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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの

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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの
Oracleホワイト・ペーパー
2011年10月改訂
Oracle Database 11g Release 2
Oracle Automatic Storage Managementの
拡張によるあらゆるデータの管理
Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
概要 ................................................................................................................. 1
はじめに .......................................................................................................... 1
あらゆるデータに対応する1つのソリューション .......................................... 3
Oracle ASM Cluster File System(Oracle ACFS) ........................................ 4
Oracle ASM Dynamic Volume Manager .......................................................... 5
ACFSスナップショット .................................................................................. 6
Oracle ClusterwareのOCRと投票ファイルのサポート .................................. 7
システム管理者およびデータベース管理者向けの拡張機能 .......................... 7
Oracle ASMのインストールおよび構成ツール .......................................... 7
フル機能を備えたOracle ASMCMDの拡張 ................................................ 8
機能面の強化 ................................................................................................... 9
ASMファイル・アクセス制御(ACL) ..................................................... 9
ASMディスク・グループの名前変更 ......................................................... 9
ASMファイル・マッピング ..................................................................... 10
Oracle ASMの4kセクター・サイズのサポート........................................ 10
Intelligent Data Placement(IDP)を使用したパフォーマンス・
チューニング ............................................................................................ 10
Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
概要
ストレージの所要量が18カ月ごとに倍増している中で、オラクルの顧客は、データセンターにおけるスト
レージ管理の複雑な課題に取り組み続けています。従来のストレージの管理手法は、複雑でコストがかかり
過ぎます。なぜなら、ストレージ・ハードウェア・プラットフォーム、ボリュームおよびファイル・システ
ム管理プラットフォーム、クラスタ・プラットフォームを選択する際は、多くの場合、顧客が多数のツール
やソフトウェア・レイヤーをまとめ上げるインテグレータにならざるを得ないからです。また、構造化デー
タと非構造化データの両方を複数のプラットフォーム上で効果的に管理するとなると、さらに問題は複雑に
なります。サポートを得るためには、さまざまなベンダーとやり取りする必要があり、また、習得しなけれ
ばならないツールは、ユーザー・インタフェースも、インストール、構成、パフォーマンス・チューニング、
管理全般に対する手順も異なっています。
はじめに
