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2005 Vol.2 No.2

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2005 Vol.2 No.2
ISSN 1349-4279
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan
日本熱電学会誌
Vo l . 2
No. 2
( O c t o b e r, 2 0 0 5 )
巻頭言
トピックス
研究室紹介
TSJ2005
表彰報告
学会報告
研究会報告
講演会報告
お知らせ
会告
スケジュール
編集後記
日本熱電学会
The Thermoelectrics Society of Japan
E-mail : tsj@elec. shonan-it. ac. jp
URL : http://www. elec. shonan-it. ac. jp/thermoelectrics
電 話 : 0466-30-0187 FAX : 0466-35-8897
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
1
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 ( 平成 17 年 10 月 )
巻 頭 言
日本熱電学会 1 年半
坂田 亮
‥‥
1
トピックス
ICT2005 BEST SCIENTIFIC AWARD を受賞して
‥‥
2
‥‥
3
‥‥
4
塩田 一路
‥‥
7
第 1 回日本熱電学会・講演奨励賞を受賞して 牟田 浩明
‥‥
8
日本熱電学会第一回講演奨励賞を受賞して
黒崎 健
‥‥
9
β -FeSi2 単結晶の異方性
倉光 正夫
‥‥
10
2005 年度講演奨励賞選考結果について
坂田 亮
‥‥
11
ICT2005 報告
山本 淳
‥‥
12
第 3 回ヨーロッパ熱電学会
杉原 淳
‥‥
13
2005 年秋季応用物理学会
舟橋 良次
‥‥
14
日本物理学会
小林 航
寺崎 一郎
‥‥
14
日本金属学会 2005 年秋期大会
武田 雅敏
‥‥
15
研究会報告
第 1 回熱電研究会
寺崎 一郎
‥‥
16
講習会報告
熱電講習会 2005 - 熱電変換の基礎と応用 -
河本 邦仁
‥‥
17
お知らせ
日本熱電学会欧文誌 Materials Transactions
‥‥
21
第 2 回日本熱電学会通常総会 (2005 年 8 月 ) 報告
‥‥
22
日本熱電学会細則
‥‥
24
日本熱電学会第 1 回顧問会記録
‥‥
27
第 6 回理事会・評議会報告
‥‥
28
日本熱電学会 2004 年度(平成 16 年度)会計報告 ‥‥
29
‥‥
31
住所変更届
‥‥
32
広 告
‥‥
33
編集後記
‥‥
36
黒崎 健
日本熱電学会の設立を祝うウクライナよりの祝辞
上村 欣一
研究室紹介
産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門
分子材料デバイス研究グループ
TSJ2005
表彰報告
学会報告
舟橋 良次
第 2 回日本熱電学会学術講演会 (TSJ2005) を終えて
熱電特集(第 2 回)の論文募集
会
講
告
演
会・学会開催スケジュール
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
2
巻頭言
日 本 熱 電 学 会 1 年 半
会長
坂田 亮
( 慶應義塾大学 名誉教授 )
2004(H16) 年 4 月 1 日発足から 1 年半が過ぎ
会から第 2 回開催までに時間的余裕が少なく ,
た . そこで , 中途半端な命名だが「日本熱電学
参加者数が心配されたが , 河本先生方の大変
会 1 年半」とした . 前号 Vol. 2, No1 を 2005 年
なご努力により多数参加となり大成功であっ
4 月に刊行してからの学会の動きを述べよう .
た.
2005(H17)8 月 22, 23 日には第 2 回学術講演
松原覚衛企画委員長は , 松浦満 , 鈴木亮輔両
会が , 23 日には第 2 回通常総会が湘南工科大
幹事と共に , 3 つの細則制定を行なった . それ
学で開催された . 塩田一路学術講演会委員長 ,
は ,「役員等選出細則」,「特別講演者旅費規程
杉原淳実行委員長 , 梶川武信総務理事 , 太田英
細則」,「学会会合等の名称付与細則」である .
二会計理事 , 武田京三郎講演奨励賞選考委員
武田講演奨励賞選考委員長らにより「講演
長 , 多数の選考委員の方々 , 藤沢登事務局長ほ
奨励賞選考基準内規」が表彰委員会で定めら
か湘南工大の多くの方々の大きなご尽力によ
れた .
り無事にそれらを終えることが出来た .
木村薫欧文論文編集委員長らのご努力によ
また , 乾晴之教授(京大)( 代行:岡本範彦
り , Materials Transactions 2005 年 7 月号に日本
氏 ), 柏木孝夫教授(東京農工大)の特別講演 ,
熱電学会特集号として 12 編の論文が掲載され
そして 55 件の学術講演発表があった . 発表件
た . また , 小原春彦広報・会員増強委員長らの
数を更に多くするには , 学術講演会開催日 , 原
ご努力により , 正会員が 31 名増加した .
稿締切日を更に早く会員に通知する必要があ
学会の理事を中心として多くの会員の方々の
るとの意見もあった .
目に見えない大変なご努力の集積により徐々
総会においては ,(昨年度の)第 1 回講演奨
に学会の整備がなされつつある . 会員各位に
励賞受賞者 , 黒崎健(阪大), 牟田浩明(阪
深く感謝する .
大), 倉光正夫(長岡技大)らの 3 氏に坂田亮
2002 年から経済産業省と NEDO〔新エネル
会長から表彰状を手渡した . また , 今年度の第
ギー・産業技術総合開発機構〕の主導にて ,「高
2 回講演奨励賞受賞者の選考を表彰委員会で行
効率熱電変換システムの開発」(プロジェクト
ない , 受賞候補者を理事会に報告した .
リーダー:梶川総務理事)が 5 ヵ年計画で進
8 月 23 日には , 上村欣一顧問 , 小川智哉顧
められている . 2010 年までに実用化を期する
問をお招きし , 各種委員会委員長等を交えて第
ものである . Bi-Te 系 , Zn-Sb 系 , スクッテルダ
1 回の顧問会を開き , 有意義な提案を頂いた .
イト系 , シリサイド系でモジュール化し , モ
第 1 回研究会(2005 年 7 月)は , 吉野淳二
ジュール変換効率 12%( 最終目標 15%) を目標
研究会委員長 , 寺崎一郎幹事のもとで , 佐宗哲
とし , その中では , Zn-Sb 系で ZT=2 以上のも
郎 , 高畠敏郎 , 藤井武則 , 旭 良司講師方を迎
のもある .
え湘南工大東京キャンパスで行われ , 盛況の
最近 , バルク材料で Ag・Sb・Pb・Te 系 (LAST
うちに活発な討議が行われた .
と略称 ) にて ZT=2 以上が発表されており , 本
第 2 回熱電講習会(2005 年 9 月)が , 河本
年熱電国際会議でも薄膜関係で ZT=2. 4 の発表
邦仁実行委員長 , 太田裕道幹事のもとで , 名古
もあったと聞く . これらは , 材料のナノ・スト
屋大学野依記念館で開催された . 9 名の講師方
ラクチャが重要な役割をはたしていると見ら
を迎え , 92 名の参加者があり , 充実した講習
れている .
会となった . また , 大きな会費収入を得て , 財
研究者の道は , 面白くもあり , 厳しくもあ
政面でも貢献をした . 昨年 12 月の第 1 回講習
る . 人の言葉を噛み締めながらも , それはそれ
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
1
として , 自分の信ずる道を , 次の西田幾太郎の言
を 吾は行くなり』(2005(H17). 9. 30)
葉のごとくに行くべきだ .
『人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾が行く道
トピックス
ICT2005 BEST SCIENTIFIC PAPER AWARD を受賞して
黒崎 健(大阪大学 大学院工学研究科)
我々のグループでは,Ag9TlTe5 組成の物質が,
氏が受賞しました.なお,次回の ICT は,ウィー
700 K において ZT=1. 23 という非常に大きな
ン大学の Rogl 教授がチェアマンとなり,2006 年
性能指数を示すことを発見しました [1].この成
8 月 6 日から 10 日にかけてオーストリア・ウィー
果 を 発 表 し た 論 文 "Thermoelectric Properties
ンのマリオットホテルにて開催されることが報告
of Ternary Silver Thallium Tellurides" が,
されました.
ICT2005 に お い て BEST SCIENTIFIC PAPER
※受賞研究の概要紹介
AWARD に選出されました.本稿では ICT2005
我々が注目するタリウム化合物(特に Ag9TlTe5
の会議概要と受賞対象となった論文の概要を,そ
組成の物質)の最も特筆すべき性質は,その極端
れぞれ報告します.
に低い熱伝導率にあるといえます.既存熱電材料
※ ICT2005 会議報告
である Bi2Te3 や PbTe などで,その熱伝導率は
ICT2005 は,米国サウスカロライナ州クレム
1 ∼ 2 Wm-1K-1 程度であるのに対し,我々の注目
ソン大学において,クレムソン大学の Tritt 教授
する物質群は,0. 2 ∼ 0. 3 Wm-1K-1 という極端
をカンファレンスチェアマンとして,2005 年 6
に低い熱伝導率を示します.この特徴ゆえに,電
月 19 日から 23 日にかけて開催されました.参
気的特性はそれほど優秀ではないにもかかわら
加人数は,24 カ国から合計 249 名,国別で見ると,
ず(パワーファクターの最大値は 10-4 Wm-1K-2 の
米国から 140 名,日本から 59 名,ドイツから 9
オーダー),ZT の最大値は 1. 23 を示します.
名,韓国から 7 名,ロシアから 5 名,その他の国
この材料は,いわゆる一般的なバルク材料であり,
と地域から 29 名でありました.69 名もの学生(う
人工的にナノ構造を構築したわけでもなく,また
ち 19 名はクレムソン大学生)が参加していたこ
特別な製法も必要としません.作製方法も非常に
とは,特筆すべきことかと思います.発表件数は,
簡単であり,かつ,データの再現性もよいことか
口頭発表が 117 件とポスター発表が 88 件の合計
ら,中高温域での新材料としての応用が期待でき
205 件でした.各講演の詳細は,近日発刊される
ます.しかしながら,これまでに研究した材料は
プロシーディングスを参照いただければと思いま
いずれも p 型特性を示すことから,今後同じ物質
す.
群から高性能 n 型材料を開発することが急務であ
BEST PAPER AWARDS の APPLICATION 部
ると考えています.
門 に は, 米 国 の The Aerospace Corporation
以 上,ICT2005 の 概 要 と 受 賞 対 象 と な っ た
の Welle 博 士 が 発 表 さ れ た Peltier-Actuated
我々の研究紹介を述べさせていただきました.
Microvalve Performance Optimization が 選 出
ICT2005 の バ ン ケ ッ ト に お い て, 河 本 教 授 と
されました.また,熱電分野で活躍する大学院生
Tritt 教授から受賞のお言葉をいただいたときは,
におくられる Goldsmid Award は,MIT の Yang
大変感激し光栄に思うと同時に,身の引き締まる
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
2
思いを感じました.今後も初心を忘れることなく,
たと思います.お世話になったみなさまに,この
研究活動を続けていきたいと考えています.また,
場をお借りして深く感謝申し上げます.
山中伸介教授をはじめとする研究室メンバーのサ
[1] K.
ポート無くては,今回受賞いただくことは無かっ
(2005).
Kurosaki et al. ,
APL 87,
061919
日本熱電学会の設立を祝うウクライナよりの祝辞
顧問
上村 欣一
日本熱電学会の設立を祝う祝辞が , ウクライナ
月 11~17 日 , Chernovtsy において , 第 VI 回 School on
International Thermoelectric Academy (ITA) 会長 Dr. Lukyan I.
Thermoelectricity を開催する . この School で , 招待講
Anatychuk(以下 Dr. LA と略す)より , 坂田亮会長に , 筆
演を依頼したい . なお , ウクライナに , International
者を経由して寄せられた .
Thermoelectric Academy (ITA) を設立する企画があり ,
From L. I. Anatychuk, Institute of Thermoelectricity
発起人の一人として , School 開催中に行う ITA 企画会
Dear Uemura-san
議に参席を請う』との内容であった . 筆者は , 1994 年
It was a great pleasure to receive a letter from you. I welcome
8 月末 Kansas City での第 XIII 回 ICT に参加後 , Kiev/
creation of Thermoelectric Society of Japan. It is absolutely
Borispol 空港に飛んだ . School 会場は , ウクライナの
right, because thermoelectricity in Japan is growing steadily.
