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第65号(平成18年3月発行)

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第65号(平成18年3月発行)
兵庫県立図書館報 くすの木 No.65 平成 18 年3月 10 日発行
“学び”から“実践”へ
「読み聞かせ」をボランティアが行っている図書館はめずらし
くありません。今、県内の図書館では、
「読み聞かせ」以外の様々
な分野で図書館ボランティアが活躍しています。日常の図書館業
務補助に加え、上映会や各種イベントで、計画から当日の運営ま
でボランティアが参画しているところもあります。
県立図書館でも、平成 14 年度から「図書館ボランティア」と
して多くの方が活動しています。業務内容は、協力貸出に伴う作
業、資料整理、書架整理等多岐にわたっています。とりわけ研修
会・講座等に参画していただくボランティアは、私たち職員にと
って大変ありがたいということは言うまでもありません。また、
ボランティアにとってもひときわやり甲斐を感じることができる
場面であると聞きます。
研修会での受付風景
ボランティアに朗読の指導をうける子どもたち
県内の図書館から依頼された相互貸借資料
一昨年の開館 30 周年記念式典では、
“受付”と“記録(ビデオ撮影)”
を担当していただきました。ボランティアが加わることで、式全体が
和やかになり、かつ、厳粛な雰囲気をもたらしました。今年の読書講
演会では、
“記録”だけでなく、当日のプログラムで「朗読」を披露し、
大勢の聴衆を魅了しました。
ボランティア・スタッフにお礼を述べる館長
1965 年、フランスのポール・ラングラン(Paul Lengrand)によって
初めて「生涯教育」という言葉が登場しました(各人の自発的な学習
そのものを強調するため「生涯学習」という言葉で定着しています)
が、はじめは“学び”が中心でした。しかし、四十年が経過した今、
「生
涯学習」のとらえ方は、学んだ知識の“実践”へとシフトしています。
図書館は「生涯学習」の拠点です。これからの図書館は単に“学習の
場”ではなく、
“実践の場”であることも必要ではないでしょうか。
1
県立図書館の利用システム −県立図書館の本は県民共有の財産です−
「県立図書館で直接本は借りられますか?」
「どうしたら県立図書館の本を利用することができますか?」といった
質問を未だに耳にすることがあります。
以前、県立の本を利用する場合、直接来館し閲覧するか、地元の図書館に申し込んでそこから借り受ける(協力貸出)
だけでした。しかし、平成 13 年 11 月に個人貸出を開始し、一般の図書館と同じように利用できるようになって4年以
上が経過しています。
県立図書館の本は兵庫県民の財産です。東は阪神、西は西播磨、北は但馬、南は淡路まで、県民の皆さんに等しく利
用していただけるよう、今一度県立図書館の利用システムを紹介します。
A.協力貸出〈直接来館できない場合〉
県立図書館では「図書館の図書館」として、週1回、県内各地の図書館等に本を運んでいます。
協力貸出を希望される場合は、市町立図書館や公民館図書室に申し込みます。貸出期間・冊数・方法等はそ
れぞれの図書館の規則によります。
平成 18 年度から、市町合併等により各自治体1個所(基本的には中心館)へ木曜日に配送(託送)します。
中央館からは、各自治体内連絡便等により申し込みのあった図書館へ運ばれる仕組みになっています。
図書館がない自治体には、これまでどおり公民館図書室へ貸し出しします。
B.個人貸出〈直接来館できる場合〉
利用カードを作成(県内在住・在学・在勤の人で、住所・氏名の確認できるものが必要)後、3 週間・7 冊の
範囲内で借りることができます。(注)一部貸出のできない資料や場合があります。
返却には3つの方法があります。
①来館(閉館時には[返却ポスト]をご利用下さい。
)
②郵送(送料は利用者負担)
③遠隔地返却(貸出時、申し込みが必要)※居住地の図書館に返却(ただし、明石・神戸・芦屋・加古川・
播磨町・稲美町の図書館を除きます。
)
2
レファレンスあれこれ
度量衡(どりょうこう)
滑に行われるようになりました。ところが、日清戦争後
には、イギリスやアメリカの経済進出が盛んになるにつ
れて、ヤードポンド法を取り入れる必要が生じ、遂に、
明治 42 年の度量衡法改正以後では、わが国では、尺貫
法、メートル法とヤードポンド法という3種類の混用を
見るようになりました。このような状態では、軍需品の
生産や規格の統一はできません。政府は、メートル法に
よる統一を目的とした度量衡法の改正に着手し、大正 10
年4月、改正度量衡法が公布されました。この改正法は、
大正 13 年7月1日から施行されましたが、国民への習
熟期間として 10 年(一部 20 年)の長い猶予期間が設置
されています。これ以後、各省では関係法令のメートル
法による書き換えが始まり、メートル法への移行は順調
に進んでいるように見えましたが、昭和 8 年頃から、メ
ートル法強制実施反対運動が始まります。これは、外国
の単位系の使用は、農民の生活に適せず、日本建築に支
障を生じ、輸出入に不利となり、移行に伴い官民共に経
費が必要であるというものです。このような状況の中、
政府はメートル法専用の方針を変更し、尺貫法の使用を
認める期間をさらに延長しました。
度量衡って何のことかわかりますか?
