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資料等(PDF形式 4.5MB)
(様式2)
庁議(政策会議) 案件申込書
申込日
案 件 名
所
管
概
要
審議内容
(論点)
実施計画の
位置付け
審議(希望)日
日程等
調整事項
平成27 年
10
月
20
日
「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2025」の策定について
環境経済
局
区
経済
部
産業政策
商業観光
課 担当者
内線
本市の産業競争力を高めるため、更なる工業用地の創出や立地の促進、業務系企業の誘致、企業支援、商業振興など
の施策の方向性を定める「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2025」の内容等について諮るもの。
○(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2025(案)について
○今後の策定スケジュールについて
施策番号、施策名称 33地域経済を支える産業基盤の確立 34新産業の創出と中小企業の育成・支援
あり
及び事業名
35商業・サービス業の振興
関係課長会議
平成27 年
局・区経営会議
年
10
月
月
14
日
政策調整会議
平成27 年
10
月
20
日
日
政策会議
平成27 年
10
月
22
日
条例等の調整
なし
議会上程時期
パブリックコメント
あり
時期
審議会等、協議
会等の設置
なし
個人情報の目的外利用等
報道への情報提供
平成27年12月∼平成28年1月
議会への情報提供
平成27年12月
なし
調整項目
関係部局名等
部会
資料提供
調整状況
(仮称)新・産業振興ビジョン工業 「(仮称)新・産業振興ビジョン」策
終了
部会員各課(雇用政策課 他9課) 定について
関係部局との
調整
(仮称)新・産業振興ビジョン商業 「(仮称)新・産業振興ビジョン」策
終了
部会員各課(雇用政策課 他7課) 定について
シティセールス・親善交流課
他16課
検討経過等
月 日
H26.4.18
H26.9.11
H26.9∼計5回
H26.11∼計5回
H26.11∼計5回
H27.3.10
H27.10.8
H27.10.14
H27.10.20
政策調整会議
の
結果等
これまでの
庁議での
主な意見
原案を
検討報告書(中間案)の内容確認
終了
(照会)
シティセールス・親善交流課
各計画等における産業に関わる
終了
他16課
施策等の確認(照会)
打 合 せ ・ 会 議 の 経 過
会議名等
内 容
「(仮称)新・産業振興ビジョン」及び「(仮称)新・都市農業振興指針」
関係課長会議
の内容、検討体制及びスケジュール等について
諮問
「(仮称)新・産業振興ビジョン」の策定について
(仮称)新・産業振興ビジョン策定委員会 「(仮称)新・産業振興ビジョン」の策定について
(仮称)新・産業振興ビジョン工業部会 「(仮称)新・産業振興ビジョン」の策定について
(仮称)新・産業振興ビジョン商業部会 「(仮称)新・産業振興ビジョン」の策定について
関係課長打合せ会議
検討報告(中間案)の関係各課への内容報告及び意見交換
答申
「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2025」の答申
関係課長会議
「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2025」の策定について
政策調整会議
「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2026」の策定について
上部庁議へ付議する。
( 政策会議 )
○基本施策2.1.1「成長産業の集積促進」に業務系企業についても記載した方がよいのではないか。
→業務系企業については、施策の方向性3.1や重点プロジェクトⅥ等に記載している。
○総合戦略などで検討されている雇用の視点は入っているか。
→雇用については、施策の方向性4.1等に記載している。
○重点プロジェクトに「地域との連携による商店街振興」といったものを入れてもらいたい。
→重点プロジェクトは、少子高齢化とグローバル化という2つの喫緊の課題に対応するための重点
的な取組に絞っている。商店街振興については、施策の方向性3.2に記載している。
○「産業集積を支える都市基盤整備」の図表には、都市計画上の商業地域のうち載っていない地域
があるが、どのような基準で載せているのか。
→「商業地形成事業区域」の図表と同様に、中心商業地、地区中心商業地及び商店街振興計画等
が策定されている近隣商業地を商業地形成事業区域として位置づけ、掲載している。
○本ビジョンの策定に当たり、指標の設定に対する考え方をどのように整理したのか。
→本ビジョンは産業政策の方向性を示すものであり、施策の成果指標については、新・相模原市総
合計画の進行管理において評価をしていくこととした。
事案の具体的な内容
○(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2025(案)について
策定委員会の答申を踏まえた市としてのビジョンの概要は次のとおり。
1 策定の目的
本市を取り巻く社会経済環境の変化や首都圏南西部の広域交流拠点都市としてのポテンシャルを
踏まえ、新しい時代を見据えた産業政策の方向性を中長期的な視点に立って戦略的かつ総合的に定
めるもの。
2 ビジョンの位置付け
ア 新・相模原市総合計画を上位計画として、主に工業、商業・サービス業を中心とした産業政
策の方向性について定める。
イ 「広域交流拠点都市推進戦略」や農業、観光等に関する個別計画等との連携・整合を図る。
3 計画期間
平成28年度(2016年)から平成37年度(2025年)までの10年間とする。
今後、施策の実施状況や社会経済動向などを勘案し、中間年次(5年目)に点検、見直しを図る。
4 本市産業の現状と課題
機会や脅威となる要因など考慮すべき社会経済環境の変化と、こうした変化を踏まえた本市産業
の現状(強み)、課題(弱み)については、別添「概要版」のとおり。
5 目指す産業像
「世界に向けて、新たな価値と魅力を創造・発信し、未来を拓くさがみはら」
6 施策体系
産業像∼戦略∼施策の方向性∼基本施策
・4つの戦略
目指す産業像の実現化に向け、本市の強みを生かし、様々な産業の連携・交流を図りながら、
本市産業を持続的に発展させるために定めるもの。
(1)業種を超えた仕組みの構築による新産業の創出
(2)成長産業の集積とイノベーションによる価値の創造
(3)地域資源の活用による魅力の創出とブランドの確立
(4)産業を支える基盤づくりの推進
7 重点プロジェクト
本市の将来にわたる持続的発展に向けて、少子高齢化とグローバル化という2つの喫緊の課題に
対応するため、重点的に実施すべき取組。
(1)ひとづくり・まちの新たな魅力づくりによる商業振興
(2)ロボット技術を活用した生産・サービス・ライフスタイルの革新
(3)産学連携等による新産業の創出と中小企業の育成・支援
(4)戦略的な企業誘致の促進
(5)多様な地域資源を活用した経済の活性化
(6)交流人口の拡大に向けたグローバルなまちづくりの推進
(7)世界に向けた販路開拓支援
8 推進体制
新・相模原市総合計画における施策を推進するための基本的な方針に沿って、国、県や産業支援
機関、民間事業者、金融機関、大学など市内産業に関わる様々な主体との現行の連携体制を活用し
つつ、適宜新たな連携をとりながら、事業推進の体制を整備していく。
また、本ビジョンに基づき実施される各事業については、新・相模原市総合計画の進行管理と併
せ、「PDCAサイクル」の考え方を活用し、推進していく。
○今後の策定スケジュールについて
平成27年12月上旬
市議会環境経済部会での説明
12月中旬∼ パブリックコメントの実施
平成28年 2月中旬
パブリックコメントの結果公表
3月下旬
ビジョン策定
(仮称)
さがみはら産業振興ビジョン 2025
~世界に向けて、新たな価値と魅力を創造・発信し、
未来を拓くさがみはら~
(概要版)
(案)
相模原市
平成28年3月
策定の目的等
わが国を取り巻く社会経済環境は、少子高齢化の進行や経済のグローバル化など大きく変化してき
ており、こうした変化がもたらす様々な課題への対応が急務となっています。
そうした中、本市は津久井地域との合併を経て、政令指定都市に移行し6年が経過しました。この間
に、リニア中央新幹線の駅設置の決定や圏央道の市内2箇所のインターチェンジの開設、小田急多摩
線の延伸計画など、広域的な交通ネットワークの整備が進められ、本市は首都圏南西部の広域交流拠
点都市として、着実にそのポテンシャルを向上させつつあります。
こうした状況を踏まえ、主に工業、商業・サービス業を中心に、新しい時代を見据えた産業政策の方
向性を中長期的な視点に立って戦略的かつ総合的に示すため、農業や観光等の他の分野との整合も図
りながら「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025」を策定しました。
なお、本ビジョンの計画期間は、2016 年度から 2025 年度までの 10 年間とし、中間年次(5 年目)
に点検、見直しを行うものとします。
相模原市の産業の現状と課題
近年、本市を取り巻く社会経済環境も大きく変化してきており、地域経済の発展と本市産業の更な
る振興を考える上で、環境の変化に的確に対応していくことが必要となります。また、本市産業の現状
と課題を的確に把握し、本市が持つ強みを生かすとともに、課題を克服する取組が求められます。
機会や脅威となる要因など考慮すべき社会経済環境の変化と、こうした変化を踏まえた本市産業の
現状(強み)
、課題(弱み)については、次のものがあげられます。
本市を取り巻く社会経済環境
<機会となるもの>
○グローバル化
・アジア等の新興国における経済発展、需要拡大
○まち・ひと・しごと創生(地方創生)
○国の成長戦略等による成長分野の振興
・振興ターゲット分野へのロボットの追加
・さがみロボット産業特区
○東京オリンピック・パラリンピックの開催
○ICTの発展
○低炭素社会の実現
・水素エネルギーの普及促進
○広域交通基盤の整備
・リニア中央新幹線の整備
・圏央道の開通
・小田急多摩線の延伸計画
<脅威となるもの>
○グローバル化
・国際的な競争の激化 ・海外事業活動拠点の増加
○わが国における少子高齢化、人口減少の進行
・労働力不足
・国内需要の縮小
○国内における都市間競争
・産業振興、人口増加を目指した企業誘致
○Eコマース(電子商取引)による購買スタイルの変化
○エネルギー問題による事業活動への影響
・エネルギーコストの上昇
○国内における自然災害の頻発
本市産業の現状と課題
<本市産業の現状(強み)>
<本市産業の課題(弱み)>
○周辺自治体とともに 230 万都市圏を形成
○昼夜間人口比率の低さ(昼間人口の流出)
○広域交流拠点としてのポテンシャル
○将来的な労働力不足
○ロボット等新たな成長分野との結びつきが強い機械 ○業務系企業の集積度の低さ
系業種の集積
○通勤・通学や購買力の市外流出と受け皿不足
○高い技術力を持つ企業の集積
○商店街のにぎわいの低下と買い物弱者の将来的な増加
○医療、福祉、教育、生活関連サービス等の個人向け ○情報通信業等の事業所向けサービスの集積度の低さ
サービスの集積度の高さ
○豊かな自然等の地域資源の活用が不十分
○良好な住環境と豊かな自然(多様な地域性)
1
相模原市が目指す産業像
内陸工業都市として発展してきた本市には、高度な技術力を有する産業集積基盤があります。また、
今後は、広域交通ネットワークの充実や安定した地盤等により、そのポテンシャルを生かした成長産
業の集積が期待されており、工業を中心としたこれらの産業の活性化により、高生産性や高付加価値
等の新たな価値を創造します。
一方、津久井地域との合併により、良好な住環境、豊かな自然といった多様な地域性や地域資源を有
したことは、本市産業の活性化に大きな可能性をもたらすものです。こうした地域資源を活用した商
業・サービス業の革新や広域交流拠点都市としてのポテンシャルを生かした業務系企業の立地促進に
より、新たな魅力を創出します。
さらに、急激に変化する社会経済環境下において、競争力を強化し、市内経済の更なる発展につなげ
るためには、業種の垣根を超えた新ビジネスや新産業の創出が求められます。様々な産業の連携・交流
を通して価値や魅力をより高め、効果的に発信することにより、海外市場の獲得や国内外からの産業
集積を促すとともに、ビジネスや観光等を目的とした国内外からの訪問客の増加を目指します。
こうした考え方をもとに、本ビジョンでは目指すべき産業像を
『世界に向けて、新たな価値と魅力を創造・発信し、未来を拓くさがみはら』
と定めました。
【目指す産業像のイメージ図】
(※)本ビジョンの目標年度である 2025 年度における相模原市、座間市、大和市、厚木市、愛川町、八王子市、町田市の
推計人口の合計値(出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成 25(2013)年 3 月推計」)
2
施策体系
本ビジョンでは、本市が目指す産業像の実現化に向け、本市の強みを生かし、様々な産業の連携・交
流を図りながら、本市産業を持続的に発展させるための4つの「戦略」を掲げました。また、各戦略に
基づく行動指針として、8つの「施策の方向性」を定め、さらに、施策の方向性を踏まえ、かつ実施事業
に照らし 30 項目の「基本施策」を掲げて、実現化のための施策体系としています。
目指す
産業像
戦略
施策の方向性
世界に向けて、新たな価値と魅⼒を創造・発信し、未来を拓くさがみはら
【戦略 1】
業種を超えた仕組みの構築による
新産業の創出
1.1
様々な産業の連携・交流を促し、製品やサービ
ス等が⼀体となった新産業を創出する
2.1 新しい成⻑分野を開拓し市場の獲得を促す
【戦略2】
成⻑産業の集積と
イノベーションによる価値の創造
2.2 イノベーションにより新たな価値を創造する
2.3
ものづくりの⼒によりソリューションを創出し
市⺠⽣活を⽀える
3.1
まちの魅⼒の磨き上げと積極的な発信により交
流を促進する
3.2
⽣活の質を維持・向上し、活⼒ある未来を実現
する
4.1
市内産業の持続可能な成⻑と発展に資する基盤
づくりを推進する
4.2
技術継承や⽣産⼯程の⾼度化により、ものづく
りの基盤を⽀え続ける
【戦略3】
地域資源の活⽤による
魅⼒の創出とブランドの確⽴
【戦略4】
産業を⽀える基盤づくりの推進
3
基本施策
1.1.1
広域交流拠点機能の活⽤等による産学官⾦の連携の推進
1.1.2
⾼付加価値な製品とその製品を活⽤した⾼付加価値サービス等の創出促進
1.1.3
国際交流が促進される環境の整備とビジネス機会の拡⼤
1.1.4
農商⼯が⼀体となった地産地消の促進
1.1.5
多様な産業との連携による観光施策の推進
2.1.1
成⻑産業の集積促進
2.1.2
既存企業の成⻑産業への参⼊促進
2.1.3
海外及び成⻑市場の獲得のための販路開拓⽀援
2.2.1
産学連携等による研究開発の促進によるものづくり技術の⾼度化
2.2.2
情報技術の活⽤による⽣産プロセスの⾼度化とさがみはら発の次世代ものづくりの形の創出
2.3.1
市⺠の⽣活を守り、健康の維持増進に資する製品を活⽤したソリューションの創出
2.3.2
新エネルギー関連製品を活⽤したソリューションの創出
2.3.3
ものづくりの⼒による災害対応能⼒向上の推進
3.1.1
地域資源と商業・サービス業の結合・融合による魅⼒の向上と新たな魅⼒の創出
3.1.2
広域交通基盤の強化を機会とした、業務、商業、サービス機能の集積促進
3.1.3
産業を広くサポートする事業所向けサービス業の創出
3.1.4
既存商業機能のリノベーションによる街のにぎわいの創出
3.1.5
街の中核と周辺のネットワーク形成による、街の厚みの創出
3.2.1
地域の暮らしやにぎわいを⽀える商店街の振興
3.2.2
⾼齢化社会の進⾏に伴う買い物弱者対策の推進
3.2.3
⾼齢化等により⽣じる地域課題を解決するコミュニティビジネスの創出⽀援
3.2.4
外商やEコマースを活⽤した新たな商業ビジネスモデルの促進
4.1.1
産業⼈材の確保、育成、定着の⽀援
4.1.2
多様な働き⽅による⼥性の活躍推進
4.1.3
⼈的交流や産業集積を⽀える都市基盤整備の推進
4.1.4
市の魅⼒及び市内産製品・サービスの魅⼒を伝える強⼒な情報発信⼿段の構築
4.1.5
新規事業の発⽣・成⻑を促すためのインキュベーション機能の強化、他機能との相乗効果の醸成
4.2.1
安⼼してものづくりができる産業⽤地の保全
4.2.2
技術者育成によるものづくり技術の継承・⾼度化
4.2.3
ロボット技術を活⽤した⽣産⼯程の⾼度化による競争⼒の強化
4
重点プロジェクト
本市の将来にわたる持続的発展に向けて、少子高齢化とグローバル化という 2 つの喫緊の課題に対
応するため、重点的に実施すべき取組を、7つの重点プロジェクトとして位置づけました。
【Ⅰ】ひとづくり・まちの新たな魅力づくりによる商業振興

ひとづくりイノベーション・まちリノベーションによる商店街の再生

買い物弱者対策の推進
【Ⅱ】ロボット技術を活用した生産・サービス・ライフスタイルの革新

ロボット産業の活性化

産業用ロボットの導入支援
【Ⅲ】産学連携等による新産業の創出と中小企業の育成・支援

中小企業の研究開発支援

コンソーシアムによる新技術の実用化支援

広域連携と女性の活躍による新事業の創出

ものづくり企業のワンストップ支援体制の構築
【Ⅳ】戦略的な企業誘致の推進

企業立地の促進

工業用地の保全・活用

産業を中心とする新たな都市づくりの拠点の形成
【Ⅴ】多様な地域資源を活用した経済の活性化

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携した宇宙関連産業の成長支援と
宇宙の魅力を生かした商業振興

歴史や文化、街並みを生かしたイベントの支援

さがみはらブランドの確立につながる事業に対する支援

インバウンド事業の推進

都市型観光の推進

産業観光の推進

農商工連携の促進(農業の 6 次産業化の促進)
【Ⅵ】交流人口の拡大に向けたグローバルなまちづくりの推進

業務系企業の誘致推進

中心市街地の魅力向上

商業地の形成

コンベンション機能の整備推進

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携した宇宙関連産業の成長支援と
宇宙の魅力を生かした商業振興<再掲>
【Ⅶ】世界に向けた販路開拓支援

