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No.350 2月号

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No.350 2月号
2月号
平成18年
No. 350
2006入試
会報
○○○○○○○○○○○○○
4学部、専門学校の入学試験が両キャンパスと4つの学外会場で行われています。2006年春学期入試は3月5日の外国語学部、総合政策学部一般入試C 方式をもって終了します。
○八王子キャンパスのアメニティ向上への取り組み ・・・2
○新年互礼会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
○台湾の医療施設における給与制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・5
○三鷹キャンパスの連続火災の教訓と対応について ・・・9
−八王子だより−
○杏林大学企業情報交換会を開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
○国立市「市民参加条例」草案づくりに参加して ・・・・11
○田久保客員教授が第67回文藝春秋読者賞を受賞 ・・・・12
○別科修了式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
○留学生と中国語学科専攻の学生が交流授業 ・・・・・・・・13
−三鷹だより−
○樋田教授が日本眼科手術学会理事長に就任 ・・・・・・・・13
○年末年始1,529人の患者様が来院 ・・・・・・・・・・・・・・・・・14
○患者様のお手紙 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
○海外長期研修「アーカンソー医科大学」・・・・・・・・・・・15
○辻守康名誉教授を偲ぶ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
○伊藤潔 元総合政策学部教授を偲ぶ ・・・・・・・・・・・・・・・17
−文化・スポーツ−
○北方領土ゼミナールへの参加 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
○東京消防庁から災害時支援ボランティア養成依頼 ・・・・19
○17年度公開講演会・連続講座実施報告 ・・・・・・・・・・・・20
○春の全国火災予防運動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
○学園関係著作物の紹介 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
○永年勤続表彰者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
○各種助成金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
○寄付金・物件寄付申込者芳名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
○その他
・保健学部卒業生からの寄贈図書・最終講義、
退職記念講演のお知らせ・教職員メディア情報
2004年11月より1年余りをかけて議論を重ねてきた
や魅力が増すことから、この言葉は価値や魅力も表す
「中・長期改革委員会」の答申が昨年12月に理事会に
ようになっています。さらに、それが生活の中にさま
出され、2月には承認される見込みとなりました。そ
ざまな楽しみを与えることから、「心が楽しいこと」
の答申の中では今後「八王子キャンパスの存続をめざ
でもあります。また、公共機関などの提供する「便
す」ことが明確に示され、杏林大学は4つの学部を擁
宜・サービス」もアメニティを向上させる要素となり
する総合大学としての概容を維持し、八王子キャンパ
ます。言葉の意味するところは広範囲にわたり、人そ
スが自然と調和した郊外型キャンパスとしての要件を
れぞれが思い浮かべるものも千差万別ですが、最も大
備えた魅力ある教育環境を保持すべく、その機能性を
切なことは「人の好ましいつながりができていること」
高めるための具体的施策を実行していくという意志が
なのではないかと思います。
示されています。八王子キャンパスのアメニティ向上
の施策を2006年4月より順次実施に移していくために、
山坂の多い立体感のあるキャンパスでは立派な植栽
この度「八王子キャンパスアメニティ検討委員会」が
が豊かに四季を彩り、天気のよい日には青空に白い建
発足し、1月25日の第1回全体会をもって、このプロジ
物が映えて美しい景観が私達を迎えてくれます。植栽
ェクトの作業が事実上スタートしました。
を大切にする心は名前が表していることでもあり、年
月をかけてじっくり人を育てる姿勢を私達に教えてい
本プロジェクトは八王子の3学部が杏林大学の建学
ます。他方、駅から離れた立地は、これまでキャンパ
の精神、これまで培ってきた伝統、その特色を生かし
スにさまざまな制約を与え、とくに通学バス問題は古
て、このキャンパスで21世紀にふさわしい良質な教育
くて新しい問題であり続けています。ひよどり山トン
を維持・発展させ、誇りをもって着実に前進を続ける
ネルが開通し、今後は第二滝山街道の開通など周辺道
ための施策を実行するものであると考えています。昨
路状況の改善を注意深く見守っていかなければなりま
今、大学を取り巻く環境は一層厳しさを増し、各大学
せんが、わずかずつでも目に見える前進があることを
はカリキュラムの改編ばかりでなく、教育が展開され
示していく必要はあるように思います。
る場としてのキャンパスの機能を高めて、より魅力的
な教育環境を提供することにもしのぎを削っている状
また、キャンパスを活性化させるためには、さまざ
況があります。しかし、この取り組みを外部へのアピ
まなレベルでの交流の促進―地域との交流、国際交流、
ールのためだけと考えることは途中のストーリーの省
小学校・中学校・高校との交流、他大学との交流、企
略に他なりません。私達を取り巻く厳しい状況はこれ
業との交流など―を図り、できるだけ多くの人にキャ
からも続くからこそ、これが学内の学生や教職員のモ
ンパスに来てもらえるようにすることが大切であると
ラールの向上にとって重要であり、しかも緊急に取り
思います。そのためには、例えば滝山街道を通行する
組まなければならないことであると考えます。その場
人々からここに何があるのかがよくわかるような看板
しのぎや取り繕いではなく、私達の本来の使命を果た
などの工夫も必要でありましょう。これまでは、特別
すためには今何をしなければならないのか、またその
の大きな行事がある時以外は、あまり外部の人が入る
ためには何が必要であるのかを精査することが、この
ことを意識していなかったように思われます。その意
委員会に求められていると思います。
味でキャンパスの活性化は、これまであまり意識しな
くて済んできたリスクについても考慮していく覚悟を
アメニティとは、一般的に場所・環境・気候などの
今後私達に突きつけてくると思います。
「好ましさ、快適さ、心地よさ」を指しますが、その
第一義は人・態度・流儀などの「感じのよさ」です。
委員会には各部会を設置し、具体的な施策として、
いわばこの目に見えない人が関わる価値を具体化した
図書館の問題、国際交流会館の建設、食堂・売店の改
ものとして、第二義に目に見える設備や施設があると
善、各学部同窓会の整備と大学同窓会としての連携、
考えられます。はじめに「快適な設備環境」ありきで
遊歩道や調整池周辺などグリーンゾーンの整備、学内
はありませんが、具体化することによってものの価値
アルバイトやインターンシップの創設、通学バス問題
― 2
―
の改善、学生の自主的な活動をキャンパスづくりに活
に彼らと向き合って、彼らが自分たちは大学生として
かすための側面的支援について検討していくことにな
きちんと対応されていると感じることができるように
りました。部会の構成は必ずしも完成されたものでは
することです。それと共に、キャンパスがもっている
なく、今後作業が進んでいくにつれて、部会同士の連
さまざまな資源が有効に活用されているかどうかを精
携が必要になったり、新たな視点から部会が追加され
査することでもあろうと思います。手持ちの資源に―
たりする可能性もある「発展途上」と考えていただけ
これはハードもソフトも含みますが―改修や補修をす
ればと思います。個々の施策には、今すぐにでも実行
ることによってその活用範囲が広がるもの、また硬直
できるもの、しばらく準備が必要であるもの、また段
的な運用を見直すことによってその活用範囲が広がる
階的に実施していくべきものなどがあると考えられま
もの、現在活用されている時間外あるいは用途外の活
す。検討委員会では、各部会から提出されるプランを
用方法を考えることによって活用範囲が広がるものな
もとに向こう3年間の工程表を作成し、その実施を運
どを考えなければならないと思います。さらに、大学
営していくことになります。
が地域に根ざすことは非常に大切なことであります。
地元と協力できることを探っていくと同時に、これま
キャンパスのアメニティの向上は、まずここで4年
で目を向けていなかったこと、手をつけていなかった
間を過ごす学生のレベルアップにつながるものである
ものをいかに有機的に組み合わせていくか、そしてそ
こと、学力とともにより総合的な人間力を身につける
れをいかに演出していくかということも大きな課題に
環境を創出することであろうと考えます。キャンパス
なります。志願者数の推移を横目で見ながらの作業と
に来ると勉強はもちろん他にもいろいろなことができ
なりますが、長期的な評価にも、また客観的な評価に
る、キャンパスに来ると楽しい、と実感させることが
も耐えうる着実な前進をするために、教職員の皆様の
求められます。それは決して学生におもねることでは
ご理解とご協力をお願い申し上げます。
なく、また学生を甘やかすことでもなく、私達が真剣
八王子キャンパスアメニティ検討委員会構成メンバー(敬称略)
委員長
黒田有子
委 員
大瀧純一、笈川博一、鳥尾克二、金子哲也、野山 修、塚本 尋、
神谷 茂、堀 和生、長沼正博、関根康央、上野文英
オブザーバー
村田晋一
事務局
樋田孝史、浅野 稔
部会構成メンバー
部 会 名
部会長
委 員
事務局
図書館問題に関する部会
神谷 茂 松田和晃 斎藤元秀 太田英彦 清水淑子 中村信幸 鈴木敏男 諏訪部直子 中村 修 釘宮 聡
国際交流会館部会
塚本 尋 清水淑子 川村真理 岩 公生 樋田孝史 上野文英