Bukovina(ルーマニアに接する地域)に保養施設とし
Of course, the International Thermoelectric Academy will
て建てられた Tourist Camp で , 約百名余を収容できる
cooperate with Thermoelectric Society of Japan. Please
会場と , 簡易宿泊施設が整っていた . ウクライナおよ
び東欧諸国からの青年達も , 多数参加して盛会であっ
pass to Dr. Makoto Sakata my congratulations due to
た. foundation of Thermoelectric Society of Japan,
as well as the wishes of cooperation. I would be glad to receive
ITA 企画会議は , School 開会当日から , 終了前日
information about this society its Regulations, purposes, tasks,
迄の 6 日間 , 夕刻から深夜までの連夜 , 会場内の密
etc. I also would be glad if you help me meet Dr. Makoto
室に閉じ篭もって行われた . 参加者は , 発起人会に
Sakata.
よって選任された ITA President : Dr. LA (Ukraine), ITA
Naturally, I would like to invite Dr. Makoto Sakata to visit our
Vice Presidents : Mr. A (Ukraine), Mr. B (USA), Mr. C
Institute.(以下省略)
(France), 筆者 (Japan) および秘書兼通訳 : Ms. D の 6 名
本誌編集委員会の依頼により , その経緯について以下 ,
であった . 議題は ITA 会則(英文案)の細目にわた
簡単に紹介することになった .
る討議で , とかく重厚な雰囲気になりがちで
旧ソビエト連邦では , 熱電は国家的に重要な軍事技術
あったが , 折に触れて飛び出す Mr. C の , 痛
とされ , 基礎・応用研究および軍需機器の試作・製造な
快なジョークが , 清々しい清涼剤となって , 和
ども盛んに行われ , 熱電に関するセミナーが , School on
らいだ友好的な雰囲気作りに役立った . 然し
Thermoelectricity という名のもとに , 2 年毎に開催されてい
ながら , 会則案の複数箇所については , 合意に
たようである . 1990 年 Dr. LA はウクライナ Chernovutsy
至らず , これら案件については帰国後 , 関係者
に Institute of Thermoelectricity (ITE) を設立し所長となっ
相互に Fax, e-mail 等による意見交換によって ,
た . しかし , 1991 年 12 月のソ連崩壊により , 熱電に対す
合意に基づく修正を施すことで , ITA 設立は原
る軍需体制は解かれた . Dr. LA は , かねてウクライナに ,
則として成立し , 1994 年 11 月 15 日 , ウクラ
熱電の学会組織を設立する構想を抱いていた . 1993 年 11
イナ法務省に登記された . ITA の学会活動が ,
月 , 日本で第 XII 回 ICT が開催された翌 1994 年初頭 , 筆
本学会 (TSJ), ITS その他の熱電学会と , 密接な
者は Dr. LA から下記主旨の Fax を受信した .『1994 年 9
連携の下で行われることが , 前提となってい
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
3
ることは言うまでもない . 1994 年 School 最 終 日 の 夜 , Farewell と ITA
この School は , 1996 年 9 月 8 - 14 日 , 第 VII
設立の祝賀を兼ねた Party が催された . 民族衣
回 International School on Thermoelectricity と い
装を纏った娘達と楽士達によって , 宴は一際華
う 名 の 下 に Pusha-Ozerne(Kiev よ り 約 25km
やいだ . 男性達は皆 , 娘達と踊った . ITA Vice
のリゾート地)において開催された . 更に
President となるアメリカの Mr. B が , 花瓶に
1998 年 に は , 第 VIII 回 International Forum on
挿してあった , 真っ赤なバラの小枝を , さり
Thermoelectricity と改称され , 来る 2006 年には ,
げなく口にくわえて , ウクライナ娘と舞った .
第 XII 回を迎えることになる . これら会議名の
その優雅な踊りを , 筆者は羨望の眼で眺めな
冒頭に付記された , International の一語の持つ
がら , ウオッカの杯を傾けていた . (ITA URL:
意味を筆者は , 重く受け止めている .
http://ite. cv. ukrtel. net/ita/)
研究室紹介
産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門
分子材料デバイス研究グループ 研究室紹介
舟橋良次(産業技術総合研究所)
産 業 技 術 総 合 研 究 所 ユ ビ キ タ ス エ ネ ル
2000 年に発表した単結晶ウィスカーによる優
ギー研究部門 分子材料デバイス研究グルー
れた熱電特性の報告です . 元々 , 私どものチー
プには液晶半導体材料を研究するチームと酸
ムは 1999 年まで酸化物超伝導の研究を行って
化物熱電材料研究するチームが有ります . こ
おりました . この研究において良質の単結晶で
こでは後者のチームの紹介をさせていただき
ある超伝導ウィスカーの合成技術を開発しま
ます . メンバーは研究員の三原敏行 , 舟橋良
した . この方法は非常に独創的で , 原料を溶融
次 , CREST 研究員の平井学 , JSPS フェローで
させた後 , 急冷凝固させたガラス前駆体を熱処
フランスから留学中の Delphine Flahaut, 派
理することで , 前駆体表面にぎっしりと人の髪
遣研究員の浦田さおり , 秘書の木村知恵 , そし
のように超伝導ウィスカーを成長させること
て卒業研究を行っている大阪電気通信大学の
ができます . この方法を Co 系の材料に試した
鍋島直樹の七名です . 研究所帯は小さいなが
ところ , Ca3Co4O9 ウィスカーが生えていまし
らも行っている研究内容は新規熱電酸化物の
た . ウィスカーは非常に小さいため , 熱電特性
探索からプロセス技術 , モジュール製造まで
の評価には苦労しました . 多くの試行錯誤の結
幅広く行っております . また扱う材料も薄膜
果 , この物質が高温 , 空気中でそれまで報告さ
から単結晶 , バルク材料と様々です . 特に最近
れていない優れた p 型の熱電特性を示すこと
力を入れて研究している分野がコンビナトリ
を発見しました .
アル技術を用いた新規熱電酸化物の探索と発
p 型が見つかったとなれば , n 型も欲しいとこ
電モジュールの作製です .
ろです . しかし , 読者の皆さんもご存じの通
私たちの熱電変換の研究は , 今ではミス
り , 優れた熱電材料を見つけることは非常に
フィット系と呼ばれている Ca3Co4O9 の開発
難しい課題です . そこで私どもの研究室では ,
に端を発しております . 特に重要だったのが
高い性能を有する熱電材料の設計という , 頭
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
4
の中での「仮説」の正否を素早く実証するこ
数を簡便に計測できるシステム , 名付けてゼー
とで , 新物質の発見確率を高めようと考えま
ベックテスターを構築しました . このテスター
した . そのためには多数の試料を迅速に合成 ,
により , 一時間で 650 試料のゼーベック係数
評価する必要があります . このような技術は
を測定できるようになりました . このシステ
コンビナトリアルケミストリー(コンビケム)
ムは通常のバルク材料の評価にも使うことが
と呼ばれ , 創薬の研究でいち早く利用されて
できるため , 既にいくつかの大学の研究室で
おります . このコンビケムを酸化物熱電材料
も使って頂いております . これまでに n 型酸
の開発に適応させようと研究を開始したのも
化物として LaNiO3 などを見つけております .
2000 年でした . そのころ既に東工大の鯉沼グ
しかし残念ながら p 型材料の特性を凌駕する
ループがレーザーアブレーションを用いた酸
ような物質は見つかっておらず , 現在も探索
化物コンビケム技術を開発されていました .
を続けております .
私たちは薄膜技術を用いないバルク材料の合
熱電発電を実現するためには高性能材料が
成と評価が可能なコンビケム技術の構築を試
必要なことは言わずもがな , 良い電極接合を
みました . 用いた合成手法はゾル・ゲル法で
形成するための材料開発が必要です . 低温域
す . 酸化物材料の合成で最も時間と手間を要
で用いるモジュールはハンダなど冶金学的な
する段階が原料の秤量と混合です . この段階
方法で製造されています . しかし , 私たちが目
を如何に精度良く簡略化 , 自動化するのかが
標にしているのは 800℃ , 空気中でも使用可
問題でした . そこで注目したのがバイオ分野
能なモジュールの製造です . そのためには新
で用いられている自動分注装置です . この装
たな接合材料と技術の開発が必要となります .
置は溶液の体積を正確に自動で量り取ること
これまでに銀ペーストに添加剤を加えた接合
ができます . ただ市販品では複数の溶液を任
材料を用いることで , 電気的にも , 機械的にも
意の体積で混合することはできませんでした .
良好な電極接合を形成することができるよう
この改良をバイオ用分注装置の製造・販売会
になりました . そしてこの接合材料を用い , モ
社である(株)バイオテックと共同で行い ,
ジュール製造に取りかかりました . 「実用を
酸化物コンビケム装置を開発しました . この
実感できるモジュール」を合い言葉に , 素子
装置では五種類の原料溶液を任意の混合比で
の対数も 7 から 15, 32, 140 そして 270 対と
混ぜることができ , 96 種の混合溶液試料を約
増えていきました . 対数が増えるに従い , 最初
15 分で調製することができます . この溶液試
は小さなモーターが回るだけだったのが , ラ
料をセラミックス基板に塗布し , 焼成するこ
ジオが聴け , 携帯電話が充電できるようにな
とで酸化物材料が得られます . 現在ではこの
りました . 次々に実用化が実感できるように
方法を用い , 一日に 2000 種類の試料を合成し
なり , みんなで大喜びもしました .
できるようになりました . 次に必要なことは
せっかくの研究室紹介ですから , 堅い話は
合成した多数試料の熱電特性を短時間で , 精
ここまでにして , 楽しいお話もしましょう . 私
度良く評価する技術の開発です . 熱電材料の
たちのグループはとにかくみんなが明るい .
評価に必要な物性値はゼーベック係数 , 電気
そしてちょっとうるさい・・・. えっ?一番う
伝導度及び熱伝導度です . 後者の二つは試料
るさいのは誰かだって?それはご想像にお任
の微細組織や密度に大きく依存します . その
せします . 最近の流行は体力づくりで , 空手で
ためこれらで試料スクリーニングを行うこと
青アザ作る人もいれば , ジム通いでヨガに耽っ
は適当ではありません . そこでゼーベック係
ている人もいます . 昼休みに腕立て 100 回す
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
5
るものまでいます . もちろん黙々と仕事をし
となっています . こんな賑やかな研究室へはど
ている人もいますが , そんなのお構いなしに
なたも大歓迎です . 是非一度足をお運び下さ
周りは賑やかです . この明るさが研究で壁ぶ
り , 賑やかに熱電の夢を語れればいいなと思っ
つかっても , それを乗り越え , 先へ進む原動力
ています .
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
6
TSJ2005
第 2 回日本熱電学会学術講演会(TSJ2005)を終えて
学術講演会委員会委員長 塩田一路 ( 工学院大学 工学部 )
第 2 回の日本熱電学会学術講演会(TSJ2005)
一般講演は 28 件であった.いずれの講演につ
は 8 月 22 日,23 日の両日,昨年に引き続き湘
いても熱心な討論がなされ,時間の制約上,
南工科大学の 8301, 8201 の両会場で開催され
討論を打ちきらなければならない場合もあっ
た.ポスターセッションは両日昼休みに 8202,
た.
8203 教室で開催された.両日とも暑い日であっ
ポスター発表は 28 件であった.各ポスターと
たにもかかわらず,参加者は 175 名を数え,
も熱心な討論が行なわれていた.昨年もポス
延べではほぼこの 2 倍であった.昨年度は学
ターセッションが盛況であったので,今回は
会発足初年度で,発表件数,参加者とも多かっ
初日の時間を 10 分延長した.しかし,説明を
たのは当然であるが,2 年目の本年も多数の方
受けるほうは 3 ∼ 5 件程度は聞きたいようで
の御参加・御協力がえられ,感謝に堪えない.