海外成長市場の獲得支援

販路開拓支援

MICEの誘致

さがみはらブランドの確立につながる事業に対する支援<再掲>
5
都市基盤整備
広域交流拠点や産業用地創出に向けた拠点の整備、商業地の形成など複合的な都市機能を備えたま
ちづくりを進めるため、産業集積を支える都市基盤整備を推進します。
ビジョンの推進体制
本ビジョンは、2025 年度に向け、産業
政策の方向性を定めたものです。今後、本
市を取り巻く社会経済環境の大きな変化
が予想される中で、ビジョンに掲げる施
策を着実に推進するためには、様々な主
体の連携が必要不可欠です。
本ビジョンの推進にあたっては、新・相
模原市総合計画における施策を推進する
ための基本的な方針に沿って、国、県や産
業支援機関、民間事業者、金融機関、大学
など市内産業に関わる様々な主体との現
行の連携体制を活用しつつ、適宜新たな
連携をとりながら、事業推進の体制を整
備していきます。
また、本ビジョンに基づき実施される各事業については、新・相模原市総合計画の進行管理と併せ、
「PDCA サイクル」の考え方を活用し、推進していきます。
6
(仮称)
さがみはら産業振興ビジョン 2025
~世界に向けて、新たな価値と魅力を創造・発信し、
未来を拓くさがみはら~
(案)
相模原市
平成28年3月
目
次
Ⅰ (仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の策定について........................ 1
1 策定の目的 .............................................................. 1
2 ビジョンの位置づけ....................................................... 1
3 計画期間 ................................................................ 2
Ⅱ 相模原市の産業の現状と課題 ................................................ 3
1 相模原市を取り巻く社会経済環境の変化 ..................................... 3
2 相模原市の住環境・事業環境 .............................................. 17
3 相模原市の産業構造...................................................... 28
4 相模原市の工業の現状.................................................... 32
5 相模原市の商業・サービス業の現状 ........................................ 38
6 相模原市の産業の課題.................................................... 47
Ⅲ (仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 ..................................... 50
1 実現化方策の構成........................................................ 50
2 相模原市が目指す産業像と4つの戦略 ...................................... 51
3 施策の方向性 ........................................................... 54
4 施策体系 ............................................................... 56
5 基本施策と主な事業...................................................... 57
6 重点プロジェクト........................................................ 84
7 ビジョンの推進体制...................................................... 93
Ⅳ 参考資料 ................................................................. 96
1 ビジョンの策定体制...................................................... 96
2 委員会等開催経過........................................................ 98
3 市内外の事業者、団体への調査結果 ........................................ 99
4 用語解説 .............................................................. 108
※文中で専門的な用語や独自の造語等が出現した場合には、当該語句の初出のペ
ージの下部に脚注で説明しています。
Ⅰ (仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の策定について
1
策定の目的
わが国を取り巻く社会経済環境は、少子高齢化の進行による人口減少局面への突入や経
済成長を続ける新興国の存在感の増大、経済のグローバル化の進展など、大きな変化の最中
にあり、社会保障の持続可能性や、国際競争力の低下、国内経済の空洞化など、様々な課題
への対応が急務となっています。
こうした中で、本市は 2006 年 3 月に旧津久井町、旧相模湖町と、2007 年 3 月に旧城山
町、旧藤野町と合併して人口 70 万を超える都市となり、2010 年 4 月には全国で 19 番目の
政令指定都市として新たなスタートを切り6年が経過しました。この6年の間に、リニア中
央新幹線の神奈川県駅が橋本駅付近に設置されることが決定し、沿線ではJR東海が建設
に着手するとともに、圏央道の市内区間の全線開通とそれに伴う2箇所のインターチェン
ジの開設、小田急多摩線の延伸計画など、広域的な交通ネットワークの整備が進められて
いるほか、相模総合補給廠の一部返還が実現するなど、本市は首都圏南西部の広域交流
拠点都市として、着実にそのポテンシャル1を向上させつつあります。
こうした状況の中で、様々な社会課題への対応、本市の経済成長をけん引する産業の
集積や企業支援、広域交流拠点のポテンシャルを生かした商業・業務機能の集積、新成
長分野の育成など、新しい時代を見据えた産業政策の方向性を、中長期的な視点に立っ
て戦略的かつ総合的に示すため、
「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025」を策定し
ました。
2
ビジョンの位置づけ
(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 は、新・相模原市総合計画を上位計画として、
主に工業、商業、サービス業を中心とした産業振興に関する計画であり、広域交流拠点都市
推進戦略や農業・観光等に関する個別分野の計画等と整合を図りながら、産業政策の方向性
を示したものです。
図表1-1 (仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の位置づけ
新・相模原市総合計画(2010 年 3 月策定)
(仮称)さがみはら
産業振興ビジョン
2025
1
・広域交流拠点都市推進戦略
・(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン 2025
・新相模原市観光振興計画
・さがみはら森林ビジョン
・その他関連計画等
連携
整合
ポテンシャル:潜在能力のことです。
1
3
計画期間
(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の計画期間は、2016 年度から 2025 年度の 10
年間とします。なお、今後、施策の実施状況や社会経済動向などを勘案し、中間年次(5年
目)に点検、見直しを行うものとします。
図表1-2 (仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 及び関連計画の計画期間
2010 11 12
新・相模原市総合計画
(2010年3月)
13 14
15 16 17 18 19
22 23 24 25 26
2 010年度~2019年度
2 016年度~2025年度
(仮称)さがみ はら産業振興ビジョン2025
(2016年3月予定)
2014~2045年度
広域交流拠点都市推進戦略
(2014年6月)
(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン2025
(2016年3月予定)
新相模原市観光振興計画
(2008年3月)
20 21
2 016年度~2025年度
2 008年度~2019年度
2 011年度からおおむね20年
さがみはら森林ビジョン
(2011年3月)
2
(年度)
27 28
29
Ⅱ 相模原市の産業の現状と課題
1
相模原市を取り巻く社会経済環境の変化
1.1
少子高齢化の進行
(1)人口減少局面への突入
少子高齢化の進行により、わが国の人口はすでに 2008 年から減少局面に突入しています。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2020 年には 65 歳以上の人口が全体の約3割を
占め、さらに、2030 年には 75 歳以上(後期高齢者)の割合が約2割を占めると推計されてお
り、世界的に見ても未曾有の高齢社会の到来が見込まれています。このため、労働力の不足
や社会保障の持続性、国内需要の減退などが不安視されており、いかに対応していくかが課
題となっています。
また、わが国にとどまらず、アジア地域においても、現在の高齢化率こそ低いものの、今
後は急速に高齢化が進み、2030 年以降はアジア地域が世界平均よりも高齢化の進んだ地域
となる見込みとなっています。
図表2-1
出所:実績値
予測値
年齢3区分人口の構成比の推移
総務省「人口推計」(1980 年~2010 年)
国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来人口(平成 24 年1月推計)」による中位推計
図表2-2
世界の主要地域の高齢化率予測
出所:World Population Prospects「The 2012 Revision」(2012 年)
3
(2)労働力人口の推移
わが国の労働力人口は長期的にはおおむね減少傾向にあり、2004 年を底に 2007 年まで
一旦増加する局面も見られましたが、2008 年以降は減少に転じています。直近の 2013 年
~2014 年には、15~64 歳の労働力人口が減少する一方、高齢者(65 歳以上)の労働力人口が
増加したことから全体として若干増加したものの、長期的な労働力人口の減少に歯止めが
かかったとまでは言いがたい状況です。
7000
6800
6600
6400
図表2-3
(万人)
6766 6752
493
492
労働力人口の推移
15~64歳
65歳以上
6689 6666 6642 6651 6664 6684 6674 6650
6632 6591
6555 6577 6587
487
489
490
504
549
521
566
579
6200
585
583
609
650
696
6000
5800
5600
5400
6274 6260 6202 6179
6153 6146 6143 6135 6108 6071
6047 6007 5946
5926 5891
5200
5000
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(年)
出所:総務省「労働力調査」
(3)都市間の競争
多くの地方自治体では、産業振興を目的に企業誘致に取り組んでいます。企業誘致には昼
間人口の増加、さらには働き手の地域への定着により居住人口を増加させる効果も期待で
きることから、産業振興とともに地域の衰退の防止や活性化を狙って、企業誘致のための支
援策について都市間の競争が見られるようになっています。
図表2-4 県内政令市の企業誘致における経済的インセンティブ2の内容
相模原市
横浜市
川崎市
【STEP50】
支援内容
○投資に対する助成金の交付
○固定資産税及び都市計画税の軽減
○市内への本社移転に対する奨励金
○新規雇用に対する奨励金
○市内企業との取引(工場の工事発注)に
対する奨励金
支援対象
○次の業種に係る工場・研究所等の設置
・製造業
・情報通信業
・自然科学研究所
出所:各市資料より浜銀総研作成
2
【横浜市企業立地支援制度】
支援内容
○投資に対する助成金の交付
○固定資産税及び都市計画税の軽減
○市内への本社移転に対する奨励金
○家賃補助
支援対象
○工場、研究所、事務所等の設置
○本社機能や研究開発機能を設置す
るための賃貸オフィスビルへの入居
【イノベート川崎】
支援内容
○投資に対する助成金
の交付
支援対象
○次の分野に係る先端
技術を事業化するため
の工場、研究所、事務所
等の設置
・環境
・エネルギー
・ライフサイエンス
インセンティブ:本来の「誘因」から転じて、ここでは「やる気を引き出す措置」の意味となります。
4
1.2
グローバル化3
(1)新興国の台頭による需要拡大と競争激化
世界的な経済の動きを見ると、中国や東南アジアなどアジア地域を中心とした新興国で
は高い経済成長率が続いており、国際経済における存在感を次第に高めてきています。一方、
わが国の経済は低成長が続いており、国際経済における相対的地位が低下しています。わが
国の立場から見ると、アジア地域等の新興国の経済成長は輸出先として機会となる一方、こ
れらの国々はわが国に比べて価格競争力が強く、競争相手としては脅威となっています。
主要国GDP4額順位
図表2-5
0
アメリカ
2
中国
日本
4
G
D
P 6
順
位
位 8
ドイツ
フランス
( )
イギリス
ブラジル
ロシア
10
イタリア
インド
12
カナダ
スペイン
14
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013 年
(注)US ドル換算による比較
出所:IMF「World Economic Outlook」(2013 年 12 月末現在)
図表2-6
輸出先地域別の輸出額構成比
輸出額構成比
0%
2004
20%
40%
48.4%
2009
54.2%
2014
54.1%
60%
80%
23.8%
16.0%
17.5%
19.8%
13.1%
10.6%
100%
11.7%
15.3%
15.5%
年
アジア
北米
西欧
その他
出所:財務省「貿易統計」(2004 年、2009 年、2014 年)
3
4
グローバル化:商取引や金融取引などの経済活動が国家の境界を越えて行われることです。
GDP:国内総生産のことで Gross Domestic Product を略したものです。一定期間内にある国内で産
み出された付加価値の総額を指します。都道府県や市町村など国よりも小さい範囲で、同様に県内総生
産や市内総生産などを定義することもあります。
5
(2)国際的な企業間の合併等の動き
国際競争の激化に対応するため、新技術、海外の優良な人材やノウハウの獲得、市場の獲
得を短期間で行うことなどを目的として、国境を越えた企業の買収・合併の動きが見られま
す。国内企業が海外企業を買収・合併した近年の大型案件としては、2013 年のソフトバン
クによる米国の携帯通信大手スプリント・ネクステルの買収や、2011 年の武田薬品工業に
よるスイスの医薬品大手ナイコメッドの買収などがあげられます。
図表2-7
年
近年の国内企業による海外企業の買収等の事例
買収企業
被買収企業
被買収企業の国籍
分野
2010
KDDI
リバティーグローバル
米国
放送
2011
武田薬品工業
ナイコメッド
スイス
医薬品
2012
ダイキン工業
グッドマン
米国
空調機
2013
ソフトバンク
スプリント・ネクステル
米国
通信
2014
サントリーHD
ビーム
米国
飲食料品
(3)海外事業活動拠点の増加
経済活動がグローバル化し、国境を越えた企業活動がごく当たり前に行われるようにな
る中で、国内企業の海外進出は増加基調をたどっています。特に高い経済成長を続けるアジ
ア地域に対する進出は大きく増加しています。
図表2-8
海外現地法人数の推移
25,000
23,351
2,067
20,000
( )
現
地
法
人 15,000
企
業
数
10,000
社
5,000
18,201 18,599
19,250
2,834
1,687
1,706
1,568 1,590
3,216
14,996
2,614
1,464 1,516
2,536
13,875
2,522
1,467
13,322
2,513
1,421
2,423
12476
2,860
2,384 2,405
2,860
1,404 1,417 2,368
2,865 2,872
1388
2,826
2,332
2,830
2,246
2,825
2147
2,743
2,630
2,663
2596
15,234
11,217 11,497 12,089
10,712
9,174 9,671 9,967
7,496 8,464
6345 7,009
16,732
15,850 16,370
17,658
その他
欧州
北米
アジア
合計
0
2001
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12 年度
出所:経済産業省「海外事業活動基本調査」(2001 年度~2012 年度)
6
1.3
ICT5の発展
(1)ICTの発展により創出された新たなサービスや考え方
ICTは 1990 年代後半から急速に進展し、人々の生活に大きな変化をもたらしてきまし
た。近年の変化としては、スマートフォンやタブレット型端末6などの普及が進み、インタ
ーネット環境に接する主要機器としての地位を獲得しつつあることがあげられます。
また、産業界では、機械機器類に情報通信機能を備え、ICTにより最適に稼動させると
いう発想が普及してきました。製造業では、この発想を生産現場に適用して、管理システム
や製造装置をネットワークにつないで最適な稼動ができるようにする「スマートファクト
リー」の概念が発案され、その実現に向けた取組が行われています。
図表2-9
主要な情報端末機器の世帯保有率の推移
出所:総務省「通信利用動向調査」(2013 年)
(2)Eコマース7による購買スタイルの変化
ICTの発展に伴ってインターネット通販等を利用した消費者向けのEコマースの規模
は年々拡大しており、その市場規模は 2008 年の 6.1 兆円から、2013 年には 11.2 兆円へと
1.8 倍になっています。
小売業・サービス業全ての消費者向け商取引における電子商取引の割合であるEC(Eコ
マース)化率8も上昇の一途をたどっており、2008 年の 1.79%から 2013 年には 3.67%とそ
の割合は2倍以上になっています。直近の 2013 年について業種別のEC化率を見ると、小
売業では総合小売業(6.39%)、サービス業では宿泊・旅行、飲食業(7.38%)のEC化率
が特に高くなっています。また、いずれの業種においても 2008 年から 2013 年にかけてE
C化率が2倍以上に拡大しています。PCやスマートフォンの普及が進み、店頭に行かずに
モノやサービスを購入する人が増えており、店頭販売を行う事業所にとっては客数減少の
一因になっていると推測されます。
5
6
7
8
ICT:情報通信技術。「Information and Communication Technology」を略したものです。
タブレット型端末:薄い板の形状をした携帯型の通信端末の総称です。
Eコマース:コンピュータ・ネットワーク上の電子的な情報通信によって商品やサービスを売買するこ
とです。「電子商取引」とも呼ばれます。
EC化率:小売業・サービス業の全ての消費者向け商取引における電子商取引の割合です。
7
図表2-10
わが国の消費者向け電子商取引市場規模の推移
【BtoC9取引全体の推移】
120,000
【業種別EC化率】
111,660 0.00%
5.00%
95,130 EC化率
84,590 77,880 80,000
億円
60,000
3.67%
食料品小売業
2.08%
40,000
20,000
0
2009
2010
0.58%
2011
2012
2013
1.65%
2008年
2013年
2.36%
4.84%
1.67%
1.52%
4.56%
3.26%
3.53%
7.38%
0.66%
1.19%
娯楽業
0.00%
年
8.00%
6.39%
0.48%
1.08%
E 家具・家庭用品、
C 電気製品等小売業
医薬化粧品
化
2.00% 率
小売業
スポーツ・本・
音楽・玩具小売業
1.00%
宿泊・旅行、飲食業
2.46%
6.00%
3.17%
衣料・アクセサリー
小売業
3.00%
1.79%
2008
4.00%
3.11%
2.83%
66,960 60,890 4.00%
総合小売業
市場規模
100,000
2.00%
出所:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(2008 年~2013 年)
1.4
エネルギー価格の上昇
2011 年 3 月の東日本大震災以降、わが国の電力供給をめぐる状況は大きく変化していま
す。原子力発電所の停止に伴い、火力発電への依存度が大きく上昇しています。一方で、エ
ネルギー供給に対する不安は依然として根強く、エネルギーの安定的な確保のため、災害時
のリスクの低減につながる分散型電源10によるエネルギーシステムの導入がスタートする
とともに、エネルギー供給手段の多様化を図るべく太陽光発電を中心とした再生可能エネ
ルギーの導入が活発化しています。ただ、出力が不安定になりがちな再生可能エネルギーを
電力会社が受け入れるにはコストがかかるため、火力発電の稼動に伴う燃料費の増加と相
まって電力料金の値上げにつながっていると見られます。
エネルギー価格の上昇は企業の事業活動に幅広く影響を及ぼすことが予想され、製品や
サービスへの価格転嫁による競争力の低下や価格への影響を吸収することによる事業採算
性の低下などが懸念されます。
図表2-11
電力会社
主要電力会社の法人向け電力料金改定状況
価格改定時期
東京電力
中部電力
2012 年4月
2014 年4月
関西電力
2013 年5月
2015 年4月
改訂内容
+2円 36 銭/kwh
高圧:+1.42 円/kwh
特別高圧:+1.39 円/kwh
平均+17.26%
平均+13.93%
出所:各社ホームページより浜銀総研作成
9
BtoC:企業と個人(消費者)間の商取引、あるいは、企業が個人向けに行う事業そのものを指す用語
です。一般消費者向けの製品の製造・販売や、消費者向けサービスの提供などが該当します。
10
分散型電源:比較的小規模な発電装置を消費地近くに分散配置して電力の供給を行う機械設備そのもの
や、その方式のことです。太陽光や風力、小水力発電などの再生可能エネルギーや燃料電池に向いた方
式とされています。電源の分散配置により、電力供給の途絶が広範囲にわたるリスクが軽減されるた
め、災害に強い電力供給方式と考えられています。
8
1.5
水素エネルギーの普及促進
水素は、多種多様なエネルギー源から製造が可能であり、利用段階では二酸化炭素を排出
しない「究極のクリーンエネルギー」として、エネルギーの安定的な確保や環境負荷の低減
などに大きく貢献する次世代エネルギーとして期待されています。また、水素は、家庭用燃
料電池11や燃料電池自動車など、多岐にわたる分野において様々な用途に利用される可能性
を持ち、かつ、技術革新により、コスト面でも普及が可能となってきました。
近年では官民を挙げて水素エネルギーの活用に対する研究開発や制度設計の検討などが
進められています。具体的な国の動きとしては、2014 年4月に閣議決定された「エネルギ
ー基本計画」で「“水素社会”の実現に向けた取組の加速」を進めるとしていることや、2014
年6月には経済産業省が「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定したことなどがあげら
れます。
また、地方自治体の動きとしては、神奈川県が中心となって運営する「かながわ次世代自
動車普及推進協議会」において「神奈川の水素社会実現ロードマップ」が 2015 年3月に策
定されたほか、本市でも 2014 年 12 月に「相模原市水素エネルギー普及促進ビジョン」を
策定しています。本市のビジョンでは、水素社会の実現に向けて、燃料電池自動車の普及促
進や家庭用燃料電池及び産業用燃料電池の普及など検討する5つの施策を打ち出していま
す。
図表2-12
水素エネルギーの普及に向けた主な動き
主体
内容
国やその関連機関
・2014 年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」で「“水素社会”の実現に向けた
取組の加速」を進めるとした
・2014 年6月には経済産業省が「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定
・独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が 2014 年7月に「NEDO 水
素エネルギー白書」を公表
・九都県市首脳会議において、水素エネルギーの普及促進のための国に向けた提言の取り
まとめ、水素エネルギー普及検討ワーキンググループ会議の設置などを実施(2014 年
度)
・相模原市が 2014 年 12 月に「相模原市水素エネルギー普及促進ビジョン」を策定
・「かながわ次世代自動車普及推進協議会」において「神奈川の水素社会実現ロードマッ
プ」を 2015 年3月に策定
・本田技研工業が 2014 年 11 月に新型燃料電池車のコンセプトカーを公開
・トヨタ自動車が 2014 年 12 月に燃料電池車「MIRAI」を販売開始
地方自治体やその
関連機関
民間
1.6
頻発する自然災害
2011 年 3 月の東日本大震災は観測史上最大級の地震となり、その後の津波の被害と合わ
せて死者・行方不明者が 18,000 人を超える甚大な被害が発生しました。現在も避難生活を
している人々がおり、震災の影響は発生から4年以上が経過した今もなお残っています。
その後もわが国に被害をもたらした自然災害は数多く発生しており、高齢者の避難が遅
れて被害が拡大するなど、高齢化の進行の中で身体機能が低下した高齢者や障害者の安全
をどのように確保していくかが課題となっています。
11
燃料電池:水素と酸素を電気化学反応させて電気を作る発電装置です。
9
1.7
首都圏における環境変化
(1)広域交通基盤の整備
わが国では経済規模の拡大に伴う輸送需要の増大やモータリゼーション12の拡大ととも
に、鉄道や道路などの交通網整備が各地で進んできました。交通渋滞による機会損失の防止
や環境への負荷の緩和に対する社会的要請に加えて、近年では既存の道路・鉄道網の老朽化
による大規模修繕の発生や、震災・台風等の自然災害時における幹線道路の代替路線の必要
性なども相まって、現在でも都市部を中心に広域交通基盤の整備が進められています。
①リニア中央新幹線の整備
リニア中央新幹線の建設計画は、1973 年の中央新幹線の基本計画の決定に始まり、その
後は経済環境の変化の影響を様々に受けつつ、東京都・名古屋市間で直線に近い形状のルー
トの計画となることが、2011 年に東海旅客鉄道株式会社(JR東海)により明らかにされ
ました。神奈川県内では本市の緑区の橋本駅付近に神奈川県駅が設置されるとともに、緑区
鳥屋に関東車両基地が設置される予定となっています。
図表2-13
中央新幹線(東京都・名古屋市間)の路線
出所:東海旅客鉄道株式会社ホームページ
(http://company.jr-central.co.jp/company/others/chuoshinkansen01.html)
②圏央道(さがみ縦貫道路)の開通
圏央道は、
首都圏中心部から半径約 40km~60km の位置に計画されている延長約 300km
の自動車専用の高規格幹線道路で、南関東の中核となる都市を連絡し、東名高速道路、中央
自動車道、関越自動車道を結節して広域的なアクセス利便性を高める効果が期待されてい
ます。
さがみ縦貫道路は圏央道のうち、茅ヶ崎市から相模原市緑区を結ぶ区間で、津久井・県央・
湘南を直接結び、神奈川県内の南北方向の移動利便性を高める大動脈として期待されてい
ます。2013 年3月に海老名ICから相模原愛川ICの区間が、2014 年6月に相模原愛川I
Cから高尾山IC(東京都)の区間が開通し、さがみ縦貫道路のうち相模原市内の区間は全
線が開通しました。さらに、2015 年3月には海老名JCTから寒川北ICの区間が開通し
たことで、さがみ縦貫道路の全線が開通しました。
12
モータリゼーション:自動車が生活必需品として広く普及する現象です。
10
図表2-14
圏央道の整備状況
出所:国土交通省関東地方整備局ホームページ
(http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/road/3kanjo/kenoudo/index.htm)
③小田急多摩線の延伸計画
小田急多摩線の延伸計画は、現在、新百合ヶ丘から唐木田まで整備されている小田急多摩
線を、町田市、JR横浜線相模原駅、JR相模線上溝駅、さらには田名地区を経由し、愛川・
厚木方面へ延伸する計画です。
同計画は、国の計画である運輸政策審議会(現
交通政策審議会)の答申第 18 号「東京
圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」(2000 年1月)において、
「小田急多摩線の唐木田駅からJR横浜線・JR相模線方面への延伸について、今後整備に
ついて検討すべき路線」に位置付けられたことから始まったものです。その後、本市では町
田市や厚木市などの周辺の自治体とともに同計画の実現に向けて、ルートや事業採算性等
の具体的な検討を重ねてきました。2014 年に相模総合補給廠の一部が国へ返還されたこと
により、同計画にとっての大きな課題の一つが解消され、その実現性が高まってきています。
④羽田空港の国際化
羽田空港では、2010 年 10 月にD滑走路が完成し、国際定期便による 24 時間化が実現し
たことで、アジア、欧州、北米諸国方面への国際定期便の就航本数やこれらの地域からの旅
客数が増加し、人や情報の交流の活発化につながっています。本市は鉄道では羽田空港から
1時間半以内にアクセスできる位置にあることから、同空港を経由する訪日外国人に対し
て、本市の認知度を上げ、魅力を知ってもらう機会が増えたと考えられます。
11
(2)2020 年東京オリンピック・パラリンピックの開催
2013 年9月にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催された第 125 次IOC総会で、
2020 年のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが決定しました。現在東
京都を中心に開催に向けた準備が進められており、本市を含む首都圏全体で訪日外国人の
大幅な増加が期待されます。
1.8
国の産業政策動向
(1)日本再興戦略
国内産業が厳しい状況に置かれる中、2013 年 6 月に、日本経済の再生に向けた新たな成
長戦略、
「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」が閣議決定されました。同戦略は、成長実現
に向けた具体的な取組として、「日本産業再興プラン」「戦略市場創造プラン」「国際展開戦
略」の3つのアクションプランを掲げており、今後 10 年間の平均で名目GDP成長率3%
程度、実質GDP成長率2%程度の実現、1人当たり名目国民総所得(GNI13)を 10 年後に
150 万円以上アップなどの目標を掲げています。
図表2-15
「日本再興戦略」の概要
◆日本再興戦略の3つのアクションプラン
○「日本再興戦略」においては、成長実現に向けた具体的な取組として、
「日本産業再興プラン」
、
「戦略市
場創造プラン」
、
「国際展開戦略」の 3 つのアクションプランを掲げています。
「日本産業再興プラン」の
実行により産業基盤を強化、その力を基に、
「戦略市場創造プラン」を実行し、課題をバネに新たな市場
を創造するとともに、
「国際展開戦略」の実行により、拡大する国際市場の獲得を目指します。
◆日本産業再興プラン
○グローバル競争に勝ち抜ける製造業の復活、付加価値の高いサービス産業の創出を図ります。
○企業が活動しやすく、個人の可能性が最大限発揮される社会を実現します。
○次の6項目から構成されています。
1.緊急構造改革プログラム
2.人材力強化・雇用制度改革
14
3.科学技術イノベーション
4.世界最高水準のIT社会の実現
5.立地競争力の強化
6.中小企業・小規模事業者の革新
◆戦略市場創造プラン
○4 つのテーマについて、その実現に向けての具体的取組とともに、2030 年時点の達成すべき社会像、
成果指標、ライフスタイルを設定し、戦略分野毎の施策展開を示した行程表(ロードマップ)を作成し
ています。
テーマ1 国民の「健康寿命」の延伸
テーマ2 クリーンかつ経済的なエネルギー需給の実現
テーマ3 安全・便利で経済的な次世代インフラの構築
テーマ4 世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現
◆国際展開戦略
○積極的な世界市場展開と、対内直接投資拡大等を通じ、世界のヒト、モノ、お金を日本に惹きつけ、
世界の経済成長を取り込みます。
○日本国内の徹底したグローバル化を進めます。
○次の3つの項目から構成されています。
1.戦略的な通商関係の構築と経済連携の推進
2.海外市場獲得のための戦略的取組
3.我が国の成長を支える資金・人材等に関する基盤の整備
出所:首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/
13
14
GNI:国民総所得のことで Gross National Income を略したものです。GDPから海外へ支払う所
得を除き、海外から受取る所得を加えたもので、かつては国民総生産(GNP)と呼ばれていました。
イノベーション:技術やビジネスモデル等の革新のことです。
12
2014 年に改訂された「「日本再興戦略」改訂 2014-未来への挑戦-」では、従来戦略で
課題としていた労働市場改革や農業の生産性拡大の解決の方向性を示すとともに、振興さ
せる今後の成長分野として、医療・健康やエネルギーに加えてロボットが加えられました。
図表2-16 「日本再興戦略」改訂 2014 の概要
※図表中の用語は下記脚注を参照
15
16
17
コーポレートガバナンス
ポートフォリオ
エクイティ
18
19
20
バリューチェーン
6次産業化
ホールディングカンパニー
21
22
非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮)
プラットフォーム
23
24
PPP/PFI
インフラ
出所:首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/)
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
コーポレートガバナンス:企業が不正行為を行わないように、あるいは適正な事業活動がなされるよ
うに企業を統制・監視することです。「企業統治」と訳されています。
ポートフォリオ:運用する金融資産の組み合わせ方のことです。
エクイティ:株式資本のことです。
バリューチェーン:原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでの各行程において価値とコス
トが付加・蓄積され、行程を通した一連の連鎖的活動のなかで顧客に対する最終的な価値が生み出さ
れる、という考え方です。企業活動の各行程を一連の価値(Value)の連鎖(Chain)としてとらえる考
え方のため、バリューチェーンと呼ばれています。
6次産業化:第1次産業である農林水産業者が、生産した農産物を原材料とした加工食品の製造・販
売、地域資源を生かしたサービス(例えば観光農園)など、第2次産業や第3次産業まで事業を展開
することです。1、2、3の掛け算で6次産業化と呼ばれています。
ホールディングカンパニー:株式を所有することにより傘下企業の事業活動を支配し、グループ全体
の戦略・経営計画立案などを行う会社のことで、持株会社とも呼ばれます。
非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮):複数の医療法人及び社会福祉法人等を束ねて一体
的に経営することを法制上可能とする制度です。複数のグループ企業を株式保有によって束ねるホー
ルディングカンパニーになぞらえて命名されたものと考えられます。
プラットフォーム:物事を行うための基礎・基盤となる仕組みを表す概念です。
PPP/PFI:PPP(Public Private Partnership)は、官民の連携による公共サービスの提供手法のことで
す。PFI(Private Finance Initiative)は、PPP の一形態で、公共施設の建設・維持管理・運営等に民間
の資金や経営能力等を導入し、国や地方公共団体が直接実施するよりも効率的、効果的にサービスを
提供する手法のことです。
インフラ:インフラストラクチャーの略語で、道路、港湾、上下水道、鉄道などの社会資本のことです。
13
(2)総合特区
「総合特区」制度は、産業の国際競争力の強化及び地域の活性化に関する施策を総合的か
つ集中的に推進することにより、わが国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るた
め、2011 年8月に施行された「総合特別区域法」に基づき創設された制度です。総合特別
区域には、我が国の経済成長のエンジンとなる産業・機能の拠点形成等による国際競争力の
強化を図る「国際戦略総合特別区域」と、地域資源を最大限活用した地域活性化の取組によ
り地域力の向上を図る「地域活性化総合特別区域」があります。
神奈川県内では、2011 年 12 月に「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」
(国際戦略総合特別区域)、2013 年2月に「さがみロボット産業特区」(地域活性化総合特
別区域)の指定を受けています。このうち、「さがみロボット産業特区」は、本市を含む、
さがみ縦貫道路沿線地域等の 10 市2町を対象区域としており、ロボットを開発する際のハ
ードルとなる様々な法令の規制緩和や、実証実験のサポートなどを通じて、生活支援ロボッ
トの実用化を通じた地域の安全・安心の実現を目指しています。本市内では、同特区の取組
の一環として、住宅展示場におけるロボット体験施設の開設や、元県立新磯高校のプレ実証
フィールドとしての活用などが行われています。
図表2-17
さがみロボット産業特区の概要
出所:神奈川県ホームページ
http://sagamirobot.com/about.html(上)、
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f430080/p811470.html(下)
14
(3)国家戦略特区
「国家戦略特区」は、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競
争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を促進する観点から、国が定めた
区域において、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進するものです。2013 年6月に
特区創設が閣議決定され、同年 12 月には国家戦略特別区域法が成立しました。
神奈川県では、2013 年9月に横浜市、川崎市と共同で「健康・未病産業と最先端医療関
連産業の創出による経済成長プラン~ヘルスケア・ニューフロンティアの実現に向けて~」
を提案し、2014 年5月には東京特別区 9 区、千葉県成田市とともに神奈川県全域が特区区
域に指定されました。その後、国家戦略特区担当大臣や関係地方公共団体の長などを構成員
とする「東京圏国家戦略特別区域会議」において、国家戦略特別区域計画が作成され、2014
年 12 月に第1回の認定を受け、2015 年9月には4回目の認定を受けました。
図表2-18
国家戦略特別区域(東京圏)の概要
 対象区域:神奈川県全域、東京都千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、
品川区、大田区及び渋谷区並びに千葉県成田市
 目標
2020 年開催の東京オリンピック・パラリンピックも視野に、世界で一番ビジネスのしや
すい環境を整備することにより、世界から資金・人材・企業等を集める
国際的ビジネス拠点を形成するとともに、創薬分野等における起業・イノベーションを通
じ、国際競争力のある新事業を創出する。
 政策課題
(1)グロ―バルな企業・人材・資金等の受け入れ促進
(2)女性の活用促進も含めた、多様な働き方の確保
(3)起業等イノベーションの促進、創薬等のハブ 25 の形成
(4)外国人居住者向けを含め、ビジネスを支える生活環境の整備
(5)オリンピック・パラリンピックを視野に入れた国際都市にふさわしい都市・交通機
能の強化
 区域計画に記載された事業の概要
名称
国家戦略民間都市再生事業
25
ハブ
内容
民間都市再生事業計画の認定に係る都市再生特別
措置法の特例
国家戦略都市計画建築物等整備事業
都市計画の決定又は変更に係る都市計画法の特例
国家戦略道路占用事業
エリアマネジメント 26 に係る道路法の特例
保険外併用療養に関する特例 関連事業
保険外併用療養に関する特例
国家戦略特別区域高度医療提供事業
病床規制に係る医療法の特例
二国間協定に基づく外国医師の業務解禁
関連事業
二国間協定に基づく外国医師の業務解禁
公証人役場外定款認証事業
公証人役場外での定款認証に係る公証人法の特例
26
エリアマネジメント
国家戦略特別区域限定保育士事業
保育士資格に係る児童福祉法等の特例
出所:首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai5/sankou_kuiki.pdf
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/kuikikeikaku.html
25
26
ハブ:ネットワークの中心となる場所・拠点です。
エリアマネジメント:地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業
主・地権者等による主体的な取組のことです。取組の内容は、良好な美しい景観の形成、安全・安心な
地域づくり、コミュニティの形成等、地域によって様々です。
15
(4)まち・ひと・しごと創生
我が国における急速な少子高齢化の進行に的確に対応し、日本全体、特に地方の人口の減
少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住
みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目指し、
2014 年 11 月に「まち・ひと・しごと創生法」が制定されました。
同年 12 月には、同法に基づき、日本の人口の現状と将来の姿を示し、今後目指すべき将
来の方向を提示する「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(長期ビジョン)」、及びこれを
実現するため、今後 5 か年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめた「まち・ひ
と・しごと創生総合戦略(総合戦略)」が閣議決定されています。
「長期ビジョン」では、目指すべき将来の方向として、将来にわたって活力ある日本社会
を維持するため、2060 年に概ね 1 億人程度の人口を維持することなどを掲げています。
また、
「総合戦略」では、人口減少と地域経済縮小を克服し、まち・ひと・しごとの創生(「し
ごと」と「ひと」の好循環の確立と、その好循環を支える「まち」の活性化)を目指す今後
の施策の方向として、
「地方における安定した雇用を創出する」
「地方への新しいひとの流れ
をつくる」
「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」
「時代に合った地域をつくり、
安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する」という 4 つの基本目標を掲げ、それ
ぞれの目標に対する政策パッケージ等を提示しています。
なお、都道府県及び市町村においても「地方人口ビジョン」「地方版総合戦略」の策定が
努力義務とされており、地方公共団体の取組に対して国は情報支援、財政支援、人的支援を
行うこととしています。
図表2-19
まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」
「総合戦略」の全体像
出所:まち・ひと・しごと創生本部ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/souseikaigi/h26-12-26-siryou4-2.pdf
16
2
相模原市の住環境・事業環境
2.1
人口の推移
本市は全国でもまれに見る人口急増地域でしたが、近年はその増加ペースは落ち着いて
きました。直近の国勢調査(2010 年調査)によると、本市の総人口は 717,544 人、世帯数
は 302,815 世帯となり、その後も人口、世帯数ともに増加が続いており、2014 年(10 月1
日現在)の人口は 722,931 人、世帯数は 316,320 世帯となっています。行政区別に見ると、
南区が 277,281 人と最も多く、中央区 269,812 人、緑区 175,838 人の順となっています。
さがみはら都市みらい研究所が行った「2010 年国勢調査に基づく相模原市の将来人口推
計」によると、全国では既に人口減少局面に入った中で、本市の人口は増加傾向が続き 2019
年に 732,233 人でピークを迎え、以降緩やかに減少することが予測されています。
また、総人口に対する 65 歳以上人口の割合である高齢化率について見ると、本市では全
国に比べて高齢化率は低いものの、2013 年(1月1日現在)には2割を超え、その後も上
昇して 2032 年には3割を超えると予測されており、高齢者数も大きく増加することが見込
まれています。
こうした人口減少、高齢化の進行による本市の経済・産業への影響が懸念されるため、こ
うした大きな環境変化を見据えた産業政策の検討が必要となります。
千人 図表2-20
相模原市の年齢3区分人口の推移(実績・予測)
800
700
実績← →推計
老齢人口
(65歳以上)
11.5%
19.4%
600
29.4%
500
400
300
生産年齢人口
(15~64歳)
73.8%
67.3%
60.6%
200
100
年少人口(15歳未満)
0
1980 1985 1990 1995
14.8%
2000
2005
13.4%
2010
2015
10.1%
2020
2025
2030
2035
2040 年
出所:実績値:総務省「国勢調査」(1980 年~2010 年)
予測値:さがみはら都市みらい研究所「2010 年国勢調査に基づく相模原市の将来人口推計」
(2013 年1月)
2.2
高齢化率
総人口に占める 65 歳以上人口の割合である高齢化率を、首都圏の政令市等との間で比較
したところ、本市は 19.4%で、川崎市、さいたま市に次いで低くなっています。また、75
歳以上人口の総人口に対する割合である後期高齢化率は 7.6%と川崎市に次いで低いこと
から、本市は大都市のなかでも若い市民の割合が高い都市といえます。
行政区別に見ると、高齢化率、後期高齢化率ともに南区が最も高くなっています。
17
図表2-21
高齢化率の都市間比較
30.0%
高齢化率
後期高齢化率
24.7%
25.0%
20.0%
21.4%
20.1%
19.4%
21.7%
20.8%
20.4%
19.3%
19.2%
18.4%
16.8%
15.0%
11.7%
7.4%
8.1%
8.4%
千葉市
8.9%
さいたま市
7.6%
川崎市
10.0%
8.9%
9.1%
7.5%
8.2%
6.9%
5.0%
南区
中央区
緑区
静岡市
町田市
八王子市
横浜市
相模原市
0.0%
(注)ここでは、比較する都市として、以下の条件に該当する 7 都市を取り上げた。
①首都圏の政令市(横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市)
②首都圏以外の政令市で本市と人口規模や産業構成等の面で類似性がある都市(静岡市)
③本市に隣接する都市のうち、50 万人程度の人口規模を有する都市(八王子市、町田市)
出所:総務省「国勢調査」(2010 年)
2.3
昼夜間人口比率27
本市は町田市と八王子市に隣接するとともに、JR横浜線・小田急線などにより、新宿区
など東京都心部へのアクセスが良好であるため、これらの地域のベッドタウンとしての性
格を有しています。このため、昼間人口が夜間人口よりも少なく、昼夜間人口比率は 87.9%
と1を下回っています。
図表2-22
昼夜間人口比率の都市間比較
110.0%
103.3%
昼夜間人口比率
100.0%
97.5%
91.5%
90.0%
99.7%
87.9%
93.3%
92.8%