青柳貴徳
食堂・売店改善部会
野山 修 大嶺智子 高木眞佐子 樋田孝史 関根康央 浅野 稔
上野文英
学内アルバイト・
インターンシップ部会
笈川博一 内藤俊朗 上野文英
森 芳久
遊歩道建設部会
鳥尾克二 下川哲徳 関根康央
小暮 茂
同窓会整備部会
金子哲也 森田耕司 原田奈々子 伊藤 盡 岩本和良 斎藤栄子
平本 実
調整池周辺
グリーンゾーン整備部会
大瀧純一 樋田孝史 堀井政雄
伊藤 孝
通学バス改善部会
樋田孝史 上野文英
その他(学生ネットワーク)
黒田有子 舟橋 哲 倉林秀男
― 3
南島幸代
―
続いて開かれた互礼会では、冒頭松田博青理事長が
新年の挨拶をしました。この中で松田理事長は年末年
始期間中の診療報告と診療に携わったスタッフをねぎ
らうとともに、今後の病棟の建設計画にふれて、現在
建設中の外科病棟につづいて第3病棟の建て替えにつ
いては学園の収支の具合をみて4月から5月頃に最終決
定すると述べ、学園の収入を増やして支出を減らすと
いうことに教職員の協力をひきつづいてお願いしたい
と挨拶しました。
続いて挨拶に立った長澤学長は、去年の暮れに理事
恒例の杏林学園互礼会が1月4日(水)午後4時から
会に報告した学園の「中長期改革に関する提言」にふ
三鷹キャンパスの食堂「アプリコット」で開催されま
れて、
「八王子キャンパスの存続を決意し、今後はキ
した。まず互礼会に先立って永年勤続表彰が行われ、
ャンパスのアメニティ向上に努めていきたい」と述べ
今年は勤続30年表彰が21名、勤続20年表彰が18名、合
るとともに「現在は5年、10年先を見越して改革をす
計39名の教職員がそれぞれ表彰されました。
(表彰者
るだけでなく、その先まで見通して改革に取り組んで
は23ページ)
いく必要がある」と今年の決意を述べました。
松田博青理事長挨拶
皆様に新年のご挨拶を申し上げます。
経過する第3病棟については、新しい免震構造の病棟
昨年12月28日午後4時半から1月4日午前8時半までに
に建てなおすかどうかを検討しておりますが、ここ4
救急外来に来られた患者様の数は、1529名で昨年より
∼5年来の学園全体、特に病院の収支が思うようにな
27名少なくなっております。そのうち入院された患者
っておりません。
様の数は73名で、昨年より16名増えております。搬送
この最終決定は、昨年11月末から今年3月までの収
してきた救急車は、141台で昨年より22台少なくなっ
支の具合を参考にして、今年の4月から5月にかけて行
ております。
ないます。色々なことがあろうとは思いますけれども
長い休暇の間に出勤されて働いてくださった方々に
厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
皆様方にご協力をいただいて、入院患者の安全確保の
ために全病棟を免震構造にしたいと思っております。
昨年から今年にかけていろいろな事件が起きました
しかし先立つものはお金であります。従いまして皆様
けれども、今年はひとつの曲がり角にかかっているよ
のご協力を得て収入を増やして支出を減らす、こうい
うに思っております。学事につきましては学長から
う努力を一緒になって実行していただけたればと思っ
縷々お話があると思いますので全般的なこと、特に建
ております。
設に関してだけ申し上げます。
これが私の今年の願いであります。今年も皆様どうぞ
現在、憩いの広場のところに建設中の新しい外科系
よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
の病棟は、来年春に完成の予定です。建設後34∼5年
長澤俊彦学長挨拶
教職員の皆様明けましておめでとうございます。
師・その他の国家資格の合格率が極めて高く、これは
昨年の本学を振り返ってみますと、暴風雨の時に三
世の中に誇れる成績だったと思います。
鷹キャンパスが水浸しになったこともありますが、全
体としてはまずいい年ではなかったかと思います。
また(学部の改革が進み、
)今年4月には保健学部で
臨床工学科ができ、総合政策学部が2学科、外国語学
と言いますのも八王子の受験生の数を見ると、文系
部も3学科になるということで学部改革が進められて
2学部もそこそこの受験生の確保ができて、文系2学部
いるところです。理事長のご指示により杏林大学の学
の就職も世間並みにできたこと、それから医師・看護
事に関する改革ということで委員会を一昨年11月に立
― 4
―
ち上げたあと1年かけて検討した結果を昨年12月はじ
ほど20年、30年の永年表彰された教職員の皆様方が杏
めの理事会に答申しました。これによると八王子キャ
林大学をサポートしていただいたという一言に尽きる
ンパスの3学部はそのまま八王子キャンパスで発展を
と思います。したがって今年は理事長の強力な指導の
図っていくことにほぼ決定しました。
(正式には2月の
もとに三鷹・八王子キャンパスでいろいろと改革が行
理事会になりますが)
われるとご理解をいただきたいと思います。
(長年キャンパス移転が頭の中にあったわけです
正月からの新聞の記事では、
「超高齢化」・「超少
が、
)八王子で3学部が生き残って杏林大学は総合大学
子化」ということで年金その他の問題がいろいろと言
として発展を図っていく覚悟をしたということです。
われており、これは高等教育にもいろいろと今後跳ね
これに関して当然のことながら八王子キャンパスのア
返ってくると思われます。今は5年、10年後のことを
メニティの向上を考えていかなければなりません。
一応の杏林大学の進むべき道として中長期計画案に盛
先ほど理事長から経営面に関してのお話もあり、非
り込んでいますが、もうその先を見て行かないといけ
常に苦しいところでありますが、若干このアメニティ
ないような時代に突入してきていると考えます。この
に関しての投資をお願いして、いい学部・いい学園に
辺のところをご理解いただき、よりいっそう杏林学園
していきたいと考えております。
(昨年)このように
の発展に皆様のご協力をお願いしたいと年頭にあたっ
総合大学としての位置を保ってきたということは、先
て申し上げます。
国の医療費抑制の動きが強まる中で、大学病院の経営はどうあるべきなのか。なかんずく経営の効率化を進め
る中での医師の給与制度はどうあるべきなのかは、今後検討していかなければならない重要課題の一つといえる。
そこで、すでに10年ほど前から医師の評価制度を取り入れて、病院の経営改革を進めている台湾の事情を昨年
11月に視察した。
この際、国立台湾大学の文系学部における教員の人事評価制度についても調査してきたので、あわせてここに
報告する。
●日時:2005年11月12日∼16日
審査・査定で認められなければならない。従って病院
●対象:国立台湾大学及び付属病院、財団法人国泰総
は増収を計るためには単に患者数を増やすだけでな
合病院、長庚記念病院
く、病院としての評価を上げるための努力も必要にな
●メンバー:齋藤英昭副院長、松田剛明医師、堀和生
る。
広報・企画調査室長、加藤信一総務部長
今回視察した3つの医療機関(台湾大学病院、財団
法人国泰総合病院、長庚記念病院)は制度の内容、運
営の仕方の細かな点での違いはあるが、いずれの病院
【概要】
台湾は、日本と同様に高齢化に伴い膨らむ医療費の
抑制政策が早くからとられており、この流れの中で病
院は効率的な経営を進めることが求められていた。台
湾政府の医療費の抑制政策の中心となっているのが、
「Global Budget System」の導入である。
も医師個人の医療行為を評価して給与に反映するシス
テムを実施していた。
台湾大学病院の医師は公務員であるが、各医師の給
与の約40%は医療行為の貢献度によって影響を受ける
Performance Bonusと呼ばれる褒賞給与制度を導入し
このシステムは台湾全体さらには各病院への医療保
険支払金額に上限を設けて、医療保険の支払総額を抑
えるシステムである。それぞれの病院はランク付けさ
ている。従って同じランクにある医師でも受け取る給
与の総額に差が生じる。
民間の国泰総合病院及び長庚記念病院は、医師個人
れ、医療報酬として支払われる上限が設定されている。
に医療収入の一部を直接配分する「Physician Fee制度
この上限を上げるには政府の委員会による病院評価の
(PF)
」を導入している。この「Physician Fee 制度」は
― 5
―
長庚記念病院が始めたシステムで、現在では私立病院
このシステムは、予め、処置・手術・検査等医療収
の多くがPF制度を取り入れている。但しPFの決め方
入(保険支払い)のうち、医師に与える金額・割合を
や内容については各病院で独自に定め公開していな
定めておき給料に反映するシステムで、医師ごとに処
い。
置、手術などのPFを合算し給与として支給している。
これらの評価制度は、先に述べた政府の「Global
※私立病院の多くはこのPhysician Fee (PF)制度を
Budget System」をうけて、経営改善のために導入し
取り入れているが、反映する点数・金額等について
たものである。導入後の経営的な評価については、各
は各病院で独自に定めている。 Physician Fee 制度
病院ともに「マイナス面はあるものの医師の診療意欲
詳細については長庚記念病院で後述する。
が高まり全体としてプラスの成果をあげている」とし
●PFの効果としては、医師の診療意欲が向上し患者
ている。
数が増加した。
特に病院の収支の改善という点では目を見張るもの
●PFが多すぎる医師の場合は、Global Budget System
がある。例えば、台湾大学病院ではこのシステム導入
があるため、予め割り当てている金額の上限に達し
により医師のサラリーが2倍近くになり大きな支出増
たり検査や処置のやりすぎなどがあれば、病院長が
となったが、短期間で支出増を上回る増収を上げるよ
調査し警告している。
うになったとのことである。
(当然のことながら当初
●PFがない場合は基本給のみとなる。若い医師
は赤字となり政府の補助も受けたが、導入後3年目に
(Fellow)等PFが少ない医師には、各診療科長が采配
は黒字に転換することができたということであった。
)
して、患者を回したり、手術を回したりしてPFを
また、同病院はそれまでは医師の給与が民間の大病
院の3分の1程度だったため、台湾大学病院に所属して
いるという収入面では図れないインセンティブがある
にもかかわらず、高い給与に惹かれて民間の病院に医
師が流失する例が多かったようであるが、その流出防
止対策としても効果があったということであった。
今回我々を案内していただいた医師の方々をはじめ
各病院の現場医師の評価制度に対する反応は、好意を
もって受け入れているというものであった。
