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超プラスチック入門 - Yanalandへ

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超プラスチック入門 - Yanalandへ
プラスチック超入門
<カメノコ無しのプラスチック入門>
Elastomer Solutions Company
H.Yanagisawa
Dec.,2006
Elastomer Solutions Company
1
プラスチック入門
 Index
 プラスチックとは
 樹脂とプラスチック
 プラスチックの種類
 天然樹脂と合成樹脂
 熱硬化性と熱可塑性
 汎用プラ、エンプラ、
スーパーエンプラ
 プラスチック製品の作り方
(成型法)
 プラスチックのリサイクル
 プラスチックの試験法
 添付参考資料
 プラスチックの性質
 長所と短所
 透明性と結晶性
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2
プラスチック入門
<カメノコ無しのプラスチック入門>
Elastomer Solutions Company
3
プラスチック入門
 樹脂とプラスチック
身の回りには沢山の所謂「樹脂製品」「プラスチック
製品」と呼ばれる商品があります。ここでは天然の
ものを「天然樹脂」、主に石油を原料とする人工のも
のを「合成樹脂」或いは「プラスチック」と呼びます。
 はじめの合成樹脂は「ビリヤード」の玉の代替を狙ったも
ので、セルロイドで作られた。 セルロイドはピンポン玉に
現在も使用され、昔はキューピー人形の材料です。
 セルロイドは木綿から作るため、半合成樹脂です。
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4
プラスチック入門-天然樹脂
天然樹脂
松脂
琥珀
漆
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5
プラスチック入門-合成樹脂
合成樹脂 =プラスチック
 プラスチックとは「可塑性を持つもの」と言う意味で、一般
に 「人工的に合成され、可塑性のある高分子物質の総
称」。
 力を加えると変形し、力を取り去ったあとも、その変形した状態がそのま
ま残る性質のことを言います。成形材料に熱を加えて溶かすことを可塑
化という。
 高分子または高分子化合物とは、多数の原子が結合して出来る分子で
ある。多くは石油のナフサ成分を原料にしています。
 目的に合わせた商品を作るため、種類が多い。
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6
プラスチック入門-プラスチック
プラスチックの姿
一般的には原子の数が千個程度以上、あるいは
分子量が1万程度以上であれば典型的な高分子
と言えます。
ポリエチレンの模式図
繊維も高分子ですが
一般プラスチックとは
別に分類しています。
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7
プラスチック入門-種類
プラスチックの種類
プラスチックには加熱すると軟化して加工できるようになり冷却すると固化し、また加熱す
ると軟化し繰り返し使用できる「熱可塑性」のものと、熱によって軟化、化学反応により固
化するため、その後加熱しても軟化したり融けないプラスチックを「熱硬化性」の2種類
がある。
プラスチック
熱硬化性
熱可塑性
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8
プラスチック入門-種類
 プラスチックの熱可塑性と熱硬化性
 熱硬化性樹脂(Thermoset Resin)
 クッキー、パンと同じ(再加熱で元に戻らない)
 化学反応を伴う。網目形状
 メラミン、フェノール樹脂
 熱可塑性樹脂(Thermoplastic Resin)
 チョコレート、バタ-と同じ(再加熱で元に戻る)
 熱により可塑化する。鎖形状一般的にはプラスチックは熱可塑
性樹脂を指す。
 ナイロン、ポリエチレン、塩ビ等
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9
プラスチック入門-熱可塑
熱可塑性樹脂とチョコレート
原料=カカオ = ナフサ(石油成分)
材料=チョコレート = プラスチック
溶融=熱を加えて溶かします。
成型=型に流し込みます。
製品=冷却して固まったら取り出します。
リサイクル=クズや作り損ねは再度溶かします。
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10
プラスチック入門-種類01