91.0%
89.5%
87.3%
83.0%
80.0%
南区
中央区
緑区
静 岡市
町田市
八王子市
千葉市
さいたま市
川崎市
横浜市
相模原市
70.0%
出所:総務省「国勢調査」(2010 年)
27
昼夜間人口比率:ある地域の夜間人口に対する昼間人口の割合で、これが 100%を超える場合は昼に域外
から人が流入する地域、100%を下回る場合は昼に域外へ人が流出する地域であることを表しています。
18
本市を含めて1都3県に位置する政令市や近隣市では、東京都心部等への昼間人口の流
出が大きいために昼夜間人口比率は軒並み1を下回っていますが、本市はその中でも川崎
市と並んで最も低い水準にあり、他市に比べても昼間人口の流出が大きくなっています。昼
間人口の流出は、昼間人口を対象とする商業・サービス機能が集積しにくい一因となってい
ると考えられます。一方、市民の雇用の受け皿として、さらには周辺地域から就業者を誘引
することが期待される業務・商業機能の集積の低さが、昼間人口の流出につながっている面
もあると考えられます。
2.4
日常の人口移動
(1)通勤の状況
市内に住む就業者約 33 万人(2010 年)の具体的な通勤先を見ると、市内通勤の割合が最
も大きく、半数(50.5%)は本市内に通勤をしています。市外通勤では横浜市の割合が最も大
きく 7.0%、次いで町田市の 5.0%、東京都区部のうち小田急・京王両路線の沿線である新
宿区・渋谷区・世田谷区、東京都心 3 区(千代田区・中央区・港区)の 4.2%となっています。
2005 年からの通勤先の内訳割合の変化を見ると、横浜市の割合が 6.5%から 7.0%と上昇
した以外、東京都区部がやや低下したものの主要な通勤先の割合に大きな変化は見られま
せん。ただし、市内通勤の割合が5ポイント低下していることから、主要な市外通勤先以外
への通勤の割合が大きくなったことがうかがえます。
図表2-23
市内に常住する就業者の通勤先
【2010 年】
新宿区
渋谷区
世田谷区
町田市
13,996
4.2%
16,604
5.0%
八王子市
10,088
3.1%
千代田区
中央区
港区
13,937
4.2%
相模原市
23,075
7.0%
N=330,058
166,569
50.5%
横浜市
【2005 年】
新宿区
渋谷区
世田谷区
町田市
15,289
4.5%
16,799
4.9%
八王子市
10,674
3.1%
相模原市
N=339,907
188,781
55.5%
(注)2005 年の数値は旧津久井郡の4町を含む。
出所:総務省「国勢調査」(2005 年、2010 年)
19
千代田区
中央区
港区
14,719
4.3%
22,077
6.5%
横浜市
通勤先を行政区別に見ると、いずれの区でも市内通勤の割合が最も大きくなっています
が、中央区、緑区ではその割合が5割半ばであるのに対して、南区では4割弱(39.1%)にと
どまっており、南区からの昼間人口の流出が大きいことがわかります。
市外通勤先の内訳を見ると、中央区と南区では横浜市の割合が最大である点は共通して
いますが、中央区では町田市、南区では町田市とともに新宿区・渋谷区・世田谷区、千代田
区・中央区・港区の割合が大きくなっており、両区で市外通勤先に違いが見られます。また、
緑区では八王子市の割合が横浜市や町田市よりも大きく、他区と異なる特徴が見られます。
図表2-24
新宿区
渋谷区
世田谷区
町田市
3,615
3.0%
6,120
5.0%
八王子市
市内就業者の通勤先(行政区別)
3,694
3.0%
相模原市
中央区
3,284
2.7%
千代田区
中央区
港区
8,936
7.3%
N=122,448
70,517
57.6%
相模原市
横浜市
新宿区
渋谷区
世田谷区
町田市
7,674
6.2%
7,691
6.2%
八王子市
相模原市
南区
1,267
1.0%
新宿区
渋谷区
世田谷区
町田市
2,707
3.3%
2,793
3.4%
八王子市
5,537
6.7%
相模原市
緑区
2,558
3.1%
3,097
3.7%
N=82,885
47,227
57.0%
千代田区
中央区
港区
相模原市
横浜市
出所:総務省「国勢調査」(2010 年)
20
7,685
6.2%
11,042
8.9%
N=124,725
48,825
39.1%
千代田区
中央区
港区
相模原市
横浜市
(2)本市来街者の市内外別居住状況
2014 年度の相模原市商業実態調査によると、本市に来街された人のうち、市外から訪れ
た人の割合は平日では 32.1%、休日では 34.1%で、本市来街者の約3分の1は市外の方と
なっています。
市内の各地域別に来街者の市内外別の内訳をみると、平日、休日ともに橋本、古淵におけ
る市外の割合が大きくなっています。橋本では平日の市外割合が 51.3%と半数を超える一
方で休日は 38.6%と大幅に小さくなりますが、古淵では平日 41.3%に対して休日が 45.7%
と平日よりも若干大きくなり、市外割合が安定して高くなっています。
図表2-25
市内各地における来街者の市内外別割合
【平日】
【休日】
出所:相模原市「相模原市商業実態調査」(2014 年度)
21
2.5
住環境
本市は旧相模原市が 2006 年3月に旧津久井町と旧相模湖町、2007 年3月に旧城山町と
旧藤野町とを合併して人口 70 万を超える都市になり、旧相模原市の都市機能と旧津久井地
域の豊かな自然とを併せ持つことで、1つの都市の中に多様な魅力を持つ自治体となって
います。本市の周辺には、大学や企業の研究機関の集積地である八王子市や東京都多摩地区
の一大商業地である町田市など、魅力ある自治体が隣接し、周辺自治体とともに、約 230 万
の人口で形成される都市圏(※)の牽引役を担っています。
(※)2010 年における相模原市、座間市、大和市、厚木市、愛川町、八王子市、町田市の推計人口の合
計値(出所:総務省「国勢調査」)
生活を支えるインフラも充実しており、近隣の政令市と比較すると、例えば一般病院数は
人口 10 万人当たり 4.6 か所、救急告示病院28は 2.1 か所とトップの水準にあります。
また、人口 10 万人当たりの待機児童数についても 12.9 人と横浜市に次いで少なく、大
都市の中でも子育てがし易く、安全・安心に生活できる環境が整った都市といえます。
図表2-26 人口 10 万人当たりの病院数
5.0
4.6
一般病院数
救急告示病院数
4.1
4.0
3.2
3.0
2.8
3.0
2.5
2.1
2.1
1.5
1.6
1.7
横浜市
川崎市
さいたま市
2.0
1.4
1.0
(
人
口
1
0
万
人
当
た
り
施
設
数
)
所
静岡市
千葉 市
相模原市
0.0
出所:厚生労働省「医療施設(動態)調査」(2013 年)
図表2-27 人口 10 万人当たりの待機児童数
35.0
29.5
待機児童数
30.0
23.2
25.0
20.0
15.0
16.6
12.9
10.0
6.8
(
人
口
1
0
万
人
当
た
り
人
数
)
人 5.0
千葉市
さいたま市
川崎市
横浜市
相模原市
0.0
出所:各市公表資料より浜銀総研作成(相模原市のみ 2014 年4月、他は 2014 年 10 月)
28
救急告示病院:救急病院等を定める省令第2条第1項の規定に基づき、救急病院として都道府県知事
より告示された施設のことです。
22
2.6
市内の主要プロジェクトの状況
(1)広域交流拠点基本計画
本市では、リニア中央新幹線建設や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の整備、相模総合補
給廠の一部返還等、次のような様々な大規模プロジェクトが進行しています。
リニア中央新幹線の建設
東京から名古屋市間を 40 分、東京から大阪間を 67 分で結ぶ日本の新たな大動脈。橋
本駅付近に神奈川県駅の設置が計画される。
相模総合補給廠の一部返還等
相模原駅北側約 17 ヘクタールの一部返還及び約 35 ヘクタールの共同使用。
小田急多摩線の延伸計画
唐木田駅から本市内を経て愛川・厚木方面への延伸の取組。
圏央道(さがみ縦貫道路)の開通
東名高速道路、中央自動車道、関越自動車道を結節する津久井・県央・湘南を直接結
ぶ神奈川県の大動脈。相模原 IC の整備。
図表2-28
広域圏における広域交流拠点の位置づけ
出所:相模原市広域交流拠点基本計画(2014 年6月)
本市では、広域交流拠点のポテンシャルを生かしつつ更に向上させ、首都圏南西部の広域
的な視点から市の都市力向上をめざす方策として「広域交流拠点都市推進戦略」を策定し、
同戦略に基づき、橋本・相模原両駅を核とした一体的な拠点の将来像と体系的な整備方針に
ついて「広域交流拠点基本計画」を策定しました。
同計画の方針に基づき、橋本駅周辺地区及び相模原駅周辺地区について、各地区の現状、
課題に対応した交通ネットワーク、土地利用等の検討を行い、2015 年度を目途に整備計画
の策定を予定しています。
23
図表2-29
広域交流拠点における機能集積の方向性
出所:相模原市広域交流拠点基本計画(2014 年6月)
図表2-30
年度
2014 年度
橋本・相模原両駅周辺整備のスケジュール
橋本・相模原駅周辺整備
圏央道(さがみ縦貫道路)市内区間の開通(東名高速道路・中央自動車
道・関越自動車道の接続)
相模総合補給廠の一部返還
圏央道相模原 IC 供用開始
2015 年度~ 都市計画決定、駅周辺整備
2027 年度
小田急多摩線延伸の実現
リニア中央新幹線「東京都(品川)-名古屋市間」開業
橋本駅・相模原駅周辺地区まち開き
2045 年度
リニア中央新幹線「名古屋市-大阪市間」開業
24
(2)産業用地の創出
本市では、産業用地創出に向けた拠点整備として、
「麻溝台・新磯野地区」
「当麻地区」
「金
原・串川地区」の3地区の計画を進めています。
図表2-31
産業用地創出に向けた拠点整備の概要
出所:相模原市ホームページ
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/machitsukuri/toshikeikaku/018228.html
25
(3)商業地の形成
本市では、市内に散在する複数の商業地について、それぞれの商業集積の現況、交通の拠
点性及び将来の発展性などを加味しながら、商業地形成のためのさまざまな取組を「商業地
形成事業」として進めています。
同事業では、ターミナル29性の高い駅周辺地区に都市機能を複合的に備えた「中心商業地」、
比較的乗降客の多い駅周辺の地区では買回り機能を高めた「地区中心商業地」、駅前や幹線
道路沿いの地区では最寄品30の購入ニーズに対応する機能を持つ「近隣商業地」と、既成商
業地の姿に応じて目指す商業地の機能を設定しています。
各地区では、「商業地づくり」のための基本計画、街区別整備計画等を策定し、地区の特
性を生かしたまちづくりを進めています。
図表2-32
商業地形成事業区域
出所:相模原市経済部資料
図表2-33
分類
中心商業地
地区中心
商業地
近隣商業地
商業地形成事業の目指す商業地機能と該当地区
機能
31
買回品 を中心に娯楽、飲食等を含めた商業機能を充実し、業
務、文化、交流等の都市機能を複合的に備えた広域的な商業地
居住地近隣の商業地に比べ、買回り機能を高めた商業地
32
生鮮三品 等、実用最寄品を主体に、近隣住民のニーズに対応
する商業地
該当地区
橋本駅周辺地区、相模原駅周辺地区、
相模大野駅周辺地区
淵野辺地区、上溝地区、小田急相模原
地区、東林間地区、古淵地区
若松地区、相武台地区、南橋本地区、
相原二本松地区ほか
出所:相模原市経済部資料
29
30
31
32
ターミナル:路線の起点・終点であり、分岐点として多数の路線が束ねられ、乗り換え(旅客輸送の
場合。貨物ならば積み替え)が頻繁に行われる、交通において重要な拠点の意味です。
最寄品:近くの小売店で頻繁に購入するような商品。食料品や日用雑貨などが該当します。
買回品:購入頻度が低く、購入にあたり品質や価格を比較検討するなどして慎重に選ぶ商品です。耐
久消費財や趣味の雑貨などが該当します。
生鮮三品:食料品のうち鮮魚・青果・精肉を指します。
26
2.7
事業支援環境
本市では、市内企業の事業活動を支援するための様々な施策を実施しています。支援の中
には、市で直接実施しているものと、株式会社さがみはら産業創造センター(SIC)を通
じて行っているものがあります。
SICは本市が多くの企業とともに出資を行っている株式会社で、経営相談やビジネス
マッチング33など幅広く企業の事業活動を支援するとともに、人材育成事業による将来の起
業家育成にも取り組んでいます。施設規模としては3棟 125 室の入居スペースを持ち、イ
ンキュベーション施設34としては国内有数の規模を有しています。入居企業の業種は工業関
連からサービス業まで多業種にわたっており、各企業が日々事業活動に取り組んでいます。
また、市内企業の事業活動に対する支援については、相模原商工会議所や公益財団法人相
模原市産業振興財団による取組も行われています。相模原商工会議所では、企業の取引拡大
や交流の促進、経営に関する相談等の支援を行っています。公益財団法人相模原市産業振興
財団においても、創業支援のほか、中小企業の経営に関する総合的な支援、販路開拓や海外
進出等の支援を行っています。
33
34
ビジネスマッチング:企業等の事業活動のために、適切なパートナーを探したり、パートナー候補を
斡旋したりする支援サービスです。
インキュベーション施設:起業家の育成や、新しいビジネスを支援する施設です。
27
3
相模原市の産業構造
3.1
事業所数・従業者数の推移
産業動向を俯瞰するために全産業の事業所数の推移を見ると、本市の民営事業所数は
1999 年の 25,604 事業所をピークに 2006 年まで減少が続いてきました。直近の 2012 年は
23,124 事業所で 2009 年の 24,790 事業所から 1,666 事業所、6.7%の減少となっています。
図表2-34
事業所
30,000
25,604
24,420
25,000
840
1,815
20,000
2,989
24,844
2,108 861
2,006
2,956
2,888
2,771
2,809
民営事業所数の推移
24,790
23,727
884
2,182
2,567
23,408
911
2,134
1,188
2,392
944
9,912
9,508
6,361
6,996
6,991
1996
1999
2001
9,606
5,000
2,241
2,756
2,685
3,097
2,325
2,194
2,279
5,731
5,600
5,379
9,822
9,851
10,455
9,951
2004
2006
2009
2012
15,000
10,000
23,124
1,057
2,771
2,089
5,015
0
サービス業
卸・小売業
製造業
不動産業
その他
全産業
年
建設業
出所:総務省「事業所・企業統計」(1996 年~2006 年)「経済センサス」(2009 年・2012 年)
民営事業所の従業者数の推移を見ると、2001 年から 2004 年にかけて減少することもあ
りましたが、1996 年から 2006 年までおおむね 23 万人台で推移しています。直近の 2012
年は 240,371 人で 2009 年の 252,931 人から 12,560 人、5.0%の減少となっています。
図表2-35
人
300,000
民営事業所の従業者数の推移
252,931
250,000
233,536
200,000
5,019
21,783
150,000
100,000
61,621
235,794
234,394
17,757
232,087
221,529
18,445
4,912
18,531
5,126
18,879
58,153
53,054
72,424
76,511
75,896
54,932
57,842
63,739
1996
1999
2001
19,100
18,716
5,618
17,415
44,655
50,114
50,000
240,371
21,095
19,362 7,268 23,743
7,994
19,308
5,655
16,889
17,080
44,327
40,637
45,796
50,916
47,505
107,369
106,251
2009
2012
52,082
85,011
92,112
2004
2006
0
サービス業
卸・小売業
製造業
不動産業
その他
全産業
年
建設業
出所:総務省「事業所・企業統計」(1996 年~2006 年)「経済センサス」(2009 年・2012 年)
28
2009 年から 2012 年にかけての主な大分類業種別の増減を見ると事業所数では全ての業
種、従業者数では不動産業を除いて減少しています。主要な業種の中では建設業の減少率が
大きく、事業所数、従業者数ともに1割以上の減少となっています。
図表2-36
09-12増加率
事業所数
従業者数
事業所数、従業者数の業種別増加率(民営)
全産業 サービス業 卸・小売業 製造業
建設業 不動産業 その他
-6.7%
-4.8%
-6.8%
-8.3%
-10.5%
-6.3%
-11.0%
-5.0%
-1.0%
-6.7%
-8.3%
-12.5%
10.0%
-11.2%
出所:総務省「経済センサス」(2009 年・2012 年)
3.2
産業構造とその変化
2012 年における市内の事業所数・従業者数の主な大分類業種別の構成比を見ると、事業
所数で最も多くの割合を占めるのはサービス業で 43.0%、次いで卸売・小売業が 21.7%、
建設業の 12.0%と続いています。また、従業者数では、サービス業が 44.2%、卸売・小売
業が 19.8%で、構成比の大きな業種は事業所数と共通しています。従業者数ではこれらに
次いで製造業の割合が 16.9%と3番目に大きく、事業所数では1割を切る程度ですが、本
市において製造業の存在感が大きいことがわかります。
図表2-37
事業所数、従業者数の業種別構成比の推移(民営)
【事業所数】
0%
20%
40%
【従業者数】
60%
80%
100%
0%
20%
40%
60%
80%
3.6%
2001年
28.1%
38.3%
11.6%
10.3%
2.2%
2001年
27.0%
32.2%
22.5%
8.0% 8.1%
8.1%
4.6%
2012年
43.0%
12.0%
21.7%
9.0%
サービス業
建設業
卸・小売業
不動産業
100%
3.3%
2012年
44.2%
19.8%
16.9%
9.7%
7.0% 8.8%
サービス業
建設業
製造業
その他
卸・小売業
不動産業
製造業
その他
出所:総務省「事業所・企業統計」(2001 年)「経済センサス活動調査」(2012 年)
2001 年から 2012 年にかけての業種別構成比の変化を見ると、製造業では事業所数、従
業者数ともに割合が低下する一方、サービス業と卸売・小売業を合わせた比率は事業所数で
は微減したものの、従業者数では上昇しており、サービス系の業種のウエイトがおおむね高
くなっています。
29
3.3
産業の特徴
(1)産業大分類でみた集積度
産業の集積度の指標である特化係数を用いて、他の政令市や近隣市と比較しながら本市
の産業の特徴を見ていくと、事業所数では「不動産業、物品賃貸業」「教育、学習支援業」
が1を大きく超えているほか、「建設業」も他都市に比べて大きく、これらの産業の集積度
が高いことがわかります。また、従業者数では「教育、学習支援業」の特化係数が事業所数
と同様に高いことに加えて、
「製造業」
「生活関連サービス、娯楽業」も他都市に比べて相対
的に高く、従業者数の集積度が高くなっています。
図表2-38
事業所数、従業者数の産業大分類業種別の特化係数(民営)
【事業所数】
農林漁業
鉱業,採石業,砂利採取業
建設業
製造業
電気・ガス・ 熱供給・水道業
情報通信業
運輸業,郵便業
卸売業,小売業
金融業,保険業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
複合サービス事業
サービス 業(他に分類されないもの)
相模原市
0.55
0.10
1.24
1.00
0.24
0.85
0.89
0.84
0.60
1.39
1.11
0.90
1.04
1.52
1.14
0.64
0.80
横浜市
0 .2 2
0 .0 2
1 .0 2
0 .6 6
0 .6 9
1 .4 9
1 .1 0
0 .9 3
0 .9 3
1 .3 7
1 .3 0
0 .9 6
0 .9 4
1 .2 1
1 .3 0
0 .5 9
0 .8 9
川崎市
0.25
0.00
1.05
0.91
0.64
1.37
1.29
0.85
0.74
1.44
0.99
1.10
0.97
1.05
1.19
0.59
0.80
さいたま市
0.26
0.00
1.00
0.77
0.78
1.08
0.80
0.99
1.18
1.24
1.14
0.91
1.03
1.41
1.16
0.55
0.93
千葉市
0 .2 9
0 .0 8
1 .0 3
0 .4 4
1 .5 5
1 .1 2
1 .0 7
1 .0 0
1 .3 1
1 .1 6
1 .2 0
0 .9 5
1 .0 8
1 .2 0
1 .2 3
0 .7 0
1 .0 8
八王子市
0.19
0.26
1.05
0.92
0.75
1.23
0.82
0.92
0.87
1.17
1.11
0.99
0.95
1.30
1.28
0.57
0.98
町田市
0.40
0.20
1.04
0.45
0.46
1.32
0.56
0.99
1.06
1.18
1.35
0.96
1.10
1.70
1.37
0.49
0.79
静岡市
0 .3 7
0 .8 5
1 .0 2
1 .1 4
0 .7 6
0 .9 0
0 .9 5
1 .1 0
1 .2 0
0 .9 0
1 .0 5
0 .8 9
0 .9 6
0 .9 3
0 .8 3
0 .7 5
0 .9 9
相模原市
0.67
0.14
1.01
1.02
0.48
0.36
0.99
0.94
0.44
1.26
0.95
1.06
1.20
1.39
1.22
0.91
0.90
横浜市
0 .1 7
0 .0 0
0 .9 6
0 .6 1
0 .8 1
1 .4 9
1 .0 5
0 .9 7
0 .9 1
1 .3 4
1 .4 2
1 .0 4
1 .0 0
1 .2 5
1 .1 5
0 .6 2
1 .2 4
川崎市
0.23
0.00
0.94
0.96
0.54
2.20
1.09
0.81
0.58
1.17
1.93
1.01
1.03
1.10
0.93
0.67
1.03
さいたま市
0.14
0.00
1.04
0.54
1.31
0.81
1.03
1.10
1.44
1.27
0.97
1.03
1.07
1.26
0.89
0.69
1.54
千葉市
0 .2 1
0 .0 1
1 .0 8
0 .4 2
1 .3 2
1 .0 6
1 .0 8
1 .1 0
1 .3 5
1 .1 1
1 .2 5
1 .0 1
0 .9 9
1 .3 6
0 .9 6
0 .4 7
1 .5 5
八王子市
0.18
0.43
0.86
0.72
1.15
0.68
0.96
0.99
0.64
0.95
1.14
1.08
0.98
2.20
1.40
0.46
0.96
町田市
0.21
0.04
0.85
0.41
0.42
0.62
0.64
1.11
0.92
1.71
0.80
1.38
1.19
2.58
1.36
0.48
0.79
静岡市
0 .4 0
0 .6 5
1 .0 5
1 .0 0
1 .2 2
0 .8 8
1 .0 4
1 .0 4
1 .1 7
0 .9 0
0 .9 2
0 .9 1
0 .8 8
1 .0 1
0 .8 4
0 .8 5
1 .3 0
【従業者数】
農林漁業
鉱業,採石業,砂利採取業
建設業
製造業
電気・ガス・ 熱供給・水道業
情報通信業
運輸業,郵便業
卸売業,小売業
金融業,保険業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
複合サービス事業
サービス 業(他に分類されないもの)
(注1)特化係数=当該地域の全産業に占める各産業の割合÷全国の全産業に占める各産業の割合。特化
係数が1を超える産業は、当該産業が地域に占めるシェアが全国におけるシェアよりも大きく、特
化していることを表す。
(注2)着色は特化係数が 1.35 を超えるものに施している。
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
一方で、「情報通信業」や「金融・保険業」「サービス業(他に分類されないもの)」など
の特化係数は、事業所数、従業者数ともに他都市に比べて低水準であり、これらの産業の集
積度が低くなっています。
30
(2)産業小分類でみた集積度
産業小分類業種別に事業所数、従業者数の特化係数が大きな産業を抽出すると、事業所数
の特化係数が大きな業種の多くは製造業に属する業種となりました。中でも「電子回路製造
業」「電気計測器製造業」などの電気機械系、「建設機械・鉱山機械製造業」「半導体・フラ
ットパネルディスプレイ製造装置製造業」などの一般機械系の業種が多くなっています。
従業者数の特化係数が大きな業種を見ると、製造業では「ボイラ・原動機製造業」「ポン
プ・圧縮機製造業」などの一般機械系、
「電子応用装置製造業」
「電子回路製造業」等の電気
機械系の業種が多く、事業所数と同様の傾向が見られます。また、非製造業では「その他の
道路旅客運送業」「こん包業」などの運輸系業種のほか、「その他の物品賃貸業」「火葬・墓
地管理業」といった個人向けにサービスを提供する業種が見られます。
図表2-39
【事業所数】
事業所数、従業者数の産業小分類業種別の特化係数(民営)
特用林産物生産業(きのこ類の栽培を除く)
ガラス・同製品製造業
電線・ケーブル製造業
建設機械・鉱山機械製造業
半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置製造業
事務用機械器具製造業
電子部品製造業
電子回路製造業
ユニット部品製造業
電子応用装置製造業
電気計測器製造業
その他の電気機械器具製造業
通信機械器具・同関連機械器具製造業
映像・音響機械器具製造業
電子計算機・同附属装置製造業
産業用運搬車両・同部分品・附属品製造業
機械設計業
火葬・墓地管理業
その他の廃棄物処理業
相模原市 横浜市 川崎市 さいたま市 千葉市 八王子市 町田市
静岡市
2.95
0.00
0.00
0.00
2.38
0.00
0.00
0.00
2.58
0.55
0.93
1.00
0.85
1.03
0.45
0.74
2.98
0.67
2.43
1.32
0.00
3.75
1.91
0.21
2.83
0.47
0.77
0.83
1.86
0.26
0.40
0.26
3.98
1.59
3.22
0.75
0.25
5.13
1.18
0.13
3.13
1.09
3.69
1.13
0.69
2.86
0.55
0.36
2.70
1.09
2.62
0.95
0.31
2.92
1.98
0.24
6.01
1.80
3.57
1.00
0.00
7.95
2.19
0.65
4.54
1.19
2.31
1.80
1.10
4.57
4.37
0.29
3.88
1.57
4.03
1.04
0.49
8.21
3.14
0.51
4.81
1.94
4.90
0.62
0.75
8.38
4.18
0.29
4.22
1.42
3.17
0.80
1.13
1.77
0.68
0.44
3.44
2.91
6.40
1.15
1.31
1.78
1.95
0.26
2.98
2.04
3.76
2.74
0.37
4.04
4.86
0.00
3.84
1.86
3.50
0.73
0.52
1.88
5.34
0.40
4.79
0.53
1.23
0.49
0.00
0.55
0.00
0.55
2.72
2.42
2.03
0.97
0.85
1.94
2.27
1.03
2.62
1.19
0.99
1.61
1.23
3.57
5.89
0.28
5.24
1.06
2.96
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
【従業者数】
相模原市 横浜市 川崎市 さいたま市 千葉市 八王子市 町田市 静岡市
5.63
0.01
1.36
0.00
0.00
0.00
0.00
0.25
特用林産物生産業(きのこ類の栽培を除く)
4.79
0.00
0.00
0.00
0.43
0.00
0.00
0.00
石工・れんが・タイル・ブロック工事業
2.50
1.07
1.71
1.88
0.97
1.35
1.14
0.95
紙製品製造業
8.32
0.29
0.16
0.07
0.25
1.09
0.16
0.83
化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品製造業
2.56
0.78
0.23
0.14
0.08
0.24
0.84
3.59
ガラス・同製品製造業
6.71
0.87
0.63
0.38
0.20
0.18
0.07
0.15
ブリキ缶・その他のめっき板等製品製造業
11.17
2.12
0.00
6.27
2.93
0.00
0.09
6.55
金属素形材製品製造業
2.60
0.53
0.62
0.71
0.18
0.77
0.80
0.98
ボイラ・原動機製造業
11.89
4.35
0.08
0.06
0.00
0.00
0.04
0.04
ポンプ・圧縮機器製造業
4.21
0.77
0.50
0.45
0.15
0.25
0.13
1.16
建設機械・鉱山機械製造業
6.68
0.33
0.20
0.14
3.18
0.01
0.03
0.10
光学機械器具・レンズ製造業
2.85
0.38
0.60
5.05
0.10
7.75
1.46
0.12
電子回路製造業
3.52
0.96
0.55
0.16
0.00
2.82
0.36
1.23
電子応用装置製造業
3.08
1.54
0.91
0.47
0.18
3.78
1.01
0.72
電気計測器製造業
5.45
1.33
2.01
0.06
0.30
5.79
1.10
0.63
産業用運搬車両・同部分品・附属品製造業
4.59
0.53
0.14
0.06
0.00
0.40
0.00
0.41
その他の道路旅客運送業
6.91
0.01
0.51
3.32
0.41
0.48
3.97
0.00
こん包業
4.39
1.50
0.82
2.96
0.77
0.39
0.55
1.09
その他の物品賃貸業
2.99
1.13
1.17
1.12
1.36
0.73
1.61
0.99
火葬・墓地管理業
3.14
0.91
1.83
1.97
0.76
5.45
7.88
0.25
職業・教育支援施設
2.61
1.77
0.65
0.99
1.40
0.69
1.13
0.90
その他の廃棄物処理業
3.51
0.10
0.68
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
集会場
3.19
1.36
0.57
3.07
1.23
2.87
0.34
2.28
育林業
(注1)特化係数=当該地域の全産業に占める各産業の割合÷全国の全産業に占める各産業の割合。
特化係数が1を超える産業は、当該産業が地域に占めるシェアが全国におけるシェアよりも大き
く、特化していることを表す。
(注2)抽出条件は特化係数が 2.50 を超える業種。
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
31
4
相模原市の工業の現状
4.1
工業の推移
(1)全体の推移
本市の工業事業所数(従業者数4人以上)の推移を見ると、2002 年を底に 2005 年まで
は増加基調でしたが、2006 年以降は、単年では増加することはあったものの、総じて減少
基調で推移しています。2012 年の事業所数は 1,000 事業所となり、直近のピークに当たる
2008 年からは2割以上の減少となっています。従業者数は 2002 年を底に 2007 年まで増
加していましたが、2008 年以降は減少を続け、2012 年は 34,725 人となり、直近のピーク
である 2007 年からの減少は事業所数と同様に2割を超えています。事業所数、従業者数と
もにリーマンショック35の影響で 2008 年から 2009 年にかけての落ち込みが大きいことが
わかります。
図表2-40
工業の事業所数、従業者数の推移
(事業所)
2,000
(人)
50,000
44,17344,016
42,500
41,364
39,857
39,000
38,891
37,069
1,366
1,360
35,890
35,19634,725
1,300 1,286
1,264
1,248 1,227
1,170
1,097 1,061 1,068
1,089
1,000
1,800 43,748
41,296
1,600
1,400
1,200
1,000
800
45,000
40,000
35,000
30,000
事業所数(左目盛)
従業者数(右目盛)
600
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
25,000
20,000
年
出所:経済産業省「工業統計」(2000 年~2012 年)
製造品出荷額等の推移を見ると、2002 年を底に 2008 年までは増加基調でしたが、リー
マンショックの影響で、2008 年から 2009 年にかけて製造品出荷額等は 1.6 兆円から 1.0 兆
円へと一気に落ち込みました。その後、2010 年には若干水準を戻しましたが、2011 年以降
は微減しながらの推移となり、2012 年は1兆 1,445 億円となっています。
35
リーマンショック:米国の投資銀行リーマンブラザーズの経営破綻を引き金として発生した世界的な
金融不安のことです。これにより、世界中で設備投資や個人消費等の需要が急減しました。
32
図表2-41
製造品出荷額等の推移
(十億円)
2,000
製造品出荷額等
1,824
1,800
1,608
1,543
1,600
1,606 1,606
1,458
1,342
1,400
1,257
1,161 1,149 1,145
1,122
1,200
1,008
1,000
800
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 年
出所:経済産業省「工業統計」(2000 年~2012 年)
他の政令市や近隣市と製造品出荷額等を比較すると、本市は比較8都市の中で4番目に
大きく、人口規模で本市を大きく上回る千葉市とほぼ並ぶ水準で、本市は人口規模に対して
工業の規模が大きいことがわかります。
図表2-42
十億円
4,500
4,274
製造品出荷額等の都市間比較
4,178
4,000
3,500
3,000
2,500
1,711
2,000
1,500
1,145
1,122
809
1,000
417
500
81
静岡市
町田市
八王子市
千葉市
さいたま市
川崎市
横浜市
相模原市
0
出所:経済産業省「工業統計」(2012 年)
(2)業種別増加率
2007~2012 年における増加状況を事業所数、従業者数、製造品出荷額等のそれぞれにつ
いて見ると、事業所数は2割近く、従業者数は2割強、製造品出荷額等は3割近くの減少と
なっています。業種別では繊維工業や石油製品・石炭製品製造業など市内に元々事業所が少
なかった業種を除いて見ると、従業者数では食料品製造業、窯業・土石製造業など一部に増
加業種が見られますが、事業所数、製造品出荷額等はほぼ全ての業種で横ばいあるいは減少
しています。特に製造品出荷額等では繊維工業を除くと秘匿業種を除くすべての業種で減
少しており、加工組立型の業種では5割以上減少した業種が見られます。ただし、電気機械
33
系業種と輸送用機械器具製造業等に比べて、一般機械器具製造業や金属製品製造業は相対
的に小さな減少幅にとどまっています。
図表2-43
業種
製造業計
食料品製造業
飲料・たばこ・飼料製造業
繊維工業
木材・木製品製造業(家具を除く)
家具・装備品製造業
パルプ・紙・紙加工品製造業
印刷・同関連産業
化学工業
石油製品・石炭製品製造業
プラスチック製品製造業
ゴム製品製造業
なめし皮・同製品・毛皮製造業
窯業・土石製品製造業
鉄鋼業
非鉄金属製造業
金属製品製造業
一般機械器具製造業
電子部品・デバイス製造業
電気機械器具製造業
情報通信機械器具製造業
輸送用機械器具製造業
その他の製造業
事業所数、従業者数、製造品出荷額等の業種別増加率
事業所数
(所)
2007年
1,227
58
4
23
5
21
34
51
20
2
101
11
2
39
20
14
174
269
83
112
40
67
77
2012年
1,000
51
2
25
8
11
22
51
19
4
72
10
1
34
17
12
140
239
67
89
30
52
44
増加率
-18.5%
-12.1%
-50.0%
8.7%
60.0%
-47.6%
-35.3%
0.0%
-5.0%
100.0%
-28.7%
-9.1%
-50.0%
-12.8%
-15.0%
-14.3%
-19.5%
-11.2%
-19.3%
-20.5%
-25.0%
-22.4%
-42.9%
従業者数
(人)
2007年
44,173
4,792
184
387
49
226
1,799
1,182
974
19
2,769
242
8
2,006
392
693
3,885
11,498
2,701
3,023
1,490
3,545
2,309
2012年
34,725
5,481
16
393
83
76
686
1,023
847
41
1,887
212
6
2,055
363
682
3,232
9,660
1,840
2,832
558
1,730
1,022
増加率
-21.4%
14.4%
-91.3%
1.6%
69.4%
-66.4%
-61.9%
-13.5%
-13.0%
115.8%
-31.9%
-12.4%
-25.0%
2.4%
-7.4%
-1.6%
-16.8%
-16.0%
-31.9%
-6.3%
-62.6%
-51.2%
-55.7%
製造品出荷額等
(百万円)
2007年
2012年
1,606,435 1,144,787
73,730
56,231
31,175
X
4,397
5,892
1,657
945
5,026
839
49,172
31,488
59,183
56,556
54,552
51,223
X
3,083
61,611
35,879
9,268
8,011
X
X
85,330
72,802
21,647
16,417
51,643
31,604
129,351 111,028
555,518 482,338
45,087
31,441
79,917
53,685
16,818
7,436
227,671
71,645
41,670
16,051
増加率
-28.7%
-23.7%
X
34.0%
-43.0%
-83.3%
-36.0%
-4.4%
-6.1%
X
-41.8%
-13.6%
X
-14.7%
-24.2%
-38.8%
-14.2%
-13.2%
-30.3%
-32.8%
-55.8%
-68.5%
-61.5%
出所:経済産業省「工業統計」(2007 年・2012 年)
4.2
工業の業種別内訳
中分類業種別の内訳構成比を見ると、事業所数、従業者数、製造品出荷額等のいずれにお
いても、構成比で最大を占めるのは一般機械器具製造業(はん用機械製造業+生産用機械製
造業+業務用機械製造業)で、次いで金属製品製造業の順となっています。製造品出荷額等
では一般機械器具製造業が全体の4割強を占めていますが、その中でも生産用機械製造業
の割合が2割強を占め、各種工作機械や製造装置等の機械系の組立型製造業が集積してい
ることが本市の特徴の1つとなっています。
図表2-44
事業所数、従業者数、製造品出荷額等の業種別構成比
事業所数
(所)
実数
製造業計
1,000
食料品製造業
51
飲料・たばこ・飼料製造業
2
繊維工業
25
8
木材・木製品製造業(家具を除く)
家具・装備品製造業
11
パルプ・紙・紙加工品製造業
22
印刷・同関連産業
51
化学工業
19
石油製品・石炭製品製造業
4
プラスチック製品製造業
72
ゴム製品製造業
10
1
なめし皮・同製品・毛皮製造業
窯業・土石製品製造業
34
鉄鋼業
17
非鉄金属製造業
12
金属製品製造業
140
一般機械器具製造業
239
電子部品・デバイス製造業
67
電気機械器具製造業
89
情報通信機械器具製造業
30
輸送用機械器具製造業
52
その他の製造業
44
業種
構成比
100.0%
5.1%
0.2%
2.5%
0.8%
1.1%
2.2%
5.1%
1.9%
0.4%
7.2%
1.0%
0.1%
3.4%
1.7%
1.2%
14.0%
23.9%
6.7%
8.9%
3.0%
5.2%
4.4%
従業者数
(人)
実数
34,725
5,481
16
393
83
76
686
1,023
847
41
1,887
212
6
2,055
363
682
3,232
9,660
1,840
2,832
558
1,730
1,022
出所:経済産業省「工業統計」(2012 年)
34
構成比
100.0%
15.8%
0.0%
1.1%
0.2%
0.2%
2.0%
2.9%
2.4%
0.1%
5.4%
0.6%
0.0%
5.9%
1.0%
2.0%
9.3%
27.8%
5.3%
8.2%
1.6%
5.0%
2.9%
製造品出荷額等
(百万円)
実数
構成比
1,144,787
100.0%
56,231
4.9%
X
X
5,892
0.5%
945
0.1%
839
0.1%
31,488
2.8%
56,556
4.9%
51,223
4.5%
3,083
0.3%
35,879
3.1%
8,011
0.7%
X
X
72,802
6.4%
16,417
1.4%
31,604
2.8%
111,028
9.7%
482,338
42.1%
31,441
2.7%
53,685
4.7%
7,436
0.6%
71,645
6.3%
16,051
1.4%
4.3
本市工業の特徴
(1)地区別の分布状況
本市において製造品出荷額等が上位の製造業中分類5業種(はん用機械、生産用機械、金
属製品、窯業・土石、輸送用機械)について、行政区別の構成比を見ると、事業所数では輸
送用機械を除く4業種で中央区の立地が最も多く、いずれも5割前後となっています。また、
輸送用機械については、緑区の割合が 48.1%と最も大きくなっています。
市内の製造品出荷額等のうち最大の割合を占めるはん用機械については、その従業者数
の7割近くが中央区で従業しています。また、製造品出荷額等については、いずれの業種に
おいても中央区に過半が集中しています。
1事業所当たりの従業者数を行政区別に比較すると、製造品出荷額等が最大のはん用機
械では、中央区、南区では1事業所当たり約 130 人の規模であるのに対して、緑区では 23.2
人となり、平均的な事業所の規模が大きく異なっています。
図表2-45
主要業種の地区別構成比
事業所数
実数
緑区
はん用機械器具製造業
生産用機械器具製造業
金属製品製造業
窯業・土石製品製造業
輸送用機械器具製造業
中央区
7
13
14
2
5
地区別構成比
緑区
34.9%
38.8%
35.7%
44.1%
48.1%
中央区
48.8%
53.3%
54.3%
50.0%
42.3%
南区
16.3%
7.9%
10.0%
5.9%
9.6%
中央区
68.7%
58.0%
57.0%
36.8%
50.7%
南区
22.7%
8.0%
5.7%
39.1%
10.8%
中央区
69.1%
73.4%
59.5%
N.A.
67.4%
南区
27.5%
1.6%
2.2%
N.A.
6.6%
南区
15
64
50
15
25
21
88
76
17
22
南区
348
1,595
1,205
495
666
中央区
2,773
2,722
1,843
757
877
915
373
184
803
187
地区別構成比
緑区
8.6%
34.0%
37.3%
24.1%
38.5%
実数
緑区
7,275
57,762
42,620
X
18,585
中央区
146,430
169,886
66,014
33,287
48,318
南区
58,213
3,766
2,395
X
4,741
地区別構成比
緑区
3.4%
25.0%
38.4%
N.A.
25.9%
中央区
132.0
30.9
24.3
44.5
39.9
南区
130.7
28.7
13.1
401.5
37.4
従業者数
実数
緑区
はん用機械器具製造業
生産用機械器具製造業
金属製品製造業
窯業・土石製品製造業
輸送用機械器具製造業
製造品出荷額等
はん用機械器具製造業
生産用機械器具製造業
金属製品製造業
窯業・土石製品製造業
輸送用機械器具製造業
1事業所当たり従業者数
実数
緑区
はん用機械器具製造業
生産用機械器具製造業
金属製品製造業
窯業・土石製品製造業
輸送用機械器具製造業
23.2
24.9
24.1
33.0
26.6
出所:経済産業省「工業統計」(2012 年)
(2)業種別内訳の都市間比較
製造品出荷額等の業種別構成比を都市間で比較すると、本市では生産用機械、はん用機械、
金属製品、窯業・土石に加えて、プラスチック製品、紙・パルプ等の素材系業種の割合が、
他都市に比べて相対的に大きくなっています。本市では一般機械系業種と素材系業種の集
積度が高いことが改めて確認できます。
35
図表2-46
相模原市
4.9%
X
0.5%
0.1%
0.1%
2.8%
4.9%
4.5%
0.3%
3.1%
0.7%
X
6.4%
1.4%
2.8%
9.7%
18.5%
20.2%
3.4%
2.7%
4.7%
0.6%
6.3%
1.4%
食料品
飲料・たばこ・飼料
繊維
木材・木製品(家具を除く)
家具・装備品
パルプ・紙・紙加工品
印刷・同関連業
化学
石油製品・石炭製品
プラスチック製品
ゴム製品
なめし革・同製品・毛皮
窯業・土石製品
鉄鋼業
非鉄金属
金属製品
はん用機械器具
生産用機械器具
業務用機械器具
電子部品・デバイス・電子回路
電気機械器具
情報通信機械器具
輸送用機械器具
その他の製造業
業種別構成比の都市間比較
横浜市
12.4%
3.5%
0.2%
0.2%
0.2%
1.5%
1.3%
1.9%
29.6%
1.7%
0.7%
0.0%
1.3%
1.6%
3.1%
4.0%
7.2%
4.4%
1.9%
1.2%
2.5%
7.4%
11.5%
0.6%
川崎市
さいたま市
5.9%
14.4%
0.1%
6.5%
0.0%
0.6%
X
0.3%
0.1%
0.5%
0.3%
2.5%
0.7%
3.2%
23.4%
24.4%
33.3%
0.6%
0.8%
3.9%
X
0.4%
X
0.1%
0.8%
1.6%
11.4%
1.6%
0.1%
0.7%
1.5%
7.8%
0.4%
2.5%
1.8%
2.8%
0.8%
11.8%
0.9%
2.7%
2.8%
1.2%
2.6%
0.5%
12.0%
7.2%
0.2%
2.3%
千葉市
八王子市
25.3%
12.9%
X
0.6%
0.1%
1.0%
1.0%
X
0.4%
0.4%
0.2%
1.2%
1.0%
7.7%
3.3%
11.0%
X
X
0.9%
3.5%
0.1%
0.0%
0.0%
0.0%
1.3%
1.8%
41.6%
X
1.6%
1.2%
4.5%
2.0%
0.3%
1.1%
12.8%
12.9%
1.4%
6.2%
0.5%
20.3%
0.6%
7.7%
1.2%
1.7%
0.3%
4.7%
0.9%
1.4%
町田市
3.5%
0.0%
0.7%
X
0.0%
4.0%
1.3%
3.5%
X
2.3%
X
0.0%
X
X
1.6%
7.2%
3.5%
9.8%
17.3%
8.5%
11.2%
20.5%
0.7%
3.7%
静岡市
13.3%
3.4%
0.1%
1.6%
0.8%
2.0%
1.8%
12.2%
0.2%
2.0%
0.6%
0.1%
1.0%
1.4%
5.7%
4.2%
6.1%
3.2%
0.2%
0.8%
32.7%
0.5%
4.0%
2.1%
出所:経済産業省「工業統計」(2012 年)
(3)工業の生産性
工業生産性の指標として、直近の 2012 年における従業者1人当たりの製造品出荷額等及
び粗付加価値額を見ると、本市ではそれぞれ 33.0 百万円、11.3 百万円となっています。
都市間で比較すると、1人当たり製造品出荷額等については比較8都市中で静岡市に次
いで5番目、1人当たり粗付加価値額では町田市に次いで2番目に低く、大都市の中で工業
の生産性が高いとは言えない状況です。
図表2-47
百万円
90.0
1 人当たり製造品出荷額等
82.8
80.0
70.0
56.1
60.0
44.2
50.0
40.0
37.3
33.0
30.1
24.4
30.0
20.0
19.1
10.0
0.0
相
模
原
市
横
浜
市
川
崎
市
千
葉
市
さ
い
た
ま
市
出所:経済産業省「工業統計」(2012 年)
36
八
王
子
市
町
田
市
静
岡
市
図表2-48
1 人当たり粗付加価値額
百万円
25.0
19.6
20.0
15.0
14.0
12.9
12.6
11.3
12.2
12.0
8.9
10.0
5.0
0.0
相
模
原
市
横
浜
市
川
崎
市
千
葉
市
さ
い
た
ま
市
八
王
子
市
町
田
市
静
岡
市
出所:経済産業省「工業統計」(2012 年)
(4)主要業種の集積度
製造品出荷額等が上位の5業種で市内工業全体のどの程度の割合を占めているか、都市
間で比較したところ、本市は、61.0%となり、比較都市中では最も低い割合となっています。
本市では、強みとする産業で集積の効果が働きにくいというデメリットがあることを示す
反面、業種が分散されていることにより、何か経済的なリスク事象が起こったときに、市内
工業への打撃を緩和するメリットとして作用すると考えられます。
図表2-49
