...

フィンランドのイノベーション政策の動向

by user

on
Category: Documents
7

views

Report

Comments

Transcript

フィンランドのイノベーション政策の動向
Kobe University Repository : Kernel
Title
フィンランドのイノベーション政策の動向(The Trend
of the Innovation Policy of Finland)
Author(s)
相川, 康子
Citation
国民経済雑誌,199(5):79-93
Issue date
2009-05
Resource Type
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
publisher
DOI
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81005199
Create Date: 2017-03-30
79
フィンランドのイノベーション政策の動向
相
川
康
子
小国ながら高い国際競争力を持つ国として, フィンランドに注目が集まっている。
1980年代からハイテク産業への転換を掲げ, 産官学の協力体制やクラスター政策を
いち早く実践してきた同国だが, 最大の特徴は 「情報社会」 と「福祉国家」を両立
させている点であろう。地方自治による社会の安定や教育への投資が, 優れた人材
を生み出し, イノベーションの原動力となっている。しかし, 近年, 競争的な地域
振興策によって格差の広がりが懸念されており, イノベーションを ICT 以外の産
業や地域コミュニティの発展に応用できるかどうかが課題である。
キーワード
フィンランド, イノベーション, 産官学連携, 地域政策
1
は じ め に
北欧のフィンランドは, 人口が約530万人と兵庫県(約560万人)より少ない小国ながら,
1)
今世紀に入り, さまざまな機関が行う国際競争力の調査で常に上位にランクインしている。
携帯電話のノキアを始めとする ICT (Information Communication Technology) などハイテク
関連クラスターの成功モデルとして知られ, そのイノベーションの“秘訣”を, 同国の教育
2)
制度や産官学の協力体制, あるいは起業家たちの成功談やオープン・ソースの発想の中に探
ろうとする試みが, 多くの研究者や政策担当者によって行われている。その幾つかは, 高福
祉・高負担の北欧型福祉政策を推し進めてきた同国で, どのようにして情報社会と福祉国家
とを両立させているのか, また「機会の平等」や「社会的統合」を標榜する社会保障政策と,
「競争」や「集中と選択」に基づくイノベーション政策とのバランスを取ることの難しさに
-Alestalo et al, 2006)。
言及している (Castells & Himanen, 2002 ; 一国の経済・社会システムは歴史や文化と深く結びついており, イノベーションは産業分
3)
野だけでなく政治や行政, 市民社会の分野でも常に起こっている。国家としての生き残りを
かけた構造改革を成功させるには, 政府と国民との信頼関係が不可欠だが, とくにハイテク
等新産業への移行という大きな政策課題の場合, それによって生じる地域間格差や雇用のミ
スマッチといった問題にどう取り組むかが非常に重要である。
そこで本稿は, このような「フィンランド・システム」について概観し, 急激な成長を支
80
第199巻
第
5 号
えた要因を, 国のイノベーション政策と福祉政策, さらに地域政策や地方自治の進展と関連
づけて検討する。2008年11月に行った同国の産業政策担当者や研究者らへのインタビューを
通じ, 産業政策が今後どのように変わろうとしているかについても考察を試みる。
2
フィンランドの概要
フィンランドの経済・社会システムを考察するにあたり, まず同国の地理的, 歴史的, 制
度的な特徴を簡単に振り返っておきたい。同国と日本とは, いくつかの共通点(例えば, 高
齢化率が高い, 移民が少ない, 高学歴社会など)があり,「日本ビジネス再生の鍵はフィン
ランドにある」との主張もある(矢田, 2006)。しかし, 例えば「携帯電話の普及率が世界
4)
トップクラス」という背景には, 人口密度が低く固定電話の回線を張り巡らせるのが難しか
ったことや, ロシアの支配下にあった1879年, 同国の干渉を避けるため, あえて電話通信事
業を政府ではなく民間事業者に委ねる決定をしたことに起因している。フィンランドと日本
の比較研究を行った寺岡は, 著書『比較経済社会学』(2006) の中で「情報社会論は, その
5)
国の社会的規範や社会的価値観によって大きく異なって当然」と述べている。
2.1 国土・歴史
フィンランドの国土は, 日本よりやや小さい33.8万平方キロだが, 一平方キロ当たりの人
口密度は, 日本の314人に対してフィンランドは15.5人である。北部のラップランドは北極
圏に属し, 人口や産業は南部とくに首都ヘルシンキの周辺に集中している。2008年時点で
415の基礎自治体(kunta または kaupunki)があるが, 平均人口は12,000人程度。ヘルシンキ
(人口約57万人)を除くと, 10万人以上の自治体数は 5 つしかない。
6)
スウェーデンに500年間, ロシアに100年間占領され, 1917年に独立を宣言してから, まだ
90年しか経っていない。その後, ソ連とは 2 回戦争を行ったが, 48年に友好協力相互条約を
