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報告書 - 経済産業省

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報告書 - 経済産業省
経済産業省委託
平成 20 年度委託調査
「輸出信用機関(ECA)のバイヤープレミアム
制度に関する調査」
報告書
平成21年3月
目
第1章
次
調査の概要 .......................................................................................... 1
1.1 調査の背景・目的 ........................................................................................................ 1
1.2 調査の内容 ................................................................................................................... 1
1.3 調査実施方法................................................................................................................ 2
第2章
OECD 加盟先進国のバイヤープレミアム制度 ....................................... 3
2.1 ドイツ .......................................................................................................................... 3
2.1.1 ドイツにおける公的貿易保険制度の概要 ............................................................. 3
2.1.2 ドイツにおけるプレミアム制度 ............................................................................ 5
2.2 フランス ..................................................................................................................... 15
2.2.1 フランスにおける公的貿易保険制度の概要 ....................................................... 15
2.2.2 フランスにおけるプレミアム制度 ...................................................................... 16
2.3 オランダ ..................................................................................................................... 25
2.3.1 オランダにおける公的貿易保険制度の概要 ....................................................... 25
2.3.2 オランダにおけるプレミアム制度 ...................................................................... 27
2.4 英国 ............................................................................................................................ 37
2.4.1 英国における公的貿易保険制度の概要 ............................................................... 37
2.4.2 英国におけるプレミアム制度 ............................................................................. 38
2.5 米国 ............................................................................................................................ 45
2.5.1 米国における公的貿易保険制度の概要 ............................................................... 45
2.5.2 米国におけるプレミアム制度 ............................................................................. 48
第3章
OECD 加盟新興国のバイヤープレミアム制度 ..................................... 59
3.1 チェコ ........................................................................................................................ 59
3.1.1 チェコにおける公的貿易保険制度の概要 ........................................................... 59
3.1.2 チェコにおけるプレミアム制度 .......................................................................... 63
3.2 ハンガリー ................................................................................................................. 73
3.2.1 ハンガリーにおける公的貿易保険制度の概要 .................................................... 73
3.2.2 ハンガリーにおけるプレミアム制度 .................................................................. 74
第4章
OECD 非加盟新興国のバイヤープレミアム制度 ................................. 77
4.1 中国 ............................................................................................................................ 77
4.1.1 中国における公的貿易保険制度の概要 ............................................................... 77
4.1.2 中国におけるプレミアム制度 ............................................................................. 80
4.2 ブラジル ..................................................................................................................... 85
4.2.1 ブラジルにおける公的貿易保険制度の概要 ....................................................... 85
4.2.2 ブラジルにおけるプレミアム制度 ...................................................................... 87
4.3 インド ........................................................................................................................ 99
4.3.1 インドにおける公的貿易保険制度の概要 ........................................................... 99
4.3.2 インドにおけるプレミアム制度 ........................................................................ 101
第5章
ケーススタディによる比較 ................................................................. 103
第6章
市場との関係 ................................................................................... 107
6.1 貿易保険市場と CDS 等の競合市場との関係 .......................................................... 107
6.2 CDS 市場の概要と最近の動向 ................................................................................. 107
6.3 新興国における貿易保険市場と CDS 等関連市場................................................... 108
6.4 今後の貿易保険市場への示唆 .................................................................................. 109
第1章
1.1
調査の概要
調査の背景・目的
OECD 加盟諸国は輸出信用制度を通じて自国企業の対外取引に付随する様々なリス
クを軽減し、自国企業の安定的な対外取引を支援している。一方、各国の支援条件が激
化し市場競争を歪めるおそれがあったことから、「OECD 輸出信用アレンジメント」
を定めて最低保険料水準(ミニマム・プレミアム・レート)、最長償還期間、償還方法
等の条件を統一し、公平な競争環境を確保してきた。このうち、最低保険料水準は、1997
年に、輸入規制、外貨送金規制、戦争、内乱などの非常リスクについてのみ定められ適
用されている。輸出先(バイヤー)の不払い等、信用リスクに係る保険料(プレミアム)
については過去に議論はあったものの OECD としての規定がなく、各国が独自の判断
で設定・徴収している。
2008 年 4 月、改めて加盟国輸出信用機関の間で信用リスクに係るバイヤープレミア
ムの統一ルール化の議論が提起された。わが国が OECD においてバイヤープレミアム
の議論をリードしていくためには各国のバイヤープレミアム制度について正しくその
状況を把握しておくことが必要であるが個々のバイヤーに対するプレミアムの設定は
各国輸出信用機関の収支の根幹に係る問題であり実態の把握が困難である。
本調査では、輸出信用機関のバイヤープレミアム制度について、制度の概要、徴収プ
レミアム水準、てん補範囲、過去の運用状況及び、非常リスクに係るプレミアム(カン
トリーリスクプレミアム)と組み合わせた最終的なプレミアム徴収水準を可能な限り調
査し、また当該リスクの市場価格と比較し知見を得ることで我が国及び加盟国輸出信用
機関のバイヤープレミアムのあり方の検討に資することを目的として実施された。
1.2
調査の内容
本調査では、欧米主要国の ECA と新興国の ECA のバイヤープレミアム制度を明ら
かにするため、調査対象の ECA について、以下の(1)から(4)について調査を行
うこととした。
対象となる国・ECA について、欧米主要国については、具体的には、ドイツ、フラ
ンス、オランダ、英国、米国の ECA を調査対象とすることとした。欧州 ECA として
は、世界の貿易保険市場で合わせて 80%以上のシェアを持つ 3 大貿易保険会社である
Euler Hermes、Coface、Atradius について、それぞれドイツ、フランス、オランダの
各国政府との契約の下で行われている ECA 業務を対象とした。また、英国の ECA で
ある英国輸出信用保証庁(ECGD)を対象とした。さらに、米国の ECA としては、米
国輸出入銀行(USEXIM)及び米国海外民間投資公社(OPIC)を対象とした。
また、新興国については、チェコ、ハンガリー、中国、インド、ブラジルの 5 ヶ国を
調査対象とした。
(1) 組織の性格・構成
対象となる ECA について、名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制等)、設立根
拠法・関連法規、業務内容、政府との関係・役割分担を取りまとめる。
(2)プレミアム制度
1
各 ECA について、プレミアム制度(考え方、料率体系、管理体制等)の全体像を把
握するとともに、それぞれカントリープレミアム、バイヤープレミアムについての考え
方、料率体系を整理することとした。また、カントリープレミアム、バイヤープレミア
ムに着目しつつ、それぞれの ECA が如何なるリスク管理体制をおいているのか、料率
設定やリスク管理において実際に如何なる運用をしているのかについて調査・整理する
こととした。
(3)具体的なモデルに対するリスク評価及び料率計算手法、具体的なプレミアム
対象となる取引、国家、バイヤー等について異なるケースを想定してケース・モデル
を複数用意し、これらのモデルについて、如何なるリスク評価・料率計算を行い、具体
的に如何なる水準のプレミアムを算出するかを、それぞれ対象とする ECA についてま
とめることとした。
(4)市場との関係(市場価格(ボンドやクレジット・デフォルト・スワップ(CDS))
との比較)
貿易保険が他の競合商品と比較してどのような状況にあるのかを確認する。例えば、
先進国市場では、金融機関は貿易保険契約を行う代わりに CDS マーケットに頼るケー
スが増えているが、新興国 ECA について同様のケースが見られるかどうかといった点
について確認を行うこととした。
1.3
調査実施方法
本調査は、国内文献インタビュー調査、現地への書面照会、現地インタビュー調査に
より実施した。地域別の調査実施方法は以下のとおり。
(1)
・
欧米主要国(ドイツ、フランス、オランダ、英国、米国)、OECD 加盟新
興国(チェコ、ハンガリー)
年次報告書、各種パンフレット、WEB 等の公表文書による情報をとりまとめ
た。
(2) OECD 非加盟新興国(中国、インド、ブラジル)
・ 全ての国について、年次報告書、各種パンフレット、WEB 等の公表文書によ
る情報をとりまとめた。
・ インド、ブラジルについては、各国 ECA に対して現地訪問インタビュー調査
を行った。
・ 中国については、現地コンサルタントを通じた訪問インタビュー調査を行った。
2
第2章
2.1
OECD 加盟先進国のバイヤープレミアム制度
ドイツ
2.1.1
ドイツにおける公的貿易保険制度の概要
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
ドイツの公的貿易保険制度は、ドイツ連邦公的輸出保証制度(Official Export Guarantee
Scheme of the Federal Republic of Germany)として運用されている。公的輸出保証制度
は 1949 年より開始されており、政府と委託契約を締結した民間企業が貿易保険の運営を代
行している。同制度に係る費用は全額連邦政府予算により拠出されている。
1949 年以来ドイツ連邦政府より貿易保険業務の代行を委託されているのは Euler
Hermes 信用保険会社(Euler Hermes Kreditversicherungs-AG、以下「Euler Hermes」
と呼ぶ)と現在のプライスウォーターハウス・クーパース(PwC)ドイツ監査株式会社経
済監査法人(以下、「PwC」と呼ぶ)によって構成されるコンソーシアムである。中でも、
Euler Hermes はコンソーシアムの中で主導権を有しており、ドイツでは輸出保険は
―Hermes Cover‖として知られるなど、貿易保険業務において重要な役割を果たしている。
Euler Hermes は 1917 年に設立された信用保険会社であり、非常リスク及び信用リスク
に対する保険を提供している。同社は 55 カ国に支部を持ち、6,004 名の職員を持つ民間輸
出信用保険会社の世界最大手の一つである。
図 2-1 Euler Hermes 政府勘定部門の組織図
保険引受&リスク
管理
請求&国際債務
管理
プロジェクトファイナ
ンス及び船舶
サステナビリティ
国際債務ソリュー
ション
パリクラブ&
債務ソリューション
品質管理
金融セクター&キー
アカウントリスク
請求1
中南米・アフリカ
請求2
欧州・アジア・メキシコ
保険引受1
保険引受2
航空機
CIS 1
OECD、ヨーロッパ、
ベラルーシ
CIS 2
イラン、アフリカ
中国、インドシナ、台湾、
特別取引
トルコ、中東
南/東南アジア、
太平洋島嶼国
中南米
アジア 1
中東、イラン、アフリカ
中南米
アジア 2
バルカン諸国、CIS、
トルコ、ベラルーシ
営業&マーケ
ティング
国際渉外
国際債務再編
アフリカ・南米
国際債務再編
欧州・アジア・中米
請求&アセット
マネジメント1.1.
アメリカ・アフリカ
請求&アセット
マネジメント1.1.欧
州・アジア・中米
請求&アセット
マネジメント2.2.
アメリカ・アフリカ
請求&アセット
マネジメント2.2.欧
州・アジア・中米
国際協力
経済研究
総務会
030/2094
広報
財務&
コントローリング
オフィスマネジメント
コミュニ
ケーション
コマーシャル
セールス
オーガニゼーション
北部・西部ドイツ
南部・東部ドイツ
3
戦略策定
商品マネジメント/
マーケティング
アカウントマネジメント、
ホールターンオーバー保険
出所:ドイツ連邦公的輸出保証制度ホームページより三菱総研作成
ベルリン連絡
事務所
法務&財務
IT
サービス
(2) 設立根拠法・関連法規
ドイツ連邦輸出保証制度の法的根拠は 1983 年 12 月 1 日に制定され、同年 12 月 30 日に
発布された「輸出信用保証に関するガイドライン」(Richtlinien für die Übernahme von
Ausfuhrgewährleistungen, Guidelines for the granting of Export Credit Guarantees)で
ある。同ガイドラインでは、保証形式、保証条件、負担率、申請受理から決定に至る手続
きなど、連邦輸出保証制度の管理・運営にかかる詳細について定められている。また、連
邦予算法において、毎年のエクスポージャー上限額が規定される。
(3) 業務内容
ドイツ連邦公的輸出保証制度には、以下の保険が含まれている1。
 船積前保険(Manufacturing risk cover)
 短期保険(Short-term cover)
 リボルビング保険(Revolving specific policy)
 短期包括保険(Wholeturnover policy)
 簡易型短期包括保険(Wholeturnover policy light)
 中長期輸出事業保険(Cover for medium and long-term export business)
 構 造 融 資 及 び プ ロ ジ ェ ク ト フ ァ イ ナ ン ス ( Structured finance and project
finance)
 タイド融資信用保険(Cover for tied finance credits)
 海外建設保険(Constructional works cover)
 バイヤークレジット保険(Buyer credit cover)
 輸出信用保険(Supplier credit cover)
 リース保険(Leasing cover)
連邦公的輸出保証制度は、中長期案件や政治リスクの高い案件など、民間による保証が
困難なリスクに対するサービスを提供することを主な目的としている。ただし、輸出相手
国の政治リスクが高いと判断された場合は、短期案件であっても連邦公的輸出保証制度の
対象となる。また、中小企業に対しては、大企業とは異なる中小企業固有のリスクがある
と捉え、先進国向けの短期取引であっても簡易型短期包括保険(Wholeturnover policy
light)と呼ばれる包括保険を付保している。
(4) 政府との関係・役割分担
貿易保険及びプロジェクト融資に関する事項に関する協議は、省庁間委員会
(Inter-Ministerial Committee)によって行われている。省庁間委員会は、経済技術省、
財務省、外務省及び経済協力・開発省の代表者で構成されており、Euler Helmes 及び PwC
のコンソーシアムから 2 名がアドバイザーとして参加している。また、金融セクターなど
輸出関連業界から専門家が参加し、輸出保険に関する決定が輸出事業者のニーズに即した
ものとなるよう協議を行っている2。
1
2
ドイツ連邦公的輸出保証制度ホームページ(http://www.agaportal.de/en/aga/ima.html)
Ibid.
4
2.1.2
ドイツにおけるプレミアム制度
(1) 料率の考え方
ドイツ連邦公的輸出保証制度に関する各種公表資料によれば、同制度の下で提供される
保険の料率決定に際しては以下の要素が考慮される。
・
・
・
・
・
・
取引総額
償還期間
カバー率
国カテゴリー: 0-7 の段階に分類される
バイヤー分類: 公的・民間、銀行の保証の有無
バイヤーの信用度(民間のバイヤー・保証者の場合)
(2) カントリーリスクの考え方
OECD 輸出信用アレンジメントのカントリーリスク分類(0-7 の 8 分類)と同一の分類
を採用している。
(3) バイヤープレミアムの考え方
ドイツ連邦公的輸出保険制度の料率説明資料によれば、同制度の下で、バイヤーは「ソ
ブリン」(3 分類)と「その他公的バイヤー、保証者」(1 分類)、「銀行、銀行保証のあ
る民間バイヤー」(4 分類)、「銀行保証のない民間バイヤー」(4 分類)と分類されてい
る。
5
(4) 料率計算の流れ
ドイツ連邦公的輸出保証制度の料率計算の流れを、①国分類⇒②バイヤー分類⇒③その他
要素の順にフロー図として示したのが図 2-2である。
図 2-2 ドイツ連邦公的輸出保証制度における保険料率計算の流れ
① 国分類
カテゴリ
OECD
リスク分類
0
1
2
3
4
5
6
7
0
1
2
3
4
5
6
7
*1 国カテゴリーの0と1は同一料率
②バイヤー分類3
バイヤーカテゴリー
ソブリン
(中央銀行また
は財務省)
SK1
その他
公的バイ
ヤー、保証者
銀行
銀行保証のある
民間バイヤー/
引き受けた銀行
が債務者となる
民間バイヤー
銀行保証なし
SK2
BK1
BK2
BK3
BK4
BK5
KK1
KK2
KK3
KK4
KK5
*1 SK1, BK1, KK1は同料率
*2 各カテゴリーと民間格付け機関の格付け段階との対応は不明
*3 2006年より現在の料率計算システムを採用
③その他要素
1.
2.
3.
4.
保険価額
クレジット期間 (Risk Horizon(RH))(年)
カバー率 (規定値は95%)
通貨 (ユーロ建て以外の場合は10%の追加料率がかかる)
出所:ドイツ連邦公的輸出保証制度の料率説明資料に基づき三菱総研作成
略語の定義は次のとおり。SK(Staatlicher Schuldner/Garant Kategorien): 政府債務者/保証者カテゴ
リー、BK(Bankkategorien) : 銀行カテゴリー、KK(Käuferkategorien) : バイヤーカテゴリー
3
6
(5) 料率表
ドイツ連邦公的輸出保証制度の下で提供される保険料率を、同制度の料率説明資料に記載
されている料率計算式に基づいて独自に算出した4。なお、以下の料率表は現在も有効なも
のとして同制度ホームページで公開されている 2006 年 5 月 1 日付け資料の計算式・係数を
用いて 2009 年 1 月から 3 月にかけて作成したものである。
① カントリーリスク分類 0 及び 1 の場合
リスク
年
公的セクター
ソブリン
その他
SK1/BK1
SK2
銀行、民間バイヤー(銀行保証・有、
銀行が債務者となる場合)
民間バイヤー(銀行保証・無)
BK2
BK3
BK4
BK5
KK2
KK3
KK4
KK5
/KK1
0
0.35
0.37
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
0.40
0.45
0.50
0.55
0.60
0.65
0.70
0.75
0.80
0.85
0.42
0.47
0.52
0.58
0.63
0.68
0.73
0.79
0.84
0.89
0.41
0.48
0.54
0.61
0.67
0.74
0.80
0.87
0.93
1.00
0.43
0.51
0.59
0.67
0.75
0.83
0.91
0.99
1.07
1.15
0.44
0.54
0.63
0.73
0.82
0.92
1.01
1.11
1.20
1.30
0.46
0.57
0.68
0.79
0.90
1.01
1.12
1.23
1.34
1.45
0.45
0.55
0.65
0.75
0.85
0.95
1.05
1.15
1.25
1.35
0.50
0.65
0.80
0.95
1.10
1.25
1.40
1.55
1.70
1.85
0.55
0.75
0.95
1.15
1.35
1.55
1.75
1.95
2.15
2.35
0.60
0.85
1.10
1.35
1.60
1.85
2.10
2.35
2.60
2.85
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
0.90
0.95
1.00
1.05
1.10
1.15
1.20
1.25
1.30
1.35
1.40
1.45
1.50
1.55
0.94
1.00
1.05
1.10
1.15
1.21
1.26
1.31
1.36
1.42
1.47
1.52
1.57
1.63
1.06
1.13
1.19
1.26
1.32
1.39
1.45
1.52
1.58
1.65
1.71
1.78
1.84
1.91
1.23
1.31
1.39
1.47
1.55
1.63
1.71
1.79
1.87
1.95
2.03
2.11
2.19
2.27
1.39
1.49
1.58
1.68
1.77
1.87
1.96
2.06
2.15
2.25
2.34
2.44
2.53
2.63
1.56
1.67
1.78
1.89
2.00
2.11
2.22
2.33
2.44
2.55
2.66
2.77
2.88
2.99
1.45
1.55
1.65
1.75
1.85
1.95
2.05
2.15
2.25
2.35
2.45
2.55
2.65
2.75
2.00
2.15
2.30
2.45
2.60
2.75
2.90
3.05
3.20
3.35
3.50
3.65
3.80
3.95
2.55
2.75
2.95
3.15
3.35
3.55
3.75
3.95
4.15
4.35
4.55
4.75
4.95
5.15
3.10
3.35
3.60
3.85
4.10
4.35
4.60
4.85
5.10
5.35
5.60
5.85
6.10
6.35
4
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
7
② カントリーリスク分類 2 の場合
リスク
年
公的セクター
ソブリン
その他
SK1/BK1
SK2
銀行、民間バイヤー(銀行保証・有、
銀行が債務者となる場合)
民間バイヤー(銀行保証・無)
BK2
BK3
BK4
BK5
KK2
KK3
KK4
KK5
/KK1
0
0.35
0.37
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.35
0.5
0.46
0.48
0.48
0.49
0.51
0.52
0.51
0.56
0.61
0.66
1
0.57
0.60
0.60
0.63
0.66
0.69
0.67
0.77
0.87
0.97
1.5
0.68
0.72
0.73
0.77
0.82
0.86
0.83
0.98
1.13
1.28
2
0.80
0.84
0.86
0.92
0.98
1.04
1.00
1.20
1.40
1.60
2.5
0.91
0.95
0.98
1.06
1.13
1.21
1.16
1.41
1.66
1.91
3
1.02
1.07
1.11
1.20
1.29
1.38
1.32
1.62
1.92
2.22
3.5
1.13
1.19
1.24
1.34
1.45
1.55
1.48
1.83
2.18
2.53
4
1.24
1.31
1.36
1.48
1.60
1.72
1.64
2.04
2.44
2.84
4.5
1.36
1.42
1.49
1.63
1.76
1.90
1.81
2.26
2.71
3.16
5
1.47
1.54
1.62
1.77
1.92
2.07
1.97
2.47
2.97
3.47
5.5
1.58
1.66
1.75
1.91
2.08
2.24
2.13
2.68
3.23
3.78
6
1.69
1.78
1.87
2.05
2.23
2.41
2.29
2.89
3.49
4.09
6.5
1.80
1.89
2.00
2.19
2.39
2.58
2.45
3.10
3.75
4.40
7
1.92
2.01
2.13
2.34
2.55
2.76
2.62
3.32
4.02
4.72
7.5
2.03
2.13
2.25
2.48
2.70
2.93
2.78
3.53
4.28
5.03
8
2.14
2.25
2.38
2.62
2.86
3.10
2.94
3.74
4.54
5.34
8.5
2.25
2.36
2.51
2.76
3.02
3.27
3.10
3.95
4.80
5.65
9
2.36
2.48
2.63
2.90
3.17
3.44
3.26
4.16
5.06
5.96
9.5
2.48
2.60
2.76
3.05
3.33
3.62
3.43
4.38
5.33
6.28
10
2.59
2.72
2.89
3.19
3.49
3.79
3.59
4.59
5.59
6.59
10.5
2.70
2.83
3.02
3.33
3.65
3.96
3.75
4.80
5.85
6.90
11
2.81
2.95
3.14
3.47
3.80
4.13
3.91
5.01
6.11
7.21
11.5
2.92
3.07
3.27
3.61
3.96
4.30
4.07
5.22
6.37
7.52
12
3.04
3.19
3.40
3.76
4.12
4.48
4.24
5.44
6.64
7.84
8
③ カントリーリスク分類 3 の場合
リスク
年
公的セクター
ソブリン
その他
SK1/BK1
SK2
銀行、民間バイヤー(銀行保証・有、
銀行が債務者となる場合)
民間バイヤー(銀行保証・無)
BK2
BK3
BK4
BK5
KK2
KK3
KK4
KK5
/KK1
0
0.39
0.41
0.39
0.39
0.39
0.39
0.39
0.39
0.39
0.39
0.5
0.59
0.62
0.60
0.62
0.63
0.65
0.64
0.69
0.74
0.79
1
0.78
0.82
0.81
0.84
0.87
0.90
0.88
0.98
1.08
1.18
1.5
0.97
1.02
1.02
1.06
1.11
1.15
1.12
1.27
1.42
1.57
2
1.17
1.22
1.23
1.29
1.35
1.41
1.37
1.57
1.77
1.97
2.5
1.36
1.43
1.43
1.51
1.58
1.66
1.61
1.86
2.11
2.36
3
1.55
1.63
1.64
1.73
1.82
1.91
1.85
2.15
2.45
2.75
3.5
1.75
1.83
1.85
1.96
2.06
2.17
2.10
2.45
2.80
3.15
4
1.94
2.03
2.06
2.18
2.30
2.42
2.34
2.74
3.14
3.54
4.5
2.13
2.24
2.27
2.40
2.54
2.67
2.58
3.03
3.48
3.93
5
2.32
2.44
2.47
2.62
2.77
2.92
2.82
3.32
3.82
4.32
5.5
2.52
2.64
2.68
2.85
3.01
3.18
3.07
3.62
4.17
4.72
6
2.71
2.84
2.89
3.07
3.25
3.43
3.31
3.91
4.51
5.11
6.5
2.90
3.05
3.10
3.29
3.49
3.68
3.55
4.20
4.85
5.50
7
3.10
3.25
3.31
3.52
3.73
3.94
3.80
4.50
5.20
5.90
7.5
3.29
3.45
3.51
3.74
3.96
4.19
4.04
4.79
5.54
6.29
8
3.48
3.65
3.72
3.96
4.20
4.44
4.28
5.08
5.88
6.68
8.5
3.68
3.86
3.93
4.19
4.44
4.70
4.53
5.38
6.23
7.08
9
3.87
4.06
4.14
4.41
4.68
4.95
4.77
5.67
6.57
7.47
9.5
4.06
4.26
4.35
4.63
4.92
5.20
5.01
5.96
6.91
7.86
10
4.25
4.46
4.55
4.85
5.15
5.45
5.25
6.25
7.25
8.25
10.5
4.45
4.67
4.76
5.08
5.39
5.71
5.50
6.55
7.60
8.65
11
4.64
4.87
4.97
5.30
5.63
5.96
5.74
6.84
7.94
9.04
11.5
4.83
5.07
5.18
5.52
5.87
6.21
5.98
7.13
8.28
9.43
12
5.03
5.27
5.39
5.75
6.11
6.47
6.23
7.43
8.63
9.83
9
④ カントリーリスク分類 4 の場合
リスク
年
公的セクター
ソブリン
その他
SK1/BK1
SK2
銀行、民間バイヤー(銀行保証・有、
銀行が債務者となる場合)
民間バイヤー(銀行保証・無)
BK2
BK3
BK4
BK5
KK2
KK3
KK4
KK5
/KK1
0
0.49
0.52
0.49
0.49
0.49
0.49
0.49
0.49
0.49
0.49
0.5
0.78
0.82
0.79
0.81
0.82
0.84
0.83
0.88
0.93
0.98
1
1.07
1.12
1.10
1.13
1.16
1.19
1.17
1.27
1.37
1.47
1.5
1.35
1.42
1.40
1.44
1.49
1.53
1.50
1.65
1.80
1.95
2
1.64
1.72
1.70
1.76
1.82
1.88
1.84
2.04
2.24
2.44
2.5
1.93
2.03
2.00
2.08
2.15
2.23
2.18
2.43
2.68
2.93
3
2.22
2.33
2.31
2.40
2.49
2.58
2.52
2.82
3.12
3.42
3.5
2.50
2.63
2.61
2.71
2.82
2.92
2.85
3.20
3.55
3.90
4
2.79
2.93
2.91
3.03
3.15
3.27
3.19
3.59
3.99
4.39
4.5
3.08
3.23
3.21
3.35
3.48
3.62
3.53
3.98
4.43
4.88
5
3.37
3.54
3.52
3.67
3.82
3.97
3.87
4.37
4.87
5.37
5.5
3.65
3.84
3.82
3.98
4.15
4.31
4.20
4.75
5.30
5.85
6
3.94
4.14
4.12
4.30
4.48
4.66
4.54
5.14
5.74
6.34
6.5
4.23
4.44
4.42
4.62
4.81
5.01
4.88
5.53
6.18
6.83
7
4.52
4.74
4.73
4.94
5.15
5.36
5.22
5.92
6.62
7.32
7.5
4.80
5.05
5.03
5.25
5.48
5.70
5.55
6.30
7.05
7.80
8
5.09
5.35
5.33
5.57
5.81
6.05
5.89
6.69
7.49
8.29
8.5
5.38
5.65
5.63
5.89
6.14
6.40
6.23
7.08
7.93
8.78
9
5.67
5.95
5.94
6.21
6.48
6.75
6.57
7.47
8.37
9.27
9.5
5.95
6.25
6.24
6.52
6.81
7.09
6.90
7.85
8.80
9.75
10
6.24
6.56
6.54
6.84
7.14
7.44
7.24
8.24
9.24 10.24
10.5
6.53
6.86
6.84
7.16
7.47
7.79
7.58
8.63
9.68 10.73
11
6.82
7.16
7.15
7.48
7.81
8.14
7.92
9.02 10.12
11.22
11.5
7.10
7.46
7.45
7.79
8.14
8.48
8.25
9.40 10.55
11.70
12
7.39
7.76
7.75
8.11
8.47
8.83
8.59
9.79 10.99 12.19
10
⑤ カントリーリスク分類 5 の場合
リスク
年
公的セクター
ソブリン
その他
SK1/BK1
SK2
銀行、民間バイヤー(銀行保証・有、
銀行が債務者となる場合)
民間バイヤー(銀行保証・無)
BK2
BK3
BK4
BK5
KK2
KK3
KK4
KK5
/KK1
0
0.79
0.83
0.79
0.79
0.79
0.79
0.79
0.79
0.79
0.79
0.5
1.17
1.23
1.18
1.20
1.21
1.23
1.22
1.27
1.32
1.37
1
1.55
1.63
1.58
1.61
1.64
1.67
1.65
1.75
1.85
1.95
1.5
1.94
2.03
1.98
2.03
2.07
2.12
2.09
2.24
2.39
2.54
2
2.32
2.43
2.38
2.44
2.50
2.56
2.52
2.72
2.92
3.12
2.5
2.70
2.84
2.78
2.85
2.93
3.00
2.95
3.20
3.45
3.70
3
3.08
3.24
3.17
3.26
3.35
3.44
3.38
3.68
3.98
4.28
3.5
3.47
3.64
3.57
3.68
3.78
3.89
3.82
4.17
4.52
4.87
4
3.85
4.04
3.97
4.09
4.21
4.33
4.25
4.65
5.05
5.45
4.5
4.23
4.44
4.37
4.50
4.64
4.77
4.68
5.13
5.58
6.03
5
4.62
4.85
4.77
4.92
5.07
5.22
5.12
5.62
6.12
6.62
5.5
5.00
5.25
5.16
5.33
5.49
5.66
5.55
6.10
6.65
7.20
6
5.38
5.65
5.56
5.74
5.92
6.10
5.98
6.58
7.18
7.78
6.5
5.77
6.05
5.96
6.16
6.35
6.55
6.42
7.07
7.72
8.37
7
6.15
6.45
6.36
6.57
6.78
6.99
6.85
7.55
8.25
8.95
7.5
6.53
6.86
6.76
6.98
7.21
7.43
7.28
8.03
8.78
9.53
8
6.91
7.26
7.15
7.39
7.63
7.87
7.71
8.51
9.31
10.11
8.5
7.30
7.66
7.55
7.81
8.06
8.32
8.15
9.00
9.85 10.70
9
7.68
8.06
7.95
8.22
8.49
8.76
8.58
9.48 10.38
11.28
9.5
8.06
8.46
8.35
8.63
8.92
9.20
9.01
9.96 10.91
11.86
10
8.45
8.87
8.75
9.05
9.35
9.65
9.45 10.45
11.45 12.45
10.5
8.83
9.27
9.14
9.46
9.77 10.09
9.88 10.93
11.98 13.03
11
9.21
9.67
9.54
9.87 10.20 10.53 10.31
11.41 12.51 13.61
11.5
9.60
10.07
9.94 10.29 10.63 10.98 10.75
11.90 13.05 14.20
12
9.98
10.47 10.34 10.70
11.06
11
11.42
11.18 12.38 13.58 14.78
⑥ カントリーリスク分類 6 の場合
リスク
公的セクター
年
ソブリン
その他
SK1/BK1
SK2
銀行、民間バイヤー(銀行保証・有、
銀行が債務者となる場合)
民間バイヤー(銀行保証・無)
BK2
BK3
BK4
BK5
KK2
KK3
KK4
KK5
/KK1
0
1.18
1.24
1.18
1.18
1.18
1.18
1.18
1.18
1.18
1.18
0.5
1.64
1.72
1.66
1.67
1.69
1.70
1.69
1.74
1.79
1.84
1
2.11
2.21
2.14
2.17
2.20
2.23
2.21
2.31
2.41
2.51
1.5
2.57
2.70
2.62
2.66
2.71
2.75
2.72
2.87
3.02
3.17
2
3.04
3.19
3.10
3.16
3.22
3.28
3.24
3.44
3.64
3.84
2.5
3.50
3.68
3.58
3.65
3.73
3.80
3.75
4.00
4.25
4.50
3
3.97
4.17
4.06
4.15
4.24
4.33
4.27
4.57
4.87
5.17
3.5
4.43
4.66
4.54
4.64
4.75
4.85
4.78
5.13
5.48
5.83
4
4.90
5.15
5.02
5.14
5.26
5.38
5.30
5.70
6.10
6.50
4.5
5.37
5.64
5.50
5.64
5.77
5.91
5.82
6.27
6.72
7.17
5
5.83
6.13
5.98
6.13
6.28
6.43
6.33
6.83
7.33
7.83
5.5
6.30
6.61
6.46
6.63
6.79
6.96
6.85
7.40
7.95
8.50
6
6.76
7.10
6.94
7.12
7.30
7.48
7.36
7.96
8.56
9.16
6.5
7.23
7.59
7.42
7.62
7.81
8.01
7.88
8.53
9.18
9.83
7
7.69
8.08
7.90
8.11
8.32
8.53
8.39
9.09
9.79 10.49
7.5
8.16
8.57
8.38
8.61
8.83
9.06
8.91
9.66 10.41
8
8.62
9.06
8.86
9.10
9.34
9.58
9.42 10.22
11.02
8.5
9.09
9.55
9.34
9.60
9.85
10.11
9.94 10.79
11.64 12.49
9
9.56
10.04
9.83 10.10 10.37 10.64 10.46
11.16
11.82
11.36 12.26 13.16
9.5
10.02
10.53 10.31 10.59 10.88
11.16 10.97
10
10.49
11.02 10.79
11.09
11.39
11.69
10.5
10.95
11.50
11.27
11.58
11.90 12.21 12.00 13.05 14.10 15.15
11
11.42
11.99
11.75 12.08 12.41 12.74 12.52 13.62 14.72 15.82
11.5
11.88
12.48 12.23 12.57 12.92 13.26 13.03 14.18 15.33 16.48
12
12.35
12.97 12.71 13.07 13.43 13.79 13.55 14.75 15.95 17.15
12
11.92 12.87 13.82
11.49 12.49 13.49 14.49
⑦ カントリーリスク分類 7 の場合
リスク
年
公的セクター
ソブリン
その他
SK1/BK1
SK2
銀行、民間バイヤー(銀行保証・有、
銀行が債務者となる場合)
民間バイヤー(銀行保証・無)
BK2
BK3
BK4
BK5
KK2
KK3
KK4
KK5
/KK1
0
1.76
1.85
1.76
1.76
1.76
1.76
1.76
1.76
1.76
1.76
0.5
2.31
2.43
2.33
2.34
2.36
2.37
2.36
2.41
2.46
2.51
1
2.86
3.01
2.89
2.92
2.95
2.98
2.96
3.06
3.16
3.26
1.5
3.41
3.58
3.46
3.50
3.55
3.59
3.56
3.71
3.86
4.01
2
3.96
4.16
4.02
4.08
4.14
4.20
4.16
4.36
4.56
4.76
2.5
4.51
4.73
4.58
4.66
4.73
4.81
4.76
5.01
5.26
5.51
3
5.06
5.31
5.15
5.24
5.33
5.42
5.36
5.66
5.96
6.26
3.5
5.61
5.89
5.71
5.82
5.92
6.03
5.96
6.31
6.66
7.01
4
6.16
6.46
6.28
6.40
6.52
6.64
6.56
6.96
7.36
7.76
4.5
6.71
7.04
6.84
6.98
7.11
7.25
7.16
7.61
8.06
8.51
5
7.25
7.62
7.40
7.55
7.70
7.85
7.75
8.25
8.75
9.25
5.5
7.80
8.19
7.97
8.13
8.30
8.46
8.35
8.90
9.45 10.00
6
8.35
8.77
8.53
8.71
8.89
9.07
8.95
9.55 10.15 10.75
6.5
8.90
9.35
9.10
9.29
9.49
9.68
9.55 10.20 10.85
7
9.45
9.92
9.66
9.87 10.08 10.29 10.15 10.85
11.50
11.55 12.25
7.5
10.00
10.50 10.22 10.45 10.67 10.90 10.75
8
10.55
11.08 10.79
11.03
11.27
11.51
11.35 12.15 12.95 13.75
8.5
11.10
11.65
11.35
11.61
11.86 12.12
11.95 12.80 13.65 14.50
9
11.65
12.23
11.92 12.19 12.46 12.73 12.55 13.45 14.35 15.25
9.5
12.20
12.81 12.48 12.77 13.05 13.34 13.15 14.10 15.05 16.00
10
12.74
13.38 13.04 13.34 13.64 13.94 13.74 14.74 15.74 16.74
10.5
13.29
13.96 13.61 13.92 14.24 14.55 14.34 15.39 16.44 17.49
11
13.84
14.54 14.17 14.50 14.83 15.16 14.94 16.04 17.14 18.24
11.5
14.39
15.11 14.74 15.08 15.43 15.77 15.54 16.69 17.84 18.99
12
14.94
15.69 15.30 15.66 16.02 16.38 16.14 17.34 18.54 19.74
13
11.50 12.25 13.00
14
2.2
2.2.1
フランス
フランスにおける公的貿易保険制度の概要
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
フランスにおける公的貿易保険制度は、Coface(Compagnie Francaise d’Assurance Pour
Le Commerce Exterieur)と呼ばれる民間企業よって運営されている。Coface は 1946 年
に輸出信用保険を提供するための企業としてフランス政府によって設立された。Coface は
1946 年の設立以来、短期輸出保険業務に加え、中長期案件の輸出信用の供与やプロジェク
トファイナンスを実施している。1992 年からは活動範囲を海外へ拡大し、英国、イタリア、
ドイツ、オーストリアなどに展開している。
国営企業であった Coface は、1994 年民営化され、株式会社(joint stock company)と
なった。現在 Coface はフランス政府に代わり、市場調査保険(market survey cover)
、中
長期輸出信用保険、為替リスク保険、海外投資保険の 4 種類を企業に対して提供している5。
Coface は民営化後も積極的な M&A と海外展開を進め、現在 65 カ国に支部及び子会社を
設置している。
(2) 設立根拠法・関連法規
Coface による活動は、保険法(Insurance Code)第 L432-1 条から L432-4 条、1994 年
5 月 14 日付省令
(デクレ)
、
フランス商業法(Commercial Code)
、1949 年 7 月 5 日付 French
Act 第 49-874 条において規定されている6。
フランス政府に代わり輸出信用保険を提供する業務については、1949 年 7 月 5 日付
French Act 第 49-874 条、1994 年 5 月 14 日付省令(デクレ)、2001 年 4 月 9 日に署名さ
れた「公的業務運営に係る協定(the Agreement on Public Procedures Management)
」、
並びに 2004 年 2 月 16 日に署名された「金融業務協定(Financial Agreement)
」で規定さ
れている7。
Coface の財務に係る規則はフランス保険法(French Insurance Code)第 L432-4 条に規
定されており、Coface が担う政府勘定業務は自主勘定の信用保険ビジネスとは財務的に分
離させなければならないと定められている8。また、債権回収に関わる業務については 1996
年 12 月 18 日に制定されたデクレにおいてその業務内容が規定されている。
(3) 業務内容9
Coface の主要業務には、フランス政府の輸出保険に関する事務代行 (management of
French government export guarantees)が含まれている。Coface による政府勘定の運営業
務は以下のとおり。
・ 市場調査保険(Market Survey Cover):中小企業が海外において実施する市場調査
(canvassing action)の失敗に係るリスクをカバーする保険
・ 中長期輸出信用保険:輸出のリードタイム(delivery lead time)が 2 年以上の資本財の
輸出及び大規模な海外プロジェクトに係るリスクをカバーする保険
5
6
7
8
9
The Citi World Official Agency Guide 2008-2009
Coface Financial Report 2007
Ibid.
Ibid.
Coface ホームページ(http://www.coface.jp/CofacePortal/JP/jp_JP/pages/home/wwa/coface_france)
15
・ 為替リスク保険:入札以降発生した為替変動から輸出者を保護する為の保険
・ 海外投資保険:海外市場へ投資活動を行うフランス企業の非常リスクをカバーする保
険
なお、Coface の自己勘定の信用保険ビジネス業務には、取引信用保険 (Trade Credit
Insurance) の提供、企業情報、@レーティング格付 (Company Information and @rating)、
売掛債権管理・回収 (Receivables Management and Collection) 並びにファクタリング、
債 権 証 券 化 (Factoring and Receivables Securitisation) 、 保 証 保 険 (Guarantee
Insurance)の 提供 、 売掛 債 権管 理ノ ウハ ウ の提 供 (Training in Accounts Receivables
Management and Techniques)が含まれる。
(4) 政府との関係・役割分担
Coface の業務内容は極めて公共性が高いことから、フランス政府は Coface の活動を監督
(monitor)する政府代表者を任命している。現在は、フランス産業経済金融省財務経済政
策局の国際ビジネス開発副代表が監督を務めている10。
2.2.2
フランスにおけるプレミアム制度
(1) 料率の考え方
Coface がフランス政府の代行として実施する政府勘定業務に関して説明している各種公
表資料によれば、同業務の下で提供される保険の料率決定に際しては以下の要素が考慮さ
れる。
・ 保証の種類(船積前リスク11、クレジットリスク12、ボンド13)
・ カバーするリスク(非常リスクのみまたは非常リスクと信用リスク)
・ 国カテゴリー
・ バイヤーのステータス(公的、民間、ソブリン)
・ リスクの期間
・ 資金調達構造
(2) カントリーリスクの考え方
OECD 輸出信用アレンジメントのカントリーリスク分類(0-7 の 8 分類)を利用し、各
国を 1-7 の 7 つに分類している。OECD 分類で―0‖とされる先進国は Coface 分類では―1‖に
分類される。
(3) バイヤープレミアムの考え方
Coface が政府勘定業務について説明している各種公表資料によれば、同業務に際して、
Coface はバイヤーを「バイヤー」と「銀行」に分類している14。「バイヤー」は「ソブリン」、
「公的」
、
「民間(非常リスクのみ)
」
、「民間(非常+信用リスク)」の 4 つに分類する。
「民
Coface Financial Report 2007
risque de fabrication:契約を締結してから契約上の義務が終結されるまでの間のリスク。詳細につい
てはリンク参照のこと。http://www.coface.fr/dmt/rubc_asscrexp/indexc.htm (フランス語)
12 risque de crédit:契約上義務終了後から債務者が最後の支払を終えるまでのリスク。詳細は上記リンク
参照のこと。
13 garantie des cautions:入札保証等を含む。詳細については下記リンク参照のこと。
http://www.coface.fr/dmt/rubc_asscrexp/indexc.htm(フランス語)
14 この場合、
「バイヤー」は「銀行」以外の主体であると解釈される。
10
11
16
間(非常+信用リスク)」は更に「優良」「良」「標準」「その他」に分類される。一方「銀
行」は「優良」
「良」
「標準」
「その他」の 4 分類としている。
「その他」はリスク査定によ
って「標準」以上の料率を課すためのバッファーとして存在する。
(4) 料率計算の流れ
Coface がフランス政府の代行として提供する政府勘定業務の下での保険料率計算の流れ
を、①国分類⇒②バイヤー分類⇒③その他要素の順にフロー図として示したのが 図 2-3で
ある。
図 2-3
フランス政府勘定業務における保険料率計算の流れ
① 国分類
1
0,1
国カテゴリー
OECDリスク分類
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
* 7カテゴリーに分類
② バイヤー分類
バイヤー *2
バ
イ
ヤ
ー
カ
テ
ゴ
リ
ー
ソブリン
公的
民間・非常リ
スクのみ
優良
民間・非常+
信用リスク
良
標準
その他*1
標準
その他*1
銀行
優良
良
*1 リスク査定によって料率計算の係数をあげる可能性がある
*2 この場合、「バイヤー」は、「銀行」以外の主体であると解釈される
③ その他要素
1. リスクの期間
2. 融資の有無
出所:Coface 各種公表資料に基づき三菱総研作成
17
(5) 料率表
Coface の公式ホームページでは、政府勘定によって提供している保険について参考料率
を計算するための計算式と係数が資料として公表されている 15。以下では、これらの計算
式・係数を用いて算出した料率を一覧表にまとめた。なお、以下の料率は、2009 年 1 月か
ら 3 月にかけて算出したものである。
① カントリーリスク分類 0 及び 1 の場合
リスク
ソブ
リン
民間
公的
リスク)
年
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
15
0.35
0.40
0.45
0.50
0.55
0.60
0.65
0.70
0.75
0.80
0.85
0.90
0.95
1.00
1.05
1.10
1.15
1.20
1.25
1.30
1.35
1.40
1.45
1.50
1.55
(非常
0.37
0.43
0.48
0.53
0.59
0.64
0.69
0.75
0.80
0.85
0.91
0.96
1.02
1.07
1.12
1.18
1.23
1.28
1.34
1.39
1.44
1.50
1.55
1.60
1.66
0.31
0.36
0.40
0.45
0.49
0.54
0.58
0.63
0.67
0.72
0.76
0.81
0.85
0.90
0.94
0.99
1.03
1.08
1.12
1.17
1.21
1.26
1.30
1.35
1.39
民間バイヤー(非常+信用リスク)
優良
0.38
0.44
0.49
0.55
0.60
0.66
0.71
0.77
0.82
0.88
0.93
0.99
1.04
1.10
1.15
1.21
1.26
1.32
1.37
1.43
1.48
1.54
1.59
1.65
1.70
良
標準
0.42
0.48
0.54
0.60
0.66
0.72
0.78
0.84
0.90
0.96
1.02
1.08
1.14
1.20
1.26
1.32
1.38
1.44
1.50
1.56
1.62
1.68
1.74
1.80
1.86
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
18
0.47
0.54
0.61
0.67
0.74
0.81
0.88
0.94
1.01
1.08
1.15
1.21
1.28
1.35
1.42
1.48
1.55
1.62
1.69
1.75
1.82
1.89
1.96
2.02
2.09
その
他
0.52
0.60
0.67
0.75
0.82
0.90
0.97
1.04
1.12
1.19
1.27
1.34
1.42
1.49
1.57
1.64
1.72
1.79
1.86
1.94
2.01
2.09
2.16
2.24
2.31
銀行
優良
良
標準
0.36
0.41
0.46
0.51
0.57
0.62
0.67
0.72
0.77
0.82
0.88
0.93
0.98
1.03
1.08
1.13
1.18
1.24
1.29
1.34
1.39
1.44
1.49
1.54
1.60
0.37
0.43
0.48
0.53
0.58
0.64
0.69
0.74
0.80
0.85
0.90
0.96
1.01
1.06
1.11
1.17
1.22
1.27
1.33
1.38
1.43
1.49
1.54
1.59
1.64
0.39
0.44
0.50
0.56
0.61
0.67
0.72
0.78
0.83
0.89
0.94
1.00
1.06
1.11
1.17
1.22
1.28
1.33
1.39
1.44
1.50
1.55
1.61
1.67
1.72
その
他
0.41
0.47
0.52
0.58
0.64
0.70
0.76
0.81
0.87
0.93
0.99
1.05
1.10
1.16
1.22
1.28
1.34
1.39
1.45
1.51
1.57
1.63
1.68
1.74
1.80
② カントリーリスク分類 2 の場合
リスク
ソブ
リン
民間
公的
(非常
リスク)
年
民間バイヤー(非常+信用リスク)
優良
良
標準
その
他
銀行
優良
良
標準
その
他
0
0.35
0.37
0.31
0.38
0.42
0.47
0.52
0.36
0.37
0.39
0.41
0.5
0.46
0.49
0.41
0.51
0.55
0.62
0.69
0.47
0.49
0.51
0.54
1
0.57
0.61
0.51
0.63
0.69
0.77
0.86
0.59
0.61
0.64
0.67
1.5
0.68
0.73
0.61
0.75
0.82
0.92
1.02
0.71
0.73
0.76
0.80
2
0.80
0.85
0.72
0.87
0.95
1.07
1.19
0.82
0.85
0.89
0.93
2.5
0.91
0.97
0.82
1.00
1.09
1.22
1.36
0.94
0.97
1.01
1.06
3
1.02
1.09
0.92
1.12
1.22
1.38
1.53
1.05
1.09
1.14
1.19
3.5
1.13
1.21
1.02
1.24
1.36
1.53
1.69
1.17
1.20
1.26
1.32
4
1.24
1.33
1.12
1.37
1.49
1.68
1.86
1.28
1.32
1.39
1.45
4.5
1.36
1.45
1.22
1.49
1.62
1.83
2.03
1.40
1.44
1.51
1.58
5
1.47
1.57
1.32
1.61
1.76
1.98
2.20
1.51
1.56
1.64
1.71
5.5
1.58
1.69
1.42
1.74
1.89
2.13
2.36
1.63
1.68
1.76
1.84
6
1.69
1.81
1.52
1.86
2.03
2.28
2.53
1.75
1.80
1.89
1.97
6.5
1.80
1.93
1.62
1.98
2.16
2.43
2.70
1.86
1.92
2.01
2.10
7
1.92
2.05
1.72
2.10
2.29
2.58
2.87
1.98
2.04
2.14
2.23
7.5
2.03
2.16
1.82
2.23
2.43
2.73
3.03
2.09
2.16
2.26
2.36
8
2.14
2.28
1.92
2.35
2.56
2.89
3.20
2.21
2.28
2.39
2.49
8.5
2.25
2.40
2.02
2.47
2.70
3.04
3.37
2.32
2.39
2.51
2.62
9
2.36
2.52
2.12
2.60
2.83
3.19
3.54
2.44
2.51
2.64
2.76
9.5
2.48
2.64
2.22
2.72
2.96
3.34
3.70
2.55
2.63
2.76
2.89
10
2.59
2.76
2.32
2.84
3.10
3.49
3.87
2.67
2.75
2.89
3.02
10.5
2.70
2.88
2.42
2.97
3.23
3.64
4.04
2.78
2.87
3.01
3.15
11
2.81
3.00
2.52
3.09
3.37
3.79
4.21
2.90
2.99
3.14
3.28
11.5
2.92
3.12
2.62
3.21
3.50
3.94
4.37
3.02
3.11
3.26
3.41
12
3.04
3.24
2.73
3.33
3.63
4.09
4.54
3.13
3.23
3.39
3.54
19
③ カントリーリスク分類 3 の場合
リスク
ソブ
リン
民間
公的
(非常
リスク)
年
民間バイヤー(非常+信用リスク)
優良
良
標準
その
他
銀行
優良
良
標準
その
他
0
0.39
0.42
0.36
0.43
0.47
0.53
0.59
0.41
0.42
0.44
0.46
0.5
0.59
0.63
0.53
0.65
0.70
0.79
0.88
0.61
0.63
0.66
0.69
1
0.78
0.84
0.70
0.86
0.94
1.05
1.17
0.81
0.83
0.87
0.91
1.5
0.97
1.04
0.88
1.07
1.17
1.31
1.46
1.01
1.04
1.09
1.14
2
1.17
1.25
1.05
1.28
1.40
1.57
1.75
1.21
1.24
1.30
1.36
2.5
1.36
1.45
1.23
1.50
1.63
1.83
2.04
1.40
1.45
1.52
1.59
3
1.55
1.66
1.40
1.71
1.86
2.10
2.33
1.60
1.66
1.73
1.81
3.5
1.75
1.87
1.57
1.92
2.09
2.36
2.62
1.80
1.86
1.95
2.04
4
1.94
2.07
1.75
2.13
2.33
2.62
2.91
2.00
2.07
2.16
2.26
4.5
2.13
2.28
1.92
2.35
2.56
2.88
3.20
2.20
2.27
2.38
2.49
5
2.32
2.49
2.10
2.56
2.79
3.14
3.49
2.40
2.48
2.60
2.71
5.5
2.52
2.69
2.27
2.77
3.02
3.40
3.78
2.60
2.69
2.81
2.94
6
2.71
2.90
2.44
2.98
3.25
3.66
4.07
2.80
2.89
3.03
3.16
6.5
2.90
3.11
2.62
3.20
3.48
3.92
4.35
3.00
3.10
3.24
3.39
7
3.10
3.31
2.79
3.41
3.71
4.18
4.64
3.20
3.30
3.46
3.61
7.5
3.29
3.52
2.97
3.62
3.95
4.44
4.93
3.40
3.51
3.67
3.84
8
3.48
3.73
3.14
3.83
4.18
4.70
5.22
3.60
3.72
3.89
4.06
8.5
3.68
3.93
3.31
4.05
4.41
4.96
5.51
3.80
3.92
4.10
4.29
9
3.87
4.14
3.49
4.26
4.64
5.22
5.80
4.00
4.13
4.32
4.51
9.5
4.06
4.35
3.66
4.47
4.87
5.48
6.09
4.20
4.33
4.53
4.74
10
4.25
4.55
3.84
4.68
5.10
5.74
6.38
4.40
4.54
4.75
4.96
10.5
4.45
4.76
4.01
4.90
5.33
6.00
6.67
4.60
4.75
4.97
5.19
11
4.64
4.97
4.18
5.11
5.57
6.26
6.96
4.80
4.95
5.18
5.41
11.5
4.83
5.17
4.36
5.32
5.80
6.52
7.25
5.00
5.16
5.40
5.64
12
5.03
5.38
4.53
5.53
6.03
6.78
7.54
5.20
5.36
5.61
5.86
20
④ カントリーリスク分類 4 の場合
リスク
ソブ
リン
民間
公的
銀行
(非常
リスク)
年
民間バイヤー(非常+信用リスク)
優良
良
標準
その他
優良
良
標準
その
他
0
0.49
0.53
0.44
0.53
0.57
0.64
0.71
0.50
0.52
0.54
0.57
0.5
0.78
0.83
0.70
0.83
0.90
1.01
1.13
0.80
0.82
0.86
0.90
1
1.07
1.14
0.96
1.14
1.23
1.39
1.55
1.09
1.12
1.17
1.23
1.5
1.35
1.45
1.22
1.45
1.56
1.76
1.96
1.39
1.42
1.49
1.56
2
1.64
1.76
1.48
1.76
1.89
2.13
2.38
1.68
1.72
1.80
1.89
2.5
1.93
2.06
1.73
2.06
2.22
2.51
2.79
1.97
2.03
2.12
2.22
3
2.22
2.37
1.99
2.37
2.55
2.88
3.21
2.27
2.33
2.44
2.55
3.5
2.50
2.68
2.25
2.68
2.88
3.25
3.63
2.56
2.63
2.75
2.88
4
2.79
2.99
2.51
2.99
3.21
3.63
4.04
2.86
2.93
3.07
3.21
4.5
3.08
3.29
2.77
3.29
3.54
4.00
4.46
3.15
3.23
3.38
3.54
5
3.37
3.60
3.03
3.60
3.87
4.37
4.88
3.44
3.54
3.70
3.87
5.5
3.65
3.91
3.29
3.91
4.20
4.75
5.29
3.74
3.84
4.02
4.20
6
3.94
4.22
3.54
4.22
4.53
5.12
5.71
4.03
4.14
4.33
4.53
6.5
4.23
4.52
3.80
4.52
4.86
5.49
6.13
4.33
4.44
4.65
4.86
7
4.52
4.83
4.06
4.83
5.19
5.87
6.54
4.62
4.74
4.96
5.19
7.5
4.80
5.14
4.32
5.14
5.52
6.24
6.96
4.91
5.05
5.28
5.52
8
5.09
5.45
4.58
5.45
5.85
6.62
7.38
5.21
5.35
5.60
5.85
8.5
5.38
5.75
4.84
5.75
6.18
6.99
7.79
5.50
5.65
5.91
6.18
9
5.67
6.06
5.10
6.06
6.51
7.36
8.21
5.80
5.95
6.23
6.51
9.5
5.95
6.37
5.35
6.37
6.84
7.74
8.63
6.09
6.25
6.54
6.84
10
6.24
6.68
5.61
6.68
7.18
8.11
9.04
6.38
6.56
6.86
7.18
10.5
6.53
6.98
5.87
6.98
7.51
8.48
9.46
6.68
6.86
7.18
7.51
11
6.82
7.29
6.13
7.29
7.84
8.86
9.88
6.97
7.16
7.49
7.84
11.5
7.10
7.60
6.39
7.60
8.17
9.23
10.29
7.27
7.46
7.81
8.17
12
7.39
7.91
6.65
7.91
8.50
9.60
10.71
7.56
7.76
8.12
8.50
21
⑤ カントリーリスク分類 5 の場合
リスク
民間バイヤー(非常+信用リスク)
ソブ
リン
公的
銀行
民間(非
常リスク)
優良
良
標準
年
その
他
優良
良
標準
その
他
0
0.79
0.87
0.71
0.84
0.90
1.02
1.14
0.80
0.83
0.87
0.90
0.5
1.17
1.29
1.05
1.25
1.34
1.52
1.70
1.20
1.23
1.29
1.34
1
1.55
1.71
1.40
1.66
1.79
2.02
2.25
1.59
1.63
1.71
1.79
1.5
1.94
2.13
1.74
2.07
2.23
2.52
2.81
1.98
2.03
2.13
2.23
2
2.32
2.55
2.09
2.48
2.67
3.01
3.36
2.37
2.44
2.55
2.67
2.5
2.70
2.97
2.43
2.89
3.11
3.51
3.92
2.76
2.84
2.97
3.11
3
3.08
3.39
2.78
3.30
3.55
4.01
4.47
3.16
3.24
3.39
3.55
3.5
3.47
3.82
3.12
3.71
3.99
4.51
5.03
3.55
3.64
3.82
3.99
4
3.85
4.24
3.47
4.12
4.43
5.01
5.58
3.94
4.05
4.24
4.43
4.5
4.23
4.66
3.81
4.53
4.87
5.50
6.14
4.33
4.45
4.66
4.87
5
4.62
5.08
4.16
4.94
5.31
6.00
6.70
4.72
4.85
5.08
5.31
5.5
5.00
5.50
4.50
5.35
5.75
6.50
7.25
5.12
5.25
5.50
5.75
6
5.38
5.92
4.85
5.76
6.19
7.00
7.81
5.51
5.66
5.92
6.19
6.5
5.77
6.34
5.19
6.17
6.63
7.50
8.36
5.90
6.06
6.34
6.63
7
6.15
6.77
5.54
6.58
7.07
7.99
8.92
6.29
6.46
6.77
7.07
7.5
6.53
7.19
5.88
6.99
7.51
8.49
9.47
6.68
6.86
7.19
7.51
8
6.91
7.61
6.23
7.40
7.95
8.99
10.03
7.08
7.27
7.61
7.95
8.5
7.30
8.03
6.57
7.81
8.39
9.49
10.58
7.47
7.67
8.03
8.39
9
7.68
8.45
6.92
8.22
8.83
9.99
11.14
7.86
8.07
8.45
8.83
9.5
8.06
8.87
7.26
8.63
9.27
10.48
11.69
8.25
8.47
8.87
9.27
10
8.45
9.30
7.61
9.04
9.71
10.98
12.25
8.64
8.88
9.30
9.71
10.5
8.83
9.72
7.95
9.45
10.15
11.48
12.81
9.04
9.28
9.72
10.15
11
9.21
10.14
8.30
9.86
10.60
11.98
13.36
9.43
9.68
10.14
10.60
11.5
9.60
10.56
8.64
10.27
11.04
12.48
13.92
9.82
10.08
10.56
11.04
12
9.98
10.98
8.99
10.68
11.48
12.97
14.47
10.21
10.49
10.98
11.48
22
⑥ カントリーリスク分類 6 の場合
リスク
ソブ
リン
民間
公的
(非常
リスク)
年
民間バイヤー(非常+信用リスク)
優良
良
標準
その
他
銀行
優良
良
標準
その
他
0
1.18
1.29
1.06
1.24
1.29
1.47
1.65
1.20
1.22
1.27
1.33
0.5
1.64
1.81
1.48
1.72
1.81
2.05
2.30
1.67
1.70
1.78
1.86
1
2.11
2.32
1.90
2.21
2.32
2.63
2.95
2.14
2.18
2.28
2.39
1.5
2.57
2.83
2.32
2.70
2.83
3.22
3.60
2.62
2.66
2.79
2.92
2
3.04
3.34
2.73
3.19
3.34
3.80
4.25
3.09
3.14
3.29
3.44
2.5
3.50
3.85
3.15
3.68
3.85
4.38
4.90
3.56
3.62
3.80
3.97
3
3.97
4.37
3.57
4.17
4.37
4.96
5.56
4.04
4.10
4.30
4.50
3.5
4.43
4.88
3.99
4.66
4.88
5.54
6.21
4.51
4.58
4.81
5.03
4
4.90
5.39
4.41
5.15
5.39
6.13
6.86
4.98
5.06
5.31
5.55
4.5
5.37
5.90
4.83
5.64
5.90
6.71
7.51
5.46
5.54
5.81
6.08
5
5.83
6.41
5.25
6.13
6.41
7.29
8.16
5.93
6.03
6.32
6.61
5.5
6.30
6.93
5.67
6.61
6.93
7.87
8.81
6.40
6.51
6.82
7.14
6
6.76
7.44
6.09
7.10
7.44
8.45
9.46
6.88
6.99
7.33
7.66
6.5
7.23
7.95
6.51
7.59
7.95
9.04
10.12
7.35
7.47
7.83
8.19
7
7.69
8.46
6.92
8.08
8.46
9.62
10.77
7.83
7.95
8.34
8.72
7.5
8.16
8.97
7.34
8.57
8.97
10.20
11.42
8.30
8.43
8.84
9.25
8
8.62
9.49
7.76
9.06
9.49
10.78
12.07
8.77
8.91
9.35
9.77
8.5
9.09
10.00
8.18
9.55
10.00
11.36
12.72
9.25
9.39
9.85
10.30
9
9.56
10.51
8.60
10.04
10.51
11.95
13.37
9.72
9.87
10.36
10.83
9.5
10.02
11.02
9.02
10.53
11.02
12.53
14.02
10.19
10.35
10.86
11.36
10
10.49
11.53
9.44
11.02
11.53
13.11
14.68
10.67
10.84
11.36
11.88
10.5
10.95
12.05
9.86
11.50
12.05
13.69
15.33
11.14
11.32
11.87
12.41
11
11.42
12.56
10.28
11.99
12.56
14.27
15.98
11.61
11.80
12.37
12.94
11.5
11.88
13.07
10.70
12.48
13.07
14.86
16.63
12.09
12.28
12.88
13.47
12
12.35
13.58
11.11
12.97
13.58
15.44
17.28
12.56
12.76
13.38
13.99
23
⑦ カントリーリスク分類 7 の場合
リスク
ソブ
リン
民間
公的
(非常
リスク)
年
民間バイヤー(非常+信用リスク)
優良
良
標準
その
他
銀行
優良
良
標準
その他
0
1.76
1.94
1.59
1.85
1.94
2.21
2.47
1.79
1.82
1.91
2.00
0.5
2.31
2.54
2.08
2.43
2.54
2.89
3.24
2.35
2.39
2.51
2.62
1
2.86
3.15
2.58
3.00
3.15
3.58
4.01
2.91
2.96
3.10
3.24
1.5
3.41
3.75
3.07
3.58
3.75
4.26
4.78
3.47
3.52
3.69
3.87
2
3.96
4.35
3.56
4.16
4.35
4.95
5.54
4.03
4.09
4.29
4.49
2.5
4.51
4.96
4.06
4.73
4.96
5.64
6.31
4.58
4.66
4.88
5.11
3
5.06
5.56
4.55
5.31
5.56
6.32
7.08
5.14
5.23
5.48
5.73
3.5
5.61
6.16
5.05
5.88
6.16
7.01
7.85
5.70
5.79
6.07
6.35
4
6.16
6.77
5.54
6.46
6.77
7.69
8.62
6.26
6.36
6.67
6.98
4.5
6.71
7.37
6.03
7.04
7.37
8.38
9.39
6.82
6.93
7.26
7.60
5
7.25
7.98
6.53
7.61
7.98
9.07
10.16
7.37
7.49
7.86
8.22
5.5
7.80
8.58
7.02
8.19
8.58
9.75
10.92
7.93
8.06
8.45
8.84
6
8.35
9.18
7.52
8.76
9.18
10.44
11.69
8.49
8.63
9.05
9.46
6.5
8.90
9.79
8.01
9.34
9.79
11.12
12.46
9.05
9.19
9.64
10.09
7
9.45
10.39
8.50
9.92
10.39
11.81
13.23
9.61
9.76
10.23
10.71
7.5
10.00
10.99
9.00
10.49
10.99
12.50
14.00
10.16
10.33
10.83
11.33
8
10.55
11.60
9.49
11.07
11.60
13.18
14.77
10.72
10.90
11.42
11.95
8.5
11.10
12.20
9.99
11.64
12.20
13.87
15.53
11.28
11.46
12.02
12.57
9
11.65
12.80
10.48
12.22
12.80
14.55
16.30
11.84
12.03
12.61
13.20
9.5
12.20
13.41
10.97
12.80
13.41
15.24
17.07
12.40
12.60
13.21
13.82
10
12.74
14.01
11.47
13.37
14.01
15.93
17.84
12.95
13.16
13.80
14.44
10.5
13.29
14.61
11.96
13.95
14.61
16.61
18.61
13.51
13.73
14.40
15.06
11
13.84
15.22
12.46
14.52
15.22
17.30
19.38
14.07
14.30
14.99
15.68
11.5
14.39
15.82
12.95
15.10
15.82
17.98
20.15
14.63
14.86
15.58
16.31
12
14.94
16.42
13.44
15.68
16.42
18.67
20.91
15.19
15.43
16.18
16.93
24
2.3
2.3.1
オランダ
オランダにおける公的貿易保険制度の概要
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
オランダにおける公的貿易保険制度は、
「オランダ政府勘定(Dutch state account)
」で
ある。同制度は政府予算によって運用されているが、保険業務の実施主体となるのは、政
府と契約を締結した民間企業である。現在、政府と契約関係にあるのは信用保険企業最大
手の一つである Atradius グループの Atradius DSB(Atradius Dutch State Business)で
あり、政府に代わり貿易保険業務を行なっている。
オランダ政府勘定は、1925 年に導入され、1935 年から Atradius の前身である NCM 信
用保険会社が貿易保険業務の委託先となった。NCM 信用保険会社はオランダ企業の貿易促
進を目的として 1925 年に設立され、1935 年から今日に至るまで一貫して政府勘定業務を
実施してきた。2001 年、NCM 信用保険会社はドイツのゲーリング信用保険会社(Gerling
Credit)との合併などを経て Gerling NCM となったが、2003 年 8 月に社名を Atradius と
改めた。2008 年、スペインの大手信用保険会社 Crédito y Caución と Atradius が統合され
たことで、Atradius は世界最大規模の信用保険会社へと発展した。現在 Atradius グループ
は 40 カ国に展開しており、160 拠点を通じて信用保険や信用管理商品(credit management
product)を提供している。本部には約 3,500 名の職員が勤務している。
図 2-4 Atradius DSB の組織図
代表
事務局
会計チーム
地域チーム
プロジェクトファイナンス
請求・リカバリー
広報・事業開発・マーケティング
経済リサーチ
IT・ドキュメンテーション
出所:Atradius ホームページより三菱総研作成
25
(2) 設立根拠法・関連法規
オランダ政府勘定については、オランダ政府による信用保険の提供を定める法律が制定
されており、同法律において政府が公的輸出信用保険業務を行うこと及び当該業務を第三
者機関に委託することが可能と規定している。さらに、省令(Ministerial Decree)におい
て、公的輸出信用保険を提供する第三者機関が満たすべき条件、公的輸出信用の運営方法
などの詳細を定めている。これらの法律及び省令に基づき、オランダ政府と Atradius との
間で再保険合意(Reinsurance Agreement)が締結される。さらに、オランダ政府と Atradius
との間でコスト償還合意(Cost Reimburse Agreement)が締結される16。
(3) 業務内容
オランダでは、ドイツ、フランスと同様に、低リスク国向け及び短期取引は民間信用保険
会社が提供し、高リスク国及び中長期取引については政府勘定によって保証されることが
一般的である。オランダにおける短期信用保険は、基本的に Atradius の民間勘定やその他
の民間信用保険会社によって供与されているが、短期取引であっても高リスク国であれば
政府勘定による引き受けが行われるケースもある。
Atradius DSB が行っている業務内容には以下のものが含まれる。

