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ϞόΠϧΠϯλʔωοτͷ ཁૉٕज़

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ϞόΠϧΠϯλʔωοτͷ ཁૉٕज़
Mobile Internet
2
2.1
1
2
UMTS
第 3 世代に位置付けられる IMT-2000 移動通信網の標
UMTS ☆ 1 は,GSM からの発展形態として標準化され
準化が進展し,我が国では世界に先駆け,初期の IMT-
た第 3 世代移動通信網であり,回線交換ドメインは
2000 システムが導入されるに至っている.そこでは,
GSM を,パケット交換ドメインは欧州で標準化されて
従来の音声電話サービスのみならず,IP ベースの高速
いる GPRS のアーキテクチャを継承している.UMTS の
データ通信サービスが提供され,より快適なモバイ
RAN(Radio Access Network)
(UTRAN と呼ばれる)は
ル・インターネット環境が展開される.初期システム
無線インタフェースとして WCDMA を適用している.
で主眼とされるインターネットへの高速アクセス機能
実装に向けた標準システム仕様は 3GPP(3G Partnership
の役割は i モードや WAP に代表されるアプリケーション
Project)において順次作成されており,初期商用化のベ
面の充実に伴ってますます重要になってきており,さ
ースとなるリリース 3(リリース 99)を経て,オール IP
らに,IP ベースのマルチメディア通信技術の導入によ
化への発展ロードマップとしてリリース 4,リリース 5
りサービス・レベルの IP 化を推し進めることで,モバ
の仕様化が進められている 1).
-1 に,UMTS の機能アーキテクチャ(3GPP リリー
イル環境での多様なマルチメディア通信サービスを効
ス 3)の概略を示す.
率的に提供することが可能となる.また,それに加え
UTRAN とコア網は Iu インタフェースと呼ばれる標準
て,トランスポート・レベルの IP 化により,網コスト
インタフェースで接続され,回線交換コア網は MSC,
の低減化等も期待されている.
このようなことから,3GPP/3GPP2 においては,
VLR,HLR を主要機能エンティティとして構成される.
IMT-2000 システムのオール IP 化が議論され,将来シス
一方,パケット交換コア網は GGSN,SGSN と呼ばれる
テムへの発展に向けた標準仕様化が進められている.
GPRSの機能エンティティをベースとして構成される.
また各方面で,より長期的な観点から,第 3 世代より先
パケット交換ドメインにおけるサービス利用のため
のシステムに関する研究も行われており,近年の
の処理の概要は次の通りである.移動端末 MS が GPRS
WLAN 等の発展も視野に入れた複合的な網形態とシー
アタッチ処理により網に登録すると,接続されるべき
ムレス・サービス等が検討されている.本稿では,第 3
SGSN が割り当てられ HLR から SGSN にユーザ情報が転
世代のオール IP 化のシナリオと,長期的なオール IP 移
送されて MS の位置管理が行われる.外部 IP 網にアクセ
動通信網で重要となる IP モビリティ技術について述
スするため,MS は SGSN に対して PDP 活性化要求信号
べる.
を送信し,SGSN は接続すべき GGSN の選択や QoS パラ
メータ値の選択等を実行する.その後,SGSN-RNC 間,
☆1
1
2
[email protected]
[email protected]
42巻12号 情報処理 2001年12月
−1−
UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)は,WCDMA
を無線アクセスインタフェースとする IMT-2000 網を示す欧州での名
称である.
GGSN-SGSN 間それぞれに GTP トンネル(図-1)を設定
し,パケット転送サービスのためのベアラを設定する.