締結し, 冷戦時代は「中立」を志向した。91年のソ連崩壊後は, 西側諸国との交流を深め,
1995年には EU に加入した。人口の85%がプロテスタントの福音ルーテル教徒である。
2.2 経済・産業
1950年代初頭まで, フィンランドは農業国で, 人口の半分は農業と森林業に従事していた。
第二次世界大戦でソビエト相手に戦い, 敗戦後に莫大な賠償金を課せられたが, それがバネ
となって戦後, 製紙・パルプや金属工業へと産業構造を転換させた。しかし1980年代末に国
7)
内の金融・不動産バブルが崩壊し, さらに91年のソ連崩壊とその後の東欧諸国の混乱から,
これらの地域に向けた輸出が激減した。経済成長率は 3 年連続マイナスとなり, 失業率は17
%を越え, プライマリーバランスも急激に悪化するなど, 深刻な経済危機を迎えた。
フィンランドのイノベーション政策の動向
81
その後, ハイテク関連産業の成長が著しく, 図 1 に示すように GDP, 財政収支, 失業率
とも順調に回復している。フィンランド統計局によれば, 2007年時点の GDP は1800億ユー
8)
ロ, 前年からの成長率は4.2%となっている。
図1
フィンランドの GDP 成長率, プライマリーバランス, 失業率の動向(19852007)
20.0
15.0
5.0
(%)
(%)
10.0
0.0
1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
5.0
10.0
15.0
実質 GDP 成長率
プライマリーバランス (GDP 比)
失業率
OECD Statistics および Statistics Finland の WEB から作成
2.3 福祉・男女平等・社会政策
北欧型福祉国家のひとつで, 市民の平等や機会均等が社会の重要な価値観となっている。
国家が国民の福祉に責任を持ち, 福祉・医療サービスは地方自治体によって供給されている
9)
(次項参照)。教育は大学も含めてすべて無料であり, 医療サービスも廉価で受けられる。
2007年時点の社会保障給付の対 GDP 比は22.5%で, スウェーデン(31.3%)やデンマーク
(27.6%) に比べると低く, むしろ OECD 平均(20.7%)に近い。87年に男女平等法が施行
10)
され, 95年の改正によって, あらゆる政策決定の場で40%の参画が保障されると同時に, 民
間事業者に対しても毎年, 男女平等報告書の作成が義務付けられた。女性の社会進出度を示
11)
す GEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)は世界 3 位である。
住宅政策にも社会福祉の考えが浸透しており, ヘルシンキには大都市につきもののスラム
がない。他国に比べて所得格差や移民が少ないことも要因の一つだが, 市内の土地の70%は
行政が所有し, 住宅開発の際には, あらゆる社会階層が混在して域内に住めるように政策的
な配慮が行われている。また, 労働組合の組織率が約85%と高く, 事業の投資や組織再編,
合理化などの重要事項は労使の事前合意が必要とされる。1968年に政府・労働者・使用者の
3 者協議によって結ばれた「リーナマー所得政策協定」では,国際競争力と社会的発展の両
方への配慮が見られ,今日のフィンランドの労働市場モデルとなっている。
82
第199巻
第
5 号
2.4 地方自治
12)
基礎自治体は, 自治権・課税権を持つ存在として憲法で保障されている。1993年の地方分
権改革によって, 包括補助金制度が導入され, サービスを供給する権限と財源が国から自治
体に移譲された。基礎自治体は①教育文化 ②社会福祉・保健 ③環境・インフラ整備のサ
ービスを住民に提供し, 単独で行えない業務については,「自治体組合」(
)を
組む, 共同で会社や協同組合又は財団を設立する, 民間業者や市民セクター(NPO)に委
託する―などの方法を採っている。自治体組合は, 基本的には自治体間の契約に基づいて結
成されるが,「二次医療」「知的障害者のケア」「地域開発」の 3 分野については, すべての
自治体に対して加入が義務付けられている。 地域開発の組合は 「地域連合」 (maakunnanliitot)
と呼ばれ, 全国に19カ所ある。ここは EU 構造基金の受け皿にもなっている。
この地方分権改革が, フィンランドの経済危機への対応と同時並行で行われたことは注目
に値する。翌94年には, EU への加盟に先立ち, 地域開発法が施行された。フィンランドは,
不況で深刻化した地域間格差を「地方分権」と「EU の地域・構造政策の利用」という手段
で解消を試みたといえる。
3
フィンランドのイノベーション政策
1990年代初めの深刻な経済危機からの再生は, フィンランドの生き残りをかけた国家プロ
ジェクトであった。人口が少なく国内需要が限られていることから, 輸出を視野に, 付加価
値が高いハイテク関連産業, その中でも成長が著しい ICT 産業への選択と集中が行われた。
13)
ゴム長靴のメーカーだったノキアが, 携帯電話の売り上げで世界一になったエピソードや,
タールやパルプの生産地に過ぎなかった北部のオウル市が, ICT を中心とした一大産業クラ
14)
スターを形成し「欧州のシリコンバレー」と称されたことは, その象徴といえる。
3.1 ハイテク産業への転換
ハイテク産業の育成策は, 1980年代半ばから始まっていた。フィンランド政府は82年, 国
の研究開発投資を10年間で GDP の1.2%から2.2%に引き上げる決定を行い, 翌83年には大
