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対パレスチナ自治区 事業展開計画

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対パレスチナ自治区 事業展開計画
国別援助方針 別紙
対パレスチナ自治区 事業展開計画
2014年4月 現在
基本方針
(大目標)
重点分野1
(中目標)
経済・社会の自立化促進による平和構築 民生の安定・向上
【現状と課題】
イスラエル軍の占領下に置かれているパレスチナ自治区では、多くの住民がいまも占領による種々の犠牲を日常的に
強いられている。自治区住民の基礎的な社会・経済生活は、分離壁やチェックポイント等による移動の制限に加え、
日常的な占領軍部隊の侵入やユダヤ人入植者の暴力等の大きな影響を被り、社会全体が引き続き失業や貧困に直面し
ている。特に長期に亘って封鎖措置の下で人の移動や物資の搬出入が厳しく制限されているガザ地域においては、
2010年5月のガザ支援船団の事案を受けて翌月にイスラエル政府が封鎖緩和措置を発表したが、人道的危機は依然と
して継続している。このような状況下では自治区住民がイスラエルとの和平に対する期待を維持することは困難であ
るため、和平促進の観点からも、自治区住民の民生を安定させるための取り組みが必要である。
【開発課題への対応方針】
パレスチナ自治区における民生の安定・向上を支援することで、「平和の配当」を具体的に
当事者に示し、和平への動きを側面的により確実なものとするよう取り組む。具体的には、
紛争被災者や、特に住民の中でも社会的に最も脆弱な女性(特に母親)や子供を対象とした
緊急人道支援に加えて、上下水、保健、教育等の基礎生活基盤の整備や、社会的弱者を保護
する観点から人間の安全保障に資する各種支援に取り組むとともに、当該地域における雇用
創出事業に対する支援をも引き続き行う。また、保健及び教育分野においては、それぞれの
新協力政策(特に保健関連支援では、国際保健政策2011-2015)を念頭に取り組む。
実施期間
協力プログラム名
協力プログラム概要
水資源に限りがあるパレスチナにおい
て下水処理システムの強化や上水設備
の改善を支援し、効率的な水の活用を
目指すもの。特に,隣国イスラエルも
共有する地下水資源の保全について
は、イスラエル側にも高い関心がある
上下水サービス向 ところから、この問題への適切な対処
は両当事者間の信頼醸成にも繋がるも
上プログラム
のである。
案件名
ジェリコ市水環境改善・有効活用計画
2013
年度以前
2014
年度
2015
年度
2016
年度
支援額
2017
年度
2018
年度
備考
(億円)
無償
26.50
技プロ
4.64
信頼醸成のための排水溝建設計画
無償
5.66
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
ハーン・ユーニス下水処理場施設建設
無償
14.83
百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
草の根無償
0.27
西岸地区南部の水道整備(2013年度補正予算案件)
マルチ
1.05百万USD
実施機関:国連児童
基金(UNICEF)
西岸C地区の給水設備・機材供与(2013年度補正予算案件)
マルチ
1.58百万USD
実施機関:国連児童
基金(UNICEF)
草の根無償
0.28
日本NGO
0.46
ジェリコ市下水運営管理能力強化プロジェクト
上下水道分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力(2013年度)
占領や衝突等の影響も受けて不十分と
なっている保健サービスの改善を目的 保健医療分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力(2013年度)
保健サービス向上 に、母子保健やリプロダクティブ・ヘ
ルス・ケアーの改善や心理的ケアの改
プログラム
善の取り組みを支援するもの。
東エルサレムにおける学校・地域保健事業
開発課題1-1
(小目標)
生活基盤整備
スキーム
実施機関:日本国際
ボランティアセンター
(JVC)
開発課題1-1
(小目標)
生活基盤整備
教育サービス向上
プログラム
出生率が高く若年層の占める割合の大