資本財保険(Capital goods insurance)

建設プロジェクト保険(Construction projects insurance)

金融保険(Financing insurance)

直接投資保険(Direct investment insurance)

プロジェクトファイナンス保険(Project financing insurance)

資産ベース融資(Asset based finance)

リース保険(Lease insurance)

直接保証(Direct guarantees)

ボンド保険(Bond insurance)

再保証(Counter guarantees)

プラント・機材保険(Plant and equipment insurance)

為替リスク保険(Exchange risk insurance)

保険約束特別商品(Promise of Cover Special Facilities)
(4) 政府との関係・役割分担
保険契約は、Atradius DSB 社と付保を受ける顧客との間で締結されるが、最終的なリス
クはオランダ政府が負うこととなる。したがって、この制度は、顧客と Atradius DSB との
保険契約に対する再保険をオランダ政府が提供する構造を有しているといえる。
16
平成 19 年度欧州 ECA の保険金支払制度及び回収制度に関する調査最終報告書
26
2.3.2
オランダにおけるプレミアム制度
(1) 料率の考え方
Atradius DSB 公式ホームページでは、オランダ政府勘定業務の下で提供される保険の参
考料率を計算する画面がある。同画面で入力が要求される項目は以下の通りである。
・ 元本金額
・ バイヤー/保証人のステータス
・ 国
・ 融資前期間
・ 通貨
・ 為替レート(ユーロ以外の場合)
・ 償還方法
・ 据置期間
・ 決済間隔
・ 決済回数
・ カバーに保険料を含むか否か
・ 最高約定金利 (年率%)
・ 最高遅延金利 (年率%)
(2) カントリーリスクの考え方
OECD 輸出信用アレンジメントのカントリーリスク分類(0-7 の 8 分類)と同一の分類
を採用している。
(3) バイヤープレミアムの考え方
Atradius DSB の参考料率計算画面では、バイヤー分類を選択できる。同画面で選択でき
るバイヤー分類は、「金融当局」、
「中央省庁」、
「下部行政機関」、「国有企業」
、「優良銀行」、
「標準銀行」
、
「優良民間バイヤー」
、
「標準民間バイヤー」の 8 分類となっている。
(4) 料率計算の流れ
オランダ政府勘定業務における保険料率計算の流れを、①国分類⇒②バイヤー分類⇒③そ
の他要素の順にフロー図として示したのが図 2-5である。
27
図 2-5 オランダ政府勘定業務における保険料率計算の流れ
① 国分類17
0
0
カテゴリ
OECD
リスク分類
1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
② バイヤー分類
バイヤーカテゴリー
金融当局 *1
中央省庁 *2
下部行政
機関 *3
国有企業
優良銀行
*4
標準銀行
*1: Monetary Authority: 財務省、または中央銀行
*2: Central Authority: その他の中央省庁
*3: Lower Authority: 国有銀行、地方行政など
*4: Good Bank: 非常に優良な銀行(少数)。ステータスが不明な場合は標準銀行を選択
*5: Good Private buyer: 投資適格と格付けされた非常に優良な民間バイヤー
③ その他要素18
1. 保険価額 (値を入力)
2. 通貨 (通貨を選択。デフォルトはユーロ)
3. 融資前期間 (月数)
4. 償還方法 (LinearまたはAnnuityを選択。
バイヤーズクレジットの場合通常Linear)
5. 据置期間 (月数)
6. 決済間隔 (月数)
7. 決済回数
8. 保険料をカバーに含むか否か (含む場合はチェック)
9. カバー率(非常、信用) (国によって決定され変更不可)
10. 最高約定金利(年率)
11. 最高遅延金利(年率)
出所:Atradius DSB 公式ホームページの参考料率計算画面に基づき三菱総研作成
17
国カテゴリー0 の国は計算プログラムのリストに表示されない
Linear(Lineair): 元金均等償還
(参照: http://www.hypotheek-aanvragen.nl/hypotheekvormen.html)
Annuity(annuïteiten): 元利均等償還
(参照: http://www.hypotheek-aanvragen.nl/hypotheekvorm_03.htm)
18
28
優良民間
バイヤー *5
標準民間
バイヤー
(5) 料率表
Atradius DSB 公式ホームページの参考料率計算画面より算出した保険料率を一覧表と
してまとめた19。なお、以下の料率は、2009 年 1 月から 3 月にかけて、同計算画面におい
て算出した結果をまとめたものである。
① カントリーリスク分類 1 の場合
リスク
年
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
金融当局
中央省庁
-
0.65
0.71
0.76
0.81
0.87
0.92
0.98
1.03
1.09
1.14
1.19
1.25
1.30
1.36
1.41
1.47
1.52
1.58
1.63
1.68
0.62
0.67
0.72
0.77
0.83
0.88
0.93
0.98
1.03
1.08
1.13
1.19
1.24
1.29
1.34
1.39
1.44
1.50
1.55
1.60
下部行政
機関
0.67
0.73
0.78
0.84
0.89
0.95
1.00
1.06
1.12
1.17
1.23
1.28
1.34
1.39
1.45
1.51
1.56
1.62
1.67
1.73
国有企業
優良銀行
標準銀行
0.69
0.74
0.80
0.86
0.92
0.97
1.03
1.09
1.14
1.20
1.26
1.32
1.37
1.43
1.49
1.54
1.60
1.66
1.72
1.77
0.73
0.79
0.85
0.91
0.97
1.03
1.09
1.16
1.22
1.28
1.34
1.40
1.46
1.52
1.58
1.64
1.70
1.76
1.82
1.89
0.76
0.82
0.88
0.95
1.01
1.07
1.14
1.20
1.26
1.32
1.39
1.45
1.51
1.58
1.64
1.70
1.77
1.83
1.89
1.96
優良民間
標準民間
バイヤー
バイヤー
0.83
0.90
0.96
1.03
1.10
1.17
1.24
1.31
1.38
1.45
1.52
1.59
1.65
1.72
1.79
1.86
1.93
2.00
2.07
2.14
0.88
0.95
1.03
1.10
1.17
1.25
1.32
1.40
1.47
1.54
1.62
1.69
1.76
1.84
1.91
1.98
2.06
2.13
2.20
2.28
注)輸出先は香港(Country risk1)を選択した(Country Risk 0 の国はリストに表示されない)。
その他条件として、Principal amount: 10,000,000 Euros、Pre-finance period: 0、Grace period:
0 とした。
19
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
29
② カントリーリスク分類 2 の場合
リスク
優良民間
標準民間
バイヤー
バイヤー
0.44
0.47
0.50
0.56
0.58
0.62
0.66
0.66
0.69
0.72
0.77
0.82
0.77
0.79
0.83
0.86
0.92
0.99
0.87
0.89
0.92
0.96
1.00
1.08
1.15
0.94
0.99
1.02
1.05
1.10
1.14
1.23
1.31
3
1.06
1.12
1.14
1.17
1.23
1.28
1.38
1.47
3.5
1.18
1.24
1.27
1.30
1.37
1.42
1.53
1.63
4
1.29
1.36
1.39
1.43
1.50
1.56
1.68
1.79
4.5
1.41
1.48
1.52
1.56
1.64
1.70
1.83
1.95
5
1.52
1.61
1.65
1.69
1.77
1.84
1.98
2.12
5.5
1.64
1.73
1.77
1.82
1.91
1.98
2.13
2.28
6
1.76
1.85
1.90
1.95
2.04
2.12
2.29
2.44
6.5
1.87
1.97
2.02
2.08
2.18
2.26
2.44
2.60
7
1.99
2.10
2.15
2.21
2.31
2.40
2.59
2.76
7.5
2.11
2.22
2.27
2.34
2.45
2.54
2.74
2.92
8
2.22
2.34
2.40
2.46
2.58
2.68
2.89
3.08
8.5
2.34
2.46
2.52
2.59
2.72
2.82
3.04
3.25
9
2.45
2.59
2.65
2.72
2.85
2.96
3.19
3.41
9.5
2.57
2.71
2.78
2.85
2.99
3.10
3.34
3.57
10
2.69
2.83
2.90
2.98
3.12
3.24
3.50
3.73
10.5
2.80
2.95
3.03
3.11
3.26
3.38
3.65
3.89
11
2.92
3.07
3.15
3.24
3.39
3.52
3.80
4.05
11.5
3.04
3.20
3.28
3.37
3.53
3.66
3.95
4.21
12
3.15
3.32
3.40
3.50
3.66
3.80
4.10
4.37
金融当局
中央省庁
0
0.36
0.38
0.5
0.48
1
下部行政
国有企業
優良銀行
標準銀行
0.39
0.4
0.42
0.50
0.52
0.53
0.59
0.63
0.64
1.5
0.71
0.75
2
0.83
2.5
年
機関
注)輸出先はオマーンを選択した。その他条件として、Principal amount: 10,000,000 Euros、
Pre-finance period: 0、Grace period: 0 とした
30
③ カントリーリスク分類 3 の場合
リスク
優良民間
標準民間
バイヤー
バイヤー
0.49
0.52
0.56
0.69
0.73
0.78
0.83
0.91
0.92
0.97
1.04
1.11
1.10
1.13
1.15
1.20
1.29
1.38
1.29
1.32
1.36
1.38
1.44
1.55
1.66
1.43
1.50
1.54
1.58
1.61
1.68
1.81
1.93
3
1.63
1.72
1.76
1.81
1.84
1.92
2.06
2.21
3.5
1.83
1.93
1.98
2.03
2.06
2.16
2.32
2.48
4
2.04
2.14
2.20
2.26
2.29
2.40
2.58
2.75
4.5
2.24
2.36
2.42
2.48
2.52
2.64
2.83
3.03
5
2.44
2.57
2.63
2.71
2.75
2.88
3.09
3.30
5.5
2.64
2.78
2.85
2.93
2.98
3.12
3.35
3.58
6
2.85
3.00
3.07
3.16
3.21
3.36
3.60
3.85
6.5
3.05
3.21
3.29
3.38
3.43
3.59
3.86
4.12
7
3.25
3.43
3.51
3.61
3.66
3.83
4.12
4.40
7.5
3.46
3.64
3.73
3.83
3.89
4.07
4.37
4.67
8
3.66
3.85
3.95
4.06
4.12
4.31
4.63
4.95
8.5
3.86
4.07
4.16
4.28
4.35
4.55
4.89
5.22
9
4.06
4.28
4.38
4.51
4.58
4.79
5.14
5.50
9.5
4.27
4.49
4.60
4.73
4.81
5.03
5.40
5.77
10
4.47
4.71
4.82
4.96
5.03
5.27
5.66
6.04
10.5
4.67
4.92
5.04
5.18
5.26
5.51
5.91
6.32
11
4.87
5.13
5.26
5.41
5.49
5.74
6.17
6.59
11.5
5.08
5.35
5.48
5.63
5.72
5.98
6.43
6.87
12
5.28
5.56
5.7
5.86
5.95
6.22
6.68
7.14
金融当局
中央省庁
0
0.41
0.44
0.5
0.62
1
下部行政
国有企業
優良銀行
標準銀行
0.45
0.46
0.47
0.65
0.67
0.68
0.82
0.86
0.88
1.5
1.02
1.08
2
1.22
2.5
年
機関
注)輸出先はモロッコを選択した。その他条件として、Principal amount: 10,000,000 Euros、
Pre-finance period: 0、Grace period: 0 とした。
31
④ カントリーリスク分類 4 の場合
リスク
優良民間
標準民間
バイヤー
バイヤー
0.60
0.64
0.68
0.91
0.96
1.01
1.09
1.25
1.24
1.31
1.39
1.49
1.54
1.59
1.58
1.66
1.76
1.89
1.83
1.86
1.93
1.91
2.02
2.14
2.29
2.04
2.15
2.19
2.26
2.25
2.37
2.51
2.69
3
2.35
2.47
2.52
2.6
2.58
2.72
2.89
3.09
3.5
2.65
2.79
2.84
2.94
2.92
3.08
3.26
3.49
4
2.96
3.12
3.17
3.28
3.25
3.43
3.63
3.89
4.5
3.26
3.44
3.5
3.61
3.59
3.78
4.01
4.29
5
3.57
3.76
3.82
3.95
3.92
4.14
4.38
4.69
5.5
3.87
4.08
4.15
4.29
4.25
4.49
4.76
5.09
6
4.18
4.40
4.48
4.63
4.59
4.84
5.13
5.49
6.5
4.48
4.72
4.80
4.96
4.92
5.20
5.51
5.89
7
4.79
5.04
5.13
5.30
5.26
5.55
5.88
6.29
7.5
5.09
5.36
5.45
5.64
5.59
5.90
6.25
6.69
8
5.40
5.68
5.78
5.98
5.93
6.26
6.63
7.09
8.5
5.70
6.00
6.11
6.31
6.26
6.61
7.00
7.49
9
6.00
6.32
6.43
6.65
6.60
6.96
7.38
7.90
9.5
6.31
6.64
6.76
6.99
6.93
7.31
7.75
8.30
10
6.61
6.97
7.09
7.33
7.27
7.67
8.13
8.70
10.5
6.92
7.29
7.41
7.66
7.60
8.02
8.50
9.10
11
7.22
7.61
7.74
8.00
7.94
8.37
8.87
9.50
11.5
7.53
7.93
8.07
8.34
8.27
8.73
9.25
9.90
12
7.83
8.25
8.39
8.67
8.61
9.08
9.62
10.3
金融当局
中央省庁
0
0.52
0.55
0.5
0.83
1
下部行政
国有企業
優良銀行
標準銀行
0.56
0.58
0.57
0.87
0.88
0.91
1.13
1.19
1.21
1.5
1.43
1.51
2
1.74
2.5
年
機関
注)輸出先はコロンビアを選択した。その他条件として、Principal amount: 10,000,000 Euros、
Pre-finance period: 0、Grace period: 0 とした。
32
⑤ カントリーリスク分類 5 の場合
リスク
優良民間
標準民間
バイヤー
バイヤー
0.96
1.00
1.08
1.35
1.43
1.49
1.60
1.84
1.80
1.90
1.98
2.12
2.20
2.29
2.24
2.37
2.47
2.65
2.62
2.63
2.75
2.69
2.83
2.96
3.17
2.90
3.05
3.07
3.20
3.13
3.30
3.45
3.70
3
3.31
3.49
3.50
3.66
3.57
3.77
3.94
4.22
3.5
3.72
3.92
3.94
4.11
4.02
4.24
4.43
4.75
4
4.13
4.35
4.37
4.57
4.46
4.71
4.92
5.27
4.5
4.54
4.78
4.81
5.02
4.90
5.18
5.41
5.80
5
4.95
5.22
5.25
5.47
5.35
5.64
5.90
6.32
5.5
5.37
5.65
5.68
5.93
5.79
6.11
6.39
6.84
6
5.78
6.08
6.12
6.38
6.24
6.58
6.88
7.37
6.5
6.19
6.52
6.55
6.84
6.68
7.05
7.37
7.89
7
6.60
6.95
6.99
7.29
7.12
7.52
7.86
8.42
7.5
7.01
7.38
7.42
7.75
7.57
7.99
8.34
8.94
8
7.42
7.82
7.86
8.20
8.01
8.45
8.83
9.47
8.5
7.83
8.25
8.29
8.65
8.45
8.92
9.32
9.99
9
8.24
8.68
8.73
9.11
8.90
9.39
9.81
10.52
9.5
8.65
9.11
9.16
9.56
9.34
9.86
10.30
11.04
10
9.07
9.55
9.60
10.02
9.79
10.33
10.79
11.57
10.5
9.48
9.98
10.03
10.47
10.23
10.80
11.28
12.09
11
9.89
10.41
10.47
10.93
10.67
11.26
11.77
12.61
11.5
10.30
10.85
10.90
11.38
11.12
11.73
12.26
13.14
12
10.71
11.28
11.34
11.83
11.56
12.20
12.75
13.66
金融当局
中央省庁
0
0.84
0.89
0.5
1.25
1
下部行政
国有企業
優良銀行
標準銀行
0.89
0.93
0.91
1.32
1.33
1.39
1.67
1.75
1.76
1.5
2.08
2.19
2
2.49
2.5
年
機関
注)輸出先はグアテマラを選択した。その他条件として、Principal amount: 10,000,000 Euros、
Pre-finance period: 0、Grace period: 0 とした。
33
⑥ カントリーリスク分類 6 の場合
リスク
優良民間
標準民間
バイヤー
バイヤー
1.43
1.48
1.59
1.90
2.00
2.06
2.21
2.53
2.43
2.57
2.65
2.84
2.93
3.09
2.97
3.14
3.23
3.47
3.49
3.46
3.65
3.51
3.71
3.82
4.10
3.82
4.02
3.99
4.21
4.05
4.27
4.40
4.72
3
4.32
4.55
4.52
4.77
4.59
4.84
4.99
5.35
3.5
4.83
5.09
5.05
5.33
5.12
5.41
5.57
5.98
4
5.34
5.62
5.58
5.89
5.66
5.98
6.16
6.61
4.5
5.85
6.16
6.11
6.44
6.20
6.54
6.74
7.23
5
6.35
6.69
6.64
7.00
6.74
7.11
7.33
7.86
5.5
6.86
7.23
7.17
7.56
7.27
7.68
7.91
8.49
6
7.37
7.76
7.70
8.12
7.81
8.25
8.50
9.12
6.5
7.88
8.29
8.23
8.68
8.35
8.81
9.08
9.74
7
8.38
8.83
8.76
9.24
8.89
9.38
9.66
10.37
7.5
8.89
9.36
9.29
9.80
9.43
9.95
10.25
11.00
8
9.40
9.90
9.82
10.36
9.96
10.52
10.83
11.63
8.5
9.90
10.43
10.35
10.92
10.50
11.09
11.42
12.25
9
10.41
10.96
10.88
11.48
11.04
11.65
12.00
12.88
9.5
10.92
11.50
11.41
12.04
11.58
12.22
12.59
13.51
10
11.43
12.03
11.94
12.60
12.11
12.79
13.17
14.14
10.5
11.93
12.57
12.47
13.15
12.65
13.36
13.76
14.76
11
12.44
13.10
13.00
13.71
13.19
13.92
14.34
15.39
11.5
12.95
13.64
13.53
14.27
13.73
14.49
14.93
16.02
12
13.45
14.17
14.06
14.83
14.27
15.06
15.51
16.65
金融当局
中央省庁
0
1.28
1.35
0.5
1.79
1
下部行政
国有企業
優良銀行
標準銀行
1.34
1.41
1.36
1.88
1.87
1.97
2.30
2.42
2.40
1.5
2.80
2.95
2
3.31
2.5
年
機関
注)輸出先はモンゴルを選択した。その他条件として、Principal amount: 10,000,000 Euros、
Pre-finance period: 0、Grace period: 0 とした。
34
⑦ カントリーリスク分類 7 の場合
リスク
優良民間
標準民間
バイヤー
バイヤー
2.32
2.35
2.52
2.90
3.04
3.09
3.30
3.77
3.58
3.77
3.82
4.08
4.20
4.49
4.27
4.49
4.55
4.86
5.01
4.87
5.21
4.96
5.21
5.28
5.65
5.44
5.70
5.55
5.93
5.64
5.93
6.02
6.43
3
6.10
6.40
6.22
6.66
6.33
6.66
6.75
7.21
3.5
6.76
7.09
6.90
7.38
7.02
7.38
7.48
8.00
4
7.42
7.79
7.57
8.10
7.71
8.10
8.21
8.78
4.5
8.09
8.48
8.25
8.82
8.39
8.82
8.95
9.56
5
8.75
9.18
8.92
9.55
9.08
9.55
9.68
10.34
5.5
9.41
9.87
9.60
10.27
9.77
10.27
10.41
11.13
6
10.07
10.56
10.28
10.99
10.45
10.99
11.14
11.91
6.5
10.74
11.26
10.95
11.71
11.14
11.71
11.88
12.69
7
11.40
11.95
11.63
12.44
11.83
12.44
12.61
13.48
7.5
12.06
12.65
12.30
13.16
12.51
13.16
13.34
14.26
8
12.72
13.34
12.98
13.88
13.20
13.88
14.07
15.04
8.5
13.38
14.04
13.65
14.60
13.89
14.60
14.81
15.82
9
14.05
14.73
14.33
15.32
14.58
15.32
15.54
16.61
9.5
14.71
15.42
15.00
16.05
15.26
16.05
16.27
17.39
10
15.37
16.12
15.68
16.77
15.95
16.77
17.00
18.17
10.5
16.03
16.81
16.35
17.49
16.64
17.49
17.74
18.96
11
16.69
17.51
17.03
18.21
17.32
18.21
18.47
19.74
11.5
17.36
18.20
17.70
18.94
18.01
18.94
19.20
20.52
12
18.02
18.90
18.38
19.66
18.70
19.66
19.93
21.30
金融当局
中央省庁
0
2.13
2.23
0.5
2.79
1
下部行政
国有企業
優良銀行
標準銀行
2.17
2.32
2.21
2.93
2.85
3.04
3.45
3.62
3.52
1.5
4.11
4.31
2
4.78
2.5
年
機関
注)輸出先はルワンダを選択した。その他条件として、Principal amount: 10,000,000 Euros、
Pre-finance period: 0、Grace period: 0 とした。
35
36
2.4
2.4.1
英国
英国における公的貿易保険制度の概要
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
英国における公的貿易保険制度は英国輸出信用保証局(Export Credit Guarantee
Department:ECGD)によって運営されている。ECGD は英国政府の貿易保険担当機関で
あり、民間企業であるドイツの Euler Hermes やフランスの Coface などとは根本的に異な
る。ECGD は英国の輸出促進の為、世界で初めての ECA として 1919 年に設立された。
ECGD の主要業務は、民間企業によってカバーされないリスクに対し保証を行うこと及び
海外への投資リスクを軽減させるため、英国の投資家に対して海外投資保険を提供するこ
とである。従って、市場が提供できる範囲が拡大すればそれに伴い ECGD の役割は縮小し
ていくとの認識が政府内・機関内で共有されている。ECGD のスタッフはかつて 500 名以
上いたが、2008 年 3 月時点では 217 名程度にまで縮小した。今後 2011 年までに 130-160
名程度まで削減する計画となっている20。
図 2-6 ECGD の組織図
非常勤会長
最高責任者
ビジネスグループ
信用リスク
グループ
ファイナンス
グループ
総協議会
ビジネス部門1
信用リスク分析部門
インフラストラク
チャー部門
ビジネス部門2
信用コントロール・
ポートフォリオ管理部門
財務部門
ビジネス部門3
オペレーション・
リサーチ
広報
内部監査
会計監査役
財政計画・
分析部門
業種転換・
財務業務
出所:ECGD ホームページより作成
20
人事グループ
ECGD Annual Review 2006-2007
37
最高責任者
オフィス
(2) 設立根拠法・関連法規
ECGD の活動に係る法的根拠は、1991 年輸出・投資保険法(Export and Investment
Guarantees Act, 1991)となっている。貿易保険に関する詳細については、同法第 1 セク
ションにおいて規定されている。また、第 2 セクションにおいて ECGD の海外投資保険に
関する事項が規定されている。
(3) 業務内容
ECGD の業務内容には輸出信用保険(Export Credit Insurance: ECI)21、輸出事業者向
け保険(Insurance Facilities for Exporters)
、発展途上国に対する投資の政治リスクをカ
バーする海外投資保険(Overseas Investment Insurance)が含まれる。輸出信用保険には
バイヤークレジット(Buyer Credit)、サプライヤークレジットファイナンス(Supplier
Credit Financing)
、クレジット・ライン(Lines of Credit)
、プロジェクトファイナスが含
まれる。また、輸出事業者向け保険には資本財輸出用の輸出保険契約(Export Insurance
Policy: EXIP)
、債権保険契約(Bond Insurance Policy: BIP)が含まれている。
(4) 政府との関係・役割分担
ECGD は保険期間に応じて取り扱う保険商品を限定することはないが、中長期の海外投
資やプロジェクトファイナンスを対象とすることが一般的である。1991 年 12 月 1 日に
ECGD の短期部門である Insurance Service Group が民営化されオランダの NCM(現
Atradius)に売却されたことを受け、ECGD は短期保険業務から撤退し、現在では中長期
の輸出信用保険業務のみを行っている。ただし、近年では 2 年から 5 年程度の中期保険に
対しアクサやバミューダといった民間企業が積極的に参入していることから、ECGD が取
扱う保険は長期のものが多くなっている。カントリーリスクが高い国については ECGD が
引き受けることが一般的であることから民間企業と ECGD が競合することはない。
2.4.2
英国におけるプレミアム制度
(1) 料率の考え方
ECGD の公式ホームページによれば、同機関が提供する保険の料率は主として以下の要
素を元にリスクを査定し、ケースバイケースで定められる。
・ バイヤーの国(の信用度)
・ バイヤー(の信用度)
・ 期間(バイヤーによる融資不払いの“リスク”に ECGD がさらされる期間)
(2) カントリーリスクの考え方
OECD 輸出信用アレンジメントのカントリーリスク分類(0-7 の 8 分類)と同一の分類
を採用している。
ECGD が輸出契約に対し融資を行った銀行へ輸出信用保険を提供する場合、ECGD は、輸出者の責に帰
すべき事由により銀行に対する保険金支払が発生した際、その支払の全額又は一部について輸出者に対し
て遡及請求(Recourse)を行う権利を有する。
21
38
(3) バイヤープレミアムの考え方
ECGD の公式ホームページには、参考料率計算画面がある。同計算画面に信用期間、仕
向国等の条件を入れると、バイヤー分類別、カバー率別(90%、95%、100%)に参考料率
が表示される。その際、バイヤー分類は、「ソブリン」、「公的銀行または機関」22、「投
資適格または同等企業」、「BB+または同等企業」、「BB または同等企業」、「BB-また
は同等企業」23の 6 分類で表示される。
(4) 料率計算の流れ
ECGD における保険料率計算の流れを、①国分類⇒②バイヤー分類⇒③その他要素の順
にフロー図として示したのが図 2-7である。
図 2-7 英国 ECGD における保険料率計算の流れ
① 国分類
カテゴリ
OECD
リスク分類
0
0
1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
② バイヤー分類
バイヤーカテゴリー
ソブリン
公的銀行
または機関
投資適格また
は
同等企業
BB+または
同等企業
BBまたは
同等企業
BB-または
同等企業
③ その他要素24
1. 商品
(Credit、EXIP(Consecutive cover), EXIP(Cash or Parallel Cover), Bond Insurance Policy か
ら選択。ただし、選択する国によって選択できる商品が限定され、通常はCreditのみ選択可
能となっている)
2. 信用前期間 (1,6,12,18,24,30,36,42,48から選択)
3. 信用期間 (24,36,48,60,102,120,144から選択)
出所:ECGD 公式ホームページ参考料率計算画面に基づき三菱総研作成
このバイヤーについては、計算結果には refer と表示され保険引受業者に問い合わせることとなってい
る。
23 これらの企業格付けは ECGD が独自に行っている格付けである。
24 商品の定義は以下の通り。Credit:輸出信用保険、EXIP(Export Insurance Policy)
:輸出事業者向け
保険。Cash cover は融資を受けておらず信用機関が 24 ヶ月超の場合。Parallel cover は融資を受けている
場合の非融資部分をカバー、Consecutive cover は融資を受けている場合の融資部分をカバー。
(詳細は次
リンク参照のこと(http://www.ecgd.gov.uk/guides-export_insurance-policy-2009-03-06.pdf))
、Bond
Insurance Policy:ボンド保険。
22
39
(5) 料率表
ECGD の公式ホームページの参考料率計算画面より算出した保険料率を一覧表としてま
とめた25。同ページから算出する参考料率は、同一国分類でも国によって料率が異なる場合
があることから、基本的に一つの国分類について 2 件の例を提示した。なお、国によって、
また、バイヤー分類によっては同画面で料率が表示されない場合がある。このような場合、
料率が表示されない国またはバイヤー26については ECGD または保険引受業者に問い合わ
せることとされている。なお、以下の料率は、2009 年 1 月から 3 月にかけて、同計算画面
において算出した結果をまとめたものである。
① カントリーリスク分類が 1 の場合(台湾)27
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
0.56
0.85
1.19
3
0.66
1.11
1.64
4
0.76
1.4
2.06
5
0.86
1.67
2.45
8.5
1.21
2.55
3.74
10
1.36
2.96
4.36
12
1.56
3.51
5.17
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
1.79
2.44
3.07
3.67
5.59
6.51
7.7
2.58
3.51
4.42
5.29
8.06
9.39
11.13
注)Pre Credit Period=1 を選択、カバー率 95%の料率について算出した。以下についても同様。
② カントリーリスク分類が 2 の場合(ポーランド)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
0.81
1.11
1.19
3
1.04
1.39
1.62
4
1.27
1.68
2.04
5
1.49
1.96
2.44
8.5
2.29
2.96
3.74
10
2.63
3.39
4.24
12
3.08
3.96
4.87
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
1.78
2.42
3.05
3.64
5.57
6.33
7.27
2.58
3.50
4.41
5.25
8.04
9.13
10.49
②’ カントリーリスク分類が 2 の場合(アラブ首長国連邦(UAE)
)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
BB または同
たは同等企
同等企業
等企業
年
業
2
0.81
1.11
1.19
1.78
3
1.04
1.39
1.62
2.42
4
1.27
1.68
2.04
3.05
5
1.49
1.96
2.44
3.64
8.5
2.29
2.96
3.78
5.63
10
2.63
3.39
4.41
6.57
12
3.08
3.96
5.22
7.78
25
26
27
BB-または同
等企業
2.58
3.50
4.41
5.25
8.13
9.48
11.23
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
料率算出時、
「公的銀行または銀行」バイヤーについて、各ケースにおいて料率は表示されなかった。
カントリーリスク分類 0 は国リストに表示されない。
40
③ カントリーリスク分類が 3 の場合(ハンガリー)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
1.22
1.51
1.51
3
1.62
1.97
1.97
4
2.01
2.42
2.42
5
2.41
2.88
2.88
8.5
3.80
4.48
4.48
10
4.40
5.16
5.16
12
5.20
6.07
6.07
③’ カントリーリスク分類が 3 の場合(ブラジル)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
1.22
1.51
3
1.62
1.97
4
2.01
2.42
5
2.41
2.88
8.5
3.80
4.48
10
4.40
5.16
12
5.20
6.07
④ カントリーリスク分類が 4 の場合(エジプト)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
1.72
2.01
2.01
3
2.32
2.67
2.67
4
2.91
3.32
3.32
5
3.51
3.97
3.97
8.5
5.59
6.26
6.26
10
6.49
7.24
7.24
12
7.68
8.54
8.54
④’ カントリーリスク分類が 5 の場合(コロンビア)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
2.24
3
3.07
4
3.84
5
4.59
8.5
7.01
10
7.98
12
9.16
-
41
-
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
1.78
2.42
3.04
3.64
5.57
6.31
7.24
2.56
3.50
4.38
5.25
8.04
9.11
10.46
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
1.78
2.42
3.04
3.64
5.57
6.31
7.24
2.56
3.50
4.38
5.25
8.04
9.11
10.46
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
2.01
2.67
3.32
3.97
6.26
7.24
8.54
2.53
3.46
4.34
5.19
7.94
9.02
10.33
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
-
-
⑤ カントリーリスク分類が 5 の場合(レソト)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
2.59
2.72
2.72
3
3.54
3.57
3.57
4
4.44
4.42
4.42
5
5.32
5.27
5.27
8.5
8.12
8.24
8.24
10
9.21
9.52
9.52
12
10.57
11.22
11.22
⑤’ カントリーリスク分類が 5 の場合(ウクライナ)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
2.43
2.72
2.72
3
3.23
3.57
3.57
4
4.02
4.42
4.42
5
4.82
5.27
5.27
8.5
7.59
8.24
8.24
10
8.78
9.52
9.52
12
10.37
11.22
11.22
⑥ カントリーリスク分類が 6 の場合(ウガンダ)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
3.36
3
4.59
4
5.77
5
6.89
8.5
10.53
10
11.94
12
13.72
-
-
⑥’ カントリーリスク分類が 6 の場合(ホンジュラス)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
3.2
3.48
3.48
3
4.21
4.5
4.5
4
5.29
5.53
5.53
5
6.33
6.55
6.55
8.5
9.67
10.14
10.14
10
10.98
11.67
11.67
12
12.89
13.72
13.72
42
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
2.72
3.57
4.42
5.27
8.24
9.52
11.22
2.72
3.57
4.42
5.27
8.24
9.52
11.22
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
2.72
3.57
4.42
5.27
8.24
9.52
11.22
2.72
3.57
4.42
5.27
8.24
9.52
11.22
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
-
-
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
3.48
4.5
5.53
6.55
10.14
11.67
13.72
3.48
4.5
5.53
6.55
10.14
11.67
13.72
⑦ カントリーリスク分類が 7 の場合(セルビア)
リスク
ソブリン
投資適格ま
BB+または
たは同等企
同等企業
年
業
2
4.17
4.44
3
5.31
5.64
4
6.45
6.83
5
7.60
8.03
8.5
11.59
12.22
10
13.31
14.01
12
15.59
16.40
43
BB または同
等企業
BB-または同
等企業
4.44
5.64
6.83
8.03
12.22
14.01
16.40
4.44
5.64
6.83
8.03
12.22
14.01
16.40
44
2.5
米国
2.5.1
米国における公的貿易保険制度の概要
米国には公的貿易保険を提供する機関として、米国輸出入銀行(US EXIM)と海外民間
投資公社(OPIC)がある。
2.5.1.1
米国輸出入銀行
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
米国輸出入銀行(Export-Import Bank of the United States: US EXIM)は、米国連邦
政府の独立機関であり、民間部門では引受を行わない主として中長期の融資及び保証の供
与を通じて輸出を促進することを目的としている。US EXIM の主要業務は、米国の輸出
事業者に対する運転資本保証(working capital guarantee)の供与、米国の輸出事業者及
び金融機関に対する短期、中期保険の提供、ならびに米国産製品やサービスを購入する外
国のバイヤーに対して中長期ローン及びローン保証を提供することである。
US EXIM は旧ソビエト連邦への貸付を行う為、1934 年フランクリン・ルーズベルト大
統領(当時)が発行した大統領令によりに設立された。その後 1945 年の輸出入銀行法(the
Export-Import Bank Act of 1945)によって独立した政府機関として現在の業務を行うこと
となった。US EXIM は商業銀行、保険ブローカー、連邦政府及び州政府、民間セクターな
どと連携しながら貿易保険業務を行っている。
US EXIM の理事会は議長、副議長、理事 3 名(民間人から大統領が任命)、商務長官、
米国通商代表部代表の 7 名から構成されている。
(2) 設立根拠法・関連法規
1990 年 9 月 30 日以降の US EXIM の業務は、1990 年 10 月 1 日施行の 1990 年連邦信
用改革法(Federal Credit Reform Act、P.L.101-508)において規定されている28。また、
US EXIM の活動については定期的に再授権(reauthorization)の法制化が行われており、
最 近 で は 2006 年 に 2006 年 輸 出 入 銀 行 再 授 権 法 ( The Export-Import Bank
Reauthorization Act of 2006)が制定されている。同法では、US EXIM に対して 2011 年
まで直接借款(direct loan)及び保証ローン(guarantee loan)を供与する権限を付与して
いる。さらに、同法では、US EXIM 内に小規模企業専用の部署を設置することについて規
定している。
(3) 業務内容
US EXIM が提供している主な保険プログラムは短期及び中期の輸出信用保険である。