学や研究機関, 企業の研究開発に対して資金提供を行う専門機関として TEKES (フィンラ
ンド技術庁:テケス)を設立した。また, オウル市で, サイエンスパークを運営するテクノ
ポリス社が設立されたのも1982年である。90年代初めの経済危機の際には, 社会保障給付を
下げ, 民営化や規制緩和も進められたが, その中でも政府負担の研究開発費は減らされるこ
15)
とはなく順調に増えていった。80年代の助走期間を経て, 1990年代にノキアを初めとする
ICT 産業が花開いた。
図 2 は, フィンランドの産業育成や研究開発投資の仕組みである。雇用経済省の管轄では
フィンランドのイノベーション政策の動向
83
16)
テケスや VTT, 教育省管轄では基礎研究に出資するアカデミー・オブ・フィンランド。さ
17)
らに IT やバイオ関連産業のベンチャー育成プログラムを持つシトラや, 企業の国際化を支
援するフィンプロなどが機能的につながっている。矢田・矢田 (2006) は, このような相互
に関連したベンチャー支援システムについて「相容れない要素『公』と『私』をうまく融合
させ, 機能分担した独自の生態系」と評している。
図2
フィンランドのイノベーション政策の関係機関
Public decision makers, financiers and R & D performers
Parliament of Finland
Science and
Technology
Policy Council
of Finland
Council of State
Ministry
of Education
Ministry of
Employment and
the Economy
Academy of
Finland
Tekes, the Finnish
Funding Agency for
Technology and
innovation
Universities
Other ministries and
research institutes
Sitra, the Finnish
Innovation Fund
Finnvera
Finpro
Finnish Industry
Investment Ltd
VTT
TE-Centres
出典)VTT テクニカルリサーチセンタープレゼン資料2008
3.2 大学の役割
18)
フィンランドの技術力を支えているのは高い教育水準と, Triple Helix Model と呼ばれる
19)
産官学の連携である。国内20ヵ所にある国立大学が, 人材養成や研究開発を行うことで地域
イノベーションに貢献, 大学の評価システムの中にも, 地域貢献の項目が盛り込まれている。
この現象も, 急に始まったことではなく, 種は1960年代に蒔かれていた。
1950年代まで大学は首都圏にしかなかったが, 60年代に入り, 地方に大学を立地する政策
が採られ, オウル, ユヴァスキュラ, ヴァーサ, クオピオ, ヨエンスーなどが新たな大学都
市として発展した。例えば, 前述のオウル市の人口は約13万人 (周辺地域をいれると23万人)
だが, うちオウル大学は学生15,800人, 教職員3,100人余と高い割合を占めている。
20)
63年には国の科学政策評議会が設置され, 69年にはアカデミー・オブ・フィンランドが刷
新されて, 現在のような助成機能を持つようになった。
1978年までは大学の研究者と民間企業との共同研究は禁止されていたが, 経済危機以降は
方針を大転換し, いまは大いに奨励されている。現在, 大学教育は科学技術重視で, 全学生
の 3 割近くが科学, 数学, 工学を専攻, 院生レベルでは企業との共同研究で論文を書くケー
84
第199巻
第
5 号
スが多いという。また大学があるまちには, 関係機関との調整を行う中間組織があり, イン
キュベーションのマネージャーが配置されている。
3.3 地域振興策
フィンランドではいち早く1990年代前半に, イノベーションやクラスターの概念を政策に
取り入れた。地域開発法によって, 地域開発の権限が政府から地域 (地域連合) へと移行し
たのを受け, 94年には CoE (Center of Expertise) プログラムを導入した。これはオウル地
域の成功を全国に広げ「強い地域をより強くする」のが狙いだった。
地域内で大学や研究機関, テクノロジーセンター, 自治体, 事業者, 市民団体などがネッ
トワークを組み, それぞれの地域が得意とする産業分野を選んで, 国レベルの評議会に申請。
実現可能性や効果などが評価され, 配分額が決まる競争的資金である。当初はヘルシンキ,
タンペレー, オウルなど大学を持つ 8 都市で始まり, ICT や医療技術, バイオテクノロジー
といったハイテク関連産業ばかりだった。その後, 食品加工や森林資源, 観光, 文化事業,
楽器製作, デザインやニューメディアといった多様な分野が加わり, 2006年までに22ヵ所に
拡大した。
しかし, 地域資源に偏りがあるため, すべての地域が平等に発展するのは難しい状況にあ
る。2007年から CoE プログラムは OSKE に名称を変え, 13の国家的な能力クラスター
(Competence Cluster:分野) と21の専門知識センター (Center of Expertise) を指定し, 世
界トップクラスの技術や製品・サービス, 企業, 雇用を生み出すよう求めている。図 3 は,
能力クラスター分野と CoE の位置を示しているが, ほとんどが南部に集中していることが