市内主要産業が製造品出荷額等全体に占める構成比
相模原市
最上位業種製造品出荷額等 231,414
上位3業種製造品出荷額等 554,360
上位5業種製造品出荷額等 698,807
製造品出荷額等計
1,144,787
構成比 最上位業種構成比
20.2%
上位3業種構成比
48.4%
上位5業種構成比
61.0%
実数
横浜市
1,264,657
2,286,496
2,907,681
4,273,633
29.6%
53.5%
68.0%
川崎市 さいたま市 千葉市 八王子市
1,390,271 197,406 466,551
84,664
2,870,618 408,944 893,745 192,530
3,592,041 529,899 981,460 270,642
4,178,410 808,610 1,121,745 417,478
33.3%
24.4%
41.6%
20.3%
68.7%
50.6%
79.7%
46.1%
86.0%
65.5%
87.5%
64.8%
100.0%
80.0%
70.0%
87.5%
86.0%
90.0%
68.0%
65.5%
61.0%
64.8%
67.3%
70.0%
八
王
子
市
町
田
市
静
岡
市
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
0.0%
相
模
原
市
横
浜
市
川
崎
市
千
葉
市
さ
い
た
ま
市
出所:経済産業省「工業統計」(2012 年)
37
町田市
静岡市
16,628 558,697
39,716 996,246
54,535 1,197,889
81,018 1,711,073
20.5%
32.7%
49.0%
58.2%
67.3%
70.0%
5
相模原市の商業・サービス業の現状
5.1
商業の推移と規模
(1)全体の推移
本市の 2007 年の小売業事業所数は 4,076 事業所、従業者数は 36,616 人、年間商品販売
額は 6,132 億円となっています。その推移を見ると、事業所数、従業者数、年間商品販売額
のいずれも 1999 年をピークに減少が続いています。2007 年調査では事業所数は 1999 年
比で 19.6%減、従業者数は 7.7%減、年間商品販売額は 11.1%減となっています。
一方、売場面積は事業所数等とは対照的に増加が続いていることから、店舗の大型化が次
第に進んでいることがうかがえます。
図表2-50
市内小売業の事業所数、従業者数の推移
(事業所)
5,500
(人)
45,000
5,017
4,986
5,000
5,071
4,932
38,409
4,810
37,430
39,677
4,500
32,055
4,000
33,265
40,000
36,616
4,450
35,000
4,615
4,076
30,000
27,107
25,185
事業所数(左目盛)
3,500
25,000
従業者数(右目盛)
20,000
3,000
1988
1991
1994
1997
1999
2002
2004
2007 年
出所:経済産業省「商業統計」(1988~2007 年)
図表2-51
市内小売業の年間商品販売額、売場面積の推移
(億円)
7,500
(千㎡)
651 6,895
7,000
6,663
6,353
6,500
5,902
6,000
5,500
5,000
531 604 606 600
594 6,339
6,159
543 6,132
500
410 350 400
年間商品販売額(左目盛)
4,508
300
売場面積(右目盛)
4,500
700
4,000
200
1988
1991
1994
1997
1999
2002
2004
2007 年
出所:経済産業省「商業統計」(1988 年~2007 年)
2012 年の年間商品販売額を他の政令市や近隣市と比較すると、その大小関係は各都市の
人口規模の大小関係とおおむね合致しています。しかしながら、本市と同等の人口規模を持
つ静岡市については、本市よりも販売額が大きく、周辺都市から購買力が流入しているもの
と見られます。
38
図表2-52
十億円
3,500
年間商品販売額の都市間比較
3,167
3,000
2,500
2,000
1,500
907
1,000
1,060
862
498
476
500
静岡市
町田市
八王子 市
千葉市
さいたま市
川崎市
横浜 市
相 模原 市
0
643
396
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
(2)小売業の生産性
小売業の商店当たり年間商品販売額を都市間で比較すると、本市は 1.76 億円/事業所で、
比較8都市の中では7番目の大きさです。これは、静岡市を上回っていますが、関東の政令
市や近隣市の中では最も低い水準となっています。
図表2-53
商店当たり年間商品販売額の都市間比較
万円
23,331
23,188
25,000
21,310
21,012
20,000
22,892
18,807
17,615
15,000
12,328
10,000
5,000
静岡市
39
町田市
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
八王子市
千葉市
さいたま市
川崎市
横浜市
相模原市
0
小売業の従業員当たり年間商品販売額を都市間で比較すると、本市は 1,828 万円/人で、
比較8都市の中では最も低い水準にあります。本市の小売業を生産性の面から見ると、大都
市の中では低い方に位置しており、相対的には効率が低いことがわかります。
図表2-54
万円
2,500
従業員当たり年間商品販売額の都市間比較
2,366
2,265
1,983
1,828
2,000
2,076
2,228
1,951
1,910
1,500
1,000
500
静岡市
町田市
八王子市
千葉市
さいたま市
川崎市
横浜市
相模原市
0
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
(3)事業所の規模
小売業における事業所数の従業者規模別構成比を見ると、いずれの都市においても「2人
以下」の割合が最も大きく、
「3~4人」
「5~9人」と続き、規模が大きくなるほど事業所
の割合が小さくなる傾向があります。
本市では「2人以下」の割合が 36.8%と静岡市を除く他都市よりも大きく、「2人以下」
「3~4人」を合わせた4人以下の事業所の割合も 58.5%と静岡市を除く他の都市よりも
大きくなっています。
図表2-55
0%
10%
相模原市
20%
小売業事業所数の従業者規模別構成比
30%
36.8%
40%
50%
60%
21.7%
70%
80%
17.9%
12.6%
90%
100%
5.6%
2.6%
2.7%
横浜市
34.8%
19.7%
21.9%
13.0%
5.4%
2.4%
2.7%
川崎市
35.9%
22.2%
17.7%
13.0%
6.2%
2.4%
2.8%
さいたま市
35.2%
19.1%
21.1%
13.4%
5.4%
14.7%
4.9%
3.1%
2.7%
千葉市
32.8%
21.0%
20.7%
3.0%
2.9%
静岡市
46.0%
22.3%
16.6%
9.5%
1.7%
2.7% 1.2%
2人以下
3~4人
5~9人
10~19人
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
40
20~29人
30~49人
50人~
一方、「30~49 人」「50 人以上」を合わせた大規模な事業所の割合は 5.3%で、これは静
岡市を除く他都市に遜色ない水準であることから、大規模事業所の分布は他の大都市並み
だが、小規模事業者の割合も大きく、その半面で中堅の事業者の層が薄いことがわかります。
5.2
購買力の流出入状況
(1)小売吸引力指数
購買力の流出入の指標として小売吸引力指数を用いて、これまでの比較対象都市や神奈
川県内、東京都の主要市区町村を比較してみました。比較対象都市のうち、小売吸引力指数
が1に達しているのは町田市のみで、本市を含む他の都市は軒並み1を下回り、購買力が流
出していることがうかがえます。中でも本市は川崎市ともに同指数の水準が低く、購買力の
流出が大きい様子を見てとることができます。
比較対象都市以外では、小田原市の同指数が1を超えています。東京都では大規模な商業
集積がある特別区のうち、中央、港、新宿、渋谷の4区でいずれも3を超える水準、多摩地
域では立川市、武蔵野市が指数1を超えており、購買力が市外から流入する地域となってい
ることがわかります。
図表2-56
小売吸引力指数の都市間比較
10.43
5.0
3.93
4.0
3.67 3.69
3.0
2.0
1.40 1.50
0.67
0.60
三鷹市
武蔵野市
立 川市
世田谷区
渋谷区
新宿区
港区
中央区
小田原市
厚木市
静岡市
町田市
八王子市
千葉 市
相模原市
1.17
0.92 0.96 0.91 1.00 0.97 0.97
さいたま市
0.0
0.68
川崎市
0.74
横浜市
1.0
0.92
(注)小売吸引力指数=(各市の人口当たり年間商品販売額)/(1都3県の人口当たり年間商品販売額)
1を上回ると域外から購買力が流入、1を下回ると域外へ購買力が流出していることを表す。
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
(2)相模原市民の買い物場所
2012 年度の相模原市商業実態調査から、市民が買回品を購入している場所の内訳を見る
と、紳士用衣料品や婦人用衣料品を始めとした買回品の多くについて、市内では橋本駅周辺、
相模大野駅周辺、古淵地区周辺の割合が大きくなっています。また、市外では町田市の割合
が特に大きくなっています。
2009 年度と 2012 年度の割合を比べると、殆どの買回品目について橋本駅周辺、相模大
野駅周辺の利用率が上昇しています。また、市外のうち、町田市は、買回品の購入における
相模原市民の利用率が安定して高い傾向にあります。
41
図表2-57
相模原市民の買回品の購入場所
【紳士用衣料品】
30%
25.7
25%
20%
18.9
20.2
2009年
23.9 24.4
22.3
2012年
17.8
16.3
15%
8.3
10%
10.1
5.1 4.5
5%
4.3
2.2
6.7 6.1
4.1
5.5
2.6 3.1
0.9 0.9
7.3 7.5
2.9
東京区部
横浜市内
多摩市内
八王子市内
町田市内
東林間地区
淵野辺地区
上溝地区
小田急
相模原地区
相模原駅
周辺
古淵地区
相模大野駅
周辺
橋本駅周辺
0%
2.6
【婦人用衣料品】
35%
30.1 30.8
27.6
30%
23.2 23.5
25%
20%
2009年
2012年
22.3
18.9
16.8
15%
8.1 8.2
10%
5%
1.4
3.0 4.0
7.0
6.0
市内商店街の動向
本市内の商店会数は 1995 年には 74 件でしたが、その後は次第に減少しています。2000
年代後半は合併の影響などもあって一時的に増加したものの、2009 年には再度減少基調に
転じ、2014 年は 60 件となっています。
商店会の会員数は 1995 年には 3,467 件でしたが、商店会数と同様に減少が続いていま
す。合併時から暫くは横ばいを維持したものの、2009 年以降は再び減少となり、2014 年の
会員数は 2,126 件となりました。1995 年から見ると会員数の減少率はほぼ4割(38.7%)
に達し、後継者不足や業績不振等による商店街店舗の閉店が続いて、市内商店街の退潮が進
んでいます。
図表2-58
市内の商店会数・商店会会員数の推移
商店会数
3,467
3,000
74
74
商店会会員数
(件)
80
2,921
74
75
72
2,382
2,500
68
68
66
2,000
66
66
64
66
67
2,126 70
66
66
64
63
62
1,500
65
63
60
1,000
60
60
55
500
0
1995
2000
2005
出所:相模原市商業観光課
42
2010
50
年
東京区部
横浜市内
多摩市内
八王子市内
町田市内
東林間地区
「相模原市商業実態調査(2009 年度・2012 年度)」
(件)
3,500
9.5 10.2
4.2
2.9 3.7
1.1 1.3
上溝地区
小田急
相模原地区
淵野辺地区
相模原駅
周辺
古淵地区
相模原市
5.3
相模大野駅
周辺
橋本駅周辺
0%
7.8
4.7 4.1
4.1
5.4
市内サービス業の規模と内訳
(1)サービス業全体の規模
経済センサス活動調査によると、2012 年の本市のサービス業(注)の事業所数は 12,433 事
業所、従業者数は 116,761 人で、比較8都市の中では、事業所数、従業者数ともに6番目の
規模となっています。本市のサービス業の従業者数は人口規模の小さな八王子市と同程度
で、「情報通信業」や「学術研究、専門・技術サービス業」など、業種によっては本市が従
業者数で下回る業種も見られます。
(注)ここでは、経済センサス活動調査の産業大分類業種「情報通信業」
「不動産業、物品賃貸業」
「学術研
究、専門・技術サービス業」
「宿泊業、飲食サービス業」
「生活関連サービス業、娯楽業」
「教育、学
習支援業」
「医療、福祉」
「複合サービス」
「その他のサービス業」の9業種をまとめてサービス業と
しています。
図表2-59
事業所
70,000
サービス業の事業所数・従業者数
万人
90
63,926
76.8
80
60,000
70
50,000
60
40,000
50
40
30,000
20,000
22,553 21,898
12,433
10,006
10,000
26.8
30
17,150
15,832
20
6,831
24.2
19.9
11.7
11.2
10
15.2
7.3
0
0
相
模
原
市
横
浜
市
川
崎
市
千
葉
市
さ
い
た
ま
市
八
王
子
市
町
田
市
相
模
原
市
静
岡
市
横
浜
市
川
崎
市
さ
い
た
ま
市
千
葉
市
八
王
子
市
町
田
市
静
岡
市
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
(2)業種別の内訳
本市のサービス業の大分類業種別の内訳を見ると、事業所数では「宿泊業、飲食サービス
業」が 2,721 事業所と最も多く、
「不動産業、物品賃貸業」の 2,241 事業所、
「生活関連サー
ビス業、娯楽業」の 2,129 事業所と続きます。
「宿泊、飲食サービス業」が最も事業所数が多いこと、これに「不動産業、物品賃貸業」
「生活関連サービス業、娯楽業」「医療、福祉」を加えた4業種が上位を占めることは本市
を含めた比較8都市全体に共通した傾向です。
図表2-60
サービス産業計
情報通信業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
複合サービス事業
サービス業(他に分類されないもの)
相模原市
12,433
241
2,241
1,036
2,721
2,129
1,040
1,730
91
1,204
サービス業事業所数の業種別内訳
横浜市
63,926
2,106
10,957
5,978
14,405
9,513
4,103
9,800
413
6,651
川崎市
22,553
691
4,110
1,634
5,851
3,503
1,274
3,209
147
2,134
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
43
さいたま市
21,898
544
3,515
1,873
4,834
3,709
1,697
3,109
136
2,481
千葉市
15,832
394
2,311
1,379
3,556
2,717
1,014
2,310
123
2,028
八王子市
10006
279
1503
823
2375
1536
708
1545
64
1173
町田市
6831
195
983
651
1500
1164
602
1079
36
621
静岡市
17,150
407
2,299
1,548
4,255
3,086
1,005
2,007
168
2,375
従業者数では、
「医療、福祉」が 32,476 人と最も多く、
「宿泊業、飲食サービス業」の 24,678
人、
「サービス業(他に分類されないもの)」の 17,538 人が続きます。これらの3業種が従
業者数の上位となることも、本市を含む比較都市全体で共通しています。
図表2-61
サービス産業計
情報通信業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
複合サービス事業
サービス業(他に分類されないもの)
相模原市
116,761
2,516
7,994
6,815
24,678
13,117
10,291
32,476
1,336
17,538
サービス業従業者数の業種別内訳
横浜市
768,000
62,059
50,485
60,393
143,869
65,280
55,219
181,493
5,437
143,765
川崎市
さいたま市
267,998
242,154
32,983
11,356
15,909
16,262
29,577
13,960
50,268
48,242
24,093
23,685
17,464
18,785
52,835
47,360
2,101
2,054
42,768
60,450
千葉市
199,463
11,897
11,296
14,330
37,967
17,455
16,173
40,888
1,104
48,353
八王子市
112,441
4,179
5,298
7,177
22,184
9,494
14,342
32,718
604
16,445
町田市
72,917
2,304
5,744
3,024
17,104
6,940
10,140
19,122
379
8,160
静岡市
152,174
8,869
8,162
9,479
30,637
13,786
10,717
32,259
1,802
36,463
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
5.5
市内サービス業の特徴
(1)産業大分類でみた集積度
産業の集積度の指標である特化係数を用いて、本市のサービス業の特徴を見ていくと、事
業所数では「不動産業、物品賃貸業」
「生活関連サービス業、娯楽業」
「教育、学習支援業」
の特化係数が大きく、集積度が高いことがわかります。
また、従業者数では「不動産業、物品賃貸業」
「生活関連サービス業、娯楽業」
「医療、福
祉」「教育、学習支援業」の特化係数が大きくなっています。このように、本市では、事業
所数、従業者数のいずれにおいても個人向けや生活に関連するサービスを提供する業種の
集積度が高くなっています。
一方、
「情報通信業」
「サービス業(他に分類されないもの)」は、事業所数、従業者数とも
に集積度が低くなっています。また、「学術研究、専門・技術サービス業」は、事業所数で
は特化係数が 1 を超えているものの、従業者数では他都市に比べて集積度が低くなってい
ます。このように、事業所に向けてサービスを提供する業種の集積度が低くなっています。
図表2-62
サービス業大分類業種の特化係数
【事業所数】
情報通信業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
複合サービス事業
サービス業(他に分類されないもの)
相模原市
0.80
1.31
1.05
0.85
0.99
1.44
1.07
0.61
0.75
横浜市
1.36
1.25
1.18
0.88
0.86
1.10
1.18
0.54
0.81
川崎市
1.26
1.33
0.91
1.01
0.89
0.97
1.10
0.54
0.74
さいたま市
1.02
1.17
1.08
0.86
0.98
1.33
1.09
0.52
0.88
千葉市
1.03
1.06
1.10
0.87
0.99
1.10
1.13
0.64
1.00
八王子市
1.15
1.10
1.04
0.92
0.88
1.21
1.19
0.53
0.91
町田市
1.18
1.05
1.20
0.85
0.98
1.51
1.22
0.44
0.71
静岡市
0.98
0.98
1.14
0.97
1.04
1.01
0.90
0.81
1.08
相模原市
0.34
1.18
0.89
0.99
1.13
1.31
1.15
0.85
0.85
横浜市
1.27
1.14
1.21
0.88
0.85
1.06
0.98
0.53
1.06
川崎市
1.93
1.03
1.69
0.88
0.90
0.97
0.81
0.58
0.90
さいたま市
0.73
1.16
0.88
0.94
0.98
1.15
0.81
0.63
1.41
千葉市
0.93
0.98
1.10
0.90
0.88
1.20
0.85
0.41
1.37
八王子市
0.58
0.82
0.98
0.93
0.85
1.89
1.20
0.40
0.82
町田市
0.50
1.36
0.64
1.10
0.95
2.06
1.08
0.39
0.63
静岡市
0.91
0.93
0.95
0.95
0.91
1.04
0.87
0.88
1.35
【従業者数】
全国比
情報通信業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
複合サービス事業
サービス業(他に分類されないもの)
(注1)特化係数=当該地域の全産業に占める各産業の割合÷全国の全産業に占める各産業の割合。特化係数が1を超
える産業は、当該産業が地域に占めるシェアが全国におけるシェアよりも大きく、特化していることを表す。
(注2)着色は特化係数が 1.35 を超える業種、〇囲みは比較都市中上位2位以内の業種に施している。
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
44
このうち、
「情報通信業」では、他都市に比べて事業所数、従業者数ともに「通信業」
「放
送業」
「インターネット附随サービス業」
「映像・音声・文字情報制作業」といった、メディ
ア・コンテンツ系の業種の集積度が低くなっています。
図表2-63
情報通信業の業種別特化係数
【事業所数】
通信業
放送業
情報サービス業
ソフトウェア業
情報処理・提供サービス業
インターネット附随サービス業
映像・音声・文字情報制作業
相模原市
0.47
0.52
1.10
1.18
0.83
0.89
0.48
横浜市
0.93
0.63
1.96
2.13
1.49
1.57
0.88
川崎市 さいたま市
0.84
1.31
0.52
1.26
1.81
1.22
1.86
1.18
1.68
1.32
1.66
0.83
0.77
0.79
千葉市
八王子市
1.42
0.93
1.16
0.49
1.24
1.56
1.09
1.56
1.65
1.59
0.82
1.04
0.79
0.81
町田市
0.68
1.01
1.60
1.70
1.32
1.23
1.05
静岡市
1.09
0.99
0.91
0.87
1.04
0.97
0.81
相模原市
0.49
0.34
0.39
0.37
0.47
0.13
0.13
横浜市
0.44
0.43
2.07
2.41
1.05
0.62
0.41
川崎市 さいたま市
0.29
1.51
0.38
0.73
3.18
0.75
3.47
0.63
2.34
1.15
1.12
0.29
0.26
0.59
千葉市
八王子市
0.62
0.29
0.64
0.30
1.19
0.89
0.92
0.79
2.03
1.21
1.94
0.25
0.66
0.28
町田市
0.57
0.19
0.73
0.49
1.45
0.12
0.46
静岡市
1.17
2.27
0.75
0.72
0.86
0.29
0.94
【従業者数】
通信業
放送業
情報サービス業
ソフトウェア業
情報処理・提供サービス業
インターネット附随サービス業
映像・音声・文字情報制作業
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
(2)産業小分類でみた集積度
サービス産業9業種に属する小分類業種について、事業所数特化係数を都市間で比較し、
本市の係数が大きな業種を選び出すと、「駐車場業」などの不動産系の業種、個人向けサー
ビスである 「スポーツ施設提供業」
「教養・技能教授業」などの業種が抽出されました。ま
た、医療・福祉の分野では「療術業」「障害者福祉事業」が抽出されています。本市のサー
ビス業では、個人を対象とする、もしくは事業所と個人の両方を対象とする業種の構成比が
大きいことがうかがえます。
一方、事業所向けのサービス業は「機械設計業」
「産業用機械器具賃貸業」
「産業廃棄物処
理業」の3業種が抽出されるにとどまりました。ただし、これらの業種の特化係数が大きい
ことは、本市の工業において集積度の高い機械系の加工組立型業種を支えるためのサービ
スが充実していることを表していると見られます。
従業者数について、本市の特化係数が大きい業種を見ると、不動産系業種のほか、「その
他の飲食店」などの飲食店、
「洗濯業」などの生活関連、
「スポーツ施設提供業」などの娯楽
業、「病院」等の医療系のサービスが選出されます。傾向としては、個人向けサービスの業
種が多く、事業所向けサービスが少ないことがあげられます。
また、飲食や生活関連サービス、医療系の業種など事業所数の特化係数では見られなかっ
た業種では、大きめの事業所への従業者の集約化が進んでいることがうかがえます。
抽出された業種の中で数少ない事業所向けのサービスの業種を見ると「機械設計業」「商
品・非破壊検査業」など製造業をサポートする業種となっており、機械系の加工組立型製造
業が集積する本市の特徴が現れています。
45
図表2-64
サービス業小分類業種の特化係数
【事業所数】
相模原市
対個人・対事業所
建物売買業,土地売買業
駐車場業
対個人
貸家業,貸間業
獣医業
スポーツ施設提供業
教養・技能教授業
療術業
障害者福祉事業
対事業所
産業用機械器具賃貸業
機械設計業
産業廃棄物処理業
横浜市
川崎市
さいたま市
千葉市
八王子市
町田市
静岡市
1.75
1.14
1.42
0.67
1.04
0.84
1.45
0.89
1.32
0.79
1.26
0.96
1.32
0.74
0.88
1.36
1.39
1.77
1.26
1.65
1.22
1.85
1.19
1.36
0.86
1.02
0.98
1.43
1.36
1.46
1.03
0.89
0.98
1.03
0.90
1.22
1.22
1.28
1.12
0.84
0.92
1.24
1.11
0.94
0.99
0.64
0.91
1.52
1.11
1.24
1.03
1.93
0.83
2.13
1.26
1.48
1.17
1.25
0.89
0.97
0.86
1.01
0.97
0.85
1.13
2.56
1.80
0.93
2.19
1.08
1.00
1.87
1.32
1.03
0.91
1.12
1.69
0.78
1.03
1.05
1.81
1.09
0.83
2.02
0.33
0.91
1.12
1.23
【従業者数】
相模原市
対個人・対事業所
建物売買業,土地売買業
対個人
貸家業,貸間業
飲食店 管理,補助的経済活動
を行う事業所
食堂,レストラン
(専門料理店を除く)
その他の飲食店
配達飲食サービス業
洗濯業
理容業
スポーツ施設提供業
遊戯場
その他の娯楽業
幼稚園
病院
一般診療所
歯科診療所
療術業
障害者福祉事業
対事業所
その他の物品賃貸業
機械設計業
商品・非破壊検査業
農林水産業協同組合
(他に分類されないもの)
産業廃棄物処理業
横浜市
川崎市
さいたま市
千葉市
八王子市
町田市
静岡市
1.19
1.21
0.88
0.94
0.97
0.66
0.80
0.83
1.18
1.02
1.10
0.88
0.73
0.75
0.85
0.90
3.98
0.30
0.34
0.62
0.29
0.44
0.34
0.20
1.11
0.86
0.97
0.91
0.88
1.30
0.88
0.95
1.34
1.31
1.94
1.07
1.25
1.32
1.10
1.70
1.38
1.05
1.25
1.26
1.68
1.11
0.95
0.97
0.61
0.86
0.83
1.07
1.43
0.75
0.99
1.03
0.94
0.92
1.22
1.01
0.88
0.65
0.98
0.84
0.87
1.36
0.73
0.89
1.02
0.85
0.72
1.04
1.36
0.92
0.81
0.78
0.87
0.95
1.48
0.57
1.03
1.13
0.99
0.55
1.27
1.15
1.01
0.72
1.11
0.96
0.65
1.37
0.75
0.93
0.95
0.79
0.51
0.89
0.98
0.90
0.72
0.91
0.92
1.08
1.15
1.28
0.86
1.04
0.82
1.79
1.35
1.07
1.19
0.67
0.69
0.64
1.13
2.09
0.69
1.05
1.24
1.10
1.49
0.76
1.25
0.88
1.07
0.70
0.93
0.93
1.06
0.70
0.85
0.82
0.91
0.73
2.82
2.11
2.33
0.95
1.87
2.14
1.02
7.49
2.22
1.03
0.41
0.99
1.20
0.69
1.04
0.63
0.50
0.67
1.29
1.08
0.46
1.03
0.93
0.50
1.06
0.29
0.62
0.18
0.16
0.00
0.00
0.98
1.85
0.98
1.32
0.84
0.87
1.06
0.28
1.06
(注1)網掛けは都市間比較で上位2位以内の業種に施している。
(注2)サービス産業9業種に属する小分類業種のうち、相模原市において事業所数では 50 以上、従業者
数では 500 人以上である業種を対象としている。
(注3)対個人、対事業所の区分は、経済産業省「経済産業省「特定サービス業実態調査」
「第3次産業活
動指数」における対個人サービス、対事業所サービスの業種区分を基に、サービス産業9業種に
属する小分類業種の分類を実施した。
出所:総務省「経済センサス活動調査」(2012 年)
46
6
相模原市の産業の課題
これまでの本市産業の現状把握や分析等を踏まえ、本市産業の課題を次のように整理し
ました。
6.1
産業全体の課題
(1)昼夜間人口比率の低さ
本市は大都市の中でもひときわ昼夜間人口比率が低く、通勤・通学における市外への人口
流出が大きくなっていることが、業務機能や商業機能の集積しにくい一因となっています。
主な昼間人口の流出先は県内の都心部である横浜市や新宿区・渋谷区を含む東京都心部な
どで、既に首都圏で人的な交流の中心となっている地域に人口が吸引されています。このこ
とから、本市が広域交流拠点都市としての機能を高め、首都圏南西部の交流の中心となる
ことこそが、人口流出の抑制につながると考えられます。
(2)将来的な労働力不足
本市は、現状では高齢化率が相対的に低い状況にありますが、少子高齢化が進行し、生産
年齢人口が減少していく中で、労働力率が継続的に低下しており、将来的な産業の担い手の
不足が懸念されます。そのため、働く意欲を持つ高齢者や労働市場から退出した女性を呼び
戻す方策が求められています。
市内企業に対して実施したアンケート調査結果においても、人材確保・育成支援に対する
行政ニーズが高く、人材確保・育成を継続的に支援していくことによって、将来的な労働力
不足へ備える必要があります。
(3)業務系企業の集積度が低い産業構造
本市では、製造業、特に工作機械などと呼ばれる生産用機械などの一般機械系の業種の集
積度が高いとともに、不動産業や教育・学習支援業、生活関連サービスなどの個人向けにサ
ービスを提供する業種の充実が見られ、他都市にはない強みとなっています。
その反面で、金融業や情報通信業、専門サービス業などの事業所向けサービス業や製造業
等における本社機能などの業務系企業の集積度が現状では低いため、その集積促進に取り
組んでいくことが、市内産業の安定化・多様化や雇用創出の面からは望ましいといえます。
また、それにより本市で従業する働き手が増加することで、市内の経済循環の促進にもつな
がることが期待されます。
6.2
工業の課題
(1)大都市部の中では高いと言えない生産性
一般に、大都市部に立地する工業の事業所は平均的な規模が大きく、生産性が高い傾向が
見られますが、本市では従業者1人当たりでみた製造品出荷額等は比較8都市中で5番目、
粗付加価値では7番目に位置しており、高い技術力を持つにもかかわらず生産性の面から
は、相対的に高いと言えない水準となっています。
47
本市の特徴である製造業の産業競争力を維持・向上するためには、市内で持続的に事業が
行えるよう、工業用地の創出、工場跡地の利用促進、人材育成・生産性向上支援等、ハード・
ソフト両面の事業環境づくりを図るとともに、研究開発の促進による新たな価値の創造、ロ
ボットなどの成長分野への進出などにより、付加価値の高い製品群の生産に取り組んでい
く必要があります。
また、市内企業の設備・施設の老朽化が課題となっており、市内企業の生産性向上に資す
る設備投資を促していく必要があります。
(2)上位業種の集積度が低いことによるデメリット
強みを持つ工業の業種は、各都市によってそれぞれ異なりますが、都市毎に出荷額等が上
位の業種を抽出して、その集積度を比較すると、本市は当該集積度が相対的に低くなってい
ます。このことは強みを持つ業種において集積の効果が働きにくく、他都市と比較してデメ
リットとして働く可能性があります。
6.3
商業・サービス業の課題
(1)通勤・通学人口や購買力の市外流出と受け皿の不足
本市は、昼夜間人口比率が低いことに加え、小売吸引力指数の水準(1未満)から購買力
の市外流出がうかがえ、70 万規模の人口集積が市内経済の活発化に結びつきにくい構図と
なっています。
流出する通勤・通学者を呼び戻す受け皿としての機能も不足しており、求心力のある市内
の核となる地域を形成し、人口や購買力の流出防止・市内還流を促していくことが課題とな
っています。
(2)効率性の面で比較劣位にある市内商業
市内商業における大規模店舗の割合は低くないものの、中間的な規模の商店の層が薄く、
小規模店舗の割合が大きくなっており、二極化の様相を呈しています。商店当たりの面積は
小さくないにもかかわらず、売場の効率が劣位にあるのはこのためと考えられます。
数多くの小規模事業者が事業を営めること自体は歓迎すべきですが、低効率の売場の改
善がなかった場合、小規模店舗の経営基盤の弱体化を招き、将来的には市内商業の空洞化に
つながるおそれがあります。
(3)一層の退潮が懸念される商店街と買い物弱者の将来的な増加
市内商業は、経営不振や後継者不足等による閉店で商店数の減少が続き、一部の商店街を
除き、退潮傾向にあります。閉店→店舗の多様性・全体の利便性の低下→魅力・活力の低下
→客足の減少→経営不振による閉店という負の循環が続いています。
また、今後、高齢化の進行により運転ができない人が増加するなどの状況も重なり、日常
の物品調達に支障をきたす買い物弱者36の増加が懸念されます。
36
買い物弱者:近隣商店の廃業や身体能力の衰え等から、日常の買い物に困難を来たす人、買い物がで
きない人。
48
(4)小規模事業者が多く、事業所向け業種の集積の厚みに欠ける市内サービス業
本市のサービス業は、小規模な事業者が多く、概して小規模な事業者の経営基盤は強くな
いことから、経済的なリスクイベント37が発生した場合に抵抗力が不足することが予想され
ます。市内産業全体の足腰を強めるためには、既存の製造業集積を維持しつつ、サービス事
業者の経営基盤をより強化する必要があります。
業種別に見ると、市内で集積度の高いサービス業種は医療、福祉、教育、生活関連サービ
ス等の個人向けサービスに属するものが主で、情報通信業等の事業所向けのサービス業の
集積は厚みに欠けています。地域経済の発展と市内産業の更なる振興の観点からは業種の
多様性による集積の厚みが必要であり、事業所向けサービスの集積を促進することが求め
られます。
(5)豊かな自然等の地域資源の活用が不十分
本市は、旧相模原市と旧津久井4町との合併により、まち・自然・文化等の多様な地域資
源を有する都市となりましたが、これらの地域資源の活用は十分ではなく、市内産業振興に
うまく生かされているとはいえません。今後は、豊かな自然や歴史、文化などの地域資源の
発掘や磨き上げとともに、こうした資源を活用し、商業・サービス業との結びつけを図るな
ど、相模原独自の取組が必要となります。
37
リスクイベント:経済活動を低下させる事象のことです。近年の事例としてはリーマンショック(脚
注 35)や東日本大震災等があります。
49
Ⅲ (仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025
1
実現化方策の構成
急激に変化する社会経済環境に対応した施策を展開し、本市の産業が抱える諸課題を克
服するには、本市が目指す産業の姿を描き、それに向かって戦略性を持って取り組む必要が
あります。
こうした考え方のもとで、(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 を新しい時代を見据
えた戦略的かつ総合的な産業政策の方向性とするため、図表3-1のとおり、本市が目指す
産業像を示し、その実現化のための4つの戦略を掲げました。各戦略に基づく行動指針とし
て、8つの施策の方向性を定め、さらに、各方向性から基本施策、事業へとより具体的な内
容に展開する構成としています。
また、本ビジョンの実効性を高めるため、喫緊に対応すべき課題に着目し、特に重点的に
実施すべき取組を重点プロジェクトとして、詳細な内容を紹介しています(P84~92)。
図表3-1
実現化方策の構成
目指す産業像
戦略2
戦略1
■戦略
目指す産業像を実現する
ための戦略を示します。
方向性 1.1
基本施策
1~5
方向性 2.1
基本施策
1~3
戦略3
■基本施策
各施策の方向性を踏まえ、
かつ実施事業に照らした上
で 30 項目の基本施策を掲
げています。
■施策の方向性
戦略に基づき「どう行動
するか」の指針を定めて
います。
方向性 2.2
基本施策
1~2
方向性 2.3
基本施策
1~3
戦略4
方向性 3.1
基本施策
1~5
方向性 3.2
基本施策
1~4
方向性 4.1
基本施策
1~5
方向性 4.2
基本施策
1~3
各基本施策に基づき具体的に実施する事業
重点プロジ
ェ ク ト Ⅰ
重点プロジ
ェ ク ト Ⅱ
重点プロジ
ェ ク ト Ⅲ
重点プロジ
ェ ク ト Ⅳ
50
重点プロジ
ェ ク ト Ⅴ
重点プロジ
ェ ク ト Ⅵ
重点プロジ
ェ ク ト Ⅶ
2
相模原市が目指す産業像と4つの戦略
2.1
目指す産業像
世界に向けて、新たな価値と魅力を創造・発信し、
未来を拓くさがみはら
内陸工業都市として発展してきた本市には、高度な技術力を有する産業集積基盤があり、
市外はもとより海外において市場を獲得している多くのものづくり企業が存在します。ま
た、今後は、安定した地盤とともに広域交通ネットワークの更なる充実により、そのポテン
シャルを生かした成長産業の集積がますます期待されるところです。こうした工業を中心
とした産業の活性化により、高生産性や高付加価値などの新たな価値を創造します。
一方、津久井地域との合併により、本市は、良好な住環境と豊かな自然といった多様な地
域性をもつ都市となりました。市外への購買力の流出など商業・サービス業の基盤が決して
強いとは言えない本市が、合併により豊かな自然などの多様な地域資源を有したことは、産
業の活性化に大きな可能性をもたらすものです。こうした地域資源を活用した商業・サービ
ス業の革新や広域交流拠点都市としてのポテンシャルを生かした業務系企業の立地促進に
より、新たな魅力を創出します。
さらに、グローバル化やICTの発展、ロボットや水素エネルギー等成長分野の台頭など、
急激に変化する社会経済環境において、競争力をより強化し、市内経済の更なる発展につな
げるためには、業種の垣根を超えた新ビジネスや新産業の創出が求められます。こうした
様々な産業の連携・交流を通して価値や魅力をより高め、効果的に発信することにより、海
外市場の獲得や国内外からの産業集積を促すとともに、ビジネスや観光等を目的とした国
内外からの訪問客の増加を目指します。
本市が、将来に向けて発展し続けるためには、その基盤となる経済の発展が欠かせません。
首都圏南西部の広域交流拠点を目指す本市の50年、100年先を見据え、将来に向けて持
続可能な都市経営を実現するため、本市を取り巻く社会経済環境の変化や本市産業の現状・
課題を踏まえつつ、上記考え方をもとに、目指す産業像を「世界に向けて、新たな価値と魅
力を創造・発信し、未来を拓くさがみはら」と定めました。
51
図表3-2 目指す産業像のイメージ図
52
(※)本ビジョンの目標年度である 2025 年における相模原市、座間市、大和市、厚木市、愛川町、八王子市、町田市の推計人口の合計値(出所:国立社
会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成 25(2013)年 3 月推計」)
2.2
4つの戦略
本市が目指す産業像の実現化に向け、本市の強みを生かし、様々な産業の連携・交流を図
りながら、本市産業を持続的に発展させるための4つの戦略を定めました。
戦略1
業種を超えた仕組みの構築による新産業の創出
ものづくりからサービスの提供まで、業種の垣根を超えた仕組みの構築により、時勢を捉
えた新産業を創出します。
戦略2
成長産業の集積とイノベーションによる価値の創造
成長産業の集積を促進し、より強固な基盤を形成するとともに、イノベーションにより、
成長分野の市場開拓や既存産業の強みを生かした新たな価値を創造し、生産性の向上を図
ります。
戦略3
地域資源の活用による魅力の創出とブランドの確立
豊かな自然等の多様な地域資源を活用して、新たな魅力を創出するとともに、暮らしやす
さを維持向上させ、それらの「相模原らしさ」を効果的に発信することで、さがみはらブラ
ンドを確立します。
戦略4
産業を支える基盤づくりの推進
雇用の創出や人材の確保・育成、利便性の高い都市基盤の整備、効果的な情報発信等、市
内産業の持続可能な成長と発展に資する基盤づくりをハード・ソフトの両面から推進しま
す。
53
3
施策の方向性
4つの戦略に基づく行動指針として、次のとおり施策の方向性を定めました。
戦略1
1.1
業種を超えた仕組みの構築による新産業の創出
様々な産業の連携・交流を促し、製品やサービス等が一体となった新産業を創出する
工業、商業・サービス業のほか、農業や観光、さらには学術研究機関、金融機関などの市
内外の様々な産業による業種の垣根を超えた交流や連携を活発化させるとともに、新製品・
高付加価値製品の開発や技術・ノウハウの異業種への応用などにつながる交流・連携の新た
な仕組みを構築し、それを支える環境の整備も併せて進めることで、製品やサービス等が一
体となった新産業を創出します。
戦略2
2.1
成長産業の集積とイノベーションによる価値の創造
新しい成長分野を開拓し市場の獲得を促す
本市は、金属製品や一般機械などの機械系の組立型業種、素材系業種の集積度の高さが強
みとなっています。これらの業種はロボット、航空宇宙、次世代自動車等との親和性が高い
ことから、市内工業が、既存の強みを生かした独自の技術力や高い競争力等により、持続的
に成長・発展するため、新しい成長分野の開拓と市場の獲得を促進します。
2.2
イノベーションにより新たな価値を創造する
本市では工業生産性が相対的に低いという課題があり、研究開発の促進による新たな価
値の創造、高付加価値化が求められています。また、ICTの進展により、生産プロセスの
革新に向けた胎動が内外で見られることから、課題を改善・解決させるためのイノベーショ
ンを促進するとともに、いち早く次世代のものづくりの具体化に向けた態勢を整え、市内企
業が持つ高度な技術による新たな価値や高付加価値を創造します。
2.3
ものづくりの力によりソリューション38を創出し市民生活を支える
本市を含めたわが国全体を取り巻く社会経済環境の変化の中で、高齢化による社会保障
余力の低下、相次ぐ自然災害への対応、エネルギー供給などが生活に不安を与える要素とな
っています。このため、ものづくりの力により、不安の解消や市民の需要を満たすことがで
きる製品、サービスの仕組みを構築し、市民の生活を支えます。
戦略3
3.1
地域資源の活用による魅力の創出とブランドの確立
まちの魅力の磨き上げと積極的な発信により交流を促進する
本市は、旧津久井4町との合併により市域を大きく広げ、まち・自然・文化等の多様な地域
性を有する都市となりました。こうした市の魅力を磨き上げ、商業・サービス業と有機的に
結びつけることにより市の魅力を更に向上させ、産業の活性化につなげる取組を進めます。
38
ソリューション:課題や要望に対して解決策を提供することです。解決策を提供すること自体ととも
に、その解決策となる製品やサービス、それらの組み合わせを指すこともあります。
54
また、市内商業地のそれぞれの商業集積の状況、交通の拠点性など地域の特性に応じた「商
業地形成事業」による魅力ある商業地づくりを推進します 。
さらに、広域交流拠点である橋本、相模原駅周辺地域を中心とした新たなまちづくりなど
と連携し、地域資源を活用した人、物、文化等を積極的に発信します。
3.2
生活の質を維持・向上し、活力ある未来を実現する
本市のサービス業は生活支援や娯楽等の個人向けサービスは比較的充実しており、質の
高い市民生活を送れる環境が整っています。一方、少子高齢化の更なる進行による買い物弱
者の発生や労働人口の減少が見込まれるなど懸念材料もあります。
これらの課題に対応することにより、一層、暮らしやすい都市としての優位性の確保に努
めます。人に選ばれる都市として成長していくことで、多様な人材確保を促進し、商業・サ
ービス業、さらには産業全体の活力を高めます。
戦略4
4.1
産業を支える基盤づくりの推進
市内産業の持続可能な成長と発展に資する基盤づくりを推進する
本市産業の持続可能な成長と発展のためには、今後の産業活動を支える基盤を整備する
ことが重要です。人材の確保・育成は、あらゆる産業に共通した課題であり、既に生産年齢
人口が減少局面に入っている状況を踏まえ、企業の人材確保と育成、定着化を図るための取
組を強化します。
また、戦略的な企業誘致にあたっては、インターチェンジ周辺の新たな都市づくりの拠点
のほか活用可能な産業用地の創出など、産業を支える都市基盤を整備するとともに、広域交
流拠点等において業務機能の集積を図るための新たな開発用地の供給を進めます。
さらに、効果的な国内外への情報の発信は、本市が目指す産業像を実現する上で最も力を
注ぐべき取組です。成長産業やイノベーションから生まれる新たな価値や多様な地域性な
ど本市のポテンシャルを生かした魅力、様々な産業が一体となって創出される新産業、こう
した「相模原発」の情報を、効率的かつ効果的に発信するための仕組みを構築します。
4.2
技術継承や生産工程の高度化により、ものづくりの基盤を支え続ける
工場が移転・閉鎖した跡地が住宅等になってものづくりの拠点候補地が失われることは、
市内経済の発展を考えると避けなくてはなりません。本市では、企業誘致にあわせ用地保全
の取組も積極的に進めていますが、用地のみならず技術・技能の継承や人材の育成などを通
じて、既存産業の強みである「ものづくりの基盤」を支えるとともに、今後の労働力不足や
競争激化に対応するため、ロボット技術を活用した生産工程の高度化を促進します。
55
4
施策体系
図表3-3
目指す
産業像
施策体系(産業像~基本施策)
戦略
世界に向けて、新たな価値と魅⼒を創造・発信し、未来を拓くさがみはら
【戦略 1】
業種を超えた仕組みの構築による
新産業の創出
施策の方向性
1.1
2.1
【戦略2】
成⻑産業の集積と
イノベーションによる価値の創造
2.2
2.3
3.1
基本施策
様々な産業の連携・交流を促し、製品やサービス等が⼀体となった
新産業を創出する
新しい成⻑分野を開拓し市場の獲得を促す
イノベーションにより新たな価値を創造する
ものづくりの⼒によりソリューションを創出し市⺠⽣活を⽀える
まちの魅⼒の磨き上げと積極的な発信により交流を促進する
【戦略3】
地域資源の活⽤による
魅⼒の創出とブランドの確⽴
3.2
⽣活の質を維持・向上し、活⼒ある未来を実現する
4.1 市内産業の持続可能な成⻑と発展に資する基盤づくりを推進する
【戦略4】
産業を⽀える基盤づくりの推進
4.2
技術継承や⽣産⼯程の⾼度化により、ものづくりの基盤を⽀え続ける
56
1.1.1
広域交流拠点機能の活⽤等による産学官⾦の連携の推進
1.1.2
⾼付加価値な製品とその製品を活⽤した⾼付加価値サービス等の創出促進
1.1.3
国際交流が促進される環境の整備とビジネス機会の拡⼤
1.1.4
農商⼯が⼀体となった地産地消の促進
1.1.5
多様な産業との連携による観光施策の推進
2.1.1
成⻑産業の集積促進
2.1.2
既存企業の成⻑産業への参⼊促進
2.1.3
海外及び成⻑市場の獲得のための販路開拓⽀援
2.2.1
産学連携等による研究開発の促進によるものづくり技術の⾼度化
2.2.2
情報技術の活⽤による⽣産プロセスの⾼度化とさがみはら発の次世代ものづくりの形の創出
2.3.1
市⺠の⽣活を守り、健康の維持増進に資する製品を活⽤したソリューションの創出
2.3.2
新エネルギー関連製品を活⽤したソリューションの創出
2.3.3
ものづくりの⼒による災害対応能⼒向上の推進
3.1.1
地域資源と商業・サービス業の結合・融合による魅⼒の向上と新たな魅⼒の創出
3.1.2
広域交通基盤の強化を機会とした、業務、商業、サービス機能の集積促進
3.1.3
産業を広くサポートする事業所向けサービス業の創出
3.1.4
既存商業機能のリノベーションによる街のにぎわいの創出
3.1.5
街の中核と周辺のネットワーク形成による、街の厚みの創出
3.2.1
