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588 - 日本ロケット協会

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588 - 日本ロケット協会
A PUBLICATION OF JAPANESE ROCKET SOCIETY
2014-8
588
MAINICHI ACADEMIC FORUM Inc., 1−1−1 Hitotsubashi, Chiyoda-ku, Tokyo 100−0003, Japan ©2014, Japanese Rocket Society
動の画像データが取得されました。地上実験では、重力が加
S-310-43号機打上げ成功
わっているため気体が上方、液体が下方に溜まっていますが、
今回の実験が行われた低重力環境下では、液体中に大小多数
の気泡の発生が観察されています。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、ロケット慣性飛行中
の二相流挙動および熱伝達特性の観測を目的とした観測ロケ
ットS-310-43号機を 8 月 4 日に内之浦宇宙空間観測所から打
上げました。当日の天候は曇り、南西の風 3 m/秒、気温26
℃とのこと。
今回の実験で取得された二相流挙動の画像
S-310-43号機
S-310-43号機は、午後11時00分00秒に発射上下角79度で
地上実験で取得された二相流挙動の比較画像
打上げられ、打上げから65秒後にスピン制御を開始し、打上
今後、取得されたデータを用いて詳細な解析を実施し、推
げ169秒後に最高高度117kmに到達し、335秒後に着水しまし
進システムの熱流動解析モデルの精度向上が図られる予定で
た。
す。
今回の実験では、観測ロケットの弾道飛行を利用して液体
ロケットが宇宙空間を慣性飛行している環境を模擬し、極低
温推進システムの各要素を模した供試体内に極低温流体(液
CONTENTS
○ S-310-43………………………………………………… 1
○ S-520-29………………………………………………… 2
○ Running Feature Article … ………………………… 2
○ Arianespace en mouvement ………………………… 3
○ Domestic News………………………………………… 4
◯ Overseas News………………………………………… 5
体窒素)を流動させ、供試体内を流れる気液二相状態にある
液体窒素の沸騰・流動状況を観察するとともに、各部の温
度・圧力・ボイド率(流体の単位断面積に含まれる気泡の面
積割合)を測定しています。ロケット打上げ後100秒に供試
体への液体窒素の流動を開始し、約150秒間にわたり各部の
温度・圧力・ボイド率データ及び供試体内における二相流挙
1
メカニズムを解明することを目的としています。当日の天候
S-520-29号機打上げ成功
は曇り、南東の風0.5m/秒、気温26℃とのこと。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、スポラディックE層
空間構造の立体観測を目的とした観測ロケットS-520-29号
機を 8 月17日に内之浦宇宙空間観測所から打上げました。ス
ポラディックE層とは、地上からの高度が70km〜130kmの
E層内に出現する、プラズマ密度構造が局所的に高密度にな
っている領域のことで、今回の実験では、この領域を立体的
に観測することでその空間構造及びプラズマ密度変動の生成
S-520-29号機打上げの様子
S-520-29号機は、午後 7 時00分00秒に発射上下角80度で打
上げられ、打上げ55秒後にノーズコーンが開頭され観測が開
始されました。打上げ61秒後には、小型姿勢制御装置による
制御が開始され、249秒後に最高高度243kmに到達し、553
秒後に内之浦南東海上に着水しました。
今回の実験では、ロケットに搭載したプラズマ測定用プロ
ーブ(プラズマを測定するための電極)が、ノーズコーン開
頭後に測定を開始し、上昇時には高度97kmに、下降時には
高度100kmにスポラディックE層が存在していたことが観
測されました。この間、紫外線イメージャにより紫外領域の
発光が観測されました。また、ロケットに搭載した電波受信
機も上昇・下降時を通じて地上からの電波を受信し、電離圏
下部に電子密度の高い層が存在していることが確認されまし
た。
今後、取得された観測データに基づいて、スポラディック
E層の空間構造に関する詳細な解析が実施される予定です。
S-520-29号機
る荷重の値を指示しました。どういう現象が起きるかは論文
連載特集記事
を実際に書く人が見ていないといけない。測定に参加すれば
ロケット口伝鈔(13)小林 繁夫 先生(第 4 回)
他の学生にも勉強になる訳ですね。日本航空宇宙学会では構
造強度の講演会を毎年 7 月に東京以外の地で開催するように
○人材育成のポイント 理論と実験はセットで
しました。この出張旅行も大学院生を勇気付けるひとつの要
林:小林先生の研究室は、日本の宇宙開発を引っ張る人材を
素だったかもしれません。大切なのは東大の大学院生は本質
多数輩出されていますね。人材を育てるにあたって方針のよ
的に優秀なので、最初から私の考えを押し付けてはいけない
うなものはあったのでしょうか?
