...

東京都医薬品情報 - 東京都健康安全研究センター

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

東京都医薬品情報 - 東京都健康安全研究センター
東京都医薬品情報
№ 4 4 9
平成24年2月号
海外医薬情報から‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2
財団法人
日本医薬情報センター
安全性情報
1
吸入 Salbutamol および Salmeterol による出血性膀胱炎:1 症例の初めての報告
2
処方箋医薬品と暴力:フランスのファーマコビジランスデータベースにおける
ケース/ノンケーススタディ
海外医薬情報2012年1月号から
財団法人
日本医薬情報センター
安 全 性 情 報
1 吸入 Salbutamol および Salmeterol による出血性膀胱炎:1 症例の初めての報告
Radice S.(Universita degli studi di Milano,Milan/Italy),ほか
Eur. J. Clin. Pharmacol. 67(11)1203−1204/(2011.11)
【概要】吸入 salbutamol(albuterol)および salmeterol 治療を受けて,出血性膀胱炎を
発現した 1 症例の初めての報告。
【症例】患者(女,43 才)は,救急部来院時,急性ダニ喘息および咳に対して 6 日間の
salbutamol(100μg,1 日 2 回)および salmeterol(100μg/日)治療を受けていた。他
に治療はなく,心肺パラメータは正常,腹部触診で痛みはなかった。しかし,尿検査によ
り,血尿,高濃度の亜硝酸塩および白血球の存在が明らかになった。膀胱炎はβ2 作動薬中
止後 2 日以内に寛解した。Naranjo adverse drug reaction(ADR)probability scale によ
り,患者の ADR 発現と薬剤の関係は“possible”と認定された。吸入β2 作動薬による出血
性膀胱炎の症例は報告されたことがない。
【結論】出血性膀胱炎と吸入β2 作動薬使用との関連性を確認するためにはさらなる研究が
必要であるが,治療薬としてβ2 作動薬が広く使用されていることから,この問題について
注意すべきであることが示唆される。
参照文献 15
salbutamol(INN),salmeterol(INN)
「JAPIC Pharma Report 海外医薬情報」速報 No.806 掲載
抄録番号 201151016
<参考:代表的な先発医薬品名(保険薬事典より)>
・salbutamol,サルタノール【β刺激性気管支拡張薬】(グラクソ・スミスクライン)
・salmeterol,セレベント【β刺激性気管支拡張薬】(グラクソ・スミスクライン)
【掲載理由】
・ 掲載基準1−(2)
2
処方箋医薬品と暴力:フランスのファーマコビジランスデータベースにおけるケース
/ノンケーススタディ
Rouve N.(Centre Hospitalier Universitaire de Toulouse,Toulouse/France),ほか
Eur. J. Clin. Pharmacol. 67(11)1189−1198/(2011.11)
【目的】フランスのファーマコビジランスデータベース(FPVD)を用いて,暴力行為に関
連する処方箋医薬品について調べた。
2
【方法】1985 年 1 月 1 日∼2008 年 7 月 31 日に FPVD に記録され,攻撃性または暴力という
言葉が含まれる薬物有害反応(ADR)に関する全ての報告を選定した。ケース(暴力が含ま
れている報告)とノンケース(データベース中の他の全ての報告,すなわち暴力が含まれ
ないもの)間の異なる薬剤への暴露の割合について比較し,ADR の報告オッズ比(ROR)を
計算した。
【結果】FPVD に記録された報告 314320 件中,537 件が暴力として報告されていた。ケース
537 例中 56 例(男 48 例,女 8 例;平均 46 才)を対象にした。誤用は 10 例(18%)にみら
れた。25 例(44%)において,以前の精神病歴が証明された。56 件のケース報告中,76 の
薬剤が疑われた。関与していた主な薬剤は神経系作用薬(63.6%)で,次いで呼吸器系作
用薬(7.8%),消化管治療薬および代謝薬(7.8%),皮膚科用薬(5.2%),および感染症
治療薬(5.2%)であった。ケース/ノンケース分析により,ドパミンアゴニスト(pergolide,
pramipexole,bromocriptine,piribedil)
(ROR 19.8,95%CI 10.1∼38.2),benzodiazepines
(alprazolam,bromazepam)(5.7,3.1∼10.6),およびセロトニン作動性抗うつ薬(全体
として)(3.9,1.2∼11.2)との関連が認められたが,抗精神病薬や抗てんかん薬との関連
はみられなかった。また,varenicline,isotretinoin,interferon alpha−2b,rimonabant,
benfluorex,topiramate,抗ウイルス薬(ribavirin,efavirenz)にも関連が認められた。
【結論】ドパミンアゴニスト,benzodiazepines,セロトニン作動性抗うつ薬が,攻撃的行
動を誘発する主な薬理学的クラスであった。本研究は,このような ADR に関与することが
あまり知られていなかった他の薬剤の推定される役割も強調している。
参照文献 36
dopamine-agonist,pergolide(INN),pramipexole(INN),bromocriptine(INN),piribedil
( INN ), benzodiazepine derivatives , alprazolam ( INN ), bromazepam ( INN ),
serotonin-agonist , antidepressants , varenicline ( INN ), isotretinoin ( INN ),
interferon-alpha2B:interferon alfa(INN),rimonabant(INN),benfluorex(INN),
topiramate(INN),antiviral-agents,ribavirin(INN),efavirenz(INN)
「JAPIC Pharma Report 海外医薬情報」速報 No.806 掲載
抄録番号 201151015
<参考:代表的な先発医薬品名(保険薬事典より)>
・ドパミンアゴニスト:pergolide,ペルマックス(協和発酵キリン)、pramipexole,ビ・シ
フロール(日本ベーリンガー)、bromocriptine,パーロデル(ノバルティス)
・ベンゾジアゼピン系薬剤:alprazolam,コンスタン(武田)、bromazepam,レキソタン(中
外製薬)
・セロトニン作動性抗うつ薬
・varenicline,チャンピックス【禁煙補助薬】
(ファイザー)
・interferon alfa,イントロン【インターフェロンα−2b製剤】(MSD)
・topiramate,トピナ【抗てんかん剤】(協和発酵キリン)
3
・ribavirin,コペガス【抗ウイルス剤】(中外製薬)
・efavirenz,ストックリン【抗ウイルス化学療法剤】(MSD)
【掲載理由】
・ 掲載基準1−(2)
4
東京都医薬品情報 №449
(平成24年2月号)
平成24年1月27日編集
平成24年2月発行
編集委員 花本
中村
佐瀬
宮田
小竹
阿部
右川
木村
発
由紀(福祉保健局健康安全部薬事監視課長)
重信(福祉保健局健康安全部食品医薬品情報担当課長)
一葉(福祉保健局健康安全部環境保健課課務担当係長)
厚子(福祉保健局健康安全部薬事監視課検定担当係長)
慶子(財団法人東京都保健医療公社大久保病院薬剤科長)
和史(都立神経病院薬剤科長)
浩 (都立多摩総合医療センター薬剤科主任技術員)
賢治(都立広尾病院薬剤科主任技術員)
行 東京都福祉保健局健康安全部健康安全課
郵便番号163−8001 東京都新宿区西新宿2―8―1
電話(ダイヤルイン) 03(5320)4507
Fly UP