輸出保険(Exporter Policies)

マルチバイヤー保険(Multi Buyer Policy)

小規模ビジネス向けマルチバイヤー保険(Small Business Multi-Buyer Policy)

シングルバイヤー保険(Single Buyer Policy)
28
Ex-Im Bank Annual Report 2008, Note to the financial statement
45






短期融資者保険(Lender Policy ( Short-term))
銀行信用状保険(Bank Letter of Credit Policy)
金融機関バイヤークレジット保険(Financial Institution buyer Credit Policy )
金融機関サプライヤークレジット保険(Financial Institution Supplier Credit
Policy)
輸 出 者 及 び 融 資 者 向 け 中 期 保 険 ( Medium-term insurance(Exporters and
Lenders))
外国ディーラー保険(Foreign Dealer Insurance Policy)
(4) 政府との関係・役割分担
US EXIM の年度予算は米国連邦予算から拠出されており、毎年米国議会からの承認を得
なければならない。予算管理業務は US EXIM 内の予算管理局(Office of Management and
Budget)が担当している。
2.5.1.2
海外民間投資公社
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
海外民間投資公社(The Overseas Private Investment Corporation:OPIC)は、発展途
上国に対する米国企業の投資活動を支援する為、1969 年に設立され 1971 年から事業を開
始している。OPIC は連邦政府機関の 1 つであり、発展途上国において事業を行っている米
国企業に対し、プロジェクトファイナンス、投資保険及びその他のサービスを提供してい
る。特に、大規模なインフラ開発への融資が重要な役割と認識されている。
(2) 設立根拠法・関連法規
2007 年 7 月 23 日、連邦議会は H.R.2798 を可決し、2008 年から 2011 年までの OPIC
の活動について再承認した。
OPIC の予算については 1990 年連邦保険改正法(Federal Credit Reform Act of 1990)
において規定されている。OPIC の予算は保証業務とそれ以外の業務に分類されており、連
邦保険改正法では、このような予算の分類に関する基準が設けられている。
(3) 業務内容
OPIC は約 154 カ国において活動を展開している。
OPIC の業務内容は、融資
(Financing)、
保険(Insurance)、投資開発(Investment Development)の 3 分野に分類される。融資事
業については、OPIC は民間の投資銀行と同様の役割を果たしている。OPIC から融資を得
ることができるのは、米国資本の企業、米国企業の海外子会社、米国企業がスポンサーと
なっている現地企業である。現地企業との合弁企業の場合は、米国企業が株式の 25%以上
を所有していることが条件となる。直接融資(Direct Loan)は通常 200 万ドルから 1,000
万ドルのローンが提供される。また、大規模プロジェクト向けにローン保証(Loan
Gurantee)が提供されており、1,000 万ドルから 7,500 万ドルの保証が提供される。これ
らの保証の提供を受けるためには、対象となる企業の 50%以上が米国国民又は企業によっ
て所有されていることが条件となる。
さらに、OPIC は米国民、米国企業及び海外の米国企業子会社(株式の 95%を親会社が
保有していることが条件)に対して、非常リスク保険を提供している。非常リスクには、
為替の両替不能リスク(Currency Inconvertibility)、国有化など企業の没収に関わるリス
ク(Expropriation)、戦争や武力行使等のリスク(Political Violence)が含まれる。
46
(4) 政府との関係・役割分担
OPIC は独自に運営費を拠出しているため、米国政府からの財政支援は受けていない。但
し、米国財務省は OPIC に対する監督義務を有しているため、毎年 OPIC の保険プログラ
ムの水準(Credit Program Level)と OPIC の運営費用に要する資金規模について議会か
ら承認を得ている。
47
2.5.2
2.5.2.1
米国におけるプレミアム制度
米国輸出入信用銀行(US EXIM)
(1) 料率の考え方
US EXIM の公式ホームページでは、保険の参考料率を計算する画面がある。同画面でイ
ンプットが要求される項目は以下の通りである。
・ 国カテゴリー
・ カバー率
・ 商品のランク:標準以下(現在取り扱いなし)、標準(条件付保険商品)、標準以
上(無条件カバレッジ)
・ 決済期間
・ 償還期間
・ 料率の融資の有無
・ 料率の支払い時期
(2) カントリーリスクの考え方
OECD 輸出信用アレンジメントのカントリーリスク分類(0-7 の 8 分類)を利用し、各
国を 1-7 の 7 つに分類している。OECD 分類で ―0‖とされる先進国は US-EXIM の分類で
は―1‖に分類される。OECD によってカテゴリーが設定されていない国/地域については米
国政府の ICRAS29(Interagency Country Risk Assessment System)の分類(11 カテゴリー)
を利用する。
(3) バイヤープレミアムの考え方
バイヤーはまず公的セクターと民間セクターに分類される。公的セクターの場合、ソブ
リンかそれ以外かでまず区別される。ソブリンでない場合、格付けの有無が考慮される。
格付けがある場合、銀行であるか、一般の民間バイヤーであるかにかかわらず、格付けに
よって当該バイヤーのリスクが判断される。格付けは、S&P、Moody’s といった国際格付
評価機関によるもの、Libor 等の国際市場基準による評価等が参考とされている。なお、付
保契約の金額規模、バイヤーに対する保証者がいるかどうかも重要な判断基準となる。
(4) 料率計算の流れ
US EXIM における保険料率計算の流れを、①国分類⇒②バイヤー分類⇒③その他要素の
順にフロー図として示したのが図 2-8である。
ICRAS:米国政府機関で使用される国リスク査定の共通基準を設けるために開発された。US EXIM が
事務局を務め、行政管理予算局が ICRAS ワークグループの議長を務める。
29
48
図 2-8 US-EXIM における保険料率計算の流れ
① 国分類
1
0, 1
カテゴリ
OECD
リスク分類
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
② バイヤー分類
公的セクター
バイヤーが分類にあてはまった場合、下矢印に進む
ソブリン
バ
イ
ヤ
ー
カ
テ
ゴ
リ
ー
民間セクター
格付けのある債
務者、保証者(国
境を越えた取引
(Hard Currency))
格付けのある債
務者、保証者(国
内取引(Local
Currency))
格付機関の格付
により8段階に分
類
格付機関の格付
により8段階に分
類
金融機関で
保険価額が
1000万ドル以
下
金融機関以
外で保険価
額が1000万
ドル以下
格付けされ
ていない国
内最大手
の金融機
関
「営業キャッシュフローに
対する負債比率」と「有形
純資産に対する負債比
率」のマトリックスにより42
パターンに分類
金融機関以
外で格付け
されていな
い債務者、
保証者
格付けされ
ていない金
融機関
「自己資本対資産」「純利
益対資産」「銀行間借入資
金対正味借入金」「流動資
産対資産」「準備金対不採
算資産」の5つの指標に
よって6段階に分類
バイヤーが分類にあてはまった場合、下矢印に進む
政治リスクのみ
格付けのある債
務者、保証者(国
境を越えた取引
(Hard Currency))
格付けのある債
務者、保証者(国
内取引(Local
Currency))
格付機関の格付
により8段階に分
類
格付機関の格付
により8段階に分
類
金融機関で
保険価額が
1000万ドル以
下
金融機関以
外で保険価
額が1000万
ドル以下
格付けされ
ていない国
内最大手
の金融機
関
「営業キャッシュフローに
対する負債比率」と「有形
純資産に対する負債比
率」のマトリックスにより42
パターンに分類
金融機関以
外で格付け
されていな
い債務者、
保証者
格付けされ
ていない金
融機関
「自己資本対資産」「純利
益対資産」「銀行間借入資
金対正味借入金」「流動資
産対資産」「準備金対不採
算資産」の5つの指標に
よって6段階に分類
*1 格付け指標として、S&P(Long-term, Short-term)以外に、Moody's(Long-term Short-term), TBW(Short-term), T-YIELDスプレッド, LIBORスプレッド等がある
*2 格付け指標として、S&P(Long-term, Short-term)以外に、Moody's(Long-term Short-term, Financial Strength), TBW(Long-term, Intra-Country Issuer)
③ その他要素
1. カバー率
現在、カバー率100%の保障・融資・保険商品のみ提供 (計算式では値変更可能)
標準(レベル2)の商品「中期保険」と標準以上(レベル3)の商品2つ「直接融資」「保証」を提供。標準は条件付カ
バー、標準以上は無条件カバーを意味する
3. 償還期間
償還期間の年数
4. Drawdown Period
最初の貸付から起算点までの期間(ヶ月)。出荷が一度きりである場合、Drawdown Periodはゼロである
5. 保険料の融資の有無 保険料の融資を選ぶと保険料は若干上がる
保険料の支払いは従来は決算日ごとに特定の割合を支払う方法であったが、前払いの支払い方法を選択すること
6. 保険料の前払い
によって、保険料が若干下がる
2. 商品
出所:US-EXIM 公式ホームページ参考料率計算画面・その他説明資料に基づき三菱総研作成
49
(5) 料率表
US-EXIM の公式ホームページの参考料率計算画面より算出した保険料率を一覧表とし
てまとめた30。US-EXIM は、国毎に、バイヤー分類や取引額といった条件に基づいて算出
されるリスクレベル(risk incremental)を-1 から 5 までの 7 段階にまとめている。以下の
料率表はこのリスクレベル毎にまとめたものである。なお、以下の料率は、2009 年 1 月か
ら 3 月にかけて、同計算画面において算出した結果をまとめたものである。
① カントリーリスク分類 1 の場合
リスク
年
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
6.5
7
7.5
8
8.5
9
9.5
10
10.5
11
11.5
12
-1
0.32
0.36
0.41
0.45
0.50
0.54
0.59
0.63
0.68
0.72
0.77
0.81
0.86
0.90
0.95
0.99
1.03
1.08
1.12
1.17
1.22
1.26
1.31
1.35
1.40
0
0.35
0.40
0.45
0.50
0.55
0.60
0.65
0.70
0.75
0.80
0.85
0.90
0.95
1.00
1.05
1.10
1.14
1.20
1.25
1.30
1.35
1.40
1.45
1.50
1.55
1
2
0.39
0.44
0.50
0.55
0.61
0.66
0.72
0.77
0.83
0.88
0.94
0.99
1.05
1.10
1.15
1.21
1.26
1.32
1.38
1.43
1.49
1.54
1.60
1.65
1.71
0.42
0.48
0.54
0.60
0.66
0.72
0.78
0.84
0.90
0.96
1.02
1.08
1.13
1.20
1.26
1.32
1.38
1.44
1.50
1.56
1.62
1.68
1.74
1.80
1.86
3
0.46
0.52
0.59
0.65
0.72
0.78
0.85
0.91
0.98
1.04
1.11
1.17
1.24
1.30
1.37
1.43
1.50
1.56
1.63
1.69
1.76
1.82
1.89
1.95
2.02
4
0.49
0.56
0.63
0.70
0.77
0.84
0.91
0.98
1.05
1.12
1.19
1.26
1.33
1.40
1.47
1.54
1.61
1.68
1.75
1.82
1.89
1.96
2.02
2.10
2.17
5
0.53
0.60
0.68
0.75
0.83
0.90
0.98
1.05
1.12
1.20
1.28
1.35
1.43
1.50
1.58
1.65
1.73
1.80
1.88
1.95
2.02
2.10
2.18
2.25
2.33
注)選択が要求される項目について、以下の通りの条件を入力して料率算出を行った。以下、他のカント
リーリスク分類のケースについても同様の条件を用いた。
Percentage of Cover: 95%
Product: MT Insurance(2)
Drawdown Period: 0
Financed?: No
Paid: As Drawn
30
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
50
② カントリーリスク分類 2 の場合
リスク
年
-1
0
1
2
3
4
5
0
0.32
0.35
0.39
0.42
0.46
0.49
0.53
0.5
0.42
0.46
0.51
0.56
0.60
0.65
0.69
1
0.52
0.56
0.63
0.69
0.75
0.81
0.86
1.5
0.62
0.69
0.76
0.83
0.89
0.96
1.03
2
0.72
0.80
0.88
0.96
1.04
1.12
1.20
2.5
0.82
0.91
1.00
1.10
1.19
1.28
1.37
3
0.92
1.02
1.12
1.23
1.33
1.43
1.54
3.5
1.02
1.13
1.25
1.37
1.48
1.59
1.71
4
1.12
1.25
1.38
1.50
1.63
1.75
1.88
4.5
1.23
1.36
1.50
1.63
1.77
1.91
2.04
5
1.33
1.48
1.62
1.77
1.92
2.06
2.21
5.5
1.43
1.59
1.75
1.90
2.06
2.22
2.38
6
1.53
1.70
1.87
2.04
2.21
2.38
2.54
6.5
1.63
1.81
1.99
2.18
2.36
2.54
2.72
7
1.73
1.92
2.12
2.31
2.50
2.69
2.89
7.5
1.83
2.04
2.24
2.44
2.65
2.85
3.06
8
1.94
2.15
2.37
2.58
2.80
3.01
3.22
8.5
2.04
2.25
2.49
2.72
2.94
3.17
3.39
9
2.14
2.38
2.61
2.85
3.09
3.33
3.56
9.5
2.24
2.49
2.74
2.99
3.23
3.48
3.73
10
2.34
2.60
2.86
3.12
3.38
3.64
3.90
10.5
2.44
2.71
2.98
3.26
3.53
3.80
4.07
11
2.54
2.83
3.11
3.39
3.67
3.96
4.24
11.5
2.64
2.94
3.23
3.53
3.82
4.11
4.41
12
2.75
3.05
3.36
3.66
3.97
4.26
4.58
51
③ カントリーリスク分類 3 の場合
リスク
年
-1
0
1
2
3
4
5
0
0.36
0.40
0.44
0.48
0.52
0.56
0.60
0.5
0.54
0.60
0.66
0.72
0.77
0.83
0.89
1
0.71
0.79
0.87
0.95
1.03
1.11
1.19
1.5
0.89
0.99
1.09
1.19
1.28
1.38
1.48
2
1.07
1.18
1.30
1.42
1.54
1.66
1.78
2.5
1.24
1.38
1.52
1.66
1.79
1.93
2.06
3
1.42
1.58
1.73
1.89
2.04
2.21
2.36
3.5
1.59
1.77
1.95
2.13
2.29
2.48
2.66
4
1.77
1.97
2.16
2.36
2.56
2.76
2.95
4.5
1.95
2.16
2.38
2.60
2.81
3.03
3.25
5
2.12
2.36
2.60
2.83
3.07
3.30
3.54
5.5
2.29
2.56
2.81
3.07
3.32
3.58
3.83
6
2.48
2.75
3.03
3.30
3.58
3.85
4.13
6.5
2.65
2.95
3.24
3.54
3.83
4.13
4.42
7
2.83
3.14
3.46
3.77
4.09
4.40
4.72
7.5
3.01
3.34
3.67
4.01
4.34
4.68
5.01
8
3.18
3.54
3.89
4.24
4.59
4.95
5.30
8.5
3.36
3.73
4.11
4.48
4.84
5.22
5.60
9
3.54
3.93
4.32
4.71
5.11
5.50
5.89
9.5
3.71
4.12
4.54
4.95
5.36
5.77
6.19
10
3.89
4.32
4.75
5.18
5.62
6.05
6.48
10.5
4.05
4.51
4.97
5.42
5.87
6.32
6.77
11
4.24
4.71
5.18
5.65
6.13
6.60
7.07
11.5
4.42
4.91
5.40
5.89
6.38
6.87
7.36
12
4.59
5.09
5.61
6.12
6.64
7.15
7.66
52
④ カントリーリスク分類 4 の場合
リスク
年
-1
0
1
2
3
4
5
0
0.45
0.50
0.55
0.60
0.65
0.70
0.75
0.5
0.71
0.79
0.87
0.95
1.03
1.11
1.19
1
0.98
1.09
1.19
1.30
1.41
1.52
1.63
1.5
1.24
1.38
1.52
1.65
1.79
1.93
2.06
2
1.50
1.67
1.84
2.00
2.17
2.34
2.50
2.5
1.77
1.96
2.16
2.36
2.54
2.75
2.94
3
2.02
2.25
2.48
2.71
2.93
3.16
3.38
3.5
2.29
2.54
2.80
3.06
3.31
3.57
3.82
4
2.56
2.84
3.12
3.41
3.69
3.98
4.26
4.5
2.82
3.13
3.45
3.76
4.07
4.38
4.70
5
3.08
3.43
3.77
4.11
4.45
4.80
5.14
5.5
3.35
3.72
4.09
4.46
4.83
5.20
5.58
6
3.61
4.01
4.41
4.80
5.21
5.61
6.02
6.5
3.87
4.30
4.73
5.16
5.59
6.02
6.45
7
4.13
4.59
5.05
5.51
5.97
6.43
6.89
7.5
4.40
4.88
5.38
5.86
6.35
6.84
7.33
8
4.66
5.18
5.70
6.22
6.73
7.25
7.77
8.5
4.93
5.47
6.02
6.57
7.11
7.66
8.21
9
5.19
5.77
6.34
6.92
7.49
8.07
8.65
9.5
5.45
6.06
6.66
7.27
7.87
8.48
9.09
10
5.72
6.35
6.99
7.62
8.25
8.89
9.52
10.5
5.98
6.64
7.31
7.97
8.64
9.30
9.96
11
6.24
6.94
7.63
8.32
9.02
9.71
10.40
11.5
6.50
7.23
7.95
8.67
9.40
10.11
10.84
12
6.77
7.52
8.27
9.02
9.77
10.53
11.28
53
⑤ カントリーリスク分類 5 の場合
リスク
年
-1
0
1
2
3
4
5
0
0.72
0.80
0.88
0.96
1.04
1.12
1.20
0.5
1.07
1.19
1.31
1.43
1.55
1.67
1.79
1
1.42
1.58
1.74
1.90
2.04
2.21
2.37
1.5
1.77
1.97
2.17
2.36
2.56
2.76
2.96
2
2.12
2.36
2.60
2.83
3.07
3.30
3.54
2.5
2.48
2.75
3.03
3.30
3.58
3.85
4.13
3
2.83
3.14
3.45
3.77
4.08
4.40
4.71
3.5
3.18
3.53
3.88
4.24
4.59
4.94
5.30
4
3.53
3.92
4.30
4.70
5.09
5.49
5.88
4.5
3.88
4.30
4.74
5.17
5.60
6.03
6.47
5
4.23
4.70
5.17
5.64
6.11
6.58
7.05
5.5
4.58
5.09
5.60
6.11
6.62
7.13
7.64
6
4.93
5.48
6.03
6.58
7.12
7.67
8.22
6.5
5.28
5.87
6.46
7.04
7.63
8.22
8.81
7
5.63
6.26
6.89
7.51
8.14
8.76
9.39
7.5
5.99
6.65
7.32
7.98
8.65
9.31
9.98
8
6.34
7.04
7.74
8.44
9.15
9.86
10.56
8.5
6.69
7.43
8.17
8.92
9.66
10.40
11.15
9
7.04
7.82
8.60
9.38
10.17
10.95
11.73
9.5
7.39
8.21
9.02
9.85
10.67
11.49
12.32
10
7.74
8.60
9.46
10.32
11.18
12.04
12.90
10.5
8.09
8.99
9.89
10.79
11.69
12.59
13.49
11
8.44
9.38
10.32
11.26
12.19
13.13
14.07
11.5
8.78
9.77
10.75
11.72
12.70
13.68
14.66
12
9.14
10.16
11.18
12.19
13.21
14.22
15.24
54
⑥ カントリーリスク分類 6 の場合
リスク
年
-1
0
1
2
3
4
5
0
1.08
1.20
1.32
1.44
1.56
1.68
1.80
0.5
1.51
1.67
1.84
2.00
2.18
2.34
2.50
1
1.94
2.15
2.37
2.58
2.80
3.01
3.22
1.5
2.36
2.63
2.89
3.15
3.41
3.68
3.94
2
2.79
3.10
3.41
3.72
4.03
4.34
4.65
2.5
3.22
3.58
3.93
4.29
4.65
5.01
5.36
3
3.65
4.05
4.46
4.86
5.27
5.67
6.08
3.5
4.07
4.51
4.98
5.43
5.88
6.33
6.79
4
4.50
5.00
5.50
6.00
6.50
7.00
7.50
4.5
4.93
5.48
6.02
6.57
7.12
7.67
8.21
5
5.36
5.95
6.55
7.14
7.74
8.33
8.93
5.5
5.78
6.43
7.07
7.71
8.35
8.99
9.64
6
6.21
6.90
7.59
8.27
8.97
9.66
10.35
6.5
6.64
7.38
8.11
8.85
9.59
10.33
11.06
7
7.07
7.85
8.64
9.42
10.21
10.99
11.77
7.5
7.49
8.32
9.16
9.99
10.82
11.65
12.49
8
7.92
8.80
9.68
10.56
11.44
12.32
13.20
8.5
8.35
9.27
10.19
11.13
12.06
12.99
13.91
9
8.77
9.75
10.73
11.70
12.68
13.65
14.63
9.5
9.19
10.23
11.25
12.27
13.29
14.31
15.34
10
9.63
10.70
11.77
12.84
13.91
14.98
16.05
10.5
10.06
11.18
12.29
13.41
14.53
15.65
16.76
11
10.48
11.65
12.81
13.98
15.14
16.30
17.47
11.5
10.91
12.12
13.34
14.55
15.76
16.97
18.19
12
11.34
12.60
13.86
15.12
16.38
17.64
18.89
55
⑦ カントリーリスク分類 7 の場合
リスク
年
-1
0
1
2
3
4
5
0
1.62
1.80
1.98
2.16
2.34
2.52
2.70
0.5
2.12
2.36
2.60
2.83
3.07
3.30
3.54
1
2.63
2.92
3.21
3.50
3.80
4.09
4.38
1.5
3.13
3.48
3.83
4.18
4.51
4.87
5.22
2
3.64
4.04
4.44
4.84
5.25
5.66
6.06
2.5
4.13
4.59
5.05
5.52
5.98
6.44
6.90
3
4.63
5.16
5.68
6.19
6.71
7.22
7.74
3.5
5.15
5.72
6.29
6.86
7.44
8.01
8.58
4
5.65
6.28
6.91
7.54
8.16
8.78
9.42
4.5
6.16
6.84
7.52
8.21
8.89
9.58
10.26
5
6.66
7.40
8.14
8.88
9.61
10.36
11.10
5.5
7.16
7.96
8.76
9.55
10.35
11.14
11.94
6
7.67
8.52
9.36
10.22
11.08
11.93
12.78
6.5
8.17
9.08
9.99
10.90
11.80
12.71
13.62
7
8.68
9.64
10.60
11.57
12.53
13.50
14.46
7.5
9.18
10.19
11.22
12.24
13.26
14.28
15.30
8
9.68
10.76
11.84
12.91
13.99
15.06
16.14
8.5
10.19
11.32
12.45
13.58
14.72
15.85
16.98
9
10.69
11.88
13.07
14.26
15.44
16.63
17.82
9.5
11.20
12.44
13.68
14.93
.16.17
17.42
18.66
10
11.70
13.00
14.30
15.60
16.89
18.20
19.50
10.5
12.20
13.56
14.92
16.27
17.63
18.98
20.34
11
12.71
14.12
15.53
16.94
18.36
19.77
21.18
11.5
13.21
14.68
16.14
17.62
19.07
20.55
22.02
12
13.72
15.24
16.76
18.29
19.80
21.34
22.86
56
2.5.2.2
海外民間投資公社(OPIC)
(1) プレミアムの考え方
OPIC の投資保険がカバーするのは政治リスクである。具体的には収用リスク、暴動・テ
ロリズムによるリスク、通貨交換不能リスク等の政治リスクをカバーする。このような中
で、OPIC は料率計算にあたって、投資先国のカントリーリスクと付保対象となる付保規模、
対象セクターを重視している模様である。
(2) カントリーリスク、バイヤープレミアムの考え方
OPIC が各政府と協定を締結している 150 カ国でのビジネスについてのみ引受可能であ
る。OPIC は、カントリーリスク分類について、US EXIM の基準に従っている。
バイヤープレミアムについての考え方は、OPIC の公表資料には特段に示されていない。
OPIC の保険は政治リスクのみをカバーすることから、個別のバイヤーリスクについては考
慮されたとしても、最終料率決定に際してあまり重要な要素とされていないと考えられる。
(3) ケース料率
OPIC 公式ホームページでは、以下の通り基礎料率が示されている31。
① 製造サービス向け-カバー額 100 米ドル当たりの基礎料率
カバー対象リスク
アクティブ/現行
通貨不換
$0.25–$0.45
収用
$0.50–$0.70
政治的暴力*
営業収入
$0.30–$0.50
$0.40–$0.60
資産
スタンバイ32
$0.20
$0.20
$0.20
$0.20
* 営業収入、資産、政治的暴力の組み合わせによって、割引レートが適用されることがある。
②機関融資・リース向け-カバー額 100 米ドル当たりの基礎料率*
カバー対象リスク
カバレッジ金額**
通貨不換
$0.35–$0.55
収用
$0.40–$0.75
高度な通貨不換
$0.55
政治的暴力
$0.35–$0.65
元本未払残高
$0.20
$0.20
$0.20
$0.20
*組み合わせによって、割引レートが適用されることがある。
** カバレッジ金額とは(払済元本)+(未払いの利子)―(今日まで返済された元本)。
(amount of disbursed principal)+(accrued interest)-(principal repaid to date)
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
契約時に合意された最大保険金額(Maximum Insured Amount: MIA)と、契約期間中、各時点におい
て有効な現行保険金額(Current Insured Amount: CIA)があり、MIA と CIA の差分がスタンバイ額であ
る。料率の大部分は「アクティブ/現行」の基礎料率によって構成され、スタンバイ額には割引された基礎
料率が適用される。詳細は下記リンクを参照のこと(http://www.opic.gov/insurance/details/index.asp)。
31
32
57
③石油・ガスセクター向け-カバー額 100 米ドル当たりの基礎料率
カバー対象リスク
没収
開発/製造
通貨不換
$0.20–$0.40
$0.20–$0.40
収用
$0.35–$0.50
$1.35–$1.60
政治的暴力
$0.65–$0.85
$0.65–$0.85
操業妨害
$0.35–$0.55
$0.35–$0.55
スタンバイ
$0.20
$0.20
$0.20
$0.20
④インフラ/天然資源 (除・石油とガス) セクター向け-カバー額 100 米ドル当たりの基礎
料率
カバー対象リスク
アクティブ/現行
スタンバイ
通貨不換
$0.25–$0.45
$0.20
収用
$0.55–$0.85
$0.20
政治的暴力
営業収入
$0.30–$0.55
$0.20
$0.40–$0.75
$0.20
資産
⑤請負業者と輸出者向け-カバー額 100 米ドル当たりの基礎料率
カバー対象リスク
現行
通貨不換
$0.25–$0.45
収用
$0.55–$0.70
政治的暴力
$0.40–$0.60
入札保証
$0.40–$0.60
パフォーマンス、先払いなどの保証
$0.50–$0.65
紛争
$0.60–$0.80
⑥資本市場向け-カバー額 100 米ドル当たりの基礎料率
カバー対象リスク
アクティブ/現行
高度な通貨不換
$0.60
58
スタンバイ
$0.20
$0.20
$0.20
$0.20
$0.20
$0.20
スタンバイ
$0.20
第3章
3.1
OECD 加盟新興国のバイヤープレミアム制度
チェコ
3.1.1
チェコにおける公的貿易保険制度の概要
チェコには公的輸出信用機関として、チェコ輸出保証・保険公社(EGAP)とチェコ輸出
銀行がある。
3.1.1.1
チェコ輸出保証・保険公社(EGAP)
(1) 組織概要(名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
チェコ輸出保証・保険公社(Export Guarantee and Insurance Corporation: EGAP)は、
1992 年に国有の輸出信用庁として発足した。EGAP は商業リスク・政治リスク双方につい
てチェコの輸出にかかるリスクをカバーする。1993 年にチェコが独立したことを受け
EGAP は株式会社化されたが、株式は 100%国家保有である(財務省、産業貿易省、農業
省、外務省が株主)
。短期商業リスクは、EGAP と民間企業による共同出資会社により提供
されている。EGAP はマネージング・ディレクター局、法務・国際渉外局、国家保険支援
局(national supported insurance section)、金融・管理局、請求処理・債権回収局の 5 局
から構成されている。2007 年時点の職員数は 93 名であり、上級管理職が 15 名、その他の
職員が 78 名となっている。上級管理職には経営責任者、副責任者、各局の局長が含まれる。
EGAP の理事会は 5 名の理事から成り、
理事は EGAP の上級管理職員から選出されている。
監督委員会メンバーは 9 名である。
図 3-1 EGAP の組織図
チェコ政府
監査委員会
理事会
経営責任者
マネージング・
ディレクター局
法務・国際渉外局
国家保険支援局
金融・管理局
請求処理・
債権回収局
事務局
法務・組織・分析部
輸出信用保険部
金融・経済部
請求処理部
人事部
国際渉外部
輸出前投資・
保険証券部
会計・経理部
債権回収部
リスク管理部
IT部
内部監査部
国内渉外部
保険数理部
出所:EGAP 公式ホームページ
59
(2) 設立根拠法・関連法規
EGAP による保険活動は「国家支援による輸出保険及び金融業務、及び法律第 166/1993
号の改訂にかかわる法律第 58/1995 号(the Act No. 58/1995 Coll. on Insuring and
Financing of Export with State Support, and on Amendment of the Act No. 166/1993
Coll.)
」によって規定されている。同法は、輸出信用リスクに対する保険(export credit risk
insurance)について定義した上で、政府による輸出信用保険の内容について規定している。
また、EGAP の活動は財務省による省令第 278/1998 号(Decree of the Ministry of
Finance No. 278/1998 Coll.)においても規定されており、省令第 278/1998 号では、輸出
信用機関(export insurance company)の保険金支払能力(insurance capacity)の算出方
法について規定しているほか、輸出信用リスクに対する保険のための準備金の積立て方法
について規定している。
(3) 業務内容33
EGAP の主な業務内容は、短期、中期、長期の非市場性信用リスク(non-marketable credit
risk)及び非常リスクに対する保険の提供である。EGAP が提供している主な保険商品には、
非市場性リスクに関する短期のサプライヤークレジット保険(short-term supplier credit
insurance of non-marketable risks)、中長期の輸出サプライヤー及びバイヤークレジット
への保険(insurance for medium-and long term export supplier and buyer credit)
、銀行
から融資を受けている中長期のサプライヤークレジットへの保険(insurance for medium
and long term export supplier credit financed by a bank)、投資保険(investment
insurance)などがある。
EGAP による保険(policies)は非常リスク及び信用リスクの最大 95%を保証することと
なっている。EGAP の主なポートフォリオはロシア及び CIS 諸国、中東及び極東諸国であ
る。
(4) 政府との関係・役割分担
政府による輸出信用保険の供与は法律第 58/1995 号セクション第 8 に規定されている。
政府による貿易保険制度の背景には、市場が提供することが困難な保証を提供することが
ある。EGAP はチェコ産業貿易省、チェコ輸出入銀行、Czech Trade (貿易促進を目的とし
た政府組織)と共同で輸出促進の為の支援を行っている。
33
The Citi World Official Agency Guide 2008-2009
60
3.1.1.2
チェコ輸出銀行(CEB)
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
チェコ輸出銀行(Czech Export Bank: CEB)は政府による輸出促進政策の柱の一つとし
て、1995 年に国有会社として設立された輸出信用機関である。CEB は輸出信用の供与及び
他の輸出関連サービスへの融資を行うことで輸出を促進させることを目的としており、特
に長期・大規模など、民間では提供することが困難な輸出向けの信用を供与している。CEB
はスタンダード&プアーズによる信用調査で「A」ランクに格付けされているほか、ムーデ
ィーズ投資サービスによって「Aa1」ランクに格付けされている34。
CEB による支援の対象は、チェコ国内に登記されている法人及びそれらの海外顧客であ
るが、例外としてチェコの永住権を有している個人が含まれる。また輸出用製品の製造者
及び外国へ投資活動を行っている企業も一部の輸出信用を得ることが可能である。CEB の
活動は WTO 規則及び OECD、EU 理事会の勧告(recommendation)に即して行なわれて
いる35。
CEB には金融局、リスク管理局、商業局(Commercial Division)I、商業局 II、IT・決
済局(IT and Payment)の 5 局があり、それぞれの下に業務に応じて部署が設置されてい
る。また、監査委員会、理事会、コンプライアンス担当、内部監査などが設置されている。
CEB の職員数は 2007 年 12 月末時点で 116 人である36。
図 3-2 CEB の組織図
監査委員会
理事会
内部監査
コンプライアンス担当
経営責任者
会長室
法務部
人事部
モスクワ代表部
戦略マーケティング、
コミュニケーション
金融局
商業局II
商業局II
リスクマネジメント局
IT・支払局
資金運用
銀行リスクマネジメント
輸出・プロジェクトファ
イナンスI
中小企業
ファイナンス
バンキングIS開発
信用リスクマネジメント
輸出・プロジェクトファ
イナンスII
貿易金融
ITオペレーション
会計部
財務部
国際渉外、
ファンドレイジング
リスク債権管理
及び回収
トランザクション管理
支払
情報記録
出所:CEB ホームページより三菱総研作成
34
35
36
CEB ホームページ
Ibid.
CEB annual report 2007
61
(2) 設立根拠法・関連法規
CEB の活動は、現行の銀行規則である、銀行に関する法律第 21/1992 号(Act No. 21/1992
Coll. on banks)によって規定されている。さらに、チェコ国営銀行(Czech National Bank)
が制定している規則及び公共支援法第 59/2000 号(Public Support Act, No. 59/2000 Coll.)
が CEB の活動のベースとなっている。CEB の業務内容の詳細については、法律第 58/1995
号(Act No. 58/1995 Coll.)において規定されている。さらに、CEB はチェコ共和国が加盟し
ている WTO の規則や OECD による公的輸出信用ガイドライン取極め(Arrangement on
Guidelines for Officially Supported Export Credits)にも従わなければならない。CEB は
テロ対策として資金洗浄の取締りに関する政策を積極的に策定している。
(3) 業務内容
CEB の業務内容には以下が含まれる。
 輸出生産向け融資に対する信用供与(Credit for financing production for export
(pre-export credit))
 サプライヤークレジット(Direct export supplier credit)
 バイヤークレジット(海外バイヤー向け)(Direct export buyer credit (credit is
granted to a foreign buyer) )
 バイヤークレジット(海外バイヤーの銀行向け)(Indirect export buyer credit
(credit is granted to the foreign buyer's bank))
 海外投資信用(Credit for investment abroad)
 サプライヤークレジットのリファイナンス(Refinancing of supplier's export
credit)
 バイヤークレジットのリファイナンス(Refinancing of buyer's export credit)
 フォーフェイティング(信用状、遡及権なし)(Forfaiting (letters of credits,
non-recourse)
)
 輸出債権の購入(被保険者、遡及権なし)(Purchase of export receivables (insured,
non-recourse))
 銀行保証(Bank guarantees)
 追加的な金融サービス(Additional financial services)
 ドキュメンタリーオペレーション及びその他のサービス(Documentary operations
and other services)
(4) 政府との関係・役割分担
CEB の株式の 75%はチェコ政府が保有している。株主として CEB の運営に対して影
響を有しているのは財務省、産業貿易省、外務省、農業省の 4 省である。なお、CEB の
株式の 25%は EGAP が所有している。
62
3.1.2
チェコにおけるプレミアム制度
3.1.1 で紹介したチェコの公的輸出信用機関のうち、貿易保険を提供するのはチェコ輸出
保証・保険公社(EGAP)のみである。したがって、以下では EGAP の保険料率の考え方
のみを示した。
(1) プレミアムの考え方
EGAP の公式ホームページで各種条件を入力することで参考料率が計算できるようにな
っている。同画面で入力が必要とされる条件は以下のとおりである。
・ 輸出額
・ 支払い方法
・ 支払金額をどのように確保しているか
・ 輸入者のリスク査定
・ 国または地域のリスク
・ てん補率(self-retention)
(2) カントリーリスクの考え方
OECD 輸出信用アレンジメントのカントリーリスク分類(0-7 の 8 分類)と同一の分類
を採用している。
(3) バイヤープレミアムの考え方
EGAP 公式ホームページの料率計算画面では、仕向国、保険価額等の条件入力後、バイ
ヤー分類別に参考料率が表示される。その際、バイヤー分類は、
「ソブリン債務者」、「公的
債務者」
、
「民間銀行」
、
「民間債務者」の 4 分類である。
(4) 料率計算の流れ
EGAP における保険料率計算の流れを、①国分類⇒②バイヤー分類⇒③その他要素の順
にフロー図として示したのが図 3-3である。
63
図 3-3 EGAP における保険料率計算の流れ
① 国分類
0
0
カテゴリ
OECD
リスク分類
1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
② バイヤー分類
バイヤーカテゴリー
ソブリン
債務者 *1
公的
債務者 *2
民間銀行
民間
債務者
