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ニューズレター(10 月)

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ニューズレター(10 月)
大阪商工会議所中小企業振興部
〒540-0029 大阪市中央区本町橋2番8号
TEL06(6944)6451 FAX06(4791)0444
No.226
2009.10.16
ニューズレター(10 月)
トピックス
小規模企業の景況(平成 21 年7∼9月期)
………………………… 2頁
テーマ
1.工夫ある経営で頑張っている中小企業(8件)
…………………………
6頁
○環境貢献型淡水化装置(㈱西研デバイズ・淀川区)
○頑張って危機を乗り越え、将来を切り開いてきた金属加工業(㈲矢倉鉄工所・城東区)
○集客・販促等を手伝うベンチャー企業(㈲リウム・西区)
○自社ブランド商品立ち上げで現状打破を!(㈲アクア金属・生野区)
○先人の知恵! 柿渋パワーを活かそう(㈱タンニング・天王寺区)
○“大正区名所めぐり”を開発し地域と共に発展を目指す和菓子の老舗(御菓子司平和堂・大正区)
○未来にやさしい愛(eye)を届ける企業 ∼㈱乾レンズの挑戦∼(㈱乾レンズ・東住吉区)
○「まごころキッチン」はお客さんが喜ぶ顔が嬉しいと頑張っている!(まごころキッチン・住吉区)
2.地域の動き(2件)
…………………………
14 頁
○工夫あるイベントで頑張る商店街(福島区)
○ドリンク、おかき無料のカフェがオープン(中央区)
大阪のあるべき姿と重点テーマを示す「ビジョン」と、そ
の実現に向けた「アクションプラン」をとりまとめたのが
「大阪賑わい創出プラン」です。
“ビジネス・ホームドク
ター”
である経営指導員が、
地域商工業に活力あふれる
「大
阪」をつくりだすための支援をします。
新淀川支部(淀川三区担当) 北・都島・福島支部
旭・城東・鶴見支部 中央支部 此花・西・港支部
東成・生野支部 天王寺・阿倍野支部
大正・浪速・西成支部 東住吉・平野支部 住之江・住吉支部
小 規 模 企 業 の 景 況
(平成21年7∼9月期)
―
売上、業況が全業種で改善 ―
大阪商工会議所による小規模企業の景況調査(四半期毎)平成21年7∼9月期の結果概要は以
下の通り。
1.今期(平成21年7∼9月期)の状況
【売上額】今期(平成21年7∼9月期)の売上額DI値(全産業)は、前回調査(平成21年4
∼6月期)の▲68.9から7.9ポイント改善し、▲61.0となった。業種別では、前回調査
から、製造業が6.4ポイント、卸売業は10.5ポイント、小売業は9.8ポイントそれぞれ改善し
た。
【業況】今期の業況DI値(全産業)は、前回調査(▲66.4)から8.6ポイント改善し、▲
57.8となった。業種別には、前回調査から製造業が10.2ポイント、卸売業が11.8ポ
イント、小売業が1.9ポイントそれぞれ改善した。
【資金繰り】今期の資金繰りDI値(全産業)は、前回調査(▲36.0)から1.5ポイント改
善し、▲34.5となった。業種別には、前回調査から小売業が7.1ポイント悪化したものの、
製造業が3.8ポイント、卸売業が4.7ポイントそれぞれ改善した。
2.来期(平成21年10∼12月期)の予想
来期(平成21年10∼12月期)の全産業の予想DI値は、売上額▲42.2、業況▲40.4、
資金繰り▲34.2となり、売上額、業況、資金繰りともに前年同期(平成20年10∼12月期)より
悪化するとの予想となった。
3.経営上の問題点
第1位は、製造業、卸売業、小売業ともに前回調査に引き続き「需要の停滞」となった。
※DI値とは……ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略で、本調査では前年同期(平
成20年7月∼9月期)と比較して売上額、業況、資金繰りなどが「増加」
「好転」した
などとする企業割合から、「減少」
「悪化」したなどとする企業割合を差し引いた値で
ある。
本件担当:大阪商工会議所 中小企業振興部 経営相談室 6944-6451
2
ニューズレター226 号(平成 21 年 10 月)
〔調査の概要〕
・調査名 :第117回中小企業景況調査(中小企業庁・中小企業基盤整備機構)
・調査時期:平成21年8月26日∼9月1日
・調査方法:経営指導員による、調査票に基づく聴取り調査
・調査対象:大阪市内の中小企業・小規模事業者
※ 全国約18,000件中、大商分324件。
