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337
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CR-1 表皮嚢腫より発生したと考えられる基底細
CR-2 基底細胞母斑症候群のI例
なお、Adobe®
Reader®以外でのPDFビューアで閲覧されている場合もこのメッセージが表示され
胞上皮腫の1例
宮川俊一,小林都江,木材俊次(共済立川)
ます。Adobe® Reader®で閲覧するようにしてください。
高橋千恵,
同耳鼻科,
林正彦,松本正朗(滋賀成人病センター,
同病理)
症例:74歳,女。主訴:外陰部の結節。既往歴:昭
和61年 外陰部の黒色結節を近医で切除を受けた事か
症例:63歳男。初診:平成元年11月20日。
おる。家族歴:特記すべき事々し。現病歴:昭和62年
現病歴:昭和57年頃から鼻背部に半米粒大の丘疹があ
頃より外陰部に色素斑が出現。増数,隆起増大してき
り,しだいに大きくなってきた。
たため平成元年10月4日初診した。現症:体格は中等
現症:鼻背部に20×22ミリの表面平滑弾性軟の腫瘤が
で外表骨格異常は々く顔貌は正常。顔面に径2∼4・
存在。自覚症(丿。下床とは可動性出。
程度の黒色色素斑と稗粒腫様の皮疹を,頭部,下腹,
経過:初診時生検を試みたところカユ状物質を多量に
外陰忙茶褐色斑釦よび黒色丘疹,暗紅色結節を,両足
排出して腫瘤は1/3くらいに縮小した。そのため表皮
陳には小陥凹を認める,レ線上',顎嚢胞,肋骨奇形。
トコル鞍のbridging等の異常はたぐ,異所性石灰化
嚢腫と診断しガーゼ交換を行っていたが腫瘤は完全に
は消槌しなかった。また初診時生検組織にbasaioid
cell
も認めなかった。組織学的所見:色素斑,結節とも未
の増殖を示す組織小片か見られたごとから平成2年1
熟々毛嚢の増殖を思わせる基底細胞上皮腫の像を呈し
月29日耳鼻科にて残存腫瘤の全摘術を行った。
た。足礁陥凹部では角層の非薄化と基底細胞様細胞の蓄
組織所見:表皮嚢腫壁の数ケ所でbasaSoid
cellが増殖し
状増殖を認めた。
て胞巣を形成しているのが認められた。腫瘤の大部分
は充実型の基底細胞上皮腫であった。
考察:表皮嚢腫の悪性化はまれに報告かあるが,我国
の報告例のほとんどはSCCでBCEの報告はほとんど
なく,きわめて珍しい。
CR-3 特異な分化を示したBowen病のl例
尾立朱実,横関博雄,木下正子(河北総合丿
CR-4 多発性ボーエン病を併発した枇素角化症の
1例−チガソン内服が有効であった症例
高宮城敦,宮里肇,真栄平房裕,名嘉真武男(琉人)
海老原善郎目司病理)
症例:64才,女性。現病歴:戦後(45年前),避難
先から帰宅し自宅に住む様になって数力月後,患者家
族全員に咳,呼吸困難等の症状か出現。さらに掌鍍に
頭頂邱の腫瘍。現病歴:半年前頭頂部の皮疹に気づい
角化性丘疹が出現し,3年間のうちに患者以外の家族
た。現症:頭頂部に2a大凹凸不整の局面を認める。
全員(8人)が死亡した。庭の井戸水から多量の枇素
組織検査にてBowen病と診断し,5−FuのODT療法
が検出され,調査の結果,米軍の弾薬置場より枇素が
流出したと考えられた。患者は症状出現初期に他家に
施行。 1ヶ月後甲心眼皮角様丘疹を認め剛eomycin局
移り住んでいたため軽症ですんだ。 しかし数年前より
注し皮疹は色素沈着を残し雍痕化した。 2ヶ月間経過
体幹,四肢に径1∼3aの紅褐色局面,びらんが出現
観察したが以後来院せず。 1990年7月10日骨折にて
してきたため当科を受診した。現症:体幹に3ヵ所,
当院整形外科入院,7月24日当科再診となる。再診
四肢に7ヵ所,径1∼3(xの境界明瞭,辺縁不規則な
紅褐色浸潤局面があり,左第2趾はびらんを呈してい
時現症:頭頂部に33×25sの局面あり,中心に10回
る。掌跳はびまん性に皮膚肥厚,又径5∼10mの角化
大の表面潰瘍化した淡黄色調の結節を有する。組織:
性の丘疹か散在。体幹,四肢はびまん性に褐色色素斑
表皮内腫瘍細胞は核の異型性が著しく,
clumping ce川, 脱色素斑が混在して見られる。病理組織:浸潤局面,
びらんはほとんどボーエン病であり,掌陳の角化性丘
核分裂像を認める。また細胞質がエオジンにて網状に
疹は硯素角化症の所見であった。経過:入院後,チガ
淡染する大小の明るい細胞を認め,同様の細胞は真皮
ソン内服を試みた。角化性病変は約2ヵ月でほぼ消腿
内忙巣塊状に浸潤している。これら細胞の由来,分化
した。ボーエン病の皮疹も軽度縮小,組織でも異型性
について検討した。
の低下を認めた。しかし完全に消腿する事はなく,3
ヵ月間続けた後,すべて切除,
Cryoを施行した。チガ
ソン内服中止後2ヵ月でボーエンの新病変か見られた
ためチガソン内服を再開,現在まで5ヵ月間経過する
が特に新病変は見られていない。
症例:93歳,女。初診:1989年5月9日。 主訴:
338
CR-5 ヒト乳頭腫ウイルスDNAを検出した足底,
CR-6
足背の疵状ボーエン病
papulosis
の2例
高橋和宏,田上八朗(東北大学皮膚科)
症例1
特異左臨床像を呈したbowenoid
小野博紀,安立あゆみ,藤井初美,近藤隆男,福井良
昌,大橋 勝(名古屋人)
:80才,男性。初診:平成2年3月1日。約
3年前より左足底に皮疹出現し漸次拡大したため当科
bowenoid
を受診した。初診時,左土ふまず部に直径l
れるが,陰茎皮膚及び包皮の皺に沿った幾条かの線状
cmの疵状
角化性結節を認める。病理組織学的にボーエン病。症
例2
papulosis(BP)は種々の臨床像をとるとさ
皮疹を主体とするそれを2例経験し,比較的ヽまれ々臨
:75才,女性。初診:平成元年3月15日。約3年
床像であると考えたので,報告する。
前より左足背に皮疹が出現し漸次拡大したため当科を
症例1:27歳,男性。約1年前に陰茎の黒色丘疹に
受診した。初診時,左足趾根部背側より足背にかけて
気付くも放置していたところ,それが線状に拡大し,
直径約3cmの痴皮を伴う疵状角化性局面を認める。病
その数も増加してきた。組織学的に表皮内にやや大型
理組織学的にボーエン病。
の核を有する細胞が細胞分裂像を交えて認められた。
患者腫瘍組織よりDNAを抽出し,既知のプライマー
症例2:44歳,男性。約1年前よ卵
を用いてhuman
皮疹が出現,拡大してきた。皮疹形態学的及び組織学
papiUoma virus(HPV)−16とHPV-18
に特異的なDNAセグメントを増幅した結果,症例1
的に症例1に類似する所見を得た。
でHPV
−16に特異的なDNAフラグメント,症例2
ウイノレス学的検索を酵素抗体法や,
でHPV
−18に特異的なDNAフラグメントを検出し
reaction法にて解析する予定である。
polymerase chain
た。
CR-7 爪甲下ケラトアカントーマの1例
CR-8 小児の脂腺母斑に発生したケラトアカント
ーマの2例
久保美代子,石原八州司,池川修一,斎田俊明(信州大)
末武茂樹,谷田泰男,高橋研一,田上八朗(東北大)
79歳,女性。1989年10月より右第2指爪甲下に有痛性
大河内享子(国立仙台皮膚科)
皮疹が出現し,次第に腫脹をきたしてきた。
杉山泰子(石巻日赤皮膚科)
1990年2月
28日飯山日赤皮膚科を受診。飯山日赤受診時皮膚所見:右
第2指末端内側の爪甲下に痴皮を付着する7×3・の赤色
ケラトアカントーマは通常中年以後の日光露出部に
結節を認めた。第2指末節全体に軽度の腫脹,紅斑,角化
急速に生じてくる腫瘍である。私たちは8才男児左頬
鱗屑が見られた。結節部に圧痛(十)。爪甲の一部は破壊欠損。
部,11才女児眉間から右頬部にかけての脂腺母斑上に
レ線所見:第2指末節骨にcup-shaped
ケラトアカントーマ様の腫瘍を形成してきた症例を経
erosionあり。生
検組織所見:ケラトアカントーマの所見であった。治療:
験した。病理組織では脂腺母斑上に生じたケラトアカ
当科に入院し,
ントーマと診断した。2症例とも発症の誘因として脂
1990年4月4日外科的に切除した。経過
:1990年10月現在皮疹の再発を認めない。
腺母斑に外的刺激か加えられていた点が共通していた。
爪甲下ケラトアカントーマの頻度は非常に稀で,現在ま
でに自験例を含めて26例の報告があるのみである。
脂腺母斑は様々な二次腫瘍か発生することか知られ
26例の
ている腫瘍であり,治療上においても冷凍凝固術等で
臨床データをまとめた結果は性別は男性に多く(77%),罹
外的刺激を加えることは問題がある。本腫瘍の治療は
患指は大部分か手指で,そのうち栂指と2指に多い(合わ
外科的切除が第一選択と考える。
せて69%)。自然消退例は1961年Fisherにより1例か報
告されているのみ。治療の第一選択は十分な深さの切除あ
るいは掻把術が最も妥当であり(治癒率82%),早急な
amputat
ion は避けるべきである。
339
CR-9
CR-10 切削油曝露により生じたと思われる多発性
ケラトアカントーマから扁平上皮癌に移行
した2例
の角化症と有練細胞癌
秋山真志,吉田法子,和泉達也,海老原全,杉浦 丹
大竹直樹,辻 卓夫,小林泰介,三輪憲正(名市人)
(清水市立)
58歳の男性。約15年前から仕事で切削油を使用
症例1:79歳,男。初診:平成1年5月24日。初診
し,主として両側前腕にその曝露を受けている。6年
5ヵ月前に左耳介に面庖様の皮疹が生じ,次数に隆起
前頃より両側前腕の皮膚の粗槌化,色素沈着,角化性
増大してきたため当科受診。初診時,大きさ16≫≫X12
皮疹などを来たし,約1年前から右前腕の一部に腫瘤
=の半球状隆起性の表面粗造左腫瘤が左耳介に認めら
を来すようになる。初診時所見:両側前腕のほぼ全域
れた。臨床所見及び生検組織像よりケラトアカントー
マと診断。ブレオマイシン軟膏,
5-FU軟膏OD
および一部手背に大小種々の大きさ・形の扁平に隆起
T
する角化性皮疹が散在し,また右前腕屈側のほぼ真中
レチノイド内服,凍結療法施行,縮小傾向を示したが
に径約2cmの中央部が潰瘍化した腫瘤を認む。組織所
本年1月より再び増大。再生検にて扁平上皮癌と診断
見:腫瘤部は有練細胞癌の,また多発する角化性皮疹
全摘術施行した。症例2:78歳,男。初診:平成2年
部は前癌像を含む種々の程度の角化異常所見を認めた。
2月15日。2年前より左耳介下方に腫瘤を認め,増
患者皮膚の最小紅斑量は正常範囲内,また切削油によ
大したため当科受診。初診時,大きさ32nx26nの中
るパッチテスト,光パッチテストは共に陰性であった。
央に角栓を有する隆起性腫瘤を左耳介下方に認めた。
切削油による角化症およびそれから生じた有練細胞癌
臨床及び生検組織所見よりケラトアカントーヽ7と診断
と考え,切削油の成分分析を行ったところ発癌物質の
症例1と同様の治療にて縮小傾向を示したが,本年6
1つとされる3,4-ベンソピレンが検出された。
月,再び急速に増大,再生検にて扁平上皮癌と診断。
なお,治療は有斡細胞癌に対しては摘出術および植
CT上耳下腺への浸潤が疑われたため,耳下腺を含め
皮術を,角化性皮疹に対しては冷凍凝固術または5−
て全摘,皮弁形成術を施行した。
FU
CR-11 訟灸衆痕部に発生した有棟細胞癌
ODTを行い経過を観察している。
CR-12 熱傷癩痕上に生じた皮膚結核及び有較細胞
癌の一例
江川ゆり,義沢 泉,三枝由紀子,伊東文行,
服部怜美(日医大夷2),佐藤元泰(東京都)
萩原啓介,宮里肇,堀元進,宮本良恵,真栄平房裕,
名嘉真武男(琉大皮膚科)
症例:64歳、男o初診:1990年5月1日o現病
歴:1955年より年1回、両肩甲部訟よび、腰部に釦
症例:67才,女性。初診:平成元年11月16日。現病
灸をすえていた。1年前より右背部に滅禄を伴う新節
歴:3才頃左下肢を広範囲に火傷。
が出現し、徐々に増大したo5か月前より潰瘍を形成
拘縮を手術。 50代より術部に潰瘍出現し以後漸次増大。
して排膿し、急激に増大してきたため当科を受診したo
平成元年11月某病院入院し潰瘍難治性のため当科紹介。
現症:右上背鄙に周囲仙×50
現症:左下肢外側部に境界鮮明な潰瘍肉芽腫面がみら
mm、中心鄙48×12
17才同部熱傷廠痕
mmの辺縁が隆起した潰瘍が存在し、多量の出血、排
れ表面は汚機な痴皮が固着。治療及び経過:潰瘍面の
膿が認められる。1た、周囲にば紅斑、枇糠疹を伴っ
細菌検査の結果結核菌ガフキー5号と判定され,
て釦り、右頭鄙にはリンパ節を触知するo臨床的に有
H,
棟細胞癌と診断し、潰瘍鄙より皮膚生検を行った。組
菌陰性化後12月デブリドマン施行。再三に亘る生検の
織は典型的。治療および経過:腫瘍全摘術、所属リン
結果一部に有軸細胞癌の所見を得たので,同部ヘブレ
パ節郭清と、抗腫瘍斉│」の投与により現在経過観察巾で
オマイシン塗布及び局注を施行し又ペプロマイシンと
あるo
EB,
I N
REPの内服,SMの局所撒布施行。結核
マイトマイシンの全身投与を追加した。根治的手術と
して当初患肢切断を予定していたが,下肢XP,
RIにて骨浸襲H,リンパ節及び遠隔転移(づと判断し,
全麻下にデブリトマンと広範囲分膚植皮術施行。術後
は経過良好で現在のところビラン潰瘍或いは腫瘤の再
発は認められない。
CT,
340
CR-13 頬部に認められた耳下腺悪性腫瘍の1例
CR-14 全身に転移を認めた丹毒様癌の1例
原田玲子,海老原全(東京電力),磯貝豊(同耳鼻
多田有平、八木英一へ真家興隆、高橋伸也(秋田大)
咽喉科)
上坂佳敬(同第一病理)
症例:48歳,男。初診:平成2年4月6日。初診の
48歳、男性。 22年前約90%の火傷を受け、両下肢の
約1ヵ月前,右頬部の自覚症のない腫瘤に気付き来院。
……一刻11こ植皮術を行い約3年後にすべて上皮化した。6
初診時,大きさ22×2
年前植皮を受けなかった左大腿屈側の熱傷痘痕部に手
6iTun,弾性軟,扁平隆起性の皮下
腫瘤が存在。病理組織所見:腫瘍は楕円形の核を有す
掌大の疵状皮疹を伴う潰瘍か生じ当科受診。皮膚生検
る上皮性細胞と線維性ないし浮腫性の間質よりなる。
にてSCCと診断し、切除・植皮術とペプレオマイシ
間質にchondroid
patternは認められない。唖瘍細胞
ンによる化学療法を施行した。その後通院せず。平成
はシート状ないし索状配列を示し,一部に偽腺腔様配
2年3月より左鼠径部に発赤・腫脹が出現し、急速に
列を認める。アルシアンブルー陽性物質を入れる管腔
拡大したため当科再診、発赤部の皮膚生検にてsec
構造も認められた。腫瘍細胞は,扁平上皮様分化を示
の転移と診断した。
す部分,好酸性の細胞質を有するoncocy
筋領域にかけて一塊の腫瘤が形成され、左大腿静脈は
tic change
CTでは左鼠径部から左大腿内転
を示す部分,空胞様の細胞質を有する部分など多彩で
その腫瘍塊に巻込まれ閉塞していた。Gaシンチでは
ある。核の異型性,分裂像も一部に認められた。
左大腿上方から左骨盤部にかけ強い集積像が認められ
た。ペプレオマイシンによる化学療法、放射線療法、
温熱療法を行ったが効果なく、皮疹はさらに急速に拡
大し平成2年6月11日死亡した・。剖検では左大腿部か
ら骨盤腔さらに腸腰筋まで連続的にSCCが浸潤し、
心臓・肺・椎骨・腎臓などほぽ全身の臓器に転移を認
めた。
CR-15 リンパ管腫様外観を呈した皮膚転移癌の1例
CR-16 腎細胞癌の皮膚転移例
池田美智子,神
久美,小林容子,南光弘子(東京厚
皆見春生,玉木 毅,中西 浩,原田昭太郎
生年金),河村
裕(同外科)
(関東逓信病院)
62歳,女。1988年2月,直腸癌にて当院外科で切
54歳,女。初診平成2年8月7日。平成2年3月初
除術施行(ムチン産生性腺癌stage
旬,左大腿外側の紅色小結節に気付く。徐々に増大し,
v )。翌4月,
左下肢リンパ浮腫出現。8月,血便を認め直腸癌の再
初診時には直径13田大の澄紅色の半球状に隆起する硬
発と左鼠径リンパ節転移のため再入院し人工肛門設置
い腫瘤となる。病理組織像は,真皮全層にわたり,異
術施行。この頃,左下腹部に皮疹出現。生検で皮膚転
型性のある淡明細胞かシート状,蜂巣状,索状に増殖
移と確認。術後,骨盤腔及び左鼠径部に各々コバルト
し,腫瘍巣を形成。組織像より腎細胞癌の皮膚転移を
30Qy照射。イヒ学療法施行。 1990年2月より左大腿,
疑い,腹部CTを施行し,右腎中極に直径約1cmの
下腿,足背の順に遠心性に皮疹増数。4月17日当科初
massを認めた。全身状態は良好であった。
診。初診時,左下肢の著明か浮腫と左下肢全体,左下
腹,左瞥部,会陰部に無数のリンパ管腫様病巣を認め
た。H.E所見で管腔内に腫瘍細胞を伴う著明なリンパ
管拡張と腫瘍細胞の真皮内浸潤を認めた。一部にβ−
INF局注するも無効。7月20日,癌性腹膜炎で永眠。
病理解剖施行。
以上の経過,所見から鼠径リノパ節転移よりはじま
り逆行性ないし遠心性リン六行性皮膚転移が示唆され
たので報告する。
341
CR-17 卵巣癌の皮膚転移の1例
CR-18 皮膚転移をきたした頭蓋底原発脊索腫
井出瑛子,杉 俊之(浦和市立)
尾本兵衛、桐生美麿、今山修平、堀 嘉昭(九州大皮
福井谷達郎(同産婦人科)
膚科) 福井仁士(九州大脳神経外科)
62歳,女性。昭和63年7月より便秘,腹痛出現。漸
症例は22才女子。当院脳神経外科にてchordoma
次増強のため,同年8月末当院内科受診。注腸造影の
の加療中、1990年5月左大腿部内側の結節に気付き、
結果,結腸癌が疑われ,精査目的にて入院となる。入
7月に当科を受診した。病変は径4cmの弾性軟、可動
院時血沈充進,
性のある皮下腫瘤であった。生検病理標本では、腫瘍
CRP上昇の他,
CA125高値を示した。
全身検索および組織検査の結果卵巣癌stage
l,結腸
は多型の核を有し、空胞に富み好酸性の胞体を持つ細
転移,癌性腹膜炎と診断され,化学療法施行後,平成
胞から構成されていた。これらの細胞はcytokeratin、
元年1月退院となる。同年2月末,両下肢浮腫増強,
S−100蛋白等陽性であり、原発巣との比較検討により
下肢痛,腹部膨満感出現のため,再入院となる。4月
malignant
下旬より,外陰部の癈岸を伴う紅色皮疹に気付き,漸
Chordomaはその組織構造、および発生部位がほと
chordoma
の皮膚転移と診断した。
次拡大のため,5月末当科紹介。初診時外陰部に米粒
んど仙骨部あるいは頭蓋底に限られることから遺残胎
大から碗豆大までの半球状に隆起した暗赤色から紫紅
児脊索由来と考えられている。局所侵襲性、局所再発
色を呈する充実性丘疹か散在性に認められ,一部では
性は強いものの、一般に増殖のおそい良性腫瘍である。
癒合して,ブドウ房様外観を呈する。卵巣癌皮膚転移
本症例は転移性皮膚腫瘍としては非常に稀と考えられ
の疑いにて皮膚生検施行。病理組織学的には大型な類円型
る。
を呈する異型性の強い腫瘍細胞が増殖し,一部で腺腔形成
を認め,原発巣と極めて類似した所見が得られた。
転移性皮膚癌の報告例は最近増加傾向にあるものの,依
然頻度は少ない。特に卵巣癌の皮膚転移は稀である。
CR-19 立毛筋母斑の1例
CR-20 上肢K生じ青色調を呈したtr
i chi lemma
cystの2例
永田佐知,尾立冬樹,中島静香(東女医大第二),
清水光政(都立荒川産院小児科)
勝俣道夫,徳留康子(伊豆逓信)
1歳3ヵ月男児。初診:1990年9月。生下時より存
症例1:82歳,女子。左上腕伸側肩関節寄りに10年
在する左側腰部の自覚症を欠く有毛性の淡褐色斑を主
以上前より存在し,徐々に増大する1
訴として来院。現症:左側腰部の20×26・の比較的境
状に隆起した弾性軟,青色調,下床と可動性の皮内嚢
界明瞭な有毛性の淡褐色斑で,軽度の浸潤を触れる。
腫を認め,表面に毛細血管拡張を伴う。症例2:65歳
2 X 1 3 mm大,半球
表面は平滑である。病理組織では,表皮に著変なく,
女子。右前腕伸側中央やや末梢側に1
真皮の全層にわたり,正常の立毛筋に類似した,筋線
性,弾性やや硬,青色調,下床と可動性の皮内嚢腫を
維束の増生か認められる。これらはアザン・マロリー
認める。共に自覚症状は々く,嚢腫に割を入れたとこ
染色で赤染し,エラスチカ・ワンギーソン染色で黄染
ろ黄色調の液体を認めた。病理組織学的所見:共に真
する。本邦では1964年,池田らの第1例(naevus
皮中層から皮下組織にかけ表皮と連続性のたい無腫を
leiomyomatosus
認め,嚢腫内に均質で好酸性に染色される角質物質が
)以来約50例の報告かあるか,比較的
まれと思われる。
0 m径,扁平隆起
充満している。嚢腫壁は数層の上皮性細胞より々り,
最外層には基底細胞様細胞の柵状配列が,最内層には
いわゆるca
t agen型の外毛根鞘性角化が認められる,
壁細胞にはジアスターゼ消化性PAS陽性物質が存在
する。症例1では哉腫内にコレステリン結晶が豊富に
認められ,症例2では壁の一部に異物肉芽腫が認めら
れる。 この2症例はいずれも本症としては発生部位が
稀で,臨床像も青色調を呈した症例であった。
1
342
CR-21 陰嚢に発生したprol
iterating t richilem-
CR-22 大腿部に生じたMalignant
proliferating
trichilemmal cystの一一例
mal cystの一例
田口理史,清原祥夫,斉藤典昭,田嶋公子,池田重雄
松川 中,鳥居秀嗣(社会保険中央病院)
(埼玉医大皮膚科)
J7歳男。現病歴:初診の約1年前に陰嚢の小丘疹に
気付いた。その部位の毛を抜いたら出血し,次第に大
【症例】88歳女性。【初診】平成2年6月14日。
きくなった。現症:左陰嚢前面に大きさ8×9mで半
【現病歴】昭和62年3月頃右大腿部外側に小豆大角化
球状に隆起した紫褐色調の弾性硬結節を認める。圧痛
性小丘疹出現,その後,変化はみられなかったか約2年
はない。組織所見:表皮と連続した真皮内腫瘤である。
半後,同部に同様の皮疹が多数出現,集族し易出血性
腫瘍細胞の多くは基底細胞様で,多数のsquamous
鶏卵大局面を形成する様になった。その後漸次増大隆
eddy及びケラトヒアリソ穎粒を有することなく角化し
起した。【初診時現症】右大腿外側中央部。n.8×6.6
た数個の角化性嚢腫を形成している。一部の嚢腫構造
×2.5cmの褐色腫瘤が存在し,表面にびらん,膿苔,廊
内は角質に混じって多数の好中球及び少数の赤血球で
皮を伴う。右鼠径に米粒大からくるみ大の弾性硬のリ
充満している。同質では異物巨細胞を混ずる小円形細
ンパ節を5,6個触知した。【治療】広範囲切除及び
胞浸潤があり,一部にソラニン沈着や石灰沈着を認め
腸骨鼠径リンパ節郭清術を行ない,術後放射線照射を
るo
行なった。術後3ヶ月再発転移は認めない。【病理組
織所見】腫瘍は一部表皮と連続性に乳頭状に増殖,真
皮内には嚢腫様構造を伴う多数の腫瘍巣が存在し一部
本症の陰嚢発生例は極めて稀である。
は皮ド組織にまで浸潤している。嚢腫内にはエオジン
好性の物質が充満している。腫瘍細胞は明るい胞体を
待ち,核は大小不同で多数の核分裂像も伴っている。
リンパ節は14個中6個に転移を認めた。
CR・23 Desmoplastic
Trichoepithelioma
の一例
CR-24 Trich。epitheli。maを併発したCylindroma
の1例
牧野玲子,河崎まり,泉小枝子,中内洋一(国立病院
梁取明彦,斉藤 浩,井上成史,笠原吏美,山崎雙次
医療センター皮膚科)
(濁協医大)
80才の女性。昭和62年7月21日当科初診。鼻背部に
大きさは10sx3・,周囲の皮膚とほぼ同色,やや光
60歳,女性。家族内同症なし。約20年前より頭部に
沢のある堤防状に隆起した局面を認めた。自覚症状は
淡紅色の結節状腫瘤多発,徐々に増大,多房性となっ
特に認めない。外傷の既応もない。
た。約1年前より鼻部及びその周囲に丘疹が多発。
一般にdesmoplastic
初診時臨床:頭部に最小7×7皿大の孤立性腫瘤か
trichoepitheliomaは顔面に好
発し,比較的若年者に発症することが多い。その典型
ら最大55×49niin大の多房性腫瘤まで計9ケ存在。各々
例では3∼8回大の硬い結節をつくり,中央部軽度陥
は淡紅色を呈し,毛細血管拡張を伴う弾性硬の腫瘤
凹し,周辺部かやや隆起する環状小結節であることが
で,いわゆるターバソ腫瘍状を呈していた。また鼻部
多い。
及びその周囲に最大7.5×7mm大までの多発性充実性
本症例は80才という高年令,中心臍高を認めない堤
丘疹が存在。
防状の隆起局面であるということから典型的なdesmo
組織所見:頭部腫瘤は表皮と連続性なく真皮より皮
plastic trichoepithelioma とはやや異った臨床像を
下脂肪層にかけて大小2種の細胞よりなる小型腫瘍巣
示した。基底細胞上皮腫との鑑別診断も必要と考え生
がPAS陽性の硝子膜に包まれてジグソーパズル様に
検を施行したところ,腫瘍細胞の細い索状配列,角質
配列。鼻部腫瘍では真皮内に大小の角質嚢腫を有する
嚢腫形成,腫瘍細胞をとり囲んで著明な結合織の増殖
腫瘍細胞巣が集族性に存在,各腫瘍細胞巣は基底細胞
等の所見を認めたのでdesmoplastic
様細胞から構成される。
と診断した。
trichoepithelioma
頭部腫瘍につき分化の方向を検討。
343
CR-25
Malignant
CR・26
Eccrine Spiradenoma
mucinous
carcinoma
of the skinの
1例
寺尾 浩、占部篤道、中山樹一郎、堀 嘉昭(九州大)、
西村正幸(九人生医研)
松田和子、佐藤壮彦(山梨県立中央)
患者:34歳女子
症例:82歳、女。初診:平成2年8月15日。既往歴:
現病歴:10歳時、右下腹部に小指頭大の腫瘤がある
約70年前、肺浸潤。現病歴:約1ヵ月前に後頭部の巨
のに気づいていたが放置していた。その後徐々に増大
大な腫瘤に気付く。自覚症状なく、発症時期不明。現
し、24年後には鶏卵大となったため、九大生体防御医
症:後頭部に9×10cm、高さ5cm大の半球状に隆起し
学研究所付属病院で腫瘤の摘出術を受けた。その2ヵ
た軟らかい腫瘤を認める。表面は平滑で、軽度の凹凸
月後、左下腹部に栂指頭大の腫瘤を触知するようにな
があり、正常皮膚色中に一部青色調を帯びる部位が混
り、8月には鶏卵大となったため、再び腫瘤の摘出術
在していた。下床とは可動性やや不良。
を受けた。
不均一性が認められた。病理組織所見:病巣は真皮か
病理組織学的所見:腫瘍細胞は異型性の強い核を有
ら皮下組織にかけて存在し、多胞性膿庖状を呈する。
MRIで腫瘤の
しており、大小の巣状構造を形成しながら増殖してい
その分室内はPAS陽性、アルシアンブルー(pH2.5)
た。原発巣では一部に好塩基性の小型の核を有する細
陽性の粘液様物質で満たされ、管腔状構造を有する腫
胞および広い胞体を有する細胞より成るeccrine
spi
瘍塊が浮遊している。細胞の異型性は少ない。治療:
radanoma(ES)の像が認められた。腫瘍細胞は酵素組
腫瘍の全摘出(一部骨膜まで含める)。
織化学的にエクリン汗腺のパターンを示していた。以
症例の特異点:本症例はきわめて稀な疾患であり、
上よりmalignant
ESと診断した。本症はまれな疾患で、
良性のESより生じた典型例の報告は世界で約10例のみ
現在までに本邦においての報告は約20例である。
MRIによる腫瘍の性状を検討した。
である。
CR-27 手術的に肛門機能温存を試みた肛門周囲
CR-28
鼻翼部に生じた脂線癌の‥・例
Paget病
岩滓うっぎ,本庄三知夫,鈴木啓之(日大)
武藤正彦,太田貴久,冨永和行,山田健一,麻上千烏
(山口人)
山本達人,内山哲史,水田英司,鈴木敞(同第2外科)
52歳,男子。約1年前より右鼻翼部に大豆人紅斑が
出現。自覚症かなかったため放置していた。最近大き
さが増し,腫脹感も出現してきたため当科を受診した。
57歳,男。初診:平成元年9月12日。肛門周囲の紅
色皮疹を主訴に来院。生検像:皮疹部では有縁組胞よ
り大形で類円形淡染する胞体を有した細胞が表皮内に
認められ,その分布からPaget病混在型(森)と診断。
肛門皮膚で欧直腸粘膜内へ○浸潤を認め冷かっ瓦。画
像診断による検索ては隣接臓器への浸潤々らびに転移
巣を認めなかった。
治療:病巣部周囲健常皮膚を5・m含めた広範囲切除。
現症:右鼻翼部に25×28回の,表面凹凸を有し,拡張
した毛細血管が透見される紅色半球状の腫瘤あり。触
れると癩痕様の硬さに触れる。右耳前部,耳後部,頚
部,顎ド部のリンパ節腫脹はみられなかった。病理組
織所見:表皮とは連続性はない。真皮上層から'ド層に
かけて脛瘤細胞巣が小葉を形成し島嶼状に認められる。
腫瘍塊は好塩基性の核を有し細胞質が好酸性に染まる
小型の細胞が主体で,それらに明るい泡沫状の細胞質
を有する比較的大型の細胞が混じて構成されている。
ロ舗は歯状線よう5自直腸粘膜側で切除。肛門括約筋
大型細胞の泡沫状細胞質はズダンⅢ染色に染まる。小
はそのまま残し,背部より採皮した遊離植皮片を用い
型並びに大型の腫瘍細胞はいずれも核は異型性を呈し,
て肛門管を再建。肛門管外側の皮膚欠損部をメッシュ
大きさも大小不同が著明である。核分裂像もしばしば
状中間層植皮片で被覆。人工肛門を仮設,併せて両側鼠
認められる。脂腺癌の報告例の多くは眼瞼に生じたマ
径リンパ節郭清施行。術後20日目より腹圧による随意的肛
イボーム腺癌である。眼瞼外脂腺癌は比較的まれで,
門括約筋の収縮を反復トレーニングし肛門機能を回復。
本邦報告例は約50例にすぎない。
術後11ヵ月現在,排便は術前に劣らず可能。皮膚移
植部位での局所再発冷し。
344
CR-29 嚢腫構造を呈したマイボーム腺癌
CR-30 Multiple
piloleiomyomaの一一例
三浦圭子,仙田 晃(土浦協同),小原一則(中野総
荒木敬司,生越まち子,伴 政雄,谷 昌寛,三島 豊
(神戸大)
34歳女。15歳頃より左下眼険に常色の皮疹が生じ,
症 例:21歳,男性。
'既往歴,家族歴:特記すべき事なし。
現病歴:5∼6年前より両肩に自発痛,圧痛を有する
徐々に増大,2年前より黒色調を帯びてきた。初診時,
丘疹が出現し,次第に両前腕,膝高,胸背部にも生じる
左ド眼険の内側3分の1に11×10ml大,ドーム状に隆
ようになった。
現 症:両前腕から上腕,肩,胸部,背部,一部膝高に
圧痛の著明な,淡褐色から淡紅色の,表面に光沢を有す
合・形成外科)
起した有茎性,青灰黒色の腫瘤を認める。表面は平滑
で,弾性軟。腫瘤の基部は捷毛縁にほぼ一一致しており,
る,小豆大までの丘疹が多数認められた。
病理組織学的所見:真皮内にエオジン好性の線維な
いし線維染が種々の方向に走りながら腫瘍塊を形成し
結膜面には異常を認めない。所属リンパ節は触知しな
い。病理組織学的所見:真皮内に腫瘤のほぼ全体を占
める嚢腫構造を認める。嚢腫壁は表皮と連続せず,厚
いる,嚢腫壁および細胞塊には所々に小腺腔の形成が
ていた。その腫瘍線維は, Masson's trichrome染色
にて暗紫色, van Gieson染色にて黄色を呈し,平滑筋
みられる。壁を構成する細胞は大小不同で細胞質に富
への分化を示していた。
さが不均一で,一部は細胞塊となって内腔に突出して
み,核の異型性かおる。腫瘍細胞質内には細穎粒状の
空胞を認め,ズダン
染色に陽性を呈す。嚢腫内には
エオジン好性の無構造物質と赤血球,コレステリン結
晶をみる。治療および経過:単純切除して病理組織診
断確定ののち,手術廠痕部を含めて広範囲に全摘,縫
縮した。術後現在まで再発,転移を認めない。充実性
でなく嚢腫様のマイボーム腺癌は稀。
CR-31 足底に生じた平滑筋肉腫の一例
CR-32 放射性皮膚炎z発生した平滑筋肉腫
真家興隆,下居佳代子,多田有平,高橋伸也(秋田大),
山村弟一,
斎藤 謙(同1病理〉,石河知之(仙北組合)
(大阪大学)
58歳,女.既往歴,家族歴:特記事項なし.