MS が動的 IP アドレスの割当てを必要とする場合には,
SGSN が GGSN にその旨を要請して GGSN が割当て IP
アドレスを選択し通知する.これら一連の処理により,
UTRAN
MS,SGSN,GGSN において当該サービスのための
Uu Node-B
PDP コンテキスト(当該パケット転送サービスに関する
Iub
MS
情報セット)が生成され,当該サービスが継続する期間
CS Core Network
PSTN External
PSTN
PSTN/ISDN
GMSC
MSC/VLR
Iu-CS
RNC
において維持・管理される.UMTS では,設定済み
Node-B
WCDMA
Air Interface
PDP コンテキストを変更したり,追加的に複数の PDP
Node-B
Gs HLR
Iur
GGSN
SGSN
Iu-PS
PS Core Network
RNC
コンテキストを生成しパケット転送用の複数のベアラ
Node-B
を割り当てることが可能である.また,GGSN からベア
GTP
Tunnel
Gi
G MSC: Gateway Mobile Switching Center
VLR: Visitor Location Register
HLR: Home Location Register
GGSN: Gateway GPRS Support Node
SGSN: Serving GPRS Support Node
RNC: Radio Network Controller
MS: Mobile Station
GTP: GPRS Tunneling Protocol
ラ設定・変更を行う仕組みも組み込まれている.
-2 に,パケット交換ドメイン U-Plane のプロトコ
ル・スタックを示す.GGSN から RNC までは IP ベース
のトネリングを用いてモビリティ管理を行っており,
トランスポートレベルにおいても IP レイヤが適用され
External
IP Networks
Gn
-1 UMTS
3GPP
3
ている.MS の移動により RNC や SGSN が変更される場
合には,GTP トンネルの再配置を行ってサービスの継
続をサポートする.
cdma2000
APPL
(RTP)
TCP/UDP
IP
cdma2000 ☆ 2 は,cdmaOne からの発展形態として標
準化された第 3 世代移動通信網であり,実装に向けた標
PDCP
準システム仕様は 3GPP2(3G Partnership Project 2)に
RLC/
MAC
L1
おいて順次作成されている 2).インタフェースおよびプ
MS
APPL
(RTP)
TCP/UDP
IP
Tunneling by
GTP/UDP/IP
Uu
UTRAN
IP
GTP-U
UDP
IP
L2
L1
GTP-U GTP-U
UDP
UDP
IP
IP
L2
L2
L1
L1
GTP-U
PDCP
UDP
IP
RLC/
L2
MAC
L1
L1
SGSN
Iu
Gn
IP
L2
Internet
L2
L1
L1
Host
GGSN
ロ ト コ ル が IOS( Inter-Operability Specification)
(3GPP2 A.S0001-A IOSv4.1)標準に記載されている.
-2 UMTS
U-Plane
-3 に,cdma2000 網アーキテクチャの概要を示す.
コア網は回線交換ドメインとパケット交換ドメインに
分けられる.
cdma2000 パケット交換ドメインでは,IETF の IP 技術
RAN
Abis
を利用した設計とされており,モビリティ管理には
Mobile IP 技術が応用されている.
CS Core Network
Um BTS
-4 にプロトコル・
スタックを示す.
Cdma2000
Air Interface
パケット交換ドメインにおけるサービス利用のため
の処理の概要は次の通りである.MS が BSC に呼起動を
A1,2,5
BSC
MS
BTS
MSC/VLR
GRE tunnel
BTS
る.その後,BSC と PCF 間にベアラが設定され,PCF と
P1 AAA
BSC
A8,9
PCF
PDSN/FA
HA
External
IP Networks
PDSN: Packet Data Service Node
HA: Home Agent
FA: Foreign Agent
AAA: Authorization, Authentication and Accounting
PCF: Packet Control Function
BCS: Base Station Controller
BTS: Base Transceiver Station
GRE(Generic Routing Encapsulation)トンネルが設定
される.MS は PDSN との間に PPP を設定し,さらに必
要によってポーム網の HA に対し Mobile IP 登録を行う.
cdma2000 は,本来,無線アクセスインタフェースに対する名称であ
るが,本稿では cdma2000 を無線アクセスインタフェースとする
IMT-2000網を示す簡略化した名称として用いている.