ということです。
小林:私は「こういう方針でこういう研究をやったら」とガ
イドラインを作ります。学生が優秀なので、だいたい私が期
○世界の輸送系の技術レベルが低下、新しい物づくりを
待した以上の答を出してくれます。
林:現在の日本の宇宙開発についてどのようにご覧になって
佐々木:先生のご指導で記憶にあるのは「まずしっかり考え
いますか?
て理論を作った上で、必ず実験をしろ」ということです。計
小林:「もっと前向きに」と言いたいですね。私が宇宙開発
算だけでも実験だけでもダメ。理論と実験のセットでやりな
に関与していた時代は目標がありました。通信衛星、放送衛
さいと仰っていましたね。
星、地球観測衛星を打ち上げようと。だがそれらの目標は達
小林:ひとりの人が理論と実験ができれば一番いいのですが、
成してしまった。国際宇宙ステーションも完成して、新しく
必ずしもそうはいかない。実験については研究室全体として
やることがない。その意味ではやりづらいかもしれないが、
支援することがありました。
このままでは寂しい感じがしますね。技術を継承していくに
は、若い人が何かをやらないといけないと思うのです。
記憶にあるのは、CFRP薄板の座屈後の最終強度の実験を
やったときのことですね。弾性座屈後どこまで使えるかとい
有田:同じ物を作り続けるだけでなく、少しずつでも技術を
う最終強度が論点ですが、そういう研究をやるときは、論文
向上させていかないと。
を書く大学院生には「あなたは測定をしないで現象全部をよ
小林:そうですね。宇宙はなかなかビジネスにはならないフ
く見ていなさい」と指導しました。測定はひずみと変位の測
ィールドです。例えば測位衛星はカーナビなどに使われて本
定点が多数ありますので、研究室の職員と大学院生全員を動
当に便利ですが、自動車会社が衛星の費用を払うわけではあ
員して分担してもらい、私は測定値を見ながら次に増加させ
りませんからね。かといって日本が宇宙開発を止めてしまえ、
2
ということにはならない。中途半端な状態だと見ています。
ロケットを開発することになりましたが、衛星については議
以前はアメリカのレベルまでとにかく日本の技術を上げない
論しているところです。
といけないというのが目標でしたが、ある面ではもう技術は
小林:日本は残念なことに国の予算以外でビジネスになる仕
上がってしまいました。
事がないんですね。宇宙旅行はどうでしょう?
有田:弾道飛行で約2000万、周回旅行だと数十億円もかかり
アメリカは新しいことを世界で初めてやるので、たびたび
視察に行きましたが特に記憶に残っているのは2004年 7 月の
ます。なんとか再使用できればいいのですが。
最後の出張です。その中のひとつとしてデンバーのロッキー
小林:再使用は難しいな……。
ド・マーチンのロケット開発現場を見たのですが、軍用ロケ
林:何が難しいのでしょうか?