Oracle Database 11g Release 2では、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)機能が拡張されまし
た。これにより、Oracleデータベース・ファイル、Oracle Clusterwareファイル、汎用の非構造化データ(バ
イナリ・ファイル、外部ファイル、テキスト・ファイルなど)を含む、すべてのデータを管理できます。あ
らゆるファイル管理におけるニーズを満たす、統一された総合ソリューション・スタックを提供するOracle
ASMを利用することで、サード・パーティのボリューム・マネージャ、ファイル・システム、クラスタウェ
ア・プラットフォームを使用する必要はなくなります。これにより、簡素化と自動化が推進され、コストと
オーバーヘッドが削減されます。
次に、Oracle ASM 11g Release 2で導入されたおもな強化機能を挙げます。これらは、ストレージ管理をいっ
そう簡素化し、オラクルの顧客に価値をもたらすものです。
• 汎用のOracle ASM Cluster File System(Oracle ACFS)
• Oracle ASM Dynamic Volume Manager(Oracle ADVM)
• Oracle ACFS向けのスナップショット・データ・サービス
• Oracle ClusterwareのOCRと投票ファイルのサポート
• システム管理者およびデータベース管理者向けの拡張機能
• 機能面の強化
• パフォーマンス・チューニング
図1は、統合ソリューションとしてのASMアーキテクチャの概要を示しています。Oracle ASMは、Oracle
DatabaseとReal Application Clustersの要件をネイティブで満たすと同時に、その他すべてのアプリケーション
およびサード・パーティ製のファイル・システムのプラットフォームとしての役割を果たします。
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
ASMインスタンスは、今後も、Oracleデータベース・ファイルを直接管理する場合のもっとも効果的な手段
となります。ASMインスタンスを使用したディスク・グループ(ストレージ・プール)管理は、高度に自動
化されているため、管理が非常に容易で、最高レベルのパフォーマンスが得られます。Oracle ASMが提供す
る統合環境では、複数のデータベースを同じディスク・グループ内に格納し、管理できます。さらに、
Oracle ASMではOracle Cluster Registry(OCR)ファイルおよび投票ファイルが自動的に作成され、高い整合
性と可用性をもって管理されます。
さらに、ASM Dynamic Volume Managerと呼ばれる動的ロード可能なカーネル・ボリューム・マネージャが
導入されました。これは、Oracle ACFSファイル・システムだけでなく、サード・パーティ製のファイル・
システム(Linux ext3など)にも対応する、汎用のボリューム管理プラットフォームです。Oracle ASMの動
的ボリュームは、ストレージ・プロビジョニング、リバランシング、冗長化、自動化をはじめとする、強力
なASM機能のすべてを活用しており、ASMインスタンスによって管理されます。
ASM Cluster File Systemは、POSIX、X/OPENに準拠した、スケーラブルで新しい汎用ストレージ管理テクノ
ロジーです。Oracle ACFSは、ASM機能を拡張することで、LinuxプラットフォームおよびWindowsプラット
フォームを対象に、Oracleデータベース・ファイル以外のすべてのファイルをサポートします。Oracle ACFS
がサポートするファイルには、Oracleバイナリ・ファイル、アプリケーションの実行可能ファイル、トレー
ス・ファイル、アラート・ログ、 BFILE、オーディオ/ビデオ/イメージ・ファイル、およびその他すべての
汎用ファイルが含まれます。このリリースで最初に導入された付加価値サービスは、ACFSスナップショッ
トです。ACFSスナップショットは、容量効率が高い、読取り専用のOracle ACFSファイル・システム向けポ
イント・イン・タイム・スナップショット・テクノロジーです。
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
あらゆるデータに対応する1つのソリューション
1つの統合ソリューションを活用してすべてのデータを管理できるため、オラクルの顧客は、もはやシステ
ム・インテグレータとなってさまざまなベンダーが提供する各種ソフトウェア・レイヤーを統合する、と
いった複雑な作業に煩わされることはありません。ASM、ADVM、ACFS、およびASMスナップショットは、
Oracle Database、Oracle RAC、Oracle Clusterware、その他のOracleテクノロジーと緊密に統合されており、十
分にテストされた包括的なソリューションです。
Oracle Database 11g Release 2のASM機能は、オラクルがサポートするすべてのOSプラットフォームで利用で
きます(当初のACFSとADVMは、LinuxおよびWindowsで利用可能)。また、どのプラットフォームでも同