AAA
A10,11 PS Core Network
R-P IF
PDSN 間に Mobile IPv4 を拡張したプロトコルによって
☆2
External
PSTN/ISDN
A3,7 PCF
BTS
通知すると BSC は MSC に無線リソース割当てを要請す
HLR
C
-3 cdma2000
IPSJ Magazine Vol.42 No.12 Dec. 2001
−2−
Tunneling by
GRE/IP
IP
IP
LAC
LAC
MAC
MAC
R-P
R-P
Airlink Airlink
Airlink
MS
IP
IP
PPP
PPP
Um
RAN
L1
R-P
L2
L2
L1
L1
PDSN
-4 cdma2000
L2
L1
HA
L2
L1
Host
U-Plane
このような仕組みにより,ユーザパケットは MS-BSC-
1)インターネットとの整合性を重視し,マルチメディ
PCF-PDSN 間で転送されることとなり,外部 IP 網へア
ア呼制御機能として IETF で標準化が行われている SIP
(Session Initiation Protocol)を利用する.また,その
クセス可能となる.
MS の移動に伴い,必要により BTS 間,BSC 間,PCF
他のプロトコルも IETF との整合化を重視する.
間,PDSN 間でハンドオフ処理が実行されるが,PDSN
2)回線交換ドメインにおいて,ユーザデータ層と制御
がパケット交換ドメインにおける IP モビリティ管理の
層を分離し,ベアラによらない呼制御を可能にすると
ためのアンカーポイントの役割を担う構成となって
同時に,呼制御機能の変更なしに IP 転送の導入を可
いる.
能とする.
3)既存の電話網/ ISDN とオール IP 化した移動通信網
MT-2000
IP
とのインタワークを行うため,従来の電話/ ISDN で
の呼制御に利用されている No.7 共通線信号の転送を
IMT-2000 におけるオール IP 化には,通信コストの削
移動通信網内では IP 上で行うことが要求される.こ
減と多様なマルチメディアサービスの提供の 2 つの側面
のため,既存の電話網/ ISDN での STM 転送と IP 転
がある.通信コストの削減はさらに,より低コストの
送の変換を行う SGW(シグナリング・ゲートウェイ)
データ通信装置の利用という側面と,固定通信も視野
機能を設ける.
に含めた全サービスに対する網一元化による網構築・
4)ユーザがローミング時にもホーム網とのシームレス
運用コストの削減という側面を持つ.一方,多様なマ
なサービスを提供するため,サービス制御については
ルチメディアサービスの提供は,PC 間通信と同様に,
ホーム網から行うことを基本とする.
5)サービス開発の迅速化,サービスの多様化を目的と
音声,画像,テキスト等を複合的に組み合わせたサー
ビスを IP クライアント上で実現するという意味を持つ.
し,アプリケーションへのオープンなソフトウェア・
この中には,これまでインターネット向けに開発され
インタフェースを提供する.
6)リアルタイム型データの転送効率化のため,必ずし
てきたサービスの移動通信環境への適用と,移動通信
に特化したサービスの提供が含まれる.
も高品質ではない無線インタフェースに適したヘッダ
IMT-2000 のオール IP 化の検討は,UMTS と cdma2000
圧縮機能を導入する.
を対象として 3GPP と 3GPP2 を中心にそれぞれ進められ
-5 に,上記に基づく IMT-2000 におけるオール IP の
ており 1),2),いわゆる 3.5 世代という位置付けとなる.
基本アーキテクチャを示す.なお,IMT-2000 のオール
具体的には,回線交換ドメインも含めたトランスポー
IP 化は徐々に進行し,長い時間をかけてすべてのトラ
ト機能としての IP の導入や,パケット交換ドメインの
フィックが IP 化されるものと考えられる.この過程の
上位へのマルチメディア呼制御機能の導入がある.前
中で,既存のイーサネットを利用する場合等,必要に
者は,従来の STM や ATM に代えて IP を音声を含めたペ
応じて無線ネットワーク(RAN)への IP 転送の導入も行
イロードの転送に利用するということで,パケットと
われる.
回線の両ドメインでのバックボーンの共通化を図るこ
IP
とを意図する.後者は,より多様なマルチメディア・
サービスを IP 上に展開することを意図する.
上記のような 3G システムをベースとしたオール IP 化
3GPP,3GPP2 で共通するオール IP 化の標準化の内容
に関する研究開発と並行して,より長期的なオール IP
は以下の通りである.