あったが,時間内には消化が十分でなかった
2 件の特別講演は,それぞれユニークな切り口
という印象を受けた.(写真左)
で興味あるものであった.初日の「温室ガス
懇親会は,22 日 17:10 より,大学会館「シー
排出抑制プログラムと熱電変換システム(講
サイド」にて開催された.こちらでは,情報
演では,若干の変更があった)」(東京農工大
交換とともに,講演会場・ポスター会場で討
学教授 柏木孝夫氏)は,グローバルな立場
議が尽くせなかった内容について引き続き熱
から,温室ガスの発生から抑制までについて
心な討論をしていたグループもあった.講演
の講演であった.2 日目の「結晶欠陥制御に
会場と異なり,懇親会場では対面であるので,
よるシリサイド系熱電材料の性能改善」(京都
かえって白熱した議論がなされていたようで
大学大学院工学研究科博士課程 岡本範彦氏)
ある.(写真右)
は,新しい熱電材料である ReSi1.75 について単
最後に,会場の御用意をしていただいた湘南
結晶の育成から熱電特性にわたる講演であっ
工大の梶川学長,杉原教授,および会場係と
た.
して御活躍いただいた学生諸君に感謝の意を
表したい.
ポスターセッションでの討議
懇親会場風景
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
7
表彰報告
日本熱電学会講演奨励賞とは,本学会が若
手会員(学生会員を含む)に対して,学術講
演発表への意欲奨励を目的として行う表彰で
あります。例年夏開催される熱電学会学術講
演会において、10 名を越える選考委員により
審査が行われ、日本熱電学会表彰委員会での
選考を経て理事会に報告され、翌年総会にお
いて表彰されています。この 8 月 23 日の熱
電学会総会においては以下3名の方々に、本
学会会長坂田亮先生より栄えある第一回講演
講演奨励賞の賞状を贈られ , 笑顔の 2004 年度
奨励賞が贈られました。
受賞者の方々 .
左から , サレジオ高専・大杉功先生(倉光正夫
氏の代理)、大阪大学・黒崎健氏、本学会会長
坂田亮先生、大阪大学・牟田浩明氏
第 1 回日本熱電学会・講演奨励賞を受賞して
牟田 浩明(大阪大学 大学院工学研究科)
この度は第 1 回日本熱電学会・講演奨励
後は遷移金属の酸化物を作成しては測定する ,
賞という栄誉ある賞を頂き , 誠に有難うござ
を繰り返し , 結局ペロヴスカイト型 Ti 酸化物
います . 学生の頃から熱電材料に関わってい
に行きつきました .
たなか , 昨年度発足した第 1 回熱電学会でこ
ペロヴスカイト構造は ABO3 で表され , 熱電
のような賞を頂くことが出来たことを光栄に
材料として理想的な構造の 1 つではないかと
思っております . 今回は対象となったペロヴ
思います . 対称性の高い BO6 八面体が頂点共
スカイト型 Ti 酸化物の研究やその経緯につい
有し , 伝導帯の 3d-t2g 軌道を縮退させるととも
て紹介させて頂きます .
に高いキャリア移動度をもたらします . また
酸化物を対象としたのは現在も所属する山中
A イオンは 12 配位し , 熱伝導率を効果的に低
研究室に配属された四回生のときからで , そ
減します . 熱伝導率を下げるためには (1) 平
の数年前に発見されていた大瀧先生の ZnO や
均原子量を大きく , (2) 単位格子を大きくすれ
寺崎先生の NaCo2O4 などがブームとなってい
ばよいとされますが , この他にも経験的に (3)
たためです .「安価で無毒性」
「これまでとは
陽イオンの価数が小さく , (4) 配位数が大きい
異なる原理による高い熱起電力」などに惹か
ものが低い熱伝導率を持つことが知られてい
れ , また材料としては数十年それほどの発展
+
+
ます . Na , Ag など価
が得られていないのなら , 全く新しいものに
数の小さい閉殻構造を
可能性があるのでは , と思ったわけです . 進
持つイオンは , まわり
めていく内に , 従来の電気陰性度の差が小さ
との結合が弱いことが
い元素群を用いて高い移動度を得るのではな
期待できるからです .
く , d電子の大きい有効質量を活かす方に可
ペロヴスカイト構造
能性があると考えるようになりました . その
酸化物としてのメリッ
トを考えると (1) と (2)
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
8
は難しいですが , (3) と (4) は可能です . 価数
の小さいアルカリ土類元素が 12 配位するペロ
ヴスカイト構造は , これら条件を満たしてい
ると言えます . 実際 , 熱電材料としては不十
分なものの , 単結晶でも室温で 10 W/mK 前後
という SrTiO3 の値はけして大きいものではあ
りません . これまで A サイトの置換や酸素欠
陥の導入による性能向上を試みましたが , 残
念ながらそれほどの成果が得られなかったの
は , すでにこうした構造上の優位さがあった
M0. 9La0. 1TiO3 の ZT
ためと考えています . また , 電気的特性につ
いては A イオンによらず , TiO6 構造の対称性
た今回ともに受賞された黒崎健助手に御礼申
とその Ti-Ti 距離に強く依存するという結果
し上げます . また , このような賞ならびに機
が得られました . 性能指数は ZT
0. 2~0. 3 程
会を下さった熱電学会の方々に深く感謝いた
度といまだ小さく , 実用化まではまだまだ工
します . これを励みに , より熱電材料が身近
夫が必要な系といえます .
になるようなコスト・環境負荷が小さい高性
最後になりましたが , 学生時代からご指導頂
能材料を見出し , 熱電研究の発展に少しでも
いている山中伸介教授 , 宇埜正美助教授 , ま
貢献できればと考えています .
日本熱電学会第一回学術講演会講演奨励賞を受賞して
黒崎 健(大阪大学 大学院工学研究科)
このたび,日本熱電学会第一回学術講演会
と環境の両方の厳しい制約をクリアしなけれ
において,「チタン系ハーフホイスラー合金の
ばならないという現実があります.
熱電特性」と題して発表した論文が,講演奨
具体的には,既存材料ではビスマスやテル
励賞に選出されました.本稿では,受賞の対
ルといった毒性の強い元素が使用されていま
象となった研究について,その背景ならびに
すが,毒性が少なく環境にやさしい高性能材
概要を述べさせていただきます.
料の開発が強く望まれています.また,実用
熱電材料の性能をあらわす無次元性能指
化レベルでは,熱電モジュールの価格も重要
数 ZT は,材料のゼーベック係数 S,電気伝
となってきます.したがって,熱電材料には,
導率σ,熱伝導率κ,絶対温度 T を用いて,
埋蔵量・採鉱量がともに豊富で低コストの原
ZT=S σ T/ κであらわされます.このように
料を使用することが重要となってきます.さ
書くと,熱電材料の性能は,一見,S,σ,κ
らにいえば,熱電発電による廃熱回収を目指
の三つの物理量のみで決定されると思われま
すのならば,高温域で高い ZT を示す材料を新
すが,実用化に向けては,より多くのパラメー
たに開発しなければなりません.
タの最適化が必要となってきます.つまり,
このような背景のもと,我々のグループで
仮に高性能材料が得られても,商用レベルで
は,「環境にやさしく安価なチタン合金で高性
熱電発電を発展させていくためには,コスト
能熱電材料を開発し,それを用いて高出力発
2
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
9
電モジュールを実現する」ことを目指してお
は,熱処理条件が熱電特性に与える影響は極
り,この目標を達成することができる物質群
めて大きいことが確認できました.この系で
として,「チタン系ハーフホイスラー合金」に
熱電特性を議論する際は,試料の組成はもと
注目して研究をすすめています [1].
より,焼結条件やアニーリング条件等も重要
今回受賞の対象となった論文においては,
なパラメータとなりえることが確認できまし
チタン系ハーフホイスラー合金の作成条件と
た.
熱電特性の相関を,特に詳しく研究しました.
以上,講演奨励賞の対象となった研究の概
具体的には,(Ti, Zr, Hf)NiSn の五元系ハーフホ
要を述べさせていただきました.日本熱電学
会第二回学術講演会の総会において,坂田会
長から受賞のお言葉をいただいたときは,大
変感激し光栄に思うと同時に,身の引き締ま
る思いを感じました.今後も初心を忘れるこ
となく,研究活動を続けていきたいと考えて
います.また,山中伸介教授をはじめとする
図 ハーフホイスラー合金(TiNiSn)の構造
研究室メンバーのサポート無くては,今回受
イスラー合金に対して,種々の条件下でプラ
賞いただくことは無かったと思います.お世
ズマ放電焼結(Spark Plasma Sintering: SPS)を
話になったみなさまに,この場をお借りして
施し,SPS 作成温度と試料の相状態ならびに
深く感謝申し上げます.
熱電特性との相関を詳しく研究しました.こ
[1] K. Kurosaki et al. , J. Alloys Compd. 397,
れにより,ハーフホイスラー合金系において
296 (2005).
β -FeSi2 単結晶の異方性ゼーベック係数
倉光正夫(長岡技術科学大学 機械創造工学専攻)
この度は,講演奨励賞を頂きありがとうご
する方法が考案され,異方性測定の可能性が
ざいました.研究を支えてくださった方々に
見えてきた.そこで本研究では,β -FeSi2 単
この場をお借りしてお礼申し上げます.
結晶を育成し熱電特性の異方性を調査するこ
環境負荷の小さな熱電変換材料として期待
とにした.
されているβ -FeSi2 は,格子定数 a=9. 86 Å,
β -FeSi2 単結晶の育成は,温度勾配溶液成
b=7. 79 Å,c=7. 83 Åの斜方晶の結晶である.
長法 [1, 2] を参考に行った.この方法は,温度
このような結晶構造から,我々は熱電特性に
勾配をつけた溶媒(我々は Ga を使用)の高
異方性があるのではないかと考えてきた.し
温側に溶質(鉄シリサイド)を配置し,低温
かし,これまでに得られていた単結晶は針状
側で単結晶を析出させる.育成の結果,図 1
や薄膜状であったため,熱電特性の結晶方位
に示すような単結晶が得られた.X線回折の
依存性を測定するには不向きであり,我々の
結果β -FeSi2 単結晶であることを確認し,結
調べた範囲では熱電特性の異方性に関する報
晶方位を決定した(図 1 参照).しかし,そ
告は無かった.そのような状況のなか,近年,
の大きさは 1mm 程度と小さく,市販されて
数 mm サイズの塊状のβ -FeSi2 単結晶を育成
いる測定装置ではプローブ間隔に制限がある
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
10
ため,ゼーベック係数の測定を行うことがで
の結果からわかるように,a 軸に沿ったゼー
きなかった.そこで,1mm 程度の試料におい
ベック係数が最も大きく,b 軸のものと比べて
ても測定可能なゼーベック係数測定装置の開
約 25% 大きいことが明らかになった.このこ
発を行った [3].この装置を用いて,複数個
とからβ -FeSi2 のゼーベック係数は,結晶方
のβ -FeSi2 単結晶において斜方晶の直交する
位依存性を有することが本研究により初めて
3 本の結晶軸(a,b,c)に沿ったゼーベック
明らかになった.電気伝導率,熱伝導率の異
係数の測定に成功した.その結果を表 1 に示
方性を調べる必要はあるが,β -FeSi2 多結晶
す.同じ結晶方位に沿った測定結果は試料が
体において結晶方位や組織の制御を行うこと
異なってもほぼ等しく,試料の個体差が小さ
で,熱電特性が向上する可能性を示した.
く測定の再現性が良好であると判断した.こ
表 1 β -FeSi2 単結晶の各結晶軸(a, b, c 軸)
に沿って測定したゼーベック係数
ゼーベック係数(µV/K)
α // a
α // b
α // c
試料 1
510
410
---
試料 2
---
390
460
試料 3
500
400
---
[1] H. Udono and I. Kikuma, Jpn. J. Appl. Phys.
39, (2000), p. 225
[2] H. Udono and I. Kikuma, Jpn. J. Appl. Phys.