5月15日初診.
1990年
症例:59才男性。 35年前,前縦隔腫瘍の診
■78年頃年前左足底の腫瘤に気付いた.
断にてコバルト照射をうけ, 以後放射線皮膚炎に
’80年7月胡桃大となり仙北組合病院外科で切除を受け
た.
罹患。 一年前より同局面に皮下結節が生じ, 徐
' 86年再発,次第に増大し鶏卵大となり本年4月に
々に腫瘤化したため当科入院となる。 病変部は鎖
同外科を再診,当科紹介さる.現症:左足底に47×
46
爾罰ゝ高さ18uの,円形でドーム状に隆起した弾性硬の
織にかけて比較的境界明瞭。な結節がみられ, 束状
な腫瘍性細胞浸潤が見られる.浸潤細胞は比較的大型
にうねりを伴って増生し, 好酸性に富む腫瘍細胞
で明るい胞体と,明瞭な核小体を有する核を待った全
i th e 1i 0i d
体を持ったspindle
は核周囲に空胞を伴い,所々に異型性にとむ多型畑
ceいと,比較的細長い核と胞
が散在している。 電顕学的に腫瘍細胞の胞体は,
eel 1からなっているPAS染色は
dense
前者で陰性,後者で弱陽性.抗keratin染色,抗S-100
Ce口で弱陽性.抗V
die
form
ti n染色,
spindle
i men ti n染色,陰性.電顕:spin-
eel 1にlyofilament様線維を認める.以上より
I e i 0IBy 0 s a r c 0 m aと診断,辺縁より2−
の一部を含めて切除,
c ros sべeg
body
を伴った筋線維に富んでいる。 光顕・
電顕的所見より平滑筋肉腫ど診断した。
染色はともに陰性.抗NSE染色では主にspindle
の細胞に弱い陽性反応あり.抗ac
骨を含めて拡大切除し,皮膚フラップを植皮した。
手術材料の組織学的所見は, 真皮下層から皮下組
腫瘤あり.病理組織像:表皮直下から皮下にかけて密
体に円形のep
高田明義, 東山真理, 吉川邦彦
考察:放射線治療後に発生した平滑筋肉腫は,
今までに3例報告されており稀な疾患である, い
ずれも真皮上層型で立毛筋由来と考えられている。
しかし, 本症例は真皮下層から皮下組織にかけて,
3Cm離し,足底筋
flapで修復した.
境界明瞭な腫瘍結節が増殖し一部では小血管壁との
交錯がみられ, 血管平滑筋由来が示唆された。
345
CR-33 打撲後に生じたacquired
fibrokeiヽatomaの4例
periungual
CR-34 Infantile
Digital Fibromatosisの1例
堤 正彦,土橋英治,岩田 充,渡辺亮治,大塚藤男
青木幹泰,本庄三知夫,馬場俊一,鈴木啓之(日大)
(東大分院)
症例1
lnfantile Digital Fibromatosisは主に乳幼児の指趾
:30歳,女。
10年前に右第1趾を打撲後,爪
甲外側に亀裂が生じた。症例2
:31歳,男。5年前に
に好発する線維性腫瘍であり,組織学的肥腫瘍細胞内
右第3趾を打撲後に,爪甲内側に爪甲下血腫を生じた。
に好酸性封人体を認めることが特徴である。今回われわ
症例3
れは生後2ヵ月の男児の左第5趾末節背面に発生した本
:45歳,女。 3年前右第1趾を打撲後,爪甲内
側に亀裂が生じた。症例4:78歳,男。約拍年前右第
症のl例を経験した。腫瘍け爪甲を圧排レ急速に増大し
5趾を数回打撲し,出血をみとめた。4例とも線維状
た為,診断確定の目的をかねて切除,全層杖皮術を施行
又は銃弾形の小結節と,外傷部後爪郭より趾端にかけ
した。組織学的に腫瘍細胞内に好酸性封人体を認め,電
て小結節と同じ幅の帯状陥凹をみとめた。手術時所見
顕的に同封人体が細線維の塊であることを確認し,
:4例とも病変は爪母直上から始まる。組織所見:角
fantile Digital Fibromatosisの診断を得たが,臨床的
質層の肥厚,有縁層増生を主体とした表皮肥厚,真皮
にはDerma
内の線維芽細胞の増生をみとめる。本症の発症は外的
Tumor
刺激(打撲)が誘囚であると考えた。
lnfantile Digital Fibromatosisは自然消痍例の報告
tofibrosarcoma
of Tendon
Protuberans, Giant
In^
Cell
Sheath等との鑑別が問題であった。
もあり,一般に無治療で経過観察することが多いが,自
験例の如く発育の急,連な場合,切除して組織学的に検
索し,悪性腫瘍と鑑別する必要があると思われる。再
発率について文献的検討を加えると共に本症の取り扱
いの難しさか強調したい。
CR・35 B
e d n a r t u mo rの1例
CR-36 デzモづド腫瘍として切除した悪性線維性
組織球腫(MFH)の1例
木ノ内基史,松尾 忍,松本光凧飯塚 一一(旭川医大)
渡辺 信(市立稚内)
本多芳英,山崎白子,徳田安基(市立岡谷),藤原正
之(同病理)
Bednar tum。rは臨床的,生物学的に隆起性皮膚
線維肉腫(DFSP)に類似し,組織学的にはDFSP様
44歳,女性。 2年前より上背正中部に小指頭大の皮
の組織に色素細胞を認めることを特徴としている。我々
疹が出現。 1年前より急激な増殖を認める。当科初診
は,比較的稀な本膳瘍の1例を経験し,電顕及び免疫組
時,85×60"
織学的に検討したので報告する。症例:64才女。初診:
腫瘤。CTにて,腫瘍底は胸椎の輯突起に接し,わず
平成元年11月16日。約漢)年前から左肩に無症候性の茶褐
かに筋膜にて隔てられている。生検所見より,異型細
色の皮疹かおり,徐々に隆起してきた。皮疹は大きさ約
胞をわずかに認ぬるD
3×2cmの辺縁不整な局面で,一部に黒色を呈する硬
健常部を含め広範囲に切除し中間層植皮術を施行。
い腫瘤を認める。光頭ではDFSP様の組織に色素細胞
摘出腫瘍組織では, tumor中心部の真皮内に境界不鮮
を散在性江認める。電命的には,腫瘍の大部分を占める
明な2a大の軟かい結節形成が見られ,これはeel
細胞は紐上の細長い細胞突起を有し,核は紡錘形から楕
la rityが高く異型性の強い細胞が認められる。 しかし
円形で,比較的よく発達した粗面小胞体を持つ。さらに
腫瘍内には発達したメラノソ一ムを持つメラノサイトと
散在する神経線維束を認める。免疫組織化学的にはS一
100 蛋白(氏8),ビメンチy, 01,,-アンチトリプシ
/を施行したが全て陰性であった。
,広基性ドーム状隆起,弾性硬,淡紅色
e smo i d
tom・rと診断す。治療:
核異型は遠位部ほど乏しく,線維が増加してaggre
s i V e fibromatosis
(desmoid
ている。全体として組織学的にs
1 u-
s-
tumor)様形態を示し
to ri f o r m p I e omo r-
phにtyp・のMFHと診断す。現在後療法中である。
346
CR-37 Mixoi
d七ypa
liposarcomaの一吋列
CR-38 99゛TC DT PA シンチグラフ4−により腹腔
腫瘍病変の確認されたRecklinghausen病1症例
毛利忍、豪松下和彦(横浜栄典折皮膚科、同病埋)
患者は56歳男性。昭和63年初め頃右肩に柔らか
石井敏直(国立高崎),杉山純夫,鈴木良彦(同放射
線科)
い腫瘤があるに気づいた。同年8月当科初診。右肩甲
骨部に、直径3
2mmの丘状隆起した柔らかい腫瘤あ
神経線維腫に^^"Tc
DTPA
(diethylenetriamiTie
り脂肪腫と診断した。経過観察としたが、平成2年7
pentaacetic acid)が集積するというMandellら(1985)
月腫瘤の増大を訴えて再来した。直径50mmと増大
の報告があり,本邦では井田らがすでに(1987)それを
がみられたため、9月]、1日切除したo
確認している。皮膚科領域においてもRecklinghausen
手術時所見:腫瘍は薄い繊維性の被膜に包まれてお
病内臓腫瘍病変検索のスクリーニングとして有用であ
り、一塊として摘出縫合した。肉眼的にはごくわずか
ると思われ,本症1症例に施行し,腹腔内腫瘍を発見
に青みを帯びた、正常
・訪よりやや大きめの小葉より
し得たので報告するっ
なる、脂肪腫と思われた。腫瘍半切詩にかなりやおら
症例,43歳主婦。家族歴では2大の娘に同症を認め
かなゼラチン湊吻質の流出をみた。
るが,両親,同胞にはそれがないという。幼少の頃よ
組織所見:豊富女膠、原繊維束に境ぷれた脂肪織で、
り全身に淡褐色斑が多発しており,25歳頃から皮膚腫
多量のムチンを含む。脂肪織の核はクロマチンに冨み
瘤病変が生じてきたという。皮膚結節の一部摘除を希
異型性が目だつ。以上の所見より粘液型脂肪肉腫と診
望し来院した際,99゛TCDTPAシンチグラフィーを
断した。
施行したところ,右下腹部前方に異常集積像が認めら
治療と経過:粘硬型であるので、このまま経過観祭
れ,これは腹部CT像でも確認された。なおその後の
としだ。現在のところ、局虜再発は見られていなしち
触診でも右下腹部腹腔に手拳大腫瘤が確認された。
CR-39 色素性神経線維腫の1例
CR-40 神経鞘腫症の1例
相良宗徳,今井俊哉,中山恵二,西原 潔,中村進一,
大草康弘,長島正治(杏林大)
[日医大(第1)]
50歳,女。昭和62年4月7日初診。家系内に同症な
27歳,女性。生下時より左上肢に色素斑が認めら
し。現病歴:33歳頃左前腕に手拳大の腫瘤が出現。35
れた。初診の10年前より左上肢の肥大が出現。徐々
歳頃左下腹部の手掌大の皮下腫瘤に気づき,左聴力低
に肥大してきたため,
下も出現したため某院受診。左前腕の腫瘤の切除をう
1990年4月4日当科受診。初
診時,左上肢に辺縁が不規則で,褐色ないし黒褐色の
けレックリングハウゼン病(R病)と診断された。
色素斑及び,肥大が認められた。病理組織では,表皮
歳頃より左聴力低下が進行し,左視力低下も出現した
直下から皮下脂肪織にかけて,長円形の核を有し,好
ため当院脳神経外科受診。左聴神経腫瘍(神経鞘腫)
酸性に淡染する細胞質をもつ細胞がびまん性に増殖。
と右頭頂部髄膜腫を指摘され切除術施行。50歳時両側
また脂肪織までメラニノがみられた。
聴力低下,視力障害,右顔面神経麻庫が出現し脳神経
外科へ再入院。2∼3年前より出現した皮膚の多発性
腫瘤を主訴に当科受診。初診時右肩,右腰部,右下腿
に淡紅∼紫紅色,碗豆∼桜桃大の皮内∼皮下腫瘤を計
5個認め,左下腹部には15年来存在する小児頭大の皮
下腫瘤を認めた。色素斑ト)。頭部X線,CTで両側聴
神経腫瘍を認め切除術施行。組織は皮膚腫瘤,聴神経
腫瘍とも神経鞘腫であった。
皮膚に神経鞘腫が多発し,さらに全身の神経系統の
神経鞘腫を伴う病型はR病とは別の系統的疾患とみな
すべきであり,神経鞘腫症と呼ぶべきと考えられる。
39
347
CR-41 s
c c を合併したメルケル細胞癌の1例
古城八寺子,皆本景子(熊本中央),小野友道(熊本
CR-42 Merkel
celltumor の一一例
渡辺匡子、荒木由紀夫、菅原 信(警友)
大)
症例:62歳男。初診:平成2年3月22日。主訴:左
症例:82才,女性。 初診の2ヶ月前より右前額部
下腿外側の腫瘤。既往歴:脳梗塞、糖尿病。現病歴:
に面皮を伴う皮疹が出現,癈斥あり。近医にて外用療
初診の半年前頃より腫瘤あり、次第に拡大す。現症:
法を受けるも1ヶ月後に腫瘤を形成してきたため当科
小指頭大暗紅色、半球状隆起性、表面平滑で中央にび
を受診。
らんを有し、下床と可動性の腫瘤を認めた。表在リン
現症:25×27mm大褐色斑上に20×21
m口l大の表
面びらんを呈するドーム状紅色腫瘤で下床との癒着は
パ節腫張なし。臨床検査成績:7-GTP(80U/で)とFBS
(120m9/dl)以外は正常。経過:3月26日生検、4月26
ない。リンパ節腫大なし。
日広範囲切除、分層植皮、左ソ径リンパ節廓清術を施
組織学的所見:表皮は一部真皮内へ増殖しSCC様所
行。廓清リンパ節への転多なく、胸部X線、体部CT、
見を呈す。更に真皮上層から皮下脂肪織にかけて小型
腹部エコー、全身Gaスキャンにても異常所見なし。
の好塩基性円形細胞から成る腫瘍巣が広範囲に存在し,
現在まで局所再発、遠隔転移はない。病理組織学的所
核分裂像が著明でtrabecular
見:表皮直下から真皮中層に、びまん性、一部索状に
巣内にもsquarnous
patternを示す。同腫瘍
eddy様所見が散見されるが,その
腫瘍細胞の増殖を認める。腫瘍細胞は小型で、円形な
境界は不明瞭で両腫瘍細胞の移行を思わせる。ケラチン
いし楕円形の核を有し細胞質は乏しく、核分裂は多数。
・NSE染色,電顕所見等よりSCCとメルケル細胞癌の合
Grimelius染色、Cromogranin、Keratin、EM
併例と診断した。 NSEは小型円形細胞のみに陽性。
電顕所見:細胞質にneurocndocrine-type
ケラチンはSCC部のみでなく両者の移行を思わせる部
nulesを認め、organellae は比較的乏しく、細胞間の
分では小型円形細胞にも弱陽性を示した。
desmosorae like junction は著明。以上の臨床、組織、
電顕所見より本例をMerkel
A 陽性。
cored era-
cell tumor と診断した。
CR-43 続発性リンパ浮腫の2例
CR-44 Neoplastic
酉抜和喜夫(東北厚生年金)
小西啓介,野田洋介,石丸佳子,平野員也,山西清文,
angioend。the]iosisの‥-例
岸本三郎,安野洋一一(京府医大皮膚科)
第1例;22才男(自衛隊員)。初診拍89年11月。同
後藤秀夫,稲葉 享,島崎千尋,藤田直久(同2(勺)
年9月上旬,演習に行く雅の中で右頬を下にして3時
間位熟睡したあと,同僚に右頬の腫脹を指摘された。
76歳,女性。約2年前より両側下腿外側に有痛性の
初診までの2ヵ月間,浮腫性腫脹は消失せず続いてい
皮下結節が出現したが放置していた。内側にも皮疹が
た。組織像は,真皮上層の著明な浮腫とリンパ管拡張。
拡大したため当科を受診した。結節性紅斑の診断で加
トラニラスト内服にて腫脹軽減。
療していたが,皮疹がさらに拡大するため生検を実施
第2例;21才男(大学生)。 初診1990年1月。1989
したところ,真皮中層から皮下組織の小血管内に大型
年1月,右頬をドアにぶっつけたあと前額部右側に浮
でクロマチ,ンに富む円形ないし類円形の核を有する腫
腫性腫脹出現,同年夏には何ら誘因なく左耳前部にも
瘍細胞が充満していた。 これらの腫瘍細胞の‥一部は
同様皮疹出現。浮腫は持続性。前額部の組織は真皮上
LCA陽性を示したためNeoplastic
層のリンパ管拡張,耳前部のはリンパ管拡張とリンパ
と診断した。その後,動眼神経麻庫の症状が出現した。
管・血管周囲性のリンパ球・組織球を主体とする軽度
VEPA療法4クールにて皮疹は消退したが,動眼神経
炎症細胞浸潤。冶療(トラニラスト)開始後来院せず,
麻庫は完治しないため現在治療継続中である。
効果判定不能。
考察;第1例は圧迫,第2例は外傷(?)による続発
性リンパ浮腫。両例とも組織学的には明瞭な肉芽腫変
化なし。第1例のような比較的急性期にはトラニラス
トが有効の印象。第2例のように未治療で長期慢性化
する場合には肉芽腫性変化が出現する可能性あり。
angioendotheliosis
348
CR-45 Neoplastic
加藤恵子,森
angioendotheliosisの一例
理,蜂須賀裕志,笹井陽一郎(久留
CR-46 日本人AIDs患者の皮膚悪性腫瘍
赤城久美子,関藤成文,北郷 修(都立駒込),根岸昌
功,八森 啓,増田剛太(同感染症科),坂東正七(同
米人)
形成外科),清野和子(多摩老人医療センター)
患者は51歳女性。初診の約半年前全身倦怠感があり,
右下腿内側に浸潤を有する暗紅色斑が出現した。その
当院入院日本人AIDS患者のKaposi肉腫3例,皮膚
後躯幹,四肢に同様の皮疹が増加してきた。初診の1
悪性リンパ腫1例を供覧する。症例1:41歳,同性
ヶ月前より39で台の発熱があり近医を受診するが軽快
愛男性。カリニ肺炎,肛囲膿瘍あり。昭和63年1月
せず,当科に紹介され入院した。下腿の皮疹の生検組
右前腕,足縁,腹部に紫紅色皮疹出呪し,生検からKapo一一
織では真皮上層から皮下脂肪組織にかけて小血管内に
si肉腫と診断した。2ヵ月後に血栓性血小板減少性紫斑
大型のリンパ球様異型細胞を多数認めた。異型細胞は
病で死亡。症例2:40歳,同性愛男性。平成元年9月,
第Ⅷ因子陰性,Pan-B陽性,HLA-DR陽性,
右下腿,前腕,足底に紫紅色皮疹出現し,局面形成。
chainおよび入-
1ight chain陽性であった。これらの
所見より腫瘍細胞はB
本症はB
IgGr-
cellと考えられた。したがって
cell lymphoma
主体とするneoplastic
の中でも血管内での増殖を
angioendot heliosis と診断し
た。患者は発症より8ヶ月後に死亡した。
カンジダ性食道炎あり。10月からAZT投与,平成2年
9月からddlに変更しているが,皮疹の増悪なく仕事
を続けている。症例3:41歳,同性愛男性。全身CMV
感染症あり。平成元年8月,右前腕に皮疹出現じ下腿
に拡大。AZT,
IFNニ・の投与で皮疹の増悪なし。症
例4:32歳,既婚男性。異性からの感染。牛成2年7
月から左眼瞼上部に腫瘤力X発生し急速に増大のため摘
出術を施行した。組織はB細胞性悪性リンパ腫。現在,
ベータトロン電子線照射中。肺クリプトコックス症を
併発している。
CR-47 ケルズス禿術の重症例
CR-48 骨髄線維症にともなった限局性自癖性肉芽
腫の一例
下貞正子,谷口彰治,中川浩‥・,幸野 健,谷井 司
演田稔夫(大阪市大)
楠原正洋,辛島正志,田中克己,蜂須賀裕志,笹井陽
一郎(久留米大)
3歳,女児.初診:平成2年4月27日.家族歴:兄
に同症あり.現病歴:平成元年10月頃より脱毛斑のあ
72歳,女性。骨髄線維症にて内科加療中,数週間前
る猫を飼っていた.12月頃より頭部に直径約1cmの皮
から右側腹部に体部白癖が出現。その後右下腿にも白
疹を生じた.複数の近医にて,アトピー性皮膚炎の診
癖を生じ,同病巣内に紅色丘疹が散発,以後増数,増
断で内服,外用治療を受けていたが,皮疹は徐々に拡
大してきた。組織片および周囲の鱗屑の真菌培養で
大してきた.現症:後頭部から頭頂部にかけて,厚い
Trichophyton
痴皮で被われた膿庖を伴う15×lScmの巨大な脱毛斑と,
真皮内に肉芽腫の形成かおり,
後頭部のリンパ節腫脹がみられた.検査:毛髪,膿を
要素を認めた。
材料とした,サブロー寒天培地による培養で菌の発育
限局性自癖性肉芽腫は,現在まで20数例の報告がな
を認め,巨大培養で白色絨毛状,裏面は黄色のコロニ
されているが,その多くは基礎疾患が存在し,それに
rubrumを同定した。病理組織所見は
PAS染色で多数の菌
ーを観察した.さらに,スライド培養で紡錘形の厚い
伴うステロイドもしくは免疫抑制剤の投与がなされて
外膜と房室を有する大分生子を認め,菌種をmicro-
いる。本症例も骨髄線維症にてプレドニソロン20mg
sporum canis と同定した.治療:グルセオフルビン
/dayおよびブスルファン3
125ing /dayと抗生物質の内服,オリー−ブ油外用を行
おり,細胞性免疫の低下が誘因となったと推察される。
い,6月初旬にすべての痴皮を除去した.7月頃より
毛髪の再生が認められはじめ,10月末には,ほとんど
脱毛を認めない程度に回復した.