じユーザー・インタフェースを使用して管理を実行できます。Oracle ASMのメリットは、管理インタフェー
ス、インストールおよび構成ツール、クラスタウェア・フレームワーク、サポート・ベンダーのいずれもが
統一されている点にあります。
Oracle ASMは、ストレージやASMの構成変更に関係なくデータベースの可用性を向上させるように、常時オ
ンラインを意図して設計されています。また、Oracle ASMは自動化の革新を続けることで、Oracleデータ
ベース・サーバー環境のファイルおよびストレージ管理をさらに簡素化します。ASMアーキテクチャを利用
すると、うんざりするような複雑な管理を実行しなくても、最高のパフォーマンスとバランスの取れたI/O分
散が継続的に実現されます。Oracle ASMは、非常に小規模のデータベースから数百テラバイト規模のデータ
ベースにまで対応できる、スケーラブルなソリューションです。ASMディスク・グループは、データベース
とファイル・システムを統合するストレージ・コンテナとして理想的な役割を果たすことで、ストレージの
使用効率を最適化し、コンピューティング環境におけるストレージの無駄を削減します。
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
Oracle ASM Cluster File System(Oracle ACFS)
Oracle ASM Cluster File System(Oracle ACFS)は、単一ノードからクラスタ全体にまで対応できる、Oracle
データベース・ファイルを除いた汎用ファイル向けのファイル・システムです。Oracle ACFSは、Linuxおよ
びUnixサーバーにおいては、POSIXおよびX/OPENに準拠したファイル・システムであり、Windowsシステム
においては、Windowsファイル・システムです。つまり、オペレーティング・システム(OS)のネイティ
ブ・アプリケーション・プログラム・インタフェース(API)およびコマンドライン(CLI)ツールを使用し
て、Oracle ACFSを管理できます。ACFSファイル・システムは、Oracle ASMの動的ボリューム(次項で説明)
上に作成されます。動的ボリュームは、通常のASMファイル(タイプはASMボリューム)であり、統合ソ
リューションとしてのASM機能を継承し、そのメリットを活用します。
Oracle ACFSは、64ビット・プラットフォームでのエクサバイト規模のファイル・システム機能を前提とし
た、64ビットの大容量ファイルとファイル・システム・データ構造をサポートしています。また、可変エク
ステント・ベースのストレージ割当て、ダイレクト・パス・ファイルI/O、および高パフォーマンスのディレ
クトリ・アーキテクチャといった要素により、パフォーマンスが高速化されています。ファイル・システム
の整合性と迅速なリカバリは、メタデータのチェックサムおよびジャーナリングによって実現されます。
Oracle ACFSは、マルチノードでpeer-to-peerの共有ファイル・システム・モデルとして設計されており、各ク
ラスタ・メンバーからASMストレージへの、一貫したキャッシュのダイレクト・パスによるファイルI/Oを
提供します。
Oracle ACFSは、ASMのコア機能を活用することで、ファイル・システム・サイズの動的な変更、ASMディ
スクへのダイレクト・アクセスを通じたパフォーマンスの最大化、ASMディスク間でのACFSファイルのバ
ランス分散によるI/Oの均等な分散、ASMのミラー化による保護メカニズムを通じたデータの冗長性を実現
します。
Oracle ACFS の 管 理 は 、 コ マ ン ド ラ イ ン ・ ツ ー ル ( OS の ネ イ テ ィ ブ ・ ツ ー ル 、 ASMCMD 、 お よ び
ACFSUTIL)、Oracle Enterprise Manager、ASM Configuration Assistant(ASMCA)、およびSQLコマンド・イ
ンタフェースから実行できます。また、業界標準のNASファイル・アクセス・プロトコルであるNFSおよび
CIFSを使用して、リモート・クライアントからアクセスできるように、Oracle ACFSを設定することもでき
ます。 ACFSは、単一ノードのOracle再起動マウント・レジストリ(Linuxのfstabに類似)とOracleグリッ
ド・インフラストラクチャのクラスタ全体のマウント・レジストリ、ファイル・システムの動的なサイズ変
更をサポートします。また、容量効率の高いスナップショットをファイル・システムごとに複数提供します。
ACFSファイル・システムは、マウント・レジストリに挿入されると自動的にマウントされます。
ACFSファイル・システムを作成し、容量をプロビジョニングし、管理するための簡単な手順を次に示します。
10GBのASMボリュームとファイル・システムを作成し、ACFSマウント・レジストリに登録します。
$ ASMCMD volcreate -d DATA -s 10G volume1
; ボリューム'volume1'の作成
# mkfs -t acfs -b 4k /dev/asm/volume1
; Oracle ACFSファイル・システムの作成