分かる。また13クラスターのうち, ヘルシンキは 9 分野, オウルは 5 分野をカバーしている
図3
新たな CoE プログラムの実施状況
●Competence Clusters and Centers of Expertise
・Living Business
NORWAY
・Digibusiness
・Food Development
・Energy Technology
・HealthBIO
・Health and Well-being
・Ubiquitous Computing
・Tourism and Experience Management
・Maritime
・Nanotechnology
・Forest Industry Future
・Cleantech
・Intelligent Machines
SWEDEN
Enlarge
FINLAND
Rovaniemi
Raahe
Vaasa
Oulu
Kokkola
Kajaani
Kuopio Joensuu
Jyvaskyla Savonllnna
Seinajoki
Pori Tampere
Lahti Mikkeli
Hameenlinna
Lappeenranta
Hyvinkaa
Kouvoia
Turku
Helsinki
ESTONIA
出典)OSKE ホームページ
フィンランドのイノベーション政策の動向
85
が, 北部では森林あるいは観光の 1 分野だけのところがある。政府は2013年にはこれらの地
域で最低1,000のビジネスと10,000の知識集約型雇用が新たに生み出されることを目標に掲
21)
げており, 同時点で国内・国際の競争的資金の半分をあてる, と表明している。
3.4 総合的な国際競争力
2001年, 世界経済フォーラムが行った国際競争力ランキングでフィンランドはトップとな
り, 一躍注目を浴びた。その後も06年まで米国と首位争いを演じ, 07年以降は 6 位に転落し
22)
たとはいえ, 常に日本より上位にある。同フォーラムの評価は, 経済的指標だけでなく, 教
育水準なども含めた12の総合的指標で行われる。最新(2008
09)のレポートからフィンラ
ンドと日本の評価を抜き出したのが図 4 である。
市場規模ではフィンランドが圧倒的に小さいが, それは同時に, ベンチャー企業が国際市
場に打って出ざるを得ないことを示唆している。マクロ経済の安定性や組織環境では日本を
大きく引き離し, 教育や健康にかんする分野でもポイントが高い。懸念材料は失業率の高さ
で, これは後述するようにハイテク産業では雇用の吸収力がないことを意味している。イン
フラ整備やイノベーションではほぼ同じ評価だが, 後述するようにフィンランドと日本では
それを支える政策が大きく異なっている。
図4
フィンランドと日本の国際競争力比較(世界経済フォーラム2008
09)
組織環境
7.0
イノベーション
インフラ整備
6.5
6.0
ビジネスの洗練度
5.5
マクロ経済の安定性
5.0
4.5
市場規模
健康・初等教育
4.0
高等教育・訓練
技術水準
金融市場
健全な市場
労働市場の効率性
フィンランド
日本
世界経済フォーラムの WEB より作成
3.5 フィンランド・システムの特徴
高いイノベーションを可能にしているシステムの特徴は, 以下のように整理できる。
① 政策の一貫性:科学・テクノロジー技術政策評議会で決定したことが国策となり, 関
係機関に速やかに伝わる(図 2 参照)
86
第199巻
②
第
5 号
多様な支援機関の連携:テケス, シトラ, フィンプロ, VTT など多様な機関が有機
的に連携し, 科学技術の“芽”を国際競争力を持ったビジネスに育て上げている
③ 大学の活用:地域イノベーションの中核に位置づけ, 産官学の連携が図られている
23)
④ ハッカー・イノベーションなど市民によるイノベーションの土壌がある
いずれも同国が, 小国ゆえに意思決定がしやすいこと, 人材を大切な資源として教育に力
を入れていることに起因している。
4
福祉国家と情報社会
フィンランドの最大の特徴は「情報社会」と「福祉国家」とが同時に実現されていること
である。一般に情報社会では, 情報を持つ者と持たない者との間にデジタル・デバイドが生
じ, 情報を持つ者(先進国)が大量に発信する情報を介して, 世界中が, 好む・好まざるか
にかかわらずグローバルなネットワークの中に組み込まれやすくなる。巻き込まれた国では,
社会階層間や地域間で分断が起き, その反動として極端な国粋主義や科学技術に対する懐疑,
アンチ・グローバリズムの運動が起きたりする。ところが, フィンランドでは, 目立ったア
ンチ・グローバリズム運動は見られず, 科学技術に対しても肯定的である。この現象は何に
起因しているのだろう。
4.1 経済危機でも広がらなかった格差
不平等の指標として使われるジニ係数について, 1970年代半ばから現在までの推移を, フ
ィンランドと日本, 米国の 3 国で比較したのが図 5 である。フィンランドは80年代中頃以降,
0.21から0.27に上昇しているが, 米国や日本に比べれば低いレベルにとどまっている。90年
代前半の経済危機の際に, 政府は障害者や高齢者に対するケアの出費を絞り込んだが, それ
でも特にこの時期, 格差が広がったようには見えない。
図5
フィンランド・日本・米国のジニ係数の推移
ジニ係数の推移
0.400
0.350
フィンランド
0.300
米国
0.250
日本
0.200
0.150
70年代中頃
80年代中頃