増やし、給料を上げる努力をしている。
●PFの問題点は、技術評価が難しく技術力による差
は反映出来ていない。
●医師の契約期間は1年間で、その間はアルバイトを
禁止している(雇用契約書で定める)
。
●レジデント(国泰病院では120人)は固定給のみ。
看護師、検査技師、事務職は基本給制度(固定)で、
定年は60歳。
●年末賞与は、病院の決算によるが4段階人事評価を
一方、マイナス点は、
「医師の関心が経済的インセ
ンティブに傾き、医療レベルの低下が心配されること
である」と国泰総合病院の陳楷模病院長が述べている
行い支給。
●諸手当は所定委員会で決定し、昇任は院長、副院長
で決定する。
ことに尽きるようである。
陳病院長は「台湾での評価制度導入は病院収入にプ
ラスになったが、所謂処理件数を増やしポイント稼ぎ
2.長庚記念病院
1)病院概略
に走ることで個々の医療行為の品質がダウンする懸念
病床数 :5つの病院で合計約9000(台北地区4450)
がある」と述べていた。
外来患者:合計約7百数十万人/2004年 患者が質の高い医療行為を求める日本においては、
このことはより重大な問題としてとらえる必要がある
ように思われる。
職員数 : スタッフ医師 1100人 レジデント 800人
2)給与制度
Physician Fee (PF) 制度を導入し、医師個人の医療
以下各病院・大学の評価制度を具体的に説明した
い。
行為を直接給与に反映させている。このシステムは、
この長庚記念病院が始めたものである。
(1)医療収入を、医療行為ごとに予め決められた割
1.財団法人国泰総合病院
合で医師給与に反映させる分(Physician Fee PF)と
1)病院概略 病院の収入になる分(Hospital Fee)に配分する。
病床数:813
医療サービス収入 → 医師給与反映分
職 員:1937人(医師316人)
(Physician Fee PF)
2)給与制度 Physician Fee (PF) 制度を導入している。
― 6
→ 病院収入(Hospital Fee)
―
等級で決められている比率(超限分配率)で減額し
例(カッコ内数字が医師給与反映分)
手術、麻酔(40%、33%)
、侵襲的検査(35%)
非侵襲的検査(25% 医師施行→医師判読)
支給される。
●直接医師へ配分される( No Pooling PF)には上限金
額があるものとないものがある。
間接的寄与(15% 管理業務など)
(2)医師給与へ反映される分(PF)には、一旦部
対象となるもの……休日夜間診療費、当直報奨金、
署ごとにまとめて配分されるもの(Pooled PF)
時間外健康診断費、時間外手術・麻酔費、時
と、直接医師個人へ配分されるもの ( No Pooling
間外検査・処置費、麻酔科オンコール費、カ
PF)とがある。
ルテ参照による診察費、健康保険審査補助金、
注)
死体解剖費、肥満治療コース担当費、手術時
●部署ごとに配分されるPooled PF:日勤外来診察費、
間延長罰金、特別患者診察費、 時間外RBRVS、
移植奨励金、急患コンサルト費、その他
入院診察費、手術・麻酔、検査・処置費、癌検診費、
検診結果判読費、提携病院応援費、超音波検査補助
対象とならないもの……夜勤、臓器移植奨励金、特
別診察
金、移植奨励金、病歴閲覧費、他科X線検査費、健
診超音波判読費、ガンマナイフ手術費、臨床病理検
査費、RBRVS、請求棄却費、検査判読費、その他
●医師個人のPF計算(月額)はこれらのPFを下記の
とおり集計し決定される。
●直接医師個人へ配分されるNo Pooling PF:一般内
=個人最高上限額+(再配分PF額+非配分PF額−
科診察費、健康診断費、呼吸治療医師費、提携病院
個人最高上限額)× 超限分配率+(非再配分で
支援費、救急当直費、夜間診察費、時間外手術・麻
非上限PF額)
酔費、時間外検査・処置費、時間外RBRVS、その他
例)勤続22年、教授1等(上限金額50万台湾ドル
(約170万円)、超限分配率(85%)の場合で、
(3)部署ごとに配分されたPooled PF は、部署の医
師個人に①年功スコア(seniority score)②医療サ
個人PFが上限ジャストで非配分ゼロのケース ービススコア(service score )③管理業務・専門
PF=50万+(50万+0−50万)×0.85+0=50万
(日本円換算約170万円)
性・研究教育への貢献スコア(contribution score)
※ 個人PFが上限を上回った(下回った)分の85%
の3領域で規準に照らし再配分される。
が増額(減額)され支給される
●この3つのスコア配分比率は1:1:1である。またこ
の配分は経験年数、等級で上限金額が定められてい
(1)から(3)を図表にすると以下のようになる。
る。またそれを超えた分については同じく経験年数、
Physician Fee (PF)配分
― 7
―
3.台湾大学病院
②医師個人への配分
1)病院概略
Performance Bonusの医師個人への配分は「医師個
ベッド数:1872、ICUベッド数:227、診療科:26
人の生産性( Productivity Score)
」を評価し行われ
教職員数:4983人(医師931、看護師1924、その他2128)
る。計算方法は下記のとおりである。
外来患者数:約200万人/2004年 2)給与制度
●生産スコア(Productivity Score)を医師個人ごとに
台湾大学病院では、医療行為ごとに直接給与に反映
「その行為ごとに定められた医師へ
「医療行為料金」
させるPhysician Fee (PF)制度 とは異なり、病院収入
の配分比(PPF)
」
「医療行為の回数」により計算し、
が黒字になったときのみ褒賞的に支払うPerformance
全医師トータルスコアに占める比率で配分する。
Bonus Systemという制度を導入している。
Productivity Score =医療行為料金×PPF(その行為の
● Performance Bonusは、後述する計算方法により決
定されるが、通常給与に占める割合が固定給60%、
医師への配分比)×その行為の回数
※PPF例
Performance Bonus40%程度になるように設計して
ICU訪問:料金712台湾ドル(約2400円)/回→PPF2.5
いるようである。
胃全摘術:料金16993台湾ドル(約58000円)→PPF
(非医師の場合は固定給が給与の平均90%、PBが給
与の平均10%)
0.85(材料費を含む場合)
麻酔 : PPF 0.42
60%
内視鏡検査 : PPF 0.60
40%
(公務員)固定給(序列と年功で決定) Performance Bonus
超音波検査 : PPF 0.50
①Performance Bonus の原資計算
●各医師への月額Performance Bonus支払いは次のと
Performance Bonus
おりとなる。
●病院が年間収支で赤字でない場合に支払われる。
医師個人へのBonus=1ヶ月の医療収入(材料費、
●PB原資は月間収入(薬剤と材料を除外した)の一
薬剤費を除く)×0.15×0.9×0.95×0.70×当該医師の
定額(発足当時10%〈1999年〉
、現在は15%)である。
総Score/全医師の総Score
●PB原資のうち10%は品質の改良と管理に対する基
金として回し、
(教育、論文、病歴書き方、分院出
張など)残り90%が報奨金原資となる。
台湾大学の文系学部教員人事評価
台北大学の教員は公務員であるため人事評価の給与
●PBのうち報奨金原資は次のとおり配分される。
などへの反映は限定的であるが、以下の内容で評価を
報奨金原資 5% 新年ボーナスなどの季節ボーナ
ス(チームへのボーナス)原資
95% 70% 医師報奨金原資
行っている。
1.評価の仕方
●雇用されてから3∼5年毎に評価を受ける。
30% 非医師報奨金原資 ● 各学部で規則を持ち、教学、サービス、研究別
に行っており、学部によって評価方法は異なる。
●評価は教師評価審査委員会、学生評価(アンケー
ト)で行う。
Performance Bonus の原資
● それぞれの項目で100点満点中70点以上でなけれ
(参)
ばならない。
●原則それぞれの項目がひとつでも達していないと
駄目であるが、学部によってはトータルスコアが
良ければOKとする事もある。
2.評価項目
① 教育(授業)評価
●教育(授業)時間数、授業効果、他
② 研究評価
非医師
報奨金(原資)
― 8
―
のメンバー、行政主管になれない。
●5年以内の学術論文発表状況及び研究プロジェク
●昇任の対象から外れる。
トの実績
●研究費をどの位取得したかも重要な項目で、学部
●2度続けて落ちると教師評価審査委員会に送られ
審議され解雇される。
によっては評価する。
(年に50人ほどが落ちているが、2回目は殆んど通っ
③サービス
●管理部門の仕事をしているか
ているとのこと)
●外部の政府委員をやっているか 注)給与は年齢だけ(年責)(ポジションランク)
で決定され、評価は給与に差をつける目的では実
●大学・学部委員会のメンバーをやっているか
施されていない
3.評価の反映
合格点に満たなかった場合は下記のペナルティーが
4.評価制度の効果
ある。
●7年間このやり方でやっている
●研究の為の有給休暇が申請できない(7年に1回程
●このシステムで早く辞める人もいる。
●発表論文も増えている
度1年間の休暇を取る権利)
。
●より熱心に教育するようになった。
●翌年度の昇給が出来ない。
●外部の兼職・授業(アルバイト)が出来ない。
●学内の委員会(教師評価審査委員会、新規教師採
5.その他
●教員以外の職員の評価は今後の検討課題としてい
る。
用委員会、各主任(大学院研究科長)推薦委員会
以上
三鷹キャンパスでは昨年9月11日(日)臨床研究棟3階、12月24(土)第3病棟3階の火災、そして本年1月16日
(月)にはまたも臨床研究棟4階の研究室で火災が発生するなど連続して3件の火災が発生しており、幸いにも小火
ですんでいますが、多くの患者をあずかっているキャンパスの失火であるだけに非常に重大であります。
今までの火災の教訓、対応等については、次の通りですので、教職員は一人一人自覚し、安全安心の三鷹キャ
ンパス構築のため意識改革に努め行動しましょう。
Ⅰ.臨床研究棟 307号室の火災
院以外の学校施設火災のとき通報すると三鷹消防署
(1)火災概要
の消防部隊の他救助専門部隊、救急部隊、そして科
9月11日(日)18時14分防災センターの火災報知設
備が火災を受信した。警備員が現場に駆けつけると施
錠された無人の研究室部屋から煙が出ているのを確
認、防災センターへその旨報告するとともに火災は、