『世界大百科事典』
(031−91)では「度、量、衡の3
文字は順に、長さ、体積、質量を意味し同時にそれぞれ
をはかるための道具(ものさし、枡、はかり)や基準を
意味する。
」と説明してあります。
この度量衡(特に枡)に関して近代で最初の法令はど
ういうものかという問い合わせがありました。日本の度
量衡の歴史については、
『度量衡の歴史』
(609−4)に文
武天皇の大宝元年(701)から詳しく述べられています。徳
川時代の枡については、ほとんどが木製であり、製作や
取締りには、ものさしが用いられ、構造では摩耗や変造
を防ぐため弦鉄や鉄帯が付されたに止まり、基準器もな
かったとあります。明治新政府は、明治2年、太政官達
によって、度量衡の事務を大蔵省の所管とし、翌年、度
量衡改正掛が設置され、これにより新制度の検討が始ま
ります。ただし、度量衡器の不統一は、地方官庁の貢米
の徴収に支障を来たしていたこともあり、政府は、明治
5 年 8 月に標準枡を公布しました。ところが、地方から
の苦情等により、11 月には廃止せざるを得なくなり、翌
6年には、従来どおり旧枡を用いてもよいという大蔵省
達が出されています。このように、枡は古い習慣による
ものと新しいものとが使用され、
混乱の状況が続きます。
このような中、度量衡改正掛によって、尺度、枡や重量
の基準がようやく決定されたことにより、度量衡取締条
例が、明治 8 年 8 月 5 日、太政官達第 135 号で府県に達
せられ、あわせて検査規則、種類表が頒布されたのです。
この法令が最初のもので、
『法令全書』
(320.9−9)で全
文を見ることが出来ます。この種類表では、枡等の構造、
形状、材料を定めてあり、すべて図と寸法が添えられて
います。例えば、一升枡(穀量)の寸法は、方四寸九分、
深二寸七分一厘となっています。
度量衡法を全面的に書き換えた計量法は、昭和 26 年
法律第 207 号により、27 年 3 月 1 日から施行されまし
た。この法律では、メートル法による計量単位のみを定
め、施行法第3条で尺貫法単位の使用を昭和 33 年 12 月
31 日以後禁止しました。
ところで、尺貫法の単位である一升や一合は、現在も
日常生活で使われています。
『ニッポンのサイズ』
(609
−61)では、
「清酒の大瓶が今でも一升瓶で、自動炊飯
器についている米の計量カップがきりのよい200 ミリリ
ットルだけではなく、180 ミリリットルつまり一合のま
まのものもあるのは、ニッポンのサイズとしてわれわれ
の体にしみついた計量単位の代表例だ。数値としては法
律の決まりでメートル法の表示をしているものの、実際
は尺貫法の便利さがそのまま日常生活に生きているので
ある。
」と書いてあります。
さて、度量衡の事務は、明治 14 年に大蔵省から農商
務省に引き継がれます。農商務省では、洋式の計量器の
普及に伴い、メートル法を基礎とする改正案の作成にと
りかかります。明治 19 年のメートル条約加入公布に続
き、24 年、度量衡法が公布され、26 年 1 月 1 日より実
施されました。これによりメートル法の普及は、より円
※( )内の数字は、当館の請求記号です。
(調査相談課 尾﨑 肇)
3
平成 17 年度 研修会報告
種別
名称
図書館等職員研修講座 館長研修(6/15)
内容
テーマ:「図書館の評価と経営改革」
講 師:永田潤子[大阪市立大学大学院助教授]
「協力貸出、相互貸借について、他」
テーマ:「図書館における子育て支援の取り組み
−神戸市立図書館の事例−」
講 師:西澤進治[神戸市立三宮図書館長]
学校図書館職員研修会(8/16)
テーマ:「学校図書館運営のための様々な技法の習得」
実践発表 講 師:真鍋由比[松蔭中学校・高等学校図書館司書]
講義①
:八木眞由美[県立図書館主任調査専門員]
講義② :豊田千代子[ 〃 協力課長]
講義③
:北道啓子 [ 〃 館長補佐兼調査相談課長]
※県立学校の図書担当教職員を対象に実施
レファレンス研修(新任)(9/16)
テーマ:「レファレンスの基本」
レファレンス研修(中堅)(12/16)
テーマ:「郷土資料を究めよう」
講 師:尾﨑 肇[兵庫県立図書館司書]
インターネット・レファレンス講座(初級)
パソコンは使っているが、インターネットはあまりという方を対象に実
①(6/23)
施
②(10/12)
インターネット・レファレンス講座(活用)(12/7) 普段からレファレンスにインターネットを活用されている方を対象に実施
演 題:『魅力的な人は読書する』
講演会(11/18)
対象:県内公共図書館等
相互協力担当者連絡会(6/29)
職員
新任研修(7/8)
会場:県立図書館
読書講演会
対象:一般
会場:明石市立
文化博物館
ひょうご“本だいすきっ 子ども読書ボランティア養成講座
子”プラン
子どもの本を楽しむ講座
対象:一般・県内公共図 ストーリーテリング中級講座
書館等職員
実践講座(県内8個所で実施)
会場:県内各地
「読み聞かせ」
「ブックトーク」
子ども読書活動啓発セミナー
「子ども読書の日」行事(4/23)
その他の研修会等
「楽しさ倍増!