*1: 財務省または中央銀行 *2: すべてのレベルの現地自治機関や、債務不履行を合法的に宣言できない公的機関
③ その他要素
1.
2.
3.
4.
保険価額
頭金
Draw down期間
償還期間
CZK(チェココルナ)建て
15%以上
1以上の月数を指定
1以上の月数を指定
出所:EGAP 公式ホームページ料率計算画面に基づき三菱総研作成
64
(5) 料率表
EGAP の公式ホームページの参考料率計算画面より算出した保険料率を一覧表としてま
とめた37。なお、以下の料率は、2009 年 1 月から 3 月にかけて、同計算画面において算出
した結果をまとめたものである。
① カントリーリスク 0 または 1 の場合
リスク
年
ソブリン
公的
民間銀行
民間債務者
0
0.35
0.35
0.35
0.35
0.5
0.40
0.40
0.40
0.40
1
0.45
0.45
0.45
0.45
1.5
0.50
0.50
0.50
0.50
2
0.55
0.55
0.55
0.55
2.5
0.60
0.60
0.60
0.60
3
0.65
0.65
0.65
0.65
3.5
0.70
0.70
0.70
0.70
4
0.75
0.75
0.75
0.75
4.5
0.80
0.80
0.80
0.80
5
0.85
0.85
0.85
0.85
5.5
0.90
0.90
0.90
0.90
6
0.95
0.95
0.95
0.95
6.5
1.00
1.00
1.00
1.00
7
1.05
1.05
1.05
1.05
7.5
1.10
1.10
1.10
1.10
8
1.15
1.15
1.15
1.15
8.5
1.20
1.20
1.20
1.20
9
1.25
1.25
1.25
1.25
9.5
1.30
1.30
1.30
1.30
10
1.35
1.35
1.35
1.35
10.5
1.40
1.40
1.40
1.40
11
1.45
1.45
1.45
1.45
11.5
1.50
1.50
1.50
1.50
12
1.55
1.55
1.55
1.55
注)カバー率:95%、保険料事前一括払いの場合を選択した。以下他のカントリーリスク分類においても
同様の条件で料率を算出した。
37
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
65
② カントリーリスク分類 2 の場合
リスク
年
ソブリン
公的
民間銀行
民間債務者
0
0.36
0.39
0.42
0.46
0.5
0.47
0.51
0.56
0.60
1
0.59
0.63
0.69
0.75
1.5
0.70
0.76
0.83
0.89
2
0.82
0.88
0.96
1.04
2.5
0.93
1.00
1.10
1.19
3
1.05
1.13
1.23
1.33
3.5
1.16
1.25
1.37
1.48
4
1.28
1.38
1.50
1.63
4.5
1.39
1.50
1.64
1.77
5
1.50
1.62
1.77
1.92
5.5
1.62
1.75
1.91
2.06
6
1.73
1.87
2.04
2.21
6.5
1.85
1.99
2.18
2.36
7
1.96
2.12
2.31
2.50
7.5
2.08
2.24
2.45
2.65
8
2.19
2.37
2.58
2.80
8.5
2.31
2.49
2.72
2.94
9
2.42
2.61
2.85
3.09
9.5
2.54
2.74
2.99
3.23
10
2.65
2.86
3.12
3.38
10.5
2.77
2.98
3.26
3.53
11
2.88
3.11
3.39
3.67
11.5
3.00
3.23
3.53
3.82
12
3.11
3.36
3.66
3.97
66
③ カントリーリスク分類 3 の場合
リスク
年
ソブリン
公的
民間銀行
民間債務者
0
0.41
0.42
0.44
0.50
0.5
0.61
0.63
0.66
0.75
1
0.81
0.83
0.87
0.99
1.5
1.01
1.04
1.09
1.24
2
1.21
1.24
1.30
1.48
2.5
1.41
1.45
1.52
1.73
3
1.61
1.65
1.73
1.97
3.5
1.81
1.86
1.95
2.22
4
2.01
2.07
2.16
2.46
4.5
2.21
2.27
2.38
2.71
5
2.41
2.48
2.60
2.95
5.5
2.61
2.68
2.81
3.20
6
2.81
2.89
3.03
3.44
6.5
3.01
3.10
3.24
3.69
7
3.21
3.30
3.46
3.93
7.5
3.41
3.51
3.67
4.18
8
3.61
3.71
3.89
4.42
8.5
3.81
3.92
4.11
4.67
9
4.01
4.12
4.32
4.91
9.5
4.21
4.33
4.54
5.16
10
4.41
4.54
4.75
5.40
10.5
4.61
4.74
4.97
5.65
11
4.81
4.95
5.18
5.89
11.5
5.01
5.15
5.40
6.14
12
5.21
5.36
5.61
6.38
67
④ カントリーリスク分類 4 の場合
リスク
年
ソブリン
公的
民間銀行
民間債務者
0
0.51
0.53
0.55
0.63
0.5
0.81
0.83
0.87
0.99
1
1.11
1.14
1.19
1.36
1.5
1.41
1.45
1.52
1.72
2
1.70
1.75
1.84
2.09
2.5
2.00
2.06
2.16
2.45
3
2.30
2.37
2.48
2.82
3.5
2.60
2.67
2.80
3.18
4
2.90
2.98
3.12
3.55
4.5
3.20
3.29
3.45
3.92
5
3.49
3.60
3.77
4.28
5.5
3.79
3.90
4.09
4.65
6
4.09
4.21
4.41
5.01
6.5
4.39
4.52
4.73
5.38
7
4.69
4.82
5.05
5.74
7.5
4.99
5.13
5.38
6.11
8
5.28
5.44
5.70
6.48
8.5
5.58
5.75
6.02
6.84
9
5.88
6.05
6.34
7.21
9.5
6.18
6.36
6.66
7.57
10
6.48
6.67
6.99
7.94
10.5
6.78
6.97
7.31
8.30
11
7.07
7.28
7.63
8.67
11.5
7.37
7.59
7.95
9.03
12
7.67
7.90
8.27
9.40
68
⑤ カントリーリスク分類 5 の場合
リスク
年
ソブリン
公的
民間銀行
民間債務者
0
0.82
0.84
0.86
0.96
0.5
1.21
1.25
1.27
1.43
1
1.61
1.66
1.69
1.90
1.5
2.01
2.07
2.11
2.36
2
2.41
2.48
2.53
2.83
2.5
2.81
2.89
2.94
3.30
3
3.20
3.30
3.36
3.77
3.5
3.60
3.71
3.78
4.24
4
4.00
4.12
4.19
4.70
4.5
4.40
4.53
4.61
5.17
5
4.79
4.94
5.03
5.64
5.5
5.19
5.34
5.45
6.11
6
5.59
5.75
5.86
6.58
6.5
5.99
6.16
6.28
7.04
7
6.39
6.57
6.70
7.51
7.5
6.78
6.98
7.12
7.98
8
7.18
7.39
7.53
8.45
8.5
7.58
7.80
7.95
8.92
9
7.98
8.21
8.37
9.38
9.5
8.37
8.62
8.78
9.85
10
8.77
9.03
9.20
10.32
10.5
9.17
9.44
9.62
10.79
11
9.57
9.85
10.04
11.26
11.5
9.97
10.26
10.45
11.72
10.36
10.67
10.87
12.19
12
69
⑥ カントリーリスク分類 6 の場合
リスク
年
ソブリン
公的
民間銀行
民間債務者
0
1.22
1.26
1.28
1.44
0.5
1.71
1.76
1.79
2.01
1
2.19
2.26
2.30
2.58
1.5
2.68
2.76
2.81
3.15
2
3.16
3.26
3.32
3.72
2.5
3.65
3.75
3.83
4.29
3
4.13
4.25
4.33
4.86
3.5
4.62
4.75
4.84
5.43
4
5.10
5.25
5.35
6.00
4.5
5.58
5.75
5.86
6.57
5
6.07
6.25
6.37
7.14
5.5
6.55
6.75
6.87
7.71
6
7.04
7.25
7.38
8.28
6.5
7.52
7.74
7.89
8.85
7
8.01
8.24
8.40
9.42
7.5
8.49
8.74
8.91
9.99
8
8.98
9.24
9.42
10.56
8.5
9.46
9.74
9.92
11.13
9
9.95
10.24
10.43
11.70
9.5
10.43
10.74
10.94
12.27
10
10.91
11.24
11.45
12.84
10.5
11.40
11.73
11.96
13.41
11
11.88
12.23
12.47
13.98
11.5
12.37
12.73
12.97
14.55
12
12.85
13.23
13.48
15.12
70
⑦ カントリーリスク分類 7 の場合
リスク
年
ソブリン
公的
民間銀行
民間債務者
0
1.84
1.89
1.93
2.16
0.5
2.41
2.48
2.53
2.83
1
2.98
3.07
3.12
3.50
1.5
3.55
3.65
3.72
4.18
2
4.12
4.24
4.32
4.85
2.5
4.69
4.83
4.92
5.52
3
5.26
5.42
5.52
6.19
3.5
5.83
6.01
6.12
6.86
4
6.41
6.59
6.72
7.54
4.5
6.98
7.18
7.32
8.21
5
7.55
7.77
7.92
8.88
5.5
8.12
8.36
8.52
9.55
6
8.69
8.95
9.12
10.22
6.5
9.26
9.53
9.72
10.90
7
9.83
10.12
10.31
11.57
7.5
10.40
10.71
10.91
12.24
8
10.98
11.30
11.51
12.91
8.5
11.55
11.89
12.11
13.58
9
12.12
12.47
12.71
14.26
9.5
12.69
13.06
13.31
14.93
10
13.26
13.65
13.91
15.60
10.5
13.83
14.24
14.51
16.27
11
14.40
14.83
15.11
16.94
11.5
14.97
15.41
15.71
17.62
12
15.54
16.00
16.31
18.29
71
72
3.2
3.2.1
ハンガリー
ハンガリーにおける公的貿易保険制度の概要
ハンガリーにおいて公的貿易保険を提供しているのは、国営企業であるハンガリー輸
出信用保険会社(Magyar Exporthitel Biztosito: MEHIB, Hungarian Export Credit
Insurance)である。
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
ハンガリー輸出信用保険会社(MEHIB)は金融リスクを低減し、ハンガリーと諸外国の
経済連携を強化し、ハンガリーの輸出事業者の国際競争力を高めることを目的として 1994
年に設立された。MEHIB の株式はハンガリー民営化国営持株会社( the Hungarian
Privatisation and State Holding Company Ltd.)及びハンガリー開発銀行が所有している。
MEHIB の諮問委員会は 7 名のメンバーから構成されており、資産額は 42.5 億ハンガリー
フォリントである38。
(2) 設立根拠法・関連法規
MEHIB の事業内容は 1994 年に制定された Act XLII、政府省令(Government Decree)
第 312/2001(XII.28)並びに保険法において規定されている。中でも ActXLII では、MEHIB
がの活動内容の詳細を規定しており、第 1 章セクション第 3(1)において、MEHIB は市
場性及び非市場性リスクに対して保険を提供することを規定している。
また、Act XLII 第 1 条セクション第 1(3)では、2003 年に制定された保険事業者及び
保 険 事 業 に 関 す る 法 律 LX ( ActLX on Insurance Institutions and the Insurance
Business)も MEHIB の事業活動を規定する旨が記述されている。
(3) 業務内容
MEHIB の商品には、中小企業向け保険、短期保険、中長期保険の 3 種類がある。中小企
業向け保険では、ハンガリーの中小企業に対し最大 12 ヶ月分の輸出信用保険を提供し、
MEHIB は最大 95%の信用リスクを引き受けることで中小企業に対し輸出を促進している。
短期保険では、通常 OECD 加盟国以外の国でリスクの高い国に対する船積前及び船積後
保険を提供している。また、中長期保険では、船積前保険、サプライヤークレジット保険、
バイヤークレジット保険、リース保険、銀行信用保険(Bank Guarantee Insurance)、投
資保険(Investment Insurance)
、タイド援助などを提供している。
(4) 政府との関係・役割分担
Act XLII 第 2 章では MEHIB の年次予算は中央政府予算から拠出すると定めている。
また、
MEHIB に対し年次報告書と会計記録を政府に対して提出することを義務付けている。
38
1フォリント=約 0.4 円(2009 年 3 月時点)
73
3.2.2
ハンガリーにおけるプレミアム制度
(1) プレミアムの考え方
MEHIB の公式ホームページでは、同機関が保険料率を算出する際に考慮する要素として
以下をあげている。
・ カントリーリスク分類
・ 債務者の格付け
・ カバー率
・ カバー期間
・ 分割払いの条件
・ 料率の支払い方法
・ その他要素
(2) カントリーリスクの考え方
1-7 の 7 分類としている。
MEHIB 公式ホームページでは、OECD の分類とは相違があり、
独自の分類を行っているとの説明がなされている。
図 3-4 MEHIB による国分類表
Brazil
Nigeria
Venezuela
Bhutan
Australia
Category 1
Bahamas
Category2
Brunei
Philippines
Yemen
Burkina Faso
Austria
Bahrain
Egypt
Uruguay
Zambia
Burundi
Belgium
Bulgaria
India
Vietnam
Canada
Chile
Kazakhstan
Czech Republic
Denmark
Finland
France
Germany
Great Britain
Greece
Hong Kong
Ireland
Italy
Japan
Kuwait
Luxembourg
Netherlands
New Zealand
Norway
Portugal
Singapore
Slovenia
Spain
Sweden
Switzerland
United Arab
United States
China
Croatia
Cyprus
Estonia
Iceland
Israel
Latvia
Lithuania
Malaysia
Malta (Gozo +)
Mexico
Oman
Poland
Qatar
Romania
Russia
Saudi Arabia
Slovakia
South Korea
Taiwan
Category 3
Barbados
Bermuda
Botswana
Mauritius
Morocco
Panama
Peru
South Africa
Thailand
Trinidad and
Tunisia
Turkey
Category 4
Albania
Algeria
Armenia
Azerbaijan
Colombia
Costa Rica
Dominican
El Salvador
Guatemala
Indonesia
Jordan
Macao
Macedonia
Montenegro
Category 6
Cameroon
Central African
Republic
Angola
Belize
Chad
Antigua and
Benin
Congo
Argentina
Bolivia
Côte d'Ivoire
Belarus
Cambodia
Cuba
BosniaDominica
Djibouti
Cape Verde
Ecuador
Eritrea
Georgia
Fiji Islands
Ethiopia
Ghana
Gabon
Gambia
Honduras
Grenada
Guinea
Jamaica
Iran
Guinea-Bissau
Kenya
Kyrgyzstan
Guyana
Lesotho
Lebanon
Haiti
Maldives
Libya
Iraq
Mongolia
Madagascar
Laos
Namibia
Moldova
Liberia
Pakistan
Mozambique
Malawi
Papua New Guinea Senegal
Mali
Paraguay
Seychelles Islands Mauritania
Saint Lucia
Swaziland
Myanmar
Serbia
Tanzania
Nepal
Sri Lanka
Turkmenistan
New Caledonia
Syria
Vanuatu
Nicaragua
Category 7
Uganda
Niger
Ukraine
Afghanistan
North Korea
Category 5
Bangladesh
Republic of the
Congo (Zaire)
Rwanda
Sao Tome and
Principe
Sierra Leone
Solomon Islands
Somalia
Sudan
Suriname
Tajikistan
Togo
Tonga Islands
Uzbekistan
Western Samoa
Zimbabwe
は OECD 分類と相違する国、または OECD では未分類の国
出所:MEHIB 公式ホームページ
(3) バイヤープレミアムの考え方
MEHIB 公式ホームページでは、バイヤー分類の考え方や、バイヤーの違いをどのように
料率に反映しているのかについて情報は提供されていない。
74
(4) 料率表
MEHIB 公式ホームページでは、短期の船積後保険及び中小企業(SME)向け保険につ
いて料率表が公開されている39。なお、MEHIB の提供する短期輸出信用保険は国家予算に
よって保証されるため、輸出品にはハンガリーの原産地証明書が必要となる。償還期間は
最長で 12 ヶ月である。
図 3-5 短期船積後保険の料率
期間
カテゴリー
1
2
3
4
1ヶ月
0.47%
0.71%
1.04%
1.66%
2ヶ月
3ヶ月
0.58%
0.87%
1.27%
2.03%
0.68%
1.02%
1.51%
2.40%
4-6ヶ月
0.79%
1.18%
1.73%
2.77%
7-12ヶ月
0.95%
1.42%
2.08%
3.32%
注)カバー率 90%、非常リスク・信用リスクをカバー。国カテゴリーは短
期では 4 段階とされており、先に示した 7 段階のカテゴリーとは異なる分
類が行われている。
図 3-6 短期輸出信用保険の国カテゴリー
Category 1
Hong Kong
Singapore
South Korea
Taiwan
Category 2
Bahamas
Bahrain
Botswana
Brunei
Chile
China
Croatia
Kuwait
Malaysia
Mexico
Oman
Qatar
Russia
Saudi Arabia
Umited Arab Emirates
Category 3
Albania
Algeria
Argentina
Armenia
Azerbaijan
Barbados
Belarus
39
Bermuda
Bosnia-Herzegovina
Brazil
Colombia
Costa Rica
Dominican Republic
Egypt
El Salvador
India
Indonesia
Israel
Jamaica
Jordan
Kazakhstan
Macao
Macedonia
Mauritius
Moldova
Mongolia
Montenegro
Morocco
Namibia
Panama
Peru
Philippines
Serbia
South African Republic
Thailand
Trinidad and Tobago
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
75
Tunisia
Turkey
Ukraine
Uruguay
Vietnam
Category 4
Angola
Antigua and Barbuda
Bangladesh
Belize
Benin
Bolivia
Cambodia
Cape Verde
Dominica
Ecuador
Fiji Islands
Gabon
Georgia
Ghana
Grenada
Guatemala
Honduras
Iran
Kenya
Kyrgyzstan
Lebanon
Lesotho
Libya
Madagascar
Maldives
Mozambique
Nigeria
Pakistan
Papua New Guinea
Paraguay
Saint Lucia
Senegal
Seychelles Islands
Sri Lanka
Swaziland
Syria
Tanzania
Turkmenistan
Uganda
Vanuatu
Venezuela
Yemen
Zambia
図 3-7 SME 向け保険の料率
期間
カテゴリー
1
2
3
4
1ヶ月
0.50%
0.75%
1.10%
1.75%
2ヶ月
3ヶ月
0.61%
0.92%
1.34%
2.14%
0.72%
1.08%
1.59%
2.53%
4-6ヶ月
0.83%
1.25%
1.83%
2.92%
7-12ヶ月
1.00%
1.50%
2.20%
3.50%
注)カバー率 95%、非常リスク・信用リスクをカバー。国カテゴリーは短
期では 4 段階とされており、先に示した 7 段階のカテゴリーとは異なる分
類が行われている。
図 3-8 SME 向け保険の国カテゴリー
Category 1
U.S.A
Australia
Austria
Belgium
Bulgaria
Canada
Cyprus
Czech Republic
Denmark
Estonia
Finland
France
Germany
Great Britain
Greece
Hong Kong
Iceland
Ireland
Italy
Japan
Latvia
Lithuania
Luxembourg
Malta(Gozo+)
Netherlands
New Zealand
Norway
Poland
Portugal
Romania
Singapore
Slovakia
Slovenia
South Korea
Spain
Sweden
Switzerland
Taiwan
Category 2
Bahamas
Bahrain
Botswana
Brunei
Chile
China
Croatia
Kuwait
Malaysia
Mexico
Oman
Qatar
Russia
Saudi Arabia
United Arab Emirates
Category 3
Albania
Algeria
Argentina
Armenia
Azerbaijan
Barbados
Belarus
Bermuda
Bosnia-Herzegovina
Brazil
Colombia
Costa Rica
Dominican Republic
Egypt
El Salvador
India
Indonesia
Israel
Jamaica
Jordan
Kazakhstan
Macao
Macedonia
Mauritius
Moldova
Mongolia
Montenegro
Morocco
Namibia
Panama
Peru
76
Philippines
Kenya
Serbia
Kyrgyzstan
South African Republic
Lebanon
Thailand
Lesotho
Trinidad and Tobago Libiya
Tunisia
Madagascar
Turkey
Maldives
Ukraine
Mozambique
Uruguay
Nigeria
Vietnam
Pakistan
Category 4
Papua New Guinea
Angola
Paraguay
Antigua and BarbudaSaint Lucia
Bangladesh
Senegal
Belize
Seychelles Islands
Benin
Sri Lanka
bolivia
Swaziland
Cambodia
Syria
Cape Verde
Tanzania
Dominica
Turkmenistan
Ecuador
Uganda
Fiji Islands
Vanuatu
Gabon
Venezuela
Georgia
Yemen
Ghana
Zambia
Grenada
Guatemala
Honduras
Iran
第4章
4.1
OECD 非加盟新興国のバイヤープレミアム制度
中国
4.1.1
中国における公的貿易保険制度の概要
中国には公的輸出信用機関として、中国輸出信用保険公司(Sinosure)と中国輸出入
銀行(Export-Import Bank of China)がある。これらのうち、公的貿易保険を提供す
るのは Sinosure である。以下では、これら両機関の概要をまとめた。
4.1.1.1
中国輸出信用保険公司(Sinosure)
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
中国において貿易保険業務を行っているのは 2001 年に設立された中国輸出信用保険公司
(Sinosure)である。1986 年に公的貿易保険機関である中国人民保険公司(People’s
Insurance Company of China:PICC)が輸出保険部門を設立、2 年後の 1988 年に輸出貿
易保険業務を開始した。その後 1994 年に中国輸出入銀行が輸出信用保険部門を設立し、
2001 年には PICC の輸出保険部門と中国輸出入銀行の保険事業部が統合され、Sinosure が
設立された。現在 Sinosure は中国唯一の公的貿易保険機関であり、短期輸出保険、中長期
輸出信用保険、投資保険、保証及び国内信用保険の業務を行っている。
Sinosure は国有の機関であり、財務省の管理下に置かれている。部際委員会は、各部署
と連携して、Sinosure の経営原則・方針(含むプレミアム制度の設計と調整)を管理する
機能を有している。
図 4-1 中国政府による Sinosure の管理体制
保険監督
委員会
財政部
商務部
外交部
発展改革
委員会
専門家
商社代表
部際委員会
Sinosure
また、Sinosure 内部には、リスク管理委員会を筆頭として、リスク管理部、貿易保険管
理部、資質・信用評価部が設置されており、プレミアム制度の設計や調整が行われている。
77
図 4-2 Sinosure の内部体制
リスク管理委員会
リスク管理部
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
保
険
管
理
部
貿易保険管理部
国
家
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
事
業
部
輸
出
貿
易
保
険
引
受
部
資質・信用評価部
貿
易
保
険
賠
償
受
理
部
国
内
貿
易
保
険
引
受
部
Sinosure の北京代表部には 19 事業部門及び 1 つのオペレーション部門が位置し、国内に
12 ヶ所の支部を構えている。2006 年末の Sinosure の職員数は 795 名であり、これらの職
員の 9 割が国際貿易、金融、保険、法律及び外国語を専門としている40。
(2) 設立根拠法・関連法規
2004 年に制定された「中華人民共和国対外貿易法」において、初めて輸出信用保険に関
する規定が定められた。対外貿易法第 53 条では、対外貿易を推進する為に、政府が輸出入
信用、輸出信用保険の供与、輸出税の還付等を行うことを許可している。
(3) 事業内容
Sinosure が提供している輸出支援制度としては、短期保険、中長期保険、投資保険など
がある。短期保険には包括保険(Conmprehensive Cover Insurance)
、ホールターンオー
バー保険(Whole Turnover Insurance)
、L/C 保険、特定バイヤー保険(Specific buyers
Insurance)
、特定契約保険(Specific Contract Insurance)などがある。また中長期保険に
は、バイヤーズクレジット保険、サプライヤーズクレジット保険などが含まれている。ま
た、投資保険には海外向け投資と国内向け投資の両者が含まれている。
国内向け投資については、主に香港、マカオ、台湾の投資家による中国本土への投資の
活性化を見込んで設置された。
(4) 政府との関係・役割分担
Sinosure は、中国政府の外交方針及び産業政策、金融政策に応じて中国の輸出及び対外
投資の活性化を図っている。特にハイテク、高付加価値の資本財の輸出を促進するため
輸出信用保険の提供を行なっている。
40
Sinosure Annual Report 2006
78
4.1.1.2
中国輸出入銀行(Export-Import Bank of China)
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
中国では 1949 年の建国以来、中国人民銀行が唯一の金融機関であったが、1994 年に金
融改革の一環として中国輸出入銀行が設立された。中国輸出入銀行は中国政府が 100%出資
している、国務院の直属の金融機関である。中国輸出入銀行は公的な貿易信用機関として
急速に拡大し、現在は国内に 10 ヶ所の拠点を有しているほか、ヨハネスブルグ、パリ、サ
ンクトペテルブルグに海外支部を設置している。中国からの輸出量が拡大するに当たり、
中国輸出入銀行の重要性も増していき、特に機械及び電子機器類の輸出については主要な
融資システムとなった。さらに、中国輸出入銀行は海外政府への借款の提供も行なってお
り、中国政府による無利子融資の唯一の貸し出し銀行となっている。
(2) 設立根拠法・関連法規
中国輸出入銀行は、1994 年 3 月に国務院において承認された「銀行憲章」(Bank
Charter)に基づいて運営されている。憲章では、銀行の事業内容の詳細を明記しているほ
か、理事会の構成及び任務、財務管理の方法等について規定している。
(3) 業務内容
中国輸出入銀行の主要業務としては、輸出金融(バイヤーズクレジット、サプライヤー
ズクレジット)、海外での建設・投資プロジェクトへの貸付、援助信用、保証、外国融資の
貸付などがある。
また、大型設備ユニット(技術の 50%以上が中国産のもの)
、一般機電製品(技術の 70%
以上が中国産のもの)
、ハイテク製品(技術の 50%以上が中国産のもの)の輸出支援を行っ
ている。さらに、政府の戦略貯蓄用物資・資源関連製品の輸入支援を実施している。
(4) 政府との関係・役割分担
中国輸出入銀行は、独自の資産の他に、国内市場向けに金融債権を販売し、保険事業の
ための資金を得ている。資産不足の際は、中国人民銀行(People's Bank of China)から
短期借入を行い、資金を調達している。
79
4.1.2
中国におけるプレミアム制度
中国において公的貿易保険を提供するのは Sinosure である。以下では、Sinosure の提供
する貿易保険について、プレミアム制度をまとめた。
(1) プレミアムの考え方
Sinosure に対するインタビュー調査の結果、同機関が保険料率を決定する際には以下の
要素を考慮しているとの回答があった。
・ 国のリスク
・ 与信期間の長さ
・ バイヤーの信用リスク
・ 担保者の信用リスク
・ リスクカバーの範囲
・ 取引・プロジェクトの商業リスク
・ その他の補助的な担保条件
・ その他
(2) カントリーリスクの考え方
国リスクについて、Sinosure は 2005 年から国を 9 段階に分類している。リスクが一番
高いランク(E 類)に入った国に対しては保険を供与しない。現状でのバイヤーズクレジッ
トは、国家リスクが中レベル以上のバイヤーに対して、保証を必要としている。実際には
国または地方政府の指示があれば、リスクの高い国に対しても料率を低減する場合がある。
Sinosure の国分類は、2008 年 12 月現在、図 4-3のとおりであった。
図 4-3 Sinosure の国分類(2008 年 12 月現在)
リスク
ランク
適用国家
リスクレベ
ル
A1
アンドラ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、スイス
A2
日本、シンガポール、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フ
ィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オラ
相当低い
ンダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、英国、米国、カナ
ダ、オーストラリア
B1
アラブ首長国連邦、香港、クウェート、台湾、キプロス、ギリシ
ア、アイスランド、マルタ、ポルトガル、ニュージーランド、プ
エルトリコ
B2
バーレーン、ブルネイ、イスラエル、韓国、マレーシア、オマー
ン、カタール、サウジアラビア、チェコ、ハンガリー、ポーラン やや低い
ド、スロヴェニア、ボツワナ、モーリシャス、バハマ群島、チリ
C1
インド、マカオ、タイ、エストニア(e)、ラトヴィア(e)、リ
トアニア(e)、スロバキア、エジプト、モロッコ、南アフリカ、
チュニジア、バルバドス、コスタリカ、メキシコ、パナマ、トリ
ニダード・トバゴ、ウルグアイ
80
最も低い
低い
中等
C2
カザフスタン(e)、モルジブ、フィリピン、ベトナム、ブルガリ
ア、クロアチア、モナコ、ナミビア(b)、ベリーズ(a)、ボリ やや高い
ビア、ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、ペルー
D1
バングラデシュ、ブータン(a)、東ティモール(a)、インドネ
シア、イラン(b)、ラオス、レバノン、モンゴル(b)、スリラ
ンカ、シリア、アルメニア(b)、アゼルバイジャン(b)、ルー
マニア、ロシア連邦(e)、サンマリノ、トルコ、アルジェリア(d)、
カーボベルデ、コートジボアール、ガボン、ザンビア、ガーナ、
ケニア、レソト(b)、リビア、 マダガスカル、セネガル、セイ
シェル、タンザニア(a)、 ウガンダ、フィジー、パプアニュー
ギニア、サモア、アンチグア・バーブーダ、アルゼンチン(f)、
ドミニカ、ドミニカ共和国(b)、グアテマラ、ガイアナ、ホンジ
ュラス、ジャマイカ、パラグアイ(d)、セントルシア、スリナム
共和国、ベネズエラ(b)
D2
カンボジア(a)、キルギス共和国(e)、北朝鮮(a)、ミャンマ
ー(a)、ネパール、パキスタン、タジキスタン(e)、トルクメ
ニスタン(e)、ウズベキスタン(e)、イエメン、アルバニア、
ベラルーシ(e)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(a)、グルジア(e)、
マケドニヤ、モルドバ(b)、ウクライナ(e)、セルビア・モン
テネグロ、アンゴラ、ベニン(b)、ブルキナファソ、カメルーン、
中央アフリカ共和国(a)、コンゴ共和国、ジブチ、赤道ギニア、 相当高い
エチオピア(a)、ギニア共和国、マラウイ、マリ、モーリタニア、
モザンビーク(a)、ニジェール(a)、ナイジェリア(c)(d)、
サントメ・プリンシペ、スーダン、スワジランド、トーゴ、ザン
ベジ(a)キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア、パラオ、ト
ンガ、バヌアツ、キューバ(b)(g)、エクアドル、ハイチ(a)、
ニカラグア
E
アフガニスタン、イラク、ブルンジ、チャド、コモロ、コンゴ民
主共和国、エリトリア、ギニアビサオ、リベリア(a)、ルワンダ、 最も高い
シエラレオネ、ソマリア、ジンバブエ
高い
注)国毎にさらに制限条件がある。その内容は下記のとおりである。
(a) CILC(Confirmed Irrevocable Letter of Credit)の場合だけ、保険を引き受ける。なおかつ
SINOSUREの認めた第三国の銀行からのConfirmationしか受け入れない。
(b) ILC( Irrevocable Letter of Credit): IL/CまたはCIL/Cの方法で清算する場合だけ、保
険を引き受ける。
(c) DP(Document against Payment ): IL/C、CIL/CまたはDPの方法で清算する場合だけ、
保険を引き受ける。
(d)(12mo):延期支払いに対して賠償を追求する場合、待つ期間を12ヶ月まで延長。
(e) SC(Special Conditions): 特別条件であり、カバー率を50%にすること。
(f) OFFC(Off Cover):暫時中止。
(g) CBC(Case by Case):個別対応。
出所:Sinosure 資料
81
(3) バイヤープレミアムの考え方
バイヤーの信用ランキング・担保者の信用ランキングは、Sinosure が自ら評価する。
Sinosure はバイヤーをそのリスクレベルに応じて図 4-4のとおり 10 段階に分類している。
Sinosure が有するデータバンクには、約 42 万社の海外企業の情報・データがあり、50 数
社の海外パートナーと情報交換や調査の方面で提携している。ランク付けには下記の要因
を考慮している。
・ 政策環境・政策からのサポート等
・ 経済環境
・ 業界特性・趨勢
・ 事業の競争状況
・ 財務状況・資金実力
・ 販売及び顧客の状態
・ 仕入れ及びサプライヤーの状態
・ 企業の得た資格・ランク付け等の状況
・ 企業の潜在力・将来性等
図 4-4 Sinosure のバイヤーリスク分類
等級
AAA
AA
A
BBB
BB
B
CCC
CC
C
NR
定
義
実力が最良、リスク抵抗力が非常に高い、資質信用状況が優秀
実力が強大、リスク抵抗力が高い、資質信用状況が良好
実力が比較的に強い、リスク抵抗力が比較的に高い、資質信用状況が正常
実力が普通、リスク抵抗力が普通、資質信用状況が普通
実力がやや低い、リスク抵抗力がやや小さい、資質信用状況が普通
実力が比較的に低い、リスク抵抗力が比較的に小さい、資質信用状況がまだ悪くない
実力が低い、リスク抵抗力が小さい、資質信用状況が比較的に悪い
実力が非常に低い、リスク抵抗力が非常に小さい、資質信用状況が悪い
倒産になりそうで、基本的には信用力なし
設立してから 1 年未満か休業、または評価に資する情報が不完全で、ランキングすること
ができない
出所:Sinosure 資料
82
(4) 料率表
Sinosure より、図 4-5のとおり短期の保険料率表を入手した。料率は案件毎に変化する
が、実際のプレミアムはその時の基礎料率の 100%-130%の範囲内で取り決めるとのこと
である。基礎料率表は時期によって異なり、この図は 2008 年における短期バイヤークレジ
ットに関する料率表である。
なお、中長期の料率表については、同機関によれば、中長期(1-12 年)バイヤークレジ
ットに対する保険料率は、約1%-15%であり、通常は保証を前提としているとのことで
ある。
図 4-5 Sinosure の短期保険料率表
単位:%
清算方法
L/C
信用期限
A1
A2
B1
B2
C1
C2
D1
D2
0—30 日
0.070
0.078
0.103
0.113
0.135
0.148
0.191
0.211
31—90 日
0.075
0.080
0.108
0.118
0.141
0.154
0.209
0.228
91—180 日
0.078
0.085
0.111
0.121
0.148
0.160
0.221
0.244
0.098
0.108
0.160
0.178
0.211
0.233
0.361
0.399
0.137
0.151
0.198
0.219
0.266
0.291
0.502
0.554
0.137
0.151
0.201
0.221
0.261
0.289
0.379
0.416
0.201
0.221
0.291
0.322
0.379
0.416
0.550
0.604
0.181
0.198
0.261
0.289
0.342
0.376
0.492
0.544
0.261
0.289
0.379
0.416
0.496
0.547
0.711
0.781
0.219
0.243
0.314
0.346
0.410
0.449
0.590
0.650
0.314
0.346
0.455
0.502
0.580
0.637
0.856
0.941
181—270
日
271—360
日
D/P
D/A・OA
D/P
D/A・OA
D/P
D/A・OA
0—30 日
31—90 日
91—180 日
D/P
181—270
0.286
0.314
0.410
0.449
0.534
0.588
0.768
0.846
D/A・OA
日
0.410
0.449
0.594
0.655
0.755
0.831
1.114
1.225
D/P
271—360
0.369
0.406
0.534
0.588
0.691
0.762
0.996
1.096
D/A・OA
日
0.534
0.588
0.771
0.848
0.979
1.076
1.445
1.590
出所:Sinosure資料
(5) 料率計算の流れ
Sinosure における保険料率計算の流れを、①国分類⇒②バイヤー分類⇒③その他要素の
順にフロー図として示したのが図 4-6である。
83
図 4-6 Sinosure における保険料率計算の流れ
① 国分類
A1
カテゴリ
A2
B1
B2
C1
C2
D1
D2
E
② バイヤー分類
バイヤーカテゴリー
AAA
AA
A
BBB
BB
B
CCC
CC
③ その他要素
1.
2.
3.
4.
5.
6.
与信期間の長さ
担保者の信用リスク
リスクカバーの範囲
取引・プロジェクトの商業リスク
その他の補助的な担保条件
その他
出所:Sinosure に対するインタビュー結果に基づき三菱総研作成
84
C
NR
4.2
ブラジル
4.2.1
ブラジルにおける公的貿易保険制度の概要
ブラジルの公的輸出信用機関としては、ブラジル輸出信用庁(SBCE)と、ブラジル国立
経済社会開発銀行輸出信用部門(BNDES-EXIM)がある。
4.2.1.1
ブラジル輸出信用庁(SBCE)
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
ブラジル輸出信用庁(Seguradora Brasileira de Crédito à Exportação S.A.: SBCE)は
1997 年に設立された民間企業であり、BNDES、ブラジル銀行、Minas Brasil Seguros、
Unibanco Seguros、フランス貿易保険会社大手 Coface などが主要株主となっている。
(2) 設立根拠法・関連法規
輸出信用保険に関連する法律には以下のものがある。