地域の暮らしやにぎわいを⽀える商店街の振興
3.2.2
⾼齢化社会の進⾏に伴う買い物弱者対策の推進
3.2.3
⾼齢化等により⽣じる地域課題を解決するコミュニティビジネスの創出⽀援
3.2.4
外商やEコマースを活⽤した新たな商業ビジネスモデルの促進
4.1.1
産業⼈材の確保、育成、定着の⽀援
4.1.2
多様な働き⽅による⼥性の活躍推進
4.1.3
⼈的交流や産業集積を⽀える都市基盤整備の推進
4.1.4
市の魅⼒及び市内産製品・サービスの魅⼒を伝える強⼒な情報発信⼿段の構築
4.1.5
新規事業の発⽣・成⻑を促すためのインキュベーション機能の強化、他機能との相乗効果の醸成
4.2.1
安⼼してものづくりができる産業⽤地の保全
4.2.2
技術者育成によるものづくり技術の継承・⾼度化
4.2.3
ロボット技術を活⽤した⽣産⼯程の⾼度化による競争⼒の強化
5
基本施策と主な事業
【戦略 1】業種を超えた仕組みの構築による新産業の創出
施策の方向性 1.1
様々な産業の連携・交流を促し、製品やサービス等が一体となった新産
業を創出する
基本施策 1.1.1 広域交流拠点機能の活用等による産学官金39の連携の推進
今後も持続的に新しい製品やサービス等を生み出し、ビジネス機会の創出につなげ
ていくためには、工業、商業、サービス業に加えて、農業や観光関連産業、大学や研究
機関、金融機関などの市内外の様々な産業による業種の垣根を超えた交流や連携を活
発化させる必要があります。そのため、相模原市広域交流拠点基本計画に基づき、広域
交流拠点機能が整備されていくのに合わせて、同業種、異業種を問わず様々な産業の担
い手が交流・連携しやすい仕組みや環境を整備します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 首都圏南西地域連携サポート事業
相模原市、町田市をはじめとする首都圏南西地域における企業、大学・研究機関、
金融機関及び支援機関の集う場として南西フォーラム(首都圏南西地域産業活性化フ
ォーラム)を開催し、新事業の創出や技術の高度化など新たな連携の構築の推進によ
る地域産業の活性化を図ります。
② 燃料電池研究会
燃料電池及び新エネルギー関連分野に係る産学連携や企業間連携体を構築し、研究
開発成果の事業展開に向けたプロモーションや展示会への出展を行いビジネスチャ
ンスの発掘と事業拡大を図ります。
③ ロボット産業活性化事業(ネットワーク形成事業)
成長分野であるロボット産業の振興のため、企業、大学、行政や各支援機関による
協議会を設立することで、情報共有のためのネットワークを構築し、セミナー等の事
業を実施します。
④ 新技術実用化コンソーシアム形成支援事業
新産業・新事業を創出し、地域経済の活性化を図るため、市内の中小企業者と優れ
た技術シーズ40や知見を有する大学・研究機関等の連携により、産学の強固な共同研
究体制(コンソーシアム)を形成し、新製品・新技術の実用化を推進します。
39
40
産学官金:産業、学術研究機関、国や地方自治体等の公共の機関、金融機関の四者を表現する語句です。
シーズ:企業や研究機関等が有する事業化・製品化の可能性がある技術やノウハウなどのことです。
57
基本施策 1.1.2
高付加価値な製品とその製品を活用した高付加価値サービス等の創出
促進
近年では、製品とサービスを組み合わせることで付加価値の高いビジネスを展開し
ている事例が存在しています。そこで、モノづくりの担い手から新製品を活用した高度
なサービスを、商業・サービス業等の担い手から新しいサービスのために必要となる高
度な製品を、提案・要請し合うことで、製品とサービスの付加価値を相互に高めあう仕
組みを構築するとともに、モノとサービスを絶妙に組み合わせた付加価値の高いビジ
ネスやソリューションを創出します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 新技術実用化コンソーシアム形成支援事業<再掲>
基本施策 1.1.3 国際交流が促進される環境の整備とビジネス機会の拡大
ビジネスの可能性を広げていくためには、適切なビジネスパートナーとの出会いを、
市内・国内にとどまらず、海外というグローバルな範囲にまで広げ、求めていく必要が
あります。このため、国内・海外企業から有用性の高いパートナーを探すためのマッチ
ングシステムや商談のサポートなど、国際交流を深めるための環境を整えます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 国際化セミナー
外国における経済動向の把握や、知的財産権制度の理解などに資するセミナーを開
催し、市内企業の海外進出を支援します。
② 海外展開アドバイザー事業
海外への進出を検討している中小企業のために、進出先の産業、市場などのマーケ
ティング情報の収集を行います。
③ 海外見本市出展助成事業
市内企業の海外進出を支援するため、海外で開催される見本市に出展する際の経費
の一部を助成します。
(2)今後の検討事業例
① コンベンション41機能の整備・促進
ビジネス機会の創出や文化・教育機能の向上、来街者の増加を図るために、リニア
中央新幹線の開通等の本市の立地ポテンシャルを生かしたコンベンション機能の整
備・促進を進めます。また、コンベンションビューロー42の設置等、コンベンション機
能を最大限に生かすための取組について検討を進めます。
41
42
コンベンション:国際機関・団体や学会等が開催する国際会議のことです。
コンベンションビューロー:国内外からの会議を誘致する組織です。会議に限らず誘客のために観光
情報の発信などの役割を担うこともあります。
58
② MICE43の誘致
新たなビジネスやイノベーションの契機となるとともに、地域経済への波及効果が
期待できる国際会議や大規模な展示会・イベント等のMICE誘致を促進するととも
に、大都市圏で開催されるMICE等への参加者をターゲットとしたアフターコンベ
ンション44の取組を支援します。
基本施策 1.1.4 農商工が一体となった地産地消の促進
広い市域に人口が集積するまちと豊富な自然を兼ね備えているという特性から、本
市は市内で生産したものを、市内で加工し、市内で消費する地産地消を実践する条件の
整った地域といえます。食の質の向上や安全に対する意識の高まりを背景に、消費者が
原材料や作り手のわかる「顔の見える商品」を嗜好するようになってきていることから、
農業、商業・サービス業、工業が一体となって地産地消の促進に取り組むことにより、
相模原生活の魅力を創出します。また、高齢化の進行に伴う農業と福祉の連携など、新
たな取組が出てくることも予想されることから、農商工連携の推進にあたっては、そう
した新たな動きとの連携も視野に入れながら取組を推進します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 地域ブランドの創出に対する支援
市内産農畜産物の普及啓発を行うとともに、地場農畜産物の統一ブランド「さがみ
はらのめぐみ」を活用した地域ブランドの創出に向けた支援を行います。
② 大型店との包括連携協定による地産地消の促進
市内の大型店との連携により、地場産の農畜産物の販路拡大を促進します。
③ 農商工連携の促進
商工業者の農畜産物に対するニーズを把握し、農業者とのマッチングの場を提供す
ることや商品開発や販路開拓につながる取組を促進します。
④ 農業の6次産業化の促進
農業者の6次産業化への取組に関する相談に対して、県等関係機関との連携により
適時適切な対応を図るなど事業化に向けた取組を支援します。
⑤ 地場産木材の利活用促進事業
市民の共通財産である森林を次世代に確実に引継ぐため、「さがみはら森林ビジョ
ン」に基づき、市民の森基本計画の検討、津久井産材の利用拡大や木材生産体制の確
立への取組などを通じて、森林の保全・再生、林業の振興を図ります。
(2)今後の検討事業例
① 他業種や大学等とのマッチング機会の創出
異業種交流会やセミナーの開催等、様々な業種や大学等のマッチングができる機会を創
出します。
43
44
MICE:企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団
体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をつ
なげたもので、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称を指します。
アフターコンベンション:会議や展示会、イベント等の後の催しや懇親会のことです。
59
基本施策 1.1.5 多様な産業との連携による観光施策の推進
首都圏南西部の広域交流拠点を目指す本市にとって経済の発展は不可欠であり、そ
のためには、様々な資源を生かして魅力を創出し国内外からの訪問客を増やす取組が
必要となります。農業では良好な農地の広がりと2か所の大型直売所、商業・サービス
業では既存商業地のにぎわいと広域交流拠点整備における商業・業務機能、工業では本
市の強みであるものづくり技術や成長分野である産業用ロボットの拠点施設、こうし
た様々な資源を活用し、見学や体験を通じた観光施策を推進することで、本市の魅力を
創出・発信します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 都市型観光の推進
中心商業地をはじめとしたまちづくりの中で、都市のにぎわいを生かした観光交流
を生み出す仕組みや居心地の良い空間の創出を通じて、駅前や商業地のにぎわいのあ
る地域づくりを推進します。
(2)今後の検討事業例
① グリーン・ツーリズムの促進
自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動となる「グリーン・ツーリズ
ム」の取組として、津久井地域を中心に、農業体験、農産物加工体験や古民家を活用
した宿泊施設の整備などを促進します。
② 産業観光の推進
本市の産業基盤を支えるものづくり企業の技術や製品、インキュベーション施設や
成長分野である産業用ロボットの拠点施設などの資源を活用し、見学や体験を通じた
産業観光を推進します。
③ 観光を生かした産業創出拠点の整備促進
観光を生かした産業創出拠点の整備を促進するとともに、拠点の持つ集客力を生か
し、市内関連産業や周辺の地域資源等との連携を図ることで、市内関連産業における
特産品開発等の新たなビジネスチャンスや情報発信機会の創出、拠点を核とした回遊
性向上による周辺地域を含めた観光振興、地域における雇用の創出等、拠点を核とし
た観光を生かした地域経済活性化のモデルづくりを目指します。
60
【戦略2】成⻑産業の集積とイノベーションによる価値の創造
施策の方向性 2.1 新しい成長分野を開拓し市場の獲得を促す
基本施策 2.1.1 成長産業の集積促進
本市の基幹産業である製造業を中心とした産業集積基盤の更なる強化を図り、雇用
の促進や経済波及効果などによる持続可能な都市経営を実現するため、産業集積促進
方策(STEP50)に基づき、市外からの成長産業の積極的な誘致に取り組むととも
に、引き続き市内企業についても市内再投資を支援するなど戦略的な企業誘致を進め
ます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 企業の立地促進事業
産業集積促進条例の第3期目の制度改正により、これからの本市経済をけん引し、
強固な産業集積基盤の形成を更に推し進める産業を「リーディング産業」として位置
付け、同産業へのインセンティブを設けた制度設計のもとで、リーディング産業に係
る企業を中心に積極的に市外からの誘致に取り組むとともに、併せて、市民の雇用の
創出・定着化や本社の誘致、工業用地の保全活用を図ります。
リーディング産業:「航空宇宙」「再生可能エネルギー」「環境」「ロボット」「医療・介護・健康」
「食品加工」「自動車」「金属製品」「電気・電子」「精密機械」等
② 相模原インターチェンジ周辺新拠点まちづくり事業(金原・串川地区)
産業などを中心とした職住近接型の土地利用を進めるため、まちづくり実施計画の
策定等の取組を実施します。
③ 当麻地区整備促進事業
圏央道相模原愛川IC南側の当麻宿地区(約 14.5ha)で、組合施行の土地区画整
理事業の実施により、約 13.1haの工業用地が創出される予定であり、恵まれた交通
利便性を生かし、産業を中心とした環境と共生する新たな都市づくりの拠点として市
街地整備を進めます。
④ 麻溝台・新磯野地区整備推進事業
圏央道相模原愛川ICから約3kmに位置する麻溝台・新磯野地区(約 148ha)の
うち先行して取組を進めている第一整備地区(約 38ha)で、市施行の土地区画整理事
業の実施により約 17haの工業用地が創出される予定であり、立地特性を生かした、産
業・みどり・文化・生活などが融合した魅力ある良好な市街地環境の形成に向けた取組
を実施します。
(2)今後の検討事業例
① 産業用地の創出
製造業等の企業立地の促進と産業用地の創出等に取り組むことにより、戦略的な企
業誘致を進めます。
61
② 産業を中心とした新たな都市づくりの拠点の形成
当麻地区や麻溝台・新磯野地区においては、産業機能を含む複合的な都市づくりを
推進し、金原・串川地区においては、地域特性を踏まえ、新たな産業用地の創出を推
進します。
基本施策 2.1.2 既存企業の成長産業への参入促進
本市の工業は、金属製品や一般機械などの機械系の組立型業種、素材系業種の集積度
の高さが強みとなっています。これらの業種は、ロボット、航空宇宙、再生可能エネル
ギー、次世代自動車等の成長産業との親和性が高いことから、該当業種の担い手となっ
ている市内企業のうち、成長産業参入のポテンシャルと意欲を持つ企業に対して、その
参入を支援し、市内の成長産業の担い手を増やします。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 首都圏南西地域連携サポート事業<再掲>
② 新規事業展開・経営革新セミナー
新規事業の「考え方」と実践のセミナーを開催します。漠然としたアイデアを「経
営革新承認申請書」へ落とし込むまでの具体的なアドバイスを行います。
③ ロボット産業活性化事業(ロボット技術高度化事業)
ロボット産業の振興のため、企業と大学や研究機関による先端的なロボットの研究
開発を支援します。
④ 燃料電池研究会<再掲>
基本施策 2.1.3 海外及び成長市場の獲得のための販路開拓支援
経済のグローバル化に伴って国際間のモノやサービスの商取引が日常化してきてお
り、人口減少局面への突入により、国内市場の縮小が見込まれるなかで、市内の中小企
業にとっては、海外企業との取引拡大の機会を捉えていく必要性がこれまで以上に強
まるものと見られます。そこで、成長の著しいアジアの新興国を中心に、海外への販路
開拓を支援します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 東南アジアにおける市内企業の販路拡大
成長著しい東南アジアへの販路拡大を支援するため、現地における市場調査や商談会
等を実施します。また、先行して進出している市内企業とこれから進出を目指す企業と
のマッチングにより、効果的・効率的な海外ビジネス展開のモデル構築を目指します。
② 国内見本市出展助成事業
市内中小企業の販路開拓を支援するため、国内で開催される見本市に出展する際の
経費の一部を助成します。
③ ロボット産業活性化事業(魅力PR事業)
ロボット関連の市内中小企業の国際ロボット展への共同出展や技術PRのための
ガイドブック作成など、市内中小製造業の魅力を発信します。
62
施策の方向性 2.2 イノベーションにより新たな価値を創造する
基本施策 2.2.1 産学連携等による研究開発の促進によるものづくり技術の高度化
本市には高度な技術や優良な製品を生産する企業が数多く存在しますが、本市の工
業は、他の大都市に比較して生産性が低いという課題があることから、企業の継続的な
研究開発活動を促して技術の高度化を図ることにより、本市工業の担い手が持つ高度
な技術力を更に強化し、より付加価値の高い製品の創出を支援します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 新技術実用化コンソーシアム形成支援事業<再掲>
② ロボット産業活性化事業(ロボット技術高度化事業)<再掲>
③ 中小企業研究開発補助金
市内中小企業者の新製品・新技術開発や新分野進出を支援するため、研究開発に要
する経費の一部を補助します。
④ 産学連携スタート支援助成金制度
市内中小企業者の大学等との産学連携による研究開発や技術開発を促進するため、
共同研究等に必要な費用の一部を補助します。
情報技術の活用による生産プロセスの高度化とさがみはら発の次世代
基本施策 2.2.2 ものづくりの形の創出
ICTの進展により、機械機器類を情報通信機能でつなぎ、相互の制御機能を備えて
生産現場を最適に稼動させる発想が生まれ、ドイツの「インダストリー4.045」の例に象
徴されるように、世界的に生産プロセスの革新を画策する動きが見られるようになっ
ています。高度技術を持つ企業が集積する本市工業の強みを生かし、こうした動きに先
んじて生産プロセスの高度化を図り、次世代ものづくりの形の創出に取り組みます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 産業用ロボット導入支援事業
現在、自動車などの大規模工場の生産ラインに活用が限定されている産業用ロボット
を市内中小企業に導入することによって、生産プロセスの高度化を実現し、労働力不足
や技術者の高齢化などの課題に対応できる強固なものづくりの基盤を構築します。
45
インダストリー4.0:生産工程のあらゆるデータを蓄積、分析し、ICT によってネットワーク化された
生産設備や管理システムなどに分析結果等をフィードバックさせることで、さまざまな外部環境の変
化に柔軟に対応しながら開発や製造、生産管理を含むバリューチェーンの最適化が自律的に図られる
システムを構築する思想です。ドイツではその実現に向けて官民上げた取組が進められており、生産
性の飛躍的な向上や、新しい価値やビジネスモデルの創出等が期待されています。
63
施策の方向性 2.3 ものづくりの力によりソリューションを創出し市民生活を支える
市民の生活を守り、健康の維持増進に資する製品を活用したソリューシ
基本施策 2.3.1 ョンの創出
今後、高齢化が更に進むと、医療や福祉などの社会保障余力が低下していくなか、何
らかの持病や障害などを抱える人が増加するのは確実であり、現役世代でも将来高齢
者となった場合の日常生活に不安を感じる市民は数多くいると見られます。そこで、健
康の維持増進による病気の予防、身体機能が低下しても不安なく生活することができ
るような製品やサービスの創出に向けた事業者の支援等に取り組みます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① ロボット産業活性化事業(ロボット技術高度化事業)<再掲>
基本施策 2.3.2 新エネルギー関連製品を活用したソリューションの創出
2011 年 3 月の東日本大震災以降、わが国の電力供給は原子力発電所の停止に伴い、
火力発電への依存度が大きく上昇しており、エネルギー供給に対する不安は依然とし
て根強い状況にあります。一方、今後のエネルギー供給を考える上では、安全性や安定
供給、さらには経済効率性や温暖化対策等の環境適合も考慮することが求められます。
このため、本市でも 2014 年 12 月に「相模原市水素エネルギー普及促進ビジョン」を
策定するなど、新たなエネルギーの利活用に取り組んでいます。
新たなエネルギーの利活用が事業として成立するには、幾つもの技術的なブレイク
スルー46が必要であり、本市でも新エネルギー関連の技術・製品開発やそれを活用した
ソリューションサービスの創出を活発化させるための施策を実施します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 再生可能エネルギー等導入促進事業(太陽エネルギー)
太陽エネルギー利用設備の更なる導入促進に向け、太陽光発電システムの設置補助
事業などを推進します。
② 再生可能エネルギー等導入促進事業(BDF)
家庭から排出される使用済食用油をバイオディーゼル燃料47(BDF)にリサイクル
して使用します。
③ 水素エネルギーの普及促進
水素は多種多様なエネルギー源から製造が可能であり、利用段階では二酸化炭素
(CO2)を排出しない「究極のクリーンエネルギー」として期待されていることから、2014
年 12 月に策定した「水素エネルギー普及促進ビジョン」に基づく施策に取り組みます。
④ 地場産木材の利活用促進事業<再掲>
46
47
ブレイクスルー:物事や科学技術などについて、難関や障害を突破し、現状を打開することをいう。
バイオディーゼル燃料:動植物油(菜種油や廃食用油)を原料として製造される軽油代替燃料です。
64
基本施策 2.3.3 ものづくりの力による災害対応能力向上の推進
2011 年 3 月の東日本大震災以降も、台風や火山の噴火等の自然災害が数多く発生し
ており、高齢者の避難が遅れて被害が拡大するなどの事例も見られることから、高齢化
が進行するなかで自然災害から如何に市民の安全を確保するかが、切実な問題となっ
ています。そこで、防災・減災対策の充実と並行して、産業振興の観点から、生命・身
体の安全確保や災害対応能力の向上に資する製品開発やソリューションサービスの充
実に資する取組を実施します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 「さがみロボット産業特区」との連携
ロボット技術の向上や産業集積を図る、本市を含む県央10市2町がエリアとなっ
ている、
「さがみロボット産業特区」による災害対応ロボットの実用化に向けた取組を
支援します。
65
【戦略3】地域資源の活⽤による魅⼒の創出とブランドの確⽴
施策の方向性 3.1 まちの魅力の磨き上げと積極的な発信により交流を促進する
地域資源と商業・サービス業の結合・融合による魅力の向上と新たな
基本施策 3.1.1 魅力の創出
本市は、旧相模原市と旧津久井4町との合併により市域を大きく広げ、まち・自然・
文化等の多様な地域資源を有する都市となりました。今後はこれらの多様な地域資源
を発掘、活用して、周辺の商業やサービス業に携わる事業者が連携して当該資源の魅力
を元に、地域全体の活性化と魅力の向上に取り組めるように支援を行います。
加えて、本市には様々な名産品等があり、それぞれが相模原のブランドとして発信さ
れているものの、「他の地域との差別化を図れる相模原市の総括的な地域イメージ」と
して、さがみはらブランドが確立されていないことから、その具体的な内容を確立し、
定着を図ります。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携した宇宙関連産業の成長支援と宇宙の魅
力を生かした商業振興
市内企業の宇宙関連産業への進出を支援するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)
との連携によるセミナーや共同研究を実施します。また、宇宙をテーマにしたイベント
等を支援し、商業・サービス業の魅力向上に繋げます。
② 産学連携によるまちづくりの推進
商店街への集客のために学生の視点を取り入れたマップの作成等、商業者と大学等
が連携した地域活性化への取組への支援を行い、商店街のイメージの向上を図ります。
③ 歴史や文化、街並み等を生かしたイベントの支援
本市の歴史、文化、街並みや博物館等の本市が持つ特徴ある施設等を生かした地域
活性化イベント等の支援を行い、街のにぎわいを高めます。
④ ロボット産業活性化事業(魅力PR事業)<再掲>
⑤ さがみはらブランドの確立につながる事業に対する支援
さがみはらブランドの確立につながる地域の魅力的な製品・サービス等の情報を市
内外に発信して、本市の魅力を対外的にPRする取組を支援します。
⑥ 地域ブランドの創出に対する支援<再掲>
⑦ 農商工連携の促進<再掲>
(2)今後の検討事業例
① リニアを生かした経済・産業振興
リニア中央新幹線駅の設置を契機とした経済・産業振興に関する取組を支援します。
② 集客の核となる個店の育成
中心市街地等に核となる店舗を創出し、エリア全体のイメージや集客力を高めるこ
とにより、街のにぎわいの向上を図ります。
66
③ インバウンド事業の推進
情報媒体の多言語化や、新たな海外向け情報発信ルートの開拓を図ることにより、
本市の産業や観光等の魅力を発信し、外国人の来訪を促進します。
④ ニューツーリズムの発掘・開発
自然や文化、スポーツ、医療、健康など、テーマごとの地域資源を生かした多様な
体験型観光プログラムの発掘・開発や観光商品化を図るなど、ニューツーリズムを推
進します。
⑤ MICEの誘致<再掲>
⑥ さがみはらブランドの確立と認証等
さがみはらブランドを「他の地域との差別化を図れる相模原市の総括的な地域イメー
ジ」として、本市産業や地域資源の優位性等を基に、今後発信していくべきさがみはら
ブランドの内容の確定を図ります。また、さがみはらブランドの内容を体現している製
品やサービスに対し認証を与える等の方法により、さがみはらブランドの市内外への発
信とブランドイメージの定着を図ります。
基本施策 3.1.2 広域交通基盤の強化を機会とした、業務、商業、サービス機能の集積促進
さがみ縦貫道路の全線開通や市内2箇所のインターチェンジの開設、リニア中央新
幹線の駅設置等広域交通ネットワークの充実により、本市には今後大幅な交流人口の
増加が見込まれます。こうした強みを的確に捉え、本市を来訪した人々が滞留して楽し
んでいただけるよう、中心市街地や地区中心商業地などを対象に、商業・サービス機能
の集積を図ります。また、昼間人口の市外流出の要因としてオフィスの集積の低さ等が
あげられるため、こうした課題に対応し、職住近接の促進や雇用の増加を図るとともに、
街のにぎわいを創出するために市内の中心市街地への業務系企業の立地を促進します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 中心市街地の魅力の向上
中心市街地において商業者が実施する地域活性化事業を支援します。
② 商業地形成事業の推進
商業機能を充実させるとともに業務機能の集積を図ることで複合的な都市機能を
備えた商業地の形成を図ります。
③ 地区計画等によるまちづくりの推進
調和のとれた魅力ある街並みを形成するために地権者や商業者が取り組む「まちづ
くり協定」や「地区計画」等のルールづくりを支援します。
④ 業務系企業誘致制度の創設
オフィスを利用する業務系企業を中心市街地に誘致するために、本市の特性を生か
した誘致制度を創設します。
67
(2)今後の検討事業例
① 業務系企業の立地の促進
業務系企業誘致制度を活用しながら、相模総合補給廠の返還等によって生じる新た
な開発用地において、業務系企業の立地を積極的に促進します。
② コンベンション機能の整備・促進<再掲>
③ MICEの誘致<再掲>
基本施策 3.1.3 産業を広くサポートする事業所向けサービス業の創出
産業を広くサポートする事業所向けサービス業において、ソフトウェア開発などの
情報通信業は、ICTの進展によりあらゆる産業を革新し続けるとともに、テレワーク
48
勤務に親和性が高いため、女性の社会進出の促進や昼夜間人口比率の改善効果が見込
めます。
また、美術系大学が所在する特徴を生かしてクリエイター・デザイナーの集積を図る
ことで、企業及びその製品のブランド力向上や、機能的かつ洗練的なデザインによる高
付加価値化が図られるとともに、相模原からクリエイティブな情報の発信に繋がるこ
とが期待できます。
こうした事業活動をサポートする機能の集積・充実により、事業環境が向上すること
で、市内産業に活力を与え、更なる集積の促進や市内企業の流出抑止に効果が期待でき
ます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 業務系企業誘致制度の創設<再掲>
② SIC入居企業支援
SIC入居企業の成長を図るため各課題の解決に向けて、専門家等と連携し、事業
計画、特許出願、プロモーション、販路開拓等経営全般の伴走支援を実施します。
③ SIC地域企業支援
地域企業の成長を図るため各課題の解決に向けて、専門家等と連携し、共同開発、
カイゼン49、特許出願、販路開拓、デザイン等の支援を実施します。
④ 創業・開業支援
事業所向けサービス業の創業を促進するために、産業支援団体と連携して、経営、
人材育成、販路開拓等の創業に関する相談やセミナーを実施します。
(2)今後の検討事業例
① 業務系企業の立地の促進<再掲>
② コンベンション機能の整備・促進<再掲>
③ 他業種や大学等とのマッチング機会の創出<再掲>
48
49
テレワーク:ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
カイゼン:現場の発案による作業・業務の見直し活動です。主に製造業が想定されています。
68
基本施策 3.1.4 既存商業機能のリノベーション50による街のにぎわいの創出
本市の商店街では、経営難や後継者不足による空き店舗が生じています。空き店舗の
増加は買回り機能の低下や街のにぎわいの喪失などに直結することから、遊休不動産
の再生を図るリノベーションを進めていく必要があります。空き店舗をシェアショッ
プ51やスモールオフィス52にリノベーションして、起業家や事業者などの入居を促進す
るとともに、大学と連携して学生が起業体験できる場を創出するなどの取組を、商業者、
不動産所有者、大学等と連携して実施し、新しい産業の創出や街のにぎわいづくりを図
ります。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 空き店舗活用事業
空き店舗を休憩所等の共同施設、商店街の活性化に必要な業種、コミュニティ施設53
として活用する商店街に対し支援を行います。
② チャレンジショップ支援事業
市内の商店街の空き店舗を活用して創業しようとする熱意と独創性にあふれる起
業家に対して支援を行い、起業家の育成や商店街の活性化を図ります。
(2)今後の検討事業例
① まちづくりの新たな担い手の活用
不動産オーナーやまちづくりコーディネーターをまちづくりの担い手として取り
込み、独創性のある起業家や事業クリエイターが活用できる遊休不動産とのマッチン
グを図ります。
② 学生・生徒向け起業体験事業の実施
学生や生徒が商店街で物販等を体験できる場を空き店舗を活用して創出すること
で、学生や生徒の起業意識を高めるとともに、学生や生徒を地域に取り込み、街の活
性化に繋げます。
③ 集客の核となる個店の育成<再掲>
50
51
52
53
リノベーション:用途や機能を変更して性能を向上させたり、付加価値を与えたりすることです。
シェアショップ:店舗スペースを複数の小区画に分け、各区画でそれぞれ独立に販売活動をする形態のこと
です。出店者には小規模、低コストで出店できるメリットがあり、試験的な販売にも活用できます。多くの
出店があれば多様性やにぎわいが創出されることでスペースを貸す側や商店街全体にもメリットがありま
す。
スモールオフィス:賃貸床を複数の小区画に分け、業務に必要なスペースを必要な分だけ賃借できる
ようにするとともに、応接室や会議室、水回りなどの空間や、事務用機器などをテナント共用とする
ことで、低廉な価格でオフィス用スペースが確保できるようにしたものです。
コミュニティ施設:地域社会の住民の交流や催しなどに利用される施設のことです。公民館、住民セ
ンター、集会所などが該当します。
69
基本施策 3.1.5 街の中核と周辺のネットワーク形成による、街の厚みの創出
本市の中心市街地では、大型店など核となる集客施設はあるものの、買い物とともに
食事を楽しみ、風景を眺めるといった、消費者をまちに引き留め、周辺への消費活動を
引き出す仕掛けについては未熟な部分が残されています。
このため、市内の既存の商業集積地域において、大型店や周辺店舗などの事業者によ
る協力・連携の体制づくりを促し、来訪した人々に地域内を滞留・回遊してもらえるよ
うな街の厚みの創出を図ります。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 大型店と商店街の連携への支援
中心市街地の大型店と商店街が連携して行う、ポイントカード事業等の街のにぎわ
いづくりを支援し、来街者の増加や回遊性の向上を図ります。
② 中心市街地の魅力の向上<再掲>
③ 業務系企業誘致制度の創設<再掲>
④ 商業地形成事業の推進<再掲>
⑤ 地区計画等によるまちづくりの推進<再掲>
(2)今後の検討事業例
① 集客の核となる個店の育成<再掲>
② 業務系企業の立地の促進<再掲>
③ エリアマネジメントの支援
地権者、開発業者、住民等から構成されるまちづくり団体が主体的に取り組む良好
な景観の形成や地域活性化活動を支援します。
70
施策の方向性 3.2 生活の質を維持・向上し、活力ある未来を実現する
基本施策 3.2.1 地域の暮らしやにぎわいを支える商店街の振興
国内にあまねく見られるように、本市においても商店街の店舗数の減少傾向は否め
ません。地域コミュニティ形成の核となる商店街が活性化し、住民の交流による地域の
にぎわいを維持・向上させるため、空き店舗の活用や新規開業の促進等により、商店街
に再び活気を取り戻すための施策を実施します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 商店街振興支援事業
地域の特性を生かした商店街の環境整備やソフト事業の支援、アドバイザーの派遣
により、商店街の各店舗の売上向上に向けた取組を支援します。
② 中心市街地の魅力の向上<再掲>
③ 空き店舗活用事業<再掲>
④ チャレンジショップ支援事業<再掲>
⑤ 後継者人材の育成支援
次世代を担う若手経営者や商店後継者を対象に、商店街及び商店の担い手として必
要な資質を得るための機会を創出します。
(2)今後の検討事業例
① 商店街再生に向けた取組の支援
商店の担い手づくりが円滑に進むよう、後継者人材の育成支援の仕組みを構築します。
②ICTを活用した商業環境の整備の促進
公衆無線LAN54の整備等、ICTを活用した商店街の販路拡大に関する取組を支
援します。
③個店を対象としたICT活用の支援
インターネットを活用した集客や、インターネット上のマーケティングプレイス55
での販売など、ICTを活用して売上の向上を図る個店に対して支援を行います。
④ 学生・生徒向け起業体験事業の実施<再掲>
基本施策 3.2.2 高齢化社会の進行に伴う買い物弱者対策の推進
高齢化の進行により運転免許の返上者や歩行困難者が増加すると、買い物弱者も増
加することが懸念されます。このため、流通事業者や交通事業者、地域のコミュニティ
と連携して、将来にわたって地域住民が安心して買い物ができる環境を維持するため
の施策を講じます。
54
公衆無線 LAN:一定のエリアや店舗にいる人なら誰でも、無線方式のコンピュータ・ネットワークを
利用してインターネットに接続できるサービスです。
55
マーケティングプレイス:インターネット上に設けられた仮想の店舗や取引所のことです。
71
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 公共交通等の利用が不便な高齢者等に対する移動手段策の推進
コミュニティバス56の効果的な運用や、地域コミュニティの醸成による乗合い車両
などの取組を支援します。
(2)今後の検討事業例
① 商店街・民間事業者による買い物支援の促進
商店街による地域コミュニティを生かしたきめ細やかな買い物支援に関する取組
や、民間事業者による移動販売の実施等を促進するための環境整備を進めます。
② 高齢者等へのボランティアや企業等を活用した買い物支援の検討
買い物に対し日常的に不便を強いられている高齢者のニーズについて把握し、販売
事業者のニーズと結びつけるとともに、ボランティアやコミュニティビジネス等によ
る取組など、様々な主体による買物弱者対策への支援を検討します。
高齢化等により生じる地域課題を解決するコミュニティビジネス57の
基本施策 3.2.3 創出支援
人口減少により行政の担い手も将来的な減少が見込まれる中、地域課題の解決に当
たっては、民間と行政が協働して取り組む必要性が今後ますます高まるものと見られ、
民間にとってはコミュニティビジネスの起業機会の増加が見込まれます。そのなかで
人口減少や高齢化に対応した、高齢者の生活を支えるサービスを創出し、持続可能な高
齢者の生活支援を実現します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 創業・開業支援<再掲>
② コミュニティビジネスの促進
地域の人々との幅広い関係性を有するコミュニティビジネス事業者による地域課
題の解決を促進します。
(2)今後の検討事業例
① 多様な事業主体による様々な高齢者向けサービスの提供の促進
地域課題の解決に貢献可能な多様な事業主体の掘り起しを図り、高齢者向けサービ
スの提供を促進します。
② 地域の団体間の情報共有の促進
地域課題を洗い出し、その解決のため地域コミュニティビジネス事業者間での情報
共有を促進します。
③ 高齢者が自ら担い手となるビジネス機会の創出
多様化する地域課題に対応するため高齢者の中から人材を発掘しビジネス機会を
創出するとともに、蓄積された経験値を生かし、自らが課題解決の担い手となるよう
支援します。
56
57
コミュニティバス:地方自治体が住民福祉の向上を図るため交通空白地域・不便地域の解消、高齢者
等の外出促進等を目的として、自らが主体的に運行を確保するバスのことです。
コミュニティビジネス:地域の住民が、地域の課題の解決に向けて、ビジネスの手法を用いて主体的
に取り組む事業のことです。
72
基本施策 3.2.4 外商やEコマースを活用した新たな商業ビジネスモデルの促進
店舗数や年間商品販売額の減少に見られるように小規模な個店にとっては厳しい事
業環境となっていますが、そうしたなかでも事業継続・拡大に邁進する事業者も見られ
ます。そこで、意欲ある事業者を中心として、外商やEコマースを活用した新しいビジ
ネスモデルの導入を促すことにより、地域にとどまらない顧客層の発掘を支援し、多様
な個店を擁する魅力的な市内商業の維持・発展を図ります。
【主な事業】
(1)現在進めている事業
① 商店街振興支援事業<再掲>
(2)今後の検討事業例
①他業種や大学等とのマッチング機会の創出<再掲>
② ICTを活用した商業環境の整備の促進<再掲>
③ 個店を対象としたICT活用の支援<再掲>
73
【戦略4】産業を⽀える基盤づくりの推進
施策の方向性 4.1 市内産業の持続可能な成長と発展に資する基盤づくりを推進する
基本施策 4.1.1 産業人材の確保、育成、定着の支援
業種を問わず多くの企業では、人材の確保育成、その後の定着等に苦慮しています。
優良な人材確保を円滑化することは、個々の市内企業ひいては市内産業全体のレベル
アップにつながる意義があることから、本市では人材の採用や定着、既存人材の育成・
実力向上等を継続的に支援していきます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① ものづくり人材の確保・育成事業
市内中小企業の人材採用・育成などの詳細なニーズや経営課題の把握に努め、解決
に向けた取組への支援を行います。また、技術・技能向上を目的としたセミナーの開
催や研修費用への助成を行います。
② 無料職業紹介事業
相模原市就職支援センターにおいて、就職に困難を抱えている方々を対象に、求人
開拓、キャリアカウンセリング58、求職者支援講座、就職情報の提供、無料の職業紹介
を実施します。
③ 若年無業者・フリーター就労支援事業
若年無業者・フリーターと呼ばれる若者の自立を支援するため、
「さがみはら若者サ
ポートステーション」の運営や家族セミナー、若者キャリア開発プログラム事業の開
催を委託します。
④ 観光人材育成事業
本市の観光振興の基盤を担う事業者や関係団体等に対し、観光を担う上で必要な意
識や知識を習得できる研修機会を提供します。
⑤ 後継者人材の育成支援<再掲>
(2)今後の検討事業例
① まちづくりコーディネーターの育成
商業者や地権者、地域住民、地域団体等を結びつけ、地域課題の解決に一緒に取り
組む人材を育成するための講座を開催します。
② 産学によるインターンシップの推進
若年者の雇用ミスマッチによる早期離職等の課題に対応するため、学校から職場・社
会への円滑な移行の手段のひとつとして、産学によるインターンシップ59を推進します。
58
59
キャリアカウンセリング:個人が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに
即した職業選択や職業訓練等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう個別の希望に応じて実
施される相談その他の支援をいいます。
インターンシップ:企業等が学生に就業体験の機会を提供する制度です。
74
③ 早期起業家教育事業の推進
将来の産業を支える人材を育成するため、会社・経営を疑似体験することにより、
子ども達の可能性を広げ、自己実現を手助けする早期起業家教育事業を推進します。
基本施策 4.1.2 多様な働き方による女性の活躍推進
将来的な産業の担い手不足を解消する有力な手段のひとつとして、働く意欲を持ちな
がら労働市場への参画を見合わせている女性の活躍推進が挙げられます。女性が労働市
場へ参画しない事情は様々であり、家庭と仕事を両立するために女性が求めるワークス
タイル、ライフスタイルも多様であると見られることから、その多様性に対応できるよ
うに、働き方の選択肢を増やし、女性が活躍できる環境を整える施策を実施します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 女性の新たな商業の担い手の育成支援
女性起業希望者を対象としたセミナー等の開催や、女性特有の不安や悩みを相談で
きる交流会等を開催します。
② 創業・開業支援<再掲>
③ 仕事と家庭両立支援事業
働きながら安心して育児や介護ができる地域社会を目指して、仕事と家庭との両立
支援を積極的に行う企業等の取組を広く周知し、ワーク・ライフ・バランス60に配慮し
た社会環境づくりに向けた意識啓発を推進します。
④ 企業内保育の促進
育児中に安心して働ける環境づくりの一環として、企業内保育の積極的な設置を促
します。
(2)今後の検討事業例
① 市内における女性の活躍を発信する制度の創設
産業分野で女性が活躍する上でのモデルを示すとともに、女性が活躍できる街とし
て本市を広く周知するため、その情報発信の機会として、市内産業界で活躍する女性
に対する顕彰等の制度の創設を検討します。
基本施策 4.1.3 人的交流や産業集積を支える都市基盤整備の推進
首都圏南西部の広域交流拠点として、新たな都市の活力と魅力を創出するため、多様
な大学等の集積やインキュベーション拠点の立地、圏央道を利用した道路ネットワーク
など既存の特性を生かしながら、リニア中央新幹線や小田急多摩線の延伸などの更なる
広域交通網の充実を図ることで、インターチェンジ周辺の産業集積や広域的な道路基盤
を生かした物流施設の立地誘導を始め、橋本駅周辺地区や相模原駅周辺地区における産
業交流拠点・中枢業務拠点の形成を進めます。
60
ワーク・ライフ・バランス:生活において、仕事とプライベートの双方とも、無理なく、ある程度充
実して営むことができている状態を意味します。
75
また、これらの取組により雇用を創出するとともに、研究開発や新規事業創出などに
関わる人々や観光・レジャーに訪れる人々などによる交流人口の拡大を進めます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 相模総合補給廠共同使用区域整備事業
相模総合補給廠の共同使用区域におけるスポーツ・レクリエーションゾーンの整備
を行います。
② 相模原インターチェンジ周辺新拠点まちづくり事業(金原・串川地区)<再掲>
③ 当麻地区整備促進事業<再掲>
④ 麻溝台・新磯野地区整備推進事業<再掲>
⑤ 広域的な道路基盤を生かした物流施設の立地誘導
インターチェンジ周辺に輸送・保管・荷さばき・流通加工を総合的かつ効率的に実
施する特定流通業務施設61の立地を誘導します。
⑥ 商業地形成事業の推進<再掲>
⑦ 地区計画等によるまちづくりの推進<再掲>
⑧ 業務系企業誘致制度の創設<再掲>
(2)今後の検討事業例
① 「首都圏南西部における広域交流拠点」の形成
情報・人材・文化の交流の要衝となり、本市及び首都圏南西部全体の持続的な成長
を支える先進的な市街地の形成を図ります。
② 産業用地の創出<再掲>
③ 産業を中心とした新たな都市づくりの拠点の形成<再掲>
④ コンベンション機能の整備・促進<再掲>
⑤ 業務系企業の立地の促進<再掲>
市の魅力及び市内産製品・サービスの魅力を伝える強力な情報発信手段
基本施策 4.1.4 の構築
工業、商業、サービス業を振興・発展させるためには、優れた魅力的な製品やサービ
スを生み出すことと併せて、継続的かつ効果的に情報発信することにより、市内外の多
くの人々に、その魅力を知ってもらい、関心を高めてもらうことが重要になります。
現時点では、本市を代表する名物となるような製品やサービス、象徴するイメージが
形成されていない段階ですが、今後は良好な相模原のイメージ、相模原ブランドの確立
と定着に資するべく、強力かつ効果的な情報発信手段の構築に取り組みます。
61
特定流通業務施設:流通業務施設(トラックターミナル、卸売市場、倉庫又は上屋)であって、高速自動車
国道、鉄道の貨物駅、港湾、漁港、空港その他の物資の流通を結節する機能を有する社会資本等の近傍
に立地し、物資の仕分及び搬送の自動化等荷さばきの合理化を図るための設備、物資の受注及び発注の
円滑化を図るための情報処理システム並びに流通加工の用に供する設備を有するものをいいます。
76
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① シティセールスの推進
良好な住環境や豊かな自然、多様な製造業の集積など、本市の持つ様々な魅力を市
内外に発信します。
② ロボット産業活性化事業(魅力PR事業)<再掲>
③ 商工会議所等関係団体による発信力の強化
本市の魅力を発信するために、商工会議所等の関係団体との連携を強化していきます。
④ 観光情報発信事業
本市の多様な観光情報を臨機に受発信することにより、観光宣伝による知名度アッ
プとともに、来訪者の利便性の向上を図ります。
⑤ さがみはらブランドの確立につながる事業に対する支援<再掲>
(2)今後の検討事業例
① インバウンド事業の推進<再掲>
② ICTを活用した情報ネットワークの構築
市内商業の魅力を一括して発信する情報ネットワークの構築を図ります。
③ ICTを活用した商業環境の整備の促進<再掲>
④ さがみはらブランドの確立と認証等<再掲>
新規事業の発生・成長を促すためのインキュベーション機能の強化、
基本施策 4.1.5 他機能との相乗効果の醸成
国内有数のインキュベーション機能を擁することは本市の強みのひとつであり、当
該機能を運営するSICでは、市内企業はもとより、近隣都市や地方の企業も入居して
おり、先端的な研究や新しい事業の創出への取組が日々なされています。
同社施設が橋本駅近くに立地している利点を踏まえて、広域交流拠点都市推進戦略
に沿ってインキュベーション機能の強化や産業交流施設等他の機能との相乗効果を高
めることにより、新規事業・新規ビジネスの発生・成長を支援します。
また、市内商業の活性化を図るために、商店街の空き店舗等を活用した創業の促進や
SOHO62の育成に向けた取組を産業支援機関と連携しながら進めます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① SIC-1.2.3 賃貸事業
インキュベーションマネージャーによる支援と企業の成長レベル、業種に合わせた
オフィス、ラボ、工場の提供等を行います。
② SIC入居企業支援<再掲>
③ SIC地域企業支援<再掲>
④ チャレンジショップ支援事業<再掲>
⑤ 空き店舗活用事業<再掲>
62
SOHO:Small Office/Home Office を略したもので、企業等から委託された仕事を、情報通信を活用
して自宅や小規模事務所等で個人事業主として請け負う労働形態、またはその事業主を意味します。
77
⑥ SOHO支援事業
SOHO事業者、創業・企業を目指す人や、企業を対象として、スキルアップ研修
会や交流の場の提供など様々な支援を行います。
⑦ 図書館を活用したビジネス支援サービス
起業家の自立や新事業の創出を促し、地域経済の活性化を図るため、図書館機能を
活用したビジネスに関する情報提供や相談対応、データベース化などのビジネス支援
を促進します。
(2)今後の検討事業例
① インキュベーション需要への対応
SICの施設入居率は非常に高い水準で推移していることに加えて、今後、成長産
業の集積により、既存施設にはない機能が必要になる可能性も考慮し、インキュベー
ション機能の量的な充足や質の向上に対応する方策を検討します。
② 他業種や大学等とのマッチング機会の創出<再掲>
78
施策の方向性 4.2 技術継承や生産工程の高度化により、ものづくりの基盤を支え続ける
基本施策 4.2.1 安心してものづくりができる産業用地の保全
準工業地域や工業地域などの用途地域においては、開発の自由度が比較的高いこと
から、工場が移転・閉鎖した跡地に住宅や店舗等を建設することが可能です。住宅等と
工場が混在する状況下では、工場操業時に振動や騒音等を周辺に配慮するなど操業が
しづらい環境となり、工場の移転に繋がることが危惧されます。こうした状況は、市内
のものづくり技術の維持・発展に大きな損失となることから、製造業にかかる企業から
企業への工業用地の継承を促進する等、これまで本市で実施してきた工業用地保全の
取組を着実に推進します。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① 工業用地の保全・活用事業
市内工業集積地(工業専用地域及び特別工業地区を除く)に対する工業系地区計画、