対象:一般
∼図書館いろんな本めぐり∼」
会場:県立図書館
サマースクール(7/28)
「図書館探検ワールド
∼夏休みスペシャル∼」
オープン・ライブラリー
①(8/27)
②(11/19)
③(2006/3/18)
講 師:服部孝司[神戸新聞社文化生活部長]
※講演に先立ち朗読ボランティアによる“朗読リレー”を実施
詳細は5頁に掲載
県立図書館で書庫見学と‘本めぐり’をした後、明石市立図
書館で絵本の「読み聞かせ」を体験。
‘本めぐり’とは…県立図書館所蔵の大小様々なカタチの本
や貴重本等を実際に手にとって確かめる
こと
・図書館探検(書庫見学)
・インターネットを使った調べもの体験
・「朗読サービス」の体験
・施設見学(書庫見学)
・インターネットを使った調べもの体験
「デジタルビデオの『撮影』と『編集』
基礎講座」(2006/3/4・5)
・班に分かれての体験型研修
講師:尾崎正義[兵庫ビデオサークル会長]
萩原正信[兵庫県立図書館調査専門員]
2005 年度に実施した主なイベント
○ 図書館「川柳」(読書週間特別行事)
○ 小冊子「干支の話アラカルト」の配布
○ 震災11年上映会
4
平成17年度「ひょうご“本だいすきっ子”プラン」研修会
子ども読書活動の推進には、指導者の資質向上が最重要との観点から、今年度も読書ボランティア養成のための二つの講座と「読み聞かせ」
「ブックトーク」などの読書技術に関する実践講座を実施しました。
今年度は、新たな試みとして、元NHKアナウンサーの高梨敬一郎氏を招き、講義・実習を通して、
「読み聞かせ」や「ストーリーテリン
グ」の基礎的な力である声の出し方やイントネーションなどを学び、技能の向上を目指す「読書活動推進セミナー」を実施しました。
どの講座も、受講者には好評でした。来年度も子ども読書活動の充実・深化を目指して、本プランによる研修会を実施してまいります。
「読み聞かせ」実践講座①
9/1
「読み聞かせ」実践講座②
9/29
「読み聞かせ」実践講座③
10/25
「読み聞かせ」実践講座④
11/22
「ブックトーク」実践講座①
9/8
「ブックトーク」実践講座②
10/13
「ブックトーク」実践講座③
「ブックトーク」実践講座④
子ども読書活動啓発セミナー
子ども読書ボランティア養成講座(6回)
−子どもの本を楽しむ−
子ども読書ボランティア養成講座(6回)
−ストーリーテリング中級−
南あわじ市南淡図書館
テーマ:「読み聞かせ−子どもと絵本を楽しむ」
講 師:大阪YWCA千里子ども図書室・梅花女子大学非常勤講師 山本 淳子 丹波市立氷上公民館
テーマ:「パネルシアターの基本」
講 師:大阪YWCA千里子ども図書室・梅花女子大学非常勤講師 山本 淳子
テーマ:「ブックトークにチャレンジしよう」
講 師:ブックトーク専門家 北畑 博子
テーマ:「ブックトークを楽しもう」
11/24
講 師:姫路市立図書館網干分館 高濱 由香
テーマ:「ブックトークを楽しもう」
12/8
講 師:加古川市立図書館 荒木 宏明
【講義・実習】
H18/2/8 テーマ:「伝わる読みを求めて」
・9
講 師:関西国際大学教授
元NHKアナウンサー 高梨 敬一郎
7/1∼
12/2
講 師:大阪YWCA千里子ども図書室・元薫英女子短期大学講師 太田 三紀
子
9/15∼
講 師:神戸鴨の子文庫主宰 大月 ルリ子
H18/2/23
赤穂市立図書館
養父市立養父公民館
宝塚市立中央図書館
豊岡市立図書館
姫路市立城内図書館
小野市立図書館
明石市立文化博物館
大会議室
県立図書館
県立図書館
受講者の声
☆子ども読書ボランティア養成講座−子どもの本を楽しむ− ☆子ども読書活動啓発セミナー
今までの仕事に追われた生活から少し開放されようとして
いた時でした。たまたま目にした県民だよりのほんの片隅に
この講座のお知らせをみつけました。私にとっては、まった
く初めての世界でした。
「子どもが本を楽しむ」ために、こ
