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全体版はコチラ - 佐賀大学 産学地域連携機構

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全体版はコチラ - 佐賀大学 産学地域連携機構
佐賀大学ホームページ>産学・地域連携機構>佐賀大学研究室ダイジェスト
佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
教育学・教育心理学講座(文化教育学部ー4)
教育学・教育心理学講座には、教育学、教育心理学、障害児教育の三つの選修があります。複雑で深刻な現在の
教育問題を原理的・社会的に、また心理学的に解明し、現代社会において求められている多面的な力をもった教員
の養成を行っています。
自閉症は他者との適切な関係を築くことに極めて困難が伴う障害である。しかし、このこと
は彼らが「他者と関わりをもちたくない」と感じていることを意味しない。つまり自閉症児者
も他者との関わりを希求しながら、その方法において障害をもつことにより、結果として他者
との適切な関係が築けない。狗巻修司講師は、自閉症児者がどのように他者を理解しているか
を探り、他者は自閉症児者にどうはたらきかけるべきかを明らかにしようとしている。
狗巻 修司講師
上野景三教授は主に、人間の生涯にわたる教育の仕組みや学校教育以外の教育領域の研究を
行っている。子ども・若者に対する支援の仕組みや、地方自治体の生涯学習計画策定、「限界
集落」や「都市近郊団地」における地域再生にむけた社会教育・生涯学習のあり方を探ってい
る。また、自治体における男女共同参画計画やいじめ防止、子どもプラン、学力向上といった
今日的課題に対しても協同して取り組んでいる。
上野 景三教授
大元誠教授は、
「日本語でする心理学」を提唱し、心理学を考えていく上で、その日常使用
する言語の運用が重要であることを念頭に、現在、日本語の表現や運用に見られる心のモデル
の追及を試みている。また、「こころ」が意味する内容について、深く考察することで、日本
語における「気」を使用した表現やその背景であるアニミズムの現象にあるメカニズムについ
て研究している。
大元 誠教授
上長然講師は、
「心身の発達」
「メンタルヘルス」をキーワードに、児童・思春期・青年期の
子どもたちのこころとからだの発育・発達に関する問題に取り組んでいる。また、子どもたち
の心身の発達や健康を増進するための関わりについて研究している。
上長 然講師
川上泰彦准教授は公立学校教員の人事について研究しており、2013年には著書「公立学校の
教員人事システム」を出版した。現在は「平成の大合併」などの地方行政の変化が教育行政や
学校に与えた影響、異動や配置が教師の能力形成に及ぼす影響、教師の勤務実態についての研
究などを行っている。また、いくつかの自治体において、学校評価やコミュニティ・スクール
の実施・定着に向けた研究・実践を行っている。
川上 泰彦准教授
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久野建夫教授は、若年発症長期慢性疾患児・者の教育的ニードをテーマとしている。1型糖尿
病などの内分泌代謝疾患、自閉症スペクトラム、小児の運動発達および認知発達の異常をとり
あげ、これらを持つ者の能力開花、社会参加、就労に向けて、どのようなニードがあるか、ま
た、疾患の治療法が進歩しキャリア可能性が拡がる中で、どのような介入が望ましいか、医療
実践、教育実践をふまえて研究を進めている。
久野 建夫教授
松下一世教授は、子どもの権利、いじめ、虐待、不登校、貧困、障害のある子ども、外国に
ルーツをもつ子どもの問題など、学校教育において人権教育に関わる課題を研究テーマにして
いる。テーマには部落問題をはじめ、人権についてどのように教えるかという授業づくり、人
間関係づくり、生徒指導の在り方もすべて含む。
松下 一世教授
芳野正昭教授は、
「障害の重い子ども」
「コミュニケーションの促進」
「探索活動の活発化(確
定帯域の拡大)
」
「子どもと教師の相互信頼関係の形成」
「一人一人に応じた状況工作」をキーワ
ードに、障害のある子どもの保育および教育のあり方に関する研究を通して、障害のある子ど
も一人一人の生き生きとした家庭・学校・地域社会での生活の実現を目指して研究に取り組ん
でいる。
芳野 正昭教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
理数教育講座(文化教育学部ー10)
理数教育講座では、理数離れを防ぐため、理数教育能力をもった教員を養成するための科目を設定し、理数に対
する深い知識を有し、自然科学への興味と正しい理解の仕方を子供へ教育できる教員を養成しています。
石原秀太教授は亜鉛、カドミウム、水銀などのハロゲン化物錯イオンの構造や物性について
核四極共鳴法と X 線回析法などを用いて研究している。陽イオンの微妙な電荷の違いで、ハロ
ゲン化物錯イオンが層状になったり、鎖状になるなど構造が大きく変化するし、温度によって
も構造が変化して、物性が変化する。このような構造を決定する条件を研究している。最近は、
理科(化学)教育用の実験教材の開発も行っている。
石原 秀太教授
河合茂生教授は、微分幾何学の研究を行っている。最近ではある種の幾何学的変分問題に関
することと、微分作用素のスペクトルと幾何学的性質の関連という二つの事柄に興味を持って
調べている。
河合 茂生教授
針金で輪を作って石鹸水につけると膜ができる。これはその針金を境界にもつような曲面の
中で面積が最小の曲面であり、このような石鹸膜の数学的モデルを極小曲面と云う。庄田敏宏
准教授は、この極小曲面の構造を、高等学校で学ぶ複素数や微分積分学の理論を用いて研究し
ている。非常に難解な理論が展開されるが、自然現象が数字を使って完璧に説明されていく様
を見ることができ、その美しさに魅了され、研究を続けている。
庄田 敏宏准教授
寺井直樹教授の専門は代数学で、環という対象を研究している。環は足し算、引き算、掛け
算ができるシステムのことで、整数全体の集合がその典型的な例。主に多項式全体の集合であ
る多項式環について、その単項式の組合せ論的性質に着目して研究している。単項式は単純で
あるからこそ色々と美しい性質を持っており、それがこの分野の魅力であると思っている。
寺井 直樹教授
宮脇博巳教授は、地衣類の分類学を専門にしており、南極から熱帯雨林にいたる世界中で、
地衣類を採集し、研究を行っている。また、それをベースに、地球環境問題、環境の悪化によ
り絶滅の危機に瀕している植物の調査、郷土佐賀に生息している植物の研究とその教材化、鹿
島市との共同研究により、佐賀県の特産であるミカンの花を生け花として有効活用する取り組
み等、広く研究を行っている。
宮脇 博巳教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
日本・アジア文化講座(文化教育学部ー8)
日本・アジア文化講座には、日本とアジアの文学・言語・歴史・政治・経済・思想・文化にかかわる様々な分野
を専門とする教員が多く所属しており、学生には 4 年間をとおして日本やアジアについて幅広い観点から多角的に
学ぶ機会を提供しています。
鬼嶋淳准教授は中央の政治・外交・経済の側面だけではなく、地域に暮らす人々にとって身
近な問題である健康・衛生・医療・福祉・生活といった側面に注目して、近現代日本社会の歴
史(主に 1930~1970 年代)を研究している。特に、地域の人々の動き(運動)に着目し、戦
後日本の社会がどのように形成されてきたのかを検討している。また、地域社会に残る歴史資
料の収集・保存や、地域の暮らしの変化に関する聞き取り調査も行っている。
鬼嶋 淳准教授
近藤則之教授は中国思想史、特に中国の春秋・戦国時代、秦・漢の思想の流れが研究の中心。
孔子に始まると言われるいわゆる儒家思想、これが孟子や荀子を経て、経典の確立を伴いなが
ら体系化され、漢代に至って国教とされるまでの過程を、道家やその他の諸子百家の思想、あ
るいは戦国、秦漢の政治史との絡みで調べている。また、日本、特に江戸時代から近現代にお
ける儒教の影響にも注意を払っている。
近藤 則之教授
白石良夫教授の専門は国語学(仮名遣い・古典語彙等)及び国文学(古学・説話・近世和歌・
近代短歌等)。1983年に文部省(現文部科学省)に入省し、教科書検定(国語)に従事しなが
ら研究を続け、2009年より佐賀大学文化教育学部。主要著編書に、中公新書『古語の謎』
、新
潮文庫『幕末インテリジェンス』
、講談社学術文庫『本居宣長「うひ山ぶみ」』
、岩波書店『説
話のなかの江戸武士たち』等がある。
白石 良夫教授
谷口高志講師は中国文学、特に唐代から宋代にかけての古典文学を研究している。伝統文学
(いわゆる漢詩漢文)だけでなく、宋詞・元曲といった俗文学にも関心があり、最近は元代の
法律文書なども読んでいる。研究テーマは文学と藝術の関係性、文人趣味の発生と展開(趣味
が個性として重んじられていく歴史的経緯)などである。
谷口 高志講師
張韓模教授は、「貨幣の経済活動に与える影響」をキーワードに、「為替変動の原因と影響」
「地域経済の国際化」「国際通貨システム」などを研究分野としている。また、佐賀大学のベ
トナム大学とのツイニング・プログラムやカンボジア大学との短期交流プログラムを実施する
など「教育の国際化」にも取り組んでいる。
張 韓模教授
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中尾友香梨准教授は、日中比較文化と日本漢文学を主要な研究領域としており、近年は近世
日本における七絃琴の受容について研究を進めると同時に、佐賀の近世・近代の偉人たちの漢
詩文を読み解くことにより、歴史に埋もれた彼らの事跡を明らかにするために尽力している。
主な編著書に『江戸文人と明清楽』(汲古書院)、『歴史に埋もれた名医‐徳永雨卿』
(佐賀大学
地域学歴史文化研究センター)、
『文人大名鍋島直條の詩箋巻』(同)などがある。
中尾 友香梨准教授
永島広紀准教授は、年来、歴史学(東洋史・日本史)の手法・方法論により日本と韓国・朝
鮮半島との関係史に関するテーマで研究を行っており、近年は日韓の文化財問題、高等教育の
比較史・旧制高等学校史などに取り組んでいる。今後は佐賀県の近現代史、特に「海外移民」
「満蒙開拓」と戦後の「引揚げ」史の史料調査にも取り組む予定。
永島 広紀准教授
古川末喜教授の研究分野は中国の古典文学で、特に先秦から唐代にかけての韻文学。今は杜
甫の生活詩や、日中の歳時文化などに取り組んでいる。また高校生でも、漢詩を一読して理解
できるような、新しい訓読のスタイルを考案実践し、
『佐賀大学文化教育学部研究論文集』に『「現
代訓読文」で漢詩を読む(漢文教育の一探求として)』として連載中。著書に『中国スキンシッ
プ紀行』『初唐の文学思想と韻律論』
『杜甫農業詩研究』がある。
古川 末喜教授
宮島敦子教授は、日本中世後期の社会経済史を専門としており、戦国期の貨幣流通について、
「伊勢神宮参宮人帳」の分析から、銀の流通について分析している。また、近年は龍造寺隆信
の研究も行っており、特に史料を精査することによって、通説とは異なった新たな事実の掘り
起こしに努めている。
宮島 敦子教授
森善宣准教授は、東西冷戦が南北朝鮮に構造化される過程を研究している。現在は科学研究
費補助金課題研究として北朝鮮と中ロ東欧諸国との外交電文および情勢報告書を邦訳、編集、
出版する事業を推進している。毎年の訪朝で現地調査も行っており、在日朝鮮人帰還事業の研
究と共に、来年度より朝鮮停戦後から1960年代初めに至る「異性体」分断構造の出現過程研究
も本格化させる。
森 善宣准教授
山﨑功准教授は郷土、アジア・南方をキーワードに、現代東南アジアの国際関係、ナショナ
リズムの生成と変容に焦点を当てた現代国際政治、歴史的視点を踏まえた近代日本と東南アジ
アの関係、アジア政治文化の比較などの研究分析を続けている。これらの研究を通して、郷土・
ローカルな視点を踏まえつつ、日本とアジアとの幅広い関わりを明らかにしようとしている。
山﨑 功准教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
地域・生活文化講座(文化教育学部ー7)
地域・生活文化講座は、地域・歴史・風土等に根ざす衣食住を基盤とした私たちの生活文化の探求と創造を目指
しています。そのために、家政学、地理学、歴史学、社会学という実践的総合科学の分野の教員で構成されていま
す。
赤星礼子教授の専門は家政学の生活経営学。「九州における高齢者の生活研究」を研究テー
マとしており、近年は島における高齢者の生活を「生活支援のネットワーク形成」や「高齢期
生活の持続可能性」をキーワードに、フィールド調査を重ねて実践的な問題解決(提言)を目
指して研究に取り組んでいる。
赤星 礼子教授
甲斐今日子教授は、衣生活を中心とした人の健康や環境問題に関わる実践的研究を行ってい
る。冷房環境と女性の冷えとの関連、中年期女性の健康と衣服の快適性等の基礎研究や、働く
女性のための安全でかっこいい、マタニティウエアの設計を行っている。ライフワークともい
うべき「おむつの研究」は 20 年以上続けており、研究成果は生活情報誌に掲載されている。
甲斐 今日子教授
萱島知子准教授は食品機能に関する研究を行っており、現在はハーブ(ローズマリー)や地
域のだし(あごだし)について、抗酸化効果や抗がん効果といった機能性について実験研究を
行っている。また、食品機能を研究する立場から、家庭科教育の研究にも取り組んでいる。
萱島 知子准教授
健康・快適で且つ省エネルギー的な住まいを実現するためには建物や設備機器の性能・効率
といったハードウエアの改善のみでなく、住環境の特性に応じた居住者の住まい方などのソフ
トウエアの工夫・改善が重要。澤島智明准教授は様々な住宅の物理的環境と居住者の意識や住
まい方との関係を分析し、居住者にとってより良い住まいのありかたについて考察している。
澤島 智明准教授
重藤輝行准教授は、古墳時代を中心に弥生時代~奈良時代の集落遺跡、墳墓・古墳、日常土
器を研究している。考古学では最古・最大などの新発見が注目を受けるが、生活基盤となった
一般集落や日常土器、各地に普遍的に存在する中小規模の古墳の歴史的意義を再確認し、そこ
から社会関係とその変動を読み解くような教育・研究を目指している。また、文化財の保護、
特に記念物の管理のあり方について関心をもっている。
重藤 輝行准教授
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田中豊治教授の研究課題は、今日の厳しい歴史的時代状況を切り拓く「新しい希望の原理」
を「歴史としてのアジア」に求めている。なぜ「アジア」なのかといえば、
「アジア」という概
念には、
「多様性、重層性、開放性が混淆する複合社会」あるいは「多元的価値の共生社会」と