教育分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力(2013年度)
きいパレスチナ自治区において、学校
不足の解消や女性を含む若年層の育成
を目的として、学校の建設や教育内容 パレスチナ自治区西岸地域における子ども・青少年育成事業
の質の向上による教育サービスの充実
ヘブロン青少年の心理的ケアのための教育的市民社会ネットワーク拡充事業
を支援するもの。
草の根無償
0.30
日本NGO
0.90
実施機関:国境なき
子どもたち
日本NGO
0.67
実施機関:ピースビル
ダーズ
日本NGO
0.21
実施機関:地球のス
テージ
理科教育における生徒中心型教育普及プロジェクト
技プロ
5.00
学校修復(2013年度補正予算案件)
マルチ
1.00百万USD
ガザにおける聴覚障がい児童及び危険地帯居住児童に対する心理社会的ケア事業
難民や女性・子供をはじめとして、失
業や貧困、障害等による社会的弱者の 平成25年度食糧援助
基礎生活の保護を図ることを目的とし
て、食糧支援に加え、住居等の基礎的
サービス提供を支援するとともに、特
に困難な状況に置かれている地域社会
の能力強化を支援するもの。
難民キャンプ緊急コミュニティ再建計画(ガザ地区ハーンユーニス)
社会的弱者保護プ
ログラム
保健医療施設再建計画
無償
無償
無償
実施機関:国連児童
基金(UNICEF)
3.40
実施機関:国連世界
食糧計画(WFP)。小
麦粉、豆類、ツナ缶詰
の供与
15百万USD
実施機関:国連パレ
スチナ難民救済事業
機関(UNRWA)。対
ガザ封鎖措置のため
中断していたが、
2011年同措置の緩和
を受けて事業再開。
1.8百万USD
実施機関:国連パレ
スチナ難民救済事業
機関(UNRWA)。対
ガザ封鎖措置のため
中断していたが、
2010年同措置の緩和
を受けて事業再開。
「ヨルダン渓谷における脆弱な周辺地域コミュニティ及び難民コミュニティの生活保護
及び持続的な能力強化」計画
マルチ
実施機関:国連人間
5.67百万USD の安全保障基金
(UNTFHS)
西岸地区における即効型小規模インフラ整備 (2013年度補正予算案件)
マルチ
5.5百万USD
実施機関:国連開発
発計画(UNDP)
西岸・ガザ地区の診療所運営支援 (2013年度補正予算案件)
マルチ
10百万USD
実施機関::国連パレ
スチナ難民救済事業
機関(UNRWA)
日本NGO
0.46
実施機関:日本国際
ボランティアセンター
(JVC)
東エルサレムにおける学校・地域保健事業
重点分野2
(中目標)
行財政能力の強化
【現状と課題】
将来的なパレスチナ国家の樹立を視野に置き、パレスチナ自治政府が国家樹立へ向けて2009年に発表したPA大綱を受け
た同政府の開発計画(2011年-2013年)に従い、同政府の各種行政機能の強化のための組織能力向上・人材育成を図ること
が必要である。行政改革を遂行する上では、中央政府を頂点とする統治機構の整備に加えて、地方の行財政制度を整備す
ることが不可欠であるが、中央政府の能力が十分でない中、適切な地方分権化を進め地域住民の生活向上を図ることが重
要である。また、西岸はチェックポイントやイスラエル側の管轄地域等の存在により多くの地方自治体が孤立化を強いられる
一方で、各自治体の行政能力も脆弱であり、その底上げが不可欠である。
【開発課題への対応方針】
独立国家樹立に向けた制度構築・組織能力強化支援という観点から、パレスチナ自治政府の
持続性を支えるため、中央政府及び地方自治体の歳入向上に向けた支援を行う。具体的に
は、中央政府に対する財政的な支援のほか、慢性的な財政難に悩む地方自治体の歳入向上の
ため、地方における開発事業の主要財源となり得る固定資産税の徴収制度改善を支援する。
それとともに、かかる財源が将来的により公正且つ効果的に配分されるべく、自治体レベル
における住民参加型による開発戦略計画の策定への支援を実施するほか、具体的には廃棄物
管理の分野で地方自治体の行政サービス改善を支援する。
実施期間
協力プログラム名
協力プログラム概要
プロジェクト名
備考
2013
年度以前
開発課題2-1
(小目標)
行政能力向上
独立国家樹立に向けてパレスチナ自治
政府の持続性を財務管理面から支える 平成23年度ノン・プロジェクト無償資金協力
ため、中央政府に対する財政的支援を
