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Papua New Guinea National Commission for UNESCO

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Papua New Guinea National Commission for UNESCO
財団法人ユネスコ・アジア文化センター
第 3 回無形文化遺産保護のための集団研修
無形文化遺産保護事業の事例レポート:パプアニューギニア
東セピック州における Yangit 女性の成人式の保護プロジェクト
Papua New Guinea National Commission for UNESCO
(パプアニューギニア・ユネスコ国内委員会)
紹介
Yangit 女性成人式(Kraku Bandi)は、初潮を迎えた若い女性の皮膚を切る儀式で
す。この成人式は東セピック州の Burui Kunai 地方自治区の Yangit によって行わ
れている儀式で、これに参加する若い娘たちは儀式前の 3~4 ヶ月間隔離されます。
この隔離期間が終わると、家族の元に帰ることが許されますが、帰宅前に、女性に
なったことを祝う成人式が行われます。
当プロジェクトの対象 ICH には以下が含まれます。
a)
b)
c)
d)
口承とその表現
芸能
社会慣習、儀式、祭礼行事
伝統工芸技術
プロジェクト目標
当プロジェクトの主要目標は、次世代のためにこの重要な女性の成人式を記録・文
書化し、その存続と実践を保護することです。パプアニューギニアの多くの文化形
態に影響を及ぼしている急激な変化に鑑み、当該女性成人式の保護は急務と思われ
ます。なぜなら、Yangit の女性成人式も、国内および当県内の増大する観光産業に
よって、消滅の危機に瀕しているからです。
2008 年 10 月、この特別な女性の儀式を外部からのあらゆる搾取から守るために、
地元の人々の意識を高めることを目的として、Yangit で予備調査を実施しました。
プロジェクト実施方法
当プロジェクトは、国立パプアニューギニア研究所( Institute of Papua New
Guinea Studies)の音楽担当スタッフによって、2008 年 10 月に実施されました。
9 人の若い女性の成人式の様子をビデオ&オーディオデータとして記録すると共に、
文書化の一部として写真撮影も行いました。
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財団法人ユネスコ・アジア文化センター
第 3 回無形文化遺産保護のための集団研修
今回の記録は、女性の成人式(Kraku-Bandi)のプロセスに関連した音楽と踊り、口
承の歴史、伝統に焦点を当てて行いました。また、当慣習に関わっている地元の人
たちを対象としたインタビューも行いました。
プロジェクト結果
当プロジェクトは一般市民やメディアだけでなく、高等教育機関や研究所などの学
術関係者の注目も集めました。 Kraku-Bandi 儀式の様子は、2008 年 10 月 17 日
(金)の日刊新聞 The National にも掲載され、パプアニューギニア各地に残る重
要な儀式の保存・保護に取り組んでいる政府・非政府機関の関心も引き付けました。
本年 6 月 16 日から 18 日には、「コミュニティの変容とネットワーキング」と題し
た会議も開催しました。当会議では、持続可能なコミュニティプロジェクトによる
パプアニューギニアのコミュニティ発展を目的としたプレゼンテーションが行われ
ました。この会議で、「Yangit 女性成人式に見る女性の発達上の役割」と題したプ
レゼンテーションを行い、Kraku-Bandi 儀式を例に取り、パプアニューギニアにお
ける女性の伝統的な役割を紹介しました。当プレゼンテーションでは、Yangit 女性
成人式における女性の社会経済的役割という観点から Yangit の女性について考察し
ましたが、このテーマは、当該女性成人式の重要性および女性の伝統的役割と価値
を保護する必要性に関する活発な議論を引き出しました。
結論
世界中で女性は、コミュニティの発展と維持において特定の役割を果たしています。
パプアニューギニアにおいてそれは、女性の能力やその背景とは関係なく繰り返し
構築されるものです。その役割は男性の役割と同様に重要であると見なされていて、
性別による役割分担が正当化されています。男性と女性の役割は、特定の活動やコ
ミュニティの制度によって継続的に強化されているのです。
女性の伝統的な知識と価値に関連した文化的慣行を保護する必要があります。男女
それぞれのコミュニティの発展・維持を可能にする枠組みの提供において、多くの
コミュニティは伝統的な制度に頼っています。Yangit の Kraku-Bandi もコミュニ
ティ発展の議論に貢献する重要な慣行の 1 つです。
パプアニューギニア政府は文化を人の全体的な発達に不可欠な重要な分野であると
認識し、文化と伝統の保存・促進・発展を目的として、1994 年の国家文化委員会法
(National Cultural Commission Act)の下に以下の文化組織を設立しました。
(a)The National Performing Arts Troupe(国立芸能集団)
(b)The Institute of Papua New Guinea Studies(国立パプアニューギニア研究
所)
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財団法人ユネスコ・アジア文化センター
第 3 回無形文化遺産保護のための集団研修
(c)The National Film Institute(国立映画研究所)
これらの組織の機能はそれぞれ異なりますが、パプアニューギニアの多様な芸術と
文化を保存、促進、発展させるという共通目的を有しています。
1974 年設立の国立パプアニューギニア研究所が、最近、伝統儀式におけるパプアニ
ューギニア女性の役割に関する調査を行いました。女性の役割に関する調査は、伝
統社会のあらゆる側面を調査、記録、解釈するという当研究所の役割の一環として
行われました。Yangit で行われた予備調査の結果は当研究所のアーカイブに保存さ
れています。
Kraku-Bandi 儀式は、女性の文化的知識と価値体系の維持・継続に関連した研究分
野に大きく貢献するものです。女性の文化的知識と価値体系は、あらゆる外的圧力
と影響から守らなければならないものです。
*レポートは英語で提出され、ACCU が英訳しました。
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