
司,遠藤和夫,奥崎裕司,川島庄之助,風間
まさ,小笠原正勝,小田義彦,小島海雄,上野
毛幼稚園,科研製薬総務課,勝美印刷,クリヤ
精光,聖心侍女修道会,浜屋ガラス,東京都同
胞援護会事務局,日野自動車,六合製作所,藤
倉化成,落合晋,三浦弘,高沖信夫,渡辺勝美,
大波多一彦,江原若菜,古山佳文,東福寺,中
川千代子,朝田静,東蓄,市原秀夫,川田博美,
日本オーチス・エレベータ総務部,鈴木武志,
山田健二,永井一男,早川純子,師田志津恵,
葛西利武,飯塚嘉躬,真玉明,小林春雄,青鹿
秀威,菊池敏夫,並木山青,長田功,木下敏子,
外山攻,青木栄一,五関美智子,竹内和男,全
国学校栄養士協議会,東京空気調和衛生工事業
協会,野田和男,渡辺康生,松山恵子,淡島章一,
市村俊夫,オカダシゲタケ,金子敏子,中村正勝,
辰巳共立診療所,吾妻興業,ミツク,テー・エス・
ビー,共信印刷,シグマッテックインターナシ
ョナル,東京製本印刷,日 宗新聞社,ジョウ
サービス,御岳大教大滝教会,本門佛立宗立正寺,
のむら矯正歯科,高勝寺,安養寺,桐田真能,
河野幸正,益井輝也,小畠輝明,宝田英四郎,
小林 ,菊岡平八郎,末松良介,黒井朝久,高
市順一郎,ミヤムラマサヒロ,井口克彦,鶴田宏,
井上喜美代,中田直美,齋藤みどり,柳沢和子,
柳原英晶,長坂是隆,財務省印刷局,クガヒロシ,
北山哲也,西村清,丹羽高尚,説田吉郎右衛門,
宮本薫,松下賢晴,志賀學,佐藤光子,梅沢利都,
浜田寛子,濱達夫,羽藤晴久,早田義博,林婦久,
林光,原桃介,広瀬糸子,廣谷郁,服部弘太郎,
深澤能里子,福田均治,福田美佐夫,福田孟,
藤井淑男,藤井源七郎,藤田圭一,藤田敏光,
藤田禮造,藤原孝,藤澤営憙,藤原大輔,古屋
芳泉,古川武温,平岡啓佑,平井林三,平沢久男,
平井孝,平林薫,平山茂博,平野孝雄,平林晃,
岡井治,帆足信枝,堀口一男,堀田シナ,堀内雅
子,本村和子,本多平四郎,侭田直久,前田知克,
前田利信,前田須磨,牧元夫,松尾宗明,松尾陽,
松田敏江,松田正己,松永達也,松本弘,丸山敏
子,峯孝,水野文雄,水田博,南部光徹,宮川静
一郎,宮崎時,宮崎政春,宮崎茂治,宮本救,宮
本正光,寒松院,村上英心,村松福子,門野達夫,
守山祐弘,森茂,森学隆,森本豊子,森本三千枝,
八尾猛,八木美代子,矢島太郎,柳川彰男,柳沢
和男,山岡建夫,林田光永,山岸芳輝,山口智道,
山口喜久子,山崎康弘,山崎君代,山 登貴子,
山中彬生,山本秀夫,山本文和,山本恒,雪下隆
淑,与那嶺要,横井末子,横溝錠平,滝口順浩,
吉永小百合,吉益暢夫,吉池袈裟一,若泉清平,
脇田和,若松第一,渡辺栄衡,渡辺義英,小林浩
一,小林テル子,小山登喜,小室ツル,小山欽造,
小山明,五十子和恵,五味正子,御園生芳行,工
藤咲子,御園生倫子,腰塚昭賢,近藤順子,近藤
泰,香川保一,沢田清,佐藤秀抱,佐藤元昭,佐
藤静江,佐藤明,佐藤よし,佐藤重光,佐野直福,
佐竹誠也,斎藤慶一,坂井喜三久,櫻井芳子,桜
井宜隆,桜井勇,三枝充悳,三上淳,三尾妙子,
三五正一,三輪敏彦,三留和彦,三俣宏,修多羅
亮玄,四本正孝,木村和子,志村知男,篠崎忠吉,
柴田収一,篠田晴美,渋谷和明,正橋武文,島尾
洋子,真貝ます子,白木秀男,眞保潤一郎
結核予防会役員人事(敬称略)
支部
発令日
支部名
氏名
発令内容
15.3.31
15.3.31
15.7.1
15.7.1
15.5.26