※ 本紙では、大商分のうちとくに小規模事業者(従業員:製造業20人以下、商
業・サービス業5人以下)289件について取りまとめた。
〔製造業80件、卸売業79件、小売業75件、サービス業55件〕
・回収数 :287件(回収率99%)
〔製造業78件、卸売業79件、小売業75件、サービス業55件〕
■DI値推移(全産業)
114回調査
115回調査
H20(2008年)
10∼12月期
H21(2009年)
1∼3月期
116回調査
(前回)
H21(2009年)
4∼6月期
117回調査
(今回)
H21(2009年) H21(2009年)
10∼12月期
7∼9月期
(予想)
売上額
(増-減)
-45.3
-62.5
-68.9
-61.0
-42.2
業況
(好-悪)
-42.9
-65.3
-66.4
-57.8
-40.4
資金繰り(好-悪)
-23.0
-36.8
-36.0
-34.5
-34.2
従業員
-3.8
1.7
4.2
1.1
(過-不)
■経営上の問題点
順位
1位
製造業
件数
需要の停滞
→
2位
3位
製品(加工)単価
の低下・上昇難
→
原材料価格の上昇
↑
[注](
卸売業
件数
42
(39)
需要の停滞
11
(11)
販売単価の低下・上昇
難
→
メーカーの進出による
競争の激化
↑
4
(1)
→
小売業
46 需要の停滞
(48)
5
(5)
4
(4)
件数
→
23
(25)
大型店・中型店の進出 16
(12)
による競争の激化
→
8
消費者ニーズの変化へ
(11)
の対応
→
)内は前回(平成21年4∼6月期)調査結果
↑=前回より高順位
→=前回と同順位
3
↓=前回より低順位
ニューズレター226 号(平成 21 年 10 月)
■ 状況比較表(業種別)
項目
売上額
業種
製造業
卸売業
小売業
サービス業
合計
前回
業況
製造業
卸売業
小売業
サービス業
合計
前回
資金繰り
製造業
卸売業
小売業
サービス業
合計
前回
従業員
製造業
卸売業
小売業
サービス業
合計
前回
今期の状況(7∼9 月期)
増加
3.8
7.6
10.7
10.9
8.0
6.3
好転
3.8
7.6
5.3
5.5
5.6
3.5
好転
1.3
5.1
2.7
0.0
2.4
2.8
過剰
15.4
7.6
1.3
1.8
7.0
8.4
不変
15.4
24.1
26.7
27.3
23.0
18.5
不変
16.7
31.6
32.0
41.8
29.6
25.5
不変
50.0
63.3
49.3
72.7
57.8
55.6
適正
70.5
84.8
70.7
74.5
75.3
76.2
減少
80.8
68.4
62.7
61.8
69.0
75.2
悪化
76.9
60.8
61.3
50.9
63.4
69.9
悪化
46.2
30.4
45.3
21.8
36.9
38.8
不足
6.4
1.3
9.3
7.3
5.9
4.2
増−減
▲ 77.0
▲ 60.8
▲ 52.0
▲ 50.9
▲ 61.0
▲ 68.9
好−悪
▲ 73.1
▲ 53.2
▲ 56.0
▲ 45.4
▲ 57.8
▲ 66.4
好−悪
▲ 44.9
▲ 25.3
▲ 42.6
▲ 21.8
▲ 34.5
▲ 36.0
過−不
9.0
6.3
▲ 8.0
▲ 5.5
1.1
4.2
前回(4 月期∼6
月期)からの推
移
6.4
10.5
9.8
3.0
7.9
10.2
11.8
1.9
10.3
8.6
3.8
4.7
▲ 7.1
5.1
1.5
来期の予想(10∼12 月期)
増加
10.3
13.9
9.3
10.9
11.1
6.3
好転
3.8
10.1
8.0
7.3
7.3
4.5
好転
2.6
2.5
1.3
0.0
1.7
1.0
不変
24.4
31.6
44.0
41.8
34.8
24.8
不変
33.3
40.5
40.0
45.5
39.4
27.3
不変
47.4
67.1
54.7
69.1
58.9
55.2
減少
64.1
54.4
45.3
47.3
53.3
67.5
悪化
52.6
45.6
46.7
45.5
47.7
60.5
悪化
47.4
27.8
40.0
25.5
35.9
40.2
増−減
▲ 53.8
▲ 40.5
▲ 36.0
▲ 36.4
▲ 42.2
▲ 61.2
好−悪
▲ 48.8
▲ 35.5
▲ 38.7
▲ 38.2
▲ 40.4
▲ 56.0
好−悪
▲ 44.8
▲ 25.3
▲ 38.7
▲ 25.5
▲ 34.2
▲ 39.2
▲ 7.6
2.6
▲ 4.0
▲ 3.6
▲ 3.1