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
# mount -t acfs /dev/asm/volume1 /oracle/cluster1/myacfs
; ファイル・システムのマウント
# acfsutil registry -a /dev/asm/volume1 /oracle/cluster1/myacfs
; レジストリへの書込み
volume1とmyacfsを5GB拡張するよう、容量をプロビジョニングします。
$ ASMCMD volresize DATA volume1 -s 5G
Oracle ASMは、リバランシング機能を利用して、拡張されたストレージ容量全体にすべてのACFSデータを
自動的に均等に分散することで、I/Oの均等な分散と高いパフォーマンスを実現します。
Oracle ASM Dynamic Volume Manager
Oracle ASM Dynamic Volume Managerは、ボリューム管理サービスとクライアント(Oracle ACFS、ext3、
OCFS2など)への標準のデバイス・ドライバ・インタフェースを提供します。Oracle ASMの動的ボリューム
を構成するASMファイルには、タイプ属性として'asmvol'が指定されており、その他のASMファイル・タイ
プ(データファイル、REDOログなど)と差別化されています。Oracle ACFSおよびサード・パーティ製の
ファイル・システムは、ファイル・システムを作成および管理するボリューム管理プラットフォームとして
Oracle ADVMを使用することで、Oracle ASMのパワーと機能性のすべてを活用できます。ASMディスク・グ
ループ内には、任意の数のASM動的ボリュームを作成できます。
$ ASMCMD volcreate -d DATADG -s 10G volume1
ASMCMD、SQL、またはOracle Enterprise Managerを使用して、ディスク・グループ内にASM動的ボリューム
を作成すると、OS上にASMボリューム・デバイスが自動的に作成されます。ADVMボリューム・デバイス
はASMボリューム管理機能をエクスポートすることで、障害による異常終了時にも、動的ボリュームの整合
性を確保します。
次に、ASMデバイス・ファイル名の例を挙げます。
Linuxの場合:/dev/asm/DATADG/volume1
Windowsの場合: asm_DATADG_volume1
汎用ファイルに最高レベルのパフォーマンスをもたらすため、Oracle ADVMでは、エクステントとストライ
プ化に独自のアルゴリズムを適用しています。1つのADVMボリュームは、デフォルトで、64MBのエクステ
ントと128KBのストライプ幅を持つ4つの列で構成されています。Oracle ADVMは、ラウンド・ロビン方式
で各列に対して128KBのストライプにデータを書き込んでから、次の4つの列エクステントに進みます。
Oracle ADVMは、ダーティ・リージョン・ロギング(DRL)を使用して、ノードまたはインスタンスの障害
後にミラー・リカバリを実行します。このDRLスキームでは、ASMディスク・グループ内で、それぞれの
ASM動的ボリューム・ファイルにDRLファイルを関連付ける必要があります。Oracle ADVMの機能には、
作成、サイズ変更、削除、有効化、無効化、設定、および情報が含まれます。
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
ACFSスナップショット
テストと開発でOracle ACFSの読取り/書込みスナップショットを使用すれば、不注意でファイルを変更また
は削除してしまった場合でもファイル・システムからリカバリすることができます。また、スナップショッ
トは、オンデマンドで作成され、アクティブなファイル・システムの最新オンライン・ビューが一貫して提
供されるため、ファイル・システム・バックアップのポイント・イン・タイム・ソースとして使用すること
もできます。
ACFSスナップショットは、読取り/書込みの容量効率が高い、Oralce ACFSファイル・システムのオンライ
ン・ポイント・イン・タイム・コピーです。初期のスナップショット・コピーはスパースであり、単にソー
ス・ファイル・システムで維持されているストレージ割当て情報を参照します。そのため、変更されたブ
ロックのみが保持され、必要なストレージ容量は最小限に抑えられます。ACFSスナップショットは、CopyOn-Write(COW)テクノロジーを利用し、ソース・ファイルのエクステントを変更または削除する前に現在
のエクステント値をスナップショットにコピーすることで、ファイル・システムのポイント・イン・タイ
ム・ビューを維持します。
ACFSスナップショットは、作成された直後からすぐに利用できます。このリリースでサポートされるス
ナップショット・ビューの最大数は、63です。ファイル・システムがマウントされている間、スナップ
ショットは常にオンラインです。ファイル・システムにあるファイルを不注意で変更または削除した場合、
ACFSスナップショットを利用してリカバリできます。また、スナップショットは、オンデマンドで作成さ
れ、アクティブなファイル・システムの最新オンライン・ビューを一貫して提供するため、ファイル・シス