mg/dayの投与を受けて
349
CR・49 D
i s s em i 0 a t e d
Cand
i d i a s
CR・50 成人T細胞白血病(ATL)に合併した急性皮
膚粘膜カンジダ症の1例。
須藤 学(市立旭川)
細川篤,宮城嗣名,宮里肇,名嘉真武男(琉大皮膚科)
n歳男。初診:昭和63年12月H日。慢性呼吸不全が
増強し,挿管およびIVHによる栄養補給を行ってい
症例:67歳,女性。初診;昭和61年4月15日。主訴;
る。躯幹を中心に,毛包炎状,あるいは汗疹のような
略全身の落屑性褐色斑。現病歴;約5年前から某医で
丘疹が,播種状に散在している。水庖内容の鏡検でカ
湿疹,口腔カンジダ症の診断で治療を受けるも難治で
ンジダ陽性。IVHのチューブの交換,抗真菌剤(フ
あった。約1ヶ月前より皮疹が増悪してきた為,当科
ロリード)の静注により,皮疹,全身症状ともに改善
を受診。初診時,口腔に白帯,体幹に環状紅斑,手指
した。他の症例もまとめて,本症の特徴について述べ
爪の混濁肥厚が認められ,すべての部位よりカンジダ
る。
が検出され,急性皮膚膜カンジダ症と診断された。治
療は抗真菌外用剤では難治の為イトラコナソールの投
与を試み皮膚及び口腔粘膜は約2週間で略治。末血の
異型リンパ球17%のためATLを疑い内科に紹介。精査
の結果,慢性型ATLと診断された。その他左下腿に鶏
卵大の灰褐色斑が認められ,生検にてBowen病と診断
され,広範囲切除,全層植皮術を施行。術後約2ヶ月
目に植皮部に一致しておびただしい疹癖虫が検出され
た。平成2年8月易疲労性,食思不振,リンパ節腫脹
等の症状か出現し,白血球数35.9×103/回3,異型リ
ンパ球37%,LDH
2368IU/
1 などの異常所見が認めら
れ, acute crisisとして内科に入院加療中である。
CR-51 KID症候群児にみられたカンジダ性肉芽腫
CR-52 Candida
allパg9の白血球遊走活性
と異物肉芽腫
川津友子,樽谷勝仁,西井芳夫,園田早苗(関西労災
飯泉陽子,伊崎誠一,北村啓次郎(埼玉医大医療
センター)
病院)
目的:皮膚カンジダ症では,病変部にしばしば膿庖
本症例はKID症候群(Keratitis,
Ichthyosis
and
を形成する。膿庖を形成する機序には種々の化学走化
Deafness)の本邦第一例として村松らの既報告例であ
性因子の関与が考えられる。本研究ではC.albicans
る。生下時より皮膚は粗造で,汚植痴皮を付着し,皮
培養上清の化学走化活性の有無を検討しようとした。
膚感染症を反覆。4歳頃より頭部に厚い痴皮が次々に生
方法:Lヘパリン加静脈血を室温で120分静置し白
じ,圧迫により膿汁と角質塊の排出あり。5歳頃より顔
血球を含む血漿分画を採取した。遠心し,溶血法によ
面にも膿汁排出を伴う厚い痴皮が,頭部には波動をふ
り赤血球を除去した。再び遠心後白血球ペレットを生
れる結節か次々生じ,黄色ブ菌とカンジダが分離され
食1
「に懸濁しFicoll-Paque密度勾配遠心法にてま
た。両者の共通の組織像として著明な過角化,毛孔角
粒球分両を採取した。2.患者より分離したC.albicans
栓部にPAS陽性菌要素が多数存在,表皮突起の延長。
を液体培地で27
顔面では真皮の毛細血管拡張と主としてリンパ球,形
液及び培養上清を作製した。
質細胞が浸潤。頭部結節では真皮内の嚢腫壁が破れ,
を用いて白血球走化活性を測定した。
角質が真皮内に露出し,これをとりまき炎症細胞,巨
成績;コントロール,菌培養上清の原液,%希釈,
細胞をみる。抗真菌剤の外用と内服治療に対する反応
垢希釈,絹希釈で測定した。コントロールの遊走細胞
について報告する。カンジダ性肉芽腫を生じるに至っ
数6.8士6,65に比べて原液では25.2土460,71
たのは看護不足も一因と考える。
±25.3;垢希釈19.4土10.02
C 5日培養し,その菌要素を含む培養
球遊走活性を示した。
3.Boyden chamber 改良法
;>3希釈40.6
; ‰希釈11.6士4,03と白血
350
CR-53 長期間に亘って再発を繰り返すPhial
ophora
CR-54 限局性皮膚クリプトコッカス症の1例
vcrrucosaによるタロモミコーシス(続報)
渡辺篤子,本庄三知夫,鈴木啓之(日大)
加藤卓朗,西岡 清(東医歯天)
萩原照久(同内科),篠田孝子(明治薬大)
香川三郎(東京都)
55歳。男性。現病歴:慢性間質性肺炎にてステロイ
共同演者の香川が西日皮膚43
: 1062 −1067,1981に報告
ド内服中。5ヵ月前より前額右側に座康様丘疹が出現
したものと同一症例。昭和56年以降皮疹を認めなかったが,
し漸次拡大。鳩の飼育及び外傷の既往はない。現症:
63年6月に再発した。現症:左大腿内側に以前の病変の手
上記部位に6×8×3mの潮紅を伴う潰瘍。所属リン
術報痕から約6㎝離れて痴皮と角化を伴う浸潤を触れる23
パ節の腫脹はない。組織所見:形質細胞,リンパ球,
×30nの暗赤色肉芽腫性結節を認める。組織所見として表
組織球,好中球からなる肉芽腫。
皮の偽癌性増殖と真皮浅∼中層の巨細胞を混じる桐密な細
素陽性。サブロー培地にて白色クリーム状集落。墨汁
胞浸潤を認め,菌学的所見として痴皮中と真皮内に淡褐色
染色にて莱膜を有する菌細胞を認めた。 血清学的に
の菌糸形菌要素を認め,
Cryptococcus
Phialophora
verrucosaを分離し
たことは前回と同じ。検査所見:免疫学的検査を含め異常
なし。治療と経過:イトラコナゾール(ICZ)により臨床
的には改善したが,菌は陰性化しないため,フルコナゾール
に変更したが,皮膚転移巣を生じたため中止。ICZを再開
neoformans
PAS染色にて菌要
vav neoformans
serotype
Aと同定。臨床検査は異常を認めず。血液,尿,喀痰,
髄液からの培養は陰性。以上の所見より限局性皮膚ク
リプトコッカス症と診断し,現在アンホテリシンBの
外用及びフルコナソールの内服にて経過観察中。
し,温熱療法を併用したところ著明に軽快した。その後
ICZを中止し,ミコナゾールを2週間静注したところ,
ほぼ略治し,菌も陰性化。さらに温熱療法のみ3ヵ月続け
て中止したか再発はない。
CR-55
皮膚ノカルジア症の1例
○小林博人,河崎昌子,石崎 宏(金沢医大),
CR-56
三上
放線菌症のI例
山口 潤,滝野長平(九段坂)加藤卓朗(東医歯大)
嚢(千葉真核微生物研究センター)
症例:40歳,男性。自動車運転士。初診:平成2年
7月24日。現病歴:平成2年4月,近医歯科受診し右
70歳男。既往歴:66歳時,アルコール性肝線維症,
第1大臼歯の歯カリェスと診断された。5月頃同部に
1990年4月27日より皮膚アレルギー性血管炎でプレドニ
歯肉炎を生じた。この頃より右下顎部にしこりを生じ
ソロン309/日内服中。現病歴:同年6月11日頃,左足
排膿したので抗生剤を内服した。排膿は止まったが,
底胃痛部に有痛性皮疹が出現。6月18日当科受診時,同
しこりは縮小せす当科を受診した。現症:右下顎部に
部位に25×23",淡紅色の強い浸潤を伴った紅斑をみた。
栂指頭大,軽度隆起し表面平滑な暗赤色の小結節を1
1週間後,歩行時疼痛が出現し,同部位はドーム状に隆
つ認める。下床とは可動性がほとんどなく,周囲に発
起し,波動を触れた。小切開を行ったところ。黄色粘調
赤を認める。圧痛はごく軽度。病理組織学的所見;真
な膿汁をみとめた。膿汁のグラム染色所見:グラム染色
皮の浅層から深層にかけて感染性肉芽腫像を呈し,中
陽性の繊細な,分岐する糸状物をみとめた。穎粒形成∩。
層に類円形の菌塊を1つ認める。菌塊にはグラム染色
膿汁,組織片の培養:Nocardia
で菌糸を認め,その太さは約1μm,菌塊の辺縁には梶
asteroidesを分離。組
織像ト真皮内に膿瘍病変あり,グラム陽性菌糸をみとめ
棒状突起を認める。菌の分離培養はできなかったが,
た。治療と経過:6月28日よりミノサイクリン2009/日
臨床的,病理組織学的所見から本症例を放線菌症と診
投与開始。 7月25日左足底母趾球と小趾球の間に25×
断した。治療:術後抗生剤のみで経過観察中。考案:
llMM,僅かに隆起した淡紅色の浸潤性紅斑が新たに出
抗生剤の繁用により最近では定型的な症例は少なくな
現,圧痛を伴う。スルファメトキサソール29を追加し,
ってきているが,顔面,頚部で排膿をくり返す腫瘤で
8月下旬には両病変とも消失した。治療開始4ヵ月後,
は本症を疑う必要があると考えられた。
内服を継続し再発はない。
351
CR-57 皮膚ムコール症の一例
CR-58 母乳からvzvDNAが検出された成人水痘
鈴木 幹、滝口好彦、竹之下秀雄、金子史男(福島県
吉田正己,山上七寿子,手塚 正(近畿大),
立医大)斉藤由理恵、三次 実、丸山幸夫(同院第一
本藤 良(国立公衆衛生院)
内科)
症例:27歳,女(出産後2か月)。初診ン平成2年
M
u c o r科真菌は自然界に広く分布しており、一
1月11日。既往歴:水痘の既往なし。現病歴:1月10
般培養上の汚染雑菌であるが、時に日和見感染症とし
日より小水庖を生じる。現症:全身に小水庖が多発。
て脳、肺、消化管などに内臓ムコール症として発症す
ウイルス学的検査:1月24日,
る。一般に本菌類は強い血管親和性のため梗塞や血行
vzv
性転移を起こすが、稀に皮膚ムコール症として発症す
PCR法を用いて皮膚病変部,血液,母乳からVZVDNA
る。今回われわれは、皮膚ムコール症を経験したので
が検出された。1月25日,患者のは乳を飲んでいる
これを報告する。
生後2か月の男児が水痘を発症した。
症例:58才女性。5年前より糖尿病にて加療を受
ATLは母乳を介してHTLV-1のほ子間伝播が示唆
けている。平成元年5月より・当院第一内科にて、前白
されているが,
血病として加療を受けていた。同年12月、急性骨髄
路が存在する可能性がある。
VZVCF抗体価32倍,
lgG-S(EIA)540(+),VZV IgM-・C(EIA)3.68(十)。
vzvも母乳を介して伝播する感染経
性白血病へ移行。本年8月下旬頃、扉に接触打撲した
右前額部に疼痛を伴う腫瘤が出現し、急速に増大、発
熱、順声も伴うようになった。 9月18日、右大脳半
球に広範囲梗塞を生じ死亡。死亡時に得られた病変部
の組織では、隔壁の無い比較的大型の菌糸と好中球、
大小様々のリンパ球様細胞の浸潤が認められた。組織
学的および真菌培養から本症と診断した。
CR-59 Hunt症候群の1例
CR-60
筋変性を認めた腹壁膨隆を伴う帯状庖疹の
1例
小林裕明,盛岡奈緒子,奥野哲朗,・中林康青(ニ井記
念)
三原祐子、岩崎和美、三原基之、島雄周平(鳥取大)
症例:57歳男。既往歴:17歳時に帯状庖疹。4年
症例:72歳、男性。現病歴:平成2年4月25日頃、
前よ川曼性肝炎。現病歴:平成2年6月29日頃より左
右側下部胸髄域に有痛性の紅葉を伴う小水庖が生じ、
頭頂部に疼痛出現。6月30日より左上眼瞼下垂,左口
少し遅れて便秘傾向が出現した。 3週問後、同部に小
角下垂し,左側頭部にも疼痛拡大。7月1日よわ左耳
児頭大の腫瘤が出現した。現症:右側腹部に小児頭大、
介周囲に,紅筆を伴った小水庖が出現し7月5日当科
弾性軟、皮膚との可動性良好な腫瘤を触れ、その腫瘤
受診。聴力異常l耳鳴か,めまい,味覚障害はみられ
は腹圧により著明に膨隆した。また同部とその周囲に
なかった。帯状庖疹の重篤化によるHunt症候群の診
は帯状に米粒大∼母指頭大の褐色の色素沈着を認めた。
断にて,アシクロビル点滴,プレドエゾロニ/,ロキソ
検査所見:筋電図にて神経原性変化(一一)。腹部C
T
プロフェン等内服にて疼痛軽快,皮疹も上皮化したが,
にて右側腹壁筋の非薄化以外にabnor、al
顔面神経麻庫は持続。顔面神経減荷術は効果が一定し
られなかった。知覚検査にて痛覚が患側でやや過敏以
mass
てい在いため施行せず,メコバラミン,アデノシン三
外は、温・冷・触覚とも患側でやや鈍麻または左右差
リノ酸ニナトリウム内服のみで経過観察中である。
なし。サーモグラフィーにて患側で点温度0.
VZV−CF抗体価は,初回16倍,2週間後32倍に
平均温度0.2 °C上昇。右側外腹斜筋生検にて筋線維の
とどまっている。3ヵ月目では顔面神経麻葎症状も徐
萎縮、変性。軽度炎症細胞浸潤を認めた。経過:腹壁
々に改善をみせている。本症の治療,経過について,
膨隆は3ヵ月後徐々に改善した。疼痛は持続硬膜外神
若干の考按を加えた。
経ブロックによりやや軽減、さらにカプサイシンクリ
ーム塗布により一時劇的に改善したが、5ヵ月後現在
完治には到っていない。
は認め
4 "C低下、
352
CR-61 稀な臨床像を示した第二期梅毒疹の2例
CR-62 喉頭腫瘍を疑われた2期梅毒疹の1例
小林早由美,山城将臣,松永順,古賀道之(東医大)
田宮由美子、佐々木映子、畑 三恵子、矢島 純、
頼徳治(同眼科)
本田光芳(日医大)、大河原大次、富山俊一(同耳鼻科)
症例1
45歳男。1ヵ月前より復声が出現、次第に増悪した。
:54歳女。肝硬変合併。平成2年8月1日よ
り高熱を発し掌鍍に皮疹出現。漸次,四肢,顔面へ拡
某大学病院耳鼻科にて喉頭腫瘍を疑われ、当院耳鼻科
大。9月5日当科受診時,口腔粘膜はびまん性に発赤,
に入院となった。梅毒血清反応に陽性を示したため、当
扁桃腫脹を認める。掌蔵に示指頭大の浮腫性紅斑,水
科へ紹介された。
庖多発し,一部膿庖化。前腕,膝蓋には紅色丘疹散在。
初診時、口腔は軟口蓋を中心として浮腫状に発赤、腫
手掌の皮疹の組織像は,表皮内水庖と血管内皮細胞の
脹し、一部に白色斑がみられた。頭部には不完全脱毛
浮腫膨化,内腔閉塞。リンパ球,好中球の密な浸潤を
がみられ、顔面、頚部、躯幹には暗赤色丘疹を認めた。
認めるか,形質細胞は極少数のみ。ガラス板128倍,
肛囲は淡紅色の扁平隆起性丘疹が存在し、足践は紅色
TPHA2560倍。感染機会不明。症例2
丘疹か散在していた。また、右凩径部リンパ節の腫脹
:61歳男。平成
2年7月感染機会あり。8月初め陰茎に皮疹出現。そ
を認めた。肛囲の皮疹かららせん状構造物を検出した。
の後高熱に続いて,体幹,四肢に紅色丘疹散発。手掌
緒方法2560倍、TPHA40960倍、TPHA-IgM4倍、
には一部水庖化した紅斑を認める。遅れて右眼の眼痛,
TPHA-IgG64倍。
充血,霧視出現し眼科受診。ブドウ膜炎と診断される。ガ
ペンジルペニシリンベンザチン150万単位の内服を
ラス板128倍, TPHA2560倍のため9月7日当科招介・
8週間行ったところ、皮疹の軽快とともに、声帯の病変
手掌の皮疹の組織像は,表皮突起の延長と表皮内水庖
も改善し、それに伴い榎声は消失した。
を認め,真皮の形質細胞は極少数。2例ともアモキシ
シリン内服にて改善した。掌陳の水庖ないし膿庖,ブ
ドウ膜炎等は,二期病変として稀。
CR-63 Cutaneous
Leishmaniasis
CR-64 南房総におけるツツガ虫病
一一検査所見と発疹の多様性について一一
実川久美子,森岡理恵,林 伸和,蓮田美哉子,
安西 喬(日赤医療)
宮崎和広(亀田総合)
症例:38歳,男性。初診:平成2年6月25日。植林
ツツガ虫病はその気になって診察さえすれば、みただけ
指導のため西アフリカ,マリ共和国に!年間在往後,平
で簡単に診断がつき、早期に治療すれば、速やかに治癒す
成2年6月帰国。 4月上旬全身に虫刺様皮疹を生じ,
る発疹性リケッチア感染症である。しかし、いったん診断
約1ヵ月後に個疹は局面状を呈するようになり潰瘍化
を誤れば、時には重症化、たとえば播種性血管内凝固症候
した。初診時全身状態良好。肝牌腫なし。口腔,鼻粘
群(DエC)をおこし不幸な転帰をとることがある。
膜に異常なく,顔面を除く略全身に,指頭大暗紅色結
通常、感染症は病日を重ねるごとに診断が容易になるの
節および鷲卵大までの中央潰瘍化した粟粒大暗紅色丘
に、本症がなぜ誤診され、重症化することがあるのか、本
疹集族局面を約130個認めた。組織学的には慢性肉芽
症「多発地区」と言われる南房総において」年間、自ら治
腫像。真皮上層の組織球内に多数のleishmaniaを認め
療を行い、その経過を追うことができた症例について検討
た。L. tropica, L. donovani chagasiを抗原とする間接
を加えた。
蛍光抗体法で,いずれもlgG抗体>320倍陽性。組織
(/)発熱初期にはF’刺し□」以外に発疹がほとんどない
片の培養は成功しなかったか,臨床的,病理組織学的
ことがある。(。2)初期には白血球減少、やがてはむしろ
にcutaneous leishmaniasisと診断した。治療:リファ
増多を示す。り)まれではあるが時には[刺し口]がな
ンプシン450 ng/ 日10週間,スチブナール隔日60昭静注
い症例がある。(μ)病日を重ねると伝染性単核球症と誤
計20回で癩痕を残し治癒した。
診しやすい臨床所見が見られる。
以上、検査データ、成書盲信が誤診の原因と考え、検査
および発疹の多様性について供覧する。
353
CR-65 フタトゲチマダエ若虫,キチマダユ若虫『
CR-66 皮膚比状結核の1例
よる同時多数刺咬症の1例
小池且弥,木ノ内基史,広川政己,飯塚 −(旭川医大)
藤広満智子(揖斐総合病院),古賀香理(岐阜大寄生虫),
角坂照貴(愛知医大寄生虫),山口 昇(埼玉医大短大寄
症例:63歳,男性。初診:平成2年4月4日。初診の
生虫)
糾15年前に大腿後面の小丘疹に気付く。自覚症状ないた
め放置していたか,皮疹は徐々に拡大してきたため当科
症例:79才女性。岐阜県揖斐郡谷汲村在住。初診:
平成2年7月26日。主訴:躯幹・四肢の癈蝉。既往歴,
家族歴r特記すべきことなし。現病歴:数か月前から
を受診。現症:両側の瞥鄙から大腿におよぶ境界明瞭な
暗赤色の巨大疵状局面を認める。組織学的には角質増殖,
乳頭腫かおり,真皮上層ではリンパ球様縦胞の欄密な浸
躯幹・四肢に癈咋を伴う小丘疹に気付いた。毎日畑仕
潤とLanghans型巨細胞を認めた。チール・二一ルセ
事をするが,山に行くことはない。飼い犬r多数のダ
y染色では結核菌を証明できなかつたか,組織片の培養
ユの寄生をみるという。現症:躯幹・四肢にやや浮腫
で結核菌を検出。ナイアシンテスト陽性でありMyco
性の半米粒大の紅色丘疹を散在性に数十個認めた。う
bac te r i um
ち左肘高と左旅寓の丘疹の頂点r体長約lmの黒褐色
結核病変を認めない。INH内服で皮疹は著明に改善し
の虫体を認め,摂子にて皮膚片ごと切除しに。発熱,
たc
tuberculosi
sと同定した。他臓器に
リンパ節腫脹などの全身症状はみられなかった。虫体
はそれぞれ未膨大化状態のフタトゲチマダユ若虫とキ
チマダユ若虫と同定された。
CR・67 結節性紅斑が先行した頚部リyパ節結核の1
CR・68 ペザン硬結性紅斑様皮疹を呈した非定型抗
例
酸菌症と思われる1例
橋本喜夫,小池且弥,川岸尚子,松本光博,飯塚 一
成瀬知恵子,金井貴子,大井綱郎(東京医大霞ヶ浦)
(旭川医大)中野 均(同第1内科)
吉井田美子(つくば市)
症例:47歳,女。職業:中学校教師。初診:1987年10
58歳,女性,農業。初診:平成2年3月28日。
月27日。初診の約3週間前から特に誘因なく,両下肢に
主訴:2ヶ月前より両下腿に,疼痛と癈庫を伴う多発
有痛性紅斑と全身倦怠感が出現し,1週間前から38度台
性の紅斑が出現。漸次拡大すると共に潰瘍化を示して
の発熱と関節痛も伴って当科入院となる。臨床的,組織
きたため当科受診。初診時,両下肢の主として伸側に,
学的に結節性紅斑と診断した。その後さらに肝腫大,胸
ほぽ対称性に,熱感のある母指頭大までの紅斑が多発。
水貯留,食欲不振,両側頚部リンパ節腫脹も出現し,39
大部分は硬結を伴っており,一部で潰瘍化。組織学的
度台の抗生剤に反応しない発熱も続いたため,プレドこ
には,変性した血管を中心とする,壊死を伴う肉芽腫
ン内服を開始し同時に頚部リン・゛節生検を施行した。そ
であり,バザン硬結性紅斑の組織像に一致。抗酸菌染
の組映像は乾酪壊死を取り囲むように,巨細胞を混じた
色陽性であるが,
類上皮細胞とリンパ球浸潤を認め,チール二−ルセン染
ベルクリン反応強陽性,胸部X線単純撮影で右肺に軽
色で抗酸菌陽性であった。以上より頭部リンパ節結核に
度の胸水を認めたが,全身検索で結核等の異常所見な
伴った結節性紅斑と診断した。下腿の紅斑はプレドニン
し。確定診断までのっもりで投与したミノサイクリン
37 Cの培養で菌の分離不成功。 ツ
内服後比較的速やかに消退し,リンパ節結核はSM.INH。
に良く反応し,約7週で治癒したことから非定型抗酸
RFP三者併用を行い6ヶ月後に退院した。
菌症を考慮。
培養不成功のため確定できないが,興味ある臨床像
および経過を示したので供覧する。 \
-
354
CR-69 バザン硬結性紅斑の1例
CR-70 陰茎亀頭の真性皮膚結核
青木雅子,中山恵二,内田陽子,今井俊哉,恩田周太
木花 光,野田淳子(日本鋼管),庄司清志(同泌尿
朗,中村進一[日医大(第1)]
器科),繁益弘志(慶大)
26歳女。患者訟よぴ家族内に結核の既往・罹患は
63歳男。初診:1989年9月19日。主訴:陰茎の皮疹。
ない。初診の2ヵ月前よ凱両下肢訟よび腰殿部に圧
現病歴:1989年2月,血尿。4月,某院で膀胱癌を経
痛のある硬結を伴う紅斑が多発。潰瘍は認めない。
尿道的に切除。転勤のため5月より当泌尿器科で経口
検査ンノ反強陽性。胸部X線像,異常なし。
抗腫瘍剤を投与されており,9月1
組織学的所見:下肢・殿部共,皮下脂肪織内の小円
の膀胱内注入療法を受けた。9月5日頃,陰茎に軽度
, 8,16日にBCG
形細胞浸潤春よびラ/グハノス型巨細胞を伴った類上’
の痛みを伴う皮疹出現。既往歴:BCGにて18歳でツ
皮細胞性肉芽腫病変を示し,乾酪壊死も認められた。
反陽転。家族歴:結核ト)。現症:亀頭の尿道口周囲に
治療:イソユアジド内服にて軽快。経過観察中。
浸潤硬結をふれる紅色局面かおり,淡黄色粟粒大小結
節が透視される。両側鼠径リンパ節腫脹。検査所見:
血液,尿一般検査異常なし。ツ反OXO/ux11.胸Xp,
静脈性腎孟・尿道造影異常なし。尿の抗酸菌培養H。
生検皮膚の培養にてM.
tuberculosis。組織所見:好中
球,赤血球を含む壊死組織周囲に類上皮細胞増殖。ラ
氏型巨細胞出。抗酸菌染色(丿。経過:10月よりINH。
RFP投与。 10月末,鼠径リンパ節が自潰したが,同
所は2ヵ月で治癒。n月末に肝障害のためRFPをE
Bに変更。翌年9月,軽度の癩痕を残し治癒。膀胱癌
の再発なし。
CR-71 組織学的に広範な壊死をともなった陰茎結
CR-72 老人に生じた顔面播種状粟粒性狼療の1例
核疹(Papulonecrotic tuberculid)の1例
出来尾 哲,今岡千治,地土井襄璽(島根医大)
片岡葉子、田代 実、松井喜彦(大阪船員保険病院)
患者:72歳女性,農業。初診:1990年1月2〔〕日。
症例は49歳男性。陰茎亀頭部の難治性潰瘍を主訴に
主訴:顔面に生じた紅色丘疹。家族歴:特記すべきこと
来院。表在リンパ節触知せず梅毒血清反応陰性。病理
はない。既往歴:約50年前,卵巣嚢腫,結核の既往は
組織学的に広範な組織壊死と類結核肉芽腫形成、血管
ない。現病歴:1989年6月,両側眼裔部に少数の紅色
炎がみられた。抗酸菌染色、PAS染色、ギムザ染色で
丘疹を生じた。自覚症状がなかったので鼓置していたと
病原体検出できず、組織の細菌、真菌、抗酸菌培養も
ころ,│司部の紅色丘疹が増加し,両側上頬部にも同様の
陰性。ツ反中等度陽性、胸部レ線正常、尿路系精査異
丘疹を生じてきた。ステロイド軟膏外用を短期間試みた
常なし。ミノーイシソ等の抗生剤無効、抗結核療法にて
ことがあるが,効果はなかった。初診時現症:両側上下
著明に改善し約1ヵ月で癩痕治癒した。自験例のよう
眼瞼と両側上頬部に帽針頭大から米粒大の紅色丘疹が多
に大型の潰瘍を形成した陰茎結核疹の報告は少ない。
数みられた。一部の丘疹は黄色調を呈し,融合傾向を示
一方、病理組織学的にLはPapulonecrotic
tuberculid
すものもみられた。ツ反応:疑陽性。病理組織学:真皮
と一致するところが多いが広範な壊死がみられた点が
内に,中心部に乾酪壊死を有し,類上皮細胞とリンパ球
特異で破壊性の強い臨床所見に相当する所見と考えら
に囲まれた結節がみられた。治療と経過:ミノマイシン
れた。
内服(200叩/日)により軽快してきた。症例の特徴:
本症は老人には稀にしか生じない。自験例は,このよう
な稀な症例であると考えられる。
355
CR-73 皮膚結核と有料細胞癌の合併例
CR-74
竹中 基、吉田彦太郎(長崎大)、西本腰太郎(長崎
尾崎元昭(県立尼崎),沼田恒実(広島大),
市民皮膚科:)
友田政和,関藤典子(長島愛生園)
84歳女性。明か々結核の既往無く同居家族にも結核
進行したらい腫型らいにまれに生じる,グローブ状の手
に罹患した者はトガい。初診の約5年前に左耳前部に
変形を来した境界型らい(BL)の1例を供覧する。
母指頭大の小腫瘤に気付く。白潰後次第に縮小傾向を
患者:73才,男。家族歴:らいの発病者なし。感染源:
示し、膿の排泄も見られたく左った。数ヶ月前より再
不明。現病歴:40才台後半から下腿外側の知覚鈍麻に気付
び賜の排泄がみられるように左夕、新たに下顎部、こ
いていた。70才のとき,右I∼Ⅲ指のしびれ・脱力が生じ
めかみなどにも同様の腫瘤がみられるように痙ったo
て,徐々に手全体に拡大した。
生検組織像で、表皮全体に巨細胞、類上皮細胞々どか
に気付いた。 1990年春ころから,四肢に浸潤を伴う紅斑・
ら々る肉芽腫形成が認められ、一部にはSCCを思わ
局面が多発した。6月になり,顔・首・上肢に小結節が多発
グローブ状の手変形を生じた境界型らい
1989年12月,右手の腫大
せる所見を得たo生検組織の小川培地への培養でヒト
し,紅斑・局面の発赤と浸潤の増強,手の知覚障害と筋力
型結核菌を証明した。ツ反21×21mrrb尿所見・腎機能
低下の充進,右手の強い腫脹か生じた。広島大皮膚科でら
・胸写では異常々く、胸部CTにて右肺尖部に陳旧性
いの診断を受け,長島愛生園に入院した。検査所見:レプ
肺結核を思わせる所見がみられたo頭部CTにかいで
左顔面側頭骨以下に骨欠損を伴‰心t t
i s sue
ロミン反応陰性。皮膚組織液塗抹の菌指数4.抗PGL抗体
mas s
(MLPA)
256倍。生検では,抗酸性悍菌を含む泡沫状ない
を認めたo INH, RFP、EBにて治療を始めたところ、患部
し空胞細胞,類上皮細胞とリンパ球からなる小肉芽腫,部
よりの悪臭・膿の排泄は著減したが、徐々に全身状態
分的なリンパ球浸潤がみられた。治療:DDS
が悪化し死亡。剖検にて頚部リンパ節・顔の結核病変
日,クロファジミンlOOmg週3回で治療を開始。強い貧
lOOmg/
中にSCCが確認されたo最近稀と痙ったいわゆる狼
血か生じたため,
所癌と考え、文献的考察を含め報告するo
用,皮疹と手の腫脹の改善をみている。
CR-75 正脂血性扁平黄色腫の1例
CR-76 成人型黄色肉芽腫の1例
倉石由子,斎藤強平,吉田永子,河内繁雄,池川修一,
馬嶋侃喜子に占賀道之,徳田安章(東医大)
DDSを中止してリファンピシンを併
斎田俊明(信州大)
18歳,男。初診,平成2年6月29日。家族歴,特記
68歳,男性。初診の1年前に右前腕の黄色皮疹に気
すべきことなし。既往歴,選択的lgA欠損症。現病歴,
付いた。皮疹は徐々に右上腕,左上肢,眼瞼にも拡大
初診の約9ヶ月前より右足背に自覚症状のない皮疹出
増加した。
現。漸次増大したため当科受診。初診時左足背に直径
初診待現症:両上肢屈側にわずかに扁平に隆起した
7×8n,常色,弾性軟,表面平滑な半球状腫瘤が1
母指頭天から手掌大の境界鮮明な黄色皮疹が散在融合
個存在。表皮と癒着,下床と可動性あり。口腔粘膜,
している。両上眼瞼・外眼角部にも大豆大の同様皮疹
眼球に変化なく,他の部位にも皮疹を認めず,
を認める。
au'lait
上腕部の皮疹の生検組織では,真皮乳頭層から網状
質は正常範囲内,その他の生化・末血・尿に特に異常
層にかけて血管周囲性にfoam
を認めず,免疫グロブリン定量にてlgAが31.1叩/
ceHの小集族が散見さ
Cafeし
spotsもなかった。臨床検査成績で,血清脂
れた。血液・尿一般・血清脂質・リボ蛋自分画・血清
下と著明低値を示した。組織学的に,腫瘤をおおう表
補体価に著変はみられなかったか,T−グロブリンがや
皮は萎縮性で,表皮直下から真皮の全層に亘り密な細
ョ以
や上昇しておりlgGの増加がみられた。免疫電気泳動
胞浸潤をみる。一被膜はないが周囲の結合織との境界は
では.