図 1 育成した単結晶の SEM 写真.矢
40, (2001), p. 1369
印はX線ラウエ法で決定した結晶軸
[3] M. Takeda, M. Kuramitsu, and M. Yoshio,
Thin Solid Films, Vol. 461, (2004), p. 179
2005 年度講演奨励賞選考結果について
表彰委員長 坂田 亮
( 慶應義塾大学 名誉教授 )
8 月 22 日と 23 日に行われました熱電学会学
室温強磁性体 Co 酸化物 SrYCo4O10. 5 における
術講演会におきまして , 本年も例年通り講演
マグノンドラッグ現象
小林航 早大
奨励賞の選考行われました . 本年は応募総数
38 件(内訳は口頭発表 20 件,ポスター発表
立方晶系構造を持つ金属炭化物の熱電能
18 件)でございました . 審査の結果 , 2005 年
丸岡龍也 京大
度講演奨励賞受賞者として下記 3 名の方が選
出されました .
なお授賞式は 2006 年度学会総会で行われま
す.
電解重合によるポリチオフェン膜の構造制御
と熱電特性
平石謙太郎 東北大
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
11
学会報告
ICT2005 報告
山本 淳 (産業技術総合研究所)
第 24 回 熱 電 変 換 国 際 会 議(ICT2005) は
クレムゾン大学のキャンパスは予想以上
6 月 19 日から 23 日までの日程で米国,サウ
に 広 大 で, 緑 が 深 く, 会 場 と な っ た Madren
スカロライナ州,クレムゾン大学の Madren
Conference Center & Inn は湖畔のゴルフコース
Conference Center & Inn で開催された.カンファ
に併設された大変すばらしいロケーションで
レンスチェアは同大学の Terry M. Tritt 教授が
あった.会議日程の前後に時間を取った人々
つとめられた.主催者側の発表では参加者は
はゴルフや観光・ショッピングを存分に楽し
249 名であり,発表は口頭発表が 117 件,ポ
んだと思う.
スター発表が 88 件の合計 205 件であった.材
会議のスタッフはほとんどが Tritt 教授の学
料物性からモジュール設計や発電システムま
科の学生達であり,会場運営の他,会議と並
で,熱電変換に関わる幅広いトピックに関し
行して連日開催された学科のラボツアーや,
て討議が行われたが,筆者の印象では半分以
毎日会場とホテルを結ぶ送迎バスの運行など,
上は熱電材料の報告であった.招待講演は合
皆非常に忙しく活躍されていた.彼らを取り
計 14 件であり,それらは連日朝のセッション
まとめ,会議全般の事務を統括していた Ann,
にセットされ,その後,薄膜・低次元・ナノ
そしてその Ann に花を贈り,バンケット会場
スケール熱電材料,バルク熱電材料,計測技
で彼女を労う Tritt 教授の姿がとても印象的で
術,熱電理論とモデリング,熱電モジュール,
あった.自らステージに立ち Blue Grass コン
熱電発電応用,マイクロクーラー,カルコゲ
サートを開く Tritt 教授の Hospitality には本当
ナイド熱電材料,酸化物熱電材料,スクッテ
に頭が下がる想いだった.
ルダイト系材料,クラスレート熱電材料,ハー
フホイスラー系熱電材料,といったセッショ
ンが2会場に分かれるパラレル形式で開催さ
れた.22 日に開催された Conference Center 内
で の バ ン ケ ッ ト で は, ナ ノ ス ケ ー ル の 熱 伝
導に関する多くの発表を行っている MIT の
Ronggui Yang 氏に栄えある Goldsmid Award が
送られ,同時に賞金と旅費,各 $1000 も送ら
れ た. ま た,ICT2005 に お け る Best Scientific
Paper Award には TlAgTe 系材料の優れた熱電
特性を報告した阪大の黒崎氏が,同じく Best
Application Paper Award に は MEMS と ペ ル
得意の Blue Grass を演奏される Tritt 教授
チェの融合を目指した R.P.Welle 氏が選出され
とそのバンド仲間
た.ICT2004 に続き2年連続の日本からの受
賞 者 に 会 場 は 大 い に 沸 い た.(http://www.its.
org/modules.php?op=modload&name=PostWrap&f
ile=index&page=ztbib にて受賞内容は公開中)
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
12
第 3 回ヨーロッパ熱電学会
杉原 淳 (湘南工科大学 マテリアル工学科)
「第 3 回ヨーロッパ熱電学会」(1987 年から
始まっているが , それまではワークショップと
発表された項目を大雑把に分けると , 以下の
いう名で隔年に行われていたーストックホル
ようになる ;
ム氏談 —)で , 参加国は 22 カ国であった . ま
た , 登録者は 60 名 . フランスが 15 名 , ロシア
素子開発
26 件
ナノ , 薄膜
7 名 , ドイツ 5 名 , オーストリア 4 名 , 日本が 4
名 , その後 , ウクライナ , チェコ 3 名と続く .
7
計算 , 基礎
応用〔システム〕
日本から;
10
15
長岡科技大の武田教授(登録参加),
その他
九州工業大 , 宮崎助教授(バイオ関連),
また , 物質は;BiTe (9), PbTe (2), ZnSb (1),
湘南工科大学 , 杉原
ト ( 9), FeSi (2), あとは 1 件の物質で ,
2
酸化物 (3), CoSb を中心としたスクッテルダイ
東京工業高等専門学校 , 永吉助教授 ,
の 3 名が発表 .
Ni(Ti, Zr, Hf),
Ce(Pd, Rh), CoNiGeTe,
SiGe,
BiSeAs, KBiSeS .
あまり新材料で , 画期的なものはなかった .
はじめて , ヨーロッパの熱電研究の様子を
調べる良い機会であった . 結論としては , 材料
開発 , 基礎 , 応用ともに , 日本の方が活発であ
さらに熱電材料開発として , 大切な熱起電
者の年齢はヨーロッパでは , 高い印象を受け
測定して , 発表している例は極めて少なかっ
力 , 電気抵抗率 , 熱伝導率の 3 つをきちんと
り , 進んでいる印象を強く抱いた . しかも出席
た . そういう意味でも日本のほうが進んでい
た . 以下の 3 人の招待講演で学会は 9 月 1 日
る印象であった .
に始まった .
J. Stockholm 氏が ICT 05 のレヴュー , D. M.
Rowe 氏 の Radioisotope powered Thermoelectric
Generation (RTGs) の宇宙空間での応用の可能
性について , また T. Caillat 氏も RTGs 使用に
お い て , skutterudite/Bi2Te3 unicouple の デ バ イ
スで高温側 975K, 低温側 300K において , 14%
の最大変換効率を出したとの報告をした .
こうした世界の動向に先んじている , わが
国としては , 何としても日本発の研究 , 開発 ,
そして応用へと早く進めなければならないと
思った . また日本は先般の日本熱電学会〔8 月
22 日 , 23 日湘南工科大学で開催〕のときには ,
Ecole Nationale Superieure de Mines de Nancy, Fr.
若手が多かったことは , 心強い .
(ENSMN) 大学の正門 .
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
13
2005 年秋季応用物理学会報告
舟橋良次 ((独)産業技術総合研究所)
第 66 回応用物理学会学術講演会は 9 月 7 日
層膜作製についての報告があった . クラスレー
から 11 日まで徳島大学において開催された .
ト化合物では高性能 p 型材料の作製技術につ
熱電変換のセッションは初日に組まれたが ,
いての研究発表があった . Zn4Sb3 における不
前後に国際学会などが重なり , 講演登録数は
純物酸素の熱電性能へ与える影響が明らかに
30 件であった . また , 折しも当日は台風 14 号
され , 特性向上へ向けた指針が示された . また
の影響で交通機関が乱れ , 4 件がキャンセルさ
高い熱電性能を得るための最適組成について
れた . 発表件数は酸化物 13 件 , Bi2Te34 件 , ク
の議論がなされた . これまで測定が困難であっ
ラスレート化合物 3 件 , Zn4Sb32 件 , CoSb3, 有
た超格子薄膜の熱伝導率の測定技術が報告さ
機物 , 超格子薄膜 , システムがそれぞれ 1 件で
れた . 応用の面ではペルチェ素子を電流リー
あった . 酸化物では , 特に薄膜作製が盛んで ,
ドに組み込んだ超伝導マグネットシステムが
一対の p-n 薄膜デバイスも作製され , 発電特
発表された . ペルチェモジュールを搭載する
性が議論された . 今後エレクトロニクス分野
ことによりリード線からの熱流入が抑制され ,
への展開も期待される . また CoO2 層と二層の
冷却のための消費エネルギーを減少させるこ
SrO から構成される新規層状物質や , デラフォ
とができる . 台風 , さらに会場が他とは離れた
サイト系物質の元素置換による熱電特性の改
不利な場所であったにも関わらず会場には 20
善が報告された . 金属材料では , Bi2Te3 材料の
∼ 30 名程度の聴講者がおり熱電変換への注目
冷却速度による特性制御や p 型 Sb2Te3 との積
度は高いと感じた .
2005 年日本物理学会秋の分科会報告
小林航,寺崎一郎 (早稲田大学)
9 月 19 日から 22 日まで残暑の残る中,京都
抵抗率と 90µV/K 程度の熱起電力を示し,比
の同志社大学にて日本物理学秋の分科会が行
較的高い熱電特性を示す . もう 1 つは東大の
われた . 物理学会では,半導体の発表は非常
田中らによって報告された,LuFeCoO4 であ
に少なく従来型の熱電半導体のセッションは
る . この物質は非常に変わった誘電特性を持
ない . また筆者らの興味は機能性酸化物にあ
つ LuFe2O4 の類似物質であり,その熱電特性
るので,報告が酸化物に偏ってしまうことを
も期待されるが,まだ電気抵抗が高く応用す
お許し願いたい .
るためには今後の改善が必要である .
まずはじめに述べたいのは,三角格子を持
N 型探索の試みとして岩手大の田村,電通
つ新しい層状 Co 酸化物の発表が 2 件あったこ
大 の 小 池 ら に よ る La1-xCexMnO3, Y1-xCexCoO3
とである . 1 つは東工大の山内らによって報告
の発表があった . La1-xCexMnO3 に関しては電
されたブロック層が 2 層である [Sr2O2-w]CoO2
気抵抗率が高いこと,熱起電力が正であるこ
である . この物質は室温で数百 mΩcm の電気
となど か ら,試料 の 改 善 が 望 ま れ る .
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
14
ま た Y1-xCexCoO3 に関しては電気抵抗率は大
は AxCoO2 (A=Na, Rb, K, Cs) を作製し,アル
きいものの不純物は見られないことから今後
カリ量 x を変化させると AxCoO2 の電子相関が
の熱起電力の測定が望まれる .
弱まることを報告した . この系の物性は基本
そのほかの話題として,埼玉大の岩田らに
的に x のみに依存し,アルカリイオンの種類
よる層状ペロブスカイト Ru 酸化物 Ca3Ru2O7
によらないことを実験的に明らかにした . こ
の単結晶における熱電特性の報告があっ
の結果は層状 Co 酸化物の高い熱電特性の起源
た . 室温で 55µV/K と比較的高い熱起電力と
解明の重要なデータになるかもしれない .
700µΩcm という低い電気抵抗率を持つことか
最後に遷移金属酸化物を研究する上で熱起
ら今後の研究に期待される . また東大の岡本ら
電力がより重要な物理量になってきているこ
はデラフォサイト型構造をもつ CuRhO2 が高い
とをさまざまな研究から感じたことを述べて,
熱電特性を示すことを発表した . 東大の藤井ら
この報告を終わりにしたい .