テムのバックアップ・ソースとして使用することもできます。
ACFSスナップショットは、自動的に.ACFS/snapディレクトリに作成されるため、スナップショット用に個
別のストレージ・プールを維持する必要はありません。ACFSスナップショットの管理には、'acfsutil snap'コ
マンドおよびOracle Enterprise ManagerのDatabase ControlまたはGrid Controlを使用できます。
$ acfsutil snap create snap_name mount_point
また、問合せ用のV$ASM_ACFSSNAPSHOTSビューが新しく提供されています。
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
Oracle ClusterwareのOCRと投票ファイルのサポート
Oracle ASM 11g Release 2から、ASMディスク・グループ内にOracle Cluster Registry、投票ファイル、および
ASM SPFILEを格納できるようになりました。ASMにより、OCRおよび投票ファイルの作成が簡素化および
自動化されるため、個別のパーティションを作成したり、拡張クラスタ・ボリューム・マネージャおよび
ファイル・システムをこのために使用したりする必要はなくなります。
OCR構成ファイルは、通常のASMファイルとして扱われます。したがって、冗長性やリバランシングなど、
ASMファイルに付随するすべての機能および属性のメリットを得られます。OCRの冗長性は、ディスク・グ
ループに選択されたミラー化に従います。
投票ファイルは、デフォルトで、ASMディスクの専用領域に自動作成されます。Oracle ASMは、ディスク・
グループに選択された冗長モード(外部、標準、または高)に基づいて、それぞれ1つ、3つ、または5つの
投票ファイルを作成します。オプションとして、クォーラム障害グループ(FG)を使用して、投票ファイル
のみを格納することもできます(クォーラムFGは、データベース・ファイルとして使用可能)。クォーラム
障害グループを作成できるのは、標準モードまたは高モードの冗長性を持つディスク・グループに2つの障
害グループのみが存在する場合か、データベース・ファイルから投票ファイルを分離するようユーザーが選
択した場合に限られます。
投票ファイルを含むASMディスクに障害が発生した場合、Oracle ASMにより自動的に、別のASMディスク
に投票ファイルが再作成され、冗長性が維持されます。OCRファイルは、ASMディスク・グループのミラー
化テクノロジーを利用してリカバリされます。
crsctlは、引き続き、OCRおよび投票ファイルを管理するツールとして使用できます。
システム管理者およびデータベース管理者向けの拡張機能
Oracle ASMのインストールおよび構成ツール
新しいインストール・ツールと構成ツールが開発されたため、Oracleデータベースに依存することなく、
Oracle ASMおよびOracle Clusterwareのインストールと構成を実行できるようになりました。この柔軟性によ
り、システム管理者がOracle ASMやOracle Clusterwareをはじめとするインフラストラクチャ・ソフトウェア
の管理を担当し、DBAは引き続きOracle Databaseのインストールおよび構成に責任を持つというように、組
織の役割と責任を一致させることが可能になりました。
Oracle Universal InstallerとASM Configuration Assistant(Oracle ASMCA)は、システム管理者向けの使いやす
い新ツールであり、単一グリッド・インフラストラクチャのホーム'グリッド'に、Oracle ASMおよびOracle
Clusterwareをインストールします。このリリース以降、Oracle ASMはデータベース・インストールには含ま
れません。このOracle Universal Installerインストールには、プロセス内で、Oracle ASMとOracle ACFSに対し
て必要最小限の構成を行うオプションが用意されています。また、データベースのインストール中にデータ
ベース・ホームをインストールするための準備として、Oracle DatabaseホームがOracle ACFSに自動的に作成
されます。
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
Oracle ASMCAは、ASM構成管理の簡素化を目的として設計された、システム管理者向けの新しいグラフィ
カル・ツールです。Oracle ASMCAにより、ASMディスク・グループ、ASM動的ボリューム、および Oracle
ACFSファイル・システムの初期構成と管理が容易になります。また、ASMのディスク・グループ、ボ
リューム、およびファイル・システムを効率的に作成および管理できます。
フル機能を備えたOracle ASMCMDの拡張
ASMコマンドライン・インタフェースとして定評のあるOracle ASMCMDの機能が強化され、SQL*Plusコマ
ンドと同様に、全面的な管理機能が提供されるようになりました。これは、システム管理者およびDBAが、