ットのエンジンが、メイドインロシアだったのです。アメリ
有田:パラシュートで降ろすと再使用しにくいし、翼のある
カ空軍のロケットにロシア製エンジンを使っているのには驚
スペースシャトルは耐熱タイルのメンテナンスにお金がかか
きましたね。ただし電子機器は全部アメリカ製に取り替えて
りすぎた。タイルに代わる新しいTPS(熱防護システム)の
ありました。
研究もしていますが。
有田:それが今、ウクライナをめぐる問題で、エンジン供給
佐々木:ブレイクスルーの技術がないですね
をストップするとロシアが言い出しています。アメリカはエ
小林:研究所だけでは駄目です。メーカーが入らないと。結
ンジン開発技術がかなり低下してしまっていますね。宇宙開
局メーカーが入るだけの魅力がない。儲かると思わないとメ
発初期にロケットを開発した技術者がみんなリタイアしてし
ーカーはやらないから。航空機で言えば日本には旅客機を作
まって。
る能力は十分あるが売れる見込みがない。200や300のオーダ
小林:要するに開発していないと駄目ということ。過去の実
ーでないと採算が合わないんです。MRJもなかなか苦戦し
績があっても繋いでいないと。
ています。
有田:一方、ロシアもその後ロケット開発をやっていないた
有田:現状は市場が小さい。技術だけがあってもダメで、市
め、どんどん廃れています。過去のものを作ることはできる
場を広げることまで含めて考えないといけないということで
けど、新しいものを開発できない状況になっていますね。
すね。
林:世界全体の技術開発レベルが落ちているということでし
林:ところで先生は最近、御本を出版なさったそうですね。
ょうか?
小林:「航空機構造力学」(プレアデス出版)を 5 月に出版し
佐々木:輸送系は駄目ですね。衛星は民生が伸びていますが。
ました。私の研究室出身である川崎重工業の滝敏美さんが
小林:MHIも衛星を作らないと儲からないと言ってますね。
「航空機構造解析の基礎と実際」という貴重な設計資料集を
東大定年の 4 〜 5 年前にMHIの宇宙技術部長から社内に技
発行されたのですが、滝さんから手紙を頂き、その本は私が
術委員会を作るから委員長をやってくれと頼まれました。そ
平成 4 年に丸善から出版した「航空機構造力学」を読んでい
こで物づくりの現場を知りましたね。理屈を知ってはいても
ることを前提に書いたが、それが絶版になっているので困る。
作るときにどういう問題点があるかという物づくりの現場を
再版して欲しいとの要望でした。丸善の了承を得て別の社か
見て、ものすごく役に立ちました。
ら出版することになりましたが、出版から20年経ち疲労に関
する法規が変わったこと、複合材料が進歩したこともあり、
○ビジネスの視点を
滝さんの指導で修正し、更に、初版出版時に出版社からの定
小林:とにかく、新しい物を作らないと後継者はきちっと育
価を下げるために章の数を減らせとの要請で削除した「有限
ちません。書いたことでは技術の継承にならないんです。自
要素法」と「空力加熱と耐熱構造」という二つの章を新たに
分で直接関与しないと。衛星でもロケットでも。
加えた増補改訂版として出版しました。「空力加熱と耐熱構
佐々木:まさしくそれが課題ですね。幸いに日本は新型基幹
造」の章は宇宙工学にも役立つと思います。
ゴーアヘッドがかかるものと思われていた。
Arianespace en mouvement その1
しかし 6 月にアリアン製造の主契約企業を有するエアバ
ス・グループとアリアンのエンジンを担当しているサフラン
が、両社のアリアン関連部門を切り離しアリアンに特化した
高松 聖司(アリアンスペース)
50%−50%のジョイント・ベンチャーを設立するに至って状
況が大きく変わった。オランド大統領臨席のもとエリゼ宮で
事の起こりは宇宙研小野田教授の退官記念パーティーで、
欧州の次期基幹ロケットについて稲谷先生と雑談をしたこと
行われたこの発表が業界を驚かせたことは記憶に新しい。
だった。
この新会社は、CNESの提案より更に競争力のあるロケット
を開発することができる、との立場から独自の機体構成を
ご存知の通り欧州の基幹ロケットは欧州宇宙機関(ESA:
ESAに提案している。
European Space Agency)のプロジェクトとして開発され