PORTARIA/MF #196 OF AUGUST 19th 1997:SBCE に対し輸出信用保険業務
を実施する権限を付与する法律
LAW # 6704 OF OCTOBER 26th 1979:輸出信用保険に関する規則
LAW # 9818 OF AUGUST 23rd 1999:輸出信用ファンド(Export Guarantee
Fund (FGE))設立に関する法律。政府による輸出信用保険業務の保証内容につい
て規定している。
DECREE # 4929 OF DECEMBER 23rd 2003:BNDES に対し輸出信用ファンド
の運営を行う権限を付与する省令。
DECREE # 4993 OF FEBRUARY 18th 2004:輸出の為の融資と保証委員会(the
Export Financing and Guarantee Committee – COFIG)の設立に関する省令。
(3) 事業内容
SBCE の事業内容としては、短期保険、2 年以上の中長期保険の提供が挙げられる。SBCE
が保証するリスクは、商業リスク、政治リスク及びその他の非常リスクである。
(4) 政府との関係・役割分担
SBCE は政府に代わり、信用リスク、非常リスク、その他の非常リスクをカバーしてい
る。中長期の信用リスク、政治リスク及びその他の非常リスクについては、輸出信用ファ
ンド(FGE)と呼ばれる国庫資金を財源としている。同ファンドは中央省庁などから構成
される理事会によって運営されており、財務省が議長を務め、開発商工省、外務省、中央
銀行、BNDES、ブラジル銀行などが理事会のメンバーとなっている。
また国営の再保険機関の IRB Brazil(Instituto de Resseguros do Brasil)が SBCE に対し
て再保険を提供している。
85
4.2.1.2
ブラジル国立経済社会開発銀行輸出信用部門(BNDES-EXIM)
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
ブラジル国立経済社会開発銀行輸出信用部門(BNDES-EXIM)は 1997 年に設立された
輸出信用機関であり、ブラジルの輸出事業者のために短期及び中長期保険を提供している。
ブラジル国立経済開発銀行(BNDES)は中長期借款の供与によってブラジルの発展を促進
させることを目的として 1952 年に設立された国営銀行であり、ブラジル企業に対して様々
な融資活動を行ってきた。1990 年にブラジルが市場開放政策に転じると、自国産業の輸出
競争力強化を目的とし、1991 年 BNDES の内部に BNDES-EXIM の前身である「Finamex」
が設立された。その後、1997 年に Finamex は BNDES-EXIM と改編された。
(2) 設立根拠法・関連法規
BNDES は 1952 年 6 月 20 日に法律第 1628 号に基づき設立された。その後 1971 年 6 月
21 日の法律第 5662 号及び省令第 68786 号によって、国有企業としての性格が位置づけら
れた。これらの法律及び省令の制定により、BNDES の資産は国立金融委員会(National
Monetary Council、 Conselho Monetario Nacional)が制定する予算会計規則に則り管理
されることとなった。
(3) 事業内容
BNDES-EXIM の事業内容は船積前と船積後の融資に分類することが出来る。船積前の
融資では、ブラジルの法律に基づき設立された国際競争力のある企業によって製造された
製品への融資を行う。他方船積後については、国際基準に則った輸出者に対するリファイ
ナンス又はバイヤークレジットの供与を通じた支援が行われる。BNDES は民間企業からの
要請に従い融資の検討を行っている。融資を受ける企業はエンブラエル社(中型航空機)、
マルコポーロ社(商用車)
、ブラジル国立石油公社(PETROBRAS)などが挙げられる。ブ
ラジルでは、短期の保険は民間企業が引受け、長期保険を政府が引き受けることが基本方
針となっている。
なお、これらの取引については BNDES の業務方針に即した形で実施されることとなっ
ている。
(4) 政府との関係・役割分担
BNDES-EXIM による輸出金融のほかに、1991 年に設立された PROEX(Programa de
Financiamento de Exportacao: 輸出金融プログラム)がある。PROEX はブラジル政府予
算により運営されるプログラムであり、商用銀行であるブラジル銀行(Banco do Brasil)
が実施機関となっている。PROEX では、ブラジル銀行の信任エージェントを通じて特別融
資条件で融資契約を締結することができる。
86
4.2.2
ブラジルにおけるプレミアム制度
ブラジルにおいて公的貿易保険を提供するのは SBCE のみである。以下では SBCE によ
るプレミアム制度についてまとめた。
(1) プレミアムの考え方
SBCE 公式ホームページの説明によれば、料率を決定する要素として以下を考慮すると
されている。
・ 輸入者の国
・ リスクタイプ(信用前、信用リスク)
・ リスクの種類(信用リスク、非常リスク、その他)
・ 事業の支払期日(the maturity of the operation)
・ 債務者の財務状況
(2) カントリーリスクの考え方
OECD 輸出信用アレンジメントのカントリーリスク分類(0-7 の 8 分類)と同一の分類
を採用している。
(3) バイヤープレミアムの考え方
信用リスクのバイヤーにかかわるファクターの料率への反映については、SBCE に対す
るインタビューにより次のとおり確認された。
まず、ソブリンについては、ブラジルは OECD の正式メンバーではないものの、公的輸
出信用部会の航空機セクター了解の会合にオブザーバーとして招かれて参加しているので、
その取り決めに基づきソブリンバイヤーの場合は Knaepen Package にもとづいて算出し
ている。これは同 Package が制定された 1997 年 から現在に至るまで、そのように行って
いる 。これまでに、SBCE が純粋ソブリンを対象として付保したことはあるが、サブソブ
リン(州、市政府、公団、公社)に対して付保した実績はない。SBCE の純粋ソブリンバ
イヤーはほとんどが、ラテンアメリカである。ラテンアメリカの Public Buyer(純粋ソブ
リン)に対しては CCR(Convênio de Pagamentos e Créditos Recíprocos = Reciprocal
Credit Agreement)を適用する場合がある。これは各国間の 3 ヵ月ごとの民間、公的機関を
含むすべての対象各国の債権債務取引状況を勘案して、4 ヶ月ごとに債務を決済するもので
あるが、同アグリーメントで定めた Public Buyer に対する評価基準が B 以上(CCR の基
準)の場合はこの措置を適用しない。
料率算定と調整においては次のような問題がある。例えば、料率算定における実務上の
難しさは、バイヤーが純粋ソブリンではない、すなわち、民間企業等の場合である。例え
ば、バイヤーが優良な民間企業で、カントリーリスクが発展途上国のように劣る場合をあ
げる。このような場合の料率を機械的に調整し、算定する「計算式」は持っていない。た
とえば、GE のように格付けが外部格付け機関の評価で AAA の企業がエクアドル(SBCE
でリスクが最低の「7」)で現地法人を有し、それがバイヤーになる場合、料率はカントリ
ーリスクが考慮されるため、この GE の現地法人は、米国で格付けが低い企業がカントリ
ーリスク「0」の米国においてバイヤーになる場合よりも保険料が高くなる。こうした「ゆ
がみ」には調整が必要であるが、技術的に難しいところとなっている。
現在のところ、こうしたゆがみを調整するための方法として、SBCE は独自のバイヤー
評価(「クレジットリスク評価」)を行い、それを加味して「ゆがみ」を調整している 。
ちなみに SBCE では出資者である Coface の評価を中長期保険に活用しながらも、
「ゆがみ」
87
の調整は最終的には独自の 5 段階の「クレジットリスク評価」で行っている。より具体的
に言うと、事業の性質、事業契約の範囲、事業の収益性、信用供与期間の長さを勘案する。
こうして設定する A、B、C、D、E のランクに個別バイヤーを当てはめ、料率決定に反映
させるのである。
このリスク評価の仕方は具体的には、第一にバイヤーのこれまでの財務諸表、各セクタ
ーにおける相対的なパフォーマンスである。第二に信用供与される期間におけるバイヤー
の(事業の基づく)キャッシュフローのプロジェクションを行う。おおよそこのような作
業の結果に基づき、ランク付けを行っている。A はきわめて優良な企業、いわば、ある意味
でソブリンに近い程度の低いリスクのバイヤーと考えてよい。すなわち、理屈的には
Knaepen Package に基づく料率に近いレベル料率になるとも言える。それに比べて、B に
なると料率は 2 割増、C になると料率は 5 割増、D では 10 割増、E は「不適格」とするも
のである。したがって、理屈的には民間バイヤー最高料率となるクレジットリスク D と判
定された企業の場合とソブリンと同様の企業の場合を比較すると約 2 倍の差がつく。
なお、SBCE では個別のバイヤーの評価に当たって、予め業種をカテゴライズして料率
を考慮する作業を実際上は行っていない。すなわち、民間銀行と一般企業を異なるカテゴ
リーで取り扱うことはない。銀行に対する内部の様々な格付け作業の過程において、結果
的に一般企業と料率に差が出ることはあるが、事前にアプリオリに債務者が銀行だからと
いう特別の枠組みを設けて、料率設定に反映させることはない。ただし、OECD で決めら
れているように SBCE が取り扱うことが比較的多い航空機等はセクター了解となっており、
OECD での処理の仕方に準じている。
一般の案件とプロジェクトファイナンス(SBCE では「ストラクチャードファイナンス」
との呼称がなじんでいる)の場合とでは以下のような考え方で異なる取り扱いをしている。
プロジェクトファイナンスの実例を挙げる。たとえば、カントリーリスク7の国で特別目
的会社(Special Purpose Compnay: SPC)があり、それがプロジェクトを実施していると
する。その SPC がキャッシュフロー収入の一部をカントリーリスク 0 の国に設けた外国銀
行エスクロ勘定に送金し、留保する場合は、「カントリーリスク7の国のプロジェクトで
あっても、カントリーリスク 0 の国の銀行支店に開設されたエスクロ勘定に配分されるキ
ャッシュフロー収入の割合が多ければ、その割合に応じてカントリーリスク 0 が反映され
る」ように調整する。また、オーナー企業(出資企業)の事業遂行能力やオーナー企業所
在国のカントリーリスクも考慮にいれる場合がある41。
(4) 料率計算の流れ
SBCE の料率計算の流れを、同機関公式ホームページの料率算出画面の手順にのっとって、
①国分類⇒②バイヤー分類⇒③リスク分類⇒④その他要素の順にフロー図として示したの
が図 4-7である。
なお、OECD の公的輸出信用アレンジメントに基づき、ブラジルの MRP(Minimum Premium Rate)
は Below Standard であり、契約金額に対してのみのカバーであり、保険金請求猶予期間中の金利はカバ
ーしない。割り増し保険金を徴収せずに猶予期間中の金利をカバーすることもないし、Letter of Credit 等
に対する無条件なカバーもしていない。
41
88
図 4-7 SBCE における保険料率計算の流れ
① 国分類
カテゴリ
OECD
リスク分類
0
0
1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
6
6
7
7
* 国カテゴリー0,1は同一料率
② バイヤー分類
バイヤーカテゴリー
公的セクター
民間セクター
民間銀行
③ リスクの種類
通常またはソブリン
から選択
非常危険または
非常+信用危険
から選択
非常+信用危険
④ その他要素42
1. 保険価額
2. 頭金比率
3. 元本の据置期間
4. 利率の据置期間
5. 保険期間
6. 金利の種類
7. 保険料支払い方法
8. スプレッド
9. 保険料の融資の有無
10. 償還方法
US$で値を入力
パーセンテージを入力
月数を入力
月数を入力
クレジット期間の年数を入力
LIBORまたはCIRR 選択
前払いまたは償還時 選択
年率を入力
有無を選択
SACまたはPRICE 選択
出所:SBCE 公式ホームページ料率計算画面及び現地インタビュー結果に基づき作成
LIBOR(London Inter-Bank Offer Rate), CIRR(Commercial Interest Reference Rate)
SAC(Sistema de Amortização Constante):均一に元金部分が減尐、これにつれ金利も低減する償還方法
(元金均等償還)
Price:フランス式償還システムとも呼ばれる。毎回の返済額(元金・金利の合計)を均等にした償還方法
(元利均等償還)
42
89
(5) 料率表
SBCE 公式ホームページの料率計算画面より料率表を作成した43。なお、以下の料率は、
2009 年 1 月から 3 月にかけて、同計算画面において算出した結果をまとめたものである。
① カントリーリスク分類 0 の場合
リスク
年
公的
ソブリン
0
民間
通常
料率
民間銀行
最高料率
0
0
0
0
0
0.5
0.39838
0.42584
0.40101
0.80202
0.40811
1
0.44964
0.48068
0.45675
0.91350
0.47098
1.5
0.49827
0.53272
0.50983
1.01966
0.53111
2
0.54847
0.58644
0.56450
1.12900
0.59291
2.5
0.60165
0.64334
0.62227
1.24454
0.65795
3
0.65271
0.69796
0.67785
1.35570
0.72072
3.5
0.70657
0.75560
0.73636
1.47272
0.78665
4
0.75842
0.81108
0.79280
1.58560
0.85035
4.5
0.81405
0.87060
0.85320
1.70640
0.91835
5
0.86682
0.92706
0.91061
1.82122
0.98316
5.5
0.90810
0.97123
0.95596
1.91192
1.03490
6
0.95963
1.02637
1.01206
2.02412
1.09827
6.5
1.01125
1.08161
1.06826
2.13652
1.16177
7
1.06298
1.13695
1.12459
2.24918
1.22538
7.5
1.11480
1.19241
1.18100
2.36200
1.28911
8
1.16672
1.24795
1.23753
2.47506
1.35297
8.5
1.21872
1.30360
1.29415
2.58830
1.41693
9
1.25061
1.33771
1.32939
2.65878
1.45744
9.5
1.30096
1.39161
1.38425
2.76850
1.51946
10
1.35135
1.44551
1.43913
2.87826
1.58148
10.5
1.40174
1.49944
1.49404
2.98808
1.64353
11
1.45217
1.55339
1.54896
3.09792
1.70562
11.5
1.50260
1.60736
1.60390
3.20780
1.76772
12
1.55307
1.66135
1.65887
3.31774
1.82984
注)対象国としてオーストラリアを選択した。各種条件として、バイヤーズクレジット、
頭金比率=15%、金利=LIBOR、スプレッド=1%、償還方法=SAC、償還間隔=6 ヶ月を選択
した。以下の他の国分類のケースでも同様の条件を適用した。
43
参照資料のリンクは巻末資料 3 を参照。
90
② カントリーリスク分類 1 の場合
リスク
年
0
公的
ソブリン
民間
通常
料率
民間銀行
最高料率
0
0
0
0
0
0.5
0.39838
0.42584
0.40101
0.80202
0.40811
1
0.44964
0.48068
0.45675
0.91350
0.47098
1.5
0.49827
0.53272
0.50983
1.01966
0.53111
2
0.54847
0.58644
0.56450
1.12900
0.59291
2.5
0.60165
0.64334
0.62227
1.24454
0.65795
3
0.65271
0.69796
0.67785
1.35570
0.72072
3.5
0.70657
0.75560
0.73636
1.47272
0.78665
4
0.75842
0.81108
0.79280
1.58560
0.85035
4.5
0.81405
0.87060
0.85320
1.70640
0.91835
5
0.86682
0.92706
0.91061
1.82122
0.98316
5.5
0.90810
0.97123
0.95596
1.91192
1.03490
6
0.95963
1.02637
1.01206
2.02412
1.09827
6.5
1.01125
1.08161
1.06826
2.13652
1.16177
7
1.06298
1.13695
1.12459
2.24918
1.22538
7.5
1.11480
1.19241
1.18100
2.36200
1.28911
8
1.16672
1.24795
1.23753
2.47506
1.35297
8.5
1.21872
1.30360
1.29415
2.58830
1.41693
9
1.25061
1.33771
1.32939
2.65878
1.45744
9.5
1.30096
1.39161
1.38425
2.76850
1.51946
10
1.35135
1.44551
1.43913
2.87826
1.58148
10.5
1.40174
1.49944
1.49404
2.98808
1.64353
11
1.45217
1.55339
1.54896
3.09792
1.70562
11.5
1.50260
1.60736
1.60390
3.20780
1.76772
12
1.55307
1.66135
注)対象国として香港(中国)を選択した。
1.65887
3.31774
1.82984
91
③ カントリーリスク分類 2 の場合
リスク
年
0
公的
ソブリン
民間
通常
料率
民間銀行
最高料率
0
0
0
0
0
0.5
0.45790
0.48926
0.45971
0.91942
0.46678
1
0.57109
0.61003
0.57655
1.15310
0.59074
1.5
0.68094
0.72723
0.69004
1.38008
0.71125
2
0.79284
0.84662
0.80558
1.61116
0.83389
2.5
0.90927
0.97086
0.92574
1.85148
0.96131
3
1.02274
1.09192
1.04289
2.08578
1.08565
3.5
1.14082
1.21791
1.16477
2.32954
1.21489
4
1.25585
1.34065
1.28354
2.56708
1.34092
4.5
1.37739
1.47033
1.40895
2.81790
1.47391
5
1.49430
1.59507
1.52966
3.05932
1.60199
5.5
1.59120
1.69845
1.62987
3.25974
1.70858
6
1.70580
1.82073
1.74820
3.49640
1.83416
6.5
1.82063
1.94325
1.86677
3.73354
1.95999
7
1.93570
2.06602
1.98556
3.97112
2.08606
7.5
2.05097
2.18901
2.10459
4.20918
2.21238
8
2.16645
2.31223
2.22384
4.44768
2.33893
8.5
2.28215
2.43569
2.34330
4.68660
2.46572
9
2.35991
2.51863
2.42380
4.84760
2.55147
9.5
2.47228
2.63853
2.53983
5.07966
2.67464
10
2.58470
2.75848
2.65592
5.31184
2.79784
10.5
2.69716
2.87847
2.77206
5.54412
2.92111
11
2.80966
2.99850
2.88823
5.77646
3.04441
11.5
2.92221
3.11860
3.00445
6.00890
3.16778
12
3.03481
3.23873
注)対象国としてオマーンを選択した。
3.12072
6.24144
3.29118
92
④ カントリーリスク分類 3 の場合
リスク
年
0
公的
ソブリン
民間
通常
料率
民間銀行
最高料率
0
0
0
0
0
0.5
0.57932
0.62028
0.58098
1.16196
0.58800
1
0.77209
0.82654
0.77746
1.55492
0.79153
1.5
0.96037
1.02798
0.96941
1.93882
0.99044
2
1.15144
1.23241
1.16417
2.32834
1.19224
2.5
1.34927
1.44407
1.36578
2.73156
1.40104
3
1.54285
1.65121
1.56310
3.12620
1.60548
3.5
1.74355
1.86595
1.76764
3.53528
1.81734
4
1.93972
2.07584
1.96758
3.93516
2.02448
4.5
2.14609
2.29665
2.17789
4.35578
2.24230
5
2.34540
2.50991
2.38105
4.76210
2.45275
5.5
2.51315
2.68938
2.55214
5.10428
2.63018
6
2.70874
2.89865
2.75151
5.50302
2.83673
6.5
2.90470
3.10832
2.95126
5.90252
3.04369
7
3.10106
3.31842
3.15141
6.30282
3.25104
7.5
3.29779
3.52890
3.35194
6.70388
3.45880
8
3.49488
3.73979
3.55283
7.10566
3.66694
8.5
3.69235
3.95106
3.75412
7.50824
3.87547
9
3.82827
4.09648
3.89281
7.78562
4.01939
9.5
4.02021
4.30185
4.08846
8.17692
4.22210
10
4.21222
4.50730
4.28419
8.56838
4.42490
10.5
4.40431
4.71282
4.48000
8.96000
4.62778
11
4.59648
4.91844
4.67589
9.35178
4.83074
11.5
4.78873
5.12413
4.87185
9.74370
5.03377
12
4.98104
5.32989
注)対象国としてモロッコを選択した。
5.06789
10.13578
5.23689
93
⑤ カントリーリスク分類 4 の場合
リスク
年
0
公的
ソブリン
民間
通常
料率
民間銀行
最高料率
0
0
0
0
0
0.5
0.76638
0.82051
0.76700
1.53400
0.77352
1
1.05252
1.12657
1.05631
2.11262
1.06940
1.5
1.33253
1.42606
1.33947
2.67894
1.35906
2
1.61639
1.72966
1.62650
3.25300
1.65263
2.5
1.90982
2.04351
1.92316
3.84632
1.95600
3
2.19735
2.35105
2.21389
4.42778
2.25335
3.5
2.49508
2.66949
2.51491
5.02982
2.56116
4
2.78639
2.98107
2.80946
5.61892
2.86242
4.5
3.09244
3.30840
3.11887
6.23774
3.17882
5
3.38838
3.62493
3.41809
6.83618
3.48485
5.5
3.63865
3.89262
3.67126
7.34252
3.74391
6
3.92916
4.20334
3.96500
7.93000
4.04435
6.5
4.22025
4.51467
4.25933
8.51866
4.34538
7
4.51190
4.82662
4.55423
9.10846
4.64698
7.5
4.80411
5.13915
4.84969
9.69938
4.94918
8
5.09687
5.45228
5.14571
10.29142
5.25194
8.5
5.39018
5.76599
5.44229
10.88458
5.55527
9
5.59358
5.98352
5.64808
11.29616
5.76592
9.5
5.87873
6.28853
5.93642
11.87284
6.06085
10
6.16402
6.59366
6.22490
12.44980
6.35589
10.5
6.44942
6.89891
6.51348
13.02696
6.65105
11
6.73494
7.20429
6.80218
13.60436
6.94634
11.5
7.02056
7.50978
7.09099
14.18198
7.24173
12
7.30630
7.81539
注)対象国としてコロンビアを選択した。
7.37992
14.75984
7.53725
94
⑥ カントリーリスク分類 5 の場合
リスク
年
0
公的
ソブリン
民間
通常
料率
民間銀行
最高料率
0
0
0
0
0
0.5
1.14786
1.26323
1.14647
2.29294
1.15344
1
1.52847
1.68211
1.52977
3.05954
1.54377
1.5
1.90018
2.09118
1.90416
3.80832
1.92509
2
2.27743
2.50635
2.28409
4.56818
2.31202
2.5
2.66803
2.93622
2.67744
5.35488
2.71253
3
3.05027
3.35687
3.06240
6.12480
3.10456
3.5
3.44654
3.79299
3.46145
6.92290
3.51089
4
3.83386
4.21924
3.85152
7.70304
3.90813
4.5
4.24134
4.66768
4.26185
8.52370
4.32592
5
4.63486
5.10076
4.65817
9.31634
4.72951
5.5
4.96602
5.46520
4.99179
9.98358
5.06943
6
5.35218
5.89019
5.38071
10.76142
5.46550
6.5
5.73911
6.31601
5.77039
11.54078
5.86234
7
6.12679
6.74266
6.16082
12.32164
6.25996
7.5
6.51521
7.17012
6.55202
13.10404
6.65833
8
6.90436
7.59839
6.94393
13.88786
7.05746
8.5
7.29423
8.02745
7.33658
14.67316
7.45732
9
7.56253
8.32272
7.60694
15.21388
7.73289
9.5
7.94149
8.73977
7.98862
15.97724
8.12158
10
8.32060
9.15700
8.37043
16.74086
8.51042
10.5
8.69986
9.57438
8.75240
17.50480
8.89943
11
9.07928
9.99194
9.13452
18.26904
9.28859
11.5
9.45884
10.40965
9.51679
19.03358
9.67790
12
9.83855
10.82753
注)対象国としてグアテマラを選択した。
9.89922
19.79844
10.06736
95
⑦ カントリーリスク分類 6 の場合
リスク
年
0
公的
ソブリン
民間
通常
料率
民間銀行
最高料率
0
0
0
0
0
0.5
1.61181
1.77334
1.60797
3.21594
1.61494
1
2.07506
2.28286
2.07345
4.14690
2.08745
1.5
2.52620
2.77907
2.52685
5.05370
2.54778
2
2.98482
3.28350
2.98772
5.97544
3.01564
2.5
3.46073
3.80696
3.46590
6.93180
3.50100
3
3.92558
4.31824
3.93303
7.86606
3.97519
3.5
4.40833
4.84922
4.41809
8.83618
4.46753
4
4.87946
5.36741
4.89151
9.78302
4.94812
4.5
5.37607
5.91363
5.39050
10.78100
5.45457
5
5.85482
6.44021
5.87158
11.74316
5.94292
5.5
6.25496
6.88030
6.27380
12.54760
6.35145
6
6.72454
7.39679
6.74569
13.49138
6.83048
6.5
7.19504
7.91430
7.21849
14.43698
7.31044
7
7.66646
8.43280
7.69221
15.38442
7.79134
7.5
8.13877
8.95230
8.16684
16.33368
8.27316
8
8.61197
9.47277
8.64235
17.28470
8.75587
8.5
9.08605
9.99421
9.11875
18.23750
9.23949
9
9.40885
10.34925
9.44332
18.88664
9.56926
9.5
9.86949
10.85590
9.90621
19.81242
10.03918
10
10.33031
11.36275
10.36931
20.73862
10.50930
10.5
10.79132
11.86981
10.83257
21.66514
10.97961
11
11.25251
12.37707
11.29603
22.59206
11.45009
11.5
11.71388
12.88453
11.75967
23.51934
11.92077
12
12.17543
13.39218
注)対象国としてモンゴルを選択した。
12.22348
24.44696
12.39163
96
⑧ カントリーリスク分類 7 の場合
リスク
年
0
公的
ソブリン
民間
通常
料率
民間銀行
最高料率
0
0
0
0
0
0.5
2.27117
2.49750
2.26342
4.52684
2.27040
1
2.81861
3.09929
2.81218
5.62436
2.82618
1.5
3.34961
3.68301
3.34455
6.68910
3.36548
2
3.89068
4.27779
3.88697
7.77394
3.91489
2.5
4.45396
4.89699
4.45157
8.90314
4.48666
3
5.00267
5.50017
5.00163
10.00326
5.04380
3.5
5.57391
6.12812
5.57423
11.14846
5.62367
4
6.13019
6.73963
6.13187
12.26374
6.18848
4.5
6.71821
7.38602
6.72127
13.44254
6.78534
5
7.28364
8.00758
7.28807
14.57614
7.35942
5.5
7.75152
8.52190
7.75726
15.51452
7.83491
6
8.30573
9.13113
8.31284
16.62568
8.39764
6.5
8.86103
9.74155
8.86952
17.73904
8.96147
7
9.41739
10.35315
9.42726
18.85452
9.52638
7.5
9.97482
10.96592
9.98606
19.97212
10.09238
8
10.53329
11.57983
10.54590
21.09180
10.65943
8.5
11.09279
12.19487
11.10678
22.21356
11.22752
9
11.46787
12.60718
11.48300
22.96600
11.60895
9.5
12.01122
13.20446
12.02770
24.05540
12.16067
10
12.55479
13.80199
12.57262
25.14524
12.71262
10.5
13.09857
14.39976
13.11776
26.23552
13.26479
11
13.64257
14.99776
13.66312
27.32624
13.81717
11.5
14.18678
15.59600
14.20868
28.41736
14.36978
12
14.73120
16.19446
注)対象国としてルワンダを選択した。
14.75445
29.50890
14.92259
97
98
4.3
インド
4.3.1
インドにおける公的貿易保険制度の概要
イ ン ド の 公 的 輸 出 信 用 機 関 と し て は 、 1982 年 に 設 立 さ れ た イ ン ド 輸 出 入 銀 行
(Export-Import Bank of India)及び 1957 年に設立されたインド輸出信用保証公社
(Export Credit Guarantee Corporation)がある。
4.3.1.1
インド輸出信用公社(ECGC)
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
ECGC は 1957 年にインド政府によって設立された公社であり、輸出信用の供与を通じて
インドの対外貿易を促進させることを目的としている。ECGC は商業産業省及び商業省の
管轄下に置かれており、ECGC の活動方針は政府関係者、インド準備銀行(Reserve Bank
of India)及びその他の関連事業者(金融、保険、輸出関係者)から構成される理事会にお
いて決定されている。
ECGC は、インドの各地地域に支部を有しており、ニューデリー、コルカタ、ムンバイ、
チェンナイ及びバンガローを中心に 51 の事務所を設置している。
(2) 設立根拠法・関連法規
ECGC は、1938 年保険法(Insurance Act of 1938)に基づき、会計報告を行なっている。
(3) 事業内容
ECGC の業務内容には、輸出保険の提供、輸出に関する情報提供、独自の信用ランクに
よる輸出相手国の情報提供、融資、債務返済支援等がある。 ECGC の保険及びサービスは
以下の通りである。
・ 銀行融資向け輸出信用保証:信用、保証その他輸出金融を供与する銀行向けの保証
・ 海外建設保険:海外で建設業務を行なうインド企業向けの危険・事故等に対する保
険
・ バイヤーズクレジット保険:海外のバイヤー及び金融機関に対するクレジットへの
保険
・ 小規模輸出者向け輸出保険:輸出額が年間 500 万ルピーの小規模の輸出者向け
・ 資本財輸出契約保険:中長期の信用を用いて資本財輸出、及びターンキープロジェ
クト向け
・ 短期船積み保険:180 日以下の船前・船後に係るリスクをカバーする。
・ 商業信用リスク保険:債務者のデフォルトによる損失をカバーする保険
ECGC は従来、中長期プロジェクト保険も含めてすべて自己勘定で行ってきた。このた
め、ECGC はリスク回避的にならざるを得ず、中長期、大型案件について引受を拒否せざ
るを得ない場合が多かった。これではインドの輸出競争力を維持できないということにな
り、2006 年に政府勘定による National Export Insurance Account が創設された。各種報
道によれば、設立時における同勘定の規模は、200 億ルピー(約 4 億 5,200 万ドル)であっ
たと報じられている。この政府勘定は ECGC の自己勘定とは完全に切り離されており、
ECGC はあくまで代行業務を行う。Coface や Euler Hermes が政府勘定の代行業務を行っ
99
ているのと同様である。政府勘定について、付保にかかわるリスク評価は自己勘定の場合
と同様に ECGC が行う。異なるのは最終リスクを国が負うか、ECGC が負うかという点で
ある。
(4) 政府との関係・役割分担
ECGC の出資金約 50 億ルピーは、政府による出資である。ECGC は途上国の ECA 機関
としては例外的に 50 年近い長い経験があり、インドの輸出増大につれ ECGC のプレミア
ム収入は急速に増加している。また ECGC は国営の再保険企業 GIC などと再保険契約を締
結している。
4.3.1.2
インド輸出入銀行(Export-Import Bank of India)
(1) 名称、沿革、組織概要(人員数、社内体制など)
インド輸出入銀行は 1982 年、貿易の円滑化及び投資の促進を目指して設立された国有銀
行である。同行は設立当初より輸出融資の提供を行なっており、インド産業、とりわけ中
小企業のグローバル化支援を実施してきた。現在、インド輸出入銀行は、バイヤーズ・クレ
ジット、サプライヤーズ・クレジットのほかに、ライン・オブ・クレジット(Line of Credit)
を輸出促進の主要スキームとしている。
インド輸銀はムンバイの本社のほかに、インドと海外に 14 支部を設置している。
図 4-8 インド輸出入銀行の組織図
プロジェクトファイナンス・
トレードファイナンス
国内企業
ライン・オフ・クレジット
コーポレートバンキング・
事業開発
運営情報システム
人材管理
企業管理
Raj Bhasha
事務局長
大規模企業
中小企業・農業ビジネス
会
長
・
最
高
経
営
責
任
者
コーポレートファイナンス
事務局長
リスク分析・信用マネジメント
法務
情報技術(IT)
内部監査
研究・計画
ビジネスアドバイザー
業務
出所:インド輸出入銀行 2008 年年次報告書より三菱総研作成
(2) 設立根拠法・関連法規
インド輸銀は 1981 年に制定されたインド輸出入銀行法
(Export-Import Bank of India
Act 1981)に基づき設立された。また、インド輸出入銀行関連規則(一般規則、証券
関連規則、年金関連規則)が制定されており、インド輸銀の活動を規定している。
100
(3) 事業内容
インド輸銀の主な事業内容は、輸出融資、海外投資支援、ライン・オブ・クレジット、
中小企業及び農業支援、映画産業への融資、農村支援がある。重点支援分野としては、農
産品、衣料、交通機器、機械、消費財、医薬品などが挙げられる。また、同行は中小企業
支援を重点的に実施しており、2007 年に中小企業向けの M&A ファンドを開始している。
(4) 政府との関係・役割分担
インド輸銀の予算は商業銀行、国内及び国外の基金、市場から調達している。
4.3.2
インドにおけるプレミアム制度
インドにおいて公的貿易保険を提供するのは ECGC のみである。以下では ECGC による
プレミアム制度についてまとめた。
(1) プレミアムの考え方
ECGC に対するインタビューによれば、ECGC は、保険料率を決定する際に、契約金額、
信用期間、カントリーリスク、財務状況等を含むバイヤーの信用度等を考慮しているとの
ことである。
(2) カントリーリスクの考え方
ECGC は、カントリーリスクを 7 段階に分類している。一番リスクが低い方から、A1
(highly low)、A2(low)、B1(moderately low)、B2(moderate)、C1(moderately high)、
C2(high)、C3(very high)に分類される。
(3) バイヤープレミアムの考え方
ECGC に対するインタビューによれば、バイヤーリスクについては、OECD 加盟国が一
般にしているように、入り口の段階で、Public Buyer か Private Buyer かに区別して考え
ることは ECGC としては行っていないとのことである。あくまで、Buyer の財務状況、債
務負担能力を個別に判断し、ソブリンであるか民間であるかにかかわらず、財務ベースで
判断する。ECGC として、バイヤーを予め分類してそれに応じた料率レベルを決定すると
いうことはしていない。また、S&P や Moody’s といった格付け機関による格付けと企業の
リスクレベルの判断を直接結びつけるようなこともしていない。あくまで案件毎、バイヤ
ー毎に財務や格付けなど各種要因を分析し、ECGC として独自の判断を行う。
101
102
第5章
ケーススタディによる比較
これまでの各国 ECA 毎の情報を踏まえつつ、具体的に同一の条件で保険料率の算出を行
った場合に如何なる類似点・相違点が認められるかを確認するためにケーススタディによ
る比較を行った。
本調査では、比較するケースとして以下の 7 つのケースを設定した。
ケース①: 先進国向けで、民間の非優良バイヤーである場合
⇒台湾を対象国・地域とし、OECD アレンジメントにおいて先進国向けで認められ
る最長信用期間 8.5 年のケースを想定した。バイヤー分類は各 ECA の分類に拠っ
た。
ケース②: 中進国向けで、民間の非優良バイヤーである場合
⇒メキシコを対象国・地域とし、OECD アレンジメントにおいて中進国向けで認め
られる最長信用期間 8.5 年のケースを想定した。バイヤー分類は各 ECA の分類に
拠った。
ケース③: 途上国向けで、民間の優良バイヤーである場合
⇒ウクライナを対象国・地域とし、OECD アレンジメントにおいて途上国向けで認
められる最長信用期間 10 年のケースを想定した。バイヤー分類は各 ECA の分類
に拠った。
ケース④: 途上国向けで、民間の非優良バイヤーである場合
⇒ウクライナを対象国・地域とし、OECD アレンジメントにおいて途上国向けで認
められる最長信用期間 10 年のケースを想定した。バイヤー分類は各 ECA の分類
に拠った。
ケース⑤: 途上国向けで、サブソブリン(地方自治体等)がバイヤーである場合
⇒ウクライナを対象国・地域とし、OECD アレンジメントにおいて途上国向けで認
められる最長信用期間 10 年のケースを想定した。バイヤー分類は各 ECA の分類
に拠った。
ケース⑥: 途上国向けで、銀行に対する保険・保証の場合
⇒ウクライナを対象国・地域とし、OECD アレンジメントにおいて途上国向けで認
められる最長信用期間 10 年のケースを想定した。バイヤー分類は各 ECA の分類
に拠った。
ケース⑦: 途上国向けプロジェクトファイナンスの場合
⇒必要に応じウクライナを対象国・地域とし、OECD アレンジメントにおいてプロ
ジェクトファイナンスに関し認められる最長信用期間 14 年のケースを想定した。
これらの 7 つのケースについて、各 ECA の公式ホームページの料率計算画面からの算出
結果や、直接の照会結果に基づいて作成したのが図 5-1の比較表である。各 ECA とも選択
できる条件の範囲や、入力できる条件の内容が尐しずつ異なるため、単純に比較すること
には十分に注意する必要があるが、おしなべて、同一のケースについては似通った基礎料