警備員が消火器4本を使用し消火した。焼損物件は、
机、椅子、電気配線、その他部屋の収容物でした。
(2)火災原因
学対応部隊等34隊という多数の部隊が出動して来
た。
エ、危険物等保管、取扱い状況が消防隊に対し情報提
供出来なかった。
オ、研究職員の防災意識の高揚が必要であった。
(4)対策等
ア、緊急自主点検を実施した。
(9月13日∼9月21日)
冷凍庫への電源接続部分(リーラーコンセント)内
・廊下等に放置されていた机、椅子等の除去
においてトラッキング現象により発火して、火災にい
・ロッカーの転倒防止 75件
たったもの
・電気配線の点検指導 112件
(3)教訓
・危険物、毒劇物等の保管取扱い指導 73件
ア、電気関係の配線等について緊急点検の必要があっ
た。
イ、119番直接通報装置の増設
病院棟、学校棟用に各1基づつに分離し2基とした。
イ、基礎・臨床研究棟の廊下、通路等避難施設に多数
の物件が放置されてあったため緊急にクリアーとす
る必要があった。
(10月28日)
ウ、三鷹キャンパスの危険物保管状況一覧表作成と活
用
ウ、三鷹キャンパスで災害発生した時の119番直接通
報装置は、病院主体に1基だけ設置されたため、病
― 9
・警備2(警備室、防災センター)・総務課1・医学
部1その他三鷹消防署へ2部提出
―
イ、患者様入院手続きのときは、適正な喫煙と病院
・火災発生の時は、警備員が資料に基づき消防隊に情
内火気取扱いの厳禁について十分注意する。
報を提供する。
ウ、休日夜間等の防災訓練を積極的に実施する。
エ、職員の防火意識の高揚
Ⅲ.臨床研究棟 413号室の火災
・11月4日(金) 基礎・臨床研究棟関係者の自衛消
(1) 火災概要
防訓練実施
・11月8日(火) 三鷹消防署の予防課長を招き、火
1月16日(月)20時00分ころ外出先から臨床研究棟
元責任者、所属上長、自衛消防隊員を対象に防火講
に戻ってきた職員二人が4階の廊下に煙があるのを確
演会を実施した。
認し、その旨を警備室に通報した。
通報を受けた警備員は、まもなく到着し、施錠されて
・体育館部室使用者に対して、医学部長から直接注意
いる413号室から煙が出ているのを確認し、扉を開け
を喚起した。
Ⅱ.第3病棟3B−3358号の火災
て水を掛け消火した。焼損物件等は、ゴミ、床若干で
した。
(1) 火災概要
12月24日(土)5時50分頃3358室からナースコールに
(2) 火災原因
19時30分ころ研究室にいた職員は、たばこを吸って
より呼び出しがあった。看護師が病室にかけつけると
第一ベッドで掛け布団が燃えていたため、
「火事です」
灰皿で消したが灰皿の中が吸殻でいっぱいだったの
と叫び人を呼ぶとともに付近の消火器で消火した。
で、その吸殻をビニール製のゴミ袋に捨て外出した。
その後捨てた吸殻の残り火から出火したものである。
そして駆けつけた職員と協力して同室にいた患者様
2名を避難させた。焼損等は、ベッド1、掛け布団1、
(3) 教訓
ア、三鷹キャンパス構内は、
「指定場所以外喫煙禁止」
その他傷者2名が発生した。
となっているが、以前から喫煙が継続された。又安
(2) 火災原因
易な喫煙状況であった。
3358号室の患者様が冷蔵庫から物を取ろうとした
が、紐で固定してあるベッドの柵が邪魔しているため
イ、喫煙状況の緊急点検を1月17日(火)∼1月21日(土)
紐を解こうとしたが解けず、ライターの火で焼き切ろ
の期間関係部署と一緒に研究室、事務室、医師当直
うとした。そのためその火が布団等に着火したもの。
室、休憩室、トイレ、外周部の屋外等を実施した結
果建物内外に亘り喫煙状況が確認され、
「指定場所
(3) 教訓
以外喫煙禁止」は形骸化しており火災予防上深刻な
ア、火災報知設備が火災を感知したが、防災センター
状況である。
(学園だより506号参照)
で誤って非常ベル鳴動停止をしていたため、病棟内
(4) 対策等
のベルが鳴らなかった。
ア、医学部火元責任者を招集して、医学部長から注意
イ、入院患者様のライター持込みについては入院手続
指導した。
きの時、説示等十分注意する。
イ、ルール違反者等は、杏林学園就業規則に基づき厳
ウ、夜間看護師等病院スタッフが最少人員の時、災害
正に処分した。
発生時の活動要領を普段から訓練しておく。
ウ、防火管理委員会を開催して、次のことを検討し、
(4) 対策等
検討結果を実践することとした。
ア、防災センターの業務については、警備に委託して
いるが、今回の事案は維持、管理違反でありセント
・効果的喫煙管理方策について
ラル警備株式会社に対して、厳重に注意し次のこと
・防火管理体制の検証
(5)関係者の処分
を実施した。
・消防用設備の機能を停止した経過と再発防止策の提
出
杏林学園就業規則第54条に基づき次のとおりとする。
島田 篤 (医学部脳神経外科学 任期助手)…出勤停止(10日)
・防災センターの機器操作マニュアルの再検討と見直
し
永山 和樹(医学部脳神経外科学 任期助手)……減給
塩川 芳昭(医学部脳神経外科学 教 授)……減給
・三鷹消防署立会いで防災設備業者の教養及び特別訓
練を警備員に対し、次のとおり実施した。
(総務部副部長・防火管理者 鈴木芳男)
1月20日(金) 10時00分∼11時30分
1月23日(月) 10時00分∼11時30分
1月26日(木) 10時00分∼11時30分
― 10
―
八王子だより
を新宿京王プラザホテルで開催いたしました。
本学からは、松田博青理事長、長澤俊彦学長はじめ、
八王子三学部長、教職員18名が出席しました。開催に
あたり、長澤学長より、
「本学学生の採用に対する御
礼とインターンシップの充実を図るべく、企業にはご
理解とご協力をお願いしたい」との挨拶がありました。
情報交換では、
「昨年来より、企業の求人件数は増
加の傾向にあり、学生にとっては良い環境になりつつ
あること、平成19年度採用も厳選採用を実施すること」
等々の情報が得られ、実りある交換会となりました。
今後、学生の就業意識の向上を主眼に、インターン
昨年12月1日に、平成18年度本学学生を採用いただ
シップ等を含めた就職支援を、展開していきたいと考
いた企業並びにインターンシップ研修先企業129社200
えています。
名(主に採用担当者)をお招きして、企業情報交換会
(キャリアサポートセンター 森 芳久)
ナンス」の時代へと変化しております。ガバナンス時
代においては、市民の「参加」と「監視」が重要な要
素を占め、市民参加の手続きや手法を制度化するもの
として、全国各地で自治基本条例や市民参加条例の策
定が進められております。
国立市の場合、市民と市職員が同じテーブルにつき、
対等な立場で議論を重ねて参りました。議論は組織作
りからスタートし、平成15年7月に「くにたち市民参
加条例をつくる会」が誕生しました。そして「つくる
会」と市は、条例制定作業が「つくる会」と市の協働
平成17年12月9日、小職が代表をつとめる「くにた
で行われること、
「つくる会」の条例草案が最大限尊
ち市民参加条例をつくる会」が「くにたち市民参加条
例(仮称)
」草案を国立市に提出いたしました。
重されることをうたった「確認書」を交わしました。
「確認書」の策定に当たっては、三鷹市や八王子市に
国立市では、平成14年6月に「くにたち市民参加推
おける基本構想策定時の協働事例を参考にしながら、
進ゼミナール」を開講しました。当時、総合政策学部
国立市にふさわしい協働のあり方を模索いたしまし
の田中信弘助教授、岩崎正洋助教授(職名当時)らと
た。
「政策とガバナンス」に関する共同研究を行っていた
国立では、市民と市が同じテーブルで対等な立場で
ことから、小職も開講当初からこれに参加いたしまし
議論をするプロジェクトは、
「つくる会」がはじめて
た。現代社会は、国の内外を問わず、政府のみが統治
であり、当初は、市民と市職員はぎこちない関係でし
の主体である「ガバメント」の時代から、政府のみな
たが、議論を重ねることを通じて、信頼関係が構築さ
らず市民や民間企業・NPO等が統治に参加する「ガバ
れてきました。今後は、市民どうし、市職員間の信頼
― 11
―
関係の構築が最大の課題となると思われます。このた
ることができました。今後は市役所内部の検討を経た
め条例草案では、市民と行政のみならず、市民どうし、
後に、議会に上程される運びとなっております。
行政内部が良好な協働関係を構築していくための組織
「つくる会」を通じて、多くの人とめぐり合うこと
として「市民参加推進センター(仮称)
」を提案して
ができましたほか、
「国立市第四基本構想」の策定に
います。
も審議委員として関わる機会を得ました。今後もなお、
ガバナンス時代にふさわしい制度を構築すべく、お
地域の「まちづくり」に携わり、本学における教育・
よそ3年半近くの間、
「つくる会」は100回におよぶ議
研究の成果との架橋の一助としていきたいと考えてお
論を重ね、ようやく昨年末に条例草案を市長に提出す
ります。
展開した討論を18ページに渡って掲載したものです。
文藝春秋社は文藝春秋2005年8月号に掲載された、
座談会記事「日中韓『靖国参拝』大論争」が読者投票
受賞した田久保客員教授は「櫻井よしこさんの御健
をふまえた5名の委員による選考の結果、第67回文藝
闘にあやかって受賞したのだろうと思うが、読者の
春秋読者賞に選ばれたと2月号の文藝春秋で発表しま
方々に評価していただいたのは嬉しい。
(中略)歴史
した。
には因があって果がある、
(中略)互いに相手の立場
を理解するような雰囲気はいつ実現するのだろうか。
読者賞に選ばれた記事は、本学の田久保忠衛客員教
授とジャーナリストの櫻井よしこ氏、劉江永 清華大
『立場』を述べようとしない日本に問題の根源がある
学教授、歩平 中国社会科学院近代史研究所研究員の4
ように思う。
」と同誌2月号に受賞のことばを寄せてい
氏が靖国参拝、領土問題、歴史認識問題などについて
ます。
列しました。長澤学長は「先生方、皆さんの努力の
お陰で修了ができました。別科を旅立っても勉強を
続け、日本と本国の友好に尽くして下さい。
」とお祝
いの辞を述べました。鳥尾克二外国語学部長は「人
間は物事を考え、その大元に言語があります。母国
語の他に外国語を学ぶことは、国際化のチャンスを
つかむことであります。地球市民として知識を増や
し、それぞれの人生を歩んで下さい。
」と励ましの言
葉をおくりました。
寒さ厳しい1月25日(水)、平成18年1月国際交流セン
式終了後は懇親会へと移り、会は和やかな雰囲気
ター付属別科日本語研修課程修了式が行われました。
の中で行われました。多くの修了生は、総合政策学
昨年春より日本語を学んできた25名のうち、14名
部、外国語学部を受験する予定です。引き続き杏林
が修了証書を手にすることができました。