Source OECD の Web より作成
90年代中頃
2000年
00年代中頃
フィンランドのイノベーション政策の動向
87
これは, 地方分権改革と基礎自治体の経営努力によるところが大きい。93年の分権改革以
降, 福祉や一次医療のサービスの供給主体は基礎自治体に移ったが, この際, 自治体組合を
設立し, 民間企業や NPO に事業委託することでコストの削減がはかられた。さらに国から
の財源移譲の際, 用途限定ではなく包括補助金制度に変革されたことで, 運用上の無駄がな
くなり, 福祉サービスの質をさほど落とすことなく移行できた。
また危機的な状況においても, 教育の無料化が守られ, 研究開発に対する政府の投資が増
24)
え続けたことは特筆に値する。日本でも小泉構造改革の際,「米百俵の精神」が強調された
が, フィンランドのような小国にとって, 優秀な人材を社会に送り出すことは何より重要で
ある。もともと所得格差が少ない国ではあるが, 教育の無料化によって, すべての人に高等
教育が受けられる機会が保障され, 人材の発掘・育成につながっている。
4.2 情報社会における機会の均等
情報社会への転換が, 福祉国家を標榜する政府主導で行われただけに, 当初からデジタル
・デバイドの解消など, 機会の均等には細心の注意が払われてきた。1994年に初めての情報
社会戦略として公表された Finland’s Way to the Information Society─the National Strategy and
its Implementation には「競争力がある高品質の情報インフラの整備」と同時に「全国民が
サービスを利用する機会を得て, 基本的なスキルを習得する」という機会均等の項目が盛り
込まれている。98年の新戦略 Quality of Life, Knowledge and Competitiveness では, さらに
社会政策的な視点が強められ, 情報社会の発展は国民のニーズに照準をあてることや, 地方
分権(地方主導)で情報化を進めることなどが明記された。
03年には, 首相直轄の政府プログラムとして「情報社会政策プログラム」を策定し, 翌04
年には「国家ブロードバンド戦略」を策定した。最近の政策では, 社会的・地域的平等をう
たいながらも「ネットワーク事業間の競争」や「競争力と生産力の向上」「需要の拡大(IT
25)
の主要生産国であると同時に利用国である地位の維持)」が前面に打ち出されている。
4.3 未来志向
フィンランドでは, 独立後の歴史が短いだけに, 未来学が重要な意味を持つ。国会には世
界で唯一, 常設の「未来委員会」があるが, これもやはり経済危機の最中の1993年に設立さ
26)
れた。長期的な未来予測を行い, 課題解決に向けた政策を検討する仕組みで, ここ 1 , 2 年
は, 高齢化や国際社会の変化への対応とともに「テクノロジーの社会に対する影響の評価」
が大きなテーマとなっている。未来学者や哲学者を巻き込み, グローバルな情報化社会への
対応や, 情報・コミュニケーション技術によってソーシャル・キャピタル(社会関係資本)
を高める方策を検討している。国政にこのような委員会があることは, 情報社会と福祉国家
88
第199巻
第
5 号
とのバランスに関する国民のコンセンサスづくりに, 大いに役立っている。
4.4 フィンランド・モデルの情報社会
Castells & Himanen (2002) によれば, このように情報社会のマイナス影響を緩和し, ICT
産業の成功を福祉国家の財源基盤としているところに, 情報社会におけるフィンランド・モ
デルの特徴がある。図 6 はそれを図式化したものである。
図6
Castells らによるフィンランド・モデルの情報社会
NATIONAL
IDENTITY
WEALTH
REDISTRIBUTION
WELFARE
+/−
GROWTH*
PRODUCTIVITY
COMPETITIVENESS
STOCKS
VALUATION
INDUSTRIAL
RELATIONS
SOCIAL
STABILITY
DEVELOPMENT
WEALTH
DISTRIBUTION
CITIZENWORKERS
L
DE E G I
M TI M
OC A
RA C Y
CY
EU
SOCIETY
EDUCATED
AND
PROTECTED
PEOPLE
SOCIAL
HOMOGENEITY
REGULATORY
ENVIRONMENT
STATE
ICT
+/−
S
ER
CK
HA
UNIVERSITIES
NETWORK
ENTERPRISE
+/−
TAXES
ナショナル・アイデンティティ
社会的均質性
富の再分配
社会
市民・就労者
富の分配
教育と保護を受けた人々
福祉
正当性
民主主義
産業関係
開発
社会的安定
GLOBAL
ECONOMY
NOKIA
INNOVATION
BUSINESS
制御された環境
インノベーション
大学
租税
国家
ハッカー
ネットワーク企業
ノキア
ビジネス
成長=生産性,競争力,株式の価値
グローバル経済
移住
出典)カステル&ヒマネン著, 高橋訳『情報社会と福祉国家』pp 148
MIGRATION
フィンランドのイノベーション政策の動向
89
図中の<+/−>は, グローバリズムなど正負両方の影響を与える外圧を表している。
「 8 . 福祉」によって育成された「 7 . 教育と保護を受けた人々」が,「16. 大学」を通じ
て「15. イノベーション」に貢献。また「13. 社会的安定」が「22. ビジネス」にも良い効