率を設定していることが分かる。
バイヤー分類について言えば、先進国 ECA はバイヤー分類別に基礎料率を区別して設定
しているが、英国 ECGD のように投資格付けが一定以上であれば優良民間バイヤーと標準
民間バイヤーの料率を結果として区別していない場合もある。また、民間バイヤー、サブ
ソブリン、銀行の 3 者の間では、サブソブリンが最も料率が低くなり、続いて銀行、民間
バイヤーとなる傾向があることが分かった。
103
図 5-1 ケーススタディによる料率比較表
ケース①:先進国向
け、民間非優良バイ
ヤー(台湾、8.5年)
ドイツ
(Euler Hermes)
フランス
(Coface)
オランダ
(Atradius)
英国
(ECGD)
米国
(USEXIM)
チェコ
(EGAP)
バイヤー分類:
KK4
ケース②:中進国向
け、民間非優良バイ
ヤ ー ( メ キ シ コ 、 8.5
年)
4.80%
バイヤー分類:
KK4
ケース③:途上国向
け、民間優良バイヤ
ー ( ウ ク ラ イ ナ 、 10
年)
9.45%
バイヤー分類:
KK2
ケース④:途上国向
け、民間非優良バイ
ヤー(ウクライナ、10
年)
11.45%
バイヤー分類:
KK4
1.62%
バイヤー分類:
民間バイヤー(標準)
3.04%
バイヤー分類:
民間バイヤー(標準)
9.04%
バイヤー分類:
民間バイヤー(優良)
10.98%
バイヤー分類:
民間バイヤー(標準)
N/A
3.25%
10.79%
11.57%
9.60%
バイヤー分類:
Good private buyer
(投資格付け企業)
Pre-finance period:0
カバー率:
非常98,信用95
9.52%
バイヤー分類:
Standard private
buyer
(非投資格付け企
業)
Pre-finance period:0
カバー率:
非常98,信用95
9.52%
バイヤー分類:
Lower authority
(サブソブリン)
Pre-finance period:0
カバー率:
非常95,信用95
3.74%
バイヤー分類:
Standard private
buyer
(非投資格付け企
業)
Pre-finance period:0
カバー率:
非常98,信用95
3.74%
バイヤー分類:
BB+または同等の
企業
PreCredit Period:1ヶ
月
カバー率:95%
バイヤー分類:
BB+または同等の
企業
PreCredit Period:1ヶ
月
カバー率:95%
バイヤー分類:
Investment Gradeま
たは同等の企業
PreCredit Period:1ヶ
月
カバー率:95%
バイヤー分類:
BB+または同等の
企業
PreCredit Period:1ヶ
月
カバー率:95%
1.80%
2.72%
9.46%
9.46%
3.75%
バイヤー分類:
格付けがBB+,BBの
企業
Drawdown Period:0
カバー率:95%
1.20%
バイヤー分類:
Private Debtor
Draw down period:
1M
カバー率:95%
バイヤー分類:
格付けがBB+,BBの
企業
Drawdown Period:0
カバー率:95%
2.95%
バイヤー分類:
Private Debtor
Draw down period:
1M
カバー率:95%
バイヤー分類:
格付けがBBB以上
の企業
Drawdown Period:0
カバー率:95%
バイヤー分類:
格付けがBB+からB
までの企業
Drawdown Period:0
カバー率:95%
10.32%
ケース⑤:途上国向
け、サブソブリン(ウ
クライナ、10年)
ケース⑥:途上国向け、銀行に対する保険・
保証(ウクライナ、10年)
8.87%
バイヤー分類:
SK4
8.75%
バイヤー分類:
BK2
9.30%
バイヤー分類:
(公的)
9.35%
バイヤー分類:
BK4
8.64%
9.30%
14.27%
期間:14年
非常+信用リスク
9.79%
10.33%
N/A
バイヤー分類:
Good bank
Pre-finance period:0
カバー率:
非常98,信用95
バイヤー分類:
Standard bank
Pre-finance period:0
カバー率:
非常98,信用95
バイヤー分類:
銀行(優良)
バイヤー分類:
銀行(標準)
N/A
N/A
N/A
8.60%
9.46%
16.97%
バイヤー分類:
格付けがBB-以上の
公的機関
Drawdown Period:0
カバー率:95%
バイヤー分類:
Unrated Largest (Profitable) Financial
Institution
Drawdown Period:0
カバー率:95%
9.03%
バイヤー分類:
Private Debtor
Draw down period:1M
カバー率:95%
104
ケース⑦:途上国向
けプロジェクトファイ
ナンス(ウクライナ、
14年)
N/A
バイヤー分類:
Public Debtor(地方
自治体または公的機
関)
Draw down period:
1M
カバー率:95%
期間:14年
現地通貨獲得型プロ
ジェクト(ディスカウン
トなし)
9.20%
バイヤー分類:
Private Bank
Draw down period:1ヶ月
カバー率:95%
N/A
ケース①:先進国向
け、民間非優良バイ
ヤー(台湾、8.5年)
SBCE
(ブラジル)
中国
(Sinosure)
インド
(ECGC)
料率 1.32%
ケース②:中進国向
け、民間非優良バイ
ヤ ー ( メ キ シ コ 、 8.5
年)
料率 2.38%
最高料率 2.63%
バイヤー分類:
Private
頭金比率:15%
据置期間(元本・利
息):6ヶ月
保険料融資:なし
カバー率:
非常95,信用90
最高料率 4.76%
バイヤー分類:
Private
頭金比率:15%
据置期間(元本・利
息):6ヶ月
保険料融資:なし
カバー率:
非常95,信用90
1.25%
2.66%
カバー率:90%
カバー率:90%
その他条件:保証必
須
4.24%
バイヤー:民間
カバーリスク:非常リスク・信用リスク
頭金:15%
カバー率:90%
4.24%
ケース③:途上国向
け、民間優良バイヤ
ー ( ウ ク ラ イ ナ 、 10
年)
ケース④:途上国向
け、民間非優良バイ
ヤー(ウクライナ、10
年)
料率 8.37%
ケース⑤:途上国向
け、サブソブリン(ウ
クライナ、10年)
最高料率 16.74%
N/A
N/A
バイヤー分類:
Private
頭金比率:15%
据置期間(元本・利息):6ヶ月
保険料融資:なし
カバー率:
非常95,信用90
料率 8.51%
ケース⑦:途上国向
けプロジェクトファイ
ナンス(ウクライナ、
14年)
N/A
N/A
バイヤー分類:
Private Bank
頭金比率:15%
据置期間(元本・利息):6ヶ月
保険料融資:なし
カバー率:非常95,信用90
7.84%
カバー率:90%
その他条件:保証必
須
ケース⑥:途上国向け、銀行に対する保険・
保証(ウクライナ、10年)
8.02%
7.11%
カバー率:90%
その他条件:保証必
須
6.10%
バイヤー:民間
カバーリスク:非常リスク・信用リスク
頭金:15%
カバー率:90%
7.38%
7.56%
12.39%
カバー率:90%
-
-
-
注1)
ウクライナは国カテゴリー5 として計算した。
(OECD のカントリー分類では、ウクライナのカテゴリーは 2009 年 1 月から 2 月にかけて 5 から 6 に変更された。
)
注2)
ドイツ、フランスについては料率算出式をもとに独自に計算した。オランダ、英国、米国、チェコ、ブラジルについては公式ホームページの料率計算画面より算出した。
中国については現地コンサルタントを通じたインタビューにより Sinosure より情報を入手した。インドについては現地インタビューの後、E メールにて ECGC より情
報を入手した。
注3)
料率の下の各欄には、それぞれの ECA 毎に入力が求められる条件について如何なる条件を入力したかを記載した。それぞれ如何なる条件の入力を求められるかは本文
中各国 ECA に関するページを参照。
注4)
中国についてのみ、すべてのケースについて信用期間 8 年として計算されている。
105
106
第6章
6.1
市場との関係
貿易保険市場と CDS 等の競合市場との関係
企業がリスク回避のために用いる手段は 1990 年代以降多様化が進んできた。債権化やデ
リバティブといった金融商品の発達はこのような多様化を促し、近年では、これらの商品
が貿易保険と競合するケースも多く見られるようになってきた。とりわけ近年、貿易保険
との間で競合が指摘されてきたのがクレジット・デフォルト・スワップ(Credit Default
Swap: CDS)である。CDS は主に銀行がリスク回避手段として取引し、「保険(insurance)」
とまで呼ばれることもある。特に、金融・保険市場が安定的に推移してきた 2008 年初頭頃
までの数年間においては、特に短期の取引において、銀行が貿易保険を買う代わりに CDS
を取引する傾向が強まり、貿易保険会社も、短期銀行向けの保険料率を下げたり、カバー
率を 100%にしたりする等、CDS に対抗するサービス提供を求められるケースも増えてい
た。しかしながら、2008 年秋のリーマンショックを契機に急激に悪化した世界金融危機の
中で、多額の CDS を発行していた AIG が経営難に追い込まれたり、他にも CDS 市場に深
く参入していた金融・保険機関が多額の損失を出したりする中で、CDS 市場に対する信頼
は大きく揺らいできた。
本調査では、このような動向を踏まえ、主として CDS 市場に焦点を当てて、貿易保険と
の関連を検討することとした。なお、今次調査当初は、先進国・新興国を含めて各国毎の
状況を調査・検討しようと試みたが、CDS 等の金融商品は、先進国間では国境を越えて広
く取引されており、個別の国毎の取引を正確に把握することは困難であった。また、一部
に入手可能な各国毎の統計を参照したとしても、貿易保険との間で有意義な比較を行うこ
とは困難であった。例えば、米国や英国の銀行・保険会社が購入したり、提供したりして
いる CDS の規模を把握したところで、それが米国や英国の輸出者や銀行向けの信用リスク
カバーの規模を意味するわけではない。このような状況に鑑み、先進国とのかかわりにお
いては、個別の国毎ではなく、あくまでグローバルなトレンドを確認することとした。一
方、新興国については、今回現地訪問調査等により直接 ECA に対してヒアリングを行うこ
とができた中国、ブラジル、インドの 3 ヶ国について、それぞれの国での CDS 等の金融商
品と貿易保険との関係について聞き取りをベースに調査をし、まとめることとした。
6.2
CDS 市場の概要と最近の動向
CDS は、クレジット・デリバティブの代表例であり、銀行や企業が信用リスクをヘッジ
する手段として用いるものである。CDS は、保証と経済効果や取引の構成が類似している
といわれている44。保証は、債権者は債務者との債権債務関係を維持したまま付加的に締結
される。保証人は元本相当額を予め支払うことはなく、信用リスクの主体が不払いなどを
起こした際に支払を行う。CDS も同じように、債権者が債務者との関係を維持した状態の
ままで、信用リスクの移転のみを行う取引である。
CDS には、
「プロテクションの売り手」と「プロテクションの買い手」が存在する。CDS
では、プロテクションの売り手に対して、保証を受ける側であるプロテクションの買い手
が保証料に相当するプレミアムを支払う。取引期間中に対象となる信用リスク主体が倒産
以下、CDS に関する説明は河合祐子・糸田真吾「クレジット・デリバティブのすべて(第 2 版)
」
(財経
詳報社、2007 年)に拠った。
44
107
したり不払いを起こしたりするような事態に至り、かつその事態の公示性などの一定の要
件が満たされれば、売り手から買い手に対して支払が発生する。保証と CDS の大きな相違
点の一つは、CDS でプロテクションを買う際に、その買い手は、CDS と個別の取引を結び
つける必要はないことである。CDS は基本的に参照組織(Reference Entity)の信用リス
ク全体を対象とする。
図 6-1 は、CDS のグローバル市場の残高推移を示したものである。CDS 市場は、1990
年代はほとんど皆無であったものが、2000 年頃より取引がなされるようになり、近年急激
に拡大した。しかし、2007 年下半期から 2008 年上半期にかけて世界金融市場の落ち込み
を受けて残高規模が縮小しており、2009 年 3 月時点では 2008 年下半期のデータは存在し
ないが、2008 年秋以降はさらに落ち込んでいることが容易に推測できる。とはいえ、既に
これまでに拡大した CDS 市場が 2000 年以前の水準にまで落ち込み、消滅してしまうこと
も考えにくい。現在、国際社会では、CDS を中心とするクレジット・デリバティブやその
他金融派生商品に対する規制強化が声高に叫ばれており、具体策も講じられ始めている。
今後具体的に如何なる規制強化が図られていくのか現時点では明らかでないが、一定の規
制が整備されたもとで、CDS 取引は今後も続いていくものと考えられる。
図 6-1 CDS のグローバル市場の残高推移
70,000.00
単位:10億米ドル
60,000.00
50,000.00
40,000.00
30,000.00
20,000.00
10,000.00
20
01
年
20 上
01 半
年 期
20 下
02 半
年 期
20 上
02 半
年 期
20 下
03 半
年 期
20 上
03 半
年 期
20 下
04 半
年 期
20 上
04 半
年 期
20 下
05 半
年 期
20 上
05 半
年 期
20 下
06 半
年 期
20 上
06 半
年 期
20 下
07 半
年 期
20 上
07 半
年 期
20 下
08 半
年 期
上
半
期
-
出所:国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA: International Swaps and Derivatives
Association)公式ホームページ(http://www.isda.org/)
6.3
新興国における貿易保険市場と CDS 等関連市場
本調査では、対象国のうち現地訪問調査または現地コンサルタントを通じたインタビュー
調査を行った中国、インド、ブラジルの新興 3 ヶ国の ECA に対して、CDS 等の競合商品
の市場動向と貿易保険との関係について質問を行った。その結果、これらのいずれの国に
おいても CDS 等の貿易保険関連商品の国内市場は発達しておらず、それぞれの国の国内企
108
業の輸出リスクをヘッジする手段としては貿易保険が重要な手段となっていることが確認
された。CDS 市場が発達しない理由としては、インドのように金融機関に対する政府当局
の規制が厳しく、CDS のようなハイリスク商品の扱いが困難となっているという理由もあ
るし、また、これらの新興国では、地場銀行の信用力が十分でなく CDS が発行できなかっ
たり、国際的な金融・保険機関もリスクレベルが未だに高いこれら新興国の銀行に対して
CDS の提供に積極的でなかったりする事情が考えられるであろう。
また、CDS 以外では、中国において、一部の外資系金融・保険機関によって factoring や
forfeiting といった保険との競合商品が提供されていることが確認された。
これらの商品は、
インド、ブラジルといった他の新興国でも小規模であっても提供されていることが想像さ
れる。しかし、中国において、factoring は債権買取にあたって適用される割引率が 10%か
ら 20%と高水準であり、貿易保険の競合とはなりえていない状況であることも分かった。
6.4
今後の貿易保険市場への示唆
2000 年以降、とりわけ 2001 年 9 月 11 日の米国同時多発テロ以降は、国際金融市場を揺
るがす大きな事件もなく、大きな保険事故も起こらなかったことから、世界の金融・保険
市場は活況を呈し、その中で、貿易保険やその関連商品についても民間を含めた引受キャ
パシティが大きく拡大していた。なかでも CDS 市場は急激に拡大し、特に短期取引・銀行
向け取引では、貿易保険の強力な競合相手として浮上した。また、CDS ではカバーしきれ
ない中長期や大規模なリスクについても、伝統的な ECA ではなく、AIG 等の民間企業が引
き受ける状況が散見されるようになっていた。
しかしながら、2008 年秋以降に急激に悪化した世界金融不況は、そのようなこれまでの
トレンドの修正を迫る機会となった。CDS に対する規制が求められるようになり、リスク・
ヘッジ手段としての貿易保険に対する再評価の声も聞かれるようになっている。そもそも、
近年の民間キャパシティの拡大トレンドの中にあっても、中長期・大規模案件であったり、
政治リスクをともなう案件であったりする場合には、引き続き ECA の果たす役割が大きい
ことが市場関係者の意識として共有されていた。そのような中で、比較的リスクレベルが
低いと思われるところに、CDS 等の代替商品や民間キャパシティの拡大が見られてきた。
今回の世界金融危機はこのような拡大にも一旦ブレーキをかける役割を担ったといえるで
あろう。
とはいえ、既に述べたとおり CDS 市場がこれを期に消滅することは考えられないし、民
間保険会社のキャパシティが回復すれば、比較的リスクレベルの低い中長期・大規模案件
に民間キャパシティが提供される傾向は今後も続いていく可能性がある。民間参入が可能
なところには民間参入を促しつつ、そもそも民間企業が引き受けられなかったり、今回の
世界金融危機の状況下のように民間キャパシティが急激に縮小したときにも十分なリス
ク・ヘッジを与えられたりすることが今後 ECA に求められる役割となっていくだろう。
109
110
巻末参考資料
巻末参考資料1:海外調査インタビュー録(ブラジル、インド)
Ⅰ.ブラジル調査
1.SBCE(ブラジル輸出信用保険会社)
<中長期保険(Export Guarantee Fund による保険)料率の算定の考え方について>
・ ご質問の料率決定については、考え方だけをお話する。信用リスクと非常リスクをカ
バーする場合と非常リスクのみのカバーの商品に別れるが、非常リスクについてはカ
ントリーリスクの(他の多くの国と同様に)7段階(0~7)のカテゴリー45を設定
し、そのカテゴリーを料率計算に反映させている。
・ 信用リスクのバイヤーにかかわるファクターの料率への反映であるが、まず、ソブリ
ンについて。OECD の正式メンバーではないものの、公的輸出信用部会の航空機セク
ター了解の会合にオブザーバーとして招かれて参加しているので、その取り決めに基
づき、ソブリンバイヤーの場合は Knaepen Package にもとづいて算出している。こ
れは同 Package が制定された 1997 年46から現在に至るまで、そのように行っている
47。
・ ちなみに、純粋ソブリンを対象として付保したことはあるが、サブソブリン(州、市
政府、公団、公社)に対して付保した実績はない。
・ SBCE の純粋ソブリンバイヤーはほとんどが、ラテンアメリカである。ラテンアメリ
カの Public Buyer(純粋ソブリン)に対しては CCR(Convênio de Pagamentos e
Créditos Recíprocos = Reciprocal Credit Agreement)を適用する場合がある。これは
各国間の 3 ヵ月毎の民間、公的機関を含むすべての対象各国の債権債務取引状況を勘
案して、
4 ヶ月ごとに債務を決済するものであるが、
同アグリーメントで定めた Public
Buyer に対する評価基準が B 以上(CCR の基準)の場合はこの措置を適用しない。
<実務上の問題:料率算定と調整の考え方>
・ 料率算定における実務上の難しさは、バイヤーが純粋ソブリンではない、すなわち、
民間企業等の場合である。一般論は議論が複雑になるので、質問状の case 1 にある
ようにバイヤーが優良な民間企業で、カントリーリスクが発展途上国のように劣る場
合で話をする。このような場合の料率を機械的に調整し、算定する「計算式」は持っ
ていない。
・ たとえば、GE のように格付けが外部格付け機関の評価で AAA の企業がエクアドル
(SBCE でリスクが最低の「7」)で現地法人を有し、それがバイヤーになる場合、
料率はカントリーリスクが考慮されるため、この G.E.の現地法人は米国で格付けが
低い企業がカントリーリスク「0」の米国においてバイヤーになる場合よりも保険料
SBCE 内部のカントリーリスクレポート作成チームが各国のマクロ経済、政治情勢を元に作成するが参
考にするのはブラジル中央銀行、統計局、IMF,世界銀行、IMF、UN,WTO,ブルームバーグ、Economist
Intelligence Unit の資料である。
(SBCE Annual Report 2007、P.31)
46 同年、SBCE が設立(SBCE 広報資料)
。
47 ラテンアメリカの Public Buyer に対しては CCR(Convenio de Pagamentos e Creditos Reciprocos)を
摘要する。この協定に参加している銀行の国はアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、
エクアドル、メキシコ、パラグアイ、ペルー、ドミニカ、ウルグアイ、ベネズエラである。これは各国間
の 3 ヵ月後との民間、公的機関を含むすべての債権債務取引状況を勘案して、4 ヶ月ごとに債務を決済す
るものであるが、SBCE 内部の Public Buyer に対する評価が B 以上の場合はこの措置を適用しない。
45
113
・
・
・
が高くなる。こうした「ゆがみ」には調整が必要であるが、技術的に難しいところと
なっている。
現在のところ、こうしたゆがみを調整するための方法として、SBCE 独自のバイヤー
評価(
「クレジットリスク評価」
)を行い、それを加味して「ゆがみ」を調整している
48。ちなみに SBCE では出資者である COFACE の評価を中長期保険に活用しながら
も、
「ゆがみ」の調整は最終的には自前の5段階の「クレジットリスク評価」で行っ
ている。やや具体的に言うと、事業の性質、事業契約の範囲、事業の収益性、信用供
与期間の長さを勘案する。こうして設定する A、B、C、D、E のランクに個別バイヤ
ーを当てはめ、料率決定に反映させるのである。
この内部の Corporative risk の評価の仕方について考え方をいうと、第一にバイヤ
ーの Historical な財務諸表、各セクターにおける相対的なパフォーマンスである。
第二に信用供与される期間におけるバイヤーの(事業の基づく)キャッシュフローの
プロジェクションを行う。おおよそこのような作業の結果に基づき、ランク付けを行
うのである。
A はきわめて優良な企業、いわば、ある意味でソブリンに近い程度の低いリスクのバ
イヤーと考えていただいてよい。すなわち、理屈的には Knaepen Package に基づく
料率に近いレベル料率になるとも言える。それに比べて、B になると料率は2割増、
C になると料率は 5 割増、D では 10 割増、E は「不適格」とするものである。した
がって、
理屈的には民間バイヤー最高料率となるクレジットリスク D と判定された企
業の場合とソブリンと同様の企業の場合を比較すると約2倍の差がつく。
<セクター毎の差別や一般案件とプロジェクトファイナンスの違いについて>
・ 個別のバイヤーの評価に当たって、アプリオリに業種をカテゴライズして料率を考慮
する作業は実際上は行っていない。すなわち、民間銀行と一般企業を異なるカテゴリ
ーで取り扱うことはない。銀行に対する内部の様々な格付け作業の過程において、結
果的に一般企業と料率に差が出ることはあるが、事前にアプリオリに債務者が銀行だ
からという特別の枠組みを設けて、料率設定に反映させることはない。ただし、OECD
で決められているように SBCE が取り扱うことが比較的多い航空機等はセクター了
解となっており、このような SBCE 独自の方とは違っている。
・ 一般の案件とプロジェクトファイナンス(SBCE では「ストラクチャードファイナン
ス」との呼称がなじんでいる)の場合とでは以下のような考え方で異なる取り扱いを
している。
・ プロジェクトファイナンスの実例を挙げる。たとえば、カントリーリスク7の国で
SPC があり、それがプロジェクトを実施しているとする。その SPC がキャッシュフ
ロー収入の一部をカントリーリスク0の国に設けた外国銀行エスクロ勘定に送金し、
留保する場合は、
「カントリーリスク7の国のプロジェクトであっても、カントリー
リスク0の国の銀行支店に開設されたエスクロ勘定に配分されるキャッシュフロー
収入の割合が多ければ、その割合に応じてカントリーリスク0が反映される」ように
調整する。また、オーナー企業(出資企業)の事業遂行能力も勘案する。さらにはオ
ーナー企業所在国のカントリーリスクも考慮にいれる場合がある。
<MPR について>
・ OECD の公的輸出信用アレンジメントに基づき、ブラジルの MPR(Minimum
SBCE の Risk Management Pricing, Medium and Long Term Department が毎年、
バイヤーの評価
(内
部格付)を見直している。SBCE は3名の人員しかいないので、Moody's の協力を得て、作業をする。
48
114
Premium Rate)は Below Standard であり、契約金額に対してのみのカバーであり、
保険金請求猶予期間中の金利はカバーしない。割り増し保険金を徴収せずに猶予期間
中の金利をカバーすることもないし、Letter of Credit 等に対する無条件なカバーも
していない。
<貿易保険の競合商品について>
・ 現在の金融状況ではどうかと思うが、流動性の観点から Credit Default Swap や
Bond を利用したリスク・ヘッジ商品は理屈上は短期保険商品の競合になりえると思
う。しかもそうした市場が発達した先進国に限られるのではないか。たとえば、今後、
将来の大きなマーケットとして期待できるアフリカやキューバに対する保険と競合
するとは思えない。他方、SBCE が多く手がけている 8 年から 15 年の「長期」案件
での競合はまったく考えられない。
<航空機セクターについて>
・ SBCE としてはバイヤー企業のリスク格付け AAA、AA~D を Y 軸に、貸付期間を X
軸に置いて表を設定して、ぞれぞれのカラムに OECD で設定されるスプレッドを配
するといった形になるであろう。この企業のリスク格付けに関して、SBCE は Moody's
の協力を得ている。
・ ブラジルとして関心をもつ航空機輸出への融資(BNDES-EXIM)や保険料(SBCE)
はボーイング、エアバス(カテゴリー1)、エンブラエル、ボンバルディア、三菱重
工(カテゴリー2)
、ヘリコプターメーカー、小型ジェット(カテゴリー3)という
ように3種類に分けてそれら毎のバイヤーの格付(Y 軸)と融資期間(X 軸)を設定
し、OECD のセクター了解に基づいた金利や保険料が設定される、という仕組みにな
っている。
・ なお、2007 年から OECD の航空機セクターのセクター了解の会合に招待され、議論
に参画している。そこでの議論により、今後、航空セクターの料率の算定はこれまで
の Knaepen Package とは異なるものになるかもしれない。
115
2.BNDES-EXIM、Economic Research Area
<BNDES-EXIM のオペレーションについて>
・
・
・
ブラジル政府の輸出支援にはいくつかのスキームがあるが、質問は融資についてであ
るので、それについて回答する。ブラジル企業の輸出に関する融資は同じ国営である
Banco do Brazil も行っているが、彼らは同じ国有銀行でも商業銀行であるので、基
本的にコマーシャルベースで行っている。他方、BNDES-EXIM の場合は FAT
(Workers Welfare Fund:大蔵省の管轄する基金で国内雇用創出のための事業を行う
ファンド)を使って輸出信用を供与している。貸付対象企業は国内の輸出企業、貸付
対象にローカルコストやワーキングキャピタルは入らない。長期融資に限ることも特
徴である。
1997 年から BNDES の活動分野として輸出融資が導入されたものである。
FAT という安全な運用を求められているファンドを原資にしているため、航空機以外
(大型資本財、インフラ、建設等)の輸出案件ではバイヤーは純粋なソブリンだけが
債務者となりうるようにしている。輸出促進のための融資となると、ブラジルの輸出
者がブラジル国内で生産した輸出製品の金額分だけを融資するというきわめて狭い
スキームである。
ディスバースするのはブラジル輸出者の国内開設銀行口座に対してレアルで行う。し
かも融資対象はブラジル国内で生産した「ブラジルコンテント」(ブラジル国内での
付加価値創出が金額ベースで 60%以上)に相当する部分である。これが、アンタイ
ドローンなど借入人たる相手国に直接ディスバースするメニューをもつ日本や欧米
先進国の輸出入銀行と違うところである。また、OECF(現 JICA 有償資金協力部門)
による円借款とも異なる。債務者は純粋なソブリン(外国中央政府)に限るところも
違う。BNDES-EXIM は外国の地方政府や公団・公社なども借入人としない。この
ように純粋ソブリンの外国バイヤーを想定していないし、これからもこの方針は当分
変わらないであろう。
<金利決定のファクターとしてのカントリーリスクについて>
・ 純粋ソブリン融資に限定しているのでカントリーリスクが金利決定の大きなファク
ターになる。融資対象国は原則的に中南米国だけとしている。しかも、チリ、メキシ
コ、アルゼンチン等は対象になっているが、ボリビア等は率直に言って、現在、融資
適格国にカテゴライズしていない。したがって、カントリーリスクが金利決定の大き
な要因といってもよい。例外的にアンゴラは 1991 年に G-G ベースでアグリーメント
が結ばれていたので、BNDES-EXIM のカントリーリスクで不適格である。しかし、
一種の「国策」
(G-G ベースでのコミットメント)となっていたので、その国策に沿
う 形 で 2006 年 か ら ソ ブ リ ン ベ ー ス で ブ ラ ジ ル 銀 行 案 件 の 信 用 保 証 ( Bank
Guarantee)を行ったものである。このようにソブリンとはいっても機械的にカントリ
ーリスクが必ずしも金利を 100%が決めるというオペレーションをしてない点を理
解してほしい。
・ 融資金利決定においては言うまでもなく、LIBOR を基に算定するが、航空機以外の
場合は、それに加えるスプレッドはレアルのキャピタルマーケットの金利情勢も勘案
せざるを得ない。日本、欧米先進国と違い、レアルで中長期資金を調達する国内キャ
ピタルマーケットはきわめて脆弱であり、限定的である。したがって、輸出信用のオ
ペレーションを大胆に拡大することには足かせがある。これは中南米全般にわたって
言えることで、ブラジルはまだ比較的よいほうである。これがゆえに中南米でまとも
な輸出信用を行う ECA(融資)はブラジルとメキシコだけといってもよい。
116
<プロジェクトファイナンスへの融資について>
・
・
・
BNDES-EXIM においてプロジェクトファイナンスの経験はきわめて尐ない。水力発
電、市内交通(MTR)、道路等の案件に参画した。すべて、ラテンアメリカ域内の案
件である。これらはオフテイク条項、バンクギャランティーなどを含むリスク・ヘッ
ジした案件であったが、それでも契約条項には一部に相手国政府(ソブリン)にリス
ク・ヘッジを求めるものを含まざるを得ない案件である。
そもそも、実際問題として、
「純粋な」(完全なノンリコースという意味)プロジェク
トファイナンスは存在しないだろう。それでもプロジェクトファイナンスは BNDES
-EXIM としては大きなリスクを負った案件という認識であり、融資条件の詳細は差
し控えるが融資条件は銀行としての収益性という観点からは問題があるものであっ
た。ありていに言えばリスクに見合った金利が設定できなかった。
ブラジル側の実施機関として「収益性」について満足しているところはないであろう。
したがって、ブラジル政府として個別案件毎に政策的な要求がないかぎり、
BNDES-EXIM としてプロジェクトファイナンスを積極的に拡大していくという考
えがコンセンサスにはならないだろう。
<
CDS やボンド市場が輸出信用の競合商品になるかどうかについて>
・ 現在の金融危機により先進国においても信用供与能力が致命的に低下しており
("Collapsed"という表現)
、また金融商品(デリバティブやスワップ)によってリス
ク・ヘッジするという機運は大きく縮小している。そもそもブラジルの国内キャピタ
ル市場はきわめて小さく、国内金融の枠組み(「ソフトカレンシーであるレアル建の
資金調達」という意味)でオペレーションを行っている BNDES-EXIM の輸出金融
に対して CDS やボンドが競合してくる可能性はない。また、あまり外国機関向け債
権を増やすと BIS の自己資本比率 8%に引っかかる恐れがあるので、急速にオペレー
ションを拡大するつもりはない。この意味でも、航空機セクター向け融資以外におい
ては BNDES-EXIM はきわめてドメスティックな色合いの濃い存在である。
117
3.BNDES-EXIM、Export Credit Area
<BNDES-EXIM の輸出信用の主要セクターである航空機セクターについて>
・ BNDES-EXIM が外国民間バイヤーに信用を供与するのは航空機セクターのみであ
る。具体的には米国等の先進国の航空会社である。ただし、今後は中国の航空会社も
バイヤーになってくるかもしれない。航空機セクターへの輸出信用供与は言うまでも
な く 、 OECD の 公 的 輸 出 信 用 部 会 の 航 空 機 セ ク タ ー 了 解 ( Aerospace Sector
Understanding:ASU)に準じて行っている。
<航空機セクターにおける金利決定のファクターについて>
・ OECD 公的輸出信用部会の航空機セクター了解(ASU)における金利算定の方式が金
利決定の大きなファクターである。融資期間の区別(10 年、12 年、15 年など)とバ
イヤー格付けの判断によるリスクレミアムをもとに同了解で決められている水準の
金利スプレッドを上乗せして貸付金利としている。セクター了解に基づき、15%の頭
金はカバーしないが、残り部分は 100%カバーしている。なお、航空機案件において
も、他の案件においても SBCE の付保を融資の「必要条件」とはしていない。
<航空機セクター了解での議論とブラジルのスタンス>
・ ブラジルは OECD の正式メンバーではないが ASU においてはオブザーバーとして
2007 年から招聘されている。そこでの議論やノウハウはブラジルにとって有益であ
るが、ブラジルとして協調できにくいものもある。出席した代表は OECD の議論を
持ち帰って、ブラジルとして協調できるかどうか検討している。しかし、政府(ブラ
ジル大蔵省)としてはまだ、OECD の公的輸出信用部会での航空機セクター了解の要
求に無条件に協調すべきであるとスタンスを公式に表明してはいない。現在のところ
実務レベル(BNDES-EXIM)で協調活動を模索していると言ったところである。むし
ろ、正式メンバーである WTO の輸出補助金協定の方に遵守義務がある。
<航空機バイヤーの格付けについて>
・ BNDES-EXIM の航空機案件は民間バイヤー(航空会社等)の信用格付けを Moody's
と S&P の格付けに基づき、それに内部の審査セクション(10 名:エコノミスト、ア
カウンタント、エンジニア、法律専門家等ですべて BNDES-EXIM に公務員試験を
受けて入行してきたプロパー職員で外部専門家ではない)の判断に基づき、決定する。
ブラジル国内企業の信用格付けであれば行内で自前で 100%設定可能であるが、外国
の民間バイヤー(航空会社等)の格付けは国際的な評価能力をもつ上記2社に頼らざ
るを得ない。
<ブラジルコンテンツ条項の航空機セクターへの摘要について
航空機案件には先のブラジルコンテント条項(ブラジル国内付加価値 60%以上)を弾力
的に摘要している。グローバル調達が普通に行われている航空機において 60%の国内付加
価値の創出は非現実的であり、国内付加価値 50%の場合でも柔軟に信用供与している。な
お、メルコスール域内で航空機部品を調達できる国はないから、いわゆる一部の FTA(自
由貿易協定)で活用されることがある「累積付加価値」の考え方はとらない。単純にブラ
ジル国内付加価値率のハードルを下げて柔軟に対応しているのである。
118
Ⅱ.インド調査
1.インド輸出入銀行
・
・
・
・
・
・
・
インド輸銀は、直接融資を基本業務としており、輸出業者向けや輸出金融を行う銀行向
けの保険や保証は提供していない。そのため、ご質問事項のうち、料率に関する質問は
インド輸銀には当てはまらない。
金利については、
インド輸銀の中に、
Product Pricing Committee という委員会があり、
貸出金利を決定している。貸出金利を決定する際に最も重要な要素は、調達コストと資
金の Availability である。インド輸銀の融資は独立採算で行われており、調達コストと
照らして妥当な金利水準を設定することが重要である。インド輸銀は、政府資金による
政府間ラインオブクレジット貸付の代行業務を行っているが、これは完全にインド輸銀
のバランスシートには関係ない。一方、独自アカウントの業務については政府によるサ
ポートはない。
インド輸銀の自己勘定業務の場合、融資先に対する貸付可否の判断は、カントリーリス
ク、バイヤーリスク等を考慮して行う。カントリーリスクについては、国内外の格付け
機関やその他の公表情報をもとにして独自に評価を行う。バイヤーリスクについては、
財務安定性や国内外格付け機関の格付け等を考慮する。
一方、政府勘定業務の場合、インド輸銀は貸付可否判断に必要な情報の提供は行うが、
これらの情報を採用するかどうかは政府の判断であり、貸付可否判断や金利決定は政府
が行う。
CDS については、インドにはほとんど関係ない。インドでは CDS 市場は発達しておら
ず、インドの銀行もほとんど CDS の購入を行っていない。インドで、CDS が輸出金融
の代替になっているということはない。
インド輸銀の職員数は全世界で約 300 名。うち、ムンバイの本部オフィスに勤務するの
は約 150 名。海外には、シンガポール、ワシントン DC、ロンドンなど 5 箇所に、国内
には 9 箇所にオフィスがある。すべて代表事務所であり、リスク評価や融資判断等は全
て本部ベースで行われている。
OECD 輸出信用委員会には自分もオブサーバーとして参加したことがある。
119
2.インド輸出信用公社(ECGC of India)
・
・
・
・
・
・
・
・
・
OECD 輸出信用委員会には、2004 年当時のアレンジメント改定作業のときにオブザー
バーとして参加したことがある。
ECGC は 1957 年に設立されたインド輸銀よりも古い歴史を持つ輸出信用機関である。
直接融資は行わず保険業務を行う。
ECGC は公社であるが、独立採算で、自己勘定業務では政府による保証や再保険等のサ
ポートは一切ない。再保険はかねて全て市場から調達している。
ECGC の保険業務は主として、①輸出者向け保険(最大 270 日)
、②銀行向け保険(最
大 180 日)
、③中長期プロジェクト保険(最長で 5 年から 10 年)の 3 つがある。シェ
アでみると、①の業務が 3 割、②の業務が 6 割、③の業務が 1 割である。
③の中長期プロジェクト保険は、従来、ECGC が自己勘定で行うため、リスク回避的に
ならざるを得ず、引受を拒否せざるを得ない場合が多かった。これではインドの輸出競
争力を維持できないということになり、2006 年に政府勘定による National Export
Insurance Account が創設された。この政府勘定は ECGC の自己勘定とは完全に切り
離されており、ECGC はあくまで代行業務を行う。Coface や Euler Hermes が政府勘
定の代行業務を行っているのと同様である。政府勘定について、付保にかかわるリスク
評価は自己勘定の場合と同様に ECGC が行う。異なるのは最終リスクを国が負うか、
ECGC が負うかという点である。
カントリーリスクは、7 段階に分類される。一番リスクが低い方から、A1(highly low)
、
A2(low)
、B1(moderately low)
、B2(moderate)、C1(Moderately high)、C2(High)、
C3(Very high)に分類される。一方、個別の付保判断が必要とされるかについては、
①Open-ended(付保判断について特段の制限無し)の国、②12 ヶ月有効の判断を行う
国、③個別案件毎の判断を必要とする国の 3 つに分類される。ECGC が対象とする国・
地域は現在 237 あるが、これらのうち 206 は①の Open-ended に分類される。②に分
類されるのが 21 で、③に分類されるのは 10 である。先に述べたカントリーリスク分類
でリスクレベルが高い C3 の国が③に属する場合が多いが、カントリーリスクのレベル
と付保判断のレベルは必ずしも一致しない。例えば、キューバは付保判断については③
だが、カントリーリスクは C3 ではない。キューバは、貿易保険関連の債務を一括返済
した際に、その見返りとしてカントリーリスク分類を Upgrade したが、現在も③の個
別判断を必要とする国に分類されている。
バイヤーリスクについては、OECD 加盟国が一般にしているように、入り口の段階で、
Public Buyer か Private Buyer かに区別して考えることは ECGC としては行っていな
い。あくまで、Buyer の財務状況、債務負担能力を個別に判断し、ソブリンであるか民
間であるかにかかわらず、財務ベースで判断する。ECGC として、バイヤーを予め分類
してそれに応じた料率レベルを決定するということはしていない。また、 S&P や
Moody’s といった格付け機関による格付けと企業のリスクレベルの判断を直接結びつ
けるようなこともしていない。あくまで案件毎、バイヤー毎に財務や格付けなど各種要
因を分析し、ECGC として独自の判断を行う。
MPR 算出における QPF については、ECGC はアレンジメントに定めるような
Standard、Below Standard、Above Standard という分類は行っておらず、アレンジ
メントの表に対応するようなものはない。
料率については、内部資料として、カントリーリスクレベルと信用期間を縦横に取った
参考料率表は有しているが、外部に共有できるものではない。欧米の ECA が Web で提
供しているような参考料率計算のサービスもない。料率を知りたい場合には、国内外の
支店に問い合わせてもらう必要がある。もし、一定の条件で基本料率を知りたいという
ことであれば E メールで問い合わせてくれれば回答する(さっそく、同日中に当方作成
120
・
の ECA 料率比較表を送り、ECGC より同様の情報が提供されるよう依頼した)。
CDS については、保険に代替しうるものではないと確信している。保険はカントリー
リスクやバイヤーリスクなどの実体的なリスクを具体的に評価するのに対して、CDS
は市場という複雑なブラックボックスを通じてリスクが十分に把握できないまま取引
されている。インドでは、CDS 市場は発展しておらず、インドの銀行もほとんどが CDS
に手をつけていない。このため、昨今の世界金融危機で CDS にかかわる損失を出して
いるインド系銀行はわずかである。これは、政府当局が銀行の活動を厳しく監視してき
たところによると考えられる。
121
巻末参考資料2:現地コンサルタントを通じた調査結果報告(中国)
1.中国輸出入銀行(China EXIM Bank)
1.1 経営方針と輸出与信の概要
中国輸出入銀行(以下、中国輸銀)は国の政策を実施する銀行として、貸付により、以
下のような輸出をサポートしている。