15.5.27
15.9.9
15.9.10
15.7.30
15.7.30
15.6.3
15.6.4
山 形 県
山 形 県
山 形 県
山 形 県
栃 木 県
栃 木 県
神奈川県
神奈川県
山 梨 県
山 梨 県
香 川 県
香 川 県
本間正巳
横山紘一
佐藤洋樹
齋藤幹郎
麻生利正
鈴木康裕
鶴田憲一
大崎逸朗
相川康行
原野五郎
増田昌三
松浦稔明
副支部長の委嘱を解く
副支部長の委嘱を解く
副支部長を委嘱する
副支部長を委嘱する
副支部長の委嘱を解く
副支部長を委嘱する
副支部長の委嘱を解く
副支部長を委嘱する
副支部長の委嘱を解く
副支部長を委嘱する
副支部長の委嘱を解く
副支部長を委嘱する
〈お詫びと訂正〉
No.293・裏表紙内側・「結核予防会役員人事」
・
中,「H15.6.9発令 愛媛県支部山内易雅様(支
・
部長を委嘱する)」は,山内昜雅様の誤り。お
詫び申し上げますと共に訂正いたします。
本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。
複十字シール運動
みんなの力で目指す,結核・肺がんのない社会
平成15年度複十字シール
複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病気
をなくすため100年近く続いている世界共通の募金活
動です。複十字シールを通じて集められた益金は,
研究,健診,普及活動,国際協力事業などの推進に
大きく役立っています。皆様のあたたかいご協力を,
心よりお願いいたします。
運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。
問合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直)
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11/2003 複十字 No.294
全国一斉複十字シール運動キャンペーン
三 重
滋 賀
県内7保健所管内のショッ
ピングセンター及び駅前等
で実施したキャンペーン。
啓発資材として配布したウ
ェットティッシュ,あぶらとり
紙が大好評!
奈 良
京 都
京都駅前で無料結核健診実施
山 口
支部建物,各県民局に懸
垂幕を掲揚
大 阪
「長寿と健康の祭典」にて婦人会による街頭募金
活動実施。
シール運動のポスターを持って「はい,ポーズ!」
愛 媛
をザ
呼・
びモ
かー
けル
周
南
に
て
結
核
予
防
福 岡
もャ内松
あン・山
わペ三市
せー越大
てン松街
行。山道
いパ店ア
まネ前ー
しルにケ
た
展てー
示キド
街頭無料健診では順番待ちの行
列ができました
徳 島
大 分
結核について,手作りのパネルにより医師とアナウン
サーのクイズ形式ミニ講演が3回行われました
今年も全国に結核予防の輪が広がりました!
これからも地球を結核から守るために戦うぞ!
日本患者同盟主催による「第12
回全国結核フォーラム」が開催さ
れました
長 崎
大分市トキハデパート前で行われたキャン
ペーン
宮 崎
だ 350
県
き名内
まも 5
しのカ
た方所
々で
かキ
らャ
募ン
金ペ
をー
いン
た。
静岡
形キ
屋ャ
デン
パペ
ーー
トン
にも
懸行
垂わ
幕れ
をた
掲宮
揚崎
山
シールぼうや, 浅草雷門前にて
Fly UP