の学び舎にて、実り多き留学生活を送れることを期
式には長澤俊彦学長をはじめ、多数の教職員が参
教 員 名
北本 清 医学部総合医療学教授
藤原隆明 保健学部教授
石井良章 医学部整形外科学教授
日程・時間
2月27日(月)
17:30∼19:00
3月1日(水)
16:00∼
3月20日(月)
18:00∼19:30
待しています。
テーマ
高齢の慢性腎不全患者さんにおける
保存的治療の意義
白内障の語り
私のBone and Joint Decade
― 12
―
(別科事務係)
場 所
三鷹キャンパス・
大学院講堂
三鷹キャンパス・
大学院講堂
三鷹キャンパス・
大学院講堂
授業を担当した当初、何をしてよいのか分からず大
変とまどいました。しかし、教員間の話し合いで「楽
しくなければ交流ではない!でも、楽しいだけでは交
流ではない!」ということになり、互いに学んだ語学
を生かせる活動として、最終発表では中国語・日本語
で劇をすることになりました。
実質、練習は1コマだったので、教員側もドキドキ
ハラハラの本番当日でした。しかし、発表会では、長
。 。
キター \( ∀ )/!!大ヒットした『電車男』
いセリフも完璧に暗記して臨む学生もおり、予想を上
の登場人物たちがインターネット上で使用する喜びを
回る学生の頑張りに、驚かされました。教員の指示で
表すせりふと絵文字を借りて言い表せば、
「留学生と
はなく、学生たちが自主的に取り組む姿にキター
。 。
\( ∀ )/!これだ!と感じたのです。交流授業の
中国語専攻の学生との交流」授業を終えた私の感想は、
意義は、学生が主体的に取り組む姿勢を引き出すこと
まさにこの一言である。
12月20日(火)外国語学部の中国語の授業に別科で
にあったのだと、気付かされた思いでした。
日本語を学ぶ留学生31人が参加して交流授業を行いま
初めての試みで、十分なことができたとは言い難い
した。外国語学部では外国人留学生と日本人学生が1
が日本人学生・留学生が「交流授業」を通し、学んだ
対1でお互いの言葉で助け合う、ランゲージパートナ
知識を言葉として外に出す楽しさを感じてくれたな
ー制度(単位認定あり)を取り入れており、この交流
ら、意義深いことだと思います。
(外国語学部非常勤講師 中嶋めぐみ)
授業もその一環で行われたものです。
三鷹だより
本学眼科学教室主任 樋田哲夫教授(副病院長)が
日本眼科手術学会の理事長に就任しました。平成18年
1月28日より4年間の任期を務めることになります。
日本眼科手術学会は、1970年にはじめて開催された
「日本眼科顕微鏡手術の会」を前身として1990年に創
立された学術研究団体です。現在会員数約3650名を有
尚、樋田教授は一昨年1月に第27回総会会長を担当し
し、日本眼科学会の関連学会としては最大の学会とな
ております。
っています。眼科手術に関連した臨床的・基礎的研究
樋田教授は日本眼科学会の理事長の任期2年を終了
の発展並びに知識の普及を図り、学術の発展、医療の
し、現在副理事長格の庶務担当常務理事の任にありま
向上に寄与することを目的としています。
す。理事長在任中のリーダーシップは高い評価をうけ
昨年選挙により33名の新理事・監事が選出され、本
今回の手術学会理事長推薦につながったものです。専
年1月27日から3日間東京国際フォーラムで開催された
門的分化の進んでいる眼科学会の中で更なるリーダー
第29回総会に合わせて行われた理事会において樋田教
シップ発揮が期待されています。
授が推薦をうけ、満票にて理事長に選出されました。
(眼科学臨床教授 平形明人)
八王子キャンパス・保健学部図書館に、保健学部第23期卒業生の皆さまから保健科学関係の新刊書籍37点が寄贈されました。
― 13
―
昨年12月28日(水)午後4時30分から本年1月4日(水)午前9時までの年末年始期間中にけがや急病で来院され
た患者様は1,529人で、このうち入院された患者様は88人でした。詳細は次のとおりです。
1.日別患者数
月日
患者数
12月28日
57
12月29日
188
12月30日
227
12月31日
418
1月1日
188
1月2日
200
1月3日
225
1月4日
26
合計
1529
12月29日
15
7
12月30日
22
3
12月31日
18
6
1月1日
16
3
1月2日
17
4
1月3日
14
5
1月4日
3
0
合計
112
29
12月29日
8
12月30日
3
12月31日
6
1月1日
4
1月2日
4
1月3日
6
1月4日
0
合計
32
小児外科
4
泌尿器科
40
脳外
48
産婦人科
19
心外
1
眼科
163
整形外科
148
皮膚科
142
形成外科
50
耳鼻科
105
内科
480
麻酔科
0
精神科
20
合計
1529
(病院庶務課調べ)
2.日別救急車台数
月日
12月28日
1.2次救急
7
3次救急
1
3.3次救急患者数
月日
患者数
12月28日
1
4.診療科別患者数
診療科名
外科
患者数(人)
52
診療科名 小児科
257
患者数(人)
外出先で怪我をした方から当時その場に居合わせた本院の看護師と病院に対し、お礼の手紙が届きました。
また、ICUに入院されていた患者様からも医療関係者に宛ててお礼状をいただきましたのでご紹介します。
(お名前の掲載に当たってはご本人の了承を得ています。
)
謹啓
車の手配や私の所持品から身元を調べておられ、女
歳末ご多忙のおり不躾なお願いですがお許し下さ
性は「私は杏林大学病院の看護師 竹沢です。安心し
い。過日私が道路上で転倒し怪我をした際に、貴病
てください」言い、苦しくないか、痛いところはど
院の看護師さんに大変お世話になりました。ひと言
こかなど、身体の症状に気を配ってくださいました。
の御礼とその後の経過をお知らせして、感謝の気持
その間幾度となく「杏林大学病院看護師 竹沢です、
ちをお伝え下さるようお願いいたします。
安心して」と職場と職業に誇りと自信を持った対応
去る11月25日午前10時30分ごろ、中野区本町6丁
目22番14号先、中央5丁目交番前交差点で、私が信
をしてくださり、私は安心して全てを委ねることが
できました。
号機の表示に従い急ぎ足で横断歩道を渡っていたと
まもなく到着した救急車で中野総合病院へ搬送さ
ころ、急に足が感覚を失い宙に浮き上がり、危険を
れ、ここで脳神経外科と形成外科の治療を受け「顔
感じたため前方の電柱へつかまろうとしたところで
面(鼻隆右側部)挫傷・両側硬膜下水瘤」と診断さ
気を失いました。まもなく意識が戻りましたが顔面
れました。
を強く打ったのか両目とも開きません。様子は見え
それから2週間、昨日(9日)通院4回で一時は顔
ませんが歩道上に寝かされて、足もとに紺色の服装
一面を覆った痣もきれいに消え、MRI検査でも特に
の男性と、頭の方に若い女性が居られ、このお二人
異常はないとのことで治療を終えました。
に看護されておりました。
パーキンソン病歴18年で、最近日内変動が激しく
男性は「警視庁のオービーです」と名乗り、救急
― 14
なり、加えて貧血気味、幅広い青梅街道を急いで渡
―
ろうとしたため途中で急に症状が出たものと思われ
た幸運を話しております。
ます。私を助けて頂いたお二人は、杏林大学病院
駄文で長くなりましたが、私の感謝の気持ちと竹
看護師 竹沢恵美子様、中野警察署 交番相談員
沢様のような立派な看護師さんに出会えたことに喜
野田有信様です。
んでいるとお伝え願えれば幸甚です。
省みれば私は幸運でした。事故に遭遇したとき、
通行人の中に警察関係者と看護師さんがおられたこ
師走の寒さひとしおのこのごろ皆様のご健康と、
貴病院の益々のご隆盛をお祈り申し上げます。
と。そしてこのお二人ともベテランで呼吸の合った
謹白
対応処置は見事なものでした。意識朦朧としながら
平成17年12月10日
も私は安心と信頼感に包まれました。その後、家族
楠 昭
や知人に傷のことを聞かれるたびにお二人に出会え
此の度、心臓外科の手術を受けました。先生方は
もとより看護師さん、その他接する全ての方々の優
れも最高に思えます。清潔さは以前より感じている
ところです。総て、感謝と感動の日々でした。
心より御礼申し上げます。益々の皆様のお力が、
しく、行き届いた態度に感動の連続でした。
先生方の高い技術のお力によって無事終わりまし
た事、感謝です。加えて、施設の充実、清潔さ、こ
発揮されます事、お祈り申し上げます。
山ほどの感謝をこめて。
い南部人気質で親切、大変すごしやすい土地でした。
UAMSは、研究レベルランキングでは現時点では全
米トップ50にはわずかに漏れる大学ですが、基礎・
臨床研究振興に大変力を入れており、今まさに発展
しつつある大学でした。
私が滞在したのは、医学部の解剖学教室に相当す
アーカンソー医科大学付属病院外来棟
入口。杏林大病院にちょっと似ている。
左は基礎系研究室のあるビル。
る「神経生物学・発生科学教室」のGwen V. Childs教
授の研究室で、Visiting professorとして下垂体の細
胞分化とホルモン発現調節にかかわる基礎的な研究
2004年4月より2005年3月までの1年間、杏林大学よ
にたずさわりました。Childs教授は1970年代から下
り海外研修の機会をいただき、米国南部のアーカン
垂体細胞の形態と機能との関わりに興味を持ち、一
ソー州リトルロックにあるUniversity of Arkansas
貫してハイレベルな成果を提供し続けてきた女性研
for Medical Sciences, UAMS(アーカンソー医科大学)
究者で、最近テキサス大学からUAMSへ、解剖学教
にて研究を行ってまいりましたので報告いたします。
室主任として着任された方です。研究室の現在のテ
家族を日本に残して一人の滞在だったこともあり、
ーマは、脂肪の蓄積を調節するホルモン、レプチン
教育その他の業務も離れ、異なった環境で研究に没
が下垂体からも分泌される現象に注目し、下垂体機
頭する貴重な時間を持つことができました。
能の変化と肥満との関係を検討するものや、老化と
リトルロック市はアーカンソー州の州都で最大の
ともに減少する、下垂体からの成長ホルモン分泌が
都市ですが、人口は20万人、東京から行くと、本当
DHEAというステロイドホルモンで回復する現象の
にのんびりとした南部の小都市です。アーカンソー
作用機序についてなどです。いずれも基礎研究では
州のニックネームは“Nature state”
、気候が日本に
ありますが、広く社会的な還元が期待できる現象を
似て穏やかで、州内には50もの州立自然公園が散在
積極的にテーマに取り入れています。小さい研究室
しどこにいっても緑が多く、人々はおおらかで明る
ですが、ちょうどデータが蓄積されはじめており、
― 15
―
まさに発展しつつある研究室でした。私がChilds教