 プラスチックの種類
プラスチックは一般使用耐熱温度を目安に3ランクに分類
 汎用プラスチック
 樹脂価格が比較的安く加工もしやすい熱可塑性プラスチックのこと。 熱
変形温度100℃未満、引っ張り強さ500kgf/c㎡未満、耐衝撃
5
kgf.cm/cm未満の特性を持つ熱可塑性樹脂。
 エンジニアリングプラスチック=エンプラ
 機械的強度や耐熱性に優れ、主に高い性能の求められる工業用部品な
どに使われる樹脂、価格も汎用樹脂に比べ相当高価) エンプラの定義
はそれほど明確ではないが物性値としては、引張り強さで約500kg/ c㎡
以上、曲げ弾性率で20,000kg/cm以上 耐熱性100℃~150℃以上
 スーパーエンジニアリングプラスチック=スーパーエンプラ
 エンプラよりも更に高い熱変形温度150℃以上にも、長期 間使用でき
る特性を持つ熱可塑性樹脂
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11
プラスチック入門-種類02
 プラスチックの種類
http://www.satotekkou.co.jp/technical/plastic_data.php
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プラスチック入門-種類03
 汎用プラスチック (身の回りでよく見かけます)
 塩化ビニール(PVC)-ビニールハウス、電線、パイプ、雨どい
 ポリプロピレン・ポリプロ(PP)–クリアファイル、バンパー
 ポリエチレン・ハイデン(HDPE)–ポリバケツ、樹脂パレット
 ポリエチレン・ローデン (LDPE)–フィルム、電線、ラップフィルム
 リニアーローデン (LLDPE)–レジ袋
 ポリスチロール・スチレン樹脂(PS)-透明ケース、発泡品
 耐衝撃スチレン樹脂・ヒップス(HIPS)-家電ハウジング
 エービーエス樹脂(ABS)-家電ハウジング、便座、ゲーム機
 ペット・ポリエチレンテレフタレート(PET)-ボトル
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13
プラスチック入門-種類04
 エンジニアリングプラスチック(気付かなくて見ています)
 ポリアミド・ナイロン(PA)-椅子、台所用品、自動車部品(エ
ンジン周り)
 6ナイロン(PA6) / 66ナイロン(PA66) / 12ナイロン(PA12)
 6ナイロンは押出成形、66ナイロンは射出成形が多い。
 ポム・ポリアセタール(POM)-歯車
 ポリカ・ポリカーボネート(PC)-CD,DVD,ペン軸、板(屋根)
 ピービーティー・ポリブチレンテレフタレート(PBT)
-電気電子スィッチ部品、印鑑ホールダー、朱肉台
 変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)-ICトレー、ホィールキャップ、
DVDプレーヤー部品、水中ポンプ部品
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14
プラスチック入門-種類05
 スーパーエンジニアリングプラスチック
(あまり見かけません、気づきません)
 ポリフェニレンサルファイド(PPS)-電気電子部品、車ライト部品
 ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)-電気電子コネクター、スィッチ
 ポリエーテルイミド(PEI)-電気・電子部品、産業機械、事務機、自動車部品
 ポリアミドイミド(PAI)-電気・電子部品、産業機械、事務機、自動車部品
 ポリイミド(PI)-電気・電子部品、産業機械、事務機、自動車部品
 ポリアリレート(PAR)-メーターカバー、ネジ、ギヤー
 ポリサルフォン(PSU)-電気電子部品、医療機械部品
 ポリエーテルサルフォン(PES)-センサーカバー
 テフロン(TPFE)-フライパン表面コート
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15
プラスチック入門-性質01
 プラスチックの性質 - 長所
 軽くて強い。 金属や陶磁器に比べ比重が小さいので軽くて強い製品を作る
ことができます。
 さびたり、くさったりしない。 ほとんどのプラスチックは薬品におかされにくく、
酢などを入れてもさびたり、くさったりすることがありません。 (食品容器)
 透明性があり、着色が自由。 透明性にすぐれているものがあり、また着色
が自由にできるので、明るく美しい製品ができます。
 大量生産が可能。 プラスチックは、一般に加工性がよく複雑な形状のも
のでも、能率的に大量生産ができます。 従って、製品を安価に提供できます。