いった意味が含まれている。そこで、この価値理念を体現する地域として「アジア社会」を位
置づけ、学問としての「アジア・コミュニティ」の学的構築を目指している。
田中 豊治教授
藤永豪准教授は、農山漁村に居住する人々が、山や平野、海で、自分たちを取り巻く自然環
境とどのように関わり合いながら、どのような生業を営み、生活空間を展開してきたのかを調
べている。特に、住民たちが長い生活の歴史の中で培ってきた、自然環境に関する知識や技術
に注目しながら調査を行っており、研究をとおして、こうした地域の記憶としての文化を記録・
保存していければと考えている。
藤永 豪准教授
山下宗利教授は、人文地理学の視点から地域の在り方を探っている。現在の主な研究対象は、
佐賀市中心市街地の活性化問題。中心市街地は高齢者の居住空間としての性格をも有しており、
今後、中心市街地では高齢者は増加し続け、高齢者を視野に入れた中心市街地の活性化策が必
要であるという考えで研究に取り組んでいる。
山下 宗利教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
健康スポーツ科学講座(文化教育学部ー6)
健康スポーツ科学講座は、豊かな健康生活を支援する職業並びに保健体育教師を目指す学生に対し、基礎的な理
論と社会貢献事業の各実践プログラムを含むカリキュラムにより指導養成しています。また、生涯スポーツや福祉
環境の整備に寄与する実践研究にも力を入れています。
池上寿伸教授は、運動の合理的な習得法や科学的なトレーニング法の開発について研究して
いる。主として日常の運動習慣を改善していくために、運動・トレーニングの簡易な実践方法
の紹介や適切な根拠情報に基づくセルフケアを勧めている。スポーツではバレーボールを専門
種目としており、学生チームのコーチング並びに指導普及の立場から、地域における一貫スポ
ーツシステムを支える指導者養成に重きを置いて教育・研究を行っている。
池上 寿伸教授
井上伸一教授は 2004 年から「中高齢者のための健康教室」事業をおこなっている。現在は
200 名近い方々が参加する大規模な事業に発展している。事業の運営はゼミの学生が主体とな
り、また 60 名近い健康福祉スポーツを専攻する学生が運動指導を担当している。地域貢献事
業であるとともに、学生の実践力養成のための教育的効果も有した事業となっている。
井上 伸一教授
北川慶子教授は、平成 21 年度から 5 年間の JSPS(日本学術振興会)の受託研究「自然災
害の被災と被災後の『二重の生活危機』を最小化する災害弱者のための地域防災研究」を工学
系研究科、医学部と共に行い、国内外から高い評価を得ている。新潟大学災害復興科学研究所、
中国人民大学等との防災共同研究を行なったり、アメリカ、イギリス、中国、韓国等での招待
講演も多く、福祉分野から防災研究に新たな道を切り開いた。
北川 慶子教授
栗原淳教授は、ヘルスプロモーションの理念に基づいた HPS(ヘルス・プロモーティング・
スクール)理論とヘルスサポートシステムについて研究を進めながら、学校における健康教育
や学校保健活動の推進に取り組んでいる。特に、地域貢献事業として「アクティブキッズプロ
ジェクト」や「スポーツ教室(テニス)
」をとおして実践的に地域の健康づくりに寄与してい
る。
栗原 淳教授
坂元康成教授は「サッカーを通した地域貢献策」をテーマに、幼稚園巡回指導やサッカース
クールを全県的レベルに拡大していく研究を進めている。加えて、
「大学による発達障害のあ
る子どもに対する支援の意義」を検討し、地域社会での発達障害児に対する運動教室(週1回)
による支援プログラム(指導教本)の開発を行うことで、保育や学校教育の場でも広く利用で
きるよう、製本化に取り組んでいる。
坂元 康成教授
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松山郁夫教授は、周囲の人々が理解して受け入れるのに困難さを伴う自閉症等発達障害児者
や認知症高齢者が、地域で健やかに生活するために必要な福祉支援のあり方を検討している。
特に、自閉症児者の家族が求めている社会的支援、障害者支援施設や高齢者福祉施設の支援者
における対象者の認識、対象者の理解を深めるソーシャルワーク演習の方法、及び発達障害児
の運動教室(ウルトラマンクラブ)の実践活動等について研究を進めている。
松山 郁夫教授
山津幸司准教授の専門は健康行動の変容を促す健康行動学。身体活動を今より増やすなどの
健康行動の変容を通じた生活習慣病の予防と認知症・介護予防に関する研究に取り組んでいる。
また、小中学生を対象とした健康行動と学業成績の関連性を明らかにする前向き研究に取り組
み、健康行動に関する幅広い研究に取り組んでいる。
山津 幸司准教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
教科教育講座(文化教育学部ー5)
教科教育講座は、初等・中等教育における諸教科の教育法を中心に、教育、研究、指導・助言等を担当する教員
の統合体です。国語教育、社会科教育、数学教育、理科教育、音楽教育、造形教育、保健体育教育、情報技術教育、
家政教育、英語教育の 10 分野があり、それぞれ小学校や中学・高校の関連教科を担当しています。
宇都宮明子准教授は、
「日本とドイツの歴史教育」
「日本とドイツの歴史学習」をキーワード
に、両国の歴史教育論、学習指導要領、歴史教科書、歴史授業実践といった理論と実践両レベ
ルの比較検討に基づいて、日本の歴史教育を変革することを目指して研究に取り組んでいる。
宇都宮 明子准教授
栗山裕至教授は、C.G ユングの分析心理学等に依拠しながら、児童生徒の精神的成長(自
我確立、個性の育ち、自己実現等)と造形表現活動との相互関係について研究を行っている。
また、附属学校等の教員の協力を得ながら、美術批評学習の日本における実践的検証も進めて
いる。
栗山 裕至教授
米田重和講師は、現代ドイツの算数・数学教育の動向についての研究を行っている。特に、
ドルトムント工科大学のヴィットマンが提唱した「本質的学習環境」に基づいた数学教育につ
いての研究を行い、彼らが主催する数学教育改善プロジェクト「mathe2000」が作成している
出版物である「数の本」等の分析を行っている。さらに、それらを基に日本の小学校や中学校
で活用できるように教材の開発も行っている。
米田 重和講師
佐藤寛之准教授は、主に義務教育課程の子どもの自然事象理解のための「学習プロセス」や
理解を促進する際に表出する子どもの「比喩的表現」に着目し、国内外の学習到達度調査等で
明らかとなっている子どもの理科学習における課題(
「対話を重視した理科の授業や、モデルの
使用や応用を重視した理科の授業があまりない」と子どもが認識していること)を改善するの
に資する理科の教授・学習論に関する研究に取り組んでいる。
佐藤 寛之准教授
佐長健司教授は、民主主義社会における市民の育成を目的とする学校教育、生涯学習の研究
を行っている。第1に、民主主義の原理を基盤に社会科教育を構築する立場から、社会の制度や
システムの更新に関する議論によって構成する社会形成教育について研究している。第2に、学
校教育、生涯学習におけるディベート教育のカリキュラム開発に関する研究を行っており、小
学生、中学生、高校生を対象としたディベート大会、講座を企画、開催している。
佐長 健司教授
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竜田徹講師は、
「国語教育が育てる〈力〉とはなにか?」
「国語教育において〈言語教育〉と
〈文学教育〉のバランスをどのように図っていくか?」
「新聞記事には国語の教材としてどの
ような可能性があるか?」「どのような国語学習が記憶に残るのか、そして国語学習の記憶は
ひとの一生をどのように支えるか?」をテーマに研究に取り組んでいる。
竜田 徹講師
達富洋二教授は「国語教室の創造」
「教室の声の共有のための授業コミュニケーション力習得
と習熟」「ことばの学び手としての自覚」をキーワードに、あくまでも学校現場での実践化の
ための研究に取り組んでいる。全国の教室をたずねて「授業の研究」を現場の先生方と協働的
にすすめている。そこでは、教材の解釈や分析、学習指導案の検討とともに、「教室の事実」
を記録に残し、教室の声がどのように共有されているのか(いないのか)の観察と考察を重視
達富 洋二教授
している。
田中彰一教授は、
「英語学」
「小中接続英語教育」
「中等英語教育」をキーワードに、教員養
成を通して、21世紀の英語教育にとって大事な要素は何かを目指して教育研究に取り組んでい
る。
田中 彰一教授
堤公一准教授は「生涯スポーツ」「スポーツ文化享受能力」
「さがの体育」
「レクリエーショ
ン」「ヘルスプロモーション」をキーワードに、体育の授業づくりや体育カリキュラムの開発、
子どもたちから愛される「楽しい体育の授業」を提供できる先生の育成を目指して研究に取り
組んでいる。
堤 公一准教授
中西雪夫教授は、ジェンダーフリー、男女共同参画社会、ESD(持続可能な開発のための教
育)、消費者教育、意思決定をキーワードに、男女共修の家庭科教育の在り方についてや、乳
幼児を子育て中の母親の育児不安についての父親の家事・育児参加との関連を研究している。
中西 雪夫教授
中村隆敏教授は、デジタルコンテンツを中心とした研究を行っており、その中でも特に、新
技術を利用した人材育成に興味・関心を持ち、研究を進めている。また、教員養成課程におけ
るICT活用教育の実践的研究も行っており、急速に進む教育現場のICT活用と有用な教材コン
テンツ開発も重要なテーマである。専門である「情報教育」と「芸術」をもとにした地域振興
活動を多数行っている。
中村 隆敏教授
53
山田潤次教授は「教員養成教育の質保証」という緊要な課題を受けて、高い資質を備えた音
楽科教師を養成するためのカリキュラムの質的改善をめぐる研究に取り組んでいる。その中で、
義務教育における今日的な音楽教育問題に応じるために、主として小・中学校教育現場やその
地域と協同して、教員養成の在り方についての検討を繰り返している。
山田 潤次教授
世波敏嗣教授は、イギリスの幼稚園・小学校・中学校・高等学校等における理科教育に焦点
を当てた比較理科教育学が専門。加えて理科教育史や科学史教育、そして現在は理科教育にお
ける思想・哲学について研究している。昭和63年に佐賀大学教育学部に奉職して以来、教員養
成と現職教育における理科教育の教育・研究、及び、主に附属・代用附属の小・中学校におけ
る理科教育に関する指導・助言等を行っている。
世波 敏嗣教授
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佐賀大学ホームページ>産学・地域連携機構>佐賀大学研究室ダイジェスト
佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
音楽教育講座(文化教育学部ー2)
音楽教育講座は高い専門性を有する音楽教師を育てることを目的としています。講座に属する 5 人の教員のそれ
ぞれの分野(ピアノ、声楽、指揮・器楽、作曲、音楽学)の専門科目および音楽教育学を学び、卒業研究には卒業
演奏と卒業論文が課せられています。
今井治人准教授は、指揮活動をより芸術性の高いものにするための研究は勿論、音楽を通じ
た社会活動に積極的に取り組み、社会や教育と音楽の関わりついて研究している。
今井 治人准教授
板橋江利也准教授の専門は声楽。東京大、東京芸術大卒、同大学院修了。学生時代から数々
のオペラ公演や演奏会に参加し、継続的に東京、九州一円にて演奏活動を行い、また幼稚園や
病院での訪問演奏等地域貢献活動にも力を入れている。授業は学部や大学院において「声楽」
「合唱」「小学声楽」「教職実践演習」等を担当している。
板橋 江利也准教授
古賀雅子教授はピアノ演奏を指導している。ドイツ語圏で 21 年生活したため、主にバッハ、
ベートーヴェン、シューマン、ブラームス等が研究テーマである。ドイツ音楽は一つの曲が多
数の声部から成り立っている複旋律であり「森の音楽」といわれる。様々な樹々、その葉を通
した光の濃淡は音にも表れる。難解だが学生もその魅力に「ハマッ」ている。
古賀 雅子教授
高野茂教授は、19 世紀のドイツ音楽と当時の哲学的、宗教的思想との繋がりについて研究
している。
「世界観」
「宗教観」「フモール」などをキーワードとして、特にマーラーを中心に
その音楽の象徴法、世界観的音楽の特徴、モダニズムへの傾向などについての研究を進めてい
るが、関連でワーグナー、シューマンらの音楽や思想などについても考察している。
高野 茂教授
橋本正昭教授の専門は作曲で、管弦楽曲、吹奏楽曲、室内楽、ピアノ曲、オペラ、合唱曲、
歌曲など多様なジャンルに多くの作品を生み出している。特にここ10数年の間に書いた3つの
オペラは主要な作品に数えられる。ソルフェージュやキーボード・ハーモニーのテキストの著
作もあり、
「高校音楽」教科書の著者を務めたこともある。授業は「音楽理論演習」
「伴奏法」
「編曲法」
「作曲法」などを担当している。
橋本 正昭教授
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佐賀大学ホームページ>産学・地域連携機構>佐賀大学研究室ダイジェスト
佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
欧米文化講座(文化教育学部ー1)
欧米文化講座の教員は欧米の語学・文学、思想・歴史・法体系等、広く国際社会に関わることがらを研究してい
ます。これらの研究の上に、学生たちが外国語とコミュニケーション能力を身につけ、国際社会への視野を拡げ、
活動する足掛かりを作るような授業を提供しています。また、学生たちに海外研修や留学の機会を与えるべく努め
ています。
19 世紀のヨーロッパが「近代性」の問題の根源であり、それが現代の世界各国の文化にま
で関連している。相野毅教授は、「近代性」を中心テーマに、ヴィリエ・ド・リラダンなどの
フランス象徴派の詩人の作品から現代日本の「攻殻機動隊」に至るまで、幅広く研究に取り組
んでいる。ゼミでは、異文化間の比較研究の方法の二つの軸である、影響関係に基づく狭義の
今井 治人准教授
「比較」研究と、記号論的な研究の方法を教えている。
相野 毅教授
小野浩司教授は日・英の形態音韻現象(母音挿入・母音融合・音象徴語形成など)を「ソノ
リティー(聞こえ)」の観点から捉えなおす研究に取り組んでいる。また、意思の疎通を阻み
かねない日本人の英語発音の矯正法についても取り組んでいる。
小野 浩司教授
木原誠教授は、アイルランド及びケルト文学・文化を中心に研究を行っている。とくにアイ
ルランド文化固有の神秘性が研究の中心である。
木原 誠教授
熊本千明教授は、日・英語のコピュラ文(A ハ/ガ B ダ。A is B.
)、存在文(A ガイル/ア
ル。There is A.