の講話でそれぞれの子どもの年齢や状況に合わせてストー
リーの構成、絵本の絵の見方など、本の選び方や提示の仕方
を教えていただいたことで、今までに接してきた絵本やお話
を考えてみることができました。紹介していただいた本や絵
本をできるだけ読んでいけたらと思っています。学習する良
いきっかけをいただきましたことをとても感謝しています。
・本の内容を「相手に伝える」
・・・なんと簡単なことよと
思っていたのですが、自然体で淡々と語ることの難しさを実
感したひとときでした。
・
「間を大切にすることを意識して。役者じゃないのだから
普段話すように相手の気持ちに沿って・・・。
」などなど、
本当に難しいことは何もおっしゃっていないのに、実演しよ
うとすると妙に意識してしまい自分をよく見せようとする
のか、声のトーンが妙に上がったり、息が続かなかったり。
今までの朗読は、ひとりよがりの部分が多分にあったのだな
あ、と反省しています。
・今まで良しとしていたことを全部忘れて、新たに読むこと
のすばらしさをまなんで行きたいと思いました。そのために
も、講座を継続的に開いていただきたいなと思いました。
5
図書紹介−スポーツ−
2006 年は、2 月の冬季オリンピックにはじまり、3月に野球のワールドベースボールクラシック(WBC)、6月にサッ
カーのワールドカップ、そして 10 月には兵庫県において「のじぎく国体」が開催されます。そこで今回は、スポーツ
に関する図書を紹介します。
(
)内の数字は当館の請求記号です。
□ スポーツ環境委員会活動報告書 −平成 16 年度−
日本オリンピック委員会編集 日本オリンピック委員会 (780-80-2004)
□ 世界の屋根に登った人びと 酒井敏明著 ナカニシヤ出版 (786.1-234)
□ 映画に学ぶスポーツ社会学 杉本厚夫著 世界思想社 (780.1-434)
□ 詳解サッカーのルールと審判法 −2005− 浅見俊雄、永嶋正俊著 大修館書店 (783.4-55-2005)
□ テレマークスキー漫遊奇譚 −転がる石のように− 堀田貴之著 スキージャーナル (784.3-91)
□ カポエイラ −はじける肉体の即興芸術− 三田雄士著 現代書林 (789-60)
□ 日本全国フライトエリアガイド −パラグライダー、ハンググライダー、モーターパラ・ハング−
パラワールド編集部編著 イカロス出版 (782.9-15)
□ 出身校別懐かしの甲子園球児たち 恒川直俊編 東京堂出版 (783.7-317)
□ 自転車チャンピオン ルイゾン・ボベ著 未知谷 (786.5-11)
□ 日本の剣術 −連綿と受け継がれた武士の心と技、その秘伝を一挙公開!− 歴史群像編集部編 学研 (789.3107)
□ 乗馬の歴史 −起源と馬術論の変遷− エティエンヌ・ソレル著 恒星社厚生閣 (789.6-28)
新着図書紹介・郷土資料
◇ 姫路の神社 兵庫県神社庁姫路支部『姫路の神社』編集委員会編著 神戸新聞総合出版センター
(175.9-K31)
◇ 忠臣蔵を生きた女 瀬戸谷晧著 北星社 (289.1-K212)
◇ 私の兵庫百山 松川良衛著 友月書房 (291.64-K66)
◇ 災害救援の視点 野田正彰ほか著 関西学院大学出版会 (369.3-K623)
◇ 台風 23 号による淡路島の災害記録 兵庫県淡路県民局県土整備部編 兵庫県淡路県民局県土整備部
(369.3-K626)
◇ 六甲高山植物園 六甲高山植物園監修 東方出版 (470-K1)
◇ ハチゴロウ、大空へ舞え! 足立晴幸著 創友社 (488.5-K9)
◇ コウノトリ再び空へ 神戸新聞出版センター (488.5-K10)
◇ ひょうごの巨樹・巨木100選 兵庫県林業協会ほか編 兵庫県林業会議 (653.2-K9)
◇ 宝塚ベルばらの時代 下瀬直子著 彩流社 (775.4-K123)
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