解剖学実習と組織学実習の時期になると交代で実習
授の下を訪れたのは彼女の研究、下垂体の「多ホル
指導に当たるため、研究室で実験する人口も少なく
モン分泌細胞」について興味をもったのが発端で、
なります。何度か肉眼解剖学や組織学の講義・実習
このテーマを扱わせてくれるようお願いし、比較的
に参加する機会を得ました。学生にとっては、
独立した立場で研究を行わせていただきました。設
Visiting Professorの名札をつけ、質問にはたどたど
備・機器面では必ずしも最先端とはいえない環境で、
しい英語でやっと答える私はいい迷惑だったでしょ
正直言って、杏林大に帰れば、あんな設備を使って
うが、私にとっては貴重な機会でした。ちなみに
こういうアプローチもできるのに…ともどかしい思
UAMSの組織学と病理学の実習は数年前から様変わ
いをすることもありましたが、アイデア勝負、効率
りしており、スライドグラスの顕微鏡標本を直接観
重視で研究室内の力を集中させ、短期間に着実に成
察することはせず、あらかじめ撮影された顕微鏡写
果を積み重ねるやり方は大変勉強になりました。私
真がコンピュータ上のデータベースソフトに集積さ
の担当したテーマも1年間の限られた内容ではあり
れ、これを閲覧しながら実習を進める、という形式
ますが、一定の成果を得ることができました。帰国
で、いろいろ考えさせられました。
後も共同研究を続けることになり、幸いにも滞在中
現在では日本の研究レベルはすでに世界のトップ
に申し込んだ日本の科研費ももらうことができ、現
レベルであり、わざわざ海外に出かけて行っても得
在もなんとか実験を行っています。
るものがないこともあると指摘する声をよく聞くよ
滞在中は、医学教育の現場も体験することができ
うになりました。また、滞在期間が1年間では現地に
ました。学生は1学年150人、対する解剖学の教員は
慣れるだけで終わってしまう(ので行く意味がない)
肉眼・神経・組織・発生をあわせて20人ほど、解剖
ということもいわれます。しかし、私に関して言え
学教室の教員が、教育に費やす時間が大きいのは日
ば、研究に対する、あるいは仕事や人生に対する考
本でも米国でも同じらしく、秋の新学期からの肉眼
え方の異なる人々との共同研究の経験は、今後の自
分の研究・教育への携わり方を決める非常に意味のあ
る経験であったと感じています。海外派遣の実施の
ためにお骨折りくださった、松田理事長をはじめ大
学当局の方々には深く感謝いたしております。今回
の機会の実現には、解剖学の松村、川上両教授には
全面的にサポートしていただき、また解剖学 平野名
誉教授には終始勇気付けていただきました。そして
何より、私の1年間の不在中、教育や様々な教室業務
を肩代わりしていただいた解剖学教室やその他のご
1年生の組織学実習風景。学生はコンピュータ
上に表示される画像を使って実習を進める。
関係の方々のご協力なくしては不可能な体験でした。
この場をお借りして皆様に厚く御礼を申し上げます。
― 16
―
本学名誉教授辻 守康先生は平成18年1月12日に満74歳でご
逝去されました。葬儀は1月17日(通夜)および18日(告別
式)に千葉市にて執り行なわれました。
先生は平成2年4月、杏林大学医学部寄生虫学講座(当時)
教授として広島大学医学部より赴任されました。以来、平成
14年医学部教授を御退職されるまで医学部寄生虫学講座教授
および同感染症学講座、熱帯病・寄生虫学部門教授として12
年にわたり、医学教育および医学研究に御尽力されました。
また、平成14年4月より3年間、杏林大学大学院国際協力研究
科・客員教授として大学院生への研究指導を行うとともに、
外務省・厚生労働省感染症対策国際保健有識者委員会委員、
東京都感染症予防医療審議会委員などの役職も務められまし
た。
先生の熱帯病・寄生虫学領域における御業績は国際的にも
高く評価され、昭和50年日本寄生虫学会小泉賞、昭和55年フ
ランス共和国教育功労勲章、平成11年日本寄生虫学奨励会桂
田賞などが授与されています。また、先生は開発途上国、特
にアフリカ諸国における寄生虫感染症対策および国際医療協
力に多大なる御貢献をされ、昭和62年日本外務大臣表彰、平
成8年日本医療功労賞、平成13年中央アフリカ共和国教育功
労勲章などが授与されています。加えて平成16年4月、本学
大学院国際協力研究科、国際医療協力専攻分野の開設に際し
て、御尽力いただきました。更に昭和55年日本衛生動物学会
会長、平成3年日本寄生虫学会会長、平成9年第9回国際寄生
虫学会会長などの学会会長を務められ、それぞれの学会の進
展に大きく貢献されました。
先生と私の教授室は基礎研究棟6階に、しかも隣り合わせ
にありましたので、私にとって解決困難な問題が派生する度
に先生のお部屋を訪ね、先生のお考えを授かり、事無きを得
たことが度々ありました。先生も「調子はどうですか?」と
本学総合政策学部 元教授 伊藤 潔先生は、平成18年1月
16日朝、心不全により、杏林大学病院にてご逝去されまし
た。ご葬儀は、ご本人のご意思により近親者のみで執り行
われました。まずは謹んでご報告申し上げます。
またご家族のもとには、生前先生と深い親交のあった、
台湾の李 登輝前総統から弔辞がおくられてきたとのこと
です。
さらに日本と台湾との真の意味での相互理解に、誠心誠
意努めてこられたことから、伊藤先生の訃報は台湾の新聞
でも報道されました。
先生は、昭和37年に台湾大学を卒業されましたあと、昭
和44年には早稲田大学を卒業され、昭和55年には東京大学
から文学博士の学位を取得されています。津田塾大学、横
浜国立大学、東京大学、二松学舎大学などで教鞭をとられ
たあと、平成7年4月から本学社会科学部(現総合政策学部)
教授として赴任されました。
先生のご専門は、東南アジアを軸とする国際政治学で、
― 17
言いながら、私の部屋にいらして、私の学内での生活ぶりを
観察していらっしゃったと思っております。辻先生の杏林大
学ご在職時代、先生のお考えに近しく触れさせていただくこ
とができたことは、私にとってこの上ない幸運であったと思
っております。
先生は言語の極めて堪能な方でした。昭和41年フランスの
リール大学に御留学中、教授の代講をフランス語でこなした
ことは有名です。また、平成5年先生の中央アフリカ共和国
における国際医療協力に対する御尽力が評価され、ヘルマン
郡、ケラ村名誉村長ともなられました(ケラ村での寄生虫症
対策援助は昭和50年から平成17年まで実に36回を数えており
ます)
。しかし、これらの事例は先生の語学力のみに依るも
のではなく、国境の隔てなく万人を愛する先生のヒューマニ
ズムに裏打ちされたやさしいお気持ちに根ざしたものであっ
たと確信しております。また、先生の情熱のこもった教育の
結果、熱帯病、寄生虫学、国際医療協力などの分野で現在、
数多くの医療従事者・研究者が世界中で活躍しています。
辻 先生、長きにわたり、熱帯病学および寄生虫学の発展
と国際医療協力の向上に貢献していただきましたことを心よ
り感謝いたしますとともに、先生の御冥福を心よりお祈り申
し上げます。
(医学部感染症学教授 神谷 茂)
主として東洋政治史、途上国法政論、開発途上国法政論演
習などを担当されました。
我々のなかにあって、屡々ご指摘いただいた大所高所か
らのご指導はもはや戴けないことが残念ではありますが、
これからも我々を見守っていただきたいと思います。
謹んで哀悼の意を表し、心より先生のご冥福をお祈り申
し上げます。
(総合政策学部学部長 千葉 洋)
―
伊藤潔先生の御葬儀が執り行われるにあたり、ご
霊前に追悼の言葉を申し上げます。
先生はご生前、多大なる学術的な貢献を果たされ
ましたが、それとともに台湾人として、日本人とし
て、台湾と日本という二つの祖国を愛され、両国の
親善交流に指導的な役割を果たされたことは、誰も
が認める先生の大きな功績であります。
ことに生涯をかけて台湾の独立建国のために邁進
されたことに、私は尊敬の念を禁じ得ません。
思えば私が総統在任中、台日関係のため、両国間
を頻繁に往来された先生は、台湾が中国の一部など
ではなく、民主自由の主権独立国家であることを日
本国民に広く紹介され、また私のよきアドバイザー
として、両国関係の在り方について、さまざまな助
言を与えてくれたものでした。
先生が一貫して唱えられたように、台湾は台湾人
の国として、国際社会における地位を獲得し、日本
とともにアジアのそして世界の平和と安定のために
1月16日に亡くなられた総合政策学部の伊藤 潔元教
授のご家族のもとに、生前 深い親交のあった台湾の
李 登輝前総統から弔辞がおくられてきました。
大いに貢献していかなければなりません。
私は先生のお志を無駄にしないためにも、これか
らも台湾のため、台日共栄のために全力を尽くして
伊藤 潔(旧名 劉 明修)元教授の専門は東南アジアを
中心とする国際政治学で、国際社会における日本と台
湾の立場の理解を深めるため活動してこられ、伊藤元
行く所存です。
ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお
祈り申し上げます。
教授の訃報は台湾の新聞(写真)でも大きく報道され
2006年1月16日
ました。
台湾前総統 李 登輝
文化・スポーツ
2004年10月、中ロ国境が「折半の原則」に基づいて
最終的に解決した。翌年1月には、ロシアとカザフス
タンとの国境も「折半の原則」に立脚して全面的に解
決した。しかし、日本とロシアの間にある北方領土問
題は、解決の目途がついていない。プーチン大統領は
わが国の固有の領土たる北方4島(択捉、国後、歯舞、
色丹)のうち、面積的に7パーセントにあたる歯舞・
色丹両島の対日引渡しにより、北方領土問題の決着を
つけることを望んでいるようだ。だが、これは日本に
― 18
―
とって受け入れがたい。プーチン大統領が昨年11月来
は内閣府、外務省、文部科学省である。杏林大学から
日し、小泉首相と首脳会談を持った。しかし、日ロ間
は2名が参加した。
一人は大学院生の菊池誉名君で、もう一人は坪野谷
の溝は依然として大きい。
北方領土問題とは何か。どのように発生し、どのよ
和樹君だ。両名ともかなり熱心に3日間にわたるゼミ
うにしたら解決できるのか。北方領土問題への理解を
ナールに参加してくれたようだ。ある方より両名とも
深めるため、昨年夏(8月31日∼9月2日)
、根室で大学
討論会でリーダーシップを発揮してくれたとのお褒め
生や大学院生を対象としたゼミナールが開催された。
の言葉を頂いた。以下は、二人の感想である。
主催は独立行政法人の北方領土問題対策協会で、後援
元島民の言葉に感銘 大学院国際協力研究科 菊池誉名
北方領土は、歴史上一度も外国の領土になったこと