)に現れる名詞句の指示性、非指示性に注目し、その意味機能を探求している。
また、日・英語の分裂文の意味構造についても、考察を行っている。
熊本 千明教授
古賀豊准教授は、キリスト教(カトリシスム)と現代フランス文学との関係に関心を持ち、
「悪魔の陽の下に」や「田舎司祭の日記」などの作品を著した20世紀前半のカトリック作家ジ
ョルジュ・ベルナノスの研究を行っている。教育では、
「専門フランス語」の他、
「フランス文
学史」
「フランス文学Ⅱ」「現代フランス事情」の講義を担当している。
古賀 豊准教授
44
後藤正英准教授は、18世紀ドイツで活躍したユダヤ人哲学者モーゼス・メンデルスゾーンの
研究を通して、異なる文化・宗教・民族的背景をもつ人々が共生していくうえでの知恵を探ろ
うとするなど、主に近代ヨーロッパの哲学思想の研究をしているが、現代社会における倫理的・
宗教的問題にも関心を持って取り組んでいる。
後藤 正英准教授
重竹芳江准教授は、福祉に対する考え方の背景にあるものを明らかにすることを目的に、特
にキリスト教教会から派生した社会福祉団体の成立と発展に焦点を当て、ドイツにおける当時
の社会福祉がどのような形で文学作品に反映されてきたかを分析している。教育面では、
「ドイ
ツ語とドイツ文化研修旅行」を企画・実施し、学生たちに習得したドイツ語を実地で活かす機
会を提供している。
重竹 芳江准教授
鈴木繁教授は、アメリカ19世紀半ばの小説家、ナサニエル・ホーソーンを中心として、アメ
リカ文学を研究している。最近は、ホーソーンが日本近現代の文学者に与えた比較文学的影響
や、同時代のアメリカ作家、エドガー・アラン・ポーとの関係についても考察している。
鈴木 繁教授
グローバリゼーションがますます加速するなかで、これまで当たり前のように思われてきた
国内・国際という境界線が揺れ動いている。この現代世界でいかなる国際正義・秩序が可能な
のか、領土問題のような地政学の復権の意味、NGOのように国境を越えていく市民社会の可能
性と限界等が問われている。高橋良輔准教授は、これらの問題について現代政治理論・政治社
会学・国際関係論を横断して研究している。
高橋 良輔准教授
都築彰教授は、歴史学のなかのヨーロッパ中世史、特に12世紀のイングランド王国で、国王
が交付した法行政文書や修道院で書かれた年代記などの歴史資料の分析について、作成者の作
成意図や執筆の動機などに関心を持ちながら研究を行っている。教育では、専門研究を踏まえ
て「西洋史」や「イギリス史」等の講義演習を担当している。
都築 彰教授
名本達也准教授は19世紀後半のアメリカのリアリズムによる文学について研究している。具
体的に関心を持っている作家はヘンリー・ジェイムズで、特にここ数年は、芸術家の生き方に
光をあてた作品群を研究対象としている。
名本 達也准教授
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早瀨博範教授は、アメリカの文学、特にモダニズム時代の南部作家、ウィリアム・フォーク
ナーの作品を中心に、現代の黒人作家やネイティブアメリカンの作家作品について、主として
作品の時代性、作家独特の語りの手法についての研究している。合わせて日本の英語教育の抱
える問題をテーマとして英語教育に関する研究を行っている。
早瀨 博範教授
ホートン・ステファニーアン准教授は、ネイティブ・スピーカリズム(学校現場におけるネ
イティブ・スピーカーへの様々な偏見)の問題提起と、解決・打開策についての研究を進めて
いる。合わせて異文化対応能力の分析・育成・発展、オンラインコミュニケーション、海外留
学、市民権の研究・理解、ステレオタイプ等についての研究にも取り組んでいる。
Houghton
Stephanie
Ann 准教授
山中利夫准教授はイギリス14世紀の詩人Geoffrey Chaucerの詩を研究しており、特に、
Chaucerの物語詩における様々な語りの技法・技巧に注目して分析している。また、その関連
から、最近は興味を現代小説にまで広げて、小説の語りの技法の研究も行っている。
山中 利夫准教授
吉岡剛彦准教授は、自己と他者が互いの声に傾聴しあう関係性を基軸に据えながら、障がい
者や外国人などマイノリティー(社会的に不利な立場に置かれがちな少数者)の人権が守られ
る社会のあり方を研究している。講義では、法律学の概説のほか、出生前診断や妊娠中絶、安
楽死・尊厳死、裁判員制度と死刑など、ジェンダー論・生命倫理学と法とが交錯する問題群や、
戦争責任論などを扱っている。
吉岡 剛彦准教授
吉中幸平教授は現代ドイツ語の文法や意味の仕組みを研究しており、日本語との対照研究を
行っている。そのような基礎研究の上に、応用的な研究として、長年独和辞典の編纂と改訂に
取り組み、初学者にとって理想的な独和辞典のあり方を追求している。教育面では、主として
九州地区の学生を対象に、30年間にわたって「ドイツ語とドイツ文化研修旅行」を企画・実施、
これまでに1,500人以上の学生達にドイツ文化と触れ合う機会を提供してきた。
吉中 幸平教授
46
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佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
環境基礎講座(文化教育学部ー3)
環境基礎講座は自然環境や地球環境に関する科学的分析・予測を行い、環境、問題解決の方策を研究しています。
教員の専門は理論物理、環境科学、無機化学、錯体化学、物理学(素粒子原子核実験)、計算化学、機械工学、トラ
イボロジー、地球生命科学、堆積学、環境法など環境をキーワードに多岐にわたっています。
大隅秀晃教授は、主に素粒子や原子核に関連する物理学の実験研究を行っている。現在は二
重ベータ崩壊によるニュートリノの研究などが中心テーマである。所属学部が教育学系なので
広い意味で物理に関係した理科教育に関連するテーマも研究対象としている。
大隅 秀晃教授
岡島俊哉教授は、化学(主に有機化学)の理論と実験法、計算化学手法(コンピュータシミ
ュレーション)を用いて、栄養素など生体を構成する物質と生体侵入物質との構造‐反応性相
関の解析を行っている。生体内における化学物質の供給(摂食)・輸送・排泄という物質循環
を地球環境に準えて生体環境と捉え、地球環境の理解・保全と生体環境の把握・対処に共通点
が多いことに触れながら、汎用(多面)的視点を持つ重要性を説いている。
岡島 俊哉教授
小野文慈教授はトライボロジーという摩擦や摩耗に関する研究を行っている。自動車をはじ
め様々な工業製品の中で起こる摩擦によるエネルギー損失、コスト損失は国民総生産(GDP)
の 3%を占めると言われている。適切なトライボロジー技術による省エネルギーとトラブル防
止の経済効果は先進工業国では GDP の 1%以上に達すると見積もられているように、トライ
ボロジー分野は省資源、省エネ、コストダウン、環境保全にも役立つ研究である。
小野 文慈教授
髙島千鶴准教授は地球科学分野の地球生命科学、炭酸塩堆積学が専門。現在、数十億年前の
地球環境の復元を目指して、現世の温泉環境に焦点を当て研究を進めている。温泉の中には太
古の堆積物と類似した湯の花を生じるものがある。主に、国内外の湯の花を沈殿させる温泉を
対象とし、温泉水の分析、堆積物の観察や微生物群集の特定などを行い、水の特徴や堆積物の
生成プロセスを解明している。
髙島 千鶴准教授
元々、理論物理を専攻していた中村聡准教授。現在はその知識を生かして環境科学を中心に
幅広いテーマを扱っている。数年前には建造物軒下での局所的砂漠化現象を測定によって初め
て指摘し、今も継続して研究に取り組んでいる。最近力を入れているテーマには生物種分化の
シミュレーション等もある。昨年は『「青き清浄の地」としての里山‐生物多様性からナウシ
カへの思索‐』という、環境倫理学にも踏み込む内容の本を上梓した。
中村 聡准教授
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張本燦教授は東アジアの環境法・政策に関する研究に取り組んでおり、主な研究テーマは典
型7公害はじめ有害化学物質、容器包装、環境紛争、土壌汚染、新幹線の騒音・振動などの公害
問題。1950年代以降に日本で発生した四大公害訴訟では、裁判の過程で悲惨極まる公害病の実
態が明らかになり、公害関係立法や公害行政に大きな影響を及ぼし、その後、法理論の展開と
具体的な法整備のための研究が精力的に進められた。
張本 燦教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
文化教育学部
美術・工芸講座(文化教育学部ー9)
美術・工芸講座は 60 年の歴史を有する伝統のある講座です。美術教員、作家、一般企業の美術・デザイン部門な
ど、幅広い分野に優秀な人材を輩出してきています。4 年間で美術・工芸の技術、理論をみっちり学べます。
荒木博申教授は、タイポグラフィ(文字や記号を媒体とするデザイン)やインフォメーショ
ングラフィックスを専門とする(佐賀大学美術館及び正門周辺の整備計画においては、設備、
ロゴタイプ、サイン、印刷物などのデザインを一手に担当)が、デザインの対象は美術に留ま
らない。企画自体の意義、考え方、プロセス、機能、社会的影響などを客観的に追及し、既成
概念や流行、形や表面的・感覚的な美しさに惑わされないデザインの実践・助言を心がけてい
荒木 博申教授
る。
井川健准教授は、漆を使った造形表現に取り組んでいる。その中でも、髹漆(きゅうしつ)
と言われる「装飾によらない塗りによる表現」を表現手法の柱とし、器から大きな造形まで幅
広い表現を手がける。漆の素材性に着目した構想、造形における「面」と「線」の表現、研ぎ
を生かしたシャープな造形表現などに特徴がある。個展、公募展など国内外で発表活動を行な
っている。
井川 健准教授
石崎誠和講師は、
「現代の日本画制作」
「ポストコロニアル的美術としての日本画」をキーワ
ードに、日本画にとらわれずに日本画の伝統や画材などを生かした現代的表現の研究に取り組
んでいる。
石崎 誠和講師
小木曽誠准教授は 1500 年~1800 年ごろの西洋の絵画を研究し、制作発表を行っている。
当時の絵画はギルドとして高いものがあり、日本の美術においてないがしろにされてきた歴史
がある。今後そのようなものを自己の作品に昇華し、展開出来ればと考えている。
小木曽 誠准教授
田中右紀教授は、「有田焼」
「唐津焼」
「伊万里焼」等、肥前陶磁器生産地において、産業の
活性化、人材養成、地域振興を、やきものの生産、造形表現、デザイン、発表方法など国際的
な視点から産地に問いかける。
田中 右紀教授
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田中嘉生教授の所属している染色教室は、開設当初より染色工芸の平面表現としての可能性
を追求し今日に至っている。染色素材を中心にした造形活動はもちろんだが、幅広い造形思考
が出来る学生が育っている。田中教授も代々の先生が培ってきた教室の伝統を受け継ぎ、防染
技法と染色意匠の関係等の研究を進めている。
田中 嘉生教授
德安和博准教授は、日展の彫刻部門で2度特選を受賞している彫刻家である。
「塑造による量
感表現の研究」
「塑造活動と触覚性との関わりに関する研究」
「彫刻による美術教育」
「幼少期の
感覚訓練としての粘土による造形活動」をキーワードに、美術科教員の育成、新人作家の育成、
彫刻による地域貢献活動、教員免許更新講習などに取り組む。
德安 和博准教授
吉住磨子教授は1600年前後のイタリア美術史が研究テーマの中心。また、ジェンダー美術史、
社会の中のマイノリティーの図像などについても勉強中。平成25年10月にオープンした佐賀大
学美術館の活動については、美術館といっても「美術」の枠にとらわれることなく、総合大学
らしい学際的、領域横断的な企画を考えていきたいと思っている。文化教育学部在職10年余の
経験を、美術館という新しいステージでどのように活かしていけるか、期待に胸をふくらませ
吉住 磨子教授
ている。
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佐賀大学研究室ダイジェスト
経済学部
経営学科(経済学部ー1)
経営学科の研究分野として経営学と会計学があり、経営学は経営組織論、経営情報論、経営管理論やマーケティ
ング論などからなり、会計学は簿記論、財務会計論、管理会計論などからなっています。経済学がマクロ的視野で
経済現象を研究するのに対し、経営学では企業などの主体を研究対象としてミクロ的な視野での研究を行っていま
す。また、会計学では企業の財務諸表を題材とし経営内部にある問題を研究したり、財務諸表がもつ意味を論じる
ものです。
小川哲彦准教授は、環境会計について研究している。具体的には財務諸表において、環境
会計情報がどのように開示されてきているのかについて2001年から環境会計情報の開示
伊藤 正哉准教授
状況を調査している。また、環境管理会計分野では、ISO14001 を契機とした環境管理会計の
発展の経緯に関する研究や2011年9月に ISO14051 として標準化されたマテリアルフロ
ーコスト会計の課題等を研究している。
小川 哲彦准教授
木戸田力教授は、企業経営の財務・会計の側面からの研究を基礎として、経営・財務的側
面からの中心商店街活性化を、「医商連携」をキーワードに研究・教育しており、佐賀県や佐
賀市などの、高齢者福祉のためのさまざまな活動に貢献できればと思っている。ノルウェー
王国やスウェーデン王国などの北欧諸国とのさまざまな連携の活動が可能なことが、研究の
特長である。
木戸田 力教授
羽石寛志准教授は、情報通信技術の利活用と人・組織の関係を実証的に調査研究している。
ソーシャル・ネットワーキングサービス(facebook など)の利用による、コミュニケーショ
ンの変化や、インターネット上のサービスを用いた情報共有による仕事の変化などが最近の
キーワードである。
羽石 寛志准教授
平地一郎教授の研究テーマは、大きく言うと日本の労使関係の分析。対象は鉄鋼産業で、
大手鉄鋼メーカーの仕事の有り様を分析しており、分析の視点としては仕事と賃金との関係
に着目して研究している。近年は、労使関係全体の総括を目標に、新古典派労働経済学に対
する批判的考察に力を入れている。
平地 一郎教授
松尾陽好准教授は、経営組織論及びマネジメント理論の立場から、
「企業の社会的責任(企
業と社会とのかかわり)
」、「リスク・マネジメント」、
「経営品質」
、「従業員の組織コミットメ
ント(仕事や活動に積極的に関わろうとすることに関する課題)」等の問題を中心に、企業や
組織体が抱える対外的、対内的な諸問題について研究を進めている。
松尾 陽好准教授
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多段階の卸売段階や高い小売店舗密度などが日本流通機能の代表的な特徴である。こうし
た特徴は近年、一定程度解消されてきたが、現在でも他国と比較すると特殊な構造をもつ。
しかしこれはかつて論じられた非効率や後進的であることの証ではない。日本の消費構造や
消費者の買物行動、生産者の規模やマーケティング活動に規定され存在する特殊性である。
宮崎卓朗教授は、日本と同様に独特な流通構造が形成されている他国を比較することで日本
宮崎 卓朗教授
の流通構造の特殊性が形成される理由や構造が変化している理由を研究する。
安田伸一准教授の専門分野である情報処理教育では、大学における学習に留まらず現代社
会での活動に必要な情報・メディアに関する知識を身につけ、情報を使いこなす能力「情報
リテラシー」の適切な習得と就業力の向上を目指している。
安田 伸一准教授
山形武裕准教授は、様々な会計基準に準拠して作成された利益情報が投資家に対して投資
に有用な情報を提供しているのか、もしくは経営者の裁量的な行動により投資家の意思決定
を誤導するバイアスがかかっているのかを検証し、会計基準が適正に機能して投資家に対し
て有用な会計情報が作成されているかを目的に研究を進めている。
山形 武裕准教授
2012年、
「中小企業会計基本要領」が策定され、中小企業の経営の合理化等に役立てる
べく話題をさらった。これを契機に、「中小企業会計学会」が発足し、山下壽文教授はその創
立に関わる事となった。中小企業は、経理状況が不明瞭で、複式簿記が十分に採用されてい
ないという状況に鑑み、複式簿記普及、簿記の教育方法の検証を行っており、明治期の西洋
簿記の導入と教育方法や青色申告制度導入に伴う中小企業簿記の適用状況を研究題目として
山下 壽文教授
いる。
山本長次准教授の専門は、経営者に着目した経営管理及び経営史の研究である。特に鐘紡
の経営者で、「日本的経営の祖」といわれている武藤山治の研究をライフワークとしており、
さらに佐賀県出身で、リコー三愛グループ諸企業をおこした市村清等の考察にも取り組んでい
る。経営管理の手法は企業関係のみならず、非営利団体や行政等にも応用が可能なため、そ
のような調査研究依頼、地域史研究にも対応できる。
山本 長次准教授
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佐賀大学ホームページ>産学・地域連携機構>佐賀大学研究室ダイジェスト
佐賀大学研究室ダイジェスト
経済学部
経済法学科(経済学部ー3)
経済法学科は、学科スタッフの他、佐賀県弁護士会所属弁護士の協力を得て、基本六法(憲法・刑法・民法・商
法・刑事訴訟法・民事訴訟法)についての授業の他、経済法・社会保障法・労働法・環境法について授業を行い、
研究をしています。
井上亜紀准教授は、地方自治体間の財政力の格差を調整し、それぞれのサービスのための
財源を保障する、地方交付税等の地域間財政調整制度について、憲法学的観点から研究してい
る。特に、財政力の豊かな州から貧しい州へ直接財源を移転する水平的財政調整制度を中心と
するドイツの財政調整制度をめぐる議論を参考にしながら、地域間の財源分配のあり方につい