日本金属学会 2005 年秋期大会報告
武田雅敏 (長岡技術科学大学 機械系)
日本金属学会秋期大会が 9 月 28 日から 30
属学会の特徴である.中でも,東工大の木村
日の日程で広島大学にて開催された.熱電材
らは,光学式浮遊帯域溶融法を用いて材料組
料のセッションは最終日に行われた.この他,
織の改善(単相化)による電気的特性の向上,
公募テーマシンポジウム「金属間化合物材料
Hf と Zr の固溶置換による熱伝導率の低減を
の新たな可能性」においても熱電材料に関す
行 う こ と で,(Hf0. 5, Zr0. 5)NiSn で ZT=0. 9
る講演が数件あり,筆者が調べた範囲では,
(963K)が達成できることを報告した.ホイ
熱電材料関係の講演は 22 件であった.講演
スラー合金以外では,阪大のグループ(講演者:
件数としては一時期に比べると少なくなって
後藤,小菅,黒崎)から報告のあった Tl 系材
いるが,教室に入りきれないほど聴衆のいる
料は,1W m -1K-1 を下回る低い熱伝導率を有
講演もあり,依然として熱電材料に対する関
しており,電気的特性の向上による ZT 値の更
心は高いといえる.分類の困難なものもある
なる向上が期待されるばかりでなく,基礎的
が,講演で取り上げられた材料としては,準
な物性に関しても興味深い.また,北大の沖
結晶(近似結晶),クラスレート,ホウ化物,
中らは,不定比酸化チタン(TiO1. 1)において
Bi-(Te, Se),Tl 系,ホイスラー合金,Mg2Si 系,
ZT=1. 64(1073K)が得られたことを報告し
硫化物,酸化物であった.前回と同様に,特
た.今後の発展に注目したい.
にホイスラー合金に関する講演が多いのが金
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
15
研究会報告
第 1 回熱電研究会報告
寺崎一郎 (早稲田大学 理工学部)
第 1 回熱電研究会は平成 17 年 7 月 12 日(火),
紹介した . 重い電子と呼ばれる金属間化合物
湘南工科大学東京キャンパスにて開催された .
は,Ce や U の f 電子のゆらぎが電子系と結合
本研究会では,最近注目されている強相関・
酸化物をキーワードにした熱電変換の研究を
し大きな熱起電力を生じる . その性能指数は
最大で Bi2Te3 に迫る . 残念ながら,性能指数
トピックスとして下記の 4 名の講師の方々に
は低温で最高に達するので無次元性能指数は
お話を伺った . 研究会の告知などの時間があま
1 を超えないが,今後の発展によっては低温
りなかったにもかかわらず,44 名もの方々に
での冷却材料として大いに期待ができる物質
参加いただけたのは幸いであった .
群である .
プログラム
藤井氏は層状コバルト酸化物単結晶の系統
(1)強相関電子系の熱電物性の理論 的な測定結果とその物理的解釈を述べた . 自
佐宗哲郎(埼玉大学)
らの結果の紹介の前に,コバルト酸化物の物
(2)強相関熱電材料 理を丁寧に説明したのは,初学者にもわかり
高畠 敏郎(広島大学)
やすかったと思う . 彼らの結果によれば,層
(3)酸化物熱電材料の熱磁気輸送特性 藤井 武則(東京大学低温センター)
(4)層状酸化物熱電モジュールの開発 状コバルト酸化物 AxCoO2 の熱電特性は,アル
カリイオン A の種類にはよらず,その量 x だ
けに依存するという .
旭 良司(豊田中央研究所)
旭氏は,豊田中研における酸化物熱電素子
佐宗氏は,強相関電子の一般的な紹介から
開発の現状を発表した . 彼らの素子は In-Zn-O
始まり,その熱電特性の研究について,初学
者向けの平易な解説を行った . 聴衆の多くが,
強相関電子の物理とは何かについて理解でき
たと思う . ただ,講演内容が盛りだくさんで,
後半の熱電特性の部分がやや駆け足になった
系の N 型と,Ca-Co-O 系の P 型材料の組み合
わせによる発電素子である . 素子の形状は従
来の π 型ではなく,接合部をはさんで PN が
直線状に並ぶ構造をしている . これまでの熱
電素子は π 型が主流であったが,酸化物発電
のが残念である .
素子にもっともふさわしい素子形状を考える
高畠氏は,佐宗氏の理論の講演と対をなす,
必要があるかも知れない .
強相関電子系による熱電材料の実験的研究を
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
16
講習会報告
熱電講習会 2005 ­熱電変換の基礎と応用­ 報告
講習会実行委員長
河本 邦仁(名古屋大学 大学院工学研究科)
1.講習会概要
少し高すぎるとのご意見が多数あったことは ,
日本熱電学会主催「熱電講習会 2005− 熱電
今後の参考になるでしょう .
変換の基礎と応用 −」を次の要領で開催しまし
2.講義内容と印象
た . 以下に簡単な報告を致します .
9 名の講師の先生方には事前にテキスト原稿
日 時:2005 年 9 月 2 日(金)
執筆と分り易いパワーポイントの作成にご努
10:00 ∼ 17:50
力いただいたお蔭で , 受講者にとっては基礎
場 所:名古屋大学野依記念学術交流館
から応用まで広い範囲にわたって熱電科学技
今回は , 昨年 12 月に京都で行われた第 1 回
術の理解を深めていただけたと思います . 以
目の熱電講習会に引き続いて企画されました .
下に , 座長をしていただいた実行委員の方の
時折りしも “ 自然の叡智 ” をテーマにする愛・
講義内容のまとめと印象などを順にご報告し
地球博の開催中ということで , 環境・エネル
ます . ギーに直接関係する熱電変換科学技術の講習
(1) 熱電変換材料物理の初歩
会を名古屋の地で開催することに大きな意義
山口東京理科大学 阿武宏明 先生
がありました .
阿武先生には熱電変換材料の原理と物性物
当初はどれくらいの参加が見込めるか不安
理の理論を中心に講義をしていただいた . 特
でしたが , 最終的には受講者総数 92 名(申込
に熱電パラメータである S, σ , L がすべて還
み 94 名 , 欠席 2 名)となり , 講師 9 名 , 参加
元フェルミエネルギーの関数で表されるとい
実行委員 3 名等を合わせると 100 名を越す盛
う教科書レベルの話に力を入れて話をされて
会となりました . 北は北海道から西は中国・
いた . 受講者には , こうした初歩的な数値解析
四国まで多様な地域からの参加がありました .
の重要性が十分伝わったと思われる . ただし ,
また , 学生受講者が半数近く , 一般(非会員)
・
重要な数値解析の詳細は理解に時間がかかる
協賛合わせて 3 割近い受講者を得ました . そ
ため , もう少し講演時間を長く設定すべきだっ
の統計を下図に示します .
たように思う . また , 最近の熱電変換材料のブ
アンケート調査を行った結果(35 名回答 ,
レークスルーついても触れ , 人工超格子 , ラト
回答率 38%), 総じて好評でした . 参加費が
リング , 強相関係について解説していただい
た.
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
17
(2) 新規熱電変換材料の開発動向
(4) 熱電材料プロセシング
産業技術総合研究所 山本 淳 先生
物質・材料研究機構 磯田幸宏 先生
山本先生にはスクッテルダイト系材料 , ハー
磯田先生には熱電変換材料の作製方法に関
フホイスラー系材料 , クラスレート系材料や
し , 溶製材と焼結材に分けて要点と具体例に
薄膜熱電変換材料に関する最新のトピックス
ついて講義をしていただいた . 溶製材につい
を , 関連研究機関のデータを用いて御紹介い
ては , 溶解法と結晶成長法 , 焼結材については
ただいた . 高性能材料開発の流れは多元化で
粉末化工程と焼結工程について , 一般的なプ
あることを力説されていたのが印象的だった .
ロセス上の特徴と注意点を丁寧に解説してい
受講者には , 最新の熱電変換材料の特性が十
ただいた . さらに , プロセスパラメータに依存
分伝わったと思われる . 多元系合金のバルク
して Bi-Te 系実用材や開発中の硅化物の粒径や
性能は多数報告されているものの , その物性
配向度 , 組成分布などが変化し , 性能が大きく
物理解析は十分ではない . コンビナトリアル
変わる実例を多数紹介していただいた . 本講
手法を用いてじゅうたん爆撃的に開発を行う
義により , 高性能バルク材料を得るためには ,
のも一つの手段だが , 材料の本質を見極める
「物質設計」に加えて「プロセス設計」が勝る
ことも重要ではないかと感じた .
とも劣らぬほど重要であることを改めて強く
(3) 酸化物熱電変換材料の可能性
認識した .
(5) 熱電特性の測定・解析法
産業技術総合研究所 舟橋良次 先生
舟橋先生には Ca-Co-O 系酸化物の発見や n
電力中央研究所 堀 康彦 先生
型酸化物熱電変換材料のコンビナトリアル探
堀先生には熱電材料とモジュールについて
索 , モジュール化について楽しく話していた
の測定・解析技術について , 測定原理に関す
だいた . 特に Ca-Co-O 系酸化物の発見が偶然
る講義に加えて実測上の問題点についても解
の賜物であったという話は印象的であった .
説していただいた . 講義では , ゼーベック係
コバルト酸化物を中心とした p 型酸化物の熱
数 , 熱伝導率 , 電気伝導率に関するそれぞれの
電変換性能は金属間化合物のそれに匹敵する
測定技術のどこでどのような誤差が生じ , 材料
が , n 型酸化物の性能はまだまだ低く , p 型酸
の性能指数にどう影響するかに重点をおいて
化物と同程度の n 型酸化物の探索の重要性が
お話しいただいた . 特にこれから熱電材料の
伝わってきた . また , 酸化物熱電変換デバイス
研究開発に取り組む受講者にとって , ゼーベッ
のコストを将来的には 100 円 / ワットにすると
ク係数の測定技術 , およびモジュールの変換効
いう明確なターゲットを打ち出されたのは印
率測定技術の紹介はたいへん有用であったと
象的だった .
思われる . また , モジュール発電特性のシミュ
レーション技術は , 効率を机上計算し , 設計に
活かすことができる解析技術として , 廃熱回
生に興味を持つ受講者の注目を集めた .
(6) 熱電変換システムと応用
湘南工科大学 梶川武信 先生
梶川先生には , 現在先生がプロジェクト
リーダーとして推進しておられる経済産業省・
NEDO プロジェクト「高効率熱電変換システ
ムの開発事業」の中間成果を含め , 熱電発電シ
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
18
ステムを設計する際に重要となる要素技術に
水素は燃やしても水しか出ないエコエネル
ついて講義をしていただいた . 特に , 接触熱抵
ギーであり , 近年いろいろな所への応用が考
抗と接合電気抵抗の低減について重要さを力
えられている . しかし , 今ある水素センサは不
説され , いかに高性能の材料を用いても , この
十分なものしかなく , 産総研では Si-Ge 系を用
2 項目で損失が大きいと高効率システムとして
いた水素ガスセンサの開発を行っている . 水
成立し得ないことが再認識できた . また , 熱源
素の濃度測定に関しては 100ppm ∼ 4% 程度ま
からの熱取得技術 , および環境への熱放出技
で漏れを知らせたり , 濃度を管理するなどさ
術にどのような熱伝達方式と材料を採用する
まざまなニーズがある . しかし , 今ある接触燃
かの重要性も認識できた . 最後に , 熱電発電シ
焼式や半導体式では 1 つのセンサでこの範囲
ステムが近い将来一般社会に貢献できるであ
をカバーすることが出来ない . 熱電子式水素
ろう , という展望を力強く述べられ , プロジェ
センサはシリコンウエハー上に薄膜プロセス
クトの今後の進展について期待を新たにした .
を用いて熱電素子 , 配線 , 触媒等を全て形成 ,
(7) ペルチェ冷却への応用
白金触媒と水素との反応熱を Si-Ge により電圧
小松エレクトロニクス㈱ 福田克史 先生
として出力をする . 水素濃度 1% に対し 10 m
熱電冷却の世界初の特許は 1914 年(US Pat.
V の出力が得られ , 1ppm ∼ 5% を計測可能な
1, 120, 780) で , 日 本 で も 1956 年( 特 公 昭
センサの作製に成功したとの報告は , 熱電の
32-5689 号)に出されたそうである . その後日
新しい応用を示す意味で大変印象的だった .
