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エクアドルの少年野球チームが来日し 「世界の笑顔のために」

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エクアドルの少年野球チームが来日し 「世界の笑顔のために」
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2014.10.24
独立行政法人国際協力機構
エクアドルの少年野球チームが来日し
「世界の笑顔のために」プログラムの物品提供者と交流
DeNA の本社を訪れたエクアドル少年野球チームの選手たちと、横浜 DeNA ベイスターズ野球振興部地域貢献グループの桑
、同行した青年海外協力隊員の齋藤勇太さん(後列左から 2 人目)
。また今回の来日に協力
原義行さん(後列右から 5 人目)
した JICA ボランティア経験者の吉岡さん(後列左端)、甲斐さん(前列左端)、曽川博さん(後列左から 4 人目)
途上国で必要とされているスポーツや文化、教育、福祉などの関連物品を日本国内で募集し、
「世界の笑顔のために」プログラム。
JICA が派遣中のボランティアを通じて世界各地へ届ける
物品が届けられた後、提供者にお礼状が届くのが通常だが、今回は物品を受け取った子ども
たちが来日し、提供者に直接お礼を伝える機会を持つことができた。
来日したのは、エクアドルの 13 ∼ 15 歳の少年野球チームの選手 12 人。エクアドルでは少
年の非行などが社会問題となっており、野球を通じて子どもたちに新たな生きる道をつくるこ
とを目的に、その指導者としてこれまでに 25 人の青年海外協力隊員を派遣してきた。本プ
ログラムで野球用品の提供を受けた株式会社ディー・エヌ・エー( DeNA )をはじめとする企
業や団体にお礼を伝えた。
DeNA が自社の球団である株式会社横浜 DeNA ベイスターズと JICA の「世界の笑顔の
ために」プログラムと連携しながら、役目を終えた野球用品を本プログラムを通じて途上国
の人たちへ届ける活動「 DeNA せかいえがおプロジェクト」を開始したのは 2013 年 9 月。
DeNA はエンタテインメント系のウェブサービスを世界各国で配信するグローバルな企業だ。
世界中でサービスを展開し、喜びに溢れる世界をつくり出すことを目指すが、サービスの展開
が叶わない地域もある。
「そういった地域には、物品提供などを通じて笑顔を届けていきたい」
と、スポーツマーケティング室の古田裕さんは同プログラムと連携した動機を話す。
「球団を
持つ企業として、野球というスポーツを通じて、目標に向かって努力することや、仲間と協力
して何かを成し遂げようとすることの大切さなども、世界中の子どもたちに伝えていきたい」
(古
田さん)
今回、 DeNA からエクアドルの少年野球チームに届けられ
たのは、グローブやヘルメット、バット、硬式野球ボールな
ど。少年野球チームではボールを新調することが難しかった
が、今回の物品提供により、今までより多くのボールを使え
ることで効率の良い練習ができるようになったほか、選手た
ちが道具の大切さを考えるきっかけにもなったという。
DeNA は、 来日した少年たちを横 浜スタジアムでの 横 浜
DeNA ベイスターズ 戦の野球観 戦にも招待。 試合前の練
習では、中南米出身の選手たちと少年たちが交流する機会
も設けてくれた。メジャーリーグで活躍したこともある中南
米出身の選手たちは、エクアドルの少年たちにとってはヒー
ロー。サインをもらい、言葉を交わす少年たちの顔には笑
横浜スタジアムでドミニカ共和国出身
顔が溢れていた。横浜 DeNA ベイスターズで 4 番バッター
の T. ブランコ選手と話すエクアドル野
球チームの少年
を務めるブランコ選手に少年の一人が「 あなたのような選
手になりたい」と伝えると、ブランコ選手は「体だけではなく、頭も鍛えることが大事だよ」
と優しく指導する場面も見られた。その日の試合でブランコ選手はホームランを放ち、横浜
DeNA ベイスターズは勝利。プロの試合を間近で観戦することで、子どもたちは将来プロ野
球選手になる夢を膨らませたはずだ。
遠征を支えた青年海外協力隊経験者たち
来日した少年たちの滞在期間は、 8 月 20 日から 9 月 1 日までの 13 日間。この間、少年た
ちは東京、神奈川、新潟で、リトルリーグやポニーリーグ、日本体育大学硬式野球部、高
校の野球部との合同練習、プロ野球独立リーグの新潟アルビレックス・ベースボール・クラ
ブによる野球教室など、さまざまなプログラムで日本の野球に触れる機会を得た。その実現
を支援したのは、かつて青年海外協力隊員として野球の指導に携わった人たちだ。
主に東京と神奈川でのプログラムの調整役を担ったのは、 1999 年から 2 年半、エクアドル
で野球指導を行い、現在は全日本軟式野球連盟に勤務する吉岡大輔さん。
「同じ青年海外
協力隊の経験者として、この来日が少年たちの今後の野球人生の糧になり、さらにエクアド
ルの野球のレベルアップやその普及につながればとの思いで、協力させていただきました」
(吉
岡さん)
少年たちの通訳を務めたのは、やはりエクアド
ルで 2007 年から 2 年間、青年海外協力隊員
として野球指導にあたった甲斐俊行さん。
「エ
クアドルの子どもたちが日本で野球をする光景
を見られるなんて、信じられないくらいうれしい」
と、その感激の気持ちを語った。
いずれのプログラムでも、少年たちは持ち前の
明るさと積 極性、 そして野 球という「 共通言
日本体育大学硬式野球部との交流試合の様子
語」で日本の野球選手たちとの交流を深めて
いった。エクアドル人でも日本人でも、グローブ
を持ち、ボールを投げれば野球が始まる。
「野
球が好き」という共通点さえあれば、言葉や
文化の違いを超えられるのだと実感できる瞬間
を、少年たちは来日中に数多く見せてくれた。
そうした経験を通じて、少年たちには確実な変
化があった。少年たちは日本の野球に触れた
ことで、グラウンド整備に積極的に取り組み、
いつも以上に練習中に素早く移動をするように
日本体育大学硬式野球部との交流試合の後には、日本
に来てから自主的にグラウンド整備を行うようになったエ
なった。また、日本の選手たちの練習やハイ
クアドル野球チームの少年たちの姿が見られた
レベルな技術を実際に見たことで、言葉で伝
えるだけではわかりにくい、野球における『規律』の大切さを学ぶきっかけにもなったという。
これらの経験は、今後少年たちの成長の糧になったことに加え、自国でチームメイトに伝え
ていくことで、エクアドル野球の発展にもつながっていくことだろう。
「世界の笑顔のために」プログラムにより結びついた、企業とエクアドルの少年たち。今回の
ように提供された数々の物品は、子どもたちの成長や教育、日本文化の理解のために使用さ
れ、途上国や日本の未来につながっていく。
東京オリンピックが開かれるのは 6 年後。今回来日した少年たちの世代が、エクアドルの野
球を背負うころだ。野球がオリンピック種目に加わることになれば、彼らの成長した姿を再び
日本で見ることができるかもしれない。
▶「世界の笑顔のために」プログラムについては、以下のウェブサイトをご覧ください。
http://www.jica.go.jp/partner/smile/
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