大型設備ユニット(技術の 50%以上は国産のもの
一般機電製品(技術の 70%以上は国産のもの)
ハイテック製品(技術の 50%以上は国産のもの)
建設プロジェクト
投資(M&A 等)
同時に、国の戦略貯蓄用物資・資源関連の製品の輸入の支援。
輸出信用を供与する際、金利の取り決めには、以下の要因を考慮している
 人民銀行からの指導・提携を受ける
 銀行間のレートを参考にする
 資金需給状況を参考にする
 国務院・外交部や対外貿易部等の政策と指導に従う
 資金のコスト(債券のコスト等)も参考にする
その貸付の金利の実効レートは下記のとおりである
 1 年以内:LIBOR+0.5%~1.5%
 1-5 年: LIBOR+1.5%~2.5%
 5-8.5 年:LIBOR+2.5%~3%
 8.5-12 年:LIBOR+2.8%~5%
1.2 金利計算におけるカントリーリスクやバイヤーリスクについての考え方
中国輸銀は、バイヤーの違約等のリスクを考慮する際、バイヤー所在国の政府または銀
行からの保証があることを前提にする。同時にバイヤー所在国の国家リスクが中レベル以
上であれば、バイヤー(借り手)が SINOSURE のような機構で保険(非常リスク及び商
業リスクの双方を含む)をかけることを必須としている49。これにより、中国輸銀はその輸
出与信関連の金利計算には、バイヤープレミアムを考慮していない。
ただし、与信額を取り決めるには国家リスクを考慮しており、中国輸銀本部は国家リス
クを四半期ごとに、各ブランチの実務部署に通達している。
各国リスク分類、分析の方法は SINOSURE の「国家リスク」を基準としており、行内
で通達される国家リスクも、SINOSURE の国家リスク分析報告書と同様である。
49
Sinosure の場合、バイヤー自身が保険に加入することを義務付けている。
122
2.中国輸出信用保険公司(SINOSURE)に関する調査報告
2.1 中国輸出信用保険公司(SINOSURE)の保険制度
中央政府の政策(外交・対外貿易・産業・金融等)に従い、輸出信用保険をとおして、
貨物・技術・サービス(特に高付加価値の資本財)の輸出を促進し、中国企業の海外投資
や市場開拓を支援し、その輸出代金の回収を保障するもの。国家政策の実行機関であり、
利益は追求しない。
SINOSURE は国有の機関であり、国からの管理体制下に置かれている。
保険監督
財政部
商務部
外交部
委員会
発展改革
専門家
商社代表
委員会
部際委員会
SINOSURE
部際委員会とは、各部署と連動して、SINOSURE の経営原則・方針(含むプレミアム制
度の設計と調整)を管理する機能である。
同時に SINOSURE 内部では、具体的な運用に当たって、経営原則・方針(含むプレミ
アム制度の設計と調整)を管理する体制があり、下記の構造となっている。
123
リスク管理委員会
貿易保険管理部
リスク管理部
資質・信用評価部
プ
国
輸
貿
国
ロ
家
出
易
内
ジ
プ
貿
保
貿
ェ
ロ
易
険
易
ク
ジ
保
賠
保
ト
ェ
険
償
険
保
ク
引
受
引
険
ト
き
理
き
管
事
受
部
受
理
業
け
け
部
部
部
部
保険料金体制の管理と調整に当たっては、下記項目を重視している。
 資金のコスト(Sinosure が自ら発行する債券のコスト等)
 貨幣市場の相場、資金需給状況
 国務院・外交部や対外貿易部等の政策と指導に準拠
 保険対象の状況(含む所在国の状況)評価
2.2 SINOSURE のカバーするリスク、引受条件
カバーするリスクの種類は、以下のように取り決められている
 バイヤーが貨物・サービス等の受け入れを拒否した場合
 バイヤーが代金の支払いを遅延した場合
 バイヤーが倒産または債務弁済能力がなくなった場合
 バイヤー国が代金の海外送金を禁止または制限した場合
 バイヤー国が貨物やサービスの輸入を禁止し・中止した場合
 バイヤー国が支払いの延期を宣言し、代金の支払いに影響を及ぼした場合
 バイヤー国における戦争等の不可抗力で、バイヤーが契約履行ができなくなっ
た場合
輸出保険引受けの基本条件は、以下のとおりである。
124