明瞭。浸潤細胞は主として脂胞を貪食した組織球で,
Ig G一/CtypeのM蛋白血症が認められた。 しか
し,骨髄生検所見では,とくにPlasma
ceいの増加は
巨細胞形成も多く,
Touton型巨細胞も散見された。
なく,その形態にも異型を認めなかったため,良性M
PAS染色で,巨細胞の細胞質は染色されない。以上よ
蛋白血症に伴った扁平黄色腫と診断した。
り発症年令を除けば,臨床所見,組織学的所見では,
juvenile xanthogranulomaに最も近く,
lomaの成人例と診断した。
xanthogranu-
356
CR-77 広汎多彩な黄色腫とSjogren症候群を伴っ
CR・78 Letterer-
Siwe病の1例
た原発性胆汁性肝硬変の1例
田中 功,草壁秀成,清金公裕,安原 稔(大阪医大)
佐々木哲雄,中嶋弘(横浜市大)
患者:5ヵ月,男児。・
症例s
49歳女。初診=平成元年2月。家族歴s父が
肝硬変で死亡。既往歴s
初診:平成2年7月24日。
13歳時結核疹。現病歴=46歳
家族歴,既往歴:特記すべきこと無し。
時黄疸と癈岸,口腔乾燥出現。某病院でステロイド内
現病歴:生後2ヵ月ごろより直径数ミリの紅斑性,
服等を行ったが改善せず,昭和63年12月当院内科入
一部痴皮性の変化を呈する浸潤性の皮疹が少数認めら
院となり,当科に併診された。現症=全身皮膚と粘膜
れた。その後皮疹は増加し胸部から背部に多数集展性
に著明な黄疸,肝牌腫,眼瞼黄色腫,各所に発疹性黄
に認められるようになったので本学小児科受診,当科
色腫,掌踪に線状黄色腫,頚部などに扁平黄色腫を認
めた。検査成績:
TC,
TG,
P
AlP,
-
r − GTP,
GPT,
を紹介された。
T − BIL,
Lなどが高値。 抗核抗体1280倍
(homogeneousとspeckled),抗SS
下腺造影,
GOT,
理学的所見,臨床検査所見:末梢血に異常なく,肝,
牌,リンパ節,頭部レントゲン写真,胸部レントゲン
- B抗体32倍,耳
写真にも異常を認めない。
Schirmer試験陽性。病理組織=①肝は原発
病理組織所見:表皮内および真皮上層に不規則な切
性胆汁性肝硬変(PBC)第3期,②皮膚は小丘疹部,線
れ込みを有する核を持つ胞体の大きな組織球様細胞の
状部共に黄色腫,③ロ唇小唾液腺に著明な炎症性細胞
浸潤が散在性に認められる。浸潤細胞はs-100蛋白染
浸潤。経過:以上よりPBCとSjogren症候群の合併,
色で陽性であった。また,電子顕微鏡により・バーベッ
ク穎粒が認められた。現在内臓病変は全く認められて
PBCに伴う高脂血症と黄色腫症と診断。平成2年PBCに
伴う骨粗霧症と食道静脈瘤の存在も確認。考察z
PBCの
いない。
皮膚所見として黄色腫の記載はしぱしばみられるが,
本例は広汎,多彩である点か特異的と思われる。
CR-79 Hand-Sohiiller-Christian病成人発症例
CR・80 non χ hist iocytosi
森 康二,神崎麻理子,幸田 衛,植木宏明(川崎医大)
伊藤義彦(山形市),沢田俊一,横井清,石田卓,
s の1例
本田まりこ,新村員人(慈恵医大)
症例:50歳 女性.経過:3()歳頃より尿崩症出現. 32
歳時,右耳介部軟骨病変にて,近医で軟骨切除手術を受け
3才男子。生後3ヶ月頃より左眼瞼部に扁平黄色丘
た.49歳の頃,両股関節痛が生じ,同時期に左鼠径部に皮
疹か生じ,漸次躯幹,四肢に多発し,一部癒合して手
膚潰瘍が出現.一般検査:血小板45.3万,好酸球6%と軽
掌大の黄色扁平局面を形成する。家族歴に同症はなく。
度増加.血沈70JiMi/lir.内分泌系検査:下垂体前葉・後葉
口腔粘膜,眼球結膜等の粘膜部には症状はない。血清
ともに機能低下あり.単純X線:頭部・股関節部に多発性の
脂質に異常は左く,全身の骨x−p像は,正常である。
骨欠損.MRエ:両股関節部に腫瘤陰影があり,これに
組織像では初期の扁平丘疹では,泡沫細胞,リンパ球,
部の皮膚潰瘍部との連続性が認められた.皮膚所見:左鼠径
組織球,形質細胞等が多数みられ,又,黄色局面部で
部に,板状硬結を伴った暗紫紅色斑があり,中心部には境界
は,泡沫細胞のみみられ,巨細胞はみられない。ズダ
明瞭な,皮下筋層にまで達する深い潰瘍が3個認められた.
ン川染色陽性.
皮膚病理組織所見:表皮および真皮全層に,びまん性の異型
細胞浸潤があり,浮腫状になっていた.浸潤細胞は細織球様
で,一部にリンパ球や赤血球を含食した細胞もあった.電顕
にて,異型細胞内にバーベック穎粒が確認された.治療・経
過:股関節部局所,に対し,
llneao
Gy照射.全身的にはVintolastine
x −ray 右ニLワ.5町左12
0,1∼0. 2 "?/り/2
総量56㎎投与.治療開始4ヵ月目には硬結は減少し,潰
瘍も縮少した.股関節部の疼痛も軽減し,経過良好である.
W,
S-100蛋白染色は陰性である。
357
CR・81 Cutaneous
non-χ
histiocytosis の1例
CR-82 両側耳介後部に局面を呈したIymphadenosis
benignacutisの1例
野村中夫、本田まりこ、新村偏人(慈恵医大)
新関寛徳,木花いづみ,生富公明(市立川崎),篠原恵
38歳、女。1年程前に誘因なく粟粒大の褐色斑が出
美(大関医院)
現、急速に増加し一部黄褐色の丘疹となった。夏に皮
疹が増加する傾向があった。初診時、頭部、顔面、頚
患者:69歳,女。主訴:両耳介後部の浸潤性紅斑。
部、粟粒大から半米粒大の融合傾向のない黄褐色丘疹
初診:平成2年7月27日。既往歴:昭和63年,寒冷尋
と褐色斑が無数に混在し、厭高、下腹部、上腕にも同
麻疹。家族歴:特記すべきことなし。現病歴:平成2
様の皮疹が少数散在していた。癈球はない。口腔内病
年4月中旬頃より両側耳介後部に軽度癈庫を伴う皮疹
変はなく、皮膚以外の症状は認めかった。病理組織学
が出現し,近医受診し,ステロイド外用したが軽快せ
的所見:丘疹部では表皮に著変なく、真皮浅層から中
ず当科紹介された。初診時現症:両側耳介後部に境界
層に組織球のびまん性浸潤、多数のツートン型巨細胞
明瞭な浮腫性浸潤性紅斑様局面を認めた。局面上の所
とfoamy cellを認め、一部にリンパ球と好酸球の浸潤
々に集族する丘疹・小結節を認めた。自覚症状(−)。
を伴っていた。また、真皮浅層に少量の出血とメラニ
組織所見:表皮に著変なし。真皮浅層から真皮一皮下
ンがみられた。オイル赤染色は陽性。褐色斑部では組
織境界部にかけて濾胞構造を形成する著明な細胞浸潤。
織球のびまん性浸潤が主体で、巨細胞、foamy
濾胞の外側は濃染する核を有するやや小型な細胞の緻
cellは
ほとんどみられなかった。免疫組織化学:OKT−6は陰
密な細胞浸潤。その内側に淡染性の核を有し比較的大
性。電顕:ラングルハンス穎粒(−)。検査上、血算・
型な細胞が,やや粗に浸潤している。異型性(−)。
生化学、血清脂質、リポ蛋自分画に異常は認めなかっ
好酸球浸潤はほとんどみられない。考按;局面状を呈
た。Non-χ
histiocytosisは、いくつかの病型に分類
したIymphadenosis
されているが、本症例に合致するものは見あたらない。
以下でありやや稀な症例と考え報告した。
benigna cutisは本邦の集計で10%
本症例の病型について若干の考察を加え報告する。
CR・83 Lymph。mat。id
p apulosis経過中に著明な好酸
CR-84 HTLV-1キャリアーに発症しか菌状息肉症
球増多を伴い特異な皮膚症状を呈した一例
の1例
高須 博,岩崎 雅,橋本明彦,浅井俊弥(北里大)
清原 ㈲,種田明生(順天堂大浦安病院)
岩原邦夫∩工東病院)
46才男性。昭和55年,下腿に紅色丘疹が出現し,次
症例:48歳女性,主訴:多発性皮膚腫瘍,家族歴:
第に顔面,上肢,躯幹に拡大。昭和61年5月,当科受
母;悪性リンパ腫,長男:自閉症。現病歴:昭和40年
診時,全身にφ159までの紅色結節が散在レ組織学
頃発症。昭和59年頃より腫瘍期。順天堂医院にてPU
には小リンパ球と核のきれこみの目立つ中型の異型リ
VA療法,
ンパ球が混在。 Lymphomat
ルト照射等を受けてい牝。その後電子線照射目的で当
oid papulosisの診断のもと経
ACNUローション外用,
IFN-α局注,コノぐ
過観察する。その間,結節は出没を繰り返す。平成2
院に転院。昭和63年よりVEPA療法,電子線照射,
年8月,下肢に腫脹が出現し,急速に顔面,四肢に拡
IFN-α全身投与等で加療。経過中,ATL抗体価の上昇が
大。同時に全身に小豆大までの紅色結節に混在して,
認められた為,
鶏卵大までの暗赤色,辺縁堤防状に隆起する浸潤性紅
し九。血液検査でHTLV-I
斑をみる。頚部,肢高,鼠径に母指頭大までの無痛性
256倍以上,T細胞レセプタ一丿鎖の再構成(Tcβ)陰
リンパ節腫脹あり。皮膚組織像は,表皮直下から脂肪
性,IL-2レセプタ一値高値であったことからHTLV-1
HTLV-1
proviral DNAの倹索を施行
provirus陽性,ATL抗体価
織にびまん性の好酸球浸潤を認め,少数の異型リンパ
キャリアーと診断。一方,腫瘍ではHTLV-I
球が混在する。リンパ節,骨髄においても著明な好酸
T細胞レセプターβ鎖の再構成(Tcβ)ともに陽性でめ
provirus,
球浸潤をみるが異型リンパ球は認めない。白血球24000.好
った。治療としてはIFN-α全身投与が有効であり,腫
酸球80%。皮膚の異型リンパ球表面マーカーはCD2十,
瘍期6年間の生存は比較的長期生存例と思われた。
CD4よ, CD 8 - . HLA一DR十。 Lymphomaloid
全身的な好酸球増多をみることは稀と考えられ,また
臨床像も特異と思われたので報告する。
papul osis は
358
CR・85
G r anu1o皿atous nycos
is fungo
CR-86 Leser-Tre'lat徴候を伴ったSe'zary症候群
idesの
1例
碇 優子,大倉光裕,森田 誠,早川信一,徳橋 至
瀬田祐子、三橋善比古、橋本功(弘前大)、鎌田義正
原本 泉,下田祥由,関 建次郎(聖マリフンナ医大
(同、第1病理)、石戸谷祈一(弘前市)
),小池 満(同 第一内科)
62歳、男性。1988年3月、右前腕に皮疹出現。近医
74歳,男。初診:平成2年8月10ロ。現病歴:平成
で外用療法を受け一時消退したが、1年後に同部位に
2年5月末よ仏全身に重縁を伴う 潮紅が出現し,
再出現、拡大傾向を示した。1990年5月31日当科初診。
次第に増悪した。同時期より老人性説教が急激に多発
四肢、頚部、上背、脊部に、窪坏を伴う手拳大までの
した。現症:ほぼ全身に痕昧の激しい紅皮症変化を認
浸潤性紅斑が散在、一部扁平隆起性のものも見られた。
め,両頚部,服寓,鼠径部K爪甲大から母指頭大のリ
組織学的検索で、ホートリエ微小膿瘍を認め、真皮上
ンパ節を数個ずつ触知した。1だ,米粒大から貨幣大
層には異型性のある小円形細胞が浸潤しており、中下
の褐色訟よび黒色の色素斑,丘疹,結節が全身に散在
層には核が大きく胞体の明るい大型の類上皮細胞が浸
していた。臨床検査所見:白血球17300
潤し、結節を形成していた。小円形細胞はC
球12%。末梢血液中に切れ込みの深い核を有する異型
D 3 'で、
細胞が散見された。内臓悪性腫瘍を示唆する所見はな
C D 4 '細胞とCD8゛細胞が混在していたが、大型
かった。病理組織学的所見:真皮上層から下層にかけ
の細胞はリンパ球マーカー陰性で、 s-ioc蛋白陽性、
CDI゛細胞も混在していた。ステロイド外用、P
,異型リンパ
U
て帯状の桐密な異型リンパ球の細胞浸潤を認めた。ま
VAで皮疹は軽度改善したが、浸潤硬結は残存したた
た,前胸部より生検した黒褐色の結節は角質増生,角
めCOPP療法を行った。2クール終了後、類上皮細
栓形成,表皮肥厚を示した。治療おヽよび経過:Leser-
胞結節は消失した。M
ycos I s fungo i desで類上皮細
胞結節を形成することは稀ながら認められており、腫
Tre'lat徴候を伴ったSe'zary症候群と診断し,現在,
ステロイド剤の全身投与にて経過観察中である。
瘍細胞に対する生体の防御反応と考えられている。
CR。87
自然消腿した現眉原発T細胞性リンパ腫の
1例
CR-88 CD
8陽性T細胞の性格を示すPage
toid
reticulosisの1例
山本性三,長野 徹,中村麻紀(大阪厚生年金)
杉山都子,磯部啓子.中田上起丈.丹羽緑子,
安本良博。
小林 晏,川口学永(同病理),山肩正和(赤穂市民)
飯島正文,藤屏龍一,小倉美代子(昭和大),
岩井雅彦,
(横浜市)
患者:69才,男性。
現病歴:初診約2ヶ月前,左前腕の自覚症状のたい
59歳,女。初診:1990年9月14日。現病歴:約5年前。
結節に気づく。その後,左上腕に1個,左前腕に5∼
右警部の紅斑性局面に気づいたが自覚症状がないため放置,
6個新生増大して来たため当科受診。 現症:左前腕
皮疹は両腎部から両大腿部へと漸次拡大。局面性類乾癖の
の主に仲側に示指頭大までの結節が7個と巾約2aの
疑診で当科へ紹介。現症:両腎部から両大腿部後面に,鶏
三日月形硬結があや,いずれも弾性硬で表面は淡紅色
卵大から手挙大までの大きさの境界鮮明∼やや不鮮明な暗
から紫紅色,隆起性であるが,下床とは可動性である。
紅∼暗紅褐色斑が20数個散在性に多発。皮疹の性状は一様
左上腕にも大豆大の結節を認める。左肢高リンパ節は
ではなく。辺縁に浸潤を触れるもの,鱗屑を伴うもの。萎
小指頭大を1個触れる。 組織所見:真皮上層から皮
縮と毛細血管拡張の目立つ皮疹等が混在していた。組織像
下組織にかけて,密にりこ/パ球様細胞の浸潤が見られ,
:表皮基底層から有縁層にかけて,透明量を有する大型異
異形性,核分裂像が顕著である。 non
型細胞が多数の胞巣を形成し。いわゆるPage
Lynphoma,
diffuse.
mixed
― Hodgkin
typeと診断した。免
toidの病像を
呈していた。真皮上層には表皮内と同様の腫瘍細胞と小円
疫組織化学的に浸潤細胞はT細胞由来と考えられた。
形細胞の帯状細胞浸潤が認められた。表皮内胞巣を形成す
臨床検査:血液,生化学,生理学的検査に特別の所
る大型異型細胞は免疫組織学的にCD4",
見を認めず。 経過:生検後,やや縮少傾向を示した
であった。以上よ久 CD8陽性の性格をもつPagetoid
ので,無治療にて観察していたところ,500で自然
reticulosi sと診断した。
消槌し九。
CD8+のT細胞
359
一一一一
CR-89 ATLの1例
CR-90 3年間寛解状態にある急性型ATLの1例
児浦純義(生),太良光利乙徳永正義**(鹿児島市立病
北村 豪,江良幸三,緒方克己,出盛允啓,井上勝平
院皮膚科,同内科*,同病理研究検査室¨)
(宮崎医科大学)
75才,男,大工。鹿児島県指宿郡出身。初診,昭和
症例:58歳,女性。本人,母親ともに宮崎県出生。
62年1月17日。初診の約1ヶ月前から顔面,四肢に腫
主訴:日光露出部位を中心に多発してきた径0.5∼2a
瘤出現。 HTLVI抗体(十)4096倍。真皮内腫瘍塊を構成
大の紅色結節。初診:1
する異型リンパ球は活性helper
PCR法でHTLVI
TceHの表面形質を有し,
ProvialDNAが検出された。末梢血に
988年2月17日。現症:中心部
に痴皮を付着した径0.5∼2a大の紅色小結節を四肢,
顔面に認める。表在リンパ節は触知しない。肝一牌も
異型リンパ球(花細胞)が常時10%前後出現。骨髄所見,
触れない。主要検査成績:末梢白血球数35300∠
胸腹部Gaシンチ,CT等に異常をみとめなかった。表在
異常リンパ球47札血清LnH685lじダL,抗HTLV-1
リンパ節腫大なし。血清Ca値,
抗体陽性。前腕部小結節の病理組織所見:Pautrier微
LDH値正常。当初,局
㎡(
所療法のみで,一進一退の状態が続き,発症より約2
小膿庖を伴う異常リンパ球の桐密な浸潤あり。末梢血
年10ヶ月頃から,腫瘤の増大がみられはじめたので,
異常リンパ球にプロウイルスDNAのモノクローナル
IFN-r吸入にペプシド内服を併用する治療を開始した
増殖が証明され,急性型ATLと診断した。治療なら
か,腫瘤の縮小がみられ,5ヶ月後に全腫瘤がほぼ消
びに経過:Vincristin,
槌した。 1時38%にまで上昇した末梢異型リンパ球も
redonin, Deoxy cofomycinの多剤併用療法,
消失し,現在通常の生活を送っている。発症後4年経
点滴などで皮疹は消失し,末血中の異常リンパ球もW
過している慢性型ATL(皮膚腫瘤)で,
IFN-r吸入が
Endoxan,
Peplomycin
P-
OK 432
BC 3200(異常リンパ球21幻と著減したため,
1988
年8月退院した。以後外来で,黄緑野菜と海藻類を十
奏効している症例。
分に摂り,ビタミンE,Cの内服,0K432点滴(1回/週)
を続けているが,
1990年10月現在再燃を認めない。
CR-92 Non
CR-91 光線過敏を初発症状としたATLL。1例
Hodgkin・sLymphoma
of Large
MultilobatedCell Typeの1例
○幡本明利,柴田郷子,林紀孝,利谷昭治(福岡大)
松岡 縁、庄田裕紀子、磯ノ上正明、東山真里、滝尻
39歳男性会社員,昭和63年2月3日初診。生来皮膚が弱かった。
珍重、山村弟一、岡田奈津子、古川邦彦(大阪大)
昨年5月運動会で日光曝露後,前額と手背が高度潮紅し全身に拡大し
て紅皮症様となった。頚部リンパ節不触知,左臍下リンパ節示指頭大
64歳女性。約10年前より上肢に紅斑が出現し、次第
1個。血沈21/h,
に拡大した。昭和57年から62年迄の間に、腹部、下肢
15.3,
MED 30秒以下(正常3分),W
Ht 45.1%,分類Band
10,300, R 444万, Hb
11)(, B 2)S, LDH 564↑,尿酸10.4↑,中
に皮膚腫瘤が出現、その都度切除、化学療法、放射線
性脂肪243↑,尿正常,63年5月再び日光曝露後,浮腫高度となった
療法を受げた。
ので6月∼12月末まで第1回入院した。右手背の皮膚生検像は紅皮症
平成2年2月、腰痛及び体重減少が出現し、3月当
のそれでありCEA
科初診。腹部の小腫瘤の生検により、大型分葉核異型リ
,af-Feto-protein
, CA19-9などの腫瘍マーカー
陰性であった。サンスクリーン剤使用で顔面はやや軽快したが,手は
ンふ球の浸潤を認め、Large
不変であった。平成元年10月には顔面に正常皮膚が出現してきた。し
の悪性リンパ腫と診断。細胞表面マーカーの検索で
Multilobated
かし12月になって再び顔面が悪化したのは,患者が勝手にサンスクリ
は、T細胞系、B細胞系のいずれも陰性であった。入
ーン剤使用を中止した結果であった。平成2年3月16日から5月10日
院後、腹腔内に4㎝の腫瘤を認め、便潜[侃陽性と強度
まで第2回入院したが,再入院時,哩Dは3秒と極端に光線に過敏で
の貧血も出現したため、VEPA−Pepleo変法の化学療法
UVAにも10分で潮紅し螢光燈照射(35糎離して)60分で陽性,4月6
にて加療。更にlineacを施行し、腹腔内腫瘤は消失、
日末血に始めて核に分葉傾向のある異常りンパ球が12%出現し,末血
皮疹もほぼ消退した。
によるProviral
本例は、これまでの組織分類には該当するものがな
DNA陽性,局所皮疹によるProvira!
DNA陰性,抗
ATL抗体価1,024倍,4月16日前額部丘疹の皮膚生検で小∼中等大異
い特異な組織像を呈し、比較的良好な経過を逞った例
常リンパ球の浸潤がみられたのでsmolderingないし慢性ATLLと判明し
であり、過去に少数しかない報告例に合致する。
た。強力な化学療法は行っていない。
Cell
Type
360
CR-94
CR・93 腫部に生じたT細胞リンパ腫の1例
心膜転移による症状を呈した悪性リンパ腫
の一例
石本多佳子,出来尾 哲,地土井襄璽(島根医大)
樽谷勝仁,小渾健太郎,磯ノ上正明,東山真里,滝尻珍
原田孝之([司,第1病理],池円嘉之(浜田市)
重,山村弟一,橋本公二,古川邦彦(大阪大学)
患者は,58歳の男性で,左腫部の鶏卵大の腫瘤を主
訴に, 1990年8月14日,当科を受診した。
30歳頃
患者:58歳,男性。全身に多発する浸潤性紅斑を主
より,両足底に足白癖があり,時に小水庖を形成してい
訴として当科受診。皮疹の生検の結果non-Hodgkin-
たo同年4月,左腫部に小水庖が集合し,小豆大の釧固
lymphoma,
の水庖となった。1個はそのまま軽快したが,1個は破
皮膚生検組織の細胞表面マーカーの検索ではT,B細胞
れて赤味を帯びた病変となり,次第に拡大した。ワ月末
の特定はできなかった。入院時,右肘部リンパ節腫脹,
から急速に拡大し,鶏卵大の隆起した腫瘤となった。白
発熱,全身倦怠感,奇脈,心電図上低電位,X線上心拡大
発痛はほとんどなく,腫瘤表面は一見肉芽様で,出血が
及び心エコー所見にて心タンポナーデを診断し,心嚢
みられた。腫瘤の生検を行い,悪性リンパ腫の診断で,
穿刺施行。その細胞診にて腫瘍細胞の浸潤が確認され
8月23日当科入院となった。
た。また,胃,骨髄にも腫瘍細胞の浸潤を認め,臨床病
diffuse large
cell typeと診断された。
入院後の病理組織検査で,T細胞リンパ腫であると判
期分類はstage IV Bと考えられた。心嚢液内にMTX注
明した。木血中に異常リンパ球はみられず,触診,
入しVEPA変法1クール行い心タンポナーデは改善す
Ga
シンチ等で,他の部位に腫瘤形成など異常はみられず,
るも,その後治療に反応せず入院後約4ヵ月で死の転帰
皮膚限局性の悪性リンパ腫と考えられた。9月エ4日腫
をとった。悪性リンパ腫で生前心膜転移が確認された
瘤を外科的に摘除し,遊離植皮術を施行した。現在のと
報告は少ないため文献的考察も含めて報告する。
ころ,再発を思わせる所見はない。
CR-95 結節性紅斑様皮疹を呈した急性前骨髄球性
CR・96 Systemic
白血病
児玉昌子,谷 昌寛(神戸大),堀啓一郎(国立神戸病
and
Cutaneous
Plasmacytosis
院),小林 浩(神戸市),刃塚俊起,伊藤光宏,松井利充,
中尾実信,藤田拓男(神戸大第3内科)
伊藤まゆみ,山田元人(一宮市立市民)
多クローン性高7−グロブリン血症を伴う成熟形質細
3工才,女性。平成元年10月19日より,右肘関
胞増殖症は,慢性炎症性疾患・膠原病・慢性感染症等の
節背面と左下腿に,鶏卵大の,圧痛,自発痛を伴った
基礎疾患を認めることなく起こりうる。これらの形質
浸潤性紅斑が認められた。組織学的所見:真皮,皮下
細胞は多臓器にわたって浸潤・増殖する可能性があり,
脂肪織の血管周囲性に異型細胞の浸潤がみられた。
そのうち皮膚゛リヤ゛節・肺等2種類以上の臓器にわた
検査所見:WB
C
4600
Segli
Mo
1,
L43,
ye 10 17 %)
, RBC
(Myel5,
ATLl,
433万,
St6,
Blastl,
Pit
はhypeにel 1u1ar marro*で80%がP
DH
Meta2,
P rom-
5,4万,骨髄穿刺
romyeIocjte
58l)o以上より急性前骨髄球性白血病と診断。
皮膚の浸潤細胞は白血病細胞と考えられた。
,L
って形質細胞増殖をきたすものはsystemic
plasmacytosisとされる。一方,形質細胞の増殖が,皮
膚にのみ限局するものはcutaneous
とされる。我々は,
plasmacytosis
systemic及びcutaneous
plasmacytosisと診断した2症例を経験し,それぞれの
血清Iし6値を測定した。その結果,患者の血清Iし6値
は,正常人コントロールのそれと比べ,有意に高値を示
した。このことは,Iし6がplasmacytosisの発症病理
に何らかの形で関与する可能性を示唆するものである
と考えた。
361
CR-97 EχtrameduUary,
plasmacytomaの1例
CR-98 Annular elastolytic
granulomaの2例
giant cell
玉森嗣育,岩崎加代子,荒浪暁彦,中山富紀子,岩月
啓氏,滝川雅浩(浜松医大)
前岡仁哲,高田任康,永井 寛,竹村 司(大宮口赤)
症例,62歳,女。初診:平成2年4月27日。初診の
症例1:71歳男。初診:平成元年10月20日。初診の
2ヵ月前より左肩に腫瘤が出現し急速に増大するとと
2日前より右頭部の帯状庖疹治癒後癩痕部江辺縁堤防
もに,体幹・四肢にも皮下結節が多発したため当科を
状隆起した環状紅斑が出現。同様紅斑及び丘疹は,頭
受診した。現症:直径2∼5
cmで正常皮膚色,弾性軟
部,顔面,前胸部,肩,背部,手指背|で多発拡大。
の皮下結節・腫瘤が四肢を中心に体幹にも散在した。
症例2:75歳男。初診:平成2年3月9日。初診の約,
表在リンパ節は触知しなかった。検査成績:胸部X線,
1年前よt)左下腿に辺縁堤防状隆起した環状紅斑及び
CT,
丘疹が出現。同様病変は,漸次ほぼ全身に広がる。
Gaシンチにて縦隔リンパ節の腫大を認めた。骨
X線,骨髄像にて異常所見ないT
―globulin分画に
2例とも家族歴,既往歴に特記すべきことたぐ,自覚
異常を認めた。皮膚病理組織所見:真皮から皮下組織
症状なし。いずれも組織学的に真皮上層から中層にか
にかけて,中型で形質細胞への分化を示す異型細胞が
けて多核巨細胞,組織球,リンパ球から々る肉芽腫形
密に増殖する境界明瞭を充実性病変を認め,大型細胞
成が認められる。明らか左楯状配列はない。
や核分裂像が散見された。
van Gieson染色にて病変部の弾性線維の崩壊とその
Elastica
腫瘍細胞はT ・B cellのphenotypeを欠き,細胞質に
巨細胞による貪食が認められる。症例2はステロイド
lgGおよびヌーchainが陽性であった。
内服治療が奏効。
Southern blotting
法ではTCR遺伝子の再構成はなく,JH遺伝子の再構
成が認められた。 IgG
-i型のextrameduUary
plasmacytomaと診断し治療を開始した。
CR-99 Annular
eh乱olytic granulomaに続発して
CR-100 ネフp
−ゼ症候群を伴っ瓦木村氏病の1例
morphea様変化を伴ったacrosclerosis
倉田佳子,西岡和恵,小笠原万里枝,沖村博史,麻上
池田光徳,小玉 肇(高知医大),田口博國(同第3内科
干鳥(山口大)
),園部 宏(同第2病理)
卵歳,女性。平成2年8月13日初診。昭和昌年頃より両
手にレイノー現象か,昭和62年頃より浮腫性硬化が出現。
39歳,男。昭和50年5月頃,誘因々く右顛部謡よび
右耳介後部に柔かい腫榴出現。徐々に増大するため某
本年5月より両手∼手首に,軽度浸潤のある境界鮮明な褐
外科で腫舶の一部を切除。組織検査で木村氏病と診断。
色調を帯びた環状紅斑が出現した。抗セントロメア抗体(
以後,放射線療法をうけるも無効。
十),抗DNA抗体<80,抗ENA抗体(一),抗SS―A抗体(
平成2年7月,両耳介周囲に千拳大の腫瘤あや。両前
一),抗SS―B抗体(―),
腕,両下腿に癌蝉性丘疹と掻破痕を認める。浮呻円。
CH50
44。0,LFI.テスト(−)。
紅斑の生検で巨細胞を混ずるepithelioid
の像がみられ,
cell granulama
elastic fiberの断裂と組織球によるその
貪食像も伴っていた。
Acroscエerosis忙合併したannular
elastolytic granulomaと考えた。経過観察中,両手背の
紅斑は硬化性となり,
morpbeaの像を呈してきた。
Annular elastolytic graiiuloiiB.の病変に浸潤したマクロ
ファージが,
morpheaの病像の形成に何らかの役割を果た
したのではないかと考えた。
10年間放置o初診:
組織像:左耳介後部腫瘤ではリンパ濾胞様構造と,好
酸球の著明々浸潤。下腿の丘疹では真皮血管周囲性に
好酸球浸潤。臨床検査所見:末梢血好酸球3
IgE 63280U,カンジダIgE
スト陽性,血漿蛋白5.0
RAST
8.6 * ,
2+,カンジダ皮内テ
g/dハアルブミン1.9
g/dぞ,総コ
レステロール308q/dj,CRP陰性,赤沈充進,尿蛋白
3.3g/目で持続,尿沈漬で頼粒円柱多数,クレアチュ
ンクリアランス81.3m^/min。腎生検:膜性腎症。プレ
ドエン40 mg/日開始し,腫瘤は著明に縮小,癌岸消槌。
免疫複合体が膜性腎症の発症機序に関与するとの考え
かおり,本例の木村氏病がカンジダ抗原に対する反応
か否かを検討したい。
362
CR-101 歯科金属アレルギーを伴った木村氏病
吉永和恵,石田洋子(都立豊島病院),田中省三ぐ同耳鼻科)
CR・102 巨大なSpitz
nevusと考えられた一例
新田悠紀子,松井誠一郎,池谷敏彦,原一夫(愛知医大)
安江隆,大橋勝(名大),辻麻里,三田哲郎(加茂病院)
51歳,男性。歯科技工士。<既往歴>肺結核。<現
病歴>約1年前から両耳前部にいたがゆい腫瘤性の病
2才,女.H1年4月,左下腿後面下部にφ3uの常色丘疹
変に気付く。当初は3∼4日で消失したが,くり返す
に気付くも放置していたが増大し,10月φlOnnのドーム
間に消退傾向なくなり,耳鼻科初診時40×50×15BaCD
状腫瘤となった.近医にて電気焼灼(?)したが,表面凹凸
大きさに達し九。木村氏病と診断し,ステロイドの内
のある扁平隆起性局面となり,徐々に増大した為川月当
服を開始(デカトロン7錠でスタート),漸減2錠で
科受診,生検にてSpitz
維持されず,腫瘤も消退せぬ為,約3ヶ月後,皮膚科
`り×7uの贋爛を々る扁平隆起性,淡紅色腫瘤を全摘・
に転科。当科初診時,腫瘤喘有紆拾回弾性硬,境界明
患肢の膝高鼠径部リンパ節くー).組織学的には中央に庭
瞭,表面平滑二段に隆起。<検査所見>白血球8,900
爛,辺緑の表皮は肥厚し境界部にspindle
(好酸球9
%
) , IgE3800,
IgERASTC真菌,ハウス
ダスト等陰性)歯科金属patch
test: Mn(ヨ, CutB,
Au(+),Cr(升■),
Pd旧,リンパ球幼若化試験:Au7.9倍
陽性,
Pd4.3倍陽性,Cr陰性。<病理所見>真皮下層∼
nevus(SN〉と診断.翌年2月¢27
-e1oi d eel 1 A<胞巣を形成(junct
eel 1とepi th
ional
ac ti Vi ty)し.同
様な細胞が真皮内に増生,皮下脂肪織にまで達する.真
皮乳頭の血管拡張し,浮腫がみられる.腫瘍細胞は核の
大小,クロマチン・の増lがみられ,核分裂は浅層のみな
皮下組織に集中してリンパ濾胞様構造を伴う小血管の
らず深部にもみられた.辺緑の拡張した血管内に腫瘍細
増生,リンパ球,好酸球の増多。<治療と経過>風邪
胞の浸潤が容易にみられる.SNは時に血管内浸潤がみら
をひきやすく,咽頭痛時,腫瘤形成が平行して変動す
れる事は従来報告があるが,本例の様に巨大なSNでかつ
る。ステロイドの漸減中,腫瘤消失時はPD1錠隔日投
分裂像が深部にまでみられ,血管内浸潤が容易にみられ
与,変動時は1日2錠まで。漢方薬は,寒虚肝経肺金
る等の点は通常のSNとは異なり,最近報告されたMali-
薬の人参養栄湯を投与中。
gnant
CR・103 Dysp1
astic nevus syndroBe の1家系
SNとの異同か問題となる.