「今期の状況(除従業員)」は平成 21 年 7∼9 月期状況であり、前年同期の平成 20 年 7∼9 月期との
比較。来期の予想は平成 21 年 10∼12 月期予想であり、平成 20 年 10∼12 月期との比較である。「前回」
欄は平成 21 年 4∼6 月期調査の数字。従業員は、過去との比較ではなく、業務量に照らした過不足。
4
ニューズレター226 号(平成 21 年 10 月)
■景況グラフ(売上額・業況)
0
業況
-10
売上
業況予測
-20
売上予測
-30
-40
-50
-60
-70
Ⅲ
Ⅲ
H 21 Ⅰ
Ⅲ
H 20 Ⅰ
Ⅲ
H 19 Ⅰ
Ⅲ
H 18 Ⅰ
Ⅲ
H 17 Ⅰ
Ⅲ
H 16 Ⅰ
Ⅲ
H 15 Ⅰ
Ⅲ
H 14 Ⅰ
Ⅲ
H 13 Ⅰ
Ⅲ
H 12 Ⅰ
Ⅲ
H 11 Ⅰ
Ⅲ
H 10 Ⅰ
H 9Ⅰ
Ⅲ
-80
※表示値=DI(増加・好転−減少・悪化)値
※Ⅰ期=1-3月、Ⅱ期=4-6月、Ⅲ期=7-9月、Ⅳ期=10-12月
※平成21年Ⅳ期は予想値
5
ニューズレター226 号(平成 21 年 10 月)
工夫ある経営で頑張っている中小企業
環境貢献型淡水化装置
海水を飲料水として用いるためには淡水化する必要がある。現在実用化されている主な淡水
化方式には、蒸発法と逆浸透膜法とがある。両方式ともそれぞれ特徴があるが、共通の問題は
ランニングコストがかかることにある。蒸発法は海水を蒸発させるため、多大の熱エネルギー
が必要である。逆浸透膜法は、逆浸透膜に目詰まりを起こさないよう前処理に入念な海水浄化
が必要である。また膜に海水を浸透させるためには高い圧力が必要で、大きな電気エネルギー
が欠かせない。見方を変えれば、実用化されている淡水化装置はエネルギー消費の塊のような
ものである。
大阪市淀川区に株式会社西研デバイズという会社がある(代表取締役 西進氏 所在地:淀
川区十三元今里 1-8-4 ℡:6885-8241)
。同社の開発した淡水化装置は、省エネ・低コストと
いう点において注目すべきものである。同社の淡水化装置は蒸発法の一種であるが、低コスト
とメンテナンスの容易さという点においては現在実用化されている淡水化装置よりもはるかに
効率がよい。
同社は研究開発型の小規模企業で、製品開発は多岐に渡っている。開発品の製造は業務提携
先である横浜市の株式会社安斉管鉄で行うが、ネックは資金力と営業力がないことである。す
でに開発済みのオンリーワン商品を数点持つが、これを世に出すためのパートナーを求めてい
る。
同社が開発した淡水化装置の技術の中核は、マイクロバブルを発生させそれによって海水を
効率よく水蒸気化するところにある。この装置に必要なエネルギーは通常の蒸発法の装置と比
較して三分の一程度である。これに太陽光発電装置を組み合わせて電力を供給すれば、エネル
ギー効率はさらに高まる。
一般に淡水化という場合、海水の淡水化をさすが、飲料に適するかどうかという観点からす
れば淡水でも飲めないものも多い。川や湖沼の淡水でも飲用にするためには浄化を必要とする
場合もある。同社の装置は小型化も可能で、離島や過疎地でも実用化できる。
同社の淡水化装置を概略すれば、
まず原水容器内に、加熱されたエアーと活性酸素(オゾン等)
を含んだマイクロバブルが多量に発生するよう仕組まれている。これでまず水中の殺菌や有害
物質の分解などが行われる。
蒸留器は減圧されており、槽内に充満したホットなマイクロバブルは約 60 ゚Cで沸騰し、水
の表面で多量の蒸気となって気散する。ここに発生した蒸気は、銅やアルミ等の金属よりも熱
変換効率の高い当社独自の複合セラミックを使った凝集器で速やかに蒸留水の回収をすること
ができる。
まさに地球温暖化対策にうってつけの淡水化装置である。
(新淀川支部)
6
ニューズレター226 号(平成 21 年 10 月)
頑張って危機を乗り越え、将来を切り開いてきた金属加工業
有限会社矢倉鉄工所(代表取締役:矢倉徹氏 所在地:城東区今福南 2-11-11
℡:6931-4702)
は金属加工業であり、農機部品、エンジン部品、エアツール部品、ポンプシャフト部品を製作
している。
同社は昭和 32 年(1957 年)、父親の多(まさる)氏が資本金 30 万円でシャフト・ボルトの金
属加工業として創立した。工場は住宅地の中にあり、創業以来、培われた技術と誠実さをモッ
トーに、大手農機メーカーの協力会社として今日まで 52 年間の業歴を持つ。昭和 57 年(1982
年)4月に徹氏(現社長)が入社し、平成4年(1992 年)、資本金を 300 万円に増資した。
