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和歌 山県 立立医科 大学医学部附属病院 リウマチ・膠原病科 のご紹介

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和歌 山県 立立医科 大学医学部附属病院 リウマチ・膠原病科 のご紹介
和歌⼭山県⽴立立医科⼤大学医学部附属病院
リウマチ・膠原病科
のご紹介
和歌⼭山県⽴立立医科⼤大学医学部
リウマチ・膠原病科学講座
教授
藤井 隆夫
本⽇日の内容 1. 当科が関わる疾患の紹介 Ø  関節リウマチ
Ø  膠原病
2. 病診連携
3. リウマチ・膠原病センターについて ピエール=オーギュスト・ルノワール
1841年年2⽉月25⽇日 -‐‑‒ 1919年年12⽉月3⽇日
関節リウマチ(RA)
ü  40-‐‑‒50歳代・⼥女女性に好発・30歳以上⼈人⼝口の約1%が罹罹患
ü  多関節の慢性疼痛・⾻骨破壊・機能障害をひきおこすため
患者QOLを著しく障害
ü  ⼗十分な治療療がされないと⽣生命予後も悪化
社会的負担の⼤大きな疾患
RAで進⾏行行する関節障害
頸椎の亜脱⾅臼
多発性破壊性関節炎
荷重関節の強直
関節リウマチ診療療の進歩
•  免疫抑制薬・⽣生物学的製剤など内科的薬剤の進歩
•  より早期の関節リウマチから治療療介⼊入するための
「RA分類基準」の改訂
•  世界標準の治療療ストラテジーの提唱
(Treat to target:⽬目標達成に向けた治療療)
1.  総合的疾患活動性指標の⽇日常的な使⽤用
2.  治療療ゴールの明確な数値化
3.  タイトコントロールの重要性
リウマチ治療療はできる限り早期から
-‐‑‒ 思い⽴立立ったらすぐ、積極的に -‐‑‒
新しい
診断基準
関節破壊
⽣生活の質
の低下
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10・・・・
関節症状の
出現
発病してからの年年数
関節リウマチ(RA)の関節外症状
Ü  眼障害(強膜炎・上強膜炎・穿孔性強膜軟化症)
Ü  ⾎血液障害(貧⾎血・Felty症候群)
Ü  肺障害(肺線維症・胸膜炎)
Ü  ⼼心臓障害(⼼心膜炎・虚⾎血性⼼心疾患)
Ü  ⽪皮膚障害(リウマトイド結節・⾎血管炎・⽪皮膚潰瘍)
Ü  神経障害(脊髄障害・圧迫性神経障害・多発性 単神経炎)
Ü  シェーグレン症候群
Ü  アミロイドーシス
Ü  薬剤の副反応(⾎血液・肺障害など)
内科的治療療と整形外科的治療療
-‐‑‒ 2010 リウマチ⽩白書より -‐‑‒
⼿手術の経験と回数
受けた(42.0%)
1回(27.2%)
受けていない(46.3%)
2回(22.6%)
3回
(16.6%)
4回
(11.5%)
無回答
(11.7%)
5回以上
(21.5%)
無回答
(0.7%)
・・・2005年年時より減少している
主治医に希望すること
内科、整形外科など医師同⼠士が
連携をとってほしい
40.2%(第1位)
・・・2005年年時と同じ
疾患修飾抗リウマチ薬(Disease-‐‑‒modifying antirheumatic drugs:DMARDs)の分類(案)
Synthetic DMARDs
(sDMARDs)
conventional synthetic DMARDs
targeted
synthetic DMARDs
Biological DMARDs
(bDMARDs)
biological
originator
DMARDs
biosimilar
DMARDs
(csDMARDs)(tsDMARDs) (boDMARDs)
MTX
SASP
LEF
BUC
IGU
AF
GST
ACT
MZB
TAC
TOF
(bsDMARDs)
TNF阻害薬
(IFX, ETN, ADA, GLM, CZP)
TNF阻害薬
(IFX-‐‑‒BS)
IL-‐‑‒6阻害薬
(TCZ)
CD80/86阻害薬
(ABT)
