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電子部品編(PDF:373KB)

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電子部品編(PDF:373KB)
1.電子部品
No.1
☆抵抗器
(1) 抵抗器の種類と用途
①
炭素被膜抵抗
:一般用途
②
金属被膜抵抗
:安定度や精度を必要とする用途
③
酸化金属被膜抵抗
:電源の電力を必要とする用途
④
巻き線抵抗
:電源の大電力を必要とする用途
(2) 抵抗器の主な特性と注意事項
①
②
許容差
記号
±20%
M
±10%
K
±
5%
J
±
2%
G
±
1%
F
±
0.5%
D
±
0.25%
C
±
0.1%
B
周波数特性
抵抗は周波数が高くなると抵抗成分に加え容量やインダクタンス成分が顕著に
なってくる。高周波のアッテネータで周波数特性が要求される場合は高周波用
の抵抗を用いる。
③
最高使用電圧
最高使用電圧以上の電圧を加えないようにする。
④
電力
電力は定格を超えないようにする。抵抗に消費される電力は軽減曲線に従って
低減する必要がある。
電力
軽減曲線
100%
0%
周囲温度
リーダー電子株式会社
1.電子部品
No.2
☆可変抵抗器
(1)
①
可変抵抗器の種類と用途
軸型
音量・電圧設定用(ノブを取り付けて操作)
種類(単連・一軸多連・二軸多連)
②半固定型
(2)
機体内部の調整用
可変抵抗器の主な特性と注意事項
①
回転寿命
軸型(多い)半固定(少ない)
②
回転角対抵抗値
抵抗値
A型:音声調整に用いられる。
B型:電圧設定などに用いられる。
C型:音質調整などに用いられる。
回転角
③
極性
可変抵抗器の抵抗体と摺動子は極性により陽極酸化が起こり接触不良となる。
陽極酸化を防ぐため抵抗体側をマイナス極性,摺動子側をプラス極性にする。
プラス
摺動子
マイナス
リーダー電子株式会社
No.3
1.電子部品
☆電解コンデンサ
(1)
電解コンデンサの用途
電解コンデンサは大容量であり電源の平滑やバイパスに使用される。
無極性で信号の結合に使用する場合はバイポーラタイプを使用される。
(2)
①
電解コンデンサの主な特性と注意事項
周波数特性と温度特性
電源の平滑やバイパスに用いる場合は周波数特性や温度特性を考慮して余裕を
持たせる必要がある。
等価直列抵抗(ESR)
等価直列抵抗は10kHzか
1Ω
ら100kHzで低くなる。
―25℃
温度が下がると等価直列抵抗
は大きくなる。
20℃
0.01
100
②
1k
10k
100k
1MHz 周波数
寿命
周囲温度が10℃上がると寿命が1/2になる。
寿命は抵抗やセラミックコンデンサに比べて短い。
③
リップル電流
リップル電流が流れると等価直列抵抗(ESR)によって自己発熱する。そのため
に寿命が短くなる。自己発熱が大きい場合は周囲温度を下げる対策が必要にな
る。
④
過電圧と逆電圧
定格以上の電圧や逆電圧をかけると漏れ電流が増加し発熱やガス発生が起こる
恐れがある。
リーダー電子株式会社
1.電子部品
No.4
☆タンタルコンデンサ
(1)
タンタルコンデンサの用途
タンタルコンデンサは等価直列抵抗が小さいためデジタル回路のバイパスとして
使用される事が多い。
(2)
①
タンタルコンデンサの主な特性と注意事項
使用電圧
故障モードがショート状態になることから電源が大容量の場合、焼損すること
がある。使用電圧は定格の1/3以下が望ましい。
安全のためにはヒューズ付きを使用するのが望ましい。
②
逆電圧
タンタルコンデンサは逆電圧がかかるとショート状態になる。一旦逆電圧がか
かったものは故障発生の確率が高くなるので交換することが望ましい。
③
温度特性
故障率は温度が高くなると増加する。温度が高い場合は電圧を軽減する。
④
寿命
タンタルコンデンサの故障は初期に多い傾向がある。そのため生産時には十分
エージングをすると良い。
リーダー電子株式会社
1.電子部品
No.5
☆セラミックコンデンサ
(1)
セラミックコンデンサの用途
周波数特性が良いことから高周波に用いられる。
デジタル回路のバイパス用にも使用される。
(2)
セラミックコンデンサの主な特性と注意事項
①
温度特性