 電気・電子的性質に優れている。 電気絶縁性等が優れていますので身近
なところでは、電気冷蔵庫、テレビ・ラジオ・パソコンなどの部品に使用されて
います。
 断熱性が優れている。 特にプラスチックの発泡体は、断熱材としてすぐれ
た 性能をもっています。(カップラーメンの器)
 衛生的で食品保存に優れている。 プラスチックは清潔で、微生物の汚染か
ら食品を守ります。 (食器)
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16
プラスチック入門-性質02
プ ラ ス チ ッ ク の 性 質 – 短 所
 熱に弱い。 これは一番大きな欠点といえるでしょう。火
のそばに置くと、形が変ってしまうことがあります。
 表面にキズやほこりがつきやすい。 金属や陶磁器に比
べると、表面が軟らかいため キズがつきやすく、また静
電気がおきやすいので 汚れが目立ちます。
 ある種の薬品には弱いものもある。 一般にプラスチック
製品は薬品に強いのですが、なかにはベンジンやアル
コールなどにおかされるものもあります軽くて強い。
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プラスチック入門-性質03
 プラスチックの透明性と結晶
 結晶というと透明な印象ですが、プ
ラスチックでは、結晶領域と非結晶
領域で光の屈折率が変化するため、
一般的には非晶性プラスチックの
方が透明性に優れることが多い。
 結晶性- ポリプロピレン(PP)、ポリ
エチレン(PE)、ポリオキシメチレン
(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)
 非結晶性- ポリスチレン(PS)、アク
リロニトリルブダジエンスチレン共
重合(ABS)、ポリカーボネート(P
C)、メタクリル樹脂(PMMA)
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18
プラスチック入門-改質
 プラスチックの改質
プラスチックは単体で使用されることが多いが、成
形性、物性を改良、装飾性改善のために改質して
使用される。
 成形性改善 – 流れをよくする。
 装飾性
 着色、メッキ
 物性改善
 強くする - ガラス繊維を混ぜる
 低温で割れにくくする - ゴム成分を混ぜる
 その他の改善 – 帯電防止、難燃、耐候性改善等
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小休止
 プラスチックの生産量と消費量
 生産量(2003)
世界
20,600万トン

日本
1,362万トン 15% Share
 個人消費量(2002) Kg/人




USA
Belgium
Germany
日本
171
169
155
81
 プラスチックの生産速度(2002) 6.2トン/秒
 プラスチックの消費速度(2002) 5.2トン/秒
 人口増加速度
2.9人/秒
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6 (1960)
0.44トン/秒
0.33トン/秒
0.0045人/秒
20
プラスチック入門-成型01
 プラスチックの成型
 射出成型
 型物 (ペングリップ、足ゴム等)
 押出し成型
 長さのあるもの(パイプ、棒状、ホース、チューブ、板状等)
 中空成形
 中空のもので短いもの(蛇腹、ボトル等)
 インフレーション成型
 フィルム(レジ袋)
 その他
 回転成型、ガスインジェクション、ディッピング(冷蔵庫の棚)等
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21
プラスチック入門-成型-02
 射出成型
 左図で原料(黄色)は
ポッパーからスクリュー
で回転されながら溶かさ
れる。
 右側の「金型の隙間」に
原料をスクリューを動か
し充填する。
 冷却したら金型を開い
て取り出す。
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プラスチック入門-成型-03
 押出し成型
 左図で原料(黄色)は
ポッパーからスク
リューで回転されなが
ら溶かされる。
 中央のダイスを通過
する際に「形」が作ら
れる。
 ダイスを出たら冷却さ
れカットされるか巻き
取る。
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プラスチック入門-成型-04
 中空成型
 左図で原料(黄色)はホッ
パーからスクリューで回
転されながら溶かされる。
 押出し機出口から出たプ
ラスチックは「パリソン」と
呼ばれチューブ状であり、
下の金型に入る。