Smolen JS, et al, ARD, 2014
ー ⾻骨びらんの修復復の可能性 ー
2008年年1⽉月
2010年年10⽉月
生物学的製剤による関節外病変の改善
肉眼的所見は著
明に改善
明らかに沈着
アミロイド減少
(Congo Red染色)
TCZ開始前:2009/12
TCZ開始後:2010/3
関節リウマチ診療療ガイドライン 2014 (⽇日本版)
治療療
⽬目標
治療療
⽅方針
v  臨臨床症状の改善のみならず、関節破壊の抑制を介して⻑⾧長期予後の改善、
特に⾝身体機能障害の防⽌止と⽣生命予後の改善を⽬目指す
v  関節炎をできるだけ速やかに沈沈静化させて寛解に導⼊入し、寛解を⻑⾧長期間維
持する
v  合併病態の適切切な管理理と薬剤の適正使⽤用によって有害事象の発現を予防あ
るいは低減し、 もしも⽣生じた場合には適切切に対応する
v  関節破壊に起因する機能障害を⽣生じた場合には適切切な外科的処置を検する
v  最新の医療療情報の習得に努め、⽇日常診療療に最⼤大限適⽤用する
v  治療療法の選択には患者と情報を共有し、協働的意思決定(shared decision making)を⾏行行う
v  RA診療療は最善のケアを⽬目指すものであり、患者とリウマチ専⾨門医の協働的
治療療
原則
意思決定に基づく
v  リウマチ専⾨門医はRA患者のケアを⾏行行うスペシャリストである
v  RA治療療は個⼈人的、社会的、医療療費的に⼤大きな負担を⽣生ずるものであり、リ
ウマチ専⾨門医は、これらすべてを勘案して治療療に当たらねばならない
“古典的膠原病”に属する疾患
(Klemperer, 1942)
病気は臓器単位の疾患であり
病気と罹罹患臓器の間には
密接な関連がある
(病気は特定の臓器に存在する)
:⼼心臓病・腎臓病・肝臓病
関節リウマチ(RA)
全⾝身性エリテマトーデス(SLE)
強⽪皮症(SSc)
多発性筋炎・⽪皮膚筋炎(PM/DM)
結節性多発動脈炎(PAN)
リウマチ熱
複数の臓器を傷害する疾患として
“系”を考え、⾎血管・結合組織(細胞を
のり付けしている組織)を傷害する
疾患として
“diffuse collagen disease”を規定した
膠原病およびその類縁疾患
関節リウマチ(RA)
Ü 
• 
• 
全⾝身性エリテマトーデス(SLE)
• 
• 
強⽪皮症(SSc)
• 
多発性筋炎・⽪皮膚筋炎
• 
• 
(PM/DM)
• 
• 
⾎血管炎症候群
Ü 
混合性結合組織病(MCTD)
Ü 
シェーグレン症候群
Ü 
Ü 
Ü 
Ü 
⾎血清反応陰性脊椎関節症
ベーチェット病
再発性多発軟⾻骨炎
リウマチ性多発筋痛症
成⼈人スティル病
RS3PE症候群
線維筋痛症
回帰性リウマチ
Felty症候群
リウマチと膠原病
◆ リウマチ(rheumatism)
語源はギリシャ語(rheumatismos):古代ギリシャ時代
「悪い液体が脳から下の⽅方にある関節を含む様々な
臓器に流流れ、病や痛みが起こる」
→現在は筋⾁肉や⾻骨格に痛みやこわばりを来す病気、をしめす
→内臓よりも関節症状
u 膠原病
免疫学的な実験⼿手法により「細胞内の核」に対する⾃自⼰己抗体
が、⼀一部のリウマチ性疾患に⾒見見いだされることがわかった
→⾃自⼰己免疫病・抗核病(SLE)
→筋⾁肉・⾻骨格よりも内臓
膠原病は多くの診療療科との連携が必要
循環器
⽪皮膚
神経
消化器
整形
呼吸器
腎臓
⾎血液
全⾝身性エリテマトーデス(SLE)
英語でsystemic lupus eryhtematosusと
いい、その頭⽂文字をとってSLEと略略して呼
ばれる
systemicとは、全⾝身のという意味で、
この病気が全⾝身のさまざまな場所に、
多彩な症状を引き起こすということを指す
lupus erythematosusとは、⽪皮膚に出来る
発疹が、狼狼に噛まれた痕のような⾚赤い紅斑
であることから、こう名付けられた
(lupus、ループス:ラテン語で狼狼の意)
SLEで注意すべき臨臨床症状