順調とおもえた業績も平成 13 年(2001 年)7月に危機がやってきた。当時売上の1/3を占
めていた取引先が倒産し、当時の月売上の約2カ月分にあたる手形や売掛金が回収不能となっ
た。銀行からの借入で当面の補填はできたが、社長の報酬を引き下げるなど平成 13 年∼平成
14 年の2年間は厳しい状況が続いた。
その後、倒産した取引先に代わり川崎重工の関連企業などから受注が入り始め、ある取引先
の営業担当者から「今を乗り越えれば必ず将来は開ける、それまでは辛抱して頑張れ」と励ま
されたこともあり、一家は会社存続をかけ一生懸命働いた。
そうした努力の結果、平成 15 年(2003 年)累積欠損を消去し、平成 16 年(2004 年)には倒産し
た取引先分をすべて償却し、晴れて黒字企業となったのを機に、同年に徹氏が代表取締役に就
任した。平成 18 年 11 月には念願のシチズン製複合加工機、1500 万円を購入し、フル稼働の結
果、平成 18 年度の売上は 8,500 万円、平成 19 年度は 9,200 万円、平成 20 年度は 1 億 500 万円
と過去最大の売上高となり、資本金を 400 万円に増資した。
しかし、第2の危機が平成 20 年(2008 年)秋にやってきた。リーマンショックによる売上激
減である。売上は 40%∼30%に激減し、機械の稼働は午前中のみという状態が続いたが、本年
9月以後、ようやく夕方まで機械が稼働できる状態に戻った。厳しくはあるが平成 13 年度の危
機を乗り切った経験が今回の危機に立ち向かう力となっている。息子も後継者として育ってお
り、事業は盤石であり、将来資本金を 1,000 万円に増資したいとの願望がある。当支部との付
き合いは長く、担当した指導員のアドバイスを実践し、業績の良いときは節税を、悪い時は助
成金を活用し、マルケイ融資の利用、日本政策金融公庫の借入、経営セーフティ共済、小規模
企業共済制度を積極的に利用するなど工夫ある経営で頑張っている中小企業である。
(旭・城東・鶴見支部)
集客・販促等を手伝うベンチャー企業
有限会社リウム(所在地:西区西本町 1-6-9 川田ビル2F ℡:4390-2668 代表取締役:穗
口大悟氏
URL:http://www.rium.jp)は、2008 年2月に「中小企業新事業活動促進法」による
7
ニューズレター226 号(平成 21 年 10 月)
「経営革新計画」の大阪府承認企業として頑張っているベンチャー企業であり、2004 年1月に
会社を設立した若き 35 歳の社長が経営を引っ張る開業5年の成長企業である。
同社は、「“お店が自分の力でお客様をファンにする仕組み”をコンサルティングとシステム
で提供する」をコンセプトにしている企業である。飲食店・理美容院・小売店の集客・販促・
リピーター化を支援する為に、さらには困っているお店の売上増加・集客・固定客化をする為
に「コンサルとシステム」で解決する方策を提供している。
具体的なシステムとしては、2004 年 11 月に発売したお店向けシステムレンタル事業として
の「携帯販促システムNerve(ナーブ) 」
(http://keitaihansoku.com/)と 2007 年7月に
完成発売した 「
(コーチ型)ホームページ作成・公開・更新システムsite CLUTCH
(サイトクラッチ)
」
(http://clutch.rium.jp/)があり、Web・モバイル技術を利用した店
舗マーケティング支援サービスを行っている。
特に「経営革新計画」の承認を得た「ホームページ作成システム
サイトクラッチ」は、専
門知識がなくても、自分で集客できるホームページ内容を考え・表現し、ホームページを制作・
更新ができるように開発されたシステムである。お店に必要なホームページの内容をシステム
が導く「コーチ型」のサービスであり、システム操作だけでなくホームページの内容のアドバ
イスも行うサポート体制が整っている。
同社は「コンサルティングだけでなく、システム提供だけでなく、ノウハウとツールの両方
を一体的に提供することによりお店が自分自身の力で集客できる仕組みを作れるようになり、
より本業に専念できるようになるお手伝いをする。」を経営理念として日々の営業活動に勤しん
でいる。
また、同社社長の穂口氏は、名古屋商工会議所主催の「経営革新塾」で「経営革新計画」の
大阪府承認企業として認定企業の体験談を二年連続で講話することなどを通じて、名古屋方面
での同社システムの利用も始まり、今後とも頑張っているベンチャー企業として期待が持てる
若き経営者の企業である。
(此花・西・港支部)
自社ブランド商品立ち上げで現状打破を!