るが、歴史的な理由によってアリアン・ロケットの機体構
稲谷先生に「これって、日本で言うと三菱重工とIHIの
成を決める基本設計はフランス宇宙研究センター(CNES :
ロケット部門が分離してジョイント・ベンチャーを作って、
Centre National d’
Études Spatiales)主導で進められる。現
JAXA提案の次期基幹ロケットの案とは別に独自案を提案
行のアリアン 5 の後を継ぐアリアン 6 に関しても、今年 5 月
し、どちらが日本に適した案かを宇宙戦略室が決めるような
まではCNES提案の固体エンジンを主とした「リニアP」が
ものですね。こういうことが現実に起るのが欧州です」とお
唯一の候補で、12月に開催されるESA閣僚級会議で開発の
話ししたら「それ、面白いからロケットニュースに書いてく
3
れへんか」といつもの稲谷節で依頼され、さらに「健全な批
に特化した会社であるから、日本では見逃されがちな商業
判精神で、外から見る日本との比較なんかも入れてくれると
打上げで生き抜くことの覚悟と困難についても述べていこ
日本のロケットの将来にも役に立つからもっとエエ」とも言
うと思う。アリアンスペースは1980年の創立から様々なライ
われたのである。
バルと戦ってきた。欧州と同じ西側の経済原則で作られてい
筆者は学生時代、宇宙研で森大吉郎先生の研究室に所属し
る米国の基幹ロケットと戦っていたのは2000年代初期までで
たが、実際の指導は冒頭の退官記念パーティーの主役であっ
あり、その後はコストの概念が全く異なるロシアやウクラ
た小野田先生から受けた。当時まだ若き助手であった小野田
イナのロケットと戦ってきた。競争の質が変化したわけだ
先生は、すでに宇宙研ロケット研究の中心として目覚ましい
が、そのたびにアリアンスペースは自身を変革した。いまス
活躍をされていた。筆者の一期上の先輩方には再利用宇宙輸
ペースXとの競争を迎え、アリアンスペースも新たな変革で
送系の稲谷先生を始め、「はやぶさ」の成功で一躍時の人と
これに対抗している。それが本稿のタイトルArianespace en
なった川口先生、宇宙飛行士になった土井さん、そしてロケ
mouvement(変化するアリアンスペース)の意味である。
ット野郎として知られ三菱重工で執行役員フェローにまで登
こうしたアリアンスペースの歴史と現状についてお話しする
りつめた浅田さん(日本ロケット協会会長)がいらっしゃっ
ことも、次期基幹ロケットに商業打上げ市場での競争力を持
て、まさに逸材ぞろいの年代であった。こうした眩しいよう
たせようと考えている日本の方々に参考になるかもしれな
な先輩方の活躍を遠目に見ながら宇宙研を卒業した筆者は、
い。
富士重工に就職し飛行機の構造設計に従事した後、アリアン
ロケット開発に情熱を燃やす人たちの集まりであるロケッ
スペースに転職、その後一貫してアリアンスペース社東京事
トニュースの性質上、形式にこだわらずざっくばらんな意見
務所に勤務している。
を述べてもいいのではないか、と思う一方、アリアンスペー
諸先輩方が日本の宇宙開発を牽引する一方で、筆者は日本
スでしゃべりまくるフランス人と20年以上一緒に仕事をした
にいながら欧州企業に身を置いて日欧双方を見る機会に恵ま
結果、言わなくてもいいことにまで口をつっこむようになっ
れた。1992年にアリアンスペースに入社して22年、欧州企業
た自分の性格と、日本に居るとは言え、日本のロケット開発
で働いた日々は日欧の類似性と対照性の両面について発見の
については傍観者に過ぎないから事実誤認もあるかもしれな
連続であった。 今回、稲谷先生から執筆依頼を受け、ロケ
いということに不安も感じる。 本稿において、そうした誤
ット開発に関して日欧を比較しつつ筆者の私見をまとめてみ
りや間違った思い込みがあったら指摘をお願いしたいと思
るのも日本のロケット開発に役立つかもしれない、と思って
う。
では次回以降、欧州のロケット開発の歴史を振り返りつつ、
お引き受けしようかな、と思ったのが本稿を執筆することに
欧州が歩んできた道とアリアン 6 で達成しようとしている未
なった経緯である。
来について考えてゆく。
ところで筆者が勤務するアリアンスペースは商業打上げ
星探査機「はやぶさ 2 」の打ち上げからの導入を目指します。
国内ニュース