建築協定導入に向けた支援や、工業用地が継続的にものづくりの場として土地利用が
図られるよう工業用地の継承を促進し、良好な操業環境の確保を図ります。
また、住宅等と工場の無秩序な混在による工場の操業環境の悪化を防ぎ、良好な生
産環境と居住環境の調和を図るため、住宅開発者に対して工場集積地における住宅開
発の自粛や工場との緩衝帯の設置等について配慮するよう求めていきます。
基本施策 4.2.2 技術者育成によるものづくり技術の継承・高度化
市内のものづくりの現場においても高齢化が進んでおり、これまでの高度なものづ
くりを担ってきた経験豊富な技術者や職人の引退などに伴って、蓄積されてきた技術・
技能も失われてしまうことが危惧されます。このため、優れた技術・技能の次世代への
継承を支援し、市内工業の技術レベルの低下を防ぎ、更なる技術の高度化の足がかりを
築きます。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① ものづくり人材の確保・育成事業<再掲>
② ものづくり企業見学キャラバン
高校生を募って市内企業の工場見学を行い、ものづくりの現場・経営者に接するこ
とで市内中小企業の魅力等に対する理解を深めるとともに、地元のものづくり人材の
底辺拡大につなげます。
③ 中小企業工業団体活動促進事業
市内中小企業工業団体の育成及び活動の促進を図り、市内工業の振興に寄与するこ
とを目的として、団体が実施するセミナーや研修会等の事業に要する経費の一部を助
成します。
79
基本施策 4.2.3 ロボット技術を活用した生産工程の高度化による競争力の強化
人口減少、特に生産年齢人口の減少は我が国全体に共通する構造的な課題であり、も
のづくり現場においても他の産業と同様に、その働き手が減少していくことは避けら
れない状況です。こうしたなかで、将来の労働力不足を補い生産規模を維持・拡大して
いくため、同時に人件費格差のある新興国との競争を勝ち抜いていく観点から、生産現
場におけるロボットの導入・実装を支援し、ロボット技術を活用した生産工程の高度化
を図ります。
【主な事業】
(1)現在進めている事業例
① ロボット産業活性化事業(ロボット技術高度化事業)<再掲>
② 産業用ロボット導入支援事業<再掲>
80
図表3-4
基本施策と事業例
基本施策
現在進めている事業例
1.1.1 広域交流拠点機能の活用 ・首都圏南西地域連携サポート事業
等による産学官金の連携の推進 ・燃料電池研究会
・ロボット産業活性化事業(ネットワーク形成事業)
・新技術実用化コンソーシアム形成支援事業
1.1.2 高付加価値な製品とその ・新技術実用化コンソーシアム形成支援事業<再掲>
製品を活用した高付加価値サー
ビス等の創出促進
1.1.3 国際交流が促進される環 ・国際化セミナー
境の整備とビジネス機会の拡大 ・海外展開アドバイザー事業
・海外見本市出展助成事業
1.1.4 農商工が一体となった地 ・地域ブランドの創出に対する支援
産地消の促進
・大型店との包括連携協定による地産地消の促進
・農商工連携の促進
・農業の6次産業化の促進
・地場産木材の利活用促進事業
1.1.5 多様な産業との連携によ ・都市型観光の推進
る観光施策の推進
2.1.1 成長産業の集積促進
2.1.2 既存企業の成長産業への
参入促進
2.1.3 海外及び成長市場の獲得
のための販路開拓支援
2.2.1 産学連携等による研究開
発の促進によるものづくり技術
の高度化
2.2.2 情報技術の活用による生
産プロセスの高度化とさがみは
ら発の次世代ものづくりの形の
創出
・企業の立地促進事業
・相模原インターチェンジ周辺新拠点まちづくり事業
(金原・串川地区)
・当麻地区整備促進事業
・麻溝台・新磯野地区整備推進事業
・首都圏南西地域連携サポート事業<再掲>
・新規事業展開・経営革新セミナー
・ロボット産業活性化事業(ロボット技術高度化事業)
・燃料電池研究会<再掲>
・東南アジアにおける市内企業の販路拡大
・国内見本市出展助成事業
・ロボット産業活性化事業(魅力PR事業)
・新技術実用化コンソーシアム形成支援事業<再掲>
・ロボット産業活性化事業(ロボット技術高度化事業)<再掲>
・中小企業研究開発補助金
・産学連携スタート支援助成金制度
・産業用ロボット導入支援事業
2.3.1 市民の生活を守り、健康 ・ロボット産業活性化事業(ロボット技術高度化事業)<再掲>
の維持増進に資する製品を活用
したソリューションの創出
2.3.2 新エネルギー関連製品を ・再生可能エネルギー等導入促進事業(太陽エネルギー)
活用したソリューションの創出 ・再生可能エネルギー等導入促進事業(BDF)
・水素エネルギーの普及促進
・地場産木材の利活用促進事業<再掲>
2.3.3 ものづくりの力による災 ・「さがみロボット産業特区」との連携
害対応能力向上の推進
3.1.1 地域資源と商業・サービ ・宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携した宇宙関連産
ス業の結合・融合による魅力の向 業の成長支援と宇宙の魅力を生かした商業振興
上と新たな魅力の創出
・産学連携によるまちづくりの推進
・歴史や文化、街並み等を生かしたイベントの支援
・ロボット産業活性化事業(魅力PR事業)<再掲>
・さがみはらブランドの確立につながる事業に対する支援
・地域ブランドの創出に対する支援<再掲>
・農商工連携の促進<再掲>
3.1.2 広域交通基盤の強化を機 ・中心市街地の魅力の向上
会とした、業務、商業、サービス ・商業地形成事業の推進
機能の集積促進
・地区計画等によるまちづくりの推進
・業務系企業誘致制度の創設
3.1.3 産業を広くサポートする ・業務系企業誘致制度の創設<再掲>
事業所向けサービス業の創出
・SIC入居企業支援
・SIC地域企業支援
・創業・開業支援
3.1.4 既存商業機能のリノベー ・空き店舗活用事業
ションによる街のにぎわいの創 ・チャレンジショップ支援事業
出
3.1.5 街の中核と周辺のネット ・大型店と商店街の連携への支援
ワーク形成による、街の厚みの創 ・中心市街地の魅力の向上<再掲>
出
・業務系企業誘致制度の創設<再掲>
・商業地形成事業の推進<再掲>
・地区計画等によるまちづくりの推進<再掲>
81
今後の検討事業例
・コンベンション機能の整備・促進
・MICEの誘致
・他業種や大学等とのマッチング機会の創出
・グリーン・ツーリズムの促進
・産業観光の推進
・観光を生かした産業創出拠点の整備促進
・産業用地の創出
・産業を中心とした新たな都市づくりの拠点の形成
・リニアを生かした経済・産業振興
・集客の核となる個店の育成
・インバウンド事業の推進
・ニューツーリズムの発掘・開発
・MICEの誘致<再掲>
・さがみはらブランドの確立と認証等
・業務系企業の立地の促進
・コンベンション機能の整備・促進<再掲>
・MICEの誘致<再掲>
・業務系企業の立地の促進<再掲>
・コンベンション機能の整備・促進<再掲>
・他業種や大学等とのマッチング機会の創出<再掲>
・まちづくりの新たな担い手の活用
・学生・生徒向け起業体験事業の実施
・集客の核となる個店の育成<再掲>
・集客の核となる個店の育成<再掲>
・業務系企業の立地の促進<再掲>
・エリアマネジメントの支援
基本施策
現在進めている事業例
3.2.1 地域の暮らしやにぎわい ・商店街振興支援事業
を支える商店街の振興
・中心市街地の魅力の向上<再掲>
・空き店舗活用事業<再掲>
・チャレンジショップ支援事業<再掲>
・後継者人材の育成支援
3.2.2 高齢化社会の進行に伴う ・公共交通等の利用が不便な高齢者等に対する移動手段策
買い物弱者対策の推進
の推進
3.2.3 高齢化等により生じる地 ・創業・開業支援<再掲>
域課題を解決するコミュニティ ・コミュニティビジネスの促進
ビジネスの創出支援
3.2.4 外商やEコマースを活用 ・商店街振興支援事業<再掲>
した新たな商業ビジネスモデル
の促進
4.1.1 産業人材の確保、育成、定 ・ものづくり人材の確保・育成事業
着の支援
・無料職業紹介事業
・若年無業者・フリーター就労支援事業
・観光人材育成事業
・後継者人材の育成支援<再掲>
4.1.2 多様な働き方による女性 ・女性の新たな商業の担い手の育成支援
の活躍推進
・創業・開業支援<再掲>
・仕事と家庭両立支援事業
・企業内保育の促進
4.1.3 人的交流や産業集積を支 ・相模総合補給廠共同使用区域整備事業
える都市基盤整備の推進
・相模原インターチェンジ周辺新拠点まちづくり事業
(金原・串川地区)<再掲>
・当麻地区整備促進事業<再掲>
・麻溝台・新磯野地区整備推進事業<再掲>
・広域的な道路基盤を生かした物流施設の立地誘導
・商業地形成事業の推進<再掲>
・地区計画等によるまちづくりの推進<再掲>
・業務系企業誘致制度の創設<再掲>
4.1.4 市 の 魅 力 及 び 市 内 産 製 ・シティセールスの推進
品・サービスの魅力を伝える強力 ・ロボット産業活性化事業(魅力PR事業)<再掲>
な情報発信手段の構築
・商工会議所等関係団体による発信力の強化
・観光情報発信事業
・さがみはらブランドの確立につながる事業に対する支援
<再掲>
4.1.5 新規事業の発生・成長を ・SIC-1.2.3 賃貸事業<再掲>
促すためのインキュベーション ・SIC入居企業支援<再掲>
機能の強化、他機能との相乗効果 ・SIC地域企業支援<再掲>
の醸成
・チャレンジショップ支援事業<再掲>
・空き店舗活用事業<再掲>
・SOHO支援事業
・図書館を活用したビジネス支援サービス
4.2.1 安心してものづくりがで ・工業用地の保全・活用事業
きる産業用地の保全
4.2.2 技術者育成によるものづ ・ものづくり人材の確保・育成事業<再掲>
くり技術の継承・高度化
・ものづくり企業見学キャラバン
・中小企業工業団体活動促進事業
4.2.3 ロボット技術を活用した ・ロボット産業活性化事業(ロボット技術高度化事業)<再掲>
生産工程の高度化による競争力 ・産業用ロボット導入支援事業<再掲>
の強化
82
今後の検討事業例
・商店街再生に向けた取組の支援
・ICTを活用した商業環境の整備の促進
・個店を対象としたICT活用の支援
・学生・生徒向け起業体験事業の実施<再掲>
・商店街・民間事業者による買い物支援の促進
・高齢者等へのボランティアや企業等を活用した買い
物支援の検討
・多様な事業主体による様々な高齢者向けサービス
の提供の促進
・地域の団体間の情報共有の促進
・高齢者が自ら担い手となるビジネス機会の創出
・他業種や大学等とのマッチング機会の創出<再掲>
・ICTを活用した商業環境の整備の促進<再掲>
・個店を対象としたICT活用の支援<再掲>
・まちづくりコーディネーターの育成
・産学によるインターンシップの推進
・早期起業家教育事業の推進
・市内における女性の活躍を発信する制度の創設
・「首都圏南西部における広域交流拠点」の形成
・産業用地の創出<再掲>
・産業を中心とした新たな都市づくりの拠点の形成
<再掲>
・コンベンション機能の整備・促進<再掲>
・業務系企業の立地の促進<再掲>
・インバウンド事業の推進<再掲>
・ICTを活用した情報ネットワークの構築
・ICTを活用した商業環境の整備の促進<再掲>
・さがみはらブランドの確立と認証等<再掲>
・インキュベーション需要への対応
・他業種や大学等とのマッチング機会の創出<再掲>
図表3-5
産業集積を支える都市基盤整備イメージ図
83
6
重点プロジェクト
本ビジョンでは、本市が目指す産業像の実現化に向けて4つの戦略を掲げ、それに基
づく方向性(行動指針)
、基本施策、実施事業の体系により進めることとしています。
本ビジョンの実効性を高めるためには、今後の検討事業を含め、すべての事業に着実
に取り組むことが必要となりますが、特に、将来に向けて重点的に実施すべき取組を抽
出し、それらの取組を効果的に進めることが重要となります。
本市では、本ビジョンの計画期間中に人口が減少に転じ、また、高齢化も急速に進む
ことが見込まれており、差し迫るそうした社会の変化に対して、産業政策においてもい
かに対応するかが喫緊の課題となっています。
また、グローバル化の進展に伴い国内外の競争が激化する中で、本市が将来にわたり
持続的に発展するためには、市内企業等の競争力の維持・向上を図ることが必要不可欠
です。
ここでは、こうした本市が喫緊に対応すべき 2 つの課題に着目して重点的に実施すべ
き取組を抽出し、次の 7 つを重点プロジェクトとして位置づけました。
重点プロジェクトⅠ ひとづくり・まちの新たな魅力づくりによる商業振興
重点プロジェクトⅡ ロボット技術を活用した生産・サービス・ライフスタイルの革新
重点プロジェクトⅢ 産学連携等による新産業の創出と中小企業の育成・支援
重点プロジェクトⅣ 戦略的な企業誘致の推進
重点プロジェクトⅤ 多様な地域資源を活用した経済の活性化
重点プロジェクトⅥ 交流人口の拡大に向けたグローバルなまちづくりの推進
重点プロジェクトⅦ 世界に向けた販路開拓支援
なお、各重点プロジェクトの取組内容については、4つの戦略から横断的に抽出し、
関連性が高く相乗効果が見込まれるものを組み合わせた施策パッケージとして整理して
います。
84
図表3-6
施策体系と重点プロジェクト
重点プロジェクト
基本施策
3.1.4 既存商業機能のリノベーションによる街のにぎわいの
創出
3.2.1 地域の暮らしやにぎわいを支える商店街の振興
3.2.2 高齢化社会の進行に伴う買い物弱者対策の推進
3.2.3 高齢化等により生じる地域課題を解決するコミュニティ
ビジネスの創出支援
(1)ロボット産業の活性化
1.1.1 広域交流拠点機能の活用等による産学官金の連携の推進
2.1.2 既存企業の成長産業への参入促進
Ⅱ
ロボット技術を活
2.1.3 海外及び成長市場の獲得のための販路開拓支援
用した生産・サービ (2)産業用ロボットの導入支援
2.2.2 情報技術の活用による生産プロセスの高度化と
ス・ライフスタイル
さがみはら発の次世代ものづくりの形の創出
の革新
4.2.3 ロボット技術を活用した生産工程の高度化による競争力
の強化
(1)中小企業の研究開発支援
1.1.1 広域交流拠点機能の活用等による産学官金の連携の推進
(2)共同研究体制による新技術実用化 2.2.1 産学連携等による研究開発の促進によるものづくり技術
Ⅲ
支援
の高度化
産学連携等による
(3)広域連携と女性の活躍による
新産業の創出と中
4.1.2 多様な働き方による女性の活躍推進
新事業の創出
小企業の育成・支援
(4)ものづくり企業へのワンストップ 4.1.5 新規事業の発生・成長を促すためのインキュベーション
支援体制の構築
機能の強化、他機能との相乗効果の醸成
(1)企業立地の促進
2.1.1 成長産業の集積促進
Ⅳ
(2)工業用地の保全・活用
4.2.1 安心してものづくりができる産業用地の保全
戦略的な企業誘致
(3)産業を中心とする新たな都市
の推進
2.1.1 成長産業の集積促進
づくりの拠点の形成
(1)宇宙航空研究開発機構と連携した
宇宙関連産業の成長支援と宇宙の
魅力を生かした商業振興
(2)歴史や文化、街並みを生かした 3.1.1 地域資源と商業・サービス業の結合・融合による魅力の
Ⅴ
イベントの支援
向上と新たな魅力の創出
多様な地域資源を
(3)さがみはらブランドの確立に
活用した経済の活
つながる事業に対する支援
性化
(4)インバウンド事業の推進
(5)都市型観光の推進
1.1.5 多様な産業との連携による観光施策の推進
(6)産業観光の推進
(7)農商工連携の促進
1.1.4 農商工が一体となった地産地消の促進
(1)業務系企業の誘致推進
3.1.2 広域交通基盤の強化を機会とした、業務、商業、サービス
機能の集積促進
(2)中心市街地の魅力向上
3.1.1 地域資源と商業・サービス業の結合・融合による魅力の
Ⅵ
向上と新たな魅力の創出
交流人口の拡大に
(3)商業地の形成
3.1.2 広域交通基盤の強化を機会とした、業務、商業、サービス
向けたグローバル
機能の集積促進
なまちづくりの推
(4)コンベンション機能の整備・促進 1.1.3 国際交流が促進される環境の整備とビジネス機会の拡大
進
(5)宇宙航空研究開発機構と連携した
3.1.1 地域資源と商業・サービス業の結合・融合による魅力の
宇宙関連産業の成長支援と宇宙の
向上と新たな魅力の創出
魅力を生かした商業振興<再掲>
(1)海外成長市場の獲得支援
1.1.3 国際交流が促進される環境の整備とビジネス機会の拡大
(2)販路開拓支援
2.1.3 海外及び成長市場の獲得のための販路開拓支援
Ⅶ
世界に向けた販路 (3)MICEの誘致
1.1.3 国際交流が促進される環境の整備とビジネス機会の拡大
開拓支援
(4)さがみはらブランドの確立につな 3.1.1 地域資源と商業・サービス業の結合・融合による魅力の
がる事業に対する支援<再掲>
向上と新たな魅力の創出
(1)ひとづくりイノベーション・
まちリノベーションによる
Ⅰ
ひとづくり・まちの 商店街の再生
新たな魅力づくり (2)買い物弱者対策の推進
による商業振興
85
【重点プロジェクトⅠ】
ひとづくり・まちの新たな魅力づくりによる商業振興
にぎわいのある商店街には、人が集まることによって、そこにある店舗の収益機会が
向上して活気が生まれるとともに、新規出店が進んで多様性が加わり、そのことで更に
魅力が向上するという好循環が形成されます。
一方、こうした新陳代謝がうまくいかずに商店街が衰退することは、身近な場所で買
い物ができる環境が失われるとともに、地域コミュニティの担い手としての機能の低下
をもたらし、今後、高齢化の進行と合わせて、買い物弱者の増加に結び付くなど、市民
生活に多大な影響を与えます。
こうしたことから、市内外の人が居たい・来たいと思うまちを形成するために、空き
店舗のリノベーションの促進などにより、起業意欲を持つ若年者や女性の能力を活用し
て商店街の再生に取り組むとともに、まちづくりの様々な担い手の連携体制を強化する
ことでまちの新たな魅力を創出します。
また、買い物弱者問題等、社会の変化によって生じる課題を解決する新たな担い手や
ビジネスの創出を促進します。
(1)ひとづくりイノベーション・まちリノベーションによる商店街の再生
若手経営者や商店後継者、女性起業家等の様々なまちづくりの担い手を育成するとと
もに、商店街エリアでの起業を支援します。
また、新たなまちづくりの担い手として、学識経験者や建築家、NPO 等を巻き込み、
不動産オーナー等と連携し、商店街の空き店舗をシェアショップやスモールオフィスに
リノベーションして、起業家や事業者などの入居を促進します。
さらに、大学と連携して学生が起業体験できる場を創出し、学生を地域に呼び込むな
ど、商店街再生に向けた様々な仕組みづくりを進めていきます。
(2)買い物弱者対策の推進
高齢化の進行により運転免許の返上者や歩行困難者が増加すると、買い物弱者も増加
することが懸念されます。このような課題の解決に当たっては、様々な手段による対策
が必要になるとともに、民間と行政が協働して取り組む必要性が今後ますます高まるも
のと見られます。また、民間にとってはコミュニティビジネスの起業機会の増加が見込
まれます。
こうしたことから、買い物に対し不便を強いられている高齢者のニーズを把握し、販
売事業者のニーズと結びつけるとともに、身近な買い物の場である商店街の売上向上に
向けた取組への支援、ボランティアや地域のコミュニティ、流通事業者、交通事業者等
と連携して、家事援助などの在宅福祉サービス、コミュニティバスや乗合タクシーの運
行による交通対策等、多方面からの買い物弱者対策を促進し、将来にわたって地域住民
が安心して買い物ができる環境を維持するための施策を講じます。
さらに、買い物弱者問題等の地域課題の解決に貢献可能な多様な事業主体を掘り起こ
し、新たなコミュニティビジネスの創出を支援します。
86
【重点プロジェクトⅡ】
ロボット技術を活用した生産・サービス・ライフスタイルの革新
ロボット分野に関連する技術は、ものづくりにとどまらず、サービスの提供や人々の
ライフスタイルに至るまで、広範囲に恩恵を与える可能性を持っています。また、ロボ
ットの普及や社会実装に当たっては、様々な産業の担い手が連携する必要があることか
ら、異業種の交流・連携の創出が期待されます。
こうしたロボット技術の優位性を捉え、人口減少社会における労働力不足や技術者の
高齢化に対応し、生産プロセスの高度化による生産性の向上や安定した品質を確保する
ため、市内企業への産業用ロボットの導入に向けて積極的に取り組んでいきます。
また、今後需要の増加が見込まれる医療や介護、福祉分野への生活支援ロボットの普
及を目指し、大学や研究機関と企業によるロボット技術の共同研究に対する支援など、
高度な技術を持つ企業が集積する本市工業の特性を生かしたものづくり基盤を構築する
ことで、地域経済の発展につなげていきます。
(1)ロボット産業の活性化
成長分野であるロボット産業を振興していくため、
「さがみはらロボットビジネス協議
会」などにより、市内企業がもつ産業用ロボットや生活支援ロボットに関する技術を積
極的にPRするとともに、見本市への出展や、企業と大学・研究機関との共同研究体制
(コンソーシアム)によるロボット技術の高度化に向けた研究開発など、幅広い施策を
実施します。
また、生活支援ロボットの普及にあたっては、県の「さがみロボット産業特区」と連
携した取組を進めます。
(2)産業用ロボットの導入支援
産業用ロボットの市内企業、特に中小企業への積極的な導入により、生産プロセスの
高度化を実現し、労働力不足や技術者の高齢化、人件費格差のある新興国といった海外
との競争などの課題に対応できる強固なものづくりの基盤を構築していきます。
また、産業用ロボットの実証・体験などロボット導入効果の見える化を図るとともに、
ロボット技術者やシステムインテグレーターの育成の場である「ロボット導入支援セン
ター」については、更なる機能の拡充を図り、日本をリードする産業用ロボットの研究
開発やビジネス交流の拠点となる施設を目指して、施設規模や機能配置、適地等につい
て検討を進めます。
<PR 冊子>
<ロボットビジネス研究会開催の模様>
87
【重点プロジェクトⅢ】
産学連携等による新産業の創出と中小企業の育成・支援
将来にわたり、本市が持続的に発展し、高度な技術を持つ企業の集積を図るためには、
地域の枠を超えた広域的な連携により、本市のものづくりを支える中小企業の研究開発
支援体制を更に強化していく必要があります。
中小企業が取り組む研究開発ニーズに合わせた支援施策のほか、国内外展示会出展、
マーケティングといった販路開拓を含めた支援施策の充実を図ることで、研究開発に意
欲的に取り組む中小企業を支援します。
また、中小企業の課題やニーズを大学や研究機関、金融機関と共有し、産学官金の連携
を更に強化することで、市内中小企業が研究開発に取り組みやすい環境を整備します。
さらに、国等の研究開発補助金の獲得を目指す中小企業に対しては、産業支援機関と
連携した情報提供やアドバイス体制の強化に取り組みます。
(1)中小企業の研究開発支援
中小企業の新製品・新技術等に関する研究開発を更に推進するため、企業単体のほか、
優れた技術シーズや知見を有する大学との産学連携などによる研究開発に意欲的な中小
企業を支援することで、技術力の向上を図るとともに、イノベーションの創出を目指し
ます。
(2)共同研究体制(コンソーシアム)による新技術実用化支援
新製品・新技術を持続的に生み出していくためには、中小企業と優れた技術シーズや
知見を有する大学・研究機関が持つ、それぞれの技術等を組み合わせた強固な産学共同
研究体制(コンソーシアム)による取組が必要です。こうした、さまざまな体制による
新技術の実用化に向けた取組を支援していきます。
(3)広域連携と女性の活躍による新事業の創出
相模原市、町田市をはじめとする首都圏南西地域における企業、大学・研究機関、金
融機関及び支援機関が交流する南西フォーラム(首都圏南西地域産業活性化フォーラム)
など、新事業の創出を目指します。
また、女性による創業や女性の視点を生かした新たな付加価値を持つ製品・サービス
の開発など、女性による新事業の創出を支援します。
このように、さまざまなプレーヤーによる新事業創出の取組や連携を生み出す活動を
積極的に支援することで、地域産業の活性化を図ります。
(4)ものづくり企業へのワンストップ支援体制の構築
ものづくり中小企業に対する支援内容は、研究開発や販路開拓、人材育成から制度融
資など多岐にわたるとともに、国等の研究開発補助金の申請支援などにおいては、専門
的な知識・ノウハウが必要とされています。
こうした企業のさまざまな課題や専門性に的確に対応するため、産業支援機関にもの
づくり専門のアドバイザーを配置し、ものづくり企業への総合的な支援体制の更なる強
化に取り組みます。
88
【重点プロジェクトⅣ】
戦略的な企業誘致の推進
成長産業を中心とした企業の集積を促進することは、これまで以上に相互に関連性が
深い企業間の効率的な分業や情報収集を可能とし、技術力向上、生産性向上等のイノベ
ーションを促す効果をもたらします。
本市では、基幹産業である製造業を中心とした産業集積基盤の更なる強化を図るとと
もに、情報通信業などによる連携・交流の基盤を形成し、雇用の確保・拡大や経済波及
効果による持続可能な都市経営を実現するため、戦略的な企業誘致を進めていきます。
(1)企業立地の促進
これからの本市の経済を牽引するリーディング産業に係る企業、異業種間の連携・交
流に重要な役割を果たす情報通信業等を中心とした市外からの企業誘致を積極的に展開
していきます。また、市内企業ついても引き続き研究開発やものづくり人材の育成等の
支援と共に市内の再投資を積極的に展開していきます。
このためにも、市内企業のリニューアルや新規投資等の工場立地の動向を的確に把握
しながら、事業所内における低未利用地等を新たな工業用地としての活用に繋げるなど
有効な土地利用を図り、圏央道インターチェンジ周辺の当麻地区や麻溝台・新磯野地区
などの新たな都市づくりの拠点や金原・串川地区における産業創出の拠点の形成により
新たに生まれる工業用地を生かした効率的な土地利用を図ります。
<立地した研究所>
(2)工業用地の保全・活用
市内工業集積地(工業専用地域及び特別工業地区を除く)に対する工業系地区計画、
建築協定導入に向けた支援やインフラの整った既存工業用地が安心してものづくりがで
きる場として継続的に土地利用が図られるよう市内企業の動向把握に努めながら、企業
から企業への工業用地の継承を促進し、良好な操業環境の確保を図ります。
(3)産業を中心とする新たな都市づくりの拠点の形成
活力ある地域経済を創出して地域の雇用の拡大・促進を図るとともに、既存の緑地な
どの周辺環境との調和に配慮するなど環境と共生する都市づくりを進めます。当麻地区
や麻溝台・新磯野地区においては、立地特性を生かした、産業を中心とした環境と共生
する新たな都市づくりを進める拠点として市街地整備を進めます。
金原・串川地区においては、生産環境の維持・保全を図るとともに、産業などを中心
とした職住近接型の土地利用に向けた取組を進めます。
89
【重点プロジェクトⅤ】
多様な地域資源を活用した経済の活性化
本市は、旧津久井4町との合併により、まち・自然・文化等多彩な地域資源を有する
都市となりました。また、リニア中央新幹線の神奈川県駅設置や小田急多摩線延伸など
広域交流拠点としてのポテンシャルを飛躍的に高める大規模なプロジェクトが進行して
います。
これらの地域資源やポテンシャルを活用して、新たな魅力を創出するとともに、さが
みはらブランドを確立し、効果的に発信することで、国内外からのビジネスや観光の誘
客に繋げ、にぎわいのあるまちづくりや地域経済の活性化を図ります。
(1)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携した宇宙関連産業の成長支援と宇宙の
魅力を生かした商業振興
宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携によるセミナーや共同研究等を更に充実
させ、市内企業の宇宙関連産業への進出を促すことにより、リーディング産業に位置づ
けている宇宙関連産業の市内における成長支援と集積促進を図ります。
また、JAXAとの連携による宇宙をテーマにしたイベント等の支援を通じて、商業・
サービス業のより一層の魅力向上を図ります。
(2)歴史や文化、街並みを生かしたイベントの支援
本市の歴史・文化、街並みを生かした地域活性化イベントの支援を行い、街のにぎわ
いづくりを図ります。
(3)さがみはらブランドの確立につながる事業に対する支援
さがみはらブランドの確立につながる地域の魅力的な製品・サービス等の情報を市内
外に発信して、対外的に本市の魅力をPRする取組を支援します。
(4)インバウンド事業の推進
情報媒体の多言語化や、新たな海外向け情報発信ルートの開拓を図ることにより、本
市の産業や観光等の魅力を発信し、外国人の来訪を促進します。
(5)都市型観光の推進
都市のにぎわいを生かした交流を生み出す仕組みや花とみどりがある居心地の良い空
間の創出を通じて、駅前や商業地のにぎわいのある地域づくりを推進します。
(6)産業観光の推進
観光資源として活用でき、見学や体験学習も行える産業の施設や設備、技術、製品等
の発掘及び企業への啓発を図ります。
(7)農商工連携の促進
商工業者の農畜産物に対するニーズを把握し、農業者とのマッチングの場を提供する
ことや商品開発や販路開拓につながる取組を促進します。
90
【重点プロジェクトⅥ】
交流人口の拡大に向けたグローバルなまちづくりの推進
リニア中央新幹線の駅設置や相模総合補給廠の一部返還などの機会を捉え、新たな開
発用地が供給される広域交流拠点等において業務機能の集積を図ります。また、飲食・
サービスを含めた商業機能を充実させるとともに、業務、文化、交流等の複合的な都市
機能を備えたまちづくりを進めることで、市内の購買機会や購買頻度を増やす等、地域
経済の活発化を図ります。
<リニア線>
<さがみ縦貫道路>
(1)業務系企業の誘致推進
本市の課題である通勤・通学による昼間人口の市外流出の原因として、オフィスの集
積が低い傾向等が挙げられます。こうした課題に対応するため、職住近接の促進、雇用
の増加を図り、昼間人口の増加による街のにぎわいを創出し、中心市街地に業務(オフ
ィス)系企業の誘致を推進します。
(2)中心市街地の魅力向上
中心市街地のにぎわいづくりを促進するため、商店街が実施する地域活性化事業や地
域資源等を活用した魅力アップ事業、商店街が地域の一員として実施する地域課題を解
決するための取組を支援します。
また、大型店と商店街の連携の体制づくりを促し、来訪した人々に地域内を滞留・回
遊してもらえるような中心市街地の魅力向上を図ります。
(3)商業地の形成
飲食・サービスを含めた商業機能を充実させるとともに、業務、文化、交流等の都市
機能を複合的に備えた商業地の形成を図ります。
(4)コンベンション機能の整備・促進
ビジネス機会の創出や文化・教育機能の向上、来街者の増加を図るために、リニア中
央新幹線の開通等の本市の立地ポテンシャルを生かしたコンベンション機能の整備・促
進を進めます。
(5)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携した宇宙関連産業の成長支援と宇宙の
魅力を生かした商業振興<再掲>
宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携によるセミナーや共同研究等を更に充実
させ、市内企業の宇宙関連産業への進出を促すことにより、リーディング産業に位置づ
けている宇宙関連産業の市内における成長支援と集積促進を図ります。
また、JAXAとの連携による宇宙をテーマにしたイベント等の支援を通じて、商業・
サービス業のより一層の魅力向上を図ります。
91
【重点プロジェクトⅦ】
世界に向けた販路開拓支援
国内の製造業を取り巻く環境は、国内市場の縮小やものづくりのグローバル化により
競争が激化しています。中小企業においても、これまでのように既存の取引先からの発
注により製品を生産する下請け体質ではなく、自社の製品・技術を生かして、成長市場
への参入に向けた積極的な営業活動が重要になっています。
今後、成長を続ける海外市場を獲得するにあたり、経営資源が限られている中小企業
単独では困難な場合が多いことから、産業支援機関や既に海外へ進出している企業など
と連携しながら、効率的な販路開拓に取り組んでいきます。
また、MICEの誘致等を通じて、国内外から人を呼び込むことにより、市内事業者
にとっての販路開拓の機会としてビジネスチャンスにつなげていくとともに、来訪者に
対して本市の魅力を発信します。
(1)海外成長市場の獲得支援
先進国や今後の成長が期待される新興国など海外での展示会への出展費用助成や相模
原ブースの共同出展により、市内中小企業の世界に向けた市場獲得への取組を支援して
いきます。
(2)販路開拓支援
国内で開催される工作機械等の専門分野の展示会へ相模原ブースを共同出展するとと
もに、参加企業の出展に関する支援を行うことで、市内中小企業の販路拡大を支援して
いきます。
(3)MICEの誘致
新たなビジネスやイノベーションの契機となるとともに、地域経済への波及効果が期
待できる国際会議や大規模な展示会・イベント等のMICE誘致を促進するとともに、
大都市圏で開催されるMICE等への参加者をターゲットとしたアフターコンベンショ
ンの取組を支援します。
(4)さがみはらブランドの確立につながる事業に対する支援<再掲>
さがみはらブランドの確立につながる地域の魅力的な製品・サービス等の情報を市内
外に発信して、対外的に本市の魅力をPRする取組を支援します。
92
7
ビジョンの推進体制
7.1 (仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の推進体制
本ビジョンの推進にあたっては、行政のみならず、すべての産業関係者が、それぞれ
の役割を発揮しつつ連携することが不可欠です。新・相模原市総合計画における施策を
推進するための基本的な方針に沿って、国、県や産業支援機関、民間事業者、金融機関、
大学など市内産業に関わる様々な主体との現行の連携体制を活用しつつ、適宜新たな連
携をとりながら、事業推進の体制づくりを進めるものとします。
現行の主な連携体制には次のようなものがあります。
(1)さがみはらロボットビジネス協議会
本市では、中小企業のロボット技術の高度化や導入促進、また新規事業化など、ロボ
ットをテーマとしたビジネスの推進を多面的に支援するために中小企業、大学等研究機
関、金融機関、行政や支援機関で構成する「さがみはらロボットビジネス協議会」を設
立し、これをロボットビジネス推進のための地域のプラットフォームとして、これから
の成長分野であるロボット産業の振興や中小企業のビジネス支援に取り組んでいます。
(2)相模原市企業立地等審査会
本市では、市内産業の将来にわたる持続的な発展やより強固な産業集積基盤の形成を
めざし、
「産業集積促進条例」を制定し、企業立地等の促進、市民の雇用機会の創出及び
拡大を図るための様々な奨励措置を設けています。
93
また、工業用地の保全活用を図るため、工業用地の継承や工業系の地区計画の導入に
対しても奨励金を交付するなど全国に先駆けた取組も行っています。
相模原市企業立地等審査会は、学識経験者、相模原商工会議所、税理士、社会保険労
務士、中小企業診断士、公募委員等で構成され、企業の立地等に係る事業計画の認定に
関する事項について、調査審議し、その結果を答申しています。
(3)首都圏南西地域産業活性化フォーラム(南西フォーラム)
地域における企業・大学・支援機関・行政機関などが一堂に集い、新技術・新製品開
発や新分野への進出などにつながる、新たな連携を生み出すための交流の場として開催
しています。独自のネットワークを築き、新たなビジネスパートナーや様々なビジネス
チャンスの獲得をサポートしています。
(4)大学等との地域産業活性化に関する協定
本市では、地域企業と大学等との連携を促進することを目的として、地域産業活性化
に関する協定を締結しています。
本市が企業側の窓口となって、相模原商工会議所、株式会社さがみはら産業創造セン
ター(SIC)、公益財団法人相模原市産業振興財団等とも協力しながら、地域企業と大
学等との連携を進めています。
7.2
PDCAサイクルの考え方を活用したビジョンの推進
本ビジョンの推進に当たっては、本市産業政策の方向性に基づき着実に事業を実施し
ていくとともに(Plan, Do)、各事業の進捗・達成状況や成果を定期的に管理し(Check)、
本市と連携する関係者と密に情報共有を図りながら、ビジョン推進における課題の発見
と解消(Action)を継続的に行っていく、
「PDCAサイクル」の考え方を活用していき
ます。
本ビジョンに基づき実施される各事業については、新・相模原市総合計画の進行管理
と併せ、「PDCAサイクル」の考え方に基づき推進していきます。
PLAN
(計画)
ACTION
DO
(改善)
(実行)
CHECK
(評価)
94
7.3 (仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の見直し
PDCAサイクルの実践により、事業の実施方法等の見直しを随時行いますが、本市
を取り巻く環境の変化等により、事業の必要性やその内容などの大幅な見直しが必要と
なることも想定されます。
そのため、中間年次(5年目)に本ビジョンを総点検し、見直しを行うものとします。
95
Ⅳ 参考資料
1
ビジョンの策定体制
本ビジョンの策定にあたっては、本市産業の現状把握・分析等の調査結果や庁内の意見調
整等に基づく原案をもとに、有識者 10 名で構成する策定委員会、策定委員会の作業部会で
ある工業部会や商業部会において、市長の諮問に応じた調査審議が行われました。約1年間
の調査審議の後に、答申を受け、庁内調整、パブリックコメント等を経てビジョンとして取
りまとめたものです。
【策定体制】
策定委員会【委員 10 名】
ビジョン策定について市長の諮問に応じて調査審議し、その結果を答申
作業部会
工業部会
商業部会
相模原市
策定委員会の下部組織として、具体的に調査・検討
【策定委員会委員名簿】
学識経験者
産業支援機関推薦
◎飯島 泰裕
青山学院大学社会情報学部 教授
○佐藤 知正
東京大学 名誉教授
杉岡 芳樹
相模原商工会議所 会頭
奈良
津久井商工会商業部会長
哲弥
上野 賢美
(株)共立 代表取締役
若生 ひとみ
ルビーデザイン 代表
市商店連合会推薦
浦上
裕史
(一社)相模原市商店連合会代表理事
金融機関
渡邉
博樹
(株)日本政策金融公庫厚木支店長
上山
雅子
公募委員
㝡住
悦子
公募委員
市民公募
※◎は委員長、○は副委員長。委員長は商業部会長、副委員長は工業部会長を兼任。
96
【工業部会委員名簿】
◎佐藤
知正
東京大学
杉本
祥一
株式会社ハイスポット
小林
昌純
株式会社コバヤシ精密工業
代表取締役
渡邊
将文
株式会社MEMOテクノス
代表取締役
産業支援機関
名誉教授
代表取締役
相模原商工会議所
公益財団法人
相模原市産業振興財団
株式会社さがみはら産業創造センター
相模原市
雇用政策課
農政課
津久井地域経済課
環境政策課
都市計画課
リニア駅周辺まちづくり課
相模原駅周辺まちづくり課
都市整備課
麻溝台・新磯野地区整備事務所
当麻地区拠点整備事務所
◎は部会長
【商業部会委員名簿】
◎飯島
泰裕
青山学院大学社会情報学部
教授
岡本 青子(平成 26 年度)
伊勢丹相模原店 売出計画マネージャー
仁田 正俊(平成 27 年度)
伊勢丹相模原店 営業計画マネージャー
浦上
(一社)相模原市商店連合会代表理事
裕史
萩生田
渡邉
康治
博樹
(株)つるや呉服店
(株)日本政策金融公庫厚木支店
産業支援機関
相模原商工会議所
相模原市
シティセールス・親善交流課
さがみはら都市みらい研究所
雇用政策課
農政課
都市計画課
リニア駅周辺まちづくり課
相模原駅周辺まちづくり課
都市整備課
◎は部会長
97
支店長
2
委員会等開催経過
開催年
2014 年
開催月日
開催会合名
9月11 日 第1回策定委員会
11 月 4日 第1回工業部会
11 月 20 日 第1回商業部会
12 月 2日 第2回工業部会
12 月 18 日 第2回策定委員会
2015 年
1月16 日 第2回商業部会
1月22 日 第3回工業部会
1月28 日 第3回商業部会
主要議題
・相模原市産業の現状と課題
・アンケート・ヒアリング調査の実施方針
・相模原市工業の現状と課題
・産業支援施策の実施状況
・相模原市商業・サービス業の現状と課題
・アンケート・ヒアリング調査 中間結果
・アンケート・ヒアリング調査結果
・相模原市工業の現状と課題(追加)
・目指す産業像、産業振興の方向性(工業)
・相模原市産業の現状と課題(追加)
・アンケート・ヒアリング調査結果
・目指す産業像、相模原市産業振興の方向性、基本的考え方
・相模原市商業・サービス業の現状と課題(追加)
・アンケート・ヒアリング調査結果
・目指す産業像、産業振興の方向性、基本的考え方
(商業・サービス業)
・目指す産業像
・産業振興ビジョンの体系
・産業振興の方向性、基本的考え方(工業)
・目指す産業像
・産業振興ビジョンの体系
・産業振興の方向性、基本的考え方(商業・サービス業)
2月10 日 第3回策定委員会
・
(仮称)新・産業振興ビジョン検討 中間案とりまとめ
5月28 日 第4回工業・商業部会
・
(仮称)新・産業振興ビジョン検討報告書(案)
6月18 日 第4回策定委員会
・
(仮称)新・産業振興ビジョン検討報告書(案)
7月 30 日 第5回工業・商業部会
8月 20 日 第5回策定委員会
・
(仮称)新・産業振興ビジョン検討報告書(案)
・
(仮称)新・産業振興ビジョン検討報告書概要版(案)
・(仮称)新・産業振興ビジョン検討報告書(案)
・(仮称)新・産業振興ビジョン検討報告書概要版(案)
・ビジョン名称
98
3
市内外の事業者、団体への調査結果
3.1
アンケート調査の概要
(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の策定に当たり、市内外の事業者等を対象に、
市内経済・産業の現状や課題、各主体による本市の事業環境やポテンシャルに対する評価、
本市に対する施策ニーズ等について把握するために、アンケート調査を実施しました。アン
ケートの送付数及び回収状況は次のとおりです。
図表1 アンケート調査の概要
市内事業者向けアンケート
市外事業者向けアンケート
送付枚数
宛先不明枚数
調査母数
回収数
回収率
3.2
2,300 通
56 通
2,244 通
588 通
25.6%
700 通
0通
700 通
38 通
5.4%
アンケート調査結果
(1)設備投資場所の選定理由
過去5年間に設備投資を行った事業者は、市内、市外事業者ともに6割以上に達していま
す。設備投資を行った場所として、市内事業者は6割以上が「相模原市内」、市外事業所は
「本市以外の神奈川県内」「東京、神奈川以外の関東地方」が同等の割合で4割超となって
います。
図表2
過去5年間に設備投資を行った場所
0%
相模原市内
神奈川県内他都市
東京都
東京、神奈川以外の関東地方
北海道、東北地方
近畿、北陸、東海地方
その他国内
中国、香港、台湾、韓国
東南アジア
北米
欧州
その他国外
無回答
10%
20%
30%
40%
50%
60%
61.4%
3.8%
32.3%
28.1%
42.3%
38.5%
24.1%
10.2%
15.7%
34.6%
38.5%
2.1%
34.6%
3.1%
0.8%
42.3%
30.8%
11.5%
0.5%
70%
23.1%
11.5%
市内事業者
市外事業者
15.4%
0.8%
0.0%
2.1%
0.0%
99
設備投資を行った事業者が設備投資場所を選定した理由を見ると、市内企業は顧客先と
の近さや人口集積を理由に設備投資場所を選択し、市外企業も顧客先や交通アクセスを重
視して投資先を選定していることがわかります。特に市内企業の商業、サービス業の事業所
では人口集積を見込んで東京都に設備投資を行っていました。
また、
「その他」の内容としては、市内、市外ともに、
「既存敷地の拡張」という意見が多
く見られます。
図表3
設備投資場所の選定理由
0%
10%
20%
12.9%
主要調達先との近さ
30%
21.1%
主要顧客先との近さ
主要株主との近さ
創業者や社員などの居住地からの近さ
70%
31.4%
18.9%
2.6%
21.6%
18.4%
15.6%
7.8%
5.1%
52.6%
21.1%
13.2%
26.6%
21.1%
その他
無回答
60%
57.9%
交通アクセスの良さ
自治体からの支援
50%
1.5%
5.3%
一定の人口集積
人材確保の容易さ
40%
6.9%
市内事業者
市外事業者
21.1%
市外事業者では交通アクセスにおける重視する点としては、鉄道駅(旅客駅)という回答
が 70.0%と最も高くなっています。
図表4
市外事業者の重視する交通アクセスの内訳
0%
20%
40%
鉄道駅(旅客駅)
60%
80%
70.0%
高速道路インターチェンジ
40.0%
空港
5.0%
港湾
5.0%
鉄道駅(貨物駅)
0.0%
その他
0.0%
無回答
0.0%
100
(2)市内立地企業の抱える課題
市内に立地する企業の経営上の課題としては、工業、商業、サービス業のいずれにおいて
も「人材確保・育成等」を挙げる割合が高くなっています。業種毎に見ていくと、工業では
「設備投資」や「資金繰り」、商業、サービス業では、
「設備投資」、
「販路開拓」、
「まちのに
ぎわいづくり」などの割合が高くなっています。
図表5
市内立地企業の経営上の課題
0%
10%
20%
30%
40%
50%
34.6%
32.3%
33.9%
人材確保・育成等
事業承継
15.4%
9.5%
8.9%
設備投資
36.4%
21.5%
19.8%
3.1%
3.2%
2.6%
IT化
資金繰り
28.9%
10.8%
技術・新商品・新サービス開発
17.7%
12.7%
4.4%
5.7%
14.9%
販路開拓
10.4%
海外展開
0.0%
0.0%
産学連携
19.0%
3.9%
3.2%
4.2%
7.9%
8.3%
5.7%
7.3%
異業種・企業間連携
0.9%
0.6%
2.6%
起業・創業
下請中小企業保護
3.8%
工業
13.2%
まちのにぎわいづくり
商業
9.4%
3.5%
サービス業
15.2%
17.2%
4.4%
5.1%
7.8%
その他
(3)人材
今後の従業員の増員意向について見ていくと、市内企業の半数以上の事業者が増員を予
定しています。
図表6
0%
市内事業者
市外事業者
今後の従業員の増員意向
20%
40%
52.2%
80%
100%
9.2% 1.5%
37.1%
44.7%
増加させたい
60%
42.1%
変化させない
減少させたい
7.9% 5.3%
無回答
今後、採用を予定している職種は、市内、市外事業者とも、
「営業、販売、サービス担当者」
が最も多く、市内では、
「技術・研究開発担当者」や「管理職人材」の需要も大きいことがわ
かります。また、市外事業者では「IT担当者」などにニーズがあることがわかります。
101
図表7
0%
10%
採用を予定する職種
20%
30%
40%
10.7%
IT担当者
60%
29.4%
64.2%
58.8%
営業、販売、サービス担当者
生産管理・品質管理担当者
18.9%
11.8%
28.0%
技術・研究開発担当者
人事・経理・財務担当者
経営企画担当者
海外事業担当者
35.3%
15.3%
11.8%
8.5%
17.6%
5.2%
管理職人材
23.5%
20.8%
11.8%
マネジメント職(役員等)
5.9%
その他
5.9%
2.3%
0.0%
無回答
70%
41.2%
16.9%
設計、デザイン担当者
50%
市内事業者
市外事業者
11.8%
11.7%
(4)市内立地のメリットとデメリット
市内事業者からみた市内立地のメリットとしては、顧客先との近接性、創業者や社員の居
住地からの近さ、人口集積を挙げる事業者が多く見られます。一方、デメリットとしては、
施設・設備の老朽化、交通渋滞の激しさ、地価や賃料の高さを上げる事業者が多くなってい
ます。
図表8
市内立地のメリット
0%
10%
20%
30%
40%
主要顧客先の立地場所と近いから
38.8%
創業者や社員などの居住地があるから
29.8%
一定の人口集積があるから
25.7%
交通アクセスが良いから
22.1%
主要調達先の立地場所と近いから
14.8%
自治体からの支援が期待できるから
4.8%
人材確保が容易だから
4.4%
主要株主の立地場所と近いから
2.7%
その他
4.8%
無回答
9.4%
図表9
市内立地のデメリット
0%
自社の施設・設備の老朽化
交通渋滞の激しさ
地価、賃料の高さ
周辺環境の住宅地・商業地化
高度人材確保の困難さ
交通インフラの不足、老朽化
操業用地・事業用地の不足
近隣自治体の事業者との競合関係
取引先企業の移転、撤退
事業パートナーの不足
自治体からの支援の不足
市が独自に設けた規制・ルール
その他
無回答
50%
10%
20%
30%
40%
18.0%
16.5%
15.3%
12.9%
12.4%
7.1%
6.3%
5.4%
4.6%
4.4%
4.4%
3.7%
4.4%
31.3%
102
(5)主な仕入先
市内事業者の取引状況を表すデータの1つとして、主な仕入先(上位取引先3社)の所在
地を見ると、
「東京都」が6割弱で最も多く、次いで「神奈川県内他都市」が4割半ば、
「相
模原市内」が3割半ばと続いています。神奈川県内の取引も少なくありませんが、それ以上
に都内の企業との取引が多いことがわかります。
図表10
0%
10%
主な仕入先の所在地
20%
30%
相模原市内
40%
50%
60%
35.4%
神奈川県内他都市
45.7%
東京都
58.8%
東京、神奈川以外の関東地方
24.8%
北海道、東北地方
5.3%
近畿、北陸、東海地方
15.5%
その他国内
中国、香港、台湾、韓国
東南アジア
北米
欧州
その他国外
無回答
14.8%
4.4%
1.9%
0.9%
1.9%
0.7%
N=588
1.4%
103
(6)主な販売先
市内事業者の取引状況を表すデータの1つとして、主な販売先(上位取引先3社)の所在
地を見ると、
「東京都」が 56.3%と最も多く、次いで「神奈川県内他都市」が 53.9%、「相