有限会社アクア金属(所在地:生野区勝山北 4-10-12
代表取締役:井本正雄氏
℡:
6716-1708)は、
昭和 58 年の創業以来、
切削加工を中心とした産業機械部品製造を行なっている。
最新鋭のNC旋盤やマシニングセンター等の社内設備が充実しているだけでなく、熟練工が充
実しているため他社では対応できなかった難金属、異形状や複合加工にも数多く対応している。
加えて近隣のネットワークを活かした研削・研磨、溶接・製缶等の加工のみならず、塗装・メ
ッキ・熱処理等の完成品製造まで一貫して対応する点が強みとなっており、一部上場工作機械
メーカーを含めて数十社から受注し創業以来堅調な業績で推移してきた。
8
ニューズレター226 号(平成 21 年 10 月)
しかし、21 世紀に入り従来の下請加工のみでは利益
確保が難しくなってきたこともあって「今のままのビ
ジネススタイルではいずれダメになる」(井本社長)と
考え、日頃から自社ブランド商品立ち上げを模索して
いた。今回、その第一号である理美容ハサミ『馬瑞(マ
ルイ)』の商品化に成功した。
『馬瑞(マルイ)』は難削
材加工を得意とする同社の機械加工職人が下地加工を
行ない、別の職人が手作業で仕上げを施した高品質の
ハサミである。刃部素材にはステンレスコバルト合
<刃部素材にステンレスコバルト合金使用>
金を使用し、従来のステンレス材より耐久性を約5
割アップ、「硬質の髪でも軽い力で切ることができ、鋭い切れ味が長期間持続する」(同)という。
今後は、経済発展に伴い、理美容市場が年 30%ペースで成長しているうえに「日本製品の高
級イメージが見込める」(同)中国市場に着目し、切れ味や扱いやすさ等、職人の手作りによる
高品質をアピールし上海の中国人駐在員と共同で 10 月から同社第一号ブランド『馬瑞(マル
イ)』の販売に本格的に取組むこととなった。夢は大きく将来的には他のアジア諸国にも展開す
る計画である。
100 年に一度の大不況にさらされている中小零細製造業にとって、今回従業員7名の町工場
が「時代が移りゆく中で自分たちの未来は自身で描く」として、下請体質からの脱却に総力を挙
げて取組んだ自社ブランドの商品化は、中小零細製造業の今後の生きる道を示しているのでは
ないだろうか。
(東成・生野支部)
先人の知恵!