種子島宇宙センターには 2 つの射場があり、もともとロケッ
ト 2 機を同時に準備作業できる能力があります。しかし現状
JAXAは31日、観測ロケット「S-310-43号機」を 8 月 3 日
では 1 つを国産大型ロケット「H 2 B」の専用として使って
午後11時に肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げると
いるため、H 2 Aは 1 つの射場でのみ打ち上げています。射
発表しました。30日の予定でしたが天候不良で延期していま
場ではロケット打ち上げ後、補修作業を実施、その後設備や
した。同ロケットは、主流の常温燃料に比べて高い打ち上げ
次に打ち上げるロケット本体の保全点検を終えてから、ロケ
能力が見込まれる超低温燃料の熱伝導性に関するデータ収集
ット本体の組み立て作業をしていました。新工程では補修作
が目的。(8/1 南日本新聞)
業後、ロケットの組み立て作業に必要な設備をまず点検し、
そのほかの設備の機能の点検などは機体の組み立てと並行し
防衛省が、自衛隊初の宇宙部隊を 5 年後をめどに発足させ
て実施します。これにより約 2 か月開ける必要があった打ち
る方針を決め、米政府に通告していたことが分かりました。
上げ間隔を縮められるとのことです。(8/5 日本経済新聞)
日米関係筋が 2 日、明らかにしました。当面は、役割を終え
た人工衛星やロケット、その破片など宇宙を漂う物体「宇宙
JAXAは 4 日午後11時、肝付町の内之浦宇宙空間観測所か
ごみ」を監視し、人工衛星との衝突などを防止することを主
ら観測ロケット「S-310-43号機」を打ち上げました。主流
な任務とするとのこと。(8/3 沖縄タイムス)
の常温燃料と比べ、強い推進力でより重量のあるものを運べ
るとされる極低温燃料の実用化へ向けたデータ収集が目的。
今年度後半に 4 回と過密工程の打ち上げ予定がある国産基
極低温燃料は月や惑星探査での導入が期待されています。今
幹ロケット「H 2 A」の打ち上げ間隔を縮めるため、三菱重
回の実験では宇宙空間を慣性飛行し無重力状態となっている
工業は種子島宇宙センターにある射場の整備行程を見直し、
間、搭載した実験装置内の液体窒素がどのように沸騰・流動
ロケットの組み立てと射場設備の保全点検作業を同時並行で
するか観測。温度や圧力、気泡の割合などを計測します。ロ
実施し、約15日短縮します。従来は60〜70日の間隔が開い
ケットは全長 8 mで重量800kg。7 月30日に打ち上げ予定で
ていましたが、最短で 1 か月半に。11〜12月に予定する小惑
したが、天候不良のため 2 度延期していました。同観測所の
4
観測ロケット打ち上げは昨年 7 月以来。実験には東京大学と
の模擬人工衛星を打ち上げる「缶サット甲子園」も開かれま
早稲田大学も参加しています。(8/5 南日本新聞)
す。秋田ものづくり創造工学センターの和田豊副センター長
は「困難を乗り越えて打ち上げる姿を見て、宇宙を身近に感
じてほしい」と話しました。(8/14 河北新報)
気象庁は 7 日、次期気象衛星ひまわり 8 号の打ち上げ予定
日が10月 7 日に決まった、と発表しました。時間は午後 2 時
16分から午後 6 時16分までの間。H 2 Aロケット25号機に搭
JAXAは17日午後 7 時10分、内之浦宇宙空間観測所から観
載され、種子島宇宙センターから打ち上げられます。(8/8 測ロケット「S520-29号機」を打ち上げました。ラジオなど
朝日新聞)
の電波を反射し混信を引き起こす「スポラディックE層」の
立体構造を解明する目的で、予定していたデータの取得に成
功しました。当初 8 日に打ち上げ予定でしたが、天候不良な
JAXAは 8 日午後 7 時19分、観測ロケット「S-520-29号機」
どで 3 度延期していました。(8/18 南日本新聞)
を内之浦宇宙空間観測所から打ち上げます。ラジオなど電波
の混信原因になるスポラディックE層の立体構造を明らかに
小惑星「はやぶさ 2 」の最新情報を紹介する講演会が17日、
し、層の密度変動の過程を解明します。JAXAは 7 日、報道
関係者に全長8. 8 m、重量2373 kgの機体を公開。4 分10秒後
相模原市立博物館で開催されました。打ち上げが年内に予定