て考察を進めている。
井上 亜紀准教授
刑罰法令に触れる行為をした精神障害者(いわゆる触法精神障害者)は、心神喪失の場合は
罰されず、心神耗弱の場合は刑が減軽される。このとき、触法精神障害者は、「精神保健及び
精神障害者福祉に関する法律」の措置入院等や、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行っ
た者の医療及び観察に関する法律」による医療を受けることになる。内山真由美准教授は、こ
うした触法精神障害者に関する法律の是非を研究している。
内山 真由美准教授
樫澤秀木教授の研究対象は、環境紛争の適切な処理のあり方。これまで、博多湾人工島紛争
や廃棄物紛争、有明海をめぐる紛争を調査研究し、現在では原発紛争を研究している。それら
の紛争では、リスク・コミュニケーションが不十分にしか行われず、当事者間の「理解」が得
られていないことが共通の特徴としてあげられる。
樫澤 秀木教授
栗林佳代准教授が研究している親権法は、民法の中の、講学上、家族法とよばれる領域に属
す。親権法は、未成熟の子を親が監護、教育するために親に認められる権利と義務について規
律するもの。近年、日本では、条約批准との関係で、親権法の改正議論も盛んになっている。
栗林准教授は、親権法のあるべき姿を求めて、先駆的なフランス親権法について検討し、日本
の親権法との比較研究をしている。
栗林 佳代准教授
今日、法的に独立している会社であっても、株式の保有を中心に人員派遣・技術提携などの
方法で他の会社と結合関係を持つことにより、垂直的・水平的・多角的な企業結合を形成して
いることが多い。このような状況に鑑みて、わが国においても、半世紀以上も前から企業結合
規制に関して議論されているものの、具体的な規制の内容については未だ結論の一致を見ない。
小西みも恵准教授は、企業結合の一形態である合弁会社の包括的な規制のあり方を研究してい
小西 みも恵准教授
る。
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現代の契約は非常に複雑化しており、自己の必要に合致した適切な契約の締結は非常に難し
い。加齢とともに判断能力が低下する高齢者にとって「契約」は生活基盤を脅かす危険性すら
生じるものである。中山泰道准教授は現代社会にあって、問題のある契約が締結された場合、
その救済として、いかなる法理論が必要であるかについて、具体的な紛争事例や比較法を通し
て研究している。
中山 泰道准教授
畑山敏夫教授は、2012年4月、フランスのエコロジー政党の歴史を辿りながら、緑の政
党の思想や運動を紹介する『フランス緑の党とニュー・ポリティクス-近代社会を超えて緑の
社会へ』というタイトルの本を出版した。また、移民労働者の排斥を唱える右翼ポピュリズム
政党「国民戦線」についても研究している。先進国の政治が行き詰まり、政治への不信や不満
が高まっている現在、ヨーロッパの新しい政治の動向を分析し、考察することを研究課題にし
畑山 敏夫教授
ている。
職場のルールを定める労働法は、働く人を守る法的護身術となるほか、企業が、職場の環境
を整え、紛争の防止・解決を図るのに役立ち、社会の健全な発展に貢献するものである。早川
智津子教授は、グローバル化の進展のなかでの雇用の諸課題について、労働法の観点から、地
域の問題解決の検討を行っている。
早川 智津子教授
長い期間にわたって失業している人や、就労経験の少ない人には、社会保障制度による所得
保障と、就職するための支援が必要である。丸谷浩介教授は、この両方について、どのような
法律を整備すべきで、実際に問題が起きたときの裁判ではどのような判断がなされるべきか、
イギリスとの比較で日本の法制度を研究している。
丸谷 浩介教授
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佐賀大学ホームページ>産学・地域連携機構>佐賀大学研究室ダイジェスト
佐賀大学研究室ダイジェスト
経済学部
経済学科(経済学部ー2)
経済学科は経済のミクロ分析からマクロ分析までを行います。具体的には、財政金融の分野、雇用・社会保障の
分野、国際経済と地域経済の分野、数量・統計分析の分野を研究しています。
伊藤正哉准教授は、戦後イギリスの経済学を研究対象とし、イギリス経済学者の発展途上国
に対する事実認識とその経済理論との関係性の解明、およびブレトン・ウッズ体制期における
経済のグローバル化に関する議論の整理に取り組んでいる。グローバル化が本格化する以前の
経済学が、途上国の位置づけも含め、国際経済に対してもっていたヴィジョンの解明を通じて、
今日のグローバル経済に対する理解と批判を深めていきたいと考えている。
伊藤 正哉准教授
上山和俊准教授は、計量経済理論の応用分析として「財政赤字の持続可能性に関する実証分
析」についての研究から、最近では、「国際貿易における保護貿易と自由貿易」をキーワード
に、わが国の産業構造や貿易構造などの変化に対する政策および経済効果を実証的に解明する
研究に取り組む。
上山 和俊准教授
金子晋右准教授は、
「近現代の日本およびアジアの貿易と工業化」をテーマに、経済の歴史
を分析する。キーワードは「大衆需要」である。大衆需要の増減が、工業化の成否や経済の盛
衰に直結すると捉える。大衆需要を増加させる政策は、①大衆減税②貧困救済・格差是正③貨
幣発行量・流通量増加④財政支出拡大である。金本位制下では、貿易黒字の場合、貨幣流通量
が増加する。こうした視点から、日本やアジア諸国経済を歴史分析し、それに基づき、現状分
金子 晋右准教授
析や将来予測にも取り組む。
亀山嘉大准教授は、日本を含む東アジアの都市経済をフィールドに、
“産学官連携”や“都市
間連携”、
“技術連携”や“物流連携”など“連携”をキーワードとした研究に取り組んでいる。
具体的には、輸送システムの変容が、色々な経済主体の連携の空間的な広がりや集積の経済の
形成を通じて、イノベーションや都市発展にどのような影響を与えているのかを計量的に分析
している。最近は、公共交通の視点から、商業集積やまちづくりのあり方に関する研究にも取
亀山 嘉大准教授
り組んでいる。
産業革命以降、世界経済は急速に発展を続けてきた。同時に、経済成長により大量の資源が
消費され、環境汚染が深刻化している。谷晶紅准教授は、経済成長がどのように起こるのか、
環境問題がなぜ生じるのか、環境保護と経済成長を両立させるためにどうすればいいのかにつ
いて、理論的な研究を行っている。
谷 晶紅准教授
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品川優准教授は、アジアモンスーン地帯に位置し、同じ農業構造問題、農村問題を抱える日
本と韓国の条件不利地域を対象に、
「むら」の有無や水田・畑作農業の相違による農業・農村の
担い手形成、集落営農の協業化と6次産業化への展開、直接支払制度のあり方などの比較研究
を行っている。
品川 優准教授
薗田竜之介准教授は、経済活動において生産された付加価値が、どのようなメカニズムに基
づいて賃金と利潤に分配されているか、またその分配の比率が変化した場合に、経済成長など
にいかなる影響を及ぼすのか、を主に研究している。この疑問に対する答えは1つではなく、
社会を取り巻く様々な制度によって異なる。そのため国ごとの制度の違いを比較し、それが経
済に与えている影響をとらえることを重視しながら、研究を進めている。
薗田 竜之介准教授
竹村敏彦准教授は、主として「情報セキュリティ」、
「プライバシー」、
「ビッグデータ」
、
「情
報通信技術」をキーワードに、
「安心・安全な社会の実現」に必要となる綿密な調査と実証分析
を踏まえたエビデンス・ベースの視点からの研究を行っている。最近では、企業の効果的かつ
実践的な情報セキュリティ対策のインセンティブに関する研究、有効な情報通信政策の評価お
竹村 敏彦准教授
よびそのあり方に関する研究などに取り組んでいる。
社会選択理論において、遂行理論とは、社会厚生の観点から最も望ましいと考えられる社会
的選択を、あるメカニズム(ゲーム)の均衡として達成しようとする理論である。都築治彦教
授は、遂行理論を経済学に応用し、社会的に望ましい決定をもたらすメカニズムについて研究
を行う。合わせてゲーム理論の経済学的な応用として、契約モデルや交渉モデルについての研
究も行っている。
都築 治彦教授
戸田順一郎准教授は、イノベーションに関する経済地理学的研究、医薬・バイオ産業のイ
ノベーション・システムに関する研究、医薬・バイオ産業の立地に関する研究を主な研究テー
マとしている。その他、地域における工業立地に関する研究も行っている。
戸田 順一郎准教授
富田義典教授の専門領域は労働経済である。おもに雇用問題・賃金問題および労働時間問題
についての現状分析を行っている。企業レベルの労使関係についても、外国との対比で今日の
日本の労使関係の特質の解明を行っている。
富田 義典教授
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中西一教授は、政府予算制度の財政規律に与える影響を、政治制度との関連の中で多国間国
際比較による実証研究を通じて検証する。予算制度の国際比較のため、海外調査による事例研
究も行っている。
中西 一教授
中村博和教授は、一般的にいえば、経済における統計手法を研究している。特に経済時系列
の分析手法についての研究が中心であり、季節調整法やトレンド推測、予測といった分野に関
心をもっている。
中村 博和教授
納富一郎教授は、日本やアメリカなど先進国の予算制度がどのようにして形成され進展して
きたか、どのような方向に向かうのか、に関心を持って研究している。財政の再建、財政の持
続可能性、国家(地方自治体)の社会的な役割、納税者(地域住民)の受容などをキーワード
として、予算の世界を考察しようとしている。
納富 一郎教授
マッカーサー・ジョンダグラス教授は現在、日本と長く付き合いのある非日本人による書物
について主に研究している。その第1段階は、膨大な数の作品を鑑定し、ある程度分類してい
くことである。研究では例えば経済学や社会学といった学術的分析の作品は除外し、文学的意
志を伴う書物のみを対象としている。
マッカーサー・
ジョンダグラス教授
森周子准教授は、ドイツの社会政策・社会保障について、理念と制度の関係性という観点か
ら研究を進めている。戦後のドイツ政府が現在まで一貫して標榜する、
「市場的効率性と社会
的公正の両立」を是とする「社会的市場経済」という概念の内容を整理し、また、社会的市場
経済概念の影響を受ける社会政策・社会保障の各制度(年金・最低生活保障・医療など)の歴
史・現状・課題についても考察している。
森 周子准教授
米倉茂教授は、サブプライム危機の内実を語れるのは佐賀プライム教授だけと自称しており、
サブプライム危機、リーマン・ショック、ゆーろ・ソブリン危機の現象を系統的に研究してい
る。最近ではアベノミクスの金融的効果の評価の本をしたためている。
米倉 茂教授
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ラタナーヤカ・ピヤダーサ教授は、
「アジア諸国の経済発展」
、
「日本のアジア戦略」それにと
もなう「日本の教育と研究の国際化」をキーワードに研究を進めており、国際的な人材育成活
動で国内外の経済発展を目指している。
ラタナーヤカ・
ピヤダーサ教授
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佐賀大学ホームページ>産学・地域連携機構>佐賀大学研究室ダイジェスト
佐賀大学研究室ダイジェスト
工学系研究科
数理科学講座(工学系ー3)
数理科学講座では、代数学、幾何学、解析学など数学の色々な分野において、学部生及び大学院生の教育・研究
指導を行うと共に、各専門分野における口頭発表、論文出版、研究集会の開催などを行うことで、数学研究の発展
に寄与しています。
市川尚志教授の専門は代数学の一分野である数論。数の持つ神秘的な性質を研究する分野だ
が、紀元前から始まり、最新の数学理論を用いて更に発展を続けている。クイズやパズルは、
人が考えて「解けるように」作られているが、数学研究の魅力の一つは、自然が与えた「解け
るか解けないか分からない」問題に挑戦すること。
市川 尚志教授
岡田拓三講師は、円や放物線といった「代数的な図形」を一般化したものである代数多様体
を研究している。各図形から、その一部を改変してもなお変化しない性質を抽出し、それらに
着目することで、ファノ多様体と呼ばれる特殊な代数多様体の分類を目指している。
岡田 拓三講師
梶木屋龍治教授は変分法、超関数理論、ソボレフ空間及び関数解析に基づく手法により、非
線形楕円型偏微分方程式の解の存在、非存在、解の個数及び解の持つ群不変性についての研究
を行う。加えて準線形及び半線形放物型方程式の解の漸近挙動及び定常解の安定性についての
研究も行っている。
梶木屋 龍治教授
小林孝行教授は非圧縮性粘性流体や圧縮性粘性流体の運動を記述した方程式、非線型熱方程
式や非線型波動方程式などの初期値境界値問題の解の存在、一意性や解の安定性など非線形偏
微分方程式の研究を行っている。
小林 孝行教授
中川泰宏教授の専門は複素微分幾何学で、主に定スカラー曲率Kaehler計量の存在と偏極代
数多様体の安定性との同値性、所謂「偏極代数多様体に対する小林・Hitchin対応」に関する
研究を行っている。
中川 泰宏教授
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半田賢司教授は偶然性を伴う自然現象の理解のために導入された数学モデルを解析すべく、
確率論と呼ばれる分野の道具を駆使し、必要な場合には理論の整備も行っている。特に興味が
あるのは、非常に長い時間が経過したときの状態や、モデルの詳細によらない普遍的な法則。
なお、現実味に欠けるようなモデルであっても数学的に美しい構造を備えてさえいれば、研究
を動機づけるには十分と考えている。
半田 賢司教授
日比野雄嗣准教授の専門分野は確率論。確率論は解析の一分野であり、順列組合せではなく
微分積分に近い分野である。過去の情報を基に未来の状態を予測する予測理論、量子論、グラ
フ理論、古典的な積分方程式など、様々な分野の手法に関係して研究を進めている。
日比野 雄嗣准教授
前田定廣教授は微積分を道具として曲がった空間の幾何学を研究しており、曲面も研究対象
に入っている。
前田 定廣教授
猿子幸弘講師は曲率が下から押えられたリーマン多様体の研究を行っている。曲率は、断面
曲率、放射断面曲率、放射リッチ曲率である。また、曲率が下から押えられたリーマン多様体
のGromov‐Hausdorff極限空間として現れる特異空間の研究も行っている。曲率の下限などで
測地線の振る舞いを制御し、リーマン多様体の位相や幾何・微分構造・無限遠を研究している。
猿子 幸弘講師
射影多様体は射影空間内で同次な代数方程式の零点として定義される多様体である。宮﨑誓教
授はこの代数的な性質を研究しており、特に、極小自由分解・Castelnuovo‐Mumford正則量
について、その幾何学的な反映を研究している。
宮﨑 誓教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
工学系研究科
知能情報システム学講座(工学系ー5)
知能情報システム学講座は、知識基盤社会の一翼を担うコンピュータ技術者、特にソフトウェア技術者を養成す
ることを主な目的として、情報科学/情報工学分野の基礎理論から応用技術までの教育・研究に取り組んでいます。
新井康平教授は、視線でコンピュータに入力するシステムを研究開発し、その応用として視
線による会話支援、摂食支援、電動車椅子走行制御等を開発した。人間とコンピュータとのイ
ンターフェースを科学している。また、茶葉中全窒素含有率 6%以上、総繊維含有率 18%未満
の高品質の茶葉を衛星の恵うれしの茶としてブランド化したり、施肥、水管理方法の異なる水
田圃場において無線操縦ヘリコプタ搭載の可視・近赤外カメラ及び人工衛星データによって稲
新井 康平教授
の葉中全窒素含有率と玄米タンパク含有率との相関を解析して求め、品質評価を可能にした。
上原健教授は、情報通信の信頼性を保証する技術の基礎理論である誤り訂正符号について研
究し、誤り訂正能力の向上と実用性の向上を目的として、代数学の理論を用いた誤り訂正符号
の構成方法の改良を行っている。
上原 健教授
大月美佳講師は、産業革命以来の大変革を産業構造にもたらしている近年の情報革命の基盤
となっているソフトウェアの開発技術について、国際競争力を保つために、その発展推進と IT
業界での活用方法および産業を支える人材育成に関する研究に取り組んでいる。
大月 美佳講師
高度情報通信ネットワーク社会が進展していく中で、インターネットに接続できる PC やス
マートフォン、タブレット端末等の情報機器が身近な存在となってきている。岡﨑泰久准教授
は、
「ICT を用いたひとりひとりの新しい“学び”」の実現を目指して、身近になった情報機器
やネットワーク技術の特長を活かした、学習支援システムや学習環境・学習教材についての研
究を行っている。
岡﨑 泰久准教授
奥村浩教授は、リモートセンシング(遠隔計測)データの解析に取り組んでいる。研究対象
は衛星搭載センサによる地表、海面、地球大気の観測から、CT、MRI、マンモグラフィから悪
性腫瘍を自動検出するといった医用画像まで幅広い。近年話題のPM2.5の動きの解析も行って
いる。
奥村 浩教授
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コンピュータソフトウェアやコンピュータ上に蓄積されているデータの規模は急速に増大し
ており、人間の理解能力の限界を超えてしまうこともある。理解できないソフトウェアやデー
タは活用が難しいだけでなく、様々なトラブルの原因にもなるため、掛下哲郎准教授はソフト