ü 全⾝身症状(発熱、倦怠感、体重減少)
ü ⾎血液症状(⾎血球減少、DIC、TTP、HPS)
ü ⽪皮膚・粘膜症状(⽪皮疹、⼝口腔内潰瘍、⽇日光過敏症、脱⽑毛)
ü ⾎血管症状(⾎血管炎、多発性単神経炎)
ü 神経症状(中枢・末梢神経症状)
ü ⼼心臓・肺症状(⼼心膜炎・胸膜炎、肺胞出⾎血、肺⾼高⾎血圧症)
ü 消化器症状(ループス腸炎、⾃自⼰己免疫性肝炎)
ü 腎・泌泌尿尿器症状(ループス腎炎、ループス膀胱炎)
ü 関節症状(多関節炎)
ü 内分泌泌疾患症状(甲状腺機能異異常)
既存の免疫抑制療療法が無効で、リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)が 有効であったneuropsychiatric SLE(中枢神経ループス)の1例例
(Tokunaga M, Fujii T, et al. Ann Rheum Dis, 2007; 66: 470-‐‑‒475)
多発性筋炎・⽪皮膚筋炎
• 筋⾁肉には体を動かす原動⼒力力になる横紋筋と内臓を動かす
平滑滑筋があるが、筋炎では横紋筋が障害される
• 筋⾁肉のみの疾患ではなく、間質性肺炎、⾎血管病変を
おこすことも少なくない
筋の組織(炎症)所⾒見見 間質性肺炎
Clinically amyopathic dermatomyositis(CADM)の
致命的な急性間質性肺炎
1/15/2004
1/22/2004
1/30/2004
2/27/2004
リウマチ・膠原病の⼀一般的な特徴
リウマチ・膠原病は「全⾝身性⾃自⼰己免疫疾患」
1.  ひとつにとどまらない複数の症状が存在する、あるいは
発熱や倦怠感など体全体に広がる症状が認められる
2.  本来は異異物を排除する「免疫」の異異常がその病態に関与
し、リウマチ反応などが陽性となる
3.  同じ症状が何週間も持続する
などが特徴であるが、病気の始まりをしめすサインとして
は、発熱、関節の痛み、⽪皮膚症状(顔に発疹が出たり、⼿手
⾜足が紫⾊色になったりする)が多い
リウマチ・膠原病に関する誤解
Ø  リウマチは⾼高齢の⽅方の病気で、若若い⼈人には起こらない
Ø  がんではないので命を落落とすことはあり得ない
Ø  関節や筋⾁肉の病気なので、⾎血液や肺、腎臓が悪くなる
ことはない
Ø  すべてのリウマチ・膠原病は不不治の病である、あるい
は難病である
ü  リウマチ・膠原病の場合、同じ病名であっても患者さんによりその症状や重
症度度、治療療法が⼤大きく異異なるため、早期に専⾨門医を受診し、巷の情報に惑わ
されることなく個⼈人に必要な教育・治療療を早めにうけることが重要
ü  リウマチ・膠原病科は、わかりにくい病気や治療療法のことを患者さんに丁寧
に説明し、適切切かつ最新の治療療を提供します
和歌⼭山県におけるRA・膠原病診療療 450
400
350
リウマチ専⾨門医
⼈人数
300
250
200
150
リウマチ患者1万⼈人
あたりの専⾨門医数
100
50
近隣隣の都道府県に
⽐比べても和歌⼭山は
リウマチ・膠原病
医が少ない
和歌⼭山医⼤大を中⼼心と
して、地域の内科・
整形外科医と連携し
て診療療を進めていく
必要がある
0
7437 52 44 33
31
⽇日本リウマチ学会専⾨門医制度度
委員会資料料より計算
和歌⼭山医⼤大 リウマチ・膠原病センター
Ø  和歌⼭山医⼤大 リウマチ・膠原病センターは、リウマ
チ・膠原病科を中⼼心に整形外科、⽪皮膚科、および関
連する内科系診療療科と共同して診療療にあたります
Ø  まだ産声をあげたばかりですが、いままでリウマ
チ・膠原病診療療に苦労されてきた先⽣生⽅方と顔の⾒見見え
る連携を⾏行行ってお互いの治療療⽅方針を共有できる体制
を作り上げ、和歌⼭山県におけるリウマチ・膠原病診
療療の中⼼心施設となるよう努⼒力力いたします。
ご⽀支援のほど どうぞよろしくお願いいたします
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