CR-104 皮疹の分布が特異なdysplastic
nevus
syndromeの患者に生じた悪性黒色腫
白石正彦、秋田尚見、小田内信行、矢島晴美、三橘善
比古、橋本功(弘前大)、鎌田義正(同第1病理)
三砂範幸,高橋雅弘,幸田 弘(佐賀医大)
症例1:15歳、女性。約1年前、右背部の皮疹に
41才男子。幼少時より左ヒ背部から方モ上腕部にか
気付いた。自覚症状が無いため放置していたが、次第
けて黒色斑が多数みられていた。初診の半年前より左
に結節状に隆起してきた。初診時、右背部の結節は径
上背部に黒色結節があるのに気づき,次第に増大して
15uで、広基性、表面平滑、黒褐色、濃淡不整であ
きたため当科を受診した。組織学的に黒色結節は悪性
り、触診上弾性硬であった。周囲には2∼3m幅の赤
黒色腫であり,黒色斑はdysplastic nevusであったc
褐色斑を伴っていた。綬高リンパ節は触れなかった、
家族歴からdysplastic
切除標本の病理組織像は、nodular
た悪性黒色腫と考えられたが,
■e1anoDa (Leve I
nevus syndromeの患者に生じ
dysplastic
nevus の
Ⅳ)であった。症例2:9歳、女性(症例1の妹)。
分布が左上背部から左上腕部にかけて偏側性に局在し
約1年前より右前腕部に赤褐色の皮疹が出現した。自
ているのが特異的であった。
覚症状は伴わなかったが、皮疹は次第に拡大傾向を示
した。初診時、右前腕部の皮疹は径5n、褐色、境界
明瞭で扁平に隆起し、所属リンパ節は触れなかった。
病理組織学的にはsuperficial
spread i ng melanoma
(LevelⅢ)であった。両症例とも広範囲切除術後、
DAV療法2クールを施行した。家族歴の詳細な聴取
と、母および兄に見られた色素斑の病理組織学的な精
査に加え、遺伝的因子に関しても検索した。
363
CR-105 自然消退傾向を示した悪性黒色腫の1例に
CR-106 明らか痙原発巣を認めなかった悪性黒色腫
ついての免疫学的検討
の一例
吉井章、影下登志郎、荒尾龍喜(熊本大)
山崎直久,倉沢京子,安達智江,黒田 啓,寄藤和彦
小林まさ子,藤田 優(干葉大),永井秀史(国立千
79歳男、4年前右足底の色素斑に気づき・、初診時
葉病院皮盾I科)
ALM in situの診断で手術を勧められた力八そのま
ま放置した。4年後右鼠径リンパ節の腫大、右大腿。
55才,女。約1年前よぶ右鼠径リンパ節腫太。半
下肢の浮腫状腫脹を来したため当科を再受診、この時、
年前,近医外科受診し細胞診にて悪性黒色腫の疑いで
右足底の同部に辺縁不規則、濃淡不整の増大した黒褐
当科紹介となる。全身皮膚検索にて右足背に小豆大骨
色色素斑、およびその一一部で黒色の小扁平隆起が認め
黒色斑を認め瓦。i司斑は患者が数年前より気付いてい
られた。患者は肺瘍の外科的摘除を拒否したため、
るが,特に拡大傾向,色調変化は無く,また消槌傾向
DAV.フェロン療法を施行後に原発巣のみを摘除、各
もなかった。全摘し組織学的に青色母斑で,悪性黒色
クール施行ごとに、転移リンパ節の著明々縮小を来し
腫の所見は得られ痙かった。またGaスキャン,
同療法開始1年後において他に転移巣を認めず、良好
スキャン,Tcスキャン,腹部エコー,産婦人科的精
万一般状態を維持している。PPD 万ど遅延型皮膚反
査,外科的精査を施行したが何れも原発巣ないし転移
応(+)、患者血清中の抗HMW-MAA
巣と思われる病変は検出できなかった。19
- weiqht
melanoma
(high-molecular
- associated
antigen
)抗
体は当初より高値を示し、これらが経商。予後の一指
標となる可能性が飛察尽れる。
IMP
9 0年3月
28日右説径リンパ節郭清術施行し組織学的に悪性黒
色腫○リンパ節転移の診断。DAV療法,フエロン局
注療法開始。術後5ヵ月,前胸部皮下転移,6ヵ月よ
り多発性の骨転移認められ入院加療中である。以上明
らか痙原発巣の無い悪性黒色腫を経験したので若干の
考察を加え報告する。
CR-107 特異な皮膚転移像を呈した原発不明の悪
CR-108 組織球様腫瘍細胞の浸潤を特徴とした,手
性黒色腫の1例
指先端のamelanotic
秋山千恵、八坂なみ、窪田泰夫、高山修身、島田員路、
原 正啓,加藤泰三,熊坂 中,高橋和宏,菊地克子,
玉置邦彦(山梨医大)
小沢宏明,田上八朗(東北大)
melanomaの2例
53歳男性。初診:平成2年7月13日、現病歴:平成
多核巨細胞を混じた組織球様細胞より成る,・見悪
1年12月、健康診断にて胸部X−Pの異常陰影を指摘
性線維性組織球腫(MFH)を示唆する像のために,診
されるも放置。平成2年5月上旬、恥骨上部には米粒
断に苫慮した手指先端のamelanotic
大の黒色腫瘤に気づき、次第に拡大したため当科受
を報告する。症例1
診。現症:恥骨上部に米粒大で黒色の有茎性尖形腫瘤
きた右手第3指爪部の腫瘤を訴えて来院。初診時,n
melanomaの2症例
:74才,女。4ヵ月間で増大して
を認め、右頚部には径約2cmの弾性硬、下床との癒着
X 11 mm,紅色,易出血性,弾性硬の腫瘍を同指爪母に
のある皮下腫瘤を認める。組織:恥骨上部は真皮に異
認めた。摘出標本は,多核巨細胞を混じた組織球様細
型メラノサイトの増殖認めS
胞主体の肉芽腫を疑わせる組織像を7した。これらの
− 100蛋白陽性を示し、
右頚部は異型メラノサイトの増殖認め正常リンパ節構
細胞はS−100蛋白陽性で,電顕的に少数のpremelano-
造は破壊されていた。いずれも悪性黒色腫の転移と診
someを認めた。症例2:6!才,男。前医の切除生検で
断した。胸部X−Pでは左肺に多数のcoin
MFHと診断され当科を紹介された。左手第2指尖部に
lesionを
認め、肺転移と考え、Gaシンチ、腹部エコー、上部消
血痴を付着した多結節性腫瘍を認めた。同指離断術1
化管内視鏡、CTなど諸検査施行するも右頚部、左肺野
ヵ月後に転移性腫瘤力机上腕皮下に出現した。両者と
以外は異常所見はみられなかった。原発巣についての
も多核巨細胞を混じるS−!00蛋白陽性の組織球様細胞
検索も行ったが不明である。現在、DAV療法十イン
よりなる組織像を呈した。 2症例ともに手指先端に原
ターフェロンβの局注にて治療中である。
発したamelanotic
melanomaで,組織学的にも共通する
特徴的所見を示した。
364
CR-109 分節型尋常性白斑におけるDry
Ice-Suction
Blister法表皮移槍術の卓効性について
CR-110 易出血性、眼瞼腫脹、眼球結膜浮腫か先行
し、最終的に全身性アミロイドーシスと診断した1例
西野圭輔,芝田孝一,堀川達弥,三島 豊(神戸大)
Suction-blister法を用いた表皮移植術が,尋常性白
飯島茂子(水戸日赤)、成島勝彦(同内科)
斑に有効であり,汎発型より分節型に著効することを
我々は第297回大阪地方会に於いて報告した。即ち,
52歳女。20歳頃、肘・手首などにガングリオン。
分節型の白斑部では移植健常表皮の生着率はほぼ100
歳頃より、軽微な外傷で出血斑が全身に生じ易くなっ
%であり,しかもPUVA療法の併用により著明な色素
た。次第に左上眼瞼の腫脹、眼球結膜浮腫も出現。50
拡大を認めた。今回我々は,分節型白斑患者に対し,そ
歳当院初診。血算、凝固系検査に異常なく、多数の出
の白斑病巣はドライアイス圧抵による水庖を作成した
血斑に対し、シナール、トランサミン内服開始。出血
後これを除去し,健常部のsuction
斑は、徐々に少なくなった。
blisterと水庖蓋表
52歳、眼瞼・眼球結膜の
皮を移植する方法を用いて治療を行った。その結果,
症状が増強し、視界が妨げられてきた。その他の異常
移植表皮部に一時的なhyperpigmentationが見られ
な臨床所見:皮膚の荘薄化、毛細血管拡張、口唇・舌
るものの良好な成績が得られたので報告する。本法は
の肥大、歯牙・歯肉異常、検査所見:血清M蛋白、尿
顔面頚部等の,限局的な白斑病巣に対し,単回で白斑病
中BJ蛋白など。眼瞼組織は膠原線維・血管壁の変性
巣のほぼ全面積を治療し得るものである。
と、膠原線維全体に均一したアミロイドの陽性像。電
顕的にアミロイド細線維を確認した。眼瞼・眼球結膜
に沈着するアミロイドーシスはきわめて稀であり、ア
ミロイド染色陽性所見も、一般的にみるものとは異な
る。また、多発するガングリオンを、アミロイドーシ
スの症状として良いものかも疑問である。
なおヽ本症は、第12回目皮会茨城地方会で診断例とし
て報告した症例と同一である。
CR-111 特異な臨床像を呈した続発性フミロイド
CR-112 斑状強皮症を合併した晩発性皮膚ポルフィ
シスの1例
リン症の1例
菊池 新,桜岡浩一(済生会横浜市南部),
岡田裕之、渡辺理恵、渡辺晋一、溝口昌子、高橋 久
尼ヶ崎安紘(同内科),栗原誠一(平塚市)
(帝京大)紫芝敬子(佼成病院)近藤雅雄(国立公衆
衛生院)
症例,64歳,男。約1年前より全身に関節痛認め,
近医にて慢性関節リウマチとして経過観察していたが
症例:67歳、男性。家族歴:特記すべきことなし。
その後貧血,蛋白尿を指摘され当院内科受診。また全
既往歴:昭和44年、輸血後肝炎。
身の関節痛および瞥部∼鼠径部の板状硬結を主訴とし
日本酒を1日2合飲用。現病歴:昭和63年頃より、前額
て当科紹介となる。初診時,舌は肥大し,下眼瞼には
部に紅斑、水庖が出現するようになった。肝障害のた
紫斑,手指の硬化および運動障害を認め,警部∼鼠径
部皮膚には脱色素斑,また同部には板状の皮下硬結を
認めた。内科的にはB-J蛋白は認めなかったものの,
血漿蛋自分画の異常,骨髄に異型細胞を認めた。病理
20歳頃より66歳まで
め近医で加療中、尿中ポルフィリン体を指摘され、晩
発性皮膚ポルフィリン症の疑いで、平成1年12月当科
紹介された。現症および経過:初診時、前額部、頬部
および手背に境界やや不明瞭な淡紅色の局面が散在し、
組織にて皮膚には明らかなアミロイドの沈着を認めな
同部に点状潰瘍、虫食い状癩痕を認めた。その後、前
かったものの,舌および大腎筋内に著明々アミロイド
胸部、後頚部に境界明瞭、淡紅色∼白色調の光沢と硬
の沈着を認め,以上より本例を多発性骨髄腫に続発し
化を有する局面とその周囲の紅斑を認めるようになっ
て生じたアミロイドシースと考えた。
た。病理組織所見:前胸部では、表皮の萎縮、真皮全
層におよぶ硝子様変化を伴う膠原線維の均質化と増生、
付属器の萎縮が見られ、辺縁では炎症性細胞浸潤も認
められた。顔面の皮疹では基底膜の肥厚と真皮の同様
の細胞浸潤と膠原線維の均質化が見られた。
47
365
CR-113 毛包性ムチン沈着症の!例
CR-114 A型肝炎罹御後冗発症した晩発性皮膚いレフィリン症
竹内陽一,大西一徳,石川英一(群馬大)
福原耕作,浦野芳夫,荒瀬誠治,重見文雄,武田克之(徳島大)
40才,女性。約10年前より,近医で汎発性神経
39歳女性。家族歴,既往歴に特記すべきことなし。飲酒歴なし。
皮膚炎として加療を受けていた。約2年前より,耳下
平成2年2月から3月初旬にかけて,A型肝炎にて某病院内科に入院
腺の有痛性腫脹,発熱と伴に,顔面に自覚症状伴わな
退院後の3月中旬頃より,露光部に一致して塵偉を伴った紅斑,丘疹
い,紅色の皮疹が多発し,約1週間程で自然消退する
,水庖が繰り返し出現4治癒後に癒痕,色素沈着を残すようになった
ことを繰り返す。また,同じ頃より,前頭部,眉毛部
ため7月2日当科受診o初診時,顔面,頚部,両側の前腕から手背に
に脱毛を認めるようになった。初診時,全身に軽度落
かけて,
屑を有する紅斑が多発。それとは別に,顔面に母指頭
を多数認めた。ポルフィリン体検査で,赤血球ポルフィリン体正常,
大までの,やや隆起する淡紅褐色,浸潤性紅色局面,
尿中ポルフィリン体の軽度増加を認めた。初発から初診まで数力月経
0 5inm前後の一部血伽を付着する褐色∼紅褐色斑および彫痕
丘疹が散在。自覚症状なし。また前頭部,眉毛部の皮
過していたためか,尿中ポルフィリン体はコプロポルフィリン優位を
疹部に脱毛を認めた。 IgE
示し以後特徴的な皮疹の新生を認めなかった。臨床経過より,A型
225
2IU/nil,好酸球5.2
%,ATLAト)。組織学的に真皮全層に,好酸球を混
肝炎による肝障害が誘因となって発症した晩発畦皮膚ポルフィリン症
じた槻密な巣状単核球細胞浸潤を認め,変性した毛包
と考えた。本症に見られる肝病変は種々であるが,A型肝炎の報告例
上皮の一部では,アルシアンブルー染色陽性。一部毛
は非常に稀である。
包,表皮内にも細胞浸潤を認め,浸潤細胞の多くは
Leu 3a+3b(十)。 経過中,同様の丘疹は躯幹,四肢に
も出現。ステロイド含有軟膏外用,及びレチノイド投
与で軽快傾向を認めた。
CR-115 subepidernial
calciだed noduleの1例
CR-116 被包性重肪壊死性小結節(菊池)様の構造
を認ぬた異物沈着症
山本康生,安田佳世,池田政身,小玉 肇(高知医大)
井坂 公(南国市)
田端英之,田村多絵子,石川英一(群馬大)
3歳男児。初診平成2年9月22日。本年7月中旬,殿部
に外傷後,紅色丘疹か生じ,近医で外用治療を受けていた
が,増数,融合みられ,改善しないため,当科を紹介され
た。現症:両殿部特に左殿部に小豆大までの半球状に隆起
する紅色丘疹多発,中央やや陥凹し黄白色調を透見する。
組織像:真皮浅層に好塩基性に染まる塊状物質がみられ,
一部,表皮を通して排出されている。
subepidermal
calcified nodule と診断した。経過観察のみとし,1ヵ
月後には著明に軽快し数力所を残し扁平淡紅褐色斑となる。
特異な点:発症部位か殿部でしかも多発している点と自然
消琵した点。
69歳、女。不明熱、筋脱力症状を主訴に来院。多発
性筋肉を疑い、三角筋生検を施行したところ、筋肉に
接する脂肪組織内に数層の結合組織様被膜で包まれた
複数の嚢腫様構造と、それに隣接してあるいは筋線維
間に巨細胞、リンパ球、マクロファージよりなる肉芽
腫性の変化があり、この中に扁光顕微鏡で銀白色光を
発する多角形の小結晶状の物質が認められた。
この組織所見は被包性脂肪壊死性小結節(菊池)に
ー見類似しているが、自験例では嚢腫様構造内に膜嚢
胞様構造を認めなかった。
白験例は初診の約3週間前に上腕生検部に筋肉注射
を受けた既往があり、組織所見との因果関係が示唆さ
れた。
366
CR・117 Ascariasisが誘因と考えられたeosino
−
CR・118 Total lipodystrophyの1例
philie panniculitis の1例
中村浩昭,千葉純子,瀬川郁雄,昆宰市(岩手医科大
田中克己,宮里 稔,名嘉真武国,中野俊二,
学皮膚科)谷口繁,山田裕彦(同救急センター)
津田具五,笹井陽一郎(久留米大)
高山和夫(同臨床病理)班目健夫(同第一内科)
38歳,女性。腹部と前腕の浸潤性紅斑を主訴に来院。
症 例:25歳男性。
末梢血好酸球増多および病理組織学的所見よりeosino-
主 訴:全身の多毛と特異な顔貌。
phi lie panniculitis と診断した。入院時検査では,
家族歴:又従兄弟に同症を認める。
末梢血好酸球増多(4982/mm3)以外異常は認めない。
既往歴:糖尿病(6歳時より)。
糞便検査にて,
現病歴:ガス壊疸にて本学救急センターに入院中に,
Ascaris
lumbricoides の受精卵を検
出したため,パモ酸ピランテル500mgの内服投与に
特異な顔貌と多毛を指摘され当科紹介となる。
て駆虫を行った。駆虫前には増悪傾向を示していた皮
現症:頬がやせこけ,眉毛か太く濃く,顔面全体に
疹は徐々に軽快し,末梢血好酸球増多も改善した。経
轟毛を多数認め,上顎が突出した独特な顔貌を呈して
過中,特に皮膚科的な治療は行わなかった。
いる。また躯幹・四肢は筋肉質で皮下脂肪に乏しく,
特異点;
Eosinophilic
panniculitis
の発症誘因と
して,回虫感染症の報告はみられない。
間擦部に色素沈着を認める。
検査所見:ケトーシスを伴わないインスリン抵抗性の
糖尿病を認めるが,高脂血症は認められなかった。ま
た基礎代謝および内分泌機能は正常範囲であった。腹
腔鏡および肝生検にて肝硬変を認めた。
皮膚病理組織所見:筋層に至るまでほとんど脂肪組
織はみられなかった。
CR-119 【loduI a r cystic fat necrosis
(mo bile encapsu1 a t ed 1i poma )
CR-120 皮下に転移した肝エキノコックス症の1例
足立柳理,石塚 緑,遠藤 恵,足立功一(釧路労災
原田晴美,荻野倫子,中村健一,川名誠司,河野正恒,
病院)
高田善雄(聖路加病院皮膚科)
症例:58歳,男性。初診:平成元年1月20日。平成
症例:61才主婦,初診1990年6月,既往:25才肺結
元年1月,当院内科で胃癌(
核,46才より喘息のため副腎皮質ホルモン,最近は漢
れる。入院時に右下腹部の硬い腫瘤に気づき精査のた
BorrmannⅢ型)と診断さ
方薬を内服中。約半年前から四肢に難治性潰瘍をくり
め紹介され受診した。腫瘤は超鶏卵大,骨様の硬さの
返し,当院外科に入院中。現病歴:約2年前から四肢
可動性のない皮下腫瘍で皮膚に開口する痩孔を認める。
の皮下結節に気付いた。現症:手背,前腕伸側,大腿
組織学的に,表皮には異常なく,小血管の拡張,増生。
前面に米粒大∼大豆大,表面平滑,表皮及び周囲組織
リンパ球,組織球,形質細胞の浸潤を伴なう肉芽形成
との癒着のない,硬い皮下結節か点在し,一部は押す
反応を認める。好酸性に染まるクチクラ層と呼ばれる
と数回移動する。自覚症なし。calcinosi
多角形の管状構造を認めた。エキノコックス血清検
s cut i s。
1ipoma.などを疑い大腿前面の米粒大の結節を皮膚を
査は0. 721と疑陽性を呈する。治療は観血的に切除した。
含め切除した。病理組織像:摘出した結節は米粒大,
現在まで再発は認めない。エキノコックス症は肝臓に
表面平滑な白色結節。変性した脂肪細胞から成り結合
病変をつくる事が特徴とされ,他に肺,脳,腎などの
織被膜で被れ,
報告もされているか皮膚におけるエキノコックス症の
demarca
ted fat necro
s i sの像を
呈する。被膜の最外層はリンパ管内皮細胞と思われる
報告はきわめて稀である。北海道(道束地方)はエキ
細胞で被れている。結節周囲の皮下組織にリンパ管の
ノコックス症の汚染地域であり,疫学的検討も加え,
拡張かおり,その内腔江同様のdemarca
報告する。
necrosisの像を認める。
ted fat
367
CR-121 Myelodysplastic Syndrome ( MD S )に伴っ
た特異なブドウ球菌感染症の1例
CR-122 難治性下腿潰瘍を主訴とした強直性脊椎炎
小濠ゆかり(東医大),藤巻純子,川崎 了(都立大
川崎 了,佐伯紀孝,藤巻純子,長渾美和子(都立
塚),西村晴美,中村有邦(同内科)
のi例
大塚),川合真一一(同リウマチ膠原病科),園寄秀吉
(同整形外科)
52歳,男。現病歴:平成2年6月,全身倦怠感,食
欲不振,タール便にて内科入院。MDSと診断。赤[飢
患者:53歳女,家婦.初診:昭和62年10月3日.家
球輸血施行。プレドニソロン60弓より投与開始1週後,
族歴,既往歴:特記すべきことなし.現病歴:初診の
右醤部にピリピリ感を伴う小水庖が出現したため当科
6年前より右足関節炎を生じ,某整形外科で非リウマ
受診。臨床的に単純性庖疹と診断。経過:非ステロイ
チ性関節炎として治療.5年前より足関節の硬化,骨
ド系外用剤にて経過観察するも拡大。抗ウイルス剤投
化とともに下腿∼足の皮膚硬化を生じ,3年前から難
与するも不応。更に大腿,体幹に一部圧痛を伴う出血
治性下腿潰瘍を形成.現症:両足関節硬化,固着.両
性丘疹,l拉水庖,紫斑,皮下硬結出現と共に全身倦怠
下腿∼足の皮膚硬化.下腿に劾卵大∼小豆大の潰瘍多
感増悪。切開するも排膿なし。血庖内容及び硬結部切
発.下肢以外に皮膚病変なし.組織学的所見:毛細血
開時浸出液培養にて,ペニシリナーゼ陽性黄色ブドウ
管拡張,血管内皮細胞の膨化,出血,形質細胞,リン・
球菌検出。静脈血培養陰性。抗生剤投与にて約1ヵ月
パ球浸潤.検査:貧血,免疫グロブリン増多症.