 金型を閉じ、パリソンに
空気を入れ膨らませる。
 冷却後取り出す。
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プラスチック入門-成型-05
 真空成型
 左図で原料(黄色)はポッ
パーからスクリューで回転
されながら溶かされる。
 板状に成型され、予備過熱
工程を経て金型の上にセッ
トされる。
 金型を閉じると共にポンプ
で吸引し脱気することで形
となる。
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プラスチック入門-成型-06
 インフレーション成型
 左図で原料はポッパーから
スクリューで回転されなが
ら溶かされる。
 押出し機の出口から上向
きにチューブ状で押出し、
中へ空気を送り込み膨らま
せる。これで膜が薄くなる。
 冷却され、巻き取る。
 薄膜は「フィルム」と呼ばれ
包装、袋に使用される。
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プラスチック入門-成型-07
 ガスインジェクション成型
 射出成型と原理は同じ。主に
大きなサイズの部品成型に
使用。
 中空にするために高圧ガスを
注入し金型へ押し付ける。
 ガスを脱気したら、金型を開
き取り出す。
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27
プラスチック入門-試験
 プラスチックの一般試験項目<どんな試験があるのか?>
プラスチックの代表的性能を評価(実際に使用された場合の耐久性の指標)











硬度(Hs)-針を押し付けてへこんだ指標で測定
引っ張り強さ(Tb)-短冊形片を引張り、切れた時の強さ
伸び(Eb)-引張って切れる時にどのくらい伸びたか
低温脆化温度(℃)-ハンマーで叩いて割れる温度
剛性(Mod)-曲げる力
圧縮永久歪(Cs)-押し付けておいて離すと元に復元するか
永久伸び(Ps)-引っ張っておいて離すと元に復元するか
耐候性-太陽に曝してもヒビが入るか
耐薬品性-薬品に強いか
難燃性(UL)-燃えやすさ
熱変形温度(HDT)-温度でどのくらい曲がるか(へたるか)
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プラスチック入門-試験
 プラスチックの一般的見分け方
 見た目
 無色透明-アクリル、ポリスチレン、PET、PVC、PC
 半透明-PE,PP
 不透明-ABS,フェノール
 曲げてみる
 割れる-アクリル、ポリスチレン
 白化-硬質PVC、ABS、PP
 変化無し-PE、(PP)、軟質PVC
 水に浮かべる
 浮く-PE,PP
 沈む-ポリスチレン、塩ビ、ペット、ポリカ、
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プラスチック入門-リサイクル
 プラスチックの流れ
 年間生産1,450万トン
 年間消費1,200万トン
 年間廃棄1,000万トン
 プラスチックの総廃棄量 =約1,000万トン/年
 完全廃棄 : 400万トン
 リサイクル : 600万トン
 リサイクル方法
 30%マテリアルリサイクル - プラスチックとして再利用
 5%ケミカルリサイクル - 化学分解して石化原料へ
 65%サーマルリサイクル - 焼却して熱へ変化させる
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30
プラスチック入門-参考資料
 プラスチックの種類
熱可塑性樹脂
熱硬化性樹脂
エンジニアリングプラスチック
汎用プラスチック
汎用エンプラ
スーパーエンプラ
PE
ポリエチレン
PA
PVC
ポリ塩化ビニル
POM ポリアセタール
FR
PS
ポリスチレン
PC
PEEK ポリエーテルエーテルケトン
MF メラミン
ABS
ABS樹脂
PPE 変性ポリフェニレンエーテル
PAI
ポリアミドイミド
UP不飽和ポリエステル
AS
AS樹脂
PBT ポリブチレンテレフタレート
PEI
ポリエーテルイミド
EP エポキシ
PET
ポリエチレンテレフタレート
PP
ポリプロピレン
ポリアミド
PAR
ポリカーボネート
ポリアリレート
フッ素樹脂
PF フェノール
UF ユリア
PMMA ポリメチルメタクリレート
耐熱
~100℃
約700万t
耐熱 ~150℃
約180万t
耐熱 ~250℃
約20万t
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耐熱 ~300℃
約300万t
31
プラスチック入門-参考資料
Elastomer Solutions Company
32
プラスチック入門-参考資料