柿渋パワーを活かそう
株式会社タンニング(所在地:天王寺区上本町 3-5-21 小畑第2ビル ℡:6765-3025
URL:
http://www.tanning.jp)は、2003 年(平成 15 年)大阪市天王寺区上本町にて創業、柿渋(柿
タンニン)を使用した消臭剤、石鹸、塗料などの製造卸会社である。
柿渋は、弥生時代から使用されていたといわれるが、
渋、柿渋として登場したのは平安時代で、水に強く、耐
久性に優れ、防カビ効果もあり、塗った素材の強度も増
すことから、漆とともに自然の塗料として暮らしに無く
てはならないものであった。
柿のもつ消臭・殺菌の効果のもとは柿渋に含まれる柿
タンニンと呼ばれる物質である。
タンニンとは、植物フラノボイドの総称で、科学的には
9
ニューズレター226 号(平成 21 年 10 月)
大きい分子内に多くのフェノール性水酸基を持っている。柿タンニンは分子量約 15,000 の高分
子物資で、構造はヒマワリ、お茶、ワイン等と比較しても非常に大きく、タンニンの特性を強
く示し、含有量も緑茶の 73 倍、ワインの 20 倍にも達している。柿タンニンは多くのフェノー
ル性水酸基を持っているため優れた消臭効果、
抗菌作用、微生物抑制効果などを発揮している。
最近は環境に対する意識が高まり、天然素材が見直されており、柿渋もエコ染料・塗料などエ
コ素材として注目を集めている。
これまで柿渋は、柿渋特有の発酵臭と乾きの遅さが大きな欠点であった。そこで、機能効果
を失うことなく、臭いの解消と速乾性を実現した柿渋塗料の「柿渋コート」を開発した。その
ほか消臭ではカキタンニン消臭液を超音波振動により気化しミクロ単位の粒子にして噴霧する
ことで広い場所に使用できる「消臭ドライミスト噴霧器」など消臭、防水、防腐、防虫効果な
どを最大限にいかした商品を提供している。
代表者の上田氏は、環境に対し関心が高く、オリジナル商品からお客様の要望に応じたOE
M商品の開発・商品化まで幅広くサポートを行っている。今後も環境に配慮した商品を世の中
に提供することが期待される企業である。
(天王寺・阿倍野支部)
“大正区名所めぐり”を開発し地域と共に発展を目指す和菓子の老舗
大正区は昔から金属製品加工を中心に製造業が盛んで、かつ沖縄県出身の方が多く生活する
特徴のある地域でもある。今回紹介する和菓子店は大正区鶴町に和菓子製造小売の老舗「御菓
子司 平和堂」(所在地:大正区鶴町 2-8-7
℡:6555-2272
店主:小坂良夫氏
URL:
http://www4.ocn.ne.jp/ heiwadou/)である。創業から 80 年以上和菓子を作り続けており、な
かでも大正区の名所をイメージした創作和菓子を、大阪みやげ“大正区名所めぐり”として販
売し人気を得ている。
“大正区名所めぐり”のうち平和堂の代名詞とも云われるのが、
大正区鶴町と港区海岸通りを結ぶ日本一のかけ橋 なみはや大橋に
ちなんで開発した「なみはや大橋」だ。自家製白あんに刻み栗を入
れ最中の皮を生地にまぶし、ほっこりあっさり味に焼き上げたまん
じゅうの逸品である。
さらに大正区のメイン通り大正通りをイメージして作った「大正
夢通り」は特上のこしあんをふぁっとしたカステラ生地でホイル
焼きしたものでコーヒー、紅茶に最も合う。
大正区の人工の山、昭和山(標高 33 メートル)にちなんで自家
製のこし餡と焼き上げた最中種のコンビネーションによる食感を
大切にした「昭和山最中」も人気が高い。
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他には大正区の沖縄とのつながりを象徴して沖縄産黒砂糖をたっ
ぷり練りこんだ生地を使い、白餡を包んで焼き上げた「いっぺいま
あさん」
(沖縄の方言で大変美味のこと)もある。
“大正区名所めぐり”は、どれも大正区で育ち事業をつづけてき
た店主の地域へのこだわりを和菓子で現した逸品ばかりだ。おみや
げや贈答には最適な一品であり、一度は賞味する値打ちのある和菓
子である。
本店に併設した工場で店主と長男が中心となって、「平和堂」独
自の和菓子を、どこまでもこだわりの素材を吟味しながら丹精込
めて作り続けている。老舗として他にも伝統のものから創作もの
まで多くの和菓子を揃える地域一番店でもある。
大正区内には支店として南恩加島店(所在地:大正区南恩加島
2-5-15
℡:6551-5547)
もあり、同店は長男が切り盛りしている。
(大正・浪速・西成支部)
未来にやさしい愛(eye)を届ける企業
∼㈱乾レンズの挑戦∼
「100 年先までも子供たちの眼を守りたいー」そう話すのは、サングラスレンズ専門メーカ
ーの株式会社乾レンズ(社長:乾喜則氏
本社所在地:東住吉区今林 2-22-34
℡:6758-1805
URL:http//www.inuilens.com)である。紫外線対策の先進国・オーストラリアでは全国的な皮
膚癌予防キャンペーンとして「スリップ(長袖の上着を着て)、スロップ(日焼け止めクリーム
を塗り)、スラップ(つばの広い帽子をかぶる)」の標語を使用しており、現在では、
「ラップ(サ
