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歩行者案内地図作成のための GPS を利用した地点情報の取得

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歩行者案内地図作成のための GPS を利用した地点情報の取得
平成 19 年度 システムマネジメント工学科特別研究概要
歩行者案内地図作成のための GPS を利用した地点情報の取得
情報システム工学研究室
シス 02-97 吉岡 達二
1. はじめに
魚眼カメラ カメラは USB 方式のものを使用し, DirectShow
携帯電話やパソコン,カー・ナビゲーション・システムなど情報
機器で用いられるデジタル地図は私たちの生活に深く浸透してき
た.デジタル地図が多く用いられる理由はその拡張性であり
Google では現在 Street View と呼ばれる Google Map の主要道
路上に多数の全周囲画像を設置し,ユーザーが Google Map の道
路上を移動するのに合わせて画像を次々に表示させ,あたかもそ
の場所を移動しているかのように感じさせることができるサービ
スを行っている[1].このような機能は案内機能として,非常に有
用であるが,大量の画像情報を必要とする.Google では独自に全
周囲カメラを搭載した車で走行しながら画像を収集している.こ
のような方法は,道周辺のみの収集に限定され,より細部に至る
地図に対しては収集能力が不足されると予測される.
本研究は,画像の運用に関して,デジタル案内地図の作成を目的
に想定した画像や付加情報の収集システムを提案する.
を使って静止画像を取得する.魚眼カメラは 180 度程度の画角の
2. 収集手法の提案
松下製ノート PC(CF-W5)上に GPS レシーバ(IO データ)と USB カ
メラ HI130BT(BellTex 製 1280x1024 画素)と 3D センサ MDP-A3I9S
(NEC Tokin 製)を装着した端末システムと Wiki によるデータベー
スを作成しデータ収集を行った(図 1-4,表 1,2).
GPS による誤差は,
開けた場所では 1~2m 程度,周りに建物など遮蔽物があると衛星
からの電波を遮断,反射されてしまい 10m 前後であった.
歩行者案内地図は,地図上の任意のポイントを指定し,それら
をつなぎ合わせることでルート作成ができるものとする.あらか
じめ現地で取得した画像情報が参照できれば,ルートに沿って画
像をつなぎ合わせ,歩行者に実際の現地での移動風景を提示する
ことができる.したがって,全周囲画像とその正確な位置情報が
あれば,付近を通るルートを作成した際に,任意の方向から参照
することができる.これらは歩行者視点での情報であることが重
要であるため収集も歩行者レベルで行えるよう小型軽量の機材で
行うことを想定する.また大量のデータを必要とするので,多人
数で収集が行える仕組みも求められる.
位置情報には GPS を使用し,全周囲画像は携帯性と容易さの観
点から魚眼カメラを用いて取得する.また画像を地図上で参照す
る際に方位が必要であるため、方位センサーを取り付け画像上部
の方位を取得することとした.これらの情報は wiki を採用し,
多数のユーザーがそれぞれに収集情報の運用や,情報収集による
データベース作成に参加できるようにした.
撮影を行うのでなるべく低い位置から上向きに撮影を行う.太陽
光など周囲の強い光の影響に注意して色情報を取得する.
方位センサ 3 次元空間での向きや加速度を得る 3D モーション
センサを方位センサとして用いる.北を 0 として東周りに +π ,
西回りに –π までの北からの角度で提示する.
3.2 データベースの実装
データベースは wiki を用いて作成する. wiki はネットワー
ク上のあらゆる場所から,誰もが編集を行えるため今回のような
不特定多数のユーザーの力で画像収集を行うのに適したツールで
ある.取得情報を汎用の CSV ファイルとして扱い,日付,あるい
は場所別に,画像とともにアップロード,ダウンロードが行える.
4. 実験
図 1 全周囲画像
図 2 位置情報( Google Earth )
表 1 開けた場所での GPS の位置情報取得
3. GPS を利用した地点情報の取得
3.1 端末の実装
GPS GPS で取得される緯度、経度は,度分表示(ddd 度 mm.mmmm 分)され
るのでまず度表示(ddd.ddddd 度)に変換する.さらに測地系による誤差
を修正する.測地系とは位置を緯度,経度,高さで表示するための地
球の形状に基づく基準であり,測地系によって地球形状の測定に誤差
があるため,地図と GPS の使用する測地系が異なると数百 m の誤差
が生じる.変換は Molodensky 法による以下の式で行う.
緯度
34.773411
34.773436
34.773436
経度
135.508905
135.508915
135.508915
緯度のずれ
0.0000165
-0.0000085
-0.0000085
経度のずれ
0.0000395
0.0000295
0.0000295
34.773428
135.508912
-0.0000002
0.0000329
緯度 経度 高さ
測地系変換元 赤道半径:
扁平率:
測地系変換先 赤道半径:
扁平率:
並行移動量
離心率
図 3 建物付近での全周囲画像
図 4 建物付近での位置情報
表 2 建物付近での GPS の位置情報取得
,
ずれ:
[
]
測地系変換 緯度 経度 高さ
緯度
34.7739
34.7739
34.77366
34.77367
経度
135.5120329
135.5120413
135.5120179
135.5120029
緯度のずれ
-0.0000713
-0.0000647
0.0001686
0.000162
経度のずれ
0.0002171
0.0002087
0.0002321
0.0002471
34.77378
135.5120238
0.0000487
0.0002262
5. 考察とまとめ
センサを備えたモバイル端末とWikiによるデータベースによる
歩行者視点での地理情報収集システムを提案し実装した.人の視
点での位置情報と視覚情報を再利用しやすい形で収集できた.
GPS による測位は大きな建物付近での誤差が大きく撮影画像の内
容も違ってしまうため,撮影前後の位置情報から修正するなどの
補正処理が必要であるが,将来的には,カメラ,GPS 付きの携帯電
話からも情報取得が行えれば利用範囲が拡大すると考えられる.
参考資料
[1] Google Maps // Google Maps. - Google.-http://maps.google.com/maps.
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