財政能力強化プログ 行うとともに、慢性的な財政難に悩む
ラム
地方自治体の歳入向上に向けた固定資
産税の徴収制度改善の支援を行うも 地方財政改善プロジェクト
の。
地方行政能力向上
プログラム
イスラエルの占領政策により自治区内
が物理的に分断される状況が続く中、 ヨルダン渓谷コミュニティのための公共サービス活動支援
自治体単位での行政サービス提供の能
力向上が喫緊の課題となっている。こ
の課題に対応するため、中央レベルで
の制度構築支援とともに、地方レベル 西岸地区廃棄物管理改善計画
で自治体職員の能力向上や歳入源の確
保を図りつつ、開発戦略の策定支援に
加え、特に廃棄物管理の分野で広域行 民生環境分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力(2013年度)
政制度を利用した行政サービス提供の
改善を支援し、こうした実績を中央政
府の地方自治政策立案に反映させるこ
とを目指すもの。
西岸地区廃棄物管理能力向上プロジェクトフェーズ2
支援額
スキーム
2014
年度
2015
年度
2016
年度
2017
年度
2018
年度
(億円)
ノンプロ
10.00
技プロ
5.52
無償
11.76
無償
8.00
草の根無償
0.28
技プロ
4.00
重点分野3
(中目標)
持続的な経済成長の促進
【現状と課題】
永続的な二国家解決のためには、占領の終結をもって樹立されるパレスチナ国家の経済がイスラエル経済から自立し
持続的に成長していけるようになることが不可欠であり、そのための準備を国家樹立前から周到に行うことが重要と
なっている。しかしながら、持続可能な国家樹立に不可欠な経済成長を支える産業の育成は占領下の制約を受けて容
易ではない。特に、パレスチナにおける主要産業である農産業の分野は、貧困削減(所得向上)、雇用創出、食料安
全保障の観点からも開発の必要性が最も高く、今後付加価値のより高い農産品の生産が望まれるが、一方でそれに必
要となる土地、水資源、流通等についてはイスラエルとの政治的問題が密接に関連していることから、その分野の開
発には国際社会による関与が求められる。産業振興の分野では、私企業の大半を占める零細・中小企業を中心とする
民間セクターの強化が重要な課題となっているほか、比較的豊富な観光資源の存在から観光振興も経済成長に貢献す
る潜在性が高いが、観光サイトの魅力向上に加えて周辺国からの観光客の誘致など取り組むべき課題は山積してい
る。他方、パレスチナ経済の将来は隣国のイスラエル、ヨルダン及びエジプトとの関係が重要であるので、これら近
隣諸国を巻き込んだ取組みも不可欠である。
【開発課題への対応方針】
占領下にあるパレスチナ経済の復興・持続的な発展を下支えするべく、農産業開発を中心と
した産業振興や観光振興の分野を中心に、関連インフラ整備事業も含め、その活性化に向け
た取り組みを支援する。特に、我が国独自の中長期的取組である「平和と繁栄の回廊」構想
を具現化していくためにも、ヨルダン渓谷の経済開発を考える上で最も潜在可能性が高いと
思われる農業と観光に重点を置いた協力を行うとともに、特に、その構想の中核となる農産
加工団地建設に資する案件は優先的に実施する。同時に、雇用創出や産業復興の観点から、
西岸全体・ガザにおいても、零細・中小企業や農民の競争力や基礎体力の強化に向けた取り
組みを支援する。
実施期間
協力プログラム名
協力プログラム概要
案件名
備考
2013
年度以前
輸出振興も念頭に置いて有望な産業の
開発を支援するもので、特に平和と繁 ジェリコ農産加工団地への給水整備
栄の回廊構想の中核的事業であるジェ
リコ農産加工団地の起動・開発に焦点 ジェリコ農産加工団地管理棟建設
を当てつつ、私企業の大半を占める零
細・中小企業の底上げに向けた取り組 ジェリコ農産加工団地変電所建設
みを支援するもの。
産業開発プログラ
ム
開発課題3-1
(小目標)
経済開発
支援額
スキーム
2014
年度
2015
年度
2016
年度
2017
年度
2018
年度
(億円)
マルチ
0.86百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
マルチ
1.49百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
マルチ