模原市内」が 44.0%と続いています。仕入先と同様に神奈川県内よりも都内の企業との取
引が多くなっていますが、神奈川県と東京都で仕入れの場合ほど大きな差はないことがわ
かります。
図表11
0%
10%
主な販売先の所在地
20%
30%
40%
相模原市内
50%
60%
44.0%
神奈川県内他都市
53.9%
東京都
56.3%
東京、神奈川以外の関東地方
33.5%
北海道、東北地方
9.7%
近畿、北陸、東海地方
19.9%
その他国内
14.5%
中国、香港、台湾、韓国
2.9%
東南アジア
2.2%
北米
0.5%
欧州
0.9%
その他国外
0.9%
無回答
N=588
3.1%
(7)設備投資の内容
過去5年間に設備投資を実施した市内事業者について、その設備投資の内容をみたとこ
ろ、
「生産設備の更新」が 29.9%と最も多く、
「販売店舗の新設」の 27.0%と続いています。
工業においては機械設備の更新、商業においては新規出店が主たる投資の内容であったと
推察されます。
図表12
0%
10%
工場の新設
設備投資の内容
20%
30%
20.5%
販売店舗の新設
27.0%
物流施設の新設
5.2%
1.6%
生産設備の更新
29.9%
事務所の改修
20.5%
販売店舗の改修
19.7%
物流施設の改修
研究所の改修
4.7%
0.8%
輸送用機械の購入
10.8%
その他
無回答
50%
14.4%
事務所の新設
研究所の新設
40%
18.6%
N=381
0.5%
104
3.3
ヒアリング結果
(1)市内経済団体、市内企業に対するヒアリング調査結果
(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の策定に当たり、市内事業者のニーズをより詳
細に把握するため市内経済団体や市内企業に対してヒアリング調査を実施しました。ヒア
リングの結果は次のとおりです。
リニア中央新幹線の整備に対して期待を寄せる意見が複数寄せられたほか、工業の立場
からは人材不足等の中小企業の課題の訴えやロボット特区の活用等、商業・サービス業の立
場からは購買力の流出への懸念や地産地消を促す指摘がありました。また、津久井地域にお
いては、神奈川県とは最低賃金に差がある山梨県の企業との競争を懸念する意見が寄せら
れました。
図表13
項目
市内経済の現
状と課題
期待できる業
種
産業振興の方
向性
市内経済団体、市内企業へのヒアリング結果
主な意見
○グローバル化により企業経営の再構築が進められており、大規模工場の整理・縮小が見られる。
○大手電機メーカーの試作関連・研究開発型の拠点となっているので、中小企業においても、多品
種・小ロット生産となっている。
○中小企業の経営上の課題として、質の高い人材の確保、売上の伸び悩み、顧客管理やマーケティ
ングがうまくいっていない。
○商業においては、都市人口規模に対する年間販売額が低く、購買力が周辺地域に分散化している
と考えられる。
○津久井地域では商工業者が減少している。また後継者不足になっている。
○山梨県の最低賃金が安く、コスト面で全産業が市内の市場を山梨の企業にとられてしまっている。
○建設業は合併後、入札での元請けができなくなり、仕事量に対して利益が少ない状況である。
○商業は担い手が減少しており、商店街活動も衰退してきている。
○市内観光は、市民の親族訪問ついでの観光が多い。ハイキングなどの観光では消費が伸びない。
〇近年は物流拠点としての土地の引き合いあり。圏央道の開通の影響が出ている模様。
○近年、好調なのは食品製造業(コンビニ関連)
、運輸。
○リニア基地が外から見える形になれば、観光の目玉となる可能性がある。
○富士山、箱根、湘南、東京、羽田空港へのアクセスがよく、観光客のハブになる可能性がある。
○小規模企業支援(小規模支援法)とがんばる企業を応援する条例
○高齢社会(人口減少と経済縮小モデル)における消費モデル
○内陸工業都市さがみはら(地盤が強固)とリニア中央新幹線
○中心市街地の魅力向上
○産業用用地創出、ロボット特区とさがみ縦貫道路、航空宇宙関連
○ビジョンを策定する中で、旧津久井4町の産業の中の位置付けの定義が必要。
(地域毎の産業振興
の必要性)
○相模原の観光振興の概念を明確にする必要がある。
○地域の農産物を域内・市内の小売・飲食店と結びつけることが必要。
63
行政に対する
施策ニーズ
〇合併を経て市域が大きく広がっているが、駅周辺を中心としたコンパクトシティ 的なまちづく
りなどを打ち出して、相模原市としての特色を出すべき。
○市内中小企業の成長を支援し、地域の強みを生かした製品開発や新事業の展開を促進するファン
ドの創設
○既に様々な施策があるが、それをつなげることが必要。
○地元で買う運動や、地元で買うことを評価する仕組みづくりをする必要がある。
○相模大野のロータリー北口の道路の狭さ、交通モードの整理など課題解消が必要。
○空港連絡バスのりばのバリアフリー化が必要。
○主要駅前に、大型バスの発着場、滞留スペース兼道の駅があると望ましい。
〇国内でものづくりをやろうとする企業、あるいはものづくりのうち国内に残してやろうする部分
に対する支援。
64
〇女性起業家の支援やソーシャルビジネス に対する支援、インキュベーション機能の充実などを
考えてもらいたい。
〇引退した有能人材の再活用の促進で市の活力を向上させる。
63
コンパクトシティ:都市の中心部に行政、商業、住宅等さまざまな都市機能を集中させた都市形態、
またはそうした都市形態を目指す都市政策です。まちのスケールを小さく保つことで、住居と生活に必
要な機能が近接して生活利便性が上がるとともに、都市経営の効率化が図られる効果が期待されます。
64
ソーシャルビジネス:環境問題、貧困、介護、子育て支援、青少年教育、まちづくり等の社会的課題
の解決に向けて、住民や NPO 法人、企業などがビジネスの手法を用いて取り組む事業のことです。
105
(2)不動産会社等市外企業に対するヒアリング調査結果
不動産会社を中心に市外企業に((仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の策定につい
てヒアリングした結果を下表に示しています。
業務機能の集積の可能性については、人口集積を理由に可能性を見出す意見と町田市等
の周辺都市との競争から容易ではないという意見の両方があり、事業者によって見方が分
かれています。また、物流機能の集積可能性や津波や液状化などが避けられる内陸部として
のメリットを示唆する意見も寄せられました。
図表14
不動産会社等市外企業へのヒアリング結果
項目
主な意見
市内経済の現
状と課題
○相模原市内でオフィス需要は相模原、橋本、相模大野の 3 地区にあるが、オフィスの集積規模
は大きくない。
○テナントの中にはメーカー関連の営業所、支店も見られるが、生活関連サービス(塾等)や保険
会社の営業所等、駅前立地のサービステナントが中心で、特徴的な集積はない。
〇相模原市におけるオフィス需要は少ないと思う。町田駅がターミナル駅として発達しており、
オフィス需要は町田市に集中する傾向がある。土地勘がない人は、まず町田市で、相模原市が
視野に入るのはその後。そのためか相模原市内に賃貸オフィス向物件は少ない。
〇倉庫については比較的堅い需要があると見ている。東名・中央高速へのアクセスが良好である
ことに加えて、津波や液状化の被害を避けるために湾岸部から内陸に移るニーズがある。
〇課題は、オフィス立地の観点からは東京都内へのアクセス、倉庫立地の観点からは内陸部ゆえ
に空港や港湾へのアクセスの利便性がさほど高くない点。
〇橋本、相模原、相模大野の3つの主要エリアに分かれるが、機能が分散して中途半端な印象が
拭えない。
期待できる業
種
産業振興の方
向性
行政に対する
施策ニーズ
65
○人口集積があるので、対人サービス業、対事業所サービス業の立地が見込める。鉄道駅周辺は
対人サービス等の立地が見込める。
○物流施設は、地価負担力が高く、検品作業等で人も必要なため、有望な産業である。
〇物流施設の具体的な業種としては食品、半導体、通販などで、圏央道沿いに見込がある。
○今まで工業中心だったが、物流、流通も入れるべきである。物流も加工物流などに変化してい
る。
○産業誘致で雇用と税収の 2 つの効果があるが、都市経営の中で、法人市民税など目標を明確に
すべき。
○観光産業、飲食業を発展させて都市イメージを良化させる必要がある。
○電力、ガス、地元金融機関など地域のステークホルダー65と連携体制を構築し、情報交換をす
ることが重要だ。
○工場誘致をする場合、土地利用制限をかけると、機能転換や所有権の移転が出来ず、撤退リス
クが高まってしまう。土地利用制限を緩和すべきである。
○インフラ整備のタイミングを見ながら受け皿となる施設(オフィスビル)の整備を考える方がよ
い。
〇企業の賃貸不動産の引き合いを増やすなら、象徴となるようなビジネスが市内に欲しいとこ
ろ。
(横浜市のIT、川崎市のバイオのように)
。相模原市の場合はロボットか。
ステークホルダー:利害関係者のことです。ここでは「本市の産業振興に密接な利害を有する関係
者」という意味になります。
106
(3)市内の大学・学術機関に対するヒアリング調査結果
市内の大学や学術研究機関に(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025 の策定についてヒ
アリングした結果を下表に示しています。
寄せられた意見からは、市や市内企業との連携に対する意欲が垣間見られました。産業振
興については、まちとしての魅力や利便性の向上が産業の発展につながるという示唆がな
され、具体的な内容として交通網整備による市内商業核の結節や自然を生かした都市農業
の振興などに関する指摘がありました。
図表15
市内の大学・学術研究機関へのヒアリング結果
項目
主な意見
〇相模原市との包括連携協定に基づく具体的な取組は今のところ実績がないが、地域産業活性化
にかかる取組自体は、数多くの実績あり。
66
協定、その他
に基づく取組
状況、産学連
携の状況
市内企業との
産学連携状況
〇その内容や形態は多岐に亘る(デザイン制作、ワークショップ 実施 等)。
〇教職員個人、学生団体による自主的な取組もあることから、全体像を把握するのは難しい。
〇大学として公的な形で連携事業に取り組むかどうかの判断の基準は、ひとえに当該事業が本学
の教育に資するかどうか。
〇文部科学省が大学の地域活性化に対する寄与を評価する方針をとっており、補助金や競争的資
金の獲得に有利に働くことが、動機付けになっている面もある。
〇相模原市との包括連携協定を 2014 年度内に締結する予定である。
〇小規模なものを含めれば市内企業との連携は数多くやっている。
〇企業との連携は歓迎するが、コスト節約のために大学を利用しようとする意図を持っている場
合もあり、そうした場合には連携は遠慮したいのが正直なところ。
〇個別企業とは受託研究によって成果を創出しているが、市内企業との産学連携実績は少ない。
〇産学連携推進のメリットとしては、大学の認知度やイメージの向上、教員や研究内容のPR、
教員の活躍の場の創出、事業収入の獲得など。
〇産学連携で特にネックとなりやすいのは知的財産権の帰属に関すること。連携内容によって
は、学生が権利関係に直接的にかかわってくる場合があり、問題が難しくなることがある。
〇課題は、大学側の人手・人材の不足、多忙等を理由とした教員の協力取り付けの不確実性、連
67
市内企業への
就職状況
産業振興の方
向性
行政に対する
施策ニーズ
携のための予算の不足など。人材としては特にコーディネート ができる人が不足。コーディ
ネーターはRA(リサーチアドミニストレータ68)の働きができる人である必要がある。
〇カリキュラムの関係で学生が希望する職種に明確な傾向があるが、新卒の求人がある企業が市
内に少ないため、都内の大企業を希望する学生が多くなりがち。
〇市内での就職では教員ということになるが、そちらも募集が少ない。
〇市内就職実績は直近で一ケタ。学生と市内企業との接触機会が少ないので、キャンパス内での
企業説明会開催について検討をお願いする。
〇学生の目線に立つと、商業的には町田にとられている。一言で表現してしまうと相模原市は「オ
シャレじゃない」ので、相模原市が若い人にとって魅力的な街になるように発展して欲しい。
〇50 年後の未来を見据えた都市経営についての議論が必要。
〇相模原を誇らしく語れる市民の誇り(シビックプライド)を創出。
〇徒歩で完結するまちづくり。徒歩圏で用件が完結しないことは、共働きの生活が成り立たない、
成り立ちにくいことに直結し、相模原市を選ばない理由になる。
〇広域交流拠点都市を実現するためには、基盤となる「交通網の構築」を自ら優先して取り組む
べき。中心商業圏の相模大野駅と地域商業圏の上溝地区の結節、小田急多摩線による相模総合
補給廠返還地と上溝地区の結節など。
〇中山間地の活性化を目的とした資源循環型畜産、地域の伝統作物を生かした耕種農業の実践を
介して、自然とふれあい癒しを求める都市市民に未来型都市農業の場を提供。
〇自然環境を生かし、城山、津久井、相模湖の各地区と八王子高尾山を結びつけた自然・歴史・
文化プロムナードを開発し、首都圏及びリニアを利用する中部・関西圏、海外旅行者に提供。
66
ワークショップ:問題解決やトレーニング、学習の手法の1つで、司会進行役の差配で参加者全員の
共同作業によって成果物を創り上げるものです。
67
コーディネート:物事を調整し、まとめることです。その担い役はコーディネーターと呼ばれます。
68
リサーチアドミニストレーター:研究開発内容についての知見を有しつつ、研究資金の調達・管理、
知財の管理・活用等の研究マネジメントを担当する人です。
107
4
用語解説
本ビジョンにおける用語等の意味は、次のとおりです。
あ行
エクイティ
株式資本のことです。
アフターコンベンション
会議や展示会、イベント等の後の催しや懇親会
エリアマネジメント
のことです。
地域における良好な環境や地域の価値を維持・
向上させるための、住民・事業主・地権者等によ
イノベーション
る主体的な取組のことです。取組の内容は、良好
技術やビジネスモデル等の革新のことです。
な美しい景観の形成、安全・安心な地域づくり、
コミュニティの形成等、地域によって様々です。
医療ツーリズム
より良い医療サービスの提供を受けるために海
か行
外を含めた旅行をすることです。比較的富裕層
にある外国人が長期間滞在することになるため、
カイゼン
受け入れる側にとっては観光振興に大きな効果
現場の発案による作業・業務の見直し活動です。
が期待できるとされています。
主に製造業が想定されています。
インキュベーション施設
買回品
起業家の育成や、新しいビジネスを支援する施
購入頻度が低く、購入にあたり品質や価格を比
設です。
較検討するなどして慎重に選ぶ商品です。耐久
消費財や趣味の雑貨などが該当します。
インセンティブ
本来の「誘因」から転じて、本ビジョンでは「や
買い物弱者
る気を引き出す措置」の意味で使用しています。
近隣商店の廃業や身体能力の衰え等から、日常の
買い物に困難を来たす人、買い物ができない人。
インターンシップ
企業等が学生に就業体験の機会を提供する制度
キャリアカウンセリング
です。
個人が、その適性や職業経験等に応じて自ら職
業生活設計を行い、これに即した職業選択や職
インダストリー4.0
業訓練等の職業能力開発を効果的に行うことが
生産工程のあらゆるデータを蓄積、分析し、ICT
できるよう個別の希望に応じて実施される相談
によってネットワーク化された生産設備や管理
その他の支援をいいます。
システムなどに分析結果等をフィードバックさ
せることで、さまざまな外部環境の変化に柔軟
救急告示病院
に対応しながら開発や製造、生産管理を含むバ
救急病院等を定める省令第2条第1項の規定に
リューチェーンの最適化が自律的に図られるシ
基づき、救急病院として都道府県知事より告示
ステムを構築する思想です。ドイツではその実
された施設のことです。
現に向けて官民上げた取組が進められており、
生産性の飛躍的な向上や、新しい価値やビジネ
グローバル化
スモデルの創出等が期待されています。
商取引や金融取引などの経済活動が国家の境界
を越えて行われることです。
インバウンド
外国人による訪問のことです。
公衆無線 LAN
一定のエリアや店舗にいる人ならば誰でも、無
インフラ
線方式のコンピュータ・ネットワークを利用し
インフラストラクチャーの略語で、道路、港湾、
てインターネットに接続できるサービスです。
上下水道、鉄道などの社会資本のことです。
108
シェアショップ
コーディネート
物事を調整し、まとめることです。その担い役は
店舗スペースを複数の小区画に分け、各区画で
コーディネーターと呼ばれます。
それぞれ独立に販売活動をする形態のことです。
出店者には小規模、低コストで出店できるメリ
ットがあり、試験的な販売にも活用できます。多
コーポレートガバナンス
企業が不正行為を行わないように、あるいは適
くの出店があれば多様性やにぎわいが創出され
正な事業活動がなされるように企業を統制・監
ることでスペースを貸す側や商店街全体にもメ
視することです。
「企業統治」と訳されています。
リットがあります。
システムインテグレーター
コミュニティ施設
地域社会の住民の交流や催しなどに利用される
顧客の業務内容を理解・分析し、最適なシステム
施設のことです。公民館、住民センター、集会所
の企画、構築、運用を行う人です。しばしば SIer
などが該当します。
(読みは「エスアイアー」)と略記されます。
ステークホルダー
コミュニティバス
地方自治体が住民福祉の向上を図るため交通空
利害関係者のことです。本文の文脈では「本市の
白地域・不便地域の解消、高齢者等の外出促進等
産業振興に密接な利害を有する関係者」という
を目的として、自らが主体的に運行を確保する
意味になります。
バスのことです。
スモールオフィス
賃貸床を複数の小区画に分け、業務に必要なス
コミュニティビジネス
地域の住民が、地域の課題解決に向けて、ビジネス
ペースを必要な分だけ賃借できるようにすると
の手法を用いて主体的に取り組む事業のことです。
ともに、応接室や会議室、水回りなどの空間や、
事務用機器などをテナント共用とすることで、
低廉な価格でオフィス用スペースが確保できる
コンパクトシティ
ようにしたものです。
都市の中心部に行政、商業、住宅などさまざまな
都市機能を集中させた都市形態、またはそうした
生鮮三品
都市形態を目指す都市政策です。まちのスケール
食料品のうち鮮魚・青果・精肉を指します。
を小さく保つことで、住居と生活に必要な機能が
近接して生活利便性が上がるとともに、都市経営
ソーシャルビジネス
の効率化が図られる効果が期待されます。
環境問題、貧困、介護、子育て支援、青少年教育、
まちづくり等の社会的課題の解決に向けて、住
コンベンション
国際機関・団体や学会等が開催する国際会議の
民や NPO 法人、企業などがビジネスの手法を用
ことです。
いて取り組む事業のことです。
ソリューション
コンベンションビューロー
国内外からの会議を誘致する組織です。会議に
課題や要望に対して解決策を提供することです。
限らず誘客のために観光情報の発信などの役割
解決策を提供すること自体とともに、その解決
を担うこともあります。
策となる製品やサービス、それらの組み合わせ
を指すこともあります。
さ行
た行
産学官金
ターミナル
産業、学術研究機関、国や地方自治体等の公共の
路線の起点・終点であり、分岐点として多数の路
機関、金融機関の四者を表現する語句です。
線が束ねられ、乗り換え(旅客輸送の場合。貨物
ならば積み替え)が頻繁に行われる、交通におい
シーズ
て重要な拠点の意味です。
企業や研究機関等が有する事業化・製品化の可
能性がある技術やノウハウなどのことです。
109
非営利ホールディングカンパニー(仮)
タブレット型端末
薄い板の形状をした携帯型の通信端末の総称で
複数の医療法人及び社会福祉法人等を束ねて一
す。
体的に経営することを法制上可能とする制度で
す。
昼夜間人口比率
ある地域の夜間人口に対する昼間人口の割合で、
ビジネスマッチング
これが 100%を超える場合は昼に域外から人が
企業等の事業活動のために、適切なパートナー
流入する地域、100%を下回る場合は昼に域外へ
を探したり、パートナー候補を斡旋したりする
人が流出する地域であることを表しています。
支援サービスです。
プラットフォーム
テレワーク
ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間に
物事を行うための基礎・基盤となる仕組みを表
とらわれない柔軟な働き方のことです。
す概念です。
分散型電源
特定流通業務施設
流通業務施設(トラックターミナル、卸売市場、
比較的小規模な発電装置を消費地近くに分散配
倉庫又は上屋)であって、高速自動車国道、鉄道
置して電力の供給を行う機械設備そのものや、
の貨物駅、港湾、漁港、空港その他の物資の流通
その方式のことです。太陽光や風力、小水力発電
を結節する機能を有する社会資本等の近傍に立
などの再生可能エネルギーや燃料電池に向いた
地し、物資の仕分及び搬送の自動化等荷さばき
方式とされています。電源の分散配置により、電
の合理化を図るための設備、物資の受注及び発
力供給の途絶が広範囲にわたるリスクが軽減さ
注の円滑化を図るための情報処理システム並び
れるため、災害に強い電力供給方式と考えられ
に流通加工の用に供する設備を有するものをい
ています。
います。
ポートフォリオ
な行
運用する金融資産の組み合わせ方のことです。
燃料電池
ホールディングカンパニー
水素と酸素を電気化学反応させて電気を作る発
株式を所有することにより傘下企業の事業活動
電装置です。
を支配し、グループ全体の戦略・経営計画立案な
どを行う会社のことで、持株会社とも呼ばれます。
は行
バイオディーゼル燃料
ポテンシャル
動植物油(菜種油や廃食用油)を原料として製造
潜在能力のことです。
される軽油代替燃料です。
ま行
ハブ
マーケティングプレイス
ネットワークの中心となる場所・拠点です。
インターネット上に設けられた仮想の店舗や取
引所のことです。
バリューチェーン
原材料の調達から製品・サービスが顧客に届く
モータリゼーション
までの各行程において価値とコストが付加・蓄
積され、行程を通した一連の連鎖的活動のなか
自動車が生活必需品として広く普及する現象の
で顧客に対する最終的な価値が生み出される、
ことです。
という考え方です。企業活動の各行程を一連の
最寄品
価値(Value)の連鎖(Chain)としてとらえる考
え方のため、バリューチェーンと呼ばれていま
近くの小売店で頻繁に購入するような商品。食
す。
料品や日用雑貨などが該当します。
110
ら行
BtoC
企業と個人(消費者)間の商取引、あるいは、企
リーマンショック
米国の投資銀行リーマンブラザーズの経営破綻
業が個人向けに行う事業そのものを指す用語で
を引き金として発生した世界的な金融不安のこ
す。一般消費者向けの製品の製造・販売や、消費
とです。これにより、世界中で設備投資や個人消
者向けサービスの提供などが該当します。
費等の需要が急減しました。
E コマース
コンピュータ・ネットワーク上の電子的な情報
リサーチアドミニストレーター
研究開発内容についての知見を有しつつ、研究
通信によって商品やサービスを売買することで
資金の調達・管理、知財の管理・活用等の研究マ
す。「電子商取引」とも呼ばれます。
ネジメントを担当する人です。
EC 化率
小売業・サービス業の全ての消費者向け商取引
リスクイベント
における電子商取引の割合です。
経済活動を低下させる事象のことです。近年の
事例としてはリーマンショックや東日本大震災
GDP
等があります。
国内総生産のことで Gross Domestic Product を
略したものです。一定期間内にある国内で産み
リノベーション
用途や機能を変更して性能を向上させたり、付
出された付加価値の総額を指します。都道府県
加価値を与えたりすることです。
や市町村など国よりも小さい範囲で、同様に県
内総生産や市内総生産などを定義することもあ
ります。
6次産業化
第1次産業である農林水産業者が、生産した農
GNI
産物を原材料とした加工食品の製造・販売、地域
資源を生かしたサービス(例えば観光農園)など、
国民総所得のことで Gross National Income を
第2次産業や第3次産業まで事業を展開するこ
略したものです。GDP から海外へ支払う所得を
とです。1、2、3の掛け算で6次産業化と呼ば
除き、海外から受取る所得を加えたもので、かつ
れています。
ては国民総生産(GNP)と呼ばれていました。
ICT
わ行
情報通信技術。
ワークショップ
問題解決やトレーニング、学習の手法の1つで、
Information and Communication Technology
司会進行役の差配で参加者全員の共同作業によ
を略したものです。
って成果物を創り上げるものです。
JAXA
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構のこと
ワーク・ライフ・バランス
生活において、仕事とプライベートの双方とも、
で 、 英 称 の Japan Aerospace eXploration
無理なく、ある程度充実して営むことができて
Agency から JAXA と略称されています。
いる状態を意味します。
MICE
企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研
ABC
修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学
BCP
Business Continuity Plan の略で、災害や事故
会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本
などの危機発生の際、重要業務への影響を最小
市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をつな
限に抑え、やむなく業務が中断した場合も速や
げたもので、多くの集客交流が見込まれるビジ
かに復旧・再開できるように予め策定しておく
ネスイベントなどの総称を指します。
行動計画のことです。
111
PPP/PFI
PPP(Public Private Partnership)は、官民の連
携による公共サービスの提供手法のことです。
PFI(Private Finance Initiative)は、PPP の一形
態で、公共施設の建設・維持管理・運営等に民間
の資金や経営能力等を導入し、国や地方公共団
体が直接実施するよりも効率的、効果的にサー
ビスを提供する手法のことです。
SIC
さがみはら産業創造センターのことで、、英称の
Sagamihara Incubation Center から SIC と略
称されています。
SOHO
Small Office/Home Office を略したもので、企
業等から委託された仕事を、情報通信を活用し
て自宅や小規模事務所等で個人事業主として請
け負う労働形態、またはその事業主を意味しま
す。
112
(様式2)
庁議(政策会議) 案件申込書
申込日
案 件 名
所
管
概
要
審議内容
(論点)
実施計画の
位置付け
審議(希望)日
日程等
調整事項
平成27 年
10
月
20
日
「(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン2025」の策定について
環境経済
局
区
経済
農政
部
課 担当者
内線
持続可能な都市農業の創造と魅力ある新たな農業の振興に向けた方向性を定める「(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョ
ン2025」の内容等について諮るもの。
○(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン2025(案)について
○今後の策定スケジュールについて
あり
施策番号及び
実施計画事業名
36都市農業の振興
関係課長会議
平成27 年
局・区経営会議
年
10
月
月
条例等の調整
なし
議会上程時期
パブリックコメント
あり
時期
審議会等、協議
会等の設置
なし
関係部局との
調整
14
日
政策調整会議
平成27 年
10
月
20
日
日
政策会議
平成27 年
10
月
22
日
報道への情報提供
平成27年12月∼平成28年1月
個人情報の目的外利用等
関係部局名等
(仮称)新・都市農業振興ビジョン
策定に関係する各課
議会への情報提供
部会
資料提供
平成27年12月
なし
調整項目
「(仮称)新・都市農業振興ビジョ
ン」の策定について
調整状況
終了
打 合 せ ・ 会 議 の 経 過
月 日
検討経過等
H26.4.18
内 容
会議名等
関係課長会議
H26.7.28
諮問
H26.7∼H27.1
H27.3.9
H27.10.14
H27.10.20
(仮称)新・都市農業振興ビジョン検討委員会
答申
関係課長会議
政策調整会議
「(仮称)新・産業振興ビジョン」及び「(仮称)新・都市農業振興指針」の
内容、検討体制及びスケジュール等について
「(仮称)新・都市農業振興ビジョン」の策定について
「(仮称)新・都市農業振興ビジョン」の策定について(計6回開催)
「(仮称)新・都市農業振興ビジョン」の答申
「(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン2025」の策定について
「(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン2025」の策定について
備 考
政策調整会議
の
結果等
これまでの
庁議での
主な意見
原案を
上部庁議へ付議する。
( 政策会議 )
○ 産業振興ビジョン2025は、「総合計画」で進行管理し、都市農業振興ビジョン2025は、「ビジョン推進審議会」を設置して
進行管理するとなっているが、それぞれの考え方は。審議会によるビジョンの進行管理が適当であるのか再考するべきでは
ないか。
⇒ 産業振興ビジョン2025については、工業・商業・サービス業を中心に産業分野全般にわたり施策の方向性を示すもので
あり、数値化目標は、総合計画に掲げる成果指標で進行管理を行うことを考えている。一方、都市農業振興ビジョン2025に
ついては、答申を検討される中で、農業者などが計画の進行状況に関わることがないとの意見を踏まえ、成果を検証する組
織の設置を盛り込んだものである。しかし、進行管理については、産業振興ビジョン2025と同様に総合計画で目標を設定し
進行管理をすることや、農業者などと農業全般に関して情報共有できる機会の場を設けることなどにより対応することも可
能であることから再検討する。
○ ここにある重点プロジェクトは、以前から手がけてきたものが多いが、今回のビジョンで特出するものは何か。
⇒ 一番重要視しているのは、多様な担い手の育成・確保であり、付加価値を高め農業所得を向上させる農業の6次産業化
なども促進していきたいと考えている。
事案の具体的な内容
○(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン2025(案)について
検討委員会の答申を踏まえた市としてのビジョンの概要は次のとおり。
1 策定の目的
持続可能な都市農業の創造と魅力ある新たな農業の振興に向けた方向性を定めるもの。
2
ビジョンの位置付け
ア 新・相模原市総合計画を上位計画として、都市農業の振興の方向性について定める。
イ 「農業振興地域整備計画」、「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2025」、観光、
林業等に関する個別計画との連携や都市計画との整合を図る。
3
計画期間
平成28(2016)年度から平成37(2025)年度までの10年間とする。
今後、施策の実施状況や国の農業施策の動向などを勘案し、中間年次(5年目)に点検、見直しを
図る。
4 本市農業の現状と課題
別添「概要版」のとおり
5
基本理念・基本方針
基本理念:「農業の持続的な発展」、「みんなで支える農業」、
「2つの地域特性の活用による農業振興」、「農地の保全」
基本方針:持続可能な力強い農業の確立、市民・地域に貢献できる農業の推進
6
6つの基本施策
優良な農地で多様な担い手が効率的かつ安定的な農業経営を行うための「持続可能な力強い
農業」を確立し、農業の多面的な機能を最大限に発揮するなかで、「市民・地域に貢献できる
農業」を推進することにより、持続可能な都市農業を振興するために定めるもの。
(1)多様な担い手の育成・確保
(2)農地の保全・有効活用
(3)成長産業としての農業の確立
(4)地産地消の推進
(5)農とのふれあいの推進
(6)農業の多面的機能の活用
7
重点プロジェクト
6つの基本施策のうち、各施策の重要な位置づけとして、今後事業化や拡充の検討を図る
事業を具体化し、優先的に進める取組を重点プロジェクトと定めて施策を展開していく。
(1)担い手育成プロジェクト
(2)農地有効活用プロジェクト
(3)都市農業活性化プロジェクト
(4)地産地消・農業との交流プロジェクト
8
推進体制
ビジョンの推進にあたっては、農業者、市民、農業関係団体及び民間事業者、行政が、それぞれの
役割を果たすなかで、農業全般に関して情報共有する機会を設けるなど密接に連携しながら、都市農
業の振興を図っていく。
また、本ビジョンに基づき実施される各事業については、新・相模原市総合計画の進行管理と
併せ、「PDCAサイクル」の考え方を活用し、推進していく。
○今後の策定スケジュールについて
平成27年10月 庁議(関係課長会議、事務事業調整会議、政策調整会議、政策会議)
12月 市議会環境経済部会での説明
パブリックコメントの実施(12/16∼1/22)
平成28年 2月 パブリックコメントの結果公表
3月 ビジョン策定
(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン 2025(概要版)
<策定の目的>
本市は、農業従事者の高齢化や担い手の不足などにより、農地の荒廃化が進み、鳥獣被害が増加する
など、本市の農業を取り巻く環境は、大変厳しい状況にあります。
一方、72万市民を背景とした大消費地を抱え、生産者は農産物直売所や大型小売店舗など、様々な
販路を確保することができるなどの優位性を活かし、「攻めの都市農業」やさらなる地産地消を展開していく
ことも十分に期待されます。
こうした中、市域には都市部と中山間地域の2つの地域があることから、それぞれの特性を十分に活かした
施策展開が必要であり、本市が農業振興施策を実施していくうえで、持続可能な都市農業の創造と魅力ある
新たな農業の振興に向けて方向性を定める「(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン 2025」を策定しました。
∼本市農業の現状と課題∼
現状と課題
農業従事者の高齢化や担い手の不足
内
容
基幹的農業従事者の平均年齢 67.5歳(H22)
70歳代以上:約5割
農地の荒廃化
農用地における耕作放棄地の割合:9.1%(H26)
有害鳥獣被害の増加
出荷用作物被害額:5,046千円(H26)
経営耕地面積の減少
昭和60年から約半分に減少 2,117ha→941ha(H22)
安定的な農業経営基盤の確立
農業所得が300万円以下の販売農家:87.8%(H22)
(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン 2025 の策定
<ビジョンの基本理念・基本方針>
◆基本理念
農業の持続的な発展
「攻めの都市農業」を担う生産者の育成・確保を図るとともに、農地利用の集約化や農業の6次産業化に
向けた支援など、それぞれの農業者が自らの判断で創意工夫あふれる経営ができる環境整備を進めます。
みんなで支える農業
市民が新鮮で安全・安心な地場農畜産物を消費することや農業とふれあう機会を増やすことによって、
農業に対する理解を深めるための取組を推進します。
2つの地域特性の活用による農業振興
市域には都市部と中山間地域の2つの地域があり、それぞれの特性を十分に活かした農業振興を図るこ
とにより、農業の持つ多面的な機能をさらに充実させ、市民の心豊かな暮らしの実現を図ります。
農地の保全
今後更に都市化の進展が見込まれ、貴重な農地が減少する懸念があるため、確保すべき農地に対して有
効な保全策を図ります。
基本方針 Ⅰ
優良な農地で多様な担い手が効率的かつ
安定的な農業経営を行うための
「持続可能な力強い農業の確立」
基本方針 Ⅱ
農業の多面的な機能を
最大限に発揮することによる
「市民・地域に貢献できる農業の推進」
<ビジョンの推進体制>
ビジョンの計画期間は、平成28(2016)年度から平成37(2025)年度の10年間とします。
今後、施策の実施状況や国の農業施策の動向などを勘案し、中間年次(5年目)に点検、見直しを
行うものとします。
ビジョンの推進にあたっては、農業者、市民、農業関係団体及び民間事業者、行政が、それぞれの
役割を果たすなかで、農業全般に関して情報共有する機会を設けるなど密接に連携しながら、都市農
業の振興を図っていきます。
また、本ビジョンに基づき実施される各事業については、新・相模原市総合計画の進行管理と併せ、
「PDCA サイクル」の考え方を活用し、推進していきます。
<ビジョンの体系図>
(仮称)
さがみはら都市農業振興ビジョン 2025
(案)
相模原市
平成28年3月
目
次
1 (仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン 2025 の策定について・・・・・・
1
(1)策定の目的
・・・・・・・・・・・
1
(2)ビジョンの位置づけ
・・・・・・・・・・・
1
(3)計画期間
・・・・・・・・・・・
1
2
・・・・・・・・・・・
2
(1)担い手における現状と課題
・・・・・・・・・・・
2
(2)農地における現状と課題
・・・・・・・・・・・
5
(3)農業施策と地産地消の推進における現状と課題
・・・・・・・・・・・
7
3
・・・・・・・・・・・ 10
相模原市の農業における現状と課題について
ビジョンの基本的な考え方について
(1)基本理念
・・・・・・・・・・・ 10
(2)基本方針
・・・・・・・・・・・ 10
(3)ビジョンの体系図
・・・・・・・・・・・ 11
4
・・・・・・・・・・・ 12
ビジョンの基本施策について
基本方針Ⅰ:持続可能な力強い農業の確立
・・・・・・・・・・・ 12
Ⅰ−1 多様な担い手の育成・確保
・・・・・・・・・・・ 12
Ⅰ−2 農地の保全・有効活用
・・・・・・・・・・・ 14
Ⅰ−3 成長産業としての農業の確立
・・・・・・・・・・・ 16
基本方針Ⅱ:市民・地域に貢献できる農業の推進
・・・・・・・・・・・ 18
Ⅱ−4 地産地消の推進
・・・・・・・・・・・ 18
Ⅱ−5 農とのふれあいの推進
・・・・・・・・・・・ 19
Ⅱ−6 農業の多面的機能の活用
・・・・・・・・・・・ 21
5
6
重点プロジェクトについて
・・・・・・・・・・・ 22
Ⅰ
担い手育成プロジェクト
・・・・・・・・・・・ 22
Ⅱ
農地有効活用プロジェクト
・・・・・・・・・・・ 23
Ⅲ
都市農業活性化プロジェクト
・・・・・・・・・・・ 24
Ⅳ
地産地消・農業との交流プロジェクト
・・・・・・・・・・・ 24
推進体制
・・・・・・・・・・・ 25
附属資料
・・・・・・・・・・・ 26
用語解説
・・・・・・・・・・・ 28
1 (仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン 2025 の策定について
(1)策定の目的
本市は、農業従事者の高齢化や担い手の不足などにより、農地の荒廃化が進み、
鳥獣被害が増加するなど、本市の農業を取り巻く環境は、大変厳しい状況にありま
す。
一方、72万市民を背景とした大消費地を抱え、農業者は農産物直売所や大型小
売店舗など、様々な販路を確保することができるなどの優位性を活かし、「攻めの
都市農業」やさらなる地産地消を展開していくことも十分に期待されます。
また、圏央道(さがみ縦貫道路)の開通と、それに伴い、市内2箇所にインター
チェンジが設置され、今後、リニア中央新幹線の中間駅及び関東車両基地が設置さ
れることなどに伴い、これまで以上に農業と都市的土地利用との調和が必要となっ
ております。
こうした中、市域には都市部と中山間地域の2つの地域があることから、それぞ
れの特性を十分に活かした施策展開が必要であり、本市が農業振興施策を実施して
いく上で、持続可能な都市農業の創造と魅力ある新たな農業の振興に向けた方向性
を定める「(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン2025」を策定しました。
(2)ビジョンの位置づけ
(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン 2025 は、新・相模原市総合計画を上
位計画として、「農業振興地域整備計画」、「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン
2025」
、観光、林業等に関する個別計画との連携や都市計画との整合を図りながら、
農業振興の方向性を示したものです。
新・相模原市総合計画(2010 年 3 月策定)
さがみはら都市農業振興
ビジョン 2025
連携
整合
農業振興地域整備計画
・広域交流拠点都市推進戦略
・
(仮称)さがみはら産業振興ビジョン 2025
・新相模原市観光振興計画
・さがみはら森林ビジョン
・その他関連計画等
(3)計画期間
(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン 2025 の計画期間は、平成28(2016)
年度から平成37(2025)年度の10年間とします。
なお、今後、施策の実施状況や国の農業施策の動向などを勘案し、中間年次(5
年目)に点検、見直しを行うものとします。
1
2 相模原市の農業における現状と課題について
相模原市は、平成18(2006)年3月20日に津久井町・相模湖町と、平成19(2007)
年3月11日に城山町・藤野町と合併しました。
この合併により、市内全体の面積は9,040ha から32,882ha と3倍以上
となり、農業振興地域も大きく広がり、農用地区域についても321ha から774
ha と2倍以上に増えました。
都市部と中山間地域において、それぞれの地域特性を活かした農業振興施策の展開
を図っていく必要があります。
(1)担い手における現状と課題
農家戸数については、昭和50(1975)年の6,157 戸から、平成22(2010)
年には、3,245戸に減少しています。
そのうち、経営耕地面積が30a以上又は農産物販売金額が50万円以上の農家
である「販売農家」は約4分の1にあたる786戸であり、経営耕地面積30a未
満かつ農産物販売金額が年間50万円未満の「自給的農家」は2,459戸となっ
ています。
「販売農家」については、「販売なし」の農家が約4割を占め、農産物販売金額
が100万円未満を合わせると 約7割を占めており、500万円以上となる農家
は全体の1割程度となっています。
【販売農家の所得別戸数】
出典:「2010年農業センサス」
また、農業就業人口のうち、主に農業に従事している「基幹的農業従事者」は、
928名であり、内訳は、男性621名、女性307名となっています。年代別で
は、50代、60代が約4割、70代以上が約5割を占め、従事者の平均年齢は
67.5歳となっており、担い手の高齢化が進んでいる状況となっています。これ
からの担い手の中心となる40代以下の基幹的農業従事者は1割程度の状況であ
るため、農業後継者や青年新規就農者を増やすことが課題となっています。
2
【年齢別基幹的農業従事者の割合】
出典:「2010年農業センサス」
このように、高齢化による担い手不足に対応するため、これからの農業を支えて
いく新たな担い手の確保・育成が重要となります。
ア
認定農業者
地域の中心的経営体である「認定農業者」は、148名(平成26(2014)年4月
1日現在)となっており、過去5年間では全体として若干減少傾向にありますが、
ほぼ横ばいの状態が続いています。そのうち、60代及び70代以上の占める割合
が6割を超えており、30代及び40代で新たな認定農業者を育成する必要があり
ます。
【認定農業者数の推移】
年度
認定農業者数
22
23
24
25
26
(2010)
(2011)
(2012)
(2013)
(2014)
159
155
150
146
148
出典:市作成データ
3
【年齢別認定農業者の割合】
(平成26(2014)年4月1日現在)
出典:市作成データ
イ
農業後継者及び新規就農者
農業後継者については、家族農業経営を行うなかで、既に後継者がいる農家もあ
りますが、別の業態で就業している場合も多く、将来的にどの程度農業後継者を増
やしていけるのかが課題となっています。
また、新規就農者については、ここ3年間で青年層を中心に農業に関心を持ち、
新規就農する人が増加傾向にあり、農地の確保や生産技術、経営に対する支援を充
実させていく必要があります。
なお、45歳未満の青年新規就農者の確保と定着を図るため、経営が不安定な就
農直後の所得支援(年間150万円、最大5年間)を行う「青年就農給付金」制度
があり、平成25(2013)年度からの継続している受給者は、6組8人(うち夫婦2
組)で、平成26(2014)年度からの新たな受給者は4組5人(うち夫婦1組)であ
り、合わせて10組13人(うち夫婦3組)となっております。
今後、新たな新規就農者への活用が増加するように取り組んでいきます。
ウ
女性農業者
女性の基幹的農業従事者307名のうち、女性農業者の団体で組織された「相模
原市あぐりレディース」は、女性農業者間の交流を図りながら、地産地消の推進や
地場農産物等の加工技術の向上、販売促進に向けた活動などを行っています。
4
エ 農業参入している法人
現在、葉物野菜の水耕栽培、露地野菜の栽培、ブルーベリーの生産・加工販売、
農家レストラン等を行っている農業生産法人は13社で、また、解除条件付き貸借
により異業種から参入した法人は8社となっており、酒米の栽培、牧草等飼料用草
木の栽培、食肉用ダチョウの飼育、露地野菜の栽培、加工品の販売等、多様な事業
を展開しています。
今後も、新たな担い手として農業への法人参入の促進が必要となります。
(2)農地における現状と課題
経営耕地面積については、昭和50(1975)年の2,926ha から平成22(2010)
年には、941ha となり、約3分の1に減少しています。このうち、販売農家の
経営耕地面積は、551ha と約6割を占めています。
しかし、販売農家における経営規模の分布を見ると、経営規模が1ha 未満の販
売農家が約8割を占めており、今後、地域の中心的経営体や、新規就農者、農業参
入した法人などの新たな担い手に、農地の利用集積をしていく必要があります。
このため、地域の中心的経営体を示す「人・農地プラン」に基づき、農地の出し
手と受け手に対する農地の利用集積を支援し、また、「農地集積バンク」の機能を
持つ「農地中間管理機構」や「農地利用集積円滑化団体」の活用をさらに進め、経
営規模の拡大を目指す農業者に対する農地の利用集積を促進するなどの必要があ
ります。
【経営耕地面積の推移】
出典:
「2010年農業センサス」
5
【販売農家における経営規模の分布】
出典:「2010年農業センサス」
また、農地の保全や有効利用を図るためには、営農環境の改善が必要であり、圃
場整備などの生産基盤整備や有害鳥獣被害対策が重要となります。
ア 耕作放棄地対策
耕作放棄地の解消を図るため、「相模原市耕作放棄地対策協議会」を通じ、農地
の再生利用に取り組み、青年新規就農者や農業参入した法人の経営規模拡大、「津
久井在来大豆」の生産拡大を促進しており、耕作放棄地を減少させて有効利用を図
る取組を継続することが必要となります。
【耕作放棄地面積の推移】
区
域
旧相模原市
単位:ha
農用地
H22
H23
H24
H25
H26
H26 耕作
面積
(2010)
(2011)
(2012)
(2013)
(2014)
放棄率(%)
318
18
16
12
10
7
2.2
53
9
6
7
5
5
9.4
旧津久井町
191
45
24
17
16
15
7.9
旧相模湖町
67
14
12
9
6
5
7.5
111
51
46
36
35
35
31.5
740
137
104
81
72
67
9.1
旧城山町
旧藤野町
計
出典:市作成データ
6
イ
有害鳥獣被害対策
津久井地域においては、特に、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザルなどの有害鳥
獣による農作物被害は深刻であり、農業者の営農意欲の減退につながっています。
このため、県及び関係機関と連携し、猟友会等による駆除や追払い等の被害防除
対策、被害軽減のための農地への防護柵の設置など、継続的な支援が必要となりま
す。
防護柵の設置数の推移(簡易防護柵)
年度
設置数
22
23
24
25
26
(2010)
(2011)
(2012)
(2013)
(2014)
48箇所
25箇所
58箇所
48箇所
58箇所
(3)農業施策と地産地消の推進における現状と課題
平成25(2013)年度市政モニターアンケート調査
テーマ:
「農業施策と地産地消の推進」について
市政モニター 回答者数:140人
実施時期:平成25(2013)年10月
○農業施策について
【主なアンケート結果】
・農業施策に期待することとして、
「安全・安心な市内産農産物の安定供給」
(79.3%)
が最も多く、次いで「減農薬などの環境にやさしい農業を進める」(36.4%)、「市民
農園や収穫体験などを通じて、市民が農業とふれあえる場の提供」及び「農業まつり
などの農業イベントの充実」
(34.3%)という結果となっています。
【農業施策に期待すること】
市内産農産物の安定供給
79.3%
耕作放棄地対策など、農地の保全
28.6%
環境にやさしい農業を進める
36.4%
市民が農業とふれあえる場の提供
34.3%
農業まつりなどの農業イベントの充実
34.3%
市の農産物のブランド化や特産品開発