本における熱電関連特許は順調に増加し , 現
(9) ペルチェ電流リードの開発 在では年間 300 件を超えている . 一方 , 熱電の
中部大学 山口作太郎 先生
マーケットは 50 ∼ 100 億円程度で , 世界には
リニアモーターカーなどに使われる超伝導
50 社を超える熱電メーカーがあり , 価格も安
磁石には通常 , 銅などの熱伝導度の良い電流
いものでは 2$ /個程度になっている . この程
リードが使われているため , そこからの熱の
度の価格になってきたにもかかわらず , 市場
進入により無駄に大きな冷凍機を用いる必要
が爆発的に拡大しないのは , COP の悪さとモ
がある . ペルチェ電流リードはその銅の部分
ジュールの放熱の問題があるためで , この問
の中間に Bi-Te 系熱電材料を入れることで , 熱
題を解決すれば現在大きな問題となっている
の進入を阻止しようというもので , 1996 年か
CPU の放熱に , ペルチェモジュールが使われ
ら研究を開始 , 現在原理実証試験が終わり , 実
る日は近いのではないだろうか .
用化に向かっている . 実証試験の結果では , 1.
(8) 熱電式ガスセンサ素子の開発 5mm 程度の熱電材料を入れるだけで , 30% 程
産業技術総合研究所 申 ウソク 先生
の熱進入を防ぐことができた . つまり , これま
で , 10 kW の冷凍機が 7 kW ですむということ
であり , システム全体のコストダウウンは非
常に大きくなる . この話は受講者にも大変興
味が持たれたようである .
3.展示会
今回は , 4 社による展示会を併設しました .
アルバック理工㈱は熱電特性計測機器類のパ
ネル展示 , ㈱リガクは熱電半導体の構造解析
に有用な薄膜構造評価用X線回折装置のパネ
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
19
ル展示 , オザワ科学㈱は熱電特性計測装置の
テキストに広告を掲載していただいた 13 企
実機展示 , そしてナガセ電子機器サービス㈱
業 , 展示会の出展にご協力をいただいた 4 企
は電気抵抗測定・ホール係数測定などに有用
業には , この場を借りて深くお礼申し上げま
な極低温冷凍機の実機展示をしていただいた .
す.
いずれも , 参加者にとって興味深い展示でし
今回は講習会実行委員会を作らせていただ
た . 展示会場では , ドリンクサービスコーナー
き , 中部地区で活躍される熱電関連研究者の
を設け , お茶 , コーヒー , ジュースなどの冷た
方々に委員としてご協力いただきました . こ
いドリンクを参加者に無料で配りました . 展
こに私以外の委員名をお知らせして , 感謝に
示会は , 講習会の昼食時間と休憩時間に行わ
代えさせていただきます . 有難うございまし
れたため , 実質時間はやや短かったものの , ド
た.
リンクサービスの効果もあって , 多くの参加
講習会実行委員:太田裕道(名大 , 事務局担当),
者が展示内容の説明に耳を傾けていました .
伊藤孝至 ( 名大 , 展示会担当 ), 榊原 務(ア
4.謝辞
イシン精機 , 広告担当), 山口作太郎(中部大
最後になりましたが , 講師の先生方には大
学 , 講師), 申ウソク(産総研 , 講師), 谷 変快くお引き受けいただき , 貴重なご講義を
俊彦(豊田中研 , 座長), 種村 栄(名工大),
いただきましたことに , 改めて謝意を表しま
西野洋一(名工大).
す . 坂田会長にはテキスト巻頭言をご執筆い
なお , 講習会テキスト購入をご希望の方は ,
ただき , 当日は開会のご挨拶までいただきま
名 古 屋 大 学 熱 電 講 習 会 2005 事 務 局(e-mail:
した . また , 自ら編集された書籍「熱電変換 −
morita@mail. apchem. nagoya-u. ac. jp)または日
基礎と応用」を廉価で販売し , 講習会収入アッ
本熱電学会事務局までお申込み下さい . A4 版
プに貢献していただきました . 深くお礼申し
本文 99 頁(13 社広告掲載)で , 定価は会員 2,
上げます .
000 円 , 非会員 5, 000 円 , 別途送料 390 円 .
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
20
お知らせ
日本熱電学会欧文誌 Materials Transactions
熱電特集(第 2 回)の論文募集
購読者募集
・執筆に際しては , ホームページ(http://www.
日 本 熱 電 学 会 は , 2004 年 7 月 1 日 か ら 10
elec. shonan-it. ac. jp/thermoelectrics/) か ら , 投
学協会の共同刊行欧文誌 Materials Transactions
稿規定・執筆要領をご参照下さい .
(Mater. Trans. ) に参加しました . 初めて企画し
また , 会員購読者特典は下記の通りです .
た特集 Thermoelectric Conversion Materials は 12
会員購読者特典:
編の論文が掲載可となり , 2005 年 7 月号に掲
載されました . 第 2 回目の企画は , 前回と同様
電子ジャーナルおよびデータベースが無
に , 8 月の第 2 回学術講演会後に , 会員各位か
料で全てダウンロードできます .
らオリジナル論文を募集しております . 学術講
( 参考:非購読者電子ジャーナルダウン
演会で発表された内容に限らず , 多数ご寄稿下
ロード料金 (1 論文 ) 海外:5 ドル さいますようお願い致します .
国内:500 円 )
定価:
3, 150 円 / 冊 ( 本体 3, 000 円 / 冊 )
予備登録日:
年間会員購読費:
2004 年 9 月 30 日
7, 000 円 / 年から(詳細は下記のホームペ
(予備登録日を過ぎても受付可)
ージをご覧下さい)
原稿締切日:
2004 年 11 月 20 日(厳守)
http://www. sendai. kopas. co. jp/METAL/INFO/
実施予定号:
info_210. html
論文編集委員会(平成 17 年度)
47 巻 6 月号(2006 年)
赤井光治(山口大学), 鵜沼英郎(山形大学),
予備登録・原稿提出先:
日本熱電学会 事務局
大瀧倫卓(九州大学), 勝山茂 (大坂大学),
e-mail: tsj@elec. shonan-it. ac. jp
木村薫 (東京大学), 小柳剛 (山口大学),
木研一(東洋鋼鈑㈱), 武田雅敏(長岡技大)
電子メールに添付
2MB 以下の PDF ファイル
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
21
会 告
第 2 回 日本熱電学会通常総会(2005 年 8 月)報告
第 2 回日本熱電学会通常総会の報告を
6. 役員等選出細則案
以下のようにさせていただきます . 一般
7. 特別講演者等の旅費支給細則案
的に会合の終了後には議事録案が作成さ
8. 学会員現状報告
れ , それが承認されて正式にその会合の
9. 学会会合の名称付与細則案
議決や議論が正当化されることになるわ
議 事:
けです . しかし , 通常 , 年に一度しか開か
冒頭 , 梶川総務理事より , 本総会の成
れない総会で一年後に承認を得ても余り
立 に つ い て , 2005 年 6 月 30 日 現 在 の
意味がないと考え , それよりも総会に委
正会員 244 名と助成会員 19 名の総数は
任状による出席を出された会員や出席で
263 名であり , 定足数として会則第 25 条
きなかった会員に対して速報的に総会で
に定められている(正会員数+助成会員
の内容の報告をさせていただいた方がよ
数)の 1/5(53 名)以上をはるかに越え
いと考えて , 学会誌という本学会の公的
て会として成立している旨の報告があっ
情報流通手段を活用させていただきます .
た.
議案については総会の場で逐一承認を
お取りしておりますので誤りはないと確
議長である坂田会長より開会の辞が以
信しております . 議論については報告者
下のように述べられた .
に責任がありますので , ご疑問の件は総
1)日本熱電学会は 2 年目に入ったがま
務理事梶川宛 , ご連絡ください .
だまだ若い未熟な学会であり , 組織運営
など初期的な未整備事項を段階的に固め
ていく必要があることをご理解下さい .
開催日時 : 2005(H17)年 8 月 23 日(火)
2)会員の数は年々増加をたどり , 若手
11:00 ∼ 11:50 研究者の増加とその活躍には目をみはる
ものがあり , 大変喜ばしいことである .
場 所 : 湘南工科大学(藤沢キャンパス)
3)熱電分野は古くて新しい学問分野で ,
8 号館 8301 教室
年々新しいコンセプトが出され材料のブ
レークスルーになっており , ZTについ
出席者数 :
ても 2 とか 4 とかが現実的に議論される
118 名
ようになってきた .
(会場出席:53 名 , 委任状出席:65
又 , 本会の会場提供見学には , 湘南工
名)
科大学及び講演会委員会各位のご尽力に
謝意を表したい . 会則第 23 条により , 司
資 料 : 1. 平成 16 年度事業報告案
会を梶川総務理事に依頼したい . 又 , 会
2. 平成 16 年度収支報告書等案
則第 31 条に従い , 書記には梶川総務理事 ,
3. 平成 17 年度事業計画案
議事録署名人には議長に加え梶川 , 太田
4. 平成 17 年度予算案
の両理事にお願いしたい .
5. 役員等を投票選挙による選出法
第 1 号議案 平成 16 年度事業報告書案
に改めるための会則の変更案
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
22
承認に関する件
第 5 号議案 役員等を投票選挙による選
資料 1 に基づき , 松原企画委員会委員
出法に改めるための会則の変更承認に関
長(副会長)より平成 16 年度事業報告が
する件
なされ , 審議の結果 , 第 1 号議案は満場
第 5 号議案については , 役員内で事前
一致で承認された .
協議の結果 , 特に総会に提出の必要がな
いとの見解で一致したとの梶川総務理事
第 2 号議案 平成 16 年度収支報告書案
より説明があり , 議案として取り下げる
ならびに監査報告承認に関する件
こととした .
資料 2 に基づき , 太田会計理事より平
成 16 年 度 収支 報 告 , 財産 目 録 , 貸 借対
第 6 号議案 役員等選出細則案承認に関
照表について説明があった . 特に収入で
する件
は , 講習会による収入増 , 備品として事
資 料 6 に 従 い , 役 員 等 選 出 細 則( 案 )
務局用PCの講入等が特徴的であったが ,
が梶川総務理事より説明があり , 審議の
予算と支出はほぼバランスしている . 備
結果 , 第 6 号議案は満場一致で承認され
品購入に伴い固定資産増及びその減価償
た . 本細則の施行は 2005 年(H17)8 月
却が発生している . 引き続き野口監事よ
1 日とする .
り監事報告がなされ , 会計関係書類はす
べて整っており , 問題がない旨の報告が
第 7 号議案 特別講演者等の旅費支給細
あった . 審議の結果 , 第 2 号議案は満場
則案承認に関する件
一致で承認された .
資料 7 に従って , 特別講演者等の旅費
支給細則案が梶川総務理事より説明提案
第 3 号議案 平成 17 年度事業計画書承
があり , 審議の結果 , 第 7 号議案は満場
認に関する件
一 致 で 承 認 さ れ た . 本 細 則 は 2005 年 8
資料 3 に基づき , 松原企画委員長より
月 1 日より施行する .
平成 17 年度事業計画が提案説明された .
学術講演会 , 研究会 , 欧文論文誌の特集
第 8 号議案 学会会合の名称付与細則案
号など例年以上に活発な活動を計画して
承認に関する件
いる旨提案され , 審議の結果 , 第 3 号議
当日配布された資料 9 に従い , 学会会
案は満場一致で承認された .
合の名称付与細則案が梶川総務理事より
提案され審議の結果 , 第 8 号議案として
第 4 号議案 平成 17 年度収支予算書案
満場一致で承認された . 本細則は 2005 年
承認に関する件
(H17)8 月 23 日より施行する .
資料 4 に基づき , 太田会計理事より平
成 17 年度予算案が提案された . 講習会収
報告事項として , 資料 8 に基づき学会
入を今年も見込んでいること , 基本金引
会員状況が次のごとく梶川総務理事より
き当て繰り入れ金として 60 万円を計上し
報告された .
たことなどを含め説明され , 審議の結果 ,
学会員現在数(正会員 244 名 , 学生会
第 4 号議案は満場一致で承認された .
員 56 名 , 維持会員 18 名 , 賛助会員 1 名 ,
合計 319 名)
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
23
終わりに , 坂田 亮議長より , 熱電変
とする .「選挙人」及び「候補対象者」は正会
換技術は人類にとって大きい課題となっ
員及び維持会員並びに賛助会員(法人 , 団体の
ている地球環境問題への寄与が大いに期
場合はそれらの代表者)とする .
待されているので , やりがいのある研究
と思う . 各位の一層のご努力をお願いし
第 3 条 選挙管理委員会(定員 5 名)(以下「委
たい .