 プラスチックとゴムと熱可塑性エラストマー
 共通点:高分子
 近似点:熱で変形しそう
 相違点:弾力
 プラスチック-(弾力性小)(熱可塑、熱硬化有)
 ゴム-引張っても元に戻る。(弾力性大)(熱硬化)
 熱可塑性エラストマー(弾力は中間)(熱可塑)
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33
プラスチック入門-参考資料
 TPO(熱可塑性エラストマー)
 PPとゴムを十分混合
 ゴムは超微粒子になり、PP層の
中に分散。
 素材特性
熱可塑性エラストマーもプラスチック
改質の1手段です。
PP
ゴム_EPDM
 PPは耐熱性、剛性に優れる。然し
低温で割れ易い。ゴムを混ぜると
低温で割れにくく、柔らかな「エ
ラストマー」と呼ばれる商品と成る。
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34
プラスチック入門-参考各論
 塩化ビニール(PVC)
ポリ塩化ビニルは一般に粉末状で得られ、これに可塑剤、安定剤、充てん材などを配合混練し
て成形材料を作ります。添加剤の加え方により、軟質から硬質まで非常に広い範囲の製品を作ることが出来ます。価格も安いの
がこの樹脂の大きな利点です。透明性、着色、印刷自在性、耐水、耐溶剤、耐薬品性、耐候性などがすぐれていますが、耐熱性は
低くなっています。 また電気絶縁性がきわめて良好となっています。パイプ、雨どい、ホース、硬質・軟質フイルム、ビニル人形、
シート、レザー、電線被覆、 家具、テレビキャビネット、おもちゃ、各種家庭用品など幅広く使用されています。近年ダイオキシン発
生の元凶といわれているが、焼却炉の焼却温度が低い場合に発生することに起因する。
 ポリエチレン(PE)
ポリエチレンの最大の特徴は、原料値段が安く、成形しやすく、多用途に向く樹脂であるということ
です。また比重の違った製品が自由に作り出せます。一般に中・低圧のもの(高密度・HDPE)は高圧のもの(低密度・LDPE)より硬
く、軟化温度も高いのが特徴です。しかし軟質のもので比重は0.92、硬質のもので0.95と、いずれも水に浮く軽さです。マッチで
火を付けると煙を出して燃えるほど熱には弱いですが、寒さには強くマイナス20℃くらいまでなら耐えられます。また吸水性がほと
んどないため、防水性は抜群です。電気の絶縁性・耐油性は良い反面、接着性や印刷効果が悪く、太陽光線や紫外線に弱いとい
う弱点もあります。主な使用用途耐油性・耐溶剤性を利用して容器やビン類、食品容器や包装用フィルムに多く用いられています。
そのほかに比重の軽さを活かしてポリバケツや大型容器等にも使われています。
 ポリプロピレン(PP)
外見はポリエチレンに似ていますが、もっと硬質で引っ張りの強さがあります。また比重も0.9~0.
92と汎用プラスチックの中では最も軽いのも特徴です。ポリエチレンよりは耐熱性は高く110℃ぐらいです。しかし硬質でありながら
折り曲げに対しては非常な強さを持っています。CDケースやフタつきのケース等は何度も折り曲げを行っても切れないのはこの性
質を使っているためです。またポリプロピレンは絶縁性が高く薬品にも強いという性質を持っています。主な使用用途絶縁性を利
用して、テレビ・ステレオなどの電化製品、通信機器などの絶縁体として使用されたり、耐薬品性を活かして薬品の容器・包装など
に使われています。
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プラスチック入門-参考各論
 ポリスチレン(PS)
スチロール樹脂は、絶縁性が良いほかに、耐水・耐薬品性が良く常温で硬いのが特
徴です。樹脂自体は透明ですが、着色も容易で色調の美しい製品が作れるのもポリスチレンの長所です。しか
し熱に弱く、衝撃耐久性が低いので落下したりすると割れやすいのがこの樹脂の短所になっています。主な使
用用途 コップ、各種容器、歯ブラシなどの日用品や、プラスチックモデルなどのおもちゃや包装関係に使われ
ています。
 エービ-エス樹脂(ABS)
ポリスチロール(PS)樹脂の衝撃に弱いという弱点を克服するために生まれ
てきたのがABS樹脂です。一般に乳白色、半透明になっています。吸湿性があるので、成形にあたっては、予
備乾燥を充分に行う必要があります。化学めっきの密着性がよいのも特徴の一つです。ABSとはアクリルニトリ
ル(A)ブタジエン(B)スチレン(S)の三つが重合されたものです。主な使用用途家具、テレビキャビネット、おも
ちゃ、各種家庭用品など幅広く使用されています。
 アクリル樹脂・ポリメチルメタアクリレート(PMMA)
アクリル樹脂の特徴はなんといってもプラス
チック随一の透明度を持つことで、紫外線透過率などは普通のガラスよりも大きいほどです。光学的特性はプラ