果をもたらし「23. 成長」を促進,「 6 . 富の再配分」につながっていくという図式である。
「 1 . ナショナル・アイデンティティ」は, 厳しい自然環境や隣国の脅威など「生き残り
の歴史」や劣等感のはね返しから来ているという。フィンランドでは国家という枠組み自体
が生き残りのプロジェクトとして生まれ, どんな政権も, 国民に対して, 自分達の政策こそ
が生き残る道だと確信させる必要があった。90年代初めの経済危機から, 国を挙げて情報社
会を目指すことができたのも, そんな背景がある。また, 小国ならではの特性 (意思決定が
早い, 人材を大切にするコンセンサスがある) もあるが, それだけに「24. グローバル経済」
や「25. 移住」さらに EU の動向によって大きく影響を受ける脆弱性も合わせ持っている。
5
今 後 の 課 題
前節の情報社会モデルによれば, ビジネスが高い生産性を確保し, 利潤が公正に配分され
ている限り, 国家への信頼は保たれ好循環が続く。しかし, 懸念材料がないわけではない。
その主なものは, 高い失業率と地域間格差の拡大である。
5.1 失業問題
27)
フィンランド統計局によれば, 2008年末現在の失業率は6.1%でさほど高くないが, 南部
のウーシマ周辺が 3 ∼ 4 %台なのに対して, 北部のラップランドや中東部のカイヌ県では10
%を超えている。基幹工業である「木材加工・家具」や「テレコミュニケーション」の人口
千人あたりの雇用が, 前年同期に比べ 1 割以上減っているのも気がかりだ。
産業クラスターの効果を地域の雇用や起業に波及させるため, 全国15ヶ所に雇用・経済発
展センター(TE センター)が設置されている。しかし, ハイテク関連産業では, たとえ研
究開発が地元のインキュベーション施設で行われたとしても, 量産化の段階では, 海外から
の輸入部品を使ったり, アジアや東欧へと生産委託されたりするため, 必ずしも地域内の雇
用には結びつかない。
また, 同国では大学生の平均年齢が高く, 日本のような「新卒採用」の制度がないため,
若者を中心に失業者や期限付き雇用が増えている。この対策として, 98年, 職業訓練校にお
いて起業家教育プログラムの実施が義務付けられ,「雇用」と同時に「起業」の道を探るよ
う推奨されている。例えばフィンランド経済大学では, これまでも200余の起業家トレーニ
ングプログラムを持っていたが, 08年 9 月にはインキュベーション施設であるスモールビジ
ネスセンターを開設している。
90
第199巻
第
5 号
5.2 地域間の格差
地方分権以降, 基礎自治体の業務に, 地域全体の開発計画を作ることや地元企業に対する
コンサルタントが加わり, EU の構造基金も利用して, 独自の開発を探ろうとしている。し
28)
かし, 資源の偏在は如何ともしがたく, 国の補助金への依存率が 6 割を超える地域もある。
Pelkonen (2006) は, 均衡ある発展を目指す地域政策と, 選択と集中が必要なテクノロジ
ー政策との間に矛盾が生じ, この15年間で地域格差が広がっている, と指摘する。科学・テ
クノロジー関連の政策と, 社会保障や環境, 地域政策などももろもろの社会課題に対応する
政策との間に「統合 (Integrate)」が求められているが「科学・テクノロジー技術政策評議
会」が従来のような指導力を発揮していない, という。
実際のところ, フィンランド政府による R & D はヘルシンキおよびオウルやタンペレー
29)
30)
など幾つかの都市に集中している。また, Hjelt らの調査によれば, フィンランドのイノベ
ーション政策の担当者らは, STI 政策の重要性の順位として 「民間の R & D 投資」をトップ
に,「地域イノベーション政策」を最下位(19位)に位置づけた。また「旧来産業クラスタ
ーの変革」に重きを置き,「各部門のイノベーション政策の調整」が大きなインパクトを持
つと考えていた。条件不利地域については, 別の政策(所得の再配分)で対応しようとして
いるが, 高負担を嫌うベンチャー企業家たちの海外脱出も出てきている。
5.3 イノベーションの多様性
1990年代以降, ノキアなど ICT 分野の急成長がフィンランド経済を引っ張ってきた。し
かし, ほかの産業の生産性はさほど上がっておらず, 今後, イノベーションをいかに多様な
分野に広げるかが, 差し迫った課題である。
分野としては, バイオやナノテクノロジーのようなハイテクばかりでなく, 食品加工や文
化・サービス産業, 福祉など, 地方の実情に即した分野への拡大が必要で, 先に見た OSKE
のクラスター指定でもその傾向が見られる。とくに, 環境保全分野はテケスやシトラも注目
しており, 2007年から「クリーンテック・フィンランド」という環境ビジネス促進のプログ
ラムが始まった。製紙工場で培われた排水処理技術を, 中国などに売り込む計画という。
31)
また, 大企業だけでなく中小・零細企業がイノベーションに取り組む環境整備も欠かせな
い。フィンランドでは事業所数の99.8%, 雇用者数の63%が中小・零細企業で, 開・廃業率
ともに高いが, 自治体職員や TE センターによるコンサルティングを通じて, 廃業率を低下
させる努力が要るだろう。
経済労働省や自治体連合へのヒアリングでは「コミュニティのイノベーション」という言
葉が盛んに発せられた。ICT を使って住民が自治体運営により深く関与していくことや, 地
域レベルで事業者や研究機関の交流を深める意味で使われているようだ。福祉国家を支える