a.高周波用
変化率
記号
350、-1000ppm/℃
SL
0±60ppm/℃
CH
-150±60ppm/℃
PH
-220±60ppm/℃
RH
-330±60ppm/℃
SH
-470±60ppm/℃
TH
-750±120ppm/℃
UJ
発振器やフィルターで使用する場合は、コイルの温度特性と逆特性のコンデ
ンサで特性を補償する。
b.積層セラミック(高誘電率系、電源バイパス用)
変化率
記号
±10%、-25℃∼85℃)
B
+30%、-80%、-25∼85℃)
F
±15%、-55℃∼125℃)
R
電源バイパスに高誘電率のコンデンサを使用する場合は、温度によりバイパ
ス効果が変化するので製品特性に影響がでないように確認する必要がある。
②
応力
セラミックコンデンサは力が加わるとクラックが発生する恐れがあるので取り
付けには注意を要する。特にチップタイプは基板を曲げると力が加わるので取
り扱いに注意する。
リーダー電子株式会社
1.電子部品
No.6
☆空芯コイル
(1)
空芯コイルの用途
空芯コイルは高周波のフィルター、発振器、チョークコイルとして多く使用され
ている。
(2) 空芯コイルの主な特性と注意事項
空芯コイルは寸法が変わるとインダクタンスの値が変わる。バラツキを少なくす
るにはボビンに巻くと良い。
空芯コイルを発振器に使用した場合、振動により周波数が変化するので振動対策
をする必要がある。
(3)
空芯コイルのインダクタンスの求め方
インダクタンスは次の様に求めることが出来る。
L=(k・μ・n2・S)/L(単位はm、H)
k:長岡係数
D/L
k
D/L
k
D/L
k
D/L
k
0.0
1
0.1
0.959
0.2
0.920
0.3
0.884
0.4
0.850
0.5
0.818
0.6
0.789
0.7
0.761
0.8
0.735
0.9
0.711
1.0
0.688
2.0
0.529
3.0
0.429
4.0
0.365
5.0
0.320
6.0
0.285
7.0
0.258
8.0
0.237
9.0
0.219
10
0.203
μ:透磁率
真空の透磁率:4π×10-7
n:巻数
S:コイルの断面積=πD2/4
l:コイルの長さ
D:コイルの直径
リーダー電子株式会社
1.電子部品
No.7
☆コア入りコイル
(1)
コア入りコイルの用途
高周波から低周波のフィルター、発振器、チョークコイル、電源トランスに使用
される。
(2) コア入りコイルの主な特性と注意事項
①
インダクタンス
コアを入れることによって少ない巻数で大きなインダクタンスと Q を得ること
ができる。大きなインダクタンスを得るためには透磁率の大きなコア材を使用
する。通常フェライトコアが使用される。
フェライトコアは Q が高く鉄損も少ないので高周波用に多く用いられている。
②
衝撃
フェライトなどのコア材は物理的な衝撃により Q が下がる特性がある。
落下させたりハンマーで叩く等のことは行わないように注意する。
③
温度特性
フェライト等のコア材は温度によって透磁率が変化する。安定度が必要な場合
は逆特性のコンデンサで温度補正をする。
④
磁気飽和
フェライト等のコア材を用いたコイルは大きな電流が流れると磁気飽和が起こ
りインダクタンスが急激に小さくなる。電源に用いられているトランスやチョ
ークコイルには大きな電流が流れて発熱する。
磁気飽和を防ぐには、コアの間にギャップ(空隙)を設けることにより飽和に
対する余裕を持たすことができる。
⑤
自己共振
コイルには浮遊容量があり周波数により自己共振を起こし、高周波で周波数特
性に影響を与える。その場合は自己共振周波数の高いものか、コイルを分割し
て自己共振周波数を上げる等の対策が必要になる。
⑥
Q
発振回路で Q が低いと発振しなかったり位相雑音が大きくなる。またフィルタ
ーでは急峻な特性が得られない。
リーダー電子株式会社
No.8
1.電子部品
☆
水晶振動子
(1) 水晶振動子の用途
水晶振動子の共振特性で誘導性になる部分を利用して発振器を構成する。
インダクターの代わりに水晶を使用する。水晶の誘導性になる周波数範囲が非常
に狭いため周波数安定度を高くできる特徴がある。
(2)
水晶振動子の主な特性と注意事項
①インピーダンス
L性