スチックのなかで最も優れています。耐候性に優れているのも特徴です。 外観、表面光沢、表面硬度も良いで
す。メタクリル樹脂板は熱加工しやすく、加熱して軟化させ曲げても白化しないのも長所となっています。主な使
用用途レンズなどの光学製品、照明器具や外観カバー類、計器類のカバーなどの透明度を必要とする製品に
多く用いられています。
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プラスチック入門-参考各論
 ポリアミド(PA) ポリアミドは、その化学構造の違いで各種あるが、ここでは全般的なことを述べ
る。ポリアミドは、機械的性質、特に耐衝撃性に優れた結晶性樹脂である。また、耐摩擦・摩耗性、
耐薬品性(強酸、フェノールを除く)、耐油性、ガスバリヤー性等に優れている。融点が高く、構造
によって吸水性が高いことも特徴である。吸水により寸法変化が大きく、機械的強度は低下する
が、柔軟性、耐衝撃性は増加する。前述のように一部のポリアミドは、吸水性が高いので、成形時
および製品設計の際は、注意を要する。主な用途は、自動車・車輌分野、電気・電子分野、機械
分野等の射出成形分野およびフィルム、モノフィラメント等の押出し成形分野、その他である
 ポリカーボネート(PC)
PCは、非晶性樹脂で、汎用エンプラ中唯一の透明樹脂である。成形
収縮率が小さく、寸法精度が良好であり、吸水率が小さいので寸法安定性が良好であ強度、特に
耐衝撃性が非常に高く、クリープが小さい。また、電気特性も非常に良好である。しかし、耐薬品
性は良好でなく、ストレスクラックを起こしやすい。PCはエステル結合を有しているため、一定量以
上の水分を残したままで加熱成形すると、加水分解を起こし、物性低下等を引き起こすので、使
用に先立って予備乾燥が必要である。主な用途では、電気・電子分野が最大で、ついで一般機械
(カメラ部品等)が続いている。最近は、光学特性を生かしてCD、MD等のディスクが大きなマー
ケットとなっている。また、自動車・車輌分野でも使用量が増加し、これに続いている。さらに、シー
ト分野もかなりの比率を占めている。
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37
プラスチック入門-参考各論
 ポリアセタール(POM)
POMはバランスの取れた機械的性質を持つ結晶性樹脂で、特に耐疲労性に極め
て優れる。耐摩擦・摩耗性、耐薬品性、耐クリープ性、寸法安定性に優れ、吸水性も少ない。しかし、分子中に酸
素を多く含んでいるので、難燃性の付与は至難であり、耐候性は良くない。POMの主力用途は、日本が得意と
する電気・電子分野および自動車分野である。特に前者では、DVDを中心とした家電製品、複写機等の生産増
にともないエンプラの伸びが顕著であり、POMがその主力を占め、最近の需要増を支えている。
 ポリブチレンテレフタレート(PBT)
PBTは、汎用エンプラ中最も新しい樹脂である。強靭で、剛性も高く、
耐熱性、耐熱老化性(高温でも良好な機械的性質を保持)の優れた結晶性樹脂である。また、電気特性も広い
温度範囲で良好で、吸水性も小さく、耐候性、耐薬品性も優れたバランスの取れた樹脂である。難燃化も容易で
電子用途に向いている。PCと同様に分子内にエステル結合を持つので、使用前の予備乾燥が必要である。主
な用途は、電気・電子分野が半分以上を占め、更に自動車分野を含めると80%を越す。
 ポリエチレンテレフタレート(PET) PETは、従来、合成繊維、フィルム用途が主体であったが、二軸延伸ブ
ローボトルおよびエンプラとしてのGF-PETの射出成形用途の応用が盛んである。GF-PETは、結晶化速度が遅
く成形性に問題があったため、その優れた物性の割には需要が小さかった。しかし、結晶化速度改良グレードが
開発されてからは、成形性が著しく改良され、樹脂そのものが持つ非常に優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性、
耐候性を生かした用途開発が急速に進んだ。なお、PCと同様に分子内にエステル結合を持つので、使用前の
予備乾燥が必要である。主な用途は、電気・電子分野および自動車・車輌分野である。
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38
プラスチック入門-参考各論
 変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE) 変性PPEは、非晶性樹脂で、PPEとスチレン系樹脂のポリマーアロ
イが中心である。変性PPEの特徴は、広い温度範囲で機械的性質(剛性、耐衝撃性、耐疲労性)が安定している