好みの管理APIを使用してASM環境全体を管理するために必要な俊敏性を提供するための、大きな一歩です。
Oracle ASMCMDは現在、以下のカテゴリの管理コマンドを提供しています。
• .ASMインスタンスの管理(startup、shutdownなど)
• .ASMディスク・グループ、ディスク、および障害グループの管理(create、mount、add、dropなど)
• .ASMファイル管理
• .ASMCMDボリューム管理(create、resizeなど)
• .ASMファイル・アクセス制御
• .テンプレート管理(list、add、alter、dropなど)
• .ユーザーおよびグループ管理(add user、change passwordなど)
• .ASM属性(list、set)
• .その他(lostat、df、lsof、lsod)
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
機能面の強化
ASMファイル・アクセス制御(ACL)
ASMファイル・アクセス制御は、SYSDBAとして接続する特定のASMクライアントに対して、ファイル・ア
クセスを制限します。通常、ASMクライアントはデータベースであり、データベース・インスタンス・ホー
ムを所有するユーザーとして識別されます。ASMファイル・アクセス制御では、このユーザー名を使用して
データベースを識別します。Oracle ASMでは、所有者、グループ、その他という3つの権限クラスが導入さ
れており、各クラスに対して、なし、読取り専用、読取り/書込みという3つの権限レベルが設定されます。
ディスク・グループ属性の設定は、新しいディスク・グループにファイルを作成する前に実行する必要があ
ります。実行していない場合は、ディスク・グループ内の既存のファイルに対して、権限および所有権を明
示的に設定する必要があります。
ディスク・グループに対してASMファイル・アクセス制御を管理するには、ディスク・グループを変更する
際に、ACCESS_CONTROL.ENABLEDとACCESS_CONTROL.UMASKという2つのディスク・グループ属性を
設定する必要があります。.umask属性は、ASMファイルの作成時に、ファイル所有者、同じユーザー・グ
ループに属するユーザー、同じユーザー・グループに属さないユーザーに対して、それぞれどの権限を非表
示にするかを指定するものです。この属性は、ディスク・グループ内にあるすべてのファイルに適用されま
す。属性値は、3桁の数字を組み合わせたもの({0|2|6}{0|2|6}{0|2|6})であり、デフォルト値は066です。
例
次に、特定のファイルの権限と所有権を変更するchmodコマンドおよびchownコマンドの例を挙げます。
ASMCMD> chmod ug+rw +data/orcl/controlfile/Current.260.684924747
ASMCMD> chown oracle1:asm_users +data/orcl/controlfile/Current.260.684924747
ASMディスク・グループの名前変更
クローニングしたASMディスク・グループを同じサーバー上にマウントする場合、バックアップ、テスト、
またはその他のアプリケーション上の理由から、名前を変更する必要があります。名前を変更する前に、
ディスク・グループをアンマウントします。renamedgツールを使用すると、次の2つのフェーズを介して、
任意でディスク・グループの名前を変更できます。
フェーズ1:このステップでは、構成ファイルが生成されます。各行に、1つのディスクに対する変更の説明
が含まれます。
フェーズ2:このステップでは、生成された構成ファイルを使用してディスク・グループの名前の変更が実
行されます。
$ renamedg -phase one -dgname data2 -newdgname data12 -config /tmp/data2.conf
$ renamedg -phase two -config /tmp/data2.conf
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
ASMファイル・マッピング
Oracle Databaseでは、データベース・ファイルから、中間層である論理ボリューム、ファイル・システム、
そして実際の物理デバイスまでの完全なマッピングを表示するメカニズムが提供されています。これは、一
連の動的パフォーマンス・ビュー(V$ビュー)によって実現されます。これらのビューを使用すると、ファ
イル内の任意のブロックがどのディスク上にあるかを正確に特定できます。
このマッピングは、一連の内部プロセス(FMON)と外部プロセス(FMPUTL)、そしてベンダー提供の
マッピング・ライブラリを使用することで完成します。FMONは、SGAに格納されているマッピング情報を
構築する役割を果たします。この情報は、 ファイル、ファイル・システム・エクステント、要素、サブ要素
で構成されています。
ASMは、効率的なOracle File Mappingインタフェースを提供します。Oracle ASMのファイルに'+dg/f.1'という