に頂点高度約250kmに達し、飛行時間は約 8 分。機体つり上
されている中、はやぶさ 2 ミッションンマネージャーの吉川
げ型の新型発射装置で打ち上げます。軌道上にスポラディッ
真准教授が今回のミッションスケジュールや意義などを語り
クE層が発生していなければ打ち上げを延期。実験には東京
ました。はやぶさ 2 はJAXA相模原キャンパスで完成に向け
大学や北海道大学など 5 つの大学が参加します。(8/8 南日
て最終段階に入り、完成後、種子島宇宙センターに運び、H
本新聞)
ⅡAロケットに搭載して11月、12月には打ち上げられます。
(8/18 神奈川新聞)
JAXAは 8 日、内之浦宇宙空間観測所で同日予定していた
観測ロケット「S-520-29号機」の打ち上げを11日午後 7 時16
海外ニュース
分に延期すると発表しました。台風11号接近に伴う天候不良
のため。(8/9 南日本新聞)
8 月 2 日、 米United Launch Alliance(ULA) 社 は、 ケ
JAXAは11日、同日予定していた観測ロケット「S-520-29
ープカナベラル空軍ステーション41番射点からの、アトラ
号機」の打ち上げを、観測対象である高電子密度の層「スポ
ス 5 EELV(Evolved Expendable Launch Vehicle)401型
ラディックE層」が十分に発生していなかったため延期しま
ロケットによる航行測位衛星「GPS IIF」7 号機の打上げに
した。(8/12 南日本新聞)
成功しました。同ロケットは直径 4 メートルのペイロード
フェアリングを有し、ブースータにRD AMROSS社のRD-
全国の大学生が自作ロケットの打ち上げに挑戦する「能代
180エンジン(LOX/ケロシン)、セントール上段はAeroJet
宇宙イベント」が10周年を迎えました。今回は15日〜22日、
Rocketdyne社のRL10Aエンジン(LOX/LH2)1 基からなっ
能代市の能代宇宙広場を主会場に行われます。小中学生を対
ています。(8/2 ULA)
象としたモデルロケットの打ち上げ体験など多彩な催しを
企画。主催は秋田大や市民団体などで組織するあきた宇宙
コンソーシアム。イベントは2005年、秋田県の海岸で日本
初のペンシルロケットが打ち上げられてから50年になるの
を記念し、能代市にJAXAの実験場があることから始まりま
した。メーンのロケット打ち上げは、衛星打ち上げや有人ロ
ケット製作を目指す大学が、機体設計や制御技術を向上させ
るために実施。パラシュートで場内に着地させる「陸打ち」
(15、16日)と日本海に向ける「海打ち」(20日、21日)を予
定。秋田大、東北大、九州大など 8 大学と、複数の大学で構
成する 2 団体の計10団体が参加。全長1. 5〜3. 1mのロケット
に、固体燃料と液体酸素を併用して燃やすハイブリッド型エ
ンジンを搭載します。最高で高度2000mを目指す機体があり、
ごう音とともに飛び出す姿が楽しめます。17日の一般公開日
はハイブリッドロケット打ち上げが 2 回あり、小中学生を対
象に、火薬を使ったモデルロケット打ち上げ体験やエンジン
燃焼実験を企画しました。18日は、全国の高校生がロケット
アトラス5ロケットによる GPS IIF 衛星の打ち上げの様子 (c) ULA
アトラス 5 ロケットによるGPS IIF 衛星の
打ち上げの様子 (c) ULA
の滞空時間などを競う「ロケット甲子園」や、空き缶サイズ
5
8 月 5 日、 米 ス ペ ー スX(SpaceX) 社 は、 フ ァ ル コ ン 9
8 月22日、米スペースX(SpaceX)社は、同社のロケッ
v1.1ロケットによる香港の衛星運用企業アジアサット社(亜
ト開発施設(テキサス州マクレガー)において、再使用型
洲衛星公司)の静止通信衛星「アジアサット 8 」の打上げに
ロケットとなるファルコン 9 R(Falcon 9 Reusable)の 3 エ
成功しました。この打ち上げで、アジアサット社が運用す
ンジンバージョンの試験機による飛行試験を実施しました
る 4 衛星AsiaSat 3 S , AsiaSat 4 , AsiaSat 5 , AsiaSat 7 に新たに
が、飛行中の不具合検出によって同機の飛行停止システムが
5 機目としてAsiaSat 8 が加わりました。同社は放送及び通信