員会」という)を総務理事のもとに , 理事会で
又 , 本日審議していただいた第 8 号議
選出した正会員 4 名を加えて設置する . 総務理
案細則については , 本来理事会審議のみ
事を委員長とする . 委員の任期は当該期の役員
て済ますことが出来るのであるが , 会員
等選出終了までとする . 補欠選出の場合も含め
全体への周知という意味もあり , 総会で
るものとする .
の議案とした旨の紹介がなされた .
第 4 条 委員会は , 選挙人に理事及び評議員の
なお , 総会に先立ち , 昨年の第 1 回日
適任候補者の推薦を依頼すると共に選挙人か
本熱電学会学術講演会での武田京三郎講
らの自薦者を含め候補者名簿を作成し , 理事会
演奨励賞表彰選考委員長の司会により ,
に提出する . 講演奨励賞 3 件の授与式が行なわれた .
理事会は , 委員会から提出された候補者名簿と
理事会推薦の候補者を含めて審議し理事は 20
以上
名以上 50 名以内及び評議員は 20 名以上 50 名
(文責:総務理事 梶川武信)
以内の候補者を決定する . 50 名以上の候補の
ある場合は , 理事会内での多数決により 50 名
以内に決定する . 理事と評議員の両方に推薦の
第2回日本熱電学会通常総会
ある場合は , 原則として理事候補を優先する
が , 候補者数のバランスを考慮し , 理事会で最
(2005 年 8 月で承認された学会会
終調整を図る .
則の細則 )
その結果を会長名で委員会に通知する .
2005 年(H17 年)8 月 23 日の第2回日
第 5 条 委員会は , 理事及び評議員候補者を選
本熱電学会通常総会(2005 年 8 月にて下
挙人に通知し , 投票による選挙を依頼する .
記の3細則が満場一致で承認されました。
その結果を得票順に取りまとめ , 理事及び評議
員候補者名簿案を作成する .
日本熱電学会 細則 1
理事会は , 委員会の報告に基づき , 次期理事及
役員等選出細則
び次期評議員選出者(20 名以上 40 名以内)を
決定する .(総会での承認前の理事会で決定さ
第 1 条 日本熱電学会会則第 48 条により , 第
れた理事及び評議員等は「理事選出者」及び
13 条及び第 20 条に基づいた役員等及び評議員
「評議員選出者」等と称する . )結果は , 選挙
の選出細則を定める .
人に公示すると共に会則第 13 条第 6 項及び第
20 条第 2 項に基づき次期総会で承認されるこ
第 2 条 理事及び評議員の選出方法は候補対象
とを要する .(公示は , ホームページ , メール
者の中から , 選挙人の投票によって選ぶもの
を可とする)
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
24
日本熱電学会 細則 2
第 6 条 会長選出者は , 新しい理事選出者によ
特別講演者等への旅費支給細則
る理事会における選挙によって決定される .
選挙管理委員会委員長は , 会長選出の議につ
いて , 当該理事会で暫定議長を務め ,
第 1 条 日本熱電学会会則第 48 条により , 特別
会
講演者等への旅費支給細則を定める .
長選出者を互選する . 会長選出候補について
は , 理事会でまず無記名投票を行い , 複数名
第 2 条(受給者の定義) 本細則は , 本学会の
(得票順位 2 位以内)に絞り候補者として , 二
事業推進にあたり , 本学会の学術講演会 , 研
次選挙を行なう . 過半数を得た者を会長選出
究会 , セミナー , 講習会等の各種会合(以下 ,
者とする . なお , 第 1 回投票で過半数を得た者
本学会会合と称する)に出席し , 特別講演や ,
がいないときは , 上位 2 名(同数得票者の場
研究会・セミナーでの特別講義 , また講習会
合は候補に含める)で再投票を行ない , 過半
講義などを行うなど , 本学会が特に講演 , 講
数を得た者を会長選出者とする .
義を依頼した者(以下 ,「受給者」と称する)に ,
会長選出者は , 理事選出者の中より , 会則 13
その旅費を支給する場合に適用する .
条第 3 項に基づき , 副会長選出者を 1 乃至 2
名を任命する . また , 理事選出者及び評議委員
第 3 条(旅費の定義) 受給者の居住地 , 勤務
選出者以外から監事選出者を 2 名を任命する .
地もしくは前泊地から , 本学会会合の開催地
理事選出者や評議委員選出者から選ぶ場合は
までの下記交通費および宿泊費の合計を「旅
理事 , 評議員を辞退することを条件とするが ,
費」と称する .
そのための補欠を選出しない .
a. 電車(普通車)および船舶もしくは航空機(エ
会長選出者は , 正会員の中から顧問選出者を
コノミークラス)利用の往復交通費 .
推薦する .
片道 100km を超える場合は特急料金および指
会則第 13 条第 6 項に基づき , 選出された役員
定席料金を加給できる .
等選出者は , 総会において承認されることを
片道 500km を超える場合 , もしくは電車およ
要する .
び船舶を利用することが著しく困難な場合は ,
それに替えて航空機料金を支給できる .
第 7 条 会長は , 役員 , 理事及び評議員に欠員
b. 最寄り駅からの市内交通費 .
を生じ , 補欠の必要を認めた場合には , その残
c. 宿泊費用(中程度のホテル宿泊費相当額).
存期間を任期として前条までに示した手順に
遠方からの参加等の理由で通常の交通手段に
準じて選出するよう理事会に要請することが
よって定刻に参加できない場合の前泊代金 ,
出来る .
および用務終了時刻から通常の交通手段に
よって出発地に帰着できない場合の後泊代金 .
第 8 条 本細則の改廃は , 理事現在数の 2 分の
上記を合算した金額を千円単位に丸めること
1 以上の議決を経なければならない .
ができる .
附 則
第 4 条(支給者) 本学会会合の主催者(学術
この細則は , 2005 年(平成 17 年)8 月 1 日
講演会 , 研究会 , セミナー各種委員会は委員
から施行する .
長 , 講習会等は主催世話人 , などであり , 以
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
25
日本熱電学会 細則 3
下 ,「支給者」と称する)は , 交通費および宿
泊費を支給するに値すると認めた場合に第 3
学会会合の名称付与細則
条で定める旅費を支給することができる . 支
給者は本学会会合開催と用務依頼に先立ち , あ
第 1 条 学会創立の 2004(H. 16)年 4 月から通
らかじめ予算処置を講じるよう極力努力する .
算の番号(通し番号 , 通算開催数)でそれぞれ
の種類の会合名に「第 XX 回」を冠し , 年度 ,
第 5 条(減額 , 不支給) 支給者は第 3 条で定
年を越えて , 開催期日の順番になった連番会合
める旅費を超える額を支給することはできな
名称とする .
い . 支給者は上記の定めにかかわらず , 諸般の
事情に鑑み , 交通費および宿泊費支給額を減
第 2 条 総会のような事業報告や学術講演会の
額することも , 支給しないこともできる . 受給
ように本会の歴史を表す場合等で , 会合名に
者が本学会以外から旅費の支給を受けた場合
開催年月がついている方が分かり易い場合は ,
は二重支給を避けるため , 支給しない .
第 1 条にかかわらず , 上記会合名称の後に ( )
を付けて西暦でそれらを記す . 第 XX 回通常総
第 6 条(報告と受領書等) 支給者は受給者か
会 (20XX 年 8 月 ) や第 XX 回学術講演会(2005
ら旅費受領書を徴収し , 本学会計理事に旅費
年 8 月)と表記する .
支給の事実を報告すると共に , 受領書と旅費
支出の根拠となる業務内容記載の金額算出表
第 3 条 講習会 , 研究会 , セミナーなど会員や
を提出しなければならない .
本会事業に関心を抱く非会員に対して行う事
業で , 広告や宣伝面で必要な場合は , 会合名を
第 7 条(返還) 本学会会計理事および監事は
上記にかかわらず , 特別な名称や英文表記も可
業務内容もしくは支給金額に誤りがあった場
とする . また , 第 1 条による会合名の省略を可
合は , 受給者に全額もしくは一部の返還を求
とする . ただし , 宣伝本文等では , これらの名
めることができる .
称の後に ( ) を付けて第 1 条による会合名を明
示する .
第 8 条 本細則の改変 , 施行は理事会の議決
による .
第 4 条 IT 理事会や IT 企画委員会などの非対
面会合は議事録を残す場合に限り , 通常の会合
附 則
と連番とする . また , 通常総会と臨時総会は区
本細則は 2005 年 ( 平成 17 年 )8 月 1 日より
別せず連番とする .
施行する .
附 則
本細則は 2005 年 ( 平成 17 年 )8 月 23 日より
施行する .
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
26
日本熱電学会 第 1 回顧問会
般的に見ることはすくない . 科学技術館など
での展示 , 物理教育学会などでのデモンスト
(2005 年 8 月)記録
レーションを通して認知度を上げる必要があ
日時: 2005 年 8 月 23 日(火)12:00-12:50
るのではないか.また , 酸化物が熱電材料と
場所: 湘南工科大学(藤澤キャンパス)
して注目されているのは興味深い.殊に ZnO
本館 4F 応接室
は他の分野で も注目されている . 新聞など で
出席者:上村顧問 , 小川顧問 , 坂田会長 , 松原
PR することも必要ではないか .
副会長 , 太田理事 , 小原理事 , 梶川理事 , 河本
4. . その他 理事 , 杉原理事 , 吉野理事 ,(理事はアイウエ
J. Thermoelectricity 創刊の経緯については ,
オ順)
上村顧問に原稿を依頼し , 学会誌に載せるこ
とを , 後に坂田会長から杉原理事(学会誌編
協議事項
集委員長理事)に提案した .
1.学会の発展への課題
(文責 太田 , 坂田) 1. 1 司会を坂田会長が行い , 書記を太田理
事に指名した . また後に梶川理事と太田理事
を署名人に指名した . 出席者の自己紹介の後 ,
顧問会の位置づけにつき坂田会長より説明が
あった
1. 2 松原副会長より熱電研究の現状につき
述べた後 , この技術の将来展望 につき懇談し
た . その一つには , 今回の特別講演で , 東京農
工大学 柏木孝夫教授が 講演した熱電と太陽
電池とのハイブリッド化があるだろう . その
他 , 熱電技術の将来性についての有効な意見
交換がなされた .
2. J. Thermoelectricity 配布等の後継について 上村顧問より , J. Thermoelectricity 創刊の経
緯が説明された . 当該雑誌の配布等を上村顧
問がボランティアで行ってきたが , 後継を主
として梶川理事に御願いしたい.創刊の経緯
から見て , ボランティアが原則であるような
ので広告などは掲載できない.日本熱電学会
誌などで紹介 , または特集することも考えて
いただきたい.
3. 熱電変換の今後 小川顧問より熱電変換分野に対する次のよ
うな要望が述べられた.熱電変換分野は , 九
段の科学技術館にあったエネルギー変換懇話
会以来 , 一時多いに話題となったが最近は一
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
27
第 6 回理事会・第 2 回評議員会 (2005 年 8 月 ) 報告
第 6 回理事会・第 2 回評議員会が , 2005(H17)
ただし , 発表者(ポスター発表者を含む)は
年 8 月 22 日(月)12:10 から 13:35 まで , 湘南
講演発表申し込み時点で会員であることを義
工科大学(藤沢キャンパス)本館 4F 法人会議
務付けるということで承認されました . 学生
室において開催されたので , 会員の皆様にそ
の方 , 学生を指導されている先生方におかれて
の審議について以下にご報告申し上げます .
は , このことは直接関係があることなのでご注
本会は , 理事 36 名のうち , 出席 23 名で , 委
意下さい .
任状による出席が 11 名で , 合計 34 名の出席
議題 3 として , 学会員現状報告があり , 入
でした . また , 評議員 25 名のうち , 出席 9 名で ,
退会者の承認がなされました . 現状は , 正会員
委任状による出席は 9 名で合計 18 名の出席で
244 名 , 学生会員 56 名 , 維持会員 18 名 , 賛助
開催されました . 学会の会則第 28 条 , 同 30 条
会員 1 名 , 合計 319 名で , 昨年に比べ 23 名の
の定める理事会 (36 名 ) 及び評議員会 (25 名 )
増加となっています . 新入会員 51 名 , 退会者
のそれぞれの定足数(過半数)を満たしており ,
28 名でした .