農道や農業用水路などの整備
27.1%
4.3%
就農支援などの担い手対策
14.3%
その他
2.1%
無回答
2.9%
0%
n=140
50%
7
100%
こうしたことから、安全・安心な市内産農産物の生産や環境にやさしい農業の推進
が求められており、農業者の生産振興をする上で、必要な施策であることが分かりま
す。また、市民農園や収穫体験などを通じて、市民が農業とふれあえる場の提供につ
いては、都市部における市民農園の整備や、農業者が実施している収穫体験などを効
果的に情報提供していく必要があります。
【市民農園開設状況】
(平成26(2014)年4月1日現在)
箇所数
コミュニティ農園
レクリエーション農園
計
83
5,767
60
2,837
72,276
8
198
10,116
73
3,118
88,159
6
675
29,061
79
3,793
117,220
農家開設型市民農園
合
計
面積(㎡)
5
健康づくり農園
小
区画数
出典:市作成データ
○地産地消の推進について
【主なアンケート結果】
・市内産農産物を購入する場所については、「スーパー等の市内産農産物コーナー」
(72.5%)
、
「農産物直売所」
(40.2%)、
「農家の庭先」及び「イベント等での販売」
(33.3%)
が上位を占めました。なお、市内産農産物を購入しない方の理由としては、
「どこで販
売しているかわからない」
(81.6%)、「販売しているところが近くにない」(31.6%)が
挙げられました。
・市内産農産物の印象については、
「新鮮である」
(79.3%)、
「生産者がわかる」
(45.0%)
が上位を占めました。
・「地産地消」の推進により期待されるメリットとして、「新鮮な農産物を購入するこ
とができる」(81.4%)が最も多く、次いで「地域の農業を活性化することができる」
(47.1%)
、
「旬な農産物を購入することができる」
(42.9%)という結果となっています。
【
「地産地消」の推進により期待されるメリット】
新鮮な農産物を購入することができる
81.4%
旬な農産物を購入することができる
42.9%
安全・安心な農産物が購入できる
33.6%
地域の農業を活性化することができる
47.1%
環境負荷を低減することができる
16.4%
食料の自給率を上げることができる
15.7%
安い価格で購入することができる
23.6%
生産者の顔が見える
メリットは期待できない
その他
13.6%
0.7%
n=140
2.9%
0%
20%
40%
8
60%
80%
100%
市では、さがみはら農産物ブランド協議会と連携し、市内産農産物を「さがみはらの
めぐみ」と総称し、地産地消に取り組んでいますが、今後、地産地消をさらに推進して
いく必要があります。
市内産農産物を購入しない方の大半が販売先を知らない現状があることから、
「さがみ
はらのめぐみ」をもっと効果的にPRし、市農協「ベジたべーな」(平成25(2013)年1
2月完成)
、郡農協「あぐりんず つくい」
(平成25(2013)年10月完成)を契機として、
直売施設の周知を進めていく必要があります。
また、地産地消を推進する上で、地場農畜産物のブランド化への取組が重要であり、
津久井在来大豆については、味噌、豆腐、納豆などを既に商品化しており、今後とも、
地元の高校や大学との連携による地場農畜産物を使用した商品開発を進めていく必要が
あります。
9
3 ビジョンの基本的な考え方について
相模原市の農業の現状や課題を踏まえ、10年後を見通し、これからの都市農業の
あるべき姿について、次のような基本理念や基本方針に基づいて、ビジョンを推進し
ていきます。
(1)基本理念
○農業の持続的な発展
「攻めの都市農業」を担う生産者の育成・確保を図るとともに、農地利用の集約化
や農業の6次産業化に向けた支援など、それぞれの農業者が自らの判断で創意工夫あ
ふれる経営ができる環境整備を進めます。
○みんなで支える農業
市民が新鮮で安全・安心な地場農畜産物を消費することや農業とふれあう機会を増
やすことによって、農業に対する理解を深めるための取組を推進します。
○2つの地域特性の活用による農業振興
市域には都市部と中山間地域の2つの地域があり、それぞれの特性を十分に活かし
た農業振興を図ることにより、農業の持つ多面的な機能をさらに充実させ、市民の心
豊かな暮らしの実現を図ります。
○農地の保全
今後更に都市化の進展が見込まれ、貴重な農地が減少する懸念があるため、確保す
べき農地に対して有効な保全策を図ります。
(2)基本方針
4つの基本理念に基づき、2つの柱を基本方針として位置づけます。
○優良な農地で多様な担い手が効率的かつ安定的な農業経営を行うための「持続
可能な力強い農業」を確立します。
○農業の多面的な機能を最大限に発揮するなかで、「市民・地域に貢献できる農
業」を推進します。
Ⅰ.持続可能な力強い農業の確立
Ⅱ.市民・地域に貢献できる農業の推進
10
(3)ビジョンの体系図
11
4 ビジョンの基本施策について
都市農業を振興するため、2つの基本方針に基づき、6つの施策の柱で構成した基
本施策により、具体的にビジョンを推進していきます。
基本方針Ⅰ:持続可能な力強い農業の確立
1 多様な担い手の育成・確保
農業者の高齢化や担い手の不足に対応するため、 新たな認定農業者の確保や
農業後継者及び新規就農者の育成、農業への法人参入の促進など、多様な担い手
の育成・確保に向けて取り組みます。
(1)地域の中心的経営体への支援
営農意欲の高い認定農業者における経営規模の拡大に向けて必要となる施設・機
械等の資本装備の整備に対する補助については、実績を検証していくことで、より
効果的な支援につなげます。
また、認定農業者が経営改善や経営規模の拡大を図るための支援として、「農業
経営改善計画」(5年後の経営目標)などの経営面の支援の充実や効率的に農地の
集積をするための情報提供、国・県・市の補助制度に関する周知の徹底などを図り
ます。
さらに、市農協と連携して開催している「農業研修講座」などを通じて、援農者
の育成及び確保が必要であり、また、労働力が必要となる農業者への紹介を行う援
農システムや農作業の負担を軽減する農作業受託オペレーター事業の活用により、
担い手不足の農業者の効果的な支援を行う体制づくりを進めます。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
認定農業者育成事業
事業内容
認定農業者が実施する
今後の取組
農業経営において、施設・機械等
資本装備の整備の一部に の資本装備に係る経費は負担が大
対する助成
きいため、経営改善に取り組む農業
者に対して農業経営の安定化につ
ながる効果的な支援となるように
制度の見直しを行っていく。
経営体育成支援事業
人・農地プランに位置づ
地域の中心的経営体が経営規模
けられた地域の中心的経 を拡大する場合の設備投資に係る
営体が融資を活用し農業 経費の負担を軽減し、農業経営の安
用機械、施設を導入する場 定化につなげることで、経営体の育
合に係る経費の一部に対 成・確保を支援していく。
する助成
12
農業経営基盤強化資
金に関する利子補給
認定農業者が受ける融
農業経営の改善を図る農業者の
資の利子の一部に対する 設備投資に対する負担軽減を図り、
助成
経営基盤の安定化及び経営規模の
拡大に向けた取組を支援していく。
援農システム整備事
業
担い手不足の農業者の
担い手の高齢化等による労働力
労働力不足を補うための 不足に対応するため、農業者の援農
援農システム事業に対す 者としての基礎的農業技術の修得
る支援
を図る農業研修講座の受講者の人
材育成及び確保に取り組んでいく。
農作業受託補助事業
農地の適正な保全を図
高齢化や担い手不足により、農作
るための農作業受託事業 業を継続的に実施することが困難
に対する支援
になることが想定されるため、耕運
等の農作業を円滑に実施してもら
うことにより農地の適正な保全に
取り組むよう支援していく。
(2)経営力のある担い手の育成
農業後継者及び新規就農者に対して、県農業技術センターや市農協及び郡農協と
の連携により、技術面・経営面における支援を行います。
新規就農希望者からの相談について、新規就農者に対する補助制度、農地情報、
住まいの情報等、市農協及び郡農協や農業委員会等と連携し、円滑に就農できる支
援体制を整備します。
市では、青年新規就農者(45歳未満)に対して、経営が不安定な就農直後の所
得支援として給付金を支給する制度の充実へ向けた取組を行います。
また、地場農産物等の加工技術を持ち、独自の商品を販売する女性農業者を増や
し、技術の継承をしていくための支援をします。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
青年就農給付金
事業内容
今後の取組
青年新規就農者の確保
青年新規就農者の定着を図るた
と定着を図るため、経営が め、就農する前の事前相談を充実さ
不安定な就農直後の所得
せ、独立可能な技術力や経営力を身
支援
に付ける体制を確立したなかで、新
規就農で定着できる受給者を育
成・確保していく。
13
新規就農者等サポー
新規就農者に対する経
新規就農者が経営面等で課題を
ト事業アドバイザー
営面での支援等を行うた
解決するための個別相談や新規就
派遣
めの専門家の派遣
農者に共通課題をテーマにしたセ
ミナー事業など、ニーズに合わせて
専門家の派遣を行い、新規就農者を
育成していく。
女性農業者団体への
活動支援事業
女性農業者の抱える諸
女性農業者における地場農産物
問題や構成団体の交流強
の加工技術の向上及び技術の継承
化及び活動の活性化など
や団体で取り組むべき課題などに
の活動に対する支援
対する活動、新たな女性農業者の育
成・確保に向けた取組に対する支援
を進めていく。
(3)農業への法人参入の促進
法人からの農業参入に係る相談に対して、事業計画作成の支援、候補農地の確保
や選定、農地所有者への仲介等の支援をすることにより、法人参入の促進に取り組
みます。また、「農地中間管理機構」等の活用により、法人が借り受けできる農地
に関する情報提供を行います。
2 農地の保全・有効活用
農地の有効活用として、地域の中心的経営体に農地を集積することで、効率的
かつ安定的な農業経営を支援します。
また、農業の生産性を向上させるため、農地の整備や営農環境の改善に取り組
みます。
(1) 地域の中心的経営体等への農地の集積
地域の中心的経営体を示す「人・農地プラン」の活用により、経営規模の拡大に
意欲的な農業者への農地集積を促進します。
また、新規就農者や農業参入した法人などにも、効率的に一定規模の農地集積が
できるよう、農業委員会、市農協及び郡農協、
「農地中間管理機構」との連携によ
る体系的な支援体制を確立します。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
事業内容
今後の取組
農地流動化助成事業
認定農業者への利用権
認定農業者への農地の利用集積
設定(継続分)による農地 の促進により、作業の効率化などの
の集積に対する助成
経営改善が図られ、さらなる経営規
模の拡大をめざす認定農業者が有
効利用できる農地を増加させる取
組を行っていく。
14
(2)新たな農業生産基盤整備
大沢南部地区及び田名西部地区の農業生産基盤整備に続き、津久井地域における
基盤整備の実施により耕作放棄地を解消していくとともに、農用地区域内等の農道
や用排水路の整備によって、生産性の向上を推進します。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
農道等の維持管理・
補修・整備事業
事業内容
農業用施設の清掃・草刈
今後の取組
農道等の随時補修や計画的な農
業務委託、農道、水路等の 道整備、用水路改修に対応するとと
修繕及び整備
もに、津久井地域における基盤整備
への検討を行っていく。
(3)耕作放棄地対策
耕作放棄地の解消を図るため、「相模原市耕作放棄地対策協議会」を通じ、農地
の再生利用に取り組み、新規就農者や農業参入した法人などに対する経営規模の拡
大を促進します。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
事業内容
今後の取組
耕作放棄地対策事業
農用地区域内の耕作放
耕作放棄地の再生作業、農業用機
棄地の解消を図るための
械の借り上げの支援により、青年新
農地の再生・活用の支援
規就農者や農業参入した法人の経
営規模拡大を促進し、耕作放棄地の
多い地域などにおける担い手の育
成・確保を図っていく。
(4)有害鳥獣被害対策
津久井地域においては、特に、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザルなどの有害鳥
獣による農作物被害は深刻であり、農業者の営農意欲の減退につながっています。
このため、有害鳥獣の駆除、追払いや被害を軽減するための農地への防護柵の設
置等を継続的に支援しながら、専門知識や即時対応能力を有する民間事業者など、
新たな担い手の確保など有害鳥獣被害対策の充実を図っていく必要があります。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
事業内容
今後の取組
有害鳥獣駆除対策事
銃器や捕獲罠等による
安定的な農業経営に大きな影響
業
駆除や追払い等への事業
を与えている鳥獣被害は、継続的な
費の助成
取組が不可欠であり、有害鳥獣に対
する追払いや銃器・罠による捕獲、
農作物の被害を防ぐ講習会等の取
組を支援していく。
15
防護柵設置事業
農業者が農地へ防護柵
有害鳥獣による農作物被害は営
を設置する費用の一部助
農意欲の減退につながっており、被
成
害軽減のための農地への防護柵の
設置に取り組む農業者に対する支
援を引き続き行っていく。
3 成長産業としての農業の確立
農畜産物の競争力を高めるための生産振興や付加価値を高める取組による農
業者の所得の向上を図るため、成長産業としての農業の確立に取り組んでいきま
す。
(1)多様な農畜産物の生産振興
少量多品目の露地栽培や施設栽培について、農作物の生産力を高める生産振興へ
の取組や県農業技術センターとの連携による先進的な栽培技術の導入を促進し、ま
た、化学肥料・化学合成農薬等の使用を低減し、環境に配慮した生産資材等の購入
を促すなど環境保全型農業を進めていきます。
また、家畜防疫対策、近代化設備の導入等の事業を推進する拠点となる「市畜産
振興協会」が実施する事業を継続的に支援し、市内畜産業の振興を図ります。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
実験圃場整備事業
農産物振興対策事業
事業内容
施肥技術、栽培技術等の
今後の取組
安定的な農産物生産や減農薬栽
調査研究のため導入する
培の確立により、安全・安心な農産
新しい技術等をパイロッ
物の普及を図るため、地域の特性に
ト的に実施する実験圃場
あった様々な農産物の栽培技術及
の整備に係る事業費の一
び労働力省力化等の調査を支援し
部の助成
ていく。
新鮮かつ高品質な野菜、
市民への安全・安心な農産物の提
果実、花卉・植木の安定供 供を行うとともに、生産振興及び地
給、生産振興を図るための 産地消による消費拡大を図るため、
防除用薬剤、資材等の導入 「さがみはらのめぐみ」マーク入り
に対する助成
の出荷箱・共通の販売用ビニールな
ど出荷・直売資材の導入や土壌病害
虫防除の共同実施などの取組を支
援していく。
環境保全型農業関連
資材導入支援
環境保全に関連した農
安全・安心な農産物の生産を進め
業用資材の購入に要する
るため、環境保全型農業資材の導入
費用に対する助成
及び環境に配慮した低農薬栽培の
実施に取組む農業者の増加を図り、
16
環境保全型農業を進めていく。
環境保全型農業直接
支払交付金
環境保全型農業に取り
化学肥料・化学合成農薬等の使用
組む農業者団体等に対す
を低減し、地球温暖化防止等に効果
る交付金の交付
の高い営農活動に取り組む農業者
の増加を図り、環境保全に効果の高
い営農活動を普及していく。
畜産振興対策事業
市畜産振興協会が実施
畜産業の助長・育成を図るため、
する家畜防疫対策、近代化 家畜防疫対策、近代化施設の整備、
設備の導入などの事業に
環境保全対策、酪農・養豚・養鶏振
対する助成
興対策等、畜産経営の安定に向け継
続的な支援をしていく。
(2)農業の6次産業化の促進
農業者の6次産業化への取組に関する相談に対して、県等関係機関との連携によ
る事業化に向けた取組の支援や、農産物加工施設の整備に対する取組など農業の6
次産業化の促進に向けた取組を検討していきます。
(3)農商工連携の促進
商工業者の農畜産物に対するニーズを把握し、農業者とのマッチングの場を提供
する地場農畜産物商談会の開催により、市内飲食店やスーパーでの地場農畜産物の
利用を促進し、農業者の販路拡大及び地産地消につなげる取組や商工業者との連携
により地場農畜産物を利用した商品開発に関する取組を促進します。
(4)情報通信技術等の活用による新たな農業の確立
施設栽培の管理や露地栽培の圃場管理、肥培管理等の栽培暦のデータ化など情報
通信技術を活用した取組や、省力化・高品質生産を実現するためのロボット技術の
導入等の研究開発に関する情報を提供するなど、新たな農業の確立に向けた取組を
促進します。
17
基本方針Ⅱ:市民・地域に貢献できる農業の推進
4 地産地消の推進
市民に新鮮で安全・安心な農畜産物を供給し、直売での販路の拡大、地場農畜
産物のブランド化や学校給食での活用により、地産地消をさらに推進していきま
す。
(1)食農教育の推進
保育園・幼稚園、小・中学校との連携による幼少期からの食農教育の体制づく
りを確立し、学校給食への地場農畜産物の活用を推進します。
また、現在、郡農協が地域の農業者と協力して実施している学校農園など、学
校の授業に農業を取り入れた活動がさらに広まっていくよう、学校との連携によ
る支援を行います。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
食育推進事業
事業内容
保育園への講師派遣
今後の取組
旬の地場農産物を知り食の
(「ふるさとの生活技術指 大切さを学ぶ保育園での食育
導士」)による食育活動へ 活動の開催回数や内容の充実
の支援
農業体験学習事業
に向けた支援をしていく。
小学5・6年生を対象と
参加児童が収穫の喜びや農
して、田植えから稲刈りま 業の大切さを理解する機会と
での一連の農作業体験に
なる事業であり、より多くの児
加え、餅つき、料理体験な 童に体験してもらえる取組を
ど様々な活動を実施する
進めていく。
事業への支援
(2)農畜産物のブランド化の促進
「やまといも」や「津久井在来大豆」など既にブランド化している農産物を広
くPRしていく取組や、事業者や大学等との連携による新たなブランド化や商品
開発を促進します。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
地場農産物ブランド
化促進事業
事業内容
地場農産物の生産振興・
今後の取組
地域イベントへの出店など
消費拡大に向けたブラン
による「さがみはらのめぐみ」
ド化事業に対する支援
の啓発や地場農畜産物の商品
開発などへの支援を進めてい
く。
18
(3)直売所等の活用による販路拡大の支援
農協農産物直売所や市内市場への出荷支援、民間との連携によるイベントの開
催や市主催イベント・まつり等での地場農畜産物販売コーナーの拡大等、農業者
の販路拡大を支援します。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
事業内容
野菜生産出荷奨励事
農協農産物直売所及び
業
今後の取組
出荷奨励金の交付により、市
市内市場への農産物の生
内野菜生産者の市場や農協大
産出荷に対する農業者へ
型直売所への出荷を促進する
の奨励金の交付
ことで安定的な販路を確保し
ていく。
5 農とのふれあいの推進
市民が日常的に余暇、生きがい、教育、福祉等の様々な目的で農業にふれあう
ことができ、これを通じてコミュニティや新たな雇用を生み出す取組を推進しま
す。
(1)市民農園・体験型農園の開設促進
市民が土に親しみ、直接「農」にふれ、農業に対する理解を深める場として、
新たな市民農園の確保、体験型農園の開設を促進します。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
事業内容
今後の取組
農家開設型市民農園
特定農地貸付法又は市
参加者が様々な農作物の作
整備促進事業
民農園整備促進法に基づ
付や栽培、圃場管理等に関する
き、農家等が整備する市民 指導を受け、収穫まで一連の農
農園の整備に対する助成
作業を体験し、農業に対する理
解を深めることができる農家
開設型農園について農業者に
周知する機会を設けていく。
19
(2)農業体験、農に関するイベントへの支援
農業まつり、市民朝市など市民が農業との関わりを深める事業を支援し、農業
者主催の農業体験教室の開催を促進するなど、市民が農業を身近に感じ、都市農
業に対する理解を深める取組や農業者と市民がふれあう機会を増やすための支
援を行います。
<既存事業等の今後の取組>
事業名
事業内容
農業まつりへの支援
今後の取組
都市農業に対する理解
市民と農業者のふれあう場づ
を深める事業である農業
くりを推進し、都市農業に対す
まつりの事業費に対する
る市民の理解を深め、地産地消
助成
を図るとともに、共進会では、
生産物の品質向上や生産者の生
産意欲の向上などが図られてお
り、さらなる参加者の増加を目
指し事業を充実していく。
市民朝市への支援
新鮮な地場農産物を供
新鮮な地場農産物を定期的に
給する市民朝市の活動に
供給することができ、農業者と
対する支援
市民の相互理解を深める機会と
なっており、農業者及び利用者
の意見を交えながら、他の開催
場所での実施などの取組も支援
していく。
(3)農業と福祉の連携等による支援
働く意欲のある障害者に社会参加の場を提供し、自立を支援するため、農業を
通じた活動となる農福連携は重要であり、農業者と障害者施設の連携による農作
業委託事業の受入れ等の就労支援や、特例子会社の農業参入、農業者による障害
者雇用などを促進します。
20
6 農業の多面的機能の活用
都市にふさわしい農業と農地利用において、市民の暮らしに深く関わる多面的
な機能を活用するため、都市部と中山間地域の2つの地域特性を活かし、地域
資源を積極的に活用するよう取り組んでいきます。
(1)災害時の防災上の空間の確保
建物が密集する都市部において、農地は貴重な空間であり、火災時における延
焼の防止や地震の際の避難場所等としても多様な役割を果たすため、農地の有効利
用を図ります。
(2)心安らぐ癒しの空間の提供
津久井地域の里山や棚田等の伝統的な景観、市内各地に緑地空間や水辺空間があ
ることにより、心のやすらぎや潤いをもたらす機能があるため、農地を保全してい
きます。
(3)地域資源を活かした農の連携
津久井地域では、自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動となる
「グリーン・ツーリズム」における農業体験や農産物加工体験を提供する取組や
古民家を活用した宿泊施設の整備などを促進します。
21
5 重点プロジェクトについて
6つの基本施策のうち、各施策で重点プロジェクトを定めて事業を実施していきま
す。
Ⅰ 担い手育成プロジェクト
基幹的農業従事者の平均年齢が67.5歳となっており、担い手の高齢化が進む中、
今後の地域の中心的経営体となる新たな担い手の育成・確保が喫緊の課題となってい
ます。
現在、市内における新たな就農希望者は増加傾向にあり、若い世代の割合が増えて
いることから、青年就農給付金を活用しながら就農後の定着を図るための支援が重要
となります。
また、一定規模の農業経営を行うことができる新たな担い手として、農業への法人
参入を促進し、地域の雇用の創出につなげる取組も進めていきます。
<達成目標>
項目
現状
中間目標
最終目標
(平成 26
(平成 32
(平成 37
(2014)年度末)
(2020)年度)
(2025)年度)
100 名
150 名
49 名
新規就農者数(累計)
(H22~26 年度の
累計)
※新たに農地の利用権(面積 20a以上)の設定を行う就農者(年齢は問わず)
<今後事業化や拡充の検討を図る事業例>
項目
新規
新規就農者の定着の
促進
取組内容
経営規模の拡大を図り中心的な経営体をめざす新
規就農者に対し定着の促進を図る。
市農協及び郡農協との連携による新たな認定農業
拡充
認定農業者の育成・確保 者の掘り起こしや農業経営改善計画の実現に向けた
支援を行う。
拡充
拡充
新規就農者に対する
総合的な支援
農業への法人参入の
さらなる促進
市内への就農を促すため、農地のあっせんや補助
制度など就農に必要な情報について、ホームページ
等を通じて情報提供を行う。
農地中間管理事業などを活用し農地のあっせんを
行うなど、法人の農業参入を促し、新たな雇用の創
出を促進する。
22
Ⅱ 農地有効活用プロジェクト
農地の有効利用を行うには、耕作放棄地の解消に向けた取組とともに、「農地集積
バンク」の機能を持つ農地中間管理機構や農地利用集積円滑化団体を活用し、経営規
模の拡大を希望する経営体や農業へ参入した法人に農地を集積することが必要となり
ます。
また、継続的に農業の生産性を向上させるため、土地改良事業を推進していきます。
<達成目標>
項目
農用地区域内の耕作放棄地
の割合
現状
中間目標
最終目標
(平成 26
(平成 32
(平成 37
(2014)年度末)
(2020)年度)
(2025)年度)
9.1%
7%
5%
<今後事業化や拡充の検討を図る事業例>
項目
拡
充
経 営 規 模を 拡 大す
取組内容
「農地集積バンク」の機能を持つ農地中間管理機構や農
る 農 業 者へ の 農地 地利用集積円滑化団体の活用をさらに進め、経営規模拡大
集積の促進
拡
農業生産基盤の整備
充
の推進
拡
耕 作 放 棄地 対 策の
充
充実
拡
有 害 鳥 獣被 害 対策
充
の充実
を目指す農業者に対する農地の利用集積を促進する。
優良農地の保全に向けた取組や農業の生産性の向上を
させるための土地改良事業を推進する。
農業委員会や市農協及び郡農協と連携しながら耕作放
棄地の再生を図り、新規就農者や農業へ参入した法人等の
担い手への農地の利用集積を促進する。
イノシシの捕獲やサルの追払いなどの有害鳥獣被害対
策について、専門知識や即時対応能力を有する民間事業者
を活用することにより、効果的に農作物被害を軽減する。
23
Ⅲ 都市農業活性化プロジェクト
付加価値を高める農業への取組においては、農業の6次産業化や農商工連携の促進
が必要であり、農業者自らが意欲的に所得の向上を図る取組に対して、より効果的な
事業計画の作成支援や商品開発等に対する支援体制の充実を図ります。
<今後事業化や拡充の検討を図る事業例>
項目
取組内容
県の関係機関等との連携による農業の6次産業化に対
新規
農業の6次産業化
への支援
するポテンシャルの高い農業者の掘り起こしを行うため
のセミナー、勉強会の開催や、農業の6次産業化に向け
た地場農畜産物を使用した商品開発等に対して、事業化
を高めるための支援を行う。
拡充
地場農畜産物商談
会の充実
農業者の販路拡充を促進するため、市内飲食店や食品
加工業者等を対象とした商談会を定期的に開催する。
Ⅳ 地産地消・農業との交流プロジェクト
農畜産物の地産地消をさらに推進するためには、顔が見え話しができる直売所での
販売のほか、農業者と市民が交流する機会が必要となります。そのため、身近な食の
機会である小中学校の学校給食における調達を支援します。
また、農業にふれあう場の提供により都市農業への理解の醸成を図ります。
<今後事業化や拡充の検討を図る事業例>
項目
新規
新規
拡充
学校給食への出荷
支援
農業者と市民の交
流の促進
新たな農畜産物の
ブランド化の促進
特例子会社の誘致
拡充
学校給食への地場農畜産物の提供を促すため、出荷の支援
を行う。
農業者との収穫体験などを通じて、農業への理解を深めるた
めの機会を提供する。
事業者や大学等との連携による商品開発を行い、
地場農畜
産物のブランド化につなげる取組を支援する。
特例子会社の農業参入や農業者による障害者の雇用の促
等による「農福連 進、障害者施設との連携による就労機会の増大を図るため、
携」の促進
グリーン・ツーリ
拡充
取組内容
「農福連携」を促進する。
「都市農村共生・対流総合対策交付金」など、国の補助制
ズム等の取組の促 度を周知し活用するなかで、地域資源の掘り起こしや地域の
進
活性化を促進する。
24
6 推進体制
ビジョンの推進にあたっては、農業者、市民、農業関係団体及び民間事業者、行政
が、それぞれの役割を果たすなかで、農業全般に関して情報共有する機会を設けるな
ど密接に連携しながら、都市農業の振興を図っていきます。
また、本ビジョンに基づき実施される各事業については、新・相模原市総合計画の
進行管理と併せ、
「PDCA サイクル」の考え方を活用し、推進していきます。
25
附属資料 Ⅰ
(仮称)新・都市農業振興ビジョン検討委員会委員名簿
所属団体等
(50 音順・敬称略)
氏 名
1
相模原市認定農業者連絡会
副会長
2
公募委員
3
麻布大学獣医学部
4
相模原市農業協同組合 理事
5
公募委員
上島 都子
6
一般財団法人農村開発企画委員会 特任研究員
楠本 侑司
7
株式会社藤野倶楽部 代表取締役
桑原 敏勝
8
津久井郡農業協同組合 専務理事
坂間 陸二
9
パルシステム生活協同組合連合会 産直開発課長
高橋 英明
備考
天野 國彦
池田 珠三子
教授
大木
茂
小俣 シゲ子
10 相模原市農業委員会 副会長
髙橋 三行
11 相模原市農業協同組合 常務理事
長谷川 辰夫
26
委員長
副委員長
附属資料 Ⅱ
審議等スケジュール
会 議
開催日時
平成26年
第1回
7月23日(水)
10:00~
第2回
8月12日(火)
9:30~
審議の内容
○(仮称)新・都市農業振興ビジョンの概要について
○審議スケジュール(案)について
○相模原市の農業の概要について
○相模原市における農業支援の取組について
○現地視察
○(仮称)新・都市農業振興ビジョンの基本理念・基本方針
第3回
9月16日(火)
13:30~
等について(たたき台)
○プレゼンテーション
「新規就農者の現状について」
○プレゼンテーション
第4回
10月15日(水)
14:00~
「パルシステムの活動を通じた相模原市の農業の可能性に
ついて」
○(仮称)新・都市農業振興ビジョンの重点プロジェクトに
ついて(たたき台)
第5回
11月18日(火) ○(仮称)新・都市農業振興ビジョン検討委員会検討報告書
14:00~
骨子(案)について
○(仮称)新・都市農業振興ビジョンの策定に関する事項に
第6回
1月21日(水)
14:00~
ついての答申(案)について
○(仮称)新・都市農業振興ビジョンの策定に関する事項に
ついての答申の時期及び今後の予定について
答申書
3月9日(月)
提 出
15:00~
○市長に答申書を提出
27
用語解説
あ行
援農
市民朝市
新鮮な農産物の提供、都市農業の振興及
都市住民等が、無償もしくは最低賃金以
び農家と市民の交流を目的に行う、市内で
下の謝礼や農産物を得つつ、農家の農作業
採れた新鮮な野菜等の販売会。
を手伝うもの。
市民農園
か行
解除条件付き貸借
サラリーマン家庭や都市の住民の方々が
レクリエーションとしての自家用野菜・花
貸借契約の中に農地を適正に利用してい
の栽培、高齢者の生きがいづくり、生徒・
ない場合に貸借を解除する旨の条件を付す
児童の体験学習などの多様な目的で、小面
ことで、農地法又は農業経営基盤強化促進
積の農地を利用して野菜や花を育てるため
法に基づく農作業常時従事要件又は農業生
の農園。
産法人要件を満たすことなく、農地の使用
食育
貸借権又は賃借権を取得する方法。
様々な経験を通じて「食」に関する知識
基幹的農業従事者
と「食」を選択する力を習得し、健全な食
農業に主として従事した世帯員(農業就業
生活を実践することができる人間を育てる
人口)のうち、調査期日前 1 年間にふだん仕
こと。
事として主に自営農業に従事した者。
食農教育
グリーン・ツーリズム
食育と農業教育を一体として行う取組。
農山漁村地域において自然、文化、人々
農業体験等を通じて、
「食」を支える農業や
との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。滞在
地域、自然との関わりについて、理解を深
の期間は、日帰りの場合から、長期的又は
めることを目的とする。
定期的・反復的な(宿泊・滞在を伴う)場
植物工場
合まで様々。
施設内の温度、光、炭酸ガス、養液など
耕作放棄地
の環境条件を自動制御装置で最適な状態に
農林業センサスにおいて、
「以前耕地であ
保ち、作物の播種、移植、収穫、出荷調整
ったもので、過去1年以上作物を栽培せず、
まで、周年計画的に一貫して行う生産シス
しかもこの数年の間に再び耕作する考えの
テム。
ない土地」と定義される統計上の用語。
新・相模原市総合計画
さ行
市街化区域
将来の相模原市をどのようなまちにして
いくのかを示す「まちづくりの指針」とな
市街地として積極的に整備する区域で、
るもので、市政全般の政策・施策・事業の
用途地域等を指定し、道路や公園、下水道
方向性を定めたもの。基本計画期間は、平
等の整備を行い、住宅や店舗、工場など、
成22(2010)~31(2019)年度の10
計画的な市街化を図る区域。
年間。
28
生産緑地
において行われる農業」と規定しており、
市街化区域内において適正に管理されて
消費地に近いという利点を生かした新鮮な
いる良好な農地のうち、一定の基準を満た
農産物の供給といった生産面での重要な役
すものについて、市町村長が指定するもの。
割のみならず、身近な農業体験の場の提供
原則として農地以外の土地利用が制限され
や災害に備えたオープンスペースの確保、
る。
潤いや安らぎといった緑地空間の提供など、
多面的な役割を果たしている。
青年新規就農者
土地改良事業
原則18歳以上45歳未満で、新たに農
業を営もうとする者。
農用地や農業用水路、農道などの農業生
産基盤の整備を行うもの。
攻めの都市農業
安倍内閣が掲げる政策。農林水産物・食
な行
認定農業者
品の輸出額を2020年までに1兆円に拡
大することや、6次産業化の市場規模を2
農業経営基盤強化促進基本構想に示され
020年までに10兆円に拡大することな
た農業経営の目標に向けて、自らの創意工
どを目標に掲げている。
夫に基づき、経営の改善を進めようとする
計画を作成し、その計画が、市町村による
た行
津久井在来大豆
認定を受けた農業者。
農業振興地域整備計画
相模原市緑区千木良(相模湖地区)で生
まれ、津久井地域で古くから栽培されてき
都道府県による農業振興地域の指定を受
た在来種の大豆。平成25年5月24日に
け、市町村が定める計画。農用地利用計画、
ロゴマークを商標として商標権設定登録が
農業生産基盤の整備開発計画、農用地等の
完了した。
保全計画、規模拡大・農用地等の効率的利
用の促進計画などを定める。
特例子会社
農業生産法人
障害者の雇用の促進及び安定を図るた
め、事業主が障害者の雇用に特別の配慮を
主たる事業が農業であり、農地法に規定
して設立した子会社。事業主は、法定雇用
された一定の要件を満たす法人。農地を所
率以上の割合で障害者を雇用する義務があ
有することも借りることも可能。
るが、一定の要件を満たした場合、その子
農業まつり
会社が雇用する障害者を、親会社に雇用さ
れているものとみなして、実雇用率を算定
「魅力とうるおいのある都市農業を目指
できる。
して」をテーマに市民が本市農業に対する
理解と親しみを深めてもらうことを目的に
都市農業
行う農業イベント。例年11月の第2日曜
都市の中で都市と調和しつつ存在する農
日に開催している。
業を、都市の周辺の近郊農業ととくに区別
農商工連携
して、都市農業という。都市農業振興基本
法第 2 条では「市街地及びその周辺の地域
地域経済活性化のため、地域の基幹産業
29
である農林水産業と商業、工業等との連携を
るもの。地域の中心経営体の確保や中心経営
強化することで、相乗効果を発揮しようとす
体への農地集積などについて定める。
る取組。
農地中間管理機構
ら行
6次産業化
農地中間管理事業の推進に関する法律に
基づき、農地中間管理事業を行う主体(実
農業者が、農畜産物の生産(1次産業)
施主体)
。神奈川県では、公益社団法人神奈
だけでなく、食品加工(2次産業)
、流通・
川県農業公社が指定されている。
販売等(3次産業)にも取り組み、経営を
多角化することで、農業所得の向上等を目
農地の利用集積
指すこと。1×(+)2×(+)3次産業
農業経営体が、
「所有」
「借り入れ」
「農作
=6次産業化。
業受託」により、農地の利用を集約化する
こと。
農地利用集積円滑化団体
農業経営基盤強化促進法に基づき、農地
利用集積円滑化事業を行う主体(実施主
体)
。相模原市では、相模原市農業協同組合
が認可されている。
農福連携
「農」と「福祉」が連携することで、農
業分野で障害者等の働く場所づくり、ある
いは居場所づくりを実現しようとする取
組。
農用地区域
都道府県知事が指定する農業振興地域の
うち、市町村長が定める農業振興地域整備
計画の中で、農用地等として利用すべき土
地の区域として定められた区域。農地の保
全と有効利用を図るため、農地転用の制限、
開発行為の制限等の措置がとられる。
は行
人・農地プラン
集落・地域が抱える人と農地の問題を解
決するための「未来の設計図」として、地
域による話し合いを経て、市町村が策定す
30
(様式2)
庁議(政策会議) 案件申込書
申込日
案 件 名
所
管
概
要
審議内容
(論点)
実施計画の
位置付け
審議(希望)日
日程等
調整事項
平成27 年
10
月
20
日
農業委員会法の改正に伴う条例の改正及び廃止について
環境経済
局
区
経済
農政
部
課 担当者
内線
農業委員会法の改正(平成27年9月4日公布、平成28年4月1日施行)に伴い、農業委員の選出方法や定数の変更、新た
な非常勤特別職の設置等が必要となるため、条例の改正及び廃止について諮るもの。
○農業委員会法の改正内容の概要について
○農業協同組合法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の
概要について
○今後のスケジュール
なし
施策番号及び
実施計画事業名
関係課長会議
平成27 年
局・区経営会議
年
10
月
月
7
日
政策調整会議
平成27 年
10
月
20
日
日
政策会議
平成27 年
10
月
22
日
条例等の調整
改廃あり
パブリックコメント
なし
時期
審議会等、協議
会等の設置
あり
個人情報の目的外利用等
議会上程時期
H27.12議会
議会への情報提供
関係部局名等
関係部局との
調整
報道への情報提供
部会
平成27年10月
なし
調整項目
調整状況
職員課
農業委員等の報酬額の見直し 終了
総務法制課
条例改正
内容の調整
情報公開課、総務法制課、
農業委員会事務局
選考委員会の設置
内容の調整
検討経過等
なし
打 合 せ ・ 会 議 の 経 過
月 日
H27.10.7
H27.10.20
会議名等
関係課長会議
政策調整会議
内 容
農業委員会法の改正に伴う条例の改正及び廃止について
農業委員会法の改正に伴う条例の改正及び廃止について
備 考
政策調整会議
の
結果等
これまでの
庁議での
主な意見
原案を
上部庁議へ付議する。
( 政策会議 )
○ 新しい農業委員19人をすべて選考委員会で諮るのか。
○ 非常勤特別職である農業委員を選考することは責任の重い業務であり、単発の任意機関選考委員会ではなく、
審議会等常設の附属機関に位置づけるのが適当なのではないか。その場合には、附属機関の設置に関する条例
の設置が必要である。
○ 他の独立行政機関で委員を公募している事例は今までにない。
⇒ 選考委員会のあり方について、関係課と検討して決定したい。
※関係課との調整の結果、附属機関に位置づけることに決定した。(H27.10.8)
○ 農業委員の選考から任命までのスケジュールについては、人事議案を上程する時期を踏まえた2通りのパターンを
作成し、検討していく必要がある。
○ 条例案が複数となる場合には、一括で担当課として提出する可能性もある。
○ 新しい農業委員の定数は上限は19人となっているが、もう少し定数の人数を減らした体制にすることはできないのか。
⇒ 法改正の改革の重点項目として農地等の利用の最適化(担い手への集積・耕作放棄地対策等)の推進を図る上で、
定数の上限の人数が必要であると考えている。
○ 農地最適化推進委員の定数について、「100haに1人の割合で配置できる」との規定で、2,175haで22人としている
根拠を確認したい。
⇒ 規定の解釈を確認し、定数の人数を定めた。
事案の具体的な内容
(1)趣旨
農業委員会法の改正に伴い、農業委員及び新たに非常勤特別職となる農地利用最適化推進委員の定数に
係る条例改正等を行う。
(2)農業委員会法の改正内容
①農業委員会の事務の重点化:農地等の利用の最適化の推進
担い手への集積・集約化、耕作放棄地の発生防止・解消、新規参入の促進
②農業委員の選出方法
・農業委員の公選制の廃止及び議会の同意を得て市長が任命
・議会推薦・農業団体推薦枠による選任制の廃止
③農地利用最適化推進委員の新設(新たな非常勤特別職の設置)
担当区域において、担い手への農地利用の集積・集約化、耕作放棄地の発生防止・解消等
の現場活動を行う。
(3)法改正に伴う条例の制定について
農業協同組合法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例について制定
するもの。
①「相模原市農業委員会の選挙による委員の定数に関する条例」の一部改正
・農業委員の定数の変更
現行 30人 → 改正後 19人
※本市農業の状況及び現行の農業委員定数から、国が定める定数(上限)を
変更する特段の理由がないため
・農地利用最適化推進委員の定数の設置:22人
※農地面積100haに1人の割合で配置できる。
市内全体 2,175ha(旧市域 940 ha 津久井地域 1,235 ha)
・条例の名称の改正 「相模原市農業委員会の委員等の定数に関する条例」
②「相模原市非常勤特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例」の一部改正
農業委員の報酬額(現行と同額)、農地利用最適化推進委員の報酬額の設定
会長
(1人)
月額 81,700円
会長代理
(1人)
月額 53,600円
委員 (17人)
月額 45,100円
推進委員 (22人) 月額 40,000円
③「附属機関の設置に関する条例」の一部改正
・(仮称)相模原市農業委員選考委員会の設置(5人以内)
④「都市計画法による市街化調整区域等の基準に関する条例」の一部改正
・農地法の改正に伴う改正(条項を引用する規定の整理)
⑤「相模原市証人等の実費弁償に関する条例」の一部改正
・農業委員会等に関する法律の改正に伴う改正(条項を引用する規定の整理)
⑥「相模原市農業委員会の選挙区等に関する条例」の廃止
・公選制の廃止に伴う条例の廃止
(4)今後のスケジュール
平成27年 10月 庁議、環境経済部会での説明
11月 条例改正議案提出(平成28年4月1日施行予定)
12月 農業者が組織する団体への農業委員の推薦依頼及び公募(条例改正の成立後)
平成28年 1月 農業委員候補者の選考
3月 人事議案提出
4月 農業委員の任命、農業委員会の開催
<参考>
・法改正に伴う事務の集約化
農地等の利用の最適化を推進するため、耕作放棄地に係る業務を農業委員会事務局へ集約する。
(様式6)
第7回 政策会議 議事録
平成27年10月22日
1
「(仮称)さがみはら産業振興ビジョン2025」の策定について
(説明者:経済部長)
(1)主な意見等
○ 海外の販路開拓支援については、どう考えているか。
→ 昨年、東南アジアでの展示会への出展費用の助成や相模原ブースの共同出展に
より、市内中小企業の販路拡大を支援する事業を始めた。今後も、東南アジアを
中心とした新興国や、先進国への販路拡大を図れるような取組、支援を行ってい
きたいと考えている。
○
商業振興における商店街振興について、何に力を入れていくのか。
→ 少子高齢化とグローバル化という2つの喫緊の課題に対応するための、重点プ
ロジェクトに商業振興を掲げているが、商店街については、すぐに活性化が図れ
るような決定打となる取組がないというのが現実問題としてある。商店街の発展
には個々の商店の活性化が不可欠であることから、従前の商店街という組織に対
する支援から、これからは組織ではなく、個々の商店に対する支援についても検
討していく考えである。
○ 本ビジョンには、コンベンション機能の整備推進や業務系企業の誘致等、広域交
流の視点等が盛り込まれており、経済部のみならず他局とも連携して進めていくべ
きものと考える。
○ 昼間人口の流出を防いだり、商業の活性化を図るためには業務系企業の誘致が効
果的であると考えるので、その点を意識した取組を進めてもらいたい。
○
新・相模原市総合計画(以下、「総合計画」。)の計画期間との関係性は如何か。
→ 総合計画の計画期限である平成31年度には、次期総合計画策定に向けた見直
しが行われると思うが、ビジョンの進捗状況等を踏まえた次期総合計画策定の内
容を平成32年度に予定している本ビジョンの中間見直しに反映させたいと考え
ている。
○ コミュニティビジネスの中では、NPO 活動が企業活動とクロスオーバーすること
が見られるが、NPO 活動の位置づけや企業活動との関連性について、現状認識や今
後を見据えた視点として記載してもよいと考える。
→ 欧米諸国では、NPO の雇用について、全雇用に占める割合が10%程度の例も
あるが、日本ではそこまで浸透していないこと等を鑑み、記載はしていない。
○
TPPを考慮したビジョンとなっているのか。
→ グローバル化の視点の中で、そのニュアンスを入れ込んでいる。
(2)結果
○
原案のとおり承認する。
2
「(仮称)さがみはら都市農業振興ビジョン2025」の策定について
(説明者:経済部長)
(1)主な意見等
○
市 内 の J A が 直 売 所 を 設 置 し て い る が 、供 給 の 状 況 に 変 化 は あ っ た か 。ま
た 、直 売 所 を 設 置 す る 前 と の 比 較 で 、市 内 農 業 者 の 中 で 状 況 の 変 化 は あ っ た
か。
→ 来客数や売上等は当初の目標に対して、上回っている状況にある。農業者の環
境の変化については、直売所のオープン当初は供給農産物が不足しているような
状況があったが、その後、市内の農業者を集めた出荷者連絡協議会を立ち上げ、
農産物供給の連携強化により、供給体制の整備を図っている。
○
地産地消の推進の中で、食農教育や農畜産物のブランド化について触れているが、
トレーサビリティについて等、市民に新鮮で安全・安心な農畜産物を供給すること
について、もう少し具体的に記載をしたほうがよいと考える。
→ 食品表示法が施行され、原産地の表示等が義務づけられている。また、農産物
については、GAP(農業生産工程管理)方式により生産履歴をストックすること
が義務づけられている。安全・安心についての具体的な記載は難しいと考えてい
るが、それについての生産者等への働きかけは行っていきたいと考えている。
○
有害鳥獣被害対策やジビエに対する具体的な取組はあるか。
→ 例えば、電気柵の設置に関する補助金については、個別に対応している状況で
あるが、もう少し広域的な取組の必要性を感じている。ジビエについても、安全
衛生上の問題や安定供給が難しいという点から、広域的な取組が必要であり、市
としては、神奈川県への働きかけにより連携を図っていきたいと考えている。
○ 本ビジョンは、将来的に生業となる農業を目指すものと理解しているが、すぐに
生業になるのではなく、農業の持っている環境的な価値に魅力を感じて、結果として、
新規就農や都市からの移住に繋がるような農業の環境的価値の視点や取組について、
もう少し記載してもよいと考える。
○ 生業としての農業を考えていく時に、林業や観光振興にも農業が繋がってくる部
分もあると思うが、他分野との関連性についてどう考えているか。
→ 農業の生業というところに主眼を置きながら、農業の多面的機能の活用として、
災害時の防災上の空間の確保や心安らぐ癒しの空間の確保、「グリーン・ツーリズ
ム」における農業体験や農家民泊等の地域資源を生かした農の連携を図っていきた
いと考えている。
○
農業の担い手不足の対策として、法人参入については考えていないのか。
→ 農地法が改正になり、農業生産法人の合計で1/4以下までとされている継続
的取引関係者の出資制限が1/2未満までに緩和され、農業振興に向けた国の動
きがある。市としても、この制度を活用して農業従事者を呼び込みたいという考
えは持っている。
新たな担い手の育成については、本ビジョンで「新規就農者数(累計)」を成果
指標として掲げているが、農業への法人参入を促進したり、国で打ち出している
(様式6)
青年就農給付金制度を効果的に活用しながら、地域の雇用の創出にも繋げる取組
を実施する考えである。
○ 藤野や相模湖等の地域において、クラインガルテンのような滞在型市民農園を運
営するような考えはないのか。
→ 以前よりそのような話は出ているが、うまくいっている事例を聞かないことや
費用対効果を考えると、現状は事業化が難しいと判断している。しかし、農との
ふれあいの推進ということで、市民農園・体験型農園の開設促進事業を展開して
いる。
(2)結果
○
原案のとおり承認する。
3
農業委員会法の改正に伴う条例の改正及び廃止について
(説明者:経済部長)
(1)主な意見等
○ 農地利用最適化推進委員(以下、推進委員)について、農地面積100ha に1人
の割合で配置するとあるが、その担当範囲は適正か。
→ 「農業委員会等に関する法律」第17条第2項により、地区割りを定めること
になっており、本市においては10区画程度に割り振りする予定である。現場活動
は、事務局で保有または調査した情報を有効に活用しながら推進委員が行うことと
なるが、必要に応じて農業委員と連携して行う。
(2)結果
○
原案のとおり承認する。
以
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