ウェアの理解容易性を計量する技術や、データを系統的に整理する技術、ソフトウェアやデー
タの複雑さを管理する技術などについて研究している。
掛下 哲郎准教授
中山功一准教授は遺伝的アルゴリズムなどの機械学習手法を応用した創発的最適化手法や、人
と情報機器を繋ぐためのインタフェース開発などに取り組んでいる。スマートフォンに搭載さ
れた加速度センサから得られるデータをもとに電車やバス等の混雑状況を推定するアプリケー
ションを開発した。また、認知症高齢者の支援技術として、認知症の行動・心理症状(BPSD)
を音楽により緩和する方法などにも取り組んでいる。
中山 功一准教授
林田行雄教授は情報ネットワークの情報転送プロトコル(誤り制御、TCPなど)の性能解析
およびその応用から、海外遠隔医療システム、Webサーバの構築(e学習システム)
、障害者、
健常者が共存する駐車管理、などのインターネット技術を利活用するシステム開発に関する研
究を行っている。
林田 行雄教授
廣友雅徳准教授は、情報理論、符号理論、情報セキュリティに関する研究に取り組んでいる。
符号理論の分野では、情報通信において伝送中に生じる誤りからデータを保護し、信頼性が高
く、通信効率の良い誤り訂正符号の設計及び性能評価を行っており、情報セキュリティの分野
では、暗号化技術、認証技術を応用して、安全で利便性の高いネットワークサービスの開発を
行っている。
廣友 雅徳准教授
松前進教授の専門分野は並列分散アルゴリズムであり、多数のコンピュータを同時に使って
効率よく問題を解く方法を研究している。N台のコンピュータを使う場合、N倍のスピードアッ
プが達成できれば理想だが、処理対象の問題によってはうまく並列化できない場合もある。様々
な問題・制限に対して、コンピュータでの処理を可能な限りスピードアップさせるという研究
に取り組んでいる。
松前 進教授
皆本晃弥教授は、コンピューターによる計算結果の品質向上、画像・信号に含まれる未知の
構造・特徴の発見を目指し、精度保証付き数値計算を中心とした数値解析、Wavelet解析とその
画像信号処理への応用に関する研究に取り組んでいる。また、高等数学教育についても新たな
教育方法の確立を目指し、教科書も数多く出版している。
皆本 晃弥教授
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山口暢彦助教は、ベイズ法を用いた高次元データの可視化について研究を行っている。主な
テーマは「GTMを用いた自己回帰隠れマルコフモデルの状態可視化」
「SOHMMを用いた隠れ
マルコフモデルの状態可視化」「ARD階層的事前分布を用いた変分ベイズ法によるGTMの構
築」「潜在変数に依存した長さスケールと分散を用いたGTM」等である。
山口 暢彦助教
山下義行教授は、高機能化を続けるコンピュータの能力を活用するためのプログラミング技
法、アルゴリズム、自動高速化に取り組んでいる。特に最近は、インターネット上のデジタル
情報を高速に検査するプログラムの開発、映像処理専用装置(GPU)を用いてコンピュータグ
ラフィックス映像を高速に描画するプログラムの開発に携わっている。
山下 義行教授
渡邊義明教授は、相互に影響する多数の要素が絡んだ、離散的な最適化問題に関して、でき
るだけ広く適用することができるような発見的解法を研究している。また、ネットワークの適
切な利用を促進するために、利用者認証システムの開発を行っている。
渡邊 義明教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
工学系研究科
機械システム工学講座(工学系ー1)
機械システム工学講座では、基礎技術・開発および地域貢献の二つを基本理念として、地球環境維持並びに人間
優先志向の考えで、産業の基盤をなす「ものづくり」および高度な製品の開発に資するための研究を行うことを目
的としています。
石田賢治講師は、燃料電池車用の水素ステーションにおける高圧水素中の微量水分の影響に
ついて、水素対応の水分凝固温度(霜点)の測定システムを開発し、霜点実測データの蓄積と
推算法の開発に取り組んでいる。関連して、微量高沸点成分を含む高圧気体の相平衡推算法の
開発、光学的手法による微量物質の高感度検出法の開発、熱工学に関わる可視化データの解析
支援システム等の開発を実施している。
石田 賢治講師
大島史洋講師は、歯車を研究対象に振動騒音低減、高精度高能率加工および高効率化を実現
するために研究に取り組んでいる。最近のおもな研究テーマは「高減速比フェースギヤの設計・
製作と運転性能に関する研究」
、「歯車型工具を用いた歯車の製作法に関する研究」、「ギヤカッ
プリングの性能向上に関する研究」である。
大島 史洋講師
木上洋一教授は「軸流・斜流ファンの内部流動把握による高性能化」「流体機械内部流れの
コーナーはく離防止による高性能化」「ノズル内気液二相流動把握による二酸化炭素冷媒熱サ
イクルの高性能化」をキーワードに、エネルギー利用の高度化・高効率化を目指して研究に取
り組んでいる。
木上 洋一教授
塩見憲正准教授は、送風機の「設計」
「内部流れ計測」及び計測結果に基づく「性能改善」
をキーワードに、台所用換気扇やパソコン用冷却ファンなど家庭内で数多く使用されている小
型のプロペラファンの性能改善に関する研究や、より高性能な小型プロペラファンの開発研究
を行っている。最近は、小型携帯情報端末用マイクロファンに関する研究も手がけており、情
報化社会への貢献を志している。
塩見 憲正准教授
張波教授は機械の中に多く存在する滑り運動をしている接触表面の摩擦・摩耗・潤滑を課題
にするトライボロジー、超精密加工をキーワードに、軸受や歯車などの機械を構成する基本要
素の低摩擦、高負荷容量、長寿命を図る研究に取り組む。
張 波教授
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金属材料等の表面に数ミクロンのセラミックス系硬質膜を被覆する表面処理技術が切削工具、
摺動部材、精密金型をはじめとする工業分野で利用されている。長谷川裕之准教授は、耐摩耗
性および耐酸化性に優れる機能性表面の創製を目的として、イオンと電子が混在するプラズマ
を用いた硬質膜の開発を行っている。
長谷川 裕之准教授
馬渡俊文助教は、
「転がり要素」
「潤滑油の高圧物性」
「非ニュートン熱弾性流体潤滑」をキ
ーワードとして、歯車・転がり軸受・ボールねじに代表される転がり要素の運転性能と耐久性
の評価、各種潤滑油の高圧物性計測と分析評価、自動車用CVTトラクション油や宇宙用潤滑油
の非ニュートン熱弾性流体潤滑解析に関する研究に取り組んでいる。
馬渡 俊文助教
光武雄一教授は、材料製造プロセスにおける材料の温度制御の均一化と精度向上によって、
より高強度・高品質の材料製造を実現するための研究を行っている。具体的には、焼き入れな
どの金属の熱処理における高温面の非定常沸騰冷却に関する研究を行っている。
光武 雄一教授
宮良明男教授は、地球温暖化係数の低い冷媒を用いたヒートポンプシステムおよびそれに使用
する機器や周辺技術の研究開発を行う。特に、凝縮器と蒸発器の高性能化や細径管などに使う
冷媒分配器の高性能化を中心とし、冷媒の熱物性値に関しては国際的な協力関係の下、測定と
データベース構築を行う。
宮良 明男教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
工学系研究科
都市工学講座(工学系ー7)
都市工学講座では、人々の快適な暮らしと豊かな都市生活環境を創るため、土木と建築の幅広い領域の工学的素
養および豊かな感性を養い、未来の創造性溢れる都市創世に向けた教育・研究を行っています。
地方自治体が維持管理すべきインフラは多数を占める橋梁のみならず、トンネル、盛土、
切土斜面、河川護岸、ため池堰堤や公共建築物と多岐にわたり、各構造物の要求性能に応じた
維持管理の対応が求められる。このような状況に対応するためには、地域特性への適合を考慮
した佐賀県独自の合理的な維持管理の仕組みの構築が必要となってくる。石橋孝治教授は既設
インフラ構造物の劣化実態調査と保守工事施工に関する研究を行い、地方自治体の維持管理に
石橋 孝治教授
向けた取り組みを技術的支援している。
現在、橋梁などの社会資本を低コストのもとに維持管理を行うため、その補修・補強が行
われている。通常橋梁ではマニュアルに基づく補修・補強は可能だが、特殊橋梁では構造形式
に応じた耐震補強となるため、構造解析に基づく知見が必要となってくる。井嶋克志教授は、
構造物の非弾性性状および幾何学的非線形現象を含む静的あるいは動的解析を中心に研究を
行っており、特殊橋梁の耐震補強のための知見を深めている。
井嶋 克志教授
伊藤幸広教授は、新しい建設材料の開発や構造物・設備などの維持管理に用いる検査装置
について研究開発を行っている。また、画像処理・解析技術についても研究を重ねており、開
発した検査装置と組み合わせることにより、これまでに見ることが困難であった構造物・設備
内部の劣化状況や表面のひずみ、応力の分布状況を可視化することを可能とした。
伊藤 幸広教授
ウォンタナースントーン・ナルモン准教授は、河川、ダム、海域の水質特性に着目し、研究
室で開発した水質モデルを用いて問題分析を行い、政策分析の観点から水管理対策を提案する
ことを最終目的として研究を行っている。タイ出身ということもあり以前から行ってきたタイ
における水問題の研究には、課題が多く残されており、佐賀大学の国際教育に貢献できる材料
として日本とタイを含む途上国の水環境に関する比較研究も進めていきたい。
Vongthanasunthorn
Narumol 准 教授
私たちの暮らしにとって水は必要不可欠なものであり、水のある所に都市ができ文化が育っ
てきたが、水を利用し易い所は水災害を受けやすい場所でもある。大串浩一郎教授は、河川流
域を俯瞰的・歴史的に概観し、流域の治水システムならびに良好な水環境の創造に資する調査
研究を進めている。また、伝統的治水技術を最新の科学的手法により分析検討し、現代に活か
す研究も進めている。
大串 浩一郎教授
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帯屋洋之教授は、2次元・3次元の骨組構造物、膜構造物、宇宙構造物などの、さまざまな非
線形現象を解明すべく、独自の解析プログラムで研究を行っている。特に佐賀大学で開発され
た接線剛性法は、一般の有限要素法では追跡不能なほど非常に大きな変形が起こった場合でも、
確実に厳密解が得られる計算手法であり、これを用いて、構造物のカタチを決める形態解析手
法を開発している。
帯屋 洋之教授
清田勝教授は、パーキングパーミット(PP)制度を基本にした身障者用駐車施設の新しい
設計法に関する研究や、買物難民対策として、電動アシスト付き自転車や三輪車の可能性を探
るといった研究に取り組んでいる。
清田 勝教授
小島昌一准教授は居住者にとって健康で快適な住環境や省エネルギーな建築に関する研究
を行っている。快適な室内熱環境は建物自体の様々な工夫や設備によるエネルギーの効率的な
使用により実現される。小島准教授は建物の熱的性能やエネルギー消費特性を解析し、その建
物自体の問題点やシステムの不具合を検知し、改善策を考案している。また、佐賀城公園の南
濠と周辺の熱環境調査とその改善策も研究している。
小島 昌一准教授
坂井晃准教授は地震時における外力の評価(揺れの大きさを表す震度の表現法等)や地盤盛
土、擁壁等からなる土構造物の安定性の評価法に関する研究を行っている。また、交通振動等
による環境振動の振動特性の把握・評価にも取り組んでいる。
坂井 晃准教授
中大窪千晶准教授は地球温暖化やヒートアイランド現象などの環境問題を都市や建築の視
点から捉え直し、環境からまちづくりや建築デザインを進めていくための知見の蓄積や設計支
援手法の構築を目指して研究を行っている。特に、数値解析を中心に、建築環境工学(熱・光
環境)と建築意匠・計画をつなぐ設計支援ツールの開発に力を入れている。
中大窪 千晶准教授
根上武仁助教は「有明粘土」や「廃棄物の有効利用」をキーワードに研究を行っており、軟
弱な沖積年度の基本的性質や化学的地盤改良、陶磁器廃材などの産業廃棄物の有効利用に取り
組んでいる。研究教育活動を通じて、人材育成を行うとともに、地域社会への貢献を目指して
いる。
根上 武仁助教
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平瀬有人准教授は建築デザインに関する研究を行っており、都市の記憶をたぐり、その現在
の活動を読み、人びとが建築と都市の関係に新しい意味を発見するためのメディウムとしての
建築を造りたいと考えている。場所の歴史や個性を読解したうえで、場所や風景に対してどの
ような形式・質量・関係を持つ環境を形成するのか、という点に興味を持って研究・設計に取
り組んでいる。
平瀬 有人准教授
渕上貴由樹助教は、
「近代化」をキーワードとして、建築歴史学的な観点から日本における住
宅空間の近代化過程についての研究に取り組んでいる。また各地域の建築物や建築活動に関す
る資料発掘とその分析をとおして、近代建築の地方における展開について明らかにし、地域の
歴史的・文化的なストック構築へ寄与する。
渕上 貴由樹助教
外尾一則教授は、サステナブル都市学の観点から、人口減少、超高齢化社会、地球環境問題、
成熟社会という大きな転換点に立つ日本の都市づくりの再生及び創成の計画論と社会システム
デザイン、及び環境都市計画手法について研究している。また、アジアの都市の貧困・環境脆
弱地区の拡大、防災・セキュリティの安全リスク、交通事故と混雑によるモビリティの低下等
の研究を海外の研究者とのネットワークを活かして行っている。
外尾 一則教授
三島伸雄教授は、
「真実は現場にあり」をモットーにしたアーバンデザイン研究室を標榜して
国際的活動も視野に入れて教育研究に取り組んでいる。モダニズム以降、機能性は求められつ
つも、地域性、場所性などが求められているなかで、「地域に根差した空間形成」「歴史的環境
の保全」などをキーワードに、地域社会や中小企業との連携を取りつつ人材資源の育成や研究
に取り組んでいる。
三島 伸雄教授
李海峰准教授は、佐賀県を中心として、地方都市における地域分散型エネルギー供給システ
ムによる電気・熱供給事業のネットワーク化の可能性を模索し、その実用化・事業化を目的と
し、従来の枠にとらわれない新しいエネルギー供給システムの提案、それを公正に評価できる
システムの構築、実用化を促進するための技術開発、政策の提案等を行っている。
李 海峰准教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
工学系研究科
物理科学講座(工学系ー8)
物理科学講座は、広範な自然現象を理解する試みを通して、現代の科学技術を支える学力と、柔軟性に富んだ豊
かな発想力を培い、広い分野で活躍できる人材の育成を教育目標にしています。佐賀大学の物理学研究は質におい
て世界トップクラスの研究として高く評価されています。
素粒子物理学では、電磁気力や核力は場の理論により素粒子標準模型として完成の域に達し、
さらにその先の研究が進められている。一方、時空や重力の理解はできておらず、弦理論が有
力候補だが未だ完成していない。青木一准教授は、場の理論や弦理論の基礎的な研究、並びに、
その立場に立脚した、素粒子や宇宙の現象に関する研究を推進している。
青木 一准教授
石渡洋一准教授は、ナノメートルの領域の非常に小さな物質を合成して、そこに潜む新しい
物理的性質の探索を進めている。現在注目している物質は、鉄やコバルト等の遷移金属および
その酸化物であり、これらの物質に現れる特徴的な磁気的・電気的性質が、ナノサイズの結晶
でどのような変化が生じるかを調べている。
石渡 洋一准教授
量子力学は、科学技術に大きな変革と進歩をもたらしたが、その基礎、特に観測の問題につ
いては大きな謎が残されている。遠藤隆教授は、観測の問題に関心を持ちながら、量子力学特
有と言われる様々なコヒートレント現象をどこまで古典的な系、たとえば電子回路でシミュレ
ーションできるかの実験を行っている。
遠藤 隆教授
河野宏明准教授は「クォーク」
「量子色力学」
「高温・高密度」それにともなう「相転移」を
キーワードに、クォークの閉じ込めやカイラル対称性の破れについての理論的解明の研究に取
り組んでいる。
河野 宏明准教授
欧州で進められているLHC実験でヒッグス粒子が発見され、現代素粒子物理学は新たな局
面に向かっている。質量の起源であるヒッグス粒子は、我々の世界の真空の構造も決めている
と考えられており、日本での立地が現実的になってきたリニアコライダー実験ではヒッグス粒
子の謎を解き明かし、さらなる未知の物理現象を明らかにすることができる。杉山晃教授は、
実験に向けて、不可欠な素粒子の検出器の開発を進めている。
杉山 晃教授
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「宇宙はどのように始まったのだろうか?」
「宇宙は始まってから現在までどのように進化
してきたのであろうか?」「宇宙の暗黒物質、暗黒エネルギーの正体は一体何であろうか?」
など宇宙には様々な謎がある。髙橋智准教授は、宇宙の謎の解明を目指し、理論的な研究を行
っている。
髙橋 智准教授
橘基准教授は、
「超高温・超高密度のミクロな物質の世界」の理論的解明を研究の基礎とし、
そこで得られた知見を、
「超高密度天体」や「超高温状態の宇宙」の理解へと応用する研究に
取り組んでいる。
橘 基准教授
鄭旭光教授は固体物理学を中心に「電子スピンの新奇量子状態の探索」「磁性と強誘電性を
併せ持つマルチフェロ新機能物質の研究」
「ナノ物質の新奇物性」をキーワードに、化学的な
手法を駆使して新規物質を創製し、国内外の加速器(放射光、中性子、ミューオン等)などの
物理学研究施設を活用して新奇物性の発現を目指している。
鄭 旭光教授
素粒子論は物質・空間の根源を探る研究である。日本では最初のノーベル賞以降、受賞回数