で略治。しかし8月中旬より肺炎を併発し,肺出血,
O),ANA(0,レ線上足関節骨癒着像.非定型なが
呼吸不全にて9月死亡。右大腿水庖部組織像:表皮内
ら竹節状脊椎像,骨シンチで腰椎,仙腸,肩関節に陽
単房性膿庖で好中球と変性表皮細胞を含む。真皮から
性像Schober兆候陽性.HLA‥-B
脂肪織の血管周囲性に好中球浸潤。考察:基礎疾患に
は第648回東京地方会でA
よる好中球及び血小板機能異常のため膿庖化せず血庖
して報告した.今回,下腿潰瘍は本症の付随症状と判
を作るなど特異な臨床像を呈したと考えた。
断し,文献的考察を加えて報告する,
CR-123 潰瘍性大腸炎(uc)を合併した頭部乳頭状
CR・124 後頭部に生じたPilonidal
R A
27なし.本症例
t r 0 p h i e b1ancheの1例と
Sinusの1例
皮膚炎の一一例
中山恵二,今井俊哉,相良宗徳,青木雅子,若松律子,
菊地克子,高橋和宏,田上八朗(東北大学)
中村進一[日医大(第1)]
30歳,男性。初診:平成2年1月10日。既往歴:平
32歳,男性。20歳頃,後頭部の腫瘤に気づいたが
成元年初め頃より下血があり,排便時に粘液が排泄さ
放置。初診の6ヵ月前より徐々に増大し,近医より紹
れるようになったため,同年12月,当院消化器内科を受
介され,
診し,ucの診断で治療を受けている。現病歴:約7年
頭部に1.8×1.8×0.5 cmの半球状腫瘤を認め,同部の皮
前より項部のにきび様の皮疹に気づき,近医にてミノ
下に3×3cmの皮下硬結を触知した。摘出標本は硬毛
1990年2月10日当科受診した。初診時,後
サイクリンの内服などによる治療を受けたがあまり反
を含んで春見病理組織では,真皮中層から下層にか
応しなかった。約3年前より同部の皮疹が次第に増大
けて異物巨細胞を伴うabscessの形成と炎症肉芽の
し腫瘤を形成してきたため当科を受診した。現症:項部
形成がみられ,七○中に多数のhair が認められた。
に,70×60×20m,表面に小陥凹と毛束の散在する淡紅
全摘術施行後現在まで再発は認めていない。
色,弾性硬の腫瘤と,その周囲に紅色丘疹と膿庖を認
めた。臨床検査成績:ツ反(-),
r - globlin2 Z.1%と高
値。組織学的所見:表皮は表皮突起が短縮し,一部び
らん化。真皮深層の毛嚢周囲に密な炎症性細胞浸潤を
認める。浸潤細胞は,好中球,リンパ球,形質細胞が
主で多核巨細胞も散見された。好酸性に染まる膠原線
維束の増殖が著しい。経過:腫瘤全摘術と分層植皮術
を施行した。考按:ucの合併は本症の病因に免疫異
常も関与する可能性を示唆するものと考えた。
368
CR-125 多嚢胞性卵巣症候群(
CR-126 エトレチナートが奏効した乾癖続発性紅皮
PCO)の2例
症の1例
岡田 茂.河合京子,野中薫雄.吉田彦太郎1長崎大丿
○小俣光子、加瀬佳代子、山口文雄、漆畑 修、斎藤隆三
宇佐俊郎(同大I内)
(東邦大・大橋)、西脇宗一(関東中央)
今回、皮膚症状を主訴として来院しPCOと診断した
56歳、男性。昭和50年頃より下腿に乾鮮様皮疹出現。
2例を経験したので報告する。症例1:22歳、女性。
平成2年1月、米粒大∼貨幣大の鱗屑を付着する紅斑
全身の多毛で受診。低身長・肥満・月経異常を伴って
が全身に拡大したため当科受診。尋常性乾廊の診断の
いた。婦人科でPCOが見いだされた。耐糖能異常など
もと、ステロイド剤外用、光線療法施行するも症状軽
他の内分泌異常は認められなかった。症例2:27歳、
快せず。 2月下旬より、皮疹中央部が檀色傾向を呈す
女子。初診は1979年18歳の時。両脹寞・項部・下腹部
る多型産出性紅斑様と忿や、徐々に環状に拡大融曾し
の色素沈着を伴った表面粗穐な増殖局面を認め、偽性
不規則々網目状を呈した。3月初旬には紅皮症様と々
黒色表皮腫と診断されており、多毛・月経異常を認め
つたゝめ、3月26日入院。入院時、全身に多量の鱗屑
婦人科にてPCOと診断された。今回、内分泌などの梢
を伴う熱感のある浮腫性紅斑と、掌泄に厚い鱗屑が付
査のため内科入院となる。糖負荷試験では境界型糖尿
着し悪感を訴えた。WBC
病であったが、高インシュリン血症を認め正常の3倍
ALB
を示した。母や祖母にも同様の皮疹と高インシュリン
2.59、Tumor
血症を認めた。インシュリンレセプターの数や機能の
非ステロイド剤外用にて効果なく、5月18日より エ
異常、抗レセプター抗体は認めなかった。悪性腫瘍の
トレチナート60叩(1㎎/騨)にて治療開始。約2週
8200(秘11価)、TP
6.(リ/(風
3.1み/(凪CnP
2 .3呪/(耀、赤沈14鵬/11、CU4/8
marker正常。ステロイド剤内服、外用、
合併や免疫能の異常もみられなかった。2例ともにブ
後よリ間擦部位を中心に正常皮膚拡大し、著明改善を
ロモクリプチンやクロミフェンなどによる治療を受け
認めた。治療開始後3ヶ月には、両下肢に大豆大迄の
ているか、皮疹の軽減や排卵はまだない。
乾癖様皮疹が散在するまでに軽快した。
CR-127 汎発性膿庖性乾癖(
exanthematous type)
CR-128 GPPにブドウ膜炎,大動脈弁閉鎖不全を合
の1例
併した症例
西川勝司,小林 仁,安田秀美,大河原 章(北大),
江副和彦,大滝倫子,西岡 清(東医歯大)
村松隆一(岩見沢市立),阿部智子(岩見沢市立内科)
34歳,女性。昭和55年に発症したGPPで,現在当科
症例: 81歳,女。初診:平成2年7月2日。脳梗塞
6度目の入院中。
の既往かあり,高血圧,軽症糖尿病で内科通院中であ
ー・チ因旱は日∼(2十八昭和61年より両眼の虹彩炎併
った。前駆症状なく突然の発熱とともに躯幹,四肢に
発。平成元年,平地歩行20分にて息切れを自覚。精査
浸潤性の紅斑か多発し,翌日からは意識低下がみられ,
の結果大動脈弁閉鎖不全Ⅳ度,僧帽弁閉鎖不全Ⅲ度と
紅斑上に膿庖が出現し急速に増加した。病理組織検査
において,角層内に,好中球より左る大小のabscess
表皮にはKogoj
's spongiform
pustule の形成を認め
た。一般臨床検査では,白血球増加,
CRP強陽性,
Mutilans型関節症あり。経過中リウ
診断。幼少時にリウマチ熱を疑わせる既往歴なし。
,
欧米ではHLA-B27関連疾患に大動脈弁閉鎖不全お
よびブドウ膜炎合併の報告がある。本邦ではB27が検
出されない乾癖にブドウ膜炎が合併した症例が報告さ
血沈充進,低蛋白血症,低カルシウム血症がみられた。
れており,自験例でみられた弁膜症はプドウ膜炎とと
血液,膿庖からの細菌培養は陰性。抗生剤投与に反応
もに乾癖に関わって生じた可能性を考えている。
友く,チガソン投与により急速に膿庖消失,紅斑も徐
々に消失した,このような急激な経過を辿った他4症
例の汎発性膿庖性患者を併せ,血中サイトカインの測
定も行った。
369
CR-130 Acanthosis
CR-129 7やタゾラミドKよカ増悪した膿庖性乾艇
nigricans benignaの1例(皮
膚削り術施行例)
黒田 啓,田辺恵美子,児島孝行,藤田 優,岡本昭
二(干葉大)
福田知雄,高田和美,山崎雄一郎(匡1立第二),杉本
智透(同形成外科)
28歳,男。2歳よj手指K紅斑,爪変形,7歳より
躯幹,四肢に紅斑,鱗屑,膿庖出現,皮疹増悪時に熱
症例:26歳男。初診:平成2年7月14日。主訴:全
発。鏃治性で寛解増悪をくり返したが,
身の色素沈着。既往歴,家族歴に特記すべきことなし。
1987年9月
よタエトレチナート30弓/目投与開始し,皮疹は安
現病歴:8歳頃より気づいた全身の色素沈着。項頭,
定化。緑内障による眼圧上昇のため,
服高,乳量,陰股部などを中心匠色素沈着が増強した
1988年11月
11日よタアセメゾラミド(ダイアモッタス⑧)
750り/日
ため,今回治療を目的として当科受診した。現症:項
内服。同年11月19日よ夕,熱発とともに躯幹,四肢に
顎,服高,乳量,陰股部などを中心に黒褐色色素沈着,
紅斑,膿旭多発。フセタゾラミド中止後,皮疹軽減。
角質増殖によると思われる皮野の著明化か認められる。
薬剤リンパ球刺激刺験,貼布試験はともに陰性。内服
粘膜病変は認めない。穐蝉など自覚症状はない。身長
誘発試験:アセメゾラミド250呼投与3時間後,躯幹,
163cm
四肢にびまん性紅斑が出現。さらに投与継続し,36時
末梢血にて好酸球軽度増加。尿所見異常なし。生化学
.体重6
3k9o歯牙と爪に異常なし。検査所見:
間後(総量1500り)に乾癖様の紅斑,鱗屑軸よび膿庖
にて肝機能障害。
が出現。誘発皮疹の生検にて,
ン活性,アンギオテンシンIが高値。糖代謝異常に認
M u n ro微小膿瘍,
HBs人g(-)。内分泌系検査にてレニ
Kogo」海綿状膿庖が認められた。乾癖の誘発あるい
めない。血圧は拡張期圧が高値。免疫血清にてRAテス
は増悪をきたす薬剤はいくつか知られているが,アセ
ト強陽性。腹部エコーにて軽度肝腫太を認める。病理
タゾラミドにより膿庖性乾面が増悪した症例はみられ
組織学的所見:軽度の乳頭腫症,角質増殖,基底層の
ていないので報告する。
メラユン色素の増加,および表皮肥厚を認める。治療:
項部より皮膚削り術を開始,現在経過観察中。
CR・131 光線過敏を示したダリェー病の一例
CR-132・Transient
AcantholyticDermatosisの1例
岡本修,佐藤政子,藤原作平,新海宏,高安進(大分
伊丹
彰,後藤裕美,古田寛子,安藤巌夫,久木田淳,
医大)
橋本
謙(帝京大学溝口病院)
64歳男性。20歳の項背部にそう摩性皮疹出現。
66歳男,約10年前より皮疹出没し,某院皮膚科にて,
同年中に嘔幹に紅色隆起性そう岸性皮疹拡大。以後
ダリェー病の診断を受けるも,特に治療は行っていな
夏期増悪、冬期軽快の経過をとる。父、妹、妹の子
かった。平成2年6月14日。パーキンソン病にて当院
二人にも同様の皮疹があるという。初診の一ヶ月前
入院。長期臥床後に皮疹著しく増悪していた為,同日
に掻破に伴い四肢に同様皮疹拡大。初診時(平成2
当科受診した。家族内に同症を認めない。初診時現症
年8月)顔面、四肢伸側にびまん性に暗赤色帽針頭
は,ほぼ全身に,角化性おろし金様に触れる,半米粒
大の硬い丘疹を認め、生検によりダリェー病と診断
大の紅色∼褐色丘疹多発。特に,薇嵩,陰股部に集族。
した。被髪頭部には常色、頂点に黄白色の加皮の固
背部は融合して,分枝状のびらん面を伴う局面を形成
着した帽針頭大丘疹が集最、手掌、足臨には点状角
していた。廣蝉を認めた。粘膜疹や爪甲変化は認めな
化ありいi心こは縦方向の白線、一部変形を認める。
かった。組織学的には,基底層上に裂隙を認め,輔融
粘膜疹なし。入院後ジフルプレドナード、尿素軟骨
解細胞が存在した。円柱体や穎粒体などの角化異常の
の重層外用療法にてニケ月後に皮疹は軽快。入院中
所見は認められなかった。真皮には,軽度の血管周囲
施行された光線過敏検査にてU
性細胞浸潤か見られた。ステロイド含有軟膏外用によ
V E 7 2 mJ/
・にて
紅斑が誘発され、MEDの低下ありと判断した。し
り治療した所,10月現在,発疹,癈晰共に軽快した。臨
かしU V B 63 nvT/dif、U V A 8 . 4 6 J/cm
床像,組織像より,発汗により誘発された。Transient
5日
間連続照射では明らかな皮疹は誘発されなかった。
acantholytic dermatosisと考える。
370
CR-133 Transient
Acantholytic Dermatosisの1例
CR-134 Congenital
palmoplantar
and
periori-
ficial keratodermaの1例
岩間千佳子、植木裕美子、花田順子、金沢一也、北島
中川浩一,林 一弘,上田正登,市橋正光,三島 豊(神
康雄、矢尾板英夫(自治医大)
戸大)清水良輔(神戸労災)
11歳男子。家族歴に特記すべきことなし。生後2週
症例:71才女性。初診:平成2年7月。家族に同症
頃より下口唇下部,6か月頃より指腹,1年頃より趾腹
なし。初診6ヶ月前より背部に癈庫の強い皮疹が出現
に角化性皮疹出現。
し、徐々に全身に拡がった。近医にて外用、内服の治
底は,かき殻状の極めて厚い角化物質で覆われ,手掌か
1990年10月入院時現症:手掌,足
療を受けたが改善しない為、当科を受診した。初診時、
ら前腕に紅色の痘痕様角化性線条を認める。
摩疹又は汎発性湿疹と考えステロイド剤外用と抗ヒス
全爪甲は消失し,手指は屈位に拘縮。
タミソ剤の内服を試みたが、1ヶ月著変を認めない為、
下口唇下方,尾首部に角イヒ性局面,前頭に円形の脱毛
8月生検を施行した。現象:ほぼ全身に癈庫を伴った
巣,舌に白’色局面,躯幹に毛孔性小丘疹を認める。低身
米粒大∼小指頭大までの紅色丘疹が多発していた。丘
長(112cm),関節の過弛緩性,レ線で手指,足趾末節骨
疹は融合を認めず、中央にびらん、拙皮を認めた。肢
の融解像を認める。
寓、陰股部に皮疹はみられなかった。病理組織所見で
手掌の組織所見では著名な過角化,錯角化,及び
は、棟融解、不全角化細胞を認め、Darier病様だっ
acanthosisを認める。聴力,視力,精神発達に異常は
た。以上よりTransient
ない。現在エトレチネート約lmg/kgで加療中であ
acantholytic dermatosis と考
えた。ステロイド`外用を続けていたところ、9月には、
る。本例はcongenital
腹部の一部と下肢を除き皮疹は消退した。
ficial keratoderma
本症は誘因として日光照射、発汗、温熱などがあげ
られ,文献的検索によると世界で第6例目である。
palmoplantar
(Olmsted
and
periori-
syndrome)と考え
られているが、病態の解明はなされていない。白験例
にUVA、UVB、温熱、ストリッピング等による誘発
実験を検討中である。
CR-135 角膜変性を合併した線状・斑状掌陳角化症
CR-136 Sjogren-Larrson
syndromeの1例
の1例
八坂なみ,秋山千恵,窪田泰夫,島田員路,玉置邦彦
川合博子,古池高志,小川秀興(順天堂大)
(山梨医大)
20歳,男性。幼少時より,指腹に線状,足鍍に斑状
15歳、男性。初診:平成2年7月3日。家族歴:血族
の角質増殖性局面を認め,疼痛を伴っていたという。
結婚あり。イトコに同様皮疹を呈した男性と脳性麻庫
家族に類症なし。眼科的には角膜変性を合併し,指尖
の女性がいる。現病歴:1歳頃より、顔面を除く全身皮
脈波・サーモグラフィーにて末梢循環不全が認められ
膚の粗槌、落屑と発達遅延に気づき、精神発達遅延を
た。病理組戦像は,
HE, Feulgen染色とも非特異的所
伴う脳性麻庫と診断される。現症:顔面を除くほぼ全
見を呈するが,電顕的には,トノフィラメント束内の
身皮膚は乾燥粗槌を呈す。皮疹は関節屈側に強く、肢
空隙形成と角質内脂肪滴が認められた。血清・尿中チ
高では黒褐色の色素沈着を伴う角質増殖を認めた。病
ロシンともに正常で,その他の一般検査所見忙も特に
理組織:過角化と表皮の乳頭腫様増殖、真皮上層の血
異常は認められなかった。遺伝性掌箭角化症の分類は
管周囲性の細胞浸潤を認めた。精神発達遅延、痙性四
時に明確に分類し得ない症例も報告され,多種多様で
肢麻庫も認められ、Sjogren-Larrson
ある。我々は,自験例のその位置づけについて検討し
した。
た。
syndromeと診断
371
CR-138 常染色体優性遺伝性が疑われたHypohicト
CR-137 Rud症候群の1例
rot ic ec todermal
dysplasiaの姉弟例
坪内由里,梅林芳弘,大久保干真季,村木良一一,
馬場徹,上野賢一(筑波大)
○奥田 豊,藤滓重樹,花輪 滋,森嶋隆文〔日天
(駿河台)〕,五十嵐孝義(日犬歯学部)
6歳女児。生下時より全身皮膚に禰漫性の潮紅と落
屑,亀裂が著明であった。組織学的には,角質増生と
穎粒層の肥厚,ケラトヒアリン穎粒の粗大化を認め,
非水庖型先天性魚鱗癖様紅皮症と考えられた。著しい
精神遅滞(DQニ27 , 精神機能22.4か月程度)と,
脳波上,前頭葉にsingle
と診断した。
spikeを認め,
Rud症候群
症例,18歳の姉と15歳の弟。家族歴。同胞4人のう
ち上の兄姉に異常はなく,家系内に近親婚はない。両
例とも,歯牙の形成不全,皮紋のdi
dish
ssociat ionがあり,
f aceや鞍鼻はなく,正常の顔貌であり,新生児
期の原因不明の発熱や中耳炎,萎縮性鼻炎の既往はな
い。また,生後直後から,掌雛に輝裂があり,皮膚は
乾燥性で癈痙があり,アトピー性皮膚炎と診断されて
いるが,肘・膝窟に湿疹病変を認めたことはない。発
汗試験で,背部にBlaschko線は認められなかった。
無汗性外胚葉形成不全症(AED)にみられるほど著明な
発汗の減少はなかったが,姉の方が発汗の減少や熱負
荷試験による低耐熱性が強く認められた。姉には4歳
の頃から,右足1趾の爪甲の変形,手背,足背の粟粒
大の角化性丘疹がある。指尖の汗孔の観測で,弟の指
尖には伴性劣性遺伝型のAED男子型と異なり,汗孔が
認められた。その汗孔闘距離は姉とといこ,延長して
いた。母親の汗孔間距離は正常範囲内であった。
CR-139 Goltz症候群の1例
CR-140 sem
石井則久,大滓純子,馬場直子,中嶋 弘(横浜市大)
inomaを合併したCowden病
大沢薫子,川崎朋美,清水直也,伊藤雅章,佐藤良夫
(新潟大)
13歳,女。生直後より皮膚色素異常が存在していたが,他に奇
形を認めなかった。母親は妊娠中特記すべきことなく,家族にも
症例は36歳男性。
異常を認めなかった。
切除術を受け,20歳時にsem
初診時,四肢・躯幹に線状,列序性,ほぼ対側性に毛細血管拡張・
り,手掌足底に圧贅植皮疹が出現し徐々に増加した。
色素沈着を伴うpoikiloderma様の淡赤∼暗赤色調,萎縮性の色素
27歳時,当科を初診。玩贅様皮疹に液体窒素療法は無
斑が存在していた。また脂肪ヘルニア様黄褐色結節も散在してい
効であった。平成2年6月(35歳),当科入院。現症
た。毛・爪・歯には異常を認めなかった。全身骨はほぼ正常で,眼
:顔面,頚部,硬口蓋釦よび舌先端に半米粒大の小丘
科的にも異常を認めなかった。病理組織学的には,非薄な真皮と
疹が多発。手掌足底に点状陥凹性の角化性丘疹が多発。
表皮直下に達する脂肪組織か認められた。
頭部訟よび腹部に淡褐色の硬い小指頭大の腫瘍あや。
臨床的・病理組織学的に典型的なGoltz症候群(focal
hypoplasia)と診断した。
dermal
15歳より,数回,皮下の血管腫の
inomaの手術。
26歳頃よ
他臓器合併症として消化管ポリポージスを認める。組
織学的に,顔面の小丘疹は,表皮と連続する上皮細胞
の壷状増殖。足底の角イヒ性丘疹は表皮が盃状に陥凹し,
表皮突起が中央に集束。干の部分の角質層には過角化,
訟よび錯角化を認める。頭部おヽよび腹部の腫瘍は真皮
内に層状,一部渦巻き状配列を示す,太い膠原線維
の増殖と多核巨細胞浸潤を認める。臨床的,組織学
的所見よI)
, Cowden病と診断。本症の皮膚症状は
dermadromeとして認識され,白験例のsem
併が注目される。
inoma合
372
CR-141 色素失調症の1例
CR-142 Incontinenfcla
塩見祐子,廣田さち子,川口浩二,宮川幸子,白井利
松本修一(刈谷総合),増谷 衛(保衛犬),新家雪彦,
彦(奈良医大)
廣石裕一,小倉良介,梶田祐司(刈谷総合小児)
生後11日,女児。出生時体重3180g,満期安産,妊
症例 12才,男,生下時よ少先行皮膚病変々く,体幹
娠中母親に異常はなかった。出生時より,四肢に不規
を中心に色素脱失が存在。両親に血族結婚は無く,血
則線状,播種状の紅斑,小水庖が多発していたため,
縁に同様症状も認められていたい。平成2年4月学校
当科紹介された。家族内同症,血族結婚はない。病理
検診にて蛋白尿を指摘され受診。初診時所見では,体
組織にて表皮内好酸球浸潤,好酸球性膿庖形成,表皮
幹・顔面・両側大腿・両側上腕に辺縁比較的明瞭な,
細胞間浮腫,真皮上,中層の血管周囲の好酸球を多数
不完全脱色素斑が渦巻き状に存在。また両側第ろ趾の
含む細胞浸潤を認める。末梢血中好酸球24%
短縮,第1・2趾の外反,X脚,低身長が認められた。
,性染色
pigmenti achromiansの一一例
体の転座,欠損は認めず,現在のところ,他の先天異
検査所見では,一般血液検査には異常無し。尿蛋白陽
常を認めない。分泌型ECPに対するモノクローナル
性。尿中・血中アミノ酸分析異常無く,染色体正常,
抗体EG2を用いて,免疫組織染色を行ない浸潤好酸
脳波,頭部CTも正常であった。超音波検査にて両側
球の大部分が陽性であった。
腎嚢胞を認めた。
組織学的には,正常部忙比較して色素脱失部での基
底層メラニン穎粒に大きな差は認められ々かった。
CR-143 Linear and whorled nevoid
CR-144 遺伝性感覚性ニューロパチーの1例
hyperpigmentation in a child with
chromosomal mosaicism.
奥村百合子,関東裕美,海野俊雄,露木重明(東邦大)
窪田泰夫,島田員路,玉置邦彦,志村由江*,雨宮伸*
石田哲朗(東邦大,大橋第4内科)
(山梨医科大学皮膚科,小児科り
15歳女児。家系内同症(-),血族結婚(-)。正常分娩。
52歳,男性。千葉県出身。初診:平成元年6月26日。
無月経と乳房発育不全精査のため当院小児科入院中。
主訴:手,足底の無痛性の潰瘍。現病歴:7歳頃より,
生後1歳頃より体幹に直径2∼3mの茶褐色斑出現,漸次
足趾先端に亀裂を生じ,徐々に潰瘍を形成するととも
増数拡大し線状ないしうずまき状を呈す。先行する炎
に,感覚の鈍麻にも気付いている。
30歳頃より,手に
症症状や皮膚病変は認めない。成長・知能発達,歯芽・
も同様の症状が出現し,症状は軽快することなく進行
毛髪・眼科所見も正常。色素斑部組織所見は,著明な基
し,手足の変形,拘縮,無痛性皮膚潰瘍を生じ現在に
底層メラニン色素の増加と若干の表皮メラノサイトを
至る。神経学的検査にて表在知覚(温・冷・痛・触)
認めるも,真皮におけるメラニン滴落やメラノファージ
障害,上下肢腱反射先進を認める。知能は正常。運動
はみられなかった。外性器は女性型であったが,陰核は
麻庫,表在神経の肥厚,筋力低下はない。骨単純レ線
肥大し恥毛も男性型。また子宮,卵管,腔は存在したか,
では,左足全趾,右足第V趾の脱落,手指末節骨の溶
卵巣は認めえず,同部位には萎縮精巣を認め,
解,消失像がみられた。誹腹神経生検像は有髄線維の
dysgenetic
male pseudohermaphroditism
た。染色体分析では45X/46X,mar-l/47X,
mar-l:ring(Y)(pll.32→qll.23),
ter→all. 23::qn.23→all.