対象取引やプロジェクトは両国の法律・法規に違反せず、中国の国家利益を害しない
こと
関連技術との関連性があり、中国の関連政策に合致すること
輸出物は中国で製造したものであり、国産化率は 50%以上であること(プラントと機
電製品は 70%以上)
対象国の政治状況が安定しており、経済状況が良好であること
対象国が中国と正常な国交を樹立していること
取引金額は、バイヤークレジットの場合では 400 万 US$及びそれ以上で、セラークレ
ジットの場合では 100 万 US$及びそれ以上であること
与信期限は、一般機電製品の場合では 10 年以内で、発電所等大型プロジェクトの場合
では 12 年以内とする
取引契約においては、前払い金または予約金が決められており、トータル取引金額に
占める比率は、船舶類の製品の場合では 20%及び以上で、プラント及びその他の製品
の場合では 15%以上である







2.3 料率システム及び算出方法
バイヤークレジットは、輸出企業を支援しその輸出リスクを回避させ、国の輸出を促進
させることを原則としている。具体的な料率は下記項目により決定される。
バイヤークレジットの料率を決める際に考える要因。
•
輸入国のリスクランキング
•
与信期間の長さ
•
バイヤーの信用ランキング
•
保証者の信用ランキング
•
リスクカバーの範囲
•
取引・プロジェクトの商業リスク
•
その他の補助的な担保条件
•
その他
輸入国のリスクランキングについて、Sinosrue は 2005 年からそれを9ランクに分けて
いる。リスク一番高い 9 番目のランク(E 類)に入った国に対しては、業務を履行しない。
現状でのバイヤークレジットは、国家リスクが中レベル以上のバイヤーに対して、保証を
必要としている。実際には国または地方政府の指示があれば、リスクの高い国に対しても
料率を低減する場合がある。
輸入国のリスクランキングは、2008年12月現在、下表の状況である。
リスク
ランク
適用国家
リスクレベル
A1
アンドラ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、スイス
最も低い
A2
日本、シンガポール、オーストリア、ベルギー、デンマー
ク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イ
タリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、
英国、米国、カナダ、オーストラリア
相当低い
B1
アラブ首長国連邦、香港、クウェート、台湾、キプロス、
125
低い
B2
C1
C2
D1
D2
E
ギリシア、アイスランド、マルタ、ポルトガル、ニュージ
ーランド、プエルトリコ
バーレーン、ブルネイ、イスラエル、韓国、マレーシア、
オマーン、カタール、サウジアラビア、チェコ、ハンガリ
ー、ポーランド、スロヴェニア、ボツワナ、モーリシャス、
バハマ群島、チリ
インド、マカオ、タイ、エストニア(e)、ラトヴィア(e)、
リトアニア(e)、スロバキア、エジプト、モロッコ、南ア
フリカ、チュニジア、バルバドス、コスタリカ、メキシコ、
パナマ、トリニダード・トバゴ、ウルグアイ
カザフスタン(e)、モルジブ、フィリピン、ベトナム、ブ
ルガリア、クロアチア、モナコ、ナミビア(b)、ベリーズ
(a)、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、
ペルー
バングラデシュ、ブータン(a)、東ティモール(a)、イ
ンドネシア、イラン(b)、ラオス、レバノン、モンゴル(b)、
スリランカ、シリア、アルメニア(b)、アゼルバイジャン
(b)、ルーマニア、ロシア連邦(e)、サンマリノ、トル
コ、アルジェリア(d)、カーボベルデ、コートジボアール、
ガボン、ザンビア、ガーナ、ケニア、レソト(b)、リビア、
マダガスカル、セネガル、セイシェル、タンザニア(a)、
ウガンダ、フィジー、パプアニューギニア、サモア、アン
チグア・バーブーダ、アルゼンチン(f)、 ドミニカ、ド
ミニカ共和国(b)、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、
ジャマイカ、パラグアイ(d)、セントルシア、スリナム共
和国、ベネズエラ(b)
カンボジア(a)、キルギス共和国(e)、北朝鮮(a)、ミ
ャンマー(a)、ネパール、パキスタン、タジキスタン(e)、
トルクメニスタン(e)、ウズベキスタン(e)、イエメン、
アルバニア、ベラルーシ(e)、ボスニア・ヘルツェゴビナ
(a)、グルジア(e)、マケドニヤ、モルドバ(b)、ウク
ライナ(e)、セルビア・モンテネグロ、アンゴラ、ベニン
(b)、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国
(a)、コンゴ共和国、ジブチ、赤道ギニア、エチオピア(a)、
ギニア共和国、マラウイ、マリ、モーリタニア、モザンビ
ーク(a)、ニジェール(a)、ナイジェリア(c)(d)、
サントメ・プリンシペ、スーダン、スワジランド、トーゴ、
ザンベジ(a)キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア、
パラオ、トンガ、バヌアツ、キューバ(b)(g)、エクア
ドル、ハイチ(a)、ニカラグア
アフガニスタン、イラク、ブルンジ、チャド、コモロ、コ
ンゴ民主共和国、エリトリア、ギニアビサオ、リベリア(a)、
ルワンダ、シエラレオネ、ソマリア、ジンバブエ
やや低い
中等
やや高い
高い
相当高い
最も高い
さらに制限条件がある。その内容は下記のとおりである。
 (a) CILC(Confirmed Irrevocable Letter of Credit)の場合だけ、保険を引き受ける。
尚且つ、SINOSUREの認めた第三国の銀行からのConfirmationしか受け入れない。
 (b) ILC( Irrevocable Letter of Credit): IL/CまたはCIL/Cの方法で清算する場合だ
126





け、保険を引き受ける。
(c) DP(Document against Payment ): IL/C、CIL/またはとDPの方法で清算する
場合だけ、保険を引き受ける。
(d)(12mo):延期支払いに対して賠償を追求する場合、待つ期間を12ヶ月まで延長。
(e) SC(Special Conditions): 特別条件であり、カバー率を50%にすること。
(f) OFFC(Off Cover):暫時中止。
(g) CBC(Case by Case):個別対応。
バイヤーの信用ランキング・保証者の信用ランキングは、SINOSURE が自ら評価する。
SINOSURE が有するデータバンクには、約 42 万社の海外企業の情報・データがあり、50
数社の海外パートナーと情報交換や調査の方面で提携している。
ランク付けには下記の要因を考慮する。









政策環境・政策からのサポート等
経済環境
業界特性・趨勢
事業の競争状況
財務状況・資金実力
販売及び顧客の状態
仕入れ及びサプライヤーの状態
企業の得た(国際的な格付機関による)資格・ランク付け等の状況
企業の潜在力・将来性等
ランクとその定義は次ページ図表のとおりである。このランク付けは、短期の場合、中
長期の場合に同様に適用される。
カバー率について、普通は 90%であるが、バイヤーが貨物の受け取りを拒否した場合の
損失に対しては 80%に設定しており、特別な場合は 50%になることも可能性もある。
料率は案件ごとで変化するが、実際の料率はその時の基礎料率の 100%-130%の範囲内
で取り決める。基礎料率表は時期によって変わるが、次ページ表は 2008 年における短期バ
イヤークレジットに対する実例である。
等級
AAA
AA
A
BBB
BB
B
定
義
実力が最良、リスク抵抗力が非常に高い、資質信用状況が優秀
実力が強大、リスク抵抗力が高い、資質信用状況が良好
実力が比較的には強い、リスク抵抗力が比較的に高い、資質信用状況
が正常
実力が普通、リスク抵抗力が普通、資質信用状況が普通
実力がやや低い、リスク抵抗力がやや小さい、資質信用状況が普通
実力が比較的に低い、リスク抵抗力が比較的に小さい、資質信用状況
がまだ悪くない
127
CCC
CC
C
NR
実力が低い、リスク抵抗力が小さい、資質信用状況が比較的に悪い
実力が非常に低い、リスク抵抗力が非常に小さい、資質信用状況が悪
い
倒産になりそうで、基本的には信用力なし
設立してから 1 年未満か休業、または評価に資する情報が不完全で、
ランキングすることができない
短期バイヤーズクレジット料率表
単位:%
清算方法
信用期限
A1
A2
B1
B2
C1
C2
D1
D2
0.070
0.075
0.078
0.078
0.080
0.085
0.103
0.108
0.111
0.113
0.118
0.121
0.135
0.141
0.148
0.148
0.154
0.160
0.191
0.209
0.221
0.211
0.228
0.244
L/C
0—30 日
31—90 日
91—180 日
181—270
日
271—360
日
0.098
0.108
0.160
0.178
0.211
0.233
0.361
0.399
0.137
0.151
0.198
0.219
0.266
0.291
0.502
0.554
0.137
0.201
0.181
0.261
0.219
0.314
0.286
0.410
0.369
0.534
0.151
0.221
0.198
0.289
0.243
0.346
0.314
0.449
0.406
0.588
0.201
0.291
0.261
0.379
0.314
0.455
0.410
0.594
0.534
0.771
0.221
0.322
0.289
0.416
0.346
0.502
0.449
0.655
0.588
0.848
0.261
0.379
0.342
0.496
0.410
0.580
0.534
0.755
0.691
0.979
0.289
0.416
0.376
0.547
0.449
0.637
0.588
0.831
0.762
1.076
0.379
0.550
0.492
0.711
0.590
0.856
0.768
1.114
0.996
1.445
0.416
0.604
0.544
0.781
0.650
0.941
0.846
1.225
1.096
1.590
D/P
D/A・OA
D/P
D/A・OA
D/P
D/A・OA
D/P
D/A・OA
D/P
D/A・OA
0—30 日
31—90 日
91—180 日
181—270
日
271—360
日
中長期(1-12 年)バイヤークレジットに対する保険の料率は、中国において、約1%-
15%である。通常は保証を前提としている。
128
次の表は、ケーススタディの料率表である。現状は政治・経済環境が悪化しており、記
載の料率以上に設定されるべきとの判断が SINOSURE 内部にあるという。
中国の対外貿易部や地方政府の対外貿易局は、輸出を促進するため輸出者の支払った保
険料の 30%ないし 50%以上を負担することがある。具体的には北京市朝陽区政府の対外貿
易局、深圳市政府により実行されたことがある。
3.市場との関係
中国では、2008 年 4 月から管理当局が CDS 導入(及びその許可)の検討を本格的に始
めたが、現状 CDS 業務は開始されていない。一部の外資系企業が中国において試験的に展
開しているが、主には債券などのマーケットで実施されているのみで、小規模な展開であ
る。
輸出保険代替とはなりえないが、市中銀行が展開している forfeiting や factoring 類の業
務は、ある程度輸出保険の役割を果たしている。しかし、輸出者にとっては短期的な輸出
信用であり、
長期的な信用リスクをカバーできず、
輸出者はその商品代金の約 10%から 20%
以上の金額を放棄することになるので「バイヤークレジット+輸出保険代価」より対価が
大きい。しかるに forfeiting や factoring 業務は、輸出保険に取って代わることはないよう
だ。
129
巻末参考資料3:各 ECA の料率計算画面・資料 URL 一覧
ECA
形態
URL
計算式
http://www.agaportal.de/pdf/info/e_merkblatt_praemien.pdf
Euler
Hermes
http://www.coface.fr/dmt/_docs/ace06_641.pdf
Coface
計算式
(フランス語のみ)
http://www.atradius.com/PremiumCalculator?lc=en&page=/nl/en/dutchst
Atradius
試算画面
atebusiness/calculator/forms/financieringsrisico.jsp
http://www.ecgd.gov.uk/index/premium-rate-calculator.htm
ECGD
試算画面
US EXIM
試算画面
OPIC
参考料率表
EGAP
試算画面
http://www.exim.gov/tools/fee_calc.cfm
http://www.opic.gov/insurance/details/rates/index.asp
http://www.egap.cz/kalkulacka-pojistneho/index-en.php
(本調査では Insurance of an Export Buyer Credit を選択)
http://www.mehib.hu/Dokument/Termekek/kondilista.pdf
MEHIB
参考料率表
(短期保険)
(ハンガリー語のみ)
http://www.sbce.com.br/sgp/cliente/inf_precific.php
SBCE
試算画面
(ポルトガル語のみ)
130
巻末参考資料 4:各 ECA の料率算出手順
1.Euler Hermes
コロンビア(国カテゴリー4)
、優良民間バイヤー(銀行保証なし)で信用期間 5 年の場合
0.675 * 5 + 0.491 = 3.866 (小数点第 3 位以下四捨五入)
料率は 3.87%
131
2.Coface
コロンビア(国カテゴリー4)
、バイヤーは優良民間バイヤーで信用期間 5 年の場合
料率 = 0.615 * 5 + 0.526 = 3.601 (小数点第 3 位以下四捨五入)
3.60%
132
3.Atradius
コロンビア(国カテゴリー4)
、バイヤーは優良民間バイヤーで信用期間 5 年の場合
① 保険価額 (値を入力)
② バイヤー/保証者のカテゴリー
③ バイヤー/保証者の国
④ 融資前期間 (月数)
⑤ 通貨 (通貨を選択。デフォルトはユーロ)
⑥ 償還方法 (Linear または Annuity を選
択。バイヤーズクレジットの場合通常 Linear)
⑦ 据置期間 (月数)
⑧ 決済間隔 (月数)
⑨ 決済回数
⑩ 保険料をカバーに含むか否か (含む場合
はチェック)
⑪ 最高約定金利、最高遅延金利(年率)
10,000,000 と入力
優良民間バイヤー
コロンビア
0 を入力
デフォルトのユーロを選択
Linear を選択
⑫ 料率、保険料
Calculate ボタンをクリック後、表示される
0 を入力
6 を入力(半年毎決済)
10 を入力(信用期間 5 年)
チェックをしない(デフォルト)
空欄のまま
133
4.ECGD
エジプト(国カテゴリー4)
、バイヤーは投資適格民間バイヤーで信用期間 5 年の場合
①
②
③
④
「国を選択してください」
「商品を選択してください」
融資前期間
信用期間
⑤ 料率
Egypt を選択
Credit を選択
1 を選択
60(ヶ月)(=5 年)を選択
Calculate をクリックし、リストのカバー率
95%、投資適格民間バイヤーの欄を参照する
134
5.US-EXIM
エジプト(国カテゴリー4)
、バイヤーは投資適格民間バイヤーで信用期間 5 年の場合
① 料率レベルまたは国
② カバー率
③ 商品(中期保険(2)または保証/直接融資(3))
④ 信用期間
⑤ Drawdown Period
⑥ 保険料の融資の有無
⑦ 保険料の支払い方法(前払い(F)または決済
ごと(D))
料率
Fee Category4 を選択
95 と入力
2 を選択
5.0 と入力
0 と入力
No を選択
D を選択
Compute Fee ボタンをクリック
-1 から 5 までの料率が表示される
135
Transaction Risk Increment
http://www.exim.gov/tools/exposure/fee_advice_tables.cfm
国リストの中から Egypt(MT/LT Trans.)の PDF を参照。
BBB の格付け民間企業の場合の Risk Increment は0。
計算結果の 0 の欄を参照。⇒ 3.43%
136
6.EGAP
エジプト(国カテゴリー4)
、バイヤーは民間バイヤーで信用期間 5 年の場合
① 国
Egypt を選択し、Next ボタンをクリック
② 自己保有率(100-てん補率)
デフォルトのまま(5%)
200000000(CZK)と入力
およそ 1,000 万 US$
15 と入力
1 と入力(最低値)
60(=5 年)と入力
Next ボタンをクリック
③ 保険価額
④ 頭金
⑤ Draw down 期間
⑥ 償還期間
137
料率
Sovereign debtor, Public debtor
Private bank, Private debtor
の場合の各料率が表示される
138
7.SBCE
エジプト(国カテゴリー4)
、バイヤーは民間バイヤーで信用期間 5 年の場合
① 保険種類
Crédito
② 輸出額
③ 頭金比率
④ 支払期間
10,000,000 と入力
15 と入力
0 のまま
139
を選択
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
元本の据置期間
利率の据置期間
償還期間
金利の種類
国
スプレッド
保険料の融資
償還方法
バイヤーステータス
⑭ リスク種類
⑮ 保険種類
料率
6 と入力
6 と入力
5 と入力
LIBOR を選択
Egito(エジプト)を選択
1 と入力
NAO(いいえ)を選択
SAC を選択
Privado(民間) を選択
Político e commercial
(非常リスクと信用リスク)
Buyer’s Credit を選択
を選択
Confirmar ボタンをクリックすると料率及
び最高料率が表示される
140
平成 20 年度委託調査
「輸出信用機関(ECA)のバイヤープレミアム制度に関する調査」
報告書
平成 21 年 3 月
(委託) 経済産業省 貿易経済協力局 貿易保険課
東京都千代田区霞が関 1-3-1
電話 03-3501-1665
(受託) 株式会社 三菱総合研究所 海外事業研究センター
東京都千代田区大手町 2-3-6 電話 03-3277-4501
141
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