フィンランドのイノベーション政策の動向
91
人々の信頼や関与があってこそ, 選択と集中による国内の断絶が緩和される。
6
む
す
び
近年, 日本でもフィンランド研究が盛んに行われているが,「教育」「ICT (特にノキア)」
「産業クラスター(特にオウル)」などに特化したものが多い。同国のイノベーションシステ
ムを支える要因のひとつは, 福祉国家としての安定性である。本稿は, 同国が未曾有の経済
危機を地方分権によって乗り越えてきた経緯に注目し, 地域政策とイノベーション政策との
関連を概観した。
その結果, フィンランドでも日本と同様,「選択と集中」の政策が地方の競争をあおり,
それについていけない小規模自治体を疲弊させていることも見えてきた。また, この原稿を
書いている最中にも, 世界的な経済危機にフィンランドが巻き込まれ, 中小・零細企業の景
況指数が急激に下がっていることが報じられた。今後も Castells の情報社会モデルが通用
するかどうか正念場といえる。
注
1) 後述する「世界経済フォーラム (WEF)」の国際競争力ランキングのほかにも, OECD による
学習到達度調査(PISA:15歳生徒が対象)では2000, 03年調査の「総合読解力」や「読解力」
でフィンランドがトップ, 06年調査で 2 位だった。また米国ギャラップの汚職指数(2006)で,
最も政府や企業の汚職が少ない国とされている。
2) オープン・ソースな OS で知られる Linux は, 1991年に, 当時ヘルシンキ大学の大学院生だっ
た Torvalds. L 氏によって開発された。
3) フィンランドの「ソーシャル・イノベーション」については, Taipale (2006) に詳しい。
4) UNDP の統計によると, 人口1000人あたりの携帯電話加入者は2004年時点954人で世界13位。
1990年に 2 位だったことを鑑みると, 相対的に「携帯大国」の位置は落ちている。ちなみに日本
は04年, 716人で24位だった。
5) 寺岡(2006)pp. 224
6) いまだにスウェーデン語はフィン語とともにフィンランドの公用語になっている。
7) 住宅価格は198789年で80%近く上昇し, その後, 93年にかけて40%以上,下落した。
8) http: // www.tilastokeskus.fi / til / vtp / 2007 / vtp_2007_2009-01-30_tie_001_en.html
9) 保健センターレベル(第 1 次医療)は無料である。
10) この条項は男女ともに適応される。つまり女性が 6 割を越える委員会も禁じられる。
11) UNDP の人間開発報告書より
12) 地方税は平均18.5%(最高21%, 最低16%)。基礎自治体の歳入の割合は, この地方税収入が約
46%, 料金収入が26%で, 国庫支出金は17%となっている (2006年時点)。
13) ノキアの成功例に関しては, 多くのレポートや論文がある。例えば参考文献にあげた武末
(2000)など
92
第199巻
第
5 号
14) オウル大学を中心にハイテク産業のクラスターが形成され 「オウルの奇跡」 と呼ばれた。
15) OECD の統計によれば, 2006年のフィンランドの GDP 比の R & D 投資は3.45%で, スウェー
デンに次ぎ世界第 2 位。
16)VTT : Technical Research Center of Finland. 国立技術開発研究センター。2700人のスタッフを
抱える北欧最大の総合研究機関。R & D や検査, 製品認証, 情報提供など幅広く行う。クラスタ
ー政策では, バイオテクノロジーやテレコミュニケーション, デジタル情報システムなど 7 つの
知的クラスターにかかわり, 技術をビジネスに結びつける支援を行う。
17) Sitra. 建国50周年を記念して1967年に設立された国立研究開発基金。当初はフィンランド銀行
の下部組織だったが, 現在は国会が直接統括する。テケスが設立されてからは, 連携してベンチ
ャー企業の初期段階や拡張段階に積極的に投資している。また, 国家の情報社会戦略の改訂を行
うなど, シンクタンク的な性格も併せ持つ。
18) 大学, 産業界, 行政による 3 者連携の仕組み。フィンランド北部での事例については
Jauhiainen & Suorsa (2008) に詳しい。
19) フィンランドには私立大学はないが, 職業訓練大学校が28カ所ある。近年, 職業訓練大学校で
も起業家教育が行われるようになった。
20) その後86年に「科学・テクノロジー技術政策評議会 (Science and Technology Policy Council of
Finland)」になった。首相が議長を務め, 教育相, 雇用産業相, 大学学長, ノキアの CEO,
TEKES や労働団体の代表らで組織し, ここで決まったビジョンはトップダウンで各界に浸透し
ていく。
21) 詳細は OSKE のホームページ http: // www.oske.net / en /
22) 日本の順位は01年で21位。その後, 7 ∼13位までを上下し, 08年は 9 位。
23) Himanen は, ハッカーを「犯罪者」ではなく「仲間からの賞賛を糧に熱中する人材」として
オープン・ソースなど高次なネットワークの担い手として評価している。詳しくは安見・山形訳
の著書を参照のこと。
24) 長岡藩に伝わる教育にまつわる故事。藩の財政が困窮したおり, 支藩から贈られた百俵の米を
食べずに売却し, 学校建設の費用にして人材を育てたという。