「北方領土に眠る親の供養と思って、返還運動に取り
はない日本固有の領土です。しかし、戦後60年たった
組んできた」といわれた言葉に感銘を受けました。か
今も、ロシアから返還される見込みすらたっていませ
の土地は、日本人の手で開拓され、そこで生活が営ま
ん。
れた場所であり、私たちがこの土地を忘れてしまうこ
そのような中、根室で開かれたゼミナールに参加で
きたことは、貴重な経験でした。ゼミナールでは、元
とは、そこで生きた方々の歴史とその霊を見捨てるこ
とだと思い改めました。
島民の方との意見交換、学生同士の討論会、講師の先
その他にも多くを学びました。今後はこの経験を生
生方からの講義、また、船で歯舞群島の洋上視察まで
かし、知識を深め、北方領土問題に取り組んでいけた
させて頂きました。その中でも特に、元島民の方が
らと思っています。
北方領土問題を子供たちにしっかり教えたい 総合政策学部2年 坪野谷和樹
戦後60周年という節目の年に、第5回北方領土ゼミ
状です。ところが、学校教育では、北方領土について
ナールが開催された。北海道から沖縄まで計42名の大
詳しく教えてはいません。日本人として誇りを持って
学生や大学院生が参加し、8月31日から9月2日までの3
子供たちにきちんと教えていくべきなのではないかと
日間行われました。参加者の専攻はさまざまで、あら
思いました。政治信条に関係なく、人間として、日本
ゆる視野の意見が飛び交い、改めてこの機会に参加で
人として大切なものを持ってもらいたい。だから私は
きたことに感謝しています。
今後も胸を張って「北方領土は日本の領土だ!」と次
そもそも北方領土は、わが国固有の領土であり、ソ
世代へ伝えていきたいと思います。
連・ロシアによる実効支配が続いているというのが現
長から災害時支援ボランティアの養成に関して協力依
頼がありました。この災害時支援ボランティアは、阪
神淡路大震災を契機にして平成7年7月から東京消防庁
が本格的に導入し、各消防署で募集を開始しているも
ので、今回は八王子市内では首都大学東京と創価大学
と本学の3大学に依頼してきたものです。
学生課では日頃から長澤俊彦学長から地域における
様々なボランティア活動に積極的に関わっていくよう
に指示を受けていることから、早速教職員及び救急救
命士課程で専門的な知識を持った学生と運動部で心身
を鍛え体力と組織力のある学生に呼びかけ、12月22日
保健学部に救急救命士課程を持ち、救命救急の専門
八王子キャンパス武道場で第1回のボランティア養成
家を育成している本学に対し、昨年11月八王子消防署
のための講習会を開きました。講習会は八王子消防署
― 19
―
の全面的な協力を得て開かれ、学内から学生51名、職
では救急手当ての実技で人口呼吸法、心臓マッサージ
員1名、合計52名が参加して災害時支援ボランティア
(心肺蘇生法)とAED(自動体外式除細動器)の取扱い等
として登録されました。
を含めて約3時間の指導が行われました。
講習会では、まず入江正剛八王子消防署長から災害
今回、保健学部救急救命士課程の深澤政富講師の協
時支援ボランティア制度の意義と目的についての概略
力により、多くの学生が有志で参加してくれたことに
説明が行われた後、岩崎高徳防災指導係長から講義及
深く感謝いたします。
(学生課課長 上野文英)
び普通救命講習の実地訓練が行われました。実地訓練
杏林大学が今年度企画した公開講演会および公開講
政策について分かりやすく解説し、ワシントン在住の
座は、1月20日(金)
、今年度から本学の客員教授に就任
国際報道記者として名高い古森義久氏の本学客員教授
した古森義久氏が三鷹キャンパス大学院講堂で、
「国
就任記念として企画した「国際情勢と日本」と題した
際情勢と日本」と題して行った公開講演会をもってす
講演では、ワシントンからみた日本と日本を取り巻く
べて終了しました。
国際情勢について解説し、大勢の熱心な受講者の関心
今年度は全学から提案をいただいた22件のテーマの
中から、別表の通り11回の公開講演会と4つの連続公
に応えました。
さらに、いま日本語ブームといわれ、日本語への関
心が高まっているのに応えるために企画した外国語学
開講座のテーマを選び実施しました。
このうち公開講演会では11回のうち7回が健康・医
部の金田一秀穂教授による「日本語の使い方」と題し
療シリーズと題して開催した講演会で、生活習慣病や
た講演会では、200人を上回る受講者が詰め掛け八王
最近多い赤ちゃんの病気のほか、海外旅行の際の危険
子学園都市センターの会場がいっぱいとなり、センタ
性が指摘され、一昨年の中越地震被災地での車中泊で
ーの関係者を驚かせたほどでした。また、映画「ロー
問題になったエコノミークラス症候群などをとりあげ
ド・オブ・ザ・リング」の翻訳の監修をした伊藤盡助
ました。いずれも多くの市民の関心を呼び、講演会が
教授による「北欧神話の旅」と題する講演会では、他
終わったあとも受講者が講師を囲んで病気の治療の相
の講演会などでは見られない若い市民も多く参加し、
談をするといった場面が見られました。
来年もぜひ聞いてほしいという要望が多数寄せられま
また介護問題では保健学部の2人の講師が長寿国日
本が抱える問題点と介護の仕方についての具体的な解
した。
連続公開講座では、「古代エジプトの神々と人々」
説の2つのテーマの講演を同じ日に連続して行うとい
や「釈迦最後の教え−遺教経を読む−」も早くから予
うジョイント講演会を調布市で初めて開催しました。
約が定員に達し、昨年から2回目となる「中国語で味
この講演会でも多数の受講者があり、介護問題を個々
わう漢詩」と「シェイクスピアの世界」の2講座も、
の問題としてだけではなく地域としての介護のあるべ
講師を中心にした交流の場が発足するなどかなりレベ
き姿を示した、杏林大学らしい講演会だったと好評を
ルの高い受講者をひきつけました。
こうして本学が今年度開催した公開講演会と連続公
博しました。
一方、社会問題や国際政治の今日的課題をテーマに
開講座には合計で1,100人近くの受講者が参加し、本学
した講演会では、今年も「北朝鮮問題」をとりあげ、
の誇る多様な講師陣による講演を楽しみました。いず
総合政策学部の倉田秀也教授が「北朝鮮の核開発問題
れも多くの受講者から来年もまた受講したいといった
と日本」と題して講演を行いました。開催直後に1年
満足度の高いアンケート回答が寄せられています。
ぶりに6ヶ国協議が再開されるという絶妙のタイミン
また開催形式としては、今年度は本学主催の講演会
グもあって受講者との間で熱っぽい議論が展開される
のほかに、八王子学園都市センター主催の「いちょう
などこの問題に対する意識の高さを窺わせていまし
塾」に本学の講師を派遣して開いた講演会や調布市文
た。
化・コミュニティ振興財団が主催する「調布市内・近
またプーチン大統領の初来日に合わせて企画した
隣大学公開講座」
(大学等8校参加)に正式に参加して
「近くて遠いロシア」と題した講演ではロシアの外交
3つの講演会を開くなど形式も多様化しています。さ
― 20
―
らに三鷹市が今年度からスタートさせた「三鷹ネット
【講演】
ワーク大学」では、長澤俊彦学長が他の13の教育、研
実施日
究機関の代表者とともに講演を行いました。
5/28
これらの講演会等の企画・実施にあたって、学園関
講 師
斎藤元秀
総合政策学部教授
山本 実
医学部教授
巌 康秀
医学部教授
倉田秀也
総合政策学部教授
韮澤融司
医学部教授
細井 温
医学部講師
伊藤 盡
外国語学部助教授
飯田加奈恵
保健学部教授
塚原洋子
保健学部教授
金田一秀穂
外国語学部教授
古森義久
杏林大学客員教授
6/11
係者の多大のご協力をいただきました。お蔭様で講演
会を通して地域社会に貢献すると同時に一般市民の本
学への関心を高めることができたものと考えます。あ
りがとうございました。
今後はさらに自治体の市民大学開催の動きが強まっ
7/15
7/23
9/3
て、自治体からの講師派遣の要請が増えることが予想
9/17
されます。地域との連携を強めるためにも地域社会に
10/20
喜ばれる多様な講演メニューを取り揃えていくことが
必要だといえます。公開講演会や公開講座への全学的
11/19
な取り組みを強めることがこれまでにも増して求めら
れています。
なお広報・企画調査室が担当したものとは別に、保
健学部では独自に八王子学園都市大学「いちょう塾」
に参加して11回の講座を実施しました。
12/3
1/20
テーマ
近くて遠いロシア
健診で分かる怖い病気
痛みの治療:神経痛とガンを
中心に
北朝鮮の核開発問題と日本
小児外科からみた最近多い
赤ちゃん、子どもの病気
エコノミークラス症候群を
どう防ぐ
北欧神話の旅
健やかに毎日を送る
長寿社会でいきいき暮らす
日本語の使い方
国際情勢と日本
【講座】
10/3∼
10/5∼
10/26∼
11/1∼
1 目的
笈川博一
総合政策学部教授
中村信幸
外国語学部教授
満江
外国語学部教授
川地美子
元外国語学教授
古代エジプトの神々と人々
(全5回)
釈迦最後の教え「遺教経」を
読む(全3回)
中国語で味わう漢詩(全5回)
「ハムレット」の謎と魅力を
探る(全5回)
各職場では、これらの教訓を生かし、職場環境を総
春は季節風が強く吹き、空気が乾燥します。そして
点検してマイナス事案を除去するとともに平素の自主
火災が発生し易く大火になりやすい季節です。春の火
防火管理を徹底し、再発防止のため、次の安全対策を
災予防運動をとらえ、火災予防思想の普及啓発を図り、
積極的に推進しましょう。
防火防災意識を高め一人一人が防災行動力を身につ
(1) 自主防火管理の推進
け、学園から火災発生を防ぎ、火災から貴重な財産を
ア 多くの化学薬品や危険物を扱う研究室等の施設
守りましょう。
では、特に防火管理意識を高く保持し、容器
2 重点目標
の転倒、転落、破損防止のため棚の設定、セ
昨年は、9月に基礎臨床棟の冷凍庫の差込プラグ部
パレートされた収納箱の活用等に努めましょ
分のトラッキング火災、そして12月には、第三病棟病
う。
室においてライターの不適切な使用による火災が発生
イ 多量の危険物を取扱う研究室等は、一時的に指
し、本年1月には、基礎臨床棟において、たばこの吸
定された危険物貯蔵庫に保管し、研究室内で
殻の不始末により再び火災が発生するなど、いまわし
は必要最小限の量を取扱うようにして法令を
い事故が続きました。幸いにして、関係者の適切な行
遵守しましょう。
動により延焼拡大を免れ小火ですみましたが、非常に
ウ 過去の病院及び学校火災の、原因の第一順位は
残念です、職員一人一人が反省し、発生の絶無に当た
放火、第二順位はたばこです。
らなければなりません。
入院される患者様又は家族等関係者には、指定