は最も多く世界トップレベルを誇る研究分野であり、その成果は材料科学、計算機科学やその
応用など広い分野で利用されている。船久保公一教授は、ヒッグス粒子など素粒子の最先端の
実験とも関係する、素粒子論に基づく宇宙の物質の起源の解明に取り組んでいる。
船久保 公一教授
遷移金属酸化物中の電子は、偏った結晶構造と電子間の強い反発力のために、制約された動
きをし、結果として物質に個性的な性質をもたらす。新しいタイプの超伝導や電荷秩序と呼ば
れる秩序状態の出現もその一例。真木一准教授は、測定試料とする結晶を作製し、自作の装置
で電気的性質を調べて、物質中の電子が「自己組織的」に機能を「創発」する仕組みを研究し
ている。
真木 一准教授
素粒子の振る舞いを記述する量子論的場の理論は、無限の自由度と系が持つ対称性のために、
多様な性質を示す。米山博志教授は、場の理論の力学的性質について研究しており、格子上の
場の理論の手法や有効理論を用いた方法によって、強い力を記述するQCD(量子色力学)の真
空の性質を明らかにすることを目指している。
米山 博志教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
工学系研究科
循環物質化学講座(工学系ー2)
循環物質化学講座は、理工融合した講座としての強みを生かし、循環型社会に貢献する無機および有機機能性材
料の創製、環境負荷を低減する新たな科学技術の開発、地球環境に配慮した物質・材料の基礎から応用にわたる研
究を行っています。
梅木辰也助教は、「環境調和型溶液の科学」をキーワードに、溶液化学の観点から環境・エ
ネルギーに関する課題の解決に取り組んでおり、二次電池用電解液や CO2 ガス化学吸収液を対
象に、溶液の時間平均的構造や動的性質の解明を進めている。
梅木 辰也助教
海野雅司准教授は主に物理化学の視点から生体分子の機能を探る研究を行っている。研究対
象は主にタンパク質であり、特に光受容タンパク質の光反応機構の解明や生体分子などの構造
を探る新しい分光法の開発を行っている。また、得られた実験データの解析に密度汎関数法な
どの量子化学計算を積極的に用いた研究を行っている。
海野 雅司准教授
江良正直准教授は、有機半導体や有機‐無機ナノハイブリッドの作製から、デバイス応用ま
で研究しており、有機 EL、有機トランジスタ、太陽電池、光非線形材料などへの応用を目指
している。
江良 正直准教授
大石祐司教授は、気‐水界面の擬二次元系における分子凝集を研究対象とし、脂肪酸混合単
分子膜の凝集機構の解明や細菌性疾病の発症機序の解明、空間制御に基づく量子光学素子の開
発を進めている。また、合成高分子の結晶化も研究対象であり、ポリエチレン単結晶の結晶化
機構ならびに形態形成因子の解明を行っている。
大石 祐司教授
カリックスアレーンは特異的な環状構造により、特定のイオンにフィットするサイズ認識機
能を有している。大渡啓介教授は、レアメタルを始めとする希少有価金属の回収や有害元素の
除去を目的として、カリックスアレーンにさまざまな官能基を導入し、溶媒抽出試薬、イオン
交換樹脂、イオンセンサーの開発を行っている。また、二酸化炭素や水素などのガス吸着につ
いても検討している。
大渡 啓介教授
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長田聡史准教授は有機化学を基盤として、細胞機能を調節できる有機化合物の創成に取り組
んでいる。特に生体分子には希有な存在であるフッ素の特徴的な相互作用を活かした分子設計
を行っており、細胞の機能を司る酵素や受容体などのタンパク質に作用する新しい生理活性物
質の探索と作用機構の解明に取り組んでいる。さらには細胞レベルで抗腫瘍作用や抗菌物質な
どとなる医薬候補化合物探索を目指して研究を行っている。
長田 聡史准教授
北村二雄教授は、パラジウムなどの金属触媒を使って、医薬・農薬等の合成に役立つ反応の
開発を研究しており、炭化水素化合物を直接合成原料に用いる触媒反応を開発することにより、
環境に優しい、グリーンケミストリーを目指している。また、日本が世界第2位の産出国である
ヨウ素を利用した新しい合成反応も研究している。
北村 二雄教授
鯉川雅之教授は、将来の実用化が望まれる量子コンピューターに応用可能な「遷移金属錯体
による単分子磁石」や、環境中での鉄イオン循環を制御できる「機能性鉄イオン捕集配位子」
を実現するための配位子設計・金属錯体合成に取り組み、新素材開発と環境問題という広い視
点から研究している。
鯉川 雅之教授
白血球の主成分、好中球は炎症部位から放出される化学性走化因子を認識し、炎症部位へ移
動、細胞接着タンパク質インテグリンの活性化、貪食作用、活性酸素の生成および殺菌酵素の
分泌など多様な生理活性応答を示す。兒玉浩明教授は好中球活性化ペプチドの構造機能相関研
究から、ペプチド・タンパク質、多糖類、脂質類が好中球の機能をプラミングさせることを発
見した。
兒玉 浩明教授
坂口幸一助教は、プリンタやハンコなどに代表される印刷技術により、高性能・高機能エレ
クトロニクス素子を作製することを目指し、液体に溶ける高性能半導体材料の創製に取り組ん
でいる。近年は、鉛筆の芯の主成分である黒鉛から、化学反応によりグラフェンと呼ばれる高
性能半導体材料を取り出し、高速動作するトランジスタや、高感度センサーの実現を目指して
いる。
坂口 幸一助教
高椋利幸教授は、水や有機溶媒およびそれらの混合溶液が示す物性の原因を、X線や中性子な
ど量子ビームを用いた分析法により分子レベルで解明している。液体や混合溶液を反応場とし
て捉え、化学反応に対する効果に注目している。最近では、アルコール-水溶液中でのタンパ
ク質分子のフォールディング促進やイオン液体の物性を分散力や双極子相互作用など分子間に
働く弱い力の観点から明らかにしている。
高椋 利幸教授
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滝澤登教授は、洗剤のように親水性と疎水性を併せ持つ両親媒性物質の相互作用機序を研究
している。両親媒性物質自身が溶液中で形成するミセルなどの自己組織体の形成過程における
協同的相互作用や、両親媒性物質をプローブとした物質の両親媒性の評価、両親媒性物質によ
る物質の溶存状態の変化などの研究に取り組んでいる。
滝澤 登教授
中島謙一教授は、高分子化学、無機材料化学、光化学の境界領域の研究を行っており、現在
取り組んでいるテーマは、
(1)高分子コロイド粒子を鋳型とする中空無機微粒子の合成とその
応用(2)新規な高分子ミセルの合成とその応用(3)高分子系を反応媒質とする光反応(4)
刺激応答性高分子ミセルを用いた新規な多色蛍光システムの開発である。
中島 謙一教授
近年リチウムイオン電池は携帯用から車載用などの大型化により安全性、高容量の材料研究
が盛んになってきた。中村博吉准教授は正極活物質、負極活物質、安全な電界液の研究や、賦
活竹炭を用いたパワー密度の大きな電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池の負極と組み
合わせたハイブリッドキャパシタの研究にも取り組んでいる。
中村 博吉准教授
生物は省エネ且つ環境負荷の少ない究極のエコシステムであり“自力で動く”ことのできる
ゲル状の高分子複合体。成田貴行准教授は、生体システムのその高度な“からくり”をコロイ
ド界面化学の立場から解明する研究を行っている。また、これを応用して、自走する微小ロボ
ット、電源不要の光駆動ポンプ、飲み忘れしない薬、勝手に修復される自己修復材料等の高度
な知能を持つ未来材料の開発に取り組んでいる。
成田 貴行准教授
花本猛士教授は、医薬や農薬をはじめとするファインケミカルの分野ならびに液晶や電池を
はじめとする機能性材料の分野で欠かすことが出来ない有機フッ素化合物の研究を行っている。
天然には有機フッ素化合物はあまり存在しないため、目的の有機フッ素化合物を合成するため
の効率的な方法の確立とその応用を目指して研究に取り組んでいる。
花本 猛士教授
宮島徹教授は、水環境および底質環境改善のために、栄養塩である鉄イオンの生体への取り
込みメカニズムおよびその自然界での循環について、生物遺骸由来の天然有機高分子である腐
植物質の機能に着目し、佐賀県内の様々なフィールドで調査研究している。
宮島 徹教授
26
森貞真太郎准教授は、様々な工業プロセスに関与している「コロイド・界面化学」について
「化学工学」および「分離工学」の観点から研究を行っている。現在は、マイクロゲルを利用
した金属ナノ粒子の精密合成とメカニズムの検討、コロイド粒子規則配列膜の構造制御、感温
性高分子ゲル吸着剤の開発、界面活性剤水溶液の新規分子シミュレーションといった研究に取
り組んでいる。
森貞 真太郎准教授
山田泰教准教授は、
「多核錯体の集積・集合化反応に関する研究」、
「光学活性錯体の立体選択
的創製に関する研究」および「金属錯体の立体特異的集積化に関する研究」等のテーマの下、
新規化合物の合成や構造解析と共に、反応性を含む物性の解明を基盤とし、多機能・高機能材
料の開発も視野に入れ、単結晶X線構造解析や分光学的見地からの研究に取り組んでいる。
山田 泰教准教授
米田宏助教は金属イオンと架橋性の配位子を自在に組み合わせ、規則的な内部細孔を有する
多孔性配位高分子を合成している。この多孔性配位高分子をホスト骨格として用い、ゲスト吸
脱着という化学的刺激に応答した骨格の磁気特性変換や、外部刺激による骨格のサイズ変換を
利用した、ゲスト分子の吸脱着制御、並びに、細孔内部に金属サイトを集積させ、サイズ選択
的な触媒能の評価等、ホスト-ゲスト化学の研究を行っている。
米田 宏助教
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佐賀大学研究室ダイジェスト
工学系研究科
電気電子工学講座(工学系ー6)
電気電子工学講座は、情報通信、マイクロ波、半導体、知能のエレクトロニクス分野から、最近、注目を集めて
いるパワーエレクトロニクス、バイオ、ナノテクノロジーまでをカバーする講座であり、シンクロトロン光応用研
究センターとも密接な関係を持っています。
伊藤秀昭講師は、ロボットが自分の周りの環境の様子を自ら学習し、その環境で適切に振る
舞うようにするための手法である適応学習アルゴリズムの研究を行っている。また、その技術
を応用して、一つの機能に特化したロボットではなく、人間のように様々なことが行える、多
機能なロボットを開発しようと取り組んでいる。
伊藤 秀昭講師
猪原哲准教授は瞬間的な大電力である「パルスパワー」について研究を行っている。瞬間的
というのは、最も短い場合で 10-10 秒、また、大電力は、九州全体で消費される電力(1010 ワ
ット)に匹敵する。そのようなパルスパワーを発生するための装置の開発と、利用方法につい
て、パルスパワーを使った水質浄化、植物の生長制御技術をテーマに研究に取り組んでいる。
猪原 哲准教授
スマートフォン、タブレット PC などのタッチパネル、液晶テレビ、太陽電池などに使用さ
れている透明で電気を通す薄膜は、第 4 の物質状態であるプラズマによって合成されているが、
これまでのプラズマプロセス装置では、リサイクルができない高価な薄膜材料が非効率に使用
されている。大津康徳准教授は、プラズマを制御することにより、高効率なプラズマプロセス
装置の開発に取り組んでいる。
大津 康徳准教授
嘉数誠教授は、パワー(電力)エレクトロニクスの研究を行っており、シリコン半導体によ
る現在の電力システムを、各段に高効率にできるダイヤモンド半導体にするものである。すで
に素子の基本構造では、優れた高周波、電力特性を実証し、実用化に向けた基礎研究を行って
いる。また、九州最大規模の吉野ヶ里メガソーラー事業にも加わり、太陽光発電所の長期運用
において起こりうる技術的課題について、学際的な立場から取り組んでいる。
嘉数 誠教授
近年、省エネルギー・省資源の観点から、変圧器、モータなどの電気機器の高効率化・低騒
音化への要求が高まっている。高炎輝助教は電気機器の高効率化・低騒音化を図るために、詳
細な構造や材料特性などを考慮した高度化・高精度化な磁界解析による損失・騒音の計算・評
価法を確立することを目指して研究に取り組んでいる。
高 炎輝助教
36
佐々木伸一准教授は実装技術の研究を主テーマとして、電力線通信について研究を進めてい
る。具体的には、配線板に搭載されたLSI等デバイスの高速動作に起因して生じる、隣接信号
線間のクロストーク低減技術、電源雑音低減技術、さらに電源層から放射される電磁雑音の低
減技術の研究に取り組んでいる。技術交流及び学生の育成等を目的に、エレクトロニクス実装
学会、電子情報通信学会の委員としても活動している。
佐々木 伸一准教授
田中高行講師は、マイクロ波工学に関する研究を行っている。マイクロ波とは、身近な例と
しては、電子レンジに用いられる電波の周波数及び少し高い周波数の電波及び電気信号である。
現在、車載用のレーダーシステムに用いる発振器アレーに関する研究を主とし、低コストで安
全な車社会を実現するために取り組んでいる。また、学生がこの研究に関わることで、社会を
意識した人材になることを期待している。
田中 高行講師
田中徹准教授は、再生可能エネルギーとして期待される太陽電池の飛躍的な効率向上と低コ
スト化を目指して、従来ない概念や新しい半導体材料を用いた太陽電池の開発に取り組んでい
る。具体的には、バンドギャップ中にバンドを有する高不整合材料や稀少金属を含まない多元
系半導体の薄膜成長と基礎物性の解明、光電変換機構の解析、関連評価技術の開発などを、シ
ンクロトロン光応用研究センターと連携しながら進めている。
田中 徹准教授
豊田一彦教授は、「ワイヤレスをもっと便利に、ワイヤレスでもっと安全に」をキャッチフ
レーズに、より豊かで安全・安心な社会の実現を目指して、無線通信用新機能RF回路や高機
能平面アンテナなどの電波を用いた情報通信技術および電力伝送技術の研究に取り組んでい
る。
豊田 一彦教授
西尾光弘教授は、ZnTe系半導体材料のエピタキシャル膜を主として有機金属化学気相成長
法で作製し、成長後のアニール処理をも含めて結晶評価との対応により高品質膜や高ドーピン
グ膜を達成するための最適作製条件の探求および、光の三原色である赤、緑、青の内、緑色の
LEDの発光効率が低いことを改善するために、緑色発光材料に最適なZnTeを用い、これを活
性層としたヘテロ構造の純緑色LEDに応用し、高効率化を目指している。
西尾 光弘教授
西山英輔助教は近年の無線通信の需要増加と性能要求の期待に対応すべく、平面型のアンテ
ナにダイオードなどの半導体素子を含むマイクロ波回路を複合させた高機能を有する次世代
アンテナの研究開発を行っている。これは、無線機器の高性能化と小型化及び周波数の有効利
用や通信品質の向上につながり、通信技術の発展に寄与できるものである。
西山 英輔助教
37
原重臣准教授は、インターネットなどの通信ネットワークの資源がより有効に利用されるこ
とを目指して、特にそのランダムな振舞いに着目しながら、理論的な解析や計算機を用いた実
験を使って研究取り組んでいる。
原 重臣准教授
深井澄夫准教授は、
「電子回路設計」をキーワードに、集積回路に適したアナログ信号処理回
路、FG‐MOSを用いた多値論理ディジタル回路、各種信号を簡単な構成で安価に計測する簡易
計測回路などの研究に取り組んでいる。また、人材育成にも関心があり、小・中学・高校生を
対象に「エレクトロニクスものづくり体験教室」などを開催しており、技術者育成講座電気電
子コースの講師を務めている。
深井 澄夫准教授
古川達也教授は、リニアモータの電磁界解析で工学博士の学位を取得し、その後、計算機を
援用した物理現象の数値解析、数値解析ツールの開発、マイコンを用いた組み込み機器のソフ
トウェア・ハードウェア、ヴァーチャルリアリティなど音響・画像を統合したシステム、電力
計測用電圧・電流波形計測センサ、同センサを用いた遠隔計測システム、電気系技術者のため
の教育支援システム等の研究開発を行っている。
古川 達也教授
三沢達也助教は、
「プラズマ理工学の工業応用」の観点から、大気圧プラズマを用いた農産物
の殺菌・消毒技術の開発および放電プラズマ焼結プロセスの焼結メカニズムの解明を目指して
研究に取り組んでおり、農産物のプラズマ殺菌では、薬剤を用いない環境負荷の少ない殺菌技
術の開発、放電プラズマ焼結プロセスについては、佐賀県工業技術センターや県内企業と連携
し、放電挙動の解明をプロセスの最適化を行っている。
三沢 達也助教
和久屋寛准教授は「人工頭脳工学」をキーワードに、ヒトのように考えることのできるコン
ピュータ(脳型計算機)の実現を目指して研究に取り組んでおり、神経細胞(ニューロン)を
模倣した素子をたくさん結合して回路網(ニューラルネットワーク)を作り、時系列予測、音
声分離、経路探索、観光情報解析などの信号処理に応用している。近年は、タブレットPCなど
の携帯情報端末への実装にも挑戦している。
和久屋 寛准教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
工学系研究科
先端融合工学講座(工学系ー4)
先端融合工学講座は、少子高齢化が進展する社会において、持続的発展を実現するため、人類の健康と福祉の増
進に貢献することを目指しています。そこで、物質・システムと生体との相互作用を理解・解明し、新たな理論を
打ち立てるとともに、その理論に基づいて相互作用を制御する基盤技術を構築することをミッションに掲げており
ます。
イスラムカーン准教授は「AE 診断法」「音響応用センシング」「運動力学応用センシング」
「モアレトポグラフィー」をキーワードに、生体機能及び多様な金属の故障損傷にたいして、
非破壊検査・センシングを行い、地域社会・中小企業ひいては日本社会の安全で健康な生活の
向上を目指すとともに、国際的な質の高い技術の発展を目標として研究・教育に取り組む。
KHAN
MD.