42巻12号 情報処理 2001年12月
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CS
Domain
SSNo7/IP
Server
ISDN/PSDN
Media GW
Radio Access
Network RAN
IP Transport
SSNo7
Internet/
Intranet
PS
Core Network
PS
Domain
SGW
MRF
SIP
Server
SIP Server: End-to-end multimedia call control
MRF (Multimedia Resource Function): Data manipulation &
conversion, conference bridge, etc.
MGCF (Media Gateway Control Function): Control of media GW
SGW (Signaling Gateway): Call control signal conversion between
legacy PSTN/ISDN and All-IP network
MGCF
Open interface
Application Servers
User data and control signal
Control signal
-5 IMT-2000
IP
ミングし,さらに移動中においても,次々と接続され
IP Backbone
る AP ならびに AR を変えながら,通信サービスを継続
して受けることを可能とするモビリティ管理機能が基
GW
AR
AP
AP
GW
AR
AR
AR
AP
AP
AR
AR
AP
AP AP
AP
AP
AP
AP
AR
IP-based mobile access network
AP
MN
本技術として必要となる.
GW
また,IETF 等では,移動する網,すなわち,ルータ
と(複数の)ホストからなり一体として物理的に移動す
AP
る特性を有する網も含めたモビリティ管理の検討が開
AP
始されており,PAN(Personal Area Network)や車両内
AP
LAN 等への応用が考えられる.
-6 IP
このような新しい IP ベースの移動網モデルでは,IP
モビリティ管理にかかわるアドレッシングとルーティ
移動網の研究が開始されている.この研究は,WLAN
ングの課題や,無線インタフェースを含めた高度な QoS
に代表される新しい無線アクセスを前提としたより広
制御の課題を解決する必要があり,公衆移動網へ適用
範な将来 IP 網の基盤技術にかかわるものである.たと
していくには,スケーラビリティや信頼性,セキュリ
えば,EU の共同研究プロジェクト BRAIN/MIND では,
ティ等の点で優れた網アーキテクチャの構築が求めら
IP 移動アクセス網のアーキテクチャおよび各種要素技
れる.
術が先駆的かつ体系的に研究されている 3).また,2001
年 3 月発足の WWRF(Wireless World Research Forum)
では Beyond 3G ワイヤレス通信に関し,無線技術や IP
IP モビリティ管理については,MN が異なる移動網間
モビリティ技術等の広範囲な研究が行われている 4).
でローミングし IP 通信サービスを継続して受ける能力,
IETF では,MIP(Mobile IP)ベース等の IP モビリティ・
すなわち,グローバル IP モビリティ(または IP マクロ・
プロトコルの議論が進められており,将来のオール IP
モビリティ)と,MN が同一移動網内で AR 間を移動し
移動網への応用が考えられる.
ながら IP 通信サービスを継続して受ける能力,すなわ
ち,ローカル IP モビリティ(または IP マイクロ・モビリ
IP
ティ)の 2 者を区別して扱うことが多い.
-6 に IP モビリティの研究で前提とされる移動アク
固定 IP 網での IP モビリティをサポートする仕組みと
セス網モデルを示す.AR(Access Router)は無線アク
して,従来より MIP の研究が進められている.上記の
セス部と IP ルータ網を結合するルータであり,GW
移動網モデルに MIP をそのまま適用することは可能で
(Gateway)は IP 移動網と外部 IP 網を接続するルータで
あるが,MN の移動に伴い在圏網外に位置する HA や
ある.AR には,MN(Mobile Node)との無線インタフ
CN との信号転送が毎回必要となる.また,AR 間の移
ェースを提供する AP(Access Point)が接続される.