と診断され
mar-2, Diar-2。
inar-2:de1(Y)(p
21::pll.32→p
ter)。自験
例は染色体モザイクと特異な色素異常症との関連性を
示唆する興味ある症例と考えられた。
著明な減少をみたが,
onion
bulbの形成はみない。右
手の正常と思われる皮膚生検では,過角化と表皮肥厚
を認めるのみであった。ツ反陽性,血清FLA-ABS法
は陰性。家族歴は,詳かではないが,遺伝性感覚性ニ
ューロパチーのTypenに近い症例と考える。
373
CR-145 EMO【exophtha】mos、pretibial
myxedema、
CR-146 Pterygiura Inversum
Unguisの1例
hyperlrophic osteoar thropathy )症候群の1例
乃木田俊辰.山下浩子,川島 真,肥田野 信(東京女子
加藤 直子(市立小樽皮膚科)、上野 洋男(同 病理)、
医大)
松原三八夫(同 内科)
症例:6才。女児。出生時より両第4趾爪下の皮膚隆起
EMD症候群は、甲状腺機能充進症に眼球突出、脛骨
に気づいた。その後同様の変化が左第2,3趾,右第3趾
前粘液水腫、太鼓ばち指を伴うまれな病態である。1
に出現。靴を着用時に軽度に圧痛あり。母親の両第4,5
例を報告する。症例:34歳、男。26歳頃から両側甲状
趾に同様の変化あり。組織所見では,過角化,爪下上皮の
腺腫大が出現し、甲状腺機能先進症と診断され断続的に内
過生を認める。世界でこれtで約20例の報告がある。これ
服治療を受けていた。平成2年2月の当院内科入院時の血
液検査成績は、T3 4.1ng/ml↑、T4 19.4μg/dlt、TSH
戸IU/ml以下、TBG
19.8戸g /ml、TBIl
までの報告は手指に多く,足趾のみの症例は本例が初めて
0.05
である。
84.1%↑、TS-AB
6395%↑、抗甲状腺ミクロソーム抗体25600倍であった。
臨床的に両側甲状腺のびまん性の腫脹、両側眼球の22mm
の突出、両下腿の前面、後面、足背の扁平あるいは結節状
に隆起する暗紅色から茶褐色の局面および足趾、手指の全
爪の太鼓ばち状の変形が存在した。下腿の皮膚は病理組織
学的に、真皮中層から下層の膠原線維と弾力線維の変性と。
コロイド鉄染色に陽性で畢丸ヒアルロニダーゼにより消化
される粘液物質(ヒアルロン酸)の沈着が確認された。メ
チルメルカプトイミダゾールの内服療法、下腿へのステロ
イド局所療法ほかの治療により経過を観察中である。
CR-147 多種類のステロイド外用剤による接触性皮
CR・148 ブデソニド含有軟膏による接触皮膚炎の1
膚炎の!例
例
杉浦久嗣,上原正巳,広永正紀*(滋賀医大,守山市*)
岡野昌樹(愛染橋病院)
39才,男性。初診平成元年4月3日。3か月前より
25歳、女性。既往歴、家族歴に特記すべきことなし。
下腿および腰・瞥部に軽度の癈作を伴う落屑性紅斑が
1週前よりの癈作を伴う四肢を中心に散在性江多発す
出現。リンデロンVG軟膏⑧およびネリソナ軟膏⑩を外
る鱗屑性紅斑を主訴に初診ず。乾癖を疑いブデソニド
用したところ,外用部位に一致して紅斑の著しい増悪
含有軟膏を処方す。2週後来院時、皮疹の軽快ないた
を来たしたため,当科紹介受診,外用剤の貼布試験で
め真菌検鏡陰性も一部を抗真菌剤に変更す。 4、5日
は検索した18種のステロイド軟膏(リンデロンVG⑧,
後抗真菌剤塗布部は軽快するが、ブデソニド含有軟膏
ネリソナ⑧,7イデー⑧,メサデルム⑧,パンデル⑧,
塗布部はさらに増悪したため、本薬剤による接触皮膚
アルメタ⑧,ダイアコート執 トプシム⑧,デルモベー
炎を疑い、同剤塗布部を他のステロイド外用剤に変更
ト⑧,ビスダーム⑧,フルコート⑧,リンデロンDP⑧,
したところ、ほぼ1週で皮疹は軽快した。検査では、
トリシノロン面,ボアラ②,リドメックス⑧,。ヨイド弗
肝、腎機能障害はなかったが好酸球増多症を認めた。
プロパデルム⑧,アドコルチン⑧)すべてに陽性。さら
パッチテストを主剤と基剤別で施行、48時間後判定で
にステロイド原末を用いた貼布試験においても検索し
ブデノニドのみに陽性を認めた。皮疹部より培養検査
た8種全例(リンデロンV⑧,ネリソナ鰍 フイザー⑧,メサ
でM・ canis を同定、抗真菌剤にてその後約t力月です
デルム⑧,バンダル面,アルメタ⑧,ダイアコート⑧,トプシ
べての皮疹は治癒す。ステロイド外用剤による接触皮
ム②)で陽性。一方,これらの外用剤の基剤,およびアンダ
膚炎は稀で、ブデソニド含有軟膏による接触皮膚炎の
ーム軟膏⑧,コンベック軟膏⑧,スタデルム軟膏⑧,ゲンタ
報告は極めて少たい。
シン軟膏図,エンペシドクリーム⑧では陰性であった。皮疹
はステロイド外用剤の使用中止により約1か月で消退した。
374
CR-149 全身性寒冷尋麻疹の1例
CR・150 悪性間葉系腫瘍を続発したと考えられる重
症蚊刺過敏症の1剖検例
清水良輔,児玉昌子(神戸労災),西野圭輔(神戸大)
五十嵐晴巳,小粥雅明(富士宮市立),小川 博(浜
症例は37才女性。
17才時より気管支喘息が出現。同
松医大病理)
じ頃より冬になると手足に癈岸性皮疹を認めるように
なり,以来毎年9月末になると四肢に,10月末には顔
18歳女。6歳時より蚊利部位K一致して水庖,血庖
面にも皮疹出現,7月に入ると緩解するという経過をく
や潰瘍を生じ,同時に発熱をきたすこともあった。毎
り返していた。個々の皮疹は24時間以内に消失するが
年同様の症状を繰返したが,18歳時,蚊刺を契機に著
冬期には温めると緩解するも完全消失には到らないと
明な汎血球減少,肝肺腫を生じ,約4か月0急激な経
のことである。現症では四肢にコリン性壽麻疹様のい
過で呼吸不全,全身出血傾向のため死亡した。剖検に
わゆる衛星膨診を認めた。局所寒冷負荷試験にて寒冷
て肝牌,骨髄および一部リノパ節には赤血球貪食像を
負荷部以外にも衛星膨診誘発。病理組織学的所見では
示す組織球の増生か認められ,牌おヽよびリンパ節には
真皮の浮腫と血管周囲のごく軽度の円形単核球浸潤を
異型を示すリンパ球様細胞が認められた。
認めるのみであった。白血球増多,血清lgE高値,ク
histiocytosis, malignant lymphoma
リオプロティン陰性。受動転嫁試験陰性。抗ヒスタミ
erythrophagocytosis, infection-induced
ン剤無効。
malignant
associated with
hemophago-
cytic histiocytic syndrome等を疑い免疫組織学的検
素等を施行した。
CR-151 Prur
i go p i gm en tosaの2例
CR-152 Myelodysplastic
Syndrome (MDS)を呈した
紅皮症の1例
広川政己,川岸尚子,橋本喜夫,飯塚 一(旭川医大)
小口 尚,山本 泉(光が丘総合),浅賀洋一(医歯
水元俊裕(旭川厚生)
大),久保信彦(日大・臨床病理)
症例1 , 30歳女。初診の約半月前に特に誘因なく淡紅
色皮疹が躯幹に出現。生理の始まる約1週前頃から皮疹
症例:82歳,男。家族歴・既往歴:特記事項なし。
が増悪するが,性ホルモンの分泌に異常はない。
現病歴:3年来全身に緩球かあり,3か月来全身に紅
症例2,
斑,落屑性皮疹が出現し,1週来顔面と下肢に浮腫が
24歳男。初診の約8年前より特に誘因・なく上
肢,躯幹上部に淡紅色皮疹か出現。皮疹は春と秋に特に
出現。現症:全身の皮膚は乾燥し,落屑を伴う紅斑で
増悪する。
被われる。一部に苔癖化を認める。健常な皮膚はほと
臨床的にはともに張奪感の著しい蔀麻疹係の紅斑性局
んどない。血液検査で著明な貧血(Hb
面で茶褐色の粗大禍目状色素沈着を残し治癒する。標準
減少(W2500)。生化学的検査で低アルブミン血症,
系列による貼付試験はすべて陰性。
組織所見においてdyskeratot
DDSが奏功した。
ic ce□が多数見ら
れた症例2について,免疫組織化学的検討を加えた。
LDH
6.1)と白血球
1185 と上昇,肝機能は正常。CRP4.2,
sec抗
原11.3と上昇。骨髄像では,骨髄芽球9.6%,前骨髄
球24.4^と増多。病理組織:表皮の肥厚と真皮上層に
血管周囲性のリンパ球様細胞の浸潤を認める。以上よ
り,
MDSを呈した紅皮症と診断。治療と経過:輸血
及びステロイドの内用外用にて諸症状の軽快を認め退
院するも,約1か月後,間質性肺炎と全身の発疹で再
入院。躯幹,四肢にびらんを伴う潮紅,落屑局面が存
在。この皮疹の生検ではGVHDか疑れた。1週間後,
呼吸不全で死亡。
375
CR-153 リンパ球増多(TCRa/β゛、cD3へCD4
CR-154 慢性日光過敏皮膚炎のこ例
cD8つを伴った紅皮症の1例
佐藤健二、違藤薫、谷口龍夫、久米昭廣、吉川邦彦(大阪大)
狩野俊幸、湯尾尚可、鈴木正之、矢尾板英夫(自治医
大)、藤井丈士(同、病理)、岩間厚志、三浦恭定(同、
UVBに過敏な慢性日光過敏皮膚炎は珍しいので報告する。
血液科)、押味和夫(東京女子医大、血液科)
第一例:60才、男性。15年程前より下腿にそう峰性の皮疹。
昭和62年10月より露出部に赤色丘疹か多発し、他部に拡大した
80歳、女性。1989年10月頃より胸部・肢寓・鼠経・
ため、昭和63年3月に当科初診。幼少期よりF湿疹」を繰返す
愕部に癈庫性皮疹が出現、市販の外用剤にて軽快増悪
。職業は兼業農家。初診時露出部は苔癖化か強いが、体幹では
をくり返し、翌年4月より近医皮膚科に通院したが皮
疹はしだいに拡大した。 8月末当科入院時、ほぼ全身
に浸潤のある紅斑が認められ軽度落屑を伴い紅皮症を
全体的に小丘疹が散布されていた。病理組織像では、表皮肥厚
と真皮での中等度の小円形細胞浸潤があった。異型細胞はみら
れなかった。パッチテストの結果は一定しなかった。フォトパ
ッチテストは陰性であった。MEDは300niiiで2.6iiiJ/ctn^で390ninで
呈した。頚部・肢高・鼠径部に弾性硬のリンパ節が触
知された。血液検査で白血球数14900/μ1、リンパ球75
は6.7×lO-'mJ/cが以上であった。
第二例:51才、男性。生来健康。11年前の秋に顔、手背に赤
%と増加。抗HTLVI抗体は陰性。組織所見は、皮膚で
いブッブツが出現し徐々に拡大、1989年に当科入院。露出部に
は核に辺縁不整、部分的には大小不同もあるリンパ球
扁平隆起性丘疹∼局面か多発、手業には分厚い鱗屑が付着する
が真皮上層の血管周囲に認められ、表皮内へも浸潤。
。全身的には異常なし。MEDはUVB領域で低下し、U
リンパ節ではdermatopathic
では正常。パッチテストではチウラムミックスとキノリンで陽
lymphadenitisの所見に加
え、軽度異型のあるリンパ球が存在。末梢血リンパ球
性。フォトパッチテストは陰性。エスカrトリレ507外用で皮疹
の表面マーカーを調べると、CD3、TCRa/
は改善した。病理組織は慢性皮膚炎であった。
eは90%以
V A
上が陽性だが、CD4、CD8は数%を除き陰性であった。
上記リンパ球が増加した際の臨床的特徴について考え
てみたい。皮膚、リンパ節におけるマーカーは検索中。
CR-155 好中球浸潤を伴った無菌性毛嚢炎を示した
1症例
CR-156 Evans症候群と抗リン脂質抗体による多発
性血栓症のみられたSLEの一例
小菅綾子、鈴木正之、臼井恵太郎、岡部直美、片山洋、
成田 肇,小林泰介,辻 卓夫(名直人皮膚科)
矢尾板英夫(自治医大)
松本美富士(同1内),井上博司,矢野 孝(名大1外)
症例:65歳、男。初診:平成2年1月11日。主訴:
41歳女性,11年前からルポイド肝炎,自己免疫性溶
全身の膿庖。現病歴:平成元年10月上旬に上気道感染
血性貧血として内科で経過観察中であった。
症状が出現し、その2週間後、右側腹部に紅色丘疹が
l1月頃から,右足底に黒色痴皮の付着した潰瘍ができ,
散在しているのに気づいた。その1ヵ月後、全身に紅
その後同部の疼痛とといこ壊疸が急速に増大したため,
色丘疹が認められるようになった。現症:体幹・四肢
当科へ入院となった。同時に,溶血性貧血の悪化,著
に紅量を伴う毛孔一致性の膿庖を散在性に認め、大部
明な血小板減少を伴った。血沈は充進。凝固検査で,
分ではそれらは集設して境界明瞭な浸潤既浮腫性紅斑
PT,APTTが延長。抗核抗体陽性。抗DNA抗体
局面を形成している。検査成績:白血球14200/mm、赤
陽性。血清補体価低下。クームス試験陽性。各種リン
1988年
沈69mm/hr、CRP5.30o膿庖部細菌真菌培養陰性。
脂質に対する抗体陽性。血管造影にて,鎖骨下静脈,
NBT還元能正常、好中球貧食能正常下限。病理組織
腹部大動脈,誹骨,脛骨動脈に血栓が認められた。治
所見:表皮に海面状膿庖を認める。毛嚢内には好中球
療は,右足部の壊疸に対してProstaglandin剛製剤
の多数の浸潤を認める。この症例は臨床的には好酸球
の投与を行ったが改善なく,右足趾切断術を施行した。
性膿庖性毛包炎に類似するが、組織学的に好中球のみ
しかし,その後も壊疸は進行したため,血行再健術を
で好酸球の浸潤は認められないこと、無菌性毛嚢炎で
行い,術後経過は良好である。
あることが特徴で、我々が調べた限りではこのような
疾患は見当たらず、“好中球性膿庖性毛包炎”とした。
治療:DDSにより、皮疹は著明に消腿した。
376
CR-157 皮疹出現と同時期に隆起性皮膚線維肉腫
(DFSP)を生じたSLEの一例
CR-158 蝶形紅斑様の皮疹を伴ったIdiopathic
Plasmacytic Lymphadenopathy
Hyperimmunoglobulinemia
with Polyclonal
(IPL)の一例
小宮根真弓,竹原和彦,渡辺亮治,大塚藤男(東大分
院)
森田明理,榊原 茂,辻 卓夫(名市大皮膚科)
佐藤浩一,高田勝利,伊奈康孝,山本正彦(同n内)
症例:42歳,女。家族歴,既往歴:特記すべきこと
なし。現病歴:S58年頃,当院内科にてSLEの診断
21歳女性。7年前から顔面の蝶形紅斑様皮疹に気
を受け,プレドユソロン内服開始。S59年8月1日,
付く。4年前から 著明な全身倦怠感,4ヶ月前から
前胸部及び上腕の皮疹を主訴に当科初診,生検にて
呼吸器症状と発熱とが出現した。全身の表在リンパ節
DLE様の組織像。H1年12月,顔面に蝶形紅斑が出
腫脹があり,胸部X線ではスリガラス状陰影が見られ
現,同時に右前腕の皮下腫瘤に気づいたためプレドユ
た。血清IgG
8736mg/dl,
IgA
1070 mg/dl , IgM
ソロン15呼/日に増量,蝶形紅斑は消失したが,皮下腫
1160nig/dl,
瘤には変化を認めなかった。現症:両頬部,鼻背部に
ン血症であった。赤血球数2.23×106/s3
浸潤をわずかに触れる紅斑を認める。右前腕屈側に大
RA(−),抗核抗体(−),血清補体価正常。皮疹,リン
豆大,弾性硬,下床との可動性良好,表皮と癒着した
パ節,骨髄および肺生検組織像では,いずれも異型性の
茶褐色の隆起性病変が存在。治療と経過:右前腕の腫
ない形質細胞の増殖を認めた。膠原病,悪性リンパ腫,
瘤を全切除,組織所見はD
肝疾患など高γ−グロブリン血症を来たす他の疾患は
F S Pに合致したため切除
M蛋白卜)で多クローン性高γ−グロブリ
部術創より3m離し筋膜直上まで追加切除した。その
認めず,
後再発を認めない。
えられた。治療はPrednisolone
SLEにDerm
at of ibroma を多
,CRP8.7
1980年に森らにより提唱されたIPLと考
30mg
にて全身状態
発した症例は現在までに数例の報告があり,本症例の
および皮疹の改善,リンパ節の縮少が見られた。さら
D F S Pも現病となんらかの因果関係をもつ可能性が
にC yc 1opho s phami de 50mgを追加後 肺野の陰影も
考えられる。
改善し,血清γ−グロブリン値も軽度改善した。
CR-159 シェーグレン症候群を伴った成人型スチル病
CR-160 早期皮疹を観察し得た皮膚筋炎の1例
の1例
染田幸子,小林裕美,廣田稔夫(大阪市大),
伊藤泰司(星ヶ丘厚生年金・内科)
安部誠,瀧上敬康,寺村正子,増谷衛,上田宏(保健
衛生大)
58歳,女性.初診の約2週間前より皮疹が出現,増
症例:18才,女性。平成2年4月19日頃より発熱,
悪してきたため来院した.初診時,体幹・四肢に広範
四肢の皮疹が出現。近医受診する屯全身倦怠感著しく,
囲に浮腫性紅斑が出現し,一部では小水庖を形成して
4月23日当科初診,緊急入院となる。初診時89∼40℃
いた.手指背では関節部に一致して角化性紅斑を認め,
の発熱,四肢関節痛,全身倦怠感著明,四肢に淡い粟
爪囲には紅斑・紫斑を,眼周囲には軽度の紫紅色斑を
認めた.この時点ではCPK,
粒紅斑が存在。敗血症,ウイルス感染,スチル病などを
疑い精査。検査:WBC
7700, GOT
474, RA(十), RAHA出,
SS-B(-),
A/G
RNPH,
ANA
ASLOH,
85,GPT
106,
CPK
320/ S P, DNA(+),SS-A出,
ステロイド軟膏外用にて経過観察していたところ,3
週目頃より体幹・四肢の皮疹が角化性赤色斑へと変化
0.76, LBT出,血清フェリチン251
2280 ing/dl>
ng/ml,シーマーテ
ェーグレン症候群を伴った成人型スチル病と診断。
30mg/DAYにて種々の症状及び皮疹は速やかに消失,
5mg/DAYにて関節痛再燃,レイ
ノー現象も出現,肝機能障害も出現。再度増量にて症
状消失,現在PSL漸減中である。
し,1か月目頃より上眼瞼の浮腫性紅斑が著明となり,
典型疹となった.肺癌の合併により発症1年2か月後
スト出,ローズベンガルテスト(十)など。以上の所見よりシ
以降減量したところ,
LDHの軽度上昇,抗核抗
体20倍以外,特に異常はなく,確診に至らないため.
ASK日.
Ig-G
PSL
に死亡した.臨床経過から,初診時にみられた多形紅
斑様あるいは湿疹様の皮疹を皮膚筋炎の早期皮疹と考
えた.
,
377
CR-161 腹膜偽粘液腫を合併した皮膚筋炎の1例
CR-162 食道癌根治術後に発症した皮膚筋炎
前川嘉洋,伊藤寿樹(国立熊本)
益田俊樹,西原修美(国立岡山),稲垣安紀,柚木宏
野上玲子(菊池恵楓園),中村佳代子(熊本大)
明(川崎医大)
三森寛幸(国立熊本,産婦人科)
59歳,男。漁業。平成2年4月4日に食道癌根治術
症例:69歳,女性。初診:平成2年2月2日。既往
施行。6月中旬から上肢,体幹,大腿に痕蝉性紅斑出
歴:右顔面チック様痙挙,腎嚢腫。現病歴:平成元年
現。 7月から顔と上肢に浮腫が生じ,7月中旬から筋
夏,躯幹に紅色丘疹,暮には顔面に紅斑が出現,難治
力低下をきたした。ヘリオトロープ様紅斑(+)。爪囲紅
性であるため,某皮膚科より紹介され受診した。初診
斑(一)。Gottron徴候(士)。体幹と四肢のほぼ全周に角
時,顔面は浮腫性紅斑を呈し,特に上眼険に顕著で,
化を伴う紅斑があるが肩からL肢仲側に著明。臨床症
躯幹・関節伸側には落屑を伴う紅斑かある。その他腰
状,皮膚と筋肉の生検,アルドラーゼ.
痛,軽度の四肢筋力の低下を認めた。赤沈,
り皮膚筋炎と診断。食道癌の再発,転移徴候なし。8
アル酸.
LDH.
CRP.シ
lgG・Mの上昇を認めたかCPKは正常。
LDHの上昇よ
月からプレドニソロン60mg/日の静注を開始し,臨床
抗核抗体1.280倍(speckled).抗Jo一1抗体は陰性であ
症状,検査値の改善をみて同薬を内服に変更し漸減中。
った。筋生検,筋電図では有意な所見は得られなかった。
抗核抗体はspeckled
CEA.
nRNP,
CA19-9
は高値,腹部CTで腹水と骨盤腔の嚢腫
Jo-1,
patternで高値を認めるが抗−
Ku, Sm,
SSA/Ro
, SSB/La各抗体い
様病変を得たため精査したところ,骨盤腔内悪性腫瘍
ずれも陰性。二次元イムノブロット法で検討中。
の診断を受けた。以上の所見より悪性腫瘍を合併した
考察:癌病巣の除去により本症の発症が抑制される
皮膚筋炎と診断した。手術所見では虫垂を中心に腫瘤
可能性もあったと考えるが,手術や化学療法の侵襲が
か子宮体部と癒着し,卵巣は萎縮に陥いっており,虫
作用したのであろうか?あるいは癌の再発,転移を考
垂原発の腹膜偽粘液腫と診断された。術後FAMT療法
えるべきなのか。抗核抗体の種類は何か?
を施行したか,腫瘤は増大し,不幸の転帰をとった。
CR・163 7クロC
P K ( Ig人結合型C
PK )を認めた小
CR-164 アレルギー性血管炎を繰り返し,肺出血を
児の皮膚筋炎
きたしたシェーグレン症候群の1例
太田貴久,西岡和恵,山本俊比古,麻上千鳥(山口大)
大橋明子,石田としこ,山本真由美,玉置昭治(淀川
キリスト教病院)
8歳,男児。初診:平成元年4月10日。昭和63年12
月,両頬部釦よび耳介に紅色皮疹が出現。SLEを疑われ,平
患者は59才女性。 13年前から橋本病で加療を受け
成元年4月第1[亘]入院。両頬部から鼻陵にかけて境界明瞭
ている。7年前より紫斑を繰り返し浮腫の強い時や肺
痙浮腫性紅斑。両手指背面には,鱗屑を伴う粟粒大までの
炎を起こした時に計5回の入院加療を受けている。ペ
紅色丘疹(Gつttron・s
sig・陽性)。CPK
ット上安静でさしたる治療も必要とせず1週間から10
1554U,フルドラー
ゼ32.9U,血清ミオグロビン890ng/mlと上昇を認め瓦。
日で軽快退院していた。そのためアレルギー性血管炎
CPKのアイソザイムで,マクロCPK(IgA結合型CPK)
以上の診断はうけていない。今回は眼瞼周囲の浮腫,
を認めた。ANA
紫斑と呼吸困難のため緊急入院した。経過中に肺出血
1000倍,
LBT陰性。筋肉痛,筋力低下
は認められず,筋電図,筋生検でも陽性所見なし。
predonine 30mg/day
を来しステロイド大量療法を行い延命した。全経過中
で治療開始し,顔面紅斑,
signが陰性化し几ため7月退院。しかし,
Gottron・s
CPKが再び
3020TJと上昇してきたため,平成2年4月第2回入院o
・安静療法後predonine
用療法を施行。
C PK
30mg/day,
柴苓湯6.0
併,RAテスト十卜,r−グロブリン3 2.2 %よりシェー
グレン症候群を疑い検索を行った。シャーマーテスト
g/dayの併
329Uと下降してきたため,
predonine 20mg,/dayに減量し9月退院。外来でf・L
CPKが筋疾患に出現し衆報告は少忿く,また,重篤々筋
陽性。耳下腺造影は正常,小唾液腺生検像は導管周囲
にリンパ球浸潤陽性,ガムテスト正常。抗SSA
lowして
いるが,CPK値は300∼400Uで安定している。マクロ
症状が出ない点て興味深い。
乾燥症状の自覚は無い。繰り返す血管炎,橋本病の合
,抗SSB
抗体陰性,抗核抗体陰性である。乾燥症状はないもシ
ェーグレン症候群と診断した。
378
CR-165 DLEの皮疹を伴った汎発性強皮症の1例
CR-166 腺癌を合併した汎発性強皮症
早川和人,桑子行正,塩原哲夫,長島正治(杏林大)
柳田邦治,臼田俊和,鈴木智博(社会保険中京病院)
岩田一城(同循環器内科)
症例:41歳女性。初診:平成元年9月26日。主訴:
両前腕の腫脹。現病歴:約2年前からRaynaud現象あ
症例は60歳女性。昭和63年頃より高血圧症にて
り。 3ヶ月前から両前腕の腫脹,硬化を自覚するよう
加療中。平成1年7月頃より下腿浮腫,手指腫脹,皮
になった。現症:両手指から前腕伸側ならびに両足背
膚硬化,びまん性色素沈着出現し,平成2年1月初診。
にびまん性の浮腫性硬化を認める。顔面では両頬部,
臨床症状及び前腕伸側皮膚生検組織像より汎発性強皮
耳前部,頭部に萎縮性の紅斑鱗屑局面が散在性に認め
症と診断。血液検査では血沈充進。抗核抗体×320の
られる。組織学的所見:前腕では真皮全層で膠原御維
他は異常なし。左頚部に超大豆大リンパ節腫脹を認め
の膨化,均質化の所見あり。顔面の紅斑局面では過角
たが,消化管,肝,腎,肺の精査では,特に異常は認
化,表皮の萎縮,基底㈲の蔽状変性がみられる他,真
められなかった。ステロイド剤外用,
皮全層でリンパ球様細胞が血管周囲性に桐密に浸潤す
指の腫脹は軽減したが,6月末より発熱,嘸下障害を
る像を認める。蛍光抗体直接法所見:顔面の紅斑部皮
認めるようになり,7月2日心外膜炎疑いで入院とな
膚では表皮真皮境界鄙にlgMの沈着あり。血清学的所
った。心嚢液穿刺(600
見:ANA
果はなく,パルス療法も一時的効果のみであった。両
40 X, 抗Scl 70(+),抗セントロメア(づ,抗
「),PSL
Vit E内服で手
20昭投与するも効
DNA(丿,抗Sm(丿,抗RNP(-)。以上より本例をDLE
側膿寓リンパ節を触知し,心嚢液は次第に血性になっ
の皮疹を伴った汎発性強皮症と診断した。本例のごと
たため,リンパ節生検を施行。腺癌の転移像を認めた
くDLEを合併した汎発性強皮症の症例は稀れと考え
ため検索を行ったが,原発巣は不明。症状は次第に増
報告する。
悪し,10月3日死亡。針生検による検索では,縦隔
の異所性甲状腺組織,或いは,唾液腺組織の悪性腫瘍
が最も疑われた。
CR-167 著明なcalcinosisを伴ったCRST症候群の
CR-168 Lilac
一例
状強皮症と原発性胆汁性肝硬変の併発例
ringに癌庫が著明であった多発性斑
中村晃一郎,古江増隆,竹原和彦,石橋康正(東京大)
池川志郎,長野 昭(東京大,整形外科)
島影達也
(岸和田市民),
圓尾隆典
(岸和田徳州会)
松中成浩(和歌山医大)
症M:59歳女。初診:1990年3月26日,現病歴:1980年頃右
手3指指腹に白色小腫瘤が出現,次々に他手指,足趾,
39才,女,1年半前より腹部に癌蝉を伴う赤褐色斑
肘,膝関節に同様の腫瘤が出現し漸次増大した。病初
が出現し数力月来,上下肢,上背部,腰部にも同様皮
より3年間はレイノー現象を認めた。現症:両側前腕
疹を生じ,いずれも遠心性に拡大。上肢では肘寫や手
に皮膚硬化,前胸部に毛細血管拡張を認める。両側手
掌を残しほぼ全体に軽度皮膚硬化を伴う赤褐色皮膚と
指指腹,足趾背面に発赤,局所熱感を伴った表面光沢
なり初診。球結膜軽度黄色調。総ビリ2.0mg/dl, γ−
のある指頭大,骨様硬の皮下結節が多発し,表面に白
GT552U/1,
色微細穎粒沈着,点状潰瘍を認める。左膝,右肘,左
P31ngEq/mI,
肩に径39大の淡紅色皮下結節を認める。下床との可
皮膠原線維の肥厚,硝子化あり。肝生検:グリソン鞘
動は不良で軽度の自発痛がある。軟X線にて石灰化あ
域のリンパ球浸潤,偽胆管増生,実質内の巣状壊死を
り,抗セントロメア抗体2560倍。胸部X線,呼吸機能,
認める。晦痙は初期の赤褐色皮膚硬化局面に顕著に持
心電図,消化管造影に異常を認めない。組織所見:左
続し,正常皮膚部にはなく,その後も掻痕は遠心性拡
手2指の生検で真皮に膠原線維の肥厚,血管周囲性小
大紅斑縁に認めるも軽快色素斑部や治癒部にはない。
ALP1595U/1.
AMA
IgM
(十). ANA
1164mg/dl,
円形細胞浸潤に加え塊状の石灰沈着が散在する。膝腫
初診2年後皮疹は腹部と上肢で消退,腰部では左側腹
瘤の生検で真皮に島嶼状の骨組織を認める。以上より
や左背側に拡大中。
CRST症候群と診断。
P-n]−
(十)。皮膚生検:真
379
CR-169 尋常性白斑を合併した線状強皮症の1例
CR-170 幼児期より指に紅斑とレイノー症状が持続
する1例
早川広樹,佐々木哲雄,中嶋 弘(横市大)
青山浩明,六郷正和(磐城共立)開沼康博(同心臓血
症例:12歳,女。初診:平成2年8月16日。現病歴:
管外科)
4,5年前から腹部,背部に白斑が認められたか,放置
していた。平成2年1月頃から,左眼下,左脊部に萎縮
16歳,女性。3歳の頃より指趾にレイノー現象があり,右2
性局面が生じ,同年4月頃から左下肢にも同様の皮疹か
指に痴皮を付ける紅斑と爪の変形が持続した。右4指にも時々
生じた。現象:左側半身(眼下,第五指背側∼手背,脊
同様の皮疹が出没した。右2指屈側から爪囲に厚く痴皮を付け
部∼下肢)に線状の萎縮斑が認められた。有部∼下肢
る紅斑局面と爪の肥厚があるが,潰瘍はない。組織は非特異的
の皮疹は褐色を呈していた。左下腹部,背部に不整形の
な慢性炎症像。寒冷負荷後の指尖脈波の波高の低下がある。検
境界明瞭な完全脱色素斑が認められた。検査:RAテス
査データ,臨床所見上,膠原病などの基礎疾患を示唆する所見
ト(十)。抗核抗体320倍(speckled,
はない。手指の動脈造影では,造影されるまでの時間が遅延し,
nucleolar
type)。抗RNP抗体4倍。抗DNA抗体陰性。アデノ
指動脈の途絶,先細り像がある。右2指は,むしろ他指よりも
シンデアミナーゼ24.3IU/L。組織所見:左大腿部の
指尖の細動脈まで造形されたが造影剤のクリアランスの低下が
褐色斑より生検した。真皮全層にわたる膠原線維の著
ある。指,腸骨動脈にバージャー病様の造影所見がある。明ら
しい増生と軽度の血管周囲性炎症細胞浸潤を認め,線状
かな基礎疾患を認めないが,血管に病変があり1次性のレイノー
強皮症に一致する所見であった。考察:半身の線状強
病とも言い難い。バージャー病様の血管の閉塞性病変とレイノ一一
皮症と尋常性白斑の併発例と考えた。両者の合併は単
現象のため,長期間の虚血状態があり指の皮疹が生じたものと
なる偶発ではなく,共通の免疫異常による可能性を示唆
考えた。血管拡張剤の内服に加えてリポPGE
する症例と思われた。
は消失した。
1の静注で皮疹
CR-171 足鍍の皮疹を主徴とした尋常性天庖康
CR-172 6歳女児に発症した尋常性天庖唐の一例
大河内亨子,笠井達也(国立仙台),舛具一(石巻市)
庄田裕紀子,松岡緑,橋本公二,吉川邦彦(大阪大)
23歳,女性。昭和60年夏より口唇と舌に軽度の麿爛
6歳女児。既往歴,家族歴R:特記すべき事なし。平
が反復。昭和61年8月左第4趾間に小水庖が生じ,増
成元年9月頃(5歳時)より,口腔内および口唇に有痛
大するとともに足背,足踏に拡大したため8月28日当
性の廉爛出現。近医歯科にて口内炎と診断され,治療
科を受診。左足に膿庖を混ずる多房性水庖が多発,融
を受けるも症状増悪。平成2年8月23日に当科入院。
合。ステロイド内服により約2か月で皮疹消槌。昭和
入院時所見は,口腔粘膜及び口唇に広範囲に噺爛を認
62年4月左足,9月右服寓と左足に皮疹が再発するも
め,また腹部には表面に廉爛を伴った小丘疹が2個存
ステロイドとDDS内服により軽快。昭和63年7月急
在。腹部皮疹の生検にて表皮基底層直上の裂隙形成及
激に両肢寓,両足,両手指に水庖性皮疹が生じたため
び棟融解細胞の存在を認め,また,蛍光抗体直接法に
当科人院。生検組織像では基底層直上に水庖形成を認
て表皮細胞問にIgG,
めた。蛍光抗体直接法では表皮細胞間にlgGの沈着あ
接法では抗細胞間抗体価は640倍であった。以上より
り,同間接法では抗体価は64倍を示した。DDSとス
尋常性天庖癒と診断。プレドニゾロン2
テロイドによる治療により,約1か月で軽快。以後外
にて治療開始し,5日目には口腔内嘸爛は消失,2ヵ
来でステロイド漸減とDDS内服を継続,経過良好に
月後には抗細胞間抗体価は40倍に低下。その後皮疹
て就職・転居のため転医した。本症例では,①口腔粘
の再燃はみられず,また満月様顔貌以外にはステロイ
膜疹を除けば皮疹が足に限局して初発し,且つ長く足
ドによる副作用は認められなかった。プレドニソロン
のみに出没したこと,②局所の部位的特異性によると
の投与量を漸減し,現在は5w/日投与中。本症例は,
C3の沈着を認めた。蛍光抗体間
0msi/日(.imgAg)
思われるが,一見接触皮膚炎を思わせる多房性水庖を
10歳以下の小児に発症した天庖癒としては本邦におけ
形成したことか臨床的に特異である。
る第1例である。
380
CR-173 INTRAEPI
IgA
DERMAL
CR-174 各種自己抗体及び巨大なparagangliomaを
NEUTROPHILIC
伴った水庖性類天庖痕の一例
DERMATOSISの1例
安藤正明,小泉洋子,大河原 章(北海道大),橋本
小官根真弓,高橋毅法,今門純久,上田純嗣,古江増
隆,西川武二(慶応大)
隆,竹原和彦,石橋康正(東大),真下美紀(同第二
内科),槙 政彦(同病理学教室)
82歳,女.体幹,四肢に小水庖・膿庖が多発し,
痛庫を伴っていた.発疹は,胸部では環状に配列して
症例:75歳,女。
庖疹状天庖直に似るが,他の部位では角層下膿庖症様
既往歴:S48,重症筋無力症の診断。S49,胸腺腫切除。
であった.細菌・真菌培養は陰性.病理組織学的には,
現病歴:平成元年初め,腹部膨満に気付くも放置。平
角層下から表皮全層に及ぶ好中球性膿庖で,少数の棟
成2年より,全身に難治性の湿疹様皮疹が多発。腹部
融解細胞も認められた.蛍光抗体直接法では,角層を
膨満を主訴に第二内科入院中,大小の水庖が多発し,
除く表皮細胞間にlgAの沈着が認められた.間接法で
6月21日,当科に転科。
はlgAが10倍陽性で,
現症:腹部に巨大な腫瘤を触知,四肢末端優位に浮腫
IgGは陰性であった. DDS
50mg/dayが著効した.