作動し、同機は空中で自爆しました。フライト中もフライ
業界で、これらの衛星を用いて450以上のテレビ・ラジオの
ト中断中も、同機は指定された飛行領域から外れることは
チャンネルをアジア太平洋地域の7. 1 億以上のテレビを所有
なく、負傷等はなかったとのこと。試験中の機体の不具合
する世帯へ配信しているとのことです。(8/5 AsiaSat)
を感知することが試験の目的でもあり、この試験では過去
のものに比べて極端な条件を課したとのこと。今後同社は
8 月 6 日、米ATK社は、2017年に予定されているNASAの
飛翔記録を詳細に検討し次の試験に備えるとのこと。(8/22
次期打上げロケット(SLS)の初打上げ試験で使用される 5
NASASpaceflight.com、SpaceX)
セグメントの固体ブースタの詳細設計審査(CDR)を完了
したと発表しました。SLSは月・小惑星・火星等への有人
8 月22日、仏アリアンスペース社は、ソユーズST-B/フレ
ミッションに必要な輸送能力を有する現状唯一の手段とのこ
ガトMTロケットによる、欧州の航行測位衛星システム「ガ
と。このCDR完了により、SLSの開発は認定試験に向けたフ
リレオ(Galileo)」における最初の完全運用フェーズ用衛星
ェーズに進むことになりました。(8/7 ATK)
「Galileo-FOC FM1」 及 び「Galileo-FOC FM2」 の 軌 道 投
入に失敗しました。投入を計画された軌道は半径29,900km、
8 月 9 日、中国は、長征 4 Cロケットによる、地球観測衛星
軌道傾斜角55度の円軌道ですが、実際には軌道長半径26,200
「遥感20号(Yaogan-20)」の酒泉衛星発射センターからの打
km、軌道傾斜角49.8度、軌道離心率0.23の楕円軌道に投入
上げ及び軌道投入に成功しました。(8/9 NASASpaceflight.
されてしまったとのことです。フレガト上段と 2 衛星は共に
com)
安定しており地上には危険は全くないとのことです。フレガ
ト上段エンジンの残推進剤は除去され、加圧系も減圧された
とのことです。初期の飛行データによると、不具合はフレ
ガト上段の飛行中に発生した可能性があるとのこと。(8/23
Arianespace)
《編集室より》
より良い紙面作りのため、会員の皆様の建設的なご意見や
投稿希望の原稿等をお待ちしておりますので、今後ともよろ
しくお願いします。また、日本ロケット協会では、下記公式
ホームページ及び、Facebookにおいてニュースのリンク先
等の情報を更新しております。
公式ホームページのURL http://www.jrocket.org/
FacebookのURL
https://www.facebook.com/JpnRocketSociety
ロケットニュースと合わせてご覧頂ければ幸いです。
▶ロケットニュース編集担当理事 嶋田 徹
〒252-5210 神奈川県相模原市中央区由野台 3−1−1
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所
長征4C ロケットによる遥感 20 号衛星の打ち上げの様子 (c) Xinhua/Yang
長征
Shiyao4 Cロケットによる遥感20号衛星の
打ち上げの様子 (c) Xinhua/Yang Shiyao
e-mail:[email protected]
No. 588
8 月13日、米United Launch Alliance(ULA)社は、アト
ラス 5 ロケットによる米デジタルグローブ(DigitalGlobe)社
ロケットニュース
発 行 ©2014
日本 ロケット協会
編集人 嶋 田 徹
の高分解能地球観測衛星「ワールドビュー 3 」の打上げに成
功しました。この打ち上げで、ULAは2014年に入って10回
発 売 三 景 書 店
の打ち上げに成功し、この 6 週間で 4 回の打ち上げに成功し、
ULAが2006年12月に設立されてから87回めの打ち上げ成功
印 刷 愛 甲 社
となったとのことです。(8/13 ULA)
6
平成26年 8 月31日発行
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