ことである。電気特性も優れている。比重、吸水率が汎用エンプラ中最小であり、耐熱水性にも優れる。成形収
縮率が小さいので、寸法安定性、寸法精度に優れている。耐熱性材料としても種々のグレードがある。耐薬品
性では、酸、アルカリには侵されないが、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素には侵される。主な用途は、電
気・電子分野、OA機器分野が多く、自動車分野と続く。最近の変性PPEの需要を支えたのは、OA機器、例えば
複写機、ワープロ、ファックス、およびパソコン等のハウジングへの大幅採用があげられる。
 ポリフェニレンサルファイド(PPS) PPSは、結晶性樹脂で非常に耐熱性が高く(連続使用温度240℃程度)、
機械的強度、剛性、難燃性、耐薬品性、電気特性および寸法安定性等が優れている樹脂である。近年、その優
れた特徴を生かし急速に市場を拡大しており、次の汎用エンプラといわれている。主な用途は、電気・電子部品、
家電部品、自動車部品、機械部品(ケミカルポンプ等)である。
 ポリアリレート(PAR) PARは、基本的には透明性の非晶性樹脂で、耐熱性(Tg195℃)、耐紫外線性(SAE規
格はノンコートで合格・紫外線バリヤー性がある)、耐衝撃性に特徴がある。他に回復曲げ弾性に優れるなどユ
ニークな性質も合わせ持っている。現在は、純粋なものよりアロイやコンポジット系が主力となっており、耐熱ハ
イフロータイプの自動車灯具部品、高寸法精度フィラータイプの精密機械部品、耐薬品性アミドアロイの電子部
品など幅広い用途に適性を持っている。
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プラスチック入門-参考各論
 ポリサルホン(PSU) PSUは、琥珀色透明の非晶性樹脂である。耐熱性(連続使用温度160℃
程度)、耐加水分解性に優れ、高でも酸、アルカリ、熱水に対して安定である。また、耐クリープ性、
低温特性、電気特性に優れている。主な用途は、電気・電子分野、医療用機器分野、精密機器分
野、食品工業用機器分野、自動車分野等である。
 ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) PEEKは、従来にない特性を備えた結晶性樹脂である。
特長としては、熱可塑性樹脂中最高レベルの耐熱性(連続使用温度240℃)、耐熱変形性
(GF30%強化グレードの荷重撓み温度が300℃)を有し、高い難燃性と同時に燃焼時の発煙や腐
食性ガスの発生が極めて少ない。耐熱水性(200℃のスチーム中で連続使用可能)、耐放射線性、
耐薬品性も非常に良好である。主な用途としては、電線被覆、射出成形品、その他がある
 ポリエーテルイミド(PEI) PEIは、琥珀色透明な非晶性樹脂であり、優れた耐熱性と機械的強
度を持つイミド結合と良好な加工性を示すエーテル結合が組み合わされたものである。その特徴
は、優れた耐熱性(連続使用温度170℃)、機械特性、難燃性、電気特性、環境特性を持ち、燃焼
時の発煙量も少ない。主な用途は、電気・電子部品、自動車部品、機械部品、航空機部品、その
他である。
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プラスチック入門-参考各論
 ポリアミドイミド(PAI) PAIは、非晶性樹脂であり、優れた耐熱性と機械的強度を持つイミド結合
と良好な加工性、強靭性を示すアミド結合が組み合わされたものである。その特徴は、耐熱性(特
に耐衝撃性)、耐疲労性、難燃性、摩擦・摩耗特性、耐薬品性、耐ストレスクラック性に優れている
ことである。また、電気特性も良好である。PAIの主な用途は、電気・電子部品、産業機械、事務機、
自動車部品、その他である。
 ポリイミド(PI) PIは、熱硬化性の耐熱性樹脂で、市販されている有機高分子中最高の耐熱性
を有するため、着実に用途開発が進んでいる。PIは、数多くの会社で種々の化学構造のものが開
発されている。その特徴は、耐熱性(連続使用温度250℃以上)、難燃性、強度特性、寸法安定性
に卓越した性能を有することである。主な用途は、電気・電子部品、機械部品、自動車部品等であ
る。
 液晶ポリマー(LCP) LCPは溶融時に液晶性を示す樹脂で、その優れた高剛性、高強度、成形
寸法精度、寸法安定性に注目され各社が上市している。耐熱レベルにより、タイプⅠ,Ⅱ,Ⅲ、に
分類されている。また、分子構造により、全芳香族系と半芳香族系に分類でき、全芳香族系は特
に耐熱性に優れ、半芳香族系は薄肉流動性に優れている。主な用途は、電気・電子部品、摺動
部品である。
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