ングラスをかけて)」が追加されて有害紫外線対策と教育を徹底しているのであるが、日本国内
ではまだまだ日焼け止めクリームや帽子まででサングラスの浸透がない。しかし、視神経が集
中している眼はもっとも危険にさらされているといっても過言でない。このままでは白内障の
若年齢化も否めない、と警鐘を鳴らす。
同社では眼を守るサングラスの普及に力をいれており、ビジネスシーンでも使用可能な眼精
疲労防止レンズ「ハイドカラーレンズ(特許出願中)」を開発した。サングラスといえば色が濃
く、また意識としては濃いほど紫外線をカットしていると思われがちであるが、実は色が濃い
ほど沢山の光を取り込もうと瞳孔が開き、そのため紫外線を多く取り入れてしまうケースもあ
る。その点、「ハイドカラーレンズ」はできるかぎり色をおさえ透明度を保ちつつ紫外線をカッ
トするレンズで、色が薄いため生活シーンを選ばずに使用可能である。
また、通常レンズに表示されている「UV400」とは、目に有害とされている紫外線の光(波
長 400 ナノメーターまで)をほぼ 100%カットするレンズのことをあらわすのであるが、一般消
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費者にはなかなか馴染みがない。そこで同社では市場で浸透していて日
焼け止めクリームなどで用いられている「SPF」と「PA」でレンズ
の紫外線カット表示をすることで消費者にわかりやすい商品(SPF50+、
PA+++)としている。
(登録商標)
最近 100 円ショップでも手にいれることができるサングラス。安価な
樹脂プラスチックレンズと眼鏡用光学プラスチックは歴然とした違いが
ある。高性能のレンズを使わないと完全なUVカットができないばかり
か、頭痛や眼精疲労・肩こりになり、眼が疲れやすくなることもある。「近い将来、健康のキー
ワードにサングラスを認知する日が必ず来る。眼鏡は交換できても眼は交換できない。だから
こそ良い品質のレンズを普及させ、いつの時代も皆様の大切な眼を守る企業として社会貢献を
していきたい。
」− 乾社長のやさしいまなざしは光り輝いている。
(東住吉・平野支部)
「まごころキッチン」はお客さんが喜ぶ顔が嬉しいと頑張っている!
宮川卓哉氏は、平成6年5月、地下鉄あびこ中央商店街で持ち帰り弁当店「まごころキッチ
ン」を開業した。開業後、チェーン店にはない一品一品の手作り感と工夫した料理でたちまち
地域一番店となった。しかし、平成 11 年 10 月、類焼により、店舗を焼失、現在地(住吉区苅田
5-13-7-105
℡:6608-4991)に移転を余儀なくされた。
その店舗は、焼失した店舗から 150 メートル離れており、立地条件がそれほど良くはなかっ
た。当初は厳しい状況であったが、主力商品である「天むす弁当」「イカ天むす弁当」にさらに
手作り感と料理の工夫をすることにより、その後も地域一番店を維持し続けている。
手作り感と料理に加え、接客が功を奏し、宮川氏は、平成 17 年6月に現在の店舗の近くに製
造工場を新設、さらに平成 17 年 10 月、東住吉区駒川に2号店、エフキッチン(所在地:東住吉
区駒川 5-18-3
℡:6609-2686)をオープンした。もとよりエフキッチンもまごころキッチン同
様、地域一番店になる努力をしているが、現在はまだ、その道のりはなかなか厳しい状況であ
る。
こうしたなか、大手スーパーが、298 円弁当などを販売、持ち帰り弁当業界の競争が一気に
ヒートアップした。宮川氏は、外作の内作化、仕入先の協力を得て、他社よりボリューム感、
手作り感のある 298 円弁当を打ち出し、好評を博している。 また創業以来のヒット商品であ
る天むす弁当は、毎月 16 日、
「天むすデー」を開催、毎回売り切れになるほどの人気を維持し
ている。
こうした状況にも関わらず、お客様に受け入れられる商品開発を怠らず、手作りのだし巻、
ビーフコロッケ、キャラブキ、でっかいミンチカツなど、次々と打ち出している。
宮川氏は、「一度食べるともう一度食べたくなる味でボリューム感もある弁当を作り、お客さ
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んが喜んでくれるのが何より嬉しい」
というのが口癖であり、「だから努力も苦労も苦になりま
せん」と胸をはる。
このように日々改善に取り組む、まごころキッチン、エフキッチンを当支部も今後とも支援
していきたい。
(住之江・住吉支部)
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地域の動き
工夫あるイベントで頑張る商店街
福島聖天通商店街はJR環状線福島駅の北側の駅前商店街である。同商店街には古い歴史が
あり、明治期には「大和田街道」筋にあたり人の往来が盛んで、心斎橋筋、天神橋筋、九条新道
の各商店街とともに4大商店街と謳われ、街の名の由来となっている「聖天了徳院」は年間 100
万人もの参詣者で賑わったという。
バブルの崩壊後、昨今の商店街は長年の消費不況にみまわれ退潮の傾向が著しいが、同商店