1.04百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
民間セクター雇用創出支援(2010年度補正予算案件)
マルチ
8.58百万USD
実施機関:欧州連合
(EU)
PIEFZA内部管理能力開発計画
マルチ
0.4百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
西岸地区の下水処理施設接続パイプ及びポンプの設置(2013年度補正予算案件)
マルチ
1百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
西岸地区の送電線建設(2013年度補正予算案件)
マルチ
1百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
ヨルダン渓谷における淺井戸掘削(2013年度補正予算案件)
マルチ
1百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
西岸における雇用創出支援(2013年度補正予算案件)
マルチ
2百万USD
実施機関:国連開発
計画(UNDP)
零細中小企業向けビジネスサービス強化プロジェクト
技プロ
2.48
ジェリコ農産加工団地誘致サービス機能強化プロジェクト
技プロ
5.00
90号線アクセス道路建設計画準備調査
協準
ジェリコ農産加工団地との関連性も念
頭に置きつつ、農業技術の向上・普 ヨルダン渓谷地域高付加価値型農業普及改善プロジェクト
及、農産業に不可欠な水資源の安定供
農業開発プログラ 給体制整備等を通じて、農業生産性や パレスチナ西岸ジェニン県における有機農法促進を通じた貧困削減事業
ム
付加価値の向上を図り、主要産業の一
つである農業分野の活性化を支援する
ガザ地区農業セクターの復興と強化、人材育成と環境保全型農業の普及事業
もの。
高い潜在可能性を持つ観光産業の振興
を支援するもの。パレスチナ自治区に
は数多くの宗教的・歴史的な遺産が残
存しているが、観光資源として有効活
用されておらず、また、観光客誘致の
ためのインフラも未整備であり、観光
産業発展に必要なノウハウも欠如して
いるため、本プログラムでは、世界最
観光開発プログラム 古の都市とされるジェリコをモデル地 官民連携による持続可能な観光振興プロジェクト
域とし、地域に根ざした観光推進体制
の構築及び一部インフラ整備を支援
し、その成果をジェリコ以外にも普及
させることを目指す。
技プロ
2.81
日本NGO
0.78
実施機関:日本国際
民間協力会(NICCO)
日本NGO
1.90
実施機関:パレスチナ
子どものキャンペーン
技プロ
4.46
【凡例】 「協準」(=全ての協力準備調査)、「詳細設計」(=詳細設計)、「技プロ」(=技術協力プロジェクト)、「開発計画」(=開発計画調査型技術協力)、「個別専門家」、「個別機材」、「国別研修」、「課題別研修他」(=課題別研修及び青年研修)、「JOCV」(=青年海
外協力隊)、「SV」(=シニア海外ボランティア)、「第三国専門家」、「第三国研修」、「現地国内研修」、「科学技術」(=科学技術協力(技プロ型及び個別専門家型))、「草の根技協」(=草の根技術協力)、「○○省技協」(=外務省・JICA以外の省庁及び独立行政法人等が実
施している技術協力)、「民間提案型技協」(=開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業)、「無償」(=以下に特記するサブスキームを除く全ての無償資金協力)、「ノンプロ」(=ノン・プロジェクト無償及び中小企業ノン・プロジェクト無償資金協力)、「草の根無
償」(=草の根・人間の安全保障無償)、「日本NGO」(=日本NGO連携無償)、「一般文化」(=一般文化無償)、「草の根文化」(=草の根文化無償)、「有償」(=円借款)、「マルチ」(=国際機関等を通じた多国間協力スキーム)、「中小企業支援」(=中小企業製品・技術とO
DAのマッチング事業「ニーズ調査」、「案件化調査」および「普及・実証事業」、かつ中小企業連携促進基礎調査)、実線「―――」(=実施期間)、破線「- - - -」(=実施予定期間)
※この凡例にない略語を使用する場合は凡例に当概略語を記載したうえで使用する。
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