― 21
―
(3) モラルの向上
された場所以外での喫煙禁止の厳守、必要以
外の火気類の持ち込み禁止等について徹底し
職場の施設環境等がいくら充実していても、それ
ましょう。
を活用する人の意識やモラルが欠如していては不
安定要因が増大するばかりです。安全・安心を確
エ 適正な自主点検の実施
火元責任者等は、所属内の電気機器、消防設備、
保するため、一人一人が普段から自覚し周囲への
避難施設の状況等適正に把握し、異常状況を
気配りが行えるよう自己を高め、意識改革をしよ
確認した時は、すみやかに改修し適正且つ安
う。
全状況の確保に努めましょう。
4 主な火災予防運動計画
(2) 防災行動力の向上
ア 災害発生時、職員一人一人の迅速的確な行動に
計 画 実施日
ついて、所属上長を中心に再確認しましょう。
火気使用器具や電気配線、電気器具のコード、
特に、夜間・休日等職員在室者が最少人員の
時は、他の部署の職員との連携を含めシュミ
実施要領
・各所属火元責任者が中心となり担当区域内の
自主防火
点検
レーションしておきましょう。
コンセント等の安全点検を実施する。
期間中 ・指定場所(憩いの広場)以外での「喫煙の禁
止」が守られているか確認する。
・階段、通路、防火戸等の周囲にロッカー、椅子
イ 消火器、屋内消火栓等の設置場所、及び非常口
等の物品が置かれ避難障害になってないか確
等の設置場所の再確認と取扱の習熟に努めま
認をする。
しょう。
・各所属ごとに自主訓練を実施する。
ウ 各所属では、通報、初期消火、避難誘導訓練等
消防訓練 期間中 ・防火設備、消防設備等の設置場所、取扱いの確
認訓練を実施する。
を実施し、災害発生時被害の軽減に努めまし
ょう。
* 防火管理者を定めなければならない一定規模以上の事業所
における火元責任者は、防火管理者の指示を受け、消防計画
3 安全な施設の環境づくり
に基づき防火管理業務を積極的に推進するよう定められてい
(1) 避難施設の確保
ます。
(消防法第8条、消防法施行令第4条)
階段、通路、非常口、防火戸等の避難施設及び消
火器、屋内消火栓等の消防用設備の付近には、避
当学園についても、火元責任者に対して、
「学園消
難障害、活動障害となる物件は放置しないこと。
防計画」第2章、第1節、第9条により、火気設備等、
(2) 「放火されない」
「放火させない」為の環境整備
消防用設備等、避難施設等、危険物施設等の維持管理
の励行
及び自主点検の実施及び報告等について定められてい
階段、通路、トイレ等にはダンボール等、可燃物
ます。
は置かないようにして「放火されない」
「放火さ
(防火管理者 鈴木芳男・浅野 稔)
せない」環境づくりをしましょう。
新興国のFTAと日本企業
編著 馬田啓一 総合政策学部教授 ほか
出版 ジェトロ(日本貿易振興機構)
定価 2,200円+税
発行 2005年12月15日
頁数 248ページ
― 22
―
新興国において自由貿易協定(FTA)締結の動きが加
速する中、日本企業がいかにFTAに敏感かつ有効に対
応していけるかが、今後の新興市場展開において極め
て重要になってくると思われます。
本書は、そうした観点から、ジェトロ(日本貿易振興
機構)の研究スタッフを中心とする執筆陣によって、
世界各地に広がるFTAの動きを概観し、今後より一層
の成長が見込まれるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、
中国)、ASEANといった新興国の対外経済戦略(FTA
等)とそのインパクトを整理した上で、日本企業の新
興市場戦略の課題をまとめたものです。
本書が、新興国のFTA動向や日本企業の新興市場戦略
について関心をお持ちの方々にとって、参考になれば
幸いです。
日本の新通商戦略
本書は、農業交渉の対立や投資ルール問題の先送りな
−WTOとFTAへの対応−
ど難航する新ラウンド、忍び寄るWTO体制の危機、
編著 馬田啓一 総合政策学部教授
ほか
出版 文眞堂
定価 2,600円+税
発行 2005年9月30日
頁数 250ページ
活発化する東アジアのFTA締結競争、出遅れた日本の
FTA戦略の問題点など、学会を代表する気鋭の12名
が、WTOとFTAへの対応を中心に、日本の新通商戦
略の課題と今後の方向性を明らかにしたものです。
今後の日本の通商政策について読者が考える上で、本
書がいささかでも寄与することができれば幸いです。
このコーナーへの掲載については、広報・企画調査室にお問合せください。[email protected]
表彰対象者: 39名 【内訳】 勤続30年:21名 勤続20年:18名
◆ 勤続30年 ※氏名:五十音順
氏
名
所
阿久津 善裕 ◆ 勤続20年 ※氏名:五十音順
属
氏
名
所
属
本 部
浅野 紀子 病 院
伊藤 恵理子 病 院
浅間 泉 病 院
加藤 匡伸 病 院
市川 浩三 病 院
神永 信吾 病 院
植竹 みち子 本 部
栗原 保雅 本 部
上原 睦美 病 院
小池 秀海 保健学部
大島 かずみ 医学部
斉藤 宏美 医学部
岡崎 充宏 病 院
関 恒一 本 部
加藤 英世 保健学部
曽根田 實 本 部
小林 博子 保健学部
高田 雅範 病 院
小山 登志美 病 院
病 院
佐藤 英樹 病 院
田口 カヅ子 病 院
繁田 佳緒理 病 院
冨樫 憲弥 本 部
首藤 淳
病 院
西尾 博子 八王子事務部
鈴木 英子
病 院
西村 紀子 病 院
武内 啓誌
病 院
畠山 悦子 図書館
春木 真由美
病 院
平河内 進 病 院
松山 真理
病 院
前原 俊明 病 院
森 美穂子
病 院
松井 利博 医学部
宮本 淳子 病 院
吉田 聖子
病 院
戸谷 繁通 各種助成金
平成17年度 田辺賞研究助成金
財団法人 痛風研究会
氏 名
所属・職階
研究テーマ
助成金額
安西尚彦
薬理学教室・学内講師
腎臓近位尿細管管腔側膜の尿酸トランスポーター分子同定と細
胞内PDZタンパク質による尿酸輸送の分子機構の解明
100万円
第22回開発研究助成金
(財)中谷電子計測技術振興財団
氏 名
所属・職階
研究テーマ
助成金額
三谷博子
保健学部臨床生理学・講師
SSR検出電極を内蔵した指先センサによるSASの型判定検出装
置の開発
100万円
― 23
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寄付金申込者 芳名
(17年12月分)
青島勝昭様
石井輝男様
臼井 稔様
大森 武様
小沢 勇様
金子照男様
君島義一様
佐藤友保様
高野利也様
竹山悦男様
金
20,000円
立澤 忠様
金
20,000円
坪井和枝様
金
20,000円
西之原勝久様
金
20,000円
針替洋一様
金
20,000円
船岡芳英様
金
50,000円
山方 博様
金
20,000円
山本 昭様
金
100,000円
金額のみ掲載 24件 金760,000円 よむ
・き
る・
教育研究寄付金 金 20,000円
金 20,000円
金 20,000円
金 20,000円
金 20,000円
金 80,000円
金 20,000円
金 100,000円
金 20,000円
教職員メディア情報
新外科病棟建設寄付金
垣内 晃様
金 100,000円
医)栗林小児科医院様
名前のみ掲載
医)後藤内科医院様
山田和昭様
後藤みどり様
伊藤 久様
仁科秀雄様
金額のみ掲載 4件 金2,000,000円
一般寄付金(教室分)
匿名寄付 35件 金29,066,600円
(解剖学、眼科学、感染症学、救急医学、形成
外科学、外科学、高齢医学、整形外科学、第一
内科学、第二内科学、第三内科学、泌尿器科学、
皮膚科学、法医学、放射線医学、薬理学)
新聞・雑誌・テレビなどマスコミの取材を受け、テレビに出演した
あるいは記事に掲載された教職員の皆さまを各号でご紹介します。
・み
く
松井啓
総合政策学部客員教授
平成17年12月8日
家族:国際化時代のきずな
読売新聞
家族の一員が海外で生活することも珍しくない。家族のあり方についてコメント
千葉厚郎医学部助
教授、内堀歩医学
部非常勤講師
平成17年
12月19日
日本経済新聞
急性小脳炎の仕組みを解明―杏林大学
ウイルスに感染した後などにまれに起こる急性小脳炎の仕組みを突き止めた
産経新聞
注目の東アジア情勢:ジェームズ・ケリー前米国務次官補と語る
ブッシュ政権第1期に東アジア太平洋問題担当実務責任者として活躍したジェームズ・
ケリー氏と日米同盟、中国問題などについて論じる
1月21日
緯度・経度:財務官僚の「ODA利権」
産経新聞
日本外交の主要な柱とされてきたODAのあり方が再度見直しされることに
1月6日
米政府の対中政策の変化に注視せよ “言葉のミサイル”使いたい日本
産経新聞
米政府がとる対中政策を例に、日本のとるべき方策を解説
1月17日
論陣・論客 日本の東アジア外交
読売新聞
日米同盟を活用し、大きな外交ビジョンを持って対応すべき
杏林大学
救命救急センター
1月16日
イブニングファイブ「小児救急医療の最前線」
TBSテレビ
年末年始の救命センターの様子などを取材
塩川芳昭
医学部教授
1月25日
ためしてガッテン:見逃せない!脳卒中の落とし穴
NHK総合テレビ
くも膜下出血について解説
斎藤元秀
総合政策学部教授
2月7日号
平和条約こそ経済協力の弾みに 世界週報
平和条約未締結の状況下では、日本の対露経済協力に一定の限界がある
波利井清紀
医学部教授
2月1日
スーパーニュース「笑顔の再建手術」
フジテレビ
波利井教授開発の顔面神経麻痺回復手術をTVが特集で紹介
週刊朝日
手術数でわかるいい病院2006 全国&地方別ランキング 2月5日臨時増刊号
本学付属病院の網膜硝子体手術が全国4位にランキング
病院
特別寄稿:杏林大学医学部付属病院中央病棟
2月号
中央病棟の紹介記事が特別寄稿として4ページにわたって紹介される
1月1日
古森義久
杏林大学客員教授
田久保忠衛
杏林大学客員教授
杏林大学病院
杏林大学病院
このコーナーは皆さまからの情報提供により構成されています。 広報・企画調査室 [email protected]
お詫びして訂正いたします
発 行
あんず12・1月合併号に訂正がありました。
13ページ
誤 小嶋(田鍋)志帆
正 小嶋(田鍋)志保
連絡先
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平成 18 年 2 月 20 日
あんず編集委員会
東京都三鷹市新川6- 20 -2
TEL 0422 (44) 0611 広報・企画調査室
FAX 0422 (44) 0892
E-mail [email protected]
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