動により,移動検出等の無線インタフェース上での処
この網モデルでは,MN がホーム網から在圏網にロー
理に加え,IP アドレス(COA)の変更が必要で,そのた
IPSJ Magazine Vol.42 No.12 Dec. 2001
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GW
BRAIN
Access
Network
GW
ANP
ANP
AR
MN
AR
BRAIN
Access
Network
ANP
AR
Path update
AR
GW
GW
ANP
GW
GW
ANP
ANP change
AR
AR
AR
AR
ANP
AR
AR
movement
MN
MN
MN
b ANP change
a Handoff
-7 BCMP
ANP
1 Cellular IP CIP
めの処理時間がハンドオフ時間に大きく影響する.将
来の IP 移動網では広帯域化とともにセルサイズがより
CIP の原理は,MN 発信の uplink パケットを GW まで
小さくなり,さらに MN 数や対応すべき MN 移動速度が
のノードがそれぞれモニタし,送信元アドレスと入り
ますます増大して,ハンドオフが一層頻繁に発生する
ポートのマッピング情報を生成して hop-by-hop の逆向
と考えられることから,モビリティ管理にかかわる信
きパス,すなわち,GW から MN への downlink パスを
号量増大やハンドオフ性能の問題が顕著になるものと
自動的に構成する方式である 5).MN の移動により,関
考えられる.このような課題を解決するため,ローカ
係するルータのマッピング情報が更新され downlink パ
ル・モビリティ管理に適する IP モビリティ・プロトコ
スが更新される.
2 HMIP
ルの研究開発が進められている.
BRAIN では,IP モビリティ管理に関し,モビリティ
HMIPv6 は,MIPv6 の拡張として提案されており,移
管理信号トラフィックの最小化,シームレス・ハンド
動網内に MAP(Mobile Anchor Point)とその配下の
オフ(低パケット遅延やパケット損失のないハンドオフ)
MAP ドメインを定義し MAP ドメイン内でのモビリティ
の実現,高スケーラビリティの実現等を要求条件とし
管理を MAP によりローカルに行う方式である.MAP の
た議論が行われている 3).さらに,BRAIN では,独立
導入により,ハンドオフにかかわる信号量とハンドオ
した 1 つの IP 網として,外部へはモビリティ管理にかか
フ時間の削減が期待される.HMIPv6 では MN にかかわ
わる内部構造を隠蔽する設計思想や,無線アクセス部
るアドレスとして,ホーム・アドレス,オン・リンク
でレイヤ 2 とレイヤ 3 を独立とする設計思想等が採られ,
Care-of-Address(LCOA),地域 Care-of-Address
長期的に発展する公衆移動網システムとしての基本思
(RCOA)を割り当てる.MN 宛パケットはいったん
MAP で受信され,さらに MAP-MN 間のトンネルによ
想が多く盛り込まれている.
って MN まで転送される.MAP ドメイン内でのモビリ
ティ管理は LCOA 更新処理により完結している.MAP
ローカル IP モビリティ・プロトコルはレイヤ 3 の機能
ドメイン間移動では,MAP および RCOA の変更処理が
であり,シームレス・ハンドオフ機能,ページング機
必要であり,HA(さらに Correspondent Node)に新し
能,QoS 制御機能,高速な AAA やセキュリティ機能等
い RCOA が通知される.HMIPv6 では,旧・新 AR 間の
をサポートすることが求められる.
一時的トンネルあるいは MAP からの bi-casting を組み
これまでに検討されているローカルモビリティ・プ
合わせることでパケット遅延の少ないハンドオフを実
ロトコルは,ルーティング機能配備の関連から,網内
現する拡張もすでに検討されている.
3 BCMP BRAIN Candidate Mobility Protocol
ルータすべてに特別な機能(MN の位置関連情報)を具
備させ hop-by-hop に MN までのパケットルートを管理
BCMP 3)は,BRAIN で候補プロトコル概念として議
する方式と,網内の特定のルータのみに特別な機能を
論され受け入れられている.BCMP は,特定のグローバ
具備させ MN までのパケットルートを管理する方式に大
ルモビリティ・プロトコルを前提とせず,ANP
IP5)や Hawaii が
(Anchor Point)の概念を用いる独立したローカルモビ
きく分類される.前者には,Cellular
含まれる.後者には,HMIP(Hierarchical Mobile
IP)6)
等が含まれる.
リティ・プロトコルとして考案されている.その設計
では,評価項目ごとにベストでなくとも,システム全
体としてのバランスに優れた移動網の構築が目指され
42巻12号 情報処理 2001年12月
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IP Backbone/Corporate
Access Server/HA
Loose Inter-working
GGSN/FA
UMTS CN
GW
今後,WLAN や Bluetooth を用いた新しい IP ベースの
HLR
Tight Inter-working
IWU
Iu
SGSN
Iu
移動網が構築され各種の移動網が相互運用される環境
AAA
へと進展するものと考えられ,そのような環境では,
WLAN
RNC
WLAN
異なる移動網間でのシームレスな通信サービスの提供
UTRAN
Node-B
AP
MS
MS
-8 UMTS
する弱結合などのモデルが考えられている.