街も例に洩れず閑散とした商店街になりつつあった。しかし、平成 11 年、阪神電鉄福島駅地下
化の再開発に伴う「ホテル阪神」の開業を契機として、地元商店街の活性化に取り組むため振
興組合を設立し、
「昔の賑わい復活」を大目標としてイベント事業に本腰を入れ始めた。
カラー舗装等のハードの面と並行してソフト面の取り組みとして、地元に伝わる文化遺産を
生かすべく「占い商店街」としての占いイベントを実施したが、これが大成功を収め、現在商
店街の顔になりつつある。また、新たな取り組みとして古典芸能に着眼し、平成 20 年 10 月に
は「福島聖天きらく亭」を立ち上げて「浪曲公演の会」を実施している。その昔、福島界隈に
は芝居小屋や劇場等、芸能関係の施設がたくさんあったとかで、昔にあったものを蘇らせよう
というコンセプトで始められたものである。
第1回は平成 20 年 10 月に老舗割烹「岩田屋」の座敷において若手の浪曲師、菊池まどか・
幸いってんを招きスタートした。第2回は平成 21 年2月に「聖天了徳院」に隣接する「和光園
幼稚園」に会場を移し、浪曲師春野恵子・幸いってんの公演、第3回は平成 21 年6月に春野恵
子・春野ココを招いての公演であった。当所、組合役員の面々は古典的芸能に的を絞り、アイ
デアを練っていたが、落語は「繁昌亭」がメインのため浪曲及び講談に狙いを定め、今日の状
況に至っている。極力、若手の芸人に出演していただくよう(財)浪曲親友協会に交渉してい
るが、今後も年に3回のペースで開催する予定である。占いイベントと共に特徴ある商店街の
行事として育てていくため、その活動に時間はとられるものの商店街の人通りが増える喜びは
大変大きいようである。
(北・都島・福島支部)
ドリンク、おかき無料のカフェがオープン
菓子製造業を営む播磨屋本店が、社会と人々への利益還元の一環として行っているユニー
クな企業ボランティア活動である「フリーカフェ播磨屋ステーション」の大阪御堂筋店が、
中央支部にほど近い御堂筋沿いに7月 29 日オープンした。(所在地:中央区淡路町 3-6-3
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NMプラザ御堂筋ビル 1F
℡:6223-1733)喫茶店とは思えない佇まいでつい通り過ぎてし
まいそうだが、店は約 85 坪でイス席とスタンド席があり約 100 人が入れ、誰でも利用でき
る。セルフサービスで営業時間は 10 時∼20 時で年中無休。
そして、おかきとドリンク類が無料である。8種類のおいしいおかきが、小皿に1杯分無
料のほか、コーヒー、紅茶、オレンジジュー
スのお代わりは自由。しかも清楚でくつろげ
る 空 間 に な っ て い て “本 当 に こ れ で 無 料 な
の?”と思わずにはいられない嬉しいお店で
ある。
もちろん、販売コーナーもあって、播磨屋
のおかき類のほか、お得な「詰め合わせパッ
ク」(1,050 円)や「無選別エコノミーパック」
(組み合わせ自由で3パック 1,000 円)など
があり、地方発送もしている。
(中央支部)
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大 阪 商 工 会 議 所
支 部
〒532-0025 淀川区新北野1−14−11
大阪新北野第一ビル2階
TEL.6302-5977
FAX.6302-5978
北・都島・福島支部
〒530-0047 北区西天満5−1−1
ザ・セヤマビル3階
TEL.6130-5112
FAX.6130-5113
旭・城東・鶴見支部
〒536-0005 城東区中央2−12−14
柏木ビル2階
TEL.6930-2244
FAX.6930-9898
中
〒541-0051 中央区備後町3−4−9
輸出繊維会館 6階
TEL.6222-2221
FAX.6222-2480
〒552-0007 港区弁天1−2−30
オーク4番街3階
TEL.6599-1537
FAX.6599-1538
東 成 ・ 生 野 支 部
〒537-0012 東成区大今里3−14−27
ITTビル2階
TEL.6975-5662
FAX.6975-5663
天王寺・阿倍野支部
〒543-0056 天王寺区堀越町13−18
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FAX.6771-2257
大正・浪速・西成支部
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新 淀 川 支
(淀川三区担当)
央
支
部
部
此花・西・港支部
東住吉・平野支部
住之江・住吉支部
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平野区背戸口5−6−17
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住吉住之江産業会館2階
TEL.6674-1125
FAX.6674-1138
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