TAWHID 准教授
川喜田英孝准教授は、生体分子やコロイドを対象として分離材料を作成している。膜技術、
コロイド積層、および流れを用いて、食品などへの応用を考えた分離材料調製とその現象解析
を行っている。
川喜田 英孝准教授
木本晃准教授は、新しいセンシングやイメージング技術を確立するとともに、その技術をベ
ースに「癌診断」
、
「毛髪・皮膚状態測定」、
「筋活動解析」
、
「オイル劣化判別」など様々な分野
への応用を目指して研究に取り組んでいる。
木本 晃准教授
後藤聡教授は、システム制御とその応用に関する研究を行っており、海洋温度差発電プラン
トのモデリングと制御や遠隔監視・遠隔操作・遠隔制御システムの開発、火力発電所で用いら
れるポンプ等の回転機器の余寿命を振動により評価するシステムの開発、ロボットアームを用
いた遠隔操作システムの開発などを行っている。
後藤 聡教授
高橋英嗣教授は、細胞内で働いている様々な分子のダイナミックな挙動を画像化(イメージ
ング)することで、がんを始めとする病気のメカニズムや薬剤の効果を解明しようとしている。
特に生体における酸素のイメージングに関する研究は国際的にも有名であり、著名な国内・国
際学会の会長を歴任している。現在、酸素なしでも生存できる細胞を作り出そうと、土日出勤
もいとわず奮闘中。
高橋 英嗣教授
30
竹下道範准教授は、フォトクロミック化合物を光スイッチとした、分子素子の開発を行って
おり、多点水素結合部位を持ったフォトクロミック化合物は、光可逆的に超分子ポリマーを形
成・解離することを見出した。また、光メモリー材料の候補として高効率・非破壊読み出し機
能を持ったフォトクロミック化合物の研究も行っている。
竹下 道範准教授
寺本顕武教授は、現在「非破壊検査」および「高密度脳波計による灰白質ポテンシャルの推
定」の研究を行っている。一方は産業分野、もう一方は、バイオエンジニアリング分野とかけ
離れているように見えるが、どちらも外から見えない情報を見えるようにするという点で根本
的な部分は全く同じである。
寺本 顕武教授
堂薗浩准教授は、自己組織化マップとよばれる脳の一部の構造を計算機上で実現したニュー
ラルネットワークの応用について研究している。現在、DNAなどのゲノム解析、筆跡等を用い
た生体認証、侵入検知などのネットワークセキュリティ、自律移動ロボットなど様々な分野へ
の応用を進めている。
堂薗 浩准教授
中山功一教授は、
「バイオ3Dプリンター」で作成した組織・臓器を用いた再生医療治療の実用
化を目指している。現在は、独自に開発した装置で、半月板や血管を中心に、生体内の組織・
臓器の構造を再現した細胞構造体の作製を行っている。将来的には、この装置を用いて様々な
組織・臓器を作製し、現状では治療困難とされる再生医療分野の新たな治療法の確立のため研
究を推進している。
中山 功一教授
林喜章助教はパワーアシストロボットや電動義手など、筋電信号や脳波信号を用いて日常生
活にハンディキャップを持った人の動作を支援するための福祉用ロボットの制御に関する研
究に取り組む。
林 喜章助教
松尾繁教授は「音より速い流れ(超音速流れ)」「高速気体中の水蒸気の凝縮」
「気体用流量
計」「流体騒音」をキーワードに、実験やコンピュータによる計算を通して流体機器の性能向
上や制御法、および流れの流動特性の解明を目指して研究に取り組んでいる。
松尾 繁教授
31
松田吉隆助教は、
「システム制御の理論と実際」をキーワードに、制御システムにおける制御
対象や制御器に含まれる非線形性を考慮して制御器を設計するために、数値最適化手法を用い
た新たな設計手法の確立を図りながら、そのロボットアームシステムの制御や海洋温度差発電
などのプラントシステムの制御への応用を目指して研究に取り組んでいる。
松田 吉隆助教
村松和弘教授は高性能な電気機器・電磁装置の開発・設計に必要なシミュレーション技術で
ある有限要素法を用いた磁界解析法、磁界・振動併用解析法などを開発するとともに、企業と
共同して、変圧器、リアクトル、モータなどの電気機器の高効率・低騒音化、および磁気シー
ルドルームや磁気キャンセラーなどの高性能な電磁装置の開発に取り組む。
村松 和弘教授
セラミックスは形や大きさによって様々な特性を示すことが知られている。矢田光徳准教授
は、ナノメートルもしくはマイクロメートルのサイズで形が精緻に制御されたセラミックスの
粒子や薄膜の合成を行っており、例えば、チューブ、ワイヤー、シート、らせん、中空、球等
の様々な形の制御が可能。これらのセラミックスの、触媒材料、電池材料、光触媒材料、発光
材料、生体材料等への応用について研究を進めている。
矢田 光徳准教授
大和武彦教授は「分子認識に基づく超分子システムの構築と機能性有機材料の開発」をキー
ワードに光・熱等外部刺激に応答する有機色素、新しい化学センサー、物質分離システム、各
種の機能素子の開発を行っている。特に、臨床応用において不可欠な蛍光性アミンセンサーを
開発するとともに、生物学において分子レベルでのドーパミン、セロトニン等のアミンとレセ
プターとの結合機構解明へと展開している。
大和 武彦教授
渡孝則教授はセラミック発光体として、(1)色を変換する蛍光体(紫外線を吸収し可視光を発
する、赤外線を吸収し可視光を発する、など)(2)光を蓄え、暗闇で数時間発光する畜光体、に
注目し、多色変換する蛍光体および長時間発光する畜光体の新素材開発と各種標識等への応用
について研究している。
渡 孝則教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
農学部
生物資源開発学講座(農学部ー4)
生物資源開発学講座では、有用植物や家畜家禽を研究材料として、生命現象および生物の諸特性の解明と、バイ
オテクノロジー等の最新の技術を応用した有用生物資源の開発・利用に関する教育・研究を行っています。
穴井豊昭教授は、ゲノム情報に基づいた作物の品種改良についての研究を行っており、突然
変異誘発や遺伝子組換え技術を用いたダイズの改良に力を入れている。特に特定の遺伝子に突
然変異を生じた系統を迅速かつ正確に単離する TILLING 法という手法を得意としており、こ
れまで遺伝子組換え技術を用いなければ難しいと言われていた劇的な種子成分の改良を遺伝
子組換え技術を使うことなく可能にした。
穴井 豊昭教授
石丸幹二教授は、植物成分の機器分析による構造解析、効率的単離法の開発と機能性素材と
しての応用に関する研究をしている。最近、微生物発酵茶から、茶カテキン類の新しい代謝成
分である Teadenol 類を単離し、その化学構造の解明に成功した。Teadenol 類は、糖尿病の予
防や脂肪低減作用、ガン転移酵素抑制活性、また、美白効果も発見され、新しい機能性素材と
して注目されている。
石丸 幹二教授
ナス属野生種はナスの改良に利用できる貴重な遺伝資源である。一色司郎教授は、ナス属野
生種の細胞質をナス品種に導入することによって、ナス品種に雄性不稔性(花粉を放出しない
あるいは機能しない性質)を誘発するための研究を行っている。雄性不稔性は、これを利用す
ることによって、ナスの F1 種子生産の効率化やタネ無しの高品質果実の生産が可能となる重
要な性質である。これまでに数種類のナスの雄性不稔系統の開発に成功している。
一色 司郎教授
古藤田 信博准教 授は、 果樹の花 芽形成 機構に関 する研 究におい て、開花 抑制遺 伝子
(TERMINAL FLOWER1)および開花促進遺伝子(FLOWERING LOCUS T)の 2 種の遺
伝子を制御することにより、世界に先駆けてリンゴの早期開花に成功した。佐賀大学には 2013
年 7 月に着任し、カンキツの遺伝資源研究を中心に、果樹の機能ゲノミクスから 6 次産業化プ
ロジェクトに至るまで幅広い教育研究活動を行っている。
古藤田 信博准教授
マメ科作物は高栄養価であるため、熱帯・亜熱帯地域では貴重な植物蛋白源とされている。
鄭紹輝准教授は、ダイズをはじめとするマメ科作物の開花結実特性、日長に対する反応性、窒
素栄養に対する反応性、乾燥・高温などの環境ストレス耐性、および子実の利用開発などにつ
いて研究を行っている。
鄭 紹輝准教授
6
野瀬昭博教授は、熱帯・亜熱帯植物における光合成と炭素代謝をキーワードにして、生態学・
生理学・生化学・分子生物学的な手法を用いて、パインアップルおよびアイスプラントのCAM
型光合成制御機構の解明、アイスプラントのNaCl吸収・蓄積メカニズムの解明を通した佐賀
県特産野菜および塩類集積土壌技術の開発、イネ紋枯病抵抗性・感受性の分子メカニズムの解
明を通したサステイナブル・クロップモデルの開発、マングローブ林の炭酸ガス固定能力の評
野瀬 昭博教授
価法の開発を通したCDM事業を利用したマングローブ林再生を実施している。佐賀大学ブラ
ンド野菜「バラフ」は、国内で初めてアイスプラントを野菜化したものである。
私たちが消費する大量の畜産物を得るためには、ウシやブタといった動物をいかに効率的に
増やすかということが非常に重要となる。山中賢一准教授は、主に卵子や精子といった生殖細
胞を用いた実験を通して、効率的に家畜を生産する技術の開発に取り組んでいる。また、これ
らの研究から得られた知識や技術は、ヒトの不妊治療にも応用することができ、食糧生産だけ
でなく医学分野への貢献も視野に入れた研究を行っている。
山中 賢一准教授
和田康彦教授は、最新の分子遺伝学や遺伝子工学、バイオテクノロジー、コンピュータテク
ノロジーを用いた、家畜家禽の育種改良、有用遺伝子の探索のための教育と基礎研究に取り組
むとともに、農林水産省や佐賀県など各機関と連携した応用研究や助言指導なども行っている。
具体的には佐賀牛における脂肪交雑に関連する遺伝子の研究や、DNAマーカーを用いた烏骨鶏
の産卵率の改良、ブタの免疫関連遺伝子についての研究を行っている。
和田 康彦教授
渡邊啓史講師は、ダイズを中心に、収量性の向上などの農業上の重要な課題を克服するため
に役立つ遺伝子を探索し、それらの遺伝子がどのように機能しているかを明らかにすることで、
新しい品種の育成につながる研究を目指している。特に重点的に研究を行っているダイズの開
花期や熟期を決定する遺伝子は、収量性や品種の栽培環境への適応性など、ダイズの安定的な
生産に関わる重要な要因である。
渡邊 啓史講師
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佐賀大学ホームページ>産学・地域連携機構>佐賀大学研究室ダイジェスト
佐賀大学研究室ダイジェスト
農学部
生物環境保全学講座(農学部ー3)
生物環境保全学講座では、様々な環境問題に対処するために、大気、水、土壌、地盤などの物理学的、化学的お
よび生物学的分析をとおして、生物生産環境の保全と再生、持続可能な利用法についての教育研究を行い、地球レ
ベルから地域住環境レベルに至るまでの、実際に生じている諸問題に対して、講座内各研究者が連携し、解決に至
る方策を研究しています。
ヒトが使った化学物質が排出されると、それらが環境をめぐってヒトを汚染することがある。
上野大介准教授は、化学物質による食品や生産環境の汚染を分析することで、人体汚染の低減
法を考案する。現在、農薬による人体汚染の調査、東日本大震災による環境汚染の調査、小学
校の大気汚染調査などに取り組んでいる。
上野 大介准教授
近藤文義教授は、火力発電所から排出されるフライアッシュ(微細石炭灰)の農業基盤整備
材料としての有効利用に関する研究を行っている。フライアッシュの微粒子構造や化学組成の
違いによっては強度や流動性が得られないものもあり、これらの改善が試みられている。また、
フライアッシュと同時に排出されるクリンカアッシュ(粗粒石炭灰)についても、その多孔質
体としての特性から水質改善材料としての利用に関する研究を開始した。
近藤 文義教授
農地のように植生を有する圃場における土壌の中は、「複雑性の化学」の代表といえるほど
非常に多様な物質循環が存在している。長裕幸教授は、特に水と塩について、作物への吸収も
考慮に入れた圃場レベルでの自動測定技術の開発とその結果を正確に再現できる収支モデル
の開発を行っており、その成果を中国の実験圃場に対して応用している。
長 裕幸教授
土壌は、地球上の生命とその活動を支える最も基本的な生産基盤である。しかし、その用途
や管理を誤れば、土壌劣化、土壌・地下水汚染、地盤災害といった深刻な社会問題に繋がる恐
れがある。宮本英揮准教授は、土とその周辺環境を連続した一つの空間と考え、その空間内で
生じる物質・エネルギー循環機構を農業工学的見地から明らかにすることにより、環境と調和
した持続可能な土壌の利用・管理のあり方を探求している。
宮本 英揮准教授
地球上の限りある水資源を無駄なく用いて作物の生産性を向上させるような水管理技術の
ニーズが世界的に高まっている。弓削こずえ准教授は、農地で消費される水量を定期的に求め、
消費された分を無駄なく補うための水管理手法の確立を目的にして研究を行っている。また、
農業用水を用いることによって、周囲の環境に様々なプラスの効果が生じるが、この効果を最
大限発揮させるような水管理手法や土地利用手法を確立することを目指して研究している。
弓削 こずえ准教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
農学部
生命化学講座(農学部ー6)
生命化学講座では微生物から高等動植物にわたる多様な生物を対象として、その生命現象と遺伝機能を化学的に
解明するための教育研究を行うと共に、生物の特異的な機能を有効に利用して有用物質を生産する方法の開発と、
バイオテクノロジーを用いた生物機能の改良を行っています。
上田敏久准教授は、カビ(真菌)の増殖を抑制するペプチドを探し求めている。化学的に
アミノ酸を数珠繋ぎにすることでペプチドを合成し、それらを用いて、抗カビ活性を発揮する
ために必要な最小構造を決定することが研究の主体である。小さなペプチドの利用や供給のし
やすさを利用して、抗カビ添加剤として食品・化粧品分野での利用を目指している。また、そ
れらのペプチドの作用機構を研究することで、抗真菌性以外の新たな分野での展開も目指して
上田 敏久准教授
いる。
神田康三教授は、微生物の有効利用法開発として特に微生物による有害生物の防除(微生物
学的防除)の研究を行っている。その一つが現在使用されている殺虫性毒素生産細菌(微生物
殺虫剤:BT 製剤)に対する抵抗性害虫の出現防除対策として、その毒素の毒性発現機序に関
する研究である。また、自治体との共同研究として、佐賀県における海苔養殖産業において深
刻な被害を及ぼすスミノリ病発生に関して、人畜・魚介類等に全く無害で、その病原細菌のみ
神田 康三教授
を標的とする細菌ウイルス(バクテリオファージ)を用いた防除法の開発を行った。
小林元太教授は、有用な微生物を利用して様々な分野に広く応用する研究を行っている。例
えば、ポストバイオエタノールとして期待されるバイオブタノールを Clostridium 属細菌によ
り未利用バイオマスから効率よく生産する技術開発や、生理活性を有する GABA(γ-アミノ酪
酸)やバクテリオシン(安全性の高い抗菌性ペプチド)等の生産能を有する新規乳酸菌を分離
して食品用途への応用を目指している。佐賀大学オリジナル清酒「悠々知酔」プロジェクトの
小林 元太教授
推進にも携わっている。
宗伸明准教授は、新規バイオ分析法の開発並びに生体物質の材料応用をテーマとして研究を
行っている。バイオ分析法としては、特に蛍光現象に着目し、ターゲットとした生体分子を認
識することで蛍光を変化させるような機能性分子等の開発を行っている。一方、生体物質の材
料応用としては、無機ナノシートという無機化合物に着目し、これと生体物質とをハイブリッ
ド化させることで、新たな機能の創出を目指している。
宗 伸明准教授
本島浩之助教は、タンパク質の構造と機能の関係を調べるために、鳥栖の佐賀県立九州シン