理事会および評議員会として成立しているこ
報告事項としては , 予算執行状況が会計理事
とが , まず梶川総務理事より報告され , 正式に
より順調に支出されているとの説明がなされ
会として成立しました . 議長を坂田会長とし
ました . また , 欧文論文誌委員会委員長(木村
総務理事を司会並びに書記として議事が進行
氏)より , 追加編集委員と第 2 回特集号の公募
されました .
が紹介されました .
議事に入り , 冒頭に坂田会長による会長挨
その他の議論として , IT 理事会をより効果的
拶がありました .「学会は未だ発足したばかり
に活用するにはどのようにすべきか等の議論
である . 初期における色々な整備の必要性が
もあり , 今後の課題となりました .
あり , 各位の協力で推進されていることはあ
最後に , 議事録署名人として , 坂田会長より梶
りがたいことである . より一層 , 全理事・評議
川理事と太田理事が指名され , 会長より締めく
員各位によろしくお願いしたい」との挨拶が
くりのご挨拶をいただき , 閉会しました .
ありました .
付記:資料の名称
次に , 学会の会合名称番号等の表記法につ
資料 6-1: 学会の会合名称番号等の表記法につ
いて資料(参考として , 文末に資料の名称を
いて
付記しました)により , 審議されました . 提案
6-1: 学会会合の名称付与細則 改定私案
趣旨を生かすと共に , 簡素化と統一性を持た
6-1: 学会の会合名称番号等の表記法修正試案
せることで異議はなく , その後 , 総会で承認さ
資料 6-2: 学術講演会に参加する学生の扱いに
れ , この学会誌の会則の後に掲載されている
ついて
細則としてまとめられました .
資料 6-3: 学会員現状報告
議題の 2 として , 本学会の最大のイベントで
資料 6-4: 予算執行状況
ある年会としての学術講演会に参加する学生
資料 6-5: 欧文論文誌編集委員会
の参加費用等についてどのようにするかにつ
以上
(文責、総務理事 梶川武信)
いて審議がおこなわれました . その結果 , 学生
の参加費は論文集代のみとし , 学生会員にな
るかどうかは本人に任せることになりました .
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
28
決算報告

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
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
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

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日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
29

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
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 
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監査報告書
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
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収支計算書 , 貸借対照表 , および財産目録は ,
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


 
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
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会計帳簿の金額と一致し , 収支状況および財
政状況を正しく示していることを認めます.
日本熱電学会 監事
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
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
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

年度 会計関係書類を監査いたしました .

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
17 年 6 月 30 日までの日本熱電学会 平成 16





私たち監事は , 平成 16 年 4 月 1 日より平成
 







会長 坂田 亮 殿




野口 照夫 (署名)印





平成 17 年 7 月 12 日
佐野 精二郎 (署名)印

平成 17 年 7 月 12 日
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
30
講演会・学会開催スケジュール(2005 年 10 月以降)
開催日または会期および開催場所
会合名 主催学会および URL
2005 年 11 月 14 日(月)
粉体粉末冶金学会 / 秋季講演大会
∼ 11 月 16 日(金)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspm/
アクトシティ浜松コングレスセンター ( 浜松市 )
2005 年 11 月 28 日(月)
Material Research Society /Fall Meeting
∼ 12 月 2 日(木)
http://www.mrs.org/
(Boston MA USA)
日本 MRS/ 日本 MRS 学術シンポジウム
2005 年 12 月 10 日(土)
∼ 12 月 11 日(日)
http://www.mrs-j.org/
日本大学(駿河台)
セラミック協会 / 年会
2006 年 3 月 14 日(火)
∼ 3 月 16 日(木)
ttp://www.ceramic.or.jp/welcomej.html
東京大学(駒場)
電気学会 / 全国大会
2006 年 3 月 15 日(水)
∼ 3 月 17 日(金)
http://www.iee.or.jp/
横浜国立大学(横浜市)
講演申込締切日:2006 年 1 月 6 日
物理学会 / 春季大会(物性)
2006 年 3 月 18 日(日)
∼ 3 月 21 日(水)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/index.html
鹿児島大学(鹿児島)
金属学会 / 春期大会
2006 年 3 月 21 日(火)
∼ 3 月 23 日 (木)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jim/
講演申込締切日:2005 年 12 月 15 日 ( 木 ) 予定
早稲田大学(大久保)
応用物理学会 / 春季連合講演会
2006 年 3 月 22 日(水)
∼ 3 月 26 日(日)
http://www.jsap.or.jp/index.html
武蔵工業大学(東京都世田谷区)
講演申込締切日:2006 年 1 月 8 日
2006 年 4 月 10 日(月)
ECT2006
∼ 4 月 11 日(火)
http://www.thermoelectrics.com/ect2006
(Cardiff, UK)
粉体粉末冶金学会 / 春季講演大会
2006 年 5 月 22 日(月)
∼ 5 月 24 日 ( 水 )
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspm/
早稲田大学・国際会議場(早稲田)
2006 年 8 月 6 日(日)
International Thermoelectric Society /ICT2006
∼ 8 月 10 日(木)
http://www.its.org/
(Wien, Austria)
詳細は各学会等の URL で確認願います.
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
31
・会員番号は記入不要です.
・変更箇所にチェックをして必要事項をご記入ください.
・下記学会事務局までご送付願います.
〒 251-8511 藤沢市辻堂西海岸 1-1-25
湘南工科大学工学部 電気電子メディア工学科 梶川研究室内
事務局長 藤沢 登
電 話 0466-30-0187
ファックス 0466-35-8897
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
32
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
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ペルチェ素子・熱発電素子の材料評価に
熱電特性評価システム
熱電特性評価装置 ZEM-3
熱電特性評価装置(ZEMシリーズ)
・一測定にて熱電率・電気伝導率の測定が可能。
・-80度から1000℃までの幅広い測定温度範囲に対応。
・試料は長さ5 mm∼22 mm、2∼4 mmの角柱で、
測定可能範囲が広がりました。
・試料セット時のリード線接触良否判定用V-Iプロット計測を自動化し、
最適電流を設定します。(新採用)
・通電による発熱・熱移動の影響を最小化した測定アルゴリズムの導入により、
温度係数の大きな材料も再現性良く測定できます。(新採用)
発電効率評価装置(PEMシリーズ)
・一測定にて貫入熱量・発電変換効率の測定が可能。
・温度制御制に優れた赤外線ゴールドイメージ炉を搭載。
アルバック理工株式会社
本 社
大阪営業所
ホームページ
〒226-0006 横浜市緑区白山1-9-19
TEL(045)931-2285代 FAX(045)933-9973
〒532-0003 大阪市淀川区宮原3-3-31 上村ニッセイビル
TEL(06)6397-2770代 FAX(06)6397-1171
http://www.ulvac-riko.co.jp
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
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最先端分野で必要な機能性材料
有機金属水溶液
・複合金属酸化物の均一化
・透明電極膜
・平板,粒子へのコーティング
・各種材料の薄膜,厚膜
・ナノテクノロジー
Nb Ta
T Ti Al Fe Ga Ge Zr Sb Mo W V
Mn Co Ni Cr Sn Pb In Ag Cu Ce La
Nd Y Dy Gd 等の各種有機金属水溶液
複合有機金属水溶液及び酸化物の試作
高機能性金属
・電子ビーム炉 : 高融点金属
W Ta
T Nb Ti Mo V Hf Zr 等委託熔解
・高周波真空誘導炉 : 各種合金
Fe Ni Cr Co Ag Cu Sn 等委託熔解
有限会社
日下レアメタル研究所
本社 〒 105-0012 東京都港区芝大門 2-3-15
藤沢工場 〒 252-0801 神奈川県藤沢市長後 1348
F
電話 (0466)45-5588 FAX(0466)45-4551
F
機能材料研究所 電話 FAX(0466)44-8793
メールでの問合せ先 :[email protected]
日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (平成 17 年 10 月)
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編集後記
学会が設立されてはや 1 年がすぎ , 学会誌も本号で 4 回目の発行となりました . 本号は年
初計画段階で 8 月上旬発刊予定でしたが , 8 月発行にむけた 6 月の編集委員会で , 全くの記事・
企画不足であることが発覚してしまいました . そこであらためて発行日を検討し , 10 月であ
れば学術講演会 , ICT, 秋の学会など学会報告 , 総会での承認事項を掲載できるという結論が
でて今回発行の運びとなりました . こんな具合でまだまだ巡航飛行できない編集委員会です
が , 今後はなんとか皆様のご意見・ご要望も積極的に取り入れて面白い学会誌にしていきた
いと思います . (福田)
日本熱電学会 役員一覧
会
長
坂田 亮(慶大名誉教授)
長
松原覚衛(山口東京理科大)
総
務
梶川武信(湘南工科大)
会
計
太田英二(慶大)
副
会
委員会委員長
監
事
企画委員会 松原覚衛(山口東京理科大)
欧文論文編集委員会 木村 薫(東大) 学会誌編集委員会 杉原 淳(湘南工科大)
講演会委員会 塩田一路(工学院大)
研究会委員会 吉野淳二(東工大)
国際交流委員会 河本邦仁(名大)
広報・会員増強委員会 小原春彦(産総研)
表彰委員会 坂田 亮(慶大名誉教授)
佐野精二郎(コマツ) 野口照夫(産総研)
日本熱電学会学会誌編集委員会
委 員 長
杉原 淳(湘南工科大)
幹 事
山本 淳(産総研)
福田 克史(小松エレクトロニクス)
委 員
荒木 暉(フェローテック)
岡本 庸一(防衛大)
大杉 功(サレジオ高専)
桑折 仁(工学院大)
武田 京三郎(早大)
若木守明(東海大学) 日本熱電学会誌 第 2 巻 第 2 号 (2005)
The Journal of the Thermoelectrics Society of Japan, Vol. 2 No. 2 (October, 2005)
2005 年 10 月 31 日発行
(平成 17 年)
編 集:日本熱電学会誌編集委員会
発 行:日本熱電学会 会長 坂田 亮
連絡先:〒 251-8511 藤沢市辻堂西海岸 1-1-25
湘南工科大学工学部
電気電子メディア工学科 梶川研究室内
事務局長 藤沢 登
電 話:0466-30-0187,FAX:0466-35-8897
E-mail:tsj@elec. shonan-it. ac. jp
URL : http://www. elec. shonan-it. ac. jp/thermoelectrics
本号掲載の著作物の無断転載・複製は禁じられております.転載をご希望の方は事務局までご連絡ください
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新素材研究開発用のベストセラーシリーズ。
省スペースで使い易く、多機能。
誰でも使えるSPSとして研究所、学校で大好評のシリーズです。
■ 例えばSPS焼結メカニズムの研究に―――――
■ 酸化、大気雰囲気を避けたい
熱電変換材料・各種電子材料の開発に-------●グローブボックス付き雰囲気制御型SPS装置
●拡散ポンプ、電離真空付き高真空型SPS装置
●高電圧型SPS電源
●周波数可変(5∼20kHz)インバータ方式SPS電源(A/B型)
●比較データ取得のための単純直流電源アダプター
■ SPS固相拡散接合・傾斜接合実験に―――――
●低加圧領域で、加圧力が高精度に制御できるモータサーボ方式
低荷重制御型SPS装置
●弊社の長年のSPS経験、実績、ノウハウを基に各種特殊仕様SPS装置の設計、製作のご相談に応じさせていただいております。ご遠慮なくお問い合わせください。
住友石炭鉱業株式会社と双日株式会社は2005年8月19日をもって新合弁会社
『SPSシンテックス株式会社(英名:SPS SYNTEX INC.)』
を設立いたしました。
■お問い合わせ先:営業部 〒213-0012 神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1
かながわサイエンスパークKS P西棟509
TEL:044-822-8311 FAX:044-844-4751
http://www.scm-sps.com
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