が重要な課題となる.すなわち,網間でのローミング
AP
だけでなく,通信中の MN が異なる移動網へ移動する場
MS
合にも,切断なく当該通信を継続できる能力が求めら
IP
れることとなる.たとえば,cdma2000 と IEEE802.11b
WLAN 網との間でのマルチ・アクセスを実現し MIP を
IP モビリティ・プロトコルとしたシームレスな通信環
ており,ログイン/ログアウト,ハンドオフ準備,ハ
境を提供するシステムの開発がすでに進められている.
ンドオフ実行,ANP 変更,ページングのプロトコル概
マルチ・アクセス環境においてリアルタイム通信も
-7 にパケット転送経路
含めたシームレス・サービスの実現のためには,ロー
念が系統的に構成されている.
ミングとハンドオフにかかわる高速な AAA 処理やコン
等の概要を示す.
MN は MIP を前提とせず,網へのログインにより,移
テキスト転送,QoS 交渉制御等の課題も解決していく必
動網から ANP とその ANP のプレフィックスを有するグ
要がある.
ローバル・アドレスを割り当てられる.当該 MN 宛ての
パケットはいったん ANP で受信され,トンネルにより
AR まで転送された後,無線リンクにより MN まで転送
今後,第 3 世代システムのオール IP 化とともに,
される.移動により AR が変更されても,MN のグロー
バル・アドレスは変更されない.ハンドオフ準備の手
WLAN のような異なる技術をベースとしたオール IP 移
順では,旧・新 AR 間の一時的トンネルによりコンテキ
動網が出現してこよう.それらは相互に接続され補完
スト転送とユーザパケット転送が行われ,このような
し合って発展していくものと期待され,広帯域化とサ
make-before-break 方式によってパケット損失がなくパ
ービスの多様化がますます進展するものと考えられる.
ケット遅延や順序逆転量の少ないシームレス・ハンド
また,無線インタフェースの広帯域化とともにユビキ
オフが実現される.BCMP では状況に応じて ANP を変
タス化が進展すると考えられる.そのような新しいモ
更する仕組みも導入されているが,ANP と AR の対応関
バイル環境ではシームレス・サービス,高品質化等を
係は特に制限がなく AR の変更に伴って ANP を強制的
実現する技術がますます重要になると同時に,広帯域
に変更することは要求されない.このため,AR や ANP
かつ高速移動をサポートする将来の IP 移動網が提供す
の配置設計はプロトコルの詳細によって制限されるこ
べき新サービスやビジネス・モデルの開拓が求めら
とが少なく,網オペレーションの観点から柔軟性が高
れる.
いといえよう.
1)3GPP UMTS 仕様(http://www.3gpp.org/)
2)3GPP2 cdma2000 システム仕様(httP://www.3Gpp2.org/)
3)BRAIN webpage(http://www.ist-brain.org/)
4)WWRF webpage(http://www.ist-wsi.org/)
5)Valko, A.: Cellular IP: A New Approach to Internet Host Mobility,
ACM Computer Commun. Review, Vol.29, No.1, pp.50-65( Jan.
1999)
.
6) Soliman, H. et al.: Hierarchical MIPv6 Mobility Management
(HMIPv6), IETF, draft-ietf-mobileip-hmipv6-04(July 2001)
.
(平成13 年11 月9 日受付)
以上のようなより発展的なオール IP 移動網は,新し
い無線技術の発展とともにホットスポットをカバーす
るような小規模な網から導入され,当面,3G 移動網の
補完的な網として発展していくシナリオが考えられる.
このような IP ベースの移動アクセス網と UMTS との相
互運用により 3G 移動網を補完し発展させていくシナリ
オが検討されており,
-8 に示すように,Iu インタフェ
ースによる強結合や,UMTS の加入者管理機能を再利用
IPSJ Magazine Vol.42 No.12 Dec. 2001
−6−
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