クロトロンセンターなどの放射光施設を利用し、X線回析実験を行い、タンパク質の構造解析を
行っている。
本島 浩之助教
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渡邉啓一教授は、生命活動を担うたんぱく質の構造を解析し、その機能発現機構の解明に取
り組んでいる。特に氷温でも活発に増殖する南極産微生物が作る低温酵素を研究しており、こ
の低温酵素は洗剤や食品メーカーが注目。X線結晶構造解析により数ナノメータの大きさの酵素
分子の立体構造を原子レベルで決定している。さらに、洗剤や食品加工用酵素をより利用し易
いものに改変する研究も行っている。
渡邉 啓一教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
農学部
資源循環生産学講座(農学部ー1)
資源循環生産学講座では、地域の有機資源・有用生物を活用して農業・エネルギー・食生活に関わる実践研究を
行うとともに、最新の生物学と科学情報を取り入れて環境に優しい効率的な食糧生産システムを創造し、世界の食
と環境の問題解決に寄与することを目的としています。
有馬進教授は農業研究として、①稲・麦・大豆・イモ類など主要食用作物の栽培技術の改善、
②作物根系・根粒の生理生態解明とその成果の作物栽培的利用を行っている。環境研究として、
①有用水生植物の利用と管理、②生物多様性保全を目指した在来草種による河川堤防等の緑化、
及び、③侵略的外来水生生物(ミシシッピーアカミミガメ等)の排除による地域生態系の保護
と再生に取り組んでいる。
有馬 進教授
農業や運搬に使用される機械に多く利用されているゴム製の履帯は車輪に比べて湿田など
に強く、田畑の踏み固めも少ないことが知られている。しかし、通常の舗装路面などを走行す
る時には振動を発生させる。稲葉繁樹准教授はこれを抑制するため、設計理論の精度を高める
ことを目的とした研究を行っている。また、裸麦では、現在の肉眼による判定に頼っていた硝
子率という品質項目において画像処理の導入について研究している。
稲葉 繁樹准教授
北垣浩志准教授は穀物の有効利用策の研究を行っている。例えば佐賀県産の米を使った日本
酒の高品質化の研究、未利用穀物資源の麹菌による高機能化の研究、焼酎粕からの有効成分抽
出による機能性食品や化粧品の開発の研究などを行っている。
北垣 浩志准教授
マメ科植物と共生して根に根粒と呼ばれる器官を形成する根粒菌は、根粒の中で空気中の窒
素を利用して窒素肥料を合成しているが、鈴木章弘教授の研究では窒素肥料の合成を促進する
技術について研究を行っている。また、菌根菌は 80%以上の陸上植物と共生して根からのリ
ン酸吸収を助けているが、その効率を高めるための栽培方法に関する研究も行っている。
鈴木 章弘教授
染谷孝教授は、蛍光染色法や遺伝子解析などの最新技術を駆使して、土壌や堆肥中の微生物
の生態に関する基礎研究をすすめるとともに、得られた知見を元に、微生物技術を用いた農産
廃棄物の資源化(堆肥化、エコフィード)
、農産物の衛生・安全性の向上(生鮮野菜の食中毒
菌汚染の評価と防止)、汚水の微生物浄化などに関して研究している。また、微生物資材の品
質評価も重要な課題である。
染谷 孝教授
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多くの科学技術を総合的に利用しながら営まれる施設農業は、現代社会において、農産物の
生産と価格安定に大きな役割を果たしている。田中宗浩教授は施設農業、特に生産施設の装置
化、システム化及び省エネルギー化、バイオマス利活用についての教育研究に取り組んでいる。
研究成果が、社会へフィードバックされ、また、研究室を卒業修了した学生が社会で活躍する
ことにより、社会へ貢献できることすることを目指している。
田中 宗浩教授
イネ‐ムギ、ダイズ‐ムギの2年4作体系が展開される九州地域において、より低コストかつ
省力的な栽培方法である水稲乾田直播栽培を導入・拡大させるためには、水稲作付時における
漏水の防止が必須の課題となっている。廣間達夫教授は、振動ローラによって土壌を締固め、
圃場の透水性を制御するための研究を行っている。また、農業機械の新しい制御方法を開発す
るための基礎研究として、開花の一時期だけではあるが自身の体温を気温より高い温度で一定
廣間 達夫教授
に保つ発熱植物の体温調節機構を研究している。
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佐賀大学研究室ダイジェスト
農学部
生物資源制御学講座(農学部ー5)
生物資源制御学講座では、個々の生物や生物間相互作用に焦点を当て、農作物の生育・生産に影響を及ぼすウイ
ルス、真菌、線虫、昆虫など様々な生物を研究対象とし、マクロ(生態・行動)からミクロ(遺伝子)レベルまで
幅広く解析を進めています。
大島一里教授は植物に病気を引き起こすウイルスを対象に研究している。ウイルスの分子
進化や生態だけでなく、ウイルス病防除のための弱毒ウイルス(ウイルスワクチン)の開発や
ウイルス検出のための高感度診断キットの開発なども行っている。例えば弱毒ウイルスに関し
てはジャガイモ Y ウイルスなどが挙げられ、診断キットについては、スイセンに感染する様々
な新規ポティウイルス、ネギ科植物に感染する様々なウイルスについて開発を手掛けている。
大島 一里教授
脆弱領域とは転座・塩基配列の欠失・挿入等の構造変異が生じやすいゲノム領域のことで
あり、生物はそのような領域を進化の加速化に利用していると考えられている。イネの重要病
原菌であるイネいもち病菌は極めて変異性が高く、新規に育成された抵抗性品種に対して病原
性を獲得した変異体が容易に出現する。草場基章准教授はイネいもち病菌のゲノムについて脆
弱領域の同定、ならびに、脆弱領域の病原性変異への関与について研究を行っている。
草場 基章准教授
昆虫と植物を対象に、生態や生活史、生き物同士の相互関係について研究するのは、德田
誠准教授。生物に見られる様々な特徴の進化過程や適応的な意義を明らかにする研究や、多様
な形質が生じるメカニズムを解明する研究にも取り組んでいる。また、地球温暖化などの環境
変動が生物に及ぼす影響の解析、害虫防除に関する研究、生物の大発生や絶滅が生じる原因に
ついても研究している。
德田 誠准教授
日本の農地は多様で豊かな生物相を育んできた特殊な環境。そこには貴重な生物特性を持
つ小動物が多く住み、それを研究することで日本農地の価値はさらに高まると思われる。野間
口眞太郎教授はごく少数の昆虫や魚類で、親が複雑な保育行動を進化させたものについて、な
ぜ特殊な保育行動が進化したのか、親子間で対立はないかなどを調べている。また動物個体は
どう行動するか、データをどう解析すべきかなども研究している。
野間口 眞太郎教授
早川洋一教授は昆虫の様々な生理現象(発育・食欲・生体防御・寄生など)に着目し、生化
学や分子生物学的手法を用いて解析を進めている。特に、種々のストレスに対する昆虫側の生
理的影響あるいは応答反応を分子レベルで明らかにすることで、環境や人畜に対する悪影響の
少ない害虫防御技術の開発や、昆虫固有のストレス応答性生理活性タンパク質・ペプチドの医
動物薬への応用を目指す。
早川 洋一教授
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地球上の様々な場所に生息する線虫には多様な性質をもつものが存在するものの、その利用
方法は未だに限られている。吉賀豊司准教授は昆虫に特異的に寄生する線虫を用いた害虫の生
物的防除方法をはじめとして、線虫の特性を利用した線虫の機能開発に関する研究を行ってい
る。また、農作物に被害を与える植物寄生性線虫の防除に関する研究も行っている。
吉賀 豊司准教授
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佐賀大学研究室ダイジェスト
農学部
食糧科学講座(農学部ー2)
食糧科学講座は、現在5分野6名の教員から構成されており、生物資源からの機能性成分の探索とそれらの栄養
生理機能や安全性の解明、機能性食品の開発、生物生産物の流通・貯蔵、バイオマスの有効利用等について教育と
研究を行っています。
亀井勇統准教授は、海洋の生物から重要な医薬品等を開発することを目的に、深海の動物や
微生物、さらには海の植物である海藻類から、抗菌、抗ウイルス、抗ガン、神経細胞の活性化、
免疫の活性化物質等を探索して、見いだされた活性物質の化学構造の解析、その作用機序の解
析を行っている。研究の最終目標は、海洋生物を“夢の新薬”の供給源として活用し、有用海
洋生物を養殖して、新規産業の育成ならびに地域水産業の活性化に貢献することにある。
亀井 勇統准教授
関清彦講師は植物種子に含まれている抗カビペプチドの構造解析を行っている。さらに遺伝
子工学的手法を用いた構造改変を行い、それに伴うカビに対する作用の変化をみて、どのよう
なメカニズムで抗カビ作用が起こるのかを調査している。穀類であるアマランサスやキノア種
子中に含まれる抗カビペプチドは、芳香族アミノ酸が抗カビ性に重要な役割を果たしているこ
とが判明しており、抗カビペプチドの構造と機能の関係を明らかにし、有用な抗カビ剤の開発
関 清彦講師
を目指している。
永尾晃治准教授は生活習慣病の予防・改善に活用が期待される様々な食品素材について、栄
養生理機能の検討を行っている。これまでに、有明海で二枚貝に対する食害を起こして駆除・
廃棄されていた「ナルトビエイ」
、佐賀県林業試験場が簡便な栽培法を確立した「ムキタケ」
、
佐賀県の特産物である「レンコン」
「大豆」などからの抽出物に脂質代謝異常改善作用が期待さ
れる事などを報告している。
永尾 晃治准教授
濱洋一郎教授は食品素材の構造研究を基にして、それらの機能性、有効利用ならびに品質評
価について教育・研究を行っている。現在の主要な研究テーマは、海藻多糖の構造と機能に関
する研究(海苔に含まれる多糖の量、性質と海苔の品質や疾病との関連性)
、魚類体表粘液糖タ
ンパク質の構造と機能に関する研究(体表面の粘質物が環境水中に無数に存在する病原微生物
の魚類への感染を防いでいる)などである。
濱 洋一郎教授
十分な圧力を加えながら高温に加熱した「液体」の水は、多糖のような有機物を加水分解す
る能力を持ち、例えば竹を280℃で処理すると、90%以上を溶かすことができる。林信行
教授は、このような加圧熱水が有する特異的な性質を利用して、鹿角霊芝や黒酵母から漢方薬
の成分であるβ(1,3)(1,6)グルカンを効率よく生産したり、竹からオリゴ糖を高い収率
で製造するシステムの開発を行っている。
林 信行教授
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細胞膜脂質は、細胞の内側と外側を隔てるコンパートメントとしての役割が知られてきた。
しかし、これだけの理由では、おびただしい数の細胞膜脂質分子種が存在する理由を示す事は
出来ない。光武進准教授は、細胞膜脂質分子が、これまでの概念以上に積極的に細胞機能に関
わっていると考え、特にスフィンゴ脂質に着目し、その生理機能を研究してきた。さらに、外
来性の食事成分によって、これら細胞膜の機能がどの様に変化するのかを研究している。
光武 進准教授
カニやエビなどの甲羅に含まれるキチンを分解して得られるキトオリゴ糖には、抗腫瘍活性、
免疫賦活活性、エリシター活性や細菌増殖抑制など様々な生理機能が報告されている。また、
調味、増粘、抗菌、難消化、整腸などの機能を持つ食品素材としてもその利用が期待されてい
る。光富勝教授は、これらの様々な機能をもつ糖質を、微生物が生産するキチン質分解酵素を
使って調製する方法を開発している。
光富 勝教授
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佐賀大学ホームページ>産学・地域連携機構>佐賀大学研究室ダイジェスト
佐賀大学研究室ダイジェスト
農学部
地域社会開発学講座(農学部ー7)
地域社会開発学講座は、日本を含むアジアにおける人間と環境に関する社会経済学的・人文科学的な探索を行う、
農学部唯一の「文系分野」です。現代社会の創造的かつ持続的な発展方向を目指す総合的科学分野であると言えま
す。
稲岡司教授は、1980 年代から、オセアニアの中でも最も開発が遅れたパプアニューギニア
で、開発が地域環境やヒトの健康に及ぼす影響を追跡している。1990 年代中頃からは、開発
が進んだトンガの人々の健康問題(具体的には肥満や糖尿病)にも関心を持ち、遺伝要因だけ
でなく社会文化的要因を含めた環境要因を調査している。さらに 1990 年代後半からは、バン
グラデシュで広範囲に起こっている地下水砒素汚染対策や、ラオス南部少数民族の農村開発に
稲岡 司教授
ついても、それぞれの国の研究者と共同研究を続けている。
さじ
小林恒夫教授は、全学教育において荒川弘『銀の匙 』を教材に食・命・農・自然の問題を共
に考えたり、学部教育では条件不利地=傾斜地における園芸作の挑戦モデルを考察、留学生教
育ではバングラデシュと佐賀県の酪農に関する共同踏査を行い、地域研究及び院生教育では玄
海諸島(7島)社会の持続的展開条件の探索などを行っている。あわせて 2010 年農業センサ
スが示した日本農業構造再編のシンボルとも言える佐賀平野の水田作農業の担い手問題の実
小林 恒夫教授
態分析も行っている。
白武義治教授は、近年、地域の農商工連携事業の今日的意義及びその持続的展開条件につい
て実証的に検討している。地域諸資源循環利用の合理性を付加価値生産性、低コスト生産性、
地域環境保全性、地域内新雇用機会の創出性、食の安全性及び経営相互の補完性などの視点で
検討し、さらに中小企業者と農林水産業者の両社相互が、商的・物的流通上のニーズをいかに
マッチングさせ持続条件としているか、を多面的な視点で検討している。
白武 義治教授
辻一成准教授は、農業経営の組織と管理に関する分野、主に経営者の役割に焦点を当て、成
長する農業経営の経営者や地域農業のリーダーに必要な能力を明らかにし、現場の農業経営者
がそれを身に付けるための支援方策などに関して研究している。その成果は佐賀大学の農業版
MOT 等の講義や演習で実践している。アジアの経済成長と農業開発に関する研究では、韓国・
中国・ベトナムなどを対象にグローバル化の中での各国農業の比較研究を行っている。
辻 一成准教授
藤村美穂准教授は、日本の地域社会の環境や自然に関わる諸問題、途上国の開発に伴う環
境・生活問題について、社会学・民俗学的手法を用いたフィールドワークを基に調査研究して
いる。近年は、森林を中心とした土地利用の形態、土地利用に関する発言力、獣害、伝統芸な
どを切り口として生活組織や環境管理システムについて調査を行い、過疎化の進む九州の山村、
環境問題が徐々に意識下されはじめたベトナムやラオスの農村の抱える問題に取り組んでい
藤村 美穂准教授
る。
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リ オンチョル
李 應 喆 講師は、農業・農村の多面的機能、地域資源の循環的利用と管理などを生業活動の
焦点に当てた分析、環黄海地域の干潟文化の比較、農村観光(グリーン・ツーリズム、エコツ
ーリズム、ヘルスツーリズム)による地域活性化と持続可能な農村社会について生態人類学的
研究を行っている。近年は、地域環境を生かした伝統的農法や、生物多様性が守られた土地利
用のシステム、農村文化・農村景観などを「農文化システム」として維持保全し、次世代へ継
李 應喆講師
承する目的で創設された世界重要農業遺産(GIAHS)に関して韓国・日本・中国の比較研究を
行っている。
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