ような名前がついている場合、FMONは、Oracle ASM内に実装されているASMマッピング機能を直接呼び出
して、ASMディスク・グループとディスクのマッピング情報を取得できます。ただし、ベンダー・ライブラ
リによって提供される下位のレベル構造のマッピングについて、FMONは、FMPUTLと通信する必要があり
ます。
Oracle ASMの4kセクター・サイズのサポート
Oracle ASMは、パフォーマンスに悪影響を与えることなく、4kセクターのディスク・ドライブをサポートし
ます。SECTOR_SIZEディスク・グループ属性は、ディスク・グループを作成するときにのみ設定できます。
SECTOR_SIZEの値は、512、4,096、または4kのいずれかです。デフォルト値はプラットフォームに依存する
ので、Oracle ASMは検証を実行して、ディスク・グループ内でディスクのセクター・サイズが統一されるよ
うにします。この機能を使用するには、compatible.asmおよびcompatible.rdbmsが11.2以降でなければなりませ
ん。次に、4kセクター・サイズのディスク・グループを作成する例を示します。
CREATE DISKGROUP data NORMAL REDUNDANCY FAILGROUP Ctrl_a DISK
'/devices/diska1', ‘/devices/diska2'
FAILGROUP ctrl_b DISK
'/devices/diskb1',‘/devices/diskb2'
ATTRIBUTE 'compatible.asm' = '11.2', 'compatible.rdbms' = '11.2',
“sector size'='4096';
Intelligent Data Placement(IDP)を使用したパフォーマンス・チューニング
ディスク・ドライブの構造上、プラッタの内側よりも外側のパフォーマンスがはるかに高いことは周知の事
実です。ASM Optimal Disk Placement(ODP)では、最適なパフォーマンスを実現するために、ASMディス
ク上のディスク領域を指定できます。ディスク領域設定を使用して、頻繁にアクセスされるデータを速度と
帯域幅の優れたもっとも外側のトラック(ホット・リージョン)に配置します。また、アクセス・パターン
の似たファイル同士を物理的に近い位置に配置することで、待機時間を短縮できます。さらに、ODPを使用
することで、プライマリ・エクステントとミラー・エクステントを別のホット・リージョンまたはコール
ド・リージョンに配置できます。
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
ASM Optimal Disk Placementの設定は、ファイル、またはディスク・グループ・テンプレートに指定できます。
ディスク・グループを作成した後で、ディスク領域の設定を変更することも可能です。ディスク領域の設定
を通じて、より頻繁にアクセスされるデータをスピンドルからもっとも離れた領域に配置することで、I/Oの
パフォーマンスを向上させると同時に、ディスク上の使用可能な領域を増やすことによるコスト削減も実現
できます。
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Oracle Automatic Storage Managementの拡張によるあらゆるデータの管理
結論
オラクルが提供するOracle ASM 11g Release 2は、ストレージ管理を簡素化する包括的なファイル管理ソ
リューションです。機能強化と最適化が行われたOracle ASMでは、同じフレームワークを使用して、構造化
データ(データベース・ファイル)と非構造化データ(汎用ファイル)を管理できます。ASM汎用ファイ
ル・システム(ACFS)がサポートするOSは当面、LinuxとWindowsですが、将来的に、Oracle Databaseがサ
ポートするすべてのOSプラットフォームをサポートする予定です。管理インタフェース、インストールおよ
び構成ツール、クラスタ・フレームワーク、サポート・ベンダーがすべて統一されているため、Oracle ASM
の管理は非常に簡単です。スケーラブルなソリューションであるOracle ASMは、総所有コストを削減し、管
理を簡素化して、チューニングの必要のない高いパフォーマンスを実現し、一元化を通じてストレージ利用
効率を高めます。また、データベースとファイル・システムの可用性を向上させるように設計されています。
12
Oracle Automatic Storage Managementの拡張による
Copyright @2009, Oracle and/or its affiliates.All rights reserved.
あらゆるデータの管理
本文書は情報提供のみを目的として提供されており、ここに記載される内容は予告なく変更されることがあります。本文書は、その内容に誤りが
2011年10月改訂
ないことを保証するものではなく、また、口頭による明示的保証や法律による黙示的保証を含め、商品性ないし特定目的適合性に関する黙示的保
著者: Ara Shaklan
共著者:
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