R
周波数
L
C性
Cp
Cs
fs
fp
水晶の共振特性
水晶の等価回路
a.fs は L と Cs の直列共振の周波数である。
b.fp は L と Cp、Cs の並列共振周波数である。
c.fs とfp の間は非常に狭く数百 Hz くらいになる。
d.Q の値は非常に高く10000位になる。
Q が大きく取れる理由は水晶共振子の L が非常に大きいためである。
Q は Q=ωL/R で表される。L が大きいと Q を大きくなることが分かる。
e.R は温度が高くなると大きくなる傾向があるので発振器では負性抵抗に
余裕を持たせ発振停止が起こらないように注意する。
②
衝撃
水晶振動子は衝撃に弱いので、落としたり振動が加わらないよう注意する。
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1.電子部品
No.9
☆ダイオード(1)
(1)検波用ダイオード
検波用ダイオードにはシリコンダイオードとショットキーダイオードがあります。
注意点:検波する信号が小さい場合はショットキーダイオード、大きい場合はシリ
コンダイオードが用いられます。
電流
出力電流
シリコンダイオードは立ち上がり特性
が0.7V から立ち上がるので0.7V 以
出力電流
V-I 特性
入力信号
下の入力電圧は出力されないため波形が
ひずみます。ショットキーダイオードは立
ち上がりが0.3V なので直線性が改善さ
れます。
(2)電源用ダイオード
電源用には単体のものと両波整流ができる 4 個組みがあります。
電源用で注意することはパワーによる発熱と電圧、電流定格です。
特に 4 個組みでは熱が集中するため放熱器が必要になる場合があります。
信頼性を確保するために、定格に対して余裕を持たせることが重要です。
電圧は外部からのノイズに対しても余裕を持たせる必要があります。
ノイズを取り除くためにコンデンサを並列に付けることも対策になります。
電源周波数では蓄積時間はそれほど問題になりませんが、スイッチング電源は周波
数が高いため、蓄積時間により損失が発生し効率が下がるとともに発熱に対する考
慮も必要になります。
そのためより高速のダイオードを使用する必要があります。
高速のダイオードにはショットキータイプのダイオードがあります。
ショットキーダイオードは ON 電圧が低いのでパワーも少なくなり発熱も少なくな
ります。しかし耐電圧が低い物が多いのでノイズ電圧に注意を要します。
(3)定電圧ダイオード
定電圧ダイオードは一定電圧を得るためのダイオードで電源の基準に用いられます。
注意することは温度特性が希望する性能を満足するか確認が必要です。
他の用途として回路中の電圧シフトや入力回路の保護にも使用されます。
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1.電子部品
No.10
☆ダイオード(2)
(4)可変容量ダイオード
可変容量ダイオードは一般に発振回路の周波数可変用に用いられます。
可変容量ダイオードで注意することは電圧と容量の特性です。
特性が合わないと電圧対発振周波数が直線になりません。
また発振器の信号ノイズを低くするために Q 特性が高いことも必要です。
可変容量ダイオードは発振器だけでなく可変フィルターやパルス整形にも用いられ
ます。
(5)PINダイオード
PINダイオードは主に高周波の減衰器に使用されます。
PINダイオードは周波数が5MHz以下の場合は通常のダイオードとして働きま
す。5MHz以上になるとダイオードの特性は無くなり抵抗として働きます。
抵抗値は流れる直流電流の値が増えると抵抗が小さくなります。
この性質を利用して高周波の減衰器に使用されます。
(6)ステップリカバリーダイオード
ステップリカバリーダイオードは急峻なパルスを発生させるために使用されます。
電圧をかけて行くと急激に電流が増えてゆくアバランシェ効果により傾斜のゆるい
パルスが急峻なパルスになります。
用途としてはサンプリングパルス発生やコムジェネレーターがあります。
サンプリングパルスはサンプリングオシロスコープに用いられます。
コムジェネレーターは一定間隔ごとの周波数成分を持つ信号を発生させることが
でき信号発生器の基準信号に用いられます。
