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“RNA 干渉の立役者 Dicer Drosha の高発現卵巣がん患者は予後良好

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“RNA 干渉の立役者 Dicer Drosha の高発現卵巣がん患者は予後良好
野中文陽先生:N Engl J Med (2008) 359:2641-2650
“RNA 干渉の立役者 Dicer Drosha の高発現卵巣がん患者は予後良好”
Dicer Drosha, and Outcomes in Patients with Ovarian Cancer.
【背景】RNA 干渉といえば、siRNA はよく知られていますが、本日は、miRNA についてのお話です。
全遺伝子の約 20%、少なくとも、3 万の遺伝子は、この miRNA と呼ばれる 20 塩基足らずの RNA
断片により発現抑制を受けています。miRNA は、核内の pri-miRNA から pre-miRNA、そして細胞
質に誘導された後 miRNA に変換されますが、この変換酵素が、Drosha、Dicer です。
【方法】浸潤卵巣上皮がん患者 111 名を、術後の癌組織の Dicer,Drosha の messenger RNA の発
現量から Dicer Low (n=57) High (n=54)、Drosha Low (n=66) High (n=45)に分類し、その Outcome
を比較検討した。
【結果】Low Dicer は、進行癌に高頻度に認め、Low Drosha は手術後の残存に関連していた。
Low Dicer or Low Drosha 群は、50%の患者が死亡するまでの期間が、2-3 年だったのに対し、
High Dicer は 9.25 年、High Drosha 群は、7.29 年、どちらも High だと 11 年以上まで延長しており、
予後に強く関連していることが明らかとなり、癌のステージ、分化度、化学療法への反応と並ぶ予
後決定因子であることが
【結論】RNA 干渉は、基礎研究レベルでのお話だと思っていたら、癌に関する臨床研究が、このよ
うに進んでいることにびっくりさせられたお話でした。食道がんなどでは、異なる結果もでているよ
うですが、治療への応用など今後の展開が期待されます。
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