性紅斑及び緊満性水庖が多発,体幹に廓爛面が散在。
自験例の様な,表皮内にlgAが沈着して水庖・膿庖
をきたす疾患に対してintraepidermal
IgA dermatosis
検査所見:蛍光抗体直後法にて基底膜部にlgGの線状
neutrophilic
,intercellular IgA dermatosis
,
沈着あり。血中抗基底膜部抗体陰性。抗サイログロブ
リン抗体,抗マイクロソーム抗体400倍陽性。抗セント
IgA pemphigus などの呼称が提唱されているが報告
ロメア抗体320倍陽性。
は乏しく,内外合わせて10数例を数えるに過ぎない.
経過:皮疹を水庖性類天庖喰と診断。ステロイド内耶
それらの報告例に自験例を加えて比較検討したところ,
にて皮疹は軽快したが腫瘍内への出血によると思われ
一部の症例を除くとほぼ共通した特徴がいくつか認め
る急性腎不全にて死亡。剖険にて腹部巨大腫瘤は傍腹
られ,一独立疾患である可能性が高いと思われた.
部大動脈交感神経節原発のparaganliomaと判明。
CR-175 尋常性乾癖経過中に発症した水庖性類天庖
CR・176 紅皮症を呈したBullous
Pemphigoid
癖
足立厚子,安陵成浩,谷 昌寛(神戸大),東川俊昭(神
斎藤敦、長田厚、窪田泰夫、島田員路、玉置邦彦(山梨
戸市),中村立一(神戸市立西市民病院)
医大)
10年来尋常性乾癖(PV)の既往のある54歳男性に,
水庖か多発性に出現してきた。病理組織学的には,
76歳女性。発熱を伴った浮腫性紅斑、水庖を主訴に
PV
入院。組織学的には表皮下水庖および水庖内、真皮上
の皮疹部では典型的なPVの組織像を,水庖部では表皮
層部の好酸球を主体とする小円型細胞浸潤を認めた。
下水庖形成を認めた。蛍光抗体直接法にてPVの皮疹
蛍光抗体直接法所見では、基底膜部にlgG、基底膜部
部及び水庖部の両方に,基底膜部に一致してC3の線状
および基底細胞間にC3が沈着、間接法での抗基底膜抗
沈着を認め,PVに合併した水庖性類天庖癖(BP)と診
体価は×40であった。
断した。半年来痛風に対してコルヒチン・アロプリ
入院後も発熱は持続し、紅斑・水庖の新生のため紅
ノール・解熱鎮痛剤を内服しているが,PVの治療はス
皮症状態を呈するようになった。組織学的、蛍光抗体
テロイド剤の外用のみで,
法所見および臨床症状より自験例を紅皮症を呈した水
PUVA療法・アンラリン外
用・ゲッケルマン療法等による加療の既往はなかった。
庖性類天庖倫(Erythrodermic
PVにBPを合併したとの報告は約50例認められるが,
診断。
その多くは紫外線療法を始めとするPVに対する治療
臨床検査所見では白血球、好酸球数増加、血清IgE
がBP発症の誘因と考えられている。本症例のように
値の上昇を認めた。皮疹の改善とともに好酸球数、血
誘因となる治療の既往がないにもかかわらずBPが発
清lgE値は徐々に低下を示した。
症する事は稀であり,このような症例ではPVの病態そ
のものがBP発症のメカニズムの大きく関与している
ものと考えた。
Bullous Pemphigoid)と
381
CR-177 水庖性類天庖盾
CR-178 家族性良性慢性天癒癒の一例
一腹部難治性潰瘍修復が奏効した1例−
玉井克人、三上幸子、千代谷成史、福士尭(青森県立
jヽ田裕次郎,立山 直,井上勝平(宮崎医大皮膚科)
中央)
症例:50歳,女性。
61歳、男。平成2年6月5口初診。約30年前より
初診:昭和63年11月17日。
間擦部に痛樟をともなった皮疹出現。夏期、発汗時に
既往歴:44歳時に糖尿病と慢性関節リウマチを指摘
増悪傾向を示し、時に悪臭をともなう。家族内には、
され加療中。
母、姉、兄、妹に同症あり。初診時皮膚所見は、頭部、
現病歴:昭和62年5月,右腹壁下から後腹膜にかけ
両側旅嵩、臍周囲、陰股部、及び肛囲に小水庖、慶爛
ての膿瘍に対して某県立病院外科にて手術後にS状結
をともなった浸軟性の紅斑が見られ、一部に落屑、亀
腸穿孔後腹膜炎を合併し,下腹部に10a径の腹膜の露
裂が認められた。組織学的に基底細胞層直上から有教
出した皮膚欠損が残存した。一般症状がやや落ちつい
層にかけて裂隙形成がみられ一部に錯角化、円形体、
てきた翌年6月末ごろから振作を伴う水庖か全身に出
穎粒体などの異常角化細胞が認められた。臨床検査成
現し,同院皮膚科にて水庖性類天庖癒と診断され,プ
績では特記すべきこと無し。治療としてエトレチネー
レドユン30阿,エンドキサン100㎎の内服を主体に加
ト(チガソン)
療を受けるも難治で糖尿病の悪化もみられ,当科に転
がえられた。
30iig/dayを用いたところ、皮疹の改善
入院してきた。
治療ならびに経過:抗上皮抗体60倍陽性,全身の水
庖新生もみられ プレドニン25㎎とイムラン150㎎から
治療を開始,平成元年2月16日に腹部潰瘍を局所皮弁
で修復したところ,水庖の新生が急速に減じ,平成2
年2月11日に略治状態で独立歩行にて退院した。
CR-179 強い腹部症状を伴ったアナフィラクトイド
CR-180 皮膚結節性多発性動脈炎
紫斑病の成人3例
茶之木美也子,前川直輝,演田稔夫(大阪市大),
伊部葉子、
羽賀朗子,金子健彦,四宮 茂,
尾作 文、
生野重明,戸田 浄(東京逓信)
庄司繁市(同・第2内科)
53歳,女性.初診の約2年前より,両下腿の皮疹と
症例1
:50才,女。下肢の出血性丘疹,関節腫脹に
同部の浮腫に気付いた.歩行時に,下腿の疼痛も出現
て来院。プレドニン20弓投与にて改善したが,数日後
し,徐々に増強したため当院第2内科に入院した.入
腹痛,吐血,鮮血便出現し,十二指腸・S状結腸∼直
院時,両 ̄ド腿の網目状の紅斑と浮腫性腫脹を認め,両
腸に点状出血を認めた。プレドニン60弓で症状軽快・
足関節内側部には,紅斑性丘疹が散在した.入院時血
その後蛋白尿・血尿を認め,現在経過観察中。
液検査では,赤沈;1時間値118miii,
症例2
dl,白血球数; 7,300/inin'
:28才,男。下肢の点状紫斑にて来院。数日
(Eos
CRP ;1. 5eg /
1≪ ,血小板数;
後腹痛,鮮血便と伴に紫斑か再燃。直腸に多発性点状
38.6 xlO' /u≒ 7
出血を認めた。
陰性, HBs抗原;陰性であり,尿検査は異常なかった.
症例3
足関節部の丘疹を生検したところ,真皮下層の小動脈
:63才,男。四肢の点状紫斑,腹痛,鮮血便
-glob ;24. 1%,免疫複合体;
にて来院。盲腸・S状結腸∼直腸に,びまん性多発性
に,フィブリノイド変性と細胞浸潤を認めた.蛍光抗
の点状出血を認めた。
体間接法にてJ真皮下層の血管にC。 フィブリノー
プレドニンで軽快し,組織学的には,
Leukocytoc-
ゲンの沈着所見を得た.腎生検並びに肝・腎の血管造
lastic vasculitisの像で,アナフィラクトイド紫斑病
影には異常なし.非ステロイド系の消炎鎮痛剤の投与
と診断した3例の,皮疹と消化器症状の関連性につい
は無効であったが,プレドニソロン15iiig/dayの投与
て述べる。
にて,臨床症状が著明に改善した.
382
CR-182 lgA型骨髄腫に伴ってSweet病様皮疹を呈
CR-181 血管ベーチェット病の1例
した1例
石河亜紀子,小林聡子,畑康樹,仲 弥,原田敬之,
曹 慶洙、窪田泰夫、高山修身、島田似路、玉置邦彦
西川武二(慶大)
(山梨医大)
症例:37歳,女。 昭和55年虫垂切除後より微熱が
56歳女。平成2年3月28日初診。昭和60年10月頃、
続き,アフタ性口内炎・関節痛・下腹部痛が出没して
いた。邦和62年7月,外陰部潰瘍も出現し当科受診し
前脛骨部にあせも様皮疹出現。翌年6月頃、色素沈着を
た。不全型ベーチェット病の診断にてコルヒチン,
残して消退。以後毎冬期、皮疹の出現増悪をみる。昭
各種消炎剤を投与するも無効,
DDS,
P S L 30iiigにて軽快を
和63年、顔面にも皮疹出現。平成元年秋頃、ステロイ
みたがその後も寛解再燃を繰り返していた。平成元年
ド外用、内服行なうも減量にて増悪したため当科初診
4月には眩栄,嘔吐,左半側の頭痛,左手指のしびれ・
となる。初診時、顔面、背部を中心に径2∼5cm大の
疼痛も認められ,左僥骨動脈は触知不良となった。
浸潤を触れる紅斑が散在ないし集族融合。軽度萎縮性
IVDSA,
癩痕、色素沈着も散在。背部紅斑の組織像は、真皮上
Duplex
Echo,
MRItこて左鎖骨下動脈起
始部・左椎骨動脈の閉塞,及び上腸間膜動脈起始部,
層∼下層の欄密な好中球浸潤および多量の核片を示し、
大動脈(腎動脈分岐部以下)等の狭窄が認められ,血
血管炎の所見は認めなかった。螢光抗体直接法は陰性。
管ベーチェット病に一致する所見であり,眩栄等の症状
検査所見にて赤沈宜進、白血球数正常、CRP陰性、IgA
はsubclavian
g単クローンの上昇、尿中B-J蛋白陰性、骨髄プラズマ
steal syndromeによるものと考えられ
た。尚,経過中,脹症状,結節性紅斑などの皮膚症状は
細胞増生、頭部X線にて打ち抜き像認めた。皮疹はヨー
みられず,針反応陰性,血沈九進,
ドカリ内服にて増悪したが、DDS内服に変更し、軽快。
CRP高値を示した。
上腸開膜動脈の狭窄に対し経皮的腔内血管形成術を陶
行するも無効で,現在P
S L 25mnにて経過観察中であ
る。
CR-183 Sweet病(?)の1例
CR・184 多彩な皮膚症状を呈したhypereosino
phi 1ic syndromeの1例
馬場貴子、野村和夫、三橋善比古、橋本功(弘前大)
田崎理子(大館市)
小林信彦,北岡倫子,広田さち子,宮川幸子,白井利彦
中尾宰子*,川崎 恭*,演田 薫゛,阿児博文*,成田亘啓゛
42歳、女性。初診:19
8 0年。初診時顔面・四
(奈良医大皮膚科・第2内科‘)
肢の紅斑、口腔内アフタを認めた。臨床検査で赤沈冗
進、免疫グロブリン増加、抗核抗体(+)、RA(+)、梅毒
症例:58才男性。初診:平成2年2月21日。
反応生物学的偽陽性を認めたが針反応は陰性であうた。
約4年前より気管支喘息様症状があり、約1年前よ
組織学的には真皮全層に軽度の組織球、好中球を混じ
り37℃台の不明熱が持続。1ヵ月前より躯幹・下肢に
る小円形細胞主体の細胞浸潤を認めた。SLEあるいは
紅斑が出現したため、当科へ紹介された。紅斑の辺縁
Behcet病を疑い治療するも、軽快、増悪を反復。皮疹
部はやや隆起し、遠心性に拡大し、中央部は治癒傾向
はSveet病様とも思われたが確診のつかないまま経過
を示した。
観察中、19
WBC
9 0年8月、日光曝露により急激に悪化
8500/
Eos.29%)。血清lgE値789.
し、臨床的に典型的Sweet病症状を呈した。悪化前、
m1.骨髄に異型細胞を認めず、寄生虫学的諸検査も異
発熱等の前駆症状なし。臨床検査で白血球・好中球の
常なし。好酸球の急増(WBC
増多、CRP(十)、赤沈九進、免疫グロブリン増加を認
に伴って、下肢から腰部にかけて紫斑・水庖が出現し、
めた。組織学的にも真皮全層に多数の好中球の浸潤を
胸水貯留など様々な合併症を認めた。
20700/
lU/
「(Eos.59%))
認めた。本例はSweet病にBehcet病様症状が見られた
皮膚生検では、真皮全層にEG2陽性の著明な好酸球の
ものなのか、Behcet病経過中の部分症状としてS≫eet
浸潤を認め、胸膜・胸水および下肢の水庖液中にも多
病様皮疹が見られたものなのかという点と、皮疹は日
数の好酸球がみられた。
光曝露により誘発されたという点が問題、と思われる。
プレドニソロンの全身投与にて全身症状の著明な改
善を認めた。
383
CR-185 糖尿病患者にみられt広柘な壊死性筋膜
CR-186 筋肉および骨にまで達する大潰瘍を形成し
炎のl例
た壊疸性膿皮症
青山文代,石田久哉,高石公子,丸尾 充,上田恵一一
鐘居昭弘、能浦正順、高橋省三、諸橋正昭(富山医科
(福井医大・皮膚科八吉村光生(同一整形外科),
大屋栄一(同・第3内科)
薬科大学)
35歳、男性。昭和49年10月、左下腿内側下部に紅量
症例:54歳女性。5∼6年前に糖尿病を指適されるも
を伴う小膿庖が出現し、自潰して小潰瘍を形成。複数
放置していた。平成2年2月16日石大腿部激痛にて発
の医療機関で治療したが、軽快、再発を繰り返してい
症。翌日にはshock状態を伴い,同部に巨大水庖を生
た。昭和63年7月、左下腿内側中央部に小潰瘍が多発
じた。まもなく広範な壊死・巣となり,その周囲には熱
し、融合して手拳大の潰瘍となった。平成元年9月、
感を伴う浮腫性紅斑がみられ,右下腹部,外陰部及び
拡大傾向著明となり、10月9日当科受診。初診時、左
右下腿部へと拡大した。加療にてshock状。態が改善さ
下腿中央部の前面∼内側∼後面のほぼ半周にわたり穿
れ,当科に紹介された。2月28日生検および細菌培養
掘性の潰瘍が存在し、筋肉および脛骨が露出。潰瘍の
で嫌気性菌バクテロイデスによる壊死性筋膜炎と診断
周辺には紅斑があり、新生の膿庖・小潰瘍が多数存在
し,3月7日第1回目の壊死組織除去術施行。壊死は石
していた。組織学的には、真皮および一部皮下脂肪織
大腿の筋膜全体に波及しており,また,内転筋群は筋
に好中球を含む炎症細胞の浸潤を認め、血管の変化と
層まで壊死状態を示していた。以降言↑3回の壊死組職
して、内腔の狭小化・壁の肥厚等が見られた。ステロ
除去術およぴg状植皮術を施行。途中,カンジダ性肺
イド・DDS内服、高圧酸素療法等にて、病勢の拡大
炎と思われる肺炎症状がみられたが,糖尿病のコント
はおさまった。治療当初は治療に抵抗したが、その後
ロールは良好で松葉杖にて歩行可能にまで回復し,
、徐々に上皮化し始め、現在経過観察中である。筋肉
9月23日退院した。
・骨にまで達する壊疸性膿皮症は稀であると思われる
ため報告する。
CR-187 自己赤血球感作性紫斑病の1例
CR-188 再発性多発軟骨炎の1例
五味博子,倉持政男,斎藤 学,岡田善胤,
奥田 賢、渡辺晋一、溝口昌子、高橋 久(帝京大)
波多野真理,三浦 隆(帝京大・市原)
板垣雪絵、橋詰直考(同第1内科)
59歳女性,平成2年L月頃よjク四肢に中心硬結
糖尿病を合併した再発性多発軟骨炎の1例を報告
を伴った環状出血斑が多数出没するようになった。
同年5月23日初診時,左大腿部に中心が黄白色調
の硬結を伴う爪甲∼手拳大の輪状紫斑が多数認めら
する。症例は69才男性。
れ,自己赤血球皮内テストを施行したところ皮疹が
耳介の症状悪化するため当科初診。初診時左耳介に
誘発され,さらに血小板増加を伴ったことから入院
発赤、腫脹を認めた。白血球数7400、血沈80mm/h。
とアiつた。精査結果の詳細を報告する。白験例は皮
尿中ムコ多糖類ll.Omg/日。抗生剤にて経過を観察し
内テストと組織像が典型的であるが精神症状や疼痛
が軽微な点に特徴がある。本症に血小板の異常を伴
ったという報告はない。皮疹の出現と血小板数及び
血小板機能との関係について検討した。
ていたがその後右耳介にも発赤認められるようにな
20年前より糖尿病に罹患。
1989年11月頃より左耳介の腫脹を認めた。
1990年7月
より当院内科に糖尿病管理のため入院、しだいに左
った。左耳介の生検を行なったところ、軟骨周囲組
織にリンパ球、および形質細胞を主とした細胞浸潤
があり、軟骨細胞は変性しアルシャンブルー染色で
は染色性の低下が見られた。さらに鼻中隔の腫脹、
鞍鼻、榎声、発熱を認めたため再発性多発軟骨炎と
診断。副腎皮質ステロイドの投与をおこなったとこ
ろ、その後諸症状は速やかに改善したが、ステロイ
ド減量により、頃声出現。現在predonine
過観察中。
2.5 mgで経
384
CR-189 不全型ベーチェット病をはじめ多彩な病変
がみられた骨髄異形成症候群(MDs)の1例
CR-190 強カネオミノファーゲンCによるDrug
eruptionの一例
義洋雄介,飯泉陽子。平井昭男,伊崎誠一,北村啓次郎
羽尾貴子,落合豊子,藤田日出雄,鈴木啓之,
(埼玉医大総合医療センター)
森嶋隆文(日大),西田 滋(日大生化学)
症例:45歳,女性。HBキャリアー。
48歳,女。初診:平成元年8月18日。4日前に当院
平成1年12月,発熱,口腔内アフタ,外陰部潰瘍,多
内科にて処方された止痢剤を内服後,全身に尊麻疹が
発性毛嚢炎の為,来院。眼科的に異常なく不全型ベー
出現したため,当科救急外来を受診し強カネオミノフ
チェット病と診断6抗生剤にて治療開始するが副作用
アーゲンC(SNMC)20
と思われる汎血球減少,同質性肺炎を併発。以後ステ
全身に浮腫性潮紅が生じ入院となった。入院後はプレ
ロイド投与に変更し諸症状は改善。この頃より末梢血
ドニソロン30㎎/dayの内服を行い軽快した。患者は8
年前にも十二指腸潰瘍の加療中に壽麻疹が出現し,S
中に骨髄芽球2−3多を認める様になり骨髄所見,染
色体異常よりMDSに属するrefractory
anemia
with
ringed sideroblastと診断。さらにステロイドにより
B型肝炎が惹起され,セファランチンに治療を変更し
現在経過観察中なるも結節性紅斑様皮疹,外陰部潰瘍等
の増悪寛解を繰り返している。MDSは白血病への移行
か懸念される病態だが,近年ベーチェット病との合併
「静注された。その15分後,
NMC静注後に全身のrush,リンパ節腫脹が生じ,後
に肝機能障害が認められた。2年前にも点眼薬使用後
に出現した癈作の治療目的でSNMC静注後,全身に
潮紅が出現した既往かある。以上より,自験例はSN
MCによるDrug
後,
eruptionが強く疑われた。皮疹軽快
SNMCの主成分であるL-cystein
・ HCl ・ H2O,
Glycine; Glycyrrhizin-NH4をメーカーよりとりよせパ
が報告され,その因果関係が注目されている。貧血等
ッチテスト,ブリックテスト,スクラッチパッチテストを
の末梢血異常を伴うベーチェット病にはMDSの検索
施行したところメーカー供与の,しcystein・HC1・H20
が必要と考える。
で施行したテストがいずれも陽性を呈した。
CR-191 INHにより誘発された乾癖様皮疹
CR-192 フェロミア⑧おヽよびフェログラデュメヴ
ト⑧による日光過敏性薬疹の1例
角田孝彦,菊地克子(山形市立済生館)
市立堺病院皮膚科:齢野哲, 久米昭廣, 東 萬彦
症例:53歳、男性。4年前に頭・耳・脹寫の脂漏
性湿疹あり、加療によりlヶ月で軽快。内科でINH
34歳女性 貧血を指摘され近医にて当科初診10日前よりフェロ
内服開始約1ヶ月後より、略全身に軽度癌摩ある皮疹
ミア面を内服していた。3日前より手指尖端に疼痛を生じ、2
が出現した。好酸球数増加と肝障害あり。INH中止
日前より入浴時手背にしみる感じがあった。当科初診の日、晴
で皮疹軽快、再投与で増悪、結果的には約2ヶ月で皮
天下でゴルフを行ったところ、約3時間後より両手両前腕に紅
疹消捕した。皮疹は臨床的・組織学的に脂漏性湿疹と
斑、腫脹、疼痛が発現した。近医受診後、当日に紹介された。
乾癖のどちらの性格も有していた。過去にもINHで
初診時、前腕よ虻手指にかけて著しい紅斑、腫脹がみられた。
脂漏性湿疹や乾癖様皮疹をきたしたとの報告がある。
顔面に軽度の腫脹と大腿よわ膝下にかけての紅斑もみられた。
自験例は乾歯型の薬疹としてよいのだろうか。
臨床検査上GOT393
GPT622と高値であった。
経過 フェロミアを中止し、入院の上加療した。治癒後、UVA、
UVBによる内服光線誘発試験を行った。フェロミア②において
は、GOT、GPTの再上昇はみられたが光線照射部位に異常所
見はみられ々かった。フェログラデュメット⑧においても同様
であったが、内服後右手を20分間日光に露光させたところ、露
光中、手指手背に晦痛感を生じた。1時間後より手に紅斑、腫
脹、手指尖端のしびれ感を生じた。以後、フェロミア図、フェ
ログラデュメット・とも投与中止とし加療した。皮疹軽滅後外米通院
にて加療したが、通院中新皮疹は生じなかった。以上の結果からフェロ
ミア(g)おヽよびフェログラデュメット②による日光過敏性薬疹と診断した。
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CR-193 コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム
CR-194 1にパ性類白血病反応を示したサラソビリ
(ソル・メドロール⑧)による薬疹の1例
ン忿よろ重症型薬疹の1例
鳥山 史、田中洋一.小出 隆(国立長崎中央病院皮
新井雅明,石田 卓(慈恵医大柏病院)
膚科).木下研一郎(同内科)
41歳,女。既往歴に特記すべき事なし。初診,平成
元年8月2日。顔面神経麻庫で耳鼻科に入院し,7月
47歳、女o平成2年5月17日より潰瘍性大腸炎
21日よりコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム
の疑いで、サラゾピリン内服開始o6月初旬全身倦怠
(240卿/dayより漸減)等を点滴していた。8月1日
感、発熱、腰痛が出現し6月8日ミナルフェン追加さ
に,頚部∼前胸部に瘍嘩ある紅斑が出現し拡大したた
れた。 12日、顔面に浮腫性紅斑が出現し2∼3日の
め,8月2日当科依頼となった。初診時,顔面,頚部
うちに全身に拡大、四肢では緊満性水庖を伴々うよう
前胸部を中心としてほぼ全身に爪甲大までの軽度浸潤
に々カ18日入院。高熱、リンぶ節腫大、白血球増多。
ある癌章性紅斑が多発し融合する部位もみられた。一
GOT
般血液検査,尿検査に異常を認めなかった。皮膚病理
レドユy60mg投与開始o皮疹は約2週後に略治し
147、LDH
1028
など肝機能障害等を認め、ブ
組織学的検査では,真皮浅層の軽度の毛細血管拡張と
たが、白血球は約4万まで増加し核異常のあるリンパ
血管周囲に中程度のリンパ球浸潤を認めた。8月2日
球出現(最高16価)ヤLDHの上昇が7月下旬`まで続
より耳:鼻科での薬剤の投与をすべて中止したところ,
いた。皮膚生検では多形惨出性紅斑像に多数の異型リ
約10日で紅斑は軽快した。皮疹の軽快後,コハク酸メ
ンパ球の浸潤を伴い、リンパ節生検でも悪性リンパ腫
チルプレドニソロンナトリウムのバッチテスト,皮内
を思わせる所見を示した。サラゾピリンでは伝染性単
テスト,薬剤リンパ球幼若化試験を施行するもいずれ
核症型薬疹が報告グれてがり、同剤の内服テストを施
も陰性。点滴による再投与試験にて同様の皮疹が再現
行したところ陽性所見が得られた。
された。
CR-195 膠原病の治療に用いたcyclopho。hamideが
誘因と思われた舌癌と出血性膀胱炎
関根敦子,衛藤 光,近藤滋夫,龍野佐知子,
片山一朗,新井春枝,西山茂夫(北里大)
近年,膠原病患者の治療にステロイドに加えて免疫
抑制剤を併用する症例が増加している。最近当科にお
いてS
iogren
syndromeとSLEの治療中.
cyclophosphamide
が誘因と思われる舌癌と出血性膀胱炎の症状を相次い
で経験した。
症例1
:35歳,女。昭和60年8月よりS
i6gr en syndro・e
の診断にてPSL投与するも環状紅斑の出没を繰りかえし
た。平成元年9月.
cyclophosphamide
25 琴の投与開始。
翌年7月,右舌側縁に21×lOm.中央陥凹,乳白色カリ
フラワー状隆起を呈する扁平上皮癌が出現。
症例2:19歳,女。昭和54年5月.
中,昭和62年lupus
nephr i tisを認め.
SLE発症。PSL投与
cyclophosphamide50
㎎の併用を開始。平成2年1月頃より著しい貧血,血
尿が出現し1
cyclopho。hamideによる出血性膀胱炎と考
えた。
以上の2症例を報告し,膠原病患者における免疫抑制
剤の投与についてその副作用を中心に検討を加えた。
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