25) ICT 政策の動向については兼子(2006)に詳しい。
26) ただし常設の委員会となったのは2000年からである。
27) フィンランドでは1574歳を労働力として扱うので比較には注意を要するが, たまたまこの時
点では「1564歳」に限った失業率も6.1%であった。詳細は http: // www.tilastokeskus.fi / til / tyti /
2008 / 12 / tyti_2008_12_2009-01-20_tie_001_en.html
28) 国の補助金への依存率は平均で20%程度, ヘルシンキは 4 %である。
29) 政府の2006年の開発予算の83%は都市に集中, 首都圏が40%を占める。
30) 欧州小国 9 カ国に対する STI (Science, technology, innovation) 政策の調査。各国の政府関係者
や資金団体などに「科学技術教育」や「労働の流動性」など19の政策を上げ, 重要性とインパク
トを 5 点満点で評価させた。参考文献 Hjelt et al. (2008) 参照
31) SMEs (スモール・ミディアム・エンタープライズ)。従業員が50∼249人までを中規模, それ
以下を小規模と分類している。
フィンランドのイノベーション政策の動向
参
考
93
文 献
Castells, M. & Himanen, P. (2002) The Information Society and Welfare State─The Finnish Model. Oxford University Press. (高橋睦子訳 (2005)『情報社会と福祉国家
フィンランド・モデル』ミ
ネルヴァ書房)
T. & Waltari, S. T. (2006) “Integrating regional
-Alestalo, M. & Pelkonen, A. & policy with technology policy─the experience of Finland” FENNIA, 184 : 1, pp. 1
17
Hjelt, M. & Hertog, P. & Velde, R. & M. & Ahonne, P-P. (2008) Major challenges for the governance of national research and innovation policies in small European countries, TEKES Review, 236 /
2008.
Jauhiainen, J. S & Suorsa, K. (2008) “Triple Helix in the periphery : the case of Multipolis in Northern
Finland” Cambridge Journal of Regions, Economy and Society issue, 2008 1(2), pp. 285301
Pelkonen, A. (2006) “Governance challenge─The Problem of integrated innovation policy : analyzing
the governing role of the Science and Technology Policy Council of Finland” Science and Public Policy,
Vol 33. No 9, pp. 669680.
Taipale, I. (2006) 100 Sosiaalista Innovatiota Suomesta.(山田眞知子訳 (2008)『フィンランドを世
界一に導いた100の社会改革』公人の友社)
World Economic Forum The Global Competitiveness Report 2008
2009.
阿部清司 (2001)「フィンランドと NOKIA」千葉大学
片山信子 (2008)「社会保障財政の国際比較
経済研究
第16巻第 3 号, pp. 695
715
給付水準と財源構造」 国立国会図書館レファレン
ス』平成20年10月号, pp. 73103
兼子利夫 (2006)「世界の IT 政策 第10回フィンランド」 情報管理』Vol. 48, No 12, pp. 826
834
ジェトロ(2000)「充実した公的福祉制度(フィンランド)」『JETRO ユーロトレンド , 2000年 8
月号, pp. 5866
自治体国際化協会 (1992)『フィンランドの地方自治』
武末高裕 (2000)
なぜノキアは携帯電話で世界一になり得たか
携帯電話で IT 革命を起こす
ダイヤモンド社
311
竹下譲監修・著 (2008)『よくわかる世界の地方自治制度』イマジン出版, pp. 288
寺岡寛 (2006)『比較経済社会学
フィンランドモデルと日本モデル』信山社
内閣府政策統括室編『世界経済の潮流2007年春』国立印刷局
ペッカ・ヒマネン著, 安見和見・山形浩生訳 (2001)『リナックスの革命
ハッカー倫理とネッ
ト社会の精神』河出書房新社
ミカ・クルユ著, 末延弘子訳(2008) オウルの奇跡
フィンランドの IT クラスター地域の立役
者達』新評論
森勇治 (2006)「フィンランドの地域イノベーションシステム:地域においてイノベーションをい
11
かに誘発するか」 経済行動研究学会』第15号, pp. 6
矢田龍生, 矢田晶紀(2006) ザ・フィンランド・システム』産業能率大学出版部
Fly UP