(7)GUNダイオード、インパッドダイオード:マイクロ波の発振回路に使用されます。
(8)発光ダイオード
多くのダイオードを使用する場合、明るさのばらつきが目立つ場合があります。
電流が大きくなると発光量が飽和するので、電流を大きくしてばらつきを軽減する
ことができます。
(9)レーザーダイオード
過大な電流が流れると破壊するので電流を制御して使用します。
CDやDVDの読み取りや光通信に使用されます。
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1.電子部品
No.11
☆トランジスタ
(1)概要
トランジスタの特性は用途に応じて高周波用、低周波用、大電力用、高圧用、スイッ
チング用があります。
(2)用途別で注意する特性
・高周波用に必要な主な特性
利得帯域幅績
ft:電流増幅率が1になる周波数です。
直流電流増幅率
hFE:コレクタ電流とベース電流の比です。
コレクタ容量
Cob:コレクタとベース間の容量、小さいほど良い周波数特性が
良くなります。
形状
:マイクロ波帯になると形状や端子によって周波数特性が悪
くなります。出来る限り小さいほうが良くなります。
・低周波用
直流電流増幅率
ノイズ特性
hFE:コレクタ電流とベース電流の比です。
NF:ノイズ特性。入力のSN比と出力のSN比の比
NF=(入力の SN 比)/(出力の SN 比)
・大電力用
全損失
Pt:トランジスタに最大で許容される消費電力です。
ジャンクション温度 Tj:IC チップに許容される最大の温度です。
コレクタ電流
Ic:コレクタに流せる最大電流です。
・高圧用
コレクタベース電圧 Vcbo:エミッタをオープン時のコレクタベース間の最大電圧
コレクタエミッタ電圧 Vceo:ベースをオープンのコレクタエミッタ間の最大電圧
エミッタベース電圧 Vebo:コレクタオープン時のベースエミッタ間電圧
・スイッチング用
コレクタ飽和電圧 Vce(sat):ON 時のコレクタエミッタ間電圧です。
ターンオン時間
ton:OFFからONするまでの時間です。
蓄積時間
tstg:ベース電圧がOFFした後のベースに残る電荷が無く
なる時間です。電荷が残っている間トランジスタはON
状態になります。この時間が長いと SW 電源等大電力を
扱う場合損失が増大し発熱が大きくなります。
下降時間
tf:コレクタ電流が ON からOFFになる時間です。
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No.12
☆半導体使用上の注意
半導体は受動部品に比べて静電気や衝撃により故障が起き易いので取扱に注意が必要
です。また空き端子の処理や CMOS のラッチアップ対策も重要です。
(1)静電気
静電気が半導体に加わると内部の局所に電流が流れ熱破壊が起きます。
基板に組み込んだ後でも静電気対策は必要です。
静電気は人間と衣服・じゅうたん・ビニール床との摩擦で発生します。
冬季の湿度が低い場合に顕著です。
静電気には次の対策が有効です。
・湿度を高く保つ。
・はんだ付け時は静電対策ゾーンで行う。
・イオナイザーを使用して放電させる。
・CRT モニターのように部品を帯電したものを近づけないようにします。
・金属ピンセットでなく竹製等のピンセットで部品を取り扱います。
(2)振動、衝撃、応力
デバイスの落下でキャンタイプやセラミック封止は内部のワイヤに衝撃をあたえるの
で注意を要します。またプラスチックはクラックが入る恐れがあります。
(3)未使用端子
未使用端子は個々のICのデータブックに定められた方法に従います。
一般的にはグランドや電源等に抵抗を介して接続します。
特にCMOSの場合は入力端子がオープンになると中間レベルになったとき過大電流
により発熱して故障の原因となります。
(4)ラッチアップ
CMOS のICは構造上寄生のトランジスタ(サイリスタ)があり、入力や出力が電源
電圧以上になったりグランド以下になるとラッチアップを起こし大電流が流れ故障の
原因になります。
対策としてヒューズ・PTC等保護素子を入れて過大電流を遮断